説明

像ぶれ補正装置

【課題】特別な構成を付加することなく、像が意図しない傾きを持つことのないように、光軸周りの回転ぶれ補正を行う。
【解決手段】撮影レンズを通過した被写体像がカメラ本体に内蔵されたプリズムを介して撮像素子の受光面上に結像されるカメラに対して、前記撮影レンズと前記カメラ本体との間に着脱自在に装着され、前記撮像素子の受光面上に結像される被写体像を回転させるプリズムを備えた像回転用アダプタと、前記撮影レンズの光軸周りの回転角を検出する角度検出手段と、前記角度検出手段が検出した情報に基づいて前記撮影レンズの前記光軸周りの回転ぶれ補正量を算出する補正量算出手段とを備え、算出された前記回転ぶれ補正量に基づいて前記像回転用アダプタのプリズムを回転することにより光軸周りの回転ぶれを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像ぶれ補正装置に係り、特に、撮影レンズとカメラ本体との間に装着され、撮像素子の受光面上に結像される被写体像を回転させる像回転用アダプタのプリズムの回転による像回転の仕組みを利用して、手振れによる光軸周りの回転振れ補正を行う像ぶれ補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラの像ぶれ補正装置は、撮影光軸に直交する面内で補正レンズを移動自在に支持し、カメラに振動が加わった際に、その振動を打ち消す方向に補正レンズをアクチュエータで移動させることによって像ぶれを補正している。
【0003】
カメラの像ぶれは、対物レンズの光軸あるいはこれに直交する軸の周りの回転ぶれ、及びこれらの軸方向のぶれなどがある。ここで、対物レンズの光軸を回転中心とする回転ぶれに起因する像ぶれを補正するものとして、例えば、対物レンズと結像面との間の光路中に配置され結像面上に形成される物体の像を対物レンズの光軸を回転中心として回転移動させるためのプリズムと、対物レンズの光軸を回転中心とするカメラ全体の回転ぶれを検出するためのぶれ検出装置と、プリズムを対物レンズの光軸を回転中心として回転移動させる駆動装置とを備えた像ぶれ補正機能を有するカメラが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−166805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のものでは、特別に回転ぶれを補正するためのプリズムやそれを回転駆動させるための駆動装置を備えなければならず、コスト高となるという問題がある。また、さらに上記従来のものは、ぶれ検出装置として角速度センサーあるいは角加速度センサーしか備えていないため、地軸との絶対的な傾きを検出することができず、レンズが傾いた状態が回転ぶれ補正の基準の位置となってしまう虞れがあり、そうすると像が意図しない傾きを持ってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、例えば像回転用アダプタのプリズムの回転による像回転の仕組みを利用することにより特別な構成を付加することなく、像が意図しない傾きを持つことなく、またカメラマンの意図を優先しつつ、光軸周りの回転ぶれ補正を行うことのできる像ぶれ補正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、カメラ本体に対して撮影レンズが着脱自在に設けられ、該撮影レンズを通過した被写体像がカメラ本体に内蔵されたプリズムを介して撮像素子の受光面上に結像されるカメラに対して、前記撮影レンズと前記カメラ本体との間に着脱自在に装着され、前記撮像素子の受光面上に結像される被写体像を回転させるプリズムを備えた像回転用アダプタと、前記撮影レンズの光軸周りの回転角を検出する角度検出手段と、前記角度検出手段が検出した情報に基づいて前記撮影レンズの前記光軸周りの回転ぶれ補正量を算出する補正量算出手段と、を備え、算出された前記回転ぶれ補正量に基づいて前記像回転用アダプタのプリズムを回転することにより光軸周りの回転ぶれを補正することを特徴とする像ぶれ補正装置を提供する。
【0008】
これにより、例えば像回転用アダプタのプリズムの回転による像回転の仕組みを利用して、特別な構成を付加することなく、像が意図しない傾きを持つことのないように、光軸周りの回転ぶれ補正を行うことができる。
【0009】
また、請求項2に示すように、請求項1に記載の像ぶれ補正装置であって、さらに、前記カメラ本体の傾きを検出する傾斜センサを備え、前記補正量算出手段は、前記傾斜センサ及び前記角度検出手段が検出した情報に基づいて前記撮影レンズの前記光軸周りの回転ぶれ補正量を算出することを特徴とする。
【0010】
これにより、傾斜センサから得られる絶対的な傾きの情報により角度検出手段の基準位置を正確に水平に設定することが可能となる。
【0011】
また、同様に前記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、カメラ本体の撮像素子の受光面上に結像される撮影レンズを通過した被写体像を前記撮影レンズの光軸の周りに回転移動させるプリズムと、前記カメラ本体の傾きを検出する傾斜センサと、前記撮影レンズの光軸周りの回転角を検出する角度検出手段と、前記傾斜センサ及び前記角度検出手段が検出した情報に基づいて前記撮影レンズの前記光軸周りの回転ぶれ補正量を算出する補正量算出手段とを備え、算出された前記回転ぶれ補正量に基づいて前記プリズムを回転することにより光軸周りの回転ぶれを補正するとともに、カメラマンがマニュアル操作を行ったことを検出するマニュアル操作検出手段を備え、マニュアル操作実行時には自動的に前記回転ぶれ補正を行わないようにし、該マニュアル操作完了時点を前記回転ぶれ補正の原点とすることを特徴とする像ぶれ補正装置を提供する。
【0012】
これにより、たとえ防振オンで回転ぶれ補正処理が実行中であっても、カメラマンがマニュアル操作を行ったときには、自動的に防振オフとすることで、マニュアル操作の優先を図りカメラマンが意図した撮影を行うことができる。
【0013】
また、請求項4に示すように、前記回転ぶれ補正を行うときには、回転ぶれ補正のための前記像を回転するプリズムの基準位置を決定するための初期設定を行うことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に示すように、前記初期設定は、前記傾斜センサの検出情報に基づいて自動で前記撮影レンズの傾斜を補正することにより、あるいはマニュアル操作によって、前記回転ぶれ補正のための基準位置を決定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に示すように、前記初期設定は、所定のトリガーによって実行されることを特徴とする。
【0016】
このように、初期設定により、撮影レンズの傾きを補正することにより、カメラマンの意図しない像の傾きを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、例えば像回転用アダプタのプリズムの回転による像回転の仕組みを利用することにより、特別な構成を付加することなく、像が意図しない傾きを持つことのないように、光軸周りの回転ぶれ補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)〜(c)はテレビカメラシステムのシステム構成図である。
【図2】テレビカメラシステムの光学系の概略構成図である。
【図3】像回転用アダプタの一実施形態の概略構成を示す概略図である。
【図4】第1プリズム(第2プリズム)の概略構成図である。
【図5】第2プリズムを光軸の回りに回転する回転駆動制御系の概略を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る防振処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】防振処理における初期設定の流れを示すフローチャートである。
【図8】鉛直方向に対して角度αだけレンズが傾いているときに得られる像の例を示す説明図であり、(a)は傾斜センサ及び角度センサを用いた場合、(b)は角度センサのみの場合である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る像ぶれ補正装置について詳細に説明する。
【0020】
図1(a)〜(c)は、本発明に係る像ぶれ補正装置が適用されたテレビカメラシステムのシステム構成図である。
【0021】
まず図1(a)に示すように、このテレビカメラシステム10は、テレビカメラ12と、撮影レンズ14と、像回転用アダプタ16とで構成されている。
【0022】
像回転用アダプタ16は、テレビカメラ12で撮影される映像を回転させて、特殊効果を与える際に使用するアダプタであり、必要に応じてテレビカメラ12と撮影レンズ14との間に装着される。すなわち、この像回転用アダプタ16は、図1(b)に示すように、映像を回転させて特殊効果を与える場合に、テレビカメラ12と撮影レンズ14との間に装着され、特殊効果撮影を行わない場合は、テレビカメラ12から外される。したがって、特殊効果撮影を行わない場合は、図1(c)に示すように、テレビカメラ12には撮影レンズ14が直接装着される。
【0023】
なお、撮影レンズ14は、その後端部にレンズ側マウント18が設けられており、このレンズ側マウント18をテレビカメラ12のカメラ本体12Aの先端部に設けられたカメラ側マウント20に取り付けることにより、カメラ本体12Aに装着される。
【0024】
像回転用アダプタ16は、その後端部にレンズ側マウント18と同一構成の後側マウント22が設けられており、この後側マウント22をテレビカメラ12のカメラ側マウント20に取り付けることにより、テレビカメラ12に装着できるように構成されている。
【0025】
また、像回転用アダプタ16の先端部には、カメラ側マウント20と同一構成の前側マウント24が設けられており、この前側マウント24に撮影レンズ14のレンズ側マウント18を取り付けることにより、撮影レンズ14を像回転用アダプタ16に装着できるように構成されている。
【0026】
図2は、図1に示したテレビカメラシステム10における光学系の概略構成図である。
【0027】
なお、同図において各レンズの構成は簡略化して示されており、複数のレンズからなるレンズ群を1つのレンズで示しているものもある。
【0028】
図2に示すように、撮影レンズ14のレンズ鏡筒30内には、前側から順にフォーカスレンズ32、ズームレンズ34、アイリス36、リレーレンズ38が配置されている。撮影レンズ14の先端から入射した被写体光は、これらの各レンズを通過して、撮影レンズ14の後端から出射される。
【0029】
像回転用アダプタ16のケース40内には、撮影レンズ14の光軸O上に、第1プリズム42、第2プリズム44、第1リレーレンズ46、第2リレーレンズ48が配置されている。撮影レンズ14の後端から出射した被写体光は、撮影レンズ14の光軸Oに沿って進行し、第1プリズム42、第2プリズム44、第1リレーレンズ46、第2リレーレンズ48を通過して、像回転用アダプタ16の後端から出射される。
【0030】
テレビカメラ12のカメラ本体12A内には、撮影レンズ14の光軸O上に色分解プリズム52が配置されており、像回転用アダプタ16の後端から出射した被写体光は、この色分解プリズム52によってR(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に分解される。そして、各色成分に分解された被写体光は、それぞれ各色成分用の撮像素子54R、54G、54Bの受光面に入射される。各撮像素子54R、54G、54Bの受光面に入射された被写体光は、各撮像素子54R、54G、54Bで電気信号に変換されたのち、周知の画像信号処理手段によって信号処理され、所定形式の映像信号として出力又は記録媒体に記録される。
【0031】
図3は、像回転用アダプタ16の概略構成を拡大して示す概略図である。
【0032】
像回転用アダプタ16は、ケース40内に撮影レンズ14の光軸O上に、第1プリズム42、第2プリズム44、第1リレーレンズ46、第2リレーレンズ48が配置され、撮影レンズ14の後端から出射した被写体光は、第1プリズム42、第2プリズム44、第1リレーレンズ46、第2リレーレンズ48を通過して、像回転用アダプタ16の後端から出射される。
【0033】
ケース40は、円筒状に形成され、その前端面に前側マウント24、後端面に後側マウント22が形成される。
【0034】
第1プリズム42は、ペチャンプリズムで構成され、図示しない保持枠に保持されて、撮影レンズ14の光軸O上に固定して設置されている。
【0035】
ペチャンプリズムは、三角プリズムをわずかの空気層を介して対向配置したプリズムの一種であり、図4に示したような光路が形成される。すなわち、撮影レンズ14を介して第1の三角プリズム42Aに入射した光は、面A1で反射した後、面A2で反射し、面A1から射出して空気層Hに出る。空気層Hに出た光は、第2の三角プリズム42Bの面B1に入射し、面B2で反射した後、さらに面B3と面B1で反射して、面B2から射出する。この際、光は光軸Oに沿って出射する。
【0036】
このように、ペチャンプリズムで構成された第1プリズム42は、光軸Oに沿って入射された光を5回反射させることにより、光軸Oに沿って出射させる。そして、この反射は奇数回であることから、像は反転されて出射される。
【0037】
なお、この第1プリズム42は、その光路長は、カメラ本体12Aに内蔵された色分解プリズム52の光路長と同じ長さに形成される。
【0038】
第1プリズム42から出射された被写体光は、合焦状態において、第1プリズム42と第2プリズム44との間で一度結像し、その後、第2プリズム44に入射する。以下、この第1プリズム42と第2プリズム44との間で被写体像が結像する位置を第1の結像位置という。
【0039】
ここで、上記のように、第1プリズム42は、カメラ本体12Aに内蔵された色分解プリズム52と同じ光路長で形成されているため、第1の結像位置で結像する像は、撮影レンズ14が想定した収差等が考慮された像が結像する。
【0040】
すなわち、撮影レンズ14は、カメラ本体12A内に色分解プリズム52を有するテレビカメラ12に対して、色分解プリズム52の存在を考慮して、収差等の設計が行われる。したがって、第1プリズム42の光路長を色分解プリズム52の光路長と同じにすることにより、収差等が考慮された良好な像を第1の結像位置に結像させることができる。
【0041】
第2プリズム44も第1プリズム42と同様にペチャンプリズムで構成され、第1プリズム42から出射される被写体光の光軸上に配置される。本例では、第1プリズム42がペチャンプリズムで構成され、その入射光軸と出射光軸とが同軸上に形成されているため、第1プリズム42と同様に第2プリズム44も撮影レンズ14の光軸O上に配置される。
【0042】
また、この第2プリズム44は、第1プリズム42と同様にペチャンプリズムで構成されることから、第2プリズム44に入射した被写体光は、プリズム内で5回反射されたのち、光軸Oに沿って出射される。この反射は奇数回であることから、像は反転されて出射される。
【0043】
ここで、第2プリズム44に入射される像は、第1プリズム42で反転された像が入射されることから、反転された像が、さらに反転されて、元に戻される。すなわち、第2プリズム44から出射される像は、撮影レンズ14から出射された像(=第1プリズム42に入射する像)と同じ像が出射される。
【0044】
このように、第2プリズム44は、第1プリズム42で反転された像は奇数回反射させることにより、さらに反転させて、元に戻す機能を有する。
【0045】
図3に示すように、この第2プリズム44は、プリズム保持枠60に保持されて、撮影レンズ14の光軸O上に配置されている。
【0046】
プリズム保持枠60は円筒状に形成されており、その内周部に第2プリズム44が収容されて保持されている。このプリズム保持枠60は、ケース40内に設置されたベアリング62によって、光軸O回りに回転自在に支持されている。第2プリズム44は、このプリズム保持枠60を回転させることにより、光軸Oの回りを回転する。
【0047】
プリズム保持枠60の外周には、ギア64が一体的に形成されている。このギア64には、駆動ギア66が噛み合わされている。駆動ギア66は、ケース40内に設置されたプリズム回転駆動モータ68の出力軸に連結されており、このプリズム回転駆動モータ68を駆動することにより正逆回転する。そして、この駆動ギア66が回転することにより、プリズム保持枠60が回転し、第2プリズム44が光軸O回りに回転する。
【0048】
このように、第2プリズム44は、プリズム回転駆動モータ68を駆動することにより、光軸O回りに回転する。そして、この第2プリズム44が光軸O回りに回転することにより、第2プリズム44から出射される被写体像が光軸O回りに回転する。この回転は、第2プリズム44の二倍の速度で回転する。すなわち、第2プリズム44が45度回転すると、第2プリズム44から出射される像は90度回転し、第2プリズム44が90度回転すると、第2プリズム44から出射される像は180度回転する。
【0049】
なお、プリズム回転駆動モータ68の駆動を制御する制御系については、詳しくは後述する。
【0050】
第2プリズム44から出射した被写体光は、第1リレーレンズ46、第2リレーレンズ48を通過して、像回転用アダプタ16から出射される。
【0051】
この第1リレーレンズ46と第2リレーレンズ48は、リレー光学系を構成し、第2プリズム44から出射された被写体光を集光して、カメラ本体12Aに内蔵された撮像素子54R、54G、54Bの受光面上に再結像させる。
【0052】
これにより、撮像素子54R、54G、54Bの受光面上には、像回転用アダプタ16を装着していても、装着していなくても同じ被写体像が結像される。
【0053】
図5に、第2プリズム44を光軸Oの回りに回転する回転駆動制御系及びこれを利用した光軸周りの回転像ぶれを補正する本発明に係る像ぶれ補正装置の一実施形態の概略を示す。
【0054】
図5に示すように、第2プリズム44を回転するプリズム回転駆動モータ68は、マイコン70によって制御される。マイコン70は、D/A(デジタル・アナログ変換器)72を介してプリズム回転駆動モータ68に駆動信号を送りその回転駆動を制御する。
【0055】
また、プリズム回転駆動モータ68には、エンコーダ74が設けられており、このエンコーダ74で検出された信号はカウンタ76でカウントされて出力軸の回転位置情報としてマイコン70に出力される。なお、本実施形態では、1回転(0°〜360°)を0から4095のデジタル値で表して、第2プリズム44の回転方向及び位置を検出して制御する。
【0056】
また、マイコン70に対して各種制御を指示するための信号を入力する様々な操作ボタン(操作スイッチ)が設けられている。例えば、右方向(正方向、時計回り)への回転を指示する右回転ボタンR、左方向(負(逆)方向、反時計回り)への回転を指示する左回転ボタンL、強制的に正立位置(被写体像が正立する位置)に戻す強制正立ボタン(リセットボタン)80a、予め設定された目標位置(ショット位置)に回転して停止させるいわゆるプリセットを実行するためのショットボタン(SHOT1)82a、さらに強制正立ボタン80a、ショットボタン82aに対して、それぞれ強制正立位置及びその目標位置(ショット位置)を設定するための強制正立位置設定ボタン(強制正立MEMO)80b、ショット位置設定ボタン(SHOT1MEMO)82bが設けられている。
【0057】
なお、目標位置は一つだけでなく複数設定することができるようにショットボタン及びショット位置設定ボタンは、SHOT2、SHOT2MEMO、・・・のように複数設けることが好ましい。
【0058】
また、その他に、回転速度を設定/調整するスピード調整ボリューム84、スピード調整ボリューム84から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換してマイコン70に入力するA/D(アナログ・デジタル変換器)86、予め設定された強制正立位置及び目標位置を記憶するとともに、マイコン70が実行する制御プログラムを記憶するメモリ88、カメラ本体が地面(水平)に対して傾いていることを検出する傾斜センサ90とその検出信号であるアナログ信号をデジタル信号に変換してマイコン70に入力するA/D92、光軸周りの回転角情報を取得する手段としての角速度センサ94(角度検出手段)とその検出信号であるアナログ信号をデジタル信号に変換してマイコン70に入力するA/D96、回転ぶれ補正を行うようにするための防振オン/オフスイッチ97、傾斜センサ90により水平に対する傾きの検出を行うようにするための水平オン/オフスイッチ98、及び防振オンにして回転ぶれ補正を開始する際、初期設定で角速度センサ94の基準位置を決めるためのリセットスイッチ99等が設けられている。
【0059】
なお、本実施形態では、傾斜センサ90を備えているが、傾斜センサ90を備えない構成としてもよい。
【0060】
なお、右回転ボタンRは、第2プリズム44が停止している時に押されると、第2プリズム44は右回転を始め、もう一度押されると右回転を停止するようになっている。このように、右回転ボタンRを一度押せば、ずっと押し続けていなくとも、右回転を続けるので、押した後はボタンから手を離すことができ、手がフリーになる。また、右回転中に右回転ボタンRを押すと回転は停止され、左回転中に右回転ボタンRを押すと右回転するようになっている。左回転ボタンLについても同様である。
【0061】
ここで、このようなボタンの代わりにシーソー型スイッチを用いて右回転と左回転を切り替えるとともに、スイッチを押下している間中回転し、手を離すと停止するようにすることもできるが、このようなシーソー型スイッチだと回転中ずっと手でスイッチを抑えていなければならないので、手を空けることができないという問題がある。そこで本実施形態では、シーソーに替えて回転を開始/停止させるボタン(スイッチ)と、回転速度を調整するボリュームを設けるようにしたものである。これにより、回転中でも手を離すことができ、カメラマンの負担を軽減することが可能となった。
【0062】
上記のように、像回転用アダプタ16は、特殊効果撮影を行う場合に使用する。したがって、特殊効果撮影を行わない場合は、図1(c)に示すように、撮影レンズ14をカメラ本体12Aに直接装着して撮影する。この場合、撮影レンズ14を通過した光は、直接カメラ本体12Aに入射し、色分解プリズム52を介して撮像素子54R、54G、54Bに受光される。なお、像回転用アダプタ16を装着したままでも通常の撮影は可能である。
【0063】
一方、必要に応じて映像を回転させるという特殊効果撮影を行う場合は、図1(b)に示すように、撮影レンズ14とカメラ本体12Aとの間に像回転用アダプタ16を装着して撮影を行う。
【0064】
像回転用アダプタ16が装着されると、撮影レンズ14を通過した光は、像回転用アダプタ16を介して撮像素子54R、54G、54Bに受光される。具体的には、撮影レンズ14を通過後、像回転用アダプタ16内に入射し、第1プリズム42、第2プリズム44、第1リレーレンズ46、第2リレーレンズ48を介してテレビカメラ12に出射される。
【0065】
この際、被写体光は、第1プリズム42を通過する際に第1プリズム42内を5回反射されて光軸O上に出射される。これにより、像が反転される。
【0066】
第1プリズム42を通過した被写体光は、一度第1の結像位置で結像した後、第2プリズム44に入射する。そして、第2プリズム44で5回反射されて光軸O上に出射される。これにより、反転された像が、再度反転されて、元に戻される。
【0067】
第2プリズム44を通過した被写体光は、リレー光学系を構成する第1リレーレンズ46と第2リレーレンズ48を通過して、像回転用アダプタ16から出射される。そして、この像回転用アダプタ16から出射された被写体光が、テレビカメラ12の色分解プリズム52を介して撮像素子54R、54G、54Bの受光面上に結像される。
【0068】
この撮像素子54R、54G、54Bの受光面上に結像されるに被写体像は、第2プリズム44を回転させることにより、各撮像素子54R、54G、54Bの中心を回転中心にして回転する。
【0069】
この各撮像素子54R、54G、54Bの受光面上に結像される被写体像の回転は、第2プリズム44の回転の二倍となる。すなわち、第2プリズム44を1回転させると、各撮像素子54R、54G、54Bに結像される被写体像は2回転する。したがって、第2プリズム44を90度回転させると、各撮像素子54R、54G、54Bに結像される被写体像は180度回転する。
【0070】
この第2プリズム44の回転操作は、右回転ボタンR又は左回転ボタンLで行われ、この右回転ボタンR又は左回転ボタンLからの入力に基づいて、第2プリズム44が回転駆動される。たとえば、右(正)回転ボタンを操作(押下)すると、その操作信号がマイコン70に入力される。マイコン70は、その操作信号に基づいて駆動信号を出力し、プリズム回転駆動モータ68を右方向へ回転駆動させる。これにより、第2プリズム44が所定の回転速度(スピード調整ボリューム84で設定された回転速度)で右回転(正回転、時計回り回転)し、各撮像素子54R、54G、54Bに結像される被写体像が右回転する。また、逆に左回転ボタンLを操作(押下)すると、その操作信号がマイコン70に入力される。マイコン70は、その操作信号に基づいて駆動信号を出力し、プリズム回転駆動モータ68を回転駆動させる。これにより、第2プリズム44が所定の回転速度で左回転(逆回転、反時計回り回転)し、各撮像素子54R、54G、54Bに結像される被写体像が左回転する。
【0071】
このように、右回転ボタンR又は左回転ボタンLを操作すると、第2プリズム44が回転し、各撮像素子54R、54G、54Bに結像される被写体像が回転する。
【0072】
なお、第2プリズム44は、初期状態において、所定の基準位置に位置している。この位置において、撮像素子54R、54G、54Bの受光面上には、像回転用アダプタ16を装着していない時と同じ像が結像される。すなわち、撮像素子54R、54G、54Bの受光面上に結像する被写体像は、第2プリズム44の回転位置に応じて変化(回転)するため、初期状態においては、像回転用アダプタ16を装着していない時と同じ被写体像が撮像されるように、所定の基準位置に位置する。
【0073】
このように、像回転用アダプタ16は、テレビカメラ12に装着したままにしておいても、通常の撮影を行うことができる。これにより、通常の撮影と特殊効果撮影とを切り替えて行う場合においても、面倒な着脱操作を行うことなく使用することができる。
【0074】
また、強制正立ボタン80aが操作されると、第2プリズム44は、予め設定された正立位置(基準位置)に強制的に復帰する。これにより、像回転用アダプタ16を装着していない時と同じ被写体像(傾きのない被写体像)を撮像することができる。
【0075】
なお、第2プリズム44を回転させる態様は、種々の態様を採用することができる。たとえば、右回転ボタンR又は左回転ボタンLを押下している間、第2プリズム44を回転させる態様や、右回転ボタンR又は左回転ボタンLを1回押下すると、所定回数回転する態様としたり、また、ショットボタン82aを押下することにより、予め設定したショット位置に回転させる等、種々の態様を採ることができる。
【0076】
また、プリセットを設定する目標位置の設定方法も上で説明したような位置設定ボタンによることなく、例えばショットボタンの長押しによってそのときの現在位置を設定するようにしてもよい。
【0077】
なお、強制正立やプリセットに正立位置を記憶させる場合に、三脚が傾いていたり、ステディカムを使用しているなどの何らかの原因によってカメラが傾いていると、傾いた分その位置がずれてしまい正立位置ではなくなってしまうという問題がある。本実施形態は、これに対して、傾斜センサ90を設けて、カメラが傾いていることを検出した場合には、マイコン70がその検出信号を受けてプリセット位置を自動的に補正するようにしたものである。
【0078】
以上説明したように、本実施の形態の像回転用アダプタ16を装着することにより、必要に応じて映像を回転させて撮影する、特殊効果撮影を行うことができる。そして、この像回転用アダプタ16は、既存の撮影レンズ14とテレビカメラ12に使用することができるので、簡単に既存のテレビカメラシステムに特殊撮影機能を付加することができる。
【0079】
また、本実施の形態の像回転用アダプタ16は、テレビカメラ12に装着した場合であっても、装着していないときと同じ映像を撮影することができるので、装着した場合と装着していない場合とで同じ操作感で撮影操作を行うことができる。すなわち、撮影された映像の反転処理や、その反転処理を行うための設定の切り替え操作等を行うことなく、通常と同じ操作で撮影操作を行うことができる。これにより、使い勝手のよいシステムを構築することができる。
【0080】
また、本実施の形態の像回転用アダプタ16は、像回転用アダプタ16内で一度像を結像させる構成としている。この際、結像させる前の光路中にテレビカメラ12内の色分解プリズム52の光路長と同じ光路長の第1プリズム42を配置しているため、収差等が考慮された良好な像を結像させることができる。これにより、撮影レンズ14の性能を損なわずに、良好な映像をテレビカメラ12で撮影することができる。
【0081】
なお、被写体像を単に回転させるだけであれば、撮影光路中に被写体光を奇数回反射させるプリズム(奇数回反射プリズム)を配置し、当該プリズムを回転させればよい(被写体光を偶数回反射させるプリズムの場合、回転させても被写体像を回転させることはできない。)。
【0082】
しかし、奇数回反射プリズムを使用すると、プリズムに入射する前の画像に対して、出射した後の画像が、裏画(左右反転した画像)になってしまうという問題がある。したがって、その裏画の画像をどこかで表画(左右反転していない画像)に戻す必要がある。
【0083】
裏画を表画に戻すには、奇数回反射プリズムを再度使用すればよいが、その奇数回反射プリズムを配置するためのスペースが必要になり、本実施形態のようなアダプタの場合、アダプタが大型化してしまうという問題がある。
【0084】
また、撮影された画像に対して画像処理で表画に戻すこともできるが、この方法の場合、当該機能をテレビカメラ側に付加しなければならないという問題がある。
【0085】
一方、既存の撮影レンズと既存のテレビカメラとの間に本発明のようなアダプタを配置した場合、アダプタの厚み分、撮影レンズとテレビカメラとの位置関係がズレ、結像位置もズレることになる。
【0086】
そこで、本実施形態では、アダプタ内で一度結像させ、さらにリレー光学系でリレーして、テレビカメラ内の撮像素子に再結像させる構造としている。
【0087】
この際、一旦結像させる前の光路中にテレビカメラ内のプリズム(色分解プリズム)と同じ光路長を持つプリズムを配置させるようにすると、既存の撮影レンズが収差等を考慮した最適な状態で結像させることができる。
【0088】
この結像前の光路中に配置されるプリズムとしては、テレビカメラ内のプリズム(色分解プリズム)と同じ光路長を持つプリズムであれば性能上は問題ないが、このプリズムを配置するためのスペースが必要になり、本実施形態のようなアダプタの場合、アダプタが大型化してしまうという問題がある。
【0089】
以上のように、単純に考えれば、一旦結像させる前のプリズム、被写体回転用の奇数回反射プリズム、裏画を表画に戻す奇数回反射プリズムをそれぞれ配置すれば性能的には問題ないが、アダプタが大型化するという問題は依然として残ってしまう。
【0090】
そこで本実施形態では、一旦結像させる前のプリズムと裏画を表画に戻す奇数回反射プリズムとを兼用させることで、アダプタが大型化しないようにしている。
【0091】
なお、上記実施の形態の像回転用アダプタ16では、第1プリズム42の光路長をテレビカメラ12内の色分解プリズム52の光路長と同じに設定しているが、第1プリズム42の光路長とテレビカメラ12内の色分解プリズム52の光路長は、必ずしも完全に一致させる必要はなく、許容される範囲内で近い値に設定することができる。すなわち、第1プリズム42の光路長は、テレビカメラ内の設置されるプリズムの光路長と同じであることが好ましいが、±5mm程度の範囲内であれば、問題なく良好な映像を撮影することができる。好ましくは、テレビカメラ内に設置されるプリズムの光路長に対して±2mm程度の範囲内に設定するのがよい。
【0092】
また、第1プリズム42の材質についても、テレビカメラ12内に設置されるプリズムと同じものを使用することが好ましいが、必ずしも同じものを使用する必要はなく、同様の作用効果の得られるものであれば、他の材質のものを使用することができる。
【0093】
また、上記実施の形態では、第1プリズム42及び第2プリズム44をペチャンプリズムで構成しているが、第1プリズム42及び第2プリズム44を構成するプリズムは、これに限定されるものではない。すなわち、入射した光を奇数回反射させることにより、像を反転させて出射する構成のプリズムであれば、他の構成のプリズムを用いてもよい。この場合、第2プリズム44については、入射光軸と出射光軸が同軸上に位置する構成のものを用いることとするが、第1プリズム42については、少なくとも入射光軸と出射光軸が平行になる構成のものであればよい。また、第1プリズム42と第2プリズム44は、必ずしも同じ構成のプリズムを用いる必要はない。
【0094】
次に、フローチャートに沿って本発明に係る回転ぶれ補正を行う防振処理の流れについて説明する。
【0095】
本発明は、上で説明した像回転用アダプタ16を利用して光軸周りの回転ぶれ補正を行うものである。
【0096】
図6は、防振処理の流れを示すフローチャートである。
【0097】
まず、図6のステップS100において、光軸の周りの回転ぶれについて防振の処理をするか否か判断する。これは防振オン/オフスイッチ97がオンになっているかどうかで判断する。防振オフの場合には直ちに処理を終了する。
【0098】
ステップS100の判断で、防振オンの場合には、次のステップS110において、初期設定を行う。
【0099】
図7に、初期設定の流れをフローチャートで示す。
【0100】
初期設定に入ると、まず図7のステップS112において、テレビカメラ12を地面と平行(水平)にするか否か判断する。
【0101】
テレビカメラ12を地面と平行(水平)にする場合には、次のステップS114で傾斜センサ90から傾き情報を取得する。傾斜センサ90で得られた傾き情報はA/D92によってデジタル信号に変換されてマイコン70に入力される。
【0102】
するとステップS116において、マイコン70は、入力された傾き情報に基づいて、D/A72を介してプリズム回転駆動モータ68に駆動信号を送り、第2プリズム44を回転駆動してレンズ(撮影レンズ14)の傾斜を補正する。
【0103】
また一方、ステップS112において、テレビカメラ12を地面と平行(水平)にしないと判断された場合には、ステップS118において、リセットスイッチ99を押下してマニュアル操作によって防振処理の基準位置を設定する。
【0104】
上述したように、レンズアダプタに正立像を得ることを目的とする傾斜センサ90が設けられている。傾斜センサ90では傾きを検出することはできるが、手振れ補正に用いるには傾斜センサ90では応答性が悪いという問題がある。この点を考慮して、本実施形態では、傾き角度の検出手段として角速度センサ94が用いられる。
【0105】
角速度センサ94は、傾斜センサ90と違い、地軸との絶対的な傾きを検出することはできない。そのために回転ぶれ補正のための基準位置を決定する初期設定作業を行うものである。この回転ぶれ補正のための基準位置を決定する初期設定作業を行うことにより、基準からの振れ量が取得できるようになり、検出した振れ量をキャンセルするような角度だけ第2プリズム44を回転させて回転ぶれ補正が行われる。
【0106】
しかし、初期設定時にレンズが傾いていると傾いた状態が基準となってしまい、像が意図しない傾きを持ってしまうという問題がある。
【0107】
例えば、テレビカメラシステム10が角速度センサ94しか備えていない場合には、レンズの鉛直方向に対する傾きが検知できないため、図8(b)に示すように、鉛直方向に対して角度αだけレンズが傾いているとき、破線で示した軸のように傾いた状態が回転ぶれ補正のための基準となってしまう可能性がある。
【0108】
このとき図8(b)に矢印で示したように、基準である破線軸に合わせるように破線軸の周りの方向に補正が行われるため、実線枠で示した像104が傾斜補正によって得られる像となる。
【0109】
これに対して、本実施形態のように、傾斜センサ90と角速度センサ94の両方を備えている場合には、初期設定時に、図8(a)に示すように同様に鉛直方向に対して角度αだけレンズが傾いていても、傾斜センサ90により鉛直方向に対する傾きを検知できるので、図8(a)中に実線で示す軸が回転ぶれ補正のための基準位置となるように初期設定することができる。
【0110】
そこで、このときは図8(a)中に矢印で示したように実線軸の周りの方向に補正が行われるため、この場合の傾斜補正によって得られる像は図に実線枠で示したような像102となり、きちんとした傾きのない像(正立像)が得られる。なお、この場合に傾斜補正を行わない場合には図中に点線枠で示したように鉛直方向から角度αだけ傾いた像100が得られる。
【0111】
このように本実施形態においては、角速度センサ94と傾斜センサ90の両方を用い、傾斜センサ90から得られる絶対的な傾きの情報を使うことで、角速度センサ94の回転ぶれ補正のための基準位置の問題を解決し、常に水平を保った像を得ることができる。
【0112】
再び図6のフローチャートに戻り、ステップS110の初期設定が終了したら、次にステップS120において、角速度センサ94からそのときのレンズの回転角情報を取得する。角速度センサ94によって取得された回転角情報はA/D96によってデジタル信号に変換されてマイコン70に入力される。
【0113】
次にステップS130において、マイコン70は入力された回転角情報から第2プリズム44を回転させる補正量を演算する。この補正量は、上で得られた回転角情報と、上で設定された基準位置とに基づいて演算される。
【0114】
次に、ステップS140において、マイコン70は、上で算出された補正量により第2プリズム44を回転駆動する駆動信号をプリズム回転駆動モータ68に対して出力し、第2プリズム44を回転することにより角度補正を行うことにより回転ぶれ補正を行う。
【0115】
次に、ステップS150において、防振オフとなったか否か判断する。防振オフか否かは、防振オン/オフスイッチ97がオフとなっているかどうかで判断される。防振オフでなければ、ステップS110に戻り、再び初期設定以下の処理を繰り返す。また、防振オフとなった場合には、防振処理を終了する。
【0116】
なお、ステップS110の初期設定からステップS150の防振オフか否かの判断までの処理を繰り返す際、ステップS110の初期設定は、初期設定を行うためのトリガーを用意しておき、このトリガーがかかっているときのみ初期設定を行い、トリガーがかかっていないときには初期設定を行わないようにしてもよい。
【0117】
また、防振オン/オフスイッチ97が押下されて防振オンとなっている場合であっても、マイコン70がカメラマンがマニュアル操作に入ったことを検知した場合には、自動的に防振オフとして回転ぶれ補正の処理を行わないようにすることが好ましい。例えば、カメラマンが特殊効果等を狙ってマニュアル操作を行っているような場合には、そのカメラマンの意思を優先させようとするものである。
【0118】
そして、この場合、マニュアル操作が完了した時点を回転ぶれ補正の原点とすることが好ましい。すなわち、マニュアル操作が完了したときのレンズ位置を回転ぶれ補正のための基準位置とするものである。またあるいは、このときトリガーをかけて、改めて初期設定を行い、基準位置を決定するようにしてもよい。
【0119】
また、このとき、上述したように像回転用アダプタ中のプリズムを用いて回転ぶれ補正を行うのではなく、カメラに内蔵されたプリズムを回転することにより光軸の周りに像を回転して回転ぶれ補正を行うような構成としてもよい。
【0120】
以上、本発明の像ぶれ補正装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0121】
10…テレビカメラシステム、12…テレビカメラ、12A…カメラ本体、14…撮影レンズ、16…像回転用アダプタ、18…レンズ側マウント、20…カメラ側マウント、22…後側マウント、24…前側マウント、30…レンズ鏡筒、32…フォーカスレンズ、34…ズームレンズ、36…アイリス、38…リレーレンズ、40…ケース、42…第1プリズム、44…第2プリズム、46…第1リレーレンズ、48…第2リレーレンズ、52…色分解プリズム、54R、54G、54B…撮像素子、60…プリズム保持枠、62…ベアリング、64…ギア、66…駆動ギア、68…プリズム回転駆動モータ、70…マイコン、72…D/A、74…エンコーダ、76…カウンタ、80a…強制正立ボタン、80b…強制正立位置設定ボタン、82a…ショットボタン、82b…ショット位置設定ボタン、84…スピード調整ボリューム、86、92、96…A/D、88…メモリ、90…傾斜センサ、94…角速度センサ、97…防振オン/オフスイッチ、98…水平オン/オフスイッチ、99…リセットスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体に対して撮影レンズが着脱自在に設けられ、該撮影レンズを通過した被写体像がカメラ本体に内蔵されたプリズムを介して撮像素子の受光面上に結像されるカメラに対して、前記撮影レンズと前記カメラ本体との間に着脱自在に装着され、前記撮像素子の受光面上に結像される被写体像を回転させるプリズムを備えた像回転用アダプタと、
前記撮影レンズの光軸周りの回転角を検出する角度検出手段と、
前記角度検出手段が検出した情報に基づいて前記撮影レンズの前記光軸周りの回転ぶれ補正量を算出する補正量算出手段と、
を備え、算出された前記回転ぶれ補正量に基づいて前記像回転用アダプタのプリズムを回転することにより光軸周りの回転ぶれを補正することを特徴とする像ぶれ補正装置。
【請求項2】
請求項1に記載の像ぶれ補正装置であって、さらに、前記カメラ本体の傾きを検出する傾斜センサを備え、前記補正量算出手段は、前記傾斜センサ及び前記角度検出手段が検出した情報に基づいて前記撮影レンズの前記光軸周りの回転ぶれ補正量を算出することを特徴とする像ぶれ補正装置。
【請求項3】
カメラ本体の撮像素子の受光面上に結像される撮影レンズを通過した被写体像を前記撮影レンズの光軸の周りに回転移動させるプリズムと、前記カメラ本体の傾きを検出する傾斜センサと、前記撮影レンズの光軸周りの回転角を検出する角度検出手段と、前記傾斜センサ及び前記角度検出手段が検出した情報に基づいて前記撮影レンズの前記光軸周りの回転ぶれ補正量を算出する補正量算出手段とを備え、算出された前記回転ぶれ補正量に基づいて前記プリズムを回転することにより光軸周りの回転ぶれを補正するとともに、
カメラマンがマニュアル操作を行ったことを検出するマニュアル操作検出手段を備え、
マニュアル操作実行時には自動的に前記回転ぶれ補正を行わないようにし、該マニュアル操作完了時点を前記回転ぶれ補正の原点とすることを特徴とする像ぶれ補正装置。
【請求項4】
前記回転ぶれ補正を行うときには、回転ぶれ補正のための前記像を回転するプリズムの基準位置を決定するための初期設定を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の像ぶれ補正装置。
【請求項5】
前記初期設定は、前記傾斜センサの検出情報に基づいて自動で前記撮影レンズの傾斜を補正することにより、あるいはマニュアル操作によって、前記回転ぶれ補正のための基準位置を決定することを特徴とする請求項4に記載の像ぶれ補正装置。
【請求項6】
前記初期設定は、所定のトリガーによって実行されることを特徴とする請求項4または5に記載の像ぶれ補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−181649(P2010−181649A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25243(P2009−25243)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】