説明

信号発生装置及び発生方法

【課題】シリアル・データ・パターンに符号間干渉ISI効果及び帯域幅拡張プリエンファシスBWEPE効果を与える。
【解決手段】CPU60は、表示器36上にユーザ・インタフェースを発生して、シリアル・データ・パターン用のパラメータと、このシリアル・データ・パターンの帯域幅拡張プリエンファシス効果及び符号間干渉効果の少なくとも一方のパラメータとを設定する。CPUは、シリアル・データ・パターン・パラメータ、符号間干渉効果のパラメータ及び帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータを用いて、波形記録ファイルを作成する。波形発生器70は、波形記録ファイルを受け、符号間干渉効果のパラメータ及び帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータにより定義された符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果の少なくとも一方を有するシリアル・データ・パターン・アナログ出力信号を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速シリアル・データ通信システムにおいて、符号間干渉(ISI:Inter Symbol Interference)は、信号の歪の一形式であり、1つのシンボルが、その後のシンボルと干渉する。これは、望ましくない現象であり、符号間干渉がノイズと類似の影響を起こして、システムのビット・エラー・レート(BER:Bit Error Rate)を増加させる。
【0003】
1つのチップのI/Oピン上の送信器から1秒当たり1ギガビットで送られる信号は、先ず、プラグイン・カード上の信号路に沿い、バックプレーンを横切って、受信チップを含む他のプラグイン・カードに進む。ランダム・ジッタ、周期的ジッタ、デューティ・サイクル歪、符号間干渉、周波数選択性減衰、クロストークなどにより、信号がしばしば劣化する。反射により、典型的には、同様に種々の相互接続非連続性でのインピーダンスのミスマッチングによりISI欠陥が生じる。
【0004】
今日、データ・レートは、通常1Gb/sよりもかなり高いので、エコー減衰時間がパルス感覚よりも長く、受信したパルスが前のパルスのエコーと混じる。これら欠陥を緩和する必要がある。送信器用のプリエンファシス・フィルタ及び受信器用の判定帰還形等価器(DFE:decision feedback equalizer)の如き適切な緩和アルゴリズムの設計には、顕官の正確なモデルが必要である。
【0005】
ケーブル、相互接続及びバックプレーンのSパラメータ・タッチストーン・ファイルの助けにより欠陥をモデル化して、これら受信器のBER許容範囲を測定する。この試験は、受信器マージン試験と呼ばれる。
【0006】
信号インテグリティ技術者は、HDMI、表示ポート、SATA、PCI−E等の如き高速シリアル標準のデジタル受信器についてジッタ許容範囲/マージン試験を実行する。ジッタ許容範囲/マージン試験には、種々の量のランダム及び周期的なジッタ、デューティ・サイクル歪及び符号間干渉を伴う信号を発生する必要がある。ある高速シリアル標準では、ISI効果をエミュレーションするのにハードウェア・ケーブル・エミュレータを推奨している。HDMI(High Definition Multimedia Interface)標準の場合、推奨されるハードウェア・ケーブル・エミュレータは、米国カリフォルニア州サンタ・クララのアジレント・テクノロジーズが製造しており、一定量のISIを発生する。これらケーブル・エミュレータは、典型的な銅減衰器を有する。これらケーブル・エミュレータの動作帯域幅は、ハードウェアの制約により制限される。HDMIの異なるピクセル・クロック・レートに対して、ジッタ許容範囲試験に異なるハードウェア・エミュレータを用いている。ハードウェア・ケーブル・エミュレータを用いるこの処理は、受信器性能を試験するのに必要な試験条件を制限する。特定のデータ・レートでの信号のISIの量が制限される。
【0007】
図1は、被試験装置(DUT:Device Under Test)12のHDMIコンプライアンス試験用の代表的な試験セットアップ10を示す。本願出願人のテクトロニクス社製AWG710型の如き任意波形発生器14は、差動クロック信号CL及び/CLを発生し出力して、バイアス・ティー(bias-tee)16に供給する。差動クロック信号CL及び/CLを必要なTMDS(Transitioned-Minimized Differential Signaling:遷移最短差動シグナリング)にするのにバイアス・ティー16が必要である。バイアス・ティー16からの出力差動クロック信号CL及び/CLは、遷移時間変換器(TTC:Transition Time Converter)モジュール20を介して、米国ワシントン州ワショウゲガルのエフィセラ・テクノロジーズ社製ET−HDMI−TPA−Rレセプタクル・ボードの如きアダプタ・ボード18に供給される。TTCモジュール20は、HDMIコンプライアンス試験標準に適合するように差動クロック信号CL及び/CLの立ち上がり時間を遅くする。図1の試験セットアップにおいて、テクトロニクス社製DTG5334型データ・タイミング発生器の如きデータ・タイミング発生器22からの直流出力により、バイアス・ティー16に電力を供給する。任意波形発生器14は、2つのデジタル・マーカ出力M1及びM2を発生し、これら2つのデジタル・マーカ出力を同期用に用いる。M1マーカは、データ・タイミング発生器22の外部クロック入力端に供給され、M2マーカは、データ・タイミング発生器22のシリアル・トリガ入力端に供給される。データ・タイミング発生器22は、差動デジタル信号D0、/D0、D1、/D1、D2、/D2を発生し、TTCモジュール20を介してアダプタ・ボード18に供給する。差動クロック信号と同様に、TTCモジュール20は、HDMIコンプライアンス試験標準と適合させるために差動データ信号D0、/D0、D1、/D1、D2、/D2の立ち上がり時間を遅くする。直流電源24は、+5V直流電圧及び接地をアダプタ・ボード18に供給する。差動クロック及びデータ信号は、ケーブル・エミュレータ26を介してDUT12に供給される。アジレント・テクノロジーズ社製E4887A−101型及びE4887A−102型ケーブル・エミュレータの如きケーブル・エミュレータ26は、最悪の場合であるが適合したケーブルの特性をエミュレーションする。デジタル・オシロスコープの如き試験測定機器28を用いて、DUT12に供給された信号をモニタして、特定のHDMI標準に適合するかを確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−112059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を、表示及び中央処理ユニットを有する信号発生装置のように実現できることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様は、次の通りである。
(1)表示器と;該表示器上にユーザ・インタフェースを発生して、シリアル・データ・パターン用のパラメータと、上記シリアル・データ・パターンの帯域幅拡張プリエンファシス効果及び符号間干渉効果の少なくとも一方のパラメータとを設定する中央処理ユニットを具え;上記シリアル・データ・パターン・パラメータ、上記符号間干渉効果のパラメータ及び上記帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータを用いて、波形記録ファイルを作成し;上記波形記録ファイルを受け、上記符号間干渉効果のパラメータ及び上記帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータにより定義された上記符号間干渉効果及び上記帯域幅拡張プリエンファシス効果の少なくとも一方を有するシリアル・データ・パターン・アナログ出力信号を発生する波形発生回路を更に具えた信号発生装置。
(2)上記表示器は、上記信号発生装置に結合された態様1の信号発生装置。
(3)上記信号発生装置に結合された外部制御器を更に具え、該外部制御器は、上記シリアル・データ・パターンでの符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果の少なくとも一方のパラメータと上記シリアル・データ・パターンのパラメータとを設定するために外部表示器上に上記ユーザ・インタフェースを発生すると共に、上記波形発生回路が用いるために上記シリアル・データ・パターン・パラメータと上記符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータとを発生する態様1の信号発生装置。
(4)上記符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータに応答するステップ応答フィルタを更に具え、上記シリアル・データ・パターンに符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果の少なくとも一方を適用する態様1の信号発生装置。
(5)上記ステップ応答フィルタ(Step_response)は、
Step_response=(i+log10(α))/(i+1)
の形式であり、Ωが符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシス制御パラメータであり、lenが符号間干渉フィルタ及び帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタ係数の数であり、i=2Ωであり、t=(10-1/10i)/lenであり、αがtのステップで1/10iから10である態様4の信号発生装置。
(6)上記ステップ応答フィルタをインパルス応答符号間干渉フィルタに変換して、
ISI_M=(d/dt)(Step_response)
(但し、ISI_Mは、上記インパルス応答符号間干渉フィルタのフィルタ係数)の形式の数式を用いて符号間干渉を増加させる態様5の信号発生装置。
(7)上記インパルス応答符号間干渉フィルタのフィルタ係数により畳み込んだフィルタ係数の欠陥フィルタを更に具え、インパルス応答合成(resultant)符号間干渉フィルタを生じる態様6の信号発生装置。
(8)上記ステップ応答フィルタをインパルス応答帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタに変換して、
Step_response=2-(Step_response(2:end))
BWE=(d/dt)(Step_response)
(但し、BWEは、上記インパルス応答帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタのフィルタ係数)の形式の数式を用いて、帯域幅拡張プリエンファシスを増加させる態様5の信号発生装置。
(9)上記インパルス応答帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタのフィルタ係数により畳み込んだフィルタ係数の欠陥フィルタを更に具え、インパルス応答合成帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタを生じる態様8の信号発生装置。
(10)シリアル・データ・パターンに符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果を与える方法であって;符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシスのパラメータにより制御される符号間干渉フィルタ及び帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの一方のフィルタ係数を発生し;欠陥フィルタのフィルタ係数を提供し;上記符号間干渉フィルタ及び上記帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの一方からの上記フィルタ係数により上記欠陥フィルタからの上記フィルタ係数を畳み込んで、合成符号間干渉フィルタ及び合成帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの各フィルタ係数を発生し;上記符号間干渉フィルタ、上記帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタ、上記合成符号間干渉フィルタ及び上記合成帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの1つの上記フィルタ係数により変更したシリアル・パターンでの波形記録を発生し;上記符号間干渉フィルタ、上記帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタ、上記合成符号間干渉フィルタ及び上記合成帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの1つにより定義され、符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果の一方を有する上記波形記録から、シリアル・データ・パターン・アナログ信号を発生する発生方法。
(11)上記フィルタ係数を発生するステップは;上記符号間干渉効果及び上記帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータにより制御されるステップ応答フィルタのフィルタ係数を発生し;上記ステップ応答フィルタの上記フィルタ係数からインパルス応答符号間干渉フィルタ及びインパルス応答帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの一方のフィルタ係数を発生する態様10の発生方法。
(12)上記ステップ応答フィルタの係数発生ステップは、
Step_response=(i+log10(α))/(i+1)
の式を用いて上記ステップ応答の係数を計算し、Ωが符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシス制御パラメータであり、lenが符号間干渉フィルタ及び帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタ係数の数であり、i=2Ωであり、t=(10-1/10i)/lenであり、αがtのステップで1/10iから10である態様11の発生方法。
(13)上記ステップ応答フィルタの発生ステップは、
ISI_M=(d/dt)(Step_response)
(但し、ISI_Mは、上記インパルス応答符号間干渉フィルタのフィルタ係数)の形式の数式を用いて符号間干渉の増加を計算する態様12の発生方法。
(14)上記ステップ応答フィルタの発生ステップは、
Step_response=2-(Step_response(2:end))
BWE=(d/dt)(Step_response)
(但し、BWEは、上記インパルス応答帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタのフィルタ係数)の形式の数式を用いて、帯域幅拡張プリエンファシスの増加を計算する12の発生方法。
(15)上記欠陥フィルタの上記フィルタ係数は、周波数領域であり、上記欠陥フィルタのフィルタ係数を提供することは、上記欠陥フィルタの上記フィルタ係数を上記周波数領域から時間領域に変換することである態様10の発生方法。
【発明の効果】
【0011】
よって、本発明は、高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を、表示及び中央処理ユニットを有する信号発生装置のように実現できる。中央処理ユニットは、シリアル・データ・パターン用のパラメータを設定するために表示上にユーザ・インタフェースを発生すると共に、シリアル・データ・パターンの符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果用のパラメータを発生する。シリアル・データ・パターン・パラメータと符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシス効果パラメータを用いて、波形記録ファイルを発生する。波形発生回路は、波形記録ファイルを受け、符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシス効果パラメータが定義した符号間干渉効果又は帯域幅拡張プリエンファシス効果を有するシリアル・データ・パターン・アナログ出力信号を発生する。
【0012】
外部表示器を信号発生装置及び外部制御器に結合できる。シリアル・データ・パターン用のパラメータと、このシリアル・データ・パターンでの符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果用のパラメータを設定するために、外部制御器は、外部表示上にユーザ・インタフェースを発生する。波形発生回路による使用のために、シリアル・データ・パターン・パラメータと符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシス効果パラメータとを用いて、外部制御器が波形記録ファイルを発生する。
【0013】
信号発生器は、符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果パラメータに応答するステップ応答フィルタを有し、シリアル・データ・パターンに符号間干渉効果又は帯域幅拡張プリエンファシス効果を適用する。ステップ応答フィルタは、次の形式となる。
Step_response=(i+log10(α))/(i+1)
なお、Ωが符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシス制御パラメータであり、lenが符号間干渉フィルタ又は帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタ係数の数であり、i=2Ωであり、t=(10-1/10i)/lenであり、αがtのステップで1/10iから10である。次の形式の式
ISI_M=(d/dt)Step_response
を用いて、ステップ応答フィルタをインパルス応答符号間干渉フィルタに変換して、符号間干渉を増加させる。なお、ISI_Mは、インパルス応答符号間干渉フィルタのフィルタ係数である。インパルス応答符号間干渉フィルタのフィルタ係数により、フィルタ係数を有する欠陥フィルタを畳み込んで、インパルス応答合成(resultant)符号間干渉フィルタを形成する。
【0014】
次の形式の式
Step_response=2-(Step_response(2:end))
BWE=(d/dt)Step_response
を用いて、ステップ応答フィルタもインパルス応答帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタに変換して、帯域幅拡張プリエンファシスを増やすことができる。なお、BWEは、インパルス応答帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタのフィルタ係数である。インパルス応答帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの係数により、フィルタ係数を有する欠陥フィルタを畳み込んで、インパルス応答合成帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタを形成する。
【0015】
シリアル・データ・パターンに符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果を発生する方法は、符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスのパラメータにより制御される符号間干渉フィルタ又は帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタのフィルタ係数を発生するステップを有する。欠陥フィルタのフィルタ係数を提供して、符号間干渉フィルタ又は帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタからのフィルタ係数により畳み込んで、合成符号間干渉フィルタ及び合成帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの各フィルタ係数を発生する。欠陥フィルタ係数は、周波数領域でもよいが、符号間干渉フィルタ又は帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタからのフィルタ係数により畳み込むのに、時間領域に変換する必要がある。シリアル・パターン・データの波形記録ファイルを発生し、符号間干渉フィルタ、帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタ、合成符号間干渉・フィルタ及び合成帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの1つのフィルタ係数により変調する。各符号間干渉フィルタ、帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタ、合成符号間干渉フィルタ、合成帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの1つで定義された符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果の1つを有する波形記録ファイルから、シリアル・データ・パターン・アナログ信号を発生する。
【0016】
フィルタ係数発生ステップは、符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシス効果パラメータにより制御されるステップ応答フィルタのフィルタ係数を発生し、ステップ応答フィルタのフィルタ係数からインパルス応答符号間干渉フィルタ又はインパルス応答帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタのフィルタ係数を発生するステップを有する。次式を用いて、ステップ応答の係数を計算する。
Step_response=(i+log10(α))/(i+1)
なお、Ωが符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシス制御パラメータであり、lenが符号間干渉フィルタ及び帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタ係数の数であり、i=2Ωであり、t=(10-1/10i)/lenであり、αがtのステップで1/10iから10である。
【0017】
インパルス応答フィルタ発生ステップは、次式を用いて増加した符号間干渉を計算する代わりのステップを有する。
ISI_M=(d/dt)Step_response
なお、ISI_Mは、インパルス応答符号間干渉フィルタのフィルタ係数であり、次式を用いて、増加した帯域幅拡張プリエンファシスを計算する。
Step_response=2-(Step_response(2:end))
BWE=(d/dt)Step_response
なお、BWEは、インパルス応答帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタのフィルタ係数である。
【0018】
本発明の目的、利点及び新規な特徴は、添付図を参照した以下の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】被試験装置のHDMIコンプライアンス試験の代表的な従来の試験セットアップのブロック図である。
【図2】本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を実現する代表的な信号発生器の正面図である。
【図3】本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を実現する信号発生器の代表的なブロック図である。
【図4】本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を用いて被試験装置のHDMIコンプライアンス試験を行う試験セットアップのブロック図である。
【図5】本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を実現する初期ユーザ・インタフェースを示す図である。
【図6】本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を実現する基本パターンのポップアップ・ウィンドウを示す図である。
【図7】本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を実現する送信器のポップアップ・ウィンドウを示す図である。
【図8】本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を実現するチャネル/ケーブルのポップアップ・ウィンドウを示す図である。
【図9】本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を実現するコンパイル設定のポップアップ・ウィンドウを示す図である。
【図10A】本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を実現するステップを説明する流れ図である。
【図10B】本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を実現するステップを説明する流れ図である。
【図11】本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法におけるISI効果パラメータ値の種々の状態でのISIフィルタのステップ応答を示す図である。
【図12】本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法における帯域幅拡張プリエンファシス効果パラメータ値の種々の状態に対する帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタのステップ応答を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図2は、本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を実現する代表的な信号発生器30の正面図であり、例えば、本願出願人のテクトロニクス社製AWG7102Bである。信号発生器30は、液晶表示器、陰極線管などの如き表示器36上に表示されるユーザ・インタフェースに関連して、この信号発生器30の正面パネル34上のボタン及びノブ32の如き正面パネル制御器を用いてユーザが定義した信号出力を発生する。信号発生器30は、チャネル1信号出力コネクタ38、40とチャネル2信号出力コネクタ42、44を有し、各信号チャネルは、関連したM1及びM2マーカ出力発生器46、48を有する。信号発生器は、トリガ入力コネクタ50、イベント入力コネクタ52、DC電圧出力コネクタ54及びインターリーブ信号出力コネクタ56も有する。信号発生器30は、プログラムなどを実行可能な波形データを蓄積するためのCD又はCD/DVDドライブ58も有する。
【0021】
図3は、AWG7102B信号発生器30の代表的なブロック図である。信号発生器30は、中央処理ユニット(CPU)60を有し、ハードディスク・ドライブ(HDD:蓄積装置)62に蓄積されたプログラムに応じて測定機器の動作を制御する。RAMメモリの如きメモリ64を用いて、蓄積装置62から読み出したプログラム用にCPU60の作業領域にする。ユーザは、測定機器の正面パネル34上のボタン、ノブ32などを介して信号発生器を設定できる。表示器36は、ユーザ・インタフェースを提供し、信号パターン及びユーザ設定に関する情報を視覚化する。外部表示出力回路66は、信号発生器の組み込み表示器36の他に大画面表示を提供するために、外部表示器68に供給されるビデオ出力を発生する。波形発生回路70は、ユーザ定義パラメータに基づいて信号パターンを発生する。この例において、波形発生回路は、2チャネルの出力端と、トリガ及びイベント信号の入力端を有する。入力/出力ポート72を用いて、外部キーボード74とマウス76などのポインティング・デバイスとを信号発生器に接続する。外部キーボード74及び/又はマウス76を信号発生器の正面パネル制御器の一部に含めてもよい。これらブロックは、信号及びデータ・バス78を介して互いに結合させる。信号発生器のバス78は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)インタフェース80を具えて、信号発生器をパーソナル・コンピュータ(PC)82の如き外部制御器に接続してもよい。LANインタフェース80により、ユーザ・インタフェースがPC82上で動作できる共に、PC82がネットワークを介して信号発生器30を制御できる。代わりに、汎用インタフェース・バス(GPIB)インタフェースをLANインタフェース80のために用いてもよい。
【0022】
図4は、本発明により高速デジタル信号での符号間干渉及び帯域幅拡張プリエンファシスを可変する装置及び方法を用いて被試験装置(DUT)102のHDMIコンプライアンス試験を行う試験セットアップ100のブロック図である。この試験セットアップは、テクトロニクス社製AWG7102型任意波形発生器の如き2つの任意波形発生器(AWG)104、106を用いる。AWG104、106の各々は、クロック発生112からのクロック信号108及びトリガ発生器114からトリガ信号110を受ける。好適実施例において、テクトロニクス社製AFG3102型の如き任意関数発生器がクロック発生器112及びトリガ発生器114として使用する。クロック信号108をAWG104及び106の各クロック入力端に供給し、トリガ信号110をAWG104及び106の各トリガ入力端に供給して、AWG104及び106の動作及び信号出力を同期させる。AWG104は、クロック信号の差動対CL及び/CLを発生する。これら差動対は、バイアス・ティー116、118を介して、米国ワシントン州ワショウゲルのエフィセレ・テクノロジーズ社製ET−HDMI−TPA−S型アダプタ・ボードの如きアダプタ・ボード120に供給される。差動クロック対CL及び/CLを、要求されるTMDS(遷移最小化差動シグナリング)レベルにするのに、バイアス・ティー116、118が必要である。AWG104は、差動データ信号D2,/D2を発生し、これら差動データ信号は、各バイアス・ティー122、124を介してアダプタ・ボード120に結合される。AWG106は、差動データ信号D0,/D0、D1、/D1を発生し、これらデータ信号は、各バイアス・ティー126、128、130、132を介してアダプタ・ボード120に供給される。アダプタ・ボード120をDUT102に結合する。コンプライアンス試験分析のために、DUT102の出力端をテクトロニクス社製DPO70000型デジタル・ホスファ・オシロスコープ又はDSA8200型デジタル信号分析器に結合する。上述のHDMIコンプライアンス試験セットアップは、可変ISI又は帯域幅拡張プリエンファシス発生アルゴリズムを含む。ケーブル・エミュレータを表す欠陥フィルタと組合せてこのアルゴリズムを用い、従来のHDMIコンプライアンス試験セットアップに用いるケーブル・エミュレータに取って代わる。
【0023】
図5は、符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータにより変更したシリアル・データ・パターンの設定パラメータ用の代表的な初期ユーザ・インタフェース150を示す。初期ユーザ・インタフェース150及びその後のユーザ・インタフェースは、蓄積装置62に蓄積されたユーザ・インタフェース・プログラムによるCPU60の制御プログラムの下に動作する。ユーザ・インタフェースを表示器36又は外部表示器68上に表示できる。代わりに、ユーザ・インタフェース・プログラムを蓄積しPC82にアクセスして、PC82がパラメータを処理し、信号発生器30に供給する出力ファイルを発生してもよい。表示器36上のアイコンを介してアクセスするか、又は、開始タブをクリックし、信号発生器30に蓄積されているプログラムのリストから適切なプログラムをクリックすることにより、信号発生器30上の種々のインタフェースを制御するプログラムをアクセスしてもよい。初期インタフェース150は、初期ユーザ・インタフェース150内の種々のタブ152又はボタン153をクリックして活性化させる多くのポップアップ・ウィンドウを含んでいる。初期ユーザ・インタフェース150は、基本パターン(Base Pattern)ポップアップ・ウィンドウ156を活性化する基本パターン・タブ154を有する。初期ユーザ・インタフェース150により、基本パターン・ポップアップ・ウィンドウ156を自動的に活性化する。
【0024】
図6は、基本パターン(Base Pattern)ポップアップ・ウィンドウ156の4つの定義領域である基本パターン(Base Pattern)158、エンコーディング(Encoding)162及び立ち上がり/立ち下がり(Rise/Fall)164を示す基本パターン・ポップアップ・ウィンドウ156の詳細を示す。基本パターン領域158は、ボタン166、168及び170を有し、これらボタンにより、ユーザは、ISI又は帯域幅拡張プリエンファシス効果を生じるシリアル・データ・パターンを選択できる。標準(Standard)ボタン166をクリックすることにより、標準(Standard)ボックス172及びパターン(Pattern)ボックス174を活性化する。標準ボックス172をクリックして、コンプライアンス試験に必要な汎用シリアル・データ・パターン及び種々のシリアル・データ標準を表示する。特定のシリアル・データ標準を選択すると、パターン・ボックス174のクリックによりPRBS7の如き選択されたシリアル・データ標準により定義された種々の波形パターンを表示する。「ファイルから」(From File)ボタン168をクリックすると、ファイル(File)ボックス176を強調し、ユーザは、予め蓄積されたデータ・ファイルを入力できる。ユーザ・パターン(User Pattern)ボタン170をクリックすると、パターン・ボックス178を強調し、ユーザは、シリアル・データ・パターンを入力できる。適切な2進(Binary)ボタン180又は16進(Hex)ボタン182をクリックして、パターンを「0」及び「1」の2進データ又は16進データとして入力できる。
【0025】
信号(Single)領域160は、データ・レート(Data Rate)ボックス184、振幅(Amplitude)ボックス186及びアイドル状態(Idle State)ボックス188を有する。データ・ボックス184をクリックすると、ユーザは、シリアル・データのデータ・レートを設定できる。データ・レートは、1秒当たり10メガ・ビットから1秒当たり20ギガ・ビットの範囲内で調整できる。標準ボタン166を活性化すると、選択したシリアル・データ標準によりデータ・レートが自動的に選択される。振幅ボックス186をクリックすると、ユーザは、シリアル・データ・パターンの電圧レベルを選択できる。ユーザは、250mVから1Vの範囲で電圧レベルを可変できる。状態(State)が標準ボックス172で選択され、パターン・ボックス174でアイドル状態が選択される場合、アイドル状態ボックス188が活性化される。このアイドル状態は、アイドル状態パターン内のDCの選択可能な期間として観察される。
【0026】
エンコーディング(Encoding)領域162は、エンコーディング・スキーム(Encoding Scheme)ボックス190を有し、このボックスにより、ユーザは、シリアル・データ・パターン用のコーディング・スキームの形式を設定できる。ユーザは、NRZ又は非(NONE)NRZから選択できる。8B10Bボックス192をクリックして、8ビット・シンボルから10ビット・シンボルへのマッピング用アルゴリズムを活性化して、DCバランス及び境界不一致を行う。立ち上がり/立ち下がり領域164は、立ち上がり/立ち下がり時間ボタン196及び198を有し、10/90又は20/80パーセントの立ち上がり及び立ち下がりの時間を夫々選択する。立ち上がりボックス200により、ユーザは、シリアル・データ・パターン前縁の立ち上がり時間を選択できる。立ち下がりボックス202により、ユーザは、シリアル・データ・パターン後縁の立ち上がり時間を設定できる。DCDボックス204により、ユーザは、シリアル・データ・パターンのデューティ・サイクル歪(DCD)の量を可変できる。立ち上がり時間、立ち下がり時間及びDCD時間は、各設定ボックス206を用いて、秒又は単位インターバルにて定義できる。
【0027】
図7に示すように、送信器(Transmitter)タブ210をクリックして、送信器ポップアップ・ウィンドウ212を活性化する。送信器ポップアップ・ウィンドウ212は、ボックス214を有する。このボックス214により、ユーザは、ピーク・ピーク周期ジッタ(Periodic Jitter (Pk-Pk))及びRMSランダム・ジッタ(Random Jitter(RMS))の可変量のパラメータを設定すると共に、拡散スペクトラム・クロック(SSC)パラメータ、電圧(Volt(RMS))によるノイズ(Noise)パラメータ及びdB又は電圧によるプリ/ディ・エンファシス(Pre/De-emphasis)パラメータを設定する。
【0028】
図8に示すように、チャネル/ケーブル(Channel/Cable)タブ220をクリックすることにより、チャネル/ケーブル・ポップアップ・ウィンドウ222を活性化する。ユーザは、ISI/帯域幅拡張(ISI/Bandwidth Extension)ボタン224をクリックすることにより、ISI/帯域幅拡張を活性化できる。ユーザは、欠陥フィルタ(Impairment Filter)ボタン226をクリックして、フィルタ・ボックス及びブラウザ・ボタンを活性化する。「ファイルからの読み出し」(Read from File)ボタン228及び関連したブラウズ(Browse)ボタン230により、ユーザは、予め蓄積した欠陥フィルタ・ファイルを選択できる。ISI/帯域幅拡張ボックス232により、ユーザは、波形記録にISI又は他は拡張の追加の間で選択できるか、又は、ISI又は帯域幅拡張を選択された欠陥フィルタに追加できる。ISI/帯域幅拡張スケーリング(ISI/Bandwidth Extension Scaling)ボックス234により、ユーザは、符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータを設定でき、好適な実施例では−8から+8まで変化する。一般的に、欠陥フィルタ・ファイルは、周波数領域内でフィルタ係数を定義するSパラメータとして蓄積される。代わりに、欠陥フィルタ・ファイルは、時間領域インパルス応答又はステップ応答フィルタ係数を定義できる。
【0029】
再び図5を参照する。ユーザがシリアル・データ・パターン用のパラメータを設定し、シリアル・データ・パターンに供給すべきISI又は帯域幅拡張プリエンファシスの量を選択すると、ユーザは、初期ユーザ・インタフェース150のツール・バー244上のコンパイル設定(Compile Settings)ボタン242をクリックすることにより、図9に示すコンパイル設定ポップアップ・ウィンドウ240を活性化する。コンパイル設定ポップアップ・ウィンドウ240は、波形名(Waveform Name)ボックス246を有し、ユーザ定義シリアル・データ・パターン・パラメータと、シリアル・データ・パターン用の符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータとを用いて、信号発生器30が発生した波形ファイル用のユーザ定義名を提供する。基本パターン・ポップアップ・ウィンドウ156を用いて入力したシリアル・データ・パターン用のデータ・レートをデータ・レート(Data Rate)の次に表示する。ユーザは、サンプル・レート(Sample Rate)ボタン248又は「UI当たりのサンプル」(Sample per UI)ボタン250をクリックして、サンプル・レート・ボックス252又は「UI当たりのサンプル」ボックス254を夫々活性化できる。ユーザは、シリアル・データ・パターン及びデータ・レートに基づいて適切な値を入力して、サンプル・レート又はUI当たりのサンプルを手動設定できる。自動(Automatic)ボックス256をクリックして、データ・レート及びシリアル・データ・パターンに基づいて、サンプル・レート又はUI当たりのサンプルを自動的に設定できる。帯域幅拡張フィルタ(Bandwidth Expansion Filter)ボタン260をクロックして、帯域幅拡張フィルタ領域258を活性化できる。帯域幅拡張フィルタ領域258により、ユーザは、種々のイリーガル・パラメータを選択又はターンオフできる。コンパイル・ボタン基準(Compile Button References)領域262により、ユーザは、シリアル・データ・パターン・パラメータ及びISI/帯域幅拡張パラメータが定義するコンパイル済み波形記録用に、コンパイルのみ(Compile Only)又はコンパイル及び送信(Compile and Sends to)のいずれかのパラメータを選択できる。コンパイル設定ポップアップ・ウィンドウ240の下の方に、適切なボックス264をクリックすることにより設定できる追加のパラメータがある。コンパイル設定ポップアップ・ウィンドウ240の下部には、コンパイル(Compile)ボタン266、Okボタン268、キャンセル(Cancel)ボタン270及びヘルプ(Help)ボタン272があり、これらにより、ユーザは、コンパイル設定ポップアップ・ウィンドウ240に関連した種々の動作を選択できる。1つのオプションは、コンパイル・ボタン266をクリックして、シリアル・データ・パターン及びISI/帯域幅拡張パラメータのコンパイルを開始し、デジタル・データを含む波形記録ファイルを発生して、信号発生器30からのアナログ・シリアル・データ・パターンを発生することである。他のオプションは、Okボタン268をクリックして、コンパイル設定ポップアップ・ウィンドウ140内の選択されたパラメータをセーブして、ウィンドウ240を閉じることである。更に他のオプションは、キャンセル・ボタン270をクリックして、ウィンドウ140内で選択されたパラメータをセーブすることなく、コンパイル設定ポップアップ・ウィンドウ240を閉じることである。ヘルプ・ボタン272をクリックして、ヘルプ・ポップアップ・ウィンドウを活性化し、ユーザがヘルプを求められることである。
【0030】
初期ユーザ・インタフェース50のツール・バー274(図5に示す)を有する。このコンパイル・ボタン274は、コンパイル設定ポップアップ・ウィンドウ240内のコンパイル・ボタン266(図9に示す)と同じ方法で機能し、シリアル・データ・パターン・パラメータと、符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータとのコンパイルを開始して、信号発生器30からアナログ・シリアル・データ・パターンを発生させるためのデジタル・データを含んだ波形記録ファイルを発生する。
【0031】
図10A及び10Bは、符号間干渉効果又は帯域幅拡張プリエンファシス効果を高速シリアル・データ・パターンに追加するアルゴリズムを実現する流れ図を示す。ステップ300にて、図8のチャネル/ケーブル・ポップアップ・ウィンドウ222内のISI/帯域幅拡張ボタン224又は欠陥フィルタ・ボタン226の一方を活性化して、ISI/帯域幅拡張又は欠陥フィルタをユーザが選択する。ステップ302にて、ユーザは、ISI/帯域幅拡張ボックス232を用いて、符号間干渉効果又は帯域幅拡張プリエンファシス効果のいずれかを選択する。ステップ304にて、ユーザは、ISI/帯域幅拡張スケーリング・ボックス234を用いて、高速シリアル・データ・パターンに適用すべきISI及び帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータを選択する。ステップ306にて、選択したISI及び帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータ及び式1を用いて、ステップ応答フィルタの係数(Step_response)を計算する。
式1:Step_response=(i+log10(α))/(i+1)
ただし、
Ω=ISI/帯域幅拡張パラメータ
len=ISI/帯域幅拡張フィルタ係数の数
t=時間
i=2Ω
t=(10-1/10i)/len
α=tのステップで1/10iから10まで
lenの値は、「1ビット当たりのサンプルの数」の整数倍でもよく、データ・レートで除算されたシステムのサンプル周波数として定義される。例えば、信号発生器30のサンプル周波数が10GHzであり、処理すべき信号のデータ・レートが2GHzである。1ビット当たりのサンプルは、10GHzを2GHzで除算して、5となる。lenの値を5の倍数、即ち、5/10/15/20などにできる。lenの値が増えると、信号でのISI/帯域幅拡張パラメータΩの効果が低下する。
【0032】
ステップ308で、符号間干渉効果又は帯域幅拡張プリエンファシス効果がステップ302で選択れたかの判断を行う。ユーザが帯域幅拡張プリエンファシス効果を選択している場合(イエス)、ステップ310にて、式2を用いて帯域幅拡張フィルタの係数(BWE)を求める。
式2:BWE=(d/dt)(2-(Step_response))
【0033】
ステップ308での判断が符号間干渉効果の場合(ノー)、ステップ312にて、式3を用いてISIフィルタの係数(ISI_M)を計算する。
式3:ISI_M=(d/dt)(Step_response)
【0034】
ステップ314にて、ステップ300にて欠陥フィルタ・ボタン226を活性化したかを判断する。欠陥フィルタが選択されていると(イエス)、ステップ316にて、ユーザは、フィルタからの読み出しボックス228及びブラザー・ボタン230を用いて欠陥フィルタ(IMP)を選択する。欠陥フィルタがスペクトラム領域フィルタ係数を有すると、逆高速フーリエ変換(IFFT)を用いて、スペクトラム領域フィルタ係数を時間領域フィルタ係数に変換する。ステップ320にて、ISIフィルタのフィルタ係数(ISI_M)又は帯域幅拡張フィルタのフィルタ係数(BWE)のいずれかにより欠陥フィルタ(IMP)の時間領域フィルタ係数を畳み込んで、合成ISIフィルタ(ISI_R)又は合成帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタ(BWE_R)を発生する。ステップ322にて、ISIフィルタ、帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタ、合成ISIフィルタ(ISI_R)、又は合成帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタ(BWE_R)の1つを用いて、高速シリアル・データ・パターン・パラメータから発生された波形記録を濾波する。次に、波形発生器70がフィルタ波形記録ファイルを読み出して、追加されたISI又は帯域幅拡張プリエンファシスを有する高速アナログ信号データ・パターンを発生する。
【0035】
図11は、ISI効果パラメータ値Ωの種々の係数に対するISIフィルタのステップ応答を示す。これらプロットは、増加するISI効果パラメータ値に対応し、低いプロット・ラインが低いISI効果パラメータ値に対応し、高いプロット・ラインが高いISI効果パラメータ値に対応する。
【0036】
図12は、帯域幅拡張プリエンファシス効果パラメータ値Ωの種々の係数に対する帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタのステップ応答を示す。これらプロットは、低下する帯域幅拡張プリエンファシス効果パラメータ値に対応し、最高のプロット・ラインが高い帯域幅拡張プリエンファシス効果パラメータ値に対応し、最低のプロット・ラインが低い帯域幅拡張プリエンファシス効果パラメータ値に対応する。
【0037】
本発明の要旨を逸脱することなく、本発明の上述の実施例の細部において多くの変更を可能なことが当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0038】
10 試験セットアップ
12 被試験装置
14 波形発生器
16 バイアス・ティー
18 アダプタ・ボード
20 遷移時間変換器モジュール
22 デジタル・タイミング発生器
24 直流電源
26 ケーブル・エミュレータ
28 測定機器
30 信号発生器
32 ボタン及びノブ
60 CPU(中央処理ユニット)
62 ハードディスク・ドライブ
64 メモリ
66 外部表示出力回路
68 外部表示器
70 波形発生器
72 入力/出力ポート
74 外部キーボード
76 マウス
78 バス
80 LANインタフェース
82 パーソナル・コンピュータ
100 試験セットアップ
102 被試験装置
104、106 波形発生器
112 クロック発生器
114 トリガ発生器
120 アダプタ・ボード
126〜132 バイアス・ティー
134 測定機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器と、
該表示器上にユーザ・インタフェースを発生して、シリアル・データ・パターン用のパラメータと、上記シリアル・データ・パターンの帯域幅拡張プリエンファシス効果及び符号間干渉効果の少なくとも一方のパラメータとを設定する中央処理ユニットを具え、
上記シリアル・データ・パターン・パラメータ、上記符号間干渉効果のパラメータ及び上記帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータを用いて、波形記録ファイルを作成し、
上記波形記録ファイルを受け、上記符号間干渉効果のパラメータ及び上記帯域幅拡張プリエンファシス効果のパラメータにより定義された上記符号間干渉効果及び上記帯域幅拡張プリエンファシス効果の少なくとも一方を有するシリアル・データ・パターン・アナログ出力信号を発生する波形発生回路を更に具えた信号発生装置。
【請求項2】
シリアル・データ・パターンに符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果を与える方法であって、
符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシスのパラメータにより制御される符号間干渉フィルタ及び帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの一方のフィルタ係数を発生し、
欠陥フィルタのフィルタ係数を提供し、
上記符号間干渉フィルタ及び上記帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの一方からの上記フィルタ係数により上記欠陥フィルタからの上記フィルタ係数を畳み込んで、合成符号間干渉フィルタ及び合成帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの各フィルタ係数を発生し、
上記符号間干渉フィルタ、上記帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタ、上記合成符号間干渉フィルタ及び上記合成帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの1つの上記フィルタ係数により変更したシリアル・パターンでの波形記録を発生し、
上記符号間干渉フィルタ、上記帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタ、上記合成符号間干渉フィルタ及び上記合成帯域幅拡張プリエンファシス・フィルタの1つにより定義され、符号間干渉効果及び帯域幅拡張プリエンファシス効果の一方を有する上記波形記録から、シリアル・データ・パターン・アナログ信号を発生する発生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−50069(P2012−50069A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148892(P2011−148892)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(391002340)テクトロニクス・インコーポレイテッド (234)
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
【Fターム(参考)】