説明

側溝付き電柱

【課題】電柱を道路の側溝部分に建立したい場合において、電柱が側溝を貫通することを回避できるとともに、側溝を迂回させる必要性も回避すること。また、道路管理者毎に異なっている側溝の仕様にも対応可能とすること。
【解決手段】側溝付き電柱1は、電線・ケーブル類を支持するために地上に架設される電柱状部11と、地中に埋設された側溝40と、地中に埋設され、電柱状部11を支持する電柱支持部材と、を備え、電柱支持部材は、縦断面形状が上方に解放する凹部と側溝40との間に隙間をおいて収納可能な上半部32とを有する電柱支持基礎部材30と、上半部32と側溝40との間に配置され、側溝40を堅固に固持するコンクリート部材50A、50Bと、電柱状部11の下端に堅固に形成された蓋部材12と、を備え、蓋部材12は、側溝40をまたぐように上半部32の両上端に設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝付き電柱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の側溝部分にやむを得ず電柱を建立する場合、電柱が側溝を貫通すると流水効率が下がり、流水量によっては側溝から水があふれ出てくるおそれがあるため、側溝を迂回させるための工事を行っていた。
【0003】
しかし、道路の側溝を迂回させれば、流水効率を変えずに電柱を建立できるものの、迂回側溝の建設工事にはコストがかかった。したがって、コストを削減するとともに流水効率を変えずに電柱を建立することが求められていた。
【0004】
そこで、道路の側溝と一体となった支柱に電柱を取り付けることで、側溝の上に電柱を設置し、側溝の迂回を回避させた発明が知られている(例えば、特許文献1及び2)。
【特許文献1】特開平1−187230号公報
【特許文献2】特開平7−150812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献の発明では、電柱の支柱が側溝に直接取り付けられる仕様となっているため、側溝の形状によっては支柱を直接取り付けられない場合があった。このため、支柱を直接取り付けることができる側溝の形状に制約があった。
【0006】
一方、道路管理者が使用する側溝の仕様は様々であるため、上記特許文献の発明では、道路管理者毎に異なっている様々な側溝の仕様に対応できないという問題があった。
【0007】
本発明は、電柱を道路の側溝部分に建立したい場合において、電柱が側溝を貫通することを回避できるとともに、側溝を迂回させる必要性も回避でき、さらに迂回側溝の建設コストを削減することを目的とする。また、道路管理者毎に異なっている側溝の仕様にも対応することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、側溝の上に電柱を設置可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
(1) 本発明の側溝付き電柱は、電線・ケーブル類を支持するために地上に架設される電柱状部と、地中に埋設された側溝と、前記地中に埋設され、前記電柱状部を支持する電柱支持部材と、を備え、前記電柱支持部材は、縦断面形状が上方に解放する凹部を有する上半部であって前記側溝の長手方向における前記側溝の少なくとも一部を前記凹部の内側に、前記凹部と前記側溝の少なくとも一部との間に隙間をおいて収納可能な上半部と前記上半部の下方に柱状に形成された下半部とを有する電柱支持基礎部材と、前記凹部の内周面と前記側溝の少なくとも一部の外周面との間に配置され、前記側溝の少なくとも一部を堅固に固持するコンクリート部材と、前記電柱状部の下端に堅固に形成された蓋部材と、を備え、前記蓋部材は、前記側溝をまたぐように前記上半部の両上端に設置されることを特徴とする。
【0010】
(1)に記載の側溝付き電柱によれば、蓋部材は、側溝をまたぐように設置されるので、蓋部材を側溝に直接取り付けることを回避でき、側溝の形状の制約を軽減できる。さらに、電柱支持基礎部材は、側溝を、上半部と側溝との間に隙間をおいて収納可能なので、様々な形状の側溝を配置することができる。したがって、道路管理者毎に異なっている側溝の仕様にも対応することが可能となる。
【0011】
さらに、(1)に記載の側溝付き電柱の電柱支持部材は、内部に側溝の長手方向における一部をコンクリート部材を介して堅固に固持し、電柱状部を支持するので、電柱状部が側溝を貫通することを回避できるとともに、側溝を迂回させる必要性も回避できる。
【0012】
(2) 本発明の側溝付き電柱は、電線・ケーブル類を支持するために地上に架設される電柱状部と、地中に埋設された側溝と、前記地中に埋設され、前記電柱状部を支持する電柱支持部材と、を備え、前記電柱支持部材は、縦断面形状が上方に解放する凹部を有する上半部であって前記側溝の長手方向における前記側溝の少なくとも一部を前記凹部の内側に、前記凹部と前記側溝の少なくとも一部との間に隙間をおいて収納可能な上半部と前記上半部の下方に柱状に形成された下半部とを有する電柱支持基礎部材と、一端が前記凹部の内周面と前記側溝の少なくとも一部の外周面との間の一部に配置され、他端が前記電柱支持基礎部材の上方に露出するように配置されたアンカー部材と、前記凹部の内周面と前記側溝の少なくとも一部の外周面との間に配置され、前記アンカー部材の一部を堅固に固持するコンクリート部材と、前記電柱状部の下端に堅固に形成され、前記アンカー部材に取り付けられた蓋部材と、を備え、前記蓋部材は、前記側溝をまたぐように前記上半部の両上端に設置されることを特徴とする。
【0013】
(2)に記載の側溝付き電柱によれば、アンカー部材の一部は、コンクリート部材により堅固に固持されているので、蓋部材がアンカー部材に取り付けられることによって、電柱支持部材は、電柱状部を堅固に支持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電柱を道路の側溝部分に建立したい場合において、電柱状部が側溝を貫通することを回避できるとともに、側溝を迂回させる必要性も回避できるので、迂回側溝の建設コストを削減することができる。また、様々な形状の側溝を配置することができるので、道路管理者毎に異なっている側溝の仕様にも対応することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態による側溝付き電柱1について説明する。
【0016】
図1は、側溝付き電柱1の縦断面図を示す図である。図1において、電柱状部11は、地中に埋設された側溝40の上に設置されている。電柱状部11をこのように設置するための側溝付き電柱1の構成について以下説明する。側溝付き電柱1は、地上に架設された電柱状部11と、地中に埋設された側溝40と、地中に埋設された電柱支持部材と、から構成されている。
【0017】
この電柱支持部材は、電柱支持基礎部材30と、コンクリート部材50A(50B)と、アンカーボルト60A(60B)と、蓋部材12とから構成されている。この電柱支持部材の構成のうち、電柱支持基礎部材30は、縦断面が上方に開放されている凹部を有する上半部32と、上半部32の下方に柱状に形成された下半部31とを備えている。コンクリート部材50A(50B)は、当該凹部の内周面33と側溝40の外周面41との間に配置されている。
【0018】
アンカーボルト60A(60B)は、一端がコンクリート部材50A(50B)に埋設されることで堅固に固定されており、他端が電柱支持基礎部材30の上方に露出するように配置されている。蓋部材12は、側溝40をまたぐように上半部32の両上端34A及び34Bに設置されており、また、アンカーボルト60A(60B)によって貫通され、ナット70A(70B)によって固定されている。
【0019】
さらに、蓋部材12は、電柱状部11の下端に堅固に形成されているため、電柱状部11を側溝40の上に設置することが可能となる。したがって、電柱状部11が側溝40を貫通することを回避することができるので、側溝40の内部の流水を妨げないようにすることができる。
【0020】
また、側溝40を迂回させる必要性も回避できるので、迂回側溝を建設するコストを削減できる。さらに、電柱支持基礎部材30の下半部31は地中に深く埋設されるので、電柱状部11の耐震性を担保することができる。
【0021】
また、蓋部材12は、側溝40をまたぐように設置でき、蓋部材12を側溝40に直接取り付けることを回避できるので、上半部32の内部に様々な形状の側溝を配置することができる。さらに、電柱支持基礎部材30は、側溝40を、上半部32と側溝40との間に隙間をおいて収納可能であり、このことからも、様々な形状の側溝を配置することができる。したがって、道路管理者毎に異なっている側溝の仕様にも対応することが可能となる。
【0022】
図2は、蓋部材12を取り付ける前における電柱支持部材の横断面図を示す図である。図2において、コンクリート部材50A(50B)は、電柱支持基礎部材30の上半部32の凹部の両上端34A(34B)と、側溝40の外周面41A(41B)との間に配置されている。また、側溝40の長手方向における一部がコンクリート部材50A及び50Bの間に配置されることで、側溝40が固定されている。
【0023】
コンクリート部材50A(50B)の両端にはアンカーボルト60A及び60C(60B及び60D)が埋設されている。また、側溝40の長手方向の両端には、既設の側溝80A及び80Bが接続されている。
【0024】
図3は、側溝付き電柱1を真上側から見下ろした様子を示す図である。図3において、蓋部材12は、側溝40の長手方向における一部をまたぐように設置されており、蓋部材12の四隅端部を貫通しているアンカーボルト60A、60B、60C及び60Dと、ナット70A、70B、70C及び70Dにより固定されている。
【0025】
電柱状部11は、蓋部材12の略中央に堅固に形成されている。また、側溝40と既設の側溝80A及び80Bとの関係は、図2において上述したとおりである。
【0026】
図4〜図7を参照して、側溝付き電柱1の組立工程について説明する。
【0027】
図4は、電柱支持基礎部材30が地中に埋設されている様子を示す図である。図4によると、まず、電柱支持基礎部材30が地中に埋設される。電柱支持基礎部材30の上半部32は縦断面が上方に開放されている凹部を有しており、この凹部の内側は、側溝40の長手方向における一部を隙間をおいて収納可能な空間を形成している。
【0028】
図5は、埋設された電柱支持基礎部材30に側溝40が収納された様子を示す図である。図5によると、埋設された電柱支持基礎部材30には、側溝40が収納される。側溝40の左側の外周面41A及び右側の外周面41Bと、電柱支持基礎部材30の内周面33との間には隙間があり、側溝40の下側の外周面41Cは、電柱支持基礎部材30の内周面33と密接している。
【0029】
図6は、電柱支持基礎部材30と側溝40との隙間におけるコンクリート部材50A(50B)及びアンカーボルト60A(60B)の配置関係を示す図である。図6によると、側溝40の左側の外周面41A及び右側の外周面41Bと、電柱支持基礎部材30の内周面33との間に形成された隙間にコンクリート部材50A及び50Bが配置され、アンカーボルト60A(60B)は、一端がコンクリート部材50A(50B)に埋設されることで堅固に固定され、他端が電柱支持基礎部材30の上方に露出するように配置される。
【0030】
図7は、電柱状部11の下端に堅固に形成されている蓋部材12を設置した様子を示す図である。図7によると、蓋部材12は、側溝40をまたぐように電柱支持基礎部材30の上半部32の両上端34A及び34Bに設置される。
【0031】
また、アンカーボルト60A(60B)によって貫通され、ナット70A(70B)によって固定されることによって、図1に示す側溝付き電柱1の組み立てが完了する。
【0032】
以上、本発明の実施の形態による側溝付き電柱について説明したが、上述の例に限らず、種々の変形例を採用することができる。例えば、側溝40の形状は、上述した形状に限られず、市販の側溝など、様々な形状の側溝を電柱支持基礎部材30の内部に配置することができ、道路管理者毎に異なっている側溝の仕様にも対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の側溝付き電柱の縦断面図を示す図である。
【図2】本発明の蓋部材を取り付ける前における電柱支持部材の横断面図を示す図である。
【図3】本発明の側溝付き電柱を真上側から見下ろした様子を示す図である。
【図4】本発明の電柱支持基礎部材が地中に埋設されている様子を示す図である。
【図5】本発明の埋設された電柱支持基礎部材に側溝が収納された様子を示す図である。
【図6】本発明の電柱支持基礎部材と側溝との隙間におけるコンクリート部材及びアンカーボルトの配置関係を示す図である。
【図7】本発明の電柱状部の下端に堅固に形成されている蓋部材を設置した様子を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 側溝付き電柱
11 電柱状部
12 蓋部材
30 電柱支持基礎部材
40 側溝
50A、50B コンクリート部材
60A〜60D アンカーボルト
70A〜70D ナット
G 地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線・ケーブル類を支持するために地上に架設される電柱状部と、
地中に埋設された側溝と、
前記地中に埋設され、前記電柱状部を支持する電柱支持部材と、を備え、
前記電柱支持部材は、
縦断面形状が上方に解放する凹部を有する上半部であって前記側溝の長手方向における前記側溝の少なくとも一部を前記凹部の内側に、前記凹部と前記側溝の少なくとも一部との間に隙間をおいて収納可能な上半部と前記上半部の下方に柱状に形成された下半部とを有する電柱支持基礎部材と、
前記凹部の内周面と前記側溝の少なくとも一部の外周面との間に配置され、前記側溝の少なくとも一部を堅固に固持するコンクリート部材と、
前記電柱状部の下端に堅固に形成された蓋部材と、を備え、
前記蓋部材は、前記側溝をまたぐように前記上半部の両上端に設置されることを特徴とする、側溝付き電柱。
【請求項2】
電線・ケーブル類を支持するために地上に架設される電柱状部と、
地中に埋設された側溝と、
前記地中に埋設され、前記電柱状部を支持する電柱支持部材と、を備え、
前記電柱支持部材は、
縦断面形状が上方に解放する凹部を有する上半部であって前記側溝の長手方向における前記側溝の少なくとも一部を前記凹部の内側に、前記凹部と前記側溝の少なくとも一部との間に隙間をおいて収納可能な上半部と前記上半部の下方に柱状に形成された下半部とを有する電柱支持基礎部材と、
一端が前記凹部の内周面と前記側溝の少なくとも一部の外周面との間の一部に配置され、他端が前記電柱支持基礎部材の上方に露出するように配置されたアンカー部材と、
前記凹部の内周面と前記側溝の少なくとも一部の外周面との間に配置され、前記アンカー部材の一部を堅固に固持するコンクリート部材と、
前記電柱状部の下端に堅固に形成され、前記アンカー部材に取り付けられた蓋部材と、を備え、
前記蓋部材は、前記側溝をまたぐように前記上半部の両上端に設置されることを特徴とする、側溝付き電柱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−2097(P2009−2097A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166032(P2007−166032)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】