説明

保護梱包具

【課題】外部からでも運搬物を透視確認でき、梱包後の運搬物を運ぶ際における周辺の障害物等への当該運搬物の引っ掛かりを未然に防止できるようにする。
【解決手段】運搬物Pに巻回して被せる保護梱包具1を、エアークッション性を有する透視可能な素材による気泡緩衝材2と、該気泡緩衝材2の巻回方向に沿って伸縮可能に内装した伸縮部材3とによって構成する。気泡緩衝材2は、巻回方向に沿って相互の間隔が伸縮幅に対応して離隔配置するように膨出部2bを縦横方向に沿って連続形成して成る中間シート2a、膨出部2bの底部開口側を空気内封状態で塞ぐ底部シート2c、膨出部2bの頭部側を覆う頭部保護シート2dを備える。また、伸縮部材3は、膨出部2b周囲の平坦面部分を折り曲げて巻回方向に沿って気泡緩衝材2を蛇腹状に縮小あるいは窄めるよう中間シート2aと頭部保護シート2dとの間に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば移転、引越し等に際し、家具・電化製品等の種々の運搬物を簡単に梱包することができ、しかも運搬物の表面更には移動時の周囲・周辺の家具類、造作部材、障害物等をも損傷させずに運搬できるようにした保護梱包具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家具・電化製品等の各種の運搬物を移転、引越し等で運搬する際、これらを保護するために、例えば毛布等を運搬物に被せてからロープや帯紐等で縛結したり、特許文献1に示されるような、表布と裏布との間にポリエステル製白綿等を詰めて成るキルティング材を筒状に形成した家具運搬用保護カバーにて覆ったりして運搬している。
【0003】
特許文献1に示す家具運搬用保護カバーは、その構成はキルティング材を筒状に形成すると共に、筒体の胴回りに伸縮自在なゴム紐を内包状となして縫製して成り、その使用は、保護カバーを運搬物全体に被せ、筒体の両端開口部側を運搬物の上下面あるいは左右端部面をも覆うのであり、こうすることで、ゴム紐の収縮により若干窄められていることもあって当該両端開口部を縛結するためのロープも強いて使用しないで済むとしている。
【0004】
また、特許文献2に示されるような緩衝性を有する包装用材料およびその製造方法が存在する。その構成は、プラスチックフィルムに形成したエンボスによる気泡性緩衝シートにクラフト紙等を貼り合わせて成る。
【0005】
さらに、特許文献3に示されるような緩衝布体およびその製造方法が存在する。その構成は、キルティング加工による表生地、裏生地、緩衝体を一体化した布体の少なくとも内外方の表面に平帯状のゴムを縫製固着して収縮性を付与して成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−175668号公報
【特許文献2】特開平3−36027号公報
【特許文献3】特開平7−112767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のように毛布等を運搬物に被せてからロープや帯紐等で縛結して運搬する場合では、毛布を使用しての梱包、保護は、毛布自体がある程度の重量性があるばかりでなく、運搬の際に周辺の障害物等との接触によって運搬物を損傷させない程度の充分なクッション性を確保するには所定の厚さと表面積とが必要となり、それに対応してさらに重量が重くなるものとなる。しかも、運搬物に毛布を被せてから、縛結のためのロープを使用するから、梱包作業は非常に面倒でもある。
【0008】
また、上記の特許文献1による表布と裏布との間にポリエステル製白綿等を詰めて成るキルティング材による保護カバーでは多層構造であるから、それ自体が重量的にも嵩張ることで梱包作業がしずらいものになる。しかもポリエステル製白綿等をクッション材として使用するため、保護カバー自体の価格も高いものとなる。
【0009】
また、引用文献2ではプラスチックフイルムで多数のエンボスを形成した気泡性緩衝シートにクラフト紙等を貼り合わせるものとしているから、包装後では包装した家具類その他を外部から視認するのは困難な状態となる。このように外部からの視認が困難となれば、被包装物の種別・内容等の表示が必要となり、取扱いも面倒なものとなる。
【0010】
さらに、特許文献3では布体の表面に平帯状のゴムを縫製固着してあることで、梱包後の運搬物を運ぶ際に周辺の障害物等にゴムが引っ掛かることがあり、そうすると運搬物が転倒されたり、ゴムが破損されたり、また当該運搬物と共に周辺の障害物をも破損させたりしてまう虞がある。
【0011】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、軽量とすることで運搬物の梱包作業を容易に行えると共に、安価で且つ簡易に製作でき、また梱包状態でも運搬物の内容を透視確認でき、さらに梱包後の運搬物を運ぶ際に周辺の障害物等に引っ掛かり、例えば当該運搬物を転倒させてしまうのを防止可能にした保護梱包具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、運搬物P外周を巻回して配される保護梱包具1であって、該保護梱包具1は、エアークッション性を有する透視可能な素材による気泡緩衝材2と、該気泡緩衝材2の巻回方向に沿って伸縮可能に内装される伸縮部材3とを備え、気泡緩衝材2は、巻回方向に沿って相互の間隔が伸縮幅に対応して離隔配置されるように膨出部2bを縦横方向に沿って連続形成して成る中間シート2a、膨出部2bの底部開口側を空気内封状態で塞ぐ底部シート2c、膨出部2bの頭部側を覆う頭部保護シート2dを備え、伸縮部材3は、膨出部2b周囲の平坦面部分を折り曲げて巻回方向に沿って気泡緩衝材2を蛇腹状に縮小あるいは窄めさせるよう中間シート2aと頭部保護シート2dとの間に配置して成るものである。
伸縮部材3は、気泡緩衝材2の巻回方向に沿って配列されている膨出部2bの配列方向に沿い、且つ巻回方向と直交する方向で隣接する膨出部2b相互間に配置されているものとすることができる。
膨出部2bは、巻回方向に沿う幅員を巻回方向に直交する方向に沿う幅員に比し小さくした平面長方形状を呈しているものとすることができる。
中間シート2a、底部シート2cそれぞれの肉厚t1,t2は、頭部保護シート2dの肉厚t3に比し厚肉状に形成してあるものとすることができる。
気泡緩衝材2は、頭部保護シート2dを内側に、底部シート2cを外側に配して筒状に形成してあるものとすることができる。
伸縮部材3は、輪状となって、筒状に形成した気泡緩衝材2に内装されているものとすることができる。
【0013】
以上のように構成された本発明に係る保護梱包具1にあって、気泡緩衝材2は保護梱包具1自体を軽量にさせ、運搬物Pの梱包作業を容易にさせると共に、運搬時での周辺・周囲の障害物その他に対するクッション性を付与させ、運搬物Pを運搬する際の運搬物P自体は勿論のこと、移動の際の周囲・周辺の家具類、家屋・建物等の造作部材等に当たってもこれらを損傷させない。
また、伸縮部材3は、保護梱包具1を運搬物Pに巻回して被せる際に伸張されて保護梱包具1自体の巻回内径を伸張、拡開させ、当該保護梱包具1によって運搬物Pが梱包された際には、伸縮部材3は気泡緩衝材2を運搬物P外周に圧接保持させる。
さらに、伸縮部材3は、中間シート2aと頭部保護シート2dとの間に配置されることで外側に露出されることなく保護された状態となり、梱包後の運搬物Pを運ぶ際の周辺の障害物等への伸縮部材3の引っ掛けによる、例えば当該運搬物Pの転倒等を防止させる。 巻回方向に沿う幅員が、これに直交する方向の幅員に比し小さくした平面長方形状の膨出部2bは、気泡緩衝材2自体を巻回方向に沿って容易に伸縮させ、運搬物Pに被せるとき、運搬物Pから取り外すとき等での保護梱包具1を容易に取り扱わせる。
透視可能な気泡緩衝材2は、運搬物Pを梱包した状態でも、その外部からの透視を可能にさせることで運搬物P自体、その内容等を容易に確認させる。
気泡緩衝材2の巻回方向と直交する方向で隣接する膨出部2b相互間に配置されている伸縮部材3は、当該膨出部2b相互によって保持位置決めされ、筒状に形成した気泡緩衝材2に内装されていることと相俟ち、中間シート2a、あるいは頭部保護シート2dへの特別な固定を要しない。
筒状に形成してある気泡緩衝材2に内装されて、輪状となっている伸縮部材3は、気泡緩衝材2の巻回方向に沿っての伸縮作用を容易にさせ、運搬物Pに被せるときの保護梱包材1自体の伸張による梱包を一層容易にさせ、また不使用時での縮小を円滑にし、コンパクトにさせる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、軽量とすることで運搬物Pの梱包作業が容易に行えるものとなり、しかも安価で且つ簡易に製作することができ、梱包する運搬物Pはもとより、周囲・周辺の各種部材等を損傷させないばかりでなく、外部からでも運搬物Pを透視確認でき、さらに梱包後の運搬物Pを運ぶ際に周辺の障害物等に引っ掛かり、例えば当該運搬物Pを転倒させてしまうのを未然に防止することができる。
【0015】
すなわち、これは本発明が、保護梱包具1は、エアークッション性を有する透視可能な素材による気泡緩衝材2と、運搬物Pに被せた該気泡緩衝材2の巻回方向に沿って伸縮可能に内装される伸縮部材3とを備えてなるからであり、これにより、従来のようなポリエステル製白綿等を詰めて成るキルティング材による保護カバーに比べて、それ自体が軽量で、安価で且つ簡易な構成となる。しかも、運搬物P梱包時に嵩張ることなく容易に梱包作業が行えると共に、運搬時での周辺の各種部材、障害物への接触に対するクッション性を充分に機能させることができる。
【0016】
さらに、気泡緩衝材2は、巻回方向に沿って相互の間隔が伸縮幅に対応して離隔配置されるように膨出部2bを縦横方向に沿って連続形成して成る中間シート2a、膨出部2bの底部開口側を空気内封状態で塞ぐ底部シート2c、膨出部2bの頭部側を覆う頭部保護シート2dを備え、伸縮部材3は、膨出部2b周囲の平坦面部分を折り曲げて巻回方向に沿って気泡緩衝材2を蛇腹状に縮小あるいは窄めさせるよう中間シート2aと頭部保護シート2dとの間に配置して成るので、中間シート2aと頭部保護シート2dとの間に配置された伸縮部材3の自己収縮によって、膨出部2b周囲の平坦面部分が円滑に折り曲げられ、保護梱包具1を蛇腹状となして容易に縮小あるいは窄めさせることができる。
【0017】
これにより、保護梱包具1を運搬物Pに被せる際には、運搬物Pを巻回させるようにした保護梱包具1を巻回方向に沿って容易に伸張させ、あるいは縮小させることができるため、運搬物Pの梱包作業がスムーズに行える。しかも、保護梱包具1を運搬物Pに被せた状態においては、中間シート2a、底部シート2cそれぞれの肉厚t1,t2が頭部保護シート2dの肉厚t3に比し、厚肉状にしてあることとも相俟ち、膨出部2bが崩れないから、保護梱包具1の運搬物Pに対する保護機能が喪失しない。また、伸縮部材3は、中間シート2aと頭部保護シート2dとの間に配置されることで外側に露出することなく、保護された状態であるから、梱包後の運搬物Pを運ぶ際の周辺の障害物等に伸縮部材3が引っ掛かることがなく、伸縮部材3の切断、破損がなく、また引っ掛かりによる例えば当該運搬物P等の転倒を未然に防止することができる。
【0018】
さらに、気泡緩衝材2は透視可能な素材、例えば透明な合成樹脂フィルム・シート材にて形成されていることで、運搬物Pを覆い、梱包した状態でもこれを外部から透視でき、運搬物P自体、またその内容等の確認を容易に行える。そればかりなく、外部からの透視確認ができることで、運搬物P内容を表示するための識別ラベル、札等を付設する必要がなく、梱包・移動作業等を能率的に遂行できる副次的効果もある。
【0019】
また、伸縮部材3は、気泡緩衝材2の巻回方向に沿って配列されている膨出部2bの配列方向に沿い、且つ巻回方向と直交する方向で隣接する膨出部2b相互間に配置されているので、伸縮部材3は巻回方向と直交する方向で隣接配置されている膨出部2b相互によって保持され、これにより気泡緩衝材2内での伸縮部材3の位置ズレを防止でき、巻回方向に沿って円滑に収縮させることができる。しかも、伸縮部材3を気泡緩衝材2内部での位置ズレ防止のために特別に固定する必要もなく、製造も容易にする。
【0020】
気泡緩衝材2は、中間シート2aの膨出部2bが、巻回方向に沿う幅員をこれに直交する方向の幅員に比し小さくした平面長方形状を呈していることで、巻回方向に沿う膨出部2b相互間に折り曲げられる平坦面部分があることと相俟ち、巻回方向に沿って容易に伸縮でき、運搬物Pに被せるときでも、運搬物Pから取り外すときでも、保護梱包具1を容易に取り扱うことができ、また不使用時でもコンパクトに縮小した状態で纏めることができる。
【0021】
しかも、気泡緩衝材2は、頭部保護シート2dを内側に、底部シート2cを外側に配して筒状に形成することで、底部シート2c更には中間シート2aの肉厚t2,t1が頭部保護シート2dの肉厚t3に比し厚肉状に形成してあることと相俟ち、気泡緩衝材2の巻回操作・作業を容易にすることができ、また、中間シート2aに形成の膨出部2bを外部からの衝撃その他に対しての保護の向上に役立つ。
【0022】
伸縮部材3は、筒状に形成した気泡緩衝材2に内装されて、輪状となっているので、気泡緩衝材2の巻回方向に沿っての伸縮、ひいては保護梱包具1自体の伸縮作用を容易、円滑にし、運搬物Pに被せるときの伸張、運搬物Pから取外したときの縮小を円滑にし、不使用時ではコンパクトに纒めることができる。また、気泡緩衝材2に配置してから当該伸縮部材3の端部同士を連結して輪状にするだけで巻回方向に沿って容易に内装することができ、しかも、内装に際し、伸張状態とさせた伸縮部材3を所定間隔おきに気泡緩衝材2の中間シート2aと頭部保護シート2dに固着し支持させることも可能である。
【0023】
しかも保護梱包具1は運搬物Pに一端側から被せられるよう筒状に形成することで、運搬物Pに一端側から被せることが可能となり、容易に梱包作業が行える。
【0024】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付したもので、図面中の符号によって示された構造・形状に本発明が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を実施するための一形態を示す一部切欠斜視図である。
【図2】(a)は気泡緩衝材内に伸縮部材を配置させるときの分解斜視図、(b)は気泡緩衝材内に伸縮部材を配置させた状態の斜視図である。
【図3】膨出部間において中間シート上面に伸縮部材を配置させた状態の気泡緩衝材内を示す一部切欠平面図である。
【図4】(a)は縮小時の図3におけるX−X要部断面図、(b)は同じく伸張時のX−X要部断面図である。
【図5】図3におけるY−Y要部断面図である。
【図6】保護梱包具を運搬物に被せる一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の一形態を詳細に説明すると、図において示される符号1は、運搬物Pに一端側から被せられるよう例えば筒状、平坦シート状に形成された保護梱包具である。該保護梱包具1は、図1に示すように、外部からの衝撃その他を緩衝するために内部に独立した多数の空気室を有する気泡緩衝材2から成っている。該気泡緩衝材2は、後述するように中間シート2a、底部シート2c、頭部保護シート2dから成り、各シート2a,2c,2dは例えばポリエチレン、軟質ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の柔軟性を有する所定肉厚t1,t2,t3のシート・フィルムから製作される。もとより気泡緩衝材2自体は、空気室を形成する後述の膨出部2bが形成されることで緩衝性が得られるものとなれば良く、これらの素材に限らない。また、気泡緩衝材2自体を難燃性素材によって形成することで、運搬物Pの運搬時等における火災等による損傷・破損・焼損等の防止に有効である。
【0027】
気泡緩衝材2自体は、図2に示すように、所定幅員の帯状、所定幅員・長さの例えば矩形状等に裁断された中間シート2aに、複数の独立した空気室を膨出形成することで例えば低角柱型の膨出部2bを縦横方向に沿って直列状にして設け、該各膨出部2bの底部開口側を密閉するように平坦な底部シート2cを熱溶着等すると共に、膨出部2bの膨出頭部側には各膨出部2bの頭部それぞれを覆うように頭部保護シート2dが熱溶着等されていることで3層ないし3枚構成と成して形成されている。こうして、膨出部2bの中に空気を閉じ込め、また膨出部2b周囲にも空気を半ば閉じ込めたものとし、その空気圧で緩衝材としての機能を実現している。
【0028】
また、気泡緩衝材2の膨出部2bの形状は、角柱型に限らず、円柱型、楕円柱型、半円球型等、あるいは、それらを組み合わせた形態のものとして形成することができ、その幅員径、高さ等も特に限定されない。図示のように、膨出部2bは、巻回方向に沿う幅員を巻回方向に直交する方向に沿う幅員に比し小さくした平面長方形状を呈しているようにし、また、後述するように運搬物Pに被せたときの巻回方向での膨出部2b相互間を所定間隔xの平坦面部分とすることで、巻回方向に沿う伸縮作用を一層円滑にすることができ、取り扱い性を一層向上させることができる。
【0029】
中間シート2a、底部シート2c、頭部保護シート2dから成る気泡緩衝材2において、中間シート2a、底部シート2cそれぞれの肉厚t1,t2は、頭部保護シート2dの肉厚t3に比し厚肉状に形成してあり、運搬物Pに被せるときには厚肉状の底部シート2cが外側に、薄肉状の頭部保護シート2dが内側にそれぞれ配されるようにしてある。
【0030】
運搬物Pに被せることで巻回状となる気泡緩衝材2は巻回方向に沿って伸縮されるように構成されており、そのため、膨出部2b相互間につき、巻回方向に沿った相互の間隔幅員(図3におけるx)は、この巻回方向に直交する方向に沿った相互の間隔幅員(図3におけるy)に比し大きく、間隔幅員xの平坦面部分が折れ曲がることで収縮するようになっている。
【0031】
そして、気泡緩衝材2の収縮は、該気泡緩衝材2自体に内装した伸縮部材3の伸縮作用によるものとなっている。すなわち、中間シート2a上面には、膨出部2bの例えば3列毎に巻回方向に沿って、当該膨出部2b相互の間隔幅員yよりも幅広な収納スペースが設けられており、ここに例えばゴム紐、望ましくは平ゴム紐材場合によっては丸ゴム紐材等の伸縮部材3が巻回方向に沿って、中間シート2a面あるいは頭部保護シート2d面に適宣間隔毎に固着されることで配置され、伸縮部材3の伸縮により気泡緩衝材2の各膨出部2b相互の間隔幅員xの平坦面部分が伸縮するように構成してある。このように伸縮部材3の自己収縮によって気泡緩衝材2自体を蛇腹状に縮小あるいは窄めさせる状態となるようになっており、可能な限りの柔軟性、耐衝撃性、伸縮性等が発揮されるものとしてある。尚、伸縮部材3の配置は膨出部2bの3列毎であることに限らないのは勿論である。
【0032】
また、図3に示すように、気泡緩衝材2の巻回方向と直交する方向で隣接する2列の膨出部2b相互の間隔幅員yを例えば当該伸縮部材3の幅員に対応して離反形成させることで収納スペースが巻回方向に沿って配置形成され、該収納スペース内に伸縮部材3が収納される。もとより、膨出部2相互の間隔幅員y内に伸縮部材3が十分に収納可能であれば、該収納スペースは特別に形成配置されない場合もある。
【0033】
図例のように、気泡緩衝材2自体すなわち保護梱包具1は、筒状に形成されることを予定しているも、このように予め筒状に形成されることなく、運搬物Pに巻回して被せることができるように、例えば全体を平坦な矩形状、帯状等に形成しておいて、被せた後に端部相互で止着自在に固定できるようにしても良い。筒状に構成するとき、頭部保護シート2dを内側に、底部シート2cを外側に配して気泡緩衝材2を筒状に丸めるのであり、端縁部同士を熱溶着あるいは面ファスナー等によって固着することで、所定径の筒状を呈する保護梱包具1とする。
【0034】
また、巻回方向に沿っての膨出部2b相互の間隔幅員xは、伸縮幅に対応して離れている平坦面部分となっており、収納スペースに伸縮部材3を収納する際には、当該膨出部2bが形成されていない、中間シート2a、底部シート2c、頭部保護シート2dそれぞれの平坦面部分を折り曲げ、全体が蛇腹状に窄められ、あるいは縮小されている状態にしてから伸縮部材3を収納スペースに収納し、更に適宣固着することで、気泡緩衝材2は常時縮小された状態となるようにしてある(図4(a)参照)。
【0035】
尚、中間シート2a、底部シート2c、頭部保護シート2dそれぞれの平坦面部分を折り曲げた状態にせずに、平坦面部分が伸びている状態のままで伸縮部材3を予め伸張状態にして収納スペースに収納しても良く、こうすることでも当該伸縮部材3の自己収縮によって平坦面部分が折り曲げられた状態となり、全体が蛇腹状に窄められ、あるいは縮小された状態になる(同じく図4(a)参照)。
【0036】
一方、図4(b)に示すように、伸縮部材3が伸張された状態では、気泡緩衝材2が伸張・展開方向に牽引され、膨出部2bが形成されていない、中間シート2a、底部シート2c、頭部保護シート2dそれぞれの平坦面部分が伸縮部材3に沿って引き伸ばされる状態となるようにしてある。こうすることで、保護梱包具1が運搬物Pに被せられた際には、伸縮部材3が伸張され、膨出部2bが形成されていない平坦面部分も引き伸ばされて、筒状の気泡緩衝材2が運搬物Pの大きさに応じて拡径あるいは展延される状態となる。
【0037】
伸縮部材3自体は、気泡緩衝材2自体を縮径あるいは縮小させれば足りる。ただ、気泡緩衝材2が筒状に形成される場合は、伸縮部材3自体が輪状(直線状の伸縮部材3の端部同士を接合したものを含む)になっていても、同位置で中間シート2aあるいは頭部保護シート2d面に適宣に固着されることで気泡緩衝体2を縮小させるようにしても良い。また、巻回方向で連続した1本で形成されている必要もなく、伸張状態で適宜間隔毎に中間シート2a、頭部保護シート2dに固着することで縮径構成とするも良く、この場合は巻回方向で複数に分割配置することもできる。ただ、伸縮部材3を輪状に形成し、間隔幅員y方向に沿う膨出部2b相互間に収納配置されることで、伸縮部材3の中間シート2a、頭部保護シート2dへの固着を不要にすることができる。
【0038】
尚、気泡緩衝材2が筒状であっても、平坦状であっても、伸縮部材3は保護梱包具1の巻回方向に沿って互いに平行に複数条にして配され、また所定間隔おきに例えば接着剤または熱溶着等による不図示の支持部によって中間シート2a面、あるいは頭部保護シート2d面に固着してあっても良い。
【0039】
また、保護梱包具1自体は、運搬物P例えば小間物類、家具類、電気製品その他の各種別・大きさ等が異なるそれぞれの物品に対応して、例えば大・中・小等にしてそれぞれに異なる幅員・長さ等による大きさ、筒状構成時の筒径等において相違させたものを各種に予め構成しておいて、移動・引越し等の現場においての運搬物Pに対応選択して使用できるようにしておくと良い。
【0040】
尚、保護梱包具1は、平坦な例えば矩形状、帯状等に構成されるとき、運搬物Pの大きさに対応し巻回長さが調整されて端部相互が止着されるようにしておくと良い。例えば、端部相互の重なり合わせ部分それぞれの当接面に、巻回方向に直交する方向で、適宣間隔をおいていずれか一方では少なくとも複数本の帯状の面ファスナーを配列したり、巻回方向に沿って適宣長さで平行にした面ファスナーを配列したり等によって止着手段として形成する。
【0041】
次に、以上のように構成された形態についての使用の一例について説明すると、図6に示すように、筒状に形成された保護梱包具1を運搬物Pに被せる際には、縮小状態にある保護梱包具1の一端開口側を拡径方向に広げてから運搬物Pに被せる。尚、筒状形成の保護梱包具1の筒の長さは、運搬物Pの大きさよりも充分に長いものとなっている。
【0042】
このとき、図4(b)に示すように、伸縮部材3が伸張されることで筒状の気泡緩衝材2が運搬物Pの大きさに応じて拡径された状態となるから、保護梱包具1は運搬物Pにスムーズに被せられる。
【0043】
保護梱包具1が運搬物Pを覆い、これに被着された後には、当該保護梱包具1の両端開口側および中間部分が共に伸縮部材3の自己収縮によって窄められ、伸縮部材3が運搬物Pを巻回したものとなり、気泡緩衝材2が運搬物P外周に圧接保持されるのである。このようにして運搬物P梱包時に嵩張ることなく梱包作業が行われ、運搬時での周囲・周辺の障害物その他への接触に対するクッション性を充分に機能させるものとなる。
【0044】
尚、図示による説明を省略したが、上記した筒状あるいは平坦状の保護梱包具1の他例として、気泡緩衝材2を内外で二重となるように構成することでエアークッション性を一層向上させることも可能である。あるいは、上記した筒状の保護梱包具1の更に他例として、内外で二重となる対状配置とした2つの気泡緩衝材2の間に、前記した複数の伸縮部材3が挟み込まれるようにして固着してあっても良い。このように二重の気泡緩衝材2による伸縮部材3を介在させての内外複層構造とすることで伸縮部材3は保護された状態となる。
【符号の説明】
【0045】
P…運搬物 t1…中間シートの肉厚
t2…底部シートの肉厚 t3…頭部保護シートの肉厚
1…保護梱包具 2…気泡緩衝材
2a…中間シート 2b…膨出部
2c…底部シート 2d…頭部保護シート
3…伸縮部材
x…巻回方向に沿う膨出部相互の間隔幅員
y…巻回方向に直交する方向に沿う膨出部相互の間隔幅員

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬物外周を巻回して配される保護梱包具であって、
該保護梱包具は、エアークッション性を有する透視可能な素材による気泡緩衝材と、
該気泡緩衝材の巻回方向に沿って伸縮可能に内装される伸縮部材とを備え、
気泡緩衝材は、巻回方向に沿って相互の間隔を伸縮幅に対応して離隔配置されるように膨出部が縦横方向に沿って連続形成して成る中間シート、膨出部の底部開口側を空気内封状態で塞ぐ底部シート、膨出部の頭部側を覆う頭部保護シートを備え、
伸縮部材は、膨出部周囲の平坦面部分を折り曲げて巻回方向に沿って気泡緩衝材を蛇腹状に縮小あるいは窄めさせるよう中間シートと頭部保護シートとの間に配置して成ることを特徴とする保護梱包具。
【請求項2】
伸縮部材は、気泡緩衝材の巻回方向に沿って配列されている膨出部の配列方向に沿い、且つ巻回方向と直交する方向で隣接する膨出部相互間に配置されている請求項2記載の保護梱包具。
【請求項3】
膨出部は、巻回方向に沿う幅員を巻回方向に直交する方向に沿う幅員に比し小さくした平面長方形状を呈している請求項1または2記載の保護梱包具。
【請求項4】
中間シート、底部シートそれぞれの肉厚は、頭部保護シートの肉厚に比し厚肉状に形成してある請求項1乃至3のいずれか記載の保護梱包具。
【請求項5】
気泡緩衝材は、頭部保護シートを内側に、底部シートを外側に配して筒状に形成してある請求項1乃至4のいずれか記載の保護梱包具。
【請求項6】
伸縮部材は、筒状に形成した気泡緩衝材に内装されて、輪状となっている請求項1乃至5記載の保護梱包具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−111184(P2011−111184A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268188(P2009−268188)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【特許番号】特許第4523669号(P4523669)
【特許公報発行日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(508078721)岡葉流通株式会社 (2)
【Fターム(参考)】