説明

倉庫作業計画立案支援装置

【課題】製造業の物流分野や運輸業において製品倉庫から船積み出荷をする際の、倉庫作業の計画立案の支援を行なうことができる、倉庫作業計画立案支援装置を提供することを課題とする。
【解決手段】操業条件・実績を入力する条件入力手段と、製品情報データベースと、車両運搬計画データベースと、進捗状況データを記憶した進捗状況データベースと、作業の先行関係生成ルールデータを記憶した作業シミュレーション用マスタデータベースと、製品情報と車両運搬計画データと操業進捗状況データと操業条件・実績とに基づいて、倉庫作業計画の作成及びシミュレーションを行なう倉庫作業計画作成・シミュレーション手段と、倉庫作業計画及びシミュレーション結果とともに、結果に対する可否・計画の変更要否の入力を促す結果表示手段と、作成された倉庫作業計画の変更を行なう計画変更手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造業の物流分野や運輸業において製品倉庫から船積み出荷をする際の、倉庫作業の計画立案の支援を行なう、倉庫作業計画立案支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製造業や運輸業では、しばしば運搬船によって製品の出荷を行う。そして、運搬船一隻に積載できる荷物量は、一般的には運搬車両と比較して大きいので、船一隻分の製品を荷揃えするために船積みバース近くに製品倉庫を設置することが多い。
【0003】
図3は、製品倉庫の概要の一例を示す図である。図中、11は製品倉庫、12は製品、13は運搬用車両、14は車両搬入間口、15は棟間移動用台車、16は倉庫クレーン、17は船積みバース、18は船積みクレーン、および19は運搬船をそれぞれ表す。
【0004】
工場で完成した製品12は運搬用車両13を用いて、製品倉庫11に搬送される。製品倉庫11には車両搬入用の車両搬入間口14が設置されており、製品入庫時にはこの車両搬入間口14が使用される。製品倉庫内には(運搬船ではなく)トラックで出荷される製品も入っているが、それら製品の出庫時にも前記車両搬入間口14が使用される。
【0005】
また、製品倉庫11は複数棟で構成されており、製品倉庫11には棟間の製品移動のための棟間移動用台車15が設置されている。その積み下しは、各棟内移動のための倉庫クレーン16にて行われる。倉庫前のバースで船積みされる製品は、倉庫クレーン16を使って直接船積みバース17へ出し、倉庫から遠いバースで船積みされる製品は、運搬用車両13に積載して対象バースまで運搬される。船積みバース17から運搬船19への製品12の移動は、船積みクレーン18を使用して行なわれる。
【0006】
製品倉庫11には、品種や向け先が異なる製品12が混在して置かれている。通常、一隻の運搬船で同時に運ぶ荷物には、以下のような満たすべき条件がある。
・ 向け先が同じ
・ 品種が同じ船に積み合わせ可能
【0007】
上記に示す条件や納期等に基づいて、船に積み込む荷物が決定する。船に積み込む荷物は、船積み作業開始の何時間も前に決めておくのが一般的である。また、船の形状や他に積み込まれる製品のサイズ等によって、製品を船積みする順番には制約がある。船に積み込む荷物が決定された後、倉庫作業計画(配替、出荷製品の搬出、トラック出荷、製品入庫などの作業順及びタイミングの計画)、バース計画(製品をどのバースでどの時間帯に積み込むかの計画)に従って、作業が実行される。しかしながら、一般に製品出荷作業には外乱が多く、計画を立ててもその通りに実行できないことが多い。
【0008】
上記外乱としては、例えば、次のようなものがある。
・ 製造計画の変更
・ 悪天候(船積みの中断、遅延)
・ 各種作業時間の変動(作業する人によって作業時間が変動する)
【0009】
これら外乱に対処するために、例えば、特許文献1に開示された技術がある。この技術では、スケジューリングした出荷計画と実出荷作業のズレが大きくなった場合に、出荷計画を続けることにより岸壁(バース)の荷切れを起こす時刻を推定し、荷切れ発生予想製品の作業の優先順位を上げて前に割り込ませて荷切れを防ぐようにしている。
【特許文献1】特開平11−236105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された技術には、荷切れ製品の作業を前に割り込ませることにより生ずる、他の作業に与える影響について考慮されていない。すなわち、倉庫のクレーン作業には、具体的に次のような種々の作業があり、作業を割り込ませることが他の作業に与える影響は多岐にわたる。
・出荷製品の岸壁(バース)への出庫
・入庫製品の運搬車からの荷下し
・出荷製品の運搬用車両への積載(遠いバースへの運搬)
・出荷製品のトラックへの積載(客先まで陸送する製品)
・棟間台車への製品の積み下し
【0011】
そして、他の作業に与える影響の例としては、次に示すものなどを挙げることができる。
・棟間移動の遅れによる出庫遅れ(結果的に荷切れ発生原因を引きおこす)
・入庫作業の遅れ(間口を長時間占有する)
・トラック出荷への影響(納期遅れ発生)
【0012】
上記影響の内、どれを優先して解消するように計画作成を行なうかは、対象または時期といった状況により種々変化するものであり、計画の早い時期には一義的には決めかねるものである。また、一般的に、全ての状況を計算機に入力して計画作成することは、実際上も困難である。
【0013】
本発明は、これら従来技術の問題点に鑑み、製造業の物流分野や運輸業において製品倉庫から船積み出荷をする際の、倉庫作業の計画立案の支援を行なうことができる、倉庫作業計画立案支援装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1に係る発明は、倉庫の製品を船積み出荷する場合の、倉庫作業の計画立案を支援する倉庫作業計画立案支援装置であって、操業条件及び操業実績を入力する条件入力手段と、出荷製品・入庫製品などの製品情報を記憶した製品情報データベースと、工場から倉庫に製品を運搬する車両運搬計画データを記憶した車両運搬計画データベースと、現状の操業進捗状況データを記憶した進捗状況データベースと、作業の先行関係生成ルールデータを記憶した作業シミュレーション用マスタデータベースと、前記製品情報データベースに記憶された製品情報と、前記車両運搬計画データベースに記憶された車両運搬計画データと、前記進捗状況データベースに記憶された操業進捗状況データと、作業シミュレーション用マスタデータベースに記憶された作業の先行関係生成ルールデータを入力し、それらデータと条件入力手段に入力された操業条件及び操業実績とに基づいて、倉庫作業計画の作成及びシミュレーションを行なう倉庫作業計画作成・シミュレーション手段と、前記倉庫作業計画及びシミュレーション結果を表示するとともに、その結果に対する可否および計画の変更要否の入力を促す表示をする結果表示手段と、前記倉庫作業計画作成・シミュレーション手段で作成された倉庫作業計画の変更を行なう計画変更手段とを備えることを特徴とする倉庫作業計画立案支援装置である。
【0015】
また本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の倉庫作業計画立案支援装置において、前記計画変更手段は、製品の搬出順、製品の搬出時刻、運搬車両の到着時刻、車両搬入出ロット構成、倉庫作業順の内1又は複数を変更する機能を有することを特徴とする倉庫作業計画立案支援装置である。
【0016】
さらに本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の倉庫作業計画立案支援装置において、前記結果表示手段は、各設備の稼働状況、バース及び倉庫内在庫の時間変化情報、搬出調整を実施前、実施後の効率指標値、作業の先行関係情報の内1又は複数を表示することを特徴とする倉庫作業計画立案支援装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、製品の倉庫作業において外乱が発生して計画を変更する必要が生じた際に、バースの搬出計画変更による影響を、シミュレーションし結果表示するようにしたので、様々な要因を考慮した上で的確な計画変更を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明に係る倉庫作業計画立案支援装置の構成例を示す図である。さらに、図2は、倉庫作業計画立案支援装置を用いた倉庫作業計画立案の処理手順例を示す図である。図中、1は条件入力部、2は倉庫作業計画・シミュレーション部、3は計画変更部、および4は結果表示部をそれぞれ表す。
【0019】
ここの説明では、24時間毎に倉庫作業計画が作成され、それを操業実績にあわせて適宜に修正するという2段階の運用が行われている例とする。
【0020】
24時間毎の作業計画を作成する場合には、まず計画作成者は、条件入力部1から設備稼働・休止状況や作業人員配置などの操業条件を入力する(Step10)。それらの情報は、倉庫作業計画・シミュレーション部2に送信される。
【0021】
倉庫作業計画・シミュレーション部2では、出荷製品・入庫製品などの製品情報(品種、サイズなど)を製品情報DBから、また工場から倉庫に製品を運搬する車両運搬計画データ(倉庫への搬入時刻、搬出時刻など)を車両運搬計画DBから取得し、計画対象期間(例えば、現在から24時間先までの)の倉庫作業の計画を作成する。他に作業計画作成に必要な情報としては、現状の操業進捗状況(工場の製造進捗や倉庫での作業進捗)があり、これは進捗状況DBから取得する。なお、進捗状況DBに保存されている情報は、各物流設備を管理する物流設備管理部によって時々刻々更新されている。
【0022】
ここで、倉庫作業計画作成とは、倉庫作業における種々の作業の順番を決める処理(Step11)であり、次のStep12のシミュレーション実行により、Step11の順番を維持しつつ、作業の先行関係条件を満たす様に個々の作業を具体的な時刻に割り付けていく。なお、作業シミュレーション用マスタDBには作業の先行関係生成ルールが含まれており、これからクレーン作業が満たすべき条件が生成される。
【0023】
このようにしてStep12で作成された時刻が割り付けられた計画は、結果表示部4に出力される(Step13)。計画作成者は、表示出力された計画をチェックし、計画に問題(例えば、待ち時間などのロス時間が多い)があるかどうかを判断する(Step14)。問題がない、すなわち、計画変更が必要でなければ、計画を決定して終了とする。
【0024】
もし、問題があれば、計画変更作業として、製品の搬出順、製品の搬出時刻、運搬車両の到着時刻、車両搬入出ロット構成、倉庫作業順を変更して新しい計画を作成(Step15)する。作業の順番を全て決めなおす必要があれば(Step16のNo)、作業計画を作成しなおすためにStep11に戻り、変更した作業の順番を維持し作業時刻を割り付けるのであれば(Step16のNo)、Step12に戻り新しい計画のシミュレーションを実行するという繰り返しの処理を、変更が必要なくなるまで行う。以上により、まず作業計画が作成される。
【0025】
しかしながら、24時間毎に作成された計画も、外乱などによってズレが生じて効率的ではなくなってくるため、適宜計画を変更する必要がある。ここでは、例えば、6時間毎の定期的に、または作業計画と操業実績とが大きくずれてきたと判断した場合に、作業計画を操業実績に合わせて、変更を行う。
まず進捗管理者(作業計画の進捗管理をし、計画を見直す担当者)は、現在の計画のまま作業を続けるとどのようになるのかを調べるため、上述のStep10〜Step16の処理と同様の手順の処理を行う。
【0026】
以下には、作業計画作成及び作業計画変更の処理において、計画変更が必要になった場合の処理手順について説明する。
【0027】
Step13の出力結果の、例えば船積みクレーン作業の計画から、バースにおいて荷切れが発生する表示があり、操作者(計画作成者または進捗管理者を指す)が計画の変更が必要であると判断したなら(Step14のYES)、荷切れ発生の原因となっている製品の搬出作業を前倒しさせて対策をとる。操作者は、計画変更部3から、製品の搬出順、製品の搬出時刻、運搬車両の到着時刻、車両搬入出ロットの構成などを表示画面上で変更して(Step15)、その変更したデータで倉庫作業シミュレーションを再度実行するように、計画支援装置の入力端末などから、設定入力をする。計画支援装置では、変更された条件にしたがって、作業計画作成・シミュレーション部で作業計画作成(Step11)、シミュレーション(Step12)を実行し、結果表示部で結果を表示する(Step13)。これらの処理を、操作者が計画変更不要と判断されるまで、繰り返す。
【0028】
結果表示部4では、ガントチャート、設備負荷(間口、台車、クレーン)、在庫時刻推移情報(バース、倉庫内)、搬出調整の実施前後の効率指標、アラームメッセージ、作業の先行関係情報などの情報を表示する。これによって、操作者に、特定の搬出作業の前倒しの可能性や前倒しによる他の作業への影響を明確に把握させることができる。このようにして、操作者は、前倒しの条件を様々に変えながら最適な計画を選択していく(Step14)。
【0029】
次に、クレーン作業項目を抽出し、それら作業項目の先行関係の生成手順(Step12の処理)について具体的に説明する。製品が入庫してから船積みされるまでに、その製品に対して様々の作業が行われる。
【0030】
製品に対して行われる一連の作業の例としては、以下のものがある。なお、本発明では、(1)〜(5)を倉庫作業とし、その計画を倉庫作業計画と呼ぶ。
(1)製品の入庫作業(車両→倉庫内):倉庫クレーン作業
(2)棟間移動台車への積み作業(倉庫内→台車上):倉庫クレーン作業
(3)棟間移動台車による棟間移動(棟→棟):棟間移動台車作業
(4)棟間移動台車からの下し作業(台車上→倉庫内):倉庫クレーン作業
(5)バースへの製品搬出作業(倉庫内→バース):倉庫クレーン作業
(6)船積み作業(バース→船内):船積みクレーン作業
【0031】
そして、上記作業間には、(1)→(2)→(3)→(4)→(5)→(6)の先行(順序)関係の順とする制約があるので、倉庫作業の計画を立てる場合には、この先行関係に違反しないようにする必要がある。そのために、倉庫作業計画・シミュレーション部2でのシミュレーション実行時(Step12)には、作業シミュレーション用マスタDBに保存される先行関係生成ルールを参照して、作業の先行関係を作成する。
【0032】
シミュレーション実行時の先行関係生成のための入力データには、2種類のデータがある。図4は、出荷製品データの例を示す図である。また、図5は、車両入出庫作業データの例を示す図である。
【0033】
図4に示す出荷製品データは、製品情報DB内の情報で、既に出荷が決まった製品に関する情報がまとめられている。また、図5に示す車両入出庫作業データは、車両運搬計画DB内の情報であり、運搬車両により倉庫に入出庫する製品の情報が保存されている。
【0034】
例えば、図4中の最初のレコード(1行目)にデータが保存されている「製品AB0001」は、計画作成段階では、熱延工場の製品ヤードに置かれている([保管場所:熱延ヤード])。したがって、これを運搬車両で製品倉庫まで運搬する必要がある。また図5中のレコードから、AB0001は、他の製品PPPP02及びQQQQ03と一緒にロットL00015にまとめられて入庫させられることが分かる([ロットID:L00015])。入庫される倉庫は3棟([棟ID:3])であるが、出庫場所は図4より1棟前バースであることが分かるので棟間台車による移動が必要になる。
【0035】
従って、製品に対して行われる一連の作業の例として前述した6つの作業を、AB0001(製品ID)を出荷するまでに必要な作業として具体的に書き出すと、次の6作業になる(先行関係:(1)→(2)→(3)→(4)→(5)→(6))。
(1)3棟への入庫
(2)3棟での棟間台車への積み作業
(3)3棟→1棟の棟間移動
(4)1棟での棟間台車からの下し作業
(5)1棟でのバースへの搬出作業
(6)船積み作業
【0036】
図6は、作業項目を抽出した結果の一部を示す図である。このクレーン作業リストでは、製品移動のFrom-To情報の他に、必要な移動時間、先行する作業、及び先行作業との時間間隔をデータとして保持している。「先行作業との時間間隔」とは、先行作業が完了してから一定時間が経過しないと、対象レコードの作業を開始できないという場合にその時間の長さを表示したものである。
【0037】
図6の例では、棟間台車に製品AB0001を積んで(通しNo.2)から棟間台車から製品AB0001を下す(通しNo.3)までの間に棟間台車の移動にかかる時間を、通しNo.3の「先行作業との最短時間間隔」で設定している。図6の「作業時間」及び「先行作業との最短時間間隔」情報は、作業シミュレーション用マスタDBを参照して設定される。
【0038】
続いて、Step15の計画変更部での処理について説明する。図7は、シミュレーション実行後に、結果表示部によって、最初に表示される画面例を示す図である。画面には、荷待ちを判定するための船積み作業、及び、関連する倉庫作業(図7では、[1棟クレーン]を表示)、車両搬入間口占有状況(図7では、[1棟間口]を表示)などのガントチャートを表示する。
【0039】
図8は、図7の船積み作業と、それに関連する倉庫作業のガントチャートの一部を拡大して示した図である。図8において、製品AB0001の船積みクレーン作業が遅れているために、荷待ち時間が発生していることを認識できる。そこで、遅れている原因を探すために、『先行関係表示』ボタンをクリックして、先行関係表示モードにしたのち、画面上の製品AB0001の船積み作業のブロックの位置にマウス等のカーソルを合わせて、クリックする。それの入力を受け付けると結果表示部は、その選択された製品に関して、倉庫作業計画データから該当製品IDをキーにして、作業データを抽出し、上述の先行関係の順で、その製品に関する作業の先行関係を示すための矢印を表示する。
【0040】
この表示された矢印を遡ることによって、操作者は、倉庫クレーン作業のガントチャートから、バースの搬出が直前に行われているために、これが律速になって、船積み作業をこれ以上早くすることが出来ないことが容易にわかる。
【0041】
そこで、荷待ち時間を短縮できないか、操作者は検討をすることになる。操作者は、図8の倉庫クレーン作業のガントチャートを見ることによって、『バース搬出』の先行作業となる『棟間移動台車下し』との間に、異なる製品PP0001の作業が入っていることから、製品AB0001の『バース搬出』作業を、その先行作業である製品AB0001の『棟間移動台車下し』作業の直後に移動できるとともに、『棟間移動台車下し』の直後に移動させることにより、先行関係を保ったまま製品AB0001の船積み直前の荷待ち時間を0にすることができると判断する。
【0042】
この際、前記移動のためには、製品PP0001の入庫作業及び製品AB0002のバース搬出作業を後ろにずらす必要がある。図8のガントチャートによれば、製品AB0002に対しては、『バース搬出』作業を後ろにずらしても、後続作業(製品AB0002の『船積み荷役』作業)には影響はないことが容易に認識可能である。
【0043】
また、製品PP0001に対しては、『入庫』作業を後ろにずらした場合の影響を、間口の占有状況の表示から判断する。図7の1棟間口のガントチャートを拡大したものを図9に示す。これを見ると、製品PP0001の直後には『トラック出荷(3車両分)作業』が隙間無く連続しているため、製品PP0001の入庫を遅らせると、影響を受けて、これら『トラック出荷』作業が遅れることがわかる。
【0044】
ここで、例えば、トラック出荷作業が遅れても船積み作業の荷待ちを0にすることが優先される場合は、図7の画面の船積みクレーン作業のガントチャート上において、前述の通り製品AB0001の『バース搬出』のブロック(枠)をマウス等の入力装置で、荷待ち時間が0になる位置まで前に移動させる。そして、『計画修正』のボタンをクリックすることにより、再度シミュレーションを実行する。『計画修正』の入力を受け付けると、作業計画作成・シミュレーション部は、その修正した条件で倉庫クレーン作業計画の再計算し、その結果を表示手段に、図7と同様の形式で表示する。
【0045】
その変更した結果を、図10に示す。(a)の船積みクレーン作業のガントチャート(『先行関係表示』モードにした画面例を示している)、船積みの荷待ちは無くなり、一方(b)の1棟間口のガントチャートによれば、間口占有状況からトラック出荷作業は後ろにずれる。このような表示を行うことで、操作者に対して、先行関係を視覚的に確認させて、変更による影響を的確な計画を作成することが容易にできる。
【0046】
この他にも、計画変更による変化を見るために、図7において、『統計結果』ボタンを設けて、結果表示部は、それがクリック入力を受け付けて、シミュレーション毎の、効率指標である各種統計結果(荷待ち時間総計、設備稼働率)、やメッセージ(納期遅れ発生、工場での製品ヤード満杯など)を画面に出力するようにしてもよい。それによって、操作者は、その変更結果を容易に比較可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る倉庫作業計画立案支援装置の構成例を示す図である。
【図2】倉庫作業計画立案支援装置を用いた倉庫作業計画立案の処理手順例を示す図である。
【図3】製品倉庫の概要の一例を示す図である。
【図4】出荷製品データの例を示す図である。
【図5】車両入出庫作業データの例を示す図である。
【図6】作業レコードを生成した結果の一部を示す図である。
【図7】シミュレーション実行後に最初に表示される画面例を示す図である。
【図8】船積み作業と関連する倉庫作業を拡大して示す図である。
【図9】間口の占有状況の画面表示例を示す図である。
【図10】再度シミュレーションを実行して作業の前詰めを行った結果を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 条件入力部
2 倉庫作業計画・シミュレーション部
3 計画変更部
4 結果表示部
11 製品倉庫
12 製品
13 運搬車両
14 車両搬入間口
15 棟間移動用台車
16 倉庫クレーン
17 船積みバース
18 船積みクレーン
19 運搬船

【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫の製品を船積み出荷する場合の、倉庫作業の計画立案を支援する倉庫作業計画立案支援装置であって、
操業条件及び操業実績を入力する条件入力手段と、
出荷製品・入庫製品などの製品情報を記憶した製品情報データベースと、
工場から倉庫に製品を運搬する車両運搬計画データを記憶した車両運搬計画データベースと、
現状の操業進捗状況データを記憶した進捗状況データベースと、
作業の先行関係生成ルールデータを記憶した作業シミュレーション用マスタデータベースと、
前記製品情報データベースに記憶された製品情報と、前記車両運搬計画データベースに記憶された車両運搬計画データと、前記進捗状況データベースに記憶された操業進捗状況データと、作業シミュレーション用マスタデータベースに記憶された作業の先行関係生成ルールデータを入力し、それらデータと条件入力手段に入力された操業条件及び操業実績とに基づいて、倉庫作業計画の作成及びシミュレーションを行なう倉庫作業計画作成・シミュレーション手段と、
前記倉庫作業計画及びシミュレーション結果を表示するとともに、その結果に対する可否および計画の変更要否の入力を促す表示をする結果表示手段と、
前記倉庫作業計画作成・シミュレーション手段で作成された倉庫作業計画の変更を行なう計画変更手段と
を備えることを特徴とする倉庫作業計画立案支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の倉庫作業計画立案支援装置において、
前記計画変更手段は、
製品の搬出順、製品の搬出時刻、運搬車両の到着時刻、車両搬入出ロット構成、倉庫作業順の内1又は複数を変更する機能を有することを特徴とする倉庫作業計画立案支援装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の倉庫作業計画立案支援装置において、
前記結果表示手段は、
各設備の稼働状況、バース及び倉庫内在庫の時間変化情報、搬出調整を実施前、実施後の効率指標値、作業の先行関係情報の内1又は複数を表示することを特徴とする倉庫作業計画立案支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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