偽造防止表示用転写シートおよびそれを用いた偽造防止表示方法
【課題】高いセキュリティ効果を発揮するとともに耐久性を向上させ、各種の対象物に低コストで確実に偽造防止表示を行うことができる偽造防止表示用転写シートを提供する。
【解決手段】剥離除去用の基材シート2に対して易剥離層3を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルム4であり、上記角度依存フィルム4に対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層7と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層6とが形成され、上記角度依存フィルム4の角度依存層7および蛍光印刷層6が形成された側に転写接着剤層8が形成されている。
【解決手段】剥離除去用の基材シート2に対して易剥離層3を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルム4であり、上記角度依存フィルム4に対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層7と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層6とが形成され、上記角度依存フィルム4の角度依存層7および蛍光印刷層6が形成された側に転写接着剤層8が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば健康保険被保険者証、従業者証、社員証、会員証、学生証、キャッシュカード、有価証券、外国人登録証および各種免許証、ブランド品等の各種商品、等に対して偽造防止表示を行うことができる偽造防止表示用転写シートおよびそれを用いた偽造防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーコピー機の発達に伴って、本物と区別し難い精巧なコピーが可能になり、例えば証券、小切手、銀行券等の偽造が発生してきている。これらの偽造された印刷物は熟練した鑑定者や特殊な鑑定装置によれば容易に贋物と鑑定し得るが、有価証券等は種類も多くかつ広範囲に流通し、一般の人が取り扱う機会が多い。そのため、全ての有価証券等の真偽判別を熟練鑑定者や特殊鑑定装置に依存することは、実用的な手段ではなく、一般の人も容易且つ瞬時に判定し得ることが望まれている。
【0003】
そこで、視認性画像の一部を観察角度を変えることにより現出・消去しうる印刷物が提案されている(例えば、下記の特許文献1参照。)。上記印刷物は、視認性画像のうち一部を光輝性インキだけからなる画像とし、他の部分を色彩の観察角度依存性の小さいブラックインキと光輝性インキとからなる画像としたものである。この特許文献1の印刷物は、光輝性インキの反射効果を利用し、観察角度によって光輝性インキだけからなる部分が現出して見えたり消去したように見えたりすることから、特別な装置を必要とせず、熟練鑑定者でなくとも瞬時かつ容易に真偽判別できるようになっている。
【特許文献1】特開2000−37941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の印刷物では、光輝性インキの反射効果により、視認性画像のうち光輝性インキだけからなる一部が見る角度によって現出して見えたり消去したように見えたりするものであり、真偽判別のよりどころとなるのは、上記一部が現出して見えたり消去したように見えたりする点のみである。
【0005】
したがって、偽造品について、当該一部について、同じ技術でなくても似たような見え方をする印刷を行われてしまうと、当該偽造品を真正品と見間違えてしまうおそれが多分にあり、それほど高いセキュリティ効果を発揮し得ないのが実情である。また、当該一部は、基材上で剥き出し状態であるため、これらの画像が他の物と擦れ合うことで消えてしまったり汚損したりする可能性がある。しかも、上記特許文献1の技術は、基材に対して特殊インクで真偽判別するための画像を印刷することによるものであるため、印刷コストがかかり、多品種小ロット品に対しては大幅なコストアップとなるのが避けられない。そのうえ、当該特殊インクの印刷に適しない対象物にはセキュリティ効果を付与することができない。このような事情から、セキュリティ付与の対象が限定されているのが実情である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高いセキュリティ効果を発揮するとともに耐久性を向上させ、各種の対象物に対して低コストで確実に偽造防止表示を行うことができる偽造防止表示用転写シートおよびそれを用いた偽造防止方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とが形成され、上記角度依存フィルムの角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを要旨とする。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明の第2の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対し、易剥離層を介して見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とが形成され、上記角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを要旨とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明の第3の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層が形成され、上記角度依存フィルムの蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを要旨とする。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明の第4の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層が形成され、上記角度依存フィルムの角度依存層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを要旨とする。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明の第1の偽造防止表示方法は、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムを積層し、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とを形成し、上記角度依存フィルムの角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存フィルムと角度依存層と蛍光印刷層とを転写することを要旨とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明の第2の偽造防止表示方法は、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムを積層し、上記透明フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とを形成し、上記透明フィルムの角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存層と蛍光印刷層とを転写することを要旨とする。
【0013】
また、上記目的を達成するため、本発明の第3の偽造防止表示方法は、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明のホログラムフィルムを積層し、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層を形成し、上記角度依存フィルムの角度依存層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存フィルムと角度依存層を転写することを要旨とする。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明の第4の偽造防止表示方法は、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムを積層し、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層を形成し、上記角度依存フィルムの蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存フィルムと蛍光印刷層を転写することを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
すなわち、本発明の第1の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して角度依存フィルムが積層され、上記角度依存フィルムに対し、角度依存層と蛍光印刷層とが形成され、さらに転写接着剤層が形成されている。そして、第1の偽造防止表示方法は、上記偽造防止表示用転写シートを用い、偽造防止対象物に対して上記角度依存フィルムと角度依存層と蛍光印刷層とを転写することにより偽造防止表示を行う。
これにより、偽造防止対象物に対し、角度依存層と蛍光印刷層が接着され、さらにその上に角度依存フィルムが接着される。そして、上記角度依存フィルムは見る角度により視覚的効果が変化し、上記角度依存層は見る角度により反射光の色彩が変化し、さらに、蛍光印刷層は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物の真偽を確認する際には、角度依存フィルムが見る角度によって視覚効果が異なることを確認し、角度依存層が見る角度によって色彩が変化することを確認し、さらに、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存フィルムの存在、角度依存層の存在、蛍光印刷層の存在の3重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
しかも、角度依存層と蛍光印刷層が印刷等によって形成された角度依存フィルムの上記角度依存層と蛍光印刷層側が転写接着剤で偽造防止対象物に接着されるため、フィルムを剥がそうとすると角度依存層と蛍光印刷層が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
さらに、上記偽造防止表示は、上記角度依存層と蛍光印刷層が透明フィルムである角度依存フィルムで覆われることとなり、角度依存層と蛍光印刷層の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示は、既存の転写装置による転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【0016】
また、本発明の第2の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対し、易剥離層を介して角度依存層と蛍光印刷層とが形成され、さらに転写接着剤層が形成されている。そして、第2の偽造防止表示方法は、上記偽造防止表示用転写シートを用い、偽造防止対象物に対して上記透明フィルムと角度依存層と蛍光印刷層とを転写することにより偽造防止表示を行う。
これにより、偽造防止対象物に対し、角度依存層と蛍光印刷層が接着される。そして、上記角度依存層は見る角度により反射光の色彩が変化し、蛍光印刷層は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物の真偽を確認する際には、角度依存層が見る角度によって色彩が変化することを確認し、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存層の存在、蛍光印刷層の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
しかも、角度依存層と蛍光印刷層が転写接着剤で偽造防止対象物に接着されるため、角度依存層や蛍光印刷層を剥がそうとすると角度依存層と蛍光印刷層が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
さらに、上記偽造防止表示は、既存の転写装置による転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【0017】
また、本発明の第3の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して角度依存フィルムが積層され、上記角度依存フィルムに対し、角度依存層が形成され、さらに転写接着剤層が形成されている。そして、第3の偽造防止表示方法は、上記偽造防止表示用転写シートを用い、偽造防止対象物に対して上記角度依存フィルムと角度依存層とを転写することにより偽造防止表示を行う。
これにより、偽造防止対象物に対し、角度依存層が接着され、さらにその上に角度依存フィルムが接着される。そして、上記角度依存フィルムは見る角度により視覚的効果が変化し、上記角度依存層は見る角度により反射光の色彩が変化する。例えば、使用者は、偽造防止対象物の真偽を確認する際には、角度依存フィルムが見る角度によって視覚効果が異なることを確認し、角度依存層が見る角度によって色彩が変化することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存フィルムの存在、角度依存層の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
しかも、角度依存層が印刷等によって形成された角度依存フィルムの上記角度依存層側が転写接着剤で偽造防止対象物に接着されるため、フィルムを剥がそうとすると角度依存層が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
さらに、上記偽造防止表示は、上記角度依存層が透明フィルムである角度依存フィルムで覆われることとなり、角度依存層の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示は、既存の転写装置による転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【0018】
また、本発明の第4の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して角度依存フィルムが積層され、上記角度依存フィルムに対し、蛍光印刷層が形成され、さらに転写接着剤層が形成されている。そして、第4の偽造防止表示方法は、上記偽造防止表示用転写シートを用い、偽造防止対象物に対して上記角度依存フィルムと蛍光印刷層とを転写することにより偽造防止表示を行う。
これにより、偽造防止対象物に対し、蛍光印刷層が接着され、さらにその上に角度依存フィルムが接着される。そして、上記角度依存フィルムは見る角度により視覚的効果が変化し、蛍光印刷層は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物の真偽を確認する際には、角度依存フィルムが見る角度によって視覚効果が異なることを確認し、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存フィルムの存在、蛍光印刷層の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
しかも、蛍光印刷層が印刷等によって形成された角度依存フィルムの上記蛍光印刷層側が転写接着剤で偽造防止対象物に接着されるため、フィルムを剥がそうとすると蛍光印刷層が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
さらに、上記偽造防止表示は、上記蛍光印刷層が透明フィルムである角度依存フィルムで覆われることとなり、蛍光印刷層の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示は、既存の転写装置による転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【0019】
本発明において、上記角度依存層は、少なくとも上記蛍光印刷層による印刷領域の全体を覆うように形成され、透過する光を乱反射または干渉させることにより自然光の下で上記蛍光印刷層を隠蔽する場合には、上記角度依存層が自然光の下で上記蛍光印刷層を隠蔽するため、自然光の下で上記蛍光印刷層の存在を隠すことができて、上記蛍光印刷層を使用者に意識させないようにすることができる。また、上記角度依存層は、透過する光を乱反射または干渉させるため、使用者に対して印刷物にセキュリティ処理が施されていることを認識させるとともに、デザイン性にも優れたものとなる。
【0020】
本発明において、上記角度依存フィルムは、透過する光を乱反射または干渉させることにより自然光の下で上記蛍光印刷層を隠蔽する場合には、上記角度依存フィルムが自然光の下で上記蛍光印刷層を隠蔽するため、自然光の下で上記蛍光印刷層の存在を隠すことができて、上記蛍光印刷層を使用者に意識させないようにすることができる。また、上記角度依存フィルムは、透過する光を乱反射または干渉させるため、使用者に対して印刷物にセキュリティ処理が施されていることを認識させるとともに、デザイン性にも優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の第1実施例の偽造防止表示用転写シート1を示す。上記偽造防止表示用転写シート1は、剥離除去用の基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存フィルム4が積層され、上記角度依存フィルム4に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6とが形成され、さらに転写用の接着剤層8が形成されて構成されている。
【0023】
上記基材シート2は、後述する熱転写の際の加熱・加圧に耐えるある程度の耐熱性を有するPET樹脂等の樹脂シートが用いられる。また、熱転写の際の熱を接着剤層8に伝える必要があるため、厚みは30μm以下程度のものが好適に用いられる。
【0024】
上記角度依存フィルム4は、透明のホログラムフィルムを好適に用いることができる。この角度依存フィルム4は、透明のPETやPVCアクリル共重合の透明フィルムに対して金属蒸着層を形成することにより、光の反射が虹色に光り見る角度によって視覚的効果が変化するホログラム効果を有するフィルムである(例えば日本コーバン社製、ホログラムパターンフィルム等)。
【0025】
上記基材シート2および角度依存フィルム4のベースとなる材料としては、上述したものに限定するものではなく、各種のものを用いることができる。例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,塩化ビニル樹脂,塩化ビニリデン樹脂等からなる単層のプラスチックフィルムや、複数のプラスチックフィルムのラミネートフィルム等があげられる。これらの中でも、ポリエステル、特にPETは、透明性,強靭性,電気絶縁性,寸法安定性に優れているため、好適に用いることができる。
【0026】
上記基材シート2と角度依存フィルム4は、易剥離層3を介して積層されている。上記易剥離層3は、基材シート2を角度依存フィルム4から容易に剥離しうる構成のものであれば特に限定するものではない。例えば、基材シート2に対してコーティングされた剥離性樹脂層として形成することができ、例えばアクリル樹脂、メラミン樹脂、ビニル樹脂、塩化オレフィン樹脂等を単独もしくは混合しても良い。また、易剥離層3としては、基材シート2の表面に、剥離性をより高めるためにシリコンコーティングやPTFEコーティングを施す構成であってもよい。更に、基材シート2との剥離を容易にするものとして、例えば、植物ロウであるカルナバロウ,木ロウ,オウリキュリーロウ,エスバルロウ、動物ロウである蜜ロウ,昆虫ロウ,セラックロウ,鯨ロウ、石油ロウであるパラフィンワックス,マイクロクリスタルワックス,ポリエチレンワックス,エステルワックス,酸ワックス、鉱物ロウであるモンタンロウ,オゾケライト,セレシン等のワックス類を挙げることができる。
【0027】
上記蛍光印刷層6は、上記角度依存フィルム4に対し、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより所定の情報が印刷されたものである。
【0028】
上記蛍光インクとしては、ブラックライト(不可視光線)に代表されるような所定波長の紫外線や電磁波等の光線が照射されることにより蛍光を発する蛍光染料、蛍光顔料等を採用することができる。本実施例では、紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光顔料(ブラックライト顔料)を採用している。これにより、上記蛍光印刷層6によって印刷された所定の情報は、自然光の元では視覚的に認識できず、ブラックライト等の所定波長の光線を照射することにより視覚的に認識できるようになる。ここで、上記所定の情報とは、例えば、真正品であることを示す「True」の文字等である(図4参照)。
【0029】
上記角度依存層7は、蛍光印刷層6が印刷された角度依存フィルム4に対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成されたものである。
【0030】
上記角度依存性インクとしては、メタリック顔料やパール顔料等を採用することができるが、本実施例では、パール顔料を用いている。パール顔料としては、雲母に反射性(高虹彩反射)を与える金属酸化物として、可視域に透明で屈折性が2.0以上ある金属酸化物を被覆したもので、例えば、Sb2S3、Fe2O3、PbO、ZnSe、CdS、Bi2O3、TiO2、PbCl2、CeO2、Ta2O5、ZnS、ZnO、CdO、Nd2O3、Sb2O3、SiOおよびInO3の単層の被覆もしくは2層に被覆することにより形成される。
【0031】
雲母と金属酸化膜が組み合わされた時、その屈折率の差が0.4より大きいことから、入射した白色光の反射量が多く、また、同時に雲母と金属酸化膜の界面で副屈折を起こすことから、高虹彩反射性となり、変色効果をより効果的に助長する働きをする。この時、雲母を被覆する金属酸化膜の膜厚を制御することで任意の色調の高虹反射性を持ったパール顔料とすることができる膜厚は10〜10000オングストローム、望ましくは200〜2000オングストロームの範囲の膜厚が可視域に対して高虹彩反射性となるので望ましい。
【0032】
このようなパール顔料の市販のものとしては「Iriodin」(商品名、MERCK社製)等がある。「Iriodin」は、天然マイカの表面を酸化チタンおよび酸化鉄等の高屈折率の金属酸化物で被覆した安定した無機パール顔料であり、屈折率の高い酸化チタンの層と屈折率の低いマイカおよび周りの媒体との境界で反射した光が真珠光沢をもたらすものである。この「Iriodin」には、被覆された酸化チタンの膜厚を変えることによって虹彩色の特定な色を強調させることができ、このようなパール顔料は有色色料との混合物にビヒクル、添加剤を加えインキ化して用いる。
【0033】
上記パール顔料は、その他にゴールドタイプやシルバータイプであってもよい。
【0034】
このように、上記角度依存層7が角度依存性インクにより形成されていると、偽造防止表示11表面の色が見る角度によって変わるので、セキュリティ確認に有効である。また、上記角度依存層7に対する反射光の色が見る角度により変化するため、使用者にとってキラキラと輝いて見えるため、全体としてデザイン性を向上させることもできる。
【0035】
上記角度依存層7は、少なくとも上記蛍光印刷層6による印刷領域の全体を覆うように形成され、透過する光を乱反射または干渉させることにより自然光の下で上記蛍光印刷層6を隠蔽するようになっている。このようにすることにより、上記角度依存層7が自然光の下で上記蛍光印刷層6を隠蔽するため、自然光の下で上記蛍光印刷層6の存在を隠すことができて、上記蛍光印刷層6を使用者に意識させないようにすることができる。また、上記角度依存層7は、透過する光を乱反射または干渉させるため、使用者に対して印刷物にセキュリティ処理が施されていることを認識させるとともに、デザイン性にも優れたものとなる。
【0036】
なお、角度依存層7に加えて、または角度依存層7に換えて、透過する光を乱反射または干渉させることにより自然光の下で上記蛍光印刷層6を隠蔽する隠蔽層を形成することもできる。この隠蔽層は、微小な凹凸を形成された層であってもよい。例えば、マット(つや消し)仕上げ、シボ状の凹凸を形成するシボ仕上げ等の加工により実現される。また、上記隠蔽層は、上記マット仕上げ等の加工により表面が凹凸に形成され透明性のあるPET,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,塩化ビニル樹脂,塩化ビニリデン樹脂等からなる単層のプラスチックフィルムや、複数のプラスチックフィルムのラミネートフィルム等の透明フィルムであってもよい。
【0037】
また、上記角度依存フィルム4は、透過する光を乱反射または干渉させることにより自然光の下で上記蛍光印刷層6を隠蔽するようになっている。これにより、上記角度依存フィルム4が自然光の下で上記蛍光印刷層6を隠蔽するため、自然光の下で上記蛍光印刷層6の存在を隠すことができて、上記蛍光印刷層6を使用者に意識させないようにすることができる。また、上記角度依存フィルム4は、透過する光を乱反射または干渉させるため、使用者に対して印刷物にセキュリティ処理が施されていることを認識させるとともに、デザイン性にも優れたものとなる。
【0038】
上記角度依存フィルム4の角度依存層7および蛍光印刷層6が形成された側に熱溶融型の接着剤層8が形成されている。
【0039】
上記接着剤層8を形成する転写接着剤としては、例えば、熱溶融型の転写接着剤(ホットメルト接着剤)を用いることができる。ホットメルト接着剤を用いることにより、熱転写による偽造防止表示が可能になる。また、転写接着剤としては水転写用の接着剤や加圧転写用の接着剤を用いることも可能である。
【0040】
図2は、上記偽造防止表示用転写シート1を用いた偽造防止表示方法を示す。
【0041】
まず、図2(a)に示すように、上記偽造防止表示用転写シート1の接着剤層8を偽造防止対象物10に密着させ、この状態でホットスタンプ9を偽造防止表示用転写シート1の基材シート2上に密着させて加圧し、偽造防止表示用転写シート1を加熱し加圧する。これにより、ホットスタンプ9で加熱された領域の接着剤層8が溶融して偽造防止対象物10に接着し、接着層8aが形成される。
【0042】
ついで、図2(b)に示すように、ホットスタンプ9を除去し、接着層8aの接着剤が硬化してから偽造防止表示用転写シート1を除去すると、ホットスタンプ9で加熱接着された領域は、上記易剥離層3から基材シート2が除去され、偽造防止対象物10に対し、上記角度依存フィルム4と角度依存層7と蛍光印刷層6とが熱転写される。
【0043】
図3は、偽造防止対象物10に対して角度依存フィルム4と角度依存層7と蛍光印刷層6とが熱転写されて偽造防止表示11が施された一例を示す。このように、偽造防止対象物10の任意の一部分に、熱転写により容易に偽造防止表示11を施すことができる。
【0044】
図4は、上記のようにして形成した偽造防止表示11の作用を説明する図である。図4(a)に示すように、通常の自然光の下では、上記角度依存層7が蛍光印刷層6を隠蔽するため蛍光印刷層6は視覚的に認識できないが、図4(b)に示すように、ブラックライト13により所定波長の紫外線等を照射することにより、蛍光印刷層6が蛍光を発して蛍光文字12が浮かび上がるのである。これにより、容易に真偽を判定することができる。
【0045】
このように、上記第1の偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存フィルム4が積層され、上記角度依存フィルム4に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6とが形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されている。そして、第1の偽造防止方法は、上記偽造防止表示用転写シート1を用い、偽造防止対象物10に対して上記角度依存フィルム4と角度依存層7と蛍光印刷層6とを熱転写することにより偽造防止表示11を行う。
【0046】
これにより、偽造防止対象物10に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6が接着され、さらにその上に角度依存フィルム4が接着される。そして、上記角度依存フィルム4は見る角度により視覚的効果が変化し、上記角度依存層7は見る角度により反射光の色彩が変化し、さらに、蛍光印刷層6は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物10の真偽を確認する際には、角度依存フィルム4が見る角度によって視覚効果が異なることを確認し、角度依存層7が見る角度によって色彩が変化することを確認し、さらに、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層6が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物10が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存フィルム4の存在、角度依存層7の存在、蛍光印刷層6の存在の3重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
【0047】
しかも、角度依存層7と蛍光印刷層6が印刷等によって形成された角度依存フィルム4の上記角度依存層7と蛍光印刷層6側が熱溶融型の接着剤層8で偽造防止対象物10に接着されるため、角度依存フィルム4を剥がそうとすると角度依存層7と蛍光印刷層6が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
【0048】
さらに、上記偽造防止表示11は、上記角度依存層7と蛍光印刷層6が透明フィルムである角度依存フィルム4で覆われることとなり、角度依存層7と蛍光印刷層6の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示11は、既存の熱転写装置による熱転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【実施例2】
【0049】
図5は、本発明の第2実施例の偽造防止表示用転写シート1の第1例を示す。上記偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存層7と蛍光印刷層6とが形成され、さらに転写用の接着剤層8が形成されて構成されている。
【0050】
上記基材シート2、易剥離層3、角度依存層7、蛍光印刷層6、接着剤層8は、上記第1実施例と同様のものが用いられる。
【0051】
図6は、上記偽造防止表示用転写シート1を用いた偽造防止表示方法を示す。
【0052】
まず、図6(a)に示すように、上記偽造防止表示用転写シート1の接着剤層8を偽造防止対象物10に密着させ、この状態でホットスタンプ9を偽造防止表示用転写シート1の基材シート2上に密着させて加圧し、偽造防止表示用転写シート1を加熱し加圧する。これにより、ホットスタンプ9で加熱された領域の接着剤層8が溶融して偽造防止対象物10に接着し、接着層8aが形成される。
【0053】
ついで、図6(b)に示すように、ホットスタンプ9を除去し、接着層8aの接着剤が硬化してから偽造防止表示用転写シート1を除去すると、ホットスタンプ9で加熱接着された領域は、上記易剥離層3から基材シート2が除去され、偽造防止対象物10に対し、上記角度依存層7と蛍光印刷層6とが熱転写される。
【0054】
上記第2の偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存層7と蛍光印刷層6とが形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されている。そして、第2の偽造防止方法は、上記偽造防止表示用転写シート1を用い、偽造防止対象物10に対して上記角度依存層7と蛍光印刷層6とを熱転写することにより偽造防止表示11を行う。
【0055】
これにより、偽造防止対象物10に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6が接着される。そして、上記角度依存層7は見る角度により反射光の色彩が変化し、蛍光印刷層6は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物10の真偽を確認する際には、角度依存層7が見る角度によって色彩が変化することを確認し、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層6が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物10が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存層7の存在、蛍光印刷層6の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
【0056】
しかも、角度依存層7と蛍光印刷層6が熱溶融型の接着剤層8で偽造防止対象物10に接着されるため、角度依存層7や蛍光印刷層6を剥がそうとすると角度依存層7と蛍光印刷層6が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
【0057】
さらに、上記偽造防止表示11は、既存の熱転写装置による熱転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【0058】
図7は、本発明の第2実施例の偽造防止表示用転写シート1の第2例を示す。上記偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して透明フィルム5が積層され、上記透明フィルム5に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6とが形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されて構成されている。
【0059】
上記基材シート2、易剥離層3、角度依存層7、蛍光印刷層6、接着剤層8は、上記第1実施例と同様のものが用いられる。
【0060】
上記透明フィルム5は、透明のPETやPVCアクリル共重合の透明フィルムが用いられるが、これに限定するものではなく、各種のものを用いることができる。例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,塩化ビニル樹脂,塩化ビニリデン樹脂等からなる単層のプラスチックフィルムや、複数のプラスチックフィルムのラミネートフィルム等があげられる。これらの中でも、ポリエステル、特にPETは、透明性,強靭性,電気絶縁性,寸法安定性に優れているため、好適に用いることができる。
【0061】
図8は、上記偽造防止表示用転写シート1を用いた偽造防止表示方法を示す。
【0062】
まず、図8(a)に示すように、上記偽造防止表示用転写シート1の接着剤層8を偽造防止対象物10に密着させ、この状態でホットスタンプ9を偽造防止表示用転写シート1の基材シート2上に密着させて加圧し、偽造防止表示用転写シート1を加熱し加圧する。これにより、ホットスタンプ9で加熱された領域の接着剤層8が溶融して偽造防止対象物10に接着し、接着層8aが形成される。
【0063】
ついで、図8(b)に示すように、ホットスタンプ9を除去し、接着層8aの接着剤が硬化してから偽造防止表示用転写シート1を除去すると、ホットスタンプ9で加熱接着された領域は、上記易剥離層3から基材シート2が除去され、偽造防止対象物10に対し、上記透明フィルム5と角度依存層7と蛍光印刷層6とが熱転写される。
【0064】
上記第2の偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して透明フィルム5が積層され、上記透明フィルム5に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6とが形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されている。そして、第2の偽造防止方法は、上記偽造防止表示用転写シート1を用い、偽造防止対象物10に対して上記透明フィルム5と角度依存層7と蛍光印刷層6とを熱転写することにより偽造防止表示11を行う。
【0065】
これにより、偽造防止対象物10に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6が接着され、さらにその上に透明フィルム5が接着される。そして、上記角度依存層7は見る角度により反射光の色彩が変化し、蛍光印刷層6は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物10の真偽を確認する際には、角度依存層7が見る角度によって色彩が変化することを確認し、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層6が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物10が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存層7の存在、蛍光印刷層6の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
【0066】
しかも、角度依存層7と蛍光印刷層6が印刷等によって形成された透明フィルム5の上記角度依存層7と蛍光印刷層6側が熱溶融型の接着剤層8で偽造防止対象物10に接着されるため、フィルム5を剥がそうとすると角度依存層7と蛍光印刷層6が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
【0067】
さらに、上記偽造防止表示11は、上記角度依存層7と蛍光印刷層6が透明フィルム5で覆われることとなり、角度依存層7と蛍光印刷層6の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示11は、既存の熱転写装置による熱転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【実施例3】
【0068】
図9は、本発明の第3実施例の偽造防止表示用転写シート1を示す。上記偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存フィルム4が積層され、上記角度依存フィルム4に対して角度依存層7が形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されて構成されている。
【0069】
上記基材シート2、角度依存フィルム4、易剥離層3、角度依存層7、接着剤層8は、上記第1実施例と同様のものが用いられる。
【0070】
図10は、上記偽造防止表示用転写シート1を用いた偽造防止表示方法を示す。
【0071】
まず、図10(a)に示すように、上記偽造防止表示用転写シート1の接着剤層8を偽造防止対象物10に密着させ、この状態でホットスタンプ9を偽造防止表示用転写シート1の基材シート2上に密着させて加圧し、偽造防止表示用転写シート1を加熱し加圧する。これにより、ホットスタンプ9で加熱された領域の接着剤層8が溶融して偽造防止対象物10に接着し、接着層8aが形成される。
【0072】
ついで、図10(b)に示すように、ホットスタンプ9を除去し、接着層8aの接着剤が硬化してから偽造防止表示用転写シート1を除去すると、ホットスタンプ9で加熱接着された領域は、上記易剥離層3から基材シート2が除去され、偽造防止対象物10に対し、上記角度依存フィルム4と角度依存層7とが熱転写される。
【0073】
上記第3の偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存フィルム4が積層され、上記角度依存フィルム4に対し、角度依存層7が形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されている。そして、第3の偽造防止方法は、上記偽造防止表示用転写シート1を用い、偽造防止対象物10に対して上記角度依存フィルム4と角度依存層7とを熱転写することにより偽造防止表示11を行う。
【0074】
これにより、偽造防止対象物10に対し、角度依存層7が接着され、さらにその上に角度依存フィルム4が接着される。そして、上記角度依存フィルム4は見る角度により視覚的効果が変化し、上記角度依存層7は見る角度により反射光の色彩が変化する。例えば、使用者は、偽造防止対象物10の真偽を確認する際には、角度依存フィルム4が見る角度によって視覚効果が異なることを確認し、角度依存層7が見る角度によって色彩が変化することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物10が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存フィルム4の存在、角度依存層7の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
【0075】
しかも、角度依存層7が印刷等によって形成された角度依存フィルム4の上記角度依存層7側が熱溶融型の接着剤層8で偽造防止対象物10に接着されるため、角度依存フィルム4を剥がそうとすると角度依存層7が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
【0076】
さらに、上記偽造防止表示11は、上記角度依存層7が透明フィルムである角度依存フィルム4で覆われることとなり、角度依存層7の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示11は、既存の熱転写装置による熱転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【実施例4】
【0077】
図11は、本発明の第4実施例の偽造防止表示用転写シート1を示す。上記偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存フィルム4が積層され、上記角度依存フィルム4に対して蛍光印刷層6が形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されて構成されている。
【0078】
上記基材シート2、角度依存フィルム4、易剥離層3、蛍光印刷層6、接着剤層8は、上記第1実施例と同様のものが用いられる。
【0079】
図12は、上記偽造防止表示用転写シート1を用いた偽造防止表示方法を示す。
【0080】
まず、図12(a)に示すように、上記偽造防止表示用転写シート1の接着剤層8を偽造防止対象物10に密着させ、この状態でホットスタンプ9を偽造防止表示用転写シート1の基材シート2上に密着させて加圧し、偽造防止表示用転写シート1を加熱し加圧する。これにより、ホットスタンプ9で加熱された領域の接着剤層8が溶融して偽造防止対象物10に接着し、接着層8aが形成される。
【0081】
ついで、図12(b)に示すように、ホットスタンプ9を除去し、接着層8aの接着剤が硬化してから偽造防止表示用転写シート1を除去すると、ホットスタンプ9で加熱接着された領域は、上記易剥離層3から基材シート2が除去され、偽造防止対象物10に対し、上記角度依存フィルム4と蛍光印刷層6とが熱転写される。
【0082】
上記第4の偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存フィルム4が積層され、上記角度依存フィルム4に対し、蛍光印刷層6が形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されている。そして、第4の偽造防止方法は、上記偽造防止表示用転写シート1を用い、偽造防止対象物10に対して上記角度依存フィルム4と蛍光印刷層6とを熱転写することにより偽造防止表示11を行う。
【0083】
これにより、偽造防止対象物10に対し、蛍光印刷層6が接着され、さらにその上に角度依存フィルム4が接着される。そして、上記角度依存フィルム4は見る角度により視覚的効果が変化し、蛍光印刷層6は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物10の真偽を確認する際には、角度依存フィルム4が見る角度によって視覚効果が異なることを確認し、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層6が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物10が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存フィルム4の存在、蛍光印刷層6の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
【0084】
しかも、蛍光印刷層6が印刷等によって形成された角度依存フィルムの上記蛍光印刷層6側が熱溶融型の接着剤層8で偽造防止対象物10に接着されるため、角度依存フィルム4を剥がそうとすると蛍光印刷層6が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
【0085】
さらに、上記偽造防止表示11は、上記蛍光印刷層6が透明フィルムである角度依存フィルム4で覆われることとなり、蛍光印刷層6の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示11は、既存の熱転写装置による熱転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【0086】
なお、上記各実施例では、転写接着剤としてホットメルト接着剤を使用して熱転写により偽造防止表示を行うようにしたが、これに限定するものではなく、転写接着剤として水転写接着剤を使用して水転写により偽造防止表示を行ったり、加圧接着剤を使用して加圧転写により偽造防止表示を行ったりするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1実施例の偽造防止表示用転写シートを示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施例の偽造防止表示方法を示す断面図である。
【図3】本発明が適用された偽造防止表示を示す図である。
【図4】上記偽造防止表示の作用を説明する図である。
【図5】本発明の第2実施例の偽造防止表示用転写シートの第1例を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施例の偽造防止表示方法の第1例を示す断面図である。
【図7】上記第2実施例の偽造防止表示用転写シートの第2例を示す断面図である。
【図8】上記第2実施例の偽造防止表示方法の第2例を示す断面図である。
【図9】本発明の第3実施例の偽造防止表示用転写シートを示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施例の偽造防止表示方法を示す断面図である。
【図11】本発明の第4実施例の偽造防止表示用転写シートを示す断面図である。
【図12】本発明の第4実施例の偽造防止表示方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 偽造防止表示用転写シート
2 基材シート
3 易剥離層
4 角度依存フィルム
5 透明フィルム
6 蛍光印刷層
7 角度依存層
8 接着剤層
8a 接着層
9 ホットスタンプ
10 偽造防止対象物
11 偽造防止表示
12 蛍光文字
13 ブラックライト
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば健康保険被保険者証、従業者証、社員証、会員証、学生証、キャッシュカード、有価証券、外国人登録証および各種免許証、ブランド品等の各種商品、等に対して偽造防止表示を行うことができる偽造防止表示用転写シートおよびそれを用いた偽造防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーコピー機の発達に伴って、本物と区別し難い精巧なコピーが可能になり、例えば証券、小切手、銀行券等の偽造が発生してきている。これらの偽造された印刷物は熟練した鑑定者や特殊な鑑定装置によれば容易に贋物と鑑定し得るが、有価証券等は種類も多くかつ広範囲に流通し、一般の人が取り扱う機会が多い。そのため、全ての有価証券等の真偽判別を熟練鑑定者や特殊鑑定装置に依存することは、実用的な手段ではなく、一般の人も容易且つ瞬時に判定し得ることが望まれている。
【0003】
そこで、視認性画像の一部を観察角度を変えることにより現出・消去しうる印刷物が提案されている(例えば、下記の特許文献1参照。)。上記印刷物は、視認性画像のうち一部を光輝性インキだけからなる画像とし、他の部分を色彩の観察角度依存性の小さいブラックインキと光輝性インキとからなる画像としたものである。この特許文献1の印刷物は、光輝性インキの反射効果を利用し、観察角度によって光輝性インキだけからなる部分が現出して見えたり消去したように見えたりすることから、特別な装置を必要とせず、熟練鑑定者でなくとも瞬時かつ容易に真偽判別できるようになっている。
【特許文献1】特開2000−37941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の印刷物では、光輝性インキの反射効果により、視認性画像のうち光輝性インキだけからなる一部が見る角度によって現出して見えたり消去したように見えたりするものであり、真偽判別のよりどころとなるのは、上記一部が現出して見えたり消去したように見えたりする点のみである。
【0005】
したがって、偽造品について、当該一部について、同じ技術でなくても似たような見え方をする印刷を行われてしまうと、当該偽造品を真正品と見間違えてしまうおそれが多分にあり、それほど高いセキュリティ効果を発揮し得ないのが実情である。また、当該一部は、基材上で剥き出し状態であるため、これらの画像が他の物と擦れ合うことで消えてしまったり汚損したりする可能性がある。しかも、上記特許文献1の技術は、基材に対して特殊インクで真偽判別するための画像を印刷することによるものであるため、印刷コストがかかり、多品種小ロット品に対しては大幅なコストアップとなるのが避けられない。そのうえ、当該特殊インクの印刷に適しない対象物にはセキュリティ効果を付与することができない。このような事情から、セキュリティ付与の対象が限定されているのが実情である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高いセキュリティ効果を発揮するとともに耐久性を向上させ、各種の対象物に対して低コストで確実に偽造防止表示を行うことができる偽造防止表示用転写シートおよびそれを用いた偽造防止方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とが形成され、上記角度依存フィルムの角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを要旨とする。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明の第2の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対し、易剥離層を介して見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とが形成され、上記角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを要旨とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明の第3の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層が形成され、上記角度依存フィルムの蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを要旨とする。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明の第4の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層が形成され、上記角度依存フィルムの角度依存層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを要旨とする。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明の第1の偽造防止表示方法は、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムを積層し、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とを形成し、上記角度依存フィルムの角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存フィルムと角度依存層と蛍光印刷層とを転写することを要旨とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明の第2の偽造防止表示方法は、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムを積層し、上記透明フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とを形成し、上記透明フィルムの角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存層と蛍光印刷層とを転写することを要旨とする。
【0013】
また、上記目的を達成するため、本発明の第3の偽造防止表示方法は、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明のホログラムフィルムを積層し、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層を形成し、上記角度依存フィルムの角度依存層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存フィルムと角度依存層を転写することを要旨とする。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明の第4の偽造防止表示方法は、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムを積層し、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層を形成し、上記角度依存フィルムの蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存フィルムと蛍光印刷層を転写することを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
すなわち、本発明の第1の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して角度依存フィルムが積層され、上記角度依存フィルムに対し、角度依存層と蛍光印刷層とが形成され、さらに転写接着剤層が形成されている。そして、第1の偽造防止表示方法は、上記偽造防止表示用転写シートを用い、偽造防止対象物に対して上記角度依存フィルムと角度依存層と蛍光印刷層とを転写することにより偽造防止表示を行う。
これにより、偽造防止対象物に対し、角度依存層と蛍光印刷層が接着され、さらにその上に角度依存フィルムが接着される。そして、上記角度依存フィルムは見る角度により視覚的効果が変化し、上記角度依存層は見る角度により反射光の色彩が変化し、さらに、蛍光印刷層は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物の真偽を確認する際には、角度依存フィルムが見る角度によって視覚効果が異なることを確認し、角度依存層が見る角度によって色彩が変化することを確認し、さらに、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存フィルムの存在、角度依存層の存在、蛍光印刷層の存在の3重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
しかも、角度依存層と蛍光印刷層が印刷等によって形成された角度依存フィルムの上記角度依存層と蛍光印刷層側が転写接着剤で偽造防止対象物に接着されるため、フィルムを剥がそうとすると角度依存層と蛍光印刷層が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
さらに、上記偽造防止表示は、上記角度依存層と蛍光印刷層が透明フィルムである角度依存フィルムで覆われることとなり、角度依存層と蛍光印刷層の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示は、既存の転写装置による転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【0016】
また、本発明の第2の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対し、易剥離層を介して角度依存層と蛍光印刷層とが形成され、さらに転写接着剤層が形成されている。そして、第2の偽造防止表示方法は、上記偽造防止表示用転写シートを用い、偽造防止対象物に対して上記透明フィルムと角度依存層と蛍光印刷層とを転写することにより偽造防止表示を行う。
これにより、偽造防止対象物に対し、角度依存層と蛍光印刷層が接着される。そして、上記角度依存層は見る角度により反射光の色彩が変化し、蛍光印刷層は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物の真偽を確認する際には、角度依存層が見る角度によって色彩が変化することを確認し、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存層の存在、蛍光印刷層の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
しかも、角度依存層と蛍光印刷層が転写接着剤で偽造防止対象物に接着されるため、角度依存層や蛍光印刷層を剥がそうとすると角度依存層と蛍光印刷層が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
さらに、上記偽造防止表示は、既存の転写装置による転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【0017】
また、本発明の第3の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して角度依存フィルムが積層され、上記角度依存フィルムに対し、角度依存層が形成され、さらに転写接着剤層が形成されている。そして、第3の偽造防止表示方法は、上記偽造防止表示用転写シートを用い、偽造防止対象物に対して上記角度依存フィルムと角度依存層とを転写することにより偽造防止表示を行う。
これにより、偽造防止対象物に対し、角度依存層が接着され、さらにその上に角度依存フィルムが接着される。そして、上記角度依存フィルムは見る角度により視覚的効果が変化し、上記角度依存層は見る角度により反射光の色彩が変化する。例えば、使用者は、偽造防止対象物の真偽を確認する際には、角度依存フィルムが見る角度によって視覚効果が異なることを確認し、角度依存層が見る角度によって色彩が変化することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存フィルムの存在、角度依存層の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
しかも、角度依存層が印刷等によって形成された角度依存フィルムの上記角度依存層側が転写接着剤で偽造防止対象物に接着されるため、フィルムを剥がそうとすると角度依存層が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
さらに、上記偽造防止表示は、上記角度依存層が透明フィルムである角度依存フィルムで覆われることとなり、角度依存層の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示は、既存の転写装置による転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【0018】
また、本発明の第4の偽造防止表示用転写シートは、剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して角度依存フィルムが積層され、上記角度依存フィルムに対し、蛍光印刷層が形成され、さらに転写接着剤層が形成されている。そして、第4の偽造防止表示方法は、上記偽造防止表示用転写シートを用い、偽造防止対象物に対して上記角度依存フィルムと蛍光印刷層とを転写することにより偽造防止表示を行う。
これにより、偽造防止対象物に対し、蛍光印刷層が接着され、さらにその上に角度依存フィルムが接着される。そして、上記角度依存フィルムは見る角度により視覚的効果が変化し、蛍光印刷層は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物の真偽を確認する際には、角度依存フィルムが見る角度によって視覚効果が異なることを確認し、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存フィルムの存在、蛍光印刷層の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
しかも、蛍光印刷層が印刷等によって形成された角度依存フィルムの上記蛍光印刷層側が転写接着剤で偽造防止対象物に接着されるため、フィルムを剥がそうとすると蛍光印刷層が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
さらに、上記偽造防止表示は、上記蛍光印刷層が透明フィルムである角度依存フィルムで覆われることとなり、蛍光印刷層の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示は、既存の転写装置による転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【0019】
本発明において、上記角度依存層は、少なくとも上記蛍光印刷層による印刷領域の全体を覆うように形成され、透過する光を乱反射または干渉させることにより自然光の下で上記蛍光印刷層を隠蔽する場合には、上記角度依存層が自然光の下で上記蛍光印刷層を隠蔽するため、自然光の下で上記蛍光印刷層の存在を隠すことができて、上記蛍光印刷層を使用者に意識させないようにすることができる。また、上記角度依存層は、透過する光を乱反射または干渉させるため、使用者に対して印刷物にセキュリティ処理が施されていることを認識させるとともに、デザイン性にも優れたものとなる。
【0020】
本発明において、上記角度依存フィルムは、透過する光を乱反射または干渉させることにより自然光の下で上記蛍光印刷層を隠蔽する場合には、上記角度依存フィルムが自然光の下で上記蛍光印刷層を隠蔽するため、自然光の下で上記蛍光印刷層の存在を隠すことができて、上記蛍光印刷層を使用者に意識させないようにすることができる。また、上記角度依存フィルムは、透過する光を乱反射または干渉させるため、使用者に対して印刷物にセキュリティ処理が施されていることを認識させるとともに、デザイン性にも優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の第1実施例の偽造防止表示用転写シート1を示す。上記偽造防止表示用転写シート1は、剥離除去用の基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存フィルム4が積層され、上記角度依存フィルム4に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6とが形成され、さらに転写用の接着剤層8が形成されて構成されている。
【0023】
上記基材シート2は、後述する熱転写の際の加熱・加圧に耐えるある程度の耐熱性を有するPET樹脂等の樹脂シートが用いられる。また、熱転写の際の熱を接着剤層8に伝える必要があるため、厚みは30μm以下程度のものが好適に用いられる。
【0024】
上記角度依存フィルム4は、透明のホログラムフィルムを好適に用いることができる。この角度依存フィルム4は、透明のPETやPVCアクリル共重合の透明フィルムに対して金属蒸着層を形成することにより、光の反射が虹色に光り見る角度によって視覚的効果が変化するホログラム効果を有するフィルムである(例えば日本コーバン社製、ホログラムパターンフィルム等)。
【0025】
上記基材シート2および角度依存フィルム4のベースとなる材料としては、上述したものに限定するものではなく、各種のものを用いることができる。例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,塩化ビニル樹脂,塩化ビニリデン樹脂等からなる単層のプラスチックフィルムや、複数のプラスチックフィルムのラミネートフィルム等があげられる。これらの中でも、ポリエステル、特にPETは、透明性,強靭性,電気絶縁性,寸法安定性に優れているため、好適に用いることができる。
【0026】
上記基材シート2と角度依存フィルム4は、易剥離層3を介して積層されている。上記易剥離層3は、基材シート2を角度依存フィルム4から容易に剥離しうる構成のものであれば特に限定するものではない。例えば、基材シート2に対してコーティングされた剥離性樹脂層として形成することができ、例えばアクリル樹脂、メラミン樹脂、ビニル樹脂、塩化オレフィン樹脂等を単独もしくは混合しても良い。また、易剥離層3としては、基材シート2の表面に、剥離性をより高めるためにシリコンコーティングやPTFEコーティングを施す構成であってもよい。更に、基材シート2との剥離を容易にするものとして、例えば、植物ロウであるカルナバロウ,木ロウ,オウリキュリーロウ,エスバルロウ、動物ロウである蜜ロウ,昆虫ロウ,セラックロウ,鯨ロウ、石油ロウであるパラフィンワックス,マイクロクリスタルワックス,ポリエチレンワックス,エステルワックス,酸ワックス、鉱物ロウであるモンタンロウ,オゾケライト,セレシン等のワックス類を挙げることができる。
【0027】
上記蛍光印刷層6は、上記角度依存フィルム4に対し、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより所定の情報が印刷されたものである。
【0028】
上記蛍光インクとしては、ブラックライト(不可視光線)に代表されるような所定波長の紫外線や電磁波等の光線が照射されることにより蛍光を発する蛍光染料、蛍光顔料等を採用することができる。本実施例では、紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光顔料(ブラックライト顔料)を採用している。これにより、上記蛍光印刷層6によって印刷された所定の情報は、自然光の元では視覚的に認識できず、ブラックライト等の所定波長の光線を照射することにより視覚的に認識できるようになる。ここで、上記所定の情報とは、例えば、真正品であることを示す「True」の文字等である(図4参照)。
【0029】
上記角度依存層7は、蛍光印刷層6が印刷された角度依存フィルム4に対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成されたものである。
【0030】
上記角度依存性インクとしては、メタリック顔料やパール顔料等を採用することができるが、本実施例では、パール顔料を用いている。パール顔料としては、雲母に反射性(高虹彩反射)を与える金属酸化物として、可視域に透明で屈折性が2.0以上ある金属酸化物を被覆したもので、例えば、Sb2S3、Fe2O3、PbO、ZnSe、CdS、Bi2O3、TiO2、PbCl2、CeO2、Ta2O5、ZnS、ZnO、CdO、Nd2O3、Sb2O3、SiOおよびInO3の単層の被覆もしくは2層に被覆することにより形成される。
【0031】
雲母と金属酸化膜が組み合わされた時、その屈折率の差が0.4より大きいことから、入射した白色光の反射量が多く、また、同時に雲母と金属酸化膜の界面で副屈折を起こすことから、高虹彩反射性となり、変色効果をより効果的に助長する働きをする。この時、雲母を被覆する金属酸化膜の膜厚を制御することで任意の色調の高虹反射性を持ったパール顔料とすることができる膜厚は10〜10000オングストローム、望ましくは200〜2000オングストロームの範囲の膜厚が可視域に対して高虹彩反射性となるので望ましい。
【0032】
このようなパール顔料の市販のものとしては「Iriodin」(商品名、MERCK社製)等がある。「Iriodin」は、天然マイカの表面を酸化チタンおよび酸化鉄等の高屈折率の金属酸化物で被覆した安定した無機パール顔料であり、屈折率の高い酸化チタンの層と屈折率の低いマイカおよび周りの媒体との境界で反射した光が真珠光沢をもたらすものである。この「Iriodin」には、被覆された酸化チタンの膜厚を変えることによって虹彩色の特定な色を強調させることができ、このようなパール顔料は有色色料との混合物にビヒクル、添加剤を加えインキ化して用いる。
【0033】
上記パール顔料は、その他にゴールドタイプやシルバータイプであってもよい。
【0034】
このように、上記角度依存層7が角度依存性インクにより形成されていると、偽造防止表示11表面の色が見る角度によって変わるので、セキュリティ確認に有効である。また、上記角度依存層7に対する反射光の色が見る角度により変化するため、使用者にとってキラキラと輝いて見えるため、全体としてデザイン性を向上させることもできる。
【0035】
上記角度依存層7は、少なくとも上記蛍光印刷層6による印刷領域の全体を覆うように形成され、透過する光を乱反射または干渉させることにより自然光の下で上記蛍光印刷層6を隠蔽するようになっている。このようにすることにより、上記角度依存層7が自然光の下で上記蛍光印刷層6を隠蔽するため、自然光の下で上記蛍光印刷層6の存在を隠すことができて、上記蛍光印刷層6を使用者に意識させないようにすることができる。また、上記角度依存層7は、透過する光を乱反射または干渉させるため、使用者に対して印刷物にセキュリティ処理が施されていることを認識させるとともに、デザイン性にも優れたものとなる。
【0036】
なお、角度依存層7に加えて、または角度依存層7に換えて、透過する光を乱反射または干渉させることにより自然光の下で上記蛍光印刷層6を隠蔽する隠蔽層を形成することもできる。この隠蔽層は、微小な凹凸を形成された層であってもよい。例えば、マット(つや消し)仕上げ、シボ状の凹凸を形成するシボ仕上げ等の加工により実現される。また、上記隠蔽層は、上記マット仕上げ等の加工により表面が凹凸に形成され透明性のあるPET,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,塩化ビニル樹脂,塩化ビニリデン樹脂等からなる単層のプラスチックフィルムや、複数のプラスチックフィルムのラミネートフィルム等の透明フィルムであってもよい。
【0037】
また、上記角度依存フィルム4は、透過する光を乱反射または干渉させることにより自然光の下で上記蛍光印刷層6を隠蔽するようになっている。これにより、上記角度依存フィルム4が自然光の下で上記蛍光印刷層6を隠蔽するため、自然光の下で上記蛍光印刷層6の存在を隠すことができて、上記蛍光印刷層6を使用者に意識させないようにすることができる。また、上記角度依存フィルム4は、透過する光を乱反射または干渉させるため、使用者に対して印刷物にセキュリティ処理が施されていることを認識させるとともに、デザイン性にも優れたものとなる。
【0038】
上記角度依存フィルム4の角度依存層7および蛍光印刷層6が形成された側に熱溶融型の接着剤層8が形成されている。
【0039】
上記接着剤層8を形成する転写接着剤としては、例えば、熱溶融型の転写接着剤(ホットメルト接着剤)を用いることができる。ホットメルト接着剤を用いることにより、熱転写による偽造防止表示が可能になる。また、転写接着剤としては水転写用の接着剤や加圧転写用の接着剤を用いることも可能である。
【0040】
図2は、上記偽造防止表示用転写シート1を用いた偽造防止表示方法を示す。
【0041】
まず、図2(a)に示すように、上記偽造防止表示用転写シート1の接着剤層8を偽造防止対象物10に密着させ、この状態でホットスタンプ9を偽造防止表示用転写シート1の基材シート2上に密着させて加圧し、偽造防止表示用転写シート1を加熱し加圧する。これにより、ホットスタンプ9で加熱された領域の接着剤層8が溶融して偽造防止対象物10に接着し、接着層8aが形成される。
【0042】
ついで、図2(b)に示すように、ホットスタンプ9を除去し、接着層8aの接着剤が硬化してから偽造防止表示用転写シート1を除去すると、ホットスタンプ9で加熱接着された領域は、上記易剥離層3から基材シート2が除去され、偽造防止対象物10に対し、上記角度依存フィルム4と角度依存層7と蛍光印刷層6とが熱転写される。
【0043】
図3は、偽造防止対象物10に対して角度依存フィルム4と角度依存層7と蛍光印刷層6とが熱転写されて偽造防止表示11が施された一例を示す。このように、偽造防止対象物10の任意の一部分に、熱転写により容易に偽造防止表示11を施すことができる。
【0044】
図4は、上記のようにして形成した偽造防止表示11の作用を説明する図である。図4(a)に示すように、通常の自然光の下では、上記角度依存層7が蛍光印刷層6を隠蔽するため蛍光印刷層6は視覚的に認識できないが、図4(b)に示すように、ブラックライト13により所定波長の紫外線等を照射することにより、蛍光印刷層6が蛍光を発して蛍光文字12が浮かび上がるのである。これにより、容易に真偽を判定することができる。
【0045】
このように、上記第1の偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存フィルム4が積層され、上記角度依存フィルム4に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6とが形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されている。そして、第1の偽造防止方法は、上記偽造防止表示用転写シート1を用い、偽造防止対象物10に対して上記角度依存フィルム4と角度依存層7と蛍光印刷層6とを熱転写することにより偽造防止表示11を行う。
【0046】
これにより、偽造防止対象物10に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6が接着され、さらにその上に角度依存フィルム4が接着される。そして、上記角度依存フィルム4は見る角度により視覚的効果が変化し、上記角度依存層7は見る角度により反射光の色彩が変化し、さらに、蛍光印刷層6は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物10の真偽を確認する際には、角度依存フィルム4が見る角度によって視覚効果が異なることを確認し、角度依存層7が見る角度によって色彩が変化することを確認し、さらに、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層6が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物10が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存フィルム4の存在、角度依存層7の存在、蛍光印刷層6の存在の3重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
【0047】
しかも、角度依存層7と蛍光印刷層6が印刷等によって形成された角度依存フィルム4の上記角度依存層7と蛍光印刷層6側が熱溶融型の接着剤層8で偽造防止対象物10に接着されるため、角度依存フィルム4を剥がそうとすると角度依存層7と蛍光印刷層6が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
【0048】
さらに、上記偽造防止表示11は、上記角度依存層7と蛍光印刷層6が透明フィルムである角度依存フィルム4で覆われることとなり、角度依存層7と蛍光印刷層6の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示11は、既存の熱転写装置による熱転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【実施例2】
【0049】
図5は、本発明の第2実施例の偽造防止表示用転写シート1の第1例を示す。上記偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存層7と蛍光印刷層6とが形成され、さらに転写用の接着剤層8が形成されて構成されている。
【0050】
上記基材シート2、易剥離層3、角度依存層7、蛍光印刷層6、接着剤層8は、上記第1実施例と同様のものが用いられる。
【0051】
図6は、上記偽造防止表示用転写シート1を用いた偽造防止表示方法を示す。
【0052】
まず、図6(a)に示すように、上記偽造防止表示用転写シート1の接着剤層8を偽造防止対象物10に密着させ、この状態でホットスタンプ9を偽造防止表示用転写シート1の基材シート2上に密着させて加圧し、偽造防止表示用転写シート1を加熱し加圧する。これにより、ホットスタンプ9で加熱された領域の接着剤層8が溶融して偽造防止対象物10に接着し、接着層8aが形成される。
【0053】
ついで、図6(b)に示すように、ホットスタンプ9を除去し、接着層8aの接着剤が硬化してから偽造防止表示用転写シート1を除去すると、ホットスタンプ9で加熱接着された領域は、上記易剥離層3から基材シート2が除去され、偽造防止対象物10に対し、上記角度依存層7と蛍光印刷層6とが熱転写される。
【0054】
上記第2の偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存層7と蛍光印刷層6とが形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されている。そして、第2の偽造防止方法は、上記偽造防止表示用転写シート1を用い、偽造防止対象物10に対して上記角度依存層7と蛍光印刷層6とを熱転写することにより偽造防止表示11を行う。
【0055】
これにより、偽造防止対象物10に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6が接着される。そして、上記角度依存層7は見る角度により反射光の色彩が変化し、蛍光印刷層6は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物10の真偽を確認する際には、角度依存層7が見る角度によって色彩が変化することを確認し、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層6が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物10が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存層7の存在、蛍光印刷層6の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
【0056】
しかも、角度依存層7と蛍光印刷層6が熱溶融型の接着剤層8で偽造防止対象物10に接着されるため、角度依存層7や蛍光印刷層6を剥がそうとすると角度依存層7と蛍光印刷層6が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
【0057】
さらに、上記偽造防止表示11は、既存の熱転写装置による熱転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【0058】
図7は、本発明の第2実施例の偽造防止表示用転写シート1の第2例を示す。上記偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して透明フィルム5が積層され、上記透明フィルム5に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6とが形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されて構成されている。
【0059】
上記基材シート2、易剥離層3、角度依存層7、蛍光印刷層6、接着剤層8は、上記第1実施例と同様のものが用いられる。
【0060】
上記透明フィルム5は、透明のPETやPVCアクリル共重合の透明フィルムが用いられるが、これに限定するものではなく、各種のものを用いることができる。例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,塩化ビニル樹脂,塩化ビニリデン樹脂等からなる単層のプラスチックフィルムや、複数のプラスチックフィルムのラミネートフィルム等があげられる。これらの中でも、ポリエステル、特にPETは、透明性,強靭性,電気絶縁性,寸法安定性に優れているため、好適に用いることができる。
【0061】
図8は、上記偽造防止表示用転写シート1を用いた偽造防止表示方法を示す。
【0062】
まず、図8(a)に示すように、上記偽造防止表示用転写シート1の接着剤層8を偽造防止対象物10に密着させ、この状態でホットスタンプ9を偽造防止表示用転写シート1の基材シート2上に密着させて加圧し、偽造防止表示用転写シート1を加熱し加圧する。これにより、ホットスタンプ9で加熱された領域の接着剤層8が溶融して偽造防止対象物10に接着し、接着層8aが形成される。
【0063】
ついで、図8(b)に示すように、ホットスタンプ9を除去し、接着層8aの接着剤が硬化してから偽造防止表示用転写シート1を除去すると、ホットスタンプ9で加熱接着された領域は、上記易剥離層3から基材シート2が除去され、偽造防止対象物10に対し、上記透明フィルム5と角度依存層7と蛍光印刷層6とが熱転写される。
【0064】
上記第2の偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して透明フィルム5が積層され、上記透明フィルム5に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6とが形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されている。そして、第2の偽造防止方法は、上記偽造防止表示用転写シート1を用い、偽造防止対象物10に対して上記透明フィルム5と角度依存層7と蛍光印刷層6とを熱転写することにより偽造防止表示11を行う。
【0065】
これにより、偽造防止対象物10に対し、角度依存層7と蛍光印刷層6が接着され、さらにその上に透明フィルム5が接着される。そして、上記角度依存層7は見る角度により反射光の色彩が変化し、蛍光印刷層6は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物10の真偽を確認する際には、角度依存層7が見る角度によって色彩が変化することを確認し、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層6が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物10が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存層7の存在、蛍光印刷層6の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
【0066】
しかも、角度依存層7と蛍光印刷層6が印刷等によって形成された透明フィルム5の上記角度依存層7と蛍光印刷層6側が熱溶融型の接着剤層8で偽造防止対象物10に接着されるため、フィルム5を剥がそうとすると角度依存層7と蛍光印刷層6が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
【0067】
さらに、上記偽造防止表示11は、上記角度依存層7と蛍光印刷層6が透明フィルム5で覆われることとなり、角度依存層7と蛍光印刷層6の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示11は、既存の熱転写装置による熱転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【実施例3】
【0068】
図9は、本発明の第3実施例の偽造防止表示用転写シート1を示す。上記偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存フィルム4が積層され、上記角度依存フィルム4に対して角度依存層7が形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されて構成されている。
【0069】
上記基材シート2、角度依存フィルム4、易剥離層3、角度依存層7、接着剤層8は、上記第1実施例と同様のものが用いられる。
【0070】
図10は、上記偽造防止表示用転写シート1を用いた偽造防止表示方法を示す。
【0071】
まず、図10(a)に示すように、上記偽造防止表示用転写シート1の接着剤層8を偽造防止対象物10に密着させ、この状態でホットスタンプ9を偽造防止表示用転写シート1の基材シート2上に密着させて加圧し、偽造防止表示用転写シート1を加熱し加圧する。これにより、ホットスタンプ9で加熱された領域の接着剤層8が溶融して偽造防止対象物10に接着し、接着層8aが形成される。
【0072】
ついで、図10(b)に示すように、ホットスタンプ9を除去し、接着層8aの接着剤が硬化してから偽造防止表示用転写シート1を除去すると、ホットスタンプ9で加熱接着された領域は、上記易剥離層3から基材シート2が除去され、偽造防止対象物10に対し、上記角度依存フィルム4と角度依存層7とが熱転写される。
【0073】
上記第3の偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存フィルム4が積層され、上記角度依存フィルム4に対し、角度依存層7が形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されている。そして、第3の偽造防止方法は、上記偽造防止表示用転写シート1を用い、偽造防止対象物10に対して上記角度依存フィルム4と角度依存層7とを熱転写することにより偽造防止表示11を行う。
【0074】
これにより、偽造防止対象物10に対し、角度依存層7が接着され、さらにその上に角度依存フィルム4が接着される。そして、上記角度依存フィルム4は見る角度により視覚的効果が変化し、上記角度依存層7は見る角度により反射光の色彩が変化する。例えば、使用者は、偽造防止対象物10の真偽を確認する際には、角度依存フィルム4が見る角度によって視覚効果が異なることを確認し、角度依存層7が見る角度によって色彩が変化することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物10が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存フィルム4の存在、角度依存層7の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
【0075】
しかも、角度依存層7が印刷等によって形成された角度依存フィルム4の上記角度依存層7側が熱溶融型の接着剤層8で偽造防止対象物10に接着されるため、角度依存フィルム4を剥がそうとすると角度依存層7が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
【0076】
さらに、上記偽造防止表示11は、上記角度依存層7が透明フィルムである角度依存フィルム4で覆われることとなり、角度依存層7の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示11は、既存の熱転写装置による熱転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【実施例4】
【0077】
図11は、本発明の第4実施例の偽造防止表示用転写シート1を示す。上記偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存フィルム4が積層され、上記角度依存フィルム4に対して蛍光印刷層6が形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されて構成されている。
【0078】
上記基材シート2、角度依存フィルム4、易剥離層3、蛍光印刷層6、接着剤層8は、上記第1実施例と同様のものが用いられる。
【0079】
図12は、上記偽造防止表示用転写シート1を用いた偽造防止表示方法を示す。
【0080】
まず、図12(a)に示すように、上記偽造防止表示用転写シート1の接着剤層8を偽造防止対象物10に密着させ、この状態でホットスタンプ9を偽造防止表示用転写シート1の基材シート2上に密着させて加圧し、偽造防止表示用転写シート1を加熱し加圧する。これにより、ホットスタンプ9で加熱された領域の接着剤層8が溶融して偽造防止対象物10に接着し、接着層8aが形成される。
【0081】
ついで、図12(b)に示すように、ホットスタンプ9を除去し、接着層8aの接着剤が硬化してから偽造防止表示用転写シート1を除去すると、ホットスタンプ9で加熱接着された領域は、上記易剥離層3から基材シート2が除去され、偽造防止対象物10に対し、上記角度依存フィルム4と蛍光印刷層6とが熱転写される。
【0082】
上記第4の偽造防止表示用転写シート1は、基材シート2に対して易剥離層3を介して角度依存フィルム4が積層され、上記角度依存フィルム4に対し、蛍光印刷層6が形成され、さらに熱溶融型の接着剤層8が形成されている。そして、第4の偽造防止方法は、上記偽造防止表示用転写シート1を用い、偽造防止対象物10に対して上記角度依存フィルム4と蛍光印刷層6とを熱転写することにより偽造防止表示11を行う。
【0083】
これにより、偽造防止対象物10に対し、蛍光印刷層6が接着され、さらにその上に角度依存フィルム4が接着される。そして、上記角度依存フィルム4は見る角度により視覚的効果が変化し、蛍光印刷層6は所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する。例えば、使用者は、偽造防止対象物10の真偽を確認する際には、角度依存フィルム4が見る角度によって視覚効果が異なることを確認し、所定波長の光や電磁波を照射して、蛍光印刷層6が蛍光を発することを確認する。これらのいずれかひとつでも確認できなければ、当該偽造防止対象物10が偽造品であることが容易に判別できる。このように、角度依存フィルム4の存在、蛍光印刷層6の存在の2重の真偽判断手段を有することとなり、極めて高いセキュリティ効果を発揮することができる。
【0084】
しかも、蛍光印刷層6が印刷等によって形成された角度依存フィルムの上記蛍光印刷層6側が熱溶融型の接着剤層8で偽造防止対象物10に接着されるため、角度依存フィルム4を剥がそうとすると蛍光印刷層6が崩れて再び元の状態に戻すことができなくなるため、極めて高いセキュリティ効果を付与することができる。
【0085】
さらに、上記偽造防止表示11は、上記蛍光印刷層6が透明フィルムである角度依存フィルム4で覆われることとなり、蛍光印刷層6の汚損や劣化が防止できる。また、上記偽造防止表示11は、既存の熱転写装置による熱転写であらゆる対象物に容易に表示することができるため、極めて低コストで、セキュリティ効果を付与することができる。また、印刷等の手法に比べて多品種小ロット品に対しても大幅なコストアップをすることなくセキュリティ効果を付与することができる。
【0086】
なお、上記各実施例では、転写接着剤としてホットメルト接着剤を使用して熱転写により偽造防止表示を行うようにしたが、これに限定するものではなく、転写接着剤として水転写接着剤を使用して水転写により偽造防止表示を行ったり、加圧接着剤を使用して加圧転写により偽造防止表示を行ったりするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1実施例の偽造防止表示用転写シートを示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施例の偽造防止表示方法を示す断面図である。
【図3】本発明が適用された偽造防止表示を示す図である。
【図4】上記偽造防止表示の作用を説明する図である。
【図5】本発明の第2実施例の偽造防止表示用転写シートの第1例を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施例の偽造防止表示方法の第1例を示す断面図である。
【図7】上記第2実施例の偽造防止表示用転写シートの第2例を示す断面図である。
【図8】上記第2実施例の偽造防止表示方法の第2例を示す断面図である。
【図9】本発明の第3実施例の偽造防止表示用転写シートを示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施例の偽造防止表示方法を示す断面図である。
【図11】本発明の第4実施例の偽造防止表示用転写シートを示す断面図である。
【図12】本発明の第4実施例の偽造防止表示方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 偽造防止表示用転写シート
2 基材シート
3 易剥離層
4 角度依存フィルム
5 透明フィルム
6 蛍光印刷層
7 角度依存層
8 接着剤層
8a 接着層
9 ホットスタンプ
10 偽造防止対象物
11 偽造防止表示
12 蛍光文字
13 ブラックライト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とが形成され、上記角度依存フィルムの角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを特徴とする偽造防止表示用転写シート。
【請求項2】
剥離除去用の基材シートに対し、易剥離層を介して見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とが形成され、上記角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを特徴とする偽造防止表示用転写シート。
【請求項3】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層が形成され、上記角度依存フィルムの蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを特徴とする偽造防止表示用転写シート。
【請求項4】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層が形成され、上記角度依存フィルムの角度依存層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを特徴とする偽造防止表示用転写シート。
【請求項5】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムを積層し、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とを形成し、上記角度依存フィルムの角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存フィルムと角度依存層と蛍光印刷層とを転写することを特徴とする偽造防止表示方法。
【請求項6】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムを積層し、上記透明フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とを形成し、上記透明フィルムの角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存層と蛍光印刷層とを転写することを特徴とする偽造防止表示方法。
【請求項7】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明のホログラムフィルムを積層し、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層を形成し、上記角度依存フィルムの角度依存層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存フィルムと角度依存層を転写することを特徴とする偽造防止表示方法。
【請求項8】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムを積層し、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層を形成し、上記角度依存フィルムの蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存フィルムと蛍光印刷層を転写することを特徴とする偽造防止表示方法。
【請求項1】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とが形成され、上記角度依存フィルムの角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを特徴とする偽造防止表示用転写シート。
【請求項2】
剥離除去用の基材シートに対し、易剥離層を介して見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とが形成され、上記角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを特徴とする偽造防止表示用転写シート。
【請求項3】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層が形成され、上記角度依存フィルムの蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを特徴とする偽造防止表示用転写シート。
【請求項4】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムが積層され、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層が形成され、上記角度依存フィルムの角度依存層が形成された側に転写接着剤層が形成されていることを特徴とする偽造防止表示用転写シート。
【請求項5】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムを積層し、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とを形成し、上記角度依存フィルムの角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存フィルムと角度依存層と蛍光印刷層とを転写することを特徴とする偽造防止表示方法。
【請求項6】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムを積層し、上記透明フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層と、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層とを形成し、上記透明フィルムの角度依存層および蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存層と蛍光印刷層とを転写することを特徴とする偽造防止表示方法。
【請求項7】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明のホログラムフィルムを積層し、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、見る角度により反射光の色彩が変化する角度依存性インクにより形成された角度依存層を形成し、上記角度依存フィルムの角度依存層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存フィルムと角度依存層を転写することを特徴とする偽造防止表示方法。
【請求項8】
剥離除去用の基材シートに対して易剥離層を介して透明フィルムを積層し、上記透明フィルムが見る角度により視覚的効果が変化する角度依存フィルムであり、上記角度依存フィルムに対し、所定波長の光線に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより形成された蛍光印刷層を形成し、上記角度依存フィルムの蛍光印刷層が形成された側に転写接着剤層を形成し、上記転写接着剤層を偽造防止対象物に接着し、上記易剥離層から基材シートを除去することにより、偽造防止対象物に対し、上記角度依存フィルムと蛍光印刷層を転写することを特徴とする偽造防止表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−297684(P2006−297684A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120452(P2005−120452)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(504002056)
【出願人】(504057399)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(504002056)
【出願人】(504057399)
【Fターム(参考)】
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