説明

保護袋

【課題】虫や鳥から保護し、果実等の農産物の成熟を抑制し、収穫農産物の保管時の腐敗を抑制することができる保護袋の提供。
【解決手段】開示の保護袋12は、光反射材料と光触媒材料とを通気性袋の外表面に配してなる。例えば、通気性袋における外表面に凹部が形成された態様、光反射材料が、着色繊維である態様、光反射材料が、体積平均粒径が100μm〜200μmの第1の光反射粒子と、体積平均粒径が1μm〜5μmの第2の光反射粒子とを含む態様、などが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実等の農産物を虫等から保護する保護袋に関する。
【背景技術】
【0002】
果実等の農産物から発生する成長促進物質としてのエチレンガスには、前記農産物の成熟を促進する効果があることが知られており、特に、リンゴにおいては、発生するエチレンガスが枝からの落果原因となるという研究報告もある。
また、前記農産物は、収穫した後でもエチレンガスを生成し、エチレンガスの濃度の高い空間では、前記農産物の成熟が著しく促進され、腐敗してしまう。
このため、前記農産物の落果を防ぎ、また、収穫後においても鮮度を保つためには、エチレンガスを除去することが必要となる。
【0003】
従来より、表面層に光触媒を含有する層を含む多層構造のプラスチックフィルムを用いてエチレンガスを除去することがなされているが(例えば、特許文献1参照)、前記プラスチックフィルムでラッピングされた農産物の底面側(前記農産物が載置される基材側)の部分には、光触媒を活性化させるための光が照射されにくいため、前記農産物の底面側の成熟が促進されて腐敗してしまうという問題があり、また、前記プラスチックフィルムによりラッピングされた農産物は、密閉されているため、果実近傍にエチレンガスが充満して、成熟を促進してしまうという問題がある。
【0004】
また、エチレンガス量を検知し、該エチレンガス量に基づき紫外線照射量を変化させ、光触媒手段の活性量を適切にしてエチレンガスを効率良く確実に分解乃至除去することがなされているが(例えば、特許文献2参照)、収穫した農産物に対してエチレンガスを効率良く確実に分解乃至除去することができるものの、収穫前の農産物の落果を防ぐことができないという問題がある。
【0005】
こうした背景から、農産物の収穫前後に亘って、エチレンガス濃度を抑制可能な技術の必要性が高まっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−307884号公報
【特許文献2】特開2002−204653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、果実等の農産物を虫や鳥から保護し、前記農産物が発するエチレンガスを光触媒で分解して、前記農産物の成熟を抑制し、収穫農産物の保管時の腐敗を抑制することができる保護袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、後述する付記に記載した通りである。即ち、開示の保護袋は、光反射材料と光触媒材料とを通気性袋の外表面に配してなる。
【発明の効果】
【0009】
開示の保護袋によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、果実等の農産物を虫や鳥から保護し、前記農産物が発するエチレンガスを光触媒で分解して、前記農産物の成熟を抑制し、収穫農産物の保管時の腐敗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、果実入り保護袋が保管される保管容器を示す図である。
【図2】図2は、光触媒チタンアパタイトの一例で、その電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、実施例1、比較例1及び比較例4の栽培実験におけるエチレンガス濃度比を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例1、比較例1及び比較例4の栽培実験における果実落果率比を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例1、比較例1及び比較例4の栽培実験における鳥による被害率比を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例1、比較例1及び比較例4の栽培実験におけるカビ発生率比を示すグラフである。
【図7】図7は、実施例1、比較例1及び比較例4の保管実験におけるエチレンガス濃度比を示すグラフである。
【図8】図8は、実施例1、比較例1及び比較例4の保管実験における腐敗率比を示すグラフである。
【図9】図9は、実施例1、比較例1及び比較例4の保管実験における底面側の腐敗率比を示すグラフである。
【図10】図10は、実施例1、比較例1及び比較例4の保管実験における温度差比を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(保護袋)
前記保護袋は、少なくとも、通気性袋を含んでなり、さらに必要に応じて、その他の部材を含んでなる。
【0012】
<通気性袋>
前記通気性袋としては、光反射材料と光触媒材料とを通気性袋の外表面に配してなる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0013】
前記通気性袋の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球状、立方体形状、直方体形状、正四面体形状、などが挙げられる。
これらの中でも、球状が、光反射率向上の点で好ましい。
【0014】
また、通気性袋の表面に蛇腹構造を有することが、取り扱い性向上、収納性向上、光反射率向上の点で好ましい。
前記蛇腹構造としては、表面に凸部(段差)が形成されている限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記凸部(段差)の幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100mm〜300mmが好ましい。
前記凸部(段差)の高さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1mm〜10mmが好ましい。
前記凸部(段差)の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、互いに平行に配置されること、などが挙げられる。
【0015】
前記通気性袋の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記通気性袋における外表面に凹部が形成されていることが、光触媒材料担持量増大の点で好ましい。
前記凹部の形状は、光触媒材料のコーティング量が増大し、かつ、光触媒材料が脱離しにくい形状であることが好ましく、該凹部は、例えば、円錐状突起が基材上に複数形成された剣山状部材を用いたエンボス加工などにより形成される。
前記円錐状突起の底面の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm〜1,000μmが好ましい。
前記円錐状突起の高さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜5,000μmが好ましい。
前記剣山状部材における円錐状突起の密度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1個/mm〜10,000個/mmが好ましい。
前記剣山状部材における円錐状突起の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記通気性袋が非対称構造の繊維からなっていることも、光触媒材料担持量を増大できる点で好ましい。
【0016】
前記通気性袋の大きさとしては、果実等の農産物を収容可能な大きさである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0017】
前記通気性袋の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不織布、繊維、などが挙げられる。
前記不織布としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の方法により製造される。
前記繊維としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木綿、麻等の天然繊維、アクリル繊維等の合成繊維、再生セルロース繊維、ポリエステル繊維等の再生繊維、などが挙げられる。
これらの中でも、アクリル系合成繊維が、耐候性の点で好ましい。
【0018】
前記通気性袋のガス透過性能としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10(cm/m・day・atm)以上が好ましい。
前記ガス透過性能が、10(cm/m・day・atm)未満であると、ガスが袋内に高濃度で残留することがある。
なお、前記ガス透過性能は、ガス透過率測定装置(商品名:GTR−11A/31A、GTRテック社製)を用いて以下のように測定することができる。
差圧法により透過したガス濃度をガスクロマトグラフィーにて精密に分析、定量することができる。
【0019】
<<光反射材料>>
前記光反射材料としては、光を反射するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光反射材料の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通気袋に織り込まれた金属光沢のある繊維、通気袋の表面にコーティングされるコーティング粉体、であることが好ましい。
前記金属光沢のある繊維としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、染色、スプレー着色等の公知の方法により着色された着色繊維、などが挙げられる。
前記コーティング粉体の形状、大きさ、比重等については、適宜選択することができる。
前記コーティング粉体の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積平均粒径が0.05μm〜5μmであることが好ましい。
前記体積平均粒径が、0.05μm未満であると、機械的な粉砕が困難であることがあり、5μm超であると、繊維に固定することが困難になることがある。
なお、前記体積平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置などにより測定することができ、該粒度分布測定装置の例としては、島津製作所製のSALD−2100レーザ解析式流動分布測定装置などが好適に挙げられる。
前記コーティング粉体の比重としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記コーティング粉体の粒度分布(粒子径分布)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記粒度分布がシャープである(狭くなる)程、前記光反射材料を前記水中に、均一に分散させることができる。
【0020】
また、前記コーティング粉体が、体積平均粒径が大きい第1の光反射粒子と、体積平均粒径が小さい第2の光反射粒子とを含むことが、光反射性向上の点で好ましい。
前記体積平均粒径が大きい第1の光反射粒子が、全体の反射面積を稼ぎ、前記体積平均粒径が小さい第2の光反射粒子が、乱反射を促して、光反射性を向上させることができる。
前記第1の光反射粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜5μmが好ましい。
前記体積平均粒径が、1μm未満であると、前面反射より乱反射効果のほうが勝ることがあり、5μm超であると、繊維に固定できないことがある。
前記第2の光反射粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05μm〜1μm未満が好ましい。
前記体積平均粒径が、0.05μm未満であると、機械的粉砕が困難であることがあり、1μm超であると、乱反射より全面反射が勝ることがある。
【0021】
前記コーティング粉体の具体的な材質乃至組成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、銀、金等の金属、雲母状酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、紺青、二酸化チタン被覆雲母、モリブデンホワイト、リトポン、などが挙げられる。
これらの中でも、反射効率や耐候性の点で、金、雲母酸化鉄、酸化チタンが好ましい。
なお、本発明においては、前記光反射材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記光反射材料のコーティング方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、浸漬法、噴霧法、などが挙げられる。
前記コーティングにおいて用いられるコーティング液の光反射材料濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜20質量%が好ましい。
前記光反射材料濃度が、0.1質量%未満であると、十分な反射効果が得られないことがあり、20質量%超であると、液の粘度が高くなり、浸漬や噴霧するために必要な液の流動性が損なわれることがある。
【0023】
また、前記光反射材料が前記保護袋の外表面に存在することは、例えば、表面の光反射率を測定することにより確認することができる。
【0024】
<<光触媒材料>>
前記光触媒材料としては、光の照射により活性化されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光触媒材料の形態としては、エチレンガス等の気体状の植物ホルモンとの接触効率に優れる観点から、粉体であることが好ましく、その形状、大きさ、比重等については適宜選択することができる。
また、前記光触媒材料は、更に表面に凹凸を有する、例えば、イガグリ形状であるのが好ましい。この場合、前記光触媒として機能する表面積が拡大し、前記エチレンガスとの接触効率がより向上する。
前記光触媒材料の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光触媒として機能する表面積が拡大し、エチレンガスとの接触効率を向上させることができる点で、体積平均粒子径が100μm以下が好ましく、水中に分散させた水分散体としたときに、前記光触媒材料が沈殿せず、分散状態を好適に維持できる点で、5μm以下であるのがより好ましい。また、前記体積平均粒径の下限値としては、一次粒子の大きさが一般には50nm程度であり、現状ではこれ以上小さな光触媒材料の製造は困難である点で、50nm以上であるのが好ましい。
前記体積平均粒子径が、100μmを超えると、光触媒材料の表面積をあまり多くすることができず、エチレンガスとの接触性が低下することがある。なお、前記体積平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置などにより測定することができ、該粒度分布測定装置の例としては、島津製作所製のSALD−2100レーザ解析式流動分布測定装置などが好適に挙げられる。
前記光触媒材料の比重としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、小さいほど好ましく、前記水分散体中で沈降することなく、浮遊して循環可能であるのが好ましい。
前記光触媒材料の粒度分布(粒子径分布)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記粒度分布がシャープである(狭くなる)程、前記光触媒材料を前記水中に、均一に分散させることができる。
【0025】
前記光触媒材料における光触媒の光触媒活性の発現に必要な光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記農産物の栽培が太陽光照射条件下で主に行なわれるものである点で、紫外光乃至可視光等の広帯域の光に対して吸収性を示し、光触媒活性を発現可能であるのが好ましい。
【0026】
前記光触媒材料の具体的な材質乃至組成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光触媒活性(光触媒能)を有するアパタイトなどが特に好適に挙げられる。該光触媒材料が、光触媒活性を有するアパタイトであると、該アパタイトの優れた吸着特性により、前記エチレンガスに対する吸着特性に優れる点で有利であり、また、その光触媒活性(光触媒能)により、吸着した前記エチレンガスを光触媒活性により効率的に分解除去可能である点で有利である。
これらの光触媒材料の中でも、光触媒活性を有するアパタイトを少なくとも含んでなるものが好ましく、更に、可視光吸収性金属原子、紫外光吸収性金属原子、などを含んでなるものがより好ましい。前記光触媒材料が、前記可視光吸収性金属原子を含んでなる場合には、蛍光灯下等の日常使用条件下での使用に好適な点で有利であり、前記紫外光吸収性金属原子を含んでいると、太陽光等の紫外光を含む光の照射条件下での使用に好適な点で有利である。
なお、本発明においては、前記光触媒材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記光触媒活性(光触媒能)を有するアパタイトとしては、光触媒活性を有する限り、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アパタイトが、光触媒活性を有するのに必要な金属原子(以下、光触媒活性を発現可能な金属原子と称することがある。)を有してなるものなどが好適に挙げられる。前記アパタイトが該光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有すると、該アパタイトに光が照射されると、該光触媒活性を有するのに必要な金属原子の作用により該アパタイトが活性化され、該アパタイトの表面に吸着している前記エチレンガス(分解対象物)から電子を奪い取ることができ、該エチレンガスを酸化し、分解させることができる。
【0028】
前記アパタイトとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、下記一般式(1)で表されるもの、などが好適に挙げられる。
【0029】
【化1】

【0030】
前記一般式(1)において、Aは、金属原子を表し、該金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、ランタン(La)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、ユウロピウム(Eu)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、などが挙げられる。これらの中でも、吸着性に優れる点で、カルシウム(Ca)が特に好ましい。
Bは、リン原子(P)及び硫黄原子(S)のいずれかを表し、これらの中でも、生体親和性に優れる点で、リン原子(P)が好ましい。なお、リンを含む光触媒材料が、当該アパタイトである場合には、前記Bは、リン原子(P)となる。この場合も、Bが硫黄原子(S)であるアパタイトを併用してもよい。
Oは、酸素原子を表す。
Xは、水酸基(OH)、CO、及びハロゲン原子のいずれかを表し、これらの中でも、前記Aの金属原子と共に金属酸化物型の光触媒性部分構造を形成可能な点で、水酸基(OH)が特に好ましい。
なお、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、などが挙げられる。
m、n、z、及びsは、整数を表し、例えば、電荷バランスが良好な点で、mは、8〜10が好ましく、nは、3〜4が好ましく、zは、5〜7が好ましく、sは、1〜4が好ましい。
【0031】
前記一般式(1)で表されるアパタイトとしては、例えば、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト若しくはクロロアパタイト、又は、これらの金属塩、リン酸三カルシウム若しくはリン酸水素カルシウム、などが挙げられる。これらの中でも、上記一般式(1)における、Xが水酸基(OH)であるハイドロキシアパタイトが好ましく、上記一般式(1)における、Aがカルシウム(Ca)であり、Bがリン原子(P)であり、かつXが水酸基(OH)であるカルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)、即ち、Ca10(PO)(OH)が特に好ましい。
【0032】
前記カルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)は、カチオンに対してもアニオンに対してもイオン交換し易いため、エチレンガス(分解対象物)に対する吸着特性に優れている点で好ましい。
【0033】
前記アパタイトの前記光触媒材料における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、85mol%〜97mol%であるのが好ましく、85mol%〜90mol%であるのがより好ましい。
前記アパタイトの含有量が、85mol%未満であると、前記光触媒材料の光触媒活性が十分でないことがあり、97mol%を超えても、それに見合う効果が得られず、また、該光触媒材料の前記エチレンガス(分解対象物)に対する吸着特性や光触媒活性などが低下することがある。
なお、前記アパタイトの前記光触媒材料における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析を行うことにより測定することができる。
【0034】
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子としては、光触媒中心として機能し得る限り特に制限はなく、光触媒活性を有するものとして公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、光触媒活性に優れる点で、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)、インジウム(In)、鉄(Fe)、などから好適に選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。これらの中でも、特に前記光触媒活性(光触媒能)に優れる点で、チタン(Ti)が好ましい。
なお、前記チタン(Ti)を含む光触媒においては、通常、約360nm以下の短波長の光によりチタン(Ti)が励起されて、光触媒活性が引き起こされる。
【0035】
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の前記光触媒材料における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光触媒材料における全金属原子に対し、5mol%〜15mol%であるのが好ましく、8mol%〜12mol%であるのがより好ましい。
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の含有量が、5mol%未満であると、前記光触媒材料の光触媒活性が十分でないことがあり、15mol%を超えても、それに見合う効果が得られず、また、該光触媒材料の分解対象物に対する吸着特性や光触媒活性等が劣化することがある。
なお、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の前記光触媒材料における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析を行うことにより測定することができる。
【0036】
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子が、前記アパタイトの結晶構造を構成する金属原子の一部として該アパタイトの結晶構造中に取り込まれる(置換等される)ことによって、該アパタイトの結晶構造内に、光触媒機能を発揮し得る「光触媒性部分構造」が形成される。
このような光触媒性部分構造を有する前記アパタイトは、光触媒活性を有し、また、アパタイト構造部分が吸着特性に優れ、光触媒活性を有する公知の金属酸化物よりも、エチレンガス(分解対象物)に対する吸着特性に優れる。
【0037】
前記光触媒活性を有するアパタイトとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記光触媒活性を有するアパタイトの市販品としては、例えば、前記カルシウム・チタンハイドロキシアパタイトでは、太平化学産業株式会社製の商品名「PCAP−100」などが好適に挙げられる。図2に、該「PCAP−100」の二次粒子の電子顕微鏡写真を示す。該写真によれば、ナノオーダーの微細な一次粒子が凝集して、球状の二次粒子が形成されている。
【0038】
前記可視光吸収性金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、波長400nm以上の光に対し、吸収特性を有するもの、などが好適に挙げられ、具体的には、クロム(Cr)及びニッケル(Ni)から選択される少なくとも1種などがより好ましく、前記光触媒材料の光触媒活性の状態を目視にて視認可能にする観点からは、その光触媒活性の状態により、淡黄色から淡青色へと、更に淡青色から濃青色へと変色可能なクロム(Cr)が好ましい。
【0039】
前記可視光吸収性金属原子の前記光触媒材料における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、全金属原子に対し、0.001mol%〜1mol%であるのが好ましく、0.01mol%〜1mol%がより好ましい。
前記可視光吸収性金属原子の含有量が、0.001mol%未満であると、前記光触媒材料の可視光の吸収能が十分でないことがあり、1mol%を超えてもそれに見合う効果が得られず、前記光触媒材料の前記エチレンガス(分解対象物)に対する吸着性能が低下等してしまうことがある。
なお、前記可視光吸収性金属原子の前記光触媒材料における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析を行うことにより測定することができる。
【0040】
前記紫外光吸収性金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光触媒材料の可視光吸収性及び紫外光吸収性を飽和させない点で、タングステン(W)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかであるのが好ましい。これらは、前記光触媒材料中に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0041】
前記紫外光吸収性金属原子の前記光触媒材料における含有量としては、全金属原子に対し、0.001mol%〜0.1mol%であるのが好ましい。
前記紫外光吸収性金属原子の含有量が、0.001mol%未満であると、前記光触媒材料の紫外光の吸収能が十分でないことがあり、0.1mol%を超えてもそれに見合う効果が得られず、前記光触媒材料の前記エチレンガス(分解対象物)に対する吸着性能が低下したり、可視光の吸収能が低下等してしまうことがある。
なお、前記紫外光吸収性金属原子の前記光触媒材料における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析を行うことにより測定することができる。
【0042】
前記光触媒材料においては、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子と、前記紫外光吸収性金属原子と、前記可視光吸収性金属原子との含有量の合計としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、15mol%以下が好ましく、3mol%〜15mol%がより好ましい。
前記含有量の合計が、15mol%を超えてもそれに見合う光触媒活性の向上効果が得られず、却って光触媒活性が低下することがある。
【0043】
前記光触媒材料の具体例としては、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子がチタン(Ti)であり、前記アパタイトがカルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP):Ca10(PO)(OH)が好ましく、前記可視光吸収性金属原子を更に含み、該可視光吸収性金属原子がクロム(Cr)であるもの、前記紫外光吸収性金属原子を更に含み、該紫外光吸収性金属原子がタングステン(W)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかであるもの、などがより好ましい。
このような光触媒材料は、前記エチレンガス(分解対象物)の吸着性能に優れる。
また、前記光触媒材料が前記可視光吸収性金属原子を含む場合には、可視光を吸収可能であり広帯域な光吸収性を示し、光の利用効率に優れ、各種光の照射条件下、例えば、太陽光照射条件下における用途に好適に使用可能である。そして、該光触媒材料は、光触媒活性が飽和することがなく、長期間にわたって優れた光触媒活性を示し、特に、可視光を長期間にわたって照射した場合においても光触媒活性が飽和することがなく優れた光触媒活性(光触媒能)を維持可能な点で有利である。
更に、前記光触媒材料が前記紫外光吸収性金属原子を含む場合には、紫外光を吸収可能であり広帯域な光吸収性を示し、光の利用効率に優れ、各種光の照射条件下、例えば、太陽光照射条件下における用途に好適に使用可能である。そして、該光触媒材料は、光触媒活性が飽和することがなく、長期間にわたって優れた光触媒活性を示し、特に、紫外光を長期間にわたって照射した場合においても光触媒活性が飽和することがなく優れた光触媒活性(光触媒能)を維持可能な点で有利である。
【0044】
前記光触媒材料の構造としては、例えば、単層構造、積層構造、多孔質構造、コア・シェル構造、などが挙げられる。
なお、前記光触媒材料の同定・形態等の観察は、例えば、TEM、XRD、XPS、FT−IR等に行うことができる。
【0045】
前記光触媒活性を有するアパタイトの二次粒子の体積平均粒子径としては、1μm〜10μmが好ましい。
光触媒活性を有するアパタイトの一次粒子(単結晶)としては、10nm〜1μmの粒子径分布を有するのが好ましい。
このような粒子径の光触媒活性を有するアパタイトを、固形分含有量が0.001質量%〜40質量%となるよう、より好ましくは、0.1質量%〜20質量%となるよう水中に分散させて、光触媒材料を保護袋に担持させるための保護袋浸漬液(光触媒材料水分散体)を調製するのが好ましい。なお、前記光触媒活性を有するアパタイト(前記光触媒材料)の水中での固形分含有量の下限値としては、光触媒材料を保護袋に担持させることができ、十分な光触媒効果を得る観点からは、0.001質量%以上であるのが好ましい。
【0046】
前記光触媒材料は、公知の方法に従って製造することができ、例えば、可視光吸収性金属原子及び紫外光吸収性金属原子を含む光触媒材料としては、前記光触媒活性を有するアパタイト中に、上述した可視光吸収性金属原子と、上述した紫外光吸収性金属原子とをドープさせることにより製造することができる。
【0047】
前記ドープの態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、置換、化学結合、吸着などが挙げられるが、これらの中でも、反応の制御が容易であり、ドープされた後で前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等が脱離等することがなく、これらを前記光触媒材料中で安定に保持させることができる点で、置換が好ましい。
前記置換の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光触媒活性を有するアパタイトとして、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトを用いた場合、該金属原子の少なくとも一部を、前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等により置換させる態様、などが好適に挙げられる。この態様の場合には、前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等が、前記アパタイトに脱落不能に保持される点で有利である。
【0048】
前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等による置換の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換、などが好適に挙げられる。該置換がイオン交換の場合には、置換効率に優れる点で有利である。
【0049】
前記ドープの具体的な方法、即ち前記光触媒活性を有するアパタイト中への前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等のドープの具体的な方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等を溶解させた(共存させた)水溶液中に、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトを浸漬させることにより行う浸漬法、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトの原料と、前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等を溶解させた(共存させた)水溶液中で、該原料と該可視光吸収性金属原子、該紫外光吸収性金属原子等を共沈させる共沈法、などが好適に挙げられる。
なお、前記水溶液は、静置しておいてもよいが、攪拌した方が前記置換が効率的に行われる点で好ましい。なお、該攪拌は、公知の装置、手段を用いて行うことができ、例えば、マグネティックスターラーを用いてもよいし、攪拌装置を用いてもよい。これらの方法の中でも、簡便に操作可能な点で、浸漬法がより好ましい。
【0050】
なお、前記浸漬法においては、上述のように、前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等を溶解させた(共存させた)水溶液中に、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトを浸漬させてもよいし、逆に、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトを分散させた水溶液中に、前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等を溶解させてもよい。
【0051】
また、上述の製造例では、前記光触媒活性を有するアパタイトを出発物質として用いているが、これに代えて、上述したアパタイトと、上述した光触媒活性を有するのに必要な金属原子とを出発物質として用いて、前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等のドープと同時に、あるいはそれに先立って、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を、前記アパタイトにドープさせてもよい。この場合には、前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等のドープと、前記光触媒活性を有するアパタイトの形成とを同時に行うことになり、あるいは、前記光触媒活性を有するアパタイトを形成してから、次に、前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等のドープを行うことになる。
なお、前記光触媒活性を有するアパタイトを出発物質として用いる態様の場合には、予めTiがドープされているカルシウム・チタンハイドロキシアパタイト(TiHAP)を、前記光触媒活性を有するアパタイトとして好適に使用することができる。
【0052】
前記ドープの際の前記水溶液中での前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトの濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.3質量%〜1.0質量%が好ましく、0.4質量%〜0.6質量%がより好ましい。
前記アパタイトの濃度が、0.3質量%未満であると、光触媒活性が低下することがあり、1.0質量%を超えても、それに見合う光触媒活性の向上効果が得られず、却って光触媒活性が低下することがある。
【0053】
前記ドープの際の前記水溶液中での前記可視光吸収性金属原子の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1×10−4〜1×10−3Mが好ましく、1×10−4〜5×10−4Mがより好ましい。
前記可視光吸収性金属原子の濃度が、1×10−4M未満であると、可視光応答性が低下することがあり、1×10−3Mを超えても、それに見合う可視光応答性の向上効果が得られず、却って可視光応答性が低下することがある。
【0054】
前記ドープの際の前記水溶液中での前記紫外光吸収性金属原子の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1×10−3〜1×10−2Mが好ましく、9×10−3〜1×10−2Mがより好ましい。
前記紫外光吸収性金属原子の濃度が、1×10−3M未満であると、紫外光に対する光触媒活性が低下することがあり、1×10−2Mを超えても、それに見合う光触媒活性の向上効果が得られず、却って紫外光に対する活性が低下することがある。
【0055】
前記ドープの際における、前記水溶液中に浸漬させる前記可視光吸収性金属原子(前記紫外光吸収性金属原子)の形態としては、該水溶液中への溶解容易性、該水溶液中での該可視光吸収性金属原子(該紫外光吸収性金属原子)の濃度調整の容易性等の点で、該可視光吸収性金属原子(該紫外線光吸収性金属原子)の塩又は水和物の形態であるのが好ましい。
該塩又は水和物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記可視光吸収性金属原子が、クロム(Cr)及びニッケル(Ni)である場合には、これらから選択される少なくとも1種を含む塩であるのが好ましく、塩化物や硫酸塩では光触媒活性を低下させることがあるため、硝酸塩やアンモニウム塩であるのが特に好ましい。
【0056】
前記ドープを行う反応系としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、液中、空気中、などで行うことができるが、液中で行うのが好ましい。
この場合、該液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水乃至水を主体にした液が好ましい。
なお、該液を収容する容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ラージスケールであれば混合器、攪拌器などが挙げられ、スモールスケールであればビーカーなどが好適に挙げられる。
【0057】
前記ドープの際の条件としては、特に制限はなく、温度、時間、圧力等については目的に応じて適宜選択することができる。
前記温度としては、特に制限はなく、材料の種類や量比等に応じて異なり、一概に規定することはできないが、例えば、通常、0℃〜100℃程度であり、室温(20℃〜30℃)が好ましい。前記時間としては、特に制限はなく、材料の種類や量比に応じて異なり、一概に規定することはできないが、通常、10秒〜30分間程度であり、1〜10分間がより好ましい。前記圧力としては、特に制限はなく、材料の種類や量比等に応じて異なり、一概に規定することはできないが、通常、大気圧であるが好ましい。
なお、前記光触媒材料における、前記光触媒活性を有するのに必要な金属、前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等の量は、これらの添加量(M)、あるいは前記条件を適宜調整することにより、所望に制御することができる。
【0058】
前記焼成は、前記光触媒活性を有するアパタイト中に、前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等をドープさせた後(前記ドープ工程の後)、ドープが完了した該アパタイトを600〜800℃で焼成する工程である。
前記焼成の温度が、600℃未満であると、光触媒活性が最大とならないことがあり、800℃を超えると、分解が生ずることがある。
【0059】
前記焼成の条件、例えば、時間、雰囲気、圧力、装置等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記時間としては、前記ドープが完了したアパタイトの量等に応じて異なり、一概に規定することはできないが、例えば、1時間以上が好ましく、1〜2時間がより好ましい。前記雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、大気雰囲気などが挙げられるが、大気雰囲気が好ましい。前記圧力としては、例えば、大気圧などが挙げられる。前記装置としては、公知の焼成装置を使用することができる。
前記焼成を行うことにより、前記可視光吸収性金属原子、前記紫外光吸収性金属原子等をドープした、前記光吸収活性を有するアパタイトの結晶性を高めることができ、前記光触媒材料における光触媒能(吸着特性、光触媒活性などを含む)をより高めることができる。
【0060】
ここで、前記光触媒材料の製造方法の一例について説明する。前記ドープを前記置換で行う場合、具体的には前記置換をイオン交換により共沈法で行う場合には、まず、脱炭酸ガス処理をした純水に、例えば、前記アパタイトとしてカルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)の硝酸カルシウムの水溶液と、該CaHAPに前記光触媒活性を有するのに必要な金属としてチタンをドープさせるための、該チタンを含む硫酸チタンの水溶液と、前記可視光吸収性金属原子であるクロムを含む硝酸クロムの水溶液と、前記紫外光吸収性金属原子であるタングステンを含む12タングストリン酸n水和物の水溶液とを所定量で混合する。次いで、得られた混合物に燐酸を添加し、更にアンモニア水を添加してpHを9に調整する。得られた懸濁液を、100℃にて6時間エージング(熟成、結晶成長)し、濾過する。濾別した沈殿を純水で洗浄し、乾燥する。その後、650℃まで1時間かけて昇温して焼成する。以上により、前記紫外光吸収性原子としてバナジウム(V)を、前記可視光吸収性金属原子としてクロム(Cr)を、それぞれドープしたTiHAP粉体(光触媒材料)が製造される。
【0061】
また、前記ドープを前記置換で行う場合、具体的には前記置換をイオン交換により浸漬法で行う場合には、まず、前記可視光吸収性金属原子としてクロムを含む硝酸クロム(III)九水和物を純水に溶解し、硝酸クロム水溶液を調製する。ビーカーに前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子(チタン)を有してなるアパタイトとしてのカルシウム・チタンハイドロキシアパタイト(TiHAP)を秤量し、そこに前記硝酸クロム水溶液を添加する。この混合液をマグネティックスターラーで5分間攪拌した後、濾紙でアスピレータを使用して吸引濾過を行い、純水で洗浄し、100℃のオーブンで2時間乾燥することにより、前記可視光クロムをドープさせたTiHAP粉体を得た。次に、前記紫外光吸収性金属原子としてのバナジウムを含むバナジン酸アンモニウムを純水に溶解し、バナジウム酸アンモニウム水溶液を調製した。ビーカーに上記クロムドープTiHAPを秤量し、前記バナジウム酸アンモニウム水溶液を添加する。この混合溶液をマグネティックスターラーで攪拌した後、濾紙でアスピレータを使用して吸引濾過を行い、純水で洗浄し、100℃のオーブンで2時間乾燥した。その後、マッフル炉で650℃にて1時間の焼成(大気雰囲気)を行った。以上により、前記可視光吸収性金属原子であるクロム及び前記紫外光吸収性金属原子であるバナジウムをドープさせたTiHAP粉体(光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイト)からなる光触媒材料が製造される。
【0062】
前記光触媒材料のコーティング方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、浸漬法、噴霧法、などが挙げられる。
前記コーティングにおいて用いられるコーティング液の光触媒材料濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001質量%〜50質量%が好ましく、0.001質量%〜20質量%がより好ましい。
前記光触媒材料濃度が、0.001質量%未満であると、十分な光触媒活性が得られないことがあり、50質量%超であると、急激な粘度上昇によりコーティングができないことがある。
【0063】
前記光触媒材料が前記保護袋の外表面に存在することは、例えば、蛍光X線分析することにより確認することができる。
【0064】
前記光触媒材料が前記保護袋の底面側に多く存在することが、光が照射されにくい底面側の光触媒活性を向上させることができる点で好ましい。
【0065】
<<光反射材料と光触媒材料との質量比>>
前記光反射材料と前記光触媒材料の質量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5:95〜95:5が好ましく、30:70〜70:30がより好ましく、50:50が特に好ましい。
前記質量ひが、5未満:95超であると、十分な光反射効率が得られないことがあり、95超:5未満であると、十分な光触媒効果が得られないことがある。一方、前記質量比が、特に好ましい範囲内であると、反射効率と光触媒効果のバランスが良い点で有利である。
【0066】
<<保護袋における光触媒材料量>>
前記保護袋における光触媒材料量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光触媒材料量と光反射材料量との合計に対して、5質量%〜95質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましく、50質量%が特に好ましい。
前記光触媒材料量が、光触媒材料量と光反射材料量との合計に対して、5質量%未満であると、十分な光触媒効果が得られないことがあり、95室量%超であると、十分な光反射効果が得られないことがある。一方、前記光触媒材料量が、特に好ましい範囲内であると、光触媒効果と光反射効果のバランスが良い点で有利である。
なお、保護袋の光触媒材料量をICP−AES(商品名OPTIMA3000、パーキンエルマー製)を用いて以下のように測定できる。
希硝酸により保護袋に添着した光触媒材料を溶解させ構成成分を定量することにより、光触媒材料量を算出することができる。
【0067】
<<保護袋における光反射材料量>>
前記保護袋における光反射材料量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光触媒材料量と光反射材料量との合計に対して、5質量%〜95質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましく、50質量%が特に好ましい。
前記光反射材料量が、光触媒材料量と光反射材料量との合計に対して、5質量%未満であると、十分な光反射効果が得られないことがあり、95質量%超であると、十分な光触媒効果が得られないことがある。
なお、保護袋の光反射材料量をICP−AES(商品名OPTIMA3000、パーキンエルマー製)を用いて以下のように測定できる。
希硝酸により保護袋に添着した光触媒材料を溶解させ構成成分を定量することにより、材料量を算出することができる。
【0068】
<<保護袋の光反射率>>
前記保護袋の光反射率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30%〜59%が好ましく、60%〜89%がより好ましく、90%〜100%が特に好ましい。
前記光反射率が、30%未満であると、効率よく乱反射しないことがある。一方、前記光反射率が、特に好ましい範囲内であると、ほとんど全ての光が効率よく乱反射する点で有利である。
なお、保護袋の光反射率をUV−VIS(商品名:V530、日本分光製)を用いて以下のように測定できる。
薄膜反射測定用のアタッチメントを使用し防護袋繊維を分光器にセット、標準ミラーに対する反射率を測定することができる。
【0069】
<<<保護袋のエチレンガス透過性能>>
前記保護袋のエチレンガス透過性能としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10(cm/m・day・atm)〜100(cm/m・day・atm)が好ましく、60(cm/m・day・atm)〜80(cm/m・day・atm)がより好ましく、40(cm/m・day・atm)〜60(cm/m・day・atm)が特に好ましい。
前記エチレンガス透過性能が、10未満であると、ガスが袋内に高濃度で残留することがあり、100超であると、袋の目が粗くなり、防護性が確保できないことがある。一方、前記エチレンガス透過性能が、特に好ましい範囲内であると、防護性能を確保しつつエチレンガスの充満をも防ぐ点で有利である。
なお、保護袋のエチレンガス透過性能をガス透過率測定装置(商品名GTR−11A/31A、GTRテック社製)を用いて以下のように測定できる。
防護袋と同じ生地不織布を装置にセットし、一定濃度のエチレンガスを含む標準ガスを透過させた際に前後のエチレンガス濃度変化を測定することで、透過率を算出することができる。
【0070】
<<保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能>>
前記保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100ppm/h〜10,000ppm/hが好ましく、500ppm/h〜1,000ppm/hがより好ましく、800ppm/h〜1,000ppm/hが特に好ましい。
前記エチレンガス吸着乃至分解性能が、100ppm/h未満であると、防護袋内でのエチレンガス濃度上昇を抑制できないことがあり、10,000ppm/h超であると、布地字の目詰まりによりガス透過性の低下を招くことがある。一方、前記エチレンガス吸着乃至分解性能が、特に好ましい範囲内であると、ガス透過性を確保しつつ高い吸着分解性能を発揮することができる点で有利である。
なお、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能をガスクロマトグラフィー(商品名GC390B、ジーエルサイエンス製)を用いて以下のように測定できる。
一定サイズ(5cmX5cm)に切り出した保護袋布地を0.5Lのガラス容器に入れ、内部を窒素と酸素の混合ガスと置換したあと、一定濃度のエチレンガスを導入後、光照射しながら容器内の炭酸ガスおよびエチレンガス濃度をガスクロマトグラフィーで測定し吸着分解効率を算出した。
【0071】
<<農産物入り保護袋を収容可能な保管容器>>
前記保管容器は、間仕切りと、光照射手段と、攪拌手段と少なくとも有してなり、必要に応じて、電源、エチレンガス濃度検知手段、などのその他の部材を有する。
【0072】
−間仕切り−
前記間仕切りとしては、保管容器内の空間を仕切る限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、保護袋の載置面の腐敗防止、及び、保管容器内の気体濃度均一化の点で、光及び気体が透過するために貫通孔が複数設けられたもの(例えば、メッシュ状のもの)が好ましい。
【0073】
−光照射手段−
前記光照射手段としては、光を農産物入り保護袋に照射する機能を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、発光ダイオード(LED)と紫外線ランプ(UVランプ)とを組み合わせた照射部などが挙げられる。
【0074】
−−発光ダイオード(LED)−−
前記発光ダイオード(LED)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、青色LED470nm(東京理科器(株)製)、赤色LED660nm(東京理科器(株)製)などが挙げられる。
【0075】
−−紫外線ランプ(UVランプ)−−
前記紫外線ランプ(UVランプ)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、BLACKLIGHT 10W FL10BL−B(Panasonic製)などが挙げられる。
【0076】
−攪拌手段−
前記攪拌手段としては、保管容器内の気体を攪拌する機能を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ファンなどが挙げられる。
【0077】
−電源−
前記電源としては、電力供給可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0078】
−エチレンガス濃度検知手段−
前記エチレンガス濃度検知手段としては、エチレンガスの濃度を検知する機能を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、半導体ガス方式装置(フィガロ技研製)などが挙げられる。例えば、前記エチレンガス濃度検知手段により検知されたエチレンガス濃度に基づき、光照射量をフィードバック制御してもよい。
【0079】
図1において、保管容器10は、メッシュ状のステンレス製間仕切り11で3段に保管容器10内の空間が仕切られており、各段に載置された果実入り保護袋12は、各空間の上部に設置された紫外線ランプ13により紫外線が常に照射される。また、ステンレス製間仕切り11には、保管容器10内のエチレンガス濃度むらを無くすための、保管容器内の気体を攪拌するファン14が設けられている。また、電力を供給するための電源15が保管容器10の下部に設けられている。
【0080】
果実入り保護袋12を、紫外線ランプ13を有する保管容器10内で前記農産物を覆ったままの状態で収穫して光照射手段を有する保管容器10内に保管することにより、保護袋12間での光反射によって、光が照射されにくい保護袋12の載置面12a側にも、間仕切り11を通過した光が効率よく照射され、保護袋12内の果実の成熟乃至腐敗を抑制することができる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制限されるものではない。
【0082】
(実施例1:光触媒チタンアパタイト担持あり、光反射材料コーティングあり、保護袋の形状:球状、保護袋の構造:表面に凹部形成なし、保護袋の材質:不織布)
<保護袋の作製及び評価>
不織布(材質:パルプ、PEなど)からなる直径300mmの球状の通気性袋(商品名:果実袋、佐藤製袋製)を準備した。この通気性袋を、下記のように調製した光触媒チタンアパタイト水分散体に10秒間浸漬し、120℃、3時間乾燥して、光触媒チタンアパタイトを担持させ、さらに、下記のように調製した光反射材料水分散体を噴霧し、120℃、3時間乾燥して、外側表面に光反射材料をコーティングした。
【0083】
−光触媒チタンアパタイト水分散体の調製−
光触媒材料として、光触媒チタンアパタイト(光触媒活性を有するのに必要な金属としてチタンを有してなるアパタイト)を用いた。
該光触媒チタンアパタイトとして、図2に示すカルシウム・チタンハイドロキシアパタイト(TiHAP;太平化学産業株式会社製、PCAP−100、体積平均粒径3μm〜8μmの白色粉体)を、水中に分散させて、固形分含有量が1質量%の光触媒チタンアパタイト水分散体を調製した。
【0084】
−光反射材料水分散体の調製−
光反射材料として、平均体積粒径が180μmの乾式粉砕雲母粉粒子(商品名:B−82、山口雲母工業所製)を、水中に分散させて、固形分含有量が1質量%の光反射材料水分散体を調製した。
【0085】
−保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定−
作製された保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量をICP−AES(商品名OPTIMA3000、パーキンエルマー製)を用いて以下のように測定した。結果を表1−2に示す。
希硝酸により保護袋に担持した光触媒チタンアパタイトを溶出させ、構成成分を定量する。
また、保護袋の外表面に光触媒チタンアパタイトが存在することを、蛍光X線法により確認した。
【0086】
−保護袋の光反射材料コーティング量の測定−
作製された保護袋の光反射材料コーティング量をICP−AES(商品名OPTIMA3000、パーキンエルマー製)を用いて以下のように測定した。結果を表1−2に示す。
希硝酸により保護袋に添着した光反射材料を溶解させ構成成分を定量することにより、材料量を算出した。
また、保護袋の外表面に光反射材料が存在することを、蛍光X線により確認した。
【0087】
−保護袋の光反射率の測定−
作製された保護袋の光反射率をUV−VIS(商品名V530、日本分光製)を用いて以下のように測定した。結果を表1−2に示す。
薄膜反射測定用のアタッチメントを使用し防護袋繊維を分光器にセット、標準ミラーに対する反射率を測定する。
【0088】
−保護袋のエチレンガス透過性能の測定−
作製された保護袋のエチレンガス透過性能をガス透過率測定装置(商品名GTR−11A/31A、GTRテック社製)を用いて以下のように測定した。結果を表1−2に示す。
なお、防護袋と同じ生地不織布を装置にセットし、一定濃度のエチレンガスを含む標準ガスを透過させた際に前後のエチレンガス濃度変化を測定することで、透過率を算出した。
【0089】
−保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定−
作製された保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能をガスクロマトグラフィー(商品名GC390B、ジーエルサイエンス製)を用いて以下のように測定した。結果を表1−2に示す。
一定サイズ(5cmX5cm)に切り出した保護袋布地を0.5Lのガラス容器に入れ、内部を窒素と酸素の混合ガスと置換した後、一定濃度のエチレンガスを導入後、光照射しながら容器内の炭酸ガスおよびエチレンガス濃度をガスクロマトグラフィーで測定し吸着分解効率を算出した。
【0090】
<栽培実験>
1)耕種概要:作物名;ふじ(リンゴ)
なお、作物の生育ステージは成熟期であった。
2)区制・面積:1区8株、3連制とした。
結実時のリンゴの各果実を、前記作製した保護袋で覆った。なお、太陽光が30日間に亘って合計720時間照射され、雨水が10日間に亘って合計10m付与された。
なお、リンゴの果実が赤色変した時点をリンゴの結実時とした。
【0091】
−エチレンガス濃度の測定−
全ての果実から任意に10個の果実を選択し、該選択された果実を覆う保護袋内におけるエチレンガス濃度(ppm)を、ガスクロマトグラフィー測定装置(商品名:GC390B、ジーエルサイエンス 製)を用いて、結実時(保護袋装着時)、結実時から20時間後、40時間後、60時間後、80時間後、100時間後、120時間後、140時間後、160時間後、180時間後、200時間後に測定した。結果を表2−1〜表2−2及び図3に示す。
【0092】
−果実落果率の測定−
全ての果実数に対する落果した果実数の割合を、結実時、結実時から20時間後、40時間後、60時間後、80時間後、100時間後、120時間後、140時間後、160時間後、180時間後、200時間後に測定した。結果を表2−1〜表2−2及び図4に示す。
【0093】
−鳥による被害率の測定−
全ての果実数に対する、鳥による被害を受けた果実数の割合を、結実時から100時間後、200時間後に測定した。結果を表2−1〜表2−2及び図5に示す。
なお、鳥による被害を受けた果実か否かは、鳥のくちばしでつついた跡の有無を目視で判定することにより判断した。
【0094】
−カビ発生率の測定−
全ての果実入り保護袋数に対する、カビが発生した果実入り保護袋数の割合を、結実時から100時間後、200時間後に測定した。結果を表2−1〜表2−2及び図6に示す。
なお、保護袋にカビが発生したか否かは、目視により判定した。
【0095】
<保管実験>
結実時(保護袋装着時)から24時間経過した果実を保護袋で覆われた状態で収穫し、保護袋の上部を紐で縛って保管容器に約50mmの間隔で収納した。
前記保管容器は、1.5m×2.0m×1.0mの大きさであり、メッシュ状のステンレス製間仕切りで3段に保管容器内の空間が仕切られており、各段に載置した果実入り保護袋は、各空間の上部に設置された10mW/cmの紫外線ランプ(商品名:FL10BL−B、Panasonic製)により波長領域200nm〜400nmの紫外線が常に照射されている。また、ステンレス製間仕切りには、保管容器内のエチレンガス濃度むらを無くすための、保管容器内の気体を攪拌するファン(商品名:CF−40SS アイネックス製)が設けられている。
【0096】
−エチレンガス濃度の測定−
保管容器内におけるエチレンガス濃度(ppm)を、ガスクロマトグラフィー測定装置(商品名:GC390B、ジーエルサイエンス製)を用いて、保管開始時、保管開始から168時間後、336時間後、504時間後、672時間後に測定した。結果を表3−1〜表3−2及び図7に示す。
【0097】
−腐敗率の測定−
全ての果実数に対する、腐敗した部分が存在する果実数の割合を、保管開始から168時間後、336時間後、504時間後、672時間後に測定した。結果を表3−1〜表3−2及び図8に示す。
なお、腐敗したか否かは、一部変色域が目視により認められたか否かと、感触とにより判定した。
【0098】
−底面側の腐敗率の測定−
全ての果実数に対する、保管容器内で果実の中央部よりも底面側の部分(果実の中央部よりも間仕切り側の部分)が腐敗した果実数の割合を、保管開始から168時間後、336時間後、504時間後、672時間後に測定した。結果を表3−1〜表3−2及び図9に示す。
【0099】
−保熱効果の測定−
全ての果実から任意に10個の果実を選択し、該選択された果実を覆う保護袋内の温度と、保管容器内の温度とを、保管開始時、保管開始から168時間後、336時間後、504時間後、672時間後に測定し、保護袋内の温度と保管容器内の温度との差を算出した。その結果を表3−1〜表3−2及び図10に示す。
【0100】
(実施例2:保護袋の形状:立方体形状)
実施例1の球状の通気性袋と表面積が同一の1辺の長さが100mmの立方体形状の通気性袋を用いて保護袋を作製した以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0101】
(実施例3:保護袋の形状:蛇腹(段差)あり)
幅10mm、高さ0.5mmの蛇腹(段差)100本が互いに平行に配置された球状の通気性袋を用いて保護袋を作製した以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0102】
(実施例4:保護袋の材質:繊維)
繊維(材質:パルプ、PEなど)からなる通気性袋を用いて保護袋を作製した以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0103】
(実施例5:保護袋の構造:外表面に凹部形成)
底面の直径10μm、高さ10μmの円錐状突起が、100個/mmの密度で10,000個基材上に形成された剣山状部材を用いてエンボス加工がなされ、外表面に円錐状の凹部が形成された通気性袋を用いて保護袋を作製した以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3に示す。
【0104】
(実施例6:保護袋の構造:内表面に凹部形成)
底面の直径10μm、高さ10μmの円錐状突起が、100個/mmの密度で 10,000個基材上に形成された剣山状部材を用いてエンボス加工がなされ、内表面に円錐状の凹部が形成された通気性袋を用いて保護袋の作製した以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0105】
(実施例7:光反射材料の他の例)
平均体積粒径が10μmの乾式粉砕雲母粉粒子(商品名:SJ−010、山口雲母工業所製)を含む光反射材料を用いて光反射材料水分散体を調製した以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0106】
(実施例8:平均体積粒径の大小の2種類の粒子を含む光反射材料)
平均体積粒径が180μmの乾式粉砕雲母粉粒子(商品名:B−82、山口雲母工業所製)と、平均体積粒径が5μmの乾式粉砕雲母粉粒子(商品名:SJ−005、山口雲母工業所製)との大小2種類の粒子を含む光反射材料を用いて光反射材料水分散体を調製した以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0107】
(実施例9:光反射材料と光触媒材料との質量比)
固形分含有量が0.67質量%の光反射材料水分散体を調製し、固形分含有量が1.33質量%の光反射材料水分散体を調製した以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0108】
(実施例10:光反射材料と光触媒材料との質量比)
固形分含有量が1.20質量%の光反射材料水分散体を調製し、固形分含有量が0.80質量%の光反射材料水分散体を調製した以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0109】
(実施例11:光反射材料と光触媒材料との質量比)
固形分含有量が1.33質量%の光反射材料水分散体を調製し、固形分含有量が0.67質量%の光反射材料水分散体を調製した以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0110】
(実施例12:底面側部分の光触媒材料量大)
保護袋の中央部よりも底面側の部分(保護袋の中央部よりも間仕切り側の部分)の光触媒材料量が、それ以外の部分の光触媒材料量の2倍となるように保護袋を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0111】
(実施例13:光反射材料:着色繊維)
光反射材料を通気袋にコーティングすることなく、量光反射材料としての着色繊維(材質:PE,PC)が織り込まれた保護袋を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0112】
(実施例14:繰り返し試験)
実施例1で、保護袋の作製及び評価、栽培実験及び保管実験を行ったものについて、再度、実施例1と同様にして、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0113】
(比較例1:光触媒チタンアパタイト担持なし、光反射材料コーティングなし)
通気性袋(商品名:果実袋、佐藤製袋製)をそのまま保護袋として用いた以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2及び図3〜10に示す。
【0114】
(比較例2:光触媒チタンアパタイト担持なし)
通気性袋の光触媒チタンアパタイト水分散体への浸漬及び浸漬後の乾燥を行わず、光触媒チタンアパタイトが担持されていない保護袋を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0115】
(比較例3:光反射材料コーティングなし)
通気性袋に対する光反射材料水分散体の噴霧及び噴霧後の乾燥を行わず、光反射材料がコーティングされていない保護袋を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2に示す。
【0116】
(比較例4:フィルム)
不織布(材質:PC)からなる通気性袋の代わりに、フィルム(材質:ポリエチレン)からなる袋を用いて保護袋を作製したこと以外は、保護袋の作製及び評価(保護袋の光触媒チタンアパタイト担持量の測定、保護袋の光反射材料コーティング量の測定、保護袋の光反射率の測定、保護袋のエチレンガス透過性能の測定、保護袋のエチレンガス吸着乃至分解性能の測定)、栽培実験(エチレンガス濃度の測定、果実落果率の測定、鳥による被害率の測定、カビ発生率の測定)、保管実験(エチレンガス濃度の測定、腐敗率の測定、底面側の腐敗率の測定、保熱効果の測定)を行った。その結果を表1−1〜表3−2及び図3〜10に示す。
【0117】
【表1−1】

【0118】
【表1−2】

なお、表1−2における「光触媒担持量」、「光反射材料コーティング量」、「光反射率」、「エチレンガス透過性能」、「エチレンガス吸着乃至分解性能」の各値は、実施例1における「光触媒担持量」、「光反射材料コーティング量」、「光反射率」、「エチレンガス透過性能」、「エチレンガス吸着乃至分解性能」の各値を「1」としたときの値である。
【0119】
【表2−1】

なお、表2−1における「エチレンガス濃度」、「果実落果率」、「鳥による被害率」、「カビの発生率」の各値は、実施例1における20時間後のエチレンガス濃度を「1」とし、実施例1における20時間後の果実落果率を「1」とし、実施例1における100時間後の鳥による被害率を「1」とし、実施例1における100時間後のカビの発生率を「1」としたときの値である。
【0120】
【表2−2】

なお、表2−2における「エチレンガス濃度」、「果実落果率」、「鳥による被害率」、「カビの発生率」の各値は、実施例1における20時間後のエチレンガス濃度を「1」とし、実施例1における20時間後の果実落果率を「1」とし、実施例1における100時間後の鳥による被害率を「1」とし、実施例1における100時間後のカビの発生率を「1」としたときの値である。
【0121】
【表3−1】

なお、表3−1における「エチレンガス濃度」、「腐敗率」、「底面側の腐敗率」、「温度差」の各値は、実施例1における168時間後のエチレンガス濃度を「1」とし、実施例1における168時間後の腐敗率を「1」とし、実施例1における168時間後の温度差を「1」としたときの値である。
【0122】
【表3−2】

なお、表3−2における「エチレンガス濃度」、「腐敗率」、「底面側の腐敗率」、「温度差」の各値は、実施例1における168時間後のエチレンガス濃度を「1」とし、実施例1における168時間後の腐敗率を「1」とし、実施例1における168時間後の温度差を「1」としたときの値である。
【0123】
以上の実施例1〜12を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)光反射材料と光触媒材料とを通気性袋の外表面に配してなることを特徴とする保護袋。
(付記2)通気性袋材料が不織布である付記1に記載の保護袋。
(付記3)通気性袋材料が繊維である付記1に記載の保護袋。
(付記4)通気性袋における外表面に凹部が形成された付記1から3のいずれかに記載の保護袋。
(付記5)光反射材料が、着色繊維である付記1から4のいずれかに記載の保護袋。
(付記6)光反射材料が、体積平均粒径が100μm〜200μmの第1の光反射粒子と、体積平均粒径が1μm〜5μmの第2の光反射粒子とを含む付記1から4のいずれかに記載の保護袋。
(付記7)光反射材料が、金属、雲母状酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、紺青、二酸化チタン被覆雲母、モリブデンホワイト、及びリトポンから選択される少なくとも1種を含む付記6に記載の保護袋。
(付記8)光触媒材料がアパタイトであり、該アパタイトが、光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有し、該金属原子が、チタン(Ti)である付記1から7のいずれかに記載の保護袋。
(付記9)光触媒材料がアパタイトであり、該アパタイトが、カルシウムハイドロキシアパタイトCa10(PO(OH)である付記1から8のいずれかに記載の保護袋。
(付記10)光反射材料と光触媒材料との質量比が3:7〜5:5である付記1から9のいずれかに記載の保護袋。
【符号の説明】
【0124】
10 保管容器
11 間仕切り
12 保護袋
13 紫外線ランプ
14 ファン
15 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射材料と光触媒材料とを通気性袋の外表面に配してなることを特徴とする保護袋。
【請求項2】
通気性袋における外表面に凹部が形成された請求項1に記載の保護袋。
【請求項3】
光反射材料が、着色繊維である請求項1から2のいずれかに記載の保護袋。
【請求項4】
光反射材料が、体積平均粒径が100μm〜200μmの第1の光反射粒子と、体積平均粒径が1μm〜5μmの第2の光反射粒子とを含む請求項1から2のいずれかに記載の保護袋。
【請求項5】
光触媒材料がアパタイトであり、該アパタイトが、光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有し、該金属原子が、チタン(Ti)である請求項1から4のいずれかに記載の保護袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−78374(P2011−78374A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234878(P2009−234878)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】