説明

倒立検瓶機

【課題】瓶に充填された液体中の異物の有無を確実且つ能率的に検査し得る倒立検瓶機を提供する。
【解決手段】前後部が全面開放されて瓶を収容状態に保持させ得る収容空所25が設けられた瓶保持体5を有する。瓶保持体5は、収容空所25を有する保持部材12を支持部材10に、正逆回転可能に枢着する。瓶保持体5は、正立状態の瓶を傾斜倒立状態にするように傾動できる。照明装置139の照光により、後の全面開放部23を通して瓶を照光でき、前の全面開放部22を通して検瓶できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓶に充填された液体中に異物が混入しているか否かを該瓶を傾斜倒立状態にして検査する倒立検瓶機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
瓶に充填された液体中に異物が混入しているか否かを該瓶を傾斜倒立状態にして検査する倒立検瓶機が、例えば特開平7−128257号公報で提案されている。
【0003】
該倒立検瓶機は、図27(A)に示すように、液体aが充填された瓶bを保持する保持部材cを有し、該保持部材cは、上下対向する頂部dと底部eの後端部相互を後部連結部fで連結してなる略コ字状しており、該瓶bを該保持部材cに保持させる際は、前記瓶の瓶底部gを前記底部eに載せると共にその瓶口部hを前記頂部dで保持させるようになされていた。そして該保持部材cは、該頂部dに設けられた挿通孔jを上下摺動し得る摺動軸kの下端に、該瓶口部hを嵌め入れるための凹部mを具えたキャップ状保持片nが設けられており、瓶底部gが前記底部eに載置された状態で、瓶口部hを該凹部mに嵌め入れることができ、該嵌め入れた状態で、該キャップ状保持片nが該瓶口部hに向けてバネ部材oにより付勢される如く構成されていた。又、前記後部連結部fには、前記保持部材cに保持された状態にある瓶bの瓶胴部pを撮像するための撮像用開口部qが、該瓶胴部pと対向する状態で比較的小さく設けられていた。
【0004】
かかる構成を有する保持部材cは、その進行方向に沿って配設されたガードレールsに接触しており、該ガードレールsは、該保持部材cの進行方向に沿って上下及び左右になだらかに湾曲しており、該保持部材cが該ガードレールsに沿って進行するにつれて、該保持部材cは枢止部tを中心として回転し、瓶bは、図27(A)に示す正立状態から徐々に傾斜していき、図27(B)に示すように傾斜倒立状態になる。そして、該保持部材cがガードレールsに沿って更に進行すると、瓶bは図27(B)に示す傾斜倒立状態から徐々に起立方向に傾動していき、図27(C)に示す傾斜状態になるようになされていた。
【0005】
又、前記保持部材cの進行方向には、瓶bを正立状態から傾斜倒立状態にする際に瓶胴部pを撮像するための、第1の撮像装置uを構成する第1の照明装置vと第1のカメラwとが対向配置されると共に、該瓶bを傾斜倒立状態から正立状態に戻す際に瓶胴部pを撮像するための、第2の撮像装置xを構成する第2の照明装置yとカメラzが対向配置されていた。前記第1の撮像装置uのカメラw及び前記第2の撮像装置xのカメラzは、共に、前記後部連結部fの後側に配設されており、前記撮像用開口部qを通して瓶胴部pを撮像するものであった。
【0006】
かかる構成を有する倒立検瓶機によるときは、瓶bは、図27(A)に示す正立状態から徐々に傾斜していき、図27(B)に示すように傾斜倒立状態になる。このとき、瓶bの瓶底部g側にある異物は、瓶口部hに移動していく。この移動する異物を前記第1の撮像装置uの前記第1のカメラwで撮像する。前記第1の照明装置vの透過照明による明るい背景の内で暗く映る点を異物と判定することができる。前記保持部材cをガードレールsに沿って更に進行させると、瓶bは図27(B)に示す傾斜倒立状態から徐々に起立していき、図27(C)に示すように傾斜状態になる。このとき、瓶口部h側にある異物が瓶底部gに移動していく。この移動する異物を前記第2の撮像装置xの前記第2のカメラzで撮像する。前記第2の照明装置yの透過照明による明るい背景の内で暗く映る点を異物と判定することができる。
【0007】
かかることから該倒立検瓶機によるときは、瓶bを正立状態から傾斜倒立状態にする際と傾斜倒立状態から傾斜状態にする際の2回に亘って異物を撮像できる。従って、例え、異物を1回目の撮像時に捉えることができない場合があっても、2回目には捉えることができ、確実に異物の有無を判定することができるとされていた。
【0008】
しかしながら、かかる従来の倒立検瓶機によるときには次のような問題点があった。即ち、前記保持部材cに保持された状態にある瓶の全体に対して前記照明装置で光が照射されてはいても、撮像装置による撮像が、前記保持部材cの後部連結部fに設けられた比較的小さい撮像用開口部qを通して行われることから、撮像範囲が、該撮像用開口部qを通して見える瓶胴部pに限定された。その結果、沈降により液体中を移動する異物が存した場合にこの異物が撮像されるためには、液体中を沈降により移動する異物が、撮像時に該瓶胴部pに存在していなければならない。沈降により液体中を移動する異物が存したとしても、異物の沈降速度が大きくて、撮像時に瓶胴部pを既に通過していた場合や、異物の沈降速度が小さくて、撮像時に瓶胴部pに未だ達していない場合は、撮像されないことになる。このような場合は、異物の有無を判定することができないという問題点があったのである。
【0009】
そこで前記倒立検瓶機においては、例え異物を1回目の撮像時に捉えることができない場合があっても2回目には捉えることができるように、前記のように、瓶bを正立状態から傾斜倒立状態にする際と、傾斜倒立状態から傾斜状態にする際の2回に亘って異物を撮像することとしていたのである。
【0010】
このように従来の倒立検瓶機によるときは、異物の有無の判定を二重チェックせざるを得なかったのであり、仮に二重チェックによったとしても、撮像装置による撮像範囲が、比較的小さい前記撮像用開口部に限られたことから異物の有無の判定精度に限界があったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7−128257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、瓶を正立状態から傾斜倒立状態にする一工程において、液体中に存する異物の有無を確実に検査し得る倒立検瓶機の提供を課題とするものである。更に進んで、該検査を目視により行なう場合は、異物の混入が確認された瓶を該傾斜倒立状態において容易に除去し得る倒立検瓶機の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る倒立検瓶機は、瓶に充填された液体中に異物が混入しているか否かを検査する倒立検瓶機であって、前後部が全面開放されて前の全面開放部と後の全面開放部が設けられると共に該前の全面開放部を通して出し入れ可能に瓶を収容状態に保持させ得る収容空所を具えた瓶保持体を具えている。該瓶保持体は、正立状態にある前記瓶の瓶底部を保持し得る底部保持部と該瓶の瓶口部を保持し得る口部保持部との側部相互が側部連結部で連結されてなる保持部材を、該側部連結部に設けた枢着部で支持部材に枢着してなり、正逆回転装置により、該枢着部を中心として、正立状態で保持されてなる該瓶を、前記瓶口部が該枢着部よりも下に位置する傾斜倒立状態に傾動させると共に該傾斜倒立状態から正立状態に逆回転させるようになされている。そして、該瓶が傾斜倒立状態にあっても前記瓶底部と前記瓶口部が前記底部保持部と前記口部保持部で保持されるようになされており、且つ、傾斜倒立状態とされた前記瓶に向けて前記後の全面開放部を通して光線を照射する照明装置が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る倒立検瓶機において、前記底部保持部は、前記瓶底部の両瓶側部と瓶後部の移動を規制するように該瓶底部を前側から出し入れ可能に保持する前方開放の保持凹部を有する底部囲み部を水平面に設けたものとし、且つ、前記口部保持部は、前記瓶口部の両瓶側部と瓶後部の移動を規制するように該瓶口部を前側から出し入れ可能に保持する前方開放の保持凹部を有する口部囲み部を水平面に設けるのがよい。
【0015】
前記倒立検瓶機において、前記口部囲み部に設けられている前記保持凹部の前端開放部の前記水平面側に、脱落防止部を設け、正立状態にある前記瓶保持体に前記瓶を収容状態に保持させる際は、前記瓶口部が該脱落防止部に当たることなく、前記瓶底部を、その下面を前記底部保持部の水平面に当接させた状態で、該水平面をスライドさせて前記底部囲み部の保持凹部に保持させることができると共に、該瓶が傾斜倒立状態においては、前記瓶口部の上面が前記口部保持部の水平面に当接し且つ該瓶口部が前方に移動しようとしたときは、前記脱落防止部が該瓶口部を前方側から支持するようになし、更に、この状態で該瓶が傾斜上方に持ち上げられることによって該瓶口部が該脱落防止部から外れ、これにより、該瓶を前記前の全面開放部を通して取り外し可能となすのがよい。
【0016】
前記倒立検瓶機において、前記側部連結部の、前記保持部材に保持されている瓶の瓶口部側との対向部において、前の全面開放部側で開放し且つ後方に凹んで瓶口部側の側方部分のスペースを広くする瓶取り外し容易化凹部を設けるのがよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る倒立検瓶機は、前後部が全面開放されて前の全面開放部と後の全面開放部が設けられると共に該前の全面開放部を通して出し入れ可能に瓶を収容状態に保持させ得る収容空所を具えた瓶保持体を具えている。そして、該瓶保持体を構成する保持部材を、正逆回転装置によって、正立状態で保持されてなる瓶を傾斜倒立状態に傾動させるように正回転させると共に該瓶を該傾斜倒立状態から正立状態に戻すように逆回転させるように構成されている。
【0018】
従って本発明によるときは、瓶を正立状態から傾斜倒立状態にする一工程において、瓶に充填された液体中に存する異物の有無を、該傾斜倒立状態の瓶に向けて前記後の全面開放部を通して照射される光線により該液体を明るく照らして瓶の全体において確実に検査することができる。
【0019】
(2) 本発明に係る倒立検瓶機を構成する前記保持部材が具える底部保持部と口部保持部が、前方に開放する保持凹部を有する底部囲み部と口部囲み部を具えるときは、検瓶をオペレータの目視観察により行なう場合、異物が検出された傾斜倒立状態の瓶を、底部囲み部と口部囲み部の前方側、即ちオペレータ側に向けて容易に取り外すことができる。
【0020】
(3) 本発明に係る倒立検瓶機が、前記口部保持部に設けられている口部囲み部に前記脱落防止部が設けられているときは、傾斜倒立状態にある瓶が前方に不用意に移動しようとした際、瓶口部が該脱落防止部に当たることによってその移動が阻止され、これにより、傾斜倒立状態の瓶の保持の安定性向上が図られることになる。
【0021】
かかる脱落防止部を具えてはいても、検瓶の際に異物が検出された瓶をオペレータが取り外す際は、オペレータが手で瓶口部側を摘んだ状態で該傾斜状態にある瓶を傾斜方向の上側に向けて、該瓶口部が該脱落防止部に当たらないように一旦持ち上げることにより、この状態で瓶を手前(オペレータ側)に取り外すことができる。そして、このように脱落防止部が設けられてはいても、正立状態にある瓶保持体に瓶を収容状態に保持させる際は、瓶口部が脱落防止部に当たらないため、該瓶を収容空所に障害なく収容させることができる。
【0022】
(4) 前記側部連結部に、瓶取り外し容易化凹部が設けられている場合は、前記瓶口部側の側方部分のスペースが広くなるため、オペレータが該瓶口部側を手で把持して不良の瓶を取り外す際、その取り外し作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る倒立検瓶機を示す斜視図である。
【図2】その瓶保持体に瓶(一升瓶)を正立状態で収容した状態を示す斜視図である。
【図3】その瓶を傾斜倒立状態にした斜視図である。
【図4】倒立検瓶機の構成を説明する分解斜視図である。
【図5】倒立検瓶機の瓶保持体に瓶を正立状態で出し入れする構成を説明する側面図である。
【図6】瓶保持体の底部保持部と口部保持部に、瓶底部と瓶口部を嵌め入れた状態を示す平面図である。
【図7】瓶保持体の口部保持部の構成を示す斜視図である。
【図8】検瓶用の第1の搬送コンベアの上側走行部に、瓶保持体を一列に取り付けた状態を示す側面図である。
【図9】正逆回転装置を構成するレール部材の導入側の上の水平レール部と下降側の傾斜レール部の構成を、瓶の搬送状態と共に示す斜視図である。
【図10】正逆回転装置を構成するレール部材の上昇側の傾斜レール部と導出側の上の水平レール部の構成を、瓶の搬送状態と共に示す斜視図である。
【図11】正逆回転装置を構成するレール部材の構成を照明装置と共に示す斜視図である。
【図12】瓶保持体に保持された瓶を正立状態から稍傾斜させた状態を示す側面図である。
【図13】瓶保持体に保持された瓶を傾斜倒立状態とした側面図である。
【図14】受け渡し用の第2の搬送コンベアを搬送されている瓶を、第1の搬送コンベアの瓶保持体に保持させる構成を説明する正面図である。
【図15】第2の搬送コンベアを搬送されている瓶を、割出し装置によって一定間隔毎に下流側に移動させる工程を説明する平面図である。
【図16】第2の搬送コンベアを搬送されている瓶を瓶保持体に収容させて後、該瓶を徐々に倒立状態にし、その後、正立状態に戻して第2の搬送コンベアに移載させる工程を説明する斜視図である。
【図17】第2の搬送コンベアの下流端側において、瓶保持体に収容されている瓶を第2の搬送コンベアに移載させる工程を説明する平面図である。
【図18】瓶保持体に収容されている瓶を第2の搬送コンベアに押し出す工程を説明する側面図である。
【図19】瓶取り外し容易化凹部が設けられていない瓶保持体における瓶の取り外しにくさを説明する斜視図と側面図である。
【図20】脱落防止部が設けられた口部保持部の構成を説明する斜視図と断面図である。
【図21】その口部保持部を具える瓶保持体を正立状態から傾斜倒立状態とした後、不良の瓶を取り外す工程を説明する側面図である。
【図22】瓶保持体の他の構成を、五合瓶を保持した状態で示す斜視図である。
【図23】片持ち連結構造の瓶保持体を示す斜視図である。
【図24】その瓶保持体を第1の搬送コンベアの上側走行部に一列に取り付けた状態を、両持ち連結構造の瓶保持体を該上側走行部に一列に取り付けた状態と比較して示す説明図である。
【図25】傾斜倒立状態にある瓶を軸線回りに回転させるための瓶回転用バーを具える倒立検瓶機を説明する側面図である。
【図26】底部保持部と口部保持部の他の構成を説明する平面図である。
【図27】従来の倒立検瓶機を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0024】
図1〜3において本発明に係る倒立検瓶機1は、透明又は半透明の瓶(例えば一升瓶)2に充填された透明又は半透明の液体3中に異物が混入されているか否かを検査するものであり、該瓶2を収容状態に保持させ得る、前後部が全面開放されてなる瓶保持体5を具えている。そして該瓶保持体5を、正逆回転装置6によって、正立状態で保持されてなる瓶2を傾斜倒立状態に傾動させるように正回転させると共に該瓶2を該傾斜倒立状態から正立状態に戻すように逆回転させるように構成されている。
【0025】
該瓶保持体5は図1、図4に示すように、台座片7の対向した側部(後述の瓶保持体5の進行方向で見た前後の側部)で支持片9,9を対向状態に立設してなる支持部材10と、該支持部材10の該両支持片9,9の上端部分11,11に正逆回転可能に枢着されて前記瓶2を出し入れ可能の収容状態に保持し得る保持部材12とを具えている。該保持部材12は図1〜2、図5に示すように、正立状態にある前記瓶2の瓶底部13を保持し得る底部保持部15と、該瓶2の瓶口部16を保持し得る口部保持部17の左右の側部19,20、19,20相互が左右の側部連結部21,21で連結されてなる上下に長い長方形状枠体として構成されており、該保持部材12の前後部は全面開放されて、前の全面開放部22と後の全面開放部23とされており、該前の全面開放部22を通して前記瓶2を、該保持部材12の内側部分をなす収容空所25に出し入れ可能となされている。
【0026】
該保持部材12をより具体的に説明すれば、前記底部保持部15は図4に示すように、前記両側部連結部21,21に連結される、矩形板状の底板26と、該底板26の上面に載置状態で着脱可能に固定される底部保持板27とから構成されている。該底部保持板27は、前記瓶底部13を前側から出し入れ可能に保持する前方開放の保持凹部29を有する底部囲み部30が設けられている。該底部囲み部30は、前記瓶底部13の下面31を支持する上面(水平面)32の両側部位と後側部位に、両側部規制片33,33と後部規制片35が突設されており、該両側部規制片33,33と該後部規制片35とによって、図6(A)に示すように、前記瓶底部13の両瓶側部36,36と瓶後部37の移動を規制するようになされている。該両側部規制片33,33の前側部分の内側面39,39は傾斜面に形成されることによって、前記保持凹部29の開放端側の部分40は、前記保持凹部29への瓶底部13の嵌め入れを容易化するために拡開されている。そして、該底部保持板27の中央部位の両側に位置させて、前記瓶底部13を前記のように出し入れする際の滑りを良好とするために滑り部材41,41が設けられている。
【0027】
かかる構成を有する該底部保持板27は、図4に矢印で示すように、前記底板26の上面34にその前側から水平スライドにより載置され、その後部両側部位に設けられた固定ピン42,42の下端係合部を前記底板26の後部両側部位に設けた係合孔45に係合させることにより、該上面34と、前記側部連結部21,21の内面下端側に突設された浮き上がり防止片38,38との間で挾持されて前記底板26に固定でき、これにより前記底部保持部15(図1)が構成される。
【0028】
前記底部囲み部30の前記保持凹部29に、図6(A)に示すように、その前端開放部44を通して瓶底部13を嵌め入れることにより、該瓶底部13の両瓶側部36,36と瓶後部37の移動が規制された状態で該瓶底部13が該底部囲み部30に保持されることになる。ここに、該両瓶側部36,36の移動が規制されるとは、該瓶底部13が該保持凹部29に密接状態となることの他、該保持凹部29への瓶底部13の嵌め入れを支障なく行ない得るように、該瓶底部13が保持凹部29内において左右方向で若干移動できる規制状態を含むものである。
【0029】
又、前記口部保持部17は図6(B)、図7に示すように、矩形板状を呈し、その下面(水平面48)の中央部に位置させて口部囲み部46が設けられている。該口部囲み部46は本実施例においては、前端が開放しており後方に向けて幅狭となるU字状の保持凹部47が設けられている。そして、封止された前記瓶口部16を該保持凹部47に、その前端開放部49を通して嵌め入れることにより、前記瓶口部16の両瓶側部36,36と瓶後部37の移動が前記口部囲み部46によって規制された状態で前記口部保持部17で保持されることになる。ここに、該両瓶側部36,36の移動が規制されるとは、前記瓶口部16が前記保持凹部47に密接状態となることの他、該瓶口部16が前記保持凹部47内において左右方向で若干移動できる規制状態を含むものである。
【0030】
又、前記口部保持部17の上面54の中央部位には、図1に示すように、軸部50が上方に向けて突設されると共に該軸部50の上端に転動体51が、該軸部50の軸線回りに回転自在に枢着されている。
【0031】
又、前記保持部材12を構成する前記左右の側部連結部21,21は、本実施例においては同様の構成を有している。図4に示すように、前記口部保持部17と前記底部保持部15が上下対向するように見たとき、垂直を呈する下の垂直側片52の上端53に、後方に向けて上方に屈曲する傾斜側片55が連設されると共に、該傾斜側片55の上端56に、垂直を呈して上方に延長する上の垂直側片57が連設され、該上の垂直側片57の上端59に、前方に向けて突出する前方側片60が連設されてなる。そして、瓶底部13を前記底部保持部15に載せて前記収容空所25に瓶2を収容した状態で前記瓶2が図3に示すように傾斜倒立状態を呈したとき、該瓶2の肩部61から瓶口部16に至る瓶口部側(本実施例においては瓶細径部63a)63を、後述のように手で容易に把持できるようにするために、前記傾斜側片55と前記上の垂直側片57と前記前方側片60とにより瓶取り外し容易化凹部65,65が形成されている。
【0032】
そして前記下の垂直側片52と前記傾斜側片55とのコーナ部で、前記傾動のための枢着部66が設けられており、該枢着部66は図4に示すように、前記支持片9の上端部分11に枢着されて、前記保持部材12が前記支持部材10に対して正逆回転可能となるように構成されている。該枢着部66は、本実施例においては、前記側部連結部21の上下長さの略中央部位に位置されている。そして、該保持部材12が前記支持部材10に枢着された状態で、図5に示すように、前記底部保持部15の下面69が前記台座片7から浮き上がっており、該保持部材12が該枢着部66を中心として、正立状態で保持されてなる瓶2を前記瓶口部16が前記枢着部66よりも下に位置するように傾斜した傾斜倒立状態(図3、図13)を呈するように、前記底部保持部15が前記台座片7と衝合することなく傾動可能となされている。
【0033】
なお本実施例においては瓶保持体5の軽量化を図るために、図4に示すように、前記支持片9,9と前記側部連結部21に円形孔70が上下方向で並設されている。該側部連結部21に設けられている円形孔70は、瓶保持体5に収容されている瓶2が図3に示すような傾斜倒立状態を呈したときに、該保持されている瓶2に向けて側方からも光が照射されることにもなって好ましい。
【0034】
かかる構成を有する瓶保持体5は、図1〜3、図8に示すように、検瓶用の第1の搬送コンベア71の、水平で直線状を呈する上側走行部72に、その長さ方向に隣接した状態で一列に取り付けられる。該第1の搬送コンベア71は図8に示すように、駆動のスプロケット73と従動のスプロケット75をその水平な軸線を所要間隔を置いた平行状態にして配設すると共に、該2個のスプロケット73,75に、例えば、平行する2本のローラーチェーン76,76からなる搬送チェーン77を巻装して構成されている。以下、該第1の搬送コンベア71の一方の側を内側79といい、他方の側を外側80といい、この内側79に、検瓶のためのオペレータが配置される。
【0035】
そして図1〜3に示すように、該2本のローラーチェーン76,76間を連結するように、前記瓶保持体5を構成する前記支持部材10の台座片7が、該瓶保持体5の前記前の全面開放部22を該外側80に向けて、且つ、前記両支持片9,9を前記上側走行部72の走行方向で見た前後に位置させて取り付けられている。本実施例においては、隣り合う瓶保持体5,5の隣り合う支持片9,9は近接状態とされている。このように台座片7が取り付けられることよって、該第1の搬送コンベア71の周回により、前記瓶保持体5は、図8において、右から左に向けて移動する。
【0036】
図8において符号81で示すものは、前記正逆回転装置6を構成するレール部材である。該レール部材81は図8、図2、図9〜11に示すように、前記転動体51を前後から挾む、平行する内外のレール片82,83からなり、左右に位置し且つ同高さで水平に延長する上の水平レール部85,86(図8〜11)と、中央に位置し且つ該上の水平レール部85,86よりも一段下がった中央の下の水平レール部87(図8、図11、図3)とを具え、図11に示すように、左右に位置する上の水平レール部85,86と該下の水平レール部86の向き合う端部89,90、91,92相互が傾斜レール部93,95で滑らかに連結されている。
【0037】
これをより具体的に説明すれば、図9、図11に示すように、右に位置する上の水平レール部(導入側の上の水平レール部)86を構成する内外のレール片82,83は、水平で平行している。前記右の傾斜レール部(下降側の傾斜レール部)95の上端側96においては、前記外のレール片83が前記内のレール片82の外方側において、より上側に位置し、該右の傾斜レール部95の下端側においては、該外のレール片83が、該内のレール片82の上側に位置し且つ該内のレール片82よりも稍外側に位置する稍捩れた状態となっている。そして該下の水平レール部87においては、図11、図3に示すように、この状態が保持されており、該下の水平レール87の他端に、前記左の傾斜レール部(上昇側の傾斜レール部)93が連なり、該左の傾斜レール部93においては図10〜11に示すように、前記外のレール片83が前記内のレール片82の外側に位置し且つ稍上側に位置し、その上端99においては、外のレール片83と内のレール片82とが同高さにある稍捩れた状態となっている。そして、該内外のレール片82,83の上端は、図10〜11に示すように、左に位置する上の水平レール部(導出側の上の水平レール部)85を構成する内外のレール片82,83に連なる。
【0038】
かかる構成を有するレール部材81は、図8に示すように、前記左右に位置する上の水平レール部85,86において、取付部材100を介して機台の左右の支持部材101,101に取り付けられている。該取付部材100は例えば図5に示すように、コ字状に屈曲しており、その対向する垂下片102,102が内外のレール片82,83の外面部に固定されている。
【0039】
然して、右に位置する上の水平レール部86においては、図9、図12(A)に示すように、内外のレール片82,83が、瓶2を正立状態で保持してなる前記瓶保持体5の上端に設けられた前記転動体51を内外で挾む。該第1の搬送コンベア71の周回に伴い前記瓶保持体5が前記右の傾斜レール部95に向けて移動する。該右の傾斜レール部95においては、図9、図12(B)に示すように、前記捩れ状態の、上下配置で且つ内外のレール片82,83間で前記転動体51が挟まれた状態となることにより、該瓶保持体5の移動に伴って、該瓶保持体5が前記枢着部66を中心にして、正立状態から徐々に傾動する。そして、前記転動体51が前記下の水平レール部87に移ることにより、図3、図13に示すように、上下で内外に斜めに配設された内外のレール片82,83間で前記転動体51が挟まれた状態となり、該瓶保持体5の傾斜倒立状態が一定時間保持されることとなる。本実施例においては、前記枢着部66を含む水平面より下向きに45度傾斜した傾斜倒立状態となり、従って、該瓶保持体5に保持された瓶2は安定状態の傾斜倒立状態となる。
【0040】
本実施例においては、該下の水平レール部87で例えば4本の瓶が該傾斜倒立状態で並ぶように該下の水平レール部87の長さが設定されている。その後、前記転動体51が、図10に示すように、前記左の傾斜レール部93の前記捩れ状態の、上下配置で且つ内外のレール片82,83間で挟まれた状態となることにより、前記瓶保持体5の移動に伴って、該瓶保持体5が前記枢着部66を中心にして、傾斜倒立状態から正立状態に徐々に傾動する。その後、前記転動体51が、左に位置する前記上の水平レール部85の水平なレール片82,83間で挟まれた状態となることにより、瓶2は、前記第1の搬送コンベア71の周回に伴い正立状態を保持して下流側に移動する。
【0041】
又図14に示すように、前記第1の搬送コンベア71と平行する状態で、受け渡し用の第2の搬送コンベア106が配設され、該第2の搬送コンベア106は、上側走行部107が水平に形成されている。該上側走行部107は、前記底部保持部15を構成する前記底部保持板27の水平な上面(前記滑り部材41,41の上面)109(図1)と面一である搬送面110を形成するトップチェーン111を、左右両側に配設されたスプロケットに巻装してなる。該第2の搬送コンベア106は、前記第1の搬送コンベア71と同一速度で周回する。
【0042】
前記搬送面110を搬送される瓶2は、図14〜15に示すように、割出し装置115で一定要間隔に割り出されて該搬送面110を移動せしめられ、その瓶側面116が搬送方向の下流側に向けて強制移動装置117で移動せしめられるに伴い、ガイドバー119でガイドされつつ、移動する前記瓶保持体5の前記収容空所25にタイミングよく収容されるようになされている。瓶保持体5の後部が全面開放されているために、該収容空所25への瓶2の収容が容易に行われるのである。
【0043】
前記割出し装置115は、相互が接した状態で前記搬送面110を搬送される瓶2を、一定間隔に割り出して1個ずつ下流側に搬送させるものであり、前記搬送面110の搬送方向と直交する方向で伸縮し得るシリンダ120のロッド121の先端に、瓶2の搬送方向で見た前側の瓶側面116に当接し得る当接規制片122が設けられている。そして、該シリンダ120が伸長することにより該当接規制片122が、数珠繋がりとなった先頭の瓶2aの前側の瓶側面116を受け止めるようになされ、これにより先頭の瓶2aの搬送が阻止される。該当接規制片122が先頭の瓶2aを一定時間受け止めた後に該シリンダ120が図15(A)に示すように縮小すると、図15(A)に矢印で示すように、該先頭の瓶2aが搬送されることになる。その後、図15(B)に示すように該シリンダ120が直ちに伸長し、前記当接規制片122が、該先頭の瓶2aに隣り合っていた瓶2bの前側の瓶側面116に当接して該瓶2bの搬送を停止させる。これにより、1本づつの瓶2が前記一定間隔で順次搬送されることになるのである。
【0044】
前記ガイドバー119は、図14に示すように、平面視で、前記第2の搬送コンベア106の上側走行部107に、その搬送面110を横切るように設けられている。
【0045】
より具体的には、該ガイドバー119は、前記第1の搬送コンベア71の上側走行部72の上流端側123に隣接する部分においては前記搬送面110の外側部位に位置しており、該搬送面110に近接した高さ状態で且つ、前記上側走行部72に徐々に接近するように、前記搬送面110をその下流側に向けて横切るように設けられている。然して、前記搬送面110を搬送される瓶2は、該ガイドバー119にガイドされつつ移動して、移動する前記瓶保持体5の収容空所25に徐々に入り込む。図14においては、前記第1の搬送コンベア71の前記上側走行部72の上流端に位置する瓶保持体5aから数えて3つ目の瓶保持体5bの収容空所25に収容されるようになされている。
【0046】
前記強制移動装置117は、瓶2が前記ガイドバー119にガイドされて移動される際に、その移動時の押し戻し抵抗によって該瓶2がバックしないように該瓶2を、前記第1の搬送コンベア71と略同一速度で搬送方向に確実に押し出すものであり、前記第2の搬送コンベア106の外側において、該搬送方向に所要間隔を置いて軸線を平行にして配設された駆動スプロケット125と従動スプロケット126にチェーン125を巻装して構成されている。そして該チェーン125の外面部126に、該外面部126から直角に突設する押出し片127が前記割出し装置115の割り出し間隔毎に取り付けられており、該押出し片127の基端部129が、該周回するチェーン125の外面部126に固定されている。
【0047】
該押出し片127によって瓶2が前記搬送方向に押されることにより、前記ガイドバー119にガイドされる際の押し戻し抵抗によって生ずる瓶のバック作用が規制される。これにより瓶2は、搬送面110の搬送速度でガイドバー119にガイドされて搬送され、前記瓶保持体5の収容空所25に、前記前の全面開放部22を通して無理なく収容される。
【0048】
このように収容された瓶2は、図6(A)に示すように、その瓶底部13の両瓶側部36,36と瓶後部37の移動が前記両側部規制片33,33と後部規制片35で規制されることになる。又瓶口部62は、図6(B)に示すように、前記口部囲み部46の保持凹部47にその前端開放部49を通して嵌め入れられることになり、該嵌め入れられた状態で、該瓶口部16の両瓶側部36,36と瓶後部37の移動が規制されることになる。
【0049】
然して、瓶保持体5の収容空所25に収容された瓶2は、前記レール部材81と該瓶保持体5の枢着構造と前記転動体51とを具える前記正逆回転装置6の作動によって、前記したように、前記転動体51が前記導入側の上の水平レール部86を転動する間は正立状態で移動する(図9、図16のA部分)。その後、該転動体51が前記下降側の傾斜レール部95に達すると、図9、図16のB部分に示すように、前記瓶2は下向きに傾動し始め図13、図16のC部分に示すように、前記下の水平レール部86においては、図3、図16のC部分に示すように、該瓶2は下向きに45度傾斜した傾斜倒立状態となり、傾斜倒立状態にある瓶2の安定状態が保持されながら、該傾斜倒立状態が一定時間維持される。その後、図10、図16のD部分に示すように、該転動体51が前記上昇側の傾斜レール部93に達すると、該瓶2は上向きに傾動し始め、上昇側の傾斜レール部93の上端に該転動体51が達すると該瓶2は正立状態となり、図10、図16のE部分に示すように、該転動体51が前記導出側の上の水平レール部85を転動する間は該瓶2は正立状態を維持される。
【0050】
このように正立状態に戻った瓶2は、図17〜18、図16のF部分に示すように、瓶除去ゾーン144において、屈曲ガイド128によって前後方向で進退し得る押杆130の先端に排出片132が設けられてなる排出具133を具え、該押杆130の突出によって、前記瓶保持体5の後の全面開放部23を通して外方に押し出され、前記第2の搬送コンベア106に移載せしめられる。該排出具133は、前記転動体51が前記導出側の上の水平レール部85を転動しつつその下流端に移動する前記瓶保持体5に一個づつが対応して設けられており、周回装置134によって、該第2の搬送コンベア106と同速度で同一方向に移動する。該排出具133は、本実施例においては図17に示すように、周回装置134に取り付けられている。このようにして第2の搬送コンベア106に移載された瓶2は、ラベル張り工程等の次工程に搬送される。
【0051】
そして図11、図13、図16に示すように、前記下の水平レール部87と前記左右の傾斜レール部93,95が設けられている場所において、前記第1の搬送コンベア71の外側(検瓶ゾーン138と反対の側)に位置させて、傾斜倒立状態とされた前記瓶2に向けて前記後の全面開放部23を通して光線を照射する照明装置139が設けられている。該照明装置139は例えば図11、図13に示すように、前記第1の搬送コンベア71の搬送方向に延長する上下4本の蛍光灯140,140、140,140を用いて構成されており、該4本の蛍光灯は、前記瓶2の傾斜倒立状態に略合わせた傾斜状態で配列されてなり、下端に位置する蛍光灯140aが上端に位置する蛍光灯140bよりも内側に位置する。然して、瓶2が傾斜倒立状態となって前記下の水平レール部87部分を移動する間に、前記照明装置139によって、前記後の全面開放部23を通し、充分な光量の光を瓶2内にその背後より入射させることができ、瓶内の液体3を明るく照らすことができる。なお本実施例においては前記のように、前記側部連結部21に円形孔70が設けられているため、瓶保持体5に収容されている瓶2にその側方からも光が照射されることとなる。
【0052】
この結果、瓶2が正立状態において瓶底141に異物が沈殿していた場合、この異物は、瓶2が傾斜倒立状態となることによって、明るく照らされた液体3中を沈降することになる。このような異物の沈降は、傾斜倒立状態にある瓶2の内側79に配置されたオペレータにより目視により検出される。
【0053】
この目視検査を図13に基づいて説明すれば、オペレータは、前記前の全面開放部22を通して、傾斜倒立状態にある瓶2の全体を確実に目視検査できるため、従来のように、傾斜倒立状態にある瓶の瓶胴部142部分を沈降する異物を検査できるだけでなく、上端側をなす瓶底部側143を沈降する異物であっても、又、下端側をなす瓶口部側145を沈降する異物であっても、これらを見逃すことなく確実に検出できる。そして瓶2は、垂直な倒立状態となるのではなく傾斜した倒立状態となることから、正立状態において瓶底141に沈殿していた金属片やガラスの破片等の異物が早い速度で沈降することなく比較的ゆっくりと沈降するため、異物の目視検査を確実に行ない得ることとなるのである。
【0054】
本実施例においては、図16に示すように、4本の瓶2A,2B,2C,2Dが傾斜倒立状態にあるため、複数本の瓶(例えば3本)をまとめて検瓶できる。例えば毎分75本の瓶を検瓶できる。かかる検瓶は、瓶2が傾斜倒立状態にあることから斜め下方の視線で比較的楽に行うことができる。
【0055】
異物が検出された傾斜倒立状態の瓶2は、オペレータが前記瓶細径部63a(図13)を手で把持して除去できる。前記のように、前記瓶保持体5の前部が全面開放されており、底部囲み部30と口部囲み部46が内側(オペレータ側)に向けて開放状態にあるため、オペレータが該瓶2を、瓶保持体5から手前に引っ掛かりなく容易に取り外すことができるのである。そして、このように傾斜倒立状態にある瓶の瓶細径部63a(図3)を手で把持して除去する際、前記両側部連結部21,21に、前記瓶取り外し容易化凹部65,65が設けられているため、該瓶細径部63aの左右の側方部分のスペースが広くなる。かかることから、例えば図19に示すように、これが設けられていない場合に比し、オペレータが不良の瓶を取り外す際、該瓶細径部63aを把持し易い。なお、オペレータが不良の瓶を取り外すために検瓶ゾーン138に手を差し入れたとき、例えば光電管を用いたセンサの検出信号によって倒立検瓶機1が自動停止するようになされている。異物検査を再開するときは、スイッチ操作によって倒立検瓶機1を再起動させる。
【実施例2】
【0056】
図20は、本発明に係る倒立検瓶機1の他の実施例を示すものであり、前記実施例における場合と相違する点は、前記口部囲み部46に設けられている前記保持凹部47の前端開放部49に脱落防止部146が設けられている点である。該脱落防止部146は、前記U字状を呈する保持凹部47の、前端開放部49の前記水平面48側を覆うように設けられた、該前端開放部49の両端相互を繋ぐ繋ぎ壁部146aとして構成されている。
【0057】
該脱落防止部146は、図21(A)に示すように、前記第2の搬送コンベア106を搬送されている瓶2を前記ガイドバー119に案内させつつ前記収容空所25に収容させて前記瓶保持体5に保持させる際は、前記瓶口部16が該脱落防止部146に当たることなく、前記瓶底部13を、その下面31を前記底部保持部15の水平な上面(本実施例においては滑り部材41,41の上面)109をスライドさせて前記底部囲み部30の保持凹部29に保持させ得るようになされている。そして該瓶2が図21(B)に示す傾斜倒立状態においては、瓶2がその自重によって下方に移動するため、前記瓶口部16の上面32が前記口部保持部17の前記水平面48に当接し、且つ、該瓶口部16が前記脱落防止部146で前方側から受け止められるようになされている。そして、異物が検出された傾斜倒立状態の瓶2は、図21(C)に矢印F1で示すように傾斜上方に持ち上げられることにより該瓶口部16が該脱落防止部146から外れ、図21(C)に矢印F2で示すように、前記前の全面開放部22を通して取り外し可能となされている。
【0058】
このように構成するときは、瓶2が垂直により近い傾斜倒立状態である場合において、該傾斜倒立状態にある瓶2が内側(オペレータ側)79に不用意に移動しようとした際、瓶口部16が前記脱落防止部146に当たることによってその移動が阻止される。これにより、傾斜倒立状態の瓶の安定性向上が図られることになる。
【0059】
このように脱落防止部146が前記水平面48に突出する突出片として設けられている場合も、瓶保持体5の前後部が全面開放されていることに該当する。
【0060】
前記脱落防止部146は、前記水平面48を窪ませることによって該窪みの前側部分をなす壁部として構成することもできる。
【実施例3】
【0061】
本発明に係る倒立検瓶機1を構成する瓶保持体5は、前記した一升瓶を保持する場合の他、五合瓶や二合瓶、一合瓶等の小瓶を保持することもある。このような場合は、夫々の瓶に適合した形状、大きさの瓶保持体を構成すればよい。
【0062】
図22は、五合瓶2を保持できるように構成された瓶保持体5を示すものである。この場合は、前記底部保持部15を構成する前記底部保持板27を、図1〜2に示す一升瓶用のものから図22に示す五合瓶用のものに変更する。該五合瓶用の底部保持板27は図22に示すように、瓶底部13の直径に応じ、該瓶底部13の両瓶側部36,36の移動を規制する両側部規制片33,33が、一升瓶用のものに比し、より内側に突設されている。これに合わせて、瓶底部13の下面31を支持する滑り部材41,41を稍内側に設けている。
【0063】
かかる構成を有する底部保持板27を、前記と同様にして、その後部両側部位に設けられた前記と同様構成の固定ピン42,42の下端係合部を、前記底板26の後部両側部位に設けた前記係合孔に嵌め入れることにより該底板26に固定される。
【0064】
又、該五合瓶の瓶口部16を保持し得る口部保持部17は、図22に示すように、水平な板体151の下面(水平面48)に、前記と同様構成の口部囲み部30を設けてなる口部保持板体152を用いて構成されており、該口部保持板体152を、左右対向する前記側部連結部21,21の内面153,153の上側部分、例えば前記上の垂直側片52,52の内面に設けられた上下平行した規制突部155,155間に形成されたスライド溝156,156(図1)にスライドにより水平状態に取り付け、この状態で固定することより、一升瓶用の前記瓶保持体から五合瓶用の瓶保持体に変更することができる。
【実施例4】
【0065】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0066】
(1) 前記実施例においては、瓶に充填された液体中に異物が混入しているか否かをオペレータが検査する場合を説明したが、この検査は、人間の目視検査によらず、瓶に充填された液体中を沈降する異物を検出可能なセンサにより行ってもよい。例えば、前記検瓶ゾーン138において、前記傾斜倒立状態にある瓶を内外で挾むように、照明装置とカメラを配置する。これによって、傾斜倒立状態にある瓶の液体中を沈降する異物の有無を、前記前の全面開放部22を通して、傾斜倒立状態にある瓶2の全体を確実に目視検査できる。
【0067】
然して、このようにカメラで検瓶する場合も、従来のように傾斜倒立状態にある瓶の瓶胴部部分を沈降する異物を検査できるだけでなく、上端側をなす瓶底部側を沈降する異物であっても、又、下端側をなす瓶口部側を沈降する異物であっても、これらを見逃すことなく確実に検出できることとなる。
【0068】
このようなカメラを用いて異物の有無を検査する場合は、異物が検出された瓶を識別し、この不良の瓶を、前記検瓶ゾーンを通過した後の瓶除去ゾーンにおいて除去装置で除去すればよい。
【0069】
かかることから、前記瓶保持体5による瓶の保持状態は、前記底部囲み部30と前記口部囲み部46が、前記実施例で示したように、瓶の取り外しを可能とする前端開放部を具えないで、周方向で完全に拘束する等の確実に拘束をする強固な保持手段を具えるものとして構成してもよい。例えば、前記瓶除去ゾーン144(図16)において、瓶口部を、キャップ状の瓶の口部保持部から取り外すことによって瓶を除去可能に構成することもできる。
【0070】
(2) 前記瓶保持体5は、正立状態で保持されてなる瓶2を傾斜倒立状態に傾動させると共に、該傾斜倒立状態の瓶2を正立状態に戻すように正逆回転動作を行うのであるが、この傾斜倒立状態の傾斜状態は、前記瓶口部16が前記枢着部66よりも下に位置する傾斜状態であればよい。水平面から下方に向けての最小の傾斜角度は、異物の有無を検査し得る程度の異物沈降速度が得られるように設定される。又、水平面から下方に向けての最大の傾斜角度は、瓶が手前(前記オペレータ側)に倒れてこない安定保持を考慮して設定される。例えば水平面から下方に向けて10度〜80度の傾斜角度の範囲に設定することができる。
【0071】
(3) 図23は前記瓶保持体5の他の態様を示すものであり、前記瓶保持体5が、倒立状態にある前記瓶2の瓶底部13と瓶口部16を保持し得る底部保持部15と口部保持部17の、同一側の一方の側部19,20相互を側部連結部21で連結してなる片持ち連結構成を有している。
【0072】
このように構成したときは、例えば二合瓶や一合瓶等の比較的軽量な瓶を検瓶する倒立検瓶機の場合、片側の側部連結部21を省略した分だけ瓶保持体を小型化できることから、前記第1の搬送コンベア71に対する瓶保持体5の取り付けを、スペースを削減して行なうことができる。このことは、例えば、片持ち連結の倒立検瓶機1の3個を第1の搬送コンベア71に取り付けた図24(A)における取り付け長さL1と、前記した両持ち連結の倒立検瓶機1の3個を第1の搬送コンベア71に取り付けた図24(B)における取り付け長さL2とを対比するとその長さの違いがよくわかる。
【0073】
(4) 前記瓶保持体5を構成する前記保持部材12の側部連結部21に設ける前記枢着部66は、前記実施例においては該側部連結部21の上下長さの中央部位に設定しているが、これには特定されず、該側部連結部21の長さ方向の所要部位に設定してよい。
【0074】
(5) 本発明に係る倒立検瓶機が対象とする瓶は、通常はガラス瓶であるが、透明又は半透明の瓶であればプラスチック製の瓶であってもよい。
【0075】
(6) 図11、図25は、前記第1の搬送コンベア71の外側(検瓶ゾーン138と反対側)157において、前記傾斜倒立状態にある瓶2の瓶側面(例えば瓶胴部の外面)159に接する瓶回転用バー160を該第1の搬送コンベア71の搬送方向に沿って水平に固定状態で設けた場合を示すものである。該瓶回転用バー160は、例えば、全体を樹脂製に構成できる。このように構成する場合は、該傾斜倒立状態の瓶2が該第1の搬送コンベア71によって搬送される際、前記後の全面開放部23において瓶側面159が前記回転用バー160に接した状態で該瓶2が搬送されることになる。この搬送の間に、該瓶2はその軸線回りに回転でき、これにより、瓶の液体中の異物を検査できると同時に、瓶に欠けやひびが入っているかどうか等、瓶の損傷の有無も検査できることとなる。
【0076】
(7) 図26(A)(B)は底部保持部15に設けられた、瓶底部13の両瓶側部36,36と瓶後部37の移動を規制するように該瓶底部13を前側から出し入れ可能に保持する前端開放の保持凹部29を有する底部囲み部30の他の態様と、口部保持部17に設けられる、瓶口部16の両瓶側部36,36と瓶後部37の移動を規制するように該瓶口部16を前側から出し入れ可能に保持する前端開放の保持凹部47を有する口部囲み部46の他の態様を示すものであり、共に、ハの字状に構成された2個の規制片161,161で構成されている。
【0077】
(8) 前記正逆回転装置6は、前記枢着部を中心として、正立状態で保持されてなる該瓶を、前記瓶口部が該枢着部よりも下に位置する傾斜倒立状態に傾動させると共に該傾斜倒立状態から正立状態に逆回転させることができるものであれば、前記構成には特定されない。
【符号の説明】
【0078】
1 倒立検瓶機
2 瓶
3 液体
5 瓶保持体
6 正逆回転装置
10 支持部材
12 保持部材
13 瓶底部
15 底部保持部
17 口部保持部
21 側部連結部
22 前の全面開放部
23 後の全面開放部
25 収容空所
30 底部囲み部
33 側部規制片
35 後部規制片
41 滑り部材
51 転動体
63 瓶口部側
65 瓶取り外し容易化凹部
66 枢着部
71 第1の搬送コンベア
81 レール部材
82 レール片
83 レール片
85 導入側の上の水平レール部
86 導出側の上の水平レール部
87 下の水平レール部
93 上昇側の傾斜レール部
95 下降側の傾斜レール部
106 第2の搬送コンベア
115 割出し装置
117 強制移動装置
119 ガイドバー
133 排出具
138 検瓶ゾーン
139 照明装置
146 脱落防止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
瓶に充填された液体中に異物が混入しているか否かを検査する倒立検瓶機であって、前後部が全面開放されて前の全面開放部と後の全面開放部が設けられると共に該前の全面開放部を通して出し入れ可能に瓶を収容状態に保持させ得る収容空所を具えた瓶保持体を具えており、該瓶保持体は、正立状態にある前記瓶の瓶底部を保持し得る底部保持部と該瓶の瓶口部を保持し得る口部保持部との側部相互が側部連結部で連結されてなる保持部材を、該側部連結部に設けた枢着部で支持部材に枢着してなり、正逆回転装置により、該枢着部を中心として、正立状態で保持されてなる該瓶を、前記瓶口部が該枢着部よりも下に位置する傾斜倒立状態に傾動させると共に該傾斜倒立状態から正立状態に逆回転させるようになされており、該瓶が傾斜倒立状態にあっても前記瓶底部と前記瓶口部が前記底部保持部と前記口部保持部で保持されるようになされており、且つ、傾斜倒立状態とされた前記瓶に向けて前記後の全面開放部を通して光線を照射する照明装置が設けられていることを特徴とする倒立検瓶機。
【請求項2】
前記底部保持部は、前記瓶底部の両瓶側部と瓶後部の移動を規制するように該瓶底部を前側から出し入れ可能に保持する前方開放の保持凹部を有する底部囲み部が水平面に設けられており、且つ、前記口部保持部は、前記瓶口部の両瓶側部と瓶後部の移動を規制するように該瓶口部を前側から出し入れ可能に保持する前方開放の保持凹部を有する口部囲み部が水平面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の倒立検瓶機。
【請求項3】
前記口部囲み部に設けられている前記保持凹部の前端開放部の前記水平面側に、脱落防止部が設けられており、正立状態にある前記瓶保持体に前記瓶を収容状態に保持させる際は、前記瓶口部が該脱落防止部に当たることなく、前記瓶底部を、その下面を前記底部保持部の水平面に当接させた状態で、該水平面をスライドさせて前記底部囲み部の保持凹部に保持させることができると共に、該瓶が傾斜倒立状態においては、前記瓶口部の上面が前記口部保持部の水平面に当接し且つ該瓶口部が前方に移動しようとしたときは、前記脱落防止部が該瓶口部を前方側から支持するようになされ、更に、この状態で該瓶が傾斜上方に持ち上げられることによって該瓶口部が該脱落防止部から外れ、これにより、該瓶を前記前の全面開放部を通して取り外し可能となされていることを特徴とする請求請1記載の倒立検瓶機。
【請求項4】
前記側部連結部の、前記保持部材に保持されている瓶の瓶口部側との対向部において、前の全面開放部側で開放し且つ後方に凹んで瓶口部側の側方部分のスペースを広くする瓶取り外し容易化凹部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の倒立検瓶機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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