説明

個人用の押出し容器型分与器

個人用の押出し容器型分与器は、プッシュ/プル弁を有する押出し容器を収容するようにしているクラムシェル形のハウジングを有する。前記ハウジングの中には、スライド機構が収容されている。このスライド機構は、その一方の端に設けられて前記プッシュ/プル弁と係合するカラーと、その他方の端に設けられて分与サイクルの終了により前記スライド機構の自動戻りを行うばねとを有する。前記ばねは、前記プッシュ/プル弁を閉じ位置へ偏倚せしめている。前記クラムシェル形のハウジングは、前記プッシュ/プル弁の開きを行うための前記スライド機構の親指状パッドのための開口及び前記押出しボトムへの圧力に適応するための開口を備えている形状とされている。また、前記親指状パッドと反対側の、前記ハウジングの後部には他の開口が設けられ、この他の開口は分与力を与えるために前記押出し容器に使用者の指が接近することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばローション、石けん、消毒剤、同種物のような流体のための分与器の技術に属する。詳細には、本発明は使用を容易にするような大きさ及び形状とされている個人用のポータブル分与器に関する。より詳細には、本発明は閉じ位置へ偏倚されているプッシュ/プル弁を有する、個人用の押出し容器型分与器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、種々の場所において、ローション、石けんの消毒剤を使用することが広く普及している。現在では、不衛生を防止するために適当な手衛生が必要であることを承知していることから、個人用のポータブル容器が知られていると共に一般的に用いられている。しかしながら、現在に知られている、個人用のポータブル容器は一般的に不便であり、持運び及び使用の便利さを与えていない。更に、現在知られている、個人用のポータブル容器は使用している閉鎖機構に関して信頼性がなく、したがって、偶然に容器が開いて液体内容物を分与せしめ、及び/又はこのような内容物が衣服、装身具、家具などにしたたり落ちることがある。
【0003】
したがって、当分野においては、適当な手衛生を行うために適当なローション、石けんの消毒剤の使用を促進して不衛生の広がりを減少せしめるために、便利であって使用が容易でありかつ作動の信頼性があって耐久性がある、個人用の押出し容器型分与器が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したことに鑑み、本発明の主たる目的は運ぶこと及び使用することの両方が便利である、個人用の押出し容器型分与器を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、偶然の開き及び分与をすることがない、個人用の押出し容器型の分与器を提供することにある。
【0006】
本発明の更に他の目的は、分与器を開くために要求された力が解放されることに続いて、分与弁を確実に自動的に閉じる機能を有する、個人用の押出し容器型分与器を提供することにある。
【0007】
本発明の更に他の目的は、押出し容器を交換することをたやすく行うことができる、個人用の押出し容器型分与器を提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、押出し容器の開き及び押出し容器からの液体の分与の両方を行うために単一の親指状パッドを用いている、個人用の押出し容器型分与器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の以上述べた目的及び詳細な説明が後述されることにより明らかになるであろう他の目的は、個人用流体分与器において、空どうを限定するハウジングと、前記空どうの中に収容されている容器と、この容器により支持されて前記容器を開閉する弁と、前記ハウジングにより支持されて前記弁と係合するアクチュエータとを包含し、前記アクチュエータが人為的に操作されて前記弁を開閉するようにした個人用流体分与器により達成される。
【0010】
また、本発明のこれらの目的は、個人用流体分与器において、ハウジングと、このハウジングにより支持されている押出し容器と、この押出し容器により支持されて前記押出し容器を開閉するプッシュ/プル弁と、前記ハウジングにより支持されて前記プッシュ/ブル弁と係合するスライダー式アクチュエータと、第1の端で前記スライダー式アクチュエータに接続されていると共に第2の端で前記ハウジングに接続されている戻しばねとを包含している個人用流体分与器により達成される。
【0011】
本発明の目的、技術及び構成を完全に理解するために、下記の詳細な説明及び添付図面が次に参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面、特に図1−図3を参照するに、本発明にしたがって作った個人用の押出し容器型分与器が符号10により総括的に示されていることを見ることができよう。分与器10はハウジング12を包含し、このハウジングはその中にボトル又は他の適当な容器14を入れ子式に収容するようにしている。後で明らかになるように、容器14は好適には押出し容器であり、この型式の容器は容器それ自体の押しつぶしにより容器内に収容している流体の分与を可能にする。容器14はねじ切りした首部16を有し、この首部はキャップ18と螺合してキャップ18を支持し、このキャップは適当なプッシュ/プル弁20を首部16内に固定する。当業者はプッシュ/プル弁20の構造及び機能を容易に理解できるものであって、プッシュ/プル弁20は、引っ込んだ位置では容器14を閉じて内容物の分与を防止し、一方、伸長した位置では容器14を開いて内容物を分与せしめるものである。
【0013】
プッシュ/プル弁20は、その一端に穴22を有し、この穴が通路24を通して容器14の内部に連通していることを特徴とする。そして、弁20が伸長した開き位置であるときには、液体が容器14から通路24及び穴22を通して分与される。図1はプッシュ/プル弁20が引っ込んだ閉じ位置である状態を示し、また図4ではこの引っ込んだ閉じ位置の弁20が実線で示されていることを容易に理解されよう。一方、弁20が伸長した開き位置である状態は図2に示され、また図4ではこの伸長した開き位置の弁20が点線で示されている。
【0014】
次に図3を参照するに、ハウジング12及び関連するスライド作動部材の構造を理解することができるであろう。図示されるように、ハウジング12は、クラムシェル形の設計であって、実質的に同一の2つのサイド部又は半割体12a及び12bを有し、これらの半割体は適当なヒンジ、例えばリビングヒンジと称されている関節ヒンジ26の手段により相互接続されている。ヒンジの好適な実施例において、関節ヒンジ26は単に薄いフィルムの材料から成り、この材料から2つの半割体12a及び12bもモールド成形される。勿論、任意の適当な他のヒンジを用いることもできる。ラッチ28が2つの半割体の一方の設けられていると共に、キャッチャ30が他方の半割体に設けられ、このようなラッチとキャッチャとの相互係合は設計者の選択事項である。
【0015】
クラムシェル形のハウジング12は、上述した容器アクチュエータ14−24を入れ子式に収容するような形状とした空どう32を限定する。ハウジング12の半割体12bには後部窓34が設けられ、この後部窓は容器14の表面への使用者の手の容易な接近を可能にする。ハウジング12の半割体12aには2つの側部窓36が設けられ、これらの側部窓は分与器10の側部側から容器14の表面への使用者の手の簡易な接近を可能にする。これらの窓34及び36は、容器14がほとんど空になり交換する用意をするかどうかと、使用者が容器14の内容物の状態を観察することを可能にする。更に、後部窓34は所望したときに分与を行うために使用者の手の指が押出し容器14に接近して容器14を圧縮せしめるための区域を提供する。同様に、ハウジング12の半割体12aの側部窓36は所望したときに分与を行うために容器14の押出しを行うためにハウジングの頂部表面がたわむことに適応する。
【0016】
図1−図3に更に示されているように、頂部ハウジングである半割体12aには窓又は開口38が設けられ、この窓又は開口にはハウジング12の半割体12aにより支持されているスライド機構又はスライダー42の親指状パッド40を露出せしめる。図示されているように、スライダー42はその後部端に一対のばねアーム44を有し、これらのばねアームはピン46の手段により拘束され、ピン46は、図示されているようにこれらのばねアーム44に当接されているか、又はこれらのばねアーム44の一端に形成した穴を貫通して固定ピン係合とされている。窓38は、明らかであるように、プッシュ/プル弁20の完全な開き及び完全な閉じを行うために親指状パッド40の充分な動きに適応するような大きさ及び形状とされている。
【0017】
スライダー42は、更に、親指状パッド40の部分からばねアーム44を有する端と反対側の、スライダーの端に設けたカラー50にまで延びている首部48を有することを特徴とする。カラー50は、図4に示されているプッシュ/プル弁20を支持するような形状とされている。カラー50にはリム52が設けられ、このリムは弁20の頭部54と中間フランジ56との間の、弁20の軸のまわりに受け入れられるような大きさとされている。スライダー42は、使用者がその親指により力を親指状パッド40に加えることによりハウジング12の長手方向、すなわち前後方向へ往復動きをできるようにされている。スライダー42の前方向への動きは、分与を可能にするためにカラー50がプッシュ/プル弁20を開き位置にまで伸長されることを生じさせる。一方、このような力を取り除くことにより、ばねアーム44がスライダー42を引っ込まさせ、したがってプッシュ/プル弁20を閉じ位置に引っ込まさせることを生じさせ、その結果弁20は通常閉じ位置へ偏倚されている。
【0018】
ハウジング12には首部58が設けられ、この首部を通して、プッシュ/プル弁20と組み合っているカラー50が往復動きをできる。
【0019】
また、分与器10の一部分としてストラップ60又は他の適当な接続具又は持運び具が個人使用に適応するために取り付けられている。ストラップ60は使用者のベルトにくくって又はベルトループを通して身につけるように用いることができ、また、クリップ又は他の適当な接続具も用いることができる。したがって、個人用分与器10は、所望したときに、使用のためにいつでも容易に用いることができる。
【0020】
次のことを認識されよう。すなわち、好適な実施例において、容器14は好適には復元可能なプラスチック材料からモールド成形され、これにより、容器を押しつぶしてその中に収容されている流体を分与することができ、また、その押しつぶし力が取り除かれた後には容器はその通常の形状に復元することができる。本発明は、更に、次のことも意図している。すなわち、ハウジングが同様なフレキシブルなプラスチック材料から作られ、これにより、容器14を押しつぶすためにハウジング12をそれ自体押しつぶすことができる。しかしながら、また、ハウジング12を変形することができない堅いプラスチック材料から作ることも意図している。このような場合において、容器14の押しつぶしは使用者が自分の親指により力を親指状パッド40に下向きに加えることにより、又は指により力を窓34を通して上向きに加えることにより行われる。
【0021】
次のことは好ましいものである。すなわち、スライダー42を、ばねアーム44を含んで、適当なプラスチック材料により一体にモールド成形し、これにより、所望する分与を行うためにばねアーム44の伸長及び復元と親指状パッド40のたわみとを可能にする。勿論、他の適当なばね又は戻り機構を用いることもでき、これらも本発明の一部分として考えられるものである。実際に、ばねをスライダー42と別々に設けることができ、又は、弁を図示しているような親指状パッド40の後部分ではなくて親指状パッド40の前方に介在させることができる。
【0022】
容器14はクラムシェル形ハウジング12の空どう32内に収容されるような大きさ及び形状とされていることは容易に認識されよう。容器14及び関連するプッシュ/プル弁20は空どう32内に簡単に置かれ、弁20の頭部54とフランジ56との間の区域がスライダー42のカラー50のリム52を受け入れる。2つのクラムシェル形半割体12a及び12bは、それから、ラッチ及びキャッチャ機構28,30の固定係合を行うために閉じることができ、これにより分与アセンブリを完成せしめる。
【0023】
当業者は次のことを容易に認識されよう。すなわち、ばねアーム44はプッシュ/プル弁20をその閉じ位置へ偏倚せしめ、これにより、親指状パッド40が解放されたときには、ばねアーム44がスライダー42を後方へ引き寄せ、プッシュ/プル弁20を元に戻して閉じて、容器14を密閉し、その結果、容器14の流体の偶然な分与又はしたたりは防止されるであろう。
【0024】
したがって、簡単で有効な個人用押出し容器型分与器が提供され、このような分与器は容易に用いることができ、かつ、倒立位置につねに維持されているが、分与弁が閉じ位置に連続して自動的に偏倚されているので、流体がしたたることはない。この分与器は、更に、使用者が一方の手で容易に用いることができ、一方の手でプッシュ/プル弁20を開くことを行うことができるのみならず、また、分与を行うために容器14を押しつぶすこともできる。
【0025】
以上述べた説明から、本発明の目的は上述した構成によって達成されることがわかったであろう。また、特許法の規定にしたがって本発明の最良の形態及び好適な実施例についてのみ詳細に述べたけれども、本発明はこのような特定の実施例に又はこれにより限定されるものではない。したがって、本発明の真の範囲を認識するためには、特許請求の範囲の記載を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による個人用の押出し容器型分与器の斜視図であって、プッシュ/プル弁が閉じた持運び位置である状態を示す。
【図2】本発明による個人用の押出し容器型分与器の傾斜図であって、プッシュ/プル弁が分与位置である状態を示す。
【図3】本発明において用いられる押出し容器を収容するようにしているクラムシェル形ハウジングの斜視図である。
【図4】本発明において用いられる押出し容器の斜視図であって、プッシュ/プル弁が閉じた持運び位置(実線)及び分与位置(点線)である状態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人用流体分与器において、空どうを限定するハウジングと、前記空どうの中に収容されている容器と、この容器により支持されて前記容器を開閉する弁と、前記ハウジングにより支持されて前記弁と係合するアクチュエータとを包含し、前記アクチュエータが人為的に操作されて前記弁を開閉するようにした個人用流体分与器。
【請求項2】
請求項1記載の個人用流体分与器において、前記弁がプッシュ/プル弁である個人用流体分与器。
【請求項3】
請求項2記載の個人用流体分与器において、前記アクチュエータがスライダーから成る個人流体分与器。
【請求項4】
請求項3記載の個人用流体分与器において、前記スライダーが、前記ハウジングの第1の窓を通して露出されている親指状パッドと、前記スライダーの第1の端に設けられて前記プッシュ/プル弁を支持しているカラーとを有している個人用流体分与器。
【請求項5】
請求項4記載の個人用流体分与器において、前記スライダーがその第2の端に設けられているばねを有し、このばねが前記プッシュ/プル弁を閉じ位置へ偏倚せしめている個人用流体分与器。
【請求項6】
請求項5記載の個人用流体分与器において、前記第1の窓が前記プッシュ/プル弁の開き位置と閉じ位置との間における前記親指状パッドの動きに適用するような大きさとされている個人用流体分与器。
【請求項7】
請求項6記載の個人用流体分与器において、前記ハウジングが前記第1の窓と反対側の、前記ハウジングの側部に拡大して設けられている第2の窓を有し、この第2の窓が前記容器を露出せしめて、使用者が指圧力を前記容器に対して加えることができるようにしている個人用流体分与器。
【請求項8】
請求項7記載の個人用流体分与器において、前記容器が十分にフレキシブルな材料の押出し容器から成っている個人用流体分与器。
【請求項9】
請求項8記載の個人用流体分与器において、前記ハウジングが十分に堅い個人用流体分与器。
【請求項10】
請求項8記載の個人用流体分与器において、前記ハウジングが十分にフレキシブルであって、前記容器の押しつぶし変形に適応するようにした個人用流体分与器。
【請求項11】
請求項8記載の個人用流体分与器において、前記ハウジングがクラムシェル形のハウジングであって、このクラムシェル形ハウジングが、その一方の側部に沿って設けられているヒンジと、その反対側の側部に沿って設けられているキャッチャ及びラッチ機構とを有している個人用流体分与器。
【請求項12】
請求項8記載の個人用流体分与器において、前記ハウジングが更にこのハウジングに取り付けられている持運び具を包含し、この持運び具が個人による前記ハウジング及び前記容器の持運びに適応するようにしている個人用流体分与器。
【請求項13】
個人用流体分与器において、ハウジングと、このハウジングにより支持されている押出し容器と、この押出し容器により支持されて前記押出し容器を開閉するプッシュ/プル弁と、前記ハウジングにより支持されて前記プッシュ/ブル弁と係合するスライダー式アクチュエータと、第1の端で前記スライダー式アクチュエータに接続されていると共に第2の端で前記ハウジングに接続されている戻しばねとを包含している個人用流体分与器。
【請求項14】
請求項13記載の個人用流体分与器において、前記戻しばねが前記スライダー式アクチュエータと一体に形成されている個人用流体分与器。
【請求項15】
請求項14記載の個人用流体分与器において、前記スライダー式アクチュエータが親指状パッドを有すると共に、前記ハウジングが前記親指状パッドを露出せしめる第1の開口を有し、この第1の開口が前記プッシュ/プル弁の開閉を行うための前記親指状パッド及び前記スライダー式アクチュエータの動きに適応するようにしている個人用流体分与器。
【請求項16】
請求項15記載の個人用流体分与器において、前記ハウジングが前記第1の開口を有する側部とは反対側の側部に設けられている第2の開口を有し、この第2の開口が前記押出し容器を露出せしめて、使用者が指圧力を前記押出し容器に対して加えることができるようにしている個人用流体分与器。
【請求項17】
請求項16記載の個人用流体分与器において、前記ハウジングがクラムシェルの形のハウジングである個人用流体分与器。
【請求項18】
請求項17記載の個人用流体分与器において、前記ハウジングがこのハウジングに取り付けられている持運び具を有している個人用流体分与器。
【請求項19】
請求項16記載の個人用流体分与器において、前記スライダー式アクチュエータが前記プッシュ/プル弁を入れ子式に支持しているカラーを有している個人用流体分与器。
【請求項20】
請求項19記載の個人用流体分与器において、前記親指状パッドが前記押出し容器に対してたわみ可能であって、分与圧力を前記押出し容器に対して加えることに適応するようにした個人用流体分与器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−502316(P2009−502316A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523908(P2008−523908)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/026877
【国際公開番号】WO2007/018908
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(500095425)
【氏名又は名称原語表記】Joseph S. Kanfer
【住所又は居所原語表記】4445 Everett Road, Richfield, Ohio U. S. A.
【Fターム(参考)】