個性別教育情報作成システム、記録媒体及びプログラム
【課題】 本願発明は、生徒の個性に合った指導をするための指導指針及び学習の進め方の情報を作成するシステム、そして、生徒の個性及び学力の定着度に合った個性別学習教材の情報を作成するシステムを提供する。
【解決手段】 本願発明は、生徒の属する個性パターンを特定し、その個性パターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する個性パターン選定手段、及び個性別学習教材の情報を出力する個性別学習教材作成手段を備えることにより可能となった。
【解決手段】 本願発明は、生徒の属する個性パターンを特定し、その個性パターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する個性パターン選定手段、及び個性別学習教材の情報を出力する個性別学習教材作成手段を備えることにより可能となった。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供の教育のための教育情報を作成するシステムに関し、詳しくは、個々の子供の個性にマッチした指導を行うための指導指針及び学習の進め方と個性別の学習教材を作成する個性別教育情報作成システム記録媒体及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正確な個性診断を行うための手法として、組織心理学者でもある小林惠智氏が提唱しているFive Factors and Stress理論(以下「FFS理論」という。)がよく知られている。そのFFS理論は1983年から米軍組織に導入され、人の個性は五つの因子、即ち、凝縮性、受容性、弁別性、拡散性、保全性及びストレスで決まるとされている。80の質問に答えると各因子の強弱が数値化され、高い数値を示す二、三の因子がその人の個性をあらわす代表的な因子になる。日本の大手の製造メーカ等がこのFFS理論を組織の活性化のために利用している(非特許文献1)。
【0003】
一方、各種の企業、団体等における各プロジェクトと人材との適材適所(マッチング)を可能な限り追求し、各企業に現在存在する、或いは今後構成され実現する各種(いろいろな各分野の各種類の構成体)のプロジェクトに対して、最良の人材を配置し、けっして人材のミスマッチ現象を起さないようにするために、各プロジェクトメンバーの個性を80問の回答データからFFS理論を使用して判断し、そのプロジェクトに適材適所な人材であるか否か等の適性診断を行うことができるプロジェクト人材診断システムが提案されている。(特許文献1)
【0004】
【特許文献1】特開2001−273396号公報 (第8頁、第1図)
【非特許文献1】Asahi Shimbun Weekly、「AERA 」、2000(第25〜28頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように会社等の組織体において、FFS理論で個々人の個性の診断を行い、組織においてどの様な組み合わせが最適であるかを決め、組織の活性化を向上させる基礎理論として、FFS理論を用いて人事管理が行われている。即ち、組織体の中で個々人の個性を発揮させる組み合わせを判断する際に、FFS理論を用いて組織の活性化を図っている。
【0006】
一方、教育関係者からFFS理論を子供の教育に用いて、学習効果の向上を図る研究が行われているところである。生徒一人一人の得手不得手、強み弱みといった個性を正確に知り、その生徒の個性に適した教師を選定して生徒を指導するのに、FFS理論が用いられている。
【0007】
しかしながら、今日の学校教育は、すべて一斉授業の形式の集団教育であり、そのために数学、国語、英語等の教科学習では個人差が大きく学校の進度に着いていけない生徒の数が年々増え続けているのではないかと危惧されている。今日の集団教育の限界を感じているものの、集団教育において教師が個別指導を行うことは不可能である。しかし、それは学校及び学習塾の教師の責任ではなく、生徒の個性や学習環境を正確に把握し、又個々の学力の実態を詳細に評価・管理できるようなツールが存在しておらず、集団教育において教師が個別指導を行うことが不可能なためである。
【0008】
そこで、本発明は、FFS理論により集団教育を受けている生徒の個性を把握して、その生徒の個性に合った指導するための指導指針及び学習の進め方の情報を作成するシステムを提供し、そして、上記指導指針及び学習の進め方に基づいて生徒の個別指導を行った後に、その生徒の習得程度を確認する確認チェックテストの解答の結果に基づいて、生徒の個性及び学力の定着度に合った学習教材を自動的に選択し、且つ学習の手順が生徒の進捗状況に合わせてナビゲートする、個性別学習教材のための情報を作成するシステム、記録媒体及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための発明は、以下のように特定される。
本願第1発明は、FFS理論を用いた個性診断テストに対する生徒の回答を入力するコンピュータ端末とインターネットを介して接続されており、生徒情報を格納した学習スタイル診断データベースを有し、前記コンピュータ端末から送信された前記生徒の回答を集計して得られた結果から、生徒の個性をFFS理論の因子データに基づき特定する個性別教育情報作成システムにおいて、前記FFS理論の因子データに基づき、異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンの何れのパターンに属するかを決定する教育プロセスパターン決定手段と、前記学習スタイル診断データベースから呼び出された基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比して、生徒の属する教育プロセスパターンを特定し、その教育プロセスパターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する教育プロセスパターン選定手段とを備えることにより、上記課題を解決している。
【0010】
本願第2発明は、前記教育プロセスパターン決定手段が、前記学習スタイル診断データベースから生徒情報のC因子のポイント値を抽出し、その因子のポイント値が所定値より大か等しいかにより論理的解説か感覚的解説かを判断することにより、上記課題を解決している。
【0011】
本願第3発明は、前記教育プロセスパターン決定手段が、前記学習スタイル診断データベースから生徒情報の5つの因子のポイント値を抽出し、そのポイント値の中から最高のポイント値の因子を特定して、その特定された因子がB因子であればB因子の次に高いポイント値の因子を特定し、特定した因子がA又はE因子ならば演繹的説明とし、その特定された因子がB因子でなければA又はE因子かを判断して、そうであれば演繹的説明とし、そうでなければ帰納的説明とすることにより、上記課題を解決している。
【0012】
本願第4の発明は、前記教育プロセスパターン決定手段が、前記学習スタイル診断データベースから生徒情報のD因子とE因子のポイント値を抽出し、D因子とE因子のポイント値を比較して、E因子のポイント値が大であればスモールステップ学習とし、E因子のポイント値が小であれば目標設定型フリーステップ学習とすることにより、上記課題を解決している。
【0013】
本願第5の発明は、前記異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンが、解説方法プロセス、説明方法プロセス及び学習方法プロセスからなることにより、上記課題を解決している。
【0014】
本願第6の発明は、前記教育プロセスパターン選定手段が、8種類の教育プロセスパターンを有する基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比することにより、上記課題を解決している。
【0015】
本願第7の発明は、学力定着度診断テストの解答に基づいて、誤った項目についての認識チェックテストを作成してコンピュータ端末4に送信し、その後に該コンピュータ端末4から送信された確認チェックテストの解答に基づいて誤った項目を特定して、生徒コードに基づき学習スタイル診断データベースから学習方法プロセスのデータを抽出してパターンを特定し、解説及び説明方法プロセスのデータを抽出して基準の解説パターンデータと対比を行い、解説パターンのデータを特定した後、基準教材パターンデータと前記特定された学習方法プロセス及び解説パターンのデータを対比し、教材パターンのデータを特定して個性別教材の情報を出力する個性別学習教材作成手段を更に備えたことにより、上記課題を解決している。
【0016】
本願第8の発明は、前記教育プロセスパターン選定手段が、8種類の教材パターンを有する基準教材パターンと前記特定された学習方法プロセス及び解説パターンのデータを対比することにより、上記課題を解決している。
【0017】
本願第9の発明は、FFS理論を用いた個性診断テストに対する生徒の回答を入力するコンピュータ端末とインターネットを介して接続されており、生徒情報を格納した学習スタイル診断データベースを有し、前記コンピュータ端末から送信された前記生徒の回答を集計して得られた結果から、生徒の個性をFFS理論の因子データに基づき特定する個性別教育情報作成システムを、前記FFS理論の因子データに基づき、異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンの何れのパターンに属するかを決定する教育プロセスパターン決定手段と、前記学習スタイル診断データベースから呼び出された基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比して、生徒の属する教育プロセスパターンを特定し、その教育プロセスパターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する教育プロセスパターン選定手段、として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体により、上記課題を解決している。
【0018】
本願第10の発明は、FFS理論を用いた個性診断テストに対する生徒の回答を入力するコンピュータ端末とインターネットを介して接続されており、生徒情報を格納した学習スタイル診断データベースを有し、前記コンピュータ端末から送信された前記生徒の回答を集計して得られた結果から、生徒の個性をFFS理論の因子データに基づき特定する個性別教育情報作成システムを、前記FFS理論の因子データに基づき、異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンの何れのパターンに属するかを決定する教育プロセスパターン決定手段と、前記学習スタイル診断データベースから呼び出された基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比して、生徒の属する教育プロセスパターンを特定し、その教育プロセスパターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する教育プロセスパターン選定手段、として機能させるためのプログラムにより、上記課題を解決している。
【発明の効果】
【0019】
FFS理論により集団教育を受けている生徒の個性を的確に把握して、その的確に把握された生徒の個性に最もあった指導するための指導指針及び学習の進め方の情報を提供することが可能となり、教師はその情報に基づいて生徒の個性を尊重した指導が可能となり、またその生徒の個性にあった学習の進め方により確実な学習の習得が可能となった。更に、上記指導指針及び学習の進め方に基づいて生徒の個別指導を行った結果を現す、確認チェックテストの結果に基づいて、生徒の個性及び学力の定着度に合った学習教材の情報を提供することが可能となり、得手不得手な科目を堅実に消化することが可能となった。特に、個人別、個性別の学習教材を作成することは従来不可能であったが、本個性別教育情報作成システムにより個人別、個性別の学習教材の作成が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
個性を分析するためのFFS理論の質問は、合計で80問からなり、回答欄は「はい」、「どちらでもない」及び「いいえ」の3つから構成されている。80問のうち50問は5つの因子(凝縮性、受容性、弁別性、拡散性及び保全性(以下、これらの因子を「A、B、C、D、E」という))に関する質問であり、回答によるポイントは、「はい」が2ポイント、「どちらでもない」が1ポイント、「いいえ」が0ポイントとし、そのポイントの合計の値により5つの因子の強さが特定される。
【0021】
5つの因子がどの様な因子であるかを以下に説明する。A(凝縮性)は、自己確立の為に対面する出来事、周囲の主張などが自分に都合がよい場合は取り入れて強化し維持するが、都合が悪い場合は廃絶しようとする因子であり、父性ともいえる因子である。特性としては指導的ではあるが逆に独善的になる場合がある。B(受容性)は、対面する出来事や周囲の主張などを自分の状態や状況に関わり無く積極的に受け入れようとする因子であり、母性ともいえる因子である。特性としては養育的ではあるが逆に介入的になる場合がある。
【0022】
C(弁別性)は、自分の心的状態や置かれた状況が、自分の周囲や又は経緯などにおいて適正であるか不適正であるか、二つに分別しようとする因子であり、傾向が弱い場合は、感覚的直感的である。特性としては論理的ではあるが逆に機械的になる場合がある。D(拡散性)は、自分を維持しようとするときに自分の心的、動的な力を発揮することで外部の力を積極的に利用しようとする方法を選択させる因子であり、主に遊牧系民族に強い傾向がみられる因子である。特性としては活動的ではあるが逆に衝動的になる場合がある。E(保全性)は、自分を維持しようとするときに自分の心的、動的な力の損失が最も少なくなるような方法を選択させる因子で、主に定住系民族に強い傾向がみられる因子である。特性としては協調的ではあるが逆に追随的になる場合がある。
【0023】
他の20問は、質問に対応する信頼度をチェックするものである。子供ではほとんどないことであるが、大人の場合には自分をよく見せたいとの気持ちから質問に素直に回答しない場合が起こるので、この20問の質問で回答の信頼度をチェックする。コンピュータはこの70問の回答されたポイントを合計するが、各因子の合計のポイントは最大で20ポイントである。残りの10問は現在の緊張状態を表すストレス度を測定するものであり、5因子を特定するものとしては使用していない。80問の質問は、例えば、「他人の言葉をさえぎっても自分の考えを述べる傾向にある」、「思ったことは、すぐに口に出してしまう」等の簡単なものから構成されている。上述したようにこのFFS理論に基づいて作成される80問の質問、そして、その回答に基づいて生徒の個性を5因子に特定することは、既に知られていることである。
【0024】
以下、図面を参照して本発明の最良の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の個性別教育情報作成システム3(以下「作成システム3」という。)に用いられるコンピュータネットワーク網を示すブロック図である。作成システム3はサーバ1と学習スタイル診断データベース2(以下「診断データベース2」という)から構成されており、又このコンピュータネットワーク網は、アプリケーションサービスプロバイダ(以下「ASP」という。)の作成システム3と各学校のコンピュータ端末4とをインターネット用コンピュータネットワーク網を介して接続されている。作成システム3をASPに設置する代わりに教育委員会単位で設置することも可能である。学校内では校内イントラネットで各教室にコンピュータ端末を設置して、その端末の画面を通じて生徒に質問の回答又は解答を入力させても良いし、質問用紙に生徒の回答又は解答を記入してもらいその結果を教師がコンピュータ端末から入力しても良い。又各家庭のコンピュータ端末を通じて生徒に質問の回答又は解答を入力させても良い。
【0025】
図2は、本発明に係る作成システム3とコンピュータ端末4との間の、各種情報の流れの概要を説明するための流れ図である。図1の説明で既述したように、一つの例としてASPの作成システム3は、校内イントラネットで各教室に設置されているコンピュータ端末4と、インターネット用コンピュータネットワーク網を介して接続されている。生徒はコンピュータ端末4でURLを指定して表示された画面中のID及びパスワードの入力欄に、生徒のID及びパスワードを入力して作成システム3に送信すると、作成システム3から個性診断又は学習スタイルを選択する診断システム画面(図3参照)が送信されてコンピュータ端末4の画面上に表示される。該個性診断の選択により送信される個性診断テストは、上記したように広く知られていることなので詳細には説明しないが、個性診断テストの流れについての概要が以下に説明されている。コンピュータ端末4から各生徒の個性診断テストの回答が作成システム3に送信され、該作成システム3はその回答の結果から5因子の各因子のポイント数を演算処理してそのポイント数がデータベース2に格納されている。
【0026】
生徒はコンピュータ端末4でURLを指定して表示された画面中のID及びパスワード入力欄に、ID及びパスワードを入力するか、生徒名一覧から生徒名を特定するかして作成システム3に送信すると、作成システム3から個性診断又は学習スタイルを選択する診断システム画面が送信されて、コンピュータ端末4上に表示される。
【0027】
図3は個性診断と学習スタイルの選択画面を示す図である。表示画面の中央部のデータ入力欄には「データ種別」の下に「個別診断」と「学習スタイル診断」が、「画面」の下に「画」及び「一覧」の下に「覧」のボタンがそれぞれ設けられている。個性診断テストを画面で回答したい場合は「画」のボタンを押下し、質問用紙で回答する場合は「覧」のボタンを押下する。学習スタイル診断テストを画面で閲覧したい場合は「画」のボタンを押下し、質問用紙で閲覧する場合は「覧」のボタンを押下する。
【0028】
データ入力項目のデータ種別の個性診断欄にある「画」のボタンを押す(1)と、FFS理論に基づく80問の個別診断テストが、作成システム3からコンピュータ端末4に送信されて(2)表示される。回答欄の「はい」、「どちらでもない」及び「いいえ」の3つから1つを選択して、80問の質問に対して全て回答した後、その回答データを作成システム3に送信する(3)。作成システム3は、個性診断テストの回答の結果から得られた5因子のポイント値から学習指導指針及び学習の進め方の8種類の個性パターンを特定し、その特定された個性パターンにより学習指導指針及び学習の進め方の情報を送信する(4)。
【0029】
教師は、前記学習指導指針及び学習の進め方の情報に基づいて、生徒の学習の指導及び学習の進め方を実践すると共に、教師が生徒の学力定着度を診断したいときには、ID及びパスワードを入力した後、学力定着度診断の入力画面から教科の選択、単元別又は全てなのかを選択して「実行」ボタンを押す(5)ことにより、作成システム3にその選択された情報が送信される(入力画面は省略)。
【0030】
作成システム3から学力定着度テストが送信され(6)、生徒が解答したテスト結果を作成システム3に送信する(7)。作成システム3は、そのテスト結果のうち誤った解答の質問について、類似の質問からなる確認チェックテストを送信する(8)。この確認チェックテストは、生徒が質問について理解していなためなのか、誤解によるものなのかを判断するために行うテストである。生徒が解答したテスト結果を作成システム3に送信する(9)。作成システム3は、そのテスト結果及び生徒情報の学習方法プロセス及び解説パターンのデータに基づいて個性別学習教材の情報を送信する(10)。
【0031】
図4は、8種類の個性パターンのうちの個性パターン3及び個性パターン5の例を示す図である。教師が生徒の学習指導を行う上で、生徒がある事象を理解させるために、その生徒にとって最も理解しやすい「解説方法」、教師が生徒にどのように説明したらよいかといった「説明方法」、生徒が理解したものを身に付けるための「学習方法」の3つのプロセスが適切に選択されることが重要である。そして、それぞれのプロセスにおいて生徒の個性にマッチした方法を選択することにより最適な指導が可能である。
【0032】
各プロセスは2パターンから構成されており、各プロセス毎のパターンを以下に説明する。教師がある事象を説明する場合、生徒によって理解の仕方が2種類あり、これはその生徒が左脳(論理的、分析的働き)と右脳(直感的、総合的)のどちらの思考方法を得意としているかによって決まっている。論理的に解説する方が理解しやすい生徒と、感覚的に説明する方が理解しやすい生徒の2種類の生徒がいる。これはC(弁別生)のポイントが10点以上の場合はデジタル系、10点未満はアナログ系と表現している。デジタル系の場合は数字と言葉により理路整然と論理的解説を行い、アナログ系の場合は絵や写真などの具体的なイメージを抱けるような感覚的な解説を行う。このような「説明方法」は、「論理的解説」及び「感覚的な解説」と表記する。
【0033】
教師がある事象を説明する場合、生徒によってその説明の仕方に適切に対応できる生徒とそれに適切に対応できない生徒がいる。「説明方法」とは説明の方法論のことをいい、「帰納法的説明」と「演繹法的説明」の2種類に分かれる。これは5つの因子A、B、C、D、Eのポイント(0〜20点)の中で最も高いポイントを得た因子がその生徒の個性を決定づける因子であり、その因子を第一因子という。以下に第一因子毎にどちらの説明が適切かを示す。タイプAは「演繹法的説明」、タイプBは「帰納法的説明」と「演繹法的説明」のどちらでも良く、タイプCは「帰納法的説明」、タイプDは「帰納法的説明」、タイプEは「演繹法的説明」が適切である。
【0034】
なお、この最良の形態では、5つの因子の最高ポイントを20として説明しているが、この20に限定されるものではない。上記したCポイントの値が10以上より大か等しいかにより、論理的説明か感覚的説明かの判断を行う例を示したが、この判断のポイント値は、最高ポイント値が30であれば15であり、このように最高ポイント値に依存するものである。
【0035】
理解できた事象を自分のものにするためには個性に適した学習方法で確実に身に付けていく必要がある。これは5つの因子のうち気質因子であるD、Eの因子が関係しており、D、Eを比べてどちらの因子が高いかによって以下の様になる。D>Eの場合は学力の到達目標を指導者が設定し、それをどの様なスケジュールで達成するかは生徒に計画案を出させ、あくまでも生徒の意志で計画を作成し、教師は計画に対するアドバイスのみを与える。基本的には月次のスケジュールを作成する。このことを「フリーステップ学習」と表記する。D<=Eの場合は学力の到着目標を教師が仮に作成してそれを生徒と共に可能かどうかを確認しながら正式な計画に仕上げていき、目標値は小さなステップに分ける。基本的には日次のスケジュールを作成する。このことを「スモールステップ学習」と表記する。前記「学習方法」は、「フリーステップ学習」と「スモールステップ学習」から構成されている。
【0036】
このように「解説方法」、「説明方法」及び「学習方法」の各プロセスは、2パターンを有しており、したがって、個性パターンは全体では8パターンとなっている(図8及び図11参照)。上述したように図4はそのうちの個性パターン3と個性パターン5を説明するための図である。図2の(4)で示した各プロセスのパターンとその各パターに適した学習指導指針と学習の進め方の情報が、作成システム3からコンピュータ端末4に送信されてくる。
【0037】
個性パターン3の指導指針としては、「人の話を良く聞き入れて物事を肯定的に受け止める事ができるタイプなので、学習の必要性を理解させること、すなわち学力を伸ばすことの大切さを納得させることが重要です。好きな教科あるいは興味のもてる教科を中心に学習すれば必ず成果は出ます。細かい指示は必要ありませんが、月ごとの目標(ゴール)は明確にします。苦手な分野はその後に取り組むことにします。物事を説明するときは数字や言葉で順序良く理論的に解説することが大切です。」という指導指針が出力される。生徒の個性に適合する指導指針が具体的に示されていることにより、教師は各生徒の個性を尊重した教育指導を進めることができる。
【0038】
個性パターン3の学習の進め方としては、進め方1として「自分の得意教科、得意分野をつくることを第一目標にします。得意な教科では授業が楽しくなるような予習に重点をおきます。すなわち、事前に副読本などで調査を行い、疑問点を明確にして授業にのぞむなどのくふうをします。疑問点を残さず、確実に解決しながら進むようにします。」、進め方2として「苦手な分野を克服するには、自分の弱点箇所の理由をしっかり認識する必要があります。苦手分野を克服するための努力は熱心に行うので、着実に一歩ずつ課題をクリアしていきます。達成したら一緒に喜ぶことが意欲を起こさせる大きな要素です。」という学習の進め方が出力される。進め方1では、得意な分野の進め方が、進め方2では、苦手な分野の進め方が示され、生徒の個性に適合する学習の進め方が具体的に示されていることにより、教師は各生徒の個性を尊重した学習を進めることができる。個性パターン5も上記個性パターン3と同様に、生徒の個性に適合する指導指針及び学習の進め方が具体的に示されていることにより、教師は各生徒の個性を尊重した教育指導及び学習を進めることができる。教師は、上記した個性パターン3及び5の例で示したような、学習指導指針及び学習の進め方の情報に基づいて、生徒の学習を指導する際にその指導指針及び学習の進め方を実践する。
【0039】
図5は、8種類の教材パターンのうち教材パターン6の例を説明するための図である。図2の(10)で示したように、作成システム3がそのテスト結果及び生徒情報の学習方法プロセス及び解説パターンのデータに基づいて個性別学習教材(8種類の教材パターン)の情報をコンピュータ端末4に送信する(10)。教材パターンは上記した「解説方法」と「説明方法」により解説パターンが決定され、そして、学習方法プロセスによってフリーステップ学習が適しているのかスモールステップが適しているのかを決定して教材パターンが選択される(図9から図11参照)。
【0040】
教材パターン6が選択されるのは、5因子の最大の値がB又はC又はDでC因子の値が10ポイント以上(解説パターン3)で、またBとEの値を比較してD>Eの場合(フリーステップ学習)に選択される。フリーステップ学習の場合、まず課題をいつまでに達成するかの目標を設定し、問題を解いていく順序は本人に任せて自由に選択できるようにする。途中をいくつか飛ばしていくことも可能であるが、最後に確認チェックテストが必ず実施され全てが正解なるまでは先に進めない。
【0041】
図6は、4種類の解説パターンのうち解説パターン2の例を説明するための図である。5因子の最大の値がA又はEでC因子の値が10ポイント未満の場合、やさしい問題から始めだんだんと難易度の高い問題へとステップを踏んで答えさせていき、基本的には3段論法で論理を展開していく。時計の「はり」と時刻を常に対比させイメージでとらえられるようにする。
【0042】
図7は、4種類の解説パターンのうち解説パターン3の例を説明するための図である。5因子の最大の値がB又はC又はDでC因子の値が10ポイント以上の場合、生徒は自分で思った所へ「はり」を動かし、その時刻は何時何分であるかを体験的に知ることができる。自らの経験から結果を予測させ、又試行錯誤を繰り返す過程で、時計のはりと時刻との関係の法則性を学んでいく。
【0043】
図8は、各種教育プロセスにより個性パターンを特定する際に用いられる8種類の基準個性パターンテーブルである。該テーブルは、各生徒の個性診断テストの回答の結果に基づき、作成システム3の教育プロセスパターン決定手段3aが、以下の図16で示すフローチャートにより8種類の個性パターンの何れに属するかを判断する際の、基準となるテーブルである。この8種類の個性パターンが特定されることにより、そのパターンに応じた学習指導指針・学習の進め方の情報が作成システム3から出力される。
【0044】
図9は、解説パターンを特定する際に用いられる4種類の基準解説パターンテーブルである。該基準解説パターンテーブルは、生徒情報ファイルの解説方法プロセスと説明方法プロセスにより、4種類の解説パターンの何れに属するかを判断する際の、基準となるテーブルである。
【0045】
図10は、教材パターンを特定する際に用いられる8種類の基準教材パターンテーブルである。該基準教材パターンテーブルは、生徒情報ファイルの学習方法プロセスと上記解説パターンにより、8種類の教材パターンの何れに属するかを判断する際の、基準となるテーブルである。この8種類の教材パターンが特定されることにより、そのパターンに応じた個性別教材の情報が作成システム3から出力される。
【0046】
図11は、診断データベース2に格納される生徒情報のデータ構造の一例を示す図である。該生徒情報には、生徒を特定する情報(ID、名前等)及び生徒の個性を特定する情報(個性診断、各種教育プロセス等)が格納され、各レコードは生徒のコンピュータ端末4から送信される5因子データに基づいて生成される。生徒情報は、具体的には、データ番号(No)、ID(生徒コード)、名前、学年クラス、性別、個性診断、解説方法プロセス、説明方法プロセス、学習方法プロセス、個性パターン、解説パターン、教材パターン等の各欄を含んでいる。個性診断は、個性診断テストの結果から5因子の値を算出したもので、最高値が20である。解説方法プロセス、説明方法プロセス及び学習方法プロセス(以下、これらを総称して「教育プロセス」という。)は、各プロセスが異なる2つのパターンに分かれており、前記5因子の値に基づいて何れのパターンに属するかが特定されフラッグ「1」が立てられる。個性パターンの欄には、前記フラッグ「1」の状況に基づいて8種類の個性パターンが特定され、1から8の値が格納される。
【0047】
なお、解説方法プロセスの欄には、論理的解説及び感覚的解説の各欄を含んでおり、生徒に学習指導を行う上で、その生徒にとって最も理解しやすい解説の仕方はどちらなのかを選択する。説明方法プロセスの欄には、演繹的説明及び機能的説明の各欄を含んでおり、指導者が生徒説明する上で、その生徒にとって最も理解しやすい説明の仕方はどちらなのかを選択する。そして、学習方法プロセスの欄には、スモールステップ学習(以下「Sステップ学習」という。)及び目標設定型フリーステップ学習(以下「Fステップ学習」という。)の各欄を含んでおり、生徒が理解したものを身につける上で、その生徒にとって最も身につけやすい学力定着の仕方はどちらなのかを選択する。このように3つの教育プロセスに分け、それぞれのプロセスにおいて生徒の個性にマッチした方法を選択することにより最適な指導が可能になる。
【0048】
図12は、本発明の最良の形態に係る作成システム3の機能ブロック図である。同図に示すように本発明の作成システム3は、教育プロセスパターン決定手段3a、個性パターン選定手段3b及び個性別学習教材作成手段3cの機能を有するサーバ1及び診断データベース2から構成されている。各コンピュータ端末から送信された個性診断テストの回答を受信したサーバ1がその回答のデータ処理を行い、各生徒の5因子(A〜E)データを作成してそのデータを診断データベース2に格納し、教育プロセスパターン決定手段3aは、入力されたデータに基づいて、解説方法プロセス、説明方法プロセス及び学習方法プロセスの2パターンの何れかのデータを出力し、個性パターン選定手段3bは、この2パターンデータに基づいて学習指導指針及び学習の進め方の情報をコンピュータ端末4に出力し、生徒情報を次の機能処理手段である個性別学習教材作成手段3cに出力する。該個性別学習教材作成手段3cは、この生徒情報、確認チェックテストの結果及び正解テーブルのデータに基づいて、生徒の個性に適合した個性別学習教材の情報を出力する。
【0049】
図13から図15は、作成システム3における図12で示した教育プロセスパターン決定手段の処理の流れを説明するフローチャートである。診断データベース2には、上述したFFS理論に基づき作成された80問の質問、基準の教育パターンテーブル及び基準の解説パターンテーブル、確認チェックテスト、個性別学習教材の情報等が格納されており、学校のコンピュータ端末から80問の質問の生徒の回答データ、確認チェックテストの回答データが送信されると、作成システム3はこれらデータの演算処理を行い、診断データベース2の生徒情報の個性診断欄に格納する(図11参照)。
【0050】
図13に示されたフローチャートにおいて、作成システム3は、診断データベースの生徒情報を呼び出す(ステップS1)。前記生徒情報のデータ番号は、1からNまでの通し番号で構成されており、aの初期値として1を設定し(ステップS2)、aがNより小か等しいかを判断し(ステップS3)、Yesであればデータ番号1の生徒情報の個性診断欄のC(弁別性)のポイント値を抽出し(ステップS4)、C(弁別性)が10より大か等しいかを判断して(ステップS5)Yesであれば、解説方法プロセスの論理欄にフラグ「1」を立てて診断データベース2に格納する(ステップS6)。Noであれば、解説方法プロセスの感覚欄にフラグ「1」を立てて診断データベース2に格納する(ステップS7)。続いて整数1を加算して(ステップS8)上記したステップS3からステップS8までの処理をaがNと等しくなるまで継続する。ステップ3でNoと判断されれば図14に示す(1)の処理に進む。
【0051】
図14に示されたフローチャートにおいて、ステップS21からステップS23及びステップS30は図13の処理と同じであるので省略する。作成システム3は、個性診断データの5つの因子であるA(凝縮性)からE(保全性)のポイント値の中から各ポイント値を比較して最高のポイント値の因子を特定する(ステップS24)。その特定された因子がB(受容性)か否かを判断して(ステップS25)、YesであればB(受容性)の次に高いポイントの因子を特定し、特定した因子がA(凝縮性)、E(保全性)ならば説明方法プロセスの演繹欄に、C(弁別性)、D(拡散性)ならば説明方法プロセスの帰納欄にフラグを立て、生徒情報ファイルに格納する(ステップS26)。ステップ5でNoであれば特定された因子がA(凝縮性)、E(保全性)か否かを判断して(ステップS27)、Yesであれば説明方法プロセスの演繹欄にフラグ「1」を立てて生徒情報ファイルに格納する(ステップS28)。Noであれば説明方法プロセスの帰納欄にフラグ「1」を立てて生徒情報ファイルに格納する(ステップS29)。以下、aがNと等しくなるまで継続して処理を行い、ステップ3でNoと判断されれば図15に示す(2)の処理に進む。
【0052】
図15に示されたフローチャートにおいて、ステップS31からステップS33及びステップS38は図13の処理と同じであるので省略する。作成システム3は、生徒情報ファイルのD(拡散性)とE(保全性)のポイント値を抽出して(ステップS34)、そのD(拡散性)のポイント値がとE(保全性)のポイント値より大であるかを判断して(ステップS35)、Yesであれば学習方法プロセスのFステップ欄にフラグ「1」を立てて生徒情報ファイルに格納する(ステップS36)。Noであれば学習方法プロセスのSステップ欄にフラグ「1」を立てて生徒情報ファイルに格納する(ステップS37)。以下、aがNと等しくなるまで継続して処理を行い、ステップS33でNoと判断されれば教育プロセスパターン決定手段3aの処理は終了する。
【0053】
上記した実施例では、各種教育プロセスのパターンを決定するために生徒情報ファイルの処理として、該生徒情報ファイルを解説方法プロセス、説明方法プロセス及び学習方法プロセスの順番に各教育プロセスの2パターンを決定するフローチャートで説明したが、生徒情報ファイルのデータ番号、例えばデータ番号1について解説方法プロセス、説明方法プロセス及び学習方法プロセスの順番に各教育プロセスの2パターンを決定して、続いてデータ番号2の生徒情報を各教育プロセスの2パターンを決定するように、データ番号Nの生徒情報まで処理して終わらせても良いことは、当業者であれば理解できることである。即ち、図13のステップS7の後に図14のステップS24からステップS29の処理を行い、その後、図15のステップS34からステップS37の処理を行い、続いてデータ番号2の生徒情報を処理してデータ番号Nの生徒情報まで処理して終わらせても良い。
【0054】
図16は、作成システム3における個性パターン選定手段3bの処理の流れを説明するフローチャートである。この個性パターン選定手段3bは、生徒情報をデータ番号順に呼び出して8種類の個性パターンの何れに属するかを特定して、特定された個性パターンに対応した学習指導指針及び学習の進め方の情報を出力する機能を有するものである。診断データベース2から生徒情報および基準個性パターンテーブル(図8参照)を呼び出し(ステップS41、S42)、aの初期値として1を設定し(ステップS43)、aがNより小か等しいかを判断し(ステップS44)、Yesであれば生徒情報ファイルのデータ番号1の各種教育プロセスに立てられたフラグ「1」と前記呼び出された基準の個性パターンテーブルと対比して、基準の個性パターンテーブルの何れのパターン番号であるか特定し(ステップS45)、そのパターン番号を生徒情報ファイルの個性パターン欄に記載する(ステップS46)。続いて整数1を加算して(ステップS47)上記したステップ4からステップ7までの処理をaがNと等しくなるまで継続する。
【0055】
ステップ4でNoと判断されれば、生徒情報ファイルに格納された個性パターン欄のパターン番号を呼び出すと共に、診断データベース2に事前に格納されている、8種類のパターン番号ごとの学習指導指針及び学習の進め方の情報を出力する(ステップS48)。なお、ステップS48の処理は、全ての生徒情報ファイルのパターン番号を特定した後に学習指導指針等の情報を出力しているが、ステップS46の後に学習指導指針等の情報の出力を行っても良い。
【0056】
図17は、確認チェックテストを作成する処理の流れを説明するフローチャートである。該確認チェックテストは、作成システム3における個性別学習教材作成手段3cに、入力する確認チェックテストの結果を得るためのテストである。言い換えれば、図12における個性別学習教材作成手段3cの入力データである、確認チェックテストの結果を生成するための確認チェックテストを作成するフローチャートである。診断データベース2から生徒情報、学力定着度診断テストの正解テーブル及び学力定着度診断テストの結果を呼び出し(ステップS51、S52、S53)、aの初期値として1を設定し(ステップS54)、aがNより小か等しいかを判断し(ステップS55)、Yesであれば学力定着度診断テストの正解テーブルと学力定着度診断テストの結果を対比して、誤った項目を特定して(ステップS56)、その誤った項目についての確認チェックテストを作成して診断データベース2に格納する(ステップS57)。続いて整数1を加算して(ステップS58)上記したステップS55からステップS58までの処理をaがNと等しくなるまで継続する。ステップ5でNoと判断されれば誤った項目についての確認チェックテストを出力する(ステップS59)。
【0057】
図18は、作成システム3における個性別学習教材作成手段3cの処理の流れを説明するフローチャートである。この個性別学習教材作成手段3cは、診断データベース2から生徒情報、基準の解説パターンテーブル、基準の教材パターンテーブル、確認チェックテストの正解テーブル及び確認チェックテストの結果の各データを呼び出し(ステップS61からS65)、aの初期値として1を設定し(ステップS66)、aがNより小か等しいかを判断し(ステップS67)、Yesであれば生徒の確認チェックテストの解答データである結果を呼び出し、確認チェックテストの正解テーブルと確認チェックテストの結果を対比し、誤った項目を特定して診断データベース2にそのデータを格納する(ステップS68)。生徒情報の学習方法プロセスのフラグデータを検索してSステップかFステップかを特定し(ステップS69)、生徒情報の解説及び説明方法プロセスのデータを抽出して基準の解説パターンテーブルと対比を行い、生徒の解説パターン番号1から4のいずれの番号であるかを特定して、生徒情報の解説パターン欄にその番号データを記載する(ステップS70)。基準の教材パターンテーブルと学習方法プロセスおよび解説パターンの各データを対比し教材パターン欄に記載して生徒情報ファイルに格納する(ステップS71)。続いて整数1を加算して(ステップS72)上記したステップS67からステップS72までの処理をaがNと等しくなるまで継続する。ステップS67でNoと判断されれば、診断データに格納されていた誤った項目のデータと、生徒情報ファイルに格納された学習方法プロセスのデータおよび教材パターンの番号データの各データに基づいて個性別教材の情報を出力する(ステップS73)。その出力された情報をインターネットを介してコンピュータ端末4に送信する。
【0058】
なお、上記の実施形態の説明において、8種類の個性パターン番号、4種類の解説パターン番号及び8種類の教材パターン番号の例を示したが、これらのパターン番号に限定する必要はなく各パターンを特定できるものであれば如何なる記号を用いても良いものである。したがって、これらのパターン番号を「パターン特定データ」と称する。
【0059】
また、上記の実施形態の説明において、基準教育プロセスパターンテーブル、基準解説パターンプロセステーブル、基準教材パターンプロセステーブル及び生徒情報ファイルのテーブルの例を示したが、本願発明はこれらのテーブルに限定されるものではないので、これらのテーブルを「基準解説パターンプロセスのデータ」、「基準解説パターンプロセスのデータ」、「基準教材パターンプロセス及び生徒情報ファイルのデータ」と称する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の個性別教育情報作成システム3に用いられるコンピュータネットワーク網を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る作成システム3とコンピュータ端末4との間の、各種情報の流れの概要を説明するための流れ図である。
【図3】個性診断と学習スタイルの選択画面を示す図である。
【図4】8種類の個性パターンのうちの個性パターン3及び個性パターン5の例を示す図である。
【図5】8種類の教材パターンのうち教材パターン6の例を説明するための図である。
【図6】4種類の解説パターンのうち、解説パターン2の例を説明するための図である。
【図7】4種類の解説パターンのうち、解説パターン3の例を説明するための図である。
【図8】個性パターンを特定する際に用いられる8種類の基準個性パターンテーブルである。
【図9】解説パターンを特定する際に用いられる4種類の基準解説パターンテーブルである。
【図10】教材パターンを特定する際に用いられる8種類の基準教材パターンテーブルである。
【図11】診断データベース2に格納される生徒情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図12】作成システム3の機能ブロック図である。
【図13】作成システム3における図12で示した教育プロセスパターン決定手段の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図14】作成システム3における図12で示した教育プロセスパターン決定手段の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図15】作成システム3における図12で示した教育プロセスパターン決定手段の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図16】作成システム3における個性パターン選定手段3bの処理の流れを説明するフローチャートである。
【図17】確認チェックテストを作成する処理の流れを説明するフローチャートである。
【図18】作成システム3における個性別学習教材作成手段3cの処理の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 サーバ
2 データベース
3 個性別教育情報作成システム
4 コンピュータ端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供の教育のための教育情報を作成するシステムに関し、詳しくは、個々の子供の個性にマッチした指導を行うための指導指針及び学習の進め方と個性別の学習教材を作成する個性別教育情報作成システム記録媒体及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正確な個性診断を行うための手法として、組織心理学者でもある小林惠智氏が提唱しているFive Factors and Stress理論(以下「FFS理論」という。)がよく知られている。そのFFS理論は1983年から米軍組織に導入され、人の個性は五つの因子、即ち、凝縮性、受容性、弁別性、拡散性、保全性及びストレスで決まるとされている。80の質問に答えると各因子の強弱が数値化され、高い数値を示す二、三の因子がその人の個性をあらわす代表的な因子になる。日本の大手の製造メーカ等がこのFFS理論を組織の活性化のために利用している(非特許文献1)。
【0003】
一方、各種の企業、団体等における各プロジェクトと人材との適材適所(マッチング)を可能な限り追求し、各企業に現在存在する、或いは今後構成され実現する各種(いろいろな各分野の各種類の構成体)のプロジェクトに対して、最良の人材を配置し、けっして人材のミスマッチ現象を起さないようにするために、各プロジェクトメンバーの個性を80問の回答データからFFS理論を使用して判断し、そのプロジェクトに適材適所な人材であるか否か等の適性診断を行うことができるプロジェクト人材診断システムが提案されている。(特許文献1)
【0004】
【特許文献1】特開2001−273396号公報 (第8頁、第1図)
【非特許文献1】Asahi Shimbun Weekly、「AERA 」、2000(第25〜28頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように会社等の組織体において、FFS理論で個々人の個性の診断を行い、組織においてどの様な組み合わせが最適であるかを決め、組織の活性化を向上させる基礎理論として、FFS理論を用いて人事管理が行われている。即ち、組織体の中で個々人の個性を発揮させる組み合わせを判断する際に、FFS理論を用いて組織の活性化を図っている。
【0006】
一方、教育関係者からFFS理論を子供の教育に用いて、学習効果の向上を図る研究が行われているところである。生徒一人一人の得手不得手、強み弱みといった個性を正確に知り、その生徒の個性に適した教師を選定して生徒を指導するのに、FFS理論が用いられている。
【0007】
しかしながら、今日の学校教育は、すべて一斉授業の形式の集団教育であり、そのために数学、国語、英語等の教科学習では個人差が大きく学校の進度に着いていけない生徒の数が年々増え続けているのではないかと危惧されている。今日の集団教育の限界を感じているものの、集団教育において教師が個別指導を行うことは不可能である。しかし、それは学校及び学習塾の教師の責任ではなく、生徒の個性や学習環境を正確に把握し、又個々の学力の実態を詳細に評価・管理できるようなツールが存在しておらず、集団教育において教師が個別指導を行うことが不可能なためである。
【0008】
そこで、本発明は、FFS理論により集団教育を受けている生徒の個性を把握して、その生徒の個性に合った指導するための指導指針及び学習の進め方の情報を作成するシステムを提供し、そして、上記指導指針及び学習の進め方に基づいて生徒の個別指導を行った後に、その生徒の習得程度を確認する確認チェックテストの解答の結果に基づいて、生徒の個性及び学力の定着度に合った学習教材を自動的に選択し、且つ学習の手順が生徒の進捗状況に合わせてナビゲートする、個性別学習教材のための情報を作成するシステム、記録媒体及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための発明は、以下のように特定される。
本願第1発明は、FFS理論を用いた個性診断テストに対する生徒の回答を入力するコンピュータ端末とインターネットを介して接続されており、生徒情報を格納した学習スタイル診断データベースを有し、前記コンピュータ端末から送信された前記生徒の回答を集計して得られた結果から、生徒の個性をFFS理論の因子データに基づき特定する個性別教育情報作成システムにおいて、前記FFS理論の因子データに基づき、異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンの何れのパターンに属するかを決定する教育プロセスパターン決定手段と、前記学習スタイル診断データベースから呼び出された基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比して、生徒の属する教育プロセスパターンを特定し、その教育プロセスパターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する教育プロセスパターン選定手段とを備えることにより、上記課題を解決している。
【0010】
本願第2発明は、前記教育プロセスパターン決定手段が、前記学習スタイル診断データベースから生徒情報のC因子のポイント値を抽出し、その因子のポイント値が所定値より大か等しいかにより論理的解説か感覚的解説かを判断することにより、上記課題を解決している。
【0011】
本願第3発明は、前記教育プロセスパターン決定手段が、前記学習スタイル診断データベースから生徒情報の5つの因子のポイント値を抽出し、そのポイント値の中から最高のポイント値の因子を特定して、その特定された因子がB因子であればB因子の次に高いポイント値の因子を特定し、特定した因子がA又はE因子ならば演繹的説明とし、その特定された因子がB因子でなければA又はE因子かを判断して、そうであれば演繹的説明とし、そうでなければ帰納的説明とすることにより、上記課題を解決している。
【0012】
本願第4の発明は、前記教育プロセスパターン決定手段が、前記学習スタイル診断データベースから生徒情報のD因子とE因子のポイント値を抽出し、D因子とE因子のポイント値を比較して、E因子のポイント値が大であればスモールステップ学習とし、E因子のポイント値が小であれば目標設定型フリーステップ学習とすることにより、上記課題を解決している。
【0013】
本願第5の発明は、前記異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンが、解説方法プロセス、説明方法プロセス及び学習方法プロセスからなることにより、上記課題を解決している。
【0014】
本願第6の発明は、前記教育プロセスパターン選定手段が、8種類の教育プロセスパターンを有する基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比することにより、上記課題を解決している。
【0015】
本願第7の発明は、学力定着度診断テストの解答に基づいて、誤った項目についての認識チェックテストを作成してコンピュータ端末4に送信し、その後に該コンピュータ端末4から送信された確認チェックテストの解答に基づいて誤った項目を特定して、生徒コードに基づき学習スタイル診断データベースから学習方法プロセスのデータを抽出してパターンを特定し、解説及び説明方法プロセスのデータを抽出して基準の解説パターンデータと対比を行い、解説パターンのデータを特定した後、基準教材パターンデータと前記特定された学習方法プロセス及び解説パターンのデータを対比し、教材パターンのデータを特定して個性別教材の情報を出力する個性別学習教材作成手段を更に備えたことにより、上記課題を解決している。
【0016】
本願第8の発明は、前記教育プロセスパターン選定手段が、8種類の教材パターンを有する基準教材パターンと前記特定された学習方法プロセス及び解説パターンのデータを対比することにより、上記課題を解決している。
【0017】
本願第9の発明は、FFS理論を用いた個性診断テストに対する生徒の回答を入力するコンピュータ端末とインターネットを介して接続されており、生徒情報を格納した学習スタイル診断データベースを有し、前記コンピュータ端末から送信された前記生徒の回答を集計して得られた結果から、生徒の個性をFFS理論の因子データに基づき特定する個性別教育情報作成システムを、前記FFS理論の因子データに基づき、異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンの何れのパターンに属するかを決定する教育プロセスパターン決定手段と、前記学習スタイル診断データベースから呼び出された基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比して、生徒の属する教育プロセスパターンを特定し、その教育プロセスパターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する教育プロセスパターン選定手段、として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体により、上記課題を解決している。
【0018】
本願第10の発明は、FFS理論を用いた個性診断テストに対する生徒の回答を入力するコンピュータ端末とインターネットを介して接続されており、生徒情報を格納した学習スタイル診断データベースを有し、前記コンピュータ端末から送信された前記生徒の回答を集計して得られた結果から、生徒の個性をFFS理論の因子データに基づき特定する個性別教育情報作成システムを、前記FFS理論の因子データに基づき、異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンの何れのパターンに属するかを決定する教育プロセスパターン決定手段と、前記学習スタイル診断データベースから呼び出された基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比して、生徒の属する教育プロセスパターンを特定し、その教育プロセスパターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する教育プロセスパターン選定手段、として機能させるためのプログラムにより、上記課題を解決している。
【発明の効果】
【0019】
FFS理論により集団教育を受けている生徒の個性を的確に把握して、その的確に把握された生徒の個性に最もあった指導するための指導指針及び学習の進め方の情報を提供することが可能となり、教師はその情報に基づいて生徒の個性を尊重した指導が可能となり、またその生徒の個性にあった学習の進め方により確実な学習の習得が可能となった。更に、上記指導指針及び学習の進め方に基づいて生徒の個別指導を行った結果を現す、確認チェックテストの結果に基づいて、生徒の個性及び学力の定着度に合った学習教材の情報を提供することが可能となり、得手不得手な科目を堅実に消化することが可能となった。特に、個人別、個性別の学習教材を作成することは従来不可能であったが、本個性別教育情報作成システムにより個人別、個性別の学習教材の作成が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
個性を分析するためのFFS理論の質問は、合計で80問からなり、回答欄は「はい」、「どちらでもない」及び「いいえ」の3つから構成されている。80問のうち50問は5つの因子(凝縮性、受容性、弁別性、拡散性及び保全性(以下、これらの因子を「A、B、C、D、E」という))に関する質問であり、回答によるポイントは、「はい」が2ポイント、「どちらでもない」が1ポイント、「いいえ」が0ポイントとし、そのポイントの合計の値により5つの因子の強さが特定される。
【0021】
5つの因子がどの様な因子であるかを以下に説明する。A(凝縮性)は、自己確立の為に対面する出来事、周囲の主張などが自分に都合がよい場合は取り入れて強化し維持するが、都合が悪い場合は廃絶しようとする因子であり、父性ともいえる因子である。特性としては指導的ではあるが逆に独善的になる場合がある。B(受容性)は、対面する出来事や周囲の主張などを自分の状態や状況に関わり無く積極的に受け入れようとする因子であり、母性ともいえる因子である。特性としては養育的ではあるが逆に介入的になる場合がある。
【0022】
C(弁別性)は、自分の心的状態や置かれた状況が、自分の周囲や又は経緯などにおいて適正であるか不適正であるか、二つに分別しようとする因子であり、傾向が弱い場合は、感覚的直感的である。特性としては論理的ではあるが逆に機械的になる場合がある。D(拡散性)は、自分を維持しようとするときに自分の心的、動的な力を発揮することで外部の力を積極的に利用しようとする方法を選択させる因子であり、主に遊牧系民族に強い傾向がみられる因子である。特性としては活動的ではあるが逆に衝動的になる場合がある。E(保全性)は、自分を維持しようとするときに自分の心的、動的な力の損失が最も少なくなるような方法を選択させる因子で、主に定住系民族に強い傾向がみられる因子である。特性としては協調的ではあるが逆に追随的になる場合がある。
【0023】
他の20問は、質問に対応する信頼度をチェックするものである。子供ではほとんどないことであるが、大人の場合には自分をよく見せたいとの気持ちから質問に素直に回答しない場合が起こるので、この20問の質問で回答の信頼度をチェックする。コンピュータはこの70問の回答されたポイントを合計するが、各因子の合計のポイントは最大で20ポイントである。残りの10問は現在の緊張状態を表すストレス度を測定するものであり、5因子を特定するものとしては使用していない。80問の質問は、例えば、「他人の言葉をさえぎっても自分の考えを述べる傾向にある」、「思ったことは、すぐに口に出してしまう」等の簡単なものから構成されている。上述したようにこのFFS理論に基づいて作成される80問の質問、そして、その回答に基づいて生徒の個性を5因子に特定することは、既に知られていることである。
【0024】
以下、図面を参照して本発明の最良の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の個性別教育情報作成システム3(以下「作成システム3」という。)に用いられるコンピュータネットワーク網を示すブロック図である。作成システム3はサーバ1と学習スタイル診断データベース2(以下「診断データベース2」という)から構成されており、又このコンピュータネットワーク網は、アプリケーションサービスプロバイダ(以下「ASP」という。)の作成システム3と各学校のコンピュータ端末4とをインターネット用コンピュータネットワーク網を介して接続されている。作成システム3をASPに設置する代わりに教育委員会単位で設置することも可能である。学校内では校内イントラネットで各教室にコンピュータ端末を設置して、その端末の画面を通じて生徒に質問の回答又は解答を入力させても良いし、質問用紙に生徒の回答又は解答を記入してもらいその結果を教師がコンピュータ端末から入力しても良い。又各家庭のコンピュータ端末を通じて生徒に質問の回答又は解答を入力させても良い。
【0025】
図2は、本発明に係る作成システム3とコンピュータ端末4との間の、各種情報の流れの概要を説明するための流れ図である。図1の説明で既述したように、一つの例としてASPの作成システム3は、校内イントラネットで各教室に設置されているコンピュータ端末4と、インターネット用コンピュータネットワーク網を介して接続されている。生徒はコンピュータ端末4でURLを指定して表示された画面中のID及びパスワードの入力欄に、生徒のID及びパスワードを入力して作成システム3に送信すると、作成システム3から個性診断又は学習スタイルを選択する診断システム画面(図3参照)が送信されてコンピュータ端末4の画面上に表示される。該個性診断の選択により送信される個性診断テストは、上記したように広く知られていることなので詳細には説明しないが、個性診断テストの流れについての概要が以下に説明されている。コンピュータ端末4から各生徒の個性診断テストの回答が作成システム3に送信され、該作成システム3はその回答の結果から5因子の各因子のポイント数を演算処理してそのポイント数がデータベース2に格納されている。
【0026】
生徒はコンピュータ端末4でURLを指定して表示された画面中のID及びパスワード入力欄に、ID及びパスワードを入力するか、生徒名一覧から生徒名を特定するかして作成システム3に送信すると、作成システム3から個性診断又は学習スタイルを選択する診断システム画面が送信されて、コンピュータ端末4上に表示される。
【0027】
図3は個性診断と学習スタイルの選択画面を示す図である。表示画面の中央部のデータ入力欄には「データ種別」の下に「個別診断」と「学習スタイル診断」が、「画面」の下に「画」及び「一覧」の下に「覧」のボタンがそれぞれ設けられている。個性診断テストを画面で回答したい場合は「画」のボタンを押下し、質問用紙で回答する場合は「覧」のボタンを押下する。学習スタイル診断テストを画面で閲覧したい場合は「画」のボタンを押下し、質問用紙で閲覧する場合は「覧」のボタンを押下する。
【0028】
データ入力項目のデータ種別の個性診断欄にある「画」のボタンを押す(1)と、FFS理論に基づく80問の個別診断テストが、作成システム3からコンピュータ端末4に送信されて(2)表示される。回答欄の「はい」、「どちらでもない」及び「いいえ」の3つから1つを選択して、80問の質問に対して全て回答した後、その回答データを作成システム3に送信する(3)。作成システム3は、個性診断テストの回答の結果から得られた5因子のポイント値から学習指導指針及び学習の進め方の8種類の個性パターンを特定し、その特定された個性パターンにより学習指導指針及び学習の進め方の情報を送信する(4)。
【0029】
教師は、前記学習指導指針及び学習の進め方の情報に基づいて、生徒の学習の指導及び学習の進め方を実践すると共に、教師が生徒の学力定着度を診断したいときには、ID及びパスワードを入力した後、学力定着度診断の入力画面から教科の選択、単元別又は全てなのかを選択して「実行」ボタンを押す(5)ことにより、作成システム3にその選択された情報が送信される(入力画面は省略)。
【0030】
作成システム3から学力定着度テストが送信され(6)、生徒が解答したテスト結果を作成システム3に送信する(7)。作成システム3は、そのテスト結果のうち誤った解答の質問について、類似の質問からなる確認チェックテストを送信する(8)。この確認チェックテストは、生徒が質問について理解していなためなのか、誤解によるものなのかを判断するために行うテストである。生徒が解答したテスト結果を作成システム3に送信する(9)。作成システム3は、そのテスト結果及び生徒情報の学習方法プロセス及び解説パターンのデータに基づいて個性別学習教材の情報を送信する(10)。
【0031】
図4は、8種類の個性パターンのうちの個性パターン3及び個性パターン5の例を示す図である。教師が生徒の学習指導を行う上で、生徒がある事象を理解させるために、その生徒にとって最も理解しやすい「解説方法」、教師が生徒にどのように説明したらよいかといった「説明方法」、生徒が理解したものを身に付けるための「学習方法」の3つのプロセスが適切に選択されることが重要である。そして、それぞれのプロセスにおいて生徒の個性にマッチした方法を選択することにより最適な指導が可能である。
【0032】
各プロセスは2パターンから構成されており、各プロセス毎のパターンを以下に説明する。教師がある事象を説明する場合、生徒によって理解の仕方が2種類あり、これはその生徒が左脳(論理的、分析的働き)と右脳(直感的、総合的)のどちらの思考方法を得意としているかによって決まっている。論理的に解説する方が理解しやすい生徒と、感覚的に説明する方が理解しやすい生徒の2種類の生徒がいる。これはC(弁別生)のポイントが10点以上の場合はデジタル系、10点未満はアナログ系と表現している。デジタル系の場合は数字と言葉により理路整然と論理的解説を行い、アナログ系の場合は絵や写真などの具体的なイメージを抱けるような感覚的な解説を行う。このような「説明方法」は、「論理的解説」及び「感覚的な解説」と表記する。
【0033】
教師がある事象を説明する場合、生徒によってその説明の仕方に適切に対応できる生徒とそれに適切に対応できない生徒がいる。「説明方法」とは説明の方法論のことをいい、「帰納法的説明」と「演繹法的説明」の2種類に分かれる。これは5つの因子A、B、C、D、Eのポイント(0〜20点)の中で最も高いポイントを得た因子がその生徒の個性を決定づける因子であり、その因子を第一因子という。以下に第一因子毎にどちらの説明が適切かを示す。タイプAは「演繹法的説明」、タイプBは「帰納法的説明」と「演繹法的説明」のどちらでも良く、タイプCは「帰納法的説明」、タイプDは「帰納法的説明」、タイプEは「演繹法的説明」が適切である。
【0034】
なお、この最良の形態では、5つの因子の最高ポイントを20として説明しているが、この20に限定されるものではない。上記したCポイントの値が10以上より大か等しいかにより、論理的説明か感覚的説明かの判断を行う例を示したが、この判断のポイント値は、最高ポイント値が30であれば15であり、このように最高ポイント値に依存するものである。
【0035】
理解できた事象を自分のものにするためには個性に適した学習方法で確実に身に付けていく必要がある。これは5つの因子のうち気質因子であるD、Eの因子が関係しており、D、Eを比べてどちらの因子が高いかによって以下の様になる。D>Eの場合は学力の到達目標を指導者が設定し、それをどの様なスケジュールで達成するかは生徒に計画案を出させ、あくまでも生徒の意志で計画を作成し、教師は計画に対するアドバイスのみを与える。基本的には月次のスケジュールを作成する。このことを「フリーステップ学習」と表記する。D<=Eの場合は学力の到着目標を教師が仮に作成してそれを生徒と共に可能かどうかを確認しながら正式な計画に仕上げていき、目標値は小さなステップに分ける。基本的には日次のスケジュールを作成する。このことを「スモールステップ学習」と表記する。前記「学習方法」は、「フリーステップ学習」と「スモールステップ学習」から構成されている。
【0036】
このように「解説方法」、「説明方法」及び「学習方法」の各プロセスは、2パターンを有しており、したがって、個性パターンは全体では8パターンとなっている(図8及び図11参照)。上述したように図4はそのうちの個性パターン3と個性パターン5を説明するための図である。図2の(4)で示した各プロセスのパターンとその各パターに適した学習指導指針と学習の進め方の情報が、作成システム3からコンピュータ端末4に送信されてくる。
【0037】
個性パターン3の指導指針としては、「人の話を良く聞き入れて物事を肯定的に受け止める事ができるタイプなので、学習の必要性を理解させること、すなわち学力を伸ばすことの大切さを納得させることが重要です。好きな教科あるいは興味のもてる教科を中心に学習すれば必ず成果は出ます。細かい指示は必要ありませんが、月ごとの目標(ゴール)は明確にします。苦手な分野はその後に取り組むことにします。物事を説明するときは数字や言葉で順序良く理論的に解説することが大切です。」という指導指針が出力される。生徒の個性に適合する指導指針が具体的に示されていることにより、教師は各生徒の個性を尊重した教育指導を進めることができる。
【0038】
個性パターン3の学習の進め方としては、進め方1として「自分の得意教科、得意分野をつくることを第一目標にします。得意な教科では授業が楽しくなるような予習に重点をおきます。すなわち、事前に副読本などで調査を行い、疑問点を明確にして授業にのぞむなどのくふうをします。疑問点を残さず、確実に解決しながら進むようにします。」、進め方2として「苦手な分野を克服するには、自分の弱点箇所の理由をしっかり認識する必要があります。苦手分野を克服するための努力は熱心に行うので、着実に一歩ずつ課題をクリアしていきます。達成したら一緒に喜ぶことが意欲を起こさせる大きな要素です。」という学習の進め方が出力される。進め方1では、得意な分野の進め方が、進め方2では、苦手な分野の進め方が示され、生徒の個性に適合する学習の進め方が具体的に示されていることにより、教師は各生徒の個性を尊重した学習を進めることができる。個性パターン5も上記個性パターン3と同様に、生徒の個性に適合する指導指針及び学習の進め方が具体的に示されていることにより、教師は各生徒の個性を尊重した教育指導及び学習を進めることができる。教師は、上記した個性パターン3及び5の例で示したような、学習指導指針及び学習の進め方の情報に基づいて、生徒の学習を指導する際にその指導指針及び学習の進め方を実践する。
【0039】
図5は、8種類の教材パターンのうち教材パターン6の例を説明するための図である。図2の(10)で示したように、作成システム3がそのテスト結果及び生徒情報の学習方法プロセス及び解説パターンのデータに基づいて個性別学習教材(8種類の教材パターン)の情報をコンピュータ端末4に送信する(10)。教材パターンは上記した「解説方法」と「説明方法」により解説パターンが決定され、そして、学習方法プロセスによってフリーステップ学習が適しているのかスモールステップが適しているのかを決定して教材パターンが選択される(図9から図11参照)。
【0040】
教材パターン6が選択されるのは、5因子の最大の値がB又はC又はDでC因子の値が10ポイント以上(解説パターン3)で、またBとEの値を比較してD>Eの場合(フリーステップ学習)に選択される。フリーステップ学習の場合、まず課題をいつまでに達成するかの目標を設定し、問題を解いていく順序は本人に任せて自由に選択できるようにする。途中をいくつか飛ばしていくことも可能であるが、最後に確認チェックテストが必ず実施され全てが正解なるまでは先に進めない。
【0041】
図6は、4種類の解説パターンのうち解説パターン2の例を説明するための図である。5因子の最大の値がA又はEでC因子の値が10ポイント未満の場合、やさしい問題から始めだんだんと難易度の高い問題へとステップを踏んで答えさせていき、基本的には3段論法で論理を展開していく。時計の「はり」と時刻を常に対比させイメージでとらえられるようにする。
【0042】
図7は、4種類の解説パターンのうち解説パターン3の例を説明するための図である。5因子の最大の値がB又はC又はDでC因子の値が10ポイント以上の場合、生徒は自分で思った所へ「はり」を動かし、その時刻は何時何分であるかを体験的に知ることができる。自らの経験から結果を予測させ、又試行錯誤を繰り返す過程で、時計のはりと時刻との関係の法則性を学んでいく。
【0043】
図8は、各種教育プロセスにより個性パターンを特定する際に用いられる8種類の基準個性パターンテーブルである。該テーブルは、各生徒の個性診断テストの回答の結果に基づき、作成システム3の教育プロセスパターン決定手段3aが、以下の図16で示すフローチャートにより8種類の個性パターンの何れに属するかを判断する際の、基準となるテーブルである。この8種類の個性パターンが特定されることにより、そのパターンに応じた学習指導指針・学習の進め方の情報が作成システム3から出力される。
【0044】
図9は、解説パターンを特定する際に用いられる4種類の基準解説パターンテーブルである。該基準解説パターンテーブルは、生徒情報ファイルの解説方法プロセスと説明方法プロセスにより、4種類の解説パターンの何れに属するかを判断する際の、基準となるテーブルである。
【0045】
図10は、教材パターンを特定する際に用いられる8種類の基準教材パターンテーブルである。該基準教材パターンテーブルは、生徒情報ファイルの学習方法プロセスと上記解説パターンにより、8種類の教材パターンの何れに属するかを判断する際の、基準となるテーブルである。この8種類の教材パターンが特定されることにより、そのパターンに応じた個性別教材の情報が作成システム3から出力される。
【0046】
図11は、診断データベース2に格納される生徒情報のデータ構造の一例を示す図である。該生徒情報には、生徒を特定する情報(ID、名前等)及び生徒の個性を特定する情報(個性診断、各種教育プロセス等)が格納され、各レコードは生徒のコンピュータ端末4から送信される5因子データに基づいて生成される。生徒情報は、具体的には、データ番号(No)、ID(生徒コード)、名前、学年クラス、性別、個性診断、解説方法プロセス、説明方法プロセス、学習方法プロセス、個性パターン、解説パターン、教材パターン等の各欄を含んでいる。個性診断は、個性診断テストの結果から5因子の値を算出したもので、最高値が20である。解説方法プロセス、説明方法プロセス及び学習方法プロセス(以下、これらを総称して「教育プロセス」という。)は、各プロセスが異なる2つのパターンに分かれており、前記5因子の値に基づいて何れのパターンに属するかが特定されフラッグ「1」が立てられる。個性パターンの欄には、前記フラッグ「1」の状況に基づいて8種類の個性パターンが特定され、1から8の値が格納される。
【0047】
なお、解説方法プロセスの欄には、論理的解説及び感覚的解説の各欄を含んでおり、生徒に学習指導を行う上で、その生徒にとって最も理解しやすい解説の仕方はどちらなのかを選択する。説明方法プロセスの欄には、演繹的説明及び機能的説明の各欄を含んでおり、指導者が生徒説明する上で、その生徒にとって最も理解しやすい説明の仕方はどちらなのかを選択する。そして、学習方法プロセスの欄には、スモールステップ学習(以下「Sステップ学習」という。)及び目標設定型フリーステップ学習(以下「Fステップ学習」という。)の各欄を含んでおり、生徒が理解したものを身につける上で、その生徒にとって最も身につけやすい学力定着の仕方はどちらなのかを選択する。このように3つの教育プロセスに分け、それぞれのプロセスにおいて生徒の個性にマッチした方法を選択することにより最適な指導が可能になる。
【0048】
図12は、本発明の最良の形態に係る作成システム3の機能ブロック図である。同図に示すように本発明の作成システム3は、教育プロセスパターン決定手段3a、個性パターン選定手段3b及び個性別学習教材作成手段3cの機能を有するサーバ1及び診断データベース2から構成されている。各コンピュータ端末から送信された個性診断テストの回答を受信したサーバ1がその回答のデータ処理を行い、各生徒の5因子(A〜E)データを作成してそのデータを診断データベース2に格納し、教育プロセスパターン決定手段3aは、入力されたデータに基づいて、解説方法プロセス、説明方法プロセス及び学習方法プロセスの2パターンの何れかのデータを出力し、個性パターン選定手段3bは、この2パターンデータに基づいて学習指導指針及び学習の進め方の情報をコンピュータ端末4に出力し、生徒情報を次の機能処理手段である個性別学習教材作成手段3cに出力する。該個性別学習教材作成手段3cは、この生徒情報、確認チェックテストの結果及び正解テーブルのデータに基づいて、生徒の個性に適合した個性別学習教材の情報を出力する。
【0049】
図13から図15は、作成システム3における図12で示した教育プロセスパターン決定手段の処理の流れを説明するフローチャートである。診断データベース2には、上述したFFS理論に基づき作成された80問の質問、基準の教育パターンテーブル及び基準の解説パターンテーブル、確認チェックテスト、個性別学習教材の情報等が格納されており、学校のコンピュータ端末から80問の質問の生徒の回答データ、確認チェックテストの回答データが送信されると、作成システム3はこれらデータの演算処理を行い、診断データベース2の生徒情報の個性診断欄に格納する(図11参照)。
【0050】
図13に示されたフローチャートにおいて、作成システム3は、診断データベースの生徒情報を呼び出す(ステップS1)。前記生徒情報のデータ番号は、1からNまでの通し番号で構成されており、aの初期値として1を設定し(ステップS2)、aがNより小か等しいかを判断し(ステップS3)、Yesであればデータ番号1の生徒情報の個性診断欄のC(弁別性)のポイント値を抽出し(ステップS4)、C(弁別性)が10より大か等しいかを判断して(ステップS5)Yesであれば、解説方法プロセスの論理欄にフラグ「1」を立てて診断データベース2に格納する(ステップS6)。Noであれば、解説方法プロセスの感覚欄にフラグ「1」を立てて診断データベース2に格納する(ステップS7)。続いて整数1を加算して(ステップS8)上記したステップS3からステップS8までの処理をaがNと等しくなるまで継続する。ステップ3でNoと判断されれば図14に示す(1)の処理に進む。
【0051】
図14に示されたフローチャートにおいて、ステップS21からステップS23及びステップS30は図13の処理と同じであるので省略する。作成システム3は、個性診断データの5つの因子であるA(凝縮性)からE(保全性)のポイント値の中から各ポイント値を比較して最高のポイント値の因子を特定する(ステップS24)。その特定された因子がB(受容性)か否かを判断して(ステップS25)、YesであればB(受容性)の次に高いポイントの因子を特定し、特定した因子がA(凝縮性)、E(保全性)ならば説明方法プロセスの演繹欄に、C(弁別性)、D(拡散性)ならば説明方法プロセスの帰納欄にフラグを立て、生徒情報ファイルに格納する(ステップS26)。ステップ5でNoであれば特定された因子がA(凝縮性)、E(保全性)か否かを判断して(ステップS27)、Yesであれば説明方法プロセスの演繹欄にフラグ「1」を立てて生徒情報ファイルに格納する(ステップS28)。Noであれば説明方法プロセスの帰納欄にフラグ「1」を立てて生徒情報ファイルに格納する(ステップS29)。以下、aがNと等しくなるまで継続して処理を行い、ステップ3でNoと判断されれば図15に示す(2)の処理に進む。
【0052】
図15に示されたフローチャートにおいて、ステップS31からステップS33及びステップS38は図13の処理と同じであるので省略する。作成システム3は、生徒情報ファイルのD(拡散性)とE(保全性)のポイント値を抽出して(ステップS34)、そのD(拡散性)のポイント値がとE(保全性)のポイント値より大であるかを判断して(ステップS35)、Yesであれば学習方法プロセスのFステップ欄にフラグ「1」を立てて生徒情報ファイルに格納する(ステップS36)。Noであれば学習方法プロセスのSステップ欄にフラグ「1」を立てて生徒情報ファイルに格納する(ステップS37)。以下、aがNと等しくなるまで継続して処理を行い、ステップS33でNoと判断されれば教育プロセスパターン決定手段3aの処理は終了する。
【0053】
上記した実施例では、各種教育プロセスのパターンを決定するために生徒情報ファイルの処理として、該生徒情報ファイルを解説方法プロセス、説明方法プロセス及び学習方法プロセスの順番に各教育プロセスの2パターンを決定するフローチャートで説明したが、生徒情報ファイルのデータ番号、例えばデータ番号1について解説方法プロセス、説明方法プロセス及び学習方法プロセスの順番に各教育プロセスの2パターンを決定して、続いてデータ番号2の生徒情報を各教育プロセスの2パターンを決定するように、データ番号Nの生徒情報まで処理して終わらせても良いことは、当業者であれば理解できることである。即ち、図13のステップS7の後に図14のステップS24からステップS29の処理を行い、その後、図15のステップS34からステップS37の処理を行い、続いてデータ番号2の生徒情報を処理してデータ番号Nの生徒情報まで処理して終わらせても良い。
【0054】
図16は、作成システム3における個性パターン選定手段3bの処理の流れを説明するフローチャートである。この個性パターン選定手段3bは、生徒情報をデータ番号順に呼び出して8種類の個性パターンの何れに属するかを特定して、特定された個性パターンに対応した学習指導指針及び学習の進め方の情報を出力する機能を有するものである。診断データベース2から生徒情報および基準個性パターンテーブル(図8参照)を呼び出し(ステップS41、S42)、aの初期値として1を設定し(ステップS43)、aがNより小か等しいかを判断し(ステップS44)、Yesであれば生徒情報ファイルのデータ番号1の各種教育プロセスに立てられたフラグ「1」と前記呼び出された基準の個性パターンテーブルと対比して、基準の個性パターンテーブルの何れのパターン番号であるか特定し(ステップS45)、そのパターン番号を生徒情報ファイルの個性パターン欄に記載する(ステップS46)。続いて整数1を加算して(ステップS47)上記したステップ4からステップ7までの処理をaがNと等しくなるまで継続する。
【0055】
ステップ4でNoと判断されれば、生徒情報ファイルに格納された個性パターン欄のパターン番号を呼び出すと共に、診断データベース2に事前に格納されている、8種類のパターン番号ごとの学習指導指針及び学習の進め方の情報を出力する(ステップS48)。なお、ステップS48の処理は、全ての生徒情報ファイルのパターン番号を特定した後に学習指導指針等の情報を出力しているが、ステップS46の後に学習指導指針等の情報の出力を行っても良い。
【0056】
図17は、確認チェックテストを作成する処理の流れを説明するフローチャートである。該確認チェックテストは、作成システム3における個性別学習教材作成手段3cに、入力する確認チェックテストの結果を得るためのテストである。言い換えれば、図12における個性別学習教材作成手段3cの入力データである、確認チェックテストの結果を生成するための確認チェックテストを作成するフローチャートである。診断データベース2から生徒情報、学力定着度診断テストの正解テーブル及び学力定着度診断テストの結果を呼び出し(ステップS51、S52、S53)、aの初期値として1を設定し(ステップS54)、aがNより小か等しいかを判断し(ステップS55)、Yesであれば学力定着度診断テストの正解テーブルと学力定着度診断テストの結果を対比して、誤った項目を特定して(ステップS56)、その誤った項目についての確認チェックテストを作成して診断データベース2に格納する(ステップS57)。続いて整数1を加算して(ステップS58)上記したステップS55からステップS58までの処理をaがNと等しくなるまで継続する。ステップ5でNoと判断されれば誤った項目についての確認チェックテストを出力する(ステップS59)。
【0057】
図18は、作成システム3における個性別学習教材作成手段3cの処理の流れを説明するフローチャートである。この個性別学習教材作成手段3cは、診断データベース2から生徒情報、基準の解説パターンテーブル、基準の教材パターンテーブル、確認チェックテストの正解テーブル及び確認チェックテストの結果の各データを呼び出し(ステップS61からS65)、aの初期値として1を設定し(ステップS66)、aがNより小か等しいかを判断し(ステップS67)、Yesであれば生徒の確認チェックテストの解答データである結果を呼び出し、確認チェックテストの正解テーブルと確認チェックテストの結果を対比し、誤った項目を特定して診断データベース2にそのデータを格納する(ステップS68)。生徒情報の学習方法プロセスのフラグデータを検索してSステップかFステップかを特定し(ステップS69)、生徒情報の解説及び説明方法プロセスのデータを抽出して基準の解説パターンテーブルと対比を行い、生徒の解説パターン番号1から4のいずれの番号であるかを特定して、生徒情報の解説パターン欄にその番号データを記載する(ステップS70)。基準の教材パターンテーブルと学習方法プロセスおよび解説パターンの各データを対比し教材パターン欄に記載して生徒情報ファイルに格納する(ステップS71)。続いて整数1を加算して(ステップS72)上記したステップS67からステップS72までの処理をaがNと等しくなるまで継続する。ステップS67でNoと判断されれば、診断データに格納されていた誤った項目のデータと、生徒情報ファイルに格納された学習方法プロセスのデータおよび教材パターンの番号データの各データに基づいて個性別教材の情報を出力する(ステップS73)。その出力された情報をインターネットを介してコンピュータ端末4に送信する。
【0058】
なお、上記の実施形態の説明において、8種類の個性パターン番号、4種類の解説パターン番号及び8種類の教材パターン番号の例を示したが、これらのパターン番号に限定する必要はなく各パターンを特定できるものであれば如何なる記号を用いても良いものである。したがって、これらのパターン番号を「パターン特定データ」と称する。
【0059】
また、上記の実施形態の説明において、基準教育プロセスパターンテーブル、基準解説パターンプロセステーブル、基準教材パターンプロセステーブル及び生徒情報ファイルのテーブルの例を示したが、本願発明はこれらのテーブルに限定されるものではないので、これらのテーブルを「基準解説パターンプロセスのデータ」、「基準解説パターンプロセスのデータ」、「基準教材パターンプロセス及び生徒情報ファイルのデータ」と称する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の個性別教育情報作成システム3に用いられるコンピュータネットワーク網を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る作成システム3とコンピュータ端末4との間の、各種情報の流れの概要を説明するための流れ図である。
【図3】個性診断と学習スタイルの選択画面を示す図である。
【図4】8種類の個性パターンのうちの個性パターン3及び個性パターン5の例を示す図である。
【図5】8種類の教材パターンのうち教材パターン6の例を説明するための図である。
【図6】4種類の解説パターンのうち、解説パターン2の例を説明するための図である。
【図7】4種類の解説パターンのうち、解説パターン3の例を説明するための図である。
【図8】個性パターンを特定する際に用いられる8種類の基準個性パターンテーブルである。
【図9】解説パターンを特定する際に用いられる4種類の基準解説パターンテーブルである。
【図10】教材パターンを特定する際に用いられる8種類の基準教材パターンテーブルである。
【図11】診断データベース2に格納される生徒情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図12】作成システム3の機能ブロック図である。
【図13】作成システム3における図12で示した教育プロセスパターン決定手段の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図14】作成システム3における図12で示した教育プロセスパターン決定手段の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図15】作成システム3における図12で示した教育プロセスパターン決定手段の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図16】作成システム3における個性パターン選定手段3bの処理の流れを説明するフローチャートである。
【図17】確認チェックテストを作成する処理の流れを説明するフローチャートである。
【図18】作成システム3における個性別学習教材作成手段3cの処理の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 サーバ
2 データベース
3 個性別教育情報作成システム
4 コンピュータ端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FFS理論を用いた個性診断テストに対する生徒の回答を入力するコンピュータ端末とインターネットを介して接続されており、生徒情報を格納した学習スタイル診断データベースを有し、前記コンピュータ端末から送信された前記生徒の回答を集計して得られた結果から、生徒の個性をFFS理論の因子データに基づき特定する個性別教育情報作成システムにおいて、
前記FFS理論の因子データに基づき、異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンの何れのパターンに属するかを決定する教育プロセスパターン決定手段と、
前記学習スタイル診断データベースから呼び出された基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比して、生徒の属する教育プロセスパターンを特定し、その教育プロセスパターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する教育プロセスパターン選定手段とを備えることを特徴とする個性別教育情報作成システム。
【請求項2】
前記教育プロセスパターン決定手段は、前記学習スタイル診断データベースから生徒情報のC因子のポイント値を抽出し、その因子のポイント値が所定値より大か等しいかにより論理的解説か感覚的解説かを判断することを特徴とする請求項1に記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項3】
前記教育プロセスパターン決定手段は、前記学習スタイル診断データベースから生徒情報の5つの因子のポイント値を抽出し、そのポイント値の中から最高のポイント値の因子を特定して、その特定された因子がB因子であればB因子の次に高いポイント値の因子を特定し、特定した因子がA又はE因子ならば演繹的説明とし、その特定された因子がB因子でなければA又はE因子かを判断して、そうであれば演繹的説明とし、そうでなければ帰納的説明とすることを特徴とする請求項1に記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項4】
前記教育プロセスパターン決定手段は、前記学習スタイル診断データベースから生徒情報のD因子とE因子のポイント値を抽出し、D因子とE因子のポイント値を比較して、E因子のポイント値が小であれば目標設定型フリーステップ学習とし、E因子のポイント値が大であればスモールステップ学習とすることを特徴とする請求項1に記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項5】
前記異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンは、解説方法プロセス、説明方法プロセス及び学習方法プロセスからなることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項6】
前記教育プロセスパターン選定手段は、8種類の教育プロセスパターンを有する基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項7】
学力定着度診断テストの解答に基づいて、誤った項目についての認識チェックテストを作成してコンピュータ端末4に送信し、その後に該コンピュータ端末4から送信された確認チェックテストの解答に基づいて誤った項目を特定して、生徒コードに基づき学習スタイル診断データベースから学習方法プロセスのデータを抽出してパターンを特定し、解説及び説明方法プロセスのデータを抽出して基準の解説パターンデータと対比を行い、解説パターンのデータを特定した後、基準教材パターンデータと前記特定された学習方法プロセス及び解説パターンのデータを対比し、教材パターンのパターン特定データを特定して個性別教材の情報を出力する個性別学習教材作成手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項8】
前記教育プロセスパターン選定手段は、8種類の教材パターンを有する基準教材パターンと前記特定された学習方法プロセス及び解説パターンのデータを対比することを特徴とする請求項7に記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項9】
FFS理論を用いた個性診断テストに対する生徒の回答を入力するコンピュータ端末とインターネットを介して接続されており、生徒情報を格納した学習スタイル診断データベースを有し、前記コンピュータ端末から送信された前記生徒の回答を集計して得られた結果から、生徒の個性をFFS理論の因子データに基づき特定する個性別教育情報作成システムを、
前記FFS理論の因子データに基づき、異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンの何れのパターンに属するかを決定する教育プロセスパターン決定手段と、
前記学習スタイル診断データベースから呼び出された基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比して、生徒の属する教育プロセスパターンを特定し、その教育プロセスパターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する教育プロセスパターン選定手段、
として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】
FFS理論を用いた個性診断テストに対する生徒の回答を入力するコンピュータ端末とインターネットを介して接続されており、生徒情報を格納した学習スタイル診断データベースを有し、前記コンピュータ端末から送信された前記生徒の回答を集計して得られた結果から、生徒の個性をFFS理論の因子データに基づき特定する個性別教育情報作成システムを、
前記FFS理論の因子データに基づき、異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンの何れのパターンに属するかを決定する教育プロセスパターン決定手段と、
前記学習スタイル診断データベースから呼び出された基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比して、生徒の属する教育プロセスパターンを特定し、その教育プロセスパターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する教育プロセスパターン選定手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
FFS理論を用いた個性診断テストに対する生徒の回答を入力するコンピュータ端末とインターネットを介して接続されており、生徒情報を格納した学習スタイル診断データベースを有し、前記コンピュータ端末から送信された前記生徒の回答を集計して得られた結果から、生徒の個性をFFS理論の因子データに基づき特定する個性別教育情報作成システムにおいて、
前記FFS理論の因子データに基づき、異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンの何れのパターンに属するかを決定する教育プロセスパターン決定手段と、
前記学習スタイル診断データベースから呼び出された基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比して、生徒の属する教育プロセスパターンを特定し、その教育プロセスパターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する教育プロセスパターン選定手段とを備えることを特徴とする個性別教育情報作成システム。
【請求項2】
前記教育プロセスパターン決定手段は、前記学習スタイル診断データベースから生徒情報のC因子のポイント値を抽出し、その因子のポイント値が所定値より大か等しいかにより論理的解説か感覚的解説かを判断することを特徴とする請求項1に記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項3】
前記教育プロセスパターン決定手段は、前記学習スタイル診断データベースから生徒情報の5つの因子のポイント値を抽出し、そのポイント値の中から最高のポイント値の因子を特定して、その特定された因子がB因子であればB因子の次に高いポイント値の因子を特定し、特定した因子がA又はE因子ならば演繹的説明とし、その特定された因子がB因子でなければA又はE因子かを判断して、そうであれば演繹的説明とし、そうでなければ帰納的説明とすることを特徴とする請求項1に記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項4】
前記教育プロセスパターン決定手段は、前記学習スタイル診断データベースから生徒情報のD因子とE因子のポイント値を抽出し、D因子とE因子のポイント値を比較して、E因子のポイント値が小であれば目標設定型フリーステップ学習とし、E因子のポイント値が大であればスモールステップ学習とすることを特徴とする請求項1に記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項5】
前記異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンは、解説方法プロセス、説明方法プロセス及び学習方法プロセスからなることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項6】
前記教育プロセスパターン選定手段は、8種類の教育プロセスパターンを有する基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項7】
学力定着度診断テストの解答に基づいて、誤った項目についての認識チェックテストを作成してコンピュータ端末4に送信し、その後に該コンピュータ端末4から送信された確認チェックテストの解答に基づいて誤った項目を特定して、生徒コードに基づき学習スタイル診断データベースから学習方法プロセスのデータを抽出してパターンを特定し、解説及び説明方法プロセスのデータを抽出して基準の解説パターンデータと対比を行い、解説パターンのデータを特定した後、基準教材パターンデータと前記特定された学習方法プロセス及び解説パターンのデータを対比し、教材パターンのパターン特定データを特定して個性別教材の情報を出力する個性別学習教材作成手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項8】
前記教育プロセスパターン選定手段は、8種類の教材パターンを有する基準教材パターンと前記特定された学習方法プロセス及び解説パターンのデータを対比することを特徴とする請求項7に記載の個性別教育情報作成システム。
【請求項9】
FFS理論を用いた個性診断テストに対する生徒の回答を入力するコンピュータ端末とインターネットを介して接続されており、生徒情報を格納した学習スタイル診断データベースを有し、前記コンピュータ端末から送信された前記生徒の回答を集計して得られた結果から、生徒の個性をFFS理論の因子データに基づき特定する個性別教育情報作成システムを、
前記FFS理論の因子データに基づき、異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンの何れのパターンに属するかを決定する教育プロセスパターン決定手段と、
前記学習スタイル診断データベースから呼び出された基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比して、生徒の属する教育プロセスパターンを特定し、その教育プロセスパターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する教育プロセスパターン選定手段、
として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】
FFS理論を用いた個性診断テストに対する生徒の回答を入力するコンピュータ端末とインターネットを介して接続されており、生徒情報を格納した学習スタイル診断データベースを有し、前記コンピュータ端末から送信された前記生徒の回答を集計して得られた結果から、生徒の個性をFFS理論の因子データに基づき特定する個性別教育情報作成システムを、
前記FFS理論の因子データに基づき、異なる2パターンからなる各種教育プロセスパターンの何れのパターンに属するかを決定する教育プロセスパターン決定手段と、
前記学習スタイル診断データベースから呼び出された基準教育プロセスパターンと前記決定された教育プロセスパターンを対比して、生徒の属する教育プロセスパターンを特定し、その教育プロセスパターンに対応した学習指導方針及び学習の進め方の情報を出力する教育プロセスパターン選定手段、
として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
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【図15】
【図16】
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【図18】
【公開番号】特開2006−64880(P2006−64880A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245907(P2004−245907)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(304004096)株式会社エムプランニング (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(304004096)株式会社エムプランニング (1)
【Fターム(参考)】
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