説明

信号取込装置

【課題】撮像装置から出力された情報とセンサから出力された情報とを保存し、かつ両者を関連付けて利用することを可能にする。
【解決手段】カメラ2から画像信号が入力されるカメラ制御部11と、センサ3a〜3cからセンサ信号が入力されるセンサ信号処理部12とを備える。カメラ制御部11は画像信号を画像データに変換し、センサ信号処理部12はセンサ信号をセンサデータに変換する。画像データとセンサデータとは、デジタルデータ制御部10を介して画像データ保存用メモリ14とセンサデータ保存用メモリ15とにそれぞれ保存される。また、保存された画像データとセンサデータとは、検査装置4からの指示により検査装置4に読み出される。画像データ保存用メモリ14に保存する画像データと、センサデータ保存用メモリ15に保存するセンサデータとは、検査装置4からのコマンドにより指示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサから出力されるアナログ信号と撮像装置から出力される画像信号との少なくとも一方を取り込んでデジタルデータに変換した後に外部装置に与える信号取込装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、工場において製品を製造する工程では、製品自体が発生する音や振動に含まれる情報を抽出したり、製品に音波や振動を作用させたときの応答に含まれる情報を抽出することにより、製品の良否や工作機械の異常の有無を判定することがある。このような判定に際しては、音波や振動を検出するためのセンサ(マイクロホン、振動ピックアップ、加速度センサなど)が用いられる。
【0003】
同様に、設備機器から発生する異常音や異常振動をセンサにより検出し、ニューラルネットワークを用いて設備機器が正常か異常かを判定する技術も提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−96305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のように、マイクロホン、振動ピックアップ、加速度センサなどのセンサの出力を用いて正常か異常かを判断する技術では、対象物の欠けや歪みのような異常の箇所は検査員が目視で検査することになる。目視検査を行った場合、外観の異常とセンサの出力との関係を対応付けることができない。
【0005】
外観の異常をセンサの出力に対応付けるために、別途に撮像装置を用いて撮像し、画像信号とともにセンサから出力されたセンサ信号を保存することも考えられているが、センサ信号を扱う装置と画像信号を扱う装置とが個別に必要になる。したがって、自動検査ラインで用いることは困難である。また、センサ信号と画像信号とを個別に扱う装置では、同期やセッティングに時間を要するという問題もある。
【0006】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、撮像装置から出力された情報とセンサから出力された情報とを保存するとともに、関連付けて利用することを可能にした信号取込装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の目的を達成するために、撮像装置からの画像信号が入力される画像入力手段と、アナログ信号を出力するセンサからのセンサ信号が入力されるセンサ入力手段と、画像信号とセンサ信号とをそれぞれデジタルデータである画像データとセンサデータとに変換する信号変換手段と、画像信号を保存する画像データ保存手段と、センサデータを保存するセンサデータ保存手段と、画像データ保存手段に保存された画像データとセンサデータ保存手段に保存されたセンサデータとを外部装置に出力可能でありかつ外部装置からの指示が入力可能である入出力手段と、画像データ保存手段に保存する画像データとセンサデータ保存手段に保存するセンサデータとを外部装置からの指示により選択するデータ選択手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
データ選択手段は、画像入力手段に入力される画像信号と、センサ入力手段に入力されるセンサ信号と、入出力手段を通して外部装置から与えられる指示との少なくとも1種類に関するトリガ条件が外部装置から与えられ、トリガ条件の成立時に画像データとセンサデータとの少なくとも一方を保存する構成を採用することができる。
【0009】
この場合、データ選択手段は、トリガ条件の成立時における画像データとセンサデータとの少なくとも一方に関する保存の範囲を規定する取込条件が、外部装置により指示される構成とするのが望ましい。
【0010】
入出力手段は、画像データ保存手段から外部装置に読み出す画像データとセンサデータ保存手段から外部装置に読み出すセンサデータとを外部装置からの指示により選択する構成を採用することができる。
【0011】
この場合、入出力手段は、センサデータ保存手段に保存されたセンサデータが規定の判定条件を満たすと、判定条件が成立した時点の前後の所定の時間範囲に対応した画像データを画像データ保存手段から外部装置に出力する構成を採用することができる。
【0012】
あるいはまた、入出力手段は、画像データ保存手段に保存された画像データが規定の判定条件を満たすと、判定条件が成立した時点の前後の所定の時間範囲に対応したセンサデータをセンサデータ保存手段から外部装置に出力する構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成によれば、撮像装置から出力された情報とセンサから出力された情報とを保存し、しかも、保存する情報を外部装置から指示可能にしたことにより、両情報を関連付けて外部装置で利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に説明する実施形態では、図1のように、撮像装置としての1台のカメラ2と、複数個(図示例では3個)のセンサ3a〜3cとを接続可能とした構成例を説明する。外部装置は、検査装置4であって、カメラ2から出力される画像信号とセンサ3a〜3cから出力されるセンサ信号とを用いて、対象物について各種の検査項目に関する検査を行うものとする。
【0016】
たとえば、対象物としての工作機械の異常の有無を監視するための検査装置4を想定する。センサ3a〜3cには、音・振動を検出するマイクロホンや振動ピックアップ、加速度センサ、圧力センサ、ポジションセンサ、温度センサ、光センサ、電流センサなどがある。検査装置4では、センサ3a〜3cの出力が工作機械の異常を示すときに、工作機械の要部の画像によって異常の有無や種類を目視検査することが可能になる。この用途は一例であって、用途を限定する主旨ではない。また、図示例のカメラ2の台数やセンサ3a〜3cの個数は一例であって、数を限定する主旨ではない。
【0017】
本実施形態では、検査装置4との間でデータを授受するために、カメラリンクとして規格化されているフォーマットのデジタル信号を用いている。したがって、検査装置4と接続するためのインターフェイスとしてカメラリンク変換部16を設けている。カメラリンク規格に準拠した仕様を用いると、雑音による通信エラーの発生が少なく通信の信頼性を確保できるから、工業用途に適した通信が可能である。また、カメラリンク規格に準拠したインターフェイスを用いているから、検査装置4は、汎用のパーソナルコンピュータにフレームグラバを付加して構成することが可能である。
【0018】
ただし、検査装置4との間の通信の仕様はどのようなものでもよく、USB(Universal Serial Bus)やRS−232C、RS−485などの種々の仕様を用途に応じて採用することが可能である。また、検査装置4は、マイクロコンピュータを備える専用装置として構成されるものでもよい。
【0019】
検査装置4との間の信号線Lsは、カメラリンク規格に準拠しており、デジタルデータを伝送するデータ線と、データ線を通して伝送するデジタルデータの同期信号を伝送する同期線と、クロック信号を伝送するクロック線とを含む。また、検査装置4からの指示を信号取込装置1に与えるための制御線(UART信号線)も信号線Lsに含まれる。
【0020】
カメラ2から出力される映像信号はカメラ制御部11に入力され、センサ3a〜3cから出力されるアナログ信号はセンサ信号処理部12に入力される。すなわち、カメラ制御部11は、カメラ2からの画像信号(図1では各要素間を結合する実線により画像信号または画像データの流れを示している)が入力される1チャンネルの画像入力手段として機能する。また、センサ信号処理部12は、センサ3a〜3cからのアナログ信号であるセンサ信号(図1では各要素間を結合する一点鎖線によりセンサ信号またはセンサデータの流れを示している)が入力される複数チャンネルのセンサ入力手段として機能する。
【0021】
また、カメラ制御部11からカメラ2に対して制御信号(図1では各要素間を結合する破線により制御信号の流れを示している)を与えることにより、カメラ2の制御が可能になっている。具体的には、カメラ制御部11では、カメラ2の起動のほかカメラ2の視野(方向および画角)を指示することが可能になっている。
【0022】
カメラ2から出力された画像信号はデジタル信号であり、カメラ制御部11は、カメラ(デジタル出力)の種類に応じて、必要なパラメータを変更する機能を有している。したがって、カメラ2の種類が異なっていても画像を正しく取得し、画像データとして出力することができる。ここに、カメラの種類には、2倍速カメラ、4倍速カメラ、1画面のサイズ(VGA、SVGAなど)がある。また、カメラ制御部11が変更するパラメータには、ピクセルデータ数、水平/垂直ライン数のカウント値、イネーブル信号タイミングなどがある。
【0023】
一方、センサ3a〜3cから出力されたセンサ信号はアナログ信号であるから、センサ信号処理部12は、アナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換の機能も備える。すなわち、カメラ制御部11は画像信号を調整して画像データに変換する信号変換手段として機能し、また、センサ信号処理部12は、センサ信号をデジタルデータであるセンサデータに変換する信号変換手段として機能する。
【0024】
センサ信号処理部12では、センサ信号に対するゲイン、センサ信号の通過周波数帯域あるいは阻止周波数帯域、A/D変換のサンプリング周波数がパラメータとして調節可能になっている。これらのパラメータは、センサデータ制御部13からの制御信号により指示される。また、センサ信号処理部12には複数チャンネルのセンサ3a〜3cが接続されるから、センサ信号を取り込むセンサ3a〜3cのチャンネルも制御信号により指定可能になっている。センサデータ制御部13については後述する。
【0025】
カメラ制御部11から出力される画像データはデジタルデータ制御部10に入力される。一方、センサ信号処理部12から出力されるセンサデータは、センサデータ制御部13を通してデジタルデータ制御部10に入力される。
【0026】
デジタルデータ制御部10には、画像データを保存する画像データ保存手段としての画像データ保存用メモリ14と、センサデータを保存するセンサデータ保存手段としてのセンサデータ保存用メモリ15とが接続される。デジタルデータ制御部10は、画像データ保存用メモリ14に対して画像データの保存と読出とを行い、センサデータ保存用メモリ15に対してセンサデータの保存と読出とを行う。
【0027】
さらに、デジタルデータ制御部10には、カメラリンク変換部16が接続されている。画像データ保存用メモリ14から読み出した画像データおよびセンサデータ保存用メモリ15から読み出したセンサデータは、カメラリンク変換部16を通して検査装置4に転送される。
【0028】
デジタルデータ制御部10は、画像データ保存用メモリ14に保存する画像データと、センサデータ保存用メモリ15に保存するセンサデータとを選択する機能を備える。また、デジタルデータ制御部10は、画像データ保存用メモリ14から読み出して検査装置4に転送する画像データと、センサ保存用メモリ15から読み出して検査装置4に転送するセンサデータとを選択する機能を備える。
【0029】
画像データ保存用メモリ14とセンサデータ保存用メモリ15とに対して保存または読出を行うデータは、検査装置4からカメラリンク変換部16を通して通知されるコマンドにより指示される。すなわち、信号取込装置1は、検査装置4から指示されたコマンドを受け取るコマンド通信制御部17を備え、コマンド通信制御部17でコマンドによる指示内容を解読し、デジタルデータ制御部10およびセンサデータ制御部13に通知する。コマンド通信制御部17は、デジタルデータ制御部10およびセンサデータ制御部13からの応答を検査装置4に返送する機能も備える。
【0030】
上述のように、デジタルデータ制御部10とセンサデータ制御部13とコマンド通信制御部17とは、画像データ保存用メモリ14およびセンサデータ保存用メモリ15に対して保存や読出を行う画像データとセンサデータとを選択するデータ選択手段として機能する。
【0031】
上述のように、センサデータ制御部13は、センサ信号処理部12について上述したパラメータを設定する機能と、センサ信号処理部12から受け取ったセンサデータをデジタルデータ制御部10に受け渡す機能とを有する。さらに、センサデータ制御部13は、センサ信号が規定の情報を含むか否かを判断する機能を有する。
【0032】
センサ信号に含まれる情報とは、センサ信号の振幅、特定周波数の周波数成分の大きさのようなセンサ信号の特定の属性(単純なオンオフもある)が指定した条件を満たすか否かの情報のことである。たとえば、センサデータ制御部13は、振幅や周波数成分に対しては大きさの範囲を指定し、指定した範囲に含まれるときに、規定の情報を含むと判断する。センサデータ制御部13は、センサ信号に規定の情報が含まれていると判断するとフラグを設定し、フラグの設定をデジタルデータ制御部10に通知する。
【0033】
センサデータ制御部13に対する条件の設定は検査装置4から行う。すなわち、検査装置4からカメラリンク16とコマンド通信制御部17とを介してデジタルデータ制御部10に対して条件を指定すると、デジタルデータ制御部10がセンサデータ制御部13に対して条件の設定を行う。
【0034】
同様にして、検査装置4からの指定によりカメラ制御部11に対しても条件の設定が可能であり、カメラ制御部11では条件の成立時にフラグを設定して、デジタルデータ制御部10にフラグの設定を通知する。カメラ制御部11がフラグを設定する条件は、画像信号の平均輝度、画像の特定領域の平均輝度のような画像内の属性に関して規定される。また、カメラ2にカラーカメラを用いている場合には、画像信号に対する色の属性(色相、彩度、明度)を設定し、特定の色の属性を有する画素の個数などをフラグの設定条件に用いることができる。
【0035】
デジタルデータ制御部10では、カメラ制御部11とセンサデータ制御部13とから入力されるフラグと、検査装置4からの指示とのうちの少なくとも1種類をトリガ条件に用い、画像データとセンサデータとの保存のタイミングを決定する。検査装置4からの指示は、通常は、カメラリンク変換部16およびコマンド通信制御部17とを通してデジタルデータ制御部10に与えるが、検査装置4から外部信号としてデジタルデータ制御部10に与えてもよい。
【0036】
トリガ条件は、上述のように、カメラ制御部11によるフラグの設定と、センサデータ制御部13によるフラグの設定と、検査装置4からの指示とのうちの少なくとも1種類を用いる。複数種類を組み合わせるときには、それらの論理和や論理積を用いてもよい。たとえば、検査装置4から指定された時間帯において、センサデータ制御部13からフラグの設定が通知されたことをトリガ条件としてもよい。
【0037】
ところで、デジタルデータ制御部10では、画像データを画像データ保存用メモリ14に保存する範囲とセンサデータをセンサデータ保存用メモリ15に保存する範囲とを取込条件として規定する。取込条件は、トリガ条件の成立時に保存する範囲であり、画像データとセンサデータとの少なくとも一方について設定される。要するに、トリガ条件により指定されたタイミングに対して、画像データとセンサデータとについてどの範囲を保存するかを規定する。取込条件では、トリガ条件が成立した時点を基準に用いて、画像データとセンサデータとを保存する期間を規定する。
【0038】
すなわち、取込条件において保存開始の時点は、トリガ条件が成立した時点、トリガ条件が成立した時点から一定時間(たとえば、数秒)遡った時点、トリガ条件が成立した時点から一定時間(たとえば、数秒)後の時点を選択することが可能である。また、取込条件において保存終了の時点は、トリガ条件が成立した時点から一定時間後の時点、保存を開始した後に画像データとセンサデータとの少なくとも一方について所定の条件が成立した時点などと規定することができる。取込条件は、トリガ条件と同様に、検査装置4からカメラリンク変換部16およびコマンド通信制御部17を通して指定される。
【0039】
トリガ条件と取込条件とをデジタルデータ制御部10に設定しておくことにより、画像信号(画像データ)とセンサ信号(センサデータ)とについて、検査装置4での検査に必要な範囲だけを関連付けて保存することが可能になる。言い換えると、画像データ保存用メモリ14およびセンサデータ保存用メモリ15の記憶容量の増加を抑制しながらも、必要な情報を保存することができる。
【0040】
たとえば、センサ信号の振幅が閾値以上になることをトリガ条件の成立とし、トリガ条件の成立によって、画像データとセンサデータとをそれぞれ画像データ保存用メモリ14とセンサデータ保存用メモリ15とに保存することができる。また、センサ信号の振幅が閾値以上であり、かつ画像信号について1画面の平均輝度が閾値以上であること(つまり、カメラ制御部11とセンサデータ制御部13とのフラグの論理積)をトリガ条件の成立としてもよい。あるいはまた、検査装置4から外部信号(トリガ信号)が入力されること(あるいは、検査装置4から特定のコマンドが入力されること)をトリガ条件としてもよい。
【0041】
デジタルデータ制御部10は、画像データとセンサデータとの保存の範囲をトリガ条件および取込条件により既定するだけではなく、検査装置4からの指示により、保存した画像データおよびセンサデータを検査装置4に読み出す範囲も選択する。つまり、検査装置4は、検査に必要な情報として、デジタルデータ制御部10に対して、画像データ保存用メモリ14から読み出す画像データとセンサデータ保存用メモリ15から読み出すセンサデータとの範囲を指示することができる。検査装置4からデジタルデータ制御部10への指示は、カメラリンク変換部16およびコマンド通信制御部17を通して行う。
【0042】
検査装置4がデジタルデータ制御部10に指定する範囲としては、たとえば、画像データ保存用メモリ14に保存された画像データおよびセンサデータ保存用メモリ15に保存されたセンサデータのすべてを読み出すように指定することができる。あるいはまた、センサデータはトリガ条件としてのみ使用し、画像データ保存用メモリ14に保存された画像データのみを読み出すように指定してもよい。
【0043】
また、画像データおよびセンサデータの両方について指定した範囲のみを読み出してもよい。さらに、検査に用いているデータによって異常が検出されたときに、検査に用いていないデータを読み出す設定でもよい。たとえば、センサデータのみを対象物の異常の有無の検査に用い、異常の検出時に、確認のために画像データを読み出すように条件を設定することが可能である。
【0044】
さらにまた、センサデータの振幅(所定期間内の極大値と極小値との差分)が規定の閾値以上になった時点の前後の画像データを読み出すようにすることもできる。この例はセンサデータの振幅を判定条件に用いるものである。デジタルデータ制御部10は、センサデータ保存用メモリ15に保存されているセンサデータが判定条件を満たすと、判定条件が成立した時点の前後の所定の時間範囲における画像データを画像データ保存用メモリ14から検査装置4に出力する。時間範囲は、画像データ保存用メモリ14の記憶容量に応じて設定すればよい。
【0045】
デジタルデータ制御部10は、画像データ保存用メモリ14に保存された画像データが規定の判定条件を満たしたときに、判定条件が成立した時点の前後の所定の時間範囲におけるセンサデータをセンサデータ保存用メモリ15から検査装置4に出力してもよい。
【0046】
以上説明したように、デジタルデータ制御部10、カメラリンク変換部16、コマンド通信制御部17は、画像データとセンサデータとを検査装置4に出力可能であり、かつ検査装置4からの指示が入力可能であるから入出力手段として機能する。また、信号取込装置1の主要部分はFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成される。
【0047】
上述した信号取込装置1の動作を簡単にまとめて図2に示す。図2の右欄は検査装置4からのコマンドを示し、左欄は画像データおよびセンサデータを示している。まず、検査装置4から信号取込装置1に対して起動の確認が実施され(S1)、さらに、検査装置4からのコマンドによって、デジタルデータ制御部10、カメラ制御部11、センサ信号処理部12、センサデータ制御部13へのパラメータや条件が設定される(S2)。この条件には、トリガ条件、取込条件、判定条件が含まれる。このような検査のための設定が行われた後、信号の取込開始を指示するコマンドが入力される(S3)。
【0048】
このコマンドによって、カメラ2からの画像信号とセンサ3a〜3cからのセンサ信号との取込を開始する(S4)。ここで、設定されたトリガ条件に従って、取込条件を満たす範囲で画像データとセンサデータとを、画像データ保存用メモリ14とセンサデータ保存用メモリ15とにそれぞれ保存する(S6)。
【0049】
一方、検査装置4からはトリガ条件の成立が確認される(S5)。つまり、画像データとセンサデータとが保存されているか否かが確認される。その後、検査装置4から保存したデータを読み出す指示がなされる(S7)。このとき、保存された画像データとセンサデータとを読み出す範囲(データ量)あるいは判定条件についても検査装置4から指示される。読み出す範囲には、センサ3a〜3cのチャンネルも含まれる。
【0050】
検査装置4からのコマンドにより画像データとセンサデータとの読出が指示されると、画像データ保存用メモリ14とセンサデータ保存用メモリ15とから所要のデータを読み出す(S8)。さらに、読み出した画像データとセンサデータとを、カメラリンク規格に準拠する信号に変換し(S9)、変換後の信号は検査装置4に転送する(S10)。
【0051】
検査装置4では、検査に必要な所要の画像データとセンサデータとの読出が終了するまで、信号取込装置1からの読出を繰り返して指示した後、これらのデータを用いて必要な検査を行う。以後は、ステップS2における検査設定後の動作、つまり画像データおよびセンサデータの保存と読出とを繰り返し、必要な検査を行う。また、ステップS3、S7では、ステップS2における検査設定の内容を変更するコマンドを検査装置4から与えることも可能になっている。
【0052】
ところで、本実施形態は、カメラリンク規格に準拠する通信プロトコルを用いているから、検査装置4からのコマンドはUART通信により行う。すなわち、下記のようなフォーマットでコマンドを送信する。ここでは、ステップS2の検査設定のためのコマンドを例として説明する。
【0053】
コマンドの先頭と末尾とには、それぞれヘッダ(STX)とフッタ(ETX)とが付加され、ヘッダとフッタとの間には、設定処理コマンド、設定データ(設定する条件の内容)が指定される。たとえば、3個のセンサ3a〜3cのうち2個のセンサ3a,3bのみを用いるとすれば、センサ3a,3bを用いるという内容が設定データに含まれる。また、センサの個数は設定処理コマンドにより指示される。つまり、[STX、設定処理コマンド(0x10=2個)、設定データ(0x31=使用)、設定データ(0x31)、設定データ(0x30=非使用)、ETX]という形式のコマンドを用いる。他のコマンドについても同様の形式を採用すればよい。
【符号の説明】
【0054】
1 信号取込装置
2 カメラ
3a〜3c センサ
4 検査装置
10 デジタルデータ制御部(データ選択手段、入出力手段)
11 カメラ制御部(画像入力手段、信号変換手段)
12 センサ信号処理部(センサ入力手段、信号変換手段)
13 センサデータ制御部(データ選択手段)
14 画像データ保存用メモリ(画像データ保存手段)
15 センサデータ保存用メモリ(センサデータ保存手段)
16 カメラリンク変換部(入出力手段)
17 コマンド通信制御部(データ選択手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置からの画像信号が入力される画像入力手段と、アナログ信号を出力するセンサからのセンサ信号が入力されるセンサ入力手段と、画像信号とセンサ信号とをそれぞれデジタルデータである画像データとセンサデータとに変換する信号変換手段と、画像信号を保存する画像データ保存手段と、センサデータを保存するセンサデータ保存手段と、前記画像データ保存手段に保存された画像データと前記センサデータ保存手段に保存されたセンサデータとを外部装置に出力可能でありかつ前記外部装置からの指示が入力可能である入出力手段と、前記画像データ保存手段に保存する画像データと前記センサデータ保存手段に保存するセンサデータとを前記外部装置からの指示により選択するデータ選択手段とを備えることを特徴とする信号取込装置。
【請求項2】
前記データ選択手段は、前記画像入力手段に入力される画像信号と、前記センサ入力手段に入力されるセンサ信号と、前記入出力手段を通して前記外部装置から与えられる指示との少なくとも1種類に関するトリガ条件が前記外部装置から与えられ、トリガ条件の成立時に画像データとセンサデータとの少なくとも一方を保存することを特徴とする請求項1記載の信号取込装置。
【請求項3】
前記データ選択手段は、トリガ条件の成立時における画像データとセンサデータとの少なくとも一方に関する保存の範囲を規定する取込条件が、前記外部装置により指示されることを特徴とする請求項2記載の信号取込装置。
【請求項4】
前記入出力手段は、前記画像データ保存手段から前記外部装置に読み出す画像データと前記センサデータ保存手段から前記外部装置に読み出すセンサデータとを前記外部装置からの指示により選択することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の信号取込装置。
【請求項5】
前記入出力手段は、前記センサデータ保存手段に保存されたセンサデータが規定の判定条件を満たすと、判定条件が成立した時点の前後の所定の時間範囲に対応した画像データを前記画像データ保存手段から前記外部装置に出力することを特徴とする請求項4記載の信号取込装置。
【請求項6】
前記入出力手段は、前記画像データ保存手段に保存された画像データが規定の判定条件を満たすと、判定条件が成立した時点の前後の所定の時間範囲に対応したセンサデータを前記センサデータ保存手段から前記外部装置に出力することを特徴とする請求項4記載の信号取込装置。

【図1】
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【図2】
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