側溝ブロックとこれを連ねて構築される排水路
【課題】上段水路及び下段水路を有する側溝ブロックを提供する。
【解決手段】断面直交方向に延在し、底面を下段水路211とする断面U字状の本体部2と、前記本体部2の一方上縁部221から本体部2の断面方向に張り出し、上面を上段水路301とするフランジ部3と、前記本体部2の他方上縁部231から本体部2の断面方向に張り出した庇部4とをコンクリートにより一体成形してなり、フランジ部3は、他方上縁部231を有する本体部2の内側面近傍まで張り出し、前記張り出した先の端面と他方上縁部231を有する本体部2の内側面との間に雨水落下間隙31を形成し、庇部4は、前記雨水落下間隙31の直上まで張り出し、前記張り出した先の端面下縁又は下面とフランジ部3の張り出した先の端面上縁又は上面との間に雨水流入開口41を形成した側溝ブロック1である。
【解決手段】断面直交方向に延在し、底面を下段水路211とする断面U字状の本体部2と、前記本体部2の一方上縁部221から本体部2の断面方向に張り出し、上面を上段水路301とするフランジ部3と、前記本体部2の他方上縁部231から本体部2の断面方向に張り出した庇部4とをコンクリートにより一体成形してなり、フランジ部3は、他方上縁部231を有する本体部2の内側面近傍まで張り出し、前記張り出した先の端面と他方上縁部231を有する本体部2の内側面との間に雨水落下間隙31を形成し、庇部4は、前記雨水落下間隙31の直上まで張り出し、前記張り出した先の端面下縁又は下面とフランジ部3の張り出した先の端面上縁又は上面との間に雨水流入開口41を形成した側溝ブロック1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上段水路及び下段水路を備えた側溝ブロックと、これを連ねて構築される排水路とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排水路は、底面を水路とする断面U字状の側溝ブロックを連ねて構築され、路面から流れ込む雨水を前記水路に沿って排水する。この排水路は、側溝ブロックを側溝蓋により閉蓋できるが、それでも雨水と共にゴミが水路に混入し、前記水路に堆積するため、定期的なゴミ清掃の必要があった。そこで、特許文献1に見られるように、中蓋を内蔵し、前記中蓋の上面を上段水路、側溝ブロックの底面を下段水路とする側溝ブロックを連ねて構築する排水路が提案されている。特許文献1は、中蓋の外側面又は側溝ブロックの内側面に凹溝を形成し、中蓋から溢れ出す雨水を、前記凹溝を通じて側溝ブロックの底面に向けて落とし込む。雨水と共に上段水路に流れ込むゴミは、凹溝を通過できないため、ゴミ清掃は上段水路のみで済む。上段水路に流れ込む雨水が多くなると、雨水が上段水路から溢れて凹溝から下段水路に流れ込み、排水できる。
【0003】
【特許文献1】特開昭60-181438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の側溝ブロックは、ブロック本体の内側面に形成した段差に中蓋を載せる。ブロック本体は、従来公知の各種施工方法によりしっかりと位置固定されるが、中蓋は前記ブロック本体の段差に載せているだけで、少なからず動く虞がある。すなわち、特許文献1の側溝ブロックを連ねて構築される排水路は、ブロック本体の底面からなる下段水路の連続性を保つが、中蓋の上面からなる上段水路に隙間が形成される虞がある。この隙間が狭ければ、なおゴミを下段水路に落さず、雨水だけを落とすこともできるが、それでも隙間にゴミが詰まり、また隙間が大きくなれば、ゴミが下段水路に落ちてしまい、それぞれゴミ清掃を困難にする。これは、特許文献1の側溝ブロックが、ブロック本体に内蓋を載せて構成することによる問題である。
【0005】
また、特許文献1の側溝ブロックは、上段水路に溜まる雨水の水位が凹溝の水平な上端開口に達すると、前記上端開口から凹溝を通って雨水を下段水路に落とす。すなわち、上段水路から下段水路に雨水が落ちる場合、凹溝の水平な上端開口が雨水に塞がれる。排水路は多数の側溝ブロックを連ねて構築されるから、下段水路と外部との通気はいずれかの地点で確保されるが、前述のように、近隣の上端開口が等しく雨水に塞がれると、雨水を円滑に落としにくくなる。仮に雨水が円滑に凹溝を通って下段水路に落ちるとしても、雨水は各凹溝の水平な上端開口を覆っているから、雨水と共にゴミも凹溝の上端開口の上方に達し、雨水が落ちる過程でゴミが凹溝に詰まる虞もある。これは、特許文献1の側溝ブロックが、上段水路に溜まる雨水の水位が凹溝の水平な上端開口に達して、初めて前記雨水を下段水路に落とす構成にしたことによる問題である。
【0006】
側溝ブロックの水路を上段水路及び下段水路に分割しても、排水できる雨水の総量に大きな違いがないとすれば、必ずしも水路が分割される必要はないと考えることもできる。しかし、浅い上段水路を形成し、前記上段水路から溢れた雨水のみを下段水路に落とし、ゴミを上段水路に留めおく構成の側溝ブロックは、前記側溝ブロックを連ねて構築される排水路のゴミ清掃のみならず、保守管理を容易にすることから、好ましいと考えられる。そこで、既述した特許文献1の側溝ブロックに見られるブロック本体に内蓋を載せて構成することによる問題と、上段水路に溜まる雨水の水位が凹溝の水平な上端開口に達して、初めて前記雨水を下段水路に落とす構成にしたことによる問題とを解決すべく、新たな側溝ブロックについて検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検討の結果開発したものが、断面直交方向に延在し、底面を下段水路とする断面U字状の本体部と、前記本体部の一方上縁部から本体部の断面方向に張り出し、上面を上段水路とするフランジ部と、前記本体部の他方上縁部から本体部の断面方向に張り出した庇部とをコンクリートにより一体成形してなり、フランジ部は、他方上縁部を有する本体部の内側面近傍まで張り出し、前記張り出した先の端面と他方上縁部を有する本体部の内側面との間に雨水落下間隙を形成し、庇部は、前記雨水落下間隙の直上まで張り出し、前記張り出した先の端面下縁又は下面とフランジ部の張り出した先の端面上縁又は上面との間に雨水流入開口を形成した側溝ブロックである。排水路は、本発明の側溝ブロックを連ねて構築される。
【0008】
本体部は、水平な底版の両側縁から垂直な一対の側版を立ち上げた断面U字状で、底面は前記底版の上面、内側面は前記各側版の内面であり、上縁部は前記側版の上端面を含む上方部分である。これから、本発明の側溝ブロックは、本体部を構成する側版の一方における上端面を含む上方部分の内側面からフランジ部を、側版の残る他方における上端面を含む上方部分の内側面から庇部を、それぞれ対向する関係で段違いに張り出した構成となる。そして、張り出したフランジ部の端面と他方における上端面を含む上方部分の内側面との間に形成した雨水落下間隙を直上に庇部を張り出すことから、庇部がフランジ部の上方に位置する。ここで、例えば本体部を構成する側版の一方における上端面を含む上方部分との表現は冗長に過ぎるため、本発明は、説明の便宜上、前記上方部分を一方上縁部と呼び、同様に側版の残る他方における上端面を含む上方部分を他方上縁部と呼ぶ。
【0009】
フランジ部は、一方上縁部の上端面より少し下がった内側面から張り出していれば、上面が平坦であっても、前記上端面との高低差を深さとする上段水路を形成できる。しかし、側溝ブロックは、通常、各上縁部の上端面が路面に倣う深さで埋設されるため、一方上縁部の上端面の延長となる上面を有するフランジ部を水平に張り出すと、前記フランジ部の上面が上段水路とすることができない。これから、フランジ部は、下方に凸な断面円弧状の上面を上段水路としたり、下方に凸な断面三角形状の上面を上段水路としたりするとよい。前記フランジ部であれば、断面円弧状又は断面三角形状の上面の側縁が一方上縁部の上端面に一致していても、上面を上段水路とすることができる。この場合、前記断面円弧状又は断面三角形状の上面の側縁が、一方上縁部の上端面より少し下がっていると、より深い上段水路が形成できるようになり、好ましい。
【0010】
フランジ部は、本体部の一方上縁部に片持ち支持される構成であり、本体部の内側面に沿って雨水落下間隙を連続的に形成する。この場合、側溝ブロックを連ねて構築される排水路は、排水路の延在方向に雨水落下間隙を連ねることになり、排水路の連続した上段水路を流れる雨水は、いずれの雨水落下間隙から自由に下段水路に落とすことができる。しかし、フランジ部は側溝ブロックにおいて下段水路を隠す上部構造部位でもあり、歩行者等が踏む虞も少なくないため、強度的に安定して支持されることが望ましい。これから、フランジ部は、張り出した先の端面の一部を他方上縁部を有する本体部の内側面に接続し、前記本体部の内側面に沿って雨水落下間隙を断続的に形成する構成、すなわちフランジ部は部分的に一方上縁部及び他方上縁部に架け渡す構成にするとよい。
【0011】
本発明の側溝ブロックは、庇部がフランジ部の張り出した先を囲むように覆っているだけなので、雨水流入開口と雨水落下間隙とを連通させており、上段水路から溢れる雨水は流入開口に流れ込み、雨水落下間隙を通して下段水路に落とすことができる。ここで、雨水流入開口は、水平方向に開口している。これにより、上段水路から溢れる雨水は、雨水流入開口を塞ぐことなく、水位がフランジ部の端面上縁(上面側縁)を超えれば雨水流入開口に流入させることができる。このとき、雨水流入開口の高さが十分小さければ、雨水落下間隙の直上まで張り出した庇部が、雨水流入開口へのゴミの侵入を抑制できる。具体的な雨水流入開口の高さ(フランジ部の端面上縁に対する庇部の下面の高さ)は、雨水流入開口への侵入を防ぐゴミの大きさに合わせて決定すればよいが、5mm〜30mmを目安となる。
【0012】
雨水落下間隙は、十分な構造強度を確保するためにフランジ部が一定の厚みを有することから、前記フランジ部の端面の高さに相当する深さを有する溝となる。このため、雨水流入開口に流れ込む雨水の流入圧力と、雨水落下間隙から落ちる雨水の流出圧力とが、前記雨水流入開口に流れ込む雨水が増加するにつれて、差を生じるようになる。すなわち、雨水流入開口から流入する雨水が増加するにつれて、雨水流入開口に流れ込む雨水の流入圧力より雨水落下間隙から落ちる雨水の流出圧力が高くなり、ついには雨水が雨水流入開口に流れ込まなくなる。そこで、雨水落下間隙は、フランジ部の張り出した先の端面又は他方上縁部を有する本体部の内側面のいずれか一方又は双方が下方に向けて拡がる断面台形状とし、雨水落下間隙から落ちる雨水の流出圧力が高くなることを抑制し、雨水が雨水流入開口に流れ込まなくなる事態をなくすとよい。例えば、雨水流入開口の高さが5mm〜30mmとし、雨水落下間隙の入口の幅を前記雨水流入開口の高さに等しくした場合、雨水落下間隙の出口の幅は10mm〜40mmを目安にするとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の側溝ブロックは、下段水路を形成する本体部と上段水路を形成するフランジ部とが一体成形されていることから、排水路を構築するために側溝ブロックを連ねて位置固定するだけで、下段水路及び上段水路を同時に設置できる利点がある。特許文献1の側溝ブロックのように、ブロック本体に中蓋を載せていく作業はそれほど手間を要するものではないが、排水路の構築には非常に多数の側溝ブロックを設置する必要があるから、作業手順の数が少なくなることは、排水路の構築作業における労力及び手間を低減する効果を有する。そして、本発明の側溝ブロックは、本体部を位置固定すれば同時にフランジ部も位置固定され、フランジ部の上面の上段水路に隙間が形成されてゴミが下段水路に落下する虞がなくなり、ゴミ清掃が容易になる効果も得られる。
【0014】
また、本発明の側溝ブロックは、上段水路から溢れる雨水の水位が雨水流入開口を超えた時点から、雨水が前記雨水流入開口へ水平方向に流れ込むようにしているので、前記雨水流入開口を塞ぐことがない。このとき、庇部は、雨水流入開口にゴミが入り込むことを抑制しているので、ゴミが詰まって雨水流入開口が塞がれることもなく、またゴミが下段水路に落ちることも防止できる。そして、雨水落下間隙を下方に向けて拡がる断面台形状とすることにより、雨水落下間隙から落ちる雨水の流出圧力が高くなることを抑制でき、雨水が雨水流入開口に流れ込まなくなる事態をなくすことができる。こうして、本発明の側溝ブロックを連ねて構築される排水路は、上段水路から溢れる雨水のみを下段水路へ円滑に落とすことのできる効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は本発明に基づく側溝ブロック1の一例を表した斜視図、図2は本例の側溝ブロック1の正面図、図3は本例の側溝ブロック1の左側面図、図4は本例の側溝ブロック1の平面図、図5は本例の側溝ブロック1の図2中A−A断面図、図6は本例の側溝ブロック1の図3中B−B断面図、図7は本例の側溝ブロック1の図4中C−C断面図、図8は本例の側溝ブロック1を連ねて構築される排水路5の端面図、図9は上段水路301から下段水路211へ雨水Wを落下させている状態を表した図8相当端面図、図10は側溝ブロック1の別例を表した斜視図、図11は別例の側溝ブロック1の正面図、図12は別例の側溝ブロック1の左側面図は、図13は別例の側溝ブロック1の平面図で、図14は別例の側溝ブロック1の図11中D−D断面図であり、そして図15は別例の側溝ブロック1を連ねて構築される排水路5の端面図である。
【0016】
本例の側溝ブロック1は、図1〜図7に見られるように、断面直交方向に延在し、底面を下段水路211とする断面U字状の本体部2と、前記本体部2の一方側版22の上端面を含む一方上縁部221から本体部2の断面方向に張り出し、上面を上段水路301とするフランジ部3と、前記本体部2の他方側版23の上端面を含む他方上縁部231から本体部2の断面方向に張り出した庇部4とをコンクリートにより一体成形して構成される。排水路5は、本例の側溝ブロック1を連ねて構築される。図1からも窺えるように、側溝ブロック1は、外観上、上段水路301と下段水路211とが断絶しているように見える。しかし、上段水路301及び下段水路211は、フランジ部3の張り出した先の端面と他方側版23の内側面との間に形成する雨水落下間隙31と、庇部4の張り出した先の端部の下面とフランジ部3の張り出した先の端部の上面との間に形成する雨水流入開口41とを連通させており、上段水路301から溢れた雨水を下段水路211に落下させることができる。
【0017】
フランジ部3は、雨水落下間隙31を挟む側溝ブロック1の延在方向両端部を、張り出した先の端面をそれぞれ接続部32により他方側版23の内側面に接続し、一方上縁部221及び他方上縁部231に架け渡し、十分な構造強度を確保している。また、これにより、側溝ブロック1の端面に雨水落下間隙31の間隙が表れなくなり、本体部2、フランジ部3、そして庇部4の各端面が連続する側溝ブロック1の閉端面を形成できるので、排水路5を構築する側溝ブロック1相互の連結が、容易(間隙を気にすることなくモルタルを塗布できる)かつ強固(より広い範囲でモルタルにより接続できる)となる。上段水路301は、下方に凸な断面円弧状にしたフランジ部3の上面により形成される。本例は、上段水路301の一方の端部上面となる一方上縁部221の上端面より、張り出した先の端面を含む端部上面、すなわち雨水落下間隙31の入口となる開口縁が少し下がっており、上段水路301が満水となる前に雨水流入開口41に雨水が流れ込むようにしている。
【0018】
上段水路301から雨水流入開口41に雨水Wが流れ込む際、雨水流入開口41の高さが十分小さければ、雨水落下間隙31の直上まで張り出した庇部4が、雨水流入開口41にゴミが侵入することを抑制できる。具体的な雨水流入開口41の高さHは、雨水流入開口41への侵入を防ぐゴミの大きさに合わせて決定すればよく、5mm〜30mmを目安とし、できれば10mm〜20mmとすることが好ましい。本例の雨水流入開口41の高さHは10mmとするほか、雨水落下間隙31の入口の縁部に対する庇部4の突出量Aを20mmとして、雨水流入開口1にゴミが流れ込みにくくしている(図5参照)。これにより、例えば外径10mmより小さなゴミは上段水路301から下段水路211に落下するが、前記外径10mmより小さなゴミは、下段水路211に落下する雨水で十分流すことができるため、下段水路211に堆積する虞が少ない。このように、雨水流入開口41は、下段水路211に堆積しそうなゴミのみを捉える目の粗いフィルタの働きを有している。
【0019】
上段水路301から雨水流入開口41に流れ込んだ雨水は、前記雨水流入開口41に連通する雨水落下間隙31を通じて下段水路211に落下する。このとき、雨水流入開口41に流れ込む雨水の流入圧力より雨水落下間隙31から落ちる雨水の流出圧力が高くなると、雨水が雨水流入開口41に流れ込まなくなる。そこで、本例の雨水落下間隙31は、雨水落下間隙の入口の幅D1より雨水落下間隙の出口の幅D2を大きくし、フランジ部3の張り出した先の端面及び他方上縁部231を有する本体部2の内側面の双方を下方に向けて拡げる断面台形状とすることで、雨水落下間隙31から落ちる雨水の流出圧力が高くなることを抑制している。例えば雨水落下間隙31の入口の幅D1を上記雨水流入開口41の高さHに等しい10mmとした場合、雨水落下間隙31の出口の幅D2は20mmとする(図5参照)。
【0020】
本例の側溝ブロック1は、図8に見られるように、例えば車道と歩道とを区分けする縁石ブロック51の歩道側に、前記縁石ブロック51に沿って並べて接続し、排水路5を構築する。本例は、庇部4が歩行者等に踏まれにくいように、他方側版23を縁石ブロック51に寄せているが、例えば庇部4を歩道側に寄せて(図8中側溝ブロック1を左右反転させて)もよい。本例は、フランジ部3の上面として形成される上段水路301の端部上面(一方側版22の上端面)を歩道に倣って面一にしているため、前記上段水路301が相対的に歩道より低くなっている。このため、雨水Wは、まず上段水路301に溜められる。雨水Wが雨水流入開口41に流れ込むまで増量しなければ、そのまま上段水路301を流れていき、外観的には従来公知の排水路付き縁石ブロックのように見える。
【0021】
雨水Wが増水すると、図9に見られるように、前記雨水Wの水位が上段水路301の張り出した先の端面を含む端部上面を超えることにより、雨水流入開口41に雨水が流れ込み始める。このとき、雨水Wは雨水流入開口1をすべて塞ぐことはなく、わずかであるが隙間を残しているので、下段水路211を含む内部空間の空気は、雨水Wの落下と入れ替わりに前記隙間から外部へ逃げる。また、既述したように、本例の雨水落下間隙31は断面台形状に拡がっているため、出口の圧力が入口の圧力を上回る虞がない。こうして、雨水流入開口1から流れ込む雨水Wは、円滑に雨水落下間隙31を落下していく。下段水路211は、更に雨水Wを別に移し替える部位がなく、そのまま雨水Wを流していくだけであるが、上段水路301に比べて容積が非常に大きいため、雨水落下間隙31を通じて雨水Wを逆流させる虞はない。
【0022】
本発明の構成に従っていれば、具体的な上段水路301の断面形状、下段水路211の断面形状、そして本体部2の外観形状等は自由に設定することができる。例えば、図10〜図15に見られる別例の側溝ブロック1は、フランジ部3の下方に凸な断面三角形状の上面として上段水路301を形成している。これにより、別例の側溝ブロック1は、庇部4上に縁石ブロック51を載せて排水路5を構築するため、縁石ブロック51の下縁(正確に縁石ブロック51の側面に倣う庇部4の下縁)下方に前記上段水路301が落ち込むように設けられた外観を呈する(図15参照)。しかし、フランジ部3の張り出した端面を含む端部上面は、上段水路301の最も深い三角形の頂点より当然に上方に高くなっているため、一定量の雨水Wを溜めて流すことができる。本例の最も深い三角形の頂点は、フランジ部3の張り出した端面を含む端部上面に寄せて設けられているが、前記頂点を左右中央に配しても、一方側版22の上端面に寄せて設けてもよい。
【0023】
また、別例の側溝ブロック1は、下段水路211を下方に凸な断面円弧状とし、本体部2の外面も前記下段水路211に倣って下方縁部をそれぞれ切り欠いている。このため、下段水路211の容積は本例の側溝ブロック1(図1〜図9)に比べて若干少なくなるが、本体部2を支持するベースブロックが小さくて済むようになり、具体的な施工の手間及び費用を低減できる利点がある。このほか、図示は省略するが、本例の側溝ブロック1の上段水路301と別例の側溝ブロック1の下段水路211とを組み合せたり、逆に本例の側溝ブロック1の下段水路211と別例の側溝ブロック1の上段水路301とを組み合せたり、更に本発明を損ねない範囲での別の上段水路又は下段水路を組み合せることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に基づく側溝ブロックの一例を表した斜視図である。
【図2】本例の側溝ブロックの正面図である。
【図3】本例の側溝ブロックの左側面図である。
【図4】本例の側溝ブロックの平面図である。
【図5】本例の側溝ブロックの図2中A−A断面図である。
【図6】本例の側溝ブロックの図3中B−B断面図である。
【図7】本例の側溝ブロックの図4中C−C断面図である。
【図8】本例の側溝ブロックを連ねて構築される排水路の端面図である。
【図9】上段水路から下段水路へ雨水を落下させている状態を表した図8相当端面図である。
【図10】側溝ブロックの別例を表した斜視図である。
【図11】別例の側溝ブロックの正面図である。
【図12】別例の側溝ブロックの左側面図である。
【図13】別例の側溝ブロックの平面図である。
【図14】別例の側溝ブロックの図11中D−D断面図である。
【図15】別例の側溝ブロックを連ねて構築される排水路の端面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 側溝ブロック
2 断面U字状の本体部
211 下段水路(本体部の底面)
221 一方上縁部
231 他方上縁部
3 フランジ部
301 上段水路
31 雨水落下間隙
32 接続部
4 庇部
41 雨水流入開口
5 排水路
【技術分野】
【0001】
本発明は、上段水路及び下段水路を備えた側溝ブロックと、これを連ねて構築される排水路とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排水路は、底面を水路とする断面U字状の側溝ブロックを連ねて構築され、路面から流れ込む雨水を前記水路に沿って排水する。この排水路は、側溝ブロックを側溝蓋により閉蓋できるが、それでも雨水と共にゴミが水路に混入し、前記水路に堆積するため、定期的なゴミ清掃の必要があった。そこで、特許文献1に見られるように、中蓋を内蔵し、前記中蓋の上面を上段水路、側溝ブロックの底面を下段水路とする側溝ブロックを連ねて構築する排水路が提案されている。特許文献1は、中蓋の外側面又は側溝ブロックの内側面に凹溝を形成し、中蓋から溢れ出す雨水を、前記凹溝を通じて側溝ブロックの底面に向けて落とし込む。雨水と共に上段水路に流れ込むゴミは、凹溝を通過できないため、ゴミ清掃は上段水路のみで済む。上段水路に流れ込む雨水が多くなると、雨水が上段水路から溢れて凹溝から下段水路に流れ込み、排水できる。
【0003】
【特許文献1】特開昭60-181438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の側溝ブロックは、ブロック本体の内側面に形成した段差に中蓋を載せる。ブロック本体は、従来公知の各種施工方法によりしっかりと位置固定されるが、中蓋は前記ブロック本体の段差に載せているだけで、少なからず動く虞がある。すなわち、特許文献1の側溝ブロックを連ねて構築される排水路は、ブロック本体の底面からなる下段水路の連続性を保つが、中蓋の上面からなる上段水路に隙間が形成される虞がある。この隙間が狭ければ、なおゴミを下段水路に落さず、雨水だけを落とすこともできるが、それでも隙間にゴミが詰まり、また隙間が大きくなれば、ゴミが下段水路に落ちてしまい、それぞれゴミ清掃を困難にする。これは、特許文献1の側溝ブロックが、ブロック本体に内蓋を載せて構成することによる問題である。
【0005】
また、特許文献1の側溝ブロックは、上段水路に溜まる雨水の水位が凹溝の水平な上端開口に達すると、前記上端開口から凹溝を通って雨水を下段水路に落とす。すなわち、上段水路から下段水路に雨水が落ちる場合、凹溝の水平な上端開口が雨水に塞がれる。排水路は多数の側溝ブロックを連ねて構築されるから、下段水路と外部との通気はいずれかの地点で確保されるが、前述のように、近隣の上端開口が等しく雨水に塞がれると、雨水を円滑に落としにくくなる。仮に雨水が円滑に凹溝を通って下段水路に落ちるとしても、雨水は各凹溝の水平な上端開口を覆っているから、雨水と共にゴミも凹溝の上端開口の上方に達し、雨水が落ちる過程でゴミが凹溝に詰まる虞もある。これは、特許文献1の側溝ブロックが、上段水路に溜まる雨水の水位が凹溝の水平な上端開口に達して、初めて前記雨水を下段水路に落とす構成にしたことによる問題である。
【0006】
側溝ブロックの水路を上段水路及び下段水路に分割しても、排水できる雨水の総量に大きな違いがないとすれば、必ずしも水路が分割される必要はないと考えることもできる。しかし、浅い上段水路を形成し、前記上段水路から溢れた雨水のみを下段水路に落とし、ゴミを上段水路に留めおく構成の側溝ブロックは、前記側溝ブロックを連ねて構築される排水路のゴミ清掃のみならず、保守管理を容易にすることから、好ましいと考えられる。そこで、既述した特許文献1の側溝ブロックに見られるブロック本体に内蓋を載せて構成することによる問題と、上段水路に溜まる雨水の水位が凹溝の水平な上端開口に達して、初めて前記雨水を下段水路に落とす構成にしたことによる問題とを解決すべく、新たな側溝ブロックについて検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検討の結果開発したものが、断面直交方向に延在し、底面を下段水路とする断面U字状の本体部と、前記本体部の一方上縁部から本体部の断面方向に張り出し、上面を上段水路とするフランジ部と、前記本体部の他方上縁部から本体部の断面方向に張り出した庇部とをコンクリートにより一体成形してなり、フランジ部は、他方上縁部を有する本体部の内側面近傍まで張り出し、前記張り出した先の端面と他方上縁部を有する本体部の内側面との間に雨水落下間隙を形成し、庇部は、前記雨水落下間隙の直上まで張り出し、前記張り出した先の端面下縁又は下面とフランジ部の張り出した先の端面上縁又は上面との間に雨水流入開口を形成した側溝ブロックである。排水路は、本発明の側溝ブロックを連ねて構築される。
【0008】
本体部は、水平な底版の両側縁から垂直な一対の側版を立ち上げた断面U字状で、底面は前記底版の上面、内側面は前記各側版の内面であり、上縁部は前記側版の上端面を含む上方部分である。これから、本発明の側溝ブロックは、本体部を構成する側版の一方における上端面を含む上方部分の内側面からフランジ部を、側版の残る他方における上端面を含む上方部分の内側面から庇部を、それぞれ対向する関係で段違いに張り出した構成となる。そして、張り出したフランジ部の端面と他方における上端面を含む上方部分の内側面との間に形成した雨水落下間隙を直上に庇部を張り出すことから、庇部がフランジ部の上方に位置する。ここで、例えば本体部を構成する側版の一方における上端面を含む上方部分との表現は冗長に過ぎるため、本発明は、説明の便宜上、前記上方部分を一方上縁部と呼び、同様に側版の残る他方における上端面を含む上方部分を他方上縁部と呼ぶ。
【0009】
フランジ部は、一方上縁部の上端面より少し下がった内側面から張り出していれば、上面が平坦であっても、前記上端面との高低差を深さとする上段水路を形成できる。しかし、側溝ブロックは、通常、各上縁部の上端面が路面に倣う深さで埋設されるため、一方上縁部の上端面の延長となる上面を有するフランジ部を水平に張り出すと、前記フランジ部の上面が上段水路とすることができない。これから、フランジ部は、下方に凸な断面円弧状の上面を上段水路としたり、下方に凸な断面三角形状の上面を上段水路としたりするとよい。前記フランジ部であれば、断面円弧状又は断面三角形状の上面の側縁が一方上縁部の上端面に一致していても、上面を上段水路とすることができる。この場合、前記断面円弧状又は断面三角形状の上面の側縁が、一方上縁部の上端面より少し下がっていると、より深い上段水路が形成できるようになり、好ましい。
【0010】
フランジ部は、本体部の一方上縁部に片持ち支持される構成であり、本体部の内側面に沿って雨水落下間隙を連続的に形成する。この場合、側溝ブロックを連ねて構築される排水路は、排水路の延在方向に雨水落下間隙を連ねることになり、排水路の連続した上段水路を流れる雨水は、いずれの雨水落下間隙から自由に下段水路に落とすことができる。しかし、フランジ部は側溝ブロックにおいて下段水路を隠す上部構造部位でもあり、歩行者等が踏む虞も少なくないため、強度的に安定して支持されることが望ましい。これから、フランジ部は、張り出した先の端面の一部を他方上縁部を有する本体部の内側面に接続し、前記本体部の内側面に沿って雨水落下間隙を断続的に形成する構成、すなわちフランジ部は部分的に一方上縁部及び他方上縁部に架け渡す構成にするとよい。
【0011】
本発明の側溝ブロックは、庇部がフランジ部の張り出した先を囲むように覆っているだけなので、雨水流入開口と雨水落下間隙とを連通させており、上段水路から溢れる雨水は流入開口に流れ込み、雨水落下間隙を通して下段水路に落とすことができる。ここで、雨水流入開口は、水平方向に開口している。これにより、上段水路から溢れる雨水は、雨水流入開口を塞ぐことなく、水位がフランジ部の端面上縁(上面側縁)を超えれば雨水流入開口に流入させることができる。このとき、雨水流入開口の高さが十分小さければ、雨水落下間隙の直上まで張り出した庇部が、雨水流入開口へのゴミの侵入を抑制できる。具体的な雨水流入開口の高さ(フランジ部の端面上縁に対する庇部の下面の高さ)は、雨水流入開口への侵入を防ぐゴミの大きさに合わせて決定すればよいが、5mm〜30mmを目安となる。
【0012】
雨水落下間隙は、十分な構造強度を確保するためにフランジ部が一定の厚みを有することから、前記フランジ部の端面の高さに相当する深さを有する溝となる。このため、雨水流入開口に流れ込む雨水の流入圧力と、雨水落下間隙から落ちる雨水の流出圧力とが、前記雨水流入開口に流れ込む雨水が増加するにつれて、差を生じるようになる。すなわち、雨水流入開口から流入する雨水が増加するにつれて、雨水流入開口に流れ込む雨水の流入圧力より雨水落下間隙から落ちる雨水の流出圧力が高くなり、ついには雨水が雨水流入開口に流れ込まなくなる。そこで、雨水落下間隙は、フランジ部の張り出した先の端面又は他方上縁部を有する本体部の内側面のいずれか一方又は双方が下方に向けて拡がる断面台形状とし、雨水落下間隙から落ちる雨水の流出圧力が高くなることを抑制し、雨水が雨水流入開口に流れ込まなくなる事態をなくすとよい。例えば、雨水流入開口の高さが5mm〜30mmとし、雨水落下間隙の入口の幅を前記雨水流入開口の高さに等しくした場合、雨水落下間隙の出口の幅は10mm〜40mmを目安にするとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の側溝ブロックは、下段水路を形成する本体部と上段水路を形成するフランジ部とが一体成形されていることから、排水路を構築するために側溝ブロックを連ねて位置固定するだけで、下段水路及び上段水路を同時に設置できる利点がある。特許文献1の側溝ブロックのように、ブロック本体に中蓋を載せていく作業はそれほど手間を要するものではないが、排水路の構築には非常に多数の側溝ブロックを設置する必要があるから、作業手順の数が少なくなることは、排水路の構築作業における労力及び手間を低減する効果を有する。そして、本発明の側溝ブロックは、本体部を位置固定すれば同時にフランジ部も位置固定され、フランジ部の上面の上段水路に隙間が形成されてゴミが下段水路に落下する虞がなくなり、ゴミ清掃が容易になる効果も得られる。
【0014】
また、本発明の側溝ブロックは、上段水路から溢れる雨水の水位が雨水流入開口を超えた時点から、雨水が前記雨水流入開口へ水平方向に流れ込むようにしているので、前記雨水流入開口を塞ぐことがない。このとき、庇部は、雨水流入開口にゴミが入り込むことを抑制しているので、ゴミが詰まって雨水流入開口が塞がれることもなく、またゴミが下段水路に落ちることも防止できる。そして、雨水落下間隙を下方に向けて拡がる断面台形状とすることにより、雨水落下間隙から落ちる雨水の流出圧力が高くなることを抑制でき、雨水が雨水流入開口に流れ込まなくなる事態をなくすことができる。こうして、本発明の側溝ブロックを連ねて構築される排水路は、上段水路から溢れる雨水のみを下段水路へ円滑に落とすことのできる効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は本発明に基づく側溝ブロック1の一例を表した斜視図、図2は本例の側溝ブロック1の正面図、図3は本例の側溝ブロック1の左側面図、図4は本例の側溝ブロック1の平面図、図5は本例の側溝ブロック1の図2中A−A断面図、図6は本例の側溝ブロック1の図3中B−B断面図、図7は本例の側溝ブロック1の図4中C−C断面図、図8は本例の側溝ブロック1を連ねて構築される排水路5の端面図、図9は上段水路301から下段水路211へ雨水Wを落下させている状態を表した図8相当端面図、図10は側溝ブロック1の別例を表した斜視図、図11は別例の側溝ブロック1の正面図、図12は別例の側溝ブロック1の左側面図は、図13は別例の側溝ブロック1の平面図で、図14は別例の側溝ブロック1の図11中D−D断面図であり、そして図15は別例の側溝ブロック1を連ねて構築される排水路5の端面図である。
【0016】
本例の側溝ブロック1は、図1〜図7に見られるように、断面直交方向に延在し、底面を下段水路211とする断面U字状の本体部2と、前記本体部2の一方側版22の上端面を含む一方上縁部221から本体部2の断面方向に張り出し、上面を上段水路301とするフランジ部3と、前記本体部2の他方側版23の上端面を含む他方上縁部231から本体部2の断面方向に張り出した庇部4とをコンクリートにより一体成形して構成される。排水路5は、本例の側溝ブロック1を連ねて構築される。図1からも窺えるように、側溝ブロック1は、外観上、上段水路301と下段水路211とが断絶しているように見える。しかし、上段水路301及び下段水路211は、フランジ部3の張り出した先の端面と他方側版23の内側面との間に形成する雨水落下間隙31と、庇部4の張り出した先の端部の下面とフランジ部3の張り出した先の端部の上面との間に形成する雨水流入開口41とを連通させており、上段水路301から溢れた雨水を下段水路211に落下させることができる。
【0017】
フランジ部3は、雨水落下間隙31を挟む側溝ブロック1の延在方向両端部を、張り出した先の端面をそれぞれ接続部32により他方側版23の内側面に接続し、一方上縁部221及び他方上縁部231に架け渡し、十分な構造強度を確保している。また、これにより、側溝ブロック1の端面に雨水落下間隙31の間隙が表れなくなり、本体部2、フランジ部3、そして庇部4の各端面が連続する側溝ブロック1の閉端面を形成できるので、排水路5を構築する側溝ブロック1相互の連結が、容易(間隙を気にすることなくモルタルを塗布できる)かつ強固(より広い範囲でモルタルにより接続できる)となる。上段水路301は、下方に凸な断面円弧状にしたフランジ部3の上面により形成される。本例は、上段水路301の一方の端部上面となる一方上縁部221の上端面より、張り出した先の端面を含む端部上面、すなわち雨水落下間隙31の入口となる開口縁が少し下がっており、上段水路301が満水となる前に雨水流入開口41に雨水が流れ込むようにしている。
【0018】
上段水路301から雨水流入開口41に雨水Wが流れ込む際、雨水流入開口41の高さが十分小さければ、雨水落下間隙31の直上まで張り出した庇部4が、雨水流入開口41にゴミが侵入することを抑制できる。具体的な雨水流入開口41の高さHは、雨水流入開口41への侵入を防ぐゴミの大きさに合わせて決定すればよく、5mm〜30mmを目安とし、できれば10mm〜20mmとすることが好ましい。本例の雨水流入開口41の高さHは10mmとするほか、雨水落下間隙31の入口の縁部に対する庇部4の突出量Aを20mmとして、雨水流入開口1にゴミが流れ込みにくくしている(図5参照)。これにより、例えば外径10mmより小さなゴミは上段水路301から下段水路211に落下するが、前記外径10mmより小さなゴミは、下段水路211に落下する雨水で十分流すことができるため、下段水路211に堆積する虞が少ない。このように、雨水流入開口41は、下段水路211に堆積しそうなゴミのみを捉える目の粗いフィルタの働きを有している。
【0019】
上段水路301から雨水流入開口41に流れ込んだ雨水は、前記雨水流入開口41に連通する雨水落下間隙31を通じて下段水路211に落下する。このとき、雨水流入開口41に流れ込む雨水の流入圧力より雨水落下間隙31から落ちる雨水の流出圧力が高くなると、雨水が雨水流入開口41に流れ込まなくなる。そこで、本例の雨水落下間隙31は、雨水落下間隙の入口の幅D1より雨水落下間隙の出口の幅D2を大きくし、フランジ部3の張り出した先の端面及び他方上縁部231を有する本体部2の内側面の双方を下方に向けて拡げる断面台形状とすることで、雨水落下間隙31から落ちる雨水の流出圧力が高くなることを抑制している。例えば雨水落下間隙31の入口の幅D1を上記雨水流入開口41の高さHに等しい10mmとした場合、雨水落下間隙31の出口の幅D2は20mmとする(図5参照)。
【0020】
本例の側溝ブロック1は、図8に見られるように、例えば車道と歩道とを区分けする縁石ブロック51の歩道側に、前記縁石ブロック51に沿って並べて接続し、排水路5を構築する。本例は、庇部4が歩行者等に踏まれにくいように、他方側版23を縁石ブロック51に寄せているが、例えば庇部4を歩道側に寄せて(図8中側溝ブロック1を左右反転させて)もよい。本例は、フランジ部3の上面として形成される上段水路301の端部上面(一方側版22の上端面)を歩道に倣って面一にしているため、前記上段水路301が相対的に歩道より低くなっている。このため、雨水Wは、まず上段水路301に溜められる。雨水Wが雨水流入開口41に流れ込むまで増量しなければ、そのまま上段水路301を流れていき、外観的には従来公知の排水路付き縁石ブロックのように見える。
【0021】
雨水Wが増水すると、図9に見られるように、前記雨水Wの水位が上段水路301の張り出した先の端面を含む端部上面を超えることにより、雨水流入開口41に雨水が流れ込み始める。このとき、雨水Wは雨水流入開口1をすべて塞ぐことはなく、わずかであるが隙間を残しているので、下段水路211を含む内部空間の空気は、雨水Wの落下と入れ替わりに前記隙間から外部へ逃げる。また、既述したように、本例の雨水落下間隙31は断面台形状に拡がっているため、出口の圧力が入口の圧力を上回る虞がない。こうして、雨水流入開口1から流れ込む雨水Wは、円滑に雨水落下間隙31を落下していく。下段水路211は、更に雨水Wを別に移し替える部位がなく、そのまま雨水Wを流していくだけであるが、上段水路301に比べて容積が非常に大きいため、雨水落下間隙31を通じて雨水Wを逆流させる虞はない。
【0022】
本発明の構成に従っていれば、具体的な上段水路301の断面形状、下段水路211の断面形状、そして本体部2の外観形状等は自由に設定することができる。例えば、図10〜図15に見られる別例の側溝ブロック1は、フランジ部3の下方に凸な断面三角形状の上面として上段水路301を形成している。これにより、別例の側溝ブロック1は、庇部4上に縁石ブロック51を載せて排水路5を構築するため、縁石ブロック51の下縁(正確に縁石ブロック51の側面に倣う庇部4の下縁)下方に前記上段水路301が落ち込むように設けられた外観を呈する(図15参照)。しかし、フランジ部3の張り出した端面を含む端部上面は、上段水路301の最も深い三角形の頂点より当然に上方に高くなっているため、一定量の雨水Wを溜めて流すことができる。本例の最も深い三角形の頂点は、フランジ部3の張り出した端面を含む端部上面に寄せて設けられているが、前記頂点を左右中央に配しても、一方側版22の上端面に寄せて設けてもよい。
【0023】
また、別例の側溝ブロック1は、下段水路211を下方に凸な断面円弧状とし、本体部2の外面も前記下段水路211に倣って下方縁部をそれぞれ切り欠いている。このため、下段水路211の容積は本例の側溝ブロック1(図1〜図9)に比べて若干少なくなるが、本体部2を支持するベースブロックが小さくて済むようになり、具体的な施工の手間及び費用を低減できる利点がある。このほか、図示は省略するが、本例の側溝ブロック1の上段水路301と別例の側溝ブロック1の下段水路211とを組み合せたり、逆に本例の側溝ブロック1の下段水路211と別例の側溝ブロック1の上段水路301とを組み合せたり、更に本発明を損ねない範囲での別の上段水路又は下段水路を組み合せることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に基づく側溝ブロックの一例を表した斜視図である。
【図2】本例の側溝ブロックの正面図である。
【図3】本例の側溝ブロックの左側面図である。
【図4】本例の側溝ブロックの平面図である。
【図5】本例の側溝ブロックの図2中A−A断面図である。
【図6】本例の側溝ブロックの図3中B−B断面図である。
【図7】本例の側溝ブロックの図4中C−C断面図である。
【図8】本例の側溝ブロックを連ねて構築される排水路の端面図である。
【図9】上段水路から下段水路へ雨水を落下させている状態を表した図8相当端面図である。
【図10】側溝ブロックの別例を表した斜視図である。
【図11】別例の側溝ブロックの正面図である。
【図12】別例の側溝ブロックの左側面図である。
【図13】別例の側溝ブロックの平面図である。
【図14】別例の側溝ブロックの図11中D−D断面図である。
【図15】別例の側溝ブロックを連ねて構築される排水路の端面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 側溝ブロック
2 断面U字状の本体部
211 下段水路(本体部の底面)
221 一方上縁部
231 他方上縁部
3 フランジ部
301 上段水路
31 雨水落下間隙
32 接続部
4 庇部
41 雨水流入開口
5 排水路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面直交方向に延在し、底面を下段水路とする断面U字状の本体部と、前記本体部の一方上縁部から本体部の断面方向に張り出し、上面を上段水路とするフランジ部と、前記本体部の他方上縁部から本体部の断面方向に張り出した庇部とをコンクリートにより一体成形してなり、フランジ部は、他方上縁部を有する本体部の内側面近傍まで張り出し、前記張り出した先の端面と他方上縁部を有する本体部の内側面との間に雨水落下間隙を形成し、庇部は、前記雨水落下間隙の直上まで張り出し、前記張り出した先の端面下縁又は下面とフランジ部の張り出した先の端面上縁又は上面との間に雨水流入開口を形成してなる側溝ブロック。
【請求項2】
フランジ部は、下方に凸な断面円弧状の上面を上段水路とする請求項1記載の側溝ブロック。
【請求項3】
フランジ部は、下方に凸な断面三角形状の上面を上段水路とする請求項1記載の側溝ブロック。
【請求項4】
フランジ部は、張り出した先の端面の一部を他方上縁部を有する本体部の内側面に接続し、前記本体部の内側面に沿って雨水落下間隙を断続的に形成した請求項1〜3いずれか記載の側溝ブロック。
【請求項5】
雨水落下間隙は、フランジ部の張り出した先の端面又は他方上縁部を有する本体部の内側面のいずれか一方又は双方が下方に向けて拡がる断面台形状である請求項1〜4いずれか記載の側溝ブロック。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の側溝ブロックを連ねて構築される排水路。
【請求項1】
断面直交方向に延在し、底面を下段水路とする断面U字状の本体部と、前記本体部の一方上縁部から本体部の断面方向に張り出し、上面を上段水路とするフランジ部と、前記本体部の他方上縁部から本体部の断面方向に張り出した庇部とをコンクリートにより一体成形してなり、フランジ部は、他方上縁部を有する本体部の内側面近傍まで張り出し、前記張り出した先の端面と他方上縁部を有する本体部の内側面との間に雨水落下間隙を形成し、庇部は、前記雨水落下間隙の直上まで張り出し、前記張り出した先の端面下縁又は下面とフランジ部の張り出した先の端面上縁又は上面との間に雨水流入開口を形成してなる側溝ブロック。
【請求項2】
フランジ部は、下方に凸な断面円弧状の上面を上段水路とする請求項1記載の側溝ブロック。
【請求項3】
フランジ部は、下方に凸な断面三角形状の上面を上段水路とする請求項1記載の側溝ブロック。
【請求項4】
フランジ部は、張り出した先の端面の一部を他方上縁部を有する本体部の内側面に接続し、前記本体部の内側面に沿って雨水落下間隙を断続的に形成した請求項1〜3いずれか記載の側溝ブロック。
【請求項5】
雨水落下間隙は、フランジ部の張り出した先の端面又は他方上縁部を有する本体部の内側面のいずれか一方又は双方が下方に向けて拡がる断面台形状である請求項1〜4いずれか記載の側溝ブロック。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の側溝ブロックを連ねて構築される排水路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−7889(P2009−7889A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172151(P2007−172151)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000211237)ランデス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000211237)ランデス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
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