説明

傘のしずく取り装置

【課題】本来の機能である傘のしずくを除去する機能に加え、宣伝広告媒体としての機能を持たせること。
【解決手段】本発明では、本体(2)の上部に開口(11)を形成し、傘の表面のしずくを落下させるためのしずく落下機構(3)を本体(2)の上部の開口(11)に配設するとともに、しずく落下機構(3)によって落下させたしずくを収容するためのしずく収容器(4)を本体(2)の下部に配設した傘のしずく取り装置(1)において、本体(2)は、外周部を外壁シート(18)で形成するとともに、外壁シート(18)の外側表面に透明シート(20)を着脱自在に取付け、外壁シート(18)と透明シート(20)とで間に収容した広告用シート(22)を挟持することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘の表面に付着した雨水のしずくを除去するための傘のしずく取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、店舗内に持ち込んだ傘の表面から雨水のしずくが床や商品に落下してしまうのを防止するために、店舗の入口に縦長のビニール袋を吊下げておき、店舗内に入る前に傘をビニール袋に収容するようにしていた。
【0003】
しかしながら、上記従来の方法ではビニール袋を大量に消費することになり、地球環境を破壊することにつながる。
【0004】
そのため、本願発明者は、上記ビニール袋に代わる傘のしずく取り装置を開発した(特許文献1参照。)。この傘のしずく取り装置は、本体の上部に開口を形成し、傘の表面のしずくを落下させるためのしずく落下機構を本体の上部の開口に配設するとともに、落下するしずくを収容するためのしずく収容器を本体の下部に配設した構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】再表2004−1307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者が開発した上記傘のしずく取り装置は、店舗の出入口に設置されるものであるため、人の目に触れる機会が多いものの、傘のしずくを取る機能しか有していなかった。
【0007】
そこで、本願発明者は、上記従来の傘のしずく取り装置にさらなる機能を設けられないか検討を重ね、本願発明を成すに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明では、本体の上部に開口を形成し、傘の表面のしずくを落下させるためのしずく落下機構を本体の上部の開口に配設するとともに、しずく落下機構によって落下させたしずくを収容するためのしずく収容器を本体の下部に配設した傘のしずく取り装置において、本体は、外周部を外壁シートで形成するとともに、外壁シートの外側表面に透明シートを着脱自在に取付け、外壁シートと透明シートとで間に収容した広告用シートを挟持することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記外壁シート及び透明シートは、しずく収容器を出し入れするための開口を本体の後方下部に形成することにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記しずく落下機構は、複数の撥水体を放射状に配置して中央に傘を挿通するための傘挿通空間を形成するとともに、全ての撥水体を傘挿通空間に向けて付勢することにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、傘のしずく取り装置において、本来の機能である傘のしずくを除去する機能に加え、宣伝広告媒体としての機能を持たせることができ、人目に触れる場所に設置される傘のしずく取り装置によって宣伝広告効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る傘のしずく取り装置を示す全体図((a)平面図、(b)正面図、(c)右側面図、(d)背面図、(e)底面図)。
【図2】同側面断面図。
【図3】同上部側平面断面図。
【図4】同下部側平面断面図。
【図5】外装シートを示す拡大断面図。
【図6】しずく落下機構を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る傘のしずく取り装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1〜図6に示すように、傘のしずく取り装置1は、全体として概略円柱形状となっており、中空円筒状の本体2の上部に傘の表面のしずくを下方に向けて落下させるためのしずく落下機構3を配置するとともに、本体2の下部にしずく落下機構3で落下させたしずくを収容するためのしずく収容器4を配置している。
【0016】
このように、傘のしずく取り装置1は、概ね本体2としずく落下機構3としずく収容器4とで構成しており、各部の具体的な構造について以下に順に説明する。
【0017】
まず、本体2の構造について説明すると、本体2は、円板状の台座5の上部に3本の支柱6の下端部を取付け、支柱6の上端部に円板状の蓋体7を取付け、台座5と蓋体7との間に外装シート8を取付けて内部の空間を被覆している。
【0018】
台座5は、上面外周部に外装シート8の下端縁を収容するための溝9を刻設しており、溝9は、傘のしずく取り装置1の左右後方側に位置する部分に一対のストッパ10,10を突設している。このストッパ10,10は、溝9に収容した外装シート8の左右端部に当接して、外装シート8が溝9に沿って回転してしまうのを防止している。
【0019】
支柱6は、下端部を台座5の上面に形成した凹部に嵌入し、上端部を蓋体7の下面に形成した凹部に嵌入している。
【0020】
蓋体7は、中央に傘を挿通させるための開口11を形成した円環状の蓋台12と、この蓋台12に上下回動自在に取付けた蓋13とで構成しており、蓋台12の後端部には、蓋13を開放状態に保持するための受台14を形成している。蓋台12は、円環状の枠体15と円環状の化粧枠16とで円環状の支持枠17を挟持した構成となっており、枠体15の下面に形成した凹部に支柱6を取付けるとともに、枠体15の下面に形成した溝に外装シート8の上端縁を収容し、化粧枠16の上面に蓋13を取付け、支持枠17の内側下部にしずく落下機構3を取付けている。
【0021】
外装シート8は、外壁シート18の左右端部を連結具19で連結して円筒状に丸めた形状に形成するとともに、外壁シート18と同様に円筒状に丸めた透明シート20の左右端部を外壁シート18の外側表面に面ファスナ21,21で取付け、これにより、外壁シート18の外側表面に透明シート20を着脱自在に取付けるとともに、外壁シート18と透明シート20との間に収容した広告用シート22を外壁シート18と透明シート20とで挟持できるようにしている。
【0022】
また、外装シート8は、外壁シート18と透明シート20の左右端下部を切り欠いて、しずく収容器4を出し入れするための開口23を本体2の後方下部に形成している。
【0023】
次に、しずく落下機構3の構造について説明すると、しずく落下機構3は、本体2の上部に配置した蓋体7に形成した開口11に取付けられている。
【0024】
このしずく落下機構3は、蓋体7の支持枠17の内側に中心部から放射状に配置した8個の三角柱状の撥水体24の外側上端部を回動自在かつ着脱自在に取付け、中心部から放射状に配置した8個の三角柱状の撥水体24の中央に傘を挿通するための上下に貫通する傘挿通空間25を形成し、さらに、8個の撥水体24の外周に伸縮性を有する帯26を巻付けて、8個全ての撥水体24を中央の傘挿通空間25に向けて付勢している。
【0025】
各撥水体24は、支持枠17に矩形板状の支持体27の上端部を回動自在かつ着脱自在に取付け、支持体27の内側表面に三角柱状の弾性体28を取付け、裏面を防水コーティングした布体29で弾性体28を被覆している。
【0026】
図3に示すように、8個の撥水体24のうちの4個の撥水体24は、中央側の頂部に布体29の先端部をヒダ状に張出させることによってヒダ部32を形成しており、それぞれの撥水体24を交互に配置している。
【0027】
次に、しずく収容器4の構造について説明すると、しずく収容器4は、本体2の台座5上部に載置されており、外装シート8の開口23から出し入れできるようになっている。
【0028】
このしずく収容器4は、上部を開口した有底箱型状の容器本体30の後方上部に持手31を形成している。
【0029】
傘のしずく取り装置1は、以上に説明したように構成しており、使用時には、蓋13を開放して本体2の上部の開口11からしずく落下機構3の傘挿通空間25を露出させておき、この傘挿通空間25に使用者が傘を挿通させて上下に摺動させるようにする。
【0030】
これにより、傘の表面がしずく落下機構3の撥水体24に当接し、傘の表面に付着した雨水のしずくが撥水体24によって傘の表面から剥離し下方に向けて落下してしずく収容器4の内部に収容され、傘の表面のしずくを除去することができる。特に、撥水体24に形成したヒダ部32によって傘の奥側細部のしずくをも除去することができる。
【0031】
このときに、上記傘のしずく取り装置1では、しずく落下機構3が、8個の撥水体24を放射状に配置して中央に傘を挿通するための傘挿通空間25を形成するとともに、全ての撥水体24を傘挿通空間25に向けて付勢しているため、傘の形状にかかわらず傘の表面に撥水体24が良好に当接することになり、傘の表面のしずくを良好に除去することができる。なお、従来の装置では、撥水体が固定されており、傘の形状によっては傘の表面と撥水体との間に間隙が形成されてしまい、傘の表面のしずくを良好に除去することができないおそれがあった。
【0032】
また、上記傘のしずく取り装置1では、本体2の外周部を外壁シート18で形成するとともに、外壁シート18の外側表面に透明シート20を着脱自在に取付け、外壁シート18と透明シート20とで間に収容した広告用シート22を挟持するように構成している。
【0033】
そのため、上記構成の傘のしずく取り装置1では、本来の機能である傘のしずくを除去する機能に加え、広告用シート22によって宣伝広告媒体としての機能を持たせることができ、人目に触れる場所に設置される傘のしずく取り装置1によって宣伝広告効果を高めることができる。
【0034】
しかも、上記構成の傘のしずく取り装置1では、広告用シート22を容易に交換することもできる。
【0035】
また、上記傘のしずく取り装置1では、外壁シート18及び透明シート20に形成したしずく収容器4を出し入れするための開口23を本体2の後方下部に形成するように構成している。
【0036】
そのため、上記構成の傘のしずく取り装置1では、前側からは開口23やしずく収容器4が見えず、前側全体に広告用シート22を配置させることができ、広告用シート22の占有面積を大きくすることができ、これによって宣伝広告効果をより一層高めることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 傘のしずく取り装置 2 本体
3 しずく落下機構 4 しずく収容器
5 台座 6 支柱
7 蓋体 8 外装シート
9 溝 10 ストッパ
11 開口 12 蓋台
13 蓋 14 受台
15 枠体 16 化粧枠
17 支持枠 18 外壁シート
19 連結具 20 透明シート
21 面ファスナ 22 広告用シート
23 開口 24 撥水体
25 傘挿通空間 26 帯
27 支持体 28 弾性体
29 布体 30 容器本体
31 持手 32 ヒダ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の上部に開口を形成し、傘の表面のしずくを落下させるためのしずく落下機構を本体の上部の開口に配設するとともに、しずく落下機構によって落下させたしずくを収容するためのしずく収容器を本体の下部に配設した傘のしずく取り装置において、
本体は、外周部を外壁シートで形成するとともに、外壁シートの外側表面に透明シートを着脱自在に取付け、外壁シートと透明シートとで間に収容した広告用シートを挟持することを特徴とする傘のしずく取り装置。
【請求項2】
前記外壁シート及び透明シートは、しずく収容器を出し入れするための開口を本体の後方下部に形成したことを特徴とする請求項1に記載の傘のしずく取り装置。
【請求項3】
前記しずく落下機構は、複数の撥水体を放射状に配置して中央に傘を挿通するための傘挿通空間を形成するとともに、全ての撥水体を傘挿通空間に向けて付勢したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の傘のしずく取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−17975(P2012−17975A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201932(P2011−201932)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3146716号
【原出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(301034625)有限会社日ノ出 (1)
【Fターム(参考)】