説明

保護回路を備えたコンバータ

【課題】直流−交流変換効率を改善すること。
【解決手段】保護回路4を備えたコンバータは、電力源1からの電荷を蓄積するコンデンサC1を含む。保護回路4は、コンデンサC1に直列に接続される。コンデンサC1および保護回路4に、直流−交流コンバータ2が直列に接続される。保護回路4は、コア4a、コア4a内に一定磁束を発生させる磁束発生器4c、コア4aに巻かれたコイル4d、およびコイル4dに並列に接続された抵抗器4eを含む。コイル4dを定格電流が流れるとき、コイル4dは低インピーダンス領域で動作し、保護回路4に電力損失を生じさせないようにする。コイル4dを貫通電流が流れるとき、コイル4dは高インピーダンス領域で動作し、貫通電流を即時停止させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を交流電力に変換する交流コンバータに関し、さらに詳しくはコンバータを短絡ダメージから保護する保護回路を備えたコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
直流電力源に直列に接続されたIGBTなどの少なくとも2つのパワートランジスタを用いて、直流電力などの電力を交流電力に変換するために、交流コンバータが使用される。2つのパワートランジスタは、動作中、オン期間を重複しないで交互にオン、オフする。したがって2つのパワートランジスタの接続点から交流電力が生成され、負荷へ加えられる。
【0003】
誤動作により、2つのパワートランジスタのうちの一方がオンのまま、他方のパワートランジスタがオンした場合、直流電力源に短絡回路が確立される。その結果、2つのパワートランジスタを通って貫通電流が流れ、パワートランジスタおよびその他の回路要素がダメージを受ける。
【0004】
このような貫通電流を回避するため、保護回路を備えたコンバータが提案されている。特開2003−143863号公報には、保護回路を備えたコンバータの従来技術の例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−143863号公報
【0006】
図1は、コンデンサCp、直流−交流コンバータ20内の2つのパワートランジスタ20t、および保護回路40を含む、保護回路を備えたコンバータの従来技術が示されている。保護回路40は、トランジスタ40t、およびコンデンサCpと端子Nとの間に逆方向に接続されたダイオード40dを含む。
【0007】
通常動作においては、トランジスタ40tかダイオード40dのいずれかを通って、保護回路40に電流が流れる。
【0008】
コンバータ20内の両トランジスタ20tのうちのいずれかが誤って動作するまたは故障すると、コンデンサCpから両トランジスタ20tと保護回路40内のトランジスタ40tとを通り、貫通電流が流れる。この場合、保護回路40内のトランジスタ40tをオフにして、貫通電流を停止させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
保護回路を備えたコンバータの従来技術には、次のような解決すべき課題がある。
【0010】
保護回路を備えたコンバータの従来技術によれば、保護回路内に設けられたトランジスタ40tおよびダイオード40dは、内部抵抗を有するので、通常動作において、電力損失を受けやすく、直流−交流変換効率の低下をもたらす。
【0011】
保護回路を備えたコンバータの従来技術によれば、トランジスタ40tは高い電流破壊耐久性を有しなければならず、トランジスタ40tのコスト高をもたらす。
【0012】
保護回路を備えたコンバータの従来技術によれば、トランジスタ40tは、保護回路に対し外部から制御信号を供給する能動制御回路を設けなければならない。このような能動制御回路を備えた保護回路はコスト高であり、調整を必要とする。能動制御回路を調整できないと、保護回路は首尾よく貫通電流を停止させることができず、システム破壊をもたらすことになる。
【0013】
保護回路を備えたコンバータの従来技術によれば、貫通電流が首尾よく停止した後においても、コンデンサCpは充電された状態を保ち続け、取り扱いには危険な状態をもたらしている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、保護回路を備えたコンバータは、電力源からの電荷を蓄積するコンデンサと、第1接続点と第2接続点との間において、前記コンデンサに直列に接続された保護回路と、前記第1接続点と第2接続点との間に直列接続された上方スイッチングセグメントと下方スイッチングセグメントを有する直流−交流コンバータと、前記上方スイッチングセグメントと前記下方スイッチングセグメントとを交互に駆動するドライバとを含む。前記保護回路は、磁束を保持するコアと、飽和状態が解消する飽和限界点から所定量だけ超えたレベルである一定磁束まで、前記コア内に磁束を発生させる磁束発生器と、前記コンデンサに直列に接続され、前記コアに巻かれた第1コイルと、前記第1コイルに並列に接続された抵抗器とを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、保護回路を備えたコンバータは、磁束飽和状態のコアに巻かれたコイルを使用する。したがってコイルに流れる電流は、通常動作の間、実質的に抵抗値またはインピーダンス値はゼロに近い。それゆえに、この保護回路では、どんな実質的な電力損失ももたらさない。このように、直流−交流変換効率は改善することができる。
【0016】
本発明によれば、保護回路を備えたコンバータは、磁束飽和状態のコアに巻かれたコイルを使用する。したがってコイルに用いる電線の断面積を増加させることで、コイルの電流破壊耐久性を容易に高く改善することができる。
【0017】
本発明によれば、保護回路を備えたコンバータは、磁束飽和状態のコアに巻かれたコイルを使用する。したがって、保護回路にいかなる能動制御回路も設ける必要がない。保護回路は、受動保護回路として動作する。したがって、どんな調整制御も必要でない。
【0018】
本発明によれば、保護回路を備えたコンバータは抵抗器を有し、この抵抗器は貫通電流が停止した後にコンデンサを放電することを可能にする。したがってコンデンサが、危険な状態のままになっていることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は保護回路を備えたコンバータの先行技術を示す回路図である。
【図2】図2は本発明の第1の実施形態に従う、保護回路を備えたコンバータを示す回路図である。
【図3】図3はドライバから生成された信号の信号波形図である。
【図4】図4は保護回路に用いるコアのB−H曲線を示す図である。
【図5】図5は図2に示された本発明の第1の実施形態の変形を示す回路図である。
【図6】図6は図2の回路に用いる直流電流源の詳細を示す図である。
【図7】図7は図2に示された保護回路の変形を示す図である。
【図8】図8は図7の保護回路に用いるコアおよびコイルの断面斜視図である。
【図9】図9は本発明の第2の実施形態に従う、保護回路を備えたコンバータを示す回路図である。
【図10】図10はドライバから生成された信号の信号波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
図2は、本発明の第1の実施形態に基づく、保護回路を備えたコンバータを示す。保護回路を備えたコンバータは、電力源1、保護回路4に結合された直流回路3、および電力コンバータ2を含む。
【0021】
電力源1は、直流電力を直流回路3へ供給し、直流回路3の接続点PおよびNに接続される。
【0022】
直流回路3は、コンデンサC1を含み、コンデンサC1は保護回路4に直列に接続されている。コンデンサC1と保護回路4との直列接続は、接続点Pと接続点Nとの間に接続される。コンデンサC1は、電力源1から直流回路3へ流れる充電電流Icによって充電される。
【0023】
電力コンバータ2は接続点Pと接続点Nとの間に直列に接続される1対のセグメント(上方セグメント2uおよび下方セグメント2d)を含み、直流−交流変換ユニットとしての機能を果たす。
【0024】
上方セグメント2uは、トランジスタTu、および並列に、かつ逆方向に接続されたダイオードDuを含む。同様に、下方セグメント2dは、トランジスタTd、および並列に、かつ逆方向に接続されたダイオードDdを含む。トランジスタTuおよびTdは、それぞれスイッチとしての機能を果たす。したがって、上方セグメントおよび下方セグメントは、それぞれ上方スイッチングセグメントおよび下方スイッチングセグメントとも呼ばれる。上方セグメント2uと下方セグメント2dとの接続点J1は、負荷6に接続される。
【0025】
トランジスタTuおよびTdは、ドライバ8によって制御される。ドライバ8は、図3に示されるように駆動信号SuおよびSdを生成し、駆動信号SuおよびSdはそれぞれトランジスタTuおよびTdのゲートへ加えられる。駆動信号SuおよびSdは、例えばPWM信号である。パルス信号Suとパルス信号Sdとは、互いに重複しない。信号Suのパルス期間の間、トランジスタTuはオンし、負荷電流Iw+がコンデンサC1から上方セグメント2uを通って負荷6へ流れる。信号Sdのパルス期間の間、トランジスタTdはオンし、負荷電流Iw+が負荷6から下方セグメント2dと保護回路4の第2コイル4dとを通ってコンデンサC1へ流れる。さらに、誘導性負荷の場合などの負荷6のタイプに依存して、負荷6から逆負荷電流Iw−が流れる。したがって通常動作のもとで、負荷電流Iw+またはIw−の振幅Arが定格電流以下であれば、負荷電流Iw+またはIw−はコンデンサC1と負荷6との間を流れる。
【0026】
図2に示す電力コンバータ2は、1対のセグメント2uおよび2dを有する単相の電力コンバータ2であるが、3相などの複数相を有するものであってもよい。3相電力コンバータの場合、図5に示されるように接続点Pと接続点Nとの間に、3対のセグメントが互いに並列に接続される。
【0027】
図5は、3相の電力コンバータ2を示し、電力コンバータ2は、接続点Pと接続点Nとの間に並列に接続された、3対の上方および下方セグメント(2u1、2d1)、(2u2、2d2)および(2u3、2d3)を含む。第1対の上方および下方セグメント2u1および2d1は、トランジスタTu1およびTd1、ならびにダイオードDu1およびDd1を含む。第2対の上方および下方セグメント2u2および2d2は、トランジスタTu2およびTd2、ならびにダイオードDu2およびDd2を含む。第3対の上方および下方セグメント2u3および2d3は、トランジスタTu3およびTd3、ならびにダイオードDu3およびDd3を含む。これらの上方および下方セグメントは、図2に関連して説明したのと同様なやり方で構成される。図5の場合、ドライバ8は、3相の交流電力用に、3対の駆動信号(Su1、Sd1)、(Su2、Sd2)および(Su3、Sd3)を生成する。
【0028】
再び図2を参照すると、保護回路4は、磁気コア4a、直流電流源4b、直流電流源4bに接続され磁気コア4aに巻かれた磁束発生コイル4c、磁気コア4aに巻かれた電流検出用コイル4d、および電流検出用コイル4dに並列に接続された抵抗器4eを含む。電流検出用コイル4dの両端は、コンデンサC1を介して接続点PおよびNに接続される。接続点Pと接続点Nとの間におけるコンデンサC1および保護回路4の電流検出用コイル4dの順序は、図2に示される上述した順序でもよく、または反対の順序でもよい。
【0029】
直流電流源4bおよび磁束発生コイル4cは、図2に点線で示す時計回り(第1方向)に、コア4aを貫通する一定磁束H1を発生させる一定磁束発生器を構成する。電流検出用コイル4dは、負荷電流Iw+またはIw−によってそれぞれ反時計回りまたは時計回りの方向に、コア4aを貫通する磁束を生成する。電流検出用コイル4dは、直流回路3と電力コンバータ2との間に流れる電流を検出する検出器としての機能、さらには貫通電流などの異常電流がコイル4dを流れるときにこの異常電流を遮断するスイッチとしての機能を果たす。
【0030】
図4を参照すると、磁気コア4aの特性を表すB−H曲線が示される。コイル4cを流れる電流が増加すると、コア4a内の磁界または磁束Hは、時計回りの方向に増加する。磁束HがH0以上に増加すると、磁束密度Bは一定レベルBsに飽和する。磁束H0は、正側の飽和限界点であり、磁束が減少しているときに飽和状態が解消する点である。同様に、磁束−H0は負側の飽和限界点である。したがって、磁束H1が一定磁束発生器(4b、4c)によって生成されると、磁束密度は一定レベルBsで飽和する。
【0031】
磁束H1が一定磁束発生器(4b、4c)によって時計回りの方向に生成されていると同時に、負荷電流Iw+が電力コンバータ2を流れると、磁束Hw+がコア4a内に反時計回りの方向に現れる結果、全磁束H2は次のようになる。
H1−(Hw+)=H2
ここで磁束Hw+は、定格電流の振幅Arを有する負荷電流Iw+によって発生する。ここで、磁束H2が、依然として飽和した一定レベルBsであることに注目すべきである。
【0032】
同様に、負荷電流Iw−が電力コンバータ2を流れると、磁束Hw−がコア4a内に時計回りの方向に現れる結果、全磁束H3は次のようになる。
H1+(Hw−)=H3
【0033】
なお、Iw+またはHw+などの参照符号は、電流値または磁束値など、対応する要素の値も表すものとする。
【0034】
本発明によれば、磁束H2およびH3は、飽和状態である一定レベルBsの領域内で得られた値である。このために、一定磁束発生器(4b、4c)は、限界点H0をHw+以上の量だけ超えた一定磁束H1を発生させるように構成される。
【0035】
B−H曲線の傾き(タンジェント)が、コイル4dを流れる電流などの電流のインピーダンスを表すので、磁束密度が飽和した一定レベルBsにある場合の磁界Hの領域、すなわちコアへ加えられる全磁束が限界点H0を超えた領域において、コイル4dのインピーダンスは大略ゼロに等しい。このような領域は、低インピーダンス領域LIRと呼ばれる。対照的に、B−H曲線が急激な傾きを有する領域、すなわち正側限界点H0と負側限界点−H0との間の領域では、コイル4dのインピーダンスは非常に大きくなり、コイル4dを流れる電流は遮断されるようになる。このような領域は、高インピーダンス領域HIRと呼ばれる。
【0036】
上述から明らかなように、一定磁束発生器(4b、4c)は、正側限界点H0をHw+以上超えた一定磁束H1を発生させる。このような磁束Hw+を選んだのは、一定磁束発生器(4b、4c)が発生する磁束の方向とは反対方向である、正の負荷電流Iw+によって発生される磁束を考慮したからである。
【0037】
通常動作において、直流回路3と電力コンバータ2との間を流れる電流が電流Iw+またはIw−(振幅がAr以下の場合)であるので、コア4a内の磁束は、図4に示されるように常に低インピーダンス領域LRI内にあるH2とH3との間で変化することになる。したがって、コンバータが通常動作のもとで動作する限り、直流回路3と電力コンバータ2との間を流れる電流は、電流Iw+と電流Iw−との間にあり、それゆえに保護回路4のコイル4dを流れる電流は、実質的に電力損失を示さず、銅線などのコイル4dを形成するリード線の抵抗による電力損失を示すだけである。
【0038】
例えば駆動信号SuもしくはSdのエラーで、またはトランジスタTuもしくはTdの故障で、トランジスタTuおよびTdのうちの1つが適切に動作することができないとき、両トランジスタTuおよびTdは、同時にオン状態を示して、接続点Pと接続点Nとの間に好ましくない短絡を引き起こすことがある。このような場合、好ましくない貫通電流が、コンデンサC1から、2つのトランジスタTuおよびTdを介して、保護回路4のコイル4dを通って流れ、コンデンサC1へ戻る。貫通電流は通常動作電流Iw+より大きいので、コイル4dが発生する磁束は、図4に示されるように、He+などHw+より大きな磁束変化を示す。したがってコア4a内の全磁束は、高インピーダンス領域HIR内の値、すなわち−H0と+H0との間の値へ変化する。従って貫通電流は、コイル4dによって瞬時に遮断されて、貫通電流が更にコイル4dを流れることを阻止する。言い換えれば貫通電流は、貫通電流の徴候が出た時に阻止することができる。保護回路4は、調整の必要な制御信号を用いないので、受動保護回路とみなすことができる。
【0039】
この時、コンデンサC1は依然として高電圧に充電された状態を保持している。コンデンサC1内の電荷を徐々に放出するために抵抗器4eが設けられている。抵抗器4eを通ってコンデンサC1が徐々に放電される。
【0040】
本発明によれば、保護回路2が貫通電流の徴候の検知し、貫通電流を瞬時に遮断することができるので、貫通電流によってダメージを受ける回路要素を、かかるダメージから防止することができる。
【0041】
さらに、コイル4dが電流遮断素子に用いられているので、通常動作の間、コイル4dに流れる電流は、どんなインピーダンスも受けない。したがって通常動作の間、保護回路2の電力損失は実質的にゼロである。
【0042】
更に、コイル4dに並列に抵抗器4eが設けられるので、コンデンサC1内の電荷は、貫通電流の徴候を検知した後、徐々に放電することができる。
【0043】
図6は、直流電流源4bの例を示す。直流電流源4bは、コイル4c(または図7に示される例のコイル4d)の両端間に、直列に接続された直流パルス源4b1およびインダクタ4b2を含む。直流パルス源4b1から生成された直流パルス列は、インダクタ4b2によって平滑化される。したがって、インダクタ4b2から生成された電流は、波状の直流電流である。
【0044】
図7は、保護回路4の変形例を示す。2つのコイル4cおよび4dを設ける代わりに、ただ1つのコイル4dが設けられている。コイル4cに接続されていた直流電流源4bは、コイル4dに接続される。したがってコイル4dは、一定磁束発生器としての機能、かつ直流回路3と電力コンバータ2との間を流れる電流を検出する検出器としての機能を果たす。この構成によって、保護回路4の構造は、簡略化することができる。
【0045】
図8は、図7に記載のコア4aおよびコイル4dの具体的配置例を示す。コア4aは、中心穴4fを有する円筒形コアである。円筒形コアは、鉄−シリコン(Fe−Si)合金から作られた一体型の固体金属である。別の例として、円筒形コアは、鉄−シリコン合金から作られた複数のリングを、電気絶縁層を間に挟んで積み重ねて作ることもできる。これにより、コア内部の渦電流を抑圧することができる。コイル4dは、円筒形の形状を有する円筒形外壁4h、円筒形外壁4hの一端を封じる端部部材4k、および端部部材4kから円筒形外壁4hの中心を貫いて延びる中心棒4gから作られた、単一巻きコイルで構成される。中心棒4gの開放端4iは、円筒形外壁4hの開口端で終端し、コイル4d用の第1接続端子として用いられる。円筒形外壁4hの開口端から延びる舌状部分4jは、コイル4d用の第2接続端子として用いられる。コイル4dは、銅などの電気伝導材料から作られる。
【0046】
円筒形コア4aは、円筒形外壁4hの内側に位置し、コア4aとコイル4dとの間に適切な電気絶縁材料(図示されない)が付加された状態で、中心棒4gが中心穴4f内に挿入される。
【0047】
上述した構成によって、コイル4dは簡単で、かつ容易に作成することができる。
【0048】
<第2の実施形態>
図9は、本発明の第2の実施形態を示し、保護回路を備えたコンバータが示される。図9に示される保護回路を備えたコンバータは、電力源21、保護回路24に結合された直流回路23、および電力コンバータ22を含む。
【0049】
電力コンバータ22は、上方スイッチングセグメント22uと下方スイッチングセグメント22dとの直列接続、ならびにブリッジ型ダイオードD25およびD26を含む。上方スイッチングセグメント22uは、トランジスタT21およびT22ならびにダイオードD21およびD22を含み、下方スイッチングセグメント22dは、トランジスタT23およびT24ならびにダイオードD23およびD24を含み、これらは図9に示されるように接続される。トランジスタT21、T22、T23およびT24は、ドライバ(図2に示されるドライバ8などであり、図9には示されない)からの駆動信号S21、S22、S23、S24が供給される。駆動信号S21、S22、S23およびS24は、図10に示されている。
【0050】
トランジスタT21とトランジスタT22との接続点は、上方スイッチングセグメント22uの中心点と呼ばれ、トランジスタT23とトランジスタT24との接続点は、下方スイッチングセグメント22dの中心点と呼ばれる。上方および下方スイッチングセグメントは、第1接続点Pと第2接続点Nとの間に直列に接続される。ブリッジ型ダイオードD25およびD26は、上方スイッチングセグメント22uの中心点と下方スイッチングセグメント22dの中心点との間に直列に接続される。ブリッジ型ダイオードD25およびD26の中心点は、中性接続点Cに接続される。中性接続点Cは、接続点Pの電圧と接続点Nの電圧の中心にある中心電圧を示す。
【0051】
直流回路23は、第1コンデンサC21および第2コンデンサC22を含む。保護回路24は、第1保護回路241および第2保護回路242を含む。
【0052】
第1コンデンサC21および第1保護回路241は、第1接続点Pと中性接続点Cとの間に直列に接続される。第2コンデンサC22および第2保護回路242は、第2接続点Nと中性接続点Cとの間に直列に接続される。
【0053】
第1保護回路241は、磁束を保持する第1コア241a、第1コアに巻かれ、第1コンデンサC21に直列に接続された磁束発生コイル241d、および磁束発生コイル241dに並列に接続された第1抵抗器241eを含む。
【0054】
同様に第2保護回路242は、磁束を保持する第2コア242a、第2コア242aに巻かれ、第2コンデンサC22に直列に接続された電流検出用コイル242d、および電流検出用コイル242dに並列に接続された第2抵抗器242eを含む。
【0055】
磁束発生コイル241dと電流検出用コイル242dとの間に共通の直流電流源24bが設けられて、磁束発生コイル241d、電流検出用コイル242dおよび直流電流源24b間の閉回路ループを構成する。したがって直流電流源24bからの電流供給によって、両コイル241dおよび242d内に一定磁束H1が発生する。
【0056】
動作中、トランジスタT21、T22、T23およびT24へ4つの駆動信号S21、S22、S23およびS24が加えられる。したがって負荷は、次に示す3つのレベルで発生する交流電流によって動作する。信号S21およびS22がオン状態にあるときに負荷とP接続点との間に電力供給経路が確立され、信号S22およびS23がオン状態にあるときに負荷とC接続点との間に電力供給経路が確立され、信号S23およびS24がオン状態にあるときに負荷とN接続点との間に電力供給経路が確立される。それゆえに負荷において、図10に示されるように交流電圧が観測される。
【0057】
これらのトランジスタT21〜T24のうちのいずれかが誤って動作するまたは故障すると、コンデンサC21から、トランジスタT21〜T24、コンデンサC22、ならびにコイル242dおよび241dを介して貫通電流が流れることがある。このような場合、コイル242dおよび241dは高インピーダンス領域HIR内で動作して、直ちに貫通電流を停止させることになる。その後、抵抗器242eおよび241eを通って電流が流れて、コンデンサC22およびC21を放電する。
【0058】
本発明は、好ましい実施の形態に基づき添付の図面を参照して説明されたが、種々の変化および変形が当業者には明らかである。このような変化および変形は、添付の請求項によって定義された本発明の範囲内に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、コンバータに用いることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 電力源
2 電力コンバータ
3 直流回路
4 保護回路
6 負荷
8 ドライバ
4a コア
4b 電流源
4c 磁束発生コイル
4d 電流検出用コイル
4e 抵抗器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力源からの電荷を蓄積するコンデンサと、
第1接続点と第2接続点との間において、前記コンデンサと直列に接続された保護回路と、
前記第1接続点と前記第2接続点との間に直列接続された上方スイッチングセグメントと下方スイッチングセグメントを有する直流−交流コンバータと、
前記上方スイッチングセグメントと前記下方スイッチングセグメントとを交互に駆動するドライバとを含み、
前記保護回路は、
磁束を保持するコアと、
飽和状態が解消する飽和限界点から所定量だけ超えたレベルである一定磁束まで、前記コア内に磁束を発生させる磁束発生器と、
前記コンデンサに直列に接続され、前記コアに巻かれた第1コイルと、
前記第1コイルに並列に接続された抵抗器とを含む、
保護回路を備えたコンバータ。
【請求項2】
前記上方スイッチングセグメントは第1スイッチングトランジスタを含み、前記下方スイッチングセグメントは第2スイッチングトランジスタを含む、請求項1に記載のコンバータ。
【請求項3】
前記上方および下方スイッチングセグメントは、さらに、前記第1スイッチングトランジスタに並列に接続された第1ダイオード、および前記第2スイッチングトランジスタに並列に接続された第2ダイオードを含む、請求項2に記載のコンバータ。
【請求項4】
前記上方および下方スイッチングセグメントは3つのセットから成り、3つのセットは互いに並列に接続された3相直流−交流コンバータを構成する、請求項1に記載のコンバータ。
【請求項5】
前記磁束発生器は、前記コアに巻かれた第2コイル、および該第2コイルに接続された直流電流源を含む、請求項1に記載のコンバータ。
【請求項6】
前記直流電流源は、脈動電圧を生成する電圧源、および前記電圧源に直列に接続されたインダクタを含む、請求項5に記載のコンバータ。
【請求項7】
前記磁束発生器は、前記第1コイルに接続された直流電流源を含む、請求項1に記載のコンバータ。
【請求項8】
前記第1コイルは、
電気伝導材料から作られた中心棒と、
電気伝導材料から作られ、前記中心棒を同軸的に囲む外壁と、
電気伝導材料から作られ、前記中心棒の一端と前記外壁の一端とを電気的におよび機械的に接続する端部部材と、
前記中心棒が同軸的に挿入可能な貫通孔を有するコア部材と
を含む、請求項1または7に記載のコンバータ。
【請求項9】
前記コア部材はFe−Si合金から作られた、請求項8に記載のコンバータ。
【請求項10】
電力源からの電荷を蓄積する、直列に接続された第1コンデンサおよび第2コンデンサと、
第1接続点と第2接続点との間において、前記第1コンデンサに直列に接続された第1保護回路と、
前記第1接続点と第2接続点との間において、前記第2コンデンサに直列に接続された第2保護回路と、
前記第1接続点と第2接続点との間に直列に接続された上方スイッチングセグメントと下方スイッチングセグメント、および中心が前記中性接続点に接続された複数のブリッジ型ダイオードを有する直流−交流コンバータと、
3つのレベルの駆動方式に従って、前記スイッチングセグメントを駆動するドライバとを含み、
前記第1保護回路は、
磁束を保持する第1コアと、
飽和状態が解消する飽和限界点から所定量だけ超えたレベルである一定磁束まで、前記第1コア内に磁束を発生させる第1磁束発生器と、
前記第1コンデンサに直列に接続され、前記第1コアに巻かれた第1コイルと、
前記第1コイルに並列に接続された第1抵抗器とを含み、
前記第2保護回路は、
磁束を保持する第2コアと、
飽和状態が解消する飽和限界点から所定量だけ超えたレベルである一定磁束まで、前記第2コア内に磁束を発生させる第2磁束発生器と、
前記第2コンデンサに直列に接続され、前記第2コアに巻かれた第2コイルと、
前記第2コイルに並列に接続された第2抵抗器とを含む、
保護回路を備えたコンバータ。
【請求項11】
前記第1磁束発生器および前記第2磁束発生器は、共通の直流電流源を有する、請求項10に記載のコンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−222899(P2012−222899A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−84460(P2011−84460)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】