説明

偏光フィルムの貼合装置およびこれを備える液晶表示装置の製造システム

【課題】整流環境を妨げることのない偏光フィルムの貼合装置を提供する。
【解決手段】本発明の貼合装置60は、長方形の基板5を搬送する第1基板搬送機構61と第1基板搬送機構61で基板5の下面に偏光フィルムを貼合するニップロールと反転機構65と基板5を搬送する第2基板搬送機構62と第2基板搬送機構62で基板5の下面に偏光フィルムを貼合するニップロールとを含み、第1基板搬送機構61と第2基板搬送機構62とは同一方向に向かって配置されており、反転機構65は基板5を吸着する吸着部66と、基板5の長辺又は短辺を下辺として基板5を第1角度まで回転させる第1回転及び第1角度から基板5を反転させる第2回転により基板5を反転させる基板反転部67と、第1回転によって回転された基板5を、第1基板搬送機構での基板5の表面に対して平行な方向に90°回転させる基板回転部68とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光フィルムの貼合装置およびこれを備える液晶表示装置の製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置が広く製造されている。液晶表示装置に用いられる基板(液晶パネル)には、光の透過または遮断を制御するために、偏光フィルムが貼合されることが通常である。偏光フィルムはその吸収軸が直交するように貼合されている。
【0003】
基板に偏光フィルムを貼合する方法としては、偏光フィルムを基板に応じたサイズにカットした後に貼合する所謂 chip to panel 方式が挙げられる。しかしながら、この方式では、基板に対して、一枚ずつ偏光フィルムを貼合するため、生産効率が低いという欠点がある。一方、他の方式として、偏光フィルムをコンベアーロールに供給し、連続的に基板に貼合する所謂 roll to panel 方式が挙げられる。当該方法によれば、高い生産効率にて貼合が可能となる。
【0004】
roll to panel 方式の例として、特許文献1に光学表示装置の製造システムが開示されている。上記製造システムは、基板の上面に光学フィルム(偏光フィルム)を貼合した後に、基板を旋回させ、下面から偏光フィルムを貼合するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4307510号公報(2009年8月5日発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の装置では、以下の問題がある。
【0007】
まず、基板に対して偏光フィルムを貼合する場合、埃などの異物が貼合面へ混入することを回避するため、クリーンルームにて作業がなされるのが通常である。そして、クリーンルームでは、空気の整流がなされている。基板に対してダウンフローにて整流がなされた状態にて偏光フィルムの貼合がなされることが、異物による歩留低下を抑制するために必要だからである。
【0008】
この点に関して、特許文献1の製造システムは、基板に対して、上面および下面から偏光フィルムを貼合する構成となっている。しかし、偏光フィルムの上面から貼合を行う場合、気流(ダウンフロー)が偏光フィルムによって妨げられ、基板への整流環境が悪化してしまうというデメリット挙げられる。偏光フィルムの上面から貼合を行う場合の例として、図14(a)および図14(b)に上貼り型の製造システムにおける気流の速度ベクトルを示す。図14における、領域Aは、偏光フィルムを巻出す巻出部等が設置される領域であり、領域Bは主に偏光フィルムが通過する領域、および、領域Cは、偏光フィルムから除去された剥離フィルムを巻き取る巻取部等が設置される領域である。
【0009】
また、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルター40からはクリーンエアーが供給される。なお、図14(a)では、クリーンエアーが通過可能なグレーチング41が設置されているためグレーチング41を介して気流が垂直方向に移動することが可能である。一方、図14(b)では、グレーチング41が設置されていないため、気流は図14(b)最下部の床に接触した後、床に沿って移動することとなる。
【0010】
図14(a)・(b)には、領域A〜Cが2F(2階)部分に配置されており、HEPAフィルター40からのクリーンエアーが偏光フィルムによって妨げられる。したがって、2F部分を通過する基板に対して垂直方向に向う気流が生じ難い。これに対して、水平方向の気流ベクトルは大きな(ベクトルの密度が濃い)状態となっている。すなわち、整流環境が悪化した状態であるといえる。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、整流環境を妨げることのない偏光フィルムの貼合装置およびこれを備える液晶表示装置の製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の偏光フィルムの貼合装置は、上記課題を解決するために、長方形の基板を長辺または短辺が搬送方向に沿った状態にて搬送する第1基板搬送機構と、上記第1基板搬送機構における上記基板の下面に偏光フィルムを貼合する第1貼合部と、上記第1基板搬送機構にて搬送された上記基板を反転させて第2基板搬送機構に配置する反転機構と、上記基板を短辺または長辺が搬送方向に沿った状態にて搬送する第2基板搬送機構と、上記第2基板搬送機構における上記基板の下面に偏光フィルムを貼合する第2貼合部とを含む偏光フィルム貼合装置であって、上記第1基板搬送機構と第2基板搬送機構とは同一方向に向かって配置されており、上記反転機構は上記基板を吸着する吸着部と、基板の長辺または短辺を下辺として、基板を第1角度まで回転させる第1回転および第1角度から基板を反転させる第2回転によって基板を反転させる基板反転部と、上記基板反転部に連結されており、上記第1回転によって回転された基板を、第1基板搬送機構における基板の表面に対して平行な方向に90°回転させる基板回転部とを備えることを特徴としている。
【0013】
上記の発明によれば、第1貼合部によって基板の下面に偏光フィルムを貼合し、反転機構における基板反転部による、(1)吸着部による基板の吸着、(2)基板反転部による基板の第1回転、(3)基板回転部による基板の90°回転、(4)基板反転部による基板の第2回転によって、基板を反転させると共に、搬送方向に対する長辺および短辺を変更することができる。その後、第2貼合部によって基板の下面に偏光フィルムを貼合することができる。すなわち、基板の両面に対して、下面から偏光フィルムを貼合することができるため、整流環境を妨げることがない。また、反転機構の動作は単純な4動作であるため、タクトタイムが短い。したがって、タクトタイムの短い貼合をも実現できる。さらに、上記第1基板搬送機構と第2基板搬送機構とが同一方向に向かって配置されている。すなわち、L字型形状などの複雑な構造を有していない。したがって、本発明に係る貼合装置は、設置が非常に簡便であり、面積効率に優れる。
【0014】
また、本発明の偏光フィルムの貼合装置では、上記第1基板搬送機構および第2基板搬送機構が一直線上に配置されており、第1基板搬送機構における第2基板搬送機構側の端部において、上記端部の第1基板搬送機構の搬送方向に対して水平な両方向に沿って、基板載置部および上記反転機構が2対ずつ備えられ、上記端部には、上記端部から上記基板載置部へ基板を搬送する搬送手段が備えられており、上記反転機構は上記基板載置部のそれぞれに搬送された基板を反転させて第2基板搬送機構に配置することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、反転機構が2つ備えられているため、基板を単位時間当り2倍処理することができる。これにより、単位時間当たり多くの基板の反転が可能なため、タクトタイムが短縮される。さらに、第1基板搬送機構および第2基板搬送機構が一直線上に配置されているため、より面積効率に優れた構造の貼合装置を提供できる。
【0016】
また、本発明の偏光フィルムの貼合装置では、偏光フィルムを搬送する第1フィルム搬送機構および第2フィルム搬送機構が備えられており、上記第1フィルム搬送機構には、剥離フィルムに保護された偏光フィルムを巻出す複数の巻出部と、偏光フィルムを切断する切断部と、偏光フィルムから剥離フィルムを除去する除去部と、除去された上記剥離フィルムを巻取る複数の巻取部とが備えられており、上記第2フィルム搬送機構には、剥離フィルムに保護された偏光フィルムを巻出す複数の巻出部と、偏光フィルムを切断する切断部と、偏光フィルムから剥離フィルムを除去する除去部と、除去された上記剥離フィルムを巻取る複数の巻取部とが備えられており、上記第1基板搬送機構および第2基板搬送機構は上記第1フィルム搬送機構および第2フィルム搬送機構の上部に備えられており、上記剥離フィルムが除去された偏光フィルムを基板に貼合する上記第1貼合部が上記第1フィルム搬送機構と第1基板搬送機構との間に、上記剥離フィルムが除去された偏光フィルムを基板に貼合する第2貼合部が上記第2フィルム搬送機構と第2基板搬送機構との間にそれぞれ備えられていることが好ましい。
【0017】
これにより、巻出部および巻取部が複数備えられているため、一方の巻出部における偏光フィルムの原反の残量が少なくなった場合、その原反に他方の巻出部に備えられた原反を連結させることが可能である。その結果、偏光フィルムの巻出しを停止させることなく、作業を続行することができ、生産効率を高めることができる。
【0018】
また、本発明の偏光フィルムの貼合装置では、上記巻出部は偏光フィルムの巻芯方向に対して水平に移動可能であり、上記巻出部である第1巻出部および第2巻出部が並設されていることが好ましい。
【0019】
これにより、巻出部は巻芯方向に水平に移動するため、巻出部が上方へ移動する空間を確保する必要がない。したがって、上部に備えられた第1基板搬送機構および第2基板搬送機構と、下部の上記第1フィルム搬送機構および第2フィルム搬送機構が備える巻出部との空間を省スペースとすることができる。その結果、小型化された貼合装置を提供することができる。
【0020】
また、本発明の偏光フィルムの貼合装置では、第1巻出部から巻出された偏光フィルムおよび第2巻出部から巻出された偏光フィルムを連結させる、第1フィルム連結部および第2フィルム連結部が、上記の両偏光フィルムの通過位置を介在し、かつ、第1フィルム連結部は第1巻出部から巻出された偏光フィルムに対向して配置され、第2フィルム連結部は第2巻出部から巻出された偏光フィルムに対向して配置されており、上記第1フィルム連結部および第2フィルム連結部は、偏光フィルムを吸着可能な吸着機構を備える2つの吸着部と、上記2つの吸着部の間であり、かつ、偏光フィルムの幅方向に沿って回転可能に配置された、切断貼合部とを備えており、上記切断貼合部は、偏光フィルムを切断する切断機を備えていると共に、切断貼合部が有する複数面は、偏光フィルムの幅方向に沿って偏光フィルムを支持する切断支持面と、上記偏光フィルム同士を連結する連結材を吸着して保持する吸着機構を備えた、2以上の貼合面とを少なくとも有しており、上記第1フィルム連結部および第2フィルム連結部は、互いに近接可能であることが好ましい。
【0021】
これにより、上記吸着部によって偏光フィルムを吸着し、吸着した偏光フィルムを切断支持面にて支持した状態にて切断機によって切断することができる。その後、切断貼合部を回転させて、切断した偏光フィルムに対して、貼合面の連結材を貼合することができる。さらに、第1フィルム連結部および第2フィルム連結部を互いに近接させ、連結材が貼合された2枚の偏光フィルムを接触させて容易に連結することができる。
【0022】
また、本発明の偏光フィルムの貼合装置では、上記切断支持面には、上記偏光フィルムの幅方向に沿って上記切断機が通過可能な開口が形成されていることが好ましい。
【0023】
これにより、切断機の通過を、偏光フィルムの幅方向に沿って確実に行うことができ、後に偏光フィルム同士の連結をより正確に行うことができる。
【0024】
また、本発明の偏光フィルムの貼合装置では、上記切断機が丸刃状であることが好ましい。
【0025】
これにより、偏光フィルムの切断をより容易に行うことが可能となる。
【0026】
また、本発明の偏光フィルムの貼合装置では、上記切断貼合部は、吸着部によって吸着された偏光フィルムに対して垂直方向に移動可能であることが好ましい。
【0027】
これにより、切断貼合部が回転する際、切断貼合部は偏光フィルムに対して垂直方向であって、偏光フィルムに遠ざかる方向に移動でき、その後、回転することができる。これにより、切断貼合部が回転する際、偏光フィルムに接触することを確実に回避することができる。
【0028】
また、本発明の偏光フィルムの貼合装置では、上記第1貼合部によって基板の下面に偏光フィルムを貼合する前に、基板を洗浄する洗浄部を備え、上記第1基板搬送機構は、基板の短辺が搬送方向に沿った状態にて基板を搬送することが好ましい。
【0029】
これにより、基板の搬送方向に対して基板の長辺が直交する状態にて、洗浄部による基板の洗浄を行うことができる。すなわち、搬送方向に沿った基板の距離を小さくすることができるため、洗浄に必要なタクトタイムをより短縮することができる。その結果、さらに生産効率に優れた偏光フィルムの貼合装置を提供することができる。
【0030】
また、本発明の偏光フィルムの貼合装置では、上記第1フィルム搬送機構および上記第2フィルム搬送機構には、第1巻出部から巻出された偏光フィルムに付された欠点表示を検出する欠点検出部と、上記欠点表示を判別して、上記基板の搬送を停止させる貼合回避部と、基板との貼合が回避された偏光フィルムを回収する回収部とを有することが好ましい。
【0031】
上記欠点検出部、貼合回避部および回収部によれば、欠点を有する偏光フィルムと基板との貼合わせを回避できるため、歩留まりを高めることができる。
【0032】
本発明の液晶表示装置の製造システムは、上記偏光フィルムの貼合装置と、上記第2貼合部によって偏光フィルムの貼合がなされた基板における貼りずれを検査する貼りずれ検査装置を備えるものである。
【0033】
これにより、偏光フィルムを貼合した基板に生じた貼りずれを検査することが可能である。
【0034】
また、本発明の液晶表示装置の製造システムでは、上記貼りずれ検査装置による検査結果に基づき貼りずれの有無を判定し、当該判定結果に基づき、偏光フィルムが貼合された基板の仕分けを行う仕分け搬送装置を備えることが好ましい。
【0035】
これにより、偏光フィルムが貼合された基板に貼りずれが生じている場合、速やかに不良品の仕分けを行うことができ、タクトタイムを短縮することが可能である。
【0036】
また、本発明の液晶表示装置の製造システムでは、偏光フィルムの貼合装置と、上記貼合装置における第2貼合部によって偏光フィルムの貼合がなされた基板における異物を検査する貼合異物自動検査装置とを備えることが好ましい。
【0037】
これにより、偏光フィルムを貼合した液晶パネルに混入した異物を検査することが可能である。
【0038】
また、本発明の液晶表示装置の製造システムでは、上記貼合異物自動検査装置による検査結果に基づき異物の有無を判定し、当該判定結果に基づき、偏光フィルムが貼合された基板の仕分けを行う仕分け搬送装置を備えることが好ましい。
【0039】
これにより、偏光フィルムを貼合した液晶パネルに異物が混入している場合、速やかに不良品の仕分けを行うことができ、タクトタイムを短縮することが可能である。
【0040】
また、本発明の液晶表示装置の製造システムでは、上記第2貼合部によって偏光フィルムの貼合がなされた基板における異物を検査する貼合異物自動検査装置を備え、上記貼りずれ検査装置による検査結果、および、上記貼合異物自動検査装置による検査結果に基づき、貼りずれおよび異物の有無を判定し、当該判定結果に基づき、偏光フィルムが貼合された基板の仕分けを行う仕分け搬送装置を備えることが好ましい。
【0041】
これにより、偏光フィルムを貼合した液晶パネルに貼りずれまたは異物の混入が生じている場合、速やかに不良品の仕分けを行うことができ、タクトタイムを短縮することが可能である。
【発明の効果】
【0042】
本発明の偏光フィルムの貼合装置は、以上のように、上記第1基板搬送機構と第2基板搬送機構とは同一方向に向かって配置されており、上記反転機構は上記基板を吸着する吸着部と、基板の長辺または短辺を下辺として、基板を第1角度まで回転させる第1回転および第1角度から基板を反転させる第2回転によって基板を反転させる基板反転部と、上記基板反転部に連結されており、上記第1回転によって回転された基板を、第1基板搬送機構における基板の表面に対して平行な方向に90°回転させる基板回転部を備えているものである。
【0043】
それゆえ、上記反転機構によって基板を反転させると共に、搬送方向に対する長辺および短辺を変更することができる。これにより、基板の両面に対して、下面から偏光フィルムを貼合することができるため、整流環境を妨げることがない。また、反転機構の動作は単純な4動作であるため、タクトタイムが短い。したがって、タクトタイムの短い貼合をも実現できる。さらに、上記第1基板搬送機構と第2基板搬送機構とが同一方向に向かって配置されている。すなわち、L字型形状などの複雑な構造を有していない。したがって、本発明に係る貼合装置は、設置が非常に簡便であり、面積効率に優れるという効果をも奏する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る製造システムの実施の一形態を示す断面図である。
【図2】本発明における巻出部の変形例を示す断面図である。
【図3】図1の製造システムにおけるニップロールの周辺部分を示す断面図である。
【図4】本発明と同様の下貼り型の製造システムにおける気流の速度ベクトルを示す断面図である。
【図5】本発明に係る貼合装置の変形例を示す断面図である。
【図6】本発明に係るフィルム連結部および切断機を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る切断貼合部を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る製造システムによる連結工程を示す工程図である。
【図9】本発明における反転機構によって基板を反転させる過程を示す斜視図である。
【図10】図9の反転機構によって基板を反転させる過程を示す平面図である。
【図11】本発明に係る貼合装置の変形例を示す平面図である。
【図12】本発明に係る液晶表示装置の製造システムが備える各部材の関連を示すブロック図である。
【図13】本発明に係る液晶表示装置の製造システムの動作を示すフローチャートである。
【図14】上貼り型の製造システムにおける気流の速度ベクトルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図11に基づいて説明すれば以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、本発明に係る製造システム(液晶表示装置の製造システム)の構成について以下に説明する。製造システムは、本発明に係る貼合装置を含んでいる。
【0046】
図1は、製造システムを示す断面図である。同図に示すように、製造システム100は2段構造となっており、1F(1階)部分はフィルム搬送機構50であり、2F(2階)部分は基板搬送機構を含む貼合装置60となっている。
【0047】
<フィルム搬送機構>
まず、フィルム搬送機構50について説明する。フィルム搬送機構50は、偏光フィルム(偏光板)を巻出してニップロール6・6aおよび16・16aまで搬送し、不要となった剥離フィルムを巻き取る役割を果たす。一方、貼合装置60はフィルム搬送機構50によって巻出された偏光フィルムを基板(液晶パネル)5に対して貼合する役割を果たすものである。
【0048】
フィルム搬送機構50は、第1フィルム搬送機構51および第2フィルム搬送機構52を備えている。第1フィルム搬送機構51は、基板5の下面に最初に偏光フィルムを貼合するニップロール6・6aに偏光フィルムを搬送するものである。なお、基板5は長方形形状を有している。一方、第2フィルム搬送機構52は、反転された基板5の下面に偏光フィルムを搬送するものである。
一方、第2フィルム搬送機構52は、反転された基板5の下面に偏光フィルムを搬送するものである。
【0049】
第1フィルム搬送機構51は、第1巻出部1、第2巻出部1a、第1巻取部2、第2巻取部2a、ハーフカッター3、ナイフエッジ4、および欠点フィルム巻取ローラー7・7aを備えている。第1巻出部1には偏光フィルムの原反が設置されており、偏光フィルムが巻出される。上記偏光フィルムとしては公知の偏光フィルムを用いればよい。具体的には、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素等によって染色がなされており、1軸方向に延伸されたフィルム等を用いることができる。上記偏光フィルムの厚さとしては、特に限定されないが、5μm以上、400μm以下の偏光フィルムを好ましく用いることができる。
【0050】
上記偏光フィルムの原反では、流れ方向(MD方向)に吸収軸の方向が位置している。上記偏光フィルムは剥離フィルムによって粘着剤層が保護されている。上記剥離フィルム(保護フィルムまたはセパレーターともいう)としては、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルムなどを用いることができる。上記剥離フィルムの厚さとしては、特に限定されないが、5μm以上、100μm以下の剥離フィルムを好ましく用いることができる。
【0051】
製造システム100には、巻出部が2つ、巻出部に対応する巻取部が2つ備えられているため、第1巻出部1の原反の残量が少なくなった場合、第2巻出部1aに備えられた原反を第1巻出部1の原反に連結させることが可能である。その結果、偏光フィルムの巻出しを停止させることなく、作業を続行することが可能である。本構成により、生産効率を高めることができる。なお、上記巻出部および巻取部はそれぞれ複数備えられていればよく、3つ以上備えられていてももちろんよい。
【0052】
図1に示す第1巻出部1・第2巻出部1aは、ターレットにより互いの位置を入れ替えることが可能な構造となっている。位置が入れ替わる際には、第1巻出部1・第2巻出部1aが円の軌道を描きながら移動し、自動的に第1巻出部1の偏光フィルムを切断した後、第2巻出部1aの偏光フィルムとを自動的に連結することができる。第1巻出部11・第2巻出部11aも同様である。また、第1巻取部2・第2巻取部2a・第1巻取部12・第2巻取部12aについてもターレットにより回転する構造となっている。ターレットによる当該構造によれば、巻出部同士または巻取部同士を容易に入れ替えることができ、フィルム同士の連結を容易に行える点で優れている。
【0053】
また、巻取部の変形例として図2に示す構造が挙げられる。図2の第1巻出部1b・第2巻出部1cは偏光フィルムの巻芯1dの方向に対して水平に移動可能な構造となっている。換言すると、第1巻出部1b・第2巻出部1cは、偏光フィルムの幅方向に沿って移動可能な構造となっている。具体的には、図2の右部に示すように、巻芯1dに沿った両方向の少なくとも一方に移動可能な構となっている(図面奥側方向(○中に×のマーク)および図面手前側方向(○中に・のマーク)の少なくとも一方に移動可能)。
【0054】
本構成によれば、偏光フィルムのロールを交換する場合、巻芯1dの方向に水平に移動された第1巻出部1bまたは第2巻出部1cに対して新たな偏光フィルムのロールを設置することができる。したがって、ターレットを有する構成とは異なり、第1巻出部1b・第2巻出部1cは上方に向かって移動しない。
【0055】
図2に示すように第1巻出部1b・第2巻出部1cの上部に貼合装置60が備えられているが、本構造によれば、第1巻出部1b・第2巻出部1cは巻芯1dの方向に水平に移動する構造であるため、これら巻出部が上方へ移動する空間を確保する必要がない。したがって、上部に備えられたコンベアーロール15と巻出部との空間を省スペースとすることができる。その結果、小型化された貼合装置、ひいては製造システムを提供することができる。本願発明は、このような小型化が達成できる点でターレットを有する従来の製造システムと大きく異なっている。ターレットを有する製造システムは、例えば、特開平8−208083号公報に開示されている。
【0056】
なお、第1巻出部1bに備えられた偏光フィルムのロール残量が少なくなった場合、オペレーターにより第2巻出部1cの偏光フィルムと連結を行う。この場合、偏光フィルムの搬送速度を0m/min.とした後に、オペレーターが第1巻出部1b側の偏光フィルムを切断する。次に、第2巻出部1cから偏光フィルムを巻き出し、端部を切断した後に、例えば、片面粘着テープを用いて偏光フィルム同士を連結する。
【0057】
また、図1の第1巻取部2・第2巻取部2a・第1巻取部12・第2巻取部12aに関しても、図2の巻出部と同様に、剥離フィルムの巻芯の方向に対して水平に移動可能な構造とすることができる。巻取部についても当該構成とすることによって、コンベアーロール15と巻取部との空間を省スペースとすることができ、より小型化された貼合装置、ひいては製造システムを提供することが可能である。
【0058】
ハーフカッター(切断部)3は、剥離フィルムに保護された偏光フィルム(偏光フィルム、粘着剤層および剥離フィルムから構成されるフィルム積層体)をハーフカットし、偏光フィルムおよび粘着剤層を切断する。ハーフカッター3としては、公知の部材を用いればよい。具体的には、刃物、レーザカッターなどを挙げることができる。ハーフカッター3によって偏光フィルムおよび粘着剤層が切断された後に、ナイフエッジ(除去部)4によって剥離フィルムが偏光フィルムから除去される。
【0059】
偏光フィルムと剥離フィルムとの間には粘着剤層が塗布されており、剥離フィルムが除去された後、粘着剤層は偏光フィルム側に残存する。上記粘着剤層としては、特に限定されるものではなく、アクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系などの粘着剤層を挙げることができる。粘着剤層の厚さは特に制限されないが、通常5〜40μmである。
【0060】
一方、第2フィルム搬送機構52は、第1フィルム搬送機構51と同様の構成であり、第1巻出部11、第2巻出部11a、第1巻取部12、第2巻取部12a、ハーフカッター13、ナイフエッジ14および欠点フィルム巻取ローラー17・17aを備えている。同一の部材名を付した部材については第1フィルム搬送機構51における部材と同一の作用を示す。
【0061】
好ましい形態として製造システム100は、洗浄部71を備えている。洗浄部71はニップロール6・6aによって基板5の下面に偏光フィルムを貼合する前に、基板5を洗浄するものである。洗浄部71としては、洗浄液を噴射するノズルおよびブラシなどから構成される公知の洗浄部を用いればよい。洗浄部71によって貼合の直前に基板5を洗浄することによって、基板5の付着異物が少ない状態にて貼合を行うことができる。
【0062】
次に、図3を用いて、ナイフエッジ4について説明する。図3は、製造システム100におけるニップロール6・6aの周辺部分を示す断面図である。図3は、基板5が左方向から搬送され、左下方向から粘着剤層を有する(図示せず、以降同じ)偏光フィルム10aが搬送される状況を示している。偏光フィルム10には剥離フィルム10bが備えられており、ハーフカッター3によって偏光フィルム10aおよび粘着剤層が切断され、剥離フィルム10bは切断されていない(ハーフカット)。
【0063】
剥離フィルム10b側には、ナイフエッジ4が設置されている。ナイフエッジ4は、剥離フィルム10bを剥離させるためのエッジ状部材であり、偏光フィルム10aと接着力が低い剥離フィルム10bがナイフエッジ4を伝って剥離されることとなる。
【0064】
その後、剥離フィルム10bは、図1の第1巻取部2に巻き取られることとなる。なお、ナイフエッジに代えて、粘着ローラーを用いて剥離フィルムを巻き取る構成を用いることも可能である。その場合、巻取部と同様に、粘着ローラーを2箇所に備えることによって、剥離フィルムの巻取効率を高めることができる。
【0065】
次に、貼合装置60について説明する。貼合装置60は基板5を搬送し、フィルム搬送機構50によって搬送された偏光フィルムを基板に貼合するものである。図示しないが、貼合装置60では基板5の上面に対して、クリーンエアーが供給されている。すなわち、ダウンフローの整流が行われている。これによって、基板5の搬送および貼合を安定した状態にて行うことが可能である。
【0066】
<貼合装置>
貼合装置60はフィルム搬送機構50の上部に備えられている。これにより、製造システム100の省スペース化を図ることができる。図示しないが、貼合装置60にはコンベアーロールを備える基板搬送機構が設置されており、これにより基板5が搬送方向へ搬送される(図10にて後述する第1基板搬送装置61・第2基板搬送装置62が基板搬送機構に該当する)。
【0067】
製造システム100では、左側から基板5が搬送され、その後、図中右側、つまり、第1フィルム搬送機構51の上部から第2フィルム搬送機構52の上部へと搬送される。フィルム搬送機構50と貼合装置60との間には、貼合部であるニップロール6・6a(第1貼合部)およびニップロール16・16a(第2貼合部)がそれぞれ備えられている。ニップロール6・6aおよび16・16aは、基板5の下面に剥離フィルム10bが除去された偏光フィルム10aを貼合わせる役割を果たす部材である。なお、基板5の両面には下面から偏光フィルム10aが貼合されるため、ニップロール6・6aにて片面に偏光フィルム10aが貼合された後に、基板5は反転機構65によって反転される。反転機構65については後述する。
【0068】
ニップロール6・6aへ搬送された偏光フィルム10aは、粘着剤層を介して基板5の下面に貼合される。ニップロール6・6aとしては、それぞれ圧着ロール、加圧ロールなどの公知の構成を採用することができる。また、ニップロール6・6aにおける貼合時の圧力および温度は適宜調整すればよい。ニップロール16・16aの構成も同様である。なお、図示しないが、製造システム100では、好ましい構成として、第1巻出部1からハーフカッターまでの間に欠点表示(マーク)検出部が備えられており、欠点を有する偏光フィルムが検出される構成となっている。
【0069】
なお、上記欠点表示は、偏光フィルムの原反作成時に検出を行って欠点表示を付与する、または、欠点表示検出部よりも第1巻出部11または第2巻出部11a側に備えられた欠点表示付与部によって偏光フィルムに付される。欠点表示付与部は、カメラ、画像処理装置および欠点表示形成部によって構成されている。まず、上記カメラによって偏光フィルムの撮影がなされ、当該撮影情報を処理することによって、欠点の有無を検査することができる。上記欠点としては、具体的には、埃などの異物、フィッシュアイなどが挙げられる。欠点が検出された場合、欠点表示形成部によって偏光フィルムに欠点表示が形成される。欠点表示としては、インクなどのマークが用いられる。
【0070】
さらに、図示しない貼合回避部は、上記マークをカメラにより判別して、貼合装置60に停止信号を送信して基板5の搬送を停止させる。その後、欠点が検出された偏光フィルムは、ニップロール6・6aによって貼合が行われず、欠点フィルム巻取ローラー(回収部)7・7aにて巻き取られる。これにより、基板5と、欠点を有する偏光フィルムとの貼合わせを回避することができる。当該一連の構成が備えられていれば、欠点を有する偏光フィルムと基板5との貼合わせを回避できるため、歩留まりを高めることができ好ましい。欠点検出部および貼合回避部としては、公知の検査センサを適宜用いることができる。
【0071】
図1に示すように、反転機構65によって基板5が反転状態となった後、基板5はニップロール16・16aに搬送される。そして、基板5の下面に偏光フィルムが貼合される。その結果、基板5の両面に偏光フィルムが貼合わされることとなり、基板5の両面に2枚の偏光フィルムが互いに異なる吸収軸にて貼合された状態となる。その後、必要に応じて、貼りずれが生じていないか、基板5の両面について検査がなされる。当該検査は、通常、カメラを備える検査部等によってなされる構成を採用できる。
【0072】
このように製造システム100では、基板5へ偏光フィルムを貼合わせる際、基板5の下面から貼合を行う構成となっており、基板5への整流環境を妨げることがない。このため、基板5の貼合面への異物混入をも防止することができ、より正確な貼合わせが可能となる。
【0073】
図4(a)および図4(b)に本発明と同様の下貼り型の製造システムにおける気流の速度ベクトルを示す。図4(a)・(b)における領域Aは巻出部が設置される領域であり、領域Bは主に偏光フィルムが通過する領域、および、領域Cは巻取部等が設置される領域である。また、HEPAフィルター40からはクリーンエアーが供給される。なお、図4(a)では、クリーンエアーが通過可能なグレーチング41が設置されているため、グレーチング41を介して、気流が垂直方向に移動することが可能である。一方、図4(b)では、グレーチング41が設置されていないため、気流は床に接触した後、床に沿って移動することとなる。
【0074】
図4(a)・(b)に示す製造システムは下貼り型であるため、図14(a)・(b)で示したように、偏光フィルムによってHEPAフィルター40からの気流が妨げられない。このため、気流ベクトルの方向はほとんど基板に向う方向となっており、クリーンルームにて好ましい整流環境が実現されているといえる。図4(a)では、グレーチング41が設置され、図4(b)では設置されていないが、両図とも同様の好ましい状態が示されている。なお、図4および図14では、基板搬送機構は水平に形成されているが、一連の構造としては設置されていない。このため、基板搬送機構間を気流が通過可能な構成となっている。基板は後述する反転機構によって保持された後、基板搬送機構間を移送される構成となっている。
【0075】
また、製造システム100では、まず、基板5を長辺間口(長辺が搬送方向と直交する)にて搬送し、その後、短辺間口(短辺が搬送方向と直交する)にて搬送する構成となっている。
【0076】
〔フィルム連結部の構成〕
さらに、本発明に係る貼合装置のさらなる変形例について説明する。図5は本発明に係る貼合装置60の変形例を示す断面図である。図5に係る第1フィルム搬送機構51における第1巻出部1b・第2巻出部1cは、図2と同様に偏光フィルムの巻芯1dの方向に対して水平に沿って移動可能な構造となっている。
【0077】
第1フィルム搬送機構51は、フィルム連結部(第1フィルム連結部)83およびフィルム連結部(第2フィルム連結部)93を備えており、これらにより偏光フィルム10・20の連結を行うことができる。
【0078】
図6は、フィルム連結部83および切断機87を示す斜視図である。図6に示すように、フィルム連結部83は、吸着部84・84aおよび切断貼合部85を備えている。
【0079】
吸着部84・84aは、偏光フィルムを吸着して固定するための部材である。吸着部84・84aは、平板形状を有しており、その表面に複数の吸着機構89を備えている。吸着機構89は偏光フィルムを吸着することができれば特に限定されるものではなく、ポンプによって空気を吸引して偏光フィルムを吸着する構成を採用することができる。
【0080】
切断貼合部85は回転可能であり、複数面を有する。具体的には、切断貼合部85は多角形形状を有している。また、回転可能に配置されている。さらに、好ましい形態として、偏光フィルム10に対して垂直方向に移動可能となっている。偏光フィルム10に対して垂直方向に移動可能であることによって、切断貼合部85が回転する際、切断貼合部85は偏光フィルム10に対して垂直方向であって、偏光フィルム10から遠ざかる方向に移動でき、その後、回転することができる。その後、切断貼合部85は偏光フィルム10に対して垂直方向であって、偏光フィルム10に近接する方向に移動して元の位置に戻ることができる。これにより、切断貼合部85の角部(貼合面85bと貼合面85cとの間に隣接する狭面を含む部分)が偏光フィルム10に接触することを確実に回避することが可能であり、非常に好ましい。
【0081】
なお、切断貼合部85は多角形形状であり、図7にも示すように、その3面に切断支持面85a、貼合面85b・85cを備えているが、切断支持面および/または貼合面をさらに備えていてもよい。例えば、切断支持面を1面に、貼合面を3面または4面に備えている構成および切断支持面を2面に、貼合面を3面または4面に備えている構成を挙げることができる。なお、図6の切断貼合部85のように、貼合面間および切断支持面・貼合面間が面取りされており、角部が形成されていれば、切断貼合部85と偏光フィルムとの接触を回避できる観点から好ましい。切断貼合部85の大きさは、偏光フィルム10の幅によって適宜決定すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、200mm以上、2000mm以下の長さ、10mm以上、300mm以下の幅とすることができる。
【0082】
図7は切断貼合部85を示す斜視図である。図7は、図6の切断貼合部85を時計回りに1/3周回転させた状態を示している。図7に示すように、切断貼合部85は、偏光フィルム10の幅方向に沿って偏光フィルム10を支持する切断支持面85aを備えている。また、切断された偏光フィルム10の切断線を覆うように偏光フィルム10・20を連結する連結材を吸着する吸着機構89を備える貼合面85b・85cを有している。貼合面は2以上備えられた構成とすることもできる。
【0083】
切断支持面85aには溝状の開口86が形成されており、図6に示す切断貼合部85が備える切断機87の刃の部分が通過できる構造となっている。開口86が形成されていることによって、切断機87の通過を、偏光フィルム10の幅方向に沿って確実に行うことができ、偏光フィルム10・20の連結をより正確に行うことができる。
【0084】
切断機87は公知のカッターを採用することができ、偏光フィルム10を容易に切断できることから、丸刃状であることが好ましい。また、切断機87は偏光フィルム10の幅方向に駆動可能な台部88によって支持されている。
【0085】
貼合面85b・85cは互いに同様の構成であり、吸着部84・84aと同様に複数の吸着機構89を備えている。また、貼合面85b・85cには片面粘着テープ(連結材)85dが配置されており、片面粘着テープ85dの非粘着面が吸着機構89によって保持され、片面粘着テープ85dの粘着面が貼合面85b・85cと反対面となるように配置されている。
【0086】
上記片面粘着テープ85dは偏光フィルム同士を貼合できればよく、公知の片面粘着テープを用いることができる。片面粘着テープ85dのフィルム材料としては例えば、ポリエチレンテレフタラートフィルム(PETフィルム)、セルロース、和紙、アルミ、不織布、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ABS樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール樹脂、ポリ乳酸、ポリイミド、ポリアミドなどを挙げることができる。また、粘着剤層に用いられる粘着剤としては、アクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、合成ゴム系、EVA系、シリコーン系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、イソシアネート系、ポリビニルアルコール系、メラミン樹脂系などの粘着剤を挙げることができる。
【0087】
フィルム連結部83は、偏光フィルム10に対して対向するように配置される。このため、図5では、偏光フィルム10が垂直に配置されていることから、フィルム連結部83も垂直に配置されている。一方、偏光フィルム10が例えば斜め方向(または水平方向など)に配置されている場合、フィルム連結部83と偏光フィルム10とが対向するように、フィルム連結部83も斜め方向(または水平方向など)に配置される構造とすればよい。
【0088】
フィルム連結部93はフィルム連結部83と同様の構造である。図5に示すように、フィルム連結部83・93は、フィルム連結部83・93に備えられた吸着部の吸着機構同士が対向するように配置されている。また、フィルム連結部83・93は、偏光フィルム10および偏光フィルム20の通過位置を介在させて配置されている。なお、フィルム連結部83・93を備える製造システム100は、本実施の形態における好ましい形態であり、フィルム連結部83・93を備えない形態とすることも可能である。
【0089】
〔フィルム連結部の動作〕
以下に、本実施の形態に係る製造システムの動作について説明する。なお、当該動作に係る説明は、光学表示装置の製造方法の説明を兼ねている。
【0090】
まず、図1に示すように、第1巻出部1から偏光フィルム10を巻き出す(巻出工程)。その後、図3に示すように、図示しないハーフカッターによって偏光フィルム10aのみをハーフカットし、剥離フィルム10bをナイフエッジ4によって剥離する(剥離工程)。さらに、剥離フィルム10bが剥離された偏光フィルム10aと基板5とをニップロール6・6aによって圧着することによって貼合する(貼合工程)。なお、剥離された剥離フィルム10bは図示しない巻取部によって巻き取られ、回収される。上記一連の工程によって、基板5と偏光フィルム10aとが貼合されて光学表示装置を得ることができる。
【0091】
上記一連の工程において偏光フィルム10を巻き出すにつれ、第1巻出部1に保持された偏光フィルム10のロールの残量は減少していくこととなる。以下に偏光フィルム同士を連結させる連結工程について説明する。
【0092】
連結工程では、上記第1巻出部1(11、1b)の偏光フィルム10および第2巻出部1a(11a、1c)の偏光フィルム20を切断する。そして、第1巻出部1(11、1b)の偏光フィルム10および第2巻出部1a(11a、1c)の偏光フィルム20のうち、第1巻出部1(11、1b)のライン側の偏光フィルム10または第2巻出部1a(11a、1c)のライン側の偏光フィルム20と、第2巻出部1a(11a、1c)の巻出部側の偏光フィルム20または第1巻出部1(11、1b)の巻出部側の偏光フィルム10とを連結する。上記「ライン側」とは、換言すると、偏光フィルムが巻き出される方向を示す。上記連結工程としては、(1)オペレーターによる手法と、(2)フィルム連結部83・93を用いる手法とを挙げることができる。
【0093】
まず、(1)のオペレーターによる手法について具体的に説明する。オペレーターにより偏光フィルム同士を連結させる場合、偏光フィルム10の搬送速度を0m/min.とした後(偏光フィルム10を停止させた後)に、オペレーターが偏光フィルム10を切断する。次に、第1巻出部11から偏光フィルム20を巻き出し、端部を切断した後に、例えば、上述した片面粘着テープ85dを用いて連結する手法が挙げられる。
【0094】
このように、本発明に係る製造システムでは、第1巻出部1・11の2つの巻出部が備えられており、偏光フィルムのロールを新たなロールに交換せずとも、偏光フィルム10・20を用いて即座にフィルムを連結させることができ、速やかに偏光フィルム20を巻き出すことができる。したがって、従来の巻出部が1箇所にのみ設置された製造システムとは異なり、運転中に空いている方の巻出部において、原反ロールの交換作業が行える為、交換作業に必要な時間を削減することができる。その結果、光学表示装置の製造時間を短縮することが可能である。製造システムでは、偏光フィルム10・20の連結を終えた後、偏光フィルム20を巻き出す間に、第1巻出部1の偏光フィルム10のロールを新たなロールに交換する。偏光フィルム20の残量が減少した場合、同様に偏光フィルム20および偏光フィルム10を連結することももちろん可能である。
【0095】
次に、フィルム連結部83・93を用いる場合について図8を用いて具体的に説明する。図8は、フィルム連結部を備えた製造システムによる連結工程を示す工程図である。偏光フィルム10の残量が減少すると、偏光フィルム10の図8(a)に示すように、偏光フィルム10の搬送速度を0m/min.とした後に、吸着部84・84aおよび切断貼合部85(フィルム連結部83)を偏光フィルム10に対して垂直方向に移動させる。次に、吸着部84・84aの吸着機構89によって、偏光フィルム10を吸着して固定する(吸着工程)。
【0096】
この際、切断貼合部85では、切断支持面85aが偏光フィルム10に接触している。その後、図8(b)に示すように、図示しない切断機を開口86に沿って移動させて偏光フィルム10を切断する(切断工程)。切断後、切断貼合部85を偏光フィルム10に対して垂直方向であって、偏光フィルム10から遠ざかる方向(図中右側)に移動し、反時計回りに1/3周回転させ、偏光フィルム10に対して垂直方向であって、偏光フィルム10から接近する方向(図中左側)に移動させる。これにより、図8(c)に示すように、片面粘着テープ85d(図示せず)と対向する偏光フィルム10の切断線を覆うように、貼合面85bの片面粘着テープ85dを貼り合わせる(貼合工程)。上記切断線とは、切断工程によって、偏光フィルム10に生じた切断面のうち、貼合面85bと対向する辺を示す。貼合工程では、片面粘着テープ85dは上記切断線を覆うように配置される、すなわち、偏光フィルム10が上記切断線を越えて、偏光フィルム10が存在しない部分についても配置される。
【0097】
さらに、偏光フィルム20に対しても、図8(a)〜(c)と同様にして、偏光フィルム20の切断支持面95aに片面粘着テープ95dを粘着する。上述した部材と同様の部材には同一の名称を付し、その説明を省略する。
【0098】
まず、偏光フィルム20を第1巻出部11から巻き出して、図8(a)と同様に、偏光フィルム20の端部を切断した後、図示しない切断機を、切断支持面95aに形成された開口96に沿って移動させて偏光フィルム20を切断する。切断後、切断貼合部95を偏光フィルム20に対して垂直方向であって、偏光フィルム20から遠ざかる方向(図中左側)に移動し、時計回りに1/3周回転させ、偏光フィルム20に対して垂直方向であって、偏光フィルム20から近接する方向(図中右側)に移動させる。これにより、図8(e)に示すように、貼合面95bの片面粘着テープ95dと対向する偏光フィルム20の切断線を覆うように、片面粘着テープ95dを貼り付けることができる。
【0099】
次に、図8(f)に示すように、吸着部84・84aおよび切断貼合部85(フィルム連結装置3)を吸着部94・94aおよび切断貼合部95(フィルム連結部93)に近接させ、偏光フィルム10および偏光フィルム20の切断面同士を合わせる(近接工程)。これにより、偏光フィルム10・20の切断線を覆う片面粘着テープ85d・95dのうち、切断線を越えた部分(偏光フィルム10・20に貼合していない部分)が、他方の偏光フィルム20・10に貼合することによって、偏光フィルム10・20が連結される。図8(f)では、フィルム連結部83をフィルム連結部93へ近接させたが、フィルム連結部93をフィルム連結部83へ近接させてもよく、また、フィルム連結部83・93を互いに近接させてもよい。
【0100】
偏光フィルム10・20を連結させた後には、準備工程として、図8(g)に示すように、切断貼合部85・95をそれぞれ偏光フィルム10・20に対して垂直方向であって、遠ざかる方向へ移動させ、切断貼合部85を時計回りに1/3周回転させ、切断貼合部95を反時計回りに1/3周回転させる。そして、切断貼合部85・95をそれぞれ偏光フィルム10・20に対して垂直方向であって、近接する方向へ移動させる。
【0101】
最後に、吸着部84・84aおよび切断貼合部85(フィルム連結部83)を図8(a)の位置に戻し、一連の工程が終了する。なお、貼合面85c・95cには、片面粘着テープ85d・95dが予め吸着された状態にて備えられているため、第2巻出部1cに新たな偏光フィルム10のロールが設置された後に、偏光フィルム20に対して図8(a)〜(c)の工程、偏光フィルム10に対して図8(d)〜(e)の工程を行い、上述したように図8(f)〜(h)の工程を経て、偏光フィルム20・10を連結させることができる。また、使用した片面粘着テープ85d・95dを補充することによって、連続して偏光フィルムを連結することももちろん可能である。
【0102】
上述のように、フィルム連結部83・93を用いた連結工程の場合、オペレーターによる連結工程と比較して、偏光フィルムの吸着、切断、貼合をより短時間に、また、より正確に行うことが可能となるため好ましい。
【0103】
具体的には、当該製造システムにおいて、オペレーターによる連結工程の場合、10分程度必要であったが、フィルム連結部83・93を用いた場合、1分以下とすることができた。
【0104】
なお、当該製造システムにおいて、第1巻出部1のみを使用し、第1巻出部11を使用せず、さらにフィルム連結部83・93も使用しない場合、オペレーターは第1巻出部1に新たな偏光フィルムを交換した後に偏光フィルム10を交換する必要があることから、連結工程には30分程度必要である。このため、本実施の形態に係る製造システムが有益であることは明らかである。
【0105】
<反転機構>
反転機構65は、短辺または長辺が搬送方向に沿った基板5を、長辺または短辺が搬送方向に沿った状態であり、反転された状態に配置を変更するものである。図9(a)〜(d)は反転機構によって基板5を反転させる過程を示す斜視図である。図9(a)は、第1基板搬送機構によって搬送された基板5を吸着する状態を示し、図9(b)および(c)は基板5を移動させる過程を示し、図9(d)は基板5を第2基板反転機構によって反転させた状態を示している。なお、図示の便宜上、図9では基板搬送機構を省略しているが、図10を用いて後述する。
【0106】
図9(a)に示すように、反転機構65は吸着部66、基板反転部67および基板回転部68を備えている。吸着部66は、基板5の表面に吸着する部材である。これにより基板5の表面は吸着部66に保持される。吸着部66としては、公知の吸着部を用いることができ、例えば、空気吸引方式の吸着部を用いることができる。
【0107】
基板反転部67は、吸着部66を備えており、基板5の長辺または短辺を下辺として、基板5を反転させるものである。図9では基板反転部67は回転軸構造となっており、基板反転部67が回転することにより吸着部66を回転させる構成となっている。しかしながら、基板反転部67は当該構造に限定されず、駆動部によって吸着部66を回転させる構造であってもよい。
【0108】
基板反転部67は、第1回転および第2回転に分けて基板5を反転させる。基板5の反転は、第1回転および第2回転に分けてなされる。反転とは基板5を反対面に回転させることを示し、換言すると基板5の表面が裏面となるよう配置することである。
【0109】
図9(a)では、基板5の短辺が搬送方向に沿っている場合を示しており、図9(b)のように、第1回転では基板5の長辺を下辺として基板5が回転される(図9(a)→図9(b))。上記第1回転では基板5は第1角度まで回転される。第1角度とは、180°未満のX°である。第1回転にて回転された基板5を基板回転部68によって回転させる際のバランス、および、反転機構65の設計を簡便とする観点から、X°は、80°以上、110°以下であることが好ましく、85°以上、95°以下であることが好ましく、90°であることが最も好ましい。
【0110】
基板回転部68は、基板反転部67に備えられており、第1回転によって回転された基板5を、図示しない第1基板搬送機構における基板5、すなわち図9(a)に示す基板5の表面に対して平行な方向に90°回転させるものである。90°の回転方向は、搬送方向に直交する2つの長辺または短辺のうち、より搬送方向側に位置する長辺または短辺を内側としてなされる。
【0111】
図9(c)に示す基板反転部67は土台部分が回転する構造となっている。しかしながら、基板回転部68は、基板5を第1基板搬送機構における基板5の表面に対して平行な方向に90°回転させることができればよく、図示した構造に限定されるものではない。基板反転部67および/または基板回転部68として、制御部を有するロボットアームを用いた場合、精密な基板5の操作が可能であるため好ましい。ロボットアームとしては公知のロボットアームを用いることができ、基板反転部67および/または基板回転部68の動作が可能であれば構造は特に限定されない。
【0112】
最後に図9(d)に示すように、基板反転部67による第2回転によって、第1回転によって回転された基板5を、基板5の長辺または短辺を下辺として、さらに回転させ反転させる。これによって、基板5は反転され、しかも短辺が搬送方向に沿った状態となる。
【0113】
図9(d)では基板5の長辺が下辺となっている。第1回転および第2回転において基板5の長辺および短辺のうち何れを下辺とするかは、短辺が搬送方向に沿った状態であれば長辺が下辺となり、長辺が搬送方向に沿った状態であれば短辺が下辺となる。何れの状態であっても基板5の反転は可能である。
【0114】
図10は、図9における基板5の回転過程を示す平面図である。図10では、反転機構65に加えて第1基板搬送機構61および第2基板搬送機構62を図示している。第1基板搬送機構61および第2基板搬送機構62にはコンベアーロールが備えられている。第1基板搬送機構61と第2基板搬送機構62とは同一方向に向かって配置されている。すなわち、L字型形状などの複雑な構造を有していない。したがって、本発明に係る貼合装置60は、設置が非常に簡便であり、面積効率に優れる。
【0115】
図9にて説明したように、まず、吸着部66によって基板5の表面が保持され、矢印方向に基板反転部67が第1回転として90°回転される(図10(a)→図10(b))。
【0116】
その後、第1回転によって回転された基板5が第1基板搬送機構61における基板5、すなわち、図10(a)の基板5の表面に対して平行な方向に90°回転される(図10(b)の矢印方向への回転、図10(b)→図10(c))。
【0117】
最後に、基板反転部67の第2回転により基板5が反転される((図10(c)→図10(d))。吸着部66と、第2基板搬送機構62の図示しないコンベアーロールとは接触しないように配置されている。吸着部66の吸着が解除されることにより基板5の保持が解かれた後、基板5は第2基板搬送機構62によって搬送される。そして、反転機構65は図10(a)の位置に戻り、順次搬送される他の基板5を同様の動作にて反転させる。
【0118】
このように反転機構65によれば、吸着部66による吸着、第1回転、第1基板搬送機構61から第2基板搬送機構62への90°回転、および、第2回転の4つの単純な動作によって基板5を反転させると共に、搬送方向に対する長辺および短辺を変更することができる。上記動作を行った後、基板5の両面に対して下面から偏光フィルムを貼合することができる。また、上記動作は単純な4動作であるため、タクトタイムが短い。したがって、整流環境を妨げることなく、タクトタイムの短い貼合をも実現することができる。
【0119】
上述した第1回転および第2回転の間では、一旦基板5を停止させているが、第1回転および第2回転中に一旦基板を停止させる場合、すなわち、段階的に回転を行う場合もそれぞれ第1回転および第2回転に含まれる。換言すると、基板回転部68による基板5の回転の前後における、基板反転部67による基板反転部67の回転をそれぞれ第1回転および第2回転ということができる。
【0120】
図10では、第1基板搬送機構61および第2基板搬送機構62はその搬送方向が一直線上に配置されず、隣接した構造となっている。これは、図10(c)のように基板回転部68によって基板5を90°回転させるため、図10(d)のように最終的な基板5の搬送方向が第1基板搬送機構61と第2基板搬送機構62とではずれが生じるためである。
【0121】
図11は、反転機構65を2つ用いた貼合装置60の変形例を示す平面図である。当該変形例の変更点としては、(1)反転機構65が2つであり、(2)第1基板搬送機構61に基板載置部61aが備えられており、(3)第1基板搬送機構61および第2基板搬送機構62が一直線上に配置されている点である。なお、第1基板搬送機構61および第2基板搬送機構62が同一方向に向かって配置されている点は同じである。
【0122】
基板載置部61aおよび反転機構65は、第1基板搬送機構61における第2基板搬送機構62側の端部において、上記端部の第1基板搬送機構61の搬送方向に対して水平な両方向に沿って備えられている。反転機構65は図9および図10にて説明した構造である。また、上記端部には、基板載置部61aへ基板5を搬送する搬送手段が備えられており、具体的には、例えば、コンベアーロールを挙げることができる。
【0123】
基板載置部61aは、第1回転前に基板5が搬送される終点となる場である。当該構造によれば、第1基板搬送機構61に搬送された基板5は、2つの基板載置部61aに交互に搬送される。基板載置部61aおよび反転機構65は2対ずつ備えられているため、基板載置部61aに搬送された基板5は、反転機構65によって第1回転、90°回転および第2回転がなされて反転される。
【0124】
当該変形例では、2つの基板載置部61aは第1基板搬送機構61の水平な両方向に沿ってそれぞれ備えられているため、反転した基板5は、第1基板搬送機構61の搬送方向に沿って配置されることとなる。したがって、第1基板搬送機構61および第2基板搬送機構62を一直線上に配置することが可能である。
【0125】
当該変形例によれば、(1)反転機構65が2つ備えられているため、基板5を単位時間当り2倍処理することができる。これにより、単位時間当たり多くの基板5の反転が可能なため、タクトタイムが短縮される。(2)さらに、第1基板搬送機構61および第2基板搬送機構62が一直線上に配置されているため、より面積効率に優れた構造の貼合装置を提供できる。特にクリーンルームにおいては面積効率が要求されるため、当該貼合装置は非常に好ましい。
【0126】
<その他の付帯的構成>
さらに、好ましい形態として、製造システム100は、制御部70、洗浄部71、貼りずれ検査装置72および貼合異物自動検査装置73および仕分け搬送装置74を備えている。貼りずれ検査装置72、貼合異物自動検査装置73および仕分け搬送装置74は、貼合後の基板5、すなわち、液晶表示装置に対して検査等の処理を行うものである。
【0127】
図12は上記液晶表示装置の製造システムが備える各部材の関連を示すブロック図であり、図13は液晶表示装置の製造システムの動作を示すフローチャートである。以下、液晶表示装置が備える各部材の説明と共にその動作について説明する。
【0128】
制御部70は、洗浄部71、貼りずれ検査装置72、貼合異物自動検査装置73および仕分け搬送装置74と接続されており、これらに制御信号を送信して制御するものである。制御部70は、主としてCPU(Central Processing Unit)により構成され、必要に応じてメモリ等を備える。
【0129】
製造システム100に洗浄部71が備えられている場合、洗浄部71でのタクトタイムを短縮するため、第1基板搬送機構61における基板5は、長辺間口にて洗浄部71に搬送されることが好ましい。通常、洗浄部71での洗浄は長時間を要するため、タクトタイムを短縮する観点から当該構成は非常に有効である。
【0130】
次に、偏光フィルムを基板5の両面に貼合する貼合工程を行うが(図13のS2)、本工程については、図1〜図11を用いて説明した通りである。
【0131】
貼りずれ検査装置72は、貼合された基板5における偏光フィルムの貼りずれの有無を検査するものである。貼りずれ検査装置72は、カメラおよび画像処理装置によって構成されており、ニップロール16・16aによって偏光フィルムが貼合された基板5の貼合位置に上記カメラが設置されている。上記カメラにて基板5の撮影が行われ、撮影された画像情報を処理することによって、基板5に貼りずれの有無を検査することができる(貼りずれ検査工程、図13のS3)。なお、貼りずれ検査装置72としては、従来公知の貼りずれ検査装置を使用可能である。
【0132】
貼合異物自動検査装置73は、貼合された基板5における異物の有無を検査するものである。貼合異物自動検査装置73は、貼りずれ検査装置72と同様に、カメラおよび画像処理装置によって構成されており、ニップロール16・16aによって偏光フィルムが貼合された後の基板5の第2基板搬送機構(貼合装置60)に上記カメラが設置されている。上記カメラにて基板5の撮影が行われ、撮影された画像情報を処理することによって、基板5に貼合異物の有無を検査することができる(貼合異物検査工程、S4)。上記異物としては、埃などの異物、フィッシュアイなどが挙げられる。なお、貼合異物自動検査装置73としては、従来公知の貼合異物検査装置を使用可能である。
【0133】
S3およびS4は逆の順序でなされてもよいし、同時になされてもよい。また、一方の工程を省略することも可能である。
【0134】
仕分け搬送装置74は、貼りずれ検査装置72および貼合異物自動検査装置73からの検査結果に基づき、貼りずれおよび異物の有無を判定する。仕分け搬送装置74は、貼りずれ検査装置72および貼合異物自動検査装置73から検査結果に基づく出力信号を受信して、貼合された基板5を良品または不良品に仕分けできるものであればよい。したがって、従来公知の仕分け搬送システムを用いることができる。
【0135】
当該液晶表示装置の製造システムでは好ましい態様として貼りずれおよび異物の両方を検出する構成となっており、貼りずれまたは異物が検査されたと判定された場合(YES)、貼合された基板5は不良品として仕分けされる(S7)。一方、貼りずれおよび異物のいずれもが検知されなかったと判定された場合(NO)、貼合された基板5は良品として仕分けされる(S6)。
【0136】
仕分け搬送装置74を備える液晶表示装置の製造システムによれば、良品および不良品の仕分けを速やかに行うことができ、タクトタイムを短縮することが可能である。貼りずれ検査装置72または貼合異物自動検査装置73のみが備えられている場合、仕分け搬送装置74は、貼りずれおよび異物の一方のみ有無を判定する構成であってもよい。
【0137】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明に係る偏光フィルムの貼合装置は、偏光フィルムを基板に貼合する分野にて利用可能である。
【符号の説明】
【0139】
1・1b 第1巻出部
1a・1c 第2巻出部
1d 巻芯
2 第1巻取部
2a 第2巻取部
3 ハーフカッター
4 ナイフエッジ
5 基板
6・6a ニップロール(第1貼合部)
7・7a 欠点フィルム巻取ローラー
10・20 偏光フィルム
10a 偏光フィルム
10b 剥離フィルム
11 第1巻出部
11a 第2巻出部
12 第1巻取部
12a 第2巻取部
13 ハーフカッター
14 ナイフエッジ
15 コンベアーロール
16・16a ニップロール(第2貼合部)
17・17a 欠点フィルム巻取ローラー
40 HEPAフィルター
41 グレーチング
50 フィルム搬送機構
51 第1フィルム搬送機構
52 第2フィルム搬送機構
60 貼合装置(偏光フィルムの貼合装置)
61 第1基板搬送機構
61a 基板載置部
62 第2基板搬送機構
65 反転機構
66 吸着部
67 基板反転部
68 基板回転部
70 制御部
71 洗浄部
72 検査装置
73 貼合異物自動検査装置
74 搬送装置
83・93 フィルム連結部
84・84a・94・94a 吸着部
85・95 切断貼合部
85a・95a 切断支持面
85b・85c・95b・95c 貼合面
85d・95d 片面粘着テープ
86・96 開口
87 切断機
88 台部
89 吸着機構
100 製造システム(液晶表示装置の製造システム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の基板を長辺または短辺が搬送方向に沿った状態にて搬送する第1基板搬送機構と、
上記第1基板搬送機構における上記基板の下面に偏光フィルムを貼合する第1貼合部と、
上記第1基板搬送機構にて搬送された上記基板を反転させて第2基板搬送機構に配置する反転機構と、
上記基板を短辺または長辺が搬送方向に沿った状態にて搬送する第2基板搬送機構と、
上記第2基板搬送機構における上記基板の下面に偏光フィルムを貼合する第2貼合部とを含む偏光フィルム貼合装置であって、
上記第1基板搬送機構と第2基板搬送機構とは同一方向に向かって配置されており、
上記反転機構は上記基板を吸着する吸着部と、
基板の長辺または短辺を下辺として、基板を第1角度まで回転させる第1回転および第1角度から基板を反転させる第2回転によって基板を反転させる基板反転部と、
上記基板反転部に連結されており、上記第1回転によって回転された基板を、第1基板搬送機構における基板の表面に対して平行な方向に90°回転させる基板回転部とを備えることを特徴とする偏光フィルムの貼合装置。
【請求項2】
上記第1基板搬送機構および第2基板搬送機構が一直線上に配置されており、
第1基板搬送機構における第2基板搬送機構側の端部において、上記端部の第1基板搬送機構の搬送方向に対して水平な両方向に沿って、基板載置部および上記反転機構が2対ずつ備えられ、
上記端部には、上記端部から上記基板載置部へ基板を搬送する搬送手段が備えられており、
上記反転機構は上記基板載置部のそれぞれに搬送された基板を反転させて第2基板搬送機構に配置することを特徴とする請求項1に記載の偏光フィルムの貼合装置。
【請求項3】
偏光フィルムを搬送する第1フィルム搬送機構および第2フィルム搬送機構が備えられており、
上記第1フィルム搬送機構には、剥離フィルムに保護された偏光フィルムを巻出す複数の巻出部と、偏光フィルムを切断する切断部と、偏光フィルムから剥離フィルムを除去する除去部と、除去された上記剥離フィルムを巻取る複数の巻取部とが備えられており、
上記第2フィルム搬送機構には、剥離フィルムに保護された偏光フィルムを巻出す複数の巻出部と、偏光フィルムを切断する切断部と、偏光フィルムから剥離フィルムを除去する除去部と、除去された上記剥離フィルムを巻取る複数の巻取部とが備えられており、
上記第1基板搬送機構および第2基板搬送機構は上記第1フィルム搬送機構および第2フィルム搬送機構の上部に備えられており、
上記剥離フィルムが除去された偏光フィルムを基板に貼合する上記第1貼合部が上記第1フィルム搬送機構と第1基板搬送機構との間に、上記剥離フィルムが除去された偏光フィルムを基板に貼合する第2貼合部が上記第2フィルム搬送機構と第2基板搬送機構との間にそれぞれ備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光フィルムの貼合装置。
【請求項4】
上記巻出部は偏光フィルムの巻芯方向に対して水平に移動可能であり、
上記巻出部である第1巻出部および第2巻出部が並設されていることを特徴とする請求項3に記載の偏光フィルムの貼合装置。
【請求項5】
第1巻出部から巻出された偏光フィルムおよび第2巻出部から巻出された偏光フィルムを連結させる、第1フィルム連結部および第2フィルム連結部が、上記の両偏光フィルムの通過位置を介在し、かつ、第1フィルム連結部は第1巻出部から巻出された偏光フィルムに対向して配置され、第2フィルム連結部は第2巻出部から巻出された偏光フィルムに対向して配置されており、
上記第1フィルム連結部および第2フィルム連結部は、偏光フィルムを吸着可能な吸着機構を備える2つの吸着部と、上記2つの吸着部の間であり、かつ、偏光フィルムの幅方向に沿って回転可能に配置された、切断貼合部とを備えており、
上記切断貼合部は、偏光フィルムを切断する切断機を備えていると共に、切断貼合部が有する複数面は、偏光フィルムの幅方向に沿って偏光フィルムを支持する切断支持面と、上記偏光フィルム同士を連結する連結材を吸着して保持する吸着機構を備えた、2以上の貼合面とを少なくとも有しており、
上記第1フィルム連結部および第2フィルム連結部は、互いに近接可能であることを特徴とする請求項4に記載の偏光フィルムの貼合装置。
【請求項6】
上記切断支持面には、上記偏光フィルムの幅方向に沿って、上記切断機が通過可能な開口が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の偏光フィルムの貼合装置。
【請求項7】
上記切断機が丸刃状であることを特徴とする請求項6に記載の偏光フィルムの貼合装置。
【請求項8】
上記切断貼合部は、吸着部によって吸着された偏光フィルムに対して垂直方向に移動可能であることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の偏光フィルムの貼合装置。
【請求項9】
上記第1貼合部によって基板の下面に偏光フィルムを貼合する前に、基板を洗浄する洗浄部を備え、
上記第1基板搬送機構は、基板の短辺が搬送方向に沿った状態にて基板を搬送することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の偏光フィルムの貼合装置。
【請求項10】
上記第1フィルム搬送機構および上記第2フィルム搬送機構には、第1巻出部から巻出された偏光フィルムに付された欠点表示を検出する欠点検出部と、
上記欠点表示を判別して、上記基板の搬送を停止させる貼合回避部と、
基板との貼合が回避された偏光フィルムを回収する回収部とを有することを特徴とする請求項3〜8の何れか1項に記載の偏光フィルムの貼合装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載の偏光フィルムの貼合装置と、
上記第2貼合部によって偏光フィルムの貼合がなされた基板における貼りずれを検査する貼りずれ検査装置を備えることを特徴とする液晶表示装置の製造システム。
【請求項12】
上記貼りずれ検査装置による検査結果に基づき貼りずれの有無を判定し、当該判定結果に基づき、偏光フィルムが貼合された基板の仕分けを行う仕分け搬送装置を備えることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置の製造システム。
【請求項13】
請求項1〜10の何れか1項に記載の偏光フィルムの貼合装置と、
上記貼合装置における第2貼合部によって偏光フィルムの貼合がなされた基板における異物を検査する貼合異物自動検査装置とを備えることを特徴とする液晶表示装置の製造システム。
【請求項14】
上記貼合異物自動検査装置による検査結果に基づき異物の有無を判定し、当該判定結果に基づき、偏光フィルムが貼合された基板の仕分けを行う仕分け搬送装置を備えることを特徴とする請求項13に記載の液晶表示装置の製造システム。
【請求項15】
上記第2貼合部によって偏光フィルムの貼合がなされた基板における異物を検査する貼合異物自動検査装置を備え、
上記貼りずれ検査装置による検査結果、および、上記貼合異物自動検査装置による検査結果に基づき、貼りずれおよび異物の有無を判定し、当該判定結果に基づき、偏光フィルムが貼合された基板の仕分けを行う仕分け搬送装置を備えることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置の製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−191729(P2011−191729A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176684(P2010−176684)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【特許番号】特許第4751997号(P4751997)
【特許公報発行日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】