信号多重化方法および信号多重化回路
【課題】 複雑なディジタル処理回路を必要とすることなく、複数のディジタル的状態信号と、アナログ信号とを多重化して1本の伝送線により送信可能な信号多重化方法および信号多重化回路を提供すること。
【解決手段】 複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化方法であって、前記ディジタル的状態信号は、発振回路11で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることで前記パルスに含ませ、前記アナログ信号は、前記パルスの高さ信号として前記パルスに含ませることを特徴とする。
【解決手段】 複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化方法であって、前記ディジタル的状態信号は、発振回路11で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることで前記パルスに含ませ、前記アナログ信号は、前記パルスの高さ信号として前記パルスに含ませることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化方法および信号多重化回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給水タンクの水位を検出して、その検出信号をボイラ装置や水処理装置の制御器へ送信する水位検出装置が知られている。こうした水位検出装置においては、水位をアナログ的に検出する主水位センサと、正常水位(第一状態)と正常水位でない異常水位(第一状態と異なる第二状態)をディジタル的状態信号として検出する補助水位センサとにより検出するものがある。具体的には、補助水位センサは、第一状態(正常水位)をONとして検出し、第二状態(異常水位)をOFFとして検出する。ON,OFFは、「0」,「1」の信号であり、アナログ信号でないディジタル信号であるので、ディジタル的状態信号と表現している。
【0003】
こうしたディジタル的状態信号とアナログ信号とを前記制御器へ送信するには、2本の伝送線(アース線を除く。)が必要となる。この課題を解決するには、水位検出装置側で、ディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する方法が考えられる。
【0004】
従来、アナログ信号とディジタル信号とを多重化する信号多重化回路は、種々のものが知られている。しかしながら、公知の信号多重化回路は、水位検出装置のような低価格の装置に実装するには、回路構成が複雑過ぎ、またコストの面からも好ましくない。
【0005】
アナログ信号とディジタル信号とを多重化して一本の配線(アース線を除く。)により伝送する信号多重化方法として、比較的構成が簡単なものが特許文献1にて知られている。ディジタル信号は、「1」と「0」との時間的配列によって情報を表す。
【0006】
この特許文献1は、本願発明のようなディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化するものではない。しかしながら、特許文献1の方法を用いて、2つのディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化して送ることが可能である。例えば、ディジタル的状態信号の第一状態をディジタル信号の「1」として、ディジタル的状態信号の第二状態をディジタル信号の「0」として送ることが可能である。
【0007】
この場合、ディジタル信号の「1」のときに、アナログ信号が出力信号として出力される。その結果、ディジタル信号とアナログ信号とが多重化されて出力されることになる。
【0008】
しかしながら、特許文献1の多重化方法では、ディジタル信号の「0」のときには、アナログ信号が出力されないので、「0」が長時間続き、「1」が少ないディジタル信号であると、アナログ信号が殆ど出力されないことになる。その結果、連続して送信する必要のあるアナログ信号を連続して送信できないことになる。すなわち、場合によっては、アナログ信号が送信されない時間帯が生ずることになる。また、特許文献1の多重化方法では、ディジタル的状態信号が3以上存在する場合には、多重化できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−259134号公報(特願平3−40501)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、複雑なディジタル処理回路を必要とすることなく、複数のディジタル的状態信号と、アナログ信号とを多重化して1本の伝送線により送信可能な信号多重化方法および信号多重化回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化方法であって、前記ディジタル的状態信号は、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることで前記パルスに含ませ、前記アナログ信号は、前記パルスの高さ信号として前記パルスに含ませることを特徴としている。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、前記ディジタル的状態信号は、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることで前記パルスに含ませ、前記アナログ信号は、前記パルスの高さ信号として前記パルスに含ませるように構成しているので、複雑なディジタル処理回路を必要とすることなく、複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化して1本の伝送線により送信可能な信号多重化方法を提供できる。また、所定周期で繰り返されるパルスの高さとしてアナログ信号を含ませているので、アナログ信号を所定周期で連続的に多重化できる。さらに、前記パルス発信回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより、前記ディジタル的状態信号を前記パルスに含ませているので、3以上のディジタル的状態信号を前記パルスに含ませることができるという効果を奏する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化回路であって、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより前記ディジタル的状態信号を前記パルスに含ませるパルス生成部と、前記パルス生成部からのパルスの高さとしてアナログ信号を含ませるアナログ信号多重化部とを備えることを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、前記ディジタル的状態信号は、前記パルス生成部において、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることで前記パルスに含ませ、前記アナログ信号は、前記アナログ信号多重化部において、前記パルスの高さ信号として前記パルスに含ませるように構成しているので、複雑なディジタル処理回路を必要とすることなく、複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化して1本の伝送線により送信可能な信号多重化回路を提供できる。また、所定周期で繰り返されるパルスの高さとしてアナログ信号を含ませているので、アナログ信号を連続的に多重化できる。さらに、前記パルス発信回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより、前記ディジタル的状態信号を前記パルスに含ませているので、3以上のディジタル的状態信号を前記パルスに含ませることができるという効果を奏する。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記パルス生成部は、C−R充放電回路を含む発振回路と周波数および/またはデューティー比の設定回路とを備え、前記設定回路は、前記C−R充放電回路の充電時定数および放電時定数を同時に異ならせることで前記パルスの周波数を異ならせるように構成するか、前記C−R充放電回路の放電時定数のみを異ならせることで、前記パルスのデューティー比を異ならせように構成されることを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明による効果に加えて、前記パルス生成部における周波数および/またはデューティー比を簡単に変更できるという効果を
奏する。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3において、前記アナログ信号が主水位センサのアナログ出力であり、前記ディジタル的状態信号が前記主水位センサと別の1または複数の補助水位センサのON−OFFにより形成される信号であることを特徴としている。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2または請求項3に記載の発明による効果に加えて、前記主水位センサのアナログ信号と前記補助水位センサによる複数のディジタル的状態信号を多重化して1本の伝送線により連続的に送信できるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、複雑なディジタル処理回路を必要とすることなく、複数のディジタル的状態信号と、アナログ信号とを多重化して1本の伝送線により送信可能な信号多重化方法および信号多重化回路を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の原理的説明図である。
【図2】この発明の実施例1の信号多重化回路を備えた給水制御システムの概略構成を説明する電気回路図である。
【図3】同実施例1の信号多重化回路の具体的な電気回路図である。
【図4】同実施例1の信号多重化回路の出力信号の模式的説明図である。
【図5】同実施例1の信号を受けて作動する給水制御装置の制御手順を説明するフローチャート図である。
【図6】同実施例1の信号を受けて作動する給水制御装置の他の制御手順を説明するフローチャート図である。
【図7】この発明の実施例2の信号多重化回路の具体的な電気回路図である。
【図8】同実施例2の信号多重化回路の出力信号の模式的説明図である。
【図9】この発明の実施例3の信号多重化回路の具体的な電気回路図である。
【図10】同実施例3の出力信号の模式的説明図である。
【図11】この発明の実施例4を備えた給水制御システムの概略構成を説明する電気回路図である。
【図12】同実施例4の具体的な電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、複数のディジタル的状態信号からなる水位信号と、アナログ信号からなる水位信号とを多重化する信号多重化方法および信号多重化回路に好適に実施される。
【0022】
(方法の実施の形態)
まず、信号多重化方法の実施の形態(方法の実施の形態)について説明する。この実施の形態の信号多重化方法は、複数の(第一状態〜第N状態)のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化方法である。Nは、2以上正整数である。前記ディジタル的状態信号は、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることで前記パルスに含ませる。換言すれば、前記ディジタル的状態信号は、パルスの周波数および/またはデューティー比の相違により表現する,すなわちパルスの周波数および/またはデューティー比を変化させる。他方、前記アナログ信号は、前記パルスの高さ信号として前記パルスに含ませる。換言すれば、前記アナログ信号は、前記パルスの高さ信号として表現する、すなわち前記パルスの高さを変化させる。前記パルスは、好ましくは、所定周期および所定デューティー比で繰り返される方形波である。
【0023】
この方法の実施の形態によれば、所定周期で繰り返されるパルスの高さとしてアナログ信号を含ませているので、前記ディジタル的状態信号の第一状態と第二状態とをパルスの「1」または「0」に対応させて多重化し、パルスの「1」または「0」の高さとして含ませることが可能な特許文献1のような信号多重化方法と比較して、アナログ信号を所定周期で連続的に多重化して送信することができる。
【0024】
また、ディジタル信号の「1」または「0」に対応して第一状態または第二状態を対応させるのではなく、前記パルス発信回路で生成されるパルスの周波数を異ならせるか、前記パルスのデューティー比を異ならせるか、前記パルスの周波数およびデューティー比を異ならせるかにより、前記ディジタル的状態信号を前記パルスに含ませているので、3以上のディジタル的状態信号を前記パルスに含ませることができる。
【0025】
(回路の実施の形態)
つぎに、この発明の信号多重化回路の実施の形態(回路の実施の形態)を図1に基づき説明する。この実施の形態の信号多重化回路は、前記方法の実施の形態を実現するものであって、複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化回路である。
【0026】
この信号多重化回路は、図1に示すように、パルス生成部と、アナログ信号多重化部とを含んでいる。前記パルス生成部は、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより、複数のディジタル的状態信号を前記パルスに含ませ、このディジタル的状態信号を含んだパルスを出力するように構成(以下、構成Aという。)されている。また、前記アナログ信号多重化部は、前記パルス生成部からのパルスの高さとしてアナログ信号を含ませて、前記ディジタル的状態信号とアナログ信号を多重化した多重化信号として出力するように構成(構成B)されている。
【0027】
発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせる技術は、周知である。しかしながら、構成Aを備えるパルス生成部と構成Bを備えるアナログ信号多重化部とを組み合わせることによって、新規で有用なこの発明の信号多重化回路を実現することができる。
【0028】
すなわち、ディジタル信号の「1」または「0」に対応して前記ディジタル的状態信号の「第一状態」または「第二状態」を対応させるのではなく、前記パルス発信回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより、前記ディジタル的状態信号を前記パルスに含ませているので、前記アナログ信号多重化部においては、アナログ信号を所定周期で連続的に前記パルスに含ませることができる。しかも、3以上のディジタル的状態信号を前記パルスに含ませることができるのである。
【0029】
前記パルス生成部は、好ましくは、C−R充放電回路を含む発振回路と、周波数および/またはデューティー比を設定する設定回路とを備える。前記設定回路は、前記C−R充放電回路の充電時定数および放電時定数を同時に異ならせることで、前記パルスの周波数を異ならせるように構成するか、前記C−R充放電回路の放電時定数のみを異ならせることで、前記パルスのデューティー比を異ならせように構成される。この設定回路は、周波数およびデューティー比を変更、設定するものを含んでいる。デューティー比とはパルスの幅をパルスの周期で除した値である。
【0030】
前記C−R充放電回路の充電時定数および放電時定数を同時に異ならせる方法は、前記C−R充放電回路の抵抗値を変えることで実現できる。前記C−R充放電回路の放電時定数のみを異ならせる方法は、前記発信回路の第一周波数を決める前記C−R充放電回路の
第一設定抵抗と並列に、抵抗に対し、ダイオードおよび開閉接点の並列回路を直列に接続した回路を接続することで実現できる。
【0031】
ここで、前記ディジタル的状態信号を、前記パルスの周波数を異ならせることで含ませる場合の前記パルス生成部の機能について説明する。前記ディジタル的状態信号が2の状態を含む場合、前記パルス生成部は、第一状態に対応して前記発振回路の第一周波数によるパルスを出力し、第二状態に対応して前記設定回路にて変更、設定された第一周波数と異なる第二周波数によるパルスを出力するように構成される。勿論、第一状態のとき、第二周波数のパルスを,第二状態のとき、第一周波数のパルスを出力するように構成しても良い。パルスの周波数は、例えば、10HZ〜1kHZに設定する。
【0032】
また、前記ディジタル的状態信号の3以上の状態を含む場合(ここでは説明を簡単にするためにN=3とする。)、前記パルス生成部は、第一状態に対応して第一周波数によるパルスを出力し、第二状態に対応して第二周波数によるパルスを出力し、第三状態に対応して、第一周波数および第二周波数と異なる第三周波数によるパルスを出力するように構成される。なお、第一状態,第二状態および第三状態に対して、第一周波数,第二周波数および第三周波数をそれぞれ対応させているが、対応関係はこれに限定されるものではない。要するに、第一状態,第二状態および第三状態が、パルスの周波数の相違により識別できれば良い。
【0033】
また、前記ディジタル的状態信号を、前記パルスのデューティー比を異ならせることで含ませる場合も、周波数を異ならせることで含ませる場合と同様に、第一状態を第一デューティー比(または第一デューティー比と異なる第二デューティー比)に対応させ、第二状態を第二デューティー比(または第一デューティー比)対応させる。要するに、前述の周波数を異ならせることで含ませる場合の説明において、「周波数」を「デューティー比」に置き換えた説明とすることができる。
【0034】
さらに、複数の前記ディジタル的状態信号を、前記パルスの周波数とデューティー比とを異ならせることで含ませる場合は、第一状態,第二状態および第三状態に対応して、第一周波数および第一デューティー比のパルス,第二周波数および第二デューティー比のパルス,第二周波数と異なる第三周波数のパルスを出力するように構成することができる。この第一状態〜第三状態と周波数およびデューティー比との対応は、これに限定されるものではなく、第一状態〜第三状態が周波数およびデューティー比のいずれかで識別できるようにパルスに含ませれば良い。
【0035】
つぎに、前記アナログ信号多重化部は、前記パルス生成部からのパルスの高さとしてアナログ信号を含ませるものであるが、前記パルス生成部からのパルスによりON−OFFするスイッチング素子を含み、このスイッチング素子のON時に高い定電圧を出力し、OFF時に前記アナログ信号に応じた電圧(前記定電圧より低い)を出力する機能を有する。
【0036】
このアナログ信号多重化部は、好ましくは、前記スイッチング素子としてトランジスタを含み、このトランジスタのエミッタ側にツェナーダイオードを接続し、前記トランジスタON時に前記ツェナーダイオードを導通させて、前記エミッタと前記ツェナーダイオードの間の多重化点から前記所定の定電圧を出力し、前記トランジスタのOFF時に前記多重化点から前記アナログ信号に応じた電圧を出力するように構成する。
【0037】
しかしながら、このアナログ信号多重化部は、好ましい態様に限定されるものではなく、特許文献1に記載の構成とすることができる。この特許文献1のアナログ信号多重化部は、インバータ回路(4),スイッチ回路(5),抵抗(R3)および抵抗(R4)を含
む第2のレベル変換回路を含んで構成されている。すなわち、この回路の実施の形態は、特許文献1の図1に示す信号多重化回路において、ディジタル入力(3)に代えて前記パルス生成部の出力を入力するように構成したものを含むものである。
【0038】
(回路の実施の形態を実施した給水制御システム)
この発明の実施の形態の信号多重化回路は、つぎの給水制御システムに適用可能である。この給水制御システムは、水処理機器で処理された処理水を貯留する処理水タンクなどの貯水タンクの水位を検出する水位検出装置と、この水位検出装置からの出力に基づいて前記貯水タンクへの処理水などの給水を制御する給水制御装置とからなる給水制御システムの前記水位検出装置に適用できる。
【0039】
前記水位検出装置には、前記貯水タンクの水位を検出してアナログ信号で出力する主水位センサと、前記給水タンク内の水位が異常低水位である第一設定水位以上(第一状態)を検出するとON(閉じる)し、前記第一設定水位未満(第二状態)を検出するとOFF(開く)する第一補助水位センサと、この実施の形態の信号多重化回路とを備える。なお、第一補助水位センサは、第一状態,第二状態でそれぞれOFF,ONするように構成できる。
【0040】
前記信号多重化回路のパルス生成部は、前記発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより、前記第一状態および前記第二状態を含むディジタル的状態信号を前記パルスに含ませるように構成される。また、前記信号多重化回路のアナログ信号多重化部は、前記パルス生成部からのパルスの高さとしてアナログ信号を含ませて、多重化信号として出力するように構成される。
【0041】
この給水制御システムにおいては、前記給水タンク内の水位が異常高水位である第二設定水位未満(第一状態)を検出するとOFF(またはON)し、前記第二設定水位以上(第三状態)を検出するとON(またはOFF)する第二補助水位センサを備えることができる。前記第三状態も前記パルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより、前記パルスに含ませるように構成される。
【0042】
この発明の実施の形態の信号多重化回路が適用される範囲は、給水制御システムに限定されるものではない。例えば、蒸気センサによるアナログ信号と蒸気圧力スイッチによるディジタル的状態信号とを多重化する圧力制御システムにも適用可能である。
【実施例1】
【0043】
ついで、この発明の実施例1の信号多重化回路1を図面に従い説明する。図2は、同実施例1の多重化回路1を備えた給水制御システム2の概略構成を説明する電気回路図であり、図3は、同実施例1の信号多重化回路1の具体的な電気回路図であり、図4は、同実施例1の信号多重化回路1の出力信号の模式的説明図であり、図5は、同実施例1の信号を受けて作動する給水制御装置の信号再生手順を説明するフローチャート図であり、図6は、同給水制御装置の給水制御手順を説明するフローチャート図である。
【0044】
(実施例1の構成)
まず、給水制御システム2の構成を説明する。給水制御システム2は、水処理機器(図示省略)からの処理水を貯留する処理水タンク(図示省略)の水位を検出する水位検出装置3と、水位検出装置3からの出力に基づいて処理水タンクへの処理水の供給を制御する給水制御装置4と主要部として備える。水位検出装置3と給水制御装置4とは1本の伝送線(信号線)5で接続されている。給水制御装置4は、前記水処理装置の一部として構成しても良いし、別装置として構成しても良い。
【0045】
水位検出装置3は、処理水タンク(図示省略)の水位を検出してアナログ信号を出力する主水位センサ6と、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8と、信号多重化回路1とを備える。
【0046】
第一補助水位センサ7は、給水タンク内の水位が異常低水位である第一設定水位LL以上を検出するとONし、第一設定水位LL未満を検出するとOFFする接点を含んで構成されている。また、第二補助水位センサ8は、給水タンク内の水位が異常高水位である第二設定水位HH未満を検出するとOFFし、第二設定水位HH以上を検出するとONする接点を含んで構成されている。
【0047】
この実施例1では、第一補助水位センサ7がON,第二補助水位センサ8がOFF,すなわち第一設定水位LL以上および第二設定水位HH未満の状態が第一状態Z1である。また、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がOFF,すなわち第一設定水位LL未満が第一状態Z1と異なる第二状態Z2である。さらに、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がON,すなわち第二設定水位LLを以上の状態が第一状態Z1および第二状態Z2と異なる第三状態Z3である。このように「状態」とは、直接的には第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8の開閉状態を意味するが、水位状態ということもできる。また、この実施例1では、第一補助水位センサ7がOFFで、第二補助水位センサ8がONのセンサ故障状態を第四状態Z4としている。
【0048】
つぎに、信号多重化回路1を図3に基づき説明する。信号多重化回路1は、パルス生成部9と、アナログ信号多重化部10とを主要部として備える。パルス生成部9は、発振回路11で生成されるパルスの周波数を異ならせることによりディジタル的状態信号をパルスに含ませるように構成されている。ディジタル的状態信号は、第一状態Z1,第二状態Z2,第三状態Z3および第四状態Z4を含んでいる。
【0049】
パルス生成部9は、第一状態Z1に対応する第一周波数F1でパルスを生成する発振回路11と、第二状態Z2に対応する第二周波数F2,第三状態Z3に対応する第三周波数F3および第四状態Z4に対応する第四周波数F4を設定する設定回路12とを含んでいる。
【0050】
発振回路11は、第一インバータ13と、第一インバータ13の出力側に接続される第一設定抵抗14およびコンデンサ15からなるC−R充放電回路16とを含んで構成されている。第一設定抵抗14およびコンデンサ15の接続点が第一インバータ13の入力側に接続されている。
【0051】
設定回路12は、第二設定抵抗17および第一補助水位センサ7の直列回路と、第三設定抵抗18(第二設定抵抗17よりも抵抗値が小さい)および第二補助水位センサ8の直列回路とを第一設定抵抗14と並列に接続して構成されている。
【0052】
この設定回路12を備えるパルス生成部9は、つぎのように構成されている。第一補助水位センサ7がON,第二補助水位センサ8がOFFの状態(第一状態Z1)では、パルス生成部9から第一周波数F1のパルスが、信号線19を介してアナログ信号多重化部10へ出力されるように構成されている。また、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにOFFの状態(第二状態Z2)では、パルス生成部9から第二周波数F2のパルスが出力されるように構成されている。さらに、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにONの状態(第三状態Z3)では、パルス生成部9から第三周波数F3のパルスが出力され、第一補助水位センサ7がOFFで第二補助水位センサ8がOFFの状態(第四状態)では、パルス生成部9から第四周波数F4のパルスが出力されるように構成されている。
【0053】
つぎに、アナログ信号多重化部10について説明する。アナログ信号多重化部10は、パルス生成部9からのパルスの高さHを主水位センサ6のアナログ信号により変化させるように構成されている。そして、アナログ信号多重化部10は、パルス生成部9からのパルスによりON−OFFするスイッチングトランジスタ24を含み、このスイッチングトランジスタ24のON時に高い定電圧を出力し、OFF時に前記アナログ信号に応じた電圧を出力するように構成されている。
【0054】
具体的には、トランジスタ24のベースが第二インバータ20,第一抵抗21を介して信号線19と接続され、エミッタが第二抵抗22を介してツェナーダイオード23と接続されるスイッチングトランジスタ24を備えている。
【0055】
そして、エミッタとツェナーダイオード23の間の多重化点25には増幅回路26、第三抵抗27を介してアナログ信号の入力端子28が接続されている。また、多重化点25は、多重化点25の電圧を電流に変換する電圧−電流変換回路29を介して出力端子30と接続されている。出力端子30は、伝送線5が接続される。
【0056】
なお、電圧−電流変換回路29は、長い伝送線5を電圧で伝送すると、電圧が伝送線5の抵抗によって低下するので、これを防止するために設けたものあるので、場合によっては省略可能である。また、第二インバータ20は、トランジスタ24を駆動する電流を供給するためのものであり、第一インバータ13の出力電流によりトランジスタ24を駆動することができる場合は、省略することができる。
【0057】
このアナログ信号多重化部10のツェナーダイオード23は、スイッチングトランジスタ24のON時に導通する。この導通時に多重化点25の電圧が、ツェナー電圧(例えば、5ボルト)以上の所定の定電圧V0となるように、第二抵抗22および第三抵抗27の分圧により保持するように構成される。また、多重化点25に加えられるアナログ信号電圧は、定電圧V0より低い電圧VA(例えば、0.8〜4.0ボルト)とする。
【0058】
図2を参照して、給水制御装置4は、信号再生手順と給水制御手順とを実行する制御器31を備えている。信号再生手順は、予め記憶したソフトウエアにより信号多重化回路1からのパルス(多重化信号)の周波数が、第一周波数F1,第二周波数F2,第三周波数F3、第四周波数F4のいずであるかを判定して、第一状態Z1,第二状態Z2,第三状態Z3,第四状態Z4を判定するとともに、パルスの高さからアナログ信号を再生する手順である。
【0059】
この信号再生手順は、この実施例1では図5で示される。処理ステップS1(以下、処理ステップSNを単にSNと称する。)で,信号多重化回路1から送信されてくる多重化信号(パルス)を取り込み、S2で、パルスの周波数を検出して、その結果に基づき、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8の開閉状態を判定する。パルスの周波数は、ソフトウエア的にパルスのH(頂辺)側の長さとL(底辺)側の長さとを検出することでパルスの周期を求めることで演算できる。演算したパルスの周波数が、F1,F2,F3,F4のいずれであるかにより、第一状態Z1,第二状態Z2,第三状態Z3,第四状態Z4のいずれであるかを判定する。S3では、パルスの高さHを検出することで、この高さHに対応するアナログ信号を演算する。
【0060】
また、給水制御手順は、この実施例1では図6で示され、制御器31が水位検出装置3からパルス信号を入力しないとき、処理水タンクへ間欠給水する伝送線断線時給水制御と、第一状態Z1を判定したとき、主水位センサ6のアナログ信号に基づいて給水制御を行う基準給水制御(正常時給水制御)と、第二状態Z2を判定したとき、処理水タンクへ強
制給水を行う低水位異常時給水制御と、第三状態Z3を判定したとき、処理水タンクへの給水を停止する高水位異常時給水制御とを含んでいる。
【0061】
<実施例1の動作>
ここで、実施例1の動作を図面に基づき説明する。
(水位検出装置3の動作)
まず、水位検出装置3の動作,特に信号多重化回路1の動作について説明する。図2〜図4を参照して、今、処理水タンクの水位が適正水位(正常水位),すなわち第一補助水位スイッチ7がON、第二補助水位スイッチ8がOFF状態(第一状態Z1)とする。図3を参照して、発振回路11は、第一設定抵抗14および第二設定抵抗17の並列回路とコンデンサ15で定まる周波数F1で発振し、パルス生成部9から信号線19を通してアナログ信号多重化部10へ周波数F1の方形状のパルスを送信する。
【0062】
第一インバータ13の出力がLのとき、コンデンサ15に充電された電荷が第一設定抵抗14および第二設定抵抗17の並列回路を通して第一インバータ13に吸込まれる、この放電時,すなわちパルスがL側のとき、第二インバータ20によりHの信号がトランジスタ24のベースに印加され、トランジスタ24が導通(ON)する。すると、ツェナーダイオード23が導通して、多重化点25の電圧がV0となる。またパルスがH側のとき、第二インバータ20によりLの信号がトランジスタ24のベースに印加され、トランジスタ24が非導通(OFF)となる。すると、多重化点25には、アナログ信号に基づくVAとなる。
【0063】
この電圧V0またはVAは、電圧−電流変換回路29に入力される。この実施例1の電圧−電流変換回路29は、入力電圧を200Ωの抵抗で除して電流に変換する構成となっており、V0を5ボルトとすると、25mAの電流I0に変換され、VAは、4〜20mAの電流IAに変換され、電流パルスとして出力端子30から出力される。
【0064】
この第一状態Z1の電流パルスを図4の(a)に示す。このパルスの周期,周波数,高さは、それぞれT1,F1,Hである。パルスの高さH=I0―IAがアナログ水位センサ6からのアナログ信号に比例して変化する。
【0065】
また、処理水タンクの水位が異常低水位,すなわち第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにOFFの状態(第二状態Z2)では、図3において、第一設定抵抗14のみが充放電に関わるので、充電時定数と放電時定数とがともに長くなり、発振回路11は、周期T1より長い周期T2で、周波数F1より低い周波数F2で発振し、パルス生成部9からパルスを送信する。
【0066】
この第二状態の電流パルスを図4の(b)に示す。このパルスの周期,周波数,高さは、それぞれT2,F2,Hである。
【0067】
また、処理水タンクの水位が異常高水位,すなわち第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにONの状態(第三状態Z3)では、図3において、第一設定抵抗14,第二設定抵抗17および第三設定抵抗18が充放電に関わるので、第一状態および第二状態と比較して充電時定数と放電時定数とがともに短くなり、発振回路11は、周期T1および周期T2より短い周期T3で、周波数F1および周波数F2より高い周波数F3で発振し、パルス生成部9からパルスを送信する。
【0068】
この第三状態の電流パルスを図4の(c)に示す。このパルスの周期,周波数,高さは、それぞれT3,F3,Hである。
【0069】
さらに、第一補助水位センサ7,第二補助水位センサ8のいずれかが故障し、第一補助水位センサ7がOFFで第二補助水位センサ8がONの状態(第四状態Z4)では、図3において、第一設定抵抗14および第三抵抗18が充放電に関わるので、第二状態と比較して充電時定数と放電時定数とがともに短くなり、第三状態と比較して充電時定数と放電時定数とがともに長くなる。その結果、発振回路11は、周期T2より短く、T3より長い周期T4で、周波数F2より高く、F3より低い周波数F4で発振し、パルス生成部9からパルスを送信する。
【0070】
この第四状態の電流パルスを図4の(d)に示す。このパルスの周期,周波数,高さは、それぞれT4,F4,Hである。
【0071】
(給水制御装置4の動作)
つぎに、伝送線5を通して送信される多重化信号(パルス)を受信した給水制御装置4の動作を説明する。
【0072】
受信された多重化信号は、図5に示す処理手順で、パルスの周波数がF1〜F4のいずれであるかが判定されるとともに、パルスの高さHから主水位センサ6が出力するアナログ信号が再生される。
【0073】
この結果に基づき、図6の給水制御手順により、給水制御がつぎのように行われる。S11において、パルス信号を入力が有るかどうかが判定される。パルスそのものが検出されないときは、S11でNOが判定され、S15へ移行して処理水タンクへ間欠給水を行う。S11がNOの場合は、伝送線5が断線していると判断できる。間欠給水とは、処理水タンクの水位によらず、一定時間給水と一定時間給水停止とを繰り返す給水で、必要最低限の給水を行うものである。
【0074】
S11でYESが判定されると、S12へ移行して、第一補助水位センサ7がOFFかどうかを判定する。S12で、YESが判定,すなわち第二状態Z2が判定されると、S16へ移行して処理水タンクへ強制給水を行う。この強制給水とは、処理水タンクの水位が異常低水位と判断した場合、無条件で行う給水である。
【0075】
S12でNOが判定されると、S13へ移行して、第二補助水位センサ8がONかどうかを判定する。S13で、YESが判定,すなわち第三状態Z3を判定したとき、処理水タンクへの給水を停止する。
【0076】
S13でNOが判定されると、S14へ移行して、主水位センサ6の検出アナログ信号に基づき、処理水タンクへの給水制御を行う。この給水制御は、正常水位時の制御で、給水制御装置4で演算した主水位センサ6の検出アナログ信号による検出水位が給水を必要とする水位になると給水を開始し、給水を必要としない水位になると給水を停止する制御である。
【実施例2】
【0077】
この発明は、前記実施例1に限定されないものであり、信号多重化回路1を図7に示す実施例2とすることができる。実施例1の信号多重化回路1は、パルスの周波数を異ならせることで、第一状態Z1,第二状態Z2,第三状態Z3,第四状態Z4をパルスに含ませるように構成しているが、実施例2の信号多重化回路1は、パルスのデューティー比を異ならせることで、第一状態Z1,第二状態Z2,第三状態Z3,第四状態Z4をパルスに含ませるように構成している点で相違する。以下に、実施例1と異なる構成を中心に説明し、同じ構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0078】
実施例1と異なるのは、パルス生成部9の構成であり、図7に示すように、第五設定抵抗32に対し、第一ダイオード33および第一補助水位センサ7の並列回路を直列に接続した第一直列回路34と、第四設定抵抗32より抵抗値が小さい第五設定抵抗35に対し、第二ダイオード36および第二補助水位センサ8の並列回路を直列に接続した第二直列回路37とを、C−R充放電回路16の第一設定抵抗14と並列に接続している。
【0079】
この実施例2における信号多重化回路1の出力端子30からは、図8に示すパルスが出力される。図8の(a)の第一状態Z1では、第一補助水位センサ7がONするので、充電時定数が第一設定抵抗14,第四設定抵抗32および第五設定抵抗35の並列回路の抵抗値により、放電時定数が第一設定抵抗14および第四設定抵抗32の並列回路の抵抗値により、それぞれ決まる。このためパルスのL側の長さT11が短く、パルスのH側の長さT12が長くなる。このときのパルスのデューティー比D1=T12/(T11+T12)である。
【0080】
また、図8の(b)の第二状態Z2では、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにOFFしているので,充電時定数が第一設定抵抗14,第四設定抵抗32および第五設定抵抗35の並列回路の抵抗値により、放電時定数が第一設定抵抗14の抵抗値により、それぞれ決まる。このためパルスのL側の長さT21がT11と等しく、パルスのH側の長さT22がT11より短くなる。このときのパルスのデューティー比D2=T22/(T21+T22)で、D1より小さくなる。
【0081】
また、図8の(c)の第三状態Z3では、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにONしているので、充電時定数および放電時定数が第一設定抵抗14,第四設定抵抗32および第五設定抵抗35の並列回路の抵抗値によりそれぞれ決まる。このためパルスのL側の長さT31がT11と等しく、パルスのH側の長さT32がT22より短く、T31と等しくなる。このときのパルスのデューティー比D3=T32/(T31+T32)で、D2より小さくなる。
【0082】
さらに、図8の(d)の第四状態Z4では、第一補助水位センサ7がOFF,第二補助水位センサ8がONしているので、充電時定数が第一設定抵抗14,第四設定抵抗32および第五設定抵抗35の並列回路の抵抗値により、放電時定数が第一設定抵抗14および第五設定抵抗35の並列回路の抵抗値によりそれぞれ決まる。このためパルスのL側の長さT41がT11と等しく、パルスのH側の長さT42がT32より長く、第五設定抵抗35の抵抗値が第四設定抵抗32のそれよりも小さいのでT22より短くなる。このときのパルスのデューティー比D4=T42/(T41+T42)で、D2より小さく、D3より大きくなる。
【0083】
このように、この実施例2においては、第一状態Z1〜第四状態Z4の四つのディジタル的状態信号が互いに異なるデューティー比D1〜D4としてパルスに含まれることになる。アナログ信号は、実施例1と同様にパルスの高さHとして含まれる。
【0084】
また、給水制御装置4側においては、制御器31により、信号再生手順により、パルスのL側長さとH側の長さを求めることでソフトウエア的にデューティー比D1〜D4を演算して、第一状態Z1〜第四状態Z4が判定されるとともに、パルスの高さHからアナログ信号を求める。また、演算した一状態Z1〜第四状態Z4とアナログ信号に基づき、図6の制御手順により、実施例1と同様な給水制御が行われる。
【実施例3】
【0085】
また、この発明は、信号多重化回路1を図9に示す実施例3とすることができる。実施例3の信号多重化回路1は、パルスの周波数とデューティー比を異ならせることで、第一
状態Z1,第二状態Z2,第三状態Z3をパルスに含ませるように構成している。以下に、実施例1と異なる構成を中心に説明し、同じ構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0086】
実施例1と異なるのは、パルス生成部9の構成であり、図9に示すように、第六設定抵抗38と、第三ダイオード39および第二補助水位センサ8の並列回路と、第二補助水位センサ8とを直列に接続した第三直列回路40を、C−R充放電回路16の第一設定抵抗14と並列に接続している。
【0087】
この実施例3における信号多重化回路1の出力端子30からは、図10に示すパルスが出力される。図10の(a)の第一状態Z1では、第一補助水位センサ7がONするので、充電時定数が第一設定抵抗14および第六設定抵抗38の並列回路の抵抗値により、放電時定数が第一設定抵抗14の抵抗値により、それぞれ決まる。このためパルスのL側の長さT11が短く、パルスのH側の長さT12が長くなる。このときのパルスは、周波数F1で、デューティー比D1=T12/(T11+T12)である。
【0088】
また、図8の(b)の第二状態Z2では、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにOFFしているので、充電時定数および放電時定数が第一設定抵抗14の抵抗値により、それぞれ決まる。このときのパルスは、周波数F1より高い周波数F2で、デューティー比D2=T22/(T21+T22)で、D1より小さい。
【0089】
また、図8の(c)の第三状態Z3では、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにONしているので、充電時定数および放電時定数が第一設定抵抗14よび第六設定抵抗38の並列回路の抵抗値によりそれぞれ決まる。このときのパルスは、周波数F2より高い周波数F3で、デューティー比D3はD2と等しい。
【0090】
さらに、図8の(d)の第四状態Z4では、第一補助水位センサ7がOFF,第二補助水位センサ8がONしているので、(b)の第二状態Z2と同じパルスが出力される。
【0091】
この実施例3においては、第一状態Z1と第二状態Z2は、デューティー比D1とデューティー比D2との違いとしてパルスに含まれ、第二状態Z2と第三状態Z3は、周波数F2と周波数F3との違いとしてパルスに含まれる。
【0092】
また、給水制御装置4側においては、制御器31により、信号再生手順により、パルスの底辺と頂辺の長さを求めることでソフトウエア的に、パルスの周波数およびデューティー比を演算して、第一状態Z1〜第三状態Z3が判定されるとともに、パルスの高さHからアナログ信号を求める。また、演算した一状態Z1〜第三状態Z3とアナログ信号に基づき、図6の制御手順により、給水制御が行われる。この実施例3では、第二状態Z2と第四状態Z4とが区別できないので、図6の制御手順においては、第4状態Z4が判定されると、S12にてYESが判定され、強制給水が行われることになる。
【実施例4】
【0093】
また、この発明は、ディジタル的状態信号を2つとした実施例4を含むものである。この実施例4は、図11に示すように、実施例1の第二補助水位センサ8を備えず、第一補助水位センサ7のみとしたものである。そして、この実施例4の信号多重化回路1は、図3の第三設定抵抗18および第二補助水位センサ8の直列回路を備えていない。
【0094】
この実施例4の動作は、基本的には実施例1と同様であり、第一状態Z1では、図4の(a)で示すパルスが、第二状態Z2では、図4の(b)で示すパルスがそれぞれ出力される。二つのディジタル的状態信号がパルスに含まれることになる。アナログ信号は、パ
ルスの高さHとしてパルスに含まれる。
【0095】
この実施例4の信号多重化回路1は、図7の第二直列回路37を除去したもので構成することができる。また、第一補助水位センサ7と第二補助水位センサ8の位置を入れ替えることができる。
【0096】
この発明は、前記実施例1〜4に限定されるものではなく、パルスに含ませるディジタル的状態信号は、5以上とすることができる。また、発振回路11は、実施例1に記載のものに限定されないものであり、種々変更可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 信号多重化回路
6 主水位センサ
7,8 補助水位センサ
9 パルス生成部
10 アナログ信号多重化部
11 発振回路
16 C−R充放電回路
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化方法および信号多重化回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給水タンクの水位を検出して、その検出信号をボイラ装置や水処理装置の制御器へ送信する水位検出装置が知られている。こうした水位検出装置においては、水位をアナログ的に検出する主水位センサと、正常水位(第一状態)と正常水位でない異常水位(第一状態と異なる第二状態)をディジタル的状態信号として検出する補助水位センサとにより検出するものがある。具体的には、補助水位センサは、第一状態(正常水位)をONとして検出し、第二状態(異常水位)をOFFとして検出する。ON,OFFは、「0」,「1」の信号であり、アナログ信号でないディジタル信号であるので、ディジタル的状態信号と表現している。
【0003】
こうしたディジタル的状態信号とアナログ信号とを前記制御器へ送信するには、2本の伝送線(アース線を除く。)が必要となる。この課題を解決するには、水位検出装置側で、ディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する方法が考えられる。
【0004】
従来、アナログ信号とディジタル信号とを多重化する信号多重化回路は、種々のものが知られている。しかしながら、公知の信号多重化回路は、水位検出装置のような低価格の装置に実装するには、回路構成が複雑過ぎ、またコストの面からも好ましくない。
【0005】
アナログ信号とディジタル信号とを多重化して一本の配線(アース線を除く。)により伝送する信号多重化方法として、比較的構成が簡単なものが特許文献1にて知られている。ディジタル信号は、「1」と「0」との時間的配列によって情報を表す。
【0006】
この特許文献1は、本願発明のようなディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化するものではない。しかしながら、特許文献1の方法を用いて、2つのディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化して送ることが可能である。例えば、ディジタル的状態信号の第一状態をディジタル信号の「1」として、ディジタル的状態信号の第二状態をディジタル信号の「0」として送ることが可能である。
【0007】
この場合、ディジタル信号の「1」のときに、アナログ信号が出力信号として出力される。その結果、ディジタル信号とアナログ信号とが多重化されて出力されることになる。
【0008】
しかしながら、特許文献1の多重化方法では、ディジタル信号の「0」のときには、アナログ信号が出力されないので、「0」が長時間続き、「1」が少ないディジタル信号であると、アナログ信号が殆ど出力されないことになる。その結果、連続して送信する必要のあるアナログ信号を連続して送信できないことになる。すなわち、場合によっては、アナログ信号が送信されない時間帯が生ずることになる。また、特許文献1の多重化方法では、ディジタル的状態信号が3以上存在する場合には、多重化できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−259134号公報(特願平3−40501)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、複雑なディジタル処理回路を必要とすることなく、複数のディジタル的状態信号と、アナログ信号とを多重化して1本の伝送線により送信可能な信号多重化方法および信号多重化回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化方法であって、前記ディジタル的状態信号は、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることで前記パルスに含ませ、前記アナログ信号は、前記パルスの高さ信号として前記パルスに含ませることを特徴としている。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、前記ディジタル的状態信号は、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることで前記パルスに含ませ、前記アナログ信号は、前記パルスの高さ信号として前記パルスに含ませるように構成しているので、複雑なディジタル処理回路を必要とすることなく、複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化して1本の伝送線により送信可能な信号多重化方法を提供できる。また、所定周期で繰り返されるパルスの高さとしてアナログ信号を含ませているので、アナログ信号を所定周期で連続的に多重化できる。さらに、前記パルス発信回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより、前記ディジタル的状態信号を前記パルスに含ませているので、3以上のディジタル的状態信号を前記パルスに含ませることができるという効果を奏する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化回路であって、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより前記ディジタル的状態信号を前記パルスに含ませるパルス生成部と、前記パルス生成部からのパルスの高さとしてアナログ信号を含ませるアナログ信号多重化部とを備えることを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、前記ディジタル的状態信号は、前記パルス生成部において、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることで前記パルスに含ませ、前記アナログ信号は、前記アナログ信号多重化部において、前記パルスの高さ信号として前記パルスに含ませるように構成しているので、複雑なディジタル処理回路を必要とすることなく、複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化して1本の伝送線により送信可能な信号多重化回路を提供できる。また、所定周期で繰り返されるパルスの高さとしてアナログ信号を含ませているので、アナログ信号を連続的に多重化できる。さらに、前記パルス発信回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより、前記ディジタル的状態信号を前記パルスに含ませているので、3以上のディジタル的状態信号を前記パルスに含ませることができるという効果を奏する。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記パルス生成部は、C−R充放電回路を含む発振回路と周波数および/またはデューティー比の設定回路とを備え、前記設定回路は、前記C−R充放電回路の充電時定数および放電時定数を同時に異ならせることで前記パルスの周波数を異ならせるように構成するか、前記C−R充放電回路の放電時定数のみを異ならせることで、前記パルスのデューティー比を異ならせように構成されることを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明による効果に加えて、前記パルス生成部における周波数および/またはデューティー比を簡単に変更できるという効果を
奏する。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3において、前記アナログ信号が主水位センサのアナログ出力であり、前記ディジタル的状態信号が前記主水位センサと別の1または複数の補助水位センサのON−OFFにより形成される信号であることを特徴としている。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2または請求項3に記載の発明による効果に加えて、前記主水位センサのアナログ信号と前記補助水位センサによる複数のディジタル的状態信号を多重化して1本の伝送線により連続的に送信できるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、複雑なディジタル処理回路を必要とすることなく、複数のディジタル的状態信号と、アナログ信号とを多重化して1本の伝送線により送信可能な信号多重化方法および信号多重化回路を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の原理的説明図である。
【図2】この発明の実施例1の信号多重化回路を備えた給水制御システムの概略構成を説明する電気回路図である。
【図3】同実施例1の信号多重化回路の具体的な電気回路図である。
【図4】同実施例1の信号多重化回路の出力信号の模式的説明図である。
【図5】同実施例1の信号を受けて作動する給水制御装置の制御手順を説明するフローチャート図である。
【図6】同実施例1の信号を受けて作動する給水制御装置の他の制御手順を説明するフローチャート図である。
【図7】この発明の実施例2の信号多重化回路の具体的な電気回路図である。
【図8】同実施例2の信号多重化回路の出力信号の模式的説明図である。
【図9】この発明の実施例3の信号多重化回路の具体的な電気回路図である。
【図10】同実施例3の出力信号の模式的説明図である。
【図11】この発明の実施例4を備えた給水制御システムの概略構成を説明する電気回路図である。
【図12】同実施例4の具体的な電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、複数のディジタル的状態信号からなる水位信号と、アナログ信号からなる水位信号とを多重化する信号多重化方法および信号多重化回路に好適に実施される。
【0022】
(方法の実施の形態)
まず、信号多重化方法の実施の形態(方法の実施の形態)について説明する。この実施の形態の信号多重化方法は、複数の(第一状態〜第N状態)のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化方法である。Nは、2以上正整数である。前記ディジタル的状態信号は、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることで前記パルスに含ませる。換言すれば、前記ディジタル的状態信号は、パルスの周波数および/またはデューティー比の相違により表現する,すなわちパルスの周波数および/またはデューティー比を変化させる。他方、前記アナログ信号は、前記パルスの高さ信号として前記パルスに含ませる。換言すれば、前記アナログ信号は、前記パルスの高さ信号として表現する、すなわち前記パルスの高さを変化させる。前記パルスは、好ましくは、所定周期および所定デューティー比で繰り返される方形波である。
【0023】
この方法の実施の形態によれば、所定周期で繰り返されるパルスの高さとしてアナログ信号を含ませているので、前記ディジタル的状態信号の第一状態と第二状態とをパルスの「1」または「0」に対応させて多重化し、パルスの「1」または「0」の高さとして含ませることが可能な特許文献1のような信号多重化方法と比較して、アナログ信号を所定周期で連続的に多重化して送信することができる。
【0024】
また、ディジタル信号の「1」または「0」に対応して第一状態または第二状態を対応させるのではなく、前記パルス発信回路で生成されるパルスの周波数を異ならせるか、前記パルスのデューティー比を異ならせるか、前記パルスの周波数およびデューティー比を異ならせるかにより、前記ディジタル的状態信号を前記パルスに含ませているので、3以上のディジタル的状態信号を前記パルスに含ませることができる。
【0025】
(回路の実施の形態)
つぎに、この発明の信号多重化回路の実施の形態(回路の実施の形態)を図1に基づき説明する。この実施の形態の信号多重化回路は、前記方法の実施の形態を実現するものであって、複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化回路である。
【0026】
この信号多重化回路は、図1に示すように、パルス生成部と、アナログ信号多重化部とを含んでいる。前記パルス生成部は、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより、複数のディジタル的状態信号を前記パルスに含ませ、このディジタル的状態信号を含んだパルスを出力するように構成(以下、構成Aという。)されている。また、前記アナログ信号多重化部は、前記パルス生成部からのパルスの高さとしてアナログ信号を含ませて、前記ディジタル的状態信号とアナログ信号を多重化した多重化信号として出力するように構成(構成B)されている。
【0027】
発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせる技術は、周知である。しかしながら、構成Aを備えるパルス生成部と構成Bを備えるアナログ信号多重化部とを組み合わせることによって、新規で有用なこの発明の信号多重化回路を実現することができる。
【0028】
すなわち、ディジタル信号の「1」または「0」に対応して前記ディジタル的状態信号の「第一状態」または「第二状態」を対応させるのではなく、前記パルス発信回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより、前記ディジタル的状態信号を前記パルスに含ませているので、前記アナログ信号多重化部においては、アナログ信号を所定周期で連続的に前記パルスに含ませることができる。しかも、3以上のディジタル的状態信号を前記パルスに含ませることができるのである。
【0029】
前記パルス生成部は、好ましくは、C−R充放電回路を含む発振回路と、周波数および/またはデューティー比を設定する設定回路とを備える。前記設定回路は、前記C−R充放電回路の充電時定数および放電時定数を同時に異ならせることで、前記パルスの周波数を異ならせるように構成するか、前記C−R充放電回路の放電時定数のみを異ならせることで、前記パルスのデューティー比を異ならせように構成される。この設定回路は、周波数およびデューティー比を変更、設定するものを含んでいる。デューティー比とはパルスの幅をパルスの周期で除した値である。
【0030】
前記C−R充放電回路の充電時定数および放電時定数を同時に異ならせる方法は、前記C−R充放電回路の抵抗値を変えることで実現できる。前記C−R充放電回路の放電時定数のみを異ならせる方法は、前記発信回路の第一周波数を決める前記C−R充放電回路の
第一設定抵抗と並列に、抵抗に対し、ダイオードおよび開閉接点の並列回路を直列に接続した回路を接続することで実現できる。
【0031】
ここで、前記ディジタル的状態信号を、前記パルスの周波数を異ならせることで含ませる場合の前記パルス生成部の機能について説明する。前記ディジタル的状態信号が2の状態を含む場合、前記パルス生成部は、第一状態に対応して前記発振回路の第一周波数によるパルスを出力し、第二状態に対応して前記設定回路にて変更、設定された第一周波数と異なる第二周波数によるパルスを出力するように構成される。勿論、第一状態のとき、第二周波数のパルスを,第二状態のとき、第一周波数のパルスを出力するように構成しても良い。パルスの周波数は、例えば、10HZ〜1kHZに設定する。
【0032】
また、前記ディジタル的状態信号の3以上の状態を含む場合(ここでは説明を簡単にするためにN=3とする。)、前記パルス生成部は、第一状態に対応して第一周波数によるパルスを出力し、第二状態に対応して第二周波数によるパルスを出力し、第三状態に対応して、第一周波数および第二周波数と異なる第三周波数によるパルスを出力するように構成される。なお、第一状態,第二状態および第三状態に対して、第一周波数,第二周波数および第三周波数をそれぞれ対応させているが、対応関係はこれに限定されるものではない。要するに、第一状態,第二状態および第三状態が、パルスの周波数の相違により識別できれば良い。
【0033】
また、前記ディジタル的状態信号を、前記パルスのデューティー比を異ならせることで含ませる場合も、周波数を異ならせることで含ませる場合と同様に、第一状態を第一デューティー比(または第一デューティー比と異なる第二デューティー比)に対応させ、第二状態を第二デューティー比(または第一デューティー比)対応させる。要するに、前述の周波数を異ならせることで含ませる場合の説明において、「周波数」を「デューティー比」に置き換えた説明とすることができる。
【0034】
さらに、複数の前記ディジタル的状態信号を、前記パルスの周波数とデューティー比とを異ならせることで含ませる場合は、第一状態,第二状態および第三状態に対応して、第一周波数および第一デューティー比のパルス,第二周波数および第二デューティー比のパルス,第二周波数と異なる第三周波数のパルスを出力するように構成することができる。この第一状態〜第三状態と周波数およびデューティー比との対応は、これに限定されるものではなく、第一状態〜第三状態が周波数およびデューティー比のいずれかで識別できるようにパルスに含ませれば良い。
【0035】
つぎに、前記アナログ信号多重化部は、前記パルス生成部からのパルスの高さとしてアナログ信号を含ませるものであるが、前記パルス生成部からのパルスによりON−OFFするスイッチング素子を含み、このスイッチング素子のON時に高い定電圧を出力し、OFF時に前記アナログ信号に応じた電圧(前記定電圧より低い)を出力する機能を有する。
【0036】
このアナログ信号多重化部は、好ましくは、前記スイッチング素子としてトランジスタを含み、このトランジスタのエミッタ側にツェナーダイオードを接続し、前記トランジスタON時に前記ツェナーダイオードを導通させて、前記エミッタと前記ツェナーダイオードの間の多重化点から前記所定の定電圧を出力し、前記トランジスタのOFF時に前記多重化点から前記アナログ信号に応じた電圧を出力するように構成する。
【0037】
しかしながら、このアナログ信号多重化部は、好ましい態様に限定されるものではなく、特許文献1に記載の構成とすることができる。この特許文献1のアナログ信号多重化部は、インバータ回路(4),スイッチ回路(5),抵抗(R3)および抵抗(R4)を含
む第2のレベル変換回路を含んで構成されている。すなわち、この回路の実施の形態は、特許文献1の図1に示す信号多重化回路において、ディジタル入力(3)に代えて前記パルス生成部の出力を入力するように構成したものを含むものである。
【0038】
(回路の実施の形態を実施した給水制御システム)
この発明の実施の形態の信号多重化回路は、つぎの給水制御システムに適用可能である。この給水制御システムは、水処理機器で処理された処理水を貯留する処理水タンクなどの貯水タンクの水位を検出する水位検出装置と、この水位検出装置からの出力に基づいて前記貯水タンクへの処理水などの給水を制御する給水制御装置とからなる給水制御システムの前記水位検出装置に適用できる。
【0039】
前記水位検出装置には、前記貯水タンクの水位を検出してアナログ信号で出力する主水位センサと、前記給水タンク内の水位が異常低水位である第一設定水位以上(第一状態)を検出するとON(閉じる)し、前記第一設定水位未満(第二状態)を検出するとOFF(開く)する第一補助水位センサと、この実施の形態の信号多重化回路とを備える。なお、第一補助水位センサは、第一状態,第二状態でそれぞれOFF,ONするように構成できる。
【0040】
前記信号多重化回路のパルス生成部は、前記発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより、前記第一状態および前記第二状態を含むディジタル的状態信号を前記パルスに含ませるように構成される。また、前記信号多重化回路のアナログ信号多重化部は、前記パルス生成部からのパルスの高さとしてアナログ信号を含ませて、多重化信号として出力するように構成される。
【0041】
この給水制御システムにおいては、前記給水タンク内の水位が異常高水位である第二設定水位未満(第一状態)を検出するとOFF(またはON)し、前記第二設定水位以上(第三状態)を検出するとON(またはOFF)する第二補助水位センサを備えることができる。前記第三状態も前記パルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより、前記パルスに含ませるように構成される。
【0042】
この発明の実施の形態の信号多重化回路が適用される範囲は、給水制御システムに限定されるものではない。例えば、蒸気センサによるアナログ信号と蒸気圧力スイッチによるディジタル的状態信号とを多重化する圧力制御システムにも適用可能である。
【実施例1】
【0043】
ついで、この発明の実施例1の信号多重化回路1を図面に従い説明する。図2は、同実施例1の多重化回路1を備えた給水制御システム2の概略構成を説明する電気回路図であり、図3は、同実施例1の信号多重化回路1の具体的な電気回路図であり、図4は、同実施例1の信号多重化回路1の出力信号の模式的説明図であり、図5は、同実施例1の信号を受けて作動する給水制御装置の信号再生手順を説明するフローチャート図であり、図6は、同給水制御装置の給水制御手順を説明するフローチャート図である。
【0044】
(実施例1の構成)
まず、給水制御システム2の構成を説明する。給水制御システム2は、水処理機器(図示省略)からの処理水を貯留する処理水タンク(図示省略)の水位を検出する水位検出装置3と、水位検出装置3からの出力に基づいて処理水タンクへの処理水の供給を制御する給水制御装置4と主要部として備える。水位検出装置3と給水制御装置4とは1本の伝送線(信号線)5で接続されている。給水制御装置4は、前記水処理装置の一部として構成しても良いし、別装置として構成しても良い。
【0045】
水位検出装置3は、処理水タンク(図示省略)の水位を検出してアナログ信号を出力する主水位センサ6と、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8と、信号多重化回路1とを備える。
【0046】
第一補助水位センサ7は、給水タンク内の水位が異常低水位である第一設定水位LL以上を検出するとONし、第一設定水位LL未満を検出するとOFFする接点を含んで構成されている。また、第二補助水位センサ8は、給水タンク内の水位が異常高水位である第二設定水位HH未満を検出するとOFFし、第二設定水位HH以上を検出するとONする接点を含んで構成されている。
【0047】
この実施例1では、第一補助水位センサ7がON,第二補助水位センサ8がOFF,すなわち第一設定水位LL以上および第二設定水位HH未満の状態が第一状態Z1である。また、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がOFF,すなわち第一設定水位LL未満が第一状態Z1と異なる第二状態Z2である。さらに、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がON,すなわち第二設定水位LLを以上の状態が第一状態Z1および第二状態Z2と異なる第三状態Z3である。このように「状態」とは、直接的には第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8の開閉状態を意味するが、水位状態ということもできる。また、この実施例1では、第一補助水位センサ7がOFFで、第二補助水位センサ8がONのセンサ故障状態を第四状態Z4としている。
【0048】
つぎに、信号多重化回路1を図3に基づき説明する。信号多重化回路1は、パルス生成部9と、アナログ信号多重化部10とを主要部として備える。パルス生成部9は、発振回路11で生成されるパルスの周波数を異ならせることによりディジタル的状態信号をパルスに含ませるように構成されている。ディジタル的状態信号は、第一状態Z1,第二状態Z2,第三状態Z3および第四状態Z4を含んでいる。
【0049】
パルス生成部9は、第一状態Z1に対応する第一周波数F1でパルスを生成する発振回路11と、第二状態Z2に対応する第二周波数F2,第三状態Z3に対応する第三周波数F3および第四状態Z4に対応する第四周波数F4を設定する設定回路12とを含んでいる。
【0050】
発振回路11は、第一インバータ13と、第一インバータ13の出力側に接続される第一設定抵抗14およびコンデンサ15からなるC−R充放電回路16とを含んで構成されている。第一設定抵抗14およびコンデンサ15の接続点が第一インバータ13の入力側に接続されている。
【0051】
設定回路12は、第二設定抵抗17および第一補助水位センサ7の直列回路と、第三設定抵抗18(第二設定抵抗17よりも抵抗値が小さい)および第二補助水位センサ8の直列回路とを第一設定抵抗14と並列に接続して構成されている。
【0052】
この設定回路12を備えるパルス生成部9は、つぎのように構成されている。第一補助水位センサ7がON,第二補助水位センサ8がOFFの状態(第一状態Z1)では、パルス生成部9から第一周波数F1のパルスが、信号線19を介してアナログ信号多重化部10へ出力されるように構成されている。また、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにOFFの状態(第二状態Z2)では、パルス生成部9から第二周波数F2のパルスが出力されるように構成されている。さらに、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにONの状態(第三状態Z3)では、パルス生成部9から第三周波数F3のパルスが出力され、第一補助水位センサ7がOFFで第二補助水位センサ8がOFFの状態(第四状態)では、パルス生成部9から第四周波数F4のパルスが出力されるように構成されている。
【0053】
つぎに、アナログ信号多重化部10について説明する。アナログ信号多重化部10は、パルス生成部9からのパルスの高さHを主水位センサ6のアナログ信号により変化させるように構成されている。そして、アナログ信号多重化部10は、パルス生成部9からのパルスによりON−OFFするスイッチングトランジスタ24を含み、このスイッチングトランジスタ24のON時に高い定電圧を出力し、OFF時に前記アナログ信号に応じた電圧を出力するように構成されている。
【0054】
具体的には、トランジスタ24のベースが第二インバータ20,第一抵抗21を介して信号線19と接続され、エミッタが第二抵抗22を介してツェナーダイオード23と接続されるスイッチングトランジスタ24を備えている。
【0055】
そして、エミッタとツェナーダイオード23の間の多重化点25には増幅回路26、第三抵抗27を介してアナログ信号の入力端子28が接続されている。また、多重化点25は、多重化点25の電圧を電流に変換する電圧−電流変換回路29を介して出力端子30と接続されている。出力端子30は、伝送線5が接続される。
【0056】
なお、電圧−電流変換回路29は、長い伝送線5を電圧で伝送すると、電圧が伝送線5の抵抗によって低下するので、これを防止するために設けたものあるので、場合によっては省略可能である。また、第二インバータ20は、トランジスタ24を駆動する電流を供給するためのものであり、第一インバータ13の出力電流によりトランジスタ24を駆動することができる場合は、省略することができる。
【0057】
このアナログ信号多重化部10のツェナーダイオード23は、スイッチングトランジスタ24のON時に導通する。この導通時に多重化点25の電圧が、ツェナー電圧(例えば、5ボルト)以上の所定の定電圧V0となるように、第二抵抗22および第三抵抗27の分圧により保持するように構成される。また、多重化点25に加えられるアナログ信号電圧は、定電圧V0より低い電圧VA(例えば、0.8〜4.0ボルト)とする。
【0058】
図2を参照して、給水制御装置4は、信号再生手順と給水制御手順とを実行する制御器31を備えている。信号再生手順は、予め記憶したソフトウエアにより信号多重化回路1からのパルス(多重化信号)の周波数が、第一周波数F1,第二周波数F2,第三周波数F3、第四周波数F4のいずであるかを判定して、第一状態Z1,第二状態Z2,第三状態Z3,第四状態Z4を判定するとともに、パルスの高さからアナログ信号を再生する手順である。
【0059】
この信号再生手順は、この実施例1では図5で示される。処理ステップS1(以下、処理ステップSNを単にSNと称する。)で,信号多重化回路1から送信されてくる多重化信号(パルス)を取り込み、S2で、パルスの周波数を検出して、その結果に基づき、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8の開閉状態を判定する。パルスの周波数は、ソフトウエア的にパルスのH(頂辺)側の長さとL(底辺)側の長さとを検出することでパルスの周期を求めることで演算できる。演算したパルスの周波数が、F1,F2,F3,F4のいずれであるかにより、第一状態Z1,第二状態Z2,第三状態Z3,第四状態Z4のいずれであるかを判定する。S3では、パルスの高さHを検出することで、この高さHに対応するアナログ信号を演算する。
【0060】
また、給水制御手順は、この実施例1では図6で示され、制御器31が水位検出装置3からパルス信号を入力しないとき、処理水タンクへ間欠給水する伝送線断線時給水制御と、第一状態Z1を判定したとき、主水位センサ6のアナログ信号に基づいて給水制御を行う基準給水制御(正常時給水制御)と、第二状態Z2を判定したとき、処理水タンクへ強
制給水を行う低水位異常時給水制御と、第三状態Z3を判定したとき、処理水タンクへの給水を停止する高水位異常時給水制御とを含んでいる。
【0061】
<実施例1の動作>
ここで、実施例1の動作を図面に基づき説明する。
(水位検出装置3の動作)
まず、水位検出装置3の動作,特に信号多重化回路1の動作について説明する。図2〜図4を参照して、今、処理水タンクの水位が適正水位(正常水位),すなわち第一補助水位スイッチ7がON、第二補助水位スイッチ8がOFF状態(第一状態Z1)とする。図3を参照して、発振回路11は、第一設定抵抗14および第二設定抵抗17の並列回路とコンデンサ15で定まる周波数F1で発振し、パルス生成部9から信号線19を通してアナログ信号多重化部10へ周波数F1の方形状のパルスを送信する。
【0062】
第一インバータ13の出力がLのとき、コンデンサ15に充電された電荷が第一設定抵抗14および第二設定抵抗17の並列回路を通して第一インバータ13に吸込まれる、この放電時,すなわちパルスがL側のとき、第二インバータ20によりHの信号がトランジスタ24のベースに印加され、トランジスタ24が導通(ON)する。すると、ツェナーダイオード23が導通して、多重化点25の電圧がV0となる。またパルスがH側のとき、第二インバータ20によりLの信号がトランジスタ24のベースに印加され、トランジスタ24が非導通(OFF)となる。すると、多重化点25には、アナログ信号に基づくVAとなる。
【0063】
この電圧V0またはVAは、電圧−電流変換回路29に入力される。この実施例1の電圧−電流変換回路29は、入力電圧を200Ωの抵抗で除して電流に変換する構成となっており、V0を5ボルトとすると、25mAの電流I0に変換され、VAは、4〜20mAの電流IAに変換され、電流パルスとして出力端子30から出力される。
【0064】
この第一状態Z1の電流パルスを図4の(a)に示す。このパルスの周期,周波数,高さは、それぞれT1,F1,Hである。パルスの高さH=I0―IAがアナログ水位センサ6からのアナログ信号に比例して変化する。
【0065】
また、処理水タンクの水位が異常低水位,すなわち第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにOFFの状態(第二状態Z2)では、図3において、第一設定抵抗14のみが充放電に関わるので、充電時定数と放電時定数とがともに長くなり、発振回路11は、周期T1より長い周期T2で、周波数F1より低い周波数F2で発振し、パルス生成部9からパルスを送信する。
【0066】
この第二状態の電流パルスを図4の(b)に示す。このパルスの周期,周波数,高さは、それぞれT2,F2,Hである。
【0067】
また、処理水タンクの水位が異常高水位,すなわち第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにONの状態(第三状態Z3)では、図3において、第一設定抵抗14,第二設定抵抗17および第三設定抵抗18が充放電に関わるので、第一状態および第二状態と比較して充電時定数と放電時定数とがともに短くなり、発振回路11は、周期T1および周期T2より短い周期T3で、周波数F1および周波数F2より高い周波数F3で発振し、パルス生成部9からパルスを送信する。
【0068】
この第三状態の電流パルスを図4の(c)に示す。このパルスの周期,周波数,高さは、それぞれT3,F3,Hである。
【0069】
さらに、第一補助水位センサ7,第二補助水位センサ8のいずれかが故障し、第一補助水位センサ7がOFFで第二補助水位センサ8がONの状態(第四状態Z4)では、図3において、第一設定抵抗14および第三抵抗18が充放電に関わるので、第二状態と比較して充電時定数と放電時定数とがともに短くなり、第三状態と比較して充電時定数と放電時定数とがともに長くなる。その結果、発振回路11は、周期T2より短く、T3より長い周期T4で、周波数F2より高く、F3より低い周波数F4で発振し、パルス生成部9からパルスを送信する。
【0070】
この第四状態の電流パルスを図4の(d)に示す。このパルスの周期,周波数,高さは、それぞれT4,F4,Hである。
【0071】
(給水制御装置4の動作)
つぎに、伝送線5を通して送信される多重化信号(パルス)を受信した給水制御装置4の動作を説明する。
【0072】
受信された多重化信号は、図5に示す処理手順で、パルスの周波数がF1〜F4のいずれであるかが判定されるとともに、パルスの高さHから主水位センサ6が出力するアナログ信号が再生される。
【0073】
この結果に基づき、図6の給水制御手順により、給水制御がつぎのように行われる。S11において、パルス信号を入力が有るかどうかが判定される。パルスそのものが検出されないときは、S11でNOが判定され、S15へ移行して処理水タンクへ間欠給水を行う。S11がNOの場合は、伝送線5が断線していると判断できる。間欠給水とは、処理水タンクの水位によらず、一定時間給水と一定時間給水停止とを繰り返す給水で、必要最低限の給水を行うものである。
【0074】
S11でYESが判定されると、S12へ移行して、第一補助水位センサ7がOFFかどうかを判定する。S12で、YESが判定,すなわち第二状態Z2が判定されると、S16へ移行して処理水タンクへ強制給水を行う。この強制給水とは、処理水タンクの水位が異常低水位と判断した場合、無条件で行う給水である。
【0075】
S12でNOが判定されると、S13へ移行して、第二補助水位センサ8がONかどうかを判定する。S13で、YESが判定,すなわち第三状態Z3を判定したとき、処理水タンクへの給水を停止する。
【0076】
S13でNOが判定されると、S14へ移行して、主水位センサ6の検出アナログ信号に基づき、処理水タンクへの給水制御を行う。この給水制御は、正常水位時の制御で、給水制御装置4で演算した主水位センサ6の検出アナログ信号による検出水位が給水を必要とする水位になると給水を開始し、給水を必要としない水位になると給水を停止する制御である。
【実施例2】
【0077】
この発明は、前記実施例1に限定されないものであり、信号多重化回路1を図7に示す実施例2とすることができる。実施例1の信号多重化回路1は、パルスの周波数を異ならせることで、第一状態Z1,第二状態Z2,第三状態Z3,第四状態Z4をパルスに含ませるように構成しているが、実施例2の信号多重化回路1は、パルスのデューティー比を異ならせることで、第一状態Z1,第二状態Z2,第三状態Z3,第四状態Z4をパルスに含ませるように構成している点で相違する。以下に、実施例1と異なる構成を中心に説明し、同じ構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0078】
実施例1と異なるのは、パルス生成部9の構成であり、図7に示すように、第五設定抵抗32に対し、第一ダイオード33および第一補助水位センサ7の並列回路を直列に接続した第一直列回路34と、第四設定抵抗32より抵抗値が小さい第五設定抵抗35に対し、第二ダイオード36および第二補助水位センサ8の並列回路を直列に接続した第二直列回路37とを、C−R充放電回路16の第一設定抵抗14と並列に接続している。
【0079】
この実施例2における信号多重化回路1の出力端子30からは、図8に示すパルスが出力される。図8の(a)の第一状態Z1では、第一補助水位センサ7がONするので、充電時定数が第一設定抵抗14,第四設定抵抗32および第五設定抵抗35の並列回路の抵抗値により、放電時定数が第一設定抵抗14および第四設定抵抗32の並列回路の抵抗値により、それぞれ決まる。このためパルスのL側の長さT11が短く、パルスのH側の長さT12が長くなる。このときのパルスのデューティー比D1=T12/(T11+T12)である。
【0080】
また、図8の(b)の第二状態Z2では、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにOFFしているので,充電時定数が第一設定抵抗14,第四設定抵抗32および第五設定抵抗35の並列回路の抵抗値により、放電時定数が第一設定抵抗14の抵抗値により、それぞれ決まる。このためパルスのL側の長さT21がT11と等しく、パルスのH側の長さT22がT11より短くなる。このときのパルスのデューティー比D2=T22/(T21+T22)で、D1より小さくなる。
【0081】
また、図8の(c)の第三状態Z3では、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにONしているので、充電時定数および放電時定数が第一設定抵抗14,第四設定抵抗32および第五設定抵抗35の並列回路の抵抗値によりそれぞれ決まる。このためパルスのL側の長さT31がT11と等しく、パルスのH側の長さT32がT22より短く、T31と等しくなる。このときのパルスのデューティー比D3=T32/(T31+T32)で、D2より小さくなる。
【0082】
さらに、図8の(d)の第四状態Z4では、第一補助水位センサ7がOFF,第二補助水位センサ8がONしているので、充電時定数が第一設定抵抗14,第四設定抵抗32および第五設定抵抗35の並列回路の抵抗値により、放電時定数が第一設定抵抗14および第五設定抵抗35の並列回路の抵抗値によりそれぞれ決まる。このためパルスのL側の長さT41がT11と等しく、パルスのH側の長さT42がT32より長く、第五設定抵抗35の抵抗値が第四設定抵抗32のそれよりも小さいのでT22より短くなる。このときのパルスのデューティー比D4=T42/(T41+T42)で、D2より小さく、D3より大きくなる。
【0083】
このように、この実施例2においては、第一状態Z1〜第四状態Z4の四つのディジタル的状態信号が互いに異なるデューティー比D1〜D4としてパルスに含まれることになる。アナログ信号は、実施例1と同様にパルスの高さHとして含まれる。
【0084】
また、給水制御装置4側においては、制御器31により、信号再生手順により、パルスのL側長さとH側の長さを求めることでソフトウエア的にデューティー比D1〜D4を演算して、第一状態Z1〜第四状態Z4が判定されるとともに、パルスの高さHからアナログ信号を求める。また、演算した一状態Z1〜第四状態Z4とアナログ信号に基づき、図6の制御手順により、実施例1と同様な給水制御が行われる。
【実施例3】
【0085】
また、この発明は、信号多重化回路1を図9に示す実施例3とすることができる。実施例3の信号多重化回路1は、パルスの周波数とデューティー比を異ならせることで、第一
状態Z1,第二状態Z2,第三状態Z3をパルスに含ませるように構成している。以下に、実施例1と異なる構成を中心に説明し、同じ構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0086】
実施例1と異なるのは、パルス生成部9の構成であり、図9に示すように、第六設定抵抗38と、第三ダイオード39および第二補助水位センサ8の並列回路と、第二補助水位センサ8とを直列に接続した第三直列回路40を、C−R充放電回路16の第一設定抵抗14と並列に接続している。
【0087】
この実施例3における信号多重化回路1の出力端子30からは、図10に示すパルスが出力される。図10の(a)の第一状態Z1では、第一補助水位センサ7がONするので、充電時定数が第一設定抵抗14および第六設定抵抗38の並列回路の抵抗値により、放電時定数が第一設定抵抗14の抵抗値により、それぞれ決まる。このためパルスのL側の長さT11が短く、パルスのH側の長さT12が長くなる。このときのパルスは、周波数F1で、デューティー比D1=T12/(T11+T12)である。
【0088】
また、図8の(b)の第二状態Z2では、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにOFFしているので、充電時定数および放電時定数が第一設定抵抗14の抵抗値により、それぞれ決まる。このときのパルスは、周波数F1より高い周波数F2で、デューティー比D2=T22/(T21+T22)で、D1より小さい。
【0089】
また、図8の(c)の第三状態Z3では、第一補助水位センサ7および第二補助水位センサ8がともにONしているので、充電時定数および放電時定数が第一設定抵抗14よび第六設定抵抗38の並列回路の抵抗値によりそれぞれ決まる。このときのパルスは、周波数F2より高い周波数F3で、デューティー比D3はD2と等しい。
【0090】
さらに、図8の(d)の第四状態Z4では、第一補助水位センサ7がOFF,第二補助水位センサ8がONしているので、(b)の第二状態Z2と同じパルスが出力される。
【0091】
この実施例3においては、第一状態Z1と第二状態Z2は、デューティー比D1とデューティー比D2との違いとしてパルスに含まれ、第二状態Z2と第三状態Z3は、周波数F2と周波数F3との違いとしてパルスに含まれる。
【0092】
また、給水制御装置4側においては、制御器31により、信号再生手順により、パルスの底辺と頂辺の長さを求めることでソフトウエア的に、パルスの周波数およびデューティー比を演算して、第一状態Z1〜第三状態Z3が判定されるとともに、パルスの高さHからアナログ信号を求める。また、演算した一状態Z1〜第三状態Z3とアナログ信号に基づき、図6の制御手順により、給水制御が行われる。この実施例3では、第二状態Z2と第四状態Z4とが区別できないので、図6の制御手順においては、第4状態Z4が判定されると、S12にてYESが判定され、強制給水が行われることになる。
【実施例4】
【0093】
また、この発明は、ディジタル的状態信号を2つとした実施例4を含むものである。この実施例4は、図11に示すように、実施例1の第二補助水位センサ8を備えず、第一補助水位センサ7のみとしたものである。そして、この実施例4の信号多重化回路1は、図3の第三設定抵抗18および第二補助水位センサ8の直列回路を備えていない。
【0094】
この実施例4の動作は、基本的には実施例1と同様であり、第一状態Z1では、図4の(a)で示すパルスが、第二状態Z2では、図4の(b)で示すパルスがそれぞれ出力される。二つのディジタル的状態信号がパルスに含まれることになる。アナログ信号は、パ
ルスの高さHとしてパルスに含まれる。
【0095】
この実施例4の信号多重化回路1は、図7の第二直列回路37を除去したもので構成することができる。また、第一補助水位センサ7と第二補助水位センサ8の位置を入れ替えることができる。
【0096】
この発明は、前記実施例1〜4に限定されるものではなく、パルスに含ませるディジタル的状態信号は、5以上とすることができる。また、発振回路11は、実施例1に記載のものに限定されないものであり、種々変更可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 信号多重化回路
6 主水位センサ
7,8 補助水位センサ
9 パルス生成部
10 アナログ信号多重化部
11 発振回路
16 C−R充放電回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化方法であって、
前記ディジタル的状態信号は、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることで前記パルスに含ませ、
前記アナログ信号は、前記パルスの高さ信号として前記パルスに含ませる
ことを特徴とする信号多重化方法。
【請求項2】
複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化回路であって、
発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより前記ディジタル的状態信号を前記パルスに含ませるパルス生成部と、
前記パルス生成部からのパルスの高さとしてアナログ信号を含ませるアナログ信号多重化部とを備える
ことを特徴とする信号多重化回路。
【請求項3】
前記パルス生成部は、C−R充放電回路を含む発振回路と周波数および/またはデューティー比の設定回路とを備え、
前記設定回路は、前記C−R充放電回路の充電時定数および放電時定数を同時に異ならせることで前記パルスの周波数を異ならせるように構成するか、前記C−R充放電回路の放電時定数のみを異ならせることで、前記パルスのデューティー比を異ならせように構成される
ことを特徴とする請求項2に記載の信号多重化回路。
【請求項4】
前記アナログ信号が主水位センサのアナログ出力であり、前記ディジタル的状態信号が前記主水位センサと別の1または複数の補助水位センサのON−OFFにより形成される信号である
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の信号多重化回路。
【請求項1】
複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化方法であって、
前記ディジタル的状態信号は、発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることで前記パルスに含ませ、
前記アナログ信号は、前記パルスの高さ信号として前記パルスに含ませる
ことを特徴とする信号多重化方法。
【請求項2】
複数のディジタル的状態信号とアナログ信号とを多重化する信号多重化回路であって、
発振回路で生成されるパルスの周波数および/またはデューティー比を異ならせることにより前記ディジタル的状態信号を前記パルスに含ませるパルス生成部と、
前記パルス生成部からのパルスの高さとしてアナログ信号を含ませるアナログ信号多重化部とを備える
ことを特徴とする信号多重化回路。
【請求項3】
前記パルス生成部は、C−R充放電回路を含む発振回路と周波数および/またはデューティー比の設定回路とを備え、
前記設定回路は、前記C−R充放電回路の充電時定数および放電時定数を同時に異ならせることで前記パルスの周波数を異ならせるように構成するか、前記C−R充放電回路の放電時定数のみを異ならせることで、前記パルスのデューティー比を異ならせように構成される
ことを特徴とする請求項2に記載の信号多重化回路。
【請求項4】
前記アナログ信号が主水位センサのアナログ出力であり、前記ディジタル的状態信号が前記主水位センサと別の1または複数の補助水位センサのON−OFFにより形成される信号である
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の信号多重化回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−60283(P2012−60283A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199504(P2010−199504)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】
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