説明

側溝排水用立体フィルタ

【課題】側溝排水において、簡易に側溝内に設置できると共に、フィルタメンテナンス(目詰まり防止)のタイミングおよび排水原液からろ過する塵芥粒度を任意に調節できる、側溝排水用立体フィルタおよび過粒度調節体を提供する。
【解決手段】
樹脂網状管の一端が封止され形成されたカゴ状フィルタにおいて、開口部(封止されていない端部)の先端に穴付きネジまたは穴付きナットからなる固定部材が、ニップル部を介してカゴ状フィルタに接合され、固定部材の固定部のみが貫通できる径の穴を1ヶ以上有す原液とろ過液分離する仕切り板に対し、固定部が貫通した状態で、穴付きナットまたは穴付きネジを締め込むことによって、仕切り板とカゴ状フィルタが一体化された側溝排水用立体フィルタ、および任意の粗度のソックスフィルタを履かせることで、原液から漉し取る粒度などを調節することができるろ過粒度調節体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝内部に設置されて排水原液中の異物を分離、除去する立体構造をなすフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な工場や厨房における排水処理は、側溝内に設置した金属製メッシュスクリーンによる初期ろ過と、側溝を集約したトラップ桝による二次ろ過、さらに最終的には油水分離槽や、BOD除去設備などを経て処理されるものである。
例えば、樹脂コンパウンド成形工場では、樹脂パウダーを混練し、押出カットして粒径2mm以上の樹脂ペレットを成型するものであるが、排水系統が蓋付き側溝などでシールドされていても、排水内にペレットおよび粉体が混入することが指摘されている。
生産現場においては、この塵芥を300メッシュスクリーンでろ過し、トラップ桝に落とし込み、さらには油水分離槽にて処理した後に排出するものであるが、生産量によって左右されるものではあるが、5〜8時間でメッシュスクリーンが目詰まりする。メッシュスクリーンは速やかに掃除しなければならず、そのまま放置した場合には、排水が床に流れ出し浸水被害を生み出すか、後続の塵芥がメッシュスクリーン上部を乗り越え、大量にトラップ桝へと流出した後、油水分離槽に流入し、周辺環境への流出を生ずる可能性がある。このようなことを未然に防ぐ為、4時間程度の間隔でメッシュスクリーンを汚れていないものに切換えたり、毎日トラップ桝内を掃除をするなど、こまめな確認と清掃対応が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した様に、初期ろ過である金属製メッシュスクリーンや二次ろ過であるトラップ桝は、油水分離槽に塵芥が流入することを防ぎ、工場などからの排水に塵芥を混入させないために機能するものであるが、確実な効果を得るには、数時間間隔の高頻度で清掃メンテナンスを実施しなければならなかった。この様な問題に対し、回転式メッシュスクリーンが利用されているケースもあるが、装置が大がかりで設置場所、およびコストの問題が大きく、樹脂成形や食品加工など中小零細企業の多い産業分野では導入されるケースは希であり、結果として工場内で発生した樹脂や食品の塵芥が、排水と共に流出し、周辺環境にマイナスの影響を与えていることは想像に難くない。
また、近年地下水利用の規制が厳しくなり、代表的な例としては大阪府であるが、高価な水道水を産業利用している場合が少なくない。この様なケースでは、冷却水のリサイクル利用が個々の企業努力によって積極的に進められているが、前出同様に物理的ろ過の方法が課題であった。
【0004】
上記の技術分野に直接関連しないものの、透水性舗装道路に埋設する導水管として、樹脂モノフィラメントを編組するなどにより形成したフレキシブルな網状の樹脂管(以後、樹脂網状管という)を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この網状樹脂管は、砂礫等の異物の侵入を防止するための選択透過性と、凹凸面への設置や曲がり配管を行うための柔軟性(可撓性)備えている点で舗装道路の導水管に適している。
【0005】
本発明の発明者は、特開2008−229568号においてフレキシブルなカゴ状樹脂管フィルタ、および、特開2008−229569号において発展応用させたハウジング内にカゴ状樹脂管フィルタを内蔵させた廃水処理システムを提案しており、上記した課題に対して、前記した網状の樹脂管が、加工を施すことでフィルタとして好適であることが判ったが、本発明において、さらに排水原液とろ過液を仕切る仕切板への簡易な一体化構造、および仕切板の各種側溝に対する施工性(アジャスト性)、ろ過する目的の塵芥の粒度調節方法を検討し、前出の提案よりも一段と用途特化した、簡易な側溝排水用立体フィルタおよび粒度調節体を提案するに至った。
【0006】
【特許文献1】特開2001−254873
【特許文献2】特開2008−229568号
【特許文献3】特開2008−229569号
【0007】
本発明は、一般的に利用範囲の多い側溝排水において、簡易に側溝内に設置できると共に、フィルタメンテナンス(目詰まり防止)のタイミングおよび排水原液からろ過する塵芥粒度を任意に調節できる、側溝排水用立体フィルタおよび過粒度調節体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した目的を達成するために、本発明は、カゴ状に樹脂モノフィラメントが編み込まれ形成された有孔樹脂管を、その一端を封止してカゴ状フィルタとし、他端開口部(封止されていない端部)の先端に穴付きネジまたは穴付きナットからなる鍔付固定部材をニップル部を介して接合した固定部材付きカゴ状フィルタを、該固定部材の鍔部以外は貫通できるが鍔部は貫通できない径を有する穴を1ヶ以上有する、原液とろ過液の分離用の仕切り板の一方向から、カゴ状フィルタの先端から該鍔部手前までを貫通させ、その状態で、該仕切板の反対側から該穴付きネジを穴付きナットで、または該穴付きナットを穴付きネジでそれぞれ締め込むことによって、仕切り板とカゴ状フィルタが一体化された側溝排水用立体フィルタを提供する。
【0009】
この構成によれば、カゴ状フィルタのほぼ全体がろ過面となるので、設置スペースに対するろ過面積を大幅に増加させることが可能で、さらには、カゴ状フィルタの長さ、および本数を任意に選択することで、目詰まりが発生し難い構造であると共に、目詰まりまでのタイミング(メンテナンスタイミング)を調節することが可能である。さらには、カゴ状フィルタが一体化された側溝排水用立体フィルタは、加工が容易で排水側溝中の任意の場所(掃除がし易く目視確認が容易な場所など)に設置することが可能である。したがって、一次フィルタである当該ろ過装置のメンテナンス負担が軽減されると共に、トラップ桝などへの塵芥流入量も減らすことができ、衛生および環境への配慮管理が向上するものである。
【0010】
排水原液からろ過する塵芥の粒度であるが、任意の粗度で形成されたソックスフィルタをカゴ状フィルタ各々に履かせる(カバーする)ことで微細対応へと調節することが可能である。
【0011】
前記カゴ状フィルタは、側溝曲がり部などへの追随性を考えると、柔軟であり、水分による経時劣化が少ないものであることが望ましい。この様な特性をもつカゴ状フィルタの基本構造としては、樹脂モノフィラメントを編組し素線間に接合を有さず形成された排水性舗装用導水管の構造であることが汎用的で最適な形態である。
また、カゴ状フィルタの長さおよび本数は、特に限定されるものではないが、構造的に長く、本数が多いほど空隙面積が大きくなり、目詰まりし難いものであり、設置場所のスペースが許す範囲で、より長くより多い使用数本で設計することが好ましい。
【0012】
本発明に係る側溝排水用立体フィルタは、カゴ状フィルタ、仕切板および固定部材を基本部材とし、場合によってはソックスフィルタを含めた部材から構成されるものであるが、各々、抗菌機能を有する部材を使用することで、雑菌および藻類の繁殖を防ぐことが可能である。例えば、樹脂モノフィラメント編組管をカゴ状フィルタとする場合、モノフィラメント素線の何本かを銅線にすることで、銅イオンの効果で抗菌機能を発揮させたり、ソックスフィルタを抗菌繊維で形成することで、滞留した塵芥のヌメリを抑制することなどが考えられる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明に係る排水側溝用立体フィルタおよびろ過粒度調節体によれば、カゴ状フィルタのほぼ全体がろ過面となるので、設置スペースに対するろ過面積を大幅に増加させることが可能で、さらには、カゴ状フィルタの長さ、および本数を任意に選択することで、目詰まりが発生し難い構造であると共に、目詰まりまでのタイミング(メンテナンスタイミング)を調節することが可能である。さらには、カゴ状フィルタが一体化された側溝排水用立体フィルタは、加工が容易で排水側溝中の任意の場所(掃除がし易く目視確認が容易な場所など)に設置することが可能である。したがって、一次フィルタである当該ろ過装置のメンテナンス負担が軽減されると共に、トラップ桝などへの塵芥流入量も減らすことができ、衛生および環境への配慮管理が向上するものである。さらには、排水原液からろ過する塵芥の粒度であるが、任意の粗度で形成されたソックスフィルタをカゴ状フィルタ各々に履かせる(カバーする)ことで微細な塵芥をも対応することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明に係る、排水側溝用立体フィルタを側溝へ設置した一実施形態を示す断片斜視図である。図2は、カゴ状フィルタが固定部材を介して仕切板に固定された様子を示す、排水側溝用立体フィルタの斜視図である。図3は、樹脂網状管の一端が封止され形成されたカゴ状フィルタが、穴付きネジまたは穴付きナットからなる固定部材と接合された形態であることを示す斜視図である。図4は、JIS定格側溝内部の断面形状が印刷された仕切板を示す正面図である。図5は、カゴ状フィルタにソックスフィルタを履かせた様子を示す斜視図である。
【0016】
本発明の側溝排水用立体フィルタ1の構造概略および使用方法を図1を基に説明する。
カゴ状フィルタ1(図2)とは、樹脂網状管の一端が封止キャップ2などで封止されたものであり、他端の開口部(封止されていない端部)の先端に、樹脂網状管固定用のニップル部3a(開口部に挿入、または、開口部を挿入)と、仕切板4へ固定させる穴付きネジまたは穴付きナットの雌雄組み合わせからなるネジ部材3bで構成される固定部材3が接合されたものである。固定部材には、仕切板の穴で固定されるための鍔部8が設けられている。原液とろ過液とを分離する仕切板4(図3)の構造を、穴4aを有する板というシンプルな構造とし、JIS規格側溝断面形状の印刷またはケガキ4bによって、現場設置において容易に切断・調整できる構造である。
【0017】
上記のカゴ状フィルタが、仕切板の穴を介し固定部材を締め込んで鍔部8と反対から嵌め込んだネジ部材3bにより固定された状態が、排水側溝用立体フィルタ5(図4)であり、仕切板を側溝6の内部形状に合わせ切削し、封止側を川上に向け(矢印の流下方向とした状態)、側溝内に設置固定し利用する構造のものである。
さらに、カゴ状フィルタは、その編組形状を変えることなく、原液から漉し取る粒度を微細化する手法として、任意の粗度で形成されたソックスフィルタ7(図5)を各々に履かせ対応することも可能である。
【0018】
カゴ状フィルタ1は、樹脂モノフィラメントを編組し素線間に接合を有さず形成された構造の、樹脂網状管であれば、あらゆる樹脂モノフィラメントを素線材質とすることができるが、本発明が側溝用に特化したものであり、一般的な側溝サイズからカゴ状フィルタとしてのサイズが必然的に内径10〜50mmφの範囲が好ましいこととなる。故に、樹脂モノフィラメントは、カゴ状フィルタの口径に対し、柔軟性を阻害しない範囲として、芯径0.5〜3.0mmφであることが重要であり、特に0.8〜2.0mmφさらには、耐水、耐温熱、汎用という観点から、材質がポリエステルモノフィラメントであることが最も望ましい。
【0019】
封止キャップ2は、端部を封止できるならば特に必須ではないが、確実に端部を封止でき、またカゴ状フィルタ内に堆積された塵芥を簡単に除去出来ることから封止キャップで先端部を封止しているのが好ましい。封止材の材質に関しては、特に限定されないが、封止した際に、素線間に接合点(すなわち素線同士が接着固定されている個所)を有さないこと(竹編みの魚籠の様に素線の反発力で中空管構造を成している状態)で素線が反発力を有する為に、押圧に対して編み角が変化し、径が収縮する樹脂網状管の特性を利用した好ましい形態であり、端部を封止キャップ内に押し込むことで、反発力と接着剤で容易に固定できる合理的な封止方法の提案例である。この封止キャップの内径は、カゴ状編組された有孔樹脂管の外径以下であり、好適には有孔樹脂管外径の4/5〜2/5程度の内径で開口し、他端は閉口した構造のものである。
【0020】
固定部材3は、樹脂網状管の一端が封止された状態において、樹脂網状管の開口部にニップル部3aを介して接合されるものであり、10〜40mm程度パイプ形状のニップル部に、開口部が挿入されて接着され、或いは金具等で固定され、接合される。さらに、固定部材は、鍔部8とネジ部材3bを有する構造であり、ネジ部材3bは穴付きネジまたは穴付きナットの雌雄組み合わせからなるものであり、雄側を仕切板にあけた穴を通し、鍔部手前8まで貫通させ、その状態でネジ部材3bを締め込むことで雌雄間で挟み込み仕切板に固定するものである。3sと3bは雌雄の関係にあれば、どちらが穴付きネジ、穴付ナットであってもよい。
【0021】
仕切板4の材質は、あらゆる硬質材料の板状物であれば利用可能であるが、施工時における現地側溝への切削調整、および、カゴ状フィルタ本数の追加による穴4aの削開などを考えると切削加工性が良く、耐水性があり、排水が温水である場合も考慮し、80℃耐熱性を有する材料であることが好ましい。これらのことから、繊維補強した各種樹脂板や各種金属板、例えば、アルミニュウム板、ステンレス板、防錆鉄板などが好適と考えられ、特に入手が容易であることから、厚さ1.0〜3.0mmのアルミ板材が最適である。さらに、仕切板は、好適には、前記した様に現地で側溝の内側断面に沿って切削加工され、設置されるものであり、汎用的に側溝として利用されている標準JIS側溝の断面形状を仕切板に、印刷およびケガキ4bした状態であることが、利便性に富んだ形態である。
【0022】
排水側溝用立体フィルタ5とは、仕切板とカゴ状フィルタがアッセンブリされた状態であり、仕切板の外周を設置予定である側溝6の内側断面形状に合わせ切削し、側溝内に設置して使用するものである。この時、排水側溝用立体フィルタは、カゴ状樹脂フィルタの封止端部が川上になる様(矢印の流下方向とした状態)に設置することが好ましい。この設置方法は、立体フィルタと側溝との間の空間を塵芥の滞留部として利用することで、仮に清掃メンテナンスを忘れることがあっても塵芥が側溝を遡って滞留することが可能であり、排水が床に流れ出し浸水被害を生み出すことを防ぐものである。
【0023】
ソックスフィルタ7とは、カゴ状フィルタの編組形状を変えることなく、フィルタ目粗さを細かくする手法であり、結果として、原液から漉し取る粒度を微細化するものである。具体的には、カゴ状フィルタの外径および長さ以上の先止め円筒形(ストッキングのイメージ)であり、カゴ状フィルタより網目が細かく、透水性で、不溶性のメッシュ、不織布、布などであればどの様なものでも好適に用いることが可能であり、ろ過すべき塵芥の粒度に合わせ、任意で選択され各々のカゴ状フィルタに履かせられる(カバーされる)ものである。
【0024】
すなわち本発明に係る排水側溝用立体フィルタは、カゴ状フィルタのほぼ全体がろ過面となるので、設置スペースに対するろ過面積を大幅に増加させることが可能で、さらには、カゴ状フィルタの長さ、および本数を任意に選択することで、目詰まりが発生し難い構造であると共に、目詰まりまでのタイミング(メンテナンスタイミング)を調節することが可能である。さらには、カゴ状フィルタが一体化された側溝排水用立体フィルタは、加工が容易で排水側溝中の任意の場所(掃除がし易く目視確認が容易な場所など)に設置することが可能である。したがって、一次フィルタである当該ろ過装置のメンテナンス負担が軽減されると共に、トラップ桝などへの塵芥流入量も減らすことができ、衛生および環境への配慮管理が向上するものである。さらには、排水原液からろ過する塵芥の粒度であるが、任意の粗度で形成されたソックスフィルタをカゴ状フィルタ各々に履かせる(カバーする)ことで微細な塵芥をも対応することが可能である。
【実施例】
【0025】
次に実施例により本発明を説明するが、該実施例により本発明は何ら制限を受けるものではない。
【0026】
実施例1
φ1.2mmのPETモノフィラメントを24錘(ボビン数24ヶ)ブレーダーを用いて、外径φ20mm、長さ25mのフッ素樹脂製フレキシブルマンドレルに対して編組し、120℃×0.5hの加熱処理によって形状固定させた上でフレキシブルマンドレルを抜き取り、内径φ20mm、外径24mm、長さ25m、交合角度112°の網状樹脂管を得た。次に、該網状樹脂管を長さ300mmで18本裁断し、各々の片先端を内径13mm長さ10mmの封止キャップに押し込み接着剤固定し、他端(開口部)は、内径24mm長さ30mmの固定部材ニップル部に挿入して接着剤固定し、カゴ状フィルタ18本を得た。この時、ネジ構造は、ニップル側が22φmmの穴付きで外径が26φmm雌ネジ(ナット)、仕切板側が22φmm穴付きで外径が26φmmの雄ネジ(ボルト)とした。尚、封止キャップと固定部材は耐熱硬質塩化ビニール製であり、固定に使用した接着剤はすべてコニシボンド社製GPクリアであった。このカゴ状フィルタ18本を、厚さ2mm、幅140×高さ120mmのアルミ板製仕切板に均等配列させた18ヶの26φmmの穴に対し、雄ネジを通した後、雌ネジと勘合させ締め込んで固定し、実施例1の排水側溝用立体フィルタとした。なお、該ネジ元には六角鍔部があり、鍔部が固定部材からの脱落を防止する働きを有している。
【0027】
実施例2
実施例1のカゴ状フィルタ18本の各々に、30g/m2で目付けた熱融着性スパンボンド不織布(芯鞘型ポリエステル繊維製)を内径25mmφの筒加工した後、長さ300mmで先端を閉じて裁断したソックスを被せ、実施例2の排水側溝用立体フィルタとした。
【0028】
比較例1
額縁が厚さ2mm×幅5mmである幅140×高さ120mmの角状に、20メッシュ(目開き0.85mm)の金網を張り、比較例1のろ過装置とした。
【0029】
上記の実施例1、実施例2、比較例1のろ過装置を、側溝内面形状が幅140mm×高さ120mmの角状であり、長さ500mmで封され、勾配角度6°(勾配傾斜11%)の状態の試験側溝に設置し、48リットル/分の水量を流しながら、試験塵芥として直径3mmのビーズを順次200cc単位で加え、(1000cc以上においては1000cc単位)都度の水位変化を確認することで、能力の相対比較をした。その結果を表1に示すとともに、図6に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
試験結果より、比較例1では、試験塵芥として直径3mmのビーズを1リットル加えた段階で満水状態を示し試験継続が不能となったのに対し、実施例1および実施例2では試験塵芥を5リットル加えても水位変化が見られず安定した排水が継続された。これにより、実施例1は、比較例1と比較して5倍以上(5リットル以上の試験塵芥添加は試験装置のサイズに制約され実施不可)目詰まりが発生しないことが示された。また、実施例1と実施例2の差異は、目粗さの差による抵抗の違いであり、抵抗差が水位差として現れたが寿命変化は見られなかった。
【0032】
このように、本発明に係る排水側溝用立体フィルタは、カゴ状フィルタのほぼ全体がろ過面となるので、設置スペースに対するろ過面積を大幅に増加させることが可能で、さらには、カゴ状フィルタの長さ、および本数を任意に選択することで、目詰まりが発生し難い構造であると共に、目詰まりまでのタイミング(メンテナンスタイミング)を調節することが可能である。さらには、カゴ状フィルタが一体化された側溝排水用立体フィルタは、加工が容易で排水側溝中の任意の場所(掃除がし易く目視確認が容易な場所など)に設置することが可能である。したがって、一次フィルタである当該ろ過装置のメンテナンス負担が軽減されると共に、トラップ桝などへの塵芥流入量も減らすことができる。
さらに、排水原液からろ過する塵芥の粒度であるが、任意の粗度で形成されたソックスフィルタをカゴ状フィルタ各々に履かせる(カバーする)ことで微細な塵芥をも対応することが可能であり、衛生および環境への配慮管理において非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る排水側溝用立体フィルタが側溝へ設置された断片斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカゴ状フィルタが、固定部材を介して仕切板に固定された様子を示す、排水側溝用立体フィルタの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る樹脂網状管の一端が封止され形成されたカゴ状フィルタが、穴付きネジまたは穴付きナットからなる固定部材と接合された形態であることを示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る仕切板が、固定用穴を有しJIS定格側溝内部の断面形状が印刷された状態であることを示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るカゴ状フィルタにソックスフィルタを履かせた様子を示す斜視図である。
【図6】実施例1、実施例2及び比較例1において、48リットル/分通水時のビーズ量と水位の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 カゴ状フィルタ
2 封止キャップ
3 固定部材
3a ニップル部
3b ネジ部材
4 仕切板
4a 穴
4b JIS規格側溝断面の印刷
5 排水側溝用立体フィルタ
6 側溝
7 ソックスフィルタ
8 鍔部
矢印 流下方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カゴ状に樹脂モノフィラメントが編み込まれ形成された有孔樹脂管を、その一端を封止してカゴ状フィルタとし、他端開口部(封止されていない端部)の先端に穴付きネジまたは穴付きナットからなる鍔付固定部材をニップル部を介して接合した固定部材付きカゴ状フィルタを、該固定部材の鍔部以外は貫通できるが鍔部は貫通できない径を有する穴を1ヶ以上有する、原液とろ過液の分離用の仕切り板の一方向から、カゴ状フィルタの先端から該鍔部手前までを貫通させ、その状態で、該仕切板の反対側から該穴付きネジを穴付きナットで、または該穴付きナットを穴付きネジでそれぞれ締め込むことによって、仕切り板とカゴ状フィルタが一体化された側溝排水用立体フィルタ。
【請求項2】
仕切り板が穴を1ヶ以上有すると共に、容易に削穴追加および切断が可能であり、且つ、腐食耐性のある材質からなる板材であり、使用において各種側溝の溝断面形状に合わせて切断することが容易である、請求項1記載の仕切り板とカゴ状フィルタが一体化された側溝排水用立体フィルタ。
【請求項3】
仕切り板にJIS定格側溝内部の断面形状が印刷またはケガキされた仕切り板と、前記有孔樹脂管の先端がキャップに押し込まれ接合されたことで封止されてなるカゴ状フィルタが一体化された請求項1または2に記載の側溝排水用立体フィルタ。
【請求項4】
カゴ状フィルタを骨格として利用し、任意の粗度のソックスフィルタをカゴ状フィルタに履かせた、請求項1〜3のいずれかに記載の仕切り板とカゴ状フィルタが一体化された側溝排水用立体フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−106488(P2010−106488A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277889(P2008−277889)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000104906)クラレプラスチックス株式会社 (52)
【Fターム(参考)】