説明

信号変換装置、信号変換方法および端末装置

【課題】ユーザの利便性の向上を図る。
【解決手段】信号変換部は、第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号を第2の伝送規格信号に変換する。例えば、第1の伝送規格では、画像データおよび音声データが1対の差動信号線を用いて伝送され、第2の伝送規格では、画像データおよび音声データが3対の差動信号線を用いて伝送される。信号選択部により、第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号または信号変換部で得られた第2の伝送規格信号を出力信号として選択する。制御部は、出力信号が供給される第2の外部機器が対応する伝送規格に応じて、信号選択部の選択動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、信号変換装置、信号変換方法および端末装置に関し、特に、電子機器の間に介在されて使用される信号変換装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、ソース機器からシンク機器に画像および音声のデータを高速に伝送する通信インタフェースとして、HDMI(High Definition Multimedia Interface)等のインタフェースが普及しつつある。ソース機器は、例えば、ゲーム機、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダや、セットトップボックス、その他のAVソース(Audio Visual source)である。シンク機器は、例えば、テレビ受信機、プロジェクタ、その他のディスプレイである。例えば、非特許文献1には、HDMI規格の詳細についての記載がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】High-Definition Multimedia Interface Specification Version 1.3,June 22, 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
HDMI規格は、主に固定機器間の接続を想定している。そのため、コネクタのピン数も19ピンと多く、コネクタ外形寸法も大きく、携帯機器にとっては不利である。そこで、少ないピン数でコネクタを小型化し、さらにHDMIと同等のベースバンドビデオ伝送を行う新規格が検討され始めている。
【0005】
テレビ受信機等のシンク機器にとっては、新規格のコネクタを追加することは、ユーザの利便性を損なうし、またスペース面、コスト面から不利である。広く普及したデジタルA/V入力ポートであるHDMIレセプタクルを新規格でも兼用できれば都合がよい。そのため、テレビ受信機等のシンク機器では、従来のHDMIレセプタクルを兼用し、回路のみで新規格に対応可能とすることが考えられている。
【0006】
例えば、新規格対応(HDMI、新規格の双方対応)のテレビ受信機と新規格対応のモバイルフォーン(Mobile Phone)を接続する場合、新規格ケーブルを使用することにより、直接接続することが考えられる。また、例えば、新規格非対応(HDMIのみ対応)のテレビ受信機と新規格対応のモバイルフォーンを接続する場合、新規格/HDMI変換回路を有するドングル(信号変換装置)とHDMIケーブルを使用し、HDMI接続することが考えられる。
【0007】
この場合、例えば、ユーザが誤って、新規格対応(HDMI、新規格の双方対応)のテレビ受信機と新規格対応のモバイルフォーンを、ドングルとHDMIケーブルを使用して接続した場合に、自動的に新規格接続が行われれば便利である。これにより、新規格固有の機能が使えなくなるということを回避でき、ユーザにとって利便性が向上する。
【0008】
本技術の目的は、ユーザの利便性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術の概念は、
第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号を第2の伝送規格信号に変換する信号変換部と、
上記第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号または上記信号変換部で得られた第2の伝送規格信号を出力信号として選択する信号選択部と、
上記信号選択部で選択された出力信号が供給される第2の外部機器が対応する伝送規格に応じて上記信号選択部の選択動作を制御する制御部とを備える
信号変換装置にある。
【0010】
本技術において、信号変換部により、第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号が第2の伝送規格信号に変換される。例えば、第1の伝送規格および第2の伝送規格では、画像データおよび音声データが差動信号線で伝送され、さらに、別の信号線で制御信号が伝送される。その場合、例えば、第1の伝送規格では第1の本数の信号線を用いて第1の伝送規格信号が伝送され、第2の伝送規格では第1の本数よりも多い第2の本数の信号線を用いて第2の伝送規格信号が伝送される。
【0011】
そして、その場合、例えば、第1の伝送規格では、画像データおよび音声データが1対の差動信号線を用いて伝送され、第2の伝送規格では、画像データおよび音声データが3対の差動信号線を用いて伝送される。ここで、例えば、第2の伝送規格はHDMIであり、第1の伝送規格はコネクタのピン数が少なくて済む新規格である。
【0012】
信号選択部により、第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号または信号変換部で得られた第2の伝送規格信号が出力信号として選択される。そして、制御部により、信号選択部の選択動作が制御される。この場合、制御部では、出力信号が供給される第2の外部機器が対応する伝送規格に応じて、信号選択部の選択動作が制御される。
【0013】
この場合、例えば、制御部では、第2の外部機器が第1の伝送規格に対応しているとき、信号選択部が第1の伝送規格信号を出力するように制御が行われる。この場合、例えば、制御部では、第2の外部機器のインピーダンス検出が行われることで、この第2の外部機器が第1の伝送規格に対応しているか否かが判別される。
【0014】
このように本技術においては、第2の外部機器が対応する伝送規格に応じて、第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号または信号変換部で得られた第2の伝送規格信号が出力信号とされる。そのため、第1の外部機器が第1の伝送規格に対応し、第2の外部機器が第1の伝送規格に対応しているとき、第1の外部機器と第2の外部機器とは第1の伝送規格で直接接続された状態となり、第1の伝送規格固有の機能が使える状態となる。したがって、本技術においては、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0015】
なお、本技術において、例えば、内部回路に給電する電源を、第1の外部機器または第2の外部機器から受け取る電源受信部をさらに備える、ようにされてもよい。この場合、例えば、内部回路および第1の外部機器に給電するための電源線をさらに備え、電源線には、第2の外部機器が第1の伝送規格に対応しているとき、この第2の外部機器から電源が供給される。そして、この場合、例えば、第2の外部機器に電源の供給を促すための抵抗器をさらに備え、第2の外部機器は、この抵抗器を検出することで、電源線に電源を供給する。このように電源受信部が設けられることで、ACアダプタ等の外部電源から電源の供給を受けることなく、動作が可能となる。
【0016】
また、本技術において、例えば、電源線に、外部電源からの電源を供給するための電源入力部と、第2の外部機器からの電源入力と外部電源からの電源入力との干渉を防止する電源干渉防止部とをさらに備える、ようにされてもよい。この場合、例えば、電源干渉防止部は、第2の外部機器から電源線への電源供給経路に挿入される第1のダイオードと、電源入力部から電源線への電源供給経路に挿入される第2ダイオードとからなるダイオードブリッジとされる。この場合、ACアダプタ等の外部電源からも、良好に電源供給が可能となる。
【0017】
また、本技術の他の概念は、
バッテリと、
上記バッテリを充電する充電部と、
電源端子と、
上記電源端子を上記充電部に接続する第1の接続状態または上記バッテリの出力を上記電源端子に接続する第2の接続状態を選択する状態選択部と、
上記状態選択部の選択動作を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、
上記第1の接続状態が選択された状態で上記電源端子の電圧が規定値より低いとき、上記第2の接続状態を選択するように上記状態選択部の選択動作を制御する
端末装置にある。
【0018】
本技術において、状態選択部により、電源端子をバッテリの充電部に接続する第1の接続状態またはバッテリの出力を電源端子に接続する第2の接続状態が選択される。この状態選択部の選択動作は、制御部により制御される。この場合、第1の接続状態が選択された状態で電源端子の電圧が規定値より低いとき、第2の接続状態を選択するように状態選択部の選択動作が制御される。これにより、外部機器からの電源の供給がないとき、バッテリから電源端子を通じて外部機器に電源を供給することが可能となる。
【0019】
なお、本技術において、例えば、制御部は、第2の接続状態が選択されているとき、電源端子に電源を供給する外部機器からの電源供給の通知に基づいて、第1の接続状態を選択するように状態選択部の選択動作を制御する、ようにされてもよい。そして、例えば、第1の伝送規格信号を出力する信号出力部をさらに備え、外部機器は、信号出力部から出力される第1の伝送規格信号を第2の伝送規格信号に変換する機能を有するものである。
【発明の効果】
【0020】
本技術によれば、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ソース機器とシンク機器がケーブルで接続されてなるAVシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】AVシステムにおける、ソース機器のデータ送信部と、シンク機器のデータ受信部の構成例を示す図である(HDMI規格のデジタルインタフェースの場合)。
【図3】HDMIのTMDSチャネルで伝送されるTMDS伝送データ構造の一例を示す図である。
【図4】HDMI機器に設けられるHDMI端子のピン配列(タイプA)を示す図である。
【図5】AVシステムにおける、ソース機器のデータ送信部と、シンク機器のデータ受信部の構成例を示す図である(新規格のデジタルインタフェースの場合)。
【図6】トランスミッタにおけるドライバ構成と、レシーバにおけるレシーバ構成の一例を示す図である。
【図7】ケーブル上のシングルエンド波形と、データ差動波形と、クロックコモンモード波形の一例を示す図である。
【図8】HDMIと新規格におけるTMDSクロックと内部クロックの関係を説明するための図である。
【図9】新規格対応のモバイルフォーンと新規格対応のテレビ受信機が新規格ケーブルで接続されてなるAVシステムの構成例を示すブロック図である。
【図10】モバイルフォーンの制御回路とテレビ受信機の制御回路におけるインピーダンス検出手順を説明するための図である。
【図11】新規格対応のモバイルフォーンと新規格非対応(HDMI対応)のテレビ受信機との間にドングルが介在されてなるAVシステムの構成例を示すブロック図である。
【図12】新規格/HDMI変換回路および制御回路による、HDMIにおけるCEC,DDC,HPDのラインの信号と新規格におけるCBUSラインの信号の双方向変換を説明するための図である。
【図13】新規格対応のモバイルフォーンと新規格対応のテレビ受信機との間にドングルが介在されてなるAVシステムの構成例を示すブロック図である。
【図14】新規格対応のモバイルフォーンと新規格対応のテレビ受信機との間にドングルが介在されてなる、本技術の実施の形態としてのAVシステムの構成例を示すブロック図である。
【図15】モバイルフォーンの制御回路とドングルの制御回路におけるインピーダンス検出手順を説明するための図である。
【図16】新規格対応のモバイルフォーンと新規格非対応のテレビ受信機との間にドングルが介在されてなる、本技術の実施の形態としてのAVシステムの他の構成例を示すブロック図である。
【図17】新規格対応のモバイルフォーンと新規格対応のテレビ受信機との間にドングルが介在されてなる、本技術の実施の形態としてのAVシステムの他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0023】
<1.実施の形態>
[AVシステムの構成]
図1は、AV(Audio and Visual)システム100の構成例を示している。このAVシステム100は、ソース機器110とシンク機器120とが接続されて構成されている。ソース機器110は、例えば、ゲーム機、ディスクプレーヤ、セットトップボックス、デジタルカメラ、モバイルフォーンなどのAVソースである。シンク機器120は、例えば、テレビ受信機、プロジェクタ等である。
【0024】
ソース機器110およびシンク機器120は、ケーブル200を介して接続されている。ソース機器110には、データ送信部112が接続されたコネクタ部111が設けられている。シンク機器120には、データ受信部122が接続されたコネクタ部121が設けられている。ケーブル200の一端はソース機器110のコネクタ部111に接続され、このケーブル200の他端はシンク機器120のコネクタ部121に接続されている。
【0025】
最初に、ソース機器110のデータ送信部112およびシンク機器120のデータ受信部122が、HDMI規格のデジタルインタフェースに対応している場合について説明する。その場合、ソース機器110およびシンク機器120を接続するケーブル200はHDMIケーブルとなる。図2は、ソース機器110のデータ送信部112と、シンク機器120のデータ受信部122の構成例を示している。
【0026】
データ送信部112は、有効画像区間(以下、適宜、アクティブビデオ区間ともいう)において、非圧縮の1画面分の画像の画素データに対応する差動信号を、複数のチャネルで、データ受信部122に一方向に送信する。ここで、有効画像区間は、一の垂直同期信号から次の垂直同期信号までの区間から、水平帰線区間および垂直帰線区間を除いた区間である。また、データ送信部112は、水平帰線区間または垂直帰線区間において、少なくとも画像に付随する音声データや制御データ、その他の補助データ等に対応する差動信号を、複数のチャネルで、データ受信部122に一方向に送信する。
【0027】
データ送信部112とデータ受信部122とからなるHDMIシステムの伝送チャネルには、以下の伝送チャネルがある。すなわち、データ送信部112からデータ受信部122に対して、画素データおよび音声データを、TMDSクロックに同期して、一方向にシリアル伝送するための伝送チャネルとしての、3つのTMDSチャネル#0〜#2がある。また、データ送信部112からデータ受信部122に対して、TMDSクロックを伝送する伝送チャネルとしての、TMDSクロックチャネルがある。
【0028】
データ送信部112は、HDMIトランスミッタ81を有する。このHDMIトランスミッタ81は、例えば、非圧縮の画像の画素データを対応する差動信号に変換し、複数のチャネルである3つのTMDSチャネル#0,#1,#2で、HDMIケーブルを介して接続されているデータ受信部122に、一方向にシリアル伝送する。また、HDMIトランスミッタ81は、非圧縮の画像に付随する音声データ、さらには、必要な制御データその他の補助データ等を、対応する差動信号に変換し、3つのTMDSチャネル#0,#1,#2でデータ受信部122に、一方向にシリアル伝送する。
【0029】
さらに、HDMIトランスミッタ81は、3つのTMDSチャネル#0,#1,#2で送信する画素データに同期したTMDSクロックを、TMDSクロックチャネルで、HDMIケーブルを介して接続されているデータ受信部122に送信する。ここで、1つのTMDSチャネル#i(i=0,1,2)では、TMDSクロックの1クロックの間に、10ビットの画素データが送信される。
【0030】
データ受信部122は、アクティブビデオ区間において、複数のチャネルで、データ送信部112から一方向に送信されてくる、画素データに対応する差動信号を受信する。また、このデータ受信部122は、水平帰線区間または垂直帰線区間において、複数のチャネルで、データ送信部112から一方向に送信されてくる、音声データや制御データに対応する差動信号を受信する。
【0031】
すなわち、データ受信部122は、HDMIレシーバ82を有する。このHDMIレシーバ82は、TMDSチャネル#0,#1,#2で、データ送信部112から一方向に送信されてくる、画素データに対応する差動信号と、音声データや制御データに対応する差動信号を受信する。この場合、データ送信部112からTMDSクロックチャネルで送信されてくるTMDSクロックに同期して受信する。
【0032】
HDMIシステムの伝送チャネルには、DDC(Display Data Channel)やCEC(Consumer Electronics Control)ラインと呼ばれる伝送チャネルもある。DDCは、HDMIケーブルに含まれる図示しない2本の信号線からなる。DDCは、データ送信部112が、データ受信部122から、E−EDID(Enhanced Extended Display Identification Data)を読み出すためなどに使用される。
【0033】
すなわち、データ受信部122は、HDMIレシーバ81の他に、自身の性能(Configuration/capability)に関する性能情報であるE−EDIDを記憶している、EDID ROM(Read Only Memory)を有している。データ送信部112は、例えば、図示しない制御部からの要求に応じて、HDMIケーブルを介して接続されているデータ受信部122から、E−EDIDを、DDCを介して読み出す。
【0034】
データ送信部112は、読み出したE−EDIDを制御部に送る。制御部は、このE−EDIDを、図示しないフラッシュROMあるいはDRAMに格納する。制御部は、E−EDIDに基づき、データ受信部122の性能の設定を認識できる。例えば、制御部は、データ受信部122を有するシンク機器120が立体画像データの取り扱いが可能か否か、可能である場合はさらにいかなるTMDS伝送データ構造に対応可能であるか等を認識する。
【0035】
CECラインは、HDMIケーブルに含まれる図示しない1本の信号線からなり、データ送信部112とデータ受信部122との間で、制御用のデータの双方向通信を行うために用いられる。このCECラインは、制御データラインを構成している。
【0036】
また、HDMIケーブルには、HPD(Hot Plug Detect)と呼ばれるピンに接続されるライン(HPDライン)が含まれている。ソース機器は、このHPDラインを利用して、シンク機器の接続を検出することができる。また、HDMIケーブルには、ソース機器からシンク機器に電源を供給するために用いられる電源ライン(+5VPower Line)が含まれている。さらに、HDMIケーブルには、リザーブライン(Reserve)が含まれている。
【0037】
図3は、TMDS伝送データの構造例を示している。この図3は、TMDSチャネル#0,#1,#2において、横×縦が1920ピクセル×1080ラインの画像データが伝送される場合の、各種の伝送データの区間を示している。
【0038】
HDMIの3つのTMDSチャネル#0,#1,#2で伝送データが伝送されるビデオフィールド(Video Field)には、伝送データの種類に応じて、3種類の区間が存在する。この3種類の区間は、ビデオデータ区間(Video Data period)、データアイランド区間(Data Islandperiod)、およびコントロール区間(Control period)である。
【0039】
ここで、ビデオフィールド区間は、ある垂直同期信号の立ち上がりエッジ(activeedge)から次の垂直同期信号の立ち上がりエッジまでの区間である。このビデオフィールド区間は、水平ブランキング期間(horizontal blanking)、垂直ブランキング期間(verticalblanking)、並びに、アクティブビデオ区間(Active Video)に分けられる。このアクティブビデオ区間は、ビデオフィールド区間から、水平ブランキング期間および垂直ブランキング期間を除いた区間である
【0040】
ビデオデータ区間は、アクティブビデオ区間に割り当てられる。このビデオデータ区間では、非圧縮の1画面分の画像データを構成する1920ピクセル(画素)×1080ライン分の有効画素(Active pixel)のデータが伝送される。
【0041】
データアイランド区間およびコントロール区間は、水平ブランキング期間および垂直ブランキング期間に割り当てられる。このデータアイランド区間およびコントロール区間では、補助データ(Auxiliary data)が伝送される。すなわち、データアイランド区間は、水平ブランキング期間と垂直ブランキング期間の一部分に割り当てられている。このデータアイランド区間では、補助データのうち、制御に関係しないデータである、例えば、音声データのパケット等が伝送される。
【0042】
コントロール区間は、水平ブランキング期間と垂直ブランキング期間の他の部分に割り当てられている。このコントロール区間では、補助データのうちの、制御に関係するデータである、例えば、垂直同期信号および水平同期信号、制御パケット等が伝送される。
【0043】
図4は、HDMIレセプタクルのピン配列の一例を示している。図4に示すピン配列はタイプA(type-A)と呼ばれている。TMDSチャネル#iの差動信号であるTMDS Data#i+とTMDS Data#i−は差動線である2本のラインにより伝送される。この2本のラインは、TMDS Data#i+が割り当てられているピン(ピン番号が1,4,7のピン)と、TMDS Data#i−が割り当てられているピン(ピン番号が3,6,9のピン)に接続される。
【0044】
また、制御用のデータであるCEC信号が伝送されるCECラインは、ピン番号が13であるピンに接続される。また、E−EDID等のSDA(Serial Data)信号が伝送されるラインは、ピン番号が16であるピンに接続される。SDA信号の送受信時の同期に用いられるクロック信号であるSCL(Serial Clock)信号が伝送されるラインは、ピン番号が15であるピンに接続される。上述のDDCは、SDA信号が伝送されるラインおよびSCL信号が伝送されるラインにより構成される。
【0045】
また、上述したようにソース機器がシンク機器の接続を検出するためのHPDラインは、ピン番号が19であるピンに接続される。また、リザーブラインは、ピン番号が14であるピンに接続される。また、上述したように電源を供給するための電源ラインは、ピン番号が18であるピンに接続される。
【0046】
次に、ソース機器110のデータ送信部112およびシンク機器120のデータ受信部122が、新規格のデジタルインタフェースに対応している場合について説明する。その場合、ソース機器110およびシンク機器120を接続するケーブル200は新規格ケーブルとなる。図5は、ソース機器110のデータ送信部112と、シンク機器120のデータ受信部122の構成例を示している。この図5において、図2と対応する部分には同一符号を付して示し、適宜、その詳細説明を省略する。
【0047】
データ送信部112は、有効画像区間(以下、適宜、アクティブビデオ区間ともいう)において、非圧縮の1画面分の画像の画素データに対応する差動信号を、1つのTMDSチャネル#0で、データ受信部122に一方向に送信する。ここで、有効画像区間は、一の垂直同期信号から次の垂直同期信号までの区間から、水平帰線区間及び垂直帰線区間を除いた区間である。また、データ送信部112は、水平帰線区間または垂直帰線区間において、少なくとも画像に付随する音声データや制御データ、その他の補助データ等に対応する差動信号を、同じTMDSチャネル#0で、データ受信部122に一方向に送信する。
【0048】
この場合、内部クロックは、HDMI規格(図2参照)の場合の三倍とされることで、TMDSチャネル#0だけでの伝送を可能にしている。また、TMDSクロック自身も、TMDSチャネル#0にコモンモードで重畳することで、TMDSクロックチャネルも不要としている。図5の場合、送信側コネクタのPIN1,2の2ピンが使用される。
【0049】
データ送信部112は、トランスミッタ81Aを有する。このトランスミッタ81Aは、例えば、非圧縮の画像の画素データを対応する差動信号に変換し、1つのTMDSチャネル#0で、HDMIケーブルあるいは新規格ケーブルを介して接続されているデータ受信部122に、一方向にシリアル伝送する。また、トランスミッタ81Aは、非圧縮の画像に付随する音声データ、さらには、必要な制御データその他の補助データ等を、対応する差動信号に変換し、1つのTMDSチャネル#0でデータ受信部122に、一方向にシリアル伝送する。
【0050】
データ受信部122は、アクティブビデオ区間において、1つのTMDSチャネル#0で、データ送信部112から一方向に送信されてくる、画素データに対応する差動信号を受信する。また、このデータ受信部122は、水平帰線区間または垂直帰線区間において、1つのTMDSチャネル#0で、データ送信部112から一方向に送信されてくる、音声データや制御データに対応する差動信号を受信する。すなわち、データ受信部122は、レシーバ82Aを有する。このレシーバ82Aは、TMDSチャネル#0で、データ送信部112から一方向に送信されてくる、画素データに対応する差動信号と、音声データや制御データに対応する差動信号を受信する。
【0051】
また、CEC,DDC,HPDのラインとして、1本のCBUSライン(CBUS Line)が使用される。また、電源ライン(+5VPower Line)は省略される。また、USBのように携帯ソース機器充電用にVBUSライン(VBUS Line)が追加され、さらに、共通にグランドライン(Grand Line)が設けられる。
【0052】
図5の場合、送信側コネクタにおいて、CBUSラインは、ピン番号が3であるピンに接続される。また、VBUSラインは、ピン番号が4であるピンに接続される。さらに、グランドラインは、ピン番号が5であるピンに接続される。そのため、この図5に示す新規格のデジタルインタフェースでは、受信側HDMIレセプタクル(Aタイプ)の19ピンのうち、残りの14ピンが未使用となる。
【0053】
図6は、トランスミッタ81Aにおけるドライバ構成と、レシーバ82Aにおけるレシーバ構成の一例を示している。すなわち、トランスミッタ81Aにおいては、データの差動送信(ディッファレンシャルモード送信)のための差動ドライバと、TMDSクロックのコモンモード送信のためのコモンモードドライバとが備えられている。一方、レシーバ82Aにおいては、データの差動受信のための差動レシーバと、TMDSクロックのコモンモード受信のためのコモンモードレシーバとが備えられている。
【0054】
図7(a)は、ケーブル上のシングルエンド波形の一例を示している。そして、図7(b)は、レシーバ82Aの差動レシーバで受信されるデータの差動波形の一例を示し、図7(c)は、レシーバ82Aのコモンモードレシーバで受信されるクロックコモンモード波形の一例を示している。
【0055】
また、図8は、TMDSクロックと内部クロックの関係を示している。図8(a)は、HDMIの場合を示している。HDMIの場合、チャネル#0で青色データが伝送され、チャネル#1で緑色データが伝送され、チャネル#2で赤色データが伝送される。このHDMIの場合、単位時間当たりに転送するビット数をBRとするとき、内部クロック=1/BRの関係になる。図8(b)は、新規格(3倍内部クロック)の場合を示している。新規格の場合、チャネル#0で、青色データ、緑色データ、赤色データの全てが伝送される。この新規格の場合、内部クロック=3*1/BRの関係になる。
【0056】
図9は、AVシステム100Aの構成例を示している。このAVシステム100Aは、ソース機器としてのモバイルフォーン110Aと、シンク機器としてのテレビ受信機120Aが接続されて構成されている。モバイルフォーン110Aおよびテレビ受信機120Aは新規格に対応しており、新規格ケーブル200Aにより接続されている。
【0057】
新規格ケーブル200Aは、信号線として、電源線201、グランド(GND)線202、A/V信号線(差動)203および制御信号線204を備えている。この新規格ケーブル200Aのソース側端には、例えばマイクロUSBコネクタに対応した構成のプラグが設けられている。また、この新規格ケーブル200Aのシンク側端には、例えばHDMIコネクタ(タイプA)に対応した構成のプラグが設けられている。
【0058】
この新規格ケーブル200Aのシンク側端には、特定の2つのピン間に挿入されたケーブル検出用の抵抗205が設けられている。新規格対応のシンク機器は、この抵抗205を検出することで、新規格ケーブル200Aの接続を認識でき、その電源線201に対する電源の供給を開始する。
【0059】
モバイルフォーン110Aは、新規格送信回路112Aと、制御回路113Aと、バッテリ114と、充電回路115を有している。新規格送信回路112Aは、新規格のデジタルインタフェースに対応可能なデータ送信部(図5参照)を構成している。制御回路113Aは、モバイルフォーン110Aの各部の動作を制御する。新規格送信回路112Aおよび制御回路113Aは、コネクタ部111Aに接続されている。
【0060】
テレビ受信機120Aは、新規格受信回路122Aと、制御回路123Aと、検出回路124と、定電圧回路125と、スイッチ回路126を有している。新規格受信回路122Aは、新規格のデジタルインタフェースに対応可能なデータ受信部(図5参照)を構成している。制御回路123Aは、テレビ受信機120Aの各部の動作を制御する。新規格受信回路122Aおよび制御回路123Aは、コネクタ部121Aに接続されている。
【0061】
検出回路124は、新規格ケーブル200Aに配置されている抵抗205を検出することで、新規格ケーブル200Aの接続を検出する。スイッチ回路126は、検出回路124の検出出力に基づき、新規格ケーブル200Aの接続があるときに接続状態となり、定電圧回路125からコネクタ部121Aを介して、新規格ケーブル200Aの電源線に電源を供給する。これにより、テレビ受信機120Aから新規格ケーブル200Aを介してモバイルフォーン110Aに電源が供給される。
【0062】
モバイルフォーン110Aの制御回路113Aおよびテレビ受信機120Aの制御回路123Aは、新規格ケーブル200Aの制御信号線を介して、インピーダンス検出により、相手が新規格対応機器であるか確認する。この確認の後、モバイルフォーン110Aの新規格送信回路112Aからテレビ受信機120Aの新規格受信回路122Aに対して、新規格による画像データ等の送信が行われる。
【0063】
ここで、図10を参照して、制御回路113A,123Aにおけるインピーダンス検出手順について説明する。例えば、制御回路123A内で制御信号線204とグランド線202との間に挿入されるプルダウン(Pull-Down)抵抗123aの抵抗値R1を1kΩとする。また、例えば、制御回路113A内で制御信号線204と電源(Vcc=+5V)との間に挿入されるプルアップ(Pull-Up)抵抗113aの抵抗値R2を100kΩとする。
【0064】
制御回路113Aの検出回路113bは、制御信号線204の電圧をモニタし、基準の電圧(Vref)より高い場合は、高レベル“H”を出力し、逆に低い場合は、低レベル“L”を出力する。ここで、Vrefは、Vcc*R1/(R1+R2)=5V*1/101=約0.05Vより高い電圧、例えば、2.5Vに設定される。
【0065】
新規格ケーブル200Aが接続される前は、制御信号線204の電圧は、ほぼVccであり、検出回路113bの出力は高レベル“H”である。新規格ケーブル200Aが接続されると、制御信号線204の電圧は、抵抗113a,123aで分圧された電圧(約0.05V)になり、検出回路113bの出力は低レベル“L”となる。これにより、モバイルフォーン110Aの制御回路113Aは、新規格対応のシンク機器が接続されたことを検出できる。
【0066】
次に、制御回路113Aのパルス送信回路113cから、予め決められたパルス列を送信する。制御回路123Aのパルス受信回路123bは、制御回路113Aから送られてくるパルス列を受信する。これにより、テレビ受信機120Aの制御回路123Aは、新規格対応のソース機器が接続されたことを検出できる。
【0067】
図11は、AVシステム100Bの構成例を示している。この図11において、図9と対応する部分には同一符号を付し、適宜、その詳細説明は省略する。このAVシステム100Bは、ソース機器としてのモバイルフォーン110Aと、シンク機器としてのテレビ受信機120Bが接続されて構成されている。モバイルフォーン110Aは新規格に対応しており、テレビ受信機120Bは、新規格には非対応で、HDMIに対応している。モバイルフォーン110Aおよびテレビ受信機120Bは、信号変換装置としてのドングル(Dongle)200BaおよびHDMIケーブル200Bbの直列回路により接続されている。
【0068】
ドングル200Baは、内部回路とソース機器、ここではモバイルフォーン110Aに給電するための電源線231と、この電源線231にACアダプタ等の外部電源300からの電源を供給するための電源入力部232を有している。また、このドングル200Baは、A/V信号に関する新規格/HDMI変換回路233と、制御信号に関する新規格/HDMI変換回路234と、ソース側の制御回路235と、シンク側の制御回路236を有している。
【0069】
新規格/HDMI変換回路233は、1対の差動信号線で伝送する新規格のA/V信号(画像データ、それに付随する音声データや制御データ、その他の補助データ等)を入力し、3対の差動信号線で伝送するHDMIのA/V信号に変換して出力する。新規格/HDMI変換回路234は、制御回路235,236と相俟って、HDMIにおけるCEC,DDC,HPDの各ラインの信号と新規格におけるCBUSラインの信号を、双方向に変換する。
【0070】
ドングル200Baは、ソース側に新規格ケーブル237を備えている。この新規格ケーブル237の先端には、例えばマイクロUSBコネクタに対応した構成のプラグが設けられている。このプラグが、コネクタ部111Aにおいて、モバイルフォーン110Aのレセプタクルに接続される。これにより、ドングル200Baとモバイルフォーン110Aとの接続が図られる。
【0071】
上述した電源線231は、この新規格ケーブル237の電源線に接続されている。これにより、外部電源300からの電源が新規格ケーブル237の電源線を介して、モバイルフォーン110Aに供給される。また、上述した新規格/HDMI変換回路233の入力側は、この新規格ケーブル237のA/V信号線(新規格)に接続されている。さらに、上述した制御回路235は、この新規格ケーブル237の制御信号線(CBUSライン)に接続されている。
【0072】
また、ドングル200Baは、シンク側に、例えばHDMIコネクタ(タイプA)に対応した構成のレセプタクルが設けられている。このレセプタクルに、HDMIケーブル200Bbの一方のプラグが接続されて、コネクタ部230が構成されている。上述した新規格/HDMI変換回路233の出力側は、このHDMIケーブル200BbのA/V信号線(HDMI)に接続される。また、上述した制御回路236は、このHDMIケーブル200Bbの制御信号線(CEC,DDC,HPDの各ライン)に接続される。
【0073】
ドングル200Baの制御回路235は、新規格ケーブル237の制御信号線を介して、インピーダンス検出により、相手、すなわちモバイルフォーン110Aが新規格対応機器であることを確認できる。また、ドングル200Baの制御回路236は、HPDラインが高レベル“H”になることを確認して、相手、すなわちテレビ受信機120BがHDMI対応機器であることを確認できる。
【0074】
ここで、図12を参照して、新規格/HDMI変換回路234および制御回路235,236による、HDMIにおけるCEC,DDC,HPDのラインの信号と新規格におけるCBUSラインの信号の双方向変換について説明する。なお、この図12において、制御回路235,236は、当該双方向変換に関係する部分のみを示している。
【0075】
新規格側の制御信号線(CBUSライン)は1本の信号線であることから、ドングル200Baの制御回路235とモバイルフォーン110Aの制御回路113Aがそれぞれ有する送受信切り換え回路同士が通信を行って、どちらかが送信権を得る。送信権を得た側の送信回路が信号(コマンド)を制御信号線上に送出し、反対側の受信回路がこのコマンドを受信する。
【0076】
制御回路235の受信回路が信号を受信した場合、新規格/HDMI変換回路234の受信信号識別回路は、受信した信号の種別により、制御回路236のCEC送受信回路またはDDC送受信回路へ送り、HDMI側に送出する。一方、制御回路236は、HDMI側からCEC送受信回路、DDC送受信回路、HPD受信回路で受信したCEC,DDC,HPDの各信号を、新規格/HDMI変換回路234の送信信号構成回路を通じて制御回路235の送信回路に送り、新規格側に送出する。
【0077】
図11に戻って、テレビ受信機120Bは、HDMI受信回路122Bと、制御回路123Bを有している。HDMI受信回路122Bは、HDMIのデジタルインタフェースに対応可能なデータ受信部(図2参照)を構成している。制御回路123Bは、テレビ受信機120Bの各部の動作を制御する。HDMI受信回路122Bおよび制御回路123Bは、コネクタ部121Bに接続されている。
【0078】
図11に示すAVシステム100Bにおいて、モバイルフォーン110Aの新規格送信回路112Aから出力される新規格のA/V信号は、ドングル200Baの新規格ケーブル237のA/V信号線を介して、新規格/HDMI変換回路233に入力される。この新規格/HDMI変換回路233では、入力された新規格のA/V信号、すなわち1対の差動信号線で伝送するA/V信号が、3対の差動信号線で伝送するHDMIのA/V信号に変換されて出力される。このHDMIのA/V信号は、HDMIケーブル200BbのA/V信号線を介して、テレビ受信機120BのHDMI受信回路122Bで受信される。
【0079】
図11に示すAVシステム100Bにおいて、ソース機器としてのモバイルフォーン110Aは新規格に対応し、シンク機器としてのテレビ受信機120BはHDMIに対応している。しかし、新規格/HDMIの変換回路を持つドングル200Baを用いることで、モバイルフォーン110Aからテレビ受信機120BへのA/V信号の送信が可能となる。
【0080】
図13は、AVシステム100Cの構成例を示している。この図13において、図11と対応する部分には同一符号を付し、適宜、その詳細説明は省略する。このAVシステム100Cは、ソース機器としてのモバイルフォーン110Aと、シンク機器としてのテレビ受信機120Cが接続されて構成されている。モバイルフォーン110Aは新規格に対応しており、テレビ受信機120Cは、新規格およびHDMIの双方に対応している。モバイルフォーン110Aおよびテレビ受信機120Cは、信号変換装置としてのドングル(Dongle)200BaおよびHDMIケーブル200Bbの直列回路により接続されている。
【0081】
テレビ受信機120Cは、HDMI/新規格受信回路122Cと、制御回路123Cと、検出回路124と、定電圧回路125と、スイッチ回路126を有している。HDMI/新規格受信回路122Cは、HDMIおよび新規格の双方のデジタルインタフェースに対応可能なデータ受信部(図2、図5参照)を構成している。制御回路123Cは、テレビ受信機120Cの各部の動作を制御する。HDMI/新規格受信回路122Cおよび制御回路123Cは、コネクタ部121Cに接続されている。
【0082】
検出回路124は、新規格ケーブル(図9参照)に配置されている抵抗を検出することで、新規格ケーブルの接続を検出する。スイッチ回路126は、検出回路124の検出出力に基づき、新規格ケーブルの接続があるときに接続状態となり、定電圧回路125からコネクタ部121Cを介して、新規格ケーブルの電源線に電源を供給する。これにより、テレビ受信機120Cから新規格ケーブルを介してモバイルフォーン110Aに電源を供給できる。
【0083】
図13に示すAVシステム100Cの場合、モバイルフォーン110Aとテレビ受信機120Cとの間にドングル200Baが介在されているため、テレビ受信機120CのHDMI/新規格受信回路122Cは、HDMIモードで動作する。すなわち、この場合の動作は、図11のAVシステム100Bと同様になる。
【0084】
上述したように、モバイルフォーン110Aは新規格に対応しており、テレビ受信機120Cは、新規格およびHDMIの双方に対応している。そのため、これらを新規格ケーブルで接続すれば、テレビ受信機120CのHDMI/新規格受信回路122Cを新規格モードで動作させことができ、モバイルフォーン110Aとテレビ受信機120Cを新規格のデジタルインタフェースで接続できる。しかも、テレビ受信機120Cからモバイルフォーン110Aに電源を供給できる。しかし、上述したようにモバイルフォーン110Aとテレビ受信機120Cとの間にドングル200Baが介在されることで、新規格固有の機能が使えなくなる。
【0085】
図14は、実施の形態としてのAVシステム100Dの構成例を示している。この図14において、図13と対応する部分には同一符号を付し、適宜、その詳細説明は省略する。このAVシステム100Dは、ソース機器としてのモバイルフォーン110Aと、シンク機器としてのテレビ受信機120Cが接続されて構成されている。モバイルフォーン110Aは新規格に対応しており、テレビ受信機120Cは、新規格およびHDMIの双方に対応している。モバイルフォーン110Aおよびテレビ受信機120Cは、信号変換装置としてのドングル(Dongle)200DaおよびHDMIケーブル200Bbの直列回路により接続されている。
【0086】
モバイルフォーン110Aは、新規格送信回路112Aと、制御回路113Aと、バッテリ114と、充電回路115を有している。新規格送信回路112Aは、新規格のデジタルインタフェースに対応可能なデータ送信部(図5参照)を構成している。制御回路113Aは、モバイルフォーン111Aの各部の動作を制御する。新規格送信回路112Aおよび制御回路113Aは、コネクタ部111Aに接続されている。
【0087】
テレビ受信機120Cは、HDMI/新規格受信回路122Cと、制御回路123Cと、検出回路124と、定電圧回路125と、スイッチ回路126を有している。HDMI/新規格受信回路122Cは、HDMIおよび新規格の双方のデジタルインタフェースに対応可能なデータ受信部(図2、図5参照)を構成している。制御回路123Cは、テレビ受信機120Cの各部の動作を制御する。HDMI/新規格受信回路122Cおよび制御回路123Cは、コネクタ部121Cに接続されている。
【0088】
検出回路124は、HDMIレセプタクルの特定の2つのピン間に抵抗が挿入されているか否かを検出する。例えば、HDMIレセプタクルに新規格ケーブルが接続されるとき、検出回路124は、その新規格ケーブルに設けられている抵抗を検出する(図9参照)。この実施の形態において、HDMIレセプタクルにHDMIケーブル200Bbを介してドングル200Daが接続されているので、検出回路124は、そのドングル200Daに設けられている抵抗238を検出する。
【0089】
スイッチ回路126は、検出回路124の検出出力に基づき、抵抗挿入があるときに接続状態となり、定電圧回路125からコネクタ部121Cを介して抵抗が配置されている機器に電源を供給する。この実施の形態において、HDMIレセプタクルにHDMIケーブル200Bbを介してドングル200Daが接続されているので、定電圧回路125からHDMIケーブル200Bbを介してドングル200Daの電源線に電源を供給する。
【0090】
ドングル200Daは、内部回路とソース機器、ここではモバイルフォーン110Aに給電するための電源線231と、この電源線231にACアダプタ等の外部電源300からの電源を供給するための電源入力部232を有している。また、このドングル200Daは、A/V信号に関する新規格/HDMI変換回路233と、制御信号に関する新規格/HDMI変換回路234と、ソース側の制御回路235Dと、シンク側の制御回路236Dを有している。
【0091】
新規格/HDMI変換回路233は、1対の差動信号線で伝送する新規格のA/V信号(画像データ、それに付随する音声データや制御データ、その他の補助データ等)を入力し、3対の差動信号線で伝送するHDMIのA/V信号に変換して出力する。新規格/HDMI変換回路234は、制御回路235D,236Dと相俟って、HDMIにおけるCEC,DDC,HPDのラインの信号と新規格におけるCBUSラインの信号を、双方向に変換する。
【0092】
ドングル200Daは、ソース側に新規格ケーブル237を備えている。この新規格ケーブル237の先端には、例えばマイクロUSBコネクタに対応した構成のプラグが設けられている。このプラグが、コネクタ部111Aにおいて、モバイルフォーン110Aのレセプタクルに接続される。これにより、ドングル200Daとモバイルフォーン110Aとの接続が図られる。
【0093】
上述した電源線231は、この新規格ケーブル237の電源線に接続されている。これにより、テレビ受信機120Cあるいは外部電源300からの電源が新規格ケーブル237の電源線を介して、モバイルフォーン110Aに供給される。また、上述した新規格/HDMI変換回路233の入力側は、この新規格ケーブル237のA/V信号線(新規格)に接続されている。さらに、上述した制御回路235Dは、この新規格ケーブル237の制御信号線(CBUSライン)に接続されている。
【0094】
また、ドングル200Daは、シンク側に、例えばHDMIコネクタ(タイプA)に対応した構成のレセプタクルが設けられている。このレセプタクルに、HDMIケーブル200Bbの一方のプラグが接続されて、コネクタ部230が構成されている。
【0095】
上述した新規格/HDMI変換回路233の出力側、あるいは、上述の新規格ケーブル237のA/V信号線(新規格)は、スイッチ回路SW1により、選択的に、HDMIケーブル200BbのA/V信号線に接続される。新規格/HDMI変換回路233の出力側が選択されるとき、HDMIケーブル200BbのA/V信号線(HDMI)は3対の差動信号線により構成される。一方、新規格ケーブル237のA/V信号線(新規格)が選択されるとき、HDMIケーブル200BbのA/V信号線(新規格)は1対の差動信号線により構成される。
【0096】
また、上述した制御回路236Dは、このHDMIケーブル200Bbの制御信号線に接続される。上述のスイッチ回路SW1が新規格/HDMI変換回路233の出力側を選択するとき、制御回路236Dは、HDMIケーブル200BbのHDMIの制御信号線(CEC,DDC,HPDの各ライン)に接続される。一方、上述のスイッチ回路SW1が新規格ケーブル237のA/V信号線(新規格)を選択するとき、制御回路236Dは、新規格の制御信号線(CBUSライン)に接続される。
【0097】
また、ドングル200Daは、制御回路235Dと新規格/HDMI変換回路234との間にスイッチ回路SW3を有し、さらに、新規格/HDMI変換回路234と制御回路236Dとの間にスイッチ回路SW2を有している。制御回路236Dは、後述するように、スイッチ回路SW2,SW3、さらには上述したスイッチ回路SW1の切り換え動作を制御する。
【0098】
スイッチ回路SW2,SW3は、上述のスイッチ回路SW1が新規格/HDMI変換回路233の出力側を選択するとき、制御回路235D,236Dを新規格/HDMI変換回路234に接続する。これにより、HDMIにおけるCEC,DDC,HPDの各ラインの信号と新規格におけるCBUSラインの信号を、双方向に変換する状態となる。一方、スイッチ回路SW2,SW3は、上述のスイッチ回路SW1が新規格ケーブル237のA/V信号線(新規格)を選択するとき、制御回路235D,236Dを直接接続する。これにより、新規格におけるCBUSラインの信号のみを双方向に伝送する状態となる。
【0099】
新規格/HDMI変換回路234および制御回路235D,236Dによる双方向変換は、図11のAVシステム100Bのドングル200Baにおける新規格/HDMI変換回路234および制御回路235,236による双方向変換と同じである(図12参照)。なお、図示は省略するが、制御回路235D,236Dが直接接続される場合には、新規格ケーブル237の制御信号線(CBUSライン)が、HDMIケーブル200Bbの制御信号線(CBUSライン)に直接接続される状態となる。
【0100】
また、ドングル200Daは、新規格対応のシンク機器に電源の供給を促すための抵抗238を備えている。この抵抗238は、HDMIレセプタクルの特定の2つのピン間に挿入されている。テレビ受信機120Cは、上述したように、この抵抗238を検出することで、HDMIケーブル200Bbを介して、ドングル200Daへの電源供給を開始する。
【0101】
また、ドングル200Daは、外部電源300からの電源入力と、新規格対応のシンク機器、この実施の形態ではテレビ受信機120Cからの電源入力との干渉を防止する電源干渉防止部を有している。この電源干渉防止部は、ダイオードD1,D2からなるダイオードブリッジにより構成されている。ダイオードD1は、電源入力部232から電源線231への電源供給経路に挿入されている。また、ダイオードD2は、シンク機器(テレビ受信機120C)から電源線231への電源供給経路に挿入されている。
【0102】
なお、電源干渉防止部は、例えば、シンク機器(テレビ受信機120C)から電源線231への電源の供給が開始されるとき、電源入力部232から電源線231への電源供給経路を切断するスイッチ回路を用いて構成することも考えられる。
【0103】
モバイルフォーン110Aの制御回路113Aおよびドングル200Daの制御回路235Dは、新規格ケーブル237の制御信号線を介して、インピーダンス検出により、相手が新規格対応機器であるか確認する。この確認の後、制御回路113Aと制御回路235Dとの間は、制御信号線(CBUSライン)上を双方向でコマンド通信することが可能となる。
【0104】
ここで、図15を参照して、制御回路113A,235Dにおけるインピーダンス検出手順について説明する。例えば、制御回路235D内で制御信号線とグランド線(GND線)との間に挿入されるプルダウン(Pull-Down)抵抗235aの抵抗値R1を1kΩとする。また、例えば、制御回路113A内で制御信号線と電源(Vcc=+5V)との間に挿入されるプルアップ(Pull-Up)抵抗113aの抵抗値R2を100kΩとする。
【0105】
制御回路113Aの検出回路113bは、制御信号線の電圧をモニタし、基準の電圧(Vref)より高い場合は、高レベル“H”を出力し、逆に低い場合は、低レベル“L”を出力する。ここで、Vrefは、Vcc*R1/(R1+R2)=5V*1/101=約0.05Vより高い電圧、例えば、2.5Vに設定される。
【0106】
新規格ケーブル237(ドングル200Da)が接続される前は、制御信号線の電圧は、ほぼVccであり、検出回路113bの出力は高レベル“H”である。新規格ケーブル237(ドングル200Da)が接続されると、制御信号線204の電圧は、抵抗113a,123aで分圧された電圧(約0.05V)になり、検出回路113bの出力は高レベル“L”となる。これにより、モバイルフォーン110Aの制御回路113Aは、新規格対応のドングル200Daが接続されたことを検出できる。
【0107】
次に、制御回路113Aのパルス送信回路113cから、予め決められたパルス列を送信する。制御回路235Dのパルス受信回路235bは、制御回路113Aから送られてくるパルス列を受信する。これにより、ドングル200Daの制御回路235Dは、新規格対応のソース機器、この実施の形態ではモバイルフォーン110Aが接続されたことを検出できる。
【0108】
図14に戻って、ドングル200Daの制御回路236Dは、シンク機器、この実施の形態においてはテレビ受信機120Cが新規格対応か新規格非対応(HDMI対応)かを、以下の手順で判定し、スイッチ回路SW1,SW2,SW3の切り換え動作を制御する。最初に、制御回路236Dは、HPDラインが高レベル“H”になることを確認して、テレビ受信機120CがHDMI対応機器であることを確認する。
【0109】
次に、制御回路236Dは、インピーダンス検出により、テレビ受信機120Cが新規格対応機器であることを確認する。このインピーダンス検出の手順は、詳細説明は省略するが、図9に示すAVシステム100Aのモバイルフォーン110Aの制御回路113Aおよびテレビ受信機120Aの制御回路123Aにおけるインピーダンス検出の手順と同様である(図10参照)。
【0110】
ドングル200Daに制御回路236Dは、シンク機器が新規格対応であると判定するとき、スイッチ回路SW1,SW2,SW3を、以下のように制御する。すなわち、スイッチ回路SW1に関しては、新規格ケーブル237のA/V信号線(新規格)を選択するように制御する。また、スイッチ回路SW2,SW3に関しては、制御回路235D,236Dを直接接続するように制御する。
【0111】
一方、ドングル200Daの制御回路236Dは、シンク機器が新規格非対応(HDMI対応)であると判定するとき、スイッチ回路SW1,SW2,SW3を、以下のように制御する。すなわち、スイッチ回路SW1に関しては、新規格/HDMI変換回路233の出力側を選択するように制御する。また、スイッチ回路SW2,SW3に関しては、制御回路235D,236Dを新規格/HDMI変換回路234に接続するように制御する。
【0112】
図14に示すAVシステム100Dの動作を説明する。ドングル200Daが新規格ケーブル237によりモバイルフォーン110Aに接続されると、モバイルフォーン110Aの制御回路113Aおよびドングル200Daの制御回路235Dは、インピーダンス検出により、相手が新規格対応機器であることを確認する。この確認の後、制御回路113Aと制御回路235Dとの間は、制御信号線(CBUSライン)上を双方向でコマンド通信すること可能となる。
【0113】
また、ドングル200DaにHDMIケーブル200Bbによりテレビ受信機120Cが接続されると、テレビ受信機120Cは、ドングル200Daの抵抗238を検出する。そして、テレビ受信機120Cは、検出回路124の検出出力に基づいてスイッチ回路126を接続状態とし、定電圧回路125から、HDMIケーブル200Bbを介して、ドングル200Daへの電源供給を開始する。なお、このようにテレビ受信機120Cからの電源が供給されるまで、ドングル200Daは、外部電源300から供給される電源により動作する。
【0114】
また、ドングル200DaにHDMIケーブル200Bbでテレビ受信機120Cが接続されると、ドングル200Daの制御回路236Dおよびテレビ受信機120Cの制御回路123Cは、インピーダンス検出により、相手が新規格対応機器であることを確認する。この確認の後、テレビ受信機120CのHDMI/新規格受信回路122Cは、新規格受信回路として動作するようにモード切り換えが行われる。また、この確認の後、制御回路236Dと制御回路123Cとの間は、制御信号線(CBUSライン)上を双方向でコマンド通信すること可能となる。
【0115】
また、上述の確認の後、制御回路236Dにより、スイッチ回路SW1,SW2,SW3は、以下のように制御される。すなわち、スイッチ回路SW1は、図示のように、新規格ケーブル237のA/V信号線(新規格)を選択するように制御される。また、スイッチ回路SW2,SW3は、図示のように、制御回路235D,236Dを直接接続するように制御される。
【0116】
上述の状態において、モバイルフォーン110Aの新規格送信回路112Aから出力される新規格のA/V信号(画像データ、それに付随する音声データや制御データ、その他の補助データ等)は、ドングル200Daをそのまま通過する。そして、このA/V信号は、HDMIケーブル200BbのA/V信号線(新規格)を介して、テレビ受信機120CのHDMI/新規格受信回路122Cで受信される。
【0117】
図16は、図14のAVシステム100Dにおけるテレビ受信機120Cの代わりに、新規格非対応(HDMI対応)のテレビ受信機120Bを接続したAVシステム100Eを示している。このAVシステム100Eの場合、ドングル200DaにHDMIケーブル200Bbによりテレビ受信機120Bが接続されると、ドングル200Daの制御回路236Dは、インピーダンス検出により、相手が新規格非対応機器であることを確認する。
【0118】
この確認の後、制御回路236Dにより、スイッチ回路SW1,SW2,SW3は、以下のように制御される。すなわち、スイッチ回路SW1は、図示のように、新規格/HDMI変換回路233の出力側を選択するように制御される。また、スイッチ回路SW2,SW3は、制御回路235D,236Dを新規格/HDMI変換回路234に接続するように制御される。
【0119】
上述の状態において、モバイルフォーン110Aの新規格送信回路112Aから出力される新規格のA/V信号(画像データ、それに付随する音声データや制御データ、その他の補助データ等)は、ドングル200Daの新規格/HDMI変換回路233に入力される。この新規格/HDMI変換回路233では、入力された新規格のA/V信号、すなわち1対の差動信号線で伝送するA/V信号が、3対の差動信号線で伝送するHDMIのA/V信号に変換されて出力される。このHDMIのA/V信号は、HDMIケーブル200BbのA/V信号線(HDMI)を介して、テレビ受信機120BのHDMI受信回路122Bで受信される。
【0120】
上述したように、本実施の形態において、ドングル200Daは、新規格対応のテレビ受信機120Cが接続されるとき、信号変換を行わない状態となる。そして、モバイルフォーン110Aとテレビ受信機120Cは、新規格で直接接続された状態となり、新規格固有の機能が使える状態となる。そのため、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0121】
また、本実施の形態において、ドングル200Daは、新規格対応のシンク機器に電源の供給を促すための抵抗238を備えている。そのため、新規格対応のテレビ受信機120Cが接続されるとき、このテレビ受信機120Cから電源の供給を受けることができる。従って、ACアダプタ等の外部電源から電源の供給を受けることなく、動作が可能となる。
【0122】
また、本実施の形態において、ドングル200Daは、外部電源300からの電源入力と、新規格対応のシンク機器(テレビ受信機120C)からの電源入力との干渉を防止する電源干渉防止部を有している。そのため、ACアダプタ等の外部電源300からも、良好に電源供給が可能となる。
【0123】
<2.変形例>
なお、上述実施の形態において、ドングル200Daは、外部電源300あるいはシンク機器(テレビ受信機120C)から電源供給を受けることができるが、さらに、ソース機器から電源を受ける構成も考えられる。この場合、外部電源300が接続されていなく、しかもシンク機器からの電源供給が開始されていない状態において、有効なものとなる。
【0124】
図17は、ソース機器(モバイルフォーン)から電源を受けることが可能なAVシステム100Fの構成例を示している。この図17において、図14と対応する部分には同一符号を付し、適宜、その詳細説明は省略する。このAVシステム100Fは、ソース機器としてのモバイルフォーン110Fと、シンク機器としてのテレビ受信機120Cが接続されて構成されている。モバイルフォーン110Fは新規格に対応しており、テレビ受信機120Cは、新規格およびHDMIの双方に対応している。モバイルフォーン110Fおよびテレビ受信機120Cは、信号変換装置としてのドングル200DaおよびHDMIケーブル200Bbの直列回路により接続されている。
【0125】
図17に示すAVシステム100Fは、モバイルフォーン110Fを除き、図14に示すAVシステム100Dと同様に構成され、同様に動作する。モバイルフォーン110Fについて説明する。モバイルフォーン110Fは、新規格送信回路112Aと、制御回路113Aと、バッテリ114と、充電回路115と、電源端子116を有している。充電回路115は、バッテリ114を充電するための回路である。電源端子116は、レセプタクルの1つの端子(ピン)であり、新規格ケーブル237のプラグがコネクタ部111Aでレセプタクルに接続されるとき、その電源線が接続される端子である。
【0126】
モバイルフォーン110Fにおいて、電源端子116は、スイッチ回路SW5を介して、充電回路115に接続されている。また、バッテリ114の出力はスイッチ回路SW6を介して、電源端子116に接続されている。制御回路113Aは、スイッチ回路SW5,SW6の接続/非接続を制御する。制御回路113Aは、スイッチ回路SW6が非接続でスイッチ回路SW5が接続という接続状態(第1の接続状態)で、電源端子116の電圧が規定値より低いか否かを判定する。
【0127】
制御回路113Aは、電圧が規定値以上であるときは、上述の第1の接続状態を維持するが、電圧が規定値より低いときは、スイッチ回路SW6が接続でスイッチ回路SW5が非接続という接続状態(第2の接続状態)を選択するように切り換える。詳細説明は省略するが、モバイルフォーン110Fのその他は、図14のAVシステム100Dのモバイルフォーン110Aと同様に構成されている。
【0128】
図17に示すAVシステム100Fにおいて、例えば、ドングル200Daにテレビ受信機120Cが接続されていない場合、ドングル200Daの電源線231、従って、モバイルフォーン110Fの電源端子116の電圧は規定値より低くなっている。そのため、制御回路113Aにより、スイッチ回路SW6が接続でスイッチ回路SW5が非接続という接続状態(第2の接続状態)に切り換えられる。
【0129】
これにより、モバイルフォーン110Fのバッテリ114から、スイッチ回路SW6、電源端子116および新規格ケーブル237の電源線を通じて、ドングル200Daの電源線231に電源が供給される。そのため、ドングル200Daは、外部電源が接続されていなく、しかもテレビ受信機120Cからの電源供給がない状態にあっても、動作が可能となる。
【0130】
この状態にあって、ドングル200Daにテレビ受信機120Cが接続される場合、上述したように、テレビ受信機120Cの定電圧回路125からドングル200Daの電源線231に電源が供給される状態となる。テレビ受信機120Cが接続された場合、ドングル200Daの制御回路235Dとモバイルフォーン110Fの制御回路113Aとの間の通信で、制御回路113Aに、テレビ受信機120Cの接続、つまりテレビ受信機120Cからの電源供給が通知される。
【0131】
テレビ受信機120Cの接続通知を受けたモバイルフォーン110Fの制御回路113Aは、スイッチ回路SW6が非接続でスイッチ回路SW5が接続という接続状態(第1の接続状態)を選択するように切り換える。これにより、テレビ受信機120Cからの電源が、ドングル200Daを経由し、モバイルフォーン110Fに供給される状態となる。
【0132】
また、上述実施の形態においては、ソース機器がモバイルフォーンで、シンク機器がテレビ受信機である例を示した。しかし、本技術の信号変換装置(ドングル)は、ソース機器およびシンク機器がその他の電子機器である場合にも、同様に適用できることは勿論である。
【0133】
また、上述実施の形態においては、第1の伝送規格が新規格(図5参照)であり、第2の伝送規格がHDMI(図2参照)である例を示した。しかし、本技術において、第1の伝送規格および第2の伝送規格は、これに限定されるものではない。
【0134】
また、本技術は、以下のような構成をとることもできる。
(1)第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号を第2の伝送規格信号に変換する信号変換部と、
上記第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号または上記信号変換部で得られた第2の伝送規格信号を出力信号として選択する信号選択部と、
上記信号選択部で選択された出力信号が供給される第2の外部機器が対応する伝送規格に応じて上記信号選択部の選択動作を制御する制御部とを備える
信号変換装置。
(2)上記制御部は、
上記第2の外部機器が上記第1の伝送規格に対応しているとき、上記信号選択部が上記第1の伝送規格信号を出力信号として選択するように制御する
前記(1)に記載の信号変換装置。
(3)上記制御部は、
上記第2の外部機器のインピーダンス検出を行うことで、該第2の外部機器が上記第1の伝送規格に対応しているか否かを判別する
前記(2)に記載の信号変換装置。
(4)上記伝送規格では、画像データおよび音声データを差動信号線で伝送し、さらに、別の信号線で制御信号を伝送する
前記(1)から(3)のいずれかに記載の信号変換装置。
(5)上記第1の伝送規格では、第1の本数の信号線を用いて上記第1の伝送規格信号を伝送し、
上記第2の伝送規格では、上記第1の本数よりも多い第2の本数の信号線を用いて上記第2の伝送規格信号を伝送する
前記(4)に記載の信号変換装置。
(6)上記第1の伝送規格では、上記画像データおよび上記音声データを1対の差動信号線を用いて伝送し、
上記第2の伝送規格では、上記画像データおよび上記音声データを3対の差動信号線を用いて伝送する
前記(5)に記載の信号変換装置。
(7)内部回路に給電する電源を、上記第1の外部機器または上記第2の外部機器から受け取る電源受信部をさらに備える
前記(1)から(6)のいずれかに記載の信号変換装置。
(8)上記内部回路および上記第1の外部機器に給電するための電源線をさらに備え、
上記電源線には、上記第2の外部機器が上記第1の伝送規格に対応しているとき、該第2の外部機器から電源が供給される
前記(7)に記載の信号変換装置。
(9)上記第2の外部機器に上記電源の供給を促すための抵抗器をさらに備え、
上記第2の外部機器は、上記抵抗器を検出することで、上記電源線に電源を供給する
前記(8)に記載の信号変換装置。
(10)上記電源線に、外部電源からの電源を供給するための電源入力部と、
上記第2の外部機器からの電源入力と上記外部電源からの電源入力との干渉を防止する電源干渉防止部とをさらに備える
前記(8)または(9)に記載の信号変換装置。
(11)上記電源干渉防止部は、
上記第2の外部機器から上記電源線への電源供給経路に挿入される第1のダイオードと、上記電源入力部から上記電源線への電源供給経路に挿入される第2ダイオードとからなるダイオードブリッジである
前記(10)に記載の信号変換装置。
(12)第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号を第2の伝送規格信号に変換する信号変換ステップと、
上記第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号または上記信号変換ステップで得られた第2の伝送規格信号を出力信号として選択する信号選択ステップと、
上記信号選択ステップで選択された出力信号が供給される第2の外部機器が対応する伝送規格に応じて上記信号選択ステップの選択動作を制御する制御ステップとを備える
信号変換方法。
(13)バッテリと、
上記バッテリを充電する充電部と、
電源端子と、
上記電源端子を上記充電部に接続する第1の接続状態または上記バッテリの出力を上記電源端子に接続する第2の接続状態を選択する状態選択部と、
上記状態選択部の選択動作を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、
上記第1の接続状態が選択された状態で上記電源端子の電圧が規定値より低いとき、上記第2の接続状態を選択するように上記状態選択部の選択動作を制御する
端末装置。
(14)上記制御部は、
上記第2の接続状態が選択されているとき、上記電源端子に電源を供給する外部機器からの電源供給の通知に基づいて、上記第1の接続状態を選択するように上記状態選択部の選択動作を制御する
前記(13)に記載の端末装置。
(15)第1の伝送規格信号を出力する信号出力部をさらに備え、
上記外部機器は、上記信号出力部から出力される第1の伝送規格信号を第2の伝送規格信号に変換する機能を有する
前記(14)に記載の端末装置。
【符号の説明】
【0135】
100D,100F・・・AVシステム
110A,110F・・・モバイルフォーン
111A,121C,230・・・コネクタ部
112A・・・新規格送信回路
113A,123C,235D,236D・・・制御回路
114・・・バッテリ
115・・・充電回路
116・・・電源端子
120C・・・テレビ受信機
122C・・・HDMI/新規格受信回路
124・・・検出回路
125・・・定電圧回路
126・・・スイッチ回路
200Bb・・・HDMIケーブル
200Da・・・ドングル(信号変換装置)
231・・・電源線
232・・・電源入力部
233,234・・・新規格/HDMI変換回路
237・・・新規格ケーブル
238・・・抵抗
300・・・外部電源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号を第2の伝送規格信号に変換する信号変換部と、
上記第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号または上記信号変換部で得られた第2の伝送規格信号を出力信号として選択する信号選択部と、
上記信号選択部で選択された出力信号が供給される第2の外部機器が対応する伝送規格に応じて上記信号選択部の選択動作を制御する制御部とを備える
信号変換装置。
【請求項2】
上記制御部は、
上記第2の外部機器が上記第1の伝送規格に対応しているとき、上記信号選択部が上記第1の伝送規格信号を出力信号として選択するように制御する
請求項1に記載の信号変換装置。
【請求項3】
上記制御部は、
上記第2の外部機器のインピーダンス検出を行うことで、該第2の外部機器が上記第1の伝送規格に対応しているか否かを判別する
請求項2に記載の信号変換装置。
【請求項4】
上記第1の伝送規格および上記第2の伝送規格では、画像データおよび音声データを差動信号線で伝送し、さらに、別の信号線で制御信号を伝送する
請求項1に記載の信号変換装置。
【請求項5】
上記第1の伝送規格では、第1の本数の信号線を用いて上記第1の伝送規格信号を伝送し、
上記第2の伝送規格では、上記第1の本数よりも多い第2の本数の信号線を用いて上記第2の伝送規格信号を伝送する
請求項4に記載の信号変換装置。
【請求項6】
上記第1の伝送規格では、上記画像データおよび上記音声データを1対の差動信号線を用いて伝送し、
上記第2の伝送規格では、上記画像データおよび上記音声データを3対の差動信号線を用いて伝送する
請求項5に記載の信号変換装置。
【請求項7】
内部回路に給電する電源を、上記第1の外部機器または上記第2の外部機器から受け取る電源受信部をさらに備える
請求項1に記載の信号変換装置。
【請求項8】
上記内部回路および上記第1の外部機器に給電するための電源線をさらに備え、
上記電源線には、上記第2の外部機器が上記第1の伝送規格に対応しているとき、該第2の外部機器から電源が供給される
請求項7に記載の信号変換装置。
【請求項9】
上記第2の外部機器に上記電源の供給を促すための抵抗器をさらに備え、
上記第2の外部機器は、上記抵抗器を検出することで、上記電源線に電源を供給する
請求項8に記載の信号変換装置。
【請求項10】
上記電源線に、外部電源からの電源を供給するための電源入力部と、
上記第2の外部機器からの電源入力と上記外部電源からの電源入力との干渉を防止する電源干渉防止部とをさらに備える
請求項8に記載の信号変換装置。
【請求項11】
上記電源干渉防止部は、
上記第2の外部機器から上記電源線への電源供給経路に挿入される第1のダイオードと、上記電源入力部から上記電源線への電源供給経路に挿入される第2ダイオードとからなるダイオードブリッジである
請求項10に記載の信号変換装置。
【請求項12】
第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号を第2の伝送規格信号に変換する信号変換ステップと、
上記第1の外部機器から入力された第1の伝送規格信号または上記信号変換ステップで得られた第2の伝送規格信号を出力信号として選択する信号選択ステップと、
上記信号選択ステップで選択された出力信号が供給される第2の外部機器が対応する伝送規格に応じて上記信号選択ステップの選択動作を制御する制御ステップとを備える
信号変換方法。
【請求項13】
バッテリと、
上記バッテリを充電する充電部と、
電源端子と、
上記電源端子を上記充電部に接続する第1の接続状態または上記バッテリの出力を上記電源端子に接続する第2の接続状態を選択する状態選択部と、
上記状態選択部の選択動作を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、
上記第1の接続状態が選択された状態で上記電源端子の電圧が規定値より低いとき、上記第2の接続状態を選択するように上記状態選択部の選択動作を制御する
端末装置。
【請求項14】
上記制御部は、
上記第2の接続状態が選択されているとき、上記電源端子に電源を供給する外部機器からの電源供給の通知に基づいて、上記第1の接続状態を選択するように上記状態選択部の選択動作を制御する
請求項13に記載の端末装置。
【請求項15】
第1の伝送規格信号を出力する信号出力部をさらに備え、
上記外部機器は、上記信号出力部から出力される第1の伝送規格信号を第2の伝送規格信号に変換する機能を有する
請求項14に記載の端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−46123(P2013−46123A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181107(P2011−181107)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】