説明

傾斜した円形洗浄槽の中に、器具を固定するターンテーブルを有する器具洗浄乾燥器

【課題】医療施設における、二次感染の危険性を減らした自動洗浄乾燥機を提供する。
【解決手段】約20度傾斜させた円形洗浄槽1の中に噴射ノズル5から、円形洗浄槽1の半ばまで約40℃に加温された洗浄液6を注入する。円形洗浄槽1の中を回転移動する器具10には、洗浄液面に突入する際の衝撃、洗浄液面および液中を移動する時に生じる造波抵抗、洗浄液から出て回転移動する時の流液効果、洗浄液噴射ノズル5から噴射される洗浄液シャワーによる叩き洗い効果など、複数の物理的洗浄効果が生じる。すすぎ洗い作業終了後、アルコール噴霧ノズルから定量のアルコールを、器具10に噴霧して付着水滴を加水アルコールにする。アルコール噴霧が終了し、HEPAフィルターで除菌してから加温した温風を、送気口から円形洗浄槽1内に強く吹き込み、回転する器具に付着する加水アルコールを短時間にムラ無く蒸発乾燥させる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、医療施設において使用される手術器具、処置器具、内視鏡などの医療器具に附着する汚染有機物などを、高度に除去し、短時間に乾燥する自動洗浄乾燥器である。
【0002】
医療施設で使用する機器には血液や蛋白など附着するが、使用直後には、いちいち洗浄する時間が無いため乾燥固着してしまう、乾燥固着した有機物は超音波やディスインフェクターなどの自動洗浄装置のみでは十分除去できず、人手による剥離作業を前以て行なうなど、手間が掛かると共に作業者に対する感染の危険性がある、さらに複雑な洗浄作業ゆえに、洗浄滅菌済み器具の約30%に有機物残留があるといわれる。
【0003】
有機物が少々残留した器具でも、高圧滅菌すれば微生物は全て死滅する、しかしまれにではあるが、滅菌処理した器具を滅菌容器から出して使用準備している間に、器具に残留している有機物に、外部から偶然附着した微生物(細菌)が、有機物を糧として増殖し、その器具を使用した患者に感染して発症させることがある。
【0004】
救急急命センターや救急外来など、緊急性を要する患者を処置する施設では、患者が感染性微生物陽性であるか否か事前に知ることが出来ない。
それら患者には、HIVやHCVなど高感染性微生物陽性の可能性があるが、それに使用した医療器具の洗浄消毒に付いて、特に注意した設備の無いのが現状である。
【0005】
本発明は、洗浄結果にバラツキを生じたり、作業者へ感染する危険性のある人手を排し、医療器具使用現場で洗浄手技を必要とせず、直ちに短時間で十分な洗浄及び乾燥が可能な自動洗浄乾燥器である。
【0006】
本発明は、20度以上傾斜した円型洗浄槽1の内部に取り付けたターンテーブル2に器具10を固定し、モーター3により駆動されるターンテーブル2を回転させながら、洗浄液噴射ノズル5によって、円形洗浄槽1の中程まで約40℃に加温した洗浄液6を入れる。
ターンテーブル2の回転によって、円形洗浄槽1内を移動する器具10は、洗浄液面へ入る時の衝撃、液面および液中を移動することによって生じる造波抵抗、液面から出て回転移動する時の流液効果、洗浄液噴射ノズル5からの洗浄液シャワーによる角度の変わる叩き洗い効果など、複数の物理的洗浄効果が発揮される。
【0007】
これら複数の物理的効果を利用した洗浄は、CCDや精密レンズを装備する内視鏡など振動衝撃に弱い精密機器や、柔らかいゴム製品などに超音波洗浄が不適であること、ディスインフェクターの洗剤シャワーによる洗いムラなどを克服する方法である。
【0008】
本発明は、洗浄液6による洗剤洗浄を定時間行ってから排液し、続いて器具10に附着する洗浄液6を除去するため、温水によるオーバーフローすすぎ洗いを、温水を交換して2回以上行う。
規定のすすぎ洗いが終了して温水を排出した後、回転するターンテーブル2に固定した器具10に、アルコール噴射ノズル7からアルコールを一定量噴霧して、附着している水滴と混和させて加水アルコールとする。
次にヘパフィルターで除菌した外気をヒーターで40〜50℃に加温して送気口8から強力に送入し、器具10に附着する加水アルコールを短時間にムラ無く強制乾燥させる。
これにより、水滴拭取りや乾燥時に発生しやすい微生物再汚染を防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 円形洗浄槽とターンテーブルの断面図である。
【図2】 円形洗浄槽とターンテーブルの平面図である。
【符号の説明】
1 円形洗浄槽
2 ターンテーブル
3 モーター
4 蓋
5 洗浄液噴射ノズル
6 洗浄液
7 アルコール噴霧ノズル
8 送気口
9 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形洗浄槽の中に備えたターンテーブルに器具を固定して、円形洗浄槽の半ばまで入れた加温洗浄液中を回転させることにより、器具に複数の物理的洗浄効果を与える洗浄乾燥器。
【請求項2】
ターンテーブルの回転により、洗浄液中から露出して移動する器具に洗浄液を強く噴射し、物理的洗浄効果を追加した洗浄乾燥器。
【請求項3】
回転するターンテーブル上の、すすぎ洗いの水滴が附着した器具に、アルコールを一定量噴霧した後、ヘパフィルターで除菌した温風を吹き付けて、素早く十分な乾燥を自動で行う洗浄乾燥器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−200725(P2012−200725A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89577(P2011−89577)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(597118304)株式会社精研 (3)
【Fターム(参考)】