偽変造防止媒体、その製造方法、真偽判定方法、真偽判定装置
【課題】低コストで良好な偽変造防止効果を有する有価証券などの偽変造防止媒体を提供する。
【解決手段】保湿剤を適用し、紙繊維1,1’が持っている水酸基(OH基)2と水酸基2’との間に水分子3が介在して、紙繊維1,1’間の水素結合を阻害せしめ、紙繊維1,1’間の水素結合を弱めることにより偽変造防止用パターンを形成し、この偽変造防止用パターンを、真偽判定装置で読み取り、判定用パターンと照合して、真偽判定を行う。
【解決手段】保湿剤を適用し、紙繊維1,1’が持っている水酸基(OH基)2と水酸基2’との間に水分子3が介在して、紙繊維1,1’間の水素結合を阻害せしめ、紙繊維1,1’間の水素結合を弱めることにより偽変造防止用パターンを形成し、この偽変造防止用パターンを、真偽判定装置で読み取り、判定用パターンと照合して、真偽判定を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
紙を主体とする媒体、特に有価証券などの偽変造防止耐性が必要な媒体として使用可能な、偽変造防止媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙を主体とする有価証券には、偽変造防止耐性を高めるため各種偽変造防止アイテムが搭載されている。印刷で特徴を有するアイテムでは、微小な文字で形成されたマイクロ文字、印刷情報に見えないように情報を埋め込む電子透かしなどがある。材料で特徴を有するアイテムでは、紫外線、赤外線を照射することで発現する蛍光材料、特定の波長帯域で透過、または、不透過の特徴と有する材料による情報の付与などがある。これら偽変造防止アイテムは、媒体の上に形成されるものであり、紙自体の入れ替えを伴う場合、偽変造行行為に対する有効な手段にはならない。
【0003】
紙自体の入れ替えを伴う場合に有効な技術には、紙の製造工程で蛍光繊維、磁気繊維を混ぜ込む方法や、紙の厚薄により情報を付与する透かしなどの方法があるが、製造工程が煩雑であったり、付与情報を任意に変更できないなどの問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、良好な偽変造防止効果を有する偽変造防止媒体を低コストで簡単に得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の偽変造防止媒体は、偽変造防止媒体に形成された偽変造防止用パターンを真偽判定装置で読み取り、判定用パターンと照合することにより、真偽判定が可能な偽変造防止媒体であって、
紙基材と、該紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、
該偽変造防止用パターンは、該紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められていることを特徴とする。
【0006】
本発明の偽変造防止媒体の製造方法湿潤された紙基材に、パターン状に保湿剤を適用し、乾燥することにより、前記紙繊維間の水素結合を阻害せしめ、前記紙繊維間の水素結合をパターン状に弱めることにより、偽変造防止用パターンを形成することを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の真偽判定方法は、紙基材と、該紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、該偽変造防止用パターンは、該紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められている偽変造防止媒体を、真偽判定装置に導入し、該偽変造防止用パターンを読み取り、判定用パターンと照合することにより、真偽を判定することを特徴とする。
【0008】
本発明の真偽判定装置は、紙基材と、該紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、該偽変造防止用パターンは、該紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められている偽変造防止媒体を搬送する搬送部、
該搬送部上に設けられた、偽変造防止用パターン読み取り部、
該偽変造防止用パターン読み取り部からの情報に基づいて、判定パターンとの照合を行い、真偽判定を行う判定部、及び
前記搬送部、前記偽変造防止用パターン読み取り部、及び前記判定部を制御する制御部を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
良好な偽変造防止効果を有する偽変造防止媒体を低コストで簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】繊維間の水素結合が弱められている様子を概念的に表すモデル図である。
【図2】紙繊維間に水素結合がある様子を概念的に表すモデル図である。
【図3】本発明の偽変造防止媒体の一例を表す正面図である。
【図4】図3のAの領域の表面SEM写真である。
【図5】図3のBの領域の表面SEM写真である。
【図6】本発明の偽変造防止媒体の他の一例を表す正面図である。
【図7】本発明の偽変造防止媒体のさらに他の一例を表す正面図である。
【図8】本発明に用いられる真偽判定装置の一例を表す概略図である。
【図9】図8のブロック図である。
【図10】偽変造防止用パターンの大きさと超音波の媒体に対する射影面積との関係を表す図である。
【図11】超音波の角度と透過率との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る偽変造防止媒体は、紙基材と、紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、偽変造防止用パターンは、紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められている。この偽変造防止用パターンは、真偽判定装置で読み取り、判定用パターンと照合して、真偽判定を行うために使用される。
【0012】
また、本発明に係る偽変造防止媒体の製造方法は、湿潤された紙基材に、パターン状に保湿剤を適用し、乾燥することにより、偽変造防止用パターンを形成することを含み、ここでは保湿剤の適用により、紙繊維間の水素結合を阻害せしめ、前記紙繊維間の水素結合をパターン状に弱めることにより偽変造防止用パターンを形成することができる。
【0013】
本発明によれば、紙の繊維間の水素結合の状態を変化させることにより、水素結合の状態の違いを用いて、紙自体に偽変造防止用の情報を付与することが可能となる。付与方法は保湿剤のように水素結合を阻害する物質の塗布などにより行うことできるため、付与情報を任意に変更できると共に、製造工程を煩雑にせず、既存の方法にて作成できるため安価に実現できる。
【0014】
ゆえに、低コストで、紙自体の入替えによる偽造に対応できるセキュリティアイテムが実現できる。
【0015】
保湿剤のような水素結合を阻害する物質の塗布は、例えば保湿剤に紙基材の一部を浸漬する方法、インクジェット印刷技術を用いてインクの代わりに保湿剤を適用する方法などにより行われる。
【0016】
本発明に用いられる湿潤された紙基材としては、例えば製紙された紙を湿潤させたもの、あるいは、抄紙後、乾燥前の湿潤された紙等を使用することが出来る。
【0017】
ここで、紙の製造工程について簡単に説明する。まず原料となる木材などの繊維原料から、機械的、化学的、または、その両方を使って、紙に必要な繊維を生成するパルプ化が行われ、パルプ化により取り出された繊維は漂白の後、水などの溶液中で繊維同士をばらばらにして繊維混濁液を作る離解、叩解(こうかい)などを行う調整工程、脱水、プレス、乾燥などにより紙の形状に成型する抄紙(しょうし)工程、紙の表面、強度特徴の改善を行う加工工程、最後に必要な大きさに切るなどの仕上げ工程を経て、紙として完成される。
【0018】
以下、図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
【0019】
図1に、偽変造防止用パターンにおいて、紙繊維間の水素結合が弱められている様子を概念的に表すモデル図を示す。
【0020】
また、図2は、偽変造防止用パターンの周囲では、紙繊維間に水素結合がある様子を概念的に表すモデル図を示す。
【0021】
上記紙の製造工程の抄紙の乾燥前が図1、抄紙の乾燥後が図2に相当する。
【0022】
乾燥前の状態の紙10’では、紙繊維1,1’が持っている水酸基(OH基)2と水酸基2’との間に水分子3が介在して、紙繊維1,1’間の水素結合が弱められている。水分子3は水酸基2,2’に弱い力で結合している。しかしながら、乾燥後の紙10では、乾燥により、介在している水分子3が蒸発すると紙繊維1,1’間の水酸基2,2’の水素が直接結合して、水素結合を形成する。紙の繊維1,1’が絡まった状態で、かつ、各接点で水素結合を形成するため、紙10全体としての強度が上がる。
【0023】
本発明では、偽変造防止のために付与する情報として、上記水素結合の状態変化を所望のパターンに形成し、偽変造防止用パターンとすることができる。
【0024】
図3は、本発明の偽変造防止媒体の一例を表す正面図を示す。
【0025】
図示するように、70×150mm程度の和紙の半分の領域Bに保湿剤を塗布して加工を施しており、この加工がない部分に比して、水素結合が弱い状態となっている。
【0026】
水素結合が弱い状態を作るためには、乾燥状態となったときに水素結合を阻害する保湿剤のような材料を付与することができる。
【0027】
図3に示す例では、保湿剤として、エステル化合物の水溶液(エチレングリコールモノラウリレートの15重量%溶液)に図3のBの部分を5分浸し、自然乾燥させた。乾燥させた後、紙に発生するしわはアイロンをかけることにより除去することで、図3のAの水素結合が通常の部分と、図3のBの水素結合が弱い部分の目視確認での判別は不可能な状態となった。
【0028】
繊維の結合を確認するためSEMにて、A、Bの表面を観察した。
【0029】
その結果を図4、図5に示す。
【0030】
図4は、図3のAの領域の表面SEM写真を示す。
【0031】
図5は、図3のBの領域の表面SEM写真を表す。
【0032】
図4及び図5から、Bの方が繊維がはっきりとした状態で観察され、繊維間の水素結合が弱まっていると予測される。
【0033】
このように、領域Bは、図1の状態よりは水分子が蒸発しているけれども、図2の状態とは明らかに異なり、水酸基間にある程度の水分子が保持されていると考えられる。
【0034】
繊維間の水素結合が弱まって、繊維間に空隙が生じていることを確認するためには、例えば紙サンプルを超音波素子の発信器、受信器で挟み、紙サンプルに超音波をあてて減衰を測定することにより、A、Bの差として確認することができる。
【0035】
上記の例に示すように、水素結合の状態変化を任意に作成することが可能である。
【0036】
また、本発明の真偽判定方法は、本発明に係る変造防止媒体を、真偽判定装置に導入し、偽変造防止用パターンを読み取り、判定用パターンと照合することにより、真偽を判定する。
【0037】
さらにまた、本発明の真偽判定装置は、本発明に係る変造防止媒体を搬送する搬送部、
搬送部上に設けられた、偽変造防止用パターン読み取り部、
偽変造防止用パターン読み取り部からの情報に基づいて、判定パターンとの照合を行い、真偽判定を行う判定部、及び
搬送部、偽変造防止用パターン読み取り部、及び判定部を制御する制御部を具備する。
【0038】
本発明を用いると、紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められた偽変造防止用パターンを、容易に読み取り、判定用パターンと照合することができるので、真偽判定が簡単である。
【0039】
偽変造防止用パターン読み取り部として、例えば上述のような超音波発信機、及び超音波受信機の組合せを使用することができる。また、判別用パターンの別の検出方法として、通気度を利用することが出来る。通気度とは、単位時間当たりに通過できる気体の量の指標である。水素結合の強弱により繊維間の空隙が変化し、結果、通気度が変化する。水素結合が強い状態では通気度は低く、弱い状態では通気度は高い。パターン埋め込み媒体を透気度を測定値として2次元にスキャンし、通気度の高低から埋め込まれたパターンを確認することが出来る。
【0040】
本発明に置いて情報の付与に使用可能な保湿剤として、例えば以下のようなエステル化合物を用いることが出来る。例えば、エチレングリコールモノラウリレート、エチレングリコールジラウリレート、エチレングリコールモノパルミテート、エチレングリコールジパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンモノラウリレート、グリセリンジラウリレート、グリセリントリラウリレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールジステアレート、プロピレングリコールモノミリスチレート、プロピレングリコールジミリスチレート、ペンタエリスリトールモノラウリレート、ペンタエリスリトールジラウリレート、ペンタエリスリトールトリラウリレート、ペンタエリスリトールテトララウリレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタンテトラパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンテトラステアレートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
図6に、本発明の偽変造防止媒体の他の一例を表す正面図を示す。
【0042】
また、図7に、本発明の偽変造防止媒体のさらに他の一例を表す正面図を示す。
【0043】
溶液の塗布、インクジェットなど制御された情報の付与では、意図したコード情報を任意に付与することが可能となるため、図6のようにバーコード状、図7のように文字状に情報を付与することも出来る。尚、図中、Aは保湿剤による加工をしていない領域、Bは保湿剤による加工をした領域を示す。
【0044】
本発明に用いられる偽変造防止用パターンは、超音波を当てて、その透過量を計測することにより読み取ることができる。
【0045】
本発明に用いられる真偽判定装置の一例を表す概略図を図8に示す。
【0046】
また、図8のブロック図を図9に示す。
【0047】
図示するように、この真偽判定装置30は、媒体10の搬送路を挟んで一方に設けられた、超音波発信素子19及び超音波発信素子19に接続された発信側増幅器20を含む超音波発信部11と、超音波発信素子19に対向して設けられた超音波受信素子17及び超音波受信素子17に接続された発信側増幅器18を含む超音波受信部12とを備えた偽変造防止用パターン読み取り部13を有し、超音波発信素子19及び超音波受信素子17間の所望の位置に、媒体10が搬送されるように媒体移動機構14が設けられている。ここでは、超音波発信素子19から超音波受信素子17に向けて発信される超音波は、媒体10の面内方向に対し垂直な方向から適用されるのではなく、この垂直な方向から角度θだけ傾いた方向から超音波が当てられる。
【0048】
超音波発信部11と、超音波受信部12と、媒体搬送機構14は、制御部16に接続されており、制御部にはさらに判定部15が接続されている。
【0049】
信号制御部を含む制御装置16で生成された信号は発信側増幅器18により増幅され、発信側超音波素子19に入力される。入力された信号は発信側超音波素子19により機械的振動に変換され、結果超音波として出射される。超音波は空気中を伝播し、対向して配置された受信側超音波素17に到達する。到達した信号は受信側超音波素子17により機械的振動から電気信号に変換される。変換された信号は受信側増幅器18で増幅され、信号確認部を含む制御装置16に入力される。信号確認部では、信号の強弱を確認することで、水素結合の状態を検知する。
【0050】
判定部15では、偽変造防止用パターン読み取り部13からの情報に基づいて、判定パターンとの照合を行い、真偽判定を行う。
【0051】
上記操作を媒体を移動させ、連続で行うことで媒体の2次元的な水素結合状態を把握する。
【0052】
なお、2次元状態を取得するためには、媒体、または、超音波素子を相対的に動かせばよい。また、超音波素子を2次元に並べてしまうという方法もある。
【0053】
ここで、超音波発信素子にかけられる周波数帯域は、好ましくは、300kHz以上例えば300kHz、400kHz、及び1MHzなどである。
【0054】
より好ましくは400kHz程度である。
【0055】
また、角度θは、好ましくは35°以上例えば35°〜60°までの範囲を使用することが出来る。
【0056】
偽変造防止用パターンの大きさは、超音波の媒体に対する射影面積が、偽変造防止用パターンの埋め込み面積よりも大きいことが望ましい。
【0057】
図10に、偽変造防止用パターンの大きさと超音波の媒体に対する射影面積との関係を表す図を示す。
【0058】
図示するように、超音波発信素子19の面積をSとしたとき、媒体10における投射面積PはP=S/cosθ(0≦θ≦90°)で表される。
【0059】
埋め込み面積をCとすると、C<Pであることが特に好ましい。
【0060】
しかしながら、P≦Cであっても、0.5*P≦C≦1.0*P程度であれば、測定可能である。
【0061】
実施例 1
エチレングリコールモノラウリレートの5重量%水溶液に、30秒の条件で浸して加工した媒体に対し、角度θ(°)を変えながら、周波数400kHzで超音波を発信させてその超音波透過率(%)を測定した。得られた結果を図11に示す。
【0062】
図中、102は、加工無しの媒体、103は、加工した媒体の結果を示す。
【0063】
図11の横軸は、図10の媒体法線に対する超音波センサの照射角度、縦軸は超音波の透過率を示す。加工なし媒体、加工あり媒体ともに、照射角度が大きくなるに従い超音波の透過量が大きくなる。照射角度30度を超えると、加工なし媒体、加工あり媒体の透過率に差が現れ、加工なし媒体に比して、加工あり媒体の透過率は半分程度となった。この結果を用いることにより、加工あり、加工なしを見分けることが出来た。
【符号の説明】
【0064】
1…紙繊維、2…水酸基、3…水分子、10…偽変造防止媒体、11…超音波発信部、12…超音波受信部、13…偽変造防止用パターン読み取り部、14…媒体移動機構、15…判定部、16…制御装置、17…超音波受信素子、19…超音波発信素子、30…真偽判定装置
【技術分野】
【0001】
紙を主体とする媒体、特に有価証券などの偽変造防止耐性が必要な媒体として使用可能な、偽変造防止媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙を主体とする有価証券には、偽変造防止耐性を高めるため各種偽変造防止アイテムが搭載されている。印刷で特徴を有するアイテムでは、微小な文字で形成されたマイクロ文字、印刷情報に見えないように情報を埋め込む電子透かしなどがある。材料で特徴を有するアイテムでは、紫外線、赤外線を照射することで発現する蛍光材料、特定の波長帯域で透過、または、不透過の特徴と有する材料による情報の付与などがある。これら偽変造防止アイテムは、媒体の上に形成されるものであり、紙自体の入れ替えを伴う場合、偽変造行行為に対する有効な手段にはならない。
【0003】
紙自体の入れ替えを伴う場合に有効な技術には、紙の製造工程で蛍光繊維、磁気繊維を混ぜ込む方法や、紙の厚薄により情報を付与する透かしなどの方法があるが、製造工程が煩雑であったり、付与情報を任意に変更できないなどの問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、良好な偽変造防止効果を有する偽変造防止媒体を低コストで簡単に得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の偽変造防止媒体は、偽変造防止媒体に形成された偽変造防止用パターンを真偽判定装置で読み取り、判定用パターンと照合することにより、真偽判定が可能な偽変造防止媒体であって、
紙基材と、該紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、
該偽変造防止用パターンは、該紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められていることを特徴とする。
【0006】
本発明の偽変造防止媒体の製造方法湿潤された紙基材に、パターン状に保湿剤を適用し、乾燥することにより、前記紙繊維間の水素結合を阻害せしめ、前記紙繊維間の水素結合をパターン状に弱めることにより、偽変造防止用パターンを形成することを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の真偽判定方法は、紙基材と、該紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、該偽変造防止用パターンは、該紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められている偽変造防止媒体を、真偽判定装置に導入し、該偽変造防止用パターンを読み取り、判定用パターンと照合することにより、真偽を判定することを特徴とする。
【0008】
本発明の真偽判定装置は、紙基材と、該紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、該偽変造防止用パターンは、該紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められている偽変造防止媒体を搬送する搬送部、
該搬送部上に設けられた、偽変造防止用パターン読み取り部、
該偽変造防止用パターン読み取り部からの情報に基づいて、判定パターンとの照合を行い、真偽判定を行う判定部、及び
前記搬送部、前記偽変造防止用パターン読み取り部、及び前記判定部を制御する制御部を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
良好な偽変造防止効果を有する偽変造防止媒体を低コストで簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】繊維間の水素結合が弱められている様子を概念的に表すモデル図である。
【図2】紙繊維間に水素結合がある様子を概念的に表すモデル図である。
【図3】本発明の偽変造防止媒体の一例を表す正面図である。
【図4】図3のAの領域の表面SEM写真である。
【図5】図3のBの領域の表面SEM写真である。
【図6】本発明の偽変造防止媒体の他の一例を表す正面図である。
【図7】本発明の偽変造防止媒体のさらに他の一例を表す正面図である。
【図8】本発明に用いられる真偽判定装置の一例を表す概略図である。
【図9】図8のブロック図である。
【図10】偽変造防止用パターンの大きさと超音波の媒体に対する射影面積との関係を表す図である。
【図11】超音波の角度と透過率との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る偽変造防止媒体は、紙基材と、紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、偽変造防止用パターンは、紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められている。この偽変造防止用パターンは、真偽判定装置で読み取り、判定用パターンと照合して、真偽判定を行うために使用される。
【0012】
また、本発明に係る偽変造防止媒体の製造方法は、湿潤された紙基材に、パターン状に保湿剤を適用し、乾燥することにより、偽変造防止用パターンを形成することを含み、ここでは保湿剤の適用により、紙繊維間の水素結合を阻害せしめ、前記紙繊維間の水素結合をパターン状に弱めることにより偽変造防止用パターンを形成することができる。
【0013】
本発明によれば、紙の繊維間の水素結合の状態を変化させることにより、水素結合の状態の違いを用いて、紙自体に偽変造防止用の情報を付与することが可能となる。付与方法は保湿剤のように水素結合を阻害する物質の塗布などにより行うことできるため、付与情報を任意に変更できると共に、製造工程を煩雑にせず、既存の方法にて作成できるため安価に実現できる。
【0014】
ゆえに、低コストで、紙自体の入替えによる偽造に対応できるセキュリティアイテムが実現できる。
【0015】
保湿剤のような水素結合を阻害する物質の塗布は、例えば保湿剤に紙基材の一部を浸漬する方法、インクジェット印刷技術を用いてインクの代わりに保湿剤を適用する方法などにより行われる。
【0016】
本発明に用いられる湿潤された紙基材としては、例えば製紙された紙を湿潤させたもの、あるいは、抄紙後、乾燥前の湿潤された紙等を使用することが出来る。
【0017】
ここで、紙の製造工程について簡単に説明する。まず原料となる木材などの繊維原料から、機械的、化学的、または、その両方を使って、紙に必要な繊維を生成するパルプ化が行われ、パルプ化により取り出された繊維は漂白の後、水などの溶液中で繊維同士をばらばらにして繊維混濁液を作る離解、叩解(こうかい)などを行う調整工程、脱水、プレス、乾燥などにより紙の形状に成型する抄紙(しょうし)工程、紙の表面、強度特徴の改善を行う加工工程、最後に必要な大きさに切るなどの仕上げ工程を経て、紙として完成される。
【0018】
以下、図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
【0019】
図1に、偽変造防止用パターンにおいて、紙繊維間の水素結合が弱められている様子を概念的に表すモデル図を示す。
【0020】
また、図2は、偽変造防止用パターンの周囲では、紙繊維間に水素結合がある様子を概念的に表すモデル図を示す。
【0021】
上記紙の製造工程の抄紙の乾燥前が図1、抄紙の乾燥後が図2に相当する。
【0022】
乾燥前の状態の紙10’では、紙繊維1,1’が持っている水酸基(OH基)2と水酸基2’との間に水分子3が介在して、紙繊維1,1’間の水素結合が弱められている。水分子3は水酸基2,2’に弱い力で結合している。しかしながら、乾燥後の紙10では、乾燥により、介在している水分子3が蒸発すると紙繊維1,1’間の水酸基2,2’の水素が直接結合して、水素結合を形成する。紙の繊維1,1’が絡まった状態で、かつ、各接点で水素結合を形成するため、紙10全体としての強度が上がる。
【0023】
本発明では、偽変造防止のために付与する情報として、上記水素結合の状態変化を所望のパターンに形成し、偽変造防止用パターンとすることができる。
【0024】
図3は、本発明の偽変造防止媒体の一例を表す正面図を示す。
【0025】
図示するように、70×150mm程度の和紙の半分の領域Bに保湿剤を塗布して加工を施しており、この加工がない部分に比して、水素結合が弱い状態となっている。
【0026】
水素結合が弱い状態を作るためには、乾燥状態となったときに水素結合を阻害する保湿剤のような材料を付与することができる。
【0027】
図3に示す例では、保湿剤として、エステル化合物の水溶液(エチレングリコールモノラウリレートの15重量%溶液)に図3のBの部分を5分浸し、自然乾燥させた。乾燥させた後、紙に発生するしわはアイロンをかけることにより除去することで、図3のAの水素結合が通常の部分と、図3のBの水素結合が弱い部分の目視確認での判別は不可能な状態となった。
【0028】
繊維の結合を確認するためSEMにて、A、Bの表面を観察した。
【0029】
その結果を図4、図5に示す。
【0030】
図4は、図3のAの領域の表面SEM写真を示す。
【0031】
図5は、図3のBの領域の表面SEM写真を表す。
【0032】
図4及び図5から、Bの方が繊維がはっきりとした状態で観察され、繊維間の水素結合が弱まっていると予測される。
【0033】
このように、領域Bは、図1の状態よりは水分子が蒸発しているけれども、図2の状態とは明らかに異なり、水酸基間にある程度の水分子が保持されていると考えられる。
【0034】
繊維間の水素結合が弱まって、繊維間に空隙が生じていることを確認するためには、例えば紙サンプルを超音波素子の発信器、受信器で挟み、紙サンプルに超音波をあてて減衰を測定することにより、A、Bの差として確認することができる。
【0035】
上記の例に示すように、水素結合の状態変化を任意に作成することが可能である。
【0036】
また、本発明の真偽判定方法は、本発明に係る変造防止媒体を、真偽判定装置に導入し、偽変造防止用パターンを読み取り、判定用パターンと照合することにより、真偽を判定する。
【0037】
さらにまた、本発明の真偽判定装置は、本発明に係る変造防止媒体を搬送する搬送部、
搬送部上に設けられた、偽変造防止用パターン読み取り部、
偽変造防止用パターン読み取り部からの情報に基づいて、判定パターンとの照合を行い、真偽判定を行う判定部、及び
搬送部、偽変造防止用パターン読み取り部、及び判定部を制御する制御部を具備する。
【0038】
本発明を用いると、紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められた偽変造防止用パターンを、容易に読み取り、判定用パターンと照合することができるので、真偽判定が簡単である。
【0039】
偽変造防止用パターン読み取り部として、例えば上述のような超音波発信機、及び超音波受信機の組合せを使用することができる。また、判別用パターンの別の検出方法として、通気度を利用することが出来る。通気度とは、単位時間当たりに通過できる気体の量の指標である。水素結合の強弱により繊維間の空隙が変化し、結果、通気度が変化する。水素結合が強い状態では通気度は低く、弱い状態では通気度は高い。パターン埋め込み媒体を透気度を測定値として2次元にスキャンし、通気度の高低から埋め込まれたパターンを確認することが出来る。
【0040】
本発明に置いて情報の付与に使用可能な保湿剤として、例えば以下のようなエステル化合物を用いることが出来る。例えば、エチレングリコールモノラウリレート、エチレングリコールジラウリレート、エチレングリコールモノパルミテート、エチレングリコールジパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンモノラウリレート、グリセリンジラウリレート、グリセリントリラウリレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールジステアレート、プロピレングリコールモノミリスチレート、プロピレングリコールジミリスチレート、ペンタエリスリトールモノラウリレート、ペンタエリスリトールジラウリレート、ペンタエリスリトールトリラウリレート、ペンタエリスリトールテトララウリレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタンテトラパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンテトラステアレートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
図6に、本発明の偽変造防止媒体の他の一例を表す正面図を示す。
【0042】
また、図7に、本発明の偽変造防止媒体のさらに他の一例を表す正面図を示す。
【0043】
溶液の塗布、インクジェットなど制御された情報の付与では、意図したコード情報を任意に付与することが可能となるため、図6のようにバーコード状、図7のように文字状に情報を付与することも出来る。尚、図中、Aは保湿剤による加工をしていない領域、Bは保湿剤による加工をした領域を示す。
【0044】
本発明に用いられる偽変造防止用パターンは、超音波を当てて、その透過量を計測することにより読み取ることができる。
【0045】
本発明に用いられる真偽判定装置の一例を表す概略図を図8に示す。
【0046】
また、図8のブロック図を図9に示す。
【0047】
図示するように、この真偽判定装置30は、媒体10の搬送路を挟んで一方に設けられた、超音波発信素子19及び超音波発信素子19に接続された発信側増幅器20を含む超音波発信部11と、超音波発信素子19に対向して設けられた超音波受信素子17及び超音波受信素子17に接続された発信側増幅器18を含む超音波受信部12とを備えた偽変造防止用パターン読み取り部13を有し、超音波発信素子19及び超音波受信素子17間の所望の位置に、媒体10が搬送されるように媒体移動機構14が設けられている。ここでは、超音波発信素子19から超音波受信素子17に向けて発信される超音波は、媒体10の面内方向に対し垂直な方向から適用されるのではなく、この垂直な方向から角度θだけ傾いた方向から超音波が当てられる。
【0048】
超音波発信部11と、超音波受信部12と、媒体搬送機構14は、制御部16に接続されており、制御部にはさらに判定部15が接続されている。
【0049】
信号制御部を含む制御装置16で生成された信号は発信側増幅器18により増幅され、発信側超音波素子19に入力される。入力された信号は発信側超音波素子19により機械的振動に変換され、結果超音波として出射される。超音波は空気中を伝播し、対向して配置された受信側超音波素17に到達する。到達した信号は受信側超音波素子17により機械的振動から電気信号に変換される。変換された信号は受信側増幅器18で増幅され、信号確認部を含む制御装置16に入力される。信号確認部では、信号の強弱を確認することで、水素結合の状態を検知する。
【0050】
判定部15では、偽変造防止用パターン読み取り部13からの情報に基づいて、判定パターンとの照合を行い、真偽判定を行う。
【0051】
上記操作を媒体を移動させ、連続で行うことで媒体の2次元的な水素結合状態を把握する。
【0052】
なお、2次元状態を取得するためには、媒体、または、超音波素子を相対的に動かせばよい。また、超音波素子を2次元に並べてしまうという方法もある。
【0053】
ここで、超音波発信素子にかけられる周波数帯域は、好ましくは、300kHz以上例えば300kHz、400kHz、及び1MHzなどである。
【0054】
より好ましくは400kHz程度である。
【0055】
また、角度θは、好ましくは35°以上例えば35°〜60°までの範囲を使用することが出来る。
【0056】
偽変造防止用パターンの大きさは、超音波の媒体に対する射影面積が、偽変造防止用パターンの埋め込み面積よりも大きいことが望ましい。
【0057】
図10に、偽変造防止用パターンの大きさと超音波の媒体に対する射影面積との関係を表す図を示す。
【0058】
図示するように、超音波発信素子19の面積をSとしたとき、媒体10における投射面積PはP=S/cosθ(0≦θ≦90°)で表される。
【0059】
埋め込み面積をCとすると、C<Pであることが特に好ましい。
【0060】
しかしながら、P≦Cであっても、0.5*P≦C≦1.0*P程度であれば、測定可能である。
【0061】
実施例 1
エチレングリコールモノラウリレートの5重量%水溶液に、30秒の条件で浸して加工した媒体に対し、角度θ(°)を変えながら、周波数400kHzで超音波を発信させてその超音波透過率(%)を測定した。得られた結果を図11に示す。
【0062】
図中、102は、加工無しの媒体、103は、加工した媒体の結果を示す。
【0063】
図11の横軸は、図10の媒体法線に対する超音波センサの照射角度、縦軸は超音波の透過率を示す。加工なし媒体、加工あり媒体ともに、照射角度が大きくなるに従い超音波の透過量が大きくなる。照射角度30度を超えると、加工なし媒体、加工あり媒体の透過率に差が現れ、加工なし媒体に比して、加工あり媒体の透過率は半分程度となった。この結果を用いることにより、加工あり、加工なしを見分けることが出来た。
【符号の説明】
【0064】
1…紙繊維、2…水酸基、3…水分子、10…偽変造防止媒体、11…超音波発信部、12…超音波受信部、13…偽変造防止用パターン読み取り部、14…媒体移動機構、15…判定部、16…制御装置、17…超音波受信素子、19…超音波発信素子、30…真偽判定装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偽変造防止媒体に形成された偽変造防止用パターンを真偽判定装置で読み取り、判定用パターンと照合することにより、真偽判定が可能な偽変造防止媒体であって、
紙基材と、該紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、
該偽変造防止用パターンは、該紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められていることを特徴とする偽変造防止媒体。
【請求項2】
湿潤された紙基材に、パターン状に保湿剤を適用し、乾燥することにより、前記紙繊維間の水素結合を阻害せしめ、前記紙繊維間の水素結合をパターン状に弱めることにより、偽変造防止用パターンを形成することを含むことを特徴とする変造防止媒体の製造方法。
【請求項3】
前記保湿剤は、エチレングリコールモノラウリレート、エチレングリコールジラウリレート、エチレングリコールモノパルミテート、エチレングリコールジパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンモノラウリレート、グリセリンジラウリレート、グリセリントリラウリレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールジステアレート、プロピレングリコールモノミリスチレート、プロピレングリコールジミリスチレート、ペンタエリスリトールモノラウリレート、ペンタエリスリトールジラウリレート、ペンタエリスリトールトリラウリレート、ペンタエリスリトールテトララウリレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタンテトラパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、及びソルビタンテトラステアレートからなる群から選択される請求項2に記載の方法
【請求項4】
紙基材と、該紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、該偽変造防止用パターンは、該紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められている偽変造防止媒体を、真偽判定装置に導入し、該偽変造防止用パターンを読み取り、判定用パターンと照合することにより、真偽を判定することを特徴とする真偽判定方法。
【請求項5】
前記偽変造防止用パターンは、超音波を当てて、その透過量を計測し、その透過率の違いから読み取ることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
紙基材と、該紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、該偽変造防止用パターンは、該紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められている偽変造防止媒体を搬送する搬送部、
該搬送部上に設けられた、偽変造防止用パターン読み取り部、
該偽変造防止用パターン読み取り部からの情報に基づいて、判定パターンとの照合を行い、真偽判定を行う判定部、及び
前記搬送部、前記偽変造防止用パターン読み取り部、及び前記判定部を制御する制御部を具備することを特徴とする真偽判定装置。
【請求項7】
前記偽変造防止用パターン読み取り部は、超音波発信部、及び超音波受信部を具備し、
該超音波発信部から前記偽変造防止用パターンに超音波を当てて、該超音波受信部により、透過した超音波を計測し、その透過率の違いから偽変造防止用パターンを読み取ることを特徴とする請求項6に記載の真偽判定装置。
【請求項1】
偽変造防止媒体に形成された偽変造防止用パターンを真偽判定装置で読み取り、判定用パターンと照合することにより、真偽判定が可能な偽変造防止媒体であって、
紙基材と、該紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、
該偽変造防止用パターンは、該紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められていることを特徴とする偽変造防止媒体。
【請求項2】
湿潤された紙基材に、パターン状に保湿剤を適用し、乾燥することにより、前記紙繊維間の水素結合を阻害せしめ、前記紙繊維間の水素結合をパターン状に弱めることにより、偽変造防止用パターンを形成することを含むことを特徴とする変造防止媒体の製造方法。
【請求項3】
前記保湿剤は、エチレングリコールモノラウリレート、エチレングリコールジラウリレート、エチレングリコールモノパルミテート、エチレングリコールジパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンモノラウリレート、グリセリンジラウリレート、グリセリントリラウリレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールジステアレート、プロピレングリコールモノミリスチレート、プロピレングリコールジミリスチレート、ペンタエリスリトールモノラウリレート、ペンタエリスリトールジラウリレート、ペンタエリスリトールトリラウリレート、ペンタエリスリトールテトララウリレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタンテトラパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、及びソルビタンテトラステアレートからなる群から選択される請求項2に記載の方法
【請求項4】
紙基材と、該紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、該偽変造防止用パターンは、該紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められている偽変造防止媒体を、真偽判定装置に導入し、該偽変造防止用パターンを読み取り、判定用パターンと照合することにより、真偽を判定することを特徴とする真偽判定方法。
【請求項5】
前記偽変造防止用パターンは、超音波を当てて、その透過量を計測し、その透過率の違いから読み取ることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
紙基材と、該紙基材に設けられた偽変造防止用パターンとを含み、該偽変造防止用パターンは、該紙基材における紙繊維間の水素結合がパターン状に弱められている偽変造防止媒体を搬送する搬送部、
該搬送部上に設けられた、偽変造防止用パターン読み取り部、
該偽変造防止用パターン読み取り部からの情報に基づいて、判定パターンとの照合を行い、真偽判定を行う判定部、及び
前記搬送部、前記偽変造防止用パターン読み取り部、及び前記判定部を制御する制御部を具備することを特徴とする真偽判定装置。
【請求項7】
前記偽変造防止用パターン読み取り部は、超音波発信部、及び超音波受信部を具備し、
該超音波発信部から前記偽変造防止用パターンに超音波を当てて、該超音波受信部により、透過した超音波を計測し、その透過率の違いから偽変造防止用パターンを読み取ることを特徴とする請求項6に記載の真偽判定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−208300(P2011−208300A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75924(P2010−75924)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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