修理票管理システム及び方法
【課題】配電設備等の不良箇所の修理内容を記載した修理票をシステム上で管理することにより、配電設備の修理業務を効率的に行えるようにする。
【解決手段】修理票管理サーバ10は、利用者端末30から設備不良に関するデータを受信するデータ受信部50、受信データを修理票データとして格納する修理票データベース12、利用者端末30からの照会要求に応じて修理票データベース12の修理票データを利用者端末30へ送信する修理票照会部52、各修理票について承認順序及び承認の進捗状況を表す工程管理情報が記憶される工程管理データベース16、利用者端末30からの承認要求に応じて当該利用者が承認すべき修理票を工程管理データベース16から抽出して利用者端末30へ送信し、承認操作を受付ける承認受付部54、及び受付けた承認操作に基づいて工程管理データベース16の工程管理情報を更新する承認記録部56を備える。
【解決手段】修理票管理サーバ10は、利用者端末30から設備不良に関するデータを受信するデータ受信部50、受信データを修理票データとして格納する修理票データベース12、利用者端末30からの照会要求に応じて修理票データベース12の修理票データを利用者端末30へ送信する修理票照会部52、各修理票について承認順序及び承認の進捗状況を表す工程管理情報が記憶される工程管理データベース16、利用者端末30からの承認要求に応じて当該利用者が承認すべき修理票を工程管理データベース16から抽出して利用者端末30へ送信し、承認操作を受付ける承認受付部54、及び受付けた承認操作に基づいて工程管理データベース16の工程管理情報を更新する承認記録部56を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力会社等において電力設備の不良を修理するために発行される修理票を管理するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社は、電柱や電線を含んだ膨大な数の配電設備を有しており、各配電設備に不良箇所が生じた場合には修理工事をすることが必要である。従来、電力会社における配電設備の不良箇所の修理業務は例えば次のような手順で行われている。すなわち、配電設備の不良箇所を点検すべく巡視点検を行い、不良箇所を発見した場合、巡視点検担当者がその不良内容を書き留めて社内運用部門へ連絡する。電力会社の運用部門担当者は、巡視点検担当者から不良の通知を受けると、その不良内容を記載した修理票を発行し、運用部門責任者が修理の必要性を判断したうえで修理票を承認する。承認された修理票は設計部門に回付され、設計部門担当者が修理票に基づいて設計書を作成する。設計書は、設計部門責任者の承認を受けたうえで、工事部門に回付され、設計書に基づいて修理工事が行われる。なお、このような修理票を管理するためのシステムに関連する先行文献について本出願人が知得しているものは本出願時点で存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、修理票の発行は、運用部門担当者が巡視点検担当者から通知された不良内容を伝票に書き写すことにより行っているため、業務効率が悪い。しかも、膨大な数の配電設備が膨大な数が存在するため不良の発生件数も相当数にのぼり、多数の修理票が発行されることになって修理票の発行に多大な時間を要してしまう。また、配電設備の不良が発見される都度、個別に修理票が発行されるため、修理票の一覧性が悪く、どの異常を優先して修理すべきか、優先度を管理することも難しい。さらに、紙ベースの修理票では紛失のおそれがあるうえ、修理票に係わる情報の共有が難しいため二重発行のおそれもある。このように、従来の修理票を用いた配電設備修理に係わる業務は必ずしも効率的とはいえなかった。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、配電設備等の不良箇所の修理内容を記載した修理票をシステム上で管理することにより、配電設備の修理業務を効率的に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、利用者の端末とネットワーク経由で接続されたコンピュータシステムにより構成され、配電設備の不良箇所及びその不良内容を示す修理票を管理するための修理票管理システムであって、
アクセスしてきた利用者の端末から、配電設備の不良箇所及びその不良内容を表すデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部が受信したデータを修理票データとして格納するための修理票データベースと、
アクセスしてきた利用者の端末からの照会要求に応じて、前記修理票データベースに格納された修理票データを当該利用者の端末へ送信する修理票照会部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この修理票管理システムは、各修理票について承認順序及び承認の進捗状況を表す工程管理情報が記憶される工程管理データベースと、
アクセスしてきた利用者の端末からの承認要求に応じて、前記工程管理データベースから当該利用者が承認すべき修理票を抽出して当該利用者の端末へ送信し、当該利用者の端末から承認操作を受け付ける承認受付部と、
前記承認受付部が受け付けた承認操作に基づいて、前記工程管理データベースに記憶された工程管理情報を更新する承認記録部と、を更に備えてもよい。
【0007】
また、前記修理票データは、修理対象機器の種別に応じて分類されており、前記種別に応じたデータ項目を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、配電設備等の不良箇所の修理内容を記載した修理票をシステム上で管理することにより、配電設備の修理業務を効率的に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態の修理票管理システムについて説明する。本実施形態では、電力会社が有する配電設備の巡視点検担当者が設備の不良を発見した場合に、携帯端末から修理票管理システムにアクセスして不良内容を記した修理票をシステム上で発行する。発行された修理票は、運用部門の責任者や、工事設計部門の担当者・責任者、及び、工事会社が閲覧可能であり、業務フローに従って各部門での承認を経て、修理工事が実施される。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態である修理票管理システムの全体構成図である。本実施形態の修理票管理システムは、修理票管理サーバ10を含んで構成されている。修理票管理サーバ10は、CPU、メモリ、記憶装置、通信インターフェース等を備えるコンピュータシステムにより構成されており、図1に示す如く、修理票データベース12、画像情報データベース14、工程管理データベース16、及び利用者情報データベース18の各データベースを備えている。
【0011】
また、図1に示すように、修理票管理サーバ10には、配電設備の巡視点検担当者が所持する携帯電話機やPDAなどの携帯端末20や、運用部門、管理部門、設計部門等の各部門の担当者や責任者が操作するコンピュータ端末22が無線あるいは有線のネットワーク経由で接続されている。巡視点検担当者は、電柱や電線等の配電設備の巡視点検時に不良箇所を発見すると、所持する携帯端末20から修理票管理サーバ10へアクセスして不良内容等を入力して修理票を作成することができる。また、運用部門の担当者も、例えば一般利用者からの通報等により配電設備の不良箇所を把握した場合に、同様に、コンピュータ端末22から修理票管理サーバ10へアクセスして修理票を作成することができる。こうして作成された修理票のデータは修理票データベース12に格納される。さらに、運用部門の責任者や、管理部門・設計部門・工事部門の担当者や責任者はそのコンピュータ端末22から修理票管理サーバ10へアクセスして作成された修理表の閲覧や承認を行なうことができる。本出願では、上記のように修理票管理サーバ10へアクセスして修理票の作成、閲覧、承認等を行う各担当者や責任者を総称して利用者といい、また、携帯端末20とコンピュータ端末22とを総称して利用者端末30という。
【0012】
なお、修理票管理サーバ10には、各配電設備の接地抵抗を管理する接地データ管理システム40及び修理票に基づく工事設計業務を管理する設計管理システム42が接続されており、後述するように、修理票管理サーバ10はこれらのシステム40,42と連係して動作することができる。
【0013】
修理票データベース12には、作成された各修理票を表すデータ(以下、修理票データという)が格納される。本実施形態では、修理票を「一般」、「接地」、「防護管」、「木柱」等の種別に分類して管理している。
【0014】
図2〜図5は、夫々、上記種別「一般」、「接地」、「防護管」、「木柱」について修理票データベース12に格納された修理票データの構成例を示す。図2〜図5に示すように、修理票データベース12に格納された修理票データは、事業場コード、修理票種別コード、発行者コード、発行年月日、一連番号、重要度、緩急度等の全種別に共通のデータ項目と、種別毎に設定されたデータ項目とが含まれている。ここで、一連番号は、発行事業場コード、修理票種別コード、発行者コード、及び、発行年月日が同じ修理票を区別するための番号である。すなわち、発行者コード、発行年月日、及び、一連番号により各修理票を識別することができ、これらを並べた番号を修理票番号として用いるものとする。
【0015】
画像情報データベース14には、各修理票に関連して、不良箇所の写真や地図等の画像が格納される。図6は、画像情報データベース14に記録されたデータの構成例を示す。同図に示すように、画像情報データベース14には、各修理票の修理票番号(発行者コード、発行年月日、一連番号)に関係付けて、画像ID及び画像ファイル名等が記録されている。一つの修理票について複数の画像データが登録される場合もあり、その場合は、各画像データに対応した複数の画像ID及び画像ファイル名が記録される。また、画像データ自体は別途、不図示の画像データベースに登録される。
【0016】
工程管理データベース16には、作成された各修理票について、運用部門及び設計部門の承認等を経て工事が発注されるまでのワークフローに関するデータが記録される。図7は、工程管理データベース16に記録されたデータの構成例を示す。同図に示すように、工程管理データベース16には、各修理票の修理票番号に関係付けて、運用部門での修理票の受付日・受付者・承認者・承認日、否決された場合の否決者・否決日・否決理由、設計部門の設計者・設計書番号・設計完了日・設計承認日・設計承認者・設計書交付日・交付者、工事完了日、作業責任者、工事完了承認日、工事完了承認者等が記録される。このうち、設計に関わる項目は、本システムに接続された設計管理システム42からデータが受信されて工程管理データベース16に格納されるようになっている。
【0017】
図8は、利用者情報データベース18に格納されたデータの構成例を示す。同図に示すように、利用者情報データベース18には、本システムを利用する各利用者について、氏名、利用者コード、パスワード、所属部門コード、事業所コード、職位コード(例えば、担当、副長、課長など)等が記録されている。
【0018】
図9は、修理票管理サーバ10の主要機能部を示す機能ブロック図である。同図に示すように、修理票管理サーバ10は、データ受信部50、修理票照会部52、承認受付部54、及び承認記録部56の各機能部を備えている。これらの機能部は、修理票管理サーバ10を構成するコンピュータがプログラムを実行することにより実現される。
【0019】
データ受信部50は、修理票管理サーバ10にアクセスしてきた利用者端末30から配電設備の不良箇所及びその不良内容を表すデータを受信する。データ受信部50が受信したデータは修理票データとして修理票データベース12に格納される。
【0020】
修理票照会部52は、修理票管理サーバ10にアクセスしてきた利用者端末30からの照会要求に応じて、修理票データベース12に格納された修理票データを当該利用者端末30へ送信する。
【0021】
承認受付部54は、利用者端末30からの承認要求に応じて当該利用者が承認すべき修理票を工程管理データベース16から抽出して当該利用者の端末へ送信し、当該利用者端末30から承認操作を受け付ける。また、承認記録部56は、承認受付部54が受け付けた承認操作に基づいて、工程管理データベース16に記憶された工程管理情報を更新する。
【0022】
以下、本実施形態における処理の内容について説明する。先ず、利用者端末30から修理票の発行や照会を行う場合の処理について説明する。
【0023】
図10は、本実施形態において利用者端末30から修理票管理サーバ10にアクセスして修理票の発行や照会を行う場合の処理の流れの概要を示す。
【0024】
同図に示すように、巡視点検中に不良箇所を発見して修理票を発行しようとする巡視点検担当者、あるいは、一般利用者から不良箇所の通報を受けて修理票を発行しようとする運用部門担当者は、利用者端末30から修理票管理サーバ10にアクセスする(S100)。これに応じて、修理票管理サーバ10は利用者コード及びパスワードの入力欄を含んだログイン画面を当該利用者端末へ送信する(S102)。このログイン画面で入力された利用者コード及びパスワードは修理票管理サーバ10へ送信され(S104)、修理票管理サーバ10は、それらを利用者情報データベース18に格納された利用者コード及びパスワードと照合することにより利用者認証を行う(S106)。そして、正しく認証できた場合に、ログインを許可し、当該利用者端末30へメインメニュー画面の画面データを送信する(S108)。メインメニュー画面には、修理票作成・照会メニュー及び修理票承認メニューが含まれている。この画面で修理票作成・照会メニューが選択されると(S110)、修理票管理サーバ10は、図11に示すような修理表一覧画面を当該利用者端末30へ送信する(S112)。
【0025】
図11に示す如く、修理票一覧画面には、検索条件入力欄500、検索ボタン502、一覧表示欄504、作成ボタン506、修理票詳細ボタン508などが含まれている。検索条件入力欄500では、作成済みの修理票を検索するための検索条件が、種別、線路名、重要度、緩急度等の項目毎に設定できるようになっている。検索ボタン502がクリックされると(S114)、検索条件入力欄500で設定された検索条件が修理票管理サーバ10へ送信される(S116)。修理票管理サーバ10は修理票データベース12を参照して、その検索条件に該当する修理票データを検索し(S118)、利用者端末30へ送信し(S120)、一覧表示欄504に表示させる。
【0026】
また、一覧表示欄504において何れかの修理票が選択された状態で修理票詳細ボタン508がクリックされると(S122)、その修理票についての照会要求が修理票管理サーバ10へ送信される(S123)。修理票管理サーバ10の修理票照会部52はこの商会要求を受信すると、要求された修理票データを修理票データベース12から読み出してそれを表示する修理票画面を生成し(S124)、当該利用者端末30へ送信する(S126)。
【0027】
一方、新たに修理票を作成する場合には、担当者は、作成する修理票の種別を検索条件入力欄500の種別欄で指定したうえで、作成ボタン506をクリックする(S128)。作成ボタン506がクリックされると、指定された種別の修理票の作成要求が修理票管理サーバ10へ送信される(S129)。これに応じて、修理票管理サーバ10は、該当する修理票種別の修理票を作成するための修理票画面を生成して(S130)当該利用者端末30へ送信する(S131)。
【0028】
図12は、修理票種別「一般」についての修理票画面の一例を示す。なお、図12及び以下に示す各修理票画面は、上記S126で送信される修理票画面と同じ体裁を有している。すなわち、修理票照会の場合の修理票画面は、該当する修理票データが各欄に表示された状態で利用者端末30へ送信され、一方、修理票作成の場合の修理票画面は、各欄が空欄の状態で利用者端末30へ送信されることになる。
【0029】
図12に示すように、修理票画面には、各種項目の入力欄が含まれている。このうち、作業区分については「作業区分」ボタン510をクリックすることにより図13に示すようにサブウインドウ520が開いて作業区分を選択肢の中から選択できる。また、修理対象となる設備の品名規格については「入力」ボタン512をクリックすることにより、図14に示すように、サブウインドウ522が開いて、品名規格や取付数量、再用数量、撤去数量を入力できる。また、「線路名検索」ボタン514をクリックすることにより線路名の検索ウインドウが開いて、この画面上で線路名を検索して入力することができる。なお、「画像」ボタン516は修理票を照会する画面の場合に機能し、このボタン516がクリックされると、修理票管理サーバ10は、当該修理票について登録済みの画像情報を画像情報データベース14から取得し、それらを一覧表示する画面を利用者端末30へ送信する。なお、画像情報の登録は、例えば、携帯端末20から修理票管理サーバ10へ修理票番号と写真画像とを送信し、修理票管理サーバ10にてその写真画像にファイル名を付けて保存すると共に、修理票番号と画像のファイル名とを関連付けて画像情報データベース14に格納することにより行われる。
【0030】
図15は、修理票種別「接地」についての修理票画面の一例を示す。種別「接地」についての修理票は、適時実施される接地抵抗測定の結果、接地不良箇所が発見された場合に作成される。図15に示すように、修理票種別「接地」については、登録済みの種別「接地」の修理票データを一覧表示する一覧領域530や、「入力」ボタン532が設けられている。「入力」ボタン532がクリックされると、図16に示すような詳細入力ウインドウ534が開き、この画面で機器種別、支持種別、設置工事種別等の詳細項目を入力することができる。なお、上述のように、修理票管理サーバ10には、接地抵抗測定結果を管理する接地データ管理システム40が接続されており、この接地データ管理システム40から該当する線路について接地抵抗が不良であるデータを取り込んで詳細入力ウインドウに自動入力させるようにすることもできる。
【0031】
図17は、修理票種別「防護管」についての修理票画面の一例を示す。防護管は、配電設備の工事を行う際に、作業員が電線に誤って触れないよう、目印として電線を覆うように取り付けられるものである。工事終了後に防護管を取り付けたままになり易いため、防護管を取り付けた際に「防護管」についての修理票を作成して、防護管の取り付け状態を管理している。
【0032】
図17に示すように、「防護管」についての修理票画面には、「支障理由」ボタン540、「取付数量入力」ボタン542、「その他情報」ボタン544等の操作ボタンが含まれている。「支障理由」ボタン540がクリックされると、図18に示すようにウインドウ546が開き、支障理由を選択入力することができる。「取付数量入力」ボタン542がクリックされると、図19に示すようにウインドウ548が開き、防護管の種別毎に取付数量を入力することができる。また、「その他情報」ボタン544がクリックされると、図20に示すようにウインドウ550が開き、防護管の取付依頼者等の取付情報と、防護管の撤去了解日や了解者等の撤去情報を入力することができる。
【0033】
図21は、修理票種別「木柱」についての修理票画面の一例を示す。同図に示すように、この修理票画面には「入力」ボタン560が含まれており、このボタンがクリックされると、図22に示すようにウインドウ562が開いて、対象となる木柱について設備区分や種別等の詳細情報を入力することができる。
【0034】
以上のような各種別の修理表作成画面に入力欄に入力されて、各ボタンに含まれる「登録」ボタン518がクリックされると(S132)、入力データが修理票管理サーバ10へ送信され(S134)、データ受信部50により受信される。受信されたデータは修理票データとして修理票データベース12に格納される(S136)。
【0035】
また、作成された修理票は、所定の回付ルートでの承認を経て、その修理票に基づく修理工事が行われることとなる。ここで、修理票の承認操作について説明する。
【0036】
図23は、修理票の承認操作に係わる処理の流れの概要を示す。同図に示すように、メインメニュー画面にて修理票承認メニューが選択されると(S150)、利用者端末30から修理票管理サーバ10へ承認要求が送信される(S151)。修理票管理サーバ10の承認受付部54は、この承認要求を受信すると、図24に例示する修理票承認対象一覧画面を生成し(S152)、利用者端末30へ送信する(S154)。
【0037】
図24に示すように、修理票承認対象一覧画面には、ログインした利用者による承認待ちの状態である修理票が一覧表示される。すなわち、承認受付部54は、ログイン時に入力された利用者IDから利用者を識別し、工程管理データベース16を参照して、当該利用者による承認待ちの状態にある修理票、つまり、ワークフローにおいて当該利用者の直前の承認者による承認が済んでいる修理票を抽出し、修理票承認対象一覧画面に一覧表示させる。例えば、上記した図7の工程管理データベース16の例で、当該利用者が運用部門の課長である場合、副長による承認日までが記録された修理票を抽出する。
【0038】
この修理票承認対象一覧画面にて何れかの修理票が選択された状態で「修理票照会」ボタン570がクリックされると(S156)、修理票管理サーバ10の承認受付部54は、選択された修理票のデータを修理票データベース12から読み出して(S158)、利用者端末30へ送信する(S160)。
【0039】
また、修理票承認対象一覧画面にて何れかの修理票が選択された状態で、「直営施工承認」ボタン572、「付託工事承認」ボタン574、又は「緊急施工承認」ボタン576がクリックされると(S162)、修理票管理サーバ10の承認記録部56は、工程管理データベース16に、選択された修理票の承認者として当該利用者の氏名を記録すると共に、その承認日を記録する(S164)。なお、「否決」ボタン578がクリックされた場合、修理票管理サーバ10から利用者端末30へ否決理由を入力するための入力画面が送信され、この画面で入力された否決理由が否決者及び否決日と共に工程管理データベース16に記録される。
【0040】
また、修理票承認対象一覧画面にて何れかの修理票が選択された状態で「回付ルート変更」ボタン578がクリックされると(S166)、修理票管理サーバ10は、図25に例示するような回付ルート設定画面を生成して(S168)利用者端末30へ送信する(S170)。図25に示すように、回付ルート設定画面には、工程管理データベース16に記録された回付ルートが工程毎のブロック600として表示され、各工程について承認者及び承認日が記録されている場合はブロック内にそれら承認者及び承認日が表示される。図25の例では、運用担当受付(2004/3/16 中電太郎)まで工程が進んでいることが示されている。この回付ルート設定画面において、工程ブロック間の「→」ボタン602がクリックされると、新たな工程を追加することができ、また、何れかの工程を選択して「削除」ボタン604をクリックすると、その工程を削除することができる。こうして工程の追加又は削除の操作が行われて、「登録」ボタン606がクリックされると(S172)、それに応じて、修理票管理サーバ10は工程管理データベース16に記録された回付ルートを更新する(S174)。
【0041】
以上のように、各修理票について回付ルートが設定され、その回付ルートに従って、承認操作が行われていく。そして、運用部門での最終的な承認が完了すると、その修理票データは、設計部門へ受け渡され、以後、設計部門において設計書の作成、承認、工事部門への工事指示等の工程管理が行われる。その際、修理票番号をキーとして設計の基となった修理票と関連付けられ、これにより、上記したように、設計部門での工程管理データを工程管理データベース16に取り込むことが可能となっている。
【0042】
以上説明したように、本実施形態のシステムによれば、巡視点検担当者が携帯端末20等の利用者端末30から修理票管理サーバ10にアクセスして修理票をオンラインで作成できるので、従前のように巡視点検結果を修理票に書き写す場合に比べて修理票発行の業務効率が格段に向上する。また、作成された修理票は電子データとしてサーバ上に管理され、関係者は夫々の利用者端末30から修理票を閲覧することができる。このため、利用者間で修理票データを共有することが可能となり、修理票の二重発行等の非効率な事態を防止することができる。
【0043】
また、発行された修理票を、種別や重要度、緩急度、あるいは、地域等により適宜検索して一覧表示できるので、優先度を付けて修理を行うことが容易になると共に、例えば、巡視点検担当者が巡視点検地域付近についての修理票を照会して、ついでに不良状況を確認したり、修理を行ったりすることも可能となる。
【0044】
また、修理票の回付ルートを設定し、回付ルートに従った経路で承認を受けたうえで修理票を設計部門に回付できる。このため、紙ベースの修理票を用いた場合と同様、社内の管理体制に沿った形態での修理業務への適応が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態である修理票管理システムの全体構成図である。
【図2】修理票種別「一般」について修理票データベースに格納された修理票データのデータ項目を示す図である。
【図3】修理票種別「接地」について修理票データベースに格納された修理票データの構成例を示す図である。
【図4】修理票種別「防護管」について修理票データベースに格納された修理票データの構成例を示す図である。
【図5】修理票種別「木柱」について修理票データベースに格納された修理票データの構成例を示す図である。
【図6】画像情報データベースのデータ構成例を示す図である。
【図7】工程管理データベースのデータ構成例を示す図である。
【図8】利用者情報データベースのデータ構成例を示す図である。
【図9】修理票管理サーバの主要機能部を示す機能ブロック図である。
【図10】本実施形態において利用者端末から修理票管理サーバにアクセスして修理票の発行や照会を行う場合の処理の流れの概要を示す図である。
【図11】修理票一覧画面の一例を示す図である。
【図12】修理票種別「一般」についての修理票画面の一例を示す図(その1)である。
【図13】修理票種別「一般」についての修理票画面の一例を示す図(その2)である。
【図14】修理票種別「一般」についての修理票画面の一例を示す図(その3)である。
【図15】修理票種別「接地」についての修理票画面の一例を示す図(その1)である。
【図16】修理票種別「接地」についての修理票画面の一例を示す図(その2)である。
【図17】修理票種別「防護管」についての修理票画面の一例を示す図(その1)である。
【図18】修理票種別「防護管」についての修理票画面の一例を示す図(その2)である。
【図19】修理票種別「防護管」についての修理票画面の一例を示す図(その3)である。
【図20】修理票種別「防護管」についての修理票画面の一例を示す図(その4)である。
【図21】修理票種別「木柱」についての修理票画面の一例を示す図(その1)である。
【図22】修理票種別「木柱」についての修理票画面の一例を示す図(その2)である。
【図23】修理票の承認操作に係わる処理の流れの概要を示す図である。
【図24】修理票承認対象一覧画面の一例を示す図である。
【図25】回付ルート設定画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
10 修理票管理サーバ
12 修理票データベース
14 画像情報データベース
16 工程管理データベース
18 利用者情報データベース
20 携帯端末
22 コンピュータ端末
30 利用者端末
40 接地データ管理システム
42 設計管理システム
50 データ受信部
52 修理票照会部
54 承認受付部
56 承認記録部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力会社等において電力設備の不良を修理するために発行される修理票を管理するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社は、電柱や電線を含んだ膨大な数の配電設備を有しており、各配電設備に不良箇所が生じた場合には修理工事をすることが必要である。従来、電力会社における配電設備の不良箇所の修理業務は例えば次のような手順で行われている。すなわち、配電設備の不良箇所を点検すべく巡視点検を行い、不良箇所を発見した場合、巡視点検担当者がその不良内容を書き留めて社内運用部門へ連絡する。電力会社の運用部門担当者は、巡視点検担当者から不良の通知を受けると、その不良内容を記載した修理票を発行し、運用部門責任者が修理の必要性を判断したうえで修理票を承認する。承認された修理票は設計部門に回付され、設計部門担当者が修理票に基づいて設計書を作成する。設計書は、設計部門責任者の承認を受けたうえで、工事部門に回付され、設計書に基づいて修理工事が行われる。なお、このような修理票を管理するためのシステムに関連する先行文献について本出願人が知得しているものは本出願時点で存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、修理票の発行は、運用部門担当者が巡視点検担当者から通知された不良内容を伝票に書き写すことにより行っているため、業務効率が悪い。しかも、膨大な数の配電設備が膨大な数が存在するため不良の発生件数も相当数にのぼり、多数の修理票が発行されることになって修理票の発行に多大な時間を要してしまう。また、配電設備の不良が発見される都度、個別に修理票が発行されるため、修理票の一覧性が悪く、どの異常を優先して修理すべきか、優先度を管理することも難しい。さらに、紙ベースの修理票では紛失のおそれがあるうえ、修理票に係わる情報の共有が難しいため二重発行のおそれもある。このように、従来の修理票を用いた配電設備修理に係わる業務は必ずしも効率的とはいえなかった。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、配電設備等の不良箇所の修理内容を記載した修理票をシステム上で管理することにより、配電設備の修理業務を効率的に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、利用者の端末とネットワーク経由で接続されたコンピュータシステムにより構成され、配電設備の不良箇所及びその不良内容を示す修理票を管理するための修理票管理システムであって、
アクセスしてきた利用者の端末から、配電設備の不良箇所及びその不良内容を表すデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部が受信したデータを修理票データとして格納するための修理票データベースと、
アクセスしてきた利用者の端末からの照会要求に応じて、前記修理票データベースに格納された修理票データを当該利用者の端末へ送信する修理票照会部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この修理票管理システムは、各修理票について承認順序及び承認の進捗状況を表す工程管理情報が記憶される工程管理データベースと、
アクセスしてきた利用者の端末からの承認要求に応じて、前記工程管理データベースから当該利用者が承認すべき修理票を抽出して当該利用者の端末へ送信し、当該利用者の端末から承認操作を受け付ける承認受付部と、
前記承認受付部が受け付けた承認操作に基づいて、前記工程管理データベースに記憶された工程管理情報を更新する承認記録部と、を更に備えてもよい。
【0007】
また、前記修理票データは、修理対象機器の種別に応じて分類されており、前記種別に応じたデータ項目を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、配電設備等の不良箇所の修理内容を記載した修理票をシステム上で管理することにより、配電設備の修理業務を効率的に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態の修理票管理システムについて説明する。本実施形態では、電力会社が有する配電設備の巡視点検担当者が設備の不良を発見した場合に、携帯端末から修理票管理システムにアクセスして不良内容を記した修理票をシステム上で発行する。発行された修理票は、運用部門の責任者や、工事設計部門の担当者・責任者、及び、工事会社が閲覧可能であり、業務フローに従って各部門での承認を経て、修理工事が実施される。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態である修理票管理システムの全体構成図である。本実施形態の修理票管理システムは、修理票管理サーバ10を含んで構成されている。修理票管理サーバ10は、CPU、メモリ、記憶装置、通信インターフェース等を備えるコンピュータシステムにより構成されており、図1に示す如く、修理票データベース12、画像情報データベース14、工程管理データベース16、及び利用者情報データベース18の各データベースを備えている。
【0011】
また、図1に示すように、修理票管理サーバ10には、配電設備の巡視点検担当者が所持する携帯電話機やPDAなどの携帯端末20や、運用部門、管理部門、設計部門等の各部門の担当者や責任者が操作するコンピュータ端末22が無線あるいは有線のネットワーク経由で接続されている。巡視点検担当者は、電柱や電線等の配電設備の巡視点検時に不良箇所を発見すると、所持する携帯端末20から修理票管理サーバ10へアクセスして不良内容等を入力して修理票を作成することができる。また、運用部門の担当者も、例えば一般利用者からの通報等により配電設備の不良箇所を把握した場合に、同様に、コンピュータ端末22から修理票管理サーバ10へアクセスして修理票を作成することができる。こうして作成された修理票のデータは修理票データベース12に格納される。さらに、運用部門の責任者や、管理部門・設計部門・工事部門の担当者や責任者はそのコンピュータ端末22から修理票管理サーバ10へアクセスして作成された修理表の閲覧や承認を行なうことができる。本出願では、上記のように修理票管理サーバ10へアクセスして修理票の作成、閲覧、承認等を行う各担当者や責任者を総称して利用者といい、また、携帯端末20とコンピュータ端末22とを総称して利用者端末30という。
【0012】
なお、修理票管理サーバ10には、各配電設備の接地抵抗を管理する接地データ管理システム40及び修理票に基づく工事設計業務を管理する設計管理システム42が接続されており、後述するように、修理票管理サーバ10はこれらのシステム40,42と連係して動作することができる。
【0013】
修理票データベース12には、作成された各修理票を表すデータ(以下、修理票データという)が格納される。本実施形態では、修理票を「一般」、「接地」、「防護管」、「木柱」等の種別に分類して管理している。
【0014】
図2〜図5は、夫々、上記種別「一般」、「接地」、「防護管」、「木柱」について修理票データベース12に格納された修理票データの構成例を示す。図2〜図5に示すように、修理票データベース12に格納された修理票データは、事業場コード、修理票種別コード、発行者コード、発行年月日、一連番号、重要度、緩急度等の全種別に共通のデータ項目と、種別毎に設定されたデータ項目とが含まれている。ここで、一連番号は、発行事業場コード、修理票種別コード、発行者コード、及び、発行年月日が同じ修理票を区別するための番号である。すなわち、発行者コード、発行年月日、及び、一連番号により各修理票を識別することができ、これらを並べた番号を修理票番号として用いるものとする。
【0015】
画像情報データベース14には、各修理票に関連して、不良箇所の写真や地図等の画像が格納される。図6は、画像情報データベース14に記録されたデータの構成例を示す。同図に示すように、画像情報データベース14には、各修理票の修理票番号(発行者コード、発行年月日、一連番号)に関係付けて、画像ID及び画像ファイル名等が記録されている。一つの修理票について複数の画像データが登録される場合もあり、その場合は、各画像データに対応した複数の画像ID及び画像ファイル名が記録される。また、画像データ自体は別途、不図示の画像データベースに登録される。
【0016】
工程管理データベース16には、作成された各修理票について、運用部門及び設計部門の承認等を経て工事が発注されるまでのワークフローに関するデータが記録される。図7は、工程管理データベース16に記録されたデータの構成例を示す。同図に示すように、工程管理データベース16には、各修理票の修理票番号に関係付けて、運用部門での修理票の受付日・受付者・承認者・承認日、否決された場合の否決者・否決日・否決理由、設計部門の設計者・設計書番号・設計完了日・設計承認日・設計承認者・設計書交付日・交付者、工事完了日、作業責任者、工事完了承認日、工事完了承認者等が記録される。このうち、設計に関わる項目は、本システムに接続された設計管理システム42からデータが受信されて工程管理データベース16に格納されるようになっている。
【0017】
図8は、利用者情報データベース18に格納されたデータの構成例を示す。同図に示すように、利用者情報データベース18には、本システムを利用する各利用者について、氏名、利用者コード、パスワード、所属部門コード、事業所コード、職位コード(例えば、担当、副長、課長など)等が記録されている。
【0018】
図9は、修理票管理サーバ10の主要機能部を示す機能ブロック図である。同図に示すように、修理票管理サーバ10は、データ受信部50、修理票照会部52、承認受付部54、及び承認記録部56の各機能部を備えている。これらの機能部は、修理票管理サーバ10を構成するコンピュータがプログラムを実行することにより実現される。
【0019】
データ受信部50は、修理票管理サーバ10にアクセスしてきた利用者端末30から配電設備の不良箇所及びその不良内容を表すデータを受信する。データ受信部50が受信したデータは修理票データとして修理票データベース12に格納される。
【0020】
修理票照会部52は、修理票管理サーバ10にアクセスしてきた利用者端末30からの照会要求に応じて、修理票データベース12に格納された修理票データを当該利用者端末30へ送信する。
【0021】
承認受付部54は、利用者端末30からの承認要求に応じて当該利用者が承認すべき修理票を工程管理データベース16から抽出して当該利用者の端末へ送信し、当該利用者端末30から承認操作を受け付ける。また、承認記録部56は、承認受付部54が受け付けた承認操作に基づいて、工程管理データベース16に記憶された工程管理情報を更新する。
【0022】
以下、本実施形態における処理の内容について説明する。先ず、利用者端末30から修理票の発行や照会を行う場合の処理について説明する。
【0023】
図10は、本実施形態において利用者端末30から修理票管理サーバ10にアクセスして修理票の発行や照会を行う場合の処理の流れの概要を示す。
【0024】
同図に示すように、巡視点検中に不良箇所を発見して修理票を発行しようとする巡視点検担当者、あるいは、一般利用者から不良箇所の通報を受けて修理票を発行しようとする運用部門担当者は、利用者端末30から修理票管理サーバ10にアクセスする(S100)。これに応じて、修理票管理サーバ10は利用者コード及びパスワードの入力欄を含んだログイン画面を当該利用者端末へ送信する(S102)。このログイン画面で入力された利用者コード及びパスワードは修理票管理サーバ10へ送信され(S104)、修理票管理サーバ10は、それらを利用者情報データベース18に格納された利用者コード及びパスワードと照合することにより利用者認証を行う(S106)。そして、正しく認証できた場合に、ログインを許可し、当該利用者端末30へメインメニュー画面の画面データを送信する(S108)。メインメニュー画面には、修理票作成・照会メニュー及び修理票承認メニューが含まれている。この画面で修理票作成・照会メニューが選択されると(S110)、修理票管理サーバ10は、図11に示すような修理表一覧画面を当該利用者端末30へ送信する(S112)。
【0025】
図11に示す如く、修理票一覧画面には、検索条件入力欄500、検索ボタン502、一覧表示欄504、作成ボタン506、修理票詳細ボタン508などが含まれている。検索条件入力欄500では、作成済みの修理票を検索するための検索条件が、種別、線路名、重要度、緩急度等の項目毎に設定できるようになっている。検索ボタン502がクリックされると(S114)、検索条件入力欄500で設定された検索条件が修理票管理サーバ10へ送信される(S116)。修理票管理サーバ10は修理票データベース12を参照して、その検索条件に該当する修理票データを検索し(S118)、利用者端末30へ送信し(S120)、一覧表示欄504に表示させる。
【0026】
また、一覧表示欄504において何れかの修理票が選択された状態で修理票詳細ボタン508がクリックされると(S122)、その修理票についての照会要求が修理票管理サーバ10へ送信される(S123)。修理票管理サーバ10の修理票照会部52はこの商会要求を受信すると、要求された修理票データを修理票データベース12から読み出してそれを表示する修理票画面を生成し(S124)、当該利用者端末30へ送信する(S126)。
【0027】
一方、新たに修理票を作成する場合には、担当者は、作成する修理票の種別を検索条件入力欄500の種別欄で指定したうえで、作成ボタン506をクリックする(S128)。作成ボタン506がクリックされると、指定された種別の修理票の作成要求が修理票管理サーバ10へ送信される(S129)。これに応じて、修理票管理サーバ10は、該当する修理票種別の修理票を作成するための修理票画面を生成して(S130)当該利用者端末30へ送信する(S131)。
【0028】
図12は、修理票種別「一般」についての修理票画面の一例を示す。なお、図12及び以下に示す各修理票画面は、上記S126で送信される修理票画面と同じ体裁を有している。すなわち、修理票照会の場合の修理票画面は、該当する修理票データが各欄に表示された状態で利用者端末30へ送信され、一方、修理票作成の場合の修理票画面は、各欄が空欄の状態で利用者端末30へ送信されることになる。
【0029】
図12に示すように、修理票画面には、各種項目の入力欄が含まれている。このうち、作業区分については「作業区分」ボタン510をクリックすることにより図13に示すようにサブウインドウ520が開いて作業区分を選択肢の中から選択できる。また、修理対象となる設備の品名規格については「入力」ボタン512をクリックすることにより、図14に示すように、サブウインドウ522が開いて、品名規格や取付数量、再用数量、撤去数量を入力できる。また、「線路名検索」ボタン514をクリックすることにより線路名の検索ウインドウが開いて、この画面上で線路名を検索して入力することができる。なお、「画像」ボタン516は修理票を照会する画面の場合に機能し、このボタン516がクリックされると、修理票管理サーバ10は、当該修理票について登録済みの画像情報を画像情報データベース14から取得し、それらを一覧表示する画面を利用者端末30へ送信する。なお、画像情報の登録は、例えば、携帯端末20から修理票管理サーバ10へ修理票番号と写真画像とを送信し、修理票管理サーバ10にてその写真画像にファイル名を付けて保存すると共に、修理票番号と画像のファイル名とを関連付けて画像情報データベース14に格納することにより行われる。
【0030】
図15は、修理票種別「接地」についての修理票画面の一例を示す。種別「接地」についての修理票は、適時実施される接地抵抗測定の結果、接地不良箇所が発見された場合に作成される。図15に示すように、修理票種別「接地」については、登録済みの種別「接地」の修理票データを一覧表示する一覧領域530や、「入力」ボタン532が設けられている。「入力」ボタン532がクリックされると、図16に示すような詳細入力ウインドウ534が開き、この画面で機器種別、支持種別、設置工事種別等の詳細項目を入力することができる。なお、上述のように、修理票管理サーバ10には、接地抵抗測定結果を管理する接地データ管理システム40が接続されており、この接地データ管理システム40から該当する線路について接地抵抗が不良であるデータを取り込んで詳細入力ウインドウに自動入力させるようにすることもできる。
【0031】
図17は、修理票種別「防護管」についての修理票画面の一例を示す。防護管は、配電設備の工事を行う際に、作業員が電線に誤って触れないよう、目印として電線を覆うように取り付けられるものである。工事終了後に防護管を取り付けたままになり易いため、防護管を取り付けた際に「防護管」についての修理票を作成して、防護管の取り付け状態を管理している。
【0032】
図17に示すように、「防護管」についての修理票画面には、「支障理由」ボタン540、「取付数量入力」ボタン542、「その他情報」ボタン544等の操作ボタンが含まれている。「支障理由」ボタン540がクリックされると、図18に示すようにウインドウ546が開き、支障理由を選択入力することができる。「取付数量入力」ボタン542がクリックされると、図19に示すようにウインドウ548が開き、防護管の種別毎に取付数量を入力することができる。また、「その他情報」ボタン544がクリックされると、図20に示すようにウインドウ550が開き、防護管の取付依頼者等の取付情報と、防護管の撤去了解日や了解者等の撤去情報を入力することができる。
【0033】
図21は、修理票種別「木柱」についての修理票画面の一例を示す。同図に示すように、この修理票画面には「入力」ボタン560が含まれており、このボタンがクリックされると、図22に示すようにウインドウ562が開いて、対象となる木柱について設備区分や種別等の詳細情報を入力することができる。
【0034】
以上のような各種別の修理表作成画面に入力欄に入力されて、各ボタンに含まれる「登録」ボタン518がクリックされると(S132)、入力データが修理票管理サーバ10へ送信され(S134)、データ受信部50により受信される。受信されたデータは修理票データとして修理票データベース12に格納される(S136)。
【0035】
また、作成された修理票は、所定の回付ルートでの承認を経て、その修理票に基づく修理工事が行われることとなる。ここで、修理票の承認操作について説明する。
【0036】
図23は、修理票の承認操作に係わる処理の流れの概要を示す。同図に示すように、メインメニュー画面にて修理票承認メニューが選択されると(S150)、利用者端末30から修理票管理サーバ10へ承認要求が送信される(S151)。修理票管理サーバ10の承認受付部54は、この承認要求を受信すると、図24に例示する修理票承認対象一覧画面を生成し(S152)、利用者端末30へ送信する(S154)。
【0037】
図24に示すように、修理票承認対象一覧画面には、ログインした利用者による承認待ちの状態である修理票が一覧表示される。すなわち、承認受付部54は、ログイン時に入力された利用者IDから利用者を識別し、工程管理データベース16を参照して、当該利用者による承認待ちの状態にある修理票、つまり、ワークフローにおいて当該利用者の直前の承認者による承認が済んでいる修理票を抽出し、修理票承認対象一覧画面に一覧表示させる。例えば、上記した図7の工程管理データベース16の例で、当該利用者が運用部門の課長である場合、副長による承認日までが記録された修理票を抽出する。
【0038】
この修理票承認対象一覧画面にて何れかの修理票が選択された状態で「修理票照会」ボタン570がクリックされると(S156)、修理票管理サーバ10の承認受付部54は、選択された修理票のデータを修理票データベース12から読み出して(S158)、利用者端末30へ送信する(S160)。
【0039】
また、修理票承認対象一覧画面にて何れかの修理票が選択された状態で、「直営施工承認」ボタン572、「付託工事承認」ボタン574、又は「緊急施工承認」ボタン576がクリックされると(S162)、修理票管理サーバ10の承認記録部56は、工程管理データベース16に、選択された修理票の承認者として当該利用者の氏名を記録すると共に、その承認日を記録する(S164)。なお、「否決」ボタン578がクリックされた場合、修理票管理サーバ10から利用者端末30へ否決理由を入力するための入力画面が送信され、この画面で入力された否決理由が否決者及び否決日と共に工程管理データベース16に記録される。
【0040】
また、修理票承認対象一覧画面にて何れかの修理票が選択された状態で「回付ルート変更」ボタン578がクリックされると(S166)、修理票管理サーバ10は、図25に例示するような回付ルート設定画面を生成して(S168)利用者端末30へ送信する(S170)。図25に示すように、回付ルート設定画面には、工程管理データベース16に記録された回付ルートが工程毎のブロック600として表示され、各工程について承認者及び承認日が記録されている場合はブロック内にそれら承認者及び承認日が表示される。図25の例では、運用担当受付(2004/3/16 中電太郎)まで工程が進んでいることが示されている。この回付ルート設定画面において、工程ブロック間の「→」ボタン602がクリックされると、新たな工程を追加することができ、また、何れかの工程を選択して「削除」ボタン604をクリックすると、その工程を削除することができる。こうして工程の追加又は削除の操作が行われて、「登録」ボタン606がクリックされると(S172)、それに応じて、修理票管理サーバ10は工程管理データベース16に記録された回付ルートを更新する(S174)。
【0041】
以上のように、各修理票について回付ルートが設定され、その回付ルートに従って、承認操作が行われていく。そして、運用部門での最終的な承認が完了すると、その修理票データは、設計部門へ受け渡され、以後、設計部門において設計書の作成、承認、工事部門への工事指示等の工程管理が行われる。その際、修理票番号をキーとして設計の基となった修理票と関連付けられ、これにより、上記したように、設計部門での工程管理データを工程管理データベース16に取り込むことが可能となっている。
【0042】
以上説明したように、本実施形態のシステムによれば、巡視点検担当者が携帯端末20等の利用者端末30から修理票管理サーバ10にアクセスして修理票をオンラインで作成できるので、従前のように巡視点検結果を修理票に書き写す場合に比べて修理票発行の業務効率が格段に向上する。また、作成された修理票は電子データとしてサーバ上に管理され、関係者は夫々の利用者端末30から修理票を閲覧することができる。このため、利用者間で修理票データを共有することが可能となり、修理票の二重発行等の非効率な事態を防止することができる。
【0043】
また、発行された修理票を、種別や重要度、緩急度、あるいは、地域等により適宜検索して一覧表示できるので、優先度を付けて修理を行うことが容易になると共に、例えば、巡視点検担当者が巡視点検地域付近についての修理票を照会して、ついでに不良状況を確認したり、修理を行ったりすることも可能となる。
【0044】
また、修理票の回付ルートを設定し、回付ルートに従った経路で承認を受けたうえで修理票を設計部門に回付できる。このため、紙ベースの修理票を用いた場合と同様、社内の管理体制に沿った形態での修理業務への適応が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態である修理票管理システムの全体構成図である。
【図2】修理票種別「一般」について修理票データベースに格納された修理票データのデータ項目を示す図である。
【図3】修理票種別「接地」について修理票データベースに格納された修理票データの構成例を示す図である。
【図4】修理票種別「防護管」について修理票データベースに格納された修理票データの構成例を示す図である。
【図5】修理票種別「木柱」について修理票データベースに格納された修理票データの構成例を示す図である。
【図6】画像情報データベースのデータ構成例を示す図である。
【図7】工程管理データベースのデータ構成例を示す図である。
【図8】利用者情報データベースのデータ構成例を示す図である。
【図9】修理票管理サーバの主要機能部を示す機能ブロック図である。
【図10】本実施形態において利用者端末から修理票管理サーバにアクセスして修理票の発行や照会を行う場合の処理の流れの概要を示す図である。
【図11】修理票一覧画面の一例を示す図である。
【図12】修理票種別「一般」についての修理票画面の一例を示す図(その1)である。
【図13】修理票種別「一般」についての修理票画面の一例を示す図(その2)である。
【図14】修理票種別「一般」についての修理票画面の一例を示す図(その3)である。
【図15】修理票種別「接地」についての修理票画面の一例を示す図(その1)である。
【図16】修理票種別「接地」についての修理票画面の一例を示す図(その2)である。
【図17】修理票種別「防護管」についての修理票画面の一例を示す図(その1)である。
【図18】修理票種別「防護管」についての修理票画面の一例を示す図(その2)である。
【図19】修理票種別「防護管」についての修理票画面の一例を示す図(その3)である。
【図20】修理票種別「防護管」についての修理票画面の一例を示す図(その4)である。
【図21】修理票種別「木柱」についての修理票画面の一例を示す図(その1)である。
【図22】修理票種別「木柱」についての修理票画面の一例を示す図(その2)である。
【図23】修理票の承認操作に係わる処理の流れの概要を示す図である。
【図24】修理票承認対象一覧画面の一例を示す図である。
【図25】回付ルート設定画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
10 修理票管理サーバ
12 修理票データベース
14 画像情報データベース
16 工程管理データベース
18 利用者情報データベース
20 携帯端末
22 コンピュータ端末
30 利用者端末
40 接地データ管理システム
42 設計管理システム
50 データ受信部
52 修理票照会部
54 承認受付部
56 承認記録部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の端末とネットワーク経由で接続されたコンピュータシステムにより構成され、配電設備の不良箇所及びその不良内容を示す修理票を管理するための修理票管理システムであって、
アクセスしてきた利用者の端末から、配電設備の不良箇所及びその不良内容を表すデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部が受信したデータを修理票データとして格納するための修理票データベースと、
アクセスしてきた利用者の端末からの照会要求に応じて、前記修理票データベースに格納された修理票データを当該利用者の端末へ送信する修理票照会部と、を備えることを特徴とする修理票管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の修理票管理システムにおいて、
各修理票について承認順序及び承認の進捗状況を表す工程管理情報が記憶される工程管理データベースと、
アクセスしてきた利用者の端末からの承認要求に応じて、前記工程管理データベースから当該利用者が承認すべき修理票を抽出して当該利用者の端末へ送信し、当該利用者の端末から承認操作を受け付ける承認受付部と、
前記承認受付部が受け付けた承認操作に基づいて、前記工程管理データベースに記憶された工程管理情報を更新する承認記録部と、を更に備えることを特徴とする請求項1記載の修理票管理システム。
【請求項3】
前記修理票データは、修理対象機器の種別に応じて分類されており、前記種別に応じたデータ項目を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の修理票管理システム。
【請求項4】
利用者の端末とネットワーク経由で接続されたコンピュータシステムにより、配電設備の不良箇所及びその不良内容を示す修理票を管理するための方法であって、
前記コンピュータシステムが、アクセスしてきた利用者の端末から、配電設備の不良箇所及びその不良内容を表すデータを受信するステップと、
前記コンピュータシステムが、前記受信したデータを修理票データとして修理票データベースに格納するステップと、
前記コンピュータシステムが、アクセスしてきた利用者の端末からの照会要求に応じて、前記修理票データベースに格納された修理票データを当該利用者の端末へ送信するステップと、を備えることを特徴とする修理票管理方法。
【請求項5】
請求項4記載の修理票管理方法において、
前記コンピュータシステムが、アクセスしてきた利用者の端末からの承認要求に応じて、各修理票について承認順序及び承認の進捗状況を表す工程管理情報が格納された工程管理データベースから、当該利用者が承認すべき修理票を抽出して当該利用者の端末へ送信し、当該利用者の端末から承認操作を受け付けるステップと、
前記承認受付部が受け付けた承認操作に基づいて、前記工程管理データベースに記憶された工程管理情報を更新するステップと、を備えることを特徴とする方法。
【請求項1】
利用者の端末とネットワーク経由で接続されたコンピュータシステムにより構成され、配電設備の不良箇所及びその不良内容を示す修理票を管理するための修理票管理システムであって、
アクセスしてきた利用者の端末から、配電設備の不良箇所及びその不良内容を表すデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部が受信したデータを修理票データとして格納するための修理票データベースと、
アクセスしてきた利用者の端末からの照会要求に応じて、前記修理票データベースに格納された修理票データを当該利用者の端末へ送信する修理票照会部と、を備えることを特徴とする修理票管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の修理票管理システムにおいて、
各修理票について承認順序及び承認の進捗状況を表す工程管理情報が記憶される工程管理データベースと、
アクセスしてきた利用者の端末からの承認要求に応じて、前記工程管理データベースから当該利用者が承認すべき修理票を抽出して当該利用者の端末へ送信し、当該利用者の端末から承認操作を受け付ける承認受付部と、
前記承認受付部が受け付けた承認操作に基づいて、前記工程管理データベースに記憶された工程管理情報を更新する承認記録部と、を更に備えることを特徴とする請求項1記載の修理票管理システム。
【請求項3】
前記修理票データは、修理対象機器の種別に応じて分類されており、前記種別に応じたデータ項目を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の修理票管理システム。
【請求項4】
利用者の端末とネットワーク経由で接続されたコンピュータシステムにより、配電設備の不良箇所及びその不良内容を示す修理票を管理するための方法であって、
前記コンピュータシステムが、アクセスしてきた利用者の端末から、配電設備の不良箇所及びその不良内容を表すデータを受信するステップと、
前記コンピュータシステムが、前記受信したデータを修理票データとして修理票データベースに格納するステップと、
前記コンピュータシステムが、アクセスしてきた利用者の端末からの照会要求に応じて、前記修理票データベースに格納された修理票データを当該利用者の端末へ送信するステップと、を備えることを特徴とする修理票管理方法。
【請求項5】
請求項4記載の修理票管理方法において、
前記コンピュータシステムが、アクセスしてきた利用者の端末からの承認要求に応じて、各修理票について承認順序及び承認の進捗状況を表す工程管理情報が格納された工程管理データベースから、当該利用者が承認すべき修理票を抽出して当該利用者の端末へ送信し、当該利用者の端末から承認操作を受け付けるステップと、
前記承認受付部が受け付けた承認操作に基づいて、前記工程管理データベースに記憶された工程管理情報を更新するステップと、を備えることを特徴とする方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図23】
【図1】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図24】
【図25】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図23】
【図1】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2006−40157(P2006−40157A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222197(P2004−222197)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
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