説明

側溝用ブロック

【課題】製造が容易で、施工性が良好であり、土砂が除かれた水分を速やかに側溝へ流入させることができ、施工後の耐久性にも優れた側溝用ブロックを提供する。
【解決手段】側溝用ブロック10は、両端に開口10a,10bを有する筒状であり、その一方の側壁10cの一部に、透水性の不織布1が側壁10cと一体的に配設された複数の透水孔2を設けている。不織布1は、長方形をした透水孔2よりも一回り大きな長方形であり、不織布1の外周に沿って金属製の枠状体が付設されている。そして、枠状体および不織布1の外周を側壁10c内に埋設することによって側壁10cと一体的に配設されている。また、不織布1は、側壁10cの厚み方向Tの略中心位置に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路面に降った雨水などを排水するため道路の側方部分に設置される側溝を構築するための側溝用ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
雨天などの際に道路面から地中に浸透した雨水などを速やかに側溝に流入させるため、側溝を構成する側溝用ブロックの側壁に透水孔を設けたものが使用されている。しかしながら、単に透水孔を設けただけでは、道路地盤中の土砂が雨水と共に透水孔を通過して側溝内に流入して様々なトラブルを引き起こすことが予測される。そこで、このようなトラブルを防止するため、土砂の通過を阻止する濾過手段を透水孔に配置したものが開発されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−303006号公報
【特許文献2】特開2001−11810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された「路肩」および特許文献2に記載された「舗装構造」は、側溝用ブロックの側壁に開設された排水管の外側に不織布を配置する構造であるため、施工中に作業者や資材などが不織布に触れると外れることがあり、施工性に難点がある。また、施工後においても、時間が経過するうちに、道路の振動や気象・気温の変化などにより、不織布の位置がずれたり、外れたりすることがあり、耐久性が不十分である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、製造が容易で、施工性が良好であり、土砂が除かれた水分を速やかに側溝へ流入させることができ、施工後の耐久性にも優れた側溝用ブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の側溝用ブロックは、両端が開口した筒状または溝状の側溝用ブロックの側壁の一部に、透水性の不織布が前記側壁と一体的に配設された透水孔を設けたことを特徴とする。このような構成とすれば、透水性の不織布が配設された透水孔を通過することによって土砂が除かれた水分を速やかに側溝内へ流入させることができる。また、不織布は側壁と一体的に配設されているため、作業者や資材などが触れただけで、位置がずれたり、外れたりすることがなく、施工性が良好である。施工後、道路の振動や気象・気温の変化などによって不織布の位置がずれたり、外れたりすることもないので、耐久性にも優れている。さらに、モルタルを型枠に流し込んで側溝用ブロックを製造する際に、その側壁部分に透水孔を設けて不織布を配置すれば良いので、製造も容易である。
【0007】
ここで、前記不織布を前記側壁の厚み方向の略中心位置に配設すれば、側壁の内側および外側から離れた部分に不織布が位置することとなり、搬送中や施工中などに作業者や資材などが触れにくくなるため、誤って不織布を損傷するようなトラブルを防止することができる。
【0008】
また、前記側壁内に位置する前記不織布の外周に枠状体を設ければ、製造工程中は勿論施工現場に定着した後においても、不織布に皺や弛みが発生するのを防止することができるため、製造が容易となり、耐久性がさらに向上する。
【0009】
また、前記透水孔の内周面の少なくとも一部に、当該側溝用ブロックの底部に向かって下り勾配をなす斜面部を設けることもできる。このような構成とすれば、当該側溝用ブロックを地中に定着した後、透水孔付近に存在する水分を速やかに透水孔へ導くことが可能となるため、導水機能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、以下の効果を奏する。
【0011】
(1)両端が開口した筒状または溝状の側溝用ブロックの側壁の一部に、透水性の不織布が前記側壁と一体的に配設された透水孔を設けたことにより、製造が容易で、施工性が良好で、土砂が除かれた水分を速やかに側溝内へ流入させることができ、施工後の耐久性にも優れたものとなる。
【0012】
(2)前記不織布を前記側壁の厚み方向の略中心位置に配設すれば、搬送中や施工中などに作業者や資材などが触れにくくなるため、誤って不織布を損傷するようなトラブルを防止することができる。
【0013】
(3)前記側壁内に位置する前記不織布の外周に枠状体を設ければ、製造工程中は勿論施工現場に定着した後においても、不織布に皺や弛みが発生するのを防止することができるため、製造が容易となり、耐久性がさらに向上する。
【0014】
(4)前記透水孔の内周面の少なくとも一部に、当該側溝用ブロックの底部に向かって下り勾配をなす斜面部を設ければ、当該側溝用ブロックを地中に定着した後、透水孔付近に存在する水分を速やかに透水孔へ導くことが可能となるため、導水機能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態である側溝用ブロックを示す斜視図、図2は図1に示す側溝用ブロックの垂直断面図、図3は図2の一部拡大図、図4は図1に示す側溝用ブロックの透水孔付近の一部切欠側面図、図5は図1に示す側溝用ブロックの定着状態を示す垂直断面図である。
【0016】
図1,図2に示すように本実施形態の側溝用ブロック10は、両端に開口10a,10bを有する筒状であり、その一方の側壁10cの一部に、透水性の不織布1が側壁10cと一体的に配設された複数の透水孔2を設けている。図3,図4に示すように、不織布1は、長方形をした透水孔2よりも一回り大きな長方形であり、不織布1の外周に沿って金属製の枠状体3が付設されている。そして枠状体3および不織布1の外周を側壁10c内に埋設することによって、側壁10cと一体的に配設されている。
【0017】
側溝用ブロック10は、従来の側溝用ブロックと同様に施工することができるが、例えば、図5に示すように、道路Rの側部の路床4に埋設することによって側溝を構築することができる。この場合、側壁10cと接する路床4上の、透水孔2と同じ高さの部分に砕石層5を形成し、この砕石層5の上に透水性アスファルト層6を形成することが望ましいが、これは施工例の一つであり、その他の施工方法を採用することもできる。
【0018】
図5に示す状態において、道路R表面に雨などが降り注ぐと、雨水は透水性アスファルト層6を通過して砕石層5へ流れ込み、その一部は路床4に浸透するものの、大部分は砕石層5中を横方向に移動し、側溝用ブロック10の透水孔2付近に集まってくる。透水孔2付近に集まった雨水は、やがて透水孔2に流れ込み、透水性の不織布1を通過して土砂が除かれた状態となった水分が側溝用ブロック10内へ流入する。即ち、透水性の不織布1が配設された透水孔2を通過することによって土砂が除かれた水分を速やかに側溝内へ流入させることができる。
【0019】
また、不織布1は側壁10cと一体的に配設されているため、運搬中や施工作業中などに、作業者や資材などが誤って触れることがあっても、容易に位置がずれたり、外れたりすることがなく、施工性も良好である。施工後、道路Rの振動や気象・気温の変化などによって不織布1の位置がずれたり、外れたりすることもないので、耐久性も優れている。さらに、モルタルを型枠に流し込んで側溝用ブロック10を製造する際に、その側壁10cの一部に透水孔2を設け、外周に枠状体3を付設した不織布1を配置すれば良いので、製造も容易である。
【0020】
図3に示すように、不織布1は側壁10cの厚み方向Tの略中心位置に配設しているため、側壁10cの内側および外側から離れた部分に不織布1が位置することとなる。このため、搬送中や施工中などに作業者や資材などが不織布1に触れにくい状態となり、誤って不織布1を損傷するようなトラブルを防止することができる。不織布1の材質や目の粗さは特に限定しないので、施工条件に応じて、天然素材、合成樹脂材などで形成された、適切な目の粗さのものを使用することができる。
【0021】
また、図4で示したように、側壁10c内に位置する不織布1の外周に枠状体3を付設しているため、製造工程中は勿論施工現場に定着した後においても、不織布1に皺や弛みが発生することがない。このため、側溝用ブロック10の製造は容易であり、耐久性にも優れている。なお、図1,図2に示すように、側溝用ブロック10においては、一方の側壁10cのみに透水孔2を設けているが、これに限定するものではないので、他方の側壁10dにも、不織布1が配設された透水孔2を設けることもできる。また、側壁10c,10dにおける透水孔2の位置、個数、形状なども限定しないので、施工条件に応じて定めることができる。
【0022】
次に、図6を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。図6は第2実施形態である側溝用ブロック20を示す部分断面図であり、前述した側溝用ブロック10について図3で示した部分に相当する部分を表している。
【0023】
図6に示すように、側溝用ブロック20は、その側壁20cの一部に、透水性の不織布1が側壁20cと一体的に配設された透水孔22を設けている。また、側壁20c内に位置する不織布1の外周に枠状体3を付設している。そして、透水孔22の内周面の下面部分、および上面部分の不織布1より外側の領域に、側溝用ブロック20の底部に向かって下り勾配をなす斜面部22a,22bを設けている。
【0024】
このような構成とすれば、側溝用ブロック20を図5に示すような状態で地中に定着した場合、透水孔22付近に存在する水分を、斜面部22a,22bに沿って速やかに透水孔22内へ導くことができるようになるため、優れた導水機能を発揮する。その他の部分の構造、機能などは、前述した側溝用ブロック10と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の側溝用ブロックは、一般道路や歩道などの側溝などを構築するための資材として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態である側溝用ブロックを示す斜視図である。
【図2】図1に示す側溝用ブロックの垂直断面図である。
【図3】図2の一部拡大図である。
【図4】図1に示す側溝用ブロックの透水孔付近の一部切欠側面図である。
【図5】図1に示す側溝用ブロックの定着状態を示す垂直断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態である側溝用ブロックを示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 不織布
2,22 透水孔
3 枠状体
4 路床
5 砕石層
6 透水性アスファルト層
10,20 側溝用ブロック
10a,10b 開口
10c,10d,20c 側壁
22a,22b 斜面部
R 道路
T 厚み方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が開口した筒状または溝状の側溝用ブロックの側壁の一部に、透水性の不織布が前記側壁と一体的に配設された透水孔を設けたことを特徴とする側溝用ブロック。
【請求項2】
前記不織布を前記側壁の厚み方向の略中心位置に配設した請求項1記載の側溝用ブロック。
【請求項3】
前記側壁内に位置する前記不織布の外周に枠状体を設けた請求項1または2記載の側溝用ブロック。
【請求項4】
前記透水孔の内周面の少なくとも一部に、当該側溝用ブロックの底部に向かって下り勾配をなす斜面部を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の側溝用ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−161377(P2006−161377A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353263(P2004−353263)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(591105568)株式会社九コン (3)
【Fターム(参考)】