説明

健康食品の製造方法およびそれにより製造された健康食品

【課題】 本発明の目的は、服用に抵抗がなく効果的に吸収することができて、本来保有する有効成分を損失することなく、かつ賞味期間が長い健康食品の製造方法およびそれにより製造された健康食品を提供することにある。
【解決手段】 本発明の健康食品の製造方法は、有効成分を有する健康食品であって、遠赤外線を照射するとともに温度35〜45℃の温風に曝して健康食品を乾燥する温風工程と、温度が0℃を超えて15℃以下である冷風に曝して健康食品を乾燥する冷風工程を繰り返すことにより乾燥することを特徴とするものであり、また本発明の製造方法により得られた健康食品は、乾燥後の健康食品に含まれる有効成分の含有量が、乾燥前と比べて増加していることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分を含有する健康食品の製造方法に関し、さらに詳しくは有効成分を容易に効果的に摂取できる健康食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な健康食品であるウコンは、医薬品として肝臓炎、胆道炎等の利胆薬や芳香性健胃薬などに用いられ、また古来より漢方薬的な民間薬としても重用されてきた。ウコンの服用方法は、例えばすりおろして内服する方法があり、有効成分が殆ど損なわれることがなく好ましいといわれてきた。また乾燥後粉末化して水やお茶で服用する方法も用いられてきた。しかし、すりおろして生のまま服用したり、乾燥後粉末化したりするだけでは、ウコンがもつ特有の苦味、辛味、渋味やしびれ感、臭いのためコンプライアンスの低下や体内への吸収しやすさ等に問題があり、製品化が困難であった。
【0003】
また、ウコンのような健康食品の工業化にあたっては、従来の天日乾燥では生産効率が低いという課題があり、特許文献1のように、健康食品を、熱風乾燥や凍結乾燥により乾燥する方法が試みられている。しかしながら、このような工業的乾燥処理に伴い、健康食品に含まれる有効成分が、分解、散逸、変質等により損失してしまうこと、また酸化により賞味期間が短くなること等の問題が生じている。具体的には、ウコンが有する効能を、従来の天日乾燥したウコンと、熱風乾燥したウコンとで比較すると、後者は、前者と比べて効能が低く、しかも短期間で効能が失われてしまうことが確認されている。
【0004】
一方、ウコンのように味や臭いに癖があり服用の際の抵抗感が強い健康食品を服用しやすくするために、種々の方法が提案されている。例えば、特許文献2は、ウコンの苦味成分を植物性油およびイーストとともに発酵により除去する方法を、特許文献3は、ウコンの油溶性成分を食用油脂に溶出させて腸に吸収されやすくする方法を、提案している。しかし、特許文献2の方法は、苦味成分は低減するが、有効成分を多く含む精油成分まで失われてしまい、特許文献3の食用油脂に溶出する方法は、ウコンの有効成分を適量、摂取するためには、多量の食用油脂を摂取しなければならい問題があった。
【0005】
このように、ウコンを例にして健康食品の工業的な製造方法の課題を挙げたが、ウコン以外にも特有な味や臭いのために服用が困難であったり、工業的な乾燥に伴い、有効成分が損失してしまったりしている健康食品の例は、多い。
【0006】
すなわち、健康食品の工業化にあたって、従来の民間療法で得られていた効能を確保しながら、かつコンプライアンスを改善しながら、さらに効率的に生産することが求められているが、このような製造方法は、未だ確立されていない。
【特許文献1】特開2004−321087号公報
【特許文献2】特開平10−84908号公報
【特許文献3】特開2001−86931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、服用に抵抗がなく、有効成分を効果的に吸収することができて、本来保有する有効成分を損失することなく、かつ賞味期間が長い健康食品の製造方法およびそれにより製造された健康食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の健康食品の製造方法は、有効成分を有する健康食品であって、遠赤外線を照射するとともに温度35〜45℃の温風に曝して健康食品を乾燥する温風工程と、温度が0℃を超えて15℃以下である冷風に曝して健康食品を乾燥する冷風工程を繰り返すことにより乾燥することを特徴とする健康食品の製造方法である。
【0009】
また本発明の製造方法により得られた健康食品は、乾燥後の健康食品に含まれる有効成分の含有量が、乾燥前と比べて増加していることが好ましく、薄切りして粉砕した粉末または有効成分を抽出した抽出液であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の健康食品の製造方法は、遠赤外線を照射しながら温度35〜45℃の温風に曝す温風工程と、温度が0℃を超えて15℃以下である冷風に曝す冷風工程を繰り返して、乾燥するものであり、過度の熱処理が加えられることがないために、健康食品中有効成分が分解、蒸発、散逸等により損失することがなく、有効成分の含有量が多いこと、さらに酸化することが少ないため、有効成分の賞味期間が長いこと、を特徴とする健康食品が得られるものである。
【0011】
さらに、本発明の健康食品は、遠赤外線を照射することおよび冷風工程を施すことにより乾燥して、薄切りにして粉砕した粉末または有効成分を抽出した抽出液であることから、乾燥後の健康食品に含まれる有効成分の含有量が、乾燥前と比べて増加すること、並びに健康食品が有していた特有の味および独特の臭いを低減して、容易に服用できてコンプライアンスを高められること等の優れた特徴をもつものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明の製造方法に用いる健康食品は、特に限定されるものではないが、好ましくはウコン、ヤエヤマアオキ、アガリクス、霊芝、人参、杜仲、ケイヒ、ベニバナ、メシマコブ、ドクダミ、グアバ、アロエ、クコ、マカ、エゾウコギ、ガラナ、イチョウ葉、ハトムギ、田七人参、冬虫夏草、モロヘイヤであり、より好ましくはウコン、ヤエヤマアオキである。なお、植物性の健康食品に限らず、擬黒多刺蟻、スッポン、タツノオトシゴ、マムシ、ローヤルゼリー、オオヤモリ、犀角、熊胆、麝香等の動物性の健康食品を原材料とすることもできる。これらの健康食品は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
2種類以上の健康食品を組み合わせて使用する場合、少なくともウコンまたはヤエヤマアオキ、を使用することが好ましく、特にウコンおよびヤエヤマアオキを使用することが好ましい。
【0015】
ウコンは、熱帯アジア原産のショウガ科多年生植物で、インド、東南アジア、中国南部、台湾、ハイチ、ジャマイカ、ペルーが主産地であり、日本では沖縄等の暖地で栽培されている。ウコンの品種は、春ウコン(学名「Curcuma aromatica Salisbury」)、秋ウコン(学名「Curcuma longa Linne」)、紫ウコン(ガジュツ)(学名「Curcuma zedoaria Roscoe」)があり、薬用、食用に用いられている。ウコンの根茎はクルクミン、シネオール、フラボノイド、β−グルカンなど多種類の生薬成分を含み、古くから芳香性健胃剤、利尿剤、肝臓・胆のう疾患の治療薬として用いられており、さらに、肝機能改善作用、抗潰瘍作用、動脈硬化予防作用、抗酸化作用、殺菌作用、抗癌作用など多様な生理学的機能を有するとして注目されている。
【0016】
春ウコンと秋ウコンとでは、含有成分が異なり、春ウコンには、精油成分が多く含まれている。春ウコンは約6%の精油成分を含み、α−クルクメン、β−クルクメン、セスキテルネンアルコール、カンファー等が主要成分となっている。秋ウコンの精油成分は約1〜5%であり、ターメロン、ジヒドロターメロン、ジンギベレン、シネオール等が含まれている。また、ガジュツの精油成分は約1〜1.5%であり、ジンギベレン、クルゼレノン、クルクモール、ゼデロン、シネオール、カンファー等が含まれている。これら精油成分には、肝臓の解毒機能促進作用、利尿作用、強心作用、抗菌作用、血中コレステロールの抑制作用などが有るとされている。
【0017】
特に、秋ウコンには、クルクミン(色素成分)が多く含まれており、肝臓における胆汁分泌促進作用が有るとされている。秋ウコンは日本薬局方外生薬規格に収載されており、ガジュツは日本薬局方に収載されている。
【0018】
本発明でいうウコンは、これら秋ウコン、春ウコン、ガジュツから選ばれる少なくとも一種のウコンであるものとする。
【0019】
ヤエヤマアオキ(学名「モリンダ・シトリフォリア(Morinda citrifolia L.)」、俗称「ノニ」)は、ハワイや太平洋の諸島において民間伝承の薬用植物として、その果実や葉もしくは茎、根の各部位が、発熱、胃痛、潰瘍、トニック、下痢、赤痢、腫れ物、切り傷、関節炎、喘息、結核、高血圧、マラリア、肝臓病、脾腫の治療に用いられている。ヤエヤマアオキの果実、葉、茎、根などには、プロゼロニン、ダムナカンサル、スコポレチン、モリンデン、モリンドン、セロトニン、アルカロイド、アキュピン、L−アスペルロサイド、テルペン、アスコルビン酸、及びすべてのアミノ酸類のほか、ビタミン類及びミネラル類のような多くの有効成分を含有し、それぞれの効果を発揮することが知られている。
【0020】
ヤエヤマアオキの果実は、長さ5〜8cmの白緑色で、熟すと黄緑色の薄くて透明な肉質の集合果実になり、これにはたくさんの赤褐色の種子があり、この種子は空気嚢を持っている。果肉は食べられるが酸味や渋味が強く、熟したものは時間の経過とともにカプリル酸を成分とする不快な匂いのする半液体状になる。従来、服用に際しては、果実をジュースにして他の果実の果汁と混ぜて飲んだり、果実を乾燥させて粉砕して粉末にして服用したりしていたが、独特の不快臭と苦味が残り服用時の抵抗感が強いものであった。
【0021】
アガリクスは担子菌に属し、ブラジルを原産国とする茸である。子実体に含まれるβ−グルカン等の多糖類がマクロファージ(体内の異物を排除する免疫細胞)を活性化させるなどの免疫力を高める作用が知られるようになってから、抗腫瘍性、糖尿病、肝臓病など様々な病気に有効であることから健康食品素材として注目を浴びている。アガリクスにも生臭い匂いおよび特有の味がある。
【0022】
霊芝はサルノコシカケ科に属する茸で、中国では古くから漢方薬として知られている。アガリクスと同様に成分にはβ−グルカン等の多糖類があり、免疫力を高める作用や抗腫瘍性、血液浄化、抗酸化など様々な作用についての研究が進み健康食品素材として注目を浴びている。
【0023】
人参はウコギ科に属する植物で古くから高麗人参としてよく知られている。サポニン類に代表される有効成分を含有し止血作用や肝機能障害への改善効果、抗腫瘍作用などが知られている。
【0024】
ハトムギはインド原産のイネ科の1年性草本である。種子は古くからハト麦と称しておかゆや餅として食用とされたが漢方薬では滋養強壮薬としても用いられた。種子(実)は焙煎すると穀類特有の香ばしい風味を有している。
【0025】
ドクダミは東南アジア一帯に分布するドクダミ科の多年草で、漢方薬として古くから知られており特有の強い香りを有する。
【0026】
杜仲は中国南部原産のトチュウ科に属する落葉高木で、強い苦味と香りに特徴がある。杜仲は、ゲニポシド酸を多く含み、ゲニポシド酸は、特に血圧調整効果があり、抗酸化物質としても知られており、副交感神経系への作用によるストレスの緩和や高脂血、高血圧、高コレステロ−ルの軽減など生活習慣病の予防、さらには喫煙や焼き焦げに由来する発ガン物質の体内暴露を軽減する効果がある。
【0027】
本発明の健康食品の製造方法は、上記のような健康食品の原材料を、工業化が可能な生産効率で乾燥する製造方法であり、原材料が本来持つ有効成分を損失することなく、かつ服用しやすくしてコンプライアンスを高めた健康食品の製造方法である。
【0028】
本発明の製造方法は、遠赤外線の中心波長が好ましくは70〜120μm、より好ましくは80〜110μm、さらに好ましくは90〜105μmの遠赤外線を照射するとともに、温度35〜45℃、好ましくは37〜43℃、の温風に曝して健康食品を乾燥する温風工程と、温度が0℃を超えて15℃以下、好ましくは2℃以上13℃以下の冷風に曝して健康食品を乾燥する冷風工程を繰り返すことにより乾燥された健康食品である。以下、上記の温風工程と冷風工程を繰り返す乾燥を「熟成乾燥」と言うことがある。
【0029】
なお、熟成乾燥に際しては、健康食品の原材料を薄切りにしてから熟成乾燥すると、熱効率を高め、水分を移動しやすくして、効率的に短時間で乾燥させることができ、好ましい。
【0030】
さらに、熟成乾燥において、健康食品を入れる乾燥室内を、好ましくは30〜150mm水柱、より好ましくは70〜150mm水柱の減圧状態に保持すると、温度が低くても健康食品に含まれる水分が発散しやすくなること、健康食品中の水分の移動が容易になること等から、効果的に乾燥を進められることから好ましい。
【0031】
本発明の温風工程における温風の温度が、45℃より高いと健康食品によっては有効成分が、分解、または酸化して変質することがあり、有効成分の損失を招き、効果的に摂取することが阻害される虞がある。また、35℃より低い温度では乾燥のための熱エネルギーの付与が不十分であり、効率的に短時間で乾燥することができない。
【0032】
そして乾燥室内に所定温度の温風を循環させて室温の低下を抑制しながら、少なくとも天井面および/または壁面から、中心波長が好ましくは70〜120μmの遠赤外線を照射して、健康食品を効率的に加熱するものとする。このように対流加熱と放射加熱の両方を利用して健康食品を加熱乾燥することにより、低い温度でありながら短時間で乾燥することが可能となる。
【0033】
本発明に使用する冷風工程は、温風工程に比べて、水分の蒸発が少ないが、健康食品中に含まれる水分の分布を均一化する働きがあり、これにより次の温風工程で水分が蒸発しやすくなると共に健康食品の味を出す働きがあり、熟成を良好に進行させるための乾燥工程である。冷風の温度が、0℃未満では、後述するように健康食品が凍ってしまう虞があり、相変化による膨張により細胞壁が破壊されてしまい熟成乾燥の利点を十分に引き出せなくなる危険性があり、また乾燥および熟成の進行度が遅くなる傾向があり、逆に冷風を作るためのエネルギ消費量が増加するので、経済性からも好ましくない。一方、温度15℃を越えると、温風工程に近い温度となるので、健康食品の熟成効果を促進するためには適していない。
【0034】
本発明の製造方法は、一つの乾燥室を使用して温風を循環させて温風工程を行った後に、この温風を止め、室内を冷却して冷風工程を行う方法も可能であるが、実際に一つの乾燥室を使用して温風乾燥と冷却熟成乾燥とを連続して行うことは、乾燥機の熱容量を考慮した場合、熱エネルギーの使用方法として効率的ではない。
【0035】
本発明の製造方法を、より効率的に実施するためには、例えば、温風工程を行う乾燥室1と冷風工程を行う乾燥室2とを連絡室を介して併設し、この連絡室内に設けたシールドアによって両室1、2の空気の貫流を防ぎながら、乾燥棚を多段に配置した台車を両室1、2の間を行き来しながら、前記温風工程と冷風工程を交互に、しかも所定の時間差を持って行うようにするのが良い。
【0036】
本発明の製造方法に使用する熟成乾燥機の一例を説明する。乾燥室1は、横幅が250cm、奥行きが400cm、床から天井までの高さが270cm(容積が27m)で、天井部分の面積が7.0mであり、この天井面積の約55%の面積を持つ放熱板を配置した。放熱板は幅が100cm、長さが190cmのものを2個使用しており、個々の放熱板の裏面に5kwの電熱ヒーターを配置した。そしてこの放熱板には厚さ2mmのアルミ板を使用し、その表面(乾燥室側の面)に酸化チタンからなるセラミックス層と、そのセラミックス層の上に更に酸化アルミからなるセラミックス層を二層にプラズマ溶射して形成している。電熱ヒーターで加熱された場合に、そのセラミックス層を介して中心波長を70〜120μmの間で制御された遠赤外線を放射することができる。
【0037】
台車は、縦横の幅が70cm×90cmで、高さが160cmの金属製のアングル材を使用した枠体で構成され、その枠体の内部に15段の棚を形成したものである。そしてその棚に縦横の幅が86cm×56cmの寸法の四角状の枠体と,その内部にステンレス製の網状物を設けた乾燥棚を15枚支持している。従って、乾燥室1の温風、あるいは乾燥室2の冷風はこの台車の上方から下方まで効率的に吹き抜けることができるようになっている。
【0038】
本発明の製造方法は、このような熟成乾燥機を使用して、工業的に、高い生産効率を維持しながら、健康食品を製造することが可能である。
【0039】
本発明の製造方法により得られる健康食品は、上記のように遠赤外線を照射する温風工程と冷風工程を繰り返す熟成乾燥により、乾燥されるため、過度の熱処理が加えられることがなく、健康食品に含まれる有効成分が分解されたり、散逸したりすることがなく、通常の熱風乾燥および凍結乾燥により乾燥された健康食品と比べ、有効成分の含有量が多いことが特徴である。また、健康食品に含まれる有効成分が酸化される危険性も低く、健康食品の賞味期間が長くなることも特徴である。
【0040】
さらに、本発明により得られる健康食品は、遠赤外線を照射すること、および冷風工程による熟成を行うことにより、熟成乾燥後の有効成分の含有量が、乾燥前と比べて増加していることが好ましい。本発明の健康食品は、乾燥により水分が失われて固体成分が濃縮される倍率以上に、有効成分の濃縮倍率が高くなることが好ましい。このような有効成分の種類は、特に限定されないが、健康食品を摂取する上で有用な成分であればよい。
【0041】
例えば、生トマトをカットして熟成乾燥により、含有水分を乾燥前93.4重量%から74.6重量%に減少させて、固体成分を約3.8倍に濃縮した場合に、有効成分であるアミノ酸の総量が約11.8倍に増量することが認められている。さらに熟成乾燥を続けて、含有水分を13.4重量%まで減少させて、固体成分を約13倍に濃縮した場合には、アミノ酸の総量が約28.6倍に増量することが認められ、熟成乾燥に伴い、固体成分の濃縮率と比べ、アミノ酸の濃縮倍率が約2〜3倍も高いことが認められている。
【0042】
また、熟成乾燥前後におけるシイタケ中のビタミンD含有量を、高速液体クロマトグラフ法で測定したところ、生シイタケ中のビタミンD含有量が、70IU/100gであるのに対して、熟成乾燥後のシイタケ中のビタミンD含有量は、78500IU/100gと、約1100倍に増加することが認められている。
【0043】
このように本発明の製造方法により得られる健康食品は、熟成乾燥後の有効成分の含有量が、乾燥前と比べて増加していることが好ましい。熟成乾燥により有効成分の含有量が増加する理由は、定かでないが、熟成乾燥の過程で酵素が活性化され、健康食品中の他の成分が、有効成分に変化しているものと推察される。
【0044】
さらに、本発明において、熟成乾燥により得られた健康食品は、例えば凍結乾燥のような急激な温度変化、すなわち強い熱衝撃を受けることなく穏やかに乾燥されたものであり、健康食品の細胞壁を破壊することなく乾燥されていることが、顕微鏡観察により確認されている。したがって、細胞壁内に含まれている精油成分(エッセンシャルオイル)を損失することなく、有効成分を乾燥中に逃してしまう虞が低い。すなわち、健康食品の細胞壁を破壊するような凍結乾燥や高温の熱風乾燥を施した場合、細胞壁から精油成分が流出し、或いは高温の熱風に曝されて、蒸発、散逸、分解、変質等により損失してしまう虞がある。これに対して、本発明において熟成乾燥により得られた健康食品は、細胞壁内に含まれている精油成分の大部分を、乾燥後においても有効成分として保有し続けて損失することがない。
【0045】
具体的に、ウコンの有効成分は、(i)水溶性成分、(ii)アルコール可溶性成分およびクルクミン等、(iii)油脂可溶性成分、に大別される。このうち(ii)および(iii)の成分は、沸点が極めて低いエッセンシャルオイルとして存在するため、通常の熱風乾燥では、その大部分が蒸発して失われてしまっていた。また凍結乾燥では、細胞壁が破壊されて、有効成分の多くが流出してしまっていた。
【0046】
したがって従来の工業的乾燥方法では、ウコンに含まれている(ii)および(iii)のような有効成分、特に(iii)の有効成分を、十分に活用することができていなかったが、本発明においては、熟成乾燥により健康食品中にそのまま保持させておくことが可能であり、エッセンシャルオイルの効能、特に(iii)の有効成分の優れた効能をもつ健康食品を、工業的に得ることができるのである。
【0047】
加えて、熟成乾燥により熱的に穏やかに乾燥することおよび健康食品の細胞壁が破壊されないことから、健康食品に含まれる有効成分が、ほとんど酸化を受けることがないため、健康食品の賞味期間が長くなることが認められている。具体的には、従来の熱風乾燥した健康食品の賞味期間が1〜2ヶ月であるのに対して、熟成乾燥により得られた健康食品の賞味期間は、10ヶ月以上にも延びていることが確認されている。
【0048】
また、本発明の健康食品は、食感やフレッシュ感が変化せずに良好でありながら、健康食品の原材料が持つ忌避される味や臭いを、低減することが認められている。
【0049】
特に、ヤエヤマアオキの果実には、強烈な耐え難い臭気があるが、熟成乾燥により、独特の臭気が緩和されて、クリーミィーな匂い、よい香りへと変化することが認められている。すなわち、ヤエヤマアオキは、従来、服用に際して強い抵抗感があったが、熟成乾燥することによって、服用しやすい健康食品へと生まれ変わることが認められている。
【0050】
さらに、熟成乾燥は、温風工程において、遠赤外線を照射していることから、これにより乾燥された健康食品は、雑菌が、少ないことが認められている。
【0051】
なお、本発明の製造方法により得られた健康食品は、健康食品として食用に用いるほか、薬用に使用することも好ましい。具体的には、生薬や漢方薬のほか、医薬品の原料に使用することもでき、さらに香辛料、香粧料などに広く用いることができる。
【0052】
本発明の健康食品に含まれる有効成分は、特に限定されるものではないが、好ましくは、クルクミン、ターメロン、フラボノイド、カンファー、シネオール、アズレン、プロゼロニン、ダムナカンサル、スコポレチン、モリンドン、モリンデン、β−グルカンから選ばれ、より好ましくは、クルクミン、ターメロン、シネオール、プロゼロニン、ダムナカンサル、スコポレチンから選ばれる。有効成分は、上記成分のうち少なくとも1種類含有されていればよいが、2種類以上含有していることが好ましい。
【0053】
2種類以上含有している場合、好ましくはクルクミンと、プロゼロニン、ダムナカンサル、スコポレチンとの組み合わせ、またはプロゼロニン、ダムナカンサルとターメロン、シネオール、カンファー、アズレンとの組み合わせ、が挙げられる。
【0054】
クルクミン、ターメロン、フラボノイド、アズレン、カンファー、シネオールは、主にウコンに含有されている有効成分である。これらの有効成分は、ウコン以外の健康食品に含まれているものであってもよい。
【0055】
クルクミンは、抗酸化作用を有する物質として注目され、肝臓機能を強化し、胆汁分泌を促進する作用や利尿作用がある。ターメロンは、胆汁分泌を促進する作用があり、カンファーは、精神の興奮作用、強心作用があり、シネオールは、健胃作用、殺菌作用、防腐作用に優れた効果がある。フラボノイドは、抗出血性ビタミンPの作用があり、アズレンは、炎症や潰瘍を治す作用や胃液のペプシンを抑える作用があり、アフタ性口内炎、胃・十二指腸潰瘍などの治療薬として使われている。
【0056】
プロゼロニン、ダムナカンサル、スコポレチン、モリンドン、モリンデンは、主にヤエヤマアオキに含有される有効成分である。これらの有効成分は、ヤエヤマアオキ以外の健康食品に含まれているものであってもよい。
【0057】
プロゼロニンは、体内に吸収された後にゼロニンに変化して、細胞に対する賦活作用があり、異常細胞を正常化する作用がある。ダムナカンサルは、抗ガン作用および免疫増強作用があり、スコポレチンは、血圧降下作用、各種細菌に対する抗菌作用、抗リウマチ作用、抗アレルギー作用、麻酔作用、および鎮痛作用があり、モリンドン、モリンデンには、抗菌作用がある。
【0058】
本発明の健康食品は、薄切りにして、適切な方法により粉砕された粉末であることも好ましい。熟成乾燥と粉砕の順番は、特に限定されるものではないが、好ましくは熟成乾燥の後、適切な方法により粉砕することがより好ましい。これは、粉砕の後、乾燥した場合には、細胞壁内に含まれるエッセンシャルオイルが、失われる虞があるからである。熟成乾燥の後、薄切りにして粉砕してもよいが、薄切りにした後、熟成乾燥する方が、乾燥効率を高める上で好ましいことは、前述のとおりである。なお、細切り、熟成乾燥、粉砕の順番は、健康食品の原材料の形態により、適宜変更することができる。
【0059】
本発明において、健康食品の粉末は、その粒子径が、好ましくは20μm〜3mm、より好ましくは30μm〜2mmである。健康食品粉末の粒子径が、上記未満であると、粉末が細かすぎて服用し難くなり、上記範囲を超えると、粉末の服用時に抵抗感を感じることがあり、また後に抽出する場合に抽出効率が低くなる傾向があり、好ましくない。
【0060】
なお、本発明の健康食品粉末をそのまま経口する場合、本発明の粉末は、粒子径20μm〜200μmの粉末と、粒子径1mm〜3mmの粒子の混合物であることが好ましい。このように粒子径の異なる粉末を混合することにより、健康食品粉末の服用しやすさを微細粒子により確保しながら、大径の健康食品粒子が、胃で消化させずに、すなわち胃酸により耐酸性の弱い有効成分が分解されることなく小腸に至り、小腸において効果的に吸収することが期待される。
【0061】
本発明の健康食品は、適切な方法により抽出された抽出液であることも好ましい。抽出と熟成乾燥、粉砕との順番は、特に限定されるものではないが、好ましくは熟成乾燥の後、適切な方法により抽出する方法か、または熟成乾燥の後、粉砕した粉末を適切な方法により抽出する方法がより好ましい。これは、熟成乾燥しないで抽出した場合、抽出液中の有効成分の濃度を、十分に高くすることができず、服用時に抽出溶媒の摂取も多くなってしまうこと、高濃度化のためには、さらに別の濃縮処理工程が必要となることから好ましくない。また熟成乾燥した健康食品から効率的に有効成分を抽出するためには、健康食品を粉砕して粉末化することにより、細胞壁の破壊および健康食品の粒子の比表面積拡大により、有効成分であるエッセンシャルオイルを抽出しやすくすることができ、抽出液に含まれる有効成分の濃度を高めることができることから、好ましい。
【0062】
抽出に際して、抽出温度は、好ましくは35〜65℃、より好ましくは40〜60℃であり、抽出時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは1〜12時間であり、より具体的には、温度40℃において12時間前後、抽出する方法、または温度60℃において、1〜5時間抽出する方法が好ましく挙げられる。抽出温度が、上記範囲未満であると、抽出効率が低く、抽出濃度を高められない、時間が長くかかる等の虞があり、上記範囲を超えると、有効成分が失われてしまう虞があり、好ましくない。また、抽出時間が、上記範囲未満であると、抽出濃度を高められない、時間が長くかかる等の虞があり、上記範囲を超えると、抽出濃度が頭打ちとなり、それ以上の時間をかける効果がないため、好ましくない。
【0063】
本発明において、抽出に使用する溶媒の量は、健康食品100重量部に対して、好ましくは100〜1000重量部、より好ましくは300〜700重量部である。溶媒の量が、上記範囲未満であると、抽出効率が低く、抽出できない有効成分が残ってしまう虞があり、上記範囲を超えると、有効成分の抽出濃度を高められず、抽出液を摂取する際に、必要以上の溶媒を合わせて摂取しなければならず、好ましくない。
【0064】
本発明において、抽出液に使用する溶媒は、水または有機溶媒であることが好ましい。有機溶媒としては、食品用または医薬品用に使用可能なものが好ましく、具体的には、アルコール類、エーテル類、有機酸などが挙げられる。抽出液に使用する溶媒は、より好ましくは有機酸が好ましく、さらに好ましくは飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸であり、特に不飽和脂肪酸が好ましい。なかでもオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸が好ましく、とりわけオレイン酸が好ましい。
【0065】
本発明において、不飽和脂肪酸、特にオレイン酸を用いて、健康食品を抽出することにより、健康食品に含まれるエッセンシャルオイル等の有効成分を効果的に抽出することができる。同時に、オレイン酸には、血中のLDL(悪玉コレステロール)を低下させ、余分なLDLを肝臓内に回収させながら、HDL(善玉コレステロール)は低下させないという特徴を持ち、活性酸素の作用を抑え(抗酸化作用)、動脈硬化を引き起こす酸化LDLの生成を防ぐことにより、動脈硬化に有効とであり、健康食品の溶媒として好ましい。
【0066】
また、このような不飽和脂肪酸を含む食用油として、オリーブ油、胡麻油、調合サラダ油、菜種油、トウモロコシ油、落花生油、サフラワー油、ひまわり油等を好ましく挙げることができる。
【0067】
本発明において、健康食品を粉末または抽出液に加工した後に、低温殺菌を施してから、製品化することが好ましい。低温殺菌は、好ましくは温度60〜68℃、より好ましくは60〜65℃において、好ましくは20〜80分、より好ましくは30〜60分間、殺菌することが好ましい。
【0068】
本発明において、健康食品としてウコンまたはヤエヤマアオキを使用することが好ましく、より好ましくはウコンおよびヤエヤマアオキを使用するものとする。
【0069】
ウコンおよびヤエヤマアオキをともに含む健康食品には、次のような効果が認められる。
・有効成分が増量して、抗菌作用等の効果が強化される。
・皮膚のシミに塗布するとシミが浮き上がり、やがて皮膚から剥離する。(美肌作用)
・滋養強壮に優れ、体力の回復に極めて優れる。
・パニック障害、恐怖症などに対し、副作用のない抗不安剤や抗うつ剤として効果がある。
・糖尿病などの進行抑制・治療に効果がある。
・二日酔いの予防・治療、アルコール消失促進効果がある。
・血糖低下抑制作用(アルコールを摂取すると血糖値が低下して脱力感が生じるが、この血糖値低下を抑制する)がある。
・肝臓におけるADHおよびALDH活性低下抑制作用がある。
・抗潰瘍作用がある。
・胃粘膜中の酵素活性、例えば、MPO活性亢進抑制作用及びSOD活性低下抑制作用がある。
【0070】
本発明において、健康食品として、ウコンおよびヤエヤマアオキを使用する際には、ウコンとヤエヤマアオキの重量配合比が、1/9〜9/1であることが好ましい。なお、重量配合比は、熟成乾燥した後の健康食品の重量、熟成乾燥後に粉砕した粉末の重量、および抽出液の重量であり、ウコンおよびヤエヤマアオキを同じ重量基準で秤量するものとするが、製法から同じ基準で秤量することができない場合には、この限りではない。
【0071】
ウコンとヤエヤマアオキの重量配合比が、1/9〜3/7である健康食品には、糖尿病の進行抑制作用、免疫増強作用、血圧降下作用、抗菌作用等の効能があるため好ましい。
【0072】
ウコンとヤエヤマアオキの重量配合比が、7/3〜9/1である健康食品には、美肌作用、二日酔いの予防・治療、抗不安作用や抗うつ作用、コレステロール溶解作用、利尿作用等の効能があるため好ましい。
【0073】
ウコンとヤエヤマアオキの重量配合比が、3/7を超え7/3未満である健康食品には、抗菌作用、滋養強壮作用、肝臓・胆のう疾患の治療効果、等の効能があるため好ましい。
【0074】
ウコン/ヤエヤマアオキの重量配合比は、抗菌作用のためには、2/8〜8/2、美肌作用、二日酔い、および肝機能改善のためには、8/2〜10/0、滋養強壮のためには、4/6〜6/4、であることが、とりわけ、好ましい。
【0075】
なお、本発明の健康食品は、健康食品として食用に用いるほか、薬用に使用することも好ましい。具体的には、生薬や漢方薬のほか、医薬品の原料に使用することもでき、さらに香辛料、香粧料などに広く用いることができる。
【0076】
以下、実施例を挙げて説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0077】
実施例において以下の試験機を使用した。
・熟成乾燥機: 前述の熟成乾燥機を使用した。なお遠赤外線ヒーターは、ミサト社製放射遠赤外線100mmヒーター(酸化チタン−酸化アルミからなるセラミックス層を二層にプラズマ溶射して形成、容量5kw)を使用した。
・熱風乾燥機: 島津理化器械社製STAC−P50M
【0078】
[ウコン抽出液の抗菌作用]
生の春ウコンおよび秋ウコンの根茎を準備し、それぞれ生、熟成乾燥後、通常乾燥後の状態から、オレイン酸を用いて抽出した抽出液が有するアレルギー性皮膚炎由来MRSAに対する抗菌作用を試験した。
試験方法:各種ウコンの抽出液を、MRSA(マックファーランドNo.3)に添加し、温度37℃にて、1時間反応させた。その後、温度4℃にて13日間、静置保存した。その反応液を10μl定量白金耳で培地に塗沫後、温度37℃にて、24時間好気的に培養した。各試料における菌の発育状況を比較した。
【0079】
実施例1
春ウコンの根茎を生のまま、熟成乾燥機に入れ、遠赤外線(中心波長98μm)出力5kw、温風温度40℃、冷風温度5℃、温風工程と冷風工程の時間割合(温風/冷風)を50分/10分として、12時間、熟成乾燥を行った。
【0080】
得られた熟成乾燥ウコン100重量部に対して、オレイン酸500重量部を添加して、温度60℃において、適宜、静かに撹拌しながら3時間、有効成分を抽出し、黄色半透明の抽出液を得た。
【0081】
得られた抽出液の抗菌作用を、前記の試験方法にて試験した。その結果を、図1の番号1に示す。
【0082】
実施例2
春ウコンの代わりに、秋ウコンを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、熟成乾燥した秋ウコンの抽出液を得た。得られた抽出液は、濃い黄色の半透明液であった。
【0083】
この抽出液の抗菌作用を前述の方法により試験した。その結果を、図1の番号2に示す。
【0084】
比較例1
春ウコンの根茎を生のまま、熱風乾燥機に入れ、温度110℃で、12時間通風乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして、熱風乾燥した春ウコンの抽出液を得、この抽出液の抗菌作用を試験した。その結果を、図1の番号3に示す。
【0085】
比較例2
春ウコンの代わりに、秋ウコンを使用したこと以外は、比較例1と同様にして、熱風乾燥した春ウコンの抗菌作用を試験した。その結果を、図1の番号4に示す。
【0086】
比較例3〜6
乾燥を行わないで、横切りにした生の春ウコン(比較例3)、縦切りにした生の春ウコン(比較例4)、横切りにした生の秋ウコン(比較例5)、縦切りにした生の秋ウコン(比較例6)を使用して抽出してウコン抽出液を得たこと以外は、実施例1と同様にして、生ウコンからの抽出液の抗菌作用を試験した。その結果を、図1の番号5〜8に示す。なお比較例3の結果が番号5、比較例4の結果が番号6、比較例5の結果が番号7、比較例6の結果が番号8である。
【0087】
比較例7
ウコンの抽出液の代わりに、濃度50%のイソプロピルアルコールを使用して、前記の試験方法にて、イソプロピルアルコールの抗菌作用を試験した。その結果を、図1の番号25に示す。
【0088】
上記の抗菌作用試験の結果、熟成乾燥した春ウコン(実施例1、図1の番号1)の抽出液は、MRSA菌の発育が認められず、秋ウコン(実施例2、図1の番号2)の抽出液は、MRSA菌の発育がごく僅かしか認められなかった。これに対して、熱風乾燥したウコンや生ウコンを使用した抽出液(比較例1〜6、図1の番号3〜8)およびイソプロピルアルコール(図1の番号25)からは、MRSA菌の発育が認められた。したがって、熟成乾燥した春ウコンおよび秋ウコンの抽出液は、生の状態からの抽出液と比べて、抗菌作用が強化されているこうから、抗菌作用にかかわる有効成分が、熟成乾燥により増加しているものと考えられる。
【0089】
[ウコン抽出液の美肌作用]
実施例3
春ウコンの根茎を横切りにスライスして、熟成乾燥機に入れ、遠赤外線(中心波長98μm)出力5kw、温風温度40℃、冷風温度5℃、温風工程と冷風工程の時間割合(温風/冷風)を50分/10分として、12時間、熟成乾燥を行った。
【0090】
得られた熟成乾燥春ウコンを、粉砕機にて粉砕して、平均粒径50μmの春ウコンの粉末を得た。
【0091】
得られた春ウコンの粉末100重量部に対して、オレイン酸500重量部を添加して、温度40℃において、適宜、静かに撹拌しながら12時間、有効成分を抽出し、黄色半透明の抽出液を得た。
【0092】
得られた抽出液を、ボランティアの顔のシミ部分に、適量を1日に1回、約半年間、塗布し続けた。その結果、シミ部分が次第に浮き上がり、やがて剥離して、シミが取れてしまった。なお、塗布している間、副作用等は、認められなかった。図2は、試験前のボランティアの顔を示す写真であり、図3は、試験後のボランティアの顔を示す写真である。ボランティアが着用する眼鏡の左下の縁部分にあったシミが、ほとんど取れてしまっていることが認められる。
【0093】
[ウコンおよびヤエヤマアオキ抽出液の滋養強壮作用]
実施例4
ヤエヤマアオキの果実を実施例3と同様にして熟成乾燥した。さらに粉砕機にて粉砕して、平均粒径50μmのヤエヤマアオキの粉末を得た。
【0094】
実施例3で得られた春ウコンの粉末と上記で得られたヤエヤマアオキの粉末を重量比1:1で混ぜ合わせた混合粉末を作製した。
【0095】
得られた混合粉末100重量部に対して、オレイン酸500重量部を添加して、温度40℃において、適宜、静かに撹拌しながら12時間、有効成分を抽出し、黄色半透明の抽出液を得た。
【0096】
得られた抽出液を、重体のボランティアに服用させたところ、半身を起き上がらせて座ることができるようになり、さらに入浴することもできるようになった。ウコンとヤエヤマアオキの1:1の混合粉末からの抽出液には、このような極めて優れた滋養強壮効果があることが認められた。
【0097】
なお、ヤエヤマアオキの果実は、乾燥前に強烈な耐え難い臭気を放っていたが、熟成乾燥したところ、独特の臭気が緩和されるとともに、クリーミィーな感じの、よい香りの匂いに変化することが認められた。すなわち、従来、服用に際して、抵抗感がかなり強かったヤエヤマアオキが、熟成乾燥することによって、服用しやすい健康食品へと変化することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施例1,2および比較例1〜7の抗菌作用試験の結果を示す写真。
【図2】試験前におけるボランティアの顔を示す写真。
【図3】試験後におけるボランティアの顔を示す写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分を有する健康食品の製造方法であって、遠赤外線を照射するとともに温度35〜45℃の温風に曝して健康食品を乾燥する温風工程と、温度が0℃を超えて15℃以下である冷風に曝して健康食品を乾燥する冷風工程を繰り返すことにより乾燥された健康食品の製造方法。
【請求項2】
前記健康食品に含まれる有効成分の前記乾燥後の含有量が、乾燥前と比べて増加している請求項1に記載の健康食品の製造方法。
【請求項3】
前記有効成分が、クルクミン、ターメロン、フラボノイド、アズレン、カンファー、シネオール、プロゼロニン、ダムナカンサル、スコポレチン、モリンドン、モリンデン、β−グルカンからなる群から選ばれるいずれかである請求項1または2に記載の健康食品の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の健康食品の製造方法により、製造された健康食品。
【請求項5】
前記健康食品を薄切りして粉砕した粉末である請求項4に記載の健康食品。
【請求項6】
前記健康食品を抽出した抽出液である請求項4または5に記載の健康食品。
【請求項7】
前記抽出に用いる抽出液が、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸からなる群から選ばれるいずれかを含む請求項6に記載の健康食品。
【請求項8】
前記健康食品が、ウコンである請求項4〜7のいずれかに記載の健康食品。
【請求項9】
前記健康食品が、ヤエヤマアオキである請求項4〜7のいずれかに記載の健康食品。
【請求項10】
前記健康食品が、ウコンおよびヤエヤマアオキである請求項4〜7のいずれかに記載の健康食品。
【請求項11】
ウコンとヤエヤマアオキの重量配合比(ウコン/ヤエヤマアオキ)が、1/9〜9/1である請求項10に記載の健康食品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−246752(P2006−246752A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66013(P2005−66013)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(591091249)エスケーサイエンス有限会社 (3)
【Fターム(参考)】