説明

健康美容浴槽

【課題】浴槽自体に指圧効果を備えることで、衛生的で且つ風呂に入りながらにして指圧効果を得られるとともに風呂に入ることでの血行が良くなることとの相乗効果により、身体を健康に且つ美容にも優れた浴槽の提供を図る。
【解決手段】浴槽本体1の内側面3あるいは内底面4の少なくとも一方における所定箇所に、少なくとも一または二以上の指圧用突起2が形成されている構造を採用する。該指圧用突起2は、身体におけるツボの位置に合わせて配置されていることが好ましい。またさらに、浴槽本体1の側壁上縁6における所定箇所に、頸部載置用の凹部5が形成された構造も採用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指圧効果を備える浴槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人類の入浴の歴史は、古代ローマ風呂に始まり、衰退を繰り返しながら現在に至っている。バスタブに入れられる液体は、単純な湯が一般的であるが、温泉や酒風呂、蒸し風呂、牛乳風呂、薬草風呂、香水風呂など多種多様の態様が存在する。そのような中で、洋の東西を問わず、バスタブの内壁は常に滑らかであって、かかるバスタブの内壁に関心が向けられることはほとんどなかった。
【0003】
ここ近年になって指圧・マッサージブームが到来し、そのブームにのって、通称ジャグジー風呂と言われる空気の気泡が湯船に放出される風呂が存在する。かかるジャグジー風呂は、放出される気泡が身体へ一定の負荷を与えることにより、マッサージ効果があるとされているものである。
【0004】
しかしながら、ジャグジー風呂は、入ったその時は気泡の負荷により身体が気持ちよくなるように感じるが、実際は強制的に身体の筋肉を動かしていることとなるため、結果的に筋肉疲労を与えていることととなり、次第に疲労感を感じてしまうという欠点があった。
【0005】
また、風呂に入ったリラックスした状態において同時に指圧効果を得るべく、従前の浴槽に後付けで取り付ける指圧器具が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、かかる指圧器具はあくまで後付けであるため、浴槽内壁面への取付手段を必要とするばかりでなく、常に浴槽内に該指圧器具が浸かった状態で放置したり、あるいは、浴槽内壁面に取り付けた状態のまま浴槽の水抜きを行って放置しておくことは、垢の蓄積やカビの発生等を助長することとなって、大変不衛生である。
【0007】
また、バスタブの上縁についても、従来における浴槽は、湯を張るという考えのもと、単に直線状に形成されているものであって、その一部が窪んでいたり、その他変形しているものは存在していなかった。
【0008】
この点、特許文献2に洗髪槽付き浴槽として、浴槽に洗髪槽を連設し、その中間にある浴槽上縁に首載置凹部を凹設したものが提案されている。
【0009】
しかしながら、かかる洗髪槽付き浴槽に関する提案は、洗髪槽および枕部材が浴槽の長手方向に延長して設置されるため、浴槽の設置スペースが通常の浴室寸法より大きくなり、一般的な住宅浴槽としての需要は低いものであった。
【0010】
【特許文献1】特開平11−299857号公報
【特許文献2】特開2001−299615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、浴槽自体に指圧効果を備えることで、衛生的で且つ風呂に入りながらにして指圧効果を得られるとともに風呂に入ることでの血行が良くなることとの相乗効果により、身体を健康に且つ美容にも優れた浴槽を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、本発明は、浴槽本体の内側面あるいは内底面の少なくとも一方における所定箇所に、少なくとも一または二以上の指圧用突起が形成されている構造となっている。
【0013】
また、本発明は、前記指圧用突起が、身体におけるツボの位置に合わせて配置されている構造を採用することができる。
【0014】
さらに、本発明は、前記浴槽本体の側壁上縁における所定箇所に、頸部載置用の凹部が形成されている構造を採ることもできる。
【0015】
そしてまた、本発明は、前記凹部が形成された側壁の内側面に、所定間隔を有し且つ緩やかな曲面形状を備える二つの指圧用突起が水平方向に並列に形成されている構造とすることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる健康美容浴槽によれば、浴槽本体の内側面あるいは内底面の少なくとも一方における所定箇所に、少なくとも一または二以上の指圧用突起が形成されていることから、該指圧用突起は浴槽と一体であって交換を要せず、衛生的で且つ風呂に入りながらにして有効に指圧効果を得ることができるとともに、風呂に入ることでの血行が良くなることとの相乗効果により、身体の健康に効果を発揮し、併せて美容にも優れた効果を発揮するものである。
【0017】
また、本発明にかかる健康美容浴槽によれば、浴槽本体の側壁上縁における所定箇所に、頸部載置用の凹部を形成することで、必要以上に浴槽設置スペースを必要とせず、かつ、入浴しながらにして洗髪をしたり、該凹部に頸部を置いてリラックスすることが可能となる。
【0018】
さらに、本発明にかかる健康美容浴槽によれば、子供や老人等を、親や介護者等が洗髪する際に、身体を湯に入れたまま洗髪できるので、子供や老人等を湯冷めさせることがなく、また、介護者等も着衣したままで洗髪できるので、寒冷の季節でも快適になるといった有利な効果を奏する。
【0019】
またさらに、本発明にかかる健康美容浴槽によれば、凹部に頸部を置くことにより顔を上向きにして洗髪することができるので、濡れた髪の重さが顔の皮膚を引っ張る方向に働くこととなって、下向き洗髪のような髪の重さから顔にシワを生じさせない。したがって、極めて高い美容効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明にかかる健康美容浴槽は、浴槽本体1の内側面3あるいは内底面4の少なくとも一方における所定箇所に、少なくとも一または二以上の指圧用突起2が形成された構造を採用したことを最大の特徴とする。以下、本発明にかかる健康美容浴槽の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明にかかる健康美容浴槽を示す部分断面図である。
該健康美容浴槽は、浴槽本体1の内側面3あるいは内底面4の少なくとも一方における所定箇所に、少なくとも一または二以上の指圧用突起2が形成された構造となっている。
【0022】
なお、図面では、浴槽本体1の内側面3と内底面4の両方に、複数の指圧用突起2を形成した場合について示しているが、かかる形態に限定するものではなく、内側面3あるいは内底面4のいずれか一方にのみ指圧用突起2を形成する態様も考え得る。また、指圧用突起2は複数ではなく一箇所のみに形成する態様であってもよい。ただし、より身体への指圧効果を鑑みると、指圧用突起2は複数形成することが好ましい。なお、身体を保持するための身体保持突起2aを、指圧用突起2の両側に配置して、入浴者の身体を安定させる構成も有効である。
【0023】
浴槽本体1の内面に指圧用突起2を備える本発明によれば、入浴による血行を良くする効果にプラスして、指圧効果を得られるという相乗効果が発揮され、結果として健康及び美容に大変優れた効果を発揮するものである。
【0024】
なお、指圧用突起2の配置について、身体のツボの位置に合わせて設けることが好ましい。そうすることで、より効果的に指圧効果を効果させることが可能となる。
【0025】
図2は、本発明にかかる健康美容浴槽の他の形態を示す斜視図であり、図2(a)は一般的な日本住宅に用いられる浴槽の実施例を、図2(b)は洋式のいわゆる猫足付き浴槽の実施例をそれぞれ示している。
該健康美容浴槽は、前記浴槽本体1の側壁上縁6における所定箇所に、頸部載置用の凹部5が形成された構造となっている。
【0026】
前記凹部5位置については、図面に示す箇所に限定するものではなく、浴槽本体1の側壁上縁6であれば、どの位置であっても構わない。すなわち、入浴した人が前記凹部5に頸部をもたれ掛けることが可能な位置であれば、浴槽本体1の側壁上縁6における任意の位置に形成することが可能である。
【0027】
かかる浴槽本体1の側壁上縁6に頸部載置用の凹部5を形成した本発明によれば、入浴した状態のまま洗髪することが可能となるだけでなく、該凹部5に頸部を置いてリラックスすることが可能となり、また、頸部のストレッチにもなるといった優れた効果を発揮するものである。また、前記凹部5を形成した箇所に、浴槽本体1以外の洗髪槽を設けていないことから、必要以上に浴槽設置スペースを必要とすることもない。
【0028】
なお、前記凹部5が形成された側壁の内側面3に、所定間隔を有し且つ緩やかな曲面形状を備える二つの指圧用突起2が水平方向に並列に形成されている構造とすることも可能である。
【0029】
かかる態様によれば、凹部5を形成した上記効果とともに、入浴者が頸部を置いて且つ抱きかかえられたような状態で入浴することが可能となり、より優れたリラックス効果を発揮するものである。
【0030】
図3は、本発明にかかる健康美容浴槽の使用状態例を示す説明図であり、図3(a)は美容効果が発揮される状態を、図3(b)は洗髪者の洗髪容易性を、図3(c)は介護者等が着衣のままでも洗髪可能であることを、それぞれ示している。すなわち、図に示すように、凹部に頸部を置くことにより顔を上向きにして洗髪することができるので、濡れた髪の重さが顔の皮膚を引っ張る方向に働くこととなって、下向き洗髪のような髪の重さから顔にシワを生じさせず、極めて高い美容効果を得ることができる。また、洗髪を嫌がる子供にも顔に湯がかかったり、目に入らないように配慮しやすくなる。さらに、老人等を介護する者が着衣のまま披介護者の洗髪が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の実施形態は以上の通りであって、一般家庭における浴槽としてはもちろんのこと、指圧効果並び入浴しながら洗髪可能であるという点から思量するに、医療・福祉施設における浴槽としての利用価値も有することから、本発明の産業上利用可能性は大である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明にかかる凹型台座枕付き浴槽を示す斜視図である。
【図2】本発明にかかる凹型台座枕付き浴槽おける洗髪用の使用状態を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる凹型台座枕付き浴槽の使用状態例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 浴槽本体
2 指圧用突起
2a 身体保持突起
3 内側面
4 内底面
5 凹部
6 側壁上縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽本体の内側面あるいは内底面の少なくとも一方における所定箇所に、少なくとも一または二以上の指圧用突起が形成されることで、浴槽に浸かりつつ指圧効果を得られることを特徴とする健康美容浴槽。
【請求項2】
前記指圧用突起が、身体におけるツボの位置に合わせて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の健康美容浴槽。
【請求項3】
前記浴槽本体の側壁上縁における所定箇所に、頸部載置用の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の健康美容浴槽。
【請求項4】
前記凹部が形成された側壁の内側面に、所定間隔を有し且つ緩やかな曲面形状を備える二つの指圧用突起が水平方向に並列に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の健康美容浴槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−154886(P2008−154886A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348674(P2006−348674)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(505389433)
【Fターム(参考)】