説明

偏光板用粘着剤組成物、並びにそれを用いた粘着剤付偏光板及び液晶表示装置

【課題】偏光板の貼着に使用され、高温高湿下においても優れた耐久性を示すと共に、白ヌケの発生を抑制する偏光板用粘着剤組成物、並びにそれを用いた粘着剤付偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
【解決手段】少なくとも、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)、カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)、トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物(C)、及びシランカップリング剤(D)を含む粘着剤組成物において、
前記カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)、及び前記カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)の各々の重量平均分子量は、95万以上105万以下であることを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板用粘着剤組成物、並びにそれを用いた粘着剤付偏光板及び液晶表示装置に関する。特に本発明は、少なくとも、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体と、カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体とを含む偏光板用粘着剤組成物、並びにそれを用いた粘着剤付偏光板及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、通常所定の方向に配向した液晶成分をガラス等の2枚の支持基板の間に挟持した液晶セルと、偏光板、位相差フィルム、輝度向上フィルム等の光学フィルムとから構成されている。光学フィルム同士の積層や、光学フィルムを液晶セルに貼着する際は、粘着剤が使用される。
【0003】
液晶表示装置は、パーソナルコンピュータやテレビジョン、カーナビゲーション等の表示装置として広範囲に使用されている。液晶表示装置は、高温高湿下のような過酷な環境を含め、様々な環境下で使用される。従って、長期間の使用においても、剥がれや気泡の発生等が生じない耐久性に優れた粘着剤の開発が要求される。また、例えば高温高湿下のような苛酷な環境では、偏光板は収縮や膨張による寸法変化により偏光板に応力が発生する。寸法変化に伴う応力を、偏光板と液晶セルに貼着される粘着剤で緩和できない場合は、偏光板の残留応力が不均一になるため、従来の粘着剤を用いた液晶表示装置は、表示部の周辺から光が漏れて白くなる、いわゆる「白ヌケ」と呼ばれる問題が発生する。
【0004】
この問題を改善するために、粘着剤組成物に低分子量重合体を添加し、応力を緩和する粘着剤が提案されている。例えば、高分子量アクリル系共重合体と、重量平均分子量が3万以下の低分子量アクリル系共重合体と、多官能性化合物とからなる偏光板用粘着剤組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の粘着剤組成物は、偏光板の寸法変化に追随するので白ヌケの発生を抑制できる。しかしながら、特許文献1に記載の粘着剤組成物は、重量平均分子量が3万以下の低分子量アクリル系共重合体の添加量が多いため、高温高湿下では、粘着剤組成物の発泡や剥がれが起きる可能性がある。
【0005】
また、官能基含有単量体が0.5重量%以下である低ガラス転移温度(Tg)アクリル系共重合体と、官能基含有単量体が6重量%以上である高Tgアクリル系共重合体の混合物と、官能基と反応可能な架橋剤と、イソシアネート化合物とからなるゲル分率30重量%未満の粘着剤組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の粘着剤組成物は、高Tgアクリル系共重合体の分子内に架橋構造を形成し、低Tgアクリル系共重合体の分子間をイソシアネート化合物の多量体で拘束することにより、凝集力が高いことが提案されている。しかしながら、この粘着剤組成物を用いた液晶表示装置は、白ヌケが生じにくいものの、架橋密度が十分ではなく、高温下では凝集力が不足するため、耐久性評価において、粘着剤の発泡や剥がれの発生を抑制することは難しい。
【0006】
更に、近年、液晶表示装置の大型化に伴い、要求される偏光板のサイズも大きくなりつつある。偏光板の膨張や収縮といった寸法変化は、サイズの増大に応じて大きくなるため、より高いレベルでの耐久性、及び白ヌケの抑制が求められる。このような大型化液晶表示装置に用いても耐久性を満足する粘着剤として、凝集力を高くした粘着剤組成物が開示されている。例えば、カルボキシル基又はアミド基を含有し、水酸基を含有しないアクリル系共重合体(A)と、カルボキシル基又はアミド基と水酸基を含有するアクリル系共重合体(B)とを、20/80−50/50の重量比で混合してなる混合物に、イソシアネート化合物を配合してなる、偏光板用粘着剤組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、特許文献3に記載の粘着剤組成物は、高温高湿下での発泡や剥がれを抑制するが、大型化した液晶表示装置での白ヌケが良好なレベルに達するために必要な凝集力が不足しているため、この粘着剤組成物を用いた大型化した液晶表示装置は、白ヌケを完全には抑制できていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−279907号公報
【特許文献2】特開2006−133606号公報
【特許文献3】特開平9−113724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、偏光板の貼着に使用され、高温高湿下においても優れた耐久性を示すと共に、白ヌケの発生を抑制する偏光板用粘着剤組成物、並びにそれを用いた粘着剤付偏光板及び液晶表示装置を提供することである。特に、19インチワイド以上の大型液晶表示装置に好適に用いられる、偏光板用粘着剤組成物、並びにそれを用いた粘着剤付偏光板及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達するため、
少なくとも、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)、カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)、トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物(C)、及びシランカップリング剤(D)を含む粘着剤組成物において、
前記カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)、及び前記カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)の各々の重量平均分子量は、95万以上105万以下であり、
前記カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)と前記カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)との重量比が、70/30から90/10の範囲であり、
前記カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)は、少なくとも、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体を1.5重量%以上3重量%以下と、反応性官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体を97重量%以上98.5重量%以下とを用いた共重合体であり、
前記カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)は、少なくとも、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体を0.5重量%以上3重量%以下と、及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体を0.3重量%以上1重量%以下と、及び反応性官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体を96重量%以上99.2重量%以下とを用いた共重合体であり、
前記粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体の合計量100重量部に対し、前記トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物(C)を10重量部以上20重量部以下含むことを特徴とする偏光板用粘着剤組成物が提供される。
【0010】
また、本発明は、上記目的を達成するため、偏光板用粘着剤組成物が積層された粘着剤付偏光板が提供される。
【0011】
また、本発明は、上記目的を達成するため、粘着剤付偏光板を用いた液晶表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の偏光板用粘着剤組成物、並びにそれを用いた粘着剤付偏光板及び液晶表示装置によれば、偏光板の貼着に使用され、高温高湿の環境下においても優れた耐久性を示すと共に、白ヌケの発生を抑制する偏光板用粘着剤組成物、並びにそれを用いた粘着剤付偏光板及び液晶表示装置が提供できる。特に、19インチワイド以上の大型液晶表示装置に好適に用いられる、偏光板用粘着剤組成物、並びにそれを用いた粘着剤付偏光板及び液晶表示装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態により詳細に説明する。
【0014】
[実施の形態]
本発明の実施形態は、
少なくとも、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)、カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)、トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物(C)、及びシランカップリング剤(D)を含む粘着剤組成物において、
前記カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)、及び前記カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)の各々の重量平均分子量は、95万以上105万以下であり、
前記カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)と前記カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)との重量比が、70/30から90/10の範囲であり、
前記カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)は、少なくとも、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体を1.5重量%以上3重量%以下と、反応性官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体を97重量%以上98.5重量%以下とを用いた共重合体であり、
前記カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)は、少なくとも、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体を0.5重量%以上3重量%以下、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体を0.3重量%以上1重量%以下、及び反応性官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体を96重量%以上99.2重量%以下を用いた共重合体であり、
前記粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体の合計量100重量部に対し、前記トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物(C)を10重量部以上20重量部以下含むことを特徴とする偏光板用粘着剤組成物である。
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、偏光板の貼着に使用され、高温高湿下においても優れた耐久性を示すと共に、本発明の偏光板用粘着剤組成物を用いた液晶表示装置の白ヌケの発生を抑制する。特に、19インチワイド以上の大型液晶表示装置に好適に用いることができる。
【0015】
本発明における、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)とは、反応性官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体を主成分とし、反応性官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体と、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体とを用いた共重合体である。カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)の重合成分には、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体を含まない。
【0016】
また、カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)とは、反応性官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体を主成分とし、反応性官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体と、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体と、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体とを用いた共重合体である。
【0017】
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)、並びにカルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)に用いる、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体の種類は、(A)と(B)で互いに異なってもよく、同一であってもよい。
【0018】
本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を示す意味で用いる。
【0019】
反応性官能基とは、例えば、カルボキシル基、水酸基を示す。
【0020】
反応性官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル、特に、エステル基の炭素数が、1〜18の直鎖若しくは分枝アルキルエステルを用いることができる。また、これらの各種誘導体の1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレート等を用いることができる。なかでも、n−ブチルアクリレート、及びt−ブチルアクリレートは、粘着剤の凝集力と接着力を調整しやすいため、好適に用いることができる。
【0021】
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ω−カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を用いることができる。なかでも、共重合反応時に他の単量体との反応性が高く、未反応の単量体を低減できるため、アクリル酸が好適に用いることができる。
【0022】
水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−3−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、等を用いることができる。なかでも、重合反応性が高く、さらに、得られた共重合体を用いての架橋反応性も高いため、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、及び4−ヒドロキシブチルアクリレートが好適に用いることができる。
【0023】
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)とカルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)の各々の重量平均分子量は、95万以上105万以下が好ましい。各々の(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が95万以上であれば、高温高湿下においても適度な硬さを持ちながら脆くならず、共重合体に含まれる分子同士の絡み合いの度合いが適正であり、粘着剤組成物は優れた耐久性を示すため好ましい。また、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が105万以下であれば、塗工溶液の固形分を高くしても、粘着剤組成物の塗工に適した粘度を保つことができるため好ましい。
【0024】
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)とカルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)との重量比は、70/30から90/10の範囲が好ましい。(A)と(B)の重量比が、(B)が30以下の場合は、粘着剤が適正な硬さを保つことができ、粘着剤組成物は、偏光板と液晶セルを貼り合せ後の剥がれが抑制できるため好ましい。(A)と(B)の重量比が、(B)が10以上の場合は、液晶表示装置を高温高湿下で使用しても、粘着剤層に発泡が起きにくいため好ましい。
【0025】
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)は、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体を1.5重量%以上3重量%以下と、反応性官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体を97重量%以上98.5重量%以下とを用いた共重合体が好ましい。カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)が、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体を1.5重量%以上用いた共重合体の場合は、粘着剤組成物は、十分な凝集力を有し、液晶表示装置を高温高湿下で使用しても偏光板と液晶セルの剥がれが抑制できるため好ましい。カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)が、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体を3重量%以下用いた共重合体の場合は、粘着剤組成物の塗工時のポットライフ時間を十分に確保できるため好ましい。
【0026】
カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)は、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体を0.5重量%以上3重量%以下と、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体を0.3重量%以上1重量%以下と、反応性官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体を96重量%以上99.2重量%以下とを用いた共重合体が好ましい。カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)が、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体を0.5重量%以上用いた共重合体の場合は、液晶表示装置を高温下で使用しても、粘着剤層に発泡が起きにくいため好ましい。カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)が、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体を3重量%以下用いた共重合体の場合は、(メタ)アクリル系共重合体の架橋反応後の粘度をコントロールでき、粘着剤組成物の塗工時のポットライフ時間を十分に確保できるため好ましい。カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)が、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体を0.3重量%以上用いた共重合体の場合は、液晶表示装置を高温下で使用しても、粘着剤層に発泡が起きにくいため好ましい。カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)が、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体を1重量%以下用いた共重合体の場合は、粘着剤組成物は、十分な凝集力を有し、液晶表示装置を高温高湿下で使用しても偏光板と液晶セルの剥がれが抑制できるため好ましい。
【0027】
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体の合計量100重量部に対し、前記トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物(C)を10重量部以上20重量部以下含むことが好ましい。偏光板用粘着剤組成物が、トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物(C)を10重量部以上含む場合は、粘着剤貼着後の偏光板の収縮応力を抑制するのに十分な凝集力が発現する。そのため、粘着剤付偏光板を組み合わせた液晶表示装置の周辺部から光が漏れて白くなる「白ヌケ」が抑制できるため好ましい。偏光板用粘着剤組成物が、トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物(C)を20重量部以下含む場合は、十分な凝集力を有し、液晶表示装置を高温高湿下で使用しても偏光板と液晶セルの剥がれが抑制できるため好ましい。
【0028】
トリレンジイソシアネート系化合物(C)としては、イソシアネートの2量体もしくは3量体、又は、イソシアネートとトリメチロールプロパンポリオールとのアダクト体などの各種イソシアネートに由来するトリレンジイソシアネート化合物を用いることができる。
【0029】
トリレンジイソシアネート系化合物(C)としては、例えば「コロネートL」(日本ポリウレタン工業株式会社製)の商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
【0030】
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことが好ましい。偏光板用粘着剤組成物がシランカップリング剤(D)を含む場合は、偏光板が組み込まれた液晶表示装置が高温高湿の環境下におかれても、粘着剤層と、偏光板または液晶セルとの間に剥がれが起きにくいため好ましい。特に、本発明の偏光板用粘着剤組成物は、平滑なガラスに十分な接着力を示すため好ましい。
【0031】
シランカップリング剤(D)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有シラン化合物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、及び3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有シラン系化合物、及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するシラン化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有シラン化合物、並びにトリス-(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
シランカップリング剤(D)としては、例えば「KBM−403」(信越化学工業株式会社製)の商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
【0033】
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、エポキシ系架橋剤を含むことが好ましい。偏光板用粘着剤組成物がエポキシ系架橋剤を含む場合は、凝集力の調整が容易に可能で、液晶表示装置が高温高湿下で使用しても、外観異常を抑えることができるため好ましい。
【0034】
エポキシ系架橋剤としては、例えば「TETRAD-X」、「TETRAD-C」(ともに三菱ガス化学株式会社製)の商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
【0035】
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)とカルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)の各々のガラス転移温度(Tg)は、−60℃以上−40℃以下が好ましい。各々の(メタ)アクリル系共重合体のTgが−60℃以上の場合は、粘着剤組成物が十分な凝集力を持ち、液晶表示装置を高温高湿下で使用しても偏光板と液晶セルの剥がれが抑制できるため好ましい。各々の(メタ)アクリル系共重合体のTgが−40℃以下の場合は、粘着剤層と、偏光板または液晶セルとの間に剥がれが起きにくいため好ましい。
【0036】
(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、下記式1の計算により求められる温度(K)を(℃)に換算した値である。
式1 1/Tg=M1/Tg1+M2/Tg2+M3/Tg3+・・・・+Mn/Tgn
式中、Tg1、Tg2、Tg3・・・及びTgnは、成分1、成分2、成分3・・・及び成分nそれぞれのホモポリマーのガラス転移温度(K)を示す。また、式中、M1、M2、M3・・・及びMnは各種成分のモル分率を示す。
【0037】
本発明に用いる(メタ)アクリル系共重合体の重合方法は、特に制限するものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法を用いることができる。処理工程が比較的簡単で、且つ短時間で行えることから、溶液重合が好ましい。
【0038】
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流下で、撹拌しながら数時間加熱反応させる。
【0039】
本発明に用いる(メタ)アクリル系共重合体の重合に用いる開始剤としては、特に制限するものではなく、例えばアゾ系化合物を用いることができる。
【0040】
本発明に用いる(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、反応温度、時間、溶剤量、触媒の種類や量を調整することにより、所望の分子量にすることができる。
【0041】
(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、下記の方法により測定された値である。
(重量平均分子量(Mw)の測定方法)
下記(1)〜(3)に従って測定する。
(1)(メタ)アクリル系共重合体溶液を剥離紙に塗工し、100℃で2分間乾燥し、フィルム状の(メタ)アクリル系共重合体を得る。
(2)前記(1)で得られたフィルム状の(メタ)アクリル系共重合体をテトラヒドロフランにて固形分0.2%になるように溶解させる。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を測定する。
(条件)
GPC:HLC−8220 GPC〔東ソー(株)製〕
カラム:TSK−GEL GMHXL4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
標準試料:標準ポリスチレン
流速:0.6ml/min
カラム温度:40℃
【0042】
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、各種添加剤、及び溶剤を、適宜配合することができる。
【0043】
本発明の粘着剤組成物の一方の被着体は、偏光板、より詳細にはセルローストリアセテート(TAC)である。トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物が適正な量であるため、本発明の粘着剤組成物は、セルローストリアセテート(TAC)と十分に接着する。
【0044】
本発明の粘着剤組成物の他方の被着体は、液晶セル、より詳細には無アルカリガラスである。シランカップリング剤を含むため、本発明の粘着剤組成物は、液晶表示装置に用いられる平滑なガラスにおいても十分に接着する。
【0045】
また、本発明の別の実施形態は、本発明の粘着剤組成物が積層された粘着剤付偏光板である。本発明の粘着剤組成物を用いて、剥離シート上に塗工後乾燥し、剥離シート上に粘着剤層を形成後、偏光板に粘着剤層を転写し、養生させて、本発明の粘着剤付偏光板を作製できる。
【0046】
前記剥離シートとしては、フッ素系樹脂、パラフィンワックス、シリコーン等の離型剤で離型処理を施したポリエステル等の合成樹脂シートを用いることができる。剥離シート上に形成される粘着剤層の好適な厚さは、乾燥後の厚みで1μm以上100μm以下、好ましくは5μm以上50μm以下、更に好ましくは15μm以上30μm以下である。
【0047】
剥離シート上に塗工した粘着剤組成物は、熱風乾燥機で70〜120℃、1〜3分程度の温度条件で乾燥する。
【0048】
本発明に用いる偏光板の構成は、ポリビニルアルコールを主体とする偏光子から成るフィルムの表面及び裏面に、セルローストリアセテート(TAC)がラミネートされている。なお、本発明に用いる偏光板の厚みは、約190μmである。
【0049】
本発明の粘着剤付偏光板は、積層される液晶セルの大きさが19インチワイド(260mm×415mm)以上でも適用可能である。液晶セルの大きさが19インチワイド(260mm×415mm)以上であると、偏光板の熱や湿度の影響による膨張、収縮が大きくなる。従って、従来の粘着剤付偏光板では、高温高湿下でも応力が抑制できずに、大型液晶表示装置の光源点灯時、ベセル周辺に発生する「白ヌケ」が抑制できない。一方、本発明の粘着剤付偏光板は、共重合体の樹脂設計、並びに架橋剤の種類及び量が適正であり、高温高湿下でも応力が抑制できるため、19インチワイド(260mm×415mm)以上の大きさの液晶セルにも好適である。
【0050】
以下、実施例、及び比較例を説明する。
【0051】
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体の製造方法(A)
(製造例1a)
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び還流冷却管を備えた反応器内に、n-ブチルアクリレート(BA)98.0重量部、アクリル酸(AA)2.0重量部、酢酸エチル(EAc)90.0重量部、及びアゾビスジメチルバレロニトリル(ABVN)0.3重量部を入れた後、反応器内を窒素置換した。その後、前記混合物を撹拌し、反応器内の混合物を65℃に昇温し、8時間保持し、重合反応を行なった。重合反応終了後、反応混合物を酢酸エチルで希釈、固形分23.0%に調整し、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体溶液を得た。前記条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を測定した。
【0052】
(製造例2a〜7a)
表1に記載した各製造例の(メタ)アクリル系単量体の部数に変更し、適宜ABVNとEAcの添加量を調整した以外は、製造例1aと同様にして、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体溶液を得た。
【0053】
カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)
(製造例1b)
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び還流冷却管を備えた反応器内に、n-ブチルアクリレート(BA)84.5重量部、t-ブチルアクリレート(tBA)14.0重量部、アクリル酸(AA)1.0重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2EHA)0.5重量部、酢酸エチル(EAc)90重量部、及びアゾビスジメチルバレロニトリル(ABVN)0.3重量部を入れた後、反応器内を窒素置換した。その後、前記混合物を撹拌し、反応器内の混合物を65℃に昇温し、8時間保持し、重合反応を行なった。重合反応終了後、反応混合物を酢酸エチルで希釈、固形分23.0%に調整し、カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体溶液を得た。前記条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を測定した。
【0054】
(製造例2b〜14b)
表2に記載した各製造例の(メタ)アクリル系単量体の重量部数に変更し、適宜ABVNとEAcの添加量を調整した以外は、製造例1bと同様にして、カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体溶液を得た。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
偏光板用粘着剤組成物の作製
(実施例1)
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体の製造方法(A)として、製造例1aで作製した(メタ)アクリル系共重合体を固形分換算で85重量部、並びにカルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)として、製造例1bで作製した(メタ)アクリル系共重合体を固形分換算で15重量部加えて撹拌し、(メタ)アクリル系共重合体の混合物を得た。共重合体混合物に、トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物(C)として、コロネートL(日本ポリウレタン工業株式会社製;有効成分75%)を固形分換算で14.0重量部、及びシランカップリング剤(D)として、KBM−403(信越化学工業株式会社製)を有効成分換算で0.1重量部加え、23℃の環境下、反応器内にて撹拌し、偏光板用粘着剤組成物を得た。
【0058】
(実施例2〜12、及び比較例1〜20)
各実施例及び各比較例は、表3、及び表4に記載した(メタ)アクリル系単量体の組成、共重合体重量比、架橋剤、及びシランカップリング剤の組成に変更した以外は実施例1と同様にして、偏光板用粘着剤組成物を得た。
【0059】
実施例、及び比較例において作製した偏光板用粘着剤組成物を評価した。試験片の作製方法、及び各種の評価方法は以下の通りである。
【0060】
(1)粘着剤付偏光板の作製
シリコーン系離型剤で表面処理した剥離シート上に、粘着剤組成物を塗工した。このときの粘着剤組成物の塗工量は、溶剤乾燥後に、粘着剤組成物の厚みが25μmとなるように調製した。粘着剤組成物の固形分は20.0重量%とした。次に、100℃に保持した熱風循環式乾燥機を用いて、粘着剤を塗工した剥離シートを、90秒間乾燥させて粘着剤層を作製した。続いて、偏光板の一方の面に、粘着剤層を加圧ニップロールに通して圧着した。圧着後、23℃、50%RH環境下で10日間養生させて、粘着剤付偏光板を得た。
【0061】
(2)耐久性の評価
「(1)粘着剤付偏光板の作製」において作製した粘着剤付偏光板を、光の偏光軸と偏光板の長辺が45°の角度になるように、260mm×415mmの長方形状の大きさにカットした。厚さ0.7mmの無アルカリガラス板(コーニング社製、品番#1737)の片面に、ラミネーターを用いて、カットした粘着剤付偏光板を貼り付け、耐久性評価の試験片とした。次に、この試験片を、オートクレーブ処理後、23℃、50%RHの環境下で24時間保持した。オートクレーブの条件は、温度50℃、圧力5kg/cm2で20分間とした。試験片を2つ用意した。試験片を、1)80℃条件、及び2)60℃90%RH条件の各環境下でそれぞれ1つずつ500時間保持し、耐久性試験終了後、粘着剤層の発泡の有無、並びに粘着剤層と偏光板またはガラス板との剥がれの有無の目視確認を行い、耐久性の評価とした。
耐久性評価基準は以下の通りである。
a) 発泡
○ 発泡が全く見られず、液晶セルに適用可能である。
△ 発泡がわずかに認められるが、液晶セルに適用可能である。
× 発泡が顕著に認められ、液晶セルに適用不可である。
b) 剥がれ
○ 剥がれがなく、液晶セルに適用可能である。
× 剥がれがあり、液晶セルに適用不可である。
【0062】
(3)白ヌケ現象の評価
「(1)粘着剤付偏光板の作製」において作製した粘着剤付偏光板を、光の偏光軸と偏光板の長辺が、45°及び135°の角度となるように、260mm×415mmの長方形状の大きさにカットしたものを各々1枚ずつ用意した。厚さ0.7mmの無アルカリガラス板(コーニング社製、品番#1737)の表面及び裏面に、カットした粘着剤付偏光板を、互いの偏光軸が直交するようにラミネーターを用いて貼り付け、白ヌケ評価の試験片とした。次に、この試験片を、オートクレーブ処理後、23℃、50%RH環境下で24時間保持した。オートクレーブの条件は、温度50℃、圧力5kg/cm2で20分間とした。その後、試験片を、80℃の環境下で500時間保持した。放置後、23℃、50%RH環境下で、均一光源(株式会社 アイ・システム製)上に試験片を設置し、ムラ測定システムEyeScale−3W(株式会社 アイ・システム製)を用いて、白ヌケを目視確認測した。ムラ測定システムEyeScale−3WのCCDカメラは、試験片から200cm離れた位置に設置し、白ヌケを評価した。
c) 白ヌケ評価
◎ 白ヌケが全く見られず、液晶セルに適用可能である。
○ 白ヌケが見られるものの、液晶セルに適用可能である。
× 白ヌケが見られ、かつ白ヌケ部位の輝度が高く、液晶セルに適用不可である。
【0063】
(4)粘着剤組成物塗工適性
シリコーン系離型剤で表面処理した剥離シート上に、粘着剤組成物を塗工した。粘着剤組成物の塗工液の固形分を20%に溶剤を用いて調整し、自動塗工機(太佑機材株式会社製)を用い、速度10m/分で塗工し、ムラ、外観異常の有無を評価した。
d) 塗工適性
○ ムラ、外観異常なく塗工可能であり、液晶セルに適用可能である。
× 塗工ムラ、または外観異常があるため、液晶セルに適用不可である。
【0064】
(5)粘着剤組成物ポットライフ
(4)で用いた粘着剤組成物を、23℃、50%RH条件で48時間保持後塗工し、粘着剤組成物及び塗工面の、透明性及び外観を目視で評価した。
e) ポットライフ
○ 粘着剤組成物及び塗工面の透明性が維持され、液晶セルに適用可能である。
× 粘着剤組成物または塗工面が白濁し、液晶セルに適用不可である。
【0065】
前記の評価方法により評価した結果を、粘着剤組成とあわせ表3及び表4に示す。
【0066】
【表3】

【0067】
【表4】

【0068】
表3によると、本発明の粘着剤組成物は、大型の粘着剤付偏光板に適用しても、優れた性能を示す。例えば実施例1の粘着剤組成物は、凝集力が適正な範囲であるため、高温下においても発泡が生じず、かつ高温高湿下においても、粘着剤層に剥がれが起きない。また、コントロールされた架橋反応により作製されたことで、共重合体の架橋密度が適正な範囲であるため、実施例1の粘着剤組成物は、白ヌケが起きない。また、シランカップリング剤を含むため、実施例1の粘着剤組成物は、平滑なガラス面と十分な接着力を示し、耐久性試験において外観異常は起きない。また、共重合体の分子量が適正な範囲であるため、実施例1の粘着剤組成物を用いた塗工液は、固形分が高くても塗工適性が優れている。さらに、コントロールされた架橋反応により作製されたことで、実施例1の粘着剤組成物の塗工液は十分なポットライフを保持する。
【0069】
表4によると、例えば比較例3の粘着剤組成物は、大型の粘着剤付偏光板に適用すると、凝集力が高すぎるため、粘着剤層が硬くなり、耐久性試験で剥れが生じた。
【0070】
表4によると、例えば比較例2の粘着剤組成物は、架橋密度が適正な範囲でないため、ポットライフが適正でない。
【0071】
表4によると、例えば比較例4の粘着剤組成物は、大型の粘着剤付偏光板に適用すると、凝集力が不足しているため、耐久性試験で発泡が生じた。
【0072】
表4によると、例えば比較例5の粘着剤組成物は、大型の粘着剤付偏光板に適用すると、共重合体の架橋密度が適正な範囲外のため、白ヌケが生じた。
【0073】
表4によると、例えば比較例11の粘着剤組成物は、塗工液の固形分が高くした際、塗工時に外観異常が生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)、カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)、トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物(C)、及びシランカップリング剤(D)を含む粘着剤組成物において、
前記カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)、及び前記カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)の各々の重量平均分子量は、95万以上105万以下であり、
前記カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)と前記カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)との重量比が、70/30から90/10の範囲であり、
前記カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)は、少なくとも、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体を1.5重量%3重量%以下と、反応性官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体を97重量%以上98.5重量%以下とを用いた共重合体であり、
前記カルボキシル基及び水酸基を含有する(メタ)アクリル系共重合体(B)は、少なくとも、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系単量体を0.5重量%以上3重量%以下、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体を0.3重量%以上1重量%以下、及び反応性官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体を96重量%以上99.2重量%以下用いた共重合体であり、
前記粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体の合計量100重量部に対し、前記トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物(C)を10重量部以上20重量部以下含む
ことを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の粘着剤組成物が積層された粘着剤付偏光板。
【請求項3】
請求項2に記載の粘着剤付偏光板を用いた液晶表示装置。

【公開番号】特開2011−231190(P2011−231190A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101524(P2010−101524)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【Fターム(参考)】