説明

偽アドレスの割り当てによって、異なるIP環境に接続されたノード間でデータを送信する方法およびシステム

本発明は、ネットワークの複数のノード間でデータを送信する方法に関し、1つのノードは、ソース環境と呼ばれるIP環境に接続されている。本発明によれば、本方法は、前記ノードのうちの1つの中に含まれたユーザエージェントに、あるIP環境内の前記ソース環境の偽アドレスとは異なる偽アドレスを割り当てるステップと、遠隔ノードとの通信をセットアップする場合、前記偽アドレスと、前記ソース環境内の前記ユーザエージェントのソースアドレスとを提示するステップとを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信に関し、より詳細には、IP電話技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットプロトコル(IP)ネットワークは、数多くのサービスおよびアプリケーションに関する世界共通のサポートとしてますます使用されている。IPは、もともと異なるサービス提供を相互的にするためにこのプロトコルを選ぶ多くのオペレータにとってフェデレータ(federator)の役割を有してきた。
【0003】
インターネットプロトコルのIPv4バージョンは、ここ数年間使用されている。
【0004】
かかる通信サービスによって課される制約を満たすために、より具体的には、アドレスの点から増大した要件に対応するために、オペレータおよびネットワーク装置メーカーは、現在、オペレータのネットワーク内での動作可能な配備を想定することが可能になるために十分に進行した開発段階にある仕様および分析書類によって定義された、IPv6と呼ばれる新世代の通信プロトコルを特定するために結束している。
【0005】
それでもなお、この新世代プロトコルの導入は、IPネットワーク内にすでに配備されているIPv4プロトコルとIPv6プロトコルとの間の相互動作および相互運用性を保証する必要性に関係する重要な問題を引き起こしている。現在の最新技術で、これらの問題に対する解決法が確認されているが、当該プロトコルは(特に、アプリケーション層内の)「サービス」レベルでだけでなく、(IP層内の)「トランスポート」レベルでも動作可能であるという欠点を有している。トランスポート層で、NAT-PT(ネットワークアドレス変換―プロトコル変換)技術およびIPv4データグラム内にIPv6データをカプセル化する、またはその逆の様々なトンネリング技術などのように、インターネット技術タスクフォース(Internet Engineering Task Force)(IETF)によって提案および標準化されている。
【0006】
さらに、エンドユーザにとって可能な限り透過的に、異なるタイプのIP環境(IPv4およびIPv6)内に位置するクライアント間の相互動作を可能にするために、アーキテクチャおよびサービスプラットフォームは、更新および適合されなければならない。
【0007】
他のマルチメディアに関する動きの中で、IETFは、その主な機能がマルチメディアセッションを開始、変更、および終了することであるセッション開始プロトコル(SIP)を標準化している。SIPは、本発明の応用にとって関心ある例である。SIPは、当該セッションに関するパラメータの記述を作成するためのセッション記述プロトコル(SDP)に基づいている。呼出に対して2つの当事者間の折衝が成功すると、当該当事者はリアルタイムトランスポートプロトコル(RTP)を動作させることによってメディアストリームを交換することが可能である。RTPセッションパラメータは、特にSDP部分内で、SIPシグナリングメッセージを経由して事前折衝される。RTPセッションパラメータは、主に、セットアップされる通信リンクのどちらかの終端で使用される終了アドレスおよびポート番号である。
【0008】
SIPの第1バージョンはリクエストフォーコメント(Request for Comment)(RFC)2543内で記載されたため、IPv6と互換性がある。理論上、SIPの実施は、SDP部分の1つまたは複数の「接続」ヘッダなど、特定のフィールド内に導入できるIPv4およびIPv6のアドレスを容易に復号する。しかし、両方の端末を同じIP環境内で接続することができない場合、すなわち、1つがIPv4アドレスを有し、もう1つがIPv6アドレスを有する場合、かかるアドレスの存在は、SIP呼出がセットアップされていることを妨げる可能性がある。したがって、IPv4ユーザエージェントAが、(「レジストラ」Rとも呼ばれる)IPv4ロケーションサーバに登録したIPv6ユーザエージェントとSIPセッションを開始する場合、結果として生じるSIPメッセージの交換は図1aに示されるとおりであり、第2ユーザエージェントBに接続することを求めている第1ユーザエージェントAが特定のIPv4アドレスを使用してプロキシサーバPSに「要請(INVITE)」メッセージを送信する。この場合、プロキシサーバPSは、IPv4だけの環境に接続される。メッセージがプロキシサーバPSによって受信されると、プロキシサーバは、第2ユーザエージェントBのアドレスを回復するために、登録サーバとも呼ばれるロケーションサーバにクエリを提出する。アドレスがIPv6アドレスであり、プロキシサーバPSがその宛先へのルーティングを知らない現在の仮定のもとで、プロキシサーバPSはIPv4だけのタイプのものであると考える。エラーメッセージが、次いで、ユーザエージェントAに送信され、第1および第2ユーザエージェントA,Bの間でSIPセッションをセットアップすることは不可能であることを示す。このエラーメッセージは、図1aに示される「(2) 404 ルートなし」メッセージである。
【0009】
次に、プロキシサーバPSは、それでもなお、第1ユーザエージェントAの位置アドレスならびに第2ユーザエージェントBの位置アドレスに接続することができると仮定する場合、図1bに示すように、第2ユーザエージェントBが第1ユーザエージェントAの呼び出しを試みる、SIPメッセージのもう1つの交換が発生する。
【0010】
この状況では、プロキシサーバPSは、第2ユーザエージェントBから受信された「要請」メッセージを第1ユーザエージェントAの位置アドレスにルーティングする。この「要請」メッセージは、第1ユーザエージェントAによって提供されたコーデック(符号器/復号器)に加えて、第2ユーザエージェントBが、RTPストリームの送信および受信に使用することが可能なRTPポート番号とアドレスとを記述するSDPオファー(offer)を有している。図1bでは、そのアドレスはIPv6アドレスである。したがって、ユーザエージェントAが、この「要請」メッセージを受信する場合、それはIPv4クライアントであるため、ユーザエージェントAはセッションを開始することを拒絶することだけが可能である。どのように実施されるかに応じて、ユーザエージェントAは、ユーザエージェントAがユーザエージェントBのIPアドレスへのネットワーク接続をサポートしないことを示すエラーメッセージを送り返すことがせいぜい可能である。したがって、SIPセッションは、図1aおよび1bを参照して記載された上の例のどちらでもセットアップすることができない。
【0011】
異なるタイプのIPアドレスの共存は、上述の記載および図面以外の呼出に影響を及す可能性がある。したがって、デュアルスタック(Dual Stack)(DS)クライアントへの呼出は、メディアストリームの交換の際に終了できない可能性もあり、DSユーザエージェントは、IPv4およびIPv6のアドレスタイプの両方を処理することが可能である。これは、基本的なSIPは、メディアストリームを送信するためにまたは受信するために1つのIPアドレスだけを示すことを可能にするためである。この問題を克服するために、RFC 4092は、ユーザエージェントが1つまたは複数のアドレスタイプをアナウンスおよび/または検出することを可能にする「sdp-anat」フラグを含めて、新しい意味の特徴を導入する。したがって、DSユーザエージェントは、それらのSTPオファー内でそれらのIPv4アドレスとそれらのIPv6アドレスの両方を示すことが可能である。この技術を用いて、DSユーザエージェントと単一バージョンのクライアント(すなわち、IPv4プロトコルだけまたはIPv6プロトコルだけと互換性があるクライアント)の間でやりとりするすべての呼出は、成功するSIPセッション内で終了することが可能である。しかし、これらの意味の特徴はDSユーザエージェントだけに排他的に予約され、したがって、単一バージョンのクライアント間で首尾よくセッションをセットアップするための解決法を提供しない。
【0012】
通信リンクの終端で所与の呼出を伝えることを意図する2つのノードが単一バージョンのノードある特定の状況では、当該SIP電話サービスオペレータは、サポートされるアドレスタイプと受信されたSIPメッセージ内で制約されるタイプとの間の一貫性を確実にするためにSDPオファーを変更するためのアプリケーションレベルゲートウェイ(ALG)アプリケーションを使用することが可能である。このために、SIPサーバは、呼出をルーティングするために、またはSDPオファーのコンテンツを変更する目的でALGアプリケーションを使用することを決定するために、SIPに特定でない、トランスポート層に関する情報を使用する。SIPサーバのかかる動作は標準によってカバーされない。
【0013】
一般に、2つの異種ユーザエージェント(すなわち、異なるIPタイプのユーザエージェント)を相互接続することに関連する問題は、電気通信団体によって詳細に研究されていない。特に、問題の一部を解決する、RFC 4091およびRFC 4092で記載されるANAT提案を除いて、2つの異なるIP環境内の2つのユーザエージェントを接続する呼出をルーティングするためのSIPサーバの動作を記載するIETF文書は存在しない。
【0014】
さらに、既存の技術は、以下の欠点を有している。
・ALGアプリケーションおよび追加の機能を使用することが文書化されていない。プロキシサーバPSはこのタスクを円滑にするためにRFC 3261によって特定された手段を有していない。さらに、ALGアプリケーションおよび追加の適合機能のこの使用は、ネットワーク内で達成されるタスクに負担を負わせる。
・プロキシサーバPSは、サービス層に関して決定するために(本明細書内でトランスポート層とも呼ばれる)ネットワーク層からの情報を使用しなければならない。したがって、プロキシサーバPSは、メッセージのソースアドレス、プロキシサーバと接続するためまたはSDP部分を調査するために使用されるアドレス以外の事項を考慮しなければならない。これは、サービスレベルの情報だけを処理するように事前に構成されるプロキシの性能を低下させる危険がある。
・解決法は一般的ではない。プロキシサーバPSによる呼出のルーティングおよび介入の理念は、トランスポートレベルで配備される相互接続に依存する。
・呼出をルーティングすることは、クライアントを選別すること(discriminating)に依存する。異種ノード間で呼出をルーティングするために、プロキシサーバは発呼および被呼のノードタイプ(IPv4、IPv6またはDS)を知る必要がある。この情報を回復する複雑性は呼出性能を低下する可能性がある。
【0015】
発明者の成果は、上の研究からも明らかである要求とは異なり、現在の最新技術では、プロキシサーバが、まず被呼ノードタイプを決定せずに、呼出を首尾よく遠隔ノードにルーティングする方法は存在しないという結論を導き、これは、現在、研究中である異種ノード間の呼出を管理するためのほとんどの技術がなぜ不十分であり、なぜ異種呼出を可能にするサービス要件に対処しないかを明らかにする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、ユーザエージェントが(単一バージョンのユーザエージェントでさえも)、異なるIP環境に対応するアドレスタイプをアナウンスおよび/または検出できるようにする送信方法を提案することによって、これらの欠点を有さない解決法を提供する。
【0017】
このために、本発明は、ネットワークの少なくとも2つのノード間でデータを送信する方法を提案し、前記ノードは、ソース環境と呼ばれる少なくとも1つのIP環境に接続されている。
【0018】
本発明によれば、この種の方法は、
・前記ノードのうちの1つの中に含まれる少なくとも1つのユーザエージェントに前記ソース環境以外のIP環境内の偽アドレスを割り当てるステップと、
・少なくとも1つの遠隔ノードとの通信をセットアップする場合、少なくとも前記偽アドレスと、前記ソース環境内の前記ユーザエージェントのソースアドレスとを提示するステップとを具備している。
【0019】
したがって、本発明は通信ネットワークのノード、場合によっては、異種ノード(すなわち、異なるIP環境(例えば、IPv4およびIPv6)に接続されたノード)の間でデータを送信するための完全に新規性および進歩性のある手法に依存する。
【0020】
本発明は、ネットワークのもう1つのノードのユーザエージェントとの通信セッションをセットアップする場合、偽アドレスをユーザエージェントに割り当て、エージェントのこの偽アドレスおよびソースアドレスをアナウンスすることを提案する。IPv4環境内のいくつかのノードとIPv6環境内のいくつかのノードとを具備する通信ネットワークの特定の例を利用して、本発明の技術はIPv6環境内の偽アドレスを単一バージョンのノード、例えば、IPv4だけのノードに割り当てる。
【0021】
用語「偽」の通常の意味に従って、「偽アドレス」という表現は、その存在が見かけだけのアドレスを指し、この場合、ユーザエージェントの表現アドレスを構成せず、データストリームをルーティングするためにノードのトランスポート層内で使用できないという意味である。
【0022】
SIPに適合する交換の特定の状況において、本発明の技術の1つの特定の変形例は、今までデュアルスタックタイプのノードだけに予約されたANAT属性の使用を、サービスのすべてのノードと装置とに、したがって、特に、1つだけのIP環境(IPv4だけまたはIPv6だけ)に接続された単一バージョンのノードと装置とに一般化する。本明細書の以下でより詳細に記載されるように、単一バージョンのユーザエージェントは、したがって、ネットワークオペレータによって割り当てられた偽アドレスとソースアドレスとを与えるためにANAT属性を使用することが可能である。
【0023】
本発明は、第3(偽)アドレスをDSクライアントに割り当てるか、または2つの偽アドレスを単一バージョンのクライアントに割り当てることにより、3つの異なるIP環境の状況で等しく応用されることが当然可能である。
【0024】
この割当ては、様々な形態をとることが可能である点に留意されたい。偽アドレスは、ネットワーク装置またはノードを出荷する時に一度だけ構成され、ネットワークに装置を接続する時にオペレータによって割り当てられる、または、オペレータによって動的に割り当てられ、例えば、セキュリティの理由で多少頻繁に変更することが可能である。
【0025】
本発明によって提案されるユーザエージェントの偽アドレスおよびソースアドレスの提示により、例えば、プロキシサーバにとって、トランスポート層からの情報を考慮に入れると、発呼ユーザエージェントまたは被呼ユーザエージェントのタイプを判断することが不要になる。IPv4環境とIPv6環境とを有するネットワークの特定の例では、プロキシサーバは、したがって、ノード間で呼出をルーティングするためにユーザエージェントがIPv4タイプのものであるか、IPv6タイプのものであるか、またはDSタイプのものであるかを判断することが不要になる。
【0026】
本発明の第1態様によれば、この種のデータ送信方法は、前記ユーザエージェントが登録メッセージをロケーションサーバに送信するステップをさらに具備し、前記登録メッセージは前記ユーザエージェントの前記偽アドレスおよび前記ソースアドレスと、前記アドレスのうちの1つに関する第1優先順位レベルインジケータとを具備している。
【0027】
したがって、(登録サーバまたは「レジストラ」とも呼ばれる)ロケーションサーバへの登録の予備的段階の間、ユーザエージェントは、そのアドレス(偽およびソース)の両方を通信して、それら2つのアドレスのうちのどちらに優先順位が与えられるかを示す。
【0028】
SIPの特定の実施例では、ユーザエージェントは、ユーザエージェントが2つのアドレス各々に関して2つの「接続」ヘッダを、または両方のアドレスを有する単一の「接続」ヘッダを挿入する「レジスタ」メッセージを送信する。以下で記載するように、優先順位は、RFC 3261で特定されるパラメータ「q」を使用して示される。
【0029】
さらに、この種の方法は、次いで、前記ユーザエージェントの識別子を参照して、前記偽アドレスおよび前記ソースアドレスと、前記関連する優先順位レベルとを記憶するステップをさらに具備している。
【0030】
したがって、ロケーションサーバは、その中に登録されたユーザエージェント各々の偽アドレスおよびソースアドレス、ならびに、場合によっては、その他の有用な情報をグループ化するデータベースを維持する。したがって、ロケーションサーバは、要求に応じて、2つの異なるIP環境間の境界に位置し、アドレス変換(下を参照)を担う、プロキシサーバまたはネットワークの中間ノードなど、この情報を必要とする装置にこの情報を送信することが可能である。
【0031】
好ましい特徴によれば、前記第1優先順位レベルインジケータは、前記遠隔ノードとの通信をセットアップすることに関与するプロキシサーバが接続されたIP環境に対応する前記ユーザエージェントの前記偽アドレスまたは前記ソースアドレスにより高い優先順位レベルを割り当てる。
【0032】
優先順位を有するとしてマークされるユーザエージェントのアドレスは、したがって、プロキシサーバのアドレスと同じIPタイプのものであり、したがって、プロキシサーバがIPタイプを理解することが可能であることは確実である。この優先順位アドレスは、次いで、呼出ルーティングのために使用される。これは、呼出の失敗を引き起こす、プロキシサーバが呼出ルーティングのために使用されるアドレスを理解できないことを防ぐ。
【0033】
本発明の第2態様によれば、前記提示ステップは、前記遠隔ノードとの通信に入るための要請のメッセージ内、および/または前記遠隔ノードによって送信された、通信に入るための要請のメッセージに対する応答メッセージ内で、前記ユーザエージェントによって実行される。
【0034】
処理のうちのいくつかをノードと端末とに転送することによって、これは、特にプロキシサーバによってネットワークコア内で実行されるタスクを軽減する。ユーザエージェントは、それらの偽アドレスおよびソースアドレスを送信されるメッセージ内に挿入する役割を担う。したがって、プロキシサーバが発呼または被呼のユーザエージェントのタイプを判断するが不要になる。
【0035】
さらに、サービスプラットフォームの観点から、これはすべての端末ノードの動作を均質化する。SIPの特定の例で、かつプロキシサーバの観点から、単一バージョンであろうと複数バージョンであろうと、すべてのノードは同じようにサービスを使用する。
【0036】
最後に、ユーザエージェントによるこのアドレス提示は、実行の際に特に柔軟性のあるものであることを記載する。ユーザエージェントが同じタイプのいくつかのソースアドレス(例えば、いくつかのIPv6アドレス)を有する場合、呼出を開始する際に、割り当てられた偽アドレスに加えて、これらのソースアドレスのうちの1つだけを示すことを自ら選択することが可能である。
【0037】
本発明の1つの変形例では、前記提示ステップは、前記ユーザエージェントによって送信された前記遠隔ノードとの通信に入るための要請のメッセージ内、および/または前記遠隔ノードによって送信された、通信に入るための要請のメッセージに対する応答メッセージ内で、前記ユーザエージェントと前記遠隔ノードとの間で通信をセットアップすることに関与するプロキシサーバによって実行される。
【0038】
この変形例は、これまでの実施構成を補完し、ノードのうちの1つが失敗または異常のイベントにおいて、プロキシサーバ内で実行される制御プロセスを構成する。したがって、プロキシサーバが、受信したメッセージはユーザエージェントの偽アドレスおよびソースアドレスを含まないと判断した場合、自らそれらのアドレスをどのように判断するかを知っているため、またはユーザエージェントが登録されるロケーションサーバからそれらのアドレスを要求した後に、自らにそれらのアドレスを挿入する。
【0039】
提示は、ユーザエージェントによってではなくプロキシサーバによって系統的に実施されることが可能であるとして、これまでの実施構成にこの変形例を代用することも想定される。しかし、この手法は本明細書の以下で図面を参照して記載しない。
【0040】
前記要請メッセージおよび前記応答メッセージは、前記アドレスのうちの1つの第2優先順位レベルインジケータを具備し、前記ユーザエージェントの前記ソースアドレスにより高い優先順位レベルが割り当てられることを可能にする。
【0041】
このソースアドレスは、メディアストリームのためにトランスポート層内で実際に使用されなければならない。
【0042】
本発明の方法は、前記ユーザエージェントによって前記遠隔ノードに送信されたメッセージの少なくとも1つの宛先アドレスが偽アドレスである場合、前記宛先アドレスを変換し、前記偽アドレスを関連するソースアドレスに変換するステップも具備している。
【0043】
かかる変換は、2つのIP環境間の境界に位置し、それらの2つの環境間のリレーとして機能する、ネットワークの中間ノード内で実施されうる。例えば、IPv4およびIPv6が「バブルする(bubbles)」場合、この中間ノードは、IPv6パケットをIPv4パケットに変換し、逆も同様である。これは、通信に入る2つのノードが(その場合、当該環境は異種とも呼ばれる)2つの異なるIP環境に接続される場合、特に有用であることを証明する。簡単なアドレス変換は、ALGアプリケーションを使用することが必要であることなく、ルーティングトラフィックをもたらす。
【0044】
本発明はまた、ネットワークの複数のノード間で交換されるメッセージを送信する信号に関し、1つのノードは、ソース環境と呼ばれる少なくとも1つのIP環境に接続されている。本発明によれば、この種の信号は、
・前記ノードのうちの1つの中のユーザエージェントに関連する前記ソース環境内の少なくとも1つのソースアドレスを有するフィールドと、
・前記ソース環境以外のIP環境内の前記ユーザエージェントに割り当てられた少なくとも1つの偽アドレスを有するフィールドとを具備している。
【0045】
本発明はさらに、ネットワークの複数のノード間でデータを送信するためのシステムに関し、1つのノードは、ソース環境と呼ばれる少なくとも1つのIP環境に接続されている。本発明によれば、このシステムは、
・前記ノードのうちの1つの中のユーザエージェントに前記ソース環境以外のIP環境内の少なくとも1つの偽アドレスを割り当てるための手段と、
・遠隔ノードとの通信をセットアップする場合、少なくとも前記偽アドレスと、前記ソース環境内の前記ユーザエージェントのソースアドレスとを提示するための手段とを具備している。
【0046】
本発明はさらに、コンピュータプログラムに関し、これらのコンピュータプログラムは、プログラムがプロセッサによって実行される場合に、上記のデータ送信方法のステップを実施するためのコード命令を有している。各プログラムは、ユーザエージェント内、プロキシサーバ内、またはネットワーク内で分散された、もしくは2つの異なるIP環境間の境界に位置する中間ノードIN内に含まれた中間リソースの要素内で実行される方法の各ステップに関する。
【0047】
最後に本発明は、ソース環境と呼ばれるIP環境に接続され、少なくとも1つのユーザエージェントを有するデータ送信ネットワークのノードに関し、
・前記ソース環境以外のIP環境内の前記ユーザエージェントに割り当てられた偽アドレスを記憶するための手段と、
・前記ネットワークの少なくとも1つの遠隔ノードとの通信をセットアップする場合、少なくとも前記偽アドレスと、前記ソース環境内の前記ユーザエージェントのソースアドレスとを提示するための手段と
を具備するという点で注目に値する。
【0048】
本発明の信号、システム、ノード、およびコンピュータプログラムは、上で記載された方法と同じ利点を有する。
【0049】
本発明のその他の利点および特徴は、例示的かつ非限定的な例としてのみ提示される、本発明の1つの特定の実施形態の以下の記載を読む時により明瞭に明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
図1aおよび図1bは、先行技術に関して上述した、異なる種類のIPネットワークに接続された2つのユーザエージェントAおよびBの間で通信セッションをセットアップできない1つの例を示す図である。
【0051】
図2aは、本発明の方法が応用されうる様々なネットワーク構成を示す図である。
【0052】
図2bは、本発明の方法の主なステップを示すフローチャートである。
【0053】
図2cは、図2aのフローチャートからの登録ステップをより詳細に示す図である。
【0054】
図3は、ユーザエージェントNAが接続されたIPv4ネットワークと、ユーザエージェントNBが接続されたIPv6ネットワークとを具備する、本発明が応用されうるネットワークの例を示す図である。
【0055】
図4は、本発明のノードのブロック図である。
【0056】
前記異なるIP環境を有する通信ネットワークという状況に関して、本発明の一般原理は、ユーザエージェントが接続されたIP環境以外のIP環境内のユーザエージェントに偽アドレスを割り当てることに依存する。この偽アドレスは、次いで、ネットワークのもう1つのノードに呼出をセットアップする場合に交換されるメッセージ内のユーザエージェントのソースアドレスを用いて提示される。
【0057】
本明細書の以下を通して参照される、前記タイプIPv4、IPv6、またはDSの異種ノード間でSIP通信セッションをセットアップすることに対応する1つの特定の実施形態では、本発明の原理は、したがって、属性ANATの使用を単一バージョンのクライアント、すなわち、純粋なIPv4クライアントまたは純粋なIPv6クライアントに一般化するものである。
【0058】
本発明の技術が応用されうる(図面でケース1からケース6と示される)様々なネットワーク構成が、まず中間ノードINによって接続されるIPv4環境およびIPv6環境に関連する図2aの参照とともに記載する。以下の表記法が図2aで使用される。
・Rは(「レジストラ」とも呼ばれる)ロケーションサーバである。
・PSはプロキシサーバである。
・数字4は、当該装置がIPv4ネットワークに接続されていることを示している。
・数字6は、当該装置がIPv6ネットワークに接続されていることを示している。
・文字DSは、当該装置がデュアルスタックタイプであることを示している。
【0059】
したがって、例えば、「R4」は、IPv4ロケーションサーバを指定し、「PSDS」は、デュアルスタックプロキシサーバを指定し、すなわちIPv4環境およびIPv6環境に同時に接続されるものとして示される。
【0060】
特に、
・ケース1は、各IPv4環境またはIPv6環境が、各ロケーションサーバR4,R6と、各プロキシサーバPS4,PS6とを有する状況に対応している。
・ケース2は、IPv6環境がロケーションサーバまたはプロキシサーバを含まないが、デュアルスタックロケーションサーバRDSとデュアルスタックプロキシサーバPSDSとを有する状況に対応している。
・ケース3では、各IPv4環境およびIPv6環境は、ロケーションサーバR4,R6とプロキシサーバPS4,PS6とを具備し、デュアルスタックロケーションサーバRDSおよびデュアルスタックプロキシサーバPSDSも提供されている。
・ケース4では、IPv4ネットワークだけがロケーションサーバR4とプロキシサーバPS4とを具備している。
・ケース5は、ケース4のデュアルバージョンである。
・ケース6は、ケース2のデュアルバージョンである。
【0061】
本明細書の以下を通して、特定の状況は、前記ケース4のものであり、サービスプラットフォームを構成するすべての要素(すなわち、ロケーションサーバおよびプロキシサーバ)がIPv4ネットワークに接続されている。
【0062】
この構成は、既存のネットワーク内で配備されたサービス内の動作レベルで最も一般に遭遇する構成である。当業者にとって、本発明はこの特定の構成に限定されず、図2aで示されるすべてのその他の状況(ケース1−3、5、6)に該当することは自明である。
【0063】
この構成は、図3でより詳細に示されるように、SIPノードNAと、プロキシサーバPSと、ロケーションサーバRとは、中間ノードINによって、SIPノードNBが接続されるIPv6ネットワークに接続されたIPv4ネットワークに接続されている。
【0064】
本発明の方法は、既存の要素に以下の変更を行う。
・IPv6偽アドレスは、SIPサービスプラットフォーム、すなわち、プロキシサーバPSとロケーションサーバRを構成する各要素に割り当てられる。これらの各アドレスは、IPv6環境内の対応するサービス要素を表す。この場合、それらの要素はIPv4だけであるため、トランスポートレベルでIPv6アドレスを管理しない。それにもかかわらず、それらの要素は、アプリケーションレベルで、すなわち、SIPスタックレベル、IPv6アドレスを復号および理解することが可能である。
・各IPv4 SIPノード(この場合、NA)にはIPv6偽アドレスが割り当てられ、各IPv6 SIPノード(この場合、NB)にはIPv4偽アドレスが割り当てられる。しかし、これは、SIPノードNA,NBをデュアルスタッククライアントに変えない。本発明の方法では、これらの偽アドレスはSIPサービスによってだけ使用される。これらの偽アドレスは、対応するクライアントのトランスポート層によって使用されない。
【0065】
@v4=f(@v6)および@v6=g(@v4)のように関数f( )と関数g( )とが存在するため、アドレスの割り当ては制約され、@v4および@v6は、それぞれ、IPv4アドレスおよびIPv6アドレスである。これらの関数の定義は、サービスを実施する場合にオペレータに委ねられ、例えば、マップされたIPv4アドレスまたは互換性のあるIPv4アドレスを記述することが可能であり、これらの2つの形式はIPv6基準で記載されている。
【0066】
マップされたIPv4アドレスは、形式:FFFF:a.b.c.dの形で表現されたIPv6アドレスであり、a.b.c.dはIPv4アドレスである。互換性のあるIPv4アドレスは、形式a.b.c.dの形で表現されたIPv6アドレスであり、a.b.c.dはIPv4アドレスである。
【0067】
関数fおよびgは、ルーティング関数への影響を制限するために慎重に選択されなければならない。
【0068】
本発明の方法のもう1つの制約は、ルーティング計画の中でこれまで識別されたアドレスをアナウンスする必要から生じる。IPv6 SIPノードに割り当てられたIPv4偽アドレスはIPv4環境内でアナウンスされることが可能であり、逆も同様である。さらに、ロケーションサーバおよびプロキシサーバなど、サービス要素に割り当てられたIPv6偽アドレスは、IPv6環境内でアナウンスされなければならない。
【0069】
以下の説明を円滑にするために、本発明を実施するために機能的に要求されるすべての要素は、IPv4環境とIPv6環境との間の境界で表される中間ノードIN内に存在することを以下で仮定する。しかし、これは表現目的の簡素化であり、中間ノードINによって処理されるすべての機能、処理、動作は、ネットワークオペレータによってセットアップされたサービスの実施に従って、ネットワーク内で等しく首尾よく分散されうる。
【0070】
前記中間ノードINは、一般に、IPv4環境とIPv6環境との間のリレーとして機能する。例えば、中間ノードINは、レジストラサーバおよびプロキシサーバからIPv6アドレスに進むIPv6クライアントからすべてのトラフィックを受信する。中間ノードINは、次いで、上述した関数f( )とg( )とを使用して、IPv6パケットをIPv4パケットに変換する。これらの関数を直接的に知っている場合、この変換は中間ノードINによって実施されうる。中間ノードINは、これらの関数またはこれらの関数の結果を知っているロケーションサーバRに要求を送信することも可能である。
【0071】
上述の記載で、本発明の方法は、各々が、それぞれ、第1IPタイプ(例えば、IPv4タイプ)および(IPv6タイプなどの)第2IPタイプのIPソース環境に属する、SIPノードNA,NBの間の通信を可能にすることを明らかにし、前述のソースIP環境は互いに異質である。
【0072】
前記ノードNAは、第1IP(例えば、IPv4)環境内にA@v4と示されるIPアドレスを有し、ノードNBは、SIPノードNAのソースアドレスA@v4のタイプに対して異質のタイプの、B@v6と示される、IPソースアドレスを有するIP環境の第2タイプ(例えば、IPv6タイプ)に属する。
【0073】
前記遠隔ノードNBとの通信セッションをセットアップする前にロケーションサーバにSIPノードNAを登録する段階は、図2cの参照とともに以下で記載する。
【0074】
登録の間、本発明の方法を実施する、それぞれ、任意のIPv4およびIPv6のSIP端末は、その独自使用のためにサービスによって割り当てられたその2つのアドレス(それぞれ、IPv4ソースアドレスおよびIPv6実アドレスならびに、それぞれ、IPv6およびIPv4の偽アドレス)を有さなければならない。このために、クライアントは、例えば、各アドレスに対して1つずつ、2つの「接続」ヘッダを、またはIPv4およびIPv6のアドレスの両方を有する単一の「接続」ヘッダを挿入する「レジスタ」方法を使用する。
【0075】
本明細書で記載する状況(ケース4)では、SIPサービスの要素が、IPv4環境内に常駐すると仮定される。結果として、IPv4クライアントまたはIPv6クライアントの性質にかかわらず、IPv4アドレスは、通常、好ましくは登録メッセージ内に、優先順位を有するとしてマークされる。このマーキングは、RFC 3162によって定義され、下の表T1に提示される、「接続」フィールドのABNF記述内のパラメータ「q」を使用して、SIP要求の「接続」フィールド内で実施される。
【0076】
【表1】

【0077】
IPv4ユーザエージェントUAを登録する実施例(図2c)
前記SIPノードNAが、そのソースアドレスA@v4=171.5.25.2であるIPv4ユーザエージェントUAであり、本発明の方法によって割り当てられたIPv6登録アドレスがA@v6=ipv6Aであると仮定すると、以下のSIPメッセージが登録の間に交換される。
【0078】
ステップ20の間、前記ノードNAは、表T2に示されるように、登録メッセージ「レジスタ」を登録サーバRのアドレスR@v4に送信する。
【0079】
【表2】

【0080】
ステップ21の間、前記登録サーバRは、表T3に示されるように、「200 OK」メッセージを用いてノードNAのアドレスA@v4に応答する。
【0081】
【表3】

【0082】
IPv6ユーザエージェントUAを登録する実施例
前記SIPノードNBは、そのソースアドレスがB@v6=2001:688:1ffb:ff80::2であるIPv6ユーザエージェントUAであり、SIPサービスオペレータによって割り当てられたIPv4偽アドレスがB@v4=ipv4Bであると仮定すると、以下のSIPメッセージが登録の間に交換される。
【0083】
(1)前記ノードNBは、表T4に示されるように、登録メッセージ「レジスタ」を登録サーバRに送信する。
【0084】
【表4】

【0085】
(2)前記登録サーバRは、表T5に示されるように、「200 OK」メッセージを用いてノードNBに応答する。
【0086】
【表5】

【0087】
前記IPv6 SIPノードに対してかつ登録メッセージ「レジスタ」に対して、中間ノードは純粋なIPv4-IPv6リレーと考えられる点に留意されたい。これは、ネットワーク内の送信サービスに接続したいかなる処理も回避する。中間ノードINの負担を軽減するために、IPv6 SIPノードはロケーションサーバRの「ハードな(hard)」IPv6アドレスを使用せず、代わりに、その完全なドメイン名(完全修飾ドメイン名(FQDN))を使用することが好ましい。
【0088】
前記2つの異種SIPノード、すなわち、異なるタイプのIPネットワークに接続された2つのノードの間で通信をセットアップするために実行される本発明の方法のステップは、図2bの参照とともに記載する。
【0089】
本発明の方法では、前記ステップAの間、各ノードおよび各要素(例えば、ノードNA、ノードNB)には、当該SIPノードまたは当該要素が属するソースIP環境に対して異質のIP環境内の偽IPアドレスが割り当てられる。したがって、偽アドレスは、当該ノードまたは当該要素のソースIP環境に対して異質のIPタイプのものである。偽アドレスを割り当てるこのステップAは、オペレータ主導で実施される。それは、ノードまたは要素の構成の間、ネットワークへのその接続の間、または動的に(例えば、セキュリティ理由で、多少頻繁に関数fおよびgを変更することによって)実施されうる。
【0090】
図2b内の前記ステップAが示すように、以下が利用可能である。
・前記ノードNAのソースアドレスA@v4と、それに割り当てられた偽アドレスA@v6と。
・前記ノードNBのソースアドレスB@v6と、それに割り当てられた偽アドレスB@v4と。
【0091】
前記ステップAの後に、ソースアドレスと偽アドレスとを有する通信に入るための要請を発呼ノードNAから被呼ノードNBに送信することによって、発呼ノードと呼ばれる、ノードNAまたはNB(例えば、図2bのノードNA)からもう1つのSIPノード(この場合、ノードNB)に対して呼出手順を開始するステップBが続く。
【0092】
呼出メッセージとも呼ばれるこの要請メッセージは、以下で記載するように、ノードINを経由して送信されることは明らかである
【0093】
前記被呼ノードNBによる呼出メッセージの受信時に、被呼ノードNBは被呼ノードNBのソースアドレスB@v6と偽アドレスB@v4とを有する呼出受入れメッセージを発呼ノードNAに送信する。
【0094】
図2bのステップBで、被呼メッセージが前記被呼ノードNB用であり、発呼ノードNAの偽アドレスおよびソースアドレスを有することを示すために、被呼メッセージはM(B、A@v4、A@v6) と示される。
【0095】
同様に、ステップCで、呼出受入れメッセージが前記発呼ノードNA用であり、被呼ノードNBの偽アドレスおよびソースアドレスを有することを示すために、呼出受入れメッセージはOK(A、B@v6、B@v4)と任意に示される。
【0096】
次いで、ステップCの後に、前記発呼ノードNAと被呼ノードNBの間の接続をセットアップするステップDが続く。これは、それぞれ、第1および第2IPタイプのソースIP環境の両方の中のアドレスの変換を確実にするために、ソースアドレスおよび偽アドレスを推移通信(transitive correspondence)に加えることによって中間ノードIN内で実施される。
【0097】
このため、図2aのステップDで、接続手順はA@v4 (A@v6:B@v6)B@v4と示される。
【0098】
したがって、前記接続は、被呼SIPノードのアドレスB@v4だけを考慮に入れる、発呼ノードのソースIP環境プロトコルのもとで実施されることが明らかであり、一方、最終的な分析では、その呼出受入れメッセージを送信するために、被呼ノードNBは、IP環境の第2タイプ(IPv6)内の発呼ノードNAの表現アドレスA@v6だけを使用する。
【0099】
前記ネットワークのすべてのSIPノードへの属性ANATの使用の一般化に依存する本発明の1つの特定の実施形態では、遠隔ノードを呼び出すために、それぞれ、任意のIPv4およびIPv6のSIPノードは、したがって、その2つのアドレス、すなわち、それぞれ、そのIPv4ソースアドレスおよびIPv6実アドレスと、独自の使用のために送信サービスによって割り当てられた、それぞれ、そのIPv6およびIPv4の偽アドレスとを示すためにSIPメッセージの属性ANATを処理しなければならない。
【0100】
呼出の間、前記SIPノードは、SDP部分内で属性ANATを使用する「要請」方法を使用しなければならない。本発明は、ANATフィールド内でアナウンスされたアドレスの優先順位を特定するために「中間」フィールドを使用する。このパラメータは、SDPメッセージ内に列挙されたアドレスに関する優先を示し、増大するアドレス順序で符号化されることが好ましい。それぞれ、そのIPv4およびIPv6のソースアドレスと、SIP送信サーバによって供給された、それぞれ、IPv6およびIPv4の偽アドレスとを有する、それぞれ、IPv4およびIPv6のSIPノードは、通常、「中間」フィールドの値を、それぞれ、IPv4およびIPv6のソースアドレスに関して1に設定し、それぞれ、IPv6およびIPv4の表示アドレスに関して2を設定する。
【0101】
前記「中間」フィールドは、デュアルスタック(DS)SIPノードを用いた交換の場合に使用される。これは、例えば、表T6内でSDP部分だけが表されるSIPノードNAに関して例示される。
【0102】
【表6】

【0103】
前記被呼SIPノードNBがこの「要請」メッセージを受信して、その呼出を受け入れる場合、それは、「200 OK」応答メッセージを送り返す。本発明の方法を実施する任意のクライアントは、「中間」フィールド内にその2つのアドレスとそれらのコーディングとを与える2つのANAT属性もその「200 OK」メッセージに同様に挿入しなければならない。例えば、SIPノードNBは、SDP部分だけを示す表T7内で表されるメッセージを用いて「要請」メッセージに応答する。
【0104】
【表7】

【0105】
このため、前記2つのSIPノードNA,NBの各々は、その対応物のIPv4アドレスおよびIPv6アドレスの両方を有する。呼出をセットアップするために、すなわち、RTPストリームの送信を可能にするために、各SIPノードは、当該SIPノードが配置されるIP環境に対応するIPのバージョンだけを使用する。これは、クライアントが純粋なIPv4タイプまたは純粋なIPv6タイプである場合に当てはまる。具体的には、これが関係する任意のクライアントは、そのソースアドレスと、そのタイプが、当該クライアントが「中間」フィールドをサービスの一貫性を確実にする最低値に設定した、アドレスタイプに対応する遠隔クライアントのアドレスとを系統的に使用する。
【0106】
したがって、それぞれ、前記IPv4およびIPv6のノードは、その対応物の、それぞれ、IPv4およびIPv6の偽アドレスにRTPトラフィックを送信する。同じIP環境を有する2つのSIPノードがトラフィックを交換していると仮定すると、データのルーティングと送信とは直接的に実施されるため、この方法は呼出処理のすべての側面を最適化する。本発明の方法は、基本的なデータ送信モデルを歪めず、中間物(intermediaries)の使用が必要でない場合、中間物の使用を課さない。
【0107】
2つの前記SIPノードが効果的に異種(純粋なIPv4端末および純粋なIPv6 SIP端末)である場合、RTPトラフィックは、単にIPv4-IPv6リレーとして機能する中間ノードINに単に経路指定される。ALGアプリケーションは不要であり、相互動作サービスはプロキシサーバにとって透過的である。
【0108】
前記中間ノードIN(または、ネットワーク内で分散され、本発明の機能を実施する場合、対応するリソース)は、関数fおよびgを実施し、かつ当該関数を知っており、所与のネットワークプレフィックス(network prefix)と、いくつかのSIPオペレータドメイン、したがって、いくつかのf/g関数をカバーするために関数が配備される場合に使用されることになる機能の間の通信も知っている。対照的に、経路決定面での注入は、IPv4中間ノードIN内およびIPv6中間ノードIN内で実施される。
【0109】
デュアルスタック(DS)クライアント
・本発明の方法は、異種クライアント間の相互動作を拡張するために、前記IPv4およびIPv6のSIPノードに対して属性ANATの使用を一般化する。しかし、前述の方法の目的は、すべてのタイプのSIPノード間の相互動作を可能にすることであり、デュアルスタックSIPノードをプロセス内に統合することは当然有効である。
【0110】
完全に透過的な相互動作を確実にするために、以下を検証する必要がある。
・前記デュアルスタックSIPノードは、「中間」フィールドの必須の使用が加えられる、RFC 4091およびRFC 4092で記載された属性ANATを実施および使用する。
・仮定(図2aのケース4)により、前記SIPサービスの要素(ロケーションサーバおよびプロキシサーバ)は、IPv4環境内に配置されている。結果として、デュアルスタックSIPノードは、登録サーバおよび/またはプロキシサーバに接続するためにそれらのIPv4アドレスおよびIPv4トランスポートだけを使用しなければならない。IPv6環境サービスの逆の仮定のもとでは、DSノードはそれらのIPv6アドレスを使用しなければならない。
・それらに利用可能なアドレス間で事前に好みを有さない、前記デュアルスタックSIPノードは、以下の方法で、フィールドANAT内で属性「中間」を使用する。
・呼出のソースで、前記デュアルスタックSIPノードは、「要請」メッセージ内の属性「中間」に値を割り当てなくてよく、またはそのIPv4アドレスおよびIPv6アドレスに関して等しい値を設定しなくてもよい。
・着信呼出を受け入れる前記デュアルスタックSIPノードは、以下のように設定された「中間」フィールドの値を用いて「200 OK」応答メッセージを送信する。
・前記「中間」フィールドの値が、受信された「要請」メッセージ内で異なる値に設定された場合、発呼者は、したがって、純粋なIPv4 SIPまたは純粋なIPv6 SIPのノードであり、デュアルスタックSIPノードは、同じ優先順位を用いてその「200 OK」応答をフォーマットするために、この値に適合する。
・前記「中間」フィールドの値が設定されなかった場合、または受信された「要請」メッセージ内の同一の値に設定された場合、被呼デュアルスタックSIPノードは、当該被呼デュアルスタックSIPノードが送信する「200 OK」応答メッセージ内で「中間」フィールドの値を設定する選択を行う。この選択がどのように行われるかは本発明の一部ではなく、したがって、随意に実施されうる。
・系統的に送信された前記「要請」メッセージに応答して「200 OK」応答メッセージを受信する当該デュアルスタックSIPノードは、「200 OK」応答メッセージ内で受信された「中間」の値に自らを適合させる。
【0111】
制御プロセス
・例えば、誤った端末の一時的な交換の場合、前記いくつかのSIPノードが上に提示された規則に従わないことが発生する可能性がある。
【0112】
前記属性ANATは、その場合、対応するSIPノードのユーザエージェントによって符号化されない。この状況で機能障害を軽減するために、この種のエラーを監視および防止するために最適化措置が講じられうる。
【0113】
前記最適化措置は、プロキシサーバ内の検査を有効に実行するものでありうる。
・前記フィールドANATが存在する場合、プロキシサーバはフィールドANATを変更しない。
・前記プロキシサーバは宣言sdp-anatを加え、対応するフィードをIPv4ソースアドレスと、発呼SIPノードに対応する表現IPv6アドレスとに設定する。プロキシサーバは、登録サーバにクエリを送信することによってこれらのアドレスを回復することが可能である、または、プロキシサーバが関数f( )およびg( )を知っている場合、これらのアドレスに直接アクセスすることが可能である。
・前記プロキシサーバは、SIPノードのIPバージョンに従って「中間」フィールドも符号化しなければならない。それぞれ、IPv4およびIPv6のSIPノードに関して、プロキシサーバは、それぞれ、IPv4およびIPv6のソースアドレスに優先順位を与える。
【0114】
最後に、図4は、本発明のSIPノードのブロック図である。前記この種のSIPノードは、すでに知られている手段に加えて、例えば、マイクロプロセッサを備えた中央装置Pと、メモリM(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))と、ソフトウェアモジュールPgとを具備している。初期化時に、ソフトウェアPgの命令は、例えば、中央装置Pのマイクロプロセッサによって実行されるようにメモリMからロードされる。
【0115】
前記この種のSIPノードは、ノードが接続されるIP環境内(例えば、IPv4)にソースアドレスを有する、1つまたは複数のユーザエージェントUAを具備している。このソースアドレスは、メモリM内に記憶される。ネットワークオペレータはまた、IPv6環境内のユーザエージェントにも偽アドレス30を割り当てる。この偽アドレスもメモリM内に記憶される。
【0116】
前記ソフトウェアモジュールPgの命令時に、例えば、ロケーションサーバに登録メッセージを送る時に、またはネットワークの遠隔ノードとの通信をセットアップするという状況に関して交換されたメッセージを送信する時に、中央装置Pは当該ユーザエージェントの偽アドレスおよびソースアドレスの提示31を実行する。中央装置はさらに、これらのメッセージ内に対応する優先順位インジケータも設定する。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1a】先行技術に関して、異なる種類のIPネットワークに接続された2つのユーザエージェントAおよびBの間で通信セッションをセットアップできない1つの例を示す図である。
【図1b】先行技術に関して、異なる種類のIPネットワークに接続された2つのユーザエージェントAおよびBの間で通信セッションをセットアップできない1つの例を示す図である。
【図2a】本発明の方法が応用されうる様々なネットワーク構成を示す図である。
【図2b】本発明の方法の主なステップを示すフローチャートである。
【図2c】図2aのフローチャートからの登録ステップをより詳細に示す図である。
【図3】ユーザエージェントNAが接続されたIPv4ネットワークと、ユーザエージェントNBが接続されたIPv6ネットワークとを具備する、本発明が応用されうるネットワークの例を示す図である。
【図4】本発明のノードのブロック図である。
【符号の説明】
【0118】
A 第1ユーザエージェント
B 第2ユーザエージェント
IN 中間ノード
M メモリ
NA SIPノード、ユーザエージェント
NB SIPノード、ユーザエージェント
P 中央装置
Pg ソフトウェアモジュール、ソフトウェア
PS,PS4,PS6 プロキシサーバ
PSDS デュアルスタックプロキシサーバ
R レジストラ
R4,R6 ロケーションサーバ
RDS デュアルスタックロケーションサーバ
30 偽アドレス
31 提示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークの少なくとも2つのノード間でデータを送信する方法において、
前記ノードは、ソース環境と呼ばれる少なくとも1つのIP環境に接続されており、
前記ノードのうちの1つの中に含まれた少なくとも1つのユーザエージェントに前記ソース環境以外のIP環境内の偽アドレスを割り当てるステップと、
少なくとも1つの遠隔ノードとの通信をセットアップする場合、少なくとも前記偽アドレスと、前記ソース環境内の前記ユーザエージェントのソースアドレスとを提示するステップと
を具備することを特徴とするデータ送信方法。
【請求項2】
前記ユーザエージェントが登録メッセージをロケーションサーバに送信するステップをさらに具備し、
前記登録メッセージは、前記ユーザエージェントの少なくとも前記偽アドレスおよび前記ソースアドレスと、前記アドレスの1つに対する少なくとも1つの第1順位レベルインジケータとをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項3】
前記ユーザエージェントの識別子を参照して、少なくとも前記偽アドレスおよび前記ソースアドレスと、前記関連する優先順位レベルとを記憶するステップをさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の送信方法。
【請求項4】
前記第1優先順位レベルインジケータは、前記遠隔ノードとの前記通信をセットアップすることに関与するプロキシサーバが接続されたIP環境に対応する前記ユーザエージェントの前記偽アドレスまたは前記ソースアドレスに、より高い優先順位レベルを割り当てることを特徴とする、請求項2または請求項3のいずれか1項に記載の送信方法。
【請求項5】
前記提示するステップは、前記遠隔ノードとの通信に入るための少なくとも1つの要請メッセージ内、および/または前記遠隔ノードによって送信された、通信に入るための要請のメッセージに対する少なくとも1つの応答メッセージ内で、前記ユーザエージェントによって実行されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の送信方法。
【請求項6】
前記提示するステップは、前記ユーザエージェントによって送信された、前記遠隔ノードとの通信に入るための少なくとも1つの要請メッセージ内、および/または前記遠隔ノードによって送信された、通信に入るための要請メッセージに対する少なくとも1つの応答メッセージ内で、前記ユーザエージェントと前記遠隔ノードとの間で前記通信をセットアップするのに関与するプロキシサーバによって実行されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の送信方法。
【請求項7】
前記要請メッセージおよび前記応答メッセージは、前記1つのアドレスの少なくとも1つの第2優先順位レベルインジケータをさらに具備し、
前記ユーザエージェントの前記ソースアドレスに、より高い優先順位レベルが割り当てられるようにすることを特徴とする請求項5または請求項6のいずれか1項に記載の送信方法。
【請求項8】
前記ユーザエージェントによって前記遠隔ノードに送信されたメッセージの少なくとも1つの宛先アドレスが偽アドレスである場合、前記宛先アドレスを変換し、前記偽アドレスを関連するソースアドレスに変換するステップをさらに具備することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の送信方法。
【請求項9】
ネットワークの少なくとも2つのノード間で交換されるメッセージを送信するための信号において、
前記ノードは、ソース環境と呼ばれる少なくとも1つのIP環境に接続されており、
前記ノードのうちの1つの中のユーザエージェントに関連する前記ソース環境内の少なくとも1つのソースアドレスを有するフィールドと、
前記ソース環境以外のIP環境内の前記ユーザエージェントに割り当てられた少なくとも1つの偽アドレスを有するフィールドと
を具備することを特徴とする信号。
【請求項10】
ネットワークの少なくとも2つのノード間でデータを送信するためのシステムにおいて、
前記ノードは、ソース環境と呼ばれる少なくとも1つのIP環境に接続されており、
前記ノードのうちの1つの中の少なくとも1つのユーザエージェントに前記ソース環境以外のIP環境内の偽アドレスを割り当てるための手段と、
少なくとも1つの遠隔ノードとの通信をセットアップする場合、少なくとも前記偽アドレスと、前記ソース環境内の前記ユーザエージェントのソースアドレスとを提示するための手段と
を具備することを特徴とするシステム。
【請求項11】
プロセッサによってコンピュータプログラムを実行する場合に、請求項1から8のいずれか1項に記載のデータ送信方法のステップを実行するためのコード命令を有するコンピュータプログラム。
【請求項12】
ソース環境と呼ばれ、少なくとも1つのユーザエージェントを有するIP環境に、接続されたデータ送信ネットワークのノードにおいて、
前記ソース環境以外のIP環境内の前記ユーザエージェントに割り当てられた少なくとも1つの偽アドレスを記憶するための手段と、
前記ネットワークの少なくとも1つの遠隔ノードとの通信をセットアップする場合、少なくとも前記偽アドレスと、前記ソース環境内の前記ユーザエージェントのソースアドレスとを提示するための手段と
を具備することを特徴とするノード。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−528741(P2009−528741A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556826(P2008−556826)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/FR2007/050806
【国際公開番号】WO2007/099247
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(591034154)フランス テレコム (290)
【Fターム(参考)】