説明

信号処理装置および方法

【課題】ヘッドホンへの音漏れを低減させる。
【解決手段】再生装置本体131は、バッファ37Lおよびバッファ37Rから読み出した音楽信号を左用ヘッドホン31Lおよび右用ヘッドホン31Rに供給し、音楽を再生させる。このとき、左用ヘッドホン31Lおよび右用ヘッドホン31Rから連結点Xに到達した音楽信号の一部は、音漏れ信号となって右用マイクロホン32Rを経由して、再生装置本体131に戻ってくる。そこで、増幅器81Rおよび増幅器91Rは、バッファ37Lおよびバッファ37Rから読み出した音楽信号をゲイン調整して連結点ZRに供給することで、連結点ZRにおいて、右用マイクロホン32Rからの音漏れ信号を打ち消す。本発明は、音楽プレーヤに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は信号処理装置および方法に関し、特に、左右ヘッドホンのチャネルセパレーションを高めることができるようにした信号処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3極端子を用いたヘッドホンが一般的に知られている。このようなヘッドホンの市場は、携帯型の音楽再生機の幅広い成長や普及によって拡大してきている。
【0003】
ところが3極端子のヘッドホンでは、音声信号を帰還させるグラウンドが左右のチャネルで共通であるため、左右のヘッドホンの間で音漏れが発生する。この音漏れは、ヘッドホンが3極端子の構成とされていることと、ケーブルなどに含まれる抵抗成分や増幅特性との組み合わせによって生じるものであることが知られている。ヘッドホンでの音声再生時に音漏れが発生すると、左右のチャネルの音声が混じり合ってしまうため、本来の音声とは異なる音声が再生されてしまうことになる。
【0004】
そこで、このような音漏れを防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。例えば、特許文献1には、左チャネルのヘッドホンへの音漏れ比率に応じて低減された右チャネルの信号を、左チャネルの信号に加算することで、右チャネルの信号の左チャネルのヘッドホンへの音漏れを低減させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−214726号公報
【特許文献2】特開2007−235670号公報
【特許文献3】特開2008−98737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、ノイズキャンセリング機能を有する音楽プレーヤ等が開発,販売されてきている。このような音楽プレーヤでは、左右のヘッドホンにマイクロホンが設けられ、これらのマイクロホンにより周囲の騒音が収音されて音楽プレーヤに伝送される。そして、音楽プレーヤは、騒音とは逆位相の音声の信号を発生させて、発生させた信号を左右のヘッドホンで音楽信号に重ねて再生させることで、周囲の騒音を打ち消す。
【0007】
このようなノイズキャンセリング機能を有する音楽プレーヤでは、左右のマイクロホンと音楽プレーヤ本体とを接続するためには、グラウンドを従来の3極端子と共通化したとしても、新たに2極の端子が必要となる。そのため、ノイズキャンセリング機能を有する音楽プレーヤを実現するには、例えば5極端子が必要となる。
【0008】
しかしながら、5極端子においても3極端子の場合と同様に、グラウンドの共通化により、一方のチャネルの音楽信号の他方のチャネルのヘッドホンへの音漏れが発生する。さらに5極端子では、マイクロホンの回路を通して左右のヘッドホンへの音漏れが発生する。そのため、上述した技術では、充分な音漏れ防止効果を得ることができなかった。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ヘッドホンへの音漏れをより低減させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面の信号処理装置は、第1の信号入力線から入力された第1の音声信号に基づいて、音声を出力する第1の音声出力手段と、前記第1の信号入力線に接続され、周囲の音声を収音する第1の収音手段と、第2の信号入力線から入力された第2の音声信号に基づいて、音声を出力する第2の音声出力手段と、前記第2の信号入力線に接続され、周囲の音声を収音する第2の収音手段と、前記第1の音声出力手段、前記第2の音声出力手段、前記第1の収音手段、および前記第2の収音手段と、グラウンドとを接続する接続線と、少なくとも前記第1の音声出力手段から、前記接続線および前記第2の収音手段を介して前記第2の信号入力線に漏れてくる前記第1の音声信号である第1の音漏れ信号を、前記第1の音声信号を用いて低減させるか、または前記第2の音声出力手段から、前記接続線および前記第2の収音手段を介して前記第2の信号入力線に漏れてくる前記第2の音声信号である第2の音漏れ信号を、前記第2の音声信号を用いて低減させる第1の低減手段とを備える。
【0011】
前記第1の低減手段には、前記接続線から前記第2の収音手段に漏れる前記第1の音声信号の音漏れ比率に基づいて減衰させた前記第1の音声信号を、前記第1の音漏れ信号に加算することで、前記第1の音漏れ信号を低減させることができる。
【0012】
信号処理装置には、前記第2の信号入力線と、前記第2の収音手段との間に設けられ、前記第2の収音手段により収音された前記周囲の音声の信号に対してフィルタ処理を施して、前記第2の音声出力手段から、前記周囲の音声を打ち消す音声を出力するためのノイズキャンセリング信号を生成し、前記ノイズキャンセリング信号を、前記第2の信号入力線を介して前記第2の音声出力手段に出力するノイズキャンセリング手段をさらに設け、前記第1の低減手段には、前記第2の収音手段から前記ノイズキャンセリング手段に入力される前記第1の音漏れ信号に、前記減衰させた前記第1の音声信号を加算させることができる。
【0013】
前記第1の低減手段には、前記接続線から前記第2の収音手段に漏れる前記第2の音声信号の音漏れ比率に基づいて減衰させた前記第2の音声信号を、前記第2の音漏れ信号に加算することで、前記第2の音漏れ信号を低減させることができる。
【0014】
信号処理装置には、前記第2の信号入力線と、前記第2の収音手段との間に設けられ、前記第2の収音手段により収音された前記周囲の音声の信号に対してフィルタ処理を施して、前記第2の音声出力手段から、前記周囲の音声を打ち消す音声を出力するためのノイズキャンセリング信号を生成し、前記ノイズキャンセリング信号を、前記第2の信号入力線を介して前記第2の音声出力手段に出力するノイズキャンセリング手段をさらに設け、前記第1の低減手段には、前記第2の収音手段から前記ノイズキャンセリング手段に入力される前記第2の音漏れ信号に、前記減衰させた前記第2の音声信号を加算させることができる。
【0015】
信号処理装置には、前記第1の信号入力線と、前記第2の信号入力線との間に設けられ、前記第1の信号入力線において、前記第1の収音手段により収音された周囲の音声の信号から生成された信号が加算された前記第1の音声信号を、前記第1の音声出力手段から、前記接続線を介して前記第2の音声出力手段に漏れる前記第1の音声信号の音漏れ比率に基づいて減衰させ、前記減衰させた前記第1の音声信号を前記第2の信号入力線に出力する第2の低減手段をさらに設けることができる。
【0016】
本発明の一側面の信号処理方法は、第1の信号入力線から入力された第1の音声信号に基づいて、音声を出力する第1の音声出力手段と、前記第1の信号入力線に接続され、周囲の音声を収音する第1の収音手段と、第2の信号入力線から入力された第2の音声信号に基づいて、音声を出力する第2の音声出力手段と、前記第2の信号入力線に接続され、周囲の音声を収音する第2の収音手段と、前記第1の音声出力手段、前記第2の音声出力手段、前記第1の収音手段、および前記第2の収音手段と、グラウンドとを接続する接続線と、少なくとも前記第1の音声出力手段から、前記接続線および前記第2の収音手段を介して前記第2の信号入力線に漏れてくる前記第1の音声信号である第1の音漏れ信号を、前記第1の音声信号を用いて低減させるか、または前記第2の音声出力手段から、前記接続線および前記第2の収音手段を介して前記第2の信号入力線に漏れてくる前記第2の音声信号である第2の音漏れ信号を、前記第2の音声信号を用いて低減させる低減手段とを備える信号処理装置の信号処理方法であって、前記第1の音声出力手段が、前記第1の信号入力線から入力された前記第1の音声信号に基づいて音声を出力し、前記第2の音声出力手段が、前記第2の信号入力線から入力された前記第2の音声信号に基づいて音声を出力し、前記低減手段が、少なくとも前記第1の音漏れ信号を前記第1の音声信号を用いて低減させるか、または前記第2の音漏れ信号を前記第2の音声信号を用いて低減させるステップを含む。
【0017】
本発明の一側面においては、第1の信号入力線から入力された第1の音声信号に基づいて、第1の音声出力手段から音声が出力され、前記第1の信号入力線に接続された第1の収音手段により、周囲の音声が収音され、第2の信号入力線から入力された第2の音声信号に基づいて、第2の音声出力手段から音声が出力され、前記第2の信号入力線に接続された第2の収音手段により、周囲の音声が収音される。また、前記第1の音声出力手段、前記第2の音声出力手段、前記第1の収音手段、および前記第2の収音手段と、グラウンドとは接続線により接続されており、少なくとも前記第1の音声出力手段から、前記接続線および前記第2の収音手段を介して前記第2の信号入力線に漏れてくる前記第1の音声信号である第1の音漏れ信号が、前記第1の音声信号が用いられて低減されるか、または前記第2の音声出力手段から、前記接続線および前記第2の収音手段を介して前記第2の信号入力線に漏れてくる前記第2の音声信号である第2の音漏れ信号が、前記第2の音声信号が用いられて低減される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一側面によれば、ヘッドホンへの音漏れをより低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】音漏れの発生とその低減について説明する示す図である。
【図2】音漏れの発生とその低減について説明する示す図である。
【図3】音漏れの発生とその低減について説明する示す図である。
【図4】音漏れの発生とその低減について説明する示す図である。
【図5】本発明を適用した音声再生装置の一実施の形態の構成例を示す図である。
【図6】音声再生処理を説明するフローチャートである。
【図7】音声再生装置の他の構成例を示す図である。
【図8】音声再生処理を説明するフローチャートである。
【図9】音声再生装置の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。
【0021】
〈第1の実施の形態〉
[音漏れの発生とその低減について]
まず、図1乃至図4を参照して、5極端子のヘッドホンにおける音漏れの発生と、本発明による音漏れの低減について説明する。
【0022】
例えば、図1に示す音声再生装置11において音声信号が再生される場合を考える。この音声再生装置11は、再生装置本体21と、5極端子により再生装置本体21に接続されたヘッドホン22とから構成される。
【0023】
ヘッドホン22には、左チャネルの音声を出力する左用ヘッドホン31L、および右チャネルの音声を出力する右用ヘッドホン31Rと、周囲の音声を収音する左用マイクロホン32Lおよび右用マイクロホン32Rとが設けられている。特に、左用マイクロホン32Lは左用ヘッドホン31L近傍に設けられており、右用マイクロホン32Rは右用ヘッドホン31R近傍に設けられている。
【0024】
また、これらの左用ヘッドホン31L、右用ヘッドホン31R、左用マイクロホン32L、および右用マイクロホン32Rは、5つの端子ML、端子SL、端子G、端子SR、および端子MRにより再生装置本体21に接続される。
【0025】
すなわち、左用ヘッドホン31Lの一方の端子と端子SLとが入力信号線ILにより接続されており、入力信号線IL上には抵抗成分33Lが存在する。また、左用ヘッドホン31Lの他方の端子は接続線COにより、接地用の端子Gと接続されている。具体的には、左用ヘッドホン31Lの他方の端子と、接続線CO上の連結点Xとは信号線により接続されており、その信号線上には抵抗成分34Lが存在する。さらに、接続線CO上の連結点Xと端子Gとの間には共通抵抗成分Rが存在する。
【0026】
これに対して、右用ヘッドホン31Rの一方の端子は、入力信号線IRにより端子SRと接続されており、入力信号線IR上には抵抗成分33Rが存在する。また、右用ヘッドホン31Rの他方の端子は抵抗成分34Rが存在する信号線により連結点Xに接続されている。
【0027】
左用マイクロホン32Lの一方の端子は、抵抗成分35Lが存在する信号線により端子MLに接続され、右用マイクロホン32Rの一方の端子は、抵抗成分35Rが存在する信号線により端子MRに接続されている。また、左用マイクロホン32Lおよび右用マイクロホン32Rの他方の端子は、接続線CO上に存在する抵抗成分36を介して連結点Xに接続されている。
【0028】
また、再生装置本体21側では、端子Gには、抵抗RFBを介してグラウンドGNDが接続されている。したがって、左用ヘッドホン31L、右用ヘッドホン31R、左用マイクロホン32L、および右用マイクロホン32Rは、接続線COにより共通のグラウンドGNDに接続されることになる。
【0029】
さらに、再生装置本体21には、左チャネルの音声信号を一時的に記録するバッファ37Lと、右チャネルの音声信号を一時的に記録するバッファ37Rとが設けられている。
【0030】
バッファ37Lは、連結点YLを介して端子SLに接続され、連結点YLと端子SLの間には、D/A(Digital/Analog)変換部38Lおよび増幅器39Lが設けられている。したがって、バッファ37Lから出力された音声信号は、D/A変換部38Lでデジタル信号からアナログ信号に変換されて増幅器39Lで増幅され、入力信号線ILを通って左用ヘッドホン31Lに入力される。
【0031】
同様に、バッファ37Rは、連結点YRを介して端子SRに接続されており、連結点YRと端子SRの間には、D/A変換部38Rおよび増幅器39Rが設けられている。したがって、バッファ37Rから出力された音声信号は、D/A変換部38Rでデジタル信号からアナログ信号に変換されて増幅器39Rで増幅され、入力信号線IRを通って右用ヘッドホン31Rに入力される。
【0032】
さらに、再生装置本体21には、左用マイクロホン32Lと右用マイクロホン32Rで収音された周囲の環境音を打ち消す音声を、それぞれ左用ヘッドホン31Lと右用ヘッドホン31Rから出力させることで、ノイズキャンセリング機能を実現する回路が設けられている。すなわち、再生装置本体21には、増幅器40L、A/D(Analog/Digital)変換部41L、およびフィルタ処理部42Lからなる回路と、増幅器40R、A/D変換部41R、およびフィルタ処理部42Rからなる回路とが設けられている。
【0033】
増幅器40Lの入力端子と出力端子には、それぞれ端子MLとA/D変換部41Lが接続され、A/D変換部41Lは、連結点ZLを介してフィルタ処理部42Lの入力端子に接続されている。また、フィルタ処理部42Lの出力端子は連結点YLに接続されている。したがって、左用マイクロホン32Lで収音された音声の音声信号は、増幅器40Lで増幅された後、A/D変換部41Lでアナログ信号からデジタル信号に変換され、フィルタ処理部42Lでフィルタ処理が施されて、連結点YLに出力される。そして、連結点YLでは、フィルタ処理部42Lからの音声信号が、バッファ37Lからの音声信号に加算されて、D/A変換部38Lに出力される。
【0034】
フィルタ処理部42Lでは、フィルタ処理部42Lから入力信号線ILを通って左用ヘッドホン31Lに供給された信号により、左用ヘッドホン31Lから、左用マイクロホン32Lで収音された音声と逆位相の音声が出力されるように、フィルタ処理が行われる。例えば、フィルタ処理にはローパスフィルタが用いられる。
【0035】
同様に、増幅器40Rの入力端子と出力端子には、それぞれ端子MRとA/D変換部41Rが接続され、A/D変換部41Rは、連結点ZRを介してフィルタ処理部42Rの入力端子に接続されている。また、フィルタ処理部42Rの出力端子は連結点YRに接続されている。フィルタ処理部42Rにおいても、フィルタ処理部42Rから入力信号線IRを通って右用ヘッドホン31Rに供給される信号により、右用ヘッドホン31Rから、右用マイクロホン32Rで収音された音声と逆位相の音声が出力されるように、フィルタ処理が行われる。
【0036】
なお、音声再生装置11では、ノイズキャンセリング機能を実現する回路の一部がデジタル回路で構成される場合を例として説明したが、ノイズキャンセリング機能を実現する回路は、全てアナログ回路で構成されるようにしてもよい。また、以下においては、説明を簡単にするため、特に記載のないかぎり、音声再生装置11の増幅器のゲインは「1」であるものとする。
【0037】
図1の構成とされる音声再生装置11において、再生対象となる右チャネルの音声信号が全くの無音であり、左チャネルの音声信号が大振幅信号ALである場合について考える。
【0038】
この場合、大振幅信号ALは、バッファ37Lから読み出されてD/A変換部38Lでアナログ信号に変換される。そして、アナログ信号となった大振幅信号ALは、端子SLから左用ヘッドホン31Lを通過して、左用ヘッドホン31Lで音波を発生させ、その後、グラウンドGNDが接続された連結点Xに到達する。
【0039】
連結点Xに到達した大振幅信号ALは、理想的には全て端子Gに帰還するはずであるが、連結点Xと端子Gの間にある共通抵抗成分Rや、再生装置本体21内にある抵抗RFBの大きさが「0」ではないため、大振幅信号ALの帰還が阻害される。その結果、大振幅信号ALの一部の信号m0が、連結点Xを介して右用ヘッドホン31Rに漏れ出してしまう。
【0040】
従来の3極端子のヘッドホンでは、このようにして漏れてきた信号m0のみを消去すれば、右用ヘッドホン31Rへの音漏れを低減させることができた。
【0041】
ところが、5極端子のヘッドホン22では、左用マイクロホン32Lと右用マイクロホン32Rも、連結点Xやノイズキャンセリング用の回路に接続されている。そのため、左用ヘッドホン31Lを通過した大振幅信号ALの一部の信号n0が、右用マイクロホン32R、および端子MRを経由して再生装置本体21に戻ってくる。
【0042】
ところで、本来、ノイズキャンセリングでは、右用マイクロホン32Rから再生装置本体21に供給される外部の騒音信号が、A/D変換部41Rでデジタル信号に変換されてフィルタ処理部42Rに伝送される。そして、騒音信号は、フィルタ処理部42Rで、外部の騒音を打ち消すための信号に変換され、連結点YRで右チャネルの音声信号に加算されて右用ヘッドホン31Rに伝送される。そして、右用ヘッドホン31Rにおいて、入力された音声信号により、実際の騒音を打ち消すための音声(音波)が発せられる。
【0043】
なお、ノイズキャンセリング自体は、本発明の要旨ではなく、当業者であれば既によく知られている技術であるので、その詳細な説明は省略する。また、図1では説明を簡単にするため、外部の騒音が全くないものと仮定して説明を続ける。
【0044】
音声再生装置11の周囲で全く騒音がないとすれば、フィルタ処理部42Rに伝送される信号は、大振幅信号ALのうちの右用マイクロホン32Rに漏れてきた信号n0のみとなる。信号n0はフィルタ処理部42Rでフィルタ処理されるが、このフィルタ処理により、位相差が生じて信号n0は信号n1となる。
【0045】
右用ヘッドホン31Rでは、右用マイクロホン32Rから漏れてきた信号n1と、連結点Xから右用ヘッドホン31Rに漏れてきた信号m0とからなる信号が音漏れを発生させる。つまり、信号n1と信号m0が、右用ヘッドホン31Rから本来発せられるべきではない音を発生させることになる。このように、外部の騒音が全くない場合でも、フィルタ処理部42Rからは信号n1が出力されるが、この信号n1は本来であれば全く不要なものである。
【0046】
次に、このようにして生じた信号m0と信号n1により生じる音漏れを低減させることを考える。
【0047】
例えば、図2に示すように、再生装置本体21におけるバッファ37Rと連結点YRとの間に連結点VRを設け、バッファ37Lと連結点VRの間に増幅器71Rを設けたとする。なお、図2において、図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜、省略する。
【0048】
増幅器71Rは、バッファ37Lから供給された左チャネルの音声信号、つまり大振幅信号ALに予め定められた係数1/Mを乗算することで、大振幅信号ALのゲインを信号m0と同じ大きさに調整して、その結果得られた信号m0’を連結点VRに出力する。これにより連結点VRでは、バッファ37Rから出力された右チャネルの音声信号に、信号m0’が加算されることになる。
【0049】
ここで、係数1/Mは、端子SLから左用ヘッドホン31Lを通って連結点Xに到達する信号の大きさと、その信号のうちの連結点Xから右用ヘッドホン31Rに漏れてくる信号の大きさとの比、つまり左チャネルの音声信号の音漏れ比率を示す値である。この係数1/Mは、共通抵抗成分Rや抵抗成分34Rなどの値から、予め求めておくことができる。
【0050】
図2の例では右チャネルの音声信号の振幅は「0」、つまり無音とされているので、この例では、連結点VRから端子SRを通って右用ヘッドホン31Rに供給される信号は、信号m0’のみとなる。この信号m0’が端子SRから右用ヘッドホン31Rに伝送されると、連結点Xから右用ヘッドホン31Rに漏れてくる信号m0は、信号m0’と打ち消しあって消滅する。
【0051】
すなわち、信号m0’と信号m0とは、同位相かつ同振幅の信号であるから、これらの信号が互いに異なる方向から右用ヘッドホン31Rに供給されると、右用ヘッドホン31Rの連結点X側の端子と端子SR側の端子における電位差がゼロになる。そうすると、右用ヘッドホン31Rには電流が流れなくなるから、音波は発生しなくなる。
【0052】
このように信号m0’を端子SRから右用ヘッドホン31Rに向けて伝送すると、信号m0は打ち消されるが、左用ヘッドホン31Lから右用マイクロホン32Rを経由して、右用ヘッドホン31Rに漏れてくる信号n1は残ることになる。この信号n1による音漏れが、3極端子の場合にうまく実現できていた音漏れ低減方法では、5極端子で生じる音漏れを充分に低減できなくなってしまう原因である。
【0053】
そこで、本発明では、図3に示すように、バッファ37Lと連結点ZRとの間に増幅器81Rを設けることで、信号n0がフィルタ処理部42Rで信号n1となる前に、信号n0を打ち消す。なお、図3において、図2における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜、省略する。
【0054】
増幅器81Rは、バッファ37Lから供給された左チャネルの音声信号、つまり大振幅信号ALに予め定められた係数1/Nを乗算することで、大振幅信号ALのゲインを信号n0と同じ大きさに調整して、その結果得られた信号n0’を連結点ZRに出力する。これにより連結点ZRでは、A/D変換部41Rからフィルタ処理部42Rに供給される信号n0に、信号n0’が加算されることになる。
【0055】
ここで、係数1/Nは、端子SLから左用ヘッドホン31Lを通って連結点Xに到達する信号の大きさと、その信号のうちの連結点Xから右用マイクロホン32Rに漏れてくる信号の大きさとの比、つまり左チャネルの音声信号の音漏れ比率を示す値である。この係数1/Nは、共通抵抗成分Rや抵抗成分36Rなどの値から、予め求めておくことができる。
【0056】
このように、信号n0と同位相かつ同振幅の信号n0’が連結点ZRに供給されると、左用ヘッドホン31Lから右用マイクロホン32Rを介して漏れてくる信号n0は、信号n0’に打ち消されて消滅する。すなわち、信号n0’の供給により、連結点ZRからフィルタ処理部42Rには、電流が流れなくなる。
【0057】
これにより、従来の音漏れ低減方法では低減させることができなかった信号n1を低減させ、右用ヘッドホン31Rで再生される音声の音質を向上させることができる。特に、信号n0は、フィルタ処理部42Rで位相が変化して信号n1となるので、位相が変化する前の信号n0の段階で、この信号n0を信号n0’により打ち消すことで、より簡単に音漏れを低減させることができる。
【0058】
ところで、以上においては説明を簡単にするため、右チャネルの音声信号の振幅が「0」である場合について説明したが、通常、右チャネルの音声信号の振幅が「0」でない場合も勿論ある。そのような場合、左チャネルの音声信号が連結点Xから右用マイクロホン32Rに漏れてくるように、右チャネルの音声信号も連結点Xから右用マイクロホン32Rに漏れてくる。
【0059】
例えば、左チャネルを例に説明すると、左チャネルの音声信号の振幅は「0」ではなく、連結点Xから右用マイクロホン32Rに信号n0が漏れてくるのと同様に、連結点Xから左用マイクロホン32Lにも信号n0が漏れてくる。
【0060】
そこで、本発明では、図4に示すように、バッファ37Lと連結点ZLとの間に増幅器91Lを設けることで、連結点Xから左用マイクロホン32Lを経由して、再び左用ヘッドホン31Lに戻る信号n0を打ち消す。なお、図4において、図3における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜、省略する。
【0061】
増幅器91Lは、バッファ37Lから供給された左チャネルの音声信号、つまり大振幅信号ALに予め定められた係数1/Nを乗算することで、大振幅信号ALのゲインを信号n0と同じ大きさに調整して、その結果得られた信号n0’を連結点ZLに出力する。これにより連結点ZLでは、A/D変換部41Lからフィルタ処理部42Lに供給される信号n0に、信号n0’が加算されることになる。
【0062】
なお、この係数1/Nは、左チャネルの音声信号の連結点Xから左用マイクロホン32Lへの音漏れ比率を示す値であり、増幅器81Rにおいて用いられる係数1/Nと同じ係数である。
【0063】
このように、信号n0と同位相かつ同振幅の信号n0’が連結点ZLに供給されると、左用ヘッドホン31Lから左用マイクロホン32Lを介して漏れてくる信号n0は、連結点ZLで信号n0’に打ち消されて消滅する。
【0064】
このような左チャネルの音声信号が左用ヘッドホン31Lに戻ってくる例を、右チャネルに当てはめると、連結点Xから右用マイクロホン32Rを経由して、端子MRに漏れてくる信号を打ち消すには、右チャネルの音声信号に係数1/Nを乗算して、連結点ZRに供給すればよい。
【0065】
つまり、バッファ37Rと連結点ZRとの間に、増幅器91Lに対応する増幅器91Rを設ければよい。この増幅器91Rは、バッファ37Rから供給された左チャネルの音声信号に予め定められた係数1/Nを乗算して、その結果得られた信号を連結点ZRに出力する。これにより連結点ZRでは、A/D変換部41Rからフィルタ処理部42Rに供給される信号に、増幅器91Rからの信号が加算されることになる。
【0066】
なお、この係数1/Nは、右チャネルの音声信号の連結点Xから右用マイクロホン32Rへの音漏れ比率を示す値であり、増幅器91Lにおいて用いられる係数1/Nと同じ係数である。
【0067】
以上のように、再生装置本体21に、増幅器81Rや増幅器91Rを設ければ、右用ヘッドホン31Rへの音漏れを低減させ、再生される音声の音質を向上させることができる。なお、以上においては、右用ヘッドホン31Rへの音漏れを低減させる機構について説明したが、左用ヘッドホン31Lへの音漏れも、右用ヘッドホン31Rと同様の機構を設けることで、低減させることが可能である。
【0068】
[音声再生装置の構成]
次に、以上において説明した手法で音漏れを低減させる音声再生装置について説明する。図5は、本発明を適用した音声再生装置の一実施の形態の構成例を示す図である。なお、図5において、図1乃至図4における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0069】
図5の音声再生装置121は、5極端子のヘッドホン22と再生装置本体131とから構成され、ヘッドホン22が5つの端子ML、端子SL、端子G、端子SR、および端子MRにより再生装置本体131に接続されている。
【0070】
再生装置本体131は、図1の再生装置本体21に、さらに増幅器71L、増幅器71R、増幅器81L、増幅器81R、増幅器91L、および増幅器91Rが設けられた構成とされている。
【0071】
増幅器71Lおよび増幅器71Rは、バッファ37Rおよびバッファ37Lから供給された音声信号に係数1/Mを乗算し、係数1/Mの乗算により減衰された音声信号を、連結点VLおよび連結点VRに供給する。再生装置本体131では、連結点VLはバッファ37Lと連結点YLの間に設けられており、連結点VRはバッファ37Rと連結点YRの間に設けられている。
【0072】
また、増幅器81Lおよび増幅器81Rは、バッファ37Rおよびバッファ37Lから供給された音声信号に係数1/Nを乗算し、係数1/Nの乗算により減衰された音声信号を、連結点ZLおよび連結点ZRに供給する。増幅器91Lおよび増幅器91Rは、バッファ37Lおよびバッファ37Rから供給された音声信号に係数1/Nを乗算し、係数1/Nの乗算により減衰された音声信号を、連結点ZLおよび連結点ZRに供給する。
【0073】
[音声再生処理の説明]
図5に示した音声再生装置121がユーザに操作されて音声の再生が指示されると、音声再生装置121は音声再生処理を行って、指定された音声を再生する。以下、図6のフローチャートを参照して、音声再生装置121による音声再生処理について説明する。なお、以下においては、音声再生装置121で再生される音声の音声信号が、特に、楽曲を再生する音楽信号であるものとして説明を続ける。
【0074】
ステップS11において、バッファ37Lおよびバッファ37Rは、再生対象の音楽信号の入力を受け付ける。すると、再生装置本体131は、ユーザにより指定された音楽信号をバッファ37Lとバッファ37Rに供給して、一時的に記録させる。例えば、バッファ37Lには、左チャネルの音楽信号であるデジタル信号DLが供給され、バッファ37Rには、右チャネルの音楽信号であるデジタル信号DRが供給される。
【0075】
ステップS12において、増幅器71Lおよび増幅器71Rは、予め定められた係数1/Mを図示せぬメモリから読み出す。
【0076】
そして、ステップS13において、連結点VLおよび連結点VRにおいて積和演算が行なわれる。
【0077】
すなわち、増幅器71Lは、バッファ37Rからデジタル信号DRを読み出して係数1/Mを乗算し、これにより得られた信号を連結点VLに供給する。また、バッファ37Lは、記録しているデジタル信号DLを連結点VLに供給する。これにより、連結点VLでは、デジタル信号DLに、係数1/Mが乗算されたデジタル信号DRが加算され、連結点VLから連結点YLには、次式(1)に示される信号DVLが出力されることになる。
【0078】
DVL=DL+DR×(1/M) ・・・(1)
【0079】
なお、式(1)において、DLおよびDRは、デジタル信号DLおよびデジタル信号DRを示している。このように、デジタル信号DLにゲイン調整したデジタル信号DRを加えることで、右用ヘッドホン31Rから連結点Xを通って、左用ヘッドホン31Lに漏れてくるデジタル信号DRを打ち消すことができる。
【0080】
また、増幅器71Rは、バッファ37Lからデジタル信号DLを読み出して係数1/Mを乗算し、これにより得られた信号を連結点VRに供給する。バッファ37Rは、記録しているデジタル信号DRを連結点VRに供給する。これにより、連結点VRでは、デジタル信号DRに、係数1/Mが乗算されたデジタル信号DLが加算され、連結点VRから連結点YRには、次式(2)に示される信号DVRが出力されることになる。
【0081】
DVR=DR+DL×(1/M) ・・・(2)
【0082】
このように、デジタル信号DRにゲイン調整したデジタル信号DLを加えることで、左用ヘッドホン31Lから連結点Xを通って、右用ヘッドホン31Rに漏れてくるデジタル信号DLを打ち消すことができる。
【0083】
ステップS14において、再生装置本体131は左用マイクロホン32Lからのデジタル信号DLn0、および右用マイクロホン32Rからのデジタル信号DRn0の入力を受け付ける。
【0084】
すなわち、左用マイクロホン32Lは周囲の音声を収音し、その結果得られた信号を、端子MLおよび増幅器40Lを介してA/D変換部41Lに供給する。A/D変換部41Lは、左用マイクロホン32Lから供給された信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換し、その結果得られたデジタル信号DLn0を、連結点ZLに供給する。
【0085】
同様に、右用マイクロホン32Rは周囲の音声を収音し、その結果得られた信号を、端子MRおよび増幅器40Rを介してA/D変換部41Rに供給する。A/D変換部41Rは、右用マイクロホン32Rから供給された信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換し、その結果得られたデジタル信号DRn0を、連結点ZRに供給する。
【0086】
ステップS15において、増幅器81L、増幅器81R、増幅器91L、および増幅器91Rは、予め定められた係数1/Nを図示せぬメモリから読み出す。
【0087】
そして、ステップS16において、連結点ZLおよび連結点ZRにおいて積和演算が行なわれる。
【0088】
すなわち、増幅器81Lは、バッファ37Rからデジタル信号DRを読み出して係数1/Nを乗算し、これにより得られた信号を連結点ZLに供給する。また、増幅器91Lは、バッファ37Lからデジタル信号DLを読み出して係数1/Nを乗算し、これにより得られた信号を連結点ZLに供給する。これにより、連結点ZLでは、次式(3)に示す演算が行なわれ、その結果得られる信号DZLがフィルタ処理部42Lに供給される。
【0089】
DZL=DLn0+((1/N)×DL)+((1/N)×DR) ・・・(3)
【0090】
すなわち、連結点ZLではA/D変換部41Lからのデジタル信号DLn0に、増幅器81Lから供給された係数1/Nが乗算されたデジタル信号DRと、増幅器91Lから供給された係数1/Nが乗算されたデジタル信号DLとが加算されて、信号DZLとされる。
【0091】
このように、デジタル信号DLn0に、ゲイン調整したデジタル信号DRを加えることで、右用ヘッドホン31R通過後、連結点Xから左用マイクロホン32Lを経由して、端子MLに戻ってくるデジタル信号DRを打ち消すことができる。また、デジタル信号DLn0に、ゲイン調整したデジタル信号DLを加えることで、左用ヘッドホン31L通過後、連結点Xから左用マイクロホン32Lを経由して、端子MLに戻ってくるデジタル信号DLを打ち消すことができる。
【0092】
さらに、増幅器81Rは、バッファ37Lからデジタル信号DLを読み出して係数1/Nを乗算し、これにより得られた信号を連結点ZRに供給する。また、増幅器91Rは、バッファ37Rからデジタル信号DRを読み出して係数1/Nを乗算し、これにより得られた信号を連結点ZRに供給する。これにより、連結点ZRでは、次式(4)に示す演算が行なわれ、その結果得られる信号DZRがフィルタ処理部42Rに供給される。
【0093】
DZR=DRn0+((1/N)×DR)+((1/N)×DL) ・・・(4)
【0094】
すなわち、連結点ZRではA/D変換部41Rからのデジタル信号DRn0に、増幅器81Rから供給された係数1/Nが乗算されたデジタル信号DLと、増幅器91Rから供給された係数1/Nが乗算されたデジタル信号DRとが加算されて、信号DZRとされる。
【0095】
このように、デジタル信号DRn0に、ゲイン調整したデジタル信号DLを加えることで、左用ヘッドホン31L通過後、連結点Xから右用マイクロホン32Rを経由して、端子MRに戻ってくるデジタル信号DLを打ち消すことができる。また、デジタル信号DRn0に、ゲイン調整したデジタル信号DRを加えることで、右用ヘッドホン31R通過後、連結点Xから右用マイクロホン32Rを経由して、端子MRに戻ってくるデジタル信号DRを打ち消すことができる。
【0096】
なお、増幅器81Lおよび増幅器91Lと、増幅器81Rおよび増幅器91Rとで同じ係数1/Nが用いられると説明したが、音漏れ比率が異なる場合には、増幅器81Lおよび増幅器91Lと、増幅器81Rおよび増幅器91Rとで異なる係数が用いられてもよい。同様に、増幅器71Lと増幅器71Rで異なる係数が用いられてもよい。
【0097】
ステップS17において、フィルタ処理部42Lおよびフィルタ処理部42Rは、ローパスフィルタ等を用いてフィルタ処理を行う。
【0098】
すなわち、フィルタ処理部42Lは、連結点ZLから供給された信号DZLに対してフィルタ処理を行い、その結果得られた信号DZL’を連結点YLに供給する。また、フィルタ処理部42Rは、連結点ZRから供給された信号DZRに対してフィルタ処理を行い、その結果得られた信号DZR’を連結点YRに供給する。
【0099】
このようにして得られた信号DZL’および信号DZR’に基づいて、左用ヘッドホン31Lおよび右用ヘッドホン31Rで音声を発生させると、発生した音声は、左用マイクロホン32Lおよび右用マイクロホン32Rで収音された音声を打ち消す音声となる。つまり、ノイズキャンセリングが実現される。
【0100】
ステップS18において、連結点YLおよび連結点YRで加算演算が行なわれる。すなわち、連結点YLでは連結点VLからの信号DVLに、フィルタ処理部42Lからの信号DZL’が加算され、その結果得られたデジタル信号DYLが、D/A変換部38Lに供給される。また、連結点YRでは連結点VRからの信号DVRに、フィルタ処理部42Rからの信号DZR’が加算され、その結果得られたデジタル信号DYRが、D/A変換部38Rに供給される。
【0101】
ステップS19において、D/A変換部38LおよびD/A変換部38Rは、連結点YLおよび連結点YRから入力されたデジタル信号DYLおよびデジタル信号DYRを、アナログ信号に変換し、出力する。
【0102】
D/A変換部38Lから出力された信号は、端子SLを介して左用ヘッドホン31Lに供給され、左用ヘッドホン31Lは、端子SLから供給された信号に基づいて音声を出力する。また、D/A変換部38Rから出力された信号は、端子SRを介して右用ヘッドホン31Rに供給され、右用ヘッドホン31Rは、端子SRから供給された信号に基づいて音声を出力する。
【0103】
ステップS20において、再生装置本体131は、音楽信号の再生を終了するか否かを判定する。例えば、ユーザにより再生の終了が指示された場合や、指定された音楽信号が全て再生された場合などに、再生を終了すると判定される。
【0104】
ステップS20において、再生を終了しないと判定された場合、処理はステップS11に戻り、上述した処理が繰り返される。これに対して、ステップS20において、再生を終了すると判定された場合、音声再生処理は終了する。
【0105】
以上のようにして、音声再生装置121は、左用マイクロホン32Lと右用マイクロホン32Rで収音されて得られた信号に、ゲイン調整したデジタル信号DLとデジタル信号DRを加算する。これにより、再生対象の音楽信号のうちの、左用マイクロホン32Lや右用マイクロホン32Rを経由して漏れてくる信号を打ち消すことができ、ヘッドホン22における音漏れをより低減させることができる。
【0106】
このように音声再生装置121によれば、一方のチャネルのヘッドホンから他方のチャネルのヘッドホンへの音漏れだけでなく、ノイズキャンセリング用の回路からの音漏れも低減させることができる。したがって、再生される音声の音質を向上させることができる。
【0107】
〈第2の実施の形態〉
[音声再生装置の構成]
なお、以上においては、ノイズキャンセリング用の回路から漏れてくる、再生対象の音楽信号を低減させる手法について説明したが、音声再生装置121では、左用マイクロホン32Lや右用マイクロホン32Rで収音された音声の信号の音漏れも生じる。
【0108】
そこで、左用マイクロホン32Lや右用マイクロホン32Rで収音された音声の信号の音漏れを低減させる信号を、左右のチャネルの音楽信号に加算するようにしてもよい。そのような場合、例えば音声再生装置は、図7に示す構成とされる。なお、図7において、図5における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0109】
図7の音声再生装置161は、5極端子のヘッドホン22と再生装置本体171とから構成され、ヘッドホン22が5つの端子ML、端子SL、端子G、端子SR、および端子MRにより再生装置本体171に接続されている。
【0110】
再生装置本体171と図5の再生装置本体131とは、増幅器71Lおよび増幅器71Rの配置位置のみが異なり、他の点は同じ構成とされている。
【0111】
すなわち、図7の再生装置本体171では、増幅器71Lの入力端子は連結点YRとD/A変換部38Rの間に接続されており、増幅器71Lの出力端子は連結点YLとD/A変換部38Lの間に接続されている。そのため、増幅器71Lの出力端子が接続される連結点VLは、連結点YLとD/A変換部38Lの間に位置している。
【0112】
同様に、再生装置本体171では、増幅器71Rの入力端子は連結点YLとD/A変換部38Lの間に接続されており、増幅器71Rの出力端子は連結点YRとD/A変換部38Rの間に接続されている。そのため、増幅器71Rの出力端子が接続される連結点VRは、連結点YRとD/A変換部38Rの間に位置している。
【0113】
なお、連結点VLは、増幅器71Rの入力端子の接続点よりもD/A変換部38L側に位置しており、連結点VRは、増幅器71Lの入力端子の接続点よりもD/A変換部38R側に位置している。
【0114】
ところで、図7に示すように、バッファ37Lとバッファ37Rに供給される音楽信号の振幅が「0」であり、左用マイクロホン32Lでの収音により、騒音信号BLが得られたとする。
【0115】
この騒音信号BLは、A/D変換部41Lでデジタル信号に変換され、連結点ZLを通過した後、さらにフィルタ処理部42Lでノイズキャンセリング信号に加工される。そして、ノイズキャンセリング信号は、D/A変換部38Lでアナログ信号に変換され、端子SLを通って左用ヘッドホン31Lで再生される。これにより、左用ヘッドホン31Lからは、騒音信号BLの音声とは逆位相の音声が発せられて騒音が打ち消され、ノイズキャンセリングが実現される。
【0116】
この例では、音楽信号の振幅は「0」とされているが、左用ヘッドホン31Lに何らかの信号が流れることで、左用ヘッドホン31Lから音声が出力されるという点では、音楽信号を再生する場合も、ノイズキャンセリング信号を再生する場合も同じである。
【0117】
そのため、左用ヘッドホン31Lで再生されたノイズキャンセリング信号も、音楽信号と同様に、連結点Xを通って右用ヘッドホン31Rに漏れ出し、右用ヘッドホン31Rから本来不要な音声が発生することになる。
【0118】
しかし、ノイズキャンセリング信号の音漏れの原理は、音楽信号が漏れる場合と全く同じであるため、ノイズキャンセリング信号の音漏れも音楽信号と同様にして低減させることが可能である。
【0119】
なお、実際には、左用マイクロホン32Lは、ユーザの左耳の外側に位置するように設けられ、ユーザの左耳には、耳をふさぐように左用ヘッドホン31Lが装着されるので、ユーザの左耳で知覚される騒音は、左用マイクロホン32Lで収音された騒音とは異なる。
【0120】
そのため、より詳細にはフィルタ処理部42Lでは、ユーザの左耳で実際に知覚される騒音を打ち消す音声が再生されるようなノイズキャンセリング信号が生成されるが、以下では、ユーザの耳に到達する騒音の減衰はないものとして説明を続ける。つまり、左用マイクロホン32Lで収音される騒音と、ユーザの左耳に到達する騒音とが同じであるものとして説明を続ける。なお、フィルタ処理部42Lだけでなく、フィルタ処理部42Rについても同様である。
【0121】
図5では、音楽信号の音漏れのみに着目したため、一方のチャネルの音楽信号にノイズキャンセリング信号が加算される前に、その音楽信号を係数1/Mでゲイン調整し、他方のチャネルの音楽信号に加算していた。つまり、増幅器71Lや増幅器71Rの入力端子は、バッファ37Rとバッファ37Lに接続されていた。
【0122】
これに対して、再生装置本体171では、一方のチャネルの音楽信号が、その音楽信号にノイズキャンセリング信号が加算された後に、係数1/Mでゲイン調整され、他方のチャネルの音楽信号に加算される。
【0123】
したがって、例えば左チャネルのノイズキャンセリング信号がゲイン調整されて、右チャネルの音楽信号に加算される。そのため、左用ヘッドホン31Lから、連結点Xを介して右用ヘッドホン31Rに漏れてくる左チャネルのノイズキャンセリング信号が、右チャネルの音楽信号に加算されたゲイン調整後のノイズキャンセリング信号により打ち消される。これにより、右用ヘッドホン31Rにおいて、ノイズキャンセリング信号の音漏れを低減させることができる。同様に、左用ヘッドホン31Lにおいても、ノイズキャンセリング信号の音漏れが低減される。
【0124】
[音声再生処理の説明]
次に、図8のフローチャートを参照して、図7の音声再生装置161により行なわれる音声再生処理について説明する。なお、ステップS51の処理は、図6のステップS11の処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0125】
ステップS52において、再生装置本体171は左用マイクロホン32Lからのデジタル信号DLn0、および右用マイクロホン32Rからのデジタル信号DRn0の入力を受け付ける。
【0126】
すなわち、左用マイクロホン32Lは周囲の音声を収音し、その結果得られた信号を、端子MLおよび増幅器40Lを介してA/D変換部41Lに供給する。A/D変換部41Lは、左用マイクロホン32Lから供給された信号をデジタル信号DLn0に変換し、連結点ZLに供給する。
【0127】
同様に、右用マイクロホン32Rは周囲の音声を収音し、その結果得られた信号を、端子MRおよび増幅器40Rを介してA/D変換部41Rに供給する。A/D変換部41Rは、右用マイクロホン32Rから供給された信号をデジタル信号DRn0に変換し、連結点ZRに供給する。
【0128】
ステップS53において、増幅器81L、増幅器81R、増幅器91L、および増幅器91Rは、予め定められた係数1/Nを図示せぬメモリから読み出す。
【0129】
そして、ステップS54において、連結点ZLおよび連結点ZRにおいて積和演算が行なわれる。すなわち、ステップS54では、図6のステップS16の処理と同様の処理が行われる。これにより、上述した式(3)の演算で得られた信号DZLが、連結点ZLからフィルタ処理部42Lに供給されるとともに、式(4)の演算で得られた信号DZRが、連結点ZRからフィルタ処理部42Rに供給される。
【0130】
ステップS55において、フィルタ処理部42Lおよびフィルタ処理部42Rは、ローパスフィルタ等を用いてフィルタ処理を行う。
【0131】
すなわち、フィルタ処理部42Lは、連結点ZLから供給された信号DZLに対してフィルタ処理を行い、その結果得られた信号DZL’を連結点YLに供給する。また、フィルタ処理部42Rは、連結点ZRから供給された信号DZRに対してフィルタ処理を行い、その結果得られた信号DZR’を連結点YRに供給する。
【0132】
ステップS56において、連結点YLおよび連結点YRで加算演算が行なわれる。
【0133】
すなわち、連結点YLではバッファ37Lから読み出された左チャネルの音楽信号に、フィルタ処理部42Lからの信号DZL’が加算され、その結果得られたデジタル信号DYLが、連結点VLおよび増幅器71Rに供給される。また、連結点YRではバッファ37Rから読み出された右チャネルの音楽信号に、フィルタ処理部42Rからの信号DZR’が加算され、その結果得られたデジタル信号DYRが、連結点VRおよび増幅器71Lに供給される。
【0134】
ステップS57において、増幅器71Lおよび増幅器71Rは、予め定められた係数1/Mを図示せぬメモリから読み出す。
【0135】
そして、ステップS58において、連結点VLおよび連結点VRにおいて積和演算が行なわれる。
【0136】
すなわち、増幅器71Lは、連結点YRから供給されたデジタル信号DYRに係数1/Mを乗算し、これにより得られた信号を連結点VLに供給する。これにより、連結点VLでは、連結点YLからのデジタル信号DYLに、係数1/Mが乗算されたデジタル信号DYRが加算され、連結点VLからD/A変換部38Lには、次式(5)に示される信号DVLが出力されることになる。
【0137】
DVL=DYL+DYR×(1/M) ・・・(5)
【0138】
なお、式(5)において、DYLおよびDYRは、デジタル信号DYLおよびデジタル信号DYRを示している。このように、再生装置本体171は、右用マイクロホン32Rで収音された音声から生成されたノイズキャンセリング信号が含まれるデジタル信号DYRを、ゲイン調整してデジタル信号DYLに加算する。これにより、右用ヘッドホン31Rから連結点Xを通って、左用ヘッドホン31Lに漏れてくるノイズキャンセリング信号を打ち消すことができる。
【0139】
また、増幅器71Rは、連結点YLから供給されたデジタル信号DYLに係数1/Mを乗算し、これにより得られた信号を連結点VRに供給する。これにより、連結点VRでは、連結点YRからのデジタル信号DYRに、係数1/Mが乗算されたデジタル信号DYLが加算され、連結点VRからD/A変換部38Rには、次式(6)に示される信号DVRが出力されることになる。
【0140】
DVR=DYR+DYL×(1/M) ・・・(6)
【0141】
このように、再生装置本体171は、左用マイクロホン32Lで収音された音声から生成されたノイズキャンセリング信号が含まれるデジタル信号DYLを、ゲイン調整してデジタル信号DYRに加算する。これにより、左用ヘッドホン31Lから連結点Xを通って、右用ヘッドホン31Rに漏れてくるノイズキャンセリング信号を打ち消すことができる。
【0142】
ステップS58の処理が行われると、その後、ステップS59およびステップS60の処理が行われて音声再生処理は終了するが、これらの処理は図6のステップS19およびステップS20の処理と同様であるので、その説明は省略する。但し、ステップS59では、信号DVLおよび信号DVRが、D/A変換部38LおよびD/A変換部38Rでアナログ信号に変換され、左用ヘッドホン31Lおよび右用ヘッドホン31Rに供給される。
【0143】
以上のようにして、音声再生装置161は、ノイズキャンセリング信号が加算され、さらにゲイン調整が行なわれた一方のチャネルの音楽信号を、他方のチャネルの音楽信号に加算する。これにより、一方のチャネルのヘッドホンから、他方のチャネルのヘッドホンに漏れてくるノイズキャンセリング信号を打ち消すことができ、ヘッドホン22における音漏れをより低減させることができる。
【0144】
このように音声再生装置161によれば、一方のチャネルのヘッドホンから他方のチャネルのヘッドホンに漏れてくる、音楽信号とノイズキャンセリング信号を低減させ、さらにノイズキャンセリング用の回路からの音漏れも低減させることができる。したがって、再生される音声の音質を向上させることができるとともに、ノイズキャンセリングの性能も向上させることができる。
【0145】
〈変形例〉
[音声再生装置の構成]
なお、図7の再生装置本体171は、左右のチャネルの音楽信号が読み出された後、それぞれ個別にゲイン調整されて、連結点ZLや連結点ZRに入力される構成とされているが、これらの音楽信号のゲイン調整に用いられる係数1/Nは、全て同じ値となっている。そこで、再生装置本体171の部品点数を削減するため、左右のチャネルの音楽信号をモノラル化した後、係数1/Nを用いてゲイン調整し、連結点ZLや連結点ZRに入力するようにしてもよい。
【0146】
そのような場合、音声再生装置161は、例えば図9に示す構成とされる。なお、図9において、図7における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0147】
図9の音声再生装置161は、増幅器81L、増幅器81R、増幅器91L、および増幅器91Rに代えて、バッファ201、増幅器202L、および増幅器202Rが設けられている点で、図7の音声再生装置161と異なり、他の構成は図7の音声再生装置161と同じとされている。
【0148】
図9の再生装置本体171では、バッファ201には、バッファ37Lから読み出された左チャネルの音楽信号と、バッファ37Rから読み出された右チャネルの音楽信号とが供給される。バッファ201は、バッファ37Lからの音楽信号とバッファ37Rからの音楽信号とを加算することで音楽信号をモノラル化し、その結果得られた音楽信号を増幅器202Lおよび増幅器202Rに供給する。
【0149】
増幅器202Lおよび増幅器202Rは、図7の増幅器81Lおよび増幅器81Rと同じ動作を行う。すなわち、増幅器202Lは、バッファ201から供給された音楽信号に、予め定められた係数1/Nを乗算することで音楽信号のゲイン調整を行ない、係数1/Nが乗算された音楽信号を連結点ZLに供給する。また、増幅器202Rは、バッファ201から供給された音楽信号に、予め定められた係数1/Nを乗算することで音楽信号のゲイン調整を行ない、係数1/Nが乗算された音楽信号を連結点ZRに供給する。
【0150】
したがって、結局、連結点ZLと連結点ZRのそれぞれには、係数1/Nが乗算された左右のチャネルの音楽信号が供給されることになり、図9の音声再生装置161では、図7の音楽再生装置161における場合と同じ効果が得られることになる。
【0151】
このように、図9の音声再生装置161によれば、再生装置本体171を構成する部品の数を削減することができ、音声再生装置161の小型化を図ることができる。
【0152】
なお、図5の音声再生装置121においても、連結点ZLや連結点ZRには、同じ係数1/Nでゲイン調整された左右のチャネルの音楽信号が入力されるので、図9における場合と同様に、それらの音楽信号が加算されてからゲイン調整されるようにしてもよい。
【0153】
また、以上においては、説明を簡単にするために、音声再生装置121や音声再生装置161の一部がデジタル回路で構成される場合について説明したが、音声再生装置121や音声再生装置161が全てアナログ回路で構成されてもよい。但し、音声再生装置をアナログ回路で構成しようとすると部品点数が増加するため、デジタル回路を用いて音声再生装置を実現する方が、部品点数やコストを削減することができる。
【0154】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0155】
22 ヘッドホン, 31L 左用ヘッドホン, 31R 右用ヘッドホン, 32L 左用マイクロホン, 32R 右用マイクロホン, 71L 増幅器, 71R 増幅器, 81L 増幅器, 81R 増幅器, 91L 増幅器, 91R 増幅器, 121 音声再生装置, 131 再生装置本体, 161 音声再生装置, 171 再生装置本体, 201 バッファ, 202L 増幅器, 202R 増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号入力線から入力された第1の音声信号に基づいて、音声を出力する第1の音声出力手段と、
前記第1の信号入力線に接続され、周囲の音声を収音する第1の収音手段と、
第2の信号入力線から入力された第2の音声信号に基づいて、音声を出力する第2の音声出力手段と、
前記第2の信号入力線に接続され、周囲の音声を収音する第2の収音手段と、
前記第1の音声出力手段、前記第2の音声出力手段、前記第1の収音手段、および前記第2の収音手段と、グラウンドとを接続する接続線と、
少なくとも前記第1の音声出力手段から、前記接続線および前記第2の収音手段を介して前記第2の信号入力線に漏れてくる前記第1の音声信号である第1の音漏れ信号を、前記第1の音声信号を用いて低減させるか、または前記第2の音声出力手段から、前記接続線および前記第2の収音手段を介して前記第2の信号入力線に漏れてくる前記第2の音声信号である第2の音漏れ信号を、前記第2の音声信号を用いて低減させる第1の低減手段と
を備える信号処理装置。
【請求項2】
前記第1の低減手段は、前記接続線から前記第2の収音手段に漏れる前記第1の音声信号の音漏れ比率に基づいて減衰させた前記第1の音声信号を、前記第1の音漏れ信号に加算することで、前記第1の音漏れ信号を低減させる
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記第2の信号入力線と、前記第2の収音手段との間に設けられ、前記第2の収音手段により収音された前記周囲の音声の信号に対してフィルタ処理を施して、前記第2の音声出力手段から、前記周囲の音声を打ち消す音声を出力するためのノイズキャンセリング信号を生成し、前記ノイズキャンセリング信号を、前記第2の信号入力線を介して前記第2の音声出力手段に出力するノイズキャンセリング手段をさらに備え、
前記第1の低減手段は、前記第2の収音手段から前記ノイズキャンセリング手段に入力される前記第1の音漏れ信号に、前記減衰させた前記第1の音声信号を加算する
請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記第1の低減手段は、前記接続線から前記第2の収音手段に漏れる前記第2の音声信号の音漏れ比率に基づいて減衰させた前記第2の音声信号を、前記第2の音漏れ信号に加算することで、前記第2の音漏れ信号を低減させる
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記第2の信号入力線と、前記第2の収音手段との間に設けられ、前記第2の収音手段により収音された前記周囲の音声の信号に対してフィルタ処理を施して、前記第2の音声出力手段から、前記周囲の音声を打ち消す音声を出力するためのノイズキャンセリング信号を生成し、前記ノイズキャンセリング信号を、前記第2の信号入力線を介して前記第2の音声出力手段に出力するノイズキャンセリング手段をさらに備え、
前記第1の低減手段は、前記第2の収音手段から前記ノイズキャンセリング手段に入力される前記第2の音漏れ信号に、前記減衰させた前記第2の音声信号を加算する
請求項4に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記第1の信号入力線と、前記第2の信号入力線との間に設けられ、前記第1の信号入力線において、前記第1の収音手段により収音された周囲の音声の信号から生成された信号が加算された前記第1の音声信号を、前記第1の音声出力手段から、前記接続線を介して前記第2の音声出力手段に漏れる前記第1の音声信号の音漏れ比率に基づいて減衰させ、前記減衰させた前記第1の音声信号を前記第2の信号入力線に出力する第2の低減手段をさらに備える
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項7】
第1の信号入力線から入力された第1の音声信号に基づいて、音声を出力する第1の音声出力手段と、
前記第1の信号入力線に接続され、周囲の音声を収音する第1の収音手段と、
第2の信号入力線から入力された第2の音声信号に基づいて、音声を出力する第2の音声出力手段と、
前記第2の信号入力線に接続され、周囲の音声を収音する第2の収音手段と、
前記第1の音声出力手段、前記第2の音声出力手段、前記第1の収音手段、および前記第2の収音手段と、グラウンドとを接続する接続線と、
少なくとも前記第1の音声出力手段から、前記接続線および前記第2の収音手段を介して前記第2の信号入力線に漏れてくる前記第1の音声信号である第1の音漏れ信号を、前記第1の音声信号を用いて低減させるか、または前記第2の音声出力手段から、前記接続線および前記第2の収音手段を介して前記第2の信号入力線に漏れてくる前記第2の音声信号である第2の音漏れ信号を、前記第2の音声信号を用いて低減させる低減手段と
を備える信号処理装置の信号処理方法であって、
前記第1の音声出力手段が、前記第1の信号入力線から入力された前記第1の音声信号に基づいて音声を出力し、
前記第2の音声出力手段が、前記第2の信号入力線から入力された前記第2の音声信号に基づいて音声を出力し、
前記低減手段が、少なくとも前記第1の音漏れ信号を前記第1の音声信号を用いて低減させるか、または前記第2の音漏れ信号を前記第2の音声信号を用いて低減させる
ステップを含む信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−54812(P2012−54812A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196646(P2010−196646)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】