説明

信号再生装置

【課題】 アシンメトリディスクの再生等により波形に偏りがある信号が入力された場合においても、出力信号がGNDレベルに張り付いて波形が歪み、プレイアビリティが悪化することを防ぐことのできる信号再生装置を提供する。
【解決手段】 入力信号の利得を制御する可変増幅部と、可変増幅部の出力から直流成分を除去する低域成分除去部と、低域成分除去部の出力のボトム値と所定の範囲の上限及び下限の閾値とを比較する比較部と、比較部で用いる閾値を設定する所定値設定部と、比較部の出力を保持する信号保持部と、信号保持部の出力に対して任意の重み付けを行なう重み付け部と、重み付け部の出力を所定の周期で加算する平均化部と、平均化部の出力に基づいて、可変増幅部の増幅度を制御する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号再生装置に関し、特に、光学的情報記録再生装置におけるデータ再生信号の自動利得制御機能を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ディスクシステムにおける信号処理回路として、再生信号の振幅を一定にするためにAGC(Auto Gain Control:自動利得制御)が用いられる。AGCは既知の技術であり、例えば、特許文献1には、光ピックアップから出力される再生信号の処理例が挙げられている。
【0003】
AGCは、信号の上側,下側それぞれの検波処理を行なって振幅の大きさを検知し、その検知した大きさに応じたゲイン設定を可変増幅器に与える。また、出力信号の中心を検知するための直流生成回路の出力も、可変ゲインアンプに与え、入力信号のオフセットを打ち消す。
【0004】
これらAGCの処理を行なう際には、振幅値,直流値を可変増幅器に与えることで、入力信号の振幅が変化しても、出力信号の振幅が一定になるような動作をさせるようにしている。
【0005】
特許文献1に記載のようなAGC増幅回路は、可変増幅手段の出力の、上側,及び下側それぞれの値を保持して振幅を検知し、可変増幅手段の制御値を決定した後、制御値を平均化して可変増幅手段に入力するとともに、可変増幅手段の出力の、上側,及び下側それぞれの値に基づいて振幅の中心の直流レベルをも検知し、平均化した後に可変増幅手段に入力する。このような構成の場合、増幅度を決定する制御値と、振幅レベルの中心を示す直流レベルとの2つを、可変増幅手段に帰還させる必要があり、回路構成が複雑になる。
【0006】
また、アナログ回路で構成した場合、高い素子精度が必要になったり、消費電流が多くなるなどの問題も発生し、特に、低消費電流が求められる携帯用途向けのCMOS−LSI等への搭載には向かない。
【0007】
また、入力信号をアナログ・ディジタル変換器によりディジタル信号に変換してからAGC処理をする場合もあるが、光ピックアップから出力される再生信号を変換する際には、特に、変換器に要求される動作速度は速くなり、同時に消費電流も多くなってしまう。
【0008】
そこで、従来の信号再生装置では、可変増幅手段へ直流レベルの帰還をなくすために、帰還ループ内に低域成分除去手段を入れるとともに、所定値設定手段、及び比較手段により、低域成分除去手段の出力の上側(または下側)のみの値を検知する構成とし、出力信号の振幅が一定になるように動作させていた。
【0009】
図6は、従来の信号再生装置600を示すブロック図である。
【0010】
図6に示されるように、従来の信号再生装置600は、ディスクから再生された入力信号1の利得を制御する可変増幅部2と、可変増幅部2の出力から直流成分を除去する低域成分除去部3と、低域成分除去部3の出力のピーク値と、所定の範囲の上限、及び下限の閾値とを比較する比較部6と、比較部6で用いる閾値を設定する所定値設定部5と、比較部6の出力を保持する信号保持部7と、信号保持部7の出力を所定の周期で加算する平均化部9と、平均化部9の出力に基づいて、可変増幅部2の増幅度を制御する制御部10とを備えている。
【0011】
このような従来の信号再生装置600の動作について説明する。
【0012】
まず、光ピックアップから出力された再生信号は、入力信号1として可変増幅部2にて増幅された後、2つに分岐され、一方は出力信号4として装置外に出力され、他方は低域成分除去手段3に入力されて直流成分が除去される。ここで、可変増幅部2の増幅度は、制御部10が出力する制御値により決定される。
【0013】
低域成分除去部3から出力された信号は、比較部6に入力され、そのピーク値と、所定値設定部5により設定される比較値とが比較され、その比較結果は、信号保持部7により一定時間保持された後、出力される。
【0014】
信号保持部7から出力された信号は、平均化部9により一定間隔で加算され、その和が平均値として出力され、制御部10に入力される。制御部10では、可変増幅部2に制御値を与え、装置全体に負帰還がかかるように増幅レベルを制御する。
【0015】
図7は、該信号再生装置600の入出力信号の波形を示す図である。
【0016】
図7において、実線は入力信号の信号波形、及びその最大振幅(包絡線)を、破線は出力信号の信号波形、及びその最大振幅(包絡線)をそれぞれ示しており、入力信号の振幅が小さくなった際(入力信号減衰時)に、入力信号が増幅され、出力信号が元のレベルに戻された状態を示している。
【0017】
図8は、従来の信号再生装置600の各部の信号タイミング図である。
【0018】
入力信号1の振幅が小さくなった場合、可変増幅部2にて増幅を行なった後、直流成分を低域成分除去部3により除去された信号が、比較部6に入力される。ここで、出力信号4を所定の振幅にするためには、低域成分除去部3の出力のピーク値がc0であることが必要であるとすると、所定値設定部5は、振幅の収束に幅を持たせるために、比較部6で用いる閾値として、c0に対して小さめのc1、及び大きめのc2を設定する。なお、この収束の幅は、光ピックアップから出力された再生信号の特性により決定する必要がある。
【0019】
比較部6は、低域成分除去部3の出力のピーク値が、c1以下の時−1、c1からc2の間の時は0、c2以上の時は+1と出力する。ここでは、比較部6は、コンパレータを2個使用して回路を構成している。
【0020】
信号保持部7は、一定周期Taで保持値を更新するが、その値は、比較部6がTan間(n=1,2,...)に出力する最大値であり、次の周期Tan+1で出力する。例えば、比較部6が出力する最大値が、Ta5間で−1となっているため、信号保持部7は、Ta6にて−1を出力している。
【0021】
次に、平均化部9は、信号保持部7の出力を一定周期Tbで加算を行ない、Tbm間(m=1,2,...)で加算した結果を、次の周期Tbm+1で出力する。ここで、TbはTaより長い周期である必要がある。
【0022】
ここでは、例えば、Ta5ないしTa8での信号保持部7の出力を加算した結果の−3が、Tb2にて出力されている。
【0023】
制御部10は、平均化部9の出力に基づいて、可変増幅部2を制御可能な制御値を生成する。図8では、平均化部9の出力が負になっていることから、可変増幅部2の振幅が不足しているので、制御部10は、増幅度を増加させる制御信号を出力している。
【0024】
逆に、入力信号1の振幅が大きくなった場合、出力信号4は一旦、入力信号1の振幅の増加に追従するが、各構成要素により、最終的には制御部10より可変増幅部2の増幅度を下げる制御信号が出力され、所定値設定部5により設定された範囲内に出力信号のピーク値が収まると、制御信号は一定となり、可変増幅部2の増幅度も一定となるので、出力信号の振幅も一定となる。
【特許文献1】特開2000−134049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかし、上述のような従来の信号再生装置600では、アシンメトリディスクを再生する際などに、出力信号がGNDレベルに張り付いてしまうことがあった。
【0026】
図9は、従来の信号再生装置600に偏りのある信号が入力された場合の信号タイミング図である。
【0027】
図9に示されるように、平均化部9出力は+2となっており、これに基づいて制御部10は入力信号の振幅が小さいと判断し、可変増幅部2の増幅度を制御することで、出力信号4のレベルを所定の範囲内に収束させているが、アシンメトリディスクの再生等により波形に偏りがある信号が入力された際には、可変増幅部2の増幅度が高すぎる状態となり、出力信号4のボトム側が、GNDレベルに当たってしまっている。
【0028】
このように、従来の信号再生装置では、アシンメトリディスクの再生等により波形に偏りがある信号が入力された際に、出力信号が下側のGNDレベルに張り付いてしまい、入力信号に対する出力信号の波形に歪が生じ、ディスク再生のプレイアビリティに悪影響を与えてしまうことがある、という問題があった。
【0029】
本発明は、上述のような従来の問題点を解決するためになされたもので、アシンメトリディスクの再生等により波形に偏りがある信号が入力された場合においても、出力信号がGNDレベルに張り付いてしまって波形が歪み、プレイアビリティが悪化してしまう、という現象を防ぐことのできる信号再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の請求項1に係る信号再生装置は、入力信号の利得を制御する可変増幅部と、前記可変増幅部の出力から直流成分を除去する低域成分除去部と、前記低域成分除去部の出力のボトム値またはピーク値と、所定の範囲の上限及び下限の閾値とを比較する比較部と、前記比較部で用いる閾値を設定する所定値設定部と、前記比較部の出力を保持する信号保持部と、前記信号保持部の出力に対して任意の重み付けを行なう重み付け部と、前記重み付け部の出力を所定の周期で加算する平均化部と、前記平均化部の出力に基づいて、可変増幅部の増幅度を制御する制御部とを備えるものである。
【0031】
本発明の請求項2に係る信号再生装置は、入力信号の利得を制御する可変増幅部と、前記可変増幅部の出力から直流成分を除去する低域成分除去部と、前記低域成分除去部の出力のボトム値またはピーク値と、所定の範囲の上限及び下限の閾値とを比較する比較部と、前記比較部で用いる閾値を設定する所定値設定部と、前記比較部の出力を保持する信号保持部と、前記入力信号に混在するディフェクトを検出するディフェクト検出部と、前記ディフェクト検出部がディフェクトを検出しない場合には、前記入力信号の信号状態に応じて、前記信号保持部の出力に対して重み付けを行ない、前記ディフェクト検出部がディフェクトを検出した場合には、重みの設定を固定する重み付け部と、前記重み付け部の出力を所定の周期で加算する平均化部と、前記平均化部の出力に基づいて、可変増幅部の増幅度を制御する制御部とを備えるものである。
【0032】
本発明の請求項3に係る信号再生装置は、ディスク状記録媒体から再生された入力信号の利得を制御する可変増幅部と、前記可変増幅部の出力から直流成分を除去する低域成分除去部と、前記低域成分除去部の出力のボトム値またはピーク値と、所定の範囲の上限及び下限の閾値とを比較する比較部と、前記比較部で用いる閾値を設定する所定値設定部と、前記比較部の出力を保持する信号保持部と、前記ディスク状記録媒体の再生中のフォーカス外れを検出するフォーカス外れ検出部と、前記フォーカス外れ検出部がフォーカス外れを検出しない場合には、前記入力信号の信号状態に応じて、前記信号保持部の出力に対して重み付けを行ない、前記フォーカス外れ検出部がフォーカス外れを検出した場合には、現在設定している重みの設定を初期値にリセットする重み付け部と、前記重み付け部の出力を所定の周期で加算する平均化部と、前記平均化部の出力に基づいて、可変増幅部の増幅度を制御する制御部とを備えるものである。
【0033】
本発明の請求項4に係る信号再生装置は、入力信号の利得を制御する可変増幅部と、前記可変増幅部の出力から直流成分を除去する低域成分除去部と、前記低域成分除去部の出力のボトム値またはピーク値と、所定の第1または第2の範囲の上限及び下限の閾値とをそれぞれ比較する比較部と、前記比較部で用いる閾値を設定する所定値設定部と、前記比較部の出力のうち、前記低域成分除去部の出力のボトム値と、前記所定の範囲の閾値との比較結果を保持する信号保持部と、前記比較部の比較結果に基づいて、前記入力信号の信号状態を判別する信号判別部と、前記信号判別部の判別結果に基づいて、前記信号保持部の出力に対して重み付けを行なう重み付け部と、前記重み付け部の出力を所定の周期で加算する平均化部と、前記平均化部の出力に基づいて、可変増幅部の増幅度を制御する制御部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る信号再生装置は、入力信号の状態に応じて、信号保持部の出力に対して重み付けを行なう重み付け部を備えたので、アシンメトリディスクの再生等により波形に偏りがある信号が入力されたような場合にも、出力信号がGNDレベルに張り付いてしまって波形が歪み、プレイアビリティが悪化してしまうという現象を、防ぐことができるという効果がある。
【0035】
また、これらの回路は、デジタル回路で構成することができ、回路構成が簡単なため、回路規模を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1による信号再生装置100について説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施の形態1による信号再生装置100のブロック図である。
【0038】
本実施の形態1の信号再生装置100は、ディスクから再生された入力信号1の利得を制御する可変増幅部2と、可変増幅部2の出力から直流成分を除去する低域成分除去部3と、低域成分除去部3の出力のボトム値と、所定の範囲の上限、及び下限の閾値とを比較する比較部6と、比較部6で用いる閾値を設定する所定値設定部5と、比較部6の出力を保持する信号保持部7と、入力信号1の状態を監視する装置外のマイコン等(図示しない)による設定に基づいて、信号保持部7の出力に対して重み付けを行なう重み付け部8と、重み付け部8の出力を所定の周期で加算する平均化部9と、平均化部9の出力に基づいて、可変増幅部2の増幅度を制御する制御部10とを備えている。
【0039】
以下、本実施の形態1による信号再生装置100の動作について説明する。
【0040】
まず、光ピックアップから出力された再生信号は、入力信号1として可変増幅部2にて増幅された後、2つに分岐され、一方は出力信号4として装置外に出力され、他方は低域成分除去手段3に入力されて直流成分が除去される。ここで、可変増幅部2の増幅度は、制御部10が出力する制御値により決定される。
【0041】
低域成分除去部3から出力された信号は、比較部6に入力され、そのボトム値と、所定値設定部5により設定される所定の範囲の上限、及び下限の閾値とが比較され、その比較結果は、信号保持部7により一定時間保持された後、出力され、重み付け部8に入力される。
【0042】
重み付け部8は、装置外のマイコン等の設定に基づいて、信号保持部7の出力に対して重み付けを行なう。この装置外のマイコン等は入力信号1を監視し、入力信号1に偏りがあると判断した場合には、重み付け部8が、重み付けの設定を行なう。
【0043】
重み付け部8の出力は、平均化部9により一定間隔で加算され、その和が平均値として出力され、制御部10に入力される。制御部10では、可変増幅部2に制御値を与え、装置全体に負帰還がかかるように増幅レベルを制御する。
【0044】
図2は、本発明の実施の形態1による信号再生装置100の信号タイミング図であり、該信号再生装置100に、アシンメトリディスクの再生等により波形に偏りがある信号が入力された場合を示している。
【0045】
ここで、出力信号4を所定の振幅にするためには、低域成分除去部3の出力のボトム値がc0であることが必要であるとして、所定値設定部5は、振幅の収束に幅を持たせるために、比較部6で用いる閾値として、c0に対して小さめのc1、及び大きめのc2を設定し、比較部6は、低域成分除去部3の出力のボトム値がc1以下の時は−1、c1からc2の間の時は0、c2以上の時は+1と出力するものとする。
【0046】
図2に示されるように、アシンメトリディスクの再生等により波形に偏りがある信号が入力された際に、重み付け部8が信号保持部7の出力−1に対して重み付けを行ない、−2を平均化部9に出力している。この結果、このときの平均化部9の出力は、該重み付けにより+1に補正され、波形に偏りがある信号が入力された際においても、可変増幅部2の増幅度は適切な状態となり、出力信号4のボトム側がGNDレベルに張り付いてしまうことを抑えることができる。
【0047】
このように、本実施の形態1による信号再生装置によれば、入力信号の状態に応じて、信号保持部の出力に対して重み付けを行なう重み付け部を備えたので、アシンメトリディスクの再生等により波形に偏りがある信号が入力された場合においても、出力信号がGNDレベルに張り付いて波形が歪んでしまい、プレイアビリティが悪化してしまうことを、防ぐことができる効果が得られる。
【0048】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2による信号再生装置300について説明する。
【0049】
図3は、本発明の実施の形態2による信号再生装置300のブロック図である。
【0050】
本実施の形態2の信号再生装置300は、前記実施の形態1の信号再生装置100において、ディスク上のキズや汚れ等の影響により入力信号1に混在するディフェクトを検出するディフェクト検出部11を備え、前記実施の形態1における重み付け部8に代えて、重み付け部18を備えたものである。
【0051】
ここで、重み付け部18は、ディフェクト検出部11がディフェクトを検出しない場合には、入力信号1の状態を監視する装置外のマイコン等(図示しない)による設定に基づいて、信号保持部7の出力に対して重み付けを行ない、ディフェクト検出部11がディフェクトを検出した場合には、重み付けの設定変更を行なわないものである。
【0052】
以下、本実施の形態2による信号再生装置200の動作について説明する。
【0053】
まず、光ピックアップから出力された再生信号は、入力信号1として可変増幅部2にて増幅された後、2つに分岐され、一方は出力信号4として装置外に出力され、他方は低域成分除去手段3に入力されて直流成分が除去される。ここで、可変増幅部2の増幅度は、制御部10が出力する制御値により決定される。
【0054】
低域成分除去部3から出力された信号は、比較部6に入力され、そのボトム値と、所定値設定部5により設定される所定の範囲の上限、及び下限の閾値とが比較され、その比較結果は、信号保持部7により一定時間保持された後、重み付け部18に入力される。
【0055】
ディフェクト検出部11は、入力信号1を監視し、入力信号1に混在するディフェクトを検出する。
【0056】
重み付け部18は、装置外のマイコン等の設定に基づいて、信号保持部7の出力に対して重み付けを行なうが、ディスク上のキズや汚れ等の影響によりディフェクトが入力信号1に混在した場合には、重み付け部18に設定される重みが適正な重みとならないため、ディフェクト検出部11がディフェクトを検出した場合には、装置外のマイコン等による設定については、その変更を行なわず、該重みの設定を固定する。
【0057】
重み付け部18の出力は、平均化部9により一定間隔で加算され、その和が平均値として出力され、制御部10に入力される。制御部10では、可変増幅部2に制御値を与え、装置全体に負帰還がかかるように増幅レベルを制御する。
【0058】
このように、本実施の形態2による信号再生装置によれば、ディスク上のキズや汚れ等の影響により入力信号に混在するディフェクトを検出するディフェクト検出部を備え、ディフェクト検出部がディフェクトを検出した場合には、重み付け部は、重み付けの設定の変更を行わないものとしたので、ディフェクトが入力され、一時的な入力信号の乱れがあったような場合にも、適正な増幅を行なうことができる効果が得られる。
【0059】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3による信号再生装置400について説明する。
【0060】
図4は、本発明の実施の形態3による信号再生装置400のブロック図である。
【0061】
本実施の形態3の信号再生装置400は、前記実施の形態1の信号再生装置100において、さらに、ディスクの再生中のフォーカス外れを検出するフォーカス外れ検出部12を備え、かつ、前記重み付け部18に代えて、重み付け部28を備えたものである。
【0062】
ここで、重み付け部28は、ディフェクト検出部11がディフェクトを検出せず、かつフォーカス外れ検出部12がフォーカス外れを検出しない場合には、前記信号保持部7の出力に対して、入力信号1の状態を監視する装置外のマイコン等(図示せず)による設定に基づいて、重み付けを行なうものである。一方、ディフェクト検出部11がディフェクトを検出した場合には、該重み付け部28は、重み付けの設定の変更は行なわない。さらに、フォーカス外れ検出部12がフォーカス外れを検出した場合は、現在設定している重みの設定を、初期値にリセットするものである。
【0063】
以下、本実施の形態3の信号再生装置400の動作について説明する。
【0064】
まず、光ピックアップから出力された再生信号は、入力信号1として可変増幅部2にて増幅された後、2つに分岐され、一方は出力信号4として装置外に出力され、他方は低域成分除去手段3に入力されて直流成分が除去される。ここで、可変増幅部2の増幅度は、制御部10が出力する制御値により決定される。
【0065】
低域成分除去部3から出力された信号は、比較部6に入力され、そのボトム値と、所定値設定部5により設定される所定の範囲の上限、及び下限の閾値とが比較され、その比較結果は、信号保持部7により一定時間保持された後、重み付け部28に入力される。
【0066】
ディフェクト検出部11は、入力信号1に混在するディフェクトを検出し、フォーカス外れ検出部12は、ディスクの再生中のフォーカス外れを検出する。
【0067】
重み付け部28は、信号保持部7の出力に対し、装置外のマイコン等の設定に基づいて、重み付けを行なう。ただし、ディフェクト検出部11がディフェクトを検出した場合には、装置外のマイコン等による重み付けの設定については、その変更は行わない。
【0068】
また、再生中にフォーカスが外れた場合は、入力信号1そのものの内容の信頼性が低くなるため、フォーカス外れ検出部12が該フォーカス外れを検出した場合は、重み付け部28は、現在設定されている重みの設定を、初期値にリセットする。
【0069】
重み付け部28の出力は、平均化部9により一定間隔で加算され、その和が平均値として出力され、制御部10に入力される。制御部10では、可変増幅部2に制御値を与え、装置全体に負帰還がかかるように増幅レベルを制御する。
【0070】
このように、本実施の形態3による信号再生装置によれば、ディスクの再生中のフォーカス外れを検出するフォーカス外れ検出部を備え、重み付け部は、フォーカスが外れた場合には、現在設定されている重みの設定を初期値にリセットするようにしたので、フォーカス復帰時に、重みによって過剰または過小な増幅が行なわれることなく再生を開始することができる効果が得られる。
【0071】
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4による信号再生装置500について説明する。
【0072】
図5は、本発明の実施の形態4による信号再生装置500のブロック図である。
【0073】
本実施の形態4の信号再生装置500は、出力信号4のボトム値またはピーク値を、所定の第1または第2の範囲に収束させるための閾値を設定する所定値設定部15と、低域成分除去部3の出力のピーク値またはボトム値と、所定値設定部15が設定する所定の第1または第2の範囲の上限及び下限の閾値とをそれぞれ比較する比較部16と、比較部16の比較結果の差分から適正な重みの値を求める信号判別部13と、ディフェクト検出部11がディフェクトを検出せず、かつフォーカス外れ検出部12がフォーカス外れを検出しない場合には、信号判別部13の求めた重みの値に基づいて、信号保持部7の出力に対して重み付けを行ない、ディフェクト検出部11がディフェクトを検出した場合には、重み付けの設定の変更を行なわず、フォーカス外れ検出部12がフォーカス外れを検出した場合には、現在設定している重みの設定を、初期値にリセットする重み付け部38とを、備えたものである。
【0074】
以下、本実施の形態4による信号再生装置500の動作について説明する。
【0075】
まず、光ピックアップから出力された再生信号は、入力信号1として可変増幅部2にて増幅された後、2つに分岐され、一方は出力信号4として装置外に出力され、他方は低域成分除去手段3に入力されて直流成分が除去される。ここで、可変増幅部2の増幅度は、制御部10が出力する制御値により決定される。
【0076】
低域成分除去部3から出力された信号は、比較部16に入力され、そのボトム値またはピーク値と、所定値設定部15が設定する所定の第1または第2の範囲の上限及び下限の閾値とが、それぞれ比較され、それらの比較結果は、信号保持部7により一定時間保持された後、重み付け部38に入力されるとともに、信号判別部13にも入力される。
【0077】
信号判別部13は、低域成分除去部3の出力のボトム値と所定値設定部15に設定される第1の範囲の閾値との比較結果と、低域成分除去部3の出力のピーク値と所定値設定部15に設定される第2の範囲の閾値との比較結果との差分から、入力信号1の信号状態を判別し、適正な重みの値を求める。
【0078】
ディフェクト検出部11は、入力信号1に混在するディフェクトを検出し、フォーカス外れ検出部12は、ディスクの再生中のフォーカス外れを検出する。
【0079】
重み付け部38は、信号保持部7の出力に対して、信号判別部13の求めた重みの値に基づいて、重み付けを行なうが、ディフェクト検出部11がディフェクトを検出した場合には、信号判別部13による設定変更を行なわない。また、フォーカス外れ検出部12がフォーカス外れを検出した場合には、現在設定されている重みの設定を、初期値にリセットする。
【0080】
重み付け部38の出力は、平均化部9により一定間隔で加算され、その和が平均値として出力され、制御部10に入力される。制御部10では、可変増幅部2に制御値を与え、装置全体に負帰還がかかるように増幅レベルを制御する。
【0081】
このように、本実施の形態4による信号再生装置によれば、低域成分除去部の出力のボトム値またはピーク値と、所定値設定部が設定する閾値との各比較結果の差分から適正な重みの値を求める信号判別部を備え、該信号判別部の出力に基づいて重み付け部により適切な重み付けを行なうようにしたので、装置外のマイコン等を用いることなく信号保持部の出力に対して、適正な重み付けを行なうことができる。
【0082】
なお、上記実施の形態1〜4では、信号保持部には、低域成分除去部の出力のボトム値と所定の閾値との比較結果が入力されるものとしたが、低域成分除去部の出力のピーク値と所定の閾値との比較結果が入力されるものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明にかかる信号再生装置は、アシンメトリディスクの再生等により波形に偏りがある信号が入力された場合においても、出力信号がGNDレベルに張り付いて波形が歪んでしまい、プレイアビリティが悪化してしまうことを防ぐことができ、光ディスクシステム等の信号再生装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態1による信号再生装置100のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1における信号タイミング図である。
【図3】本発明の実施の形態2による信号再生装置300のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態3による信号再生装置400のブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態4による信号再生装置500のブロック図である。
【図6】従来の信号再生装置600のブロック図である。
【図7】信号再生装置600の入出力信号の波形を示す図である。
【図8】従来の信号再生装置600における各部の信号タイミング図である。
【図9】従来の信号再生装置600に偏りのある信号が入力された場合の信号タイミング図である。
【符号の説明】
【0085】
100 信号再生装置
300 信号再生装置
400 信号再生装置
500 信号再生装置
600 信号再生装置
1 入力信号
2 可変増幅部
3 低域成分除去部
4 出力信号
5,15 所定値設定部
6,16 比較部
7 信号保持部
8,18,28,38 重み付け部
9 平均化部
10 制御部
11 ディフェクト検出部
12 フォーカス外れ検出部
13 信号判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号の利得を制御する可変増幅部と、
前記可変増幅部の出力から直流成分を除去する低域成分除去部と、
前記低域成分除去部の出力のボトム値またはピーク値と、所定の範囲の上限及び下限の閾値とを比較する比較部と、
前記比較部で用いる閾値を設定する所定値設定部と、
前記比較部の出力を保持する信号保持部と、
前記信号保持部の出力に対して任意の重み付けを行なう重み付け部と、
前記重み付け部の出力を所定の周期で加算する平均化部と、
前記平均化部の出力に基づいて可変増幅部の増幅度を制御する制御部とを備える、
ことを特徴とする信号再生装置。
【請求項2】
入力信号の利得を制御する可変増幅部と、
前記可変増幅部の出力から直流成分を除去する低域成分除去部と、
前記低域成分除去部の出力のボトム値またはピーク値と、所定の範囲の上限及び下限の閾値とを比較する比較部と、
前記比較部で用いる閾値を設定する所定値設定部と、
前記比較部の出力を保持する信号保持部と、
前記入力信号に混在するディフェクトを検出するディフェクト検出部と、
前記ディフェクト検出部がディフェクトを検出しない場合には、前記入力信号の信号状態に応じて前記信号保持部の出力に対して重み付けを行ない、前記ディフェクト検出部がディフェクトを検出した場合には重みの設定を固定する重み付け部と、
前記重み付け部の出力を所定の周期で加算する平均化部と、
前記平均化部の出力に基づいて可変増幅部の増幅度を制御する制御部とを備える、
ことを特徴とする信号再生装置。
【請求項3】
ディスク状記録媒体から再生された入力信号の利得を制御する可変増幅部と、
前記可変増幅部の出力から直流成分を除去する低域成分除去部と、
前記低域成分除去部の出力のボトム値またはピーク値と、所定の範囲の上限及び下限の閾値とを比較する比較部と、
前記比較部で用いる閾値を設定する所定値設定部と、
前記比較部の出力を保持する信号保持部と、
前記ディスク状記録媒体の再生中のフォーカス外れを検出するフォーカス外れ検出部と、
前記フォーカス外れ検出部がフォーカス外れを検出しない場合には、前記入力信号の信号状態に応じて、前記信号保持部の出力に対して重み付けを行ない、前記フォーカス外れ検出部がフォーカス外れを検出した場合には、現在設定している重みの設定を初期値にリセットする重み付け部と、
前記重み付け部の出力を所定の周期で加算する平均化部と、
前記平均化部の出力に基づいて可変増幅部の増幅度を制御する制御部とを備える、
ことを特徴とする信号再生装置。
【請求項4】
入力信号の利得を制御する可変増幅部と、
前記可変増幅部の出力から直流成分を除去する低域成分除去部と、
前記低域成分除去部の出力のボトム値またはピーク値と、所定の第1または第2の範囲の上限及び下限の閾値とをそれぞれ比較する比較部と、
前記比較部で用いる閾値を設定する所定値設定部と、
前記比較部の出力のうち、前記低域成分除去部の出力のボトム値またはピーク値と、前記所定の閾値との比較結果を保持する信号保持部と、
前記比較部の比較結果に基づいて、前記入力信号の信号状態を判別する信号判別部と、
前記信号判別部の判別結果に基づいて、前記信号保持部の出力に対して重み付けを行なう重み付け部と、
前記重み付け部の出力を所定の周期で加算する平均化部と、
前記平均化部の出力に基づいて可変増幅部の増幅度を制御する制御部とを備える、
ことを特徴とする信号再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−26388(P2009−26388A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188949(P2007−188949)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】