説明

像保持体及び画像形成装置

【課題】画像のざらつき感が増すことを抑制することができる像保持体及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】像保持体44aの感光層82の表面には、初期状態において、回転方向(周方向)に配列された凹部(ディンプル)88の列が複数列形成されている。凹部88は、像保持体44aの軸方向の幅が例えば約20μmにされており、深さが例えば0.2〜1μmにされている。また、凹部88は、例えば32μm間隔(800dpiのドット間隔に相当)で連続するように回転方向に配列され、像保持体44aの軸方向の相互間隔が例えば42μm間隔(600dpiのドット間隔に相当)にされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像保持体及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、円筒状支持体上に設けられた有機感光層の表面にディンプル形状の凹部を複数有する電子写真感光体に静電潜像を形成する画像形成方法を開示する。また、特許文献2は、電子写真感光体の表面に粉体を衝突させる処理により形成したディンプル形状の凹部を複数有する電子写真装置を開示する。また、特許文献3は、帯電層が、粒径7〜30μmの弾性体粒子が分散された弾性体によって形成され、表面の粗度Rzが7〜30μmに形成された帯電ロールを開示する。
【0003】
【特許文献1】特開2006−330425号公報
【特許文献2】特開2006−267885号公報
【特許文献3】特許第3024248号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像のざらつき感が増すことを抑制することができる像保持体及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、円筒状の支持体と、この支持体の外面を覆う感光層と、を有し、表面には複数列の凹部が周方向に配列されている像保持体である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、円筒状の支持体と、この支持体の外面を覆う感光層と、を有し、表面には複数列の溝部が周方向に形成されている像保持体である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、像保持体と、この像保持体に対し、外添剤を添加された現像剤を供給する現像剤供給手段と、を具備し、前記像保持体は、円筒状の支持体と、この支持体の外面を覆う感光層と、を有し、表面には複数列の凹部が周方向に配列されている画像形成装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記凹部の深さは、前記現像剤供給手段が供給する現像剤の平均粒径よりも浅く、外添剤の平均粒径よりも深い請求項3記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、像保持体と、この像保持体に対し、外添剤を添加された現像剤を供給する現像剤供給手段と、を具備し、前記像保持体は、円筒状の支持体と、この支持体の外面を覆う感光層と、を有し、表面には複数列の溝部が周方向に形成されている画像形成装置である。
【0010】
請求項6に係る本発明は、前記溝部の深さは、前記現像剤供給手段が供給する現像剤の平均粒径よりも浅く、外添剤の平均粒径よりも深い請求項5記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項7に係る本発明は、周期的に配列された複数列の凹部を外面に具備し、接触して前記像保持体を帯電させる円筒状の帯電装置をさらに有する請求項3乃至6いずれか記載の画像形成装置である。
【0012】
請求項8に係る本発明は、前記帯電装置は、周方向とは異なる予め定められた方向に前記帯電装置の凹部が配列されている請求項7記載の画像形成装置である。
【0013】
請求項9に係る本発明は、前記帯電装置の凹部は、前記現像剤供給手段が供給する現像剤の平均粒径よりも高低差が小さく、且つ、外添剤の平均粒径よりも高低差が大きくされている請求項7又は8記載の画像形成装置である。
【0014】
請求項10に係る本発明は、前記像保持体に残留する現像剤を掻き取ることにより、前記像保持体を清掃する板状の清掃部材をさらに有する請求項3乃至9いずれか記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、2に係る本発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、画像のざらつき感が増すことを抑制する像保持体を提供することができる。
【0016】
請求項3、5に係る本発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、画像のざらつき感が増すことを抑制する画像形成装置を提供することができる。
【0017】
請求項4、6に係る本発明によれば、請求項3、5に係る本発明の効果に加えて、本構成を有しない場合に比較して、感光層の長寿命化を図ることができる。
【0018】
請求項7に係る本発明によれば、請求項3乃至6いずれかに係る本発明の効果に加えて、本構成を有しない場合に比較して、画像の不規則なモアレの発生を抑制することができる。
【0019】
請求項8に係る本発明によれば、請求項7に係る本発明の効果に加えて、本構成を有しない場合に比較して、さらに画像の不規則なモアレの発生を抑制することができる。
【0020】
請求項9に係る本発明によれば、請求項7又は8に係る本発明の効果に加えて、本構成を有しない場合に比較して、帯電装置の長寿命化を図ることができる。
【0021】
請求項10に係る本発明によれば、請求項3乃至9いずれかに係る本発明の効果に加えて、画像の横スジなどのノイズが増すことを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の概要が示されている。画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、画像形成装置本体12の下部に例えば1段の給紙ユニット14が配置されている。
【0023】
給紙ユニット14は、用紙などの記録媒体が収納される給紙カセット16を有する。給紙カセット16の奥端近傍上部には用紙をピックアップするピックアップロール18が配置され、このピックアップロール18の前方にフィードロール20及びリタードロール22が配置されている。フィードロール20は、用紙を搬送路24に向けて送り出すように回転する。リタードロール22は、フィードロール20に対して圧接され、フィードロール20の回転に応じて回転するようにされており、フィードロール20とともに用紙を1枚ずつ送り出すように回転する。
【0024】
搬送路24は、フィードロール20から排出口26までの用紙通路であり、この搬送路24は、画像形成装置本体12の裏側(図1の左側面)近傍にあって、給紙ユニット14から後述する定着装置68まで略鉛直方向に形成されている。この搬送路24の定着装置68の上流側に後述する二次転写ロール64と二次転写バックアップロール62とが配置され、二次転写ロール64と二次転写バックアップロール62の上流側にレジストロール28が配置されている。また、搬送路24には、用紙を下方から上方に向けて搬送する搬送ロール30が配置され、排出口26の近傍には排出ロール32が配置されている。
【0025】
したがって、給紙ユニット14の給紙カセット16からフィードロール20により送り出された用紙は、リタードロール22により捌かれて最上部の用紙のみ搬送路24に導かれ、レジストロール28により一時停止され、タイミングをとって後述する二次転写ロール64と二次転写バックアップロール62との間を通ってトナー像が転写され、この転写されたトナー像が定着装置68により定着され、排出ロール32により排出口26から画像形成装置本体12の上部に設けられた排出部34へ排出される。
【0026】
画像形成装置本体12内には、例えば4つの画像形成ユニット42a〜42dが略水平に並べて配置されている。画像形成ユニット42a〜42dは、画像形成装置本体14の上部に設けられる図示しないトナーボックスに含まれるイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)及び黒(Black)の4色のトナーをそれぞれ受入れるようにされている。また、画像形成ユニット42a〜42dは、例えば像保持体44a〜44d、帯電ロールからなる帯電装置46a〜46d、光書込み装置(ROS)48a〜48d、現像器50a〜50d、一次転写装置52a〜52d及びクリーニング装置53a〜53dなどがそれぞれ一体化された組立体である。
【0027】
像保持体44a〜44dと一次転写装置52a〜52dとの間には、中間転写ベルト54が走行するようにされている。中間転写ベルト54は、例えばポリイミド又はポリアミドなどが用いられた無端ベルト状の樹脂フィルムからなり、駆動ロール56、一次転写装置52a〜52d、支持ロール58、テンションロール60及び二次転写バックアップロール62により、所定のテンションで回転自在に張架(支持)され、駆動ロール56の駆動力によって回転するようにされている。したがって、一次転写装置52a〜52dが中間転写ベルト54を介して像保持体44a〜44dに圧接されることにより、像保持体44a〜44dのトナー像は中間転写ベルト54に重ねて転写される。
【0028】
二次転写バックアップロール62は、中間転写ベルト54を介して(挟んで)二次転写ロール64が圧接しており、給紙ユニット14から供給された用紙に中間転写ベルト54上のトナー像を転写するようにしてある。つまり、二次転写ロール64と二次転写バックアップロール62との間が二次転写位置となっており、二次転写ロール64は、二次転写バックアップロール62の補助により、中間転写ベルト54に一次転写されたトナー像を二次転写位置で用紙に二次転写する。なお、二次転写ロール64と二次転写バックアップロール62との間には、予め定められた電位差が生じるようにされており、例えば二次転写ロール64を高電圧にした場合には、二次転写バックアップロール62はグランド(GND)などに接続される。
【0029】
また、駆動ロール56には、中間転写ベルト54を介してクリーニング装置66が圧接されている。クリーニング装置66は、中間転写ベルト54に一次転写されたトナー像を用紙に二次転写した後に、中間転写ベルト54上に残留するトナーをクリーニングする。
【0030】
二次転写位置の上方には、定着装置68が配置されている。定着装置68は、加熱ロール70と加圧ロール72とを有し、二次転写ロール64及び二次転写バックアップロール62により用紙に二次転写されたトナー像を熱と圧力とによって用紙に定着させ、排出ロール32に向けて搬送する。
【0031】
図2において、画像形成ユニット42aの詳細が示されている。
画像形成ユニット42a〜42dは、形成する画像の色が異なる他は、略同様に構成されている。そこで、以下、画像形成ユニット42aについて説明する。
像保持体44aは、例えば接地されたアルミニウムなどからなる円筒状の導電性支持体80と、この導電性支持体80の外面を覆う感光層82とを有するロール状の感光体であり、周方向に回転する。
【0032】
帯電装置46aは、像保持体44aに接触して回転し、像保持体44aを一様に帯電させる。光書込み装置48aは、画像形成ユニット42aの下部に配置され、帯電された像保持体44aに向けて走査光を発することにより、像保持体44aに静電潜像を形成する。現像器50aは、例えば二酸化ケイ素(SiO2)などの外添剤が添加された例えばイエロー(Yellow)のトナーを像保持体44aに対して供給し、像保持体44aに形成された静電潜像を可視化されたトナー像にする。ここで、外添剤の平均粒径は、例えば0.2μm以下である。トナーの平均粒径は、例えば約5μmである。一次転写装置52aは、例えば弾性を有するロール状の転写装置である。
【0033】
クリーニング装置53aは、クリーニングブレード84及びトナー収容部86を有する。クリーニングブレード84は、弾性を有する板状の清掃部材であり、像保持体44aに残留するトナーを掻き取ることによって像保持体44aを清掃する。トナー収容部86は、クリーニングブレード84が掻き取ったトナーを収容する。
【0034】
次に、像保持体44aについて詳述する。
図3は、本発明の実施形態に係る像保持体44aの表面形状(感光層82の表面形状)を示す模式図であって、(A)は初期状態を示す模式図であり、(B)は画像形成を繰り返された後(経時)の状態を示す模式図である。
図3(A)に示すように、感光層82の表面には、初期状態において、回転方向(周方向)に配列された凹部(ディンプル)88の列が複数列形成されている。凹部88は、像保持体44aの軸方向の幅が例えば約20μmにされており、外添剤はすり抜けるがトナーはすり抜けない程度のクリーニングブレード84の圧がかかる深さとして、例えば0.2〜1μmにされている。また、凹部88は、例えば32μm間隔(800dpiのドット間隔に相当)で連続するように回転方向に配列され、像保持体44aの軸方向の相互間隔が例えば42μm間隔(600dpiのドット間隔に相当)にされている。凹部は周方向で予め定められた間隔で配置されていてもよい。感光層82の表面材料として、例えばポリカーボネイトなどが挙げられる。
【0035】
図3(B)に示すように、像保持体44aは、画像形成装置10が画像形成を繰り返すと、クリーニングブレード84によって圧接された外添剤により感光層82の表面が回転方向に摩耗(図4参照)し、複数の凹部88が回転方向につながる。このように、画像形成装置10が予め定められた回数の画像形成を繰り返しても、像保持体44aの軸方向における凹部88の摩耗のばらつきが大きくならないようにされるため、本構成を有しない場合と比較して像保持体44aが保持するトナー像の画像のざらつき感が増すことを抑制されると推察される。
この理由について、感光層82は、凹部88の周囲(凸となる部分)だけでなく、凹部88も外添剤によって周方向に摩耗するようにされるため、画像形成装置10が予め定められた回数の画像形成を繰り返しても、像保持体44aの軸方向における凹部88の摩耗のばらつきが大きくならないようにされていると推察される。例えば、画像形成装置10が予め定められた回数の画像形成を繰り返し、複数の凹部88が回転方向につながっても、凹部88の深さは、図3(B)に示すように例えば0.2〜1μmになるようにされている。
【0036】
なお、像保持体44aは、初期状態において、図3(B)に示したように、複数の凹部88が回転方向につなげられて、複数列の溝部が周方向に形成されていてもよい。また、像保持体44aは、初期状態において、複数列の直線的な溝部が周方向に形成されていてもよい。
【0037】
図4は、像保持体44aに残留するトナーをクリーニングブレード84が掻き取る場合に、外添剤が像保持体44aを研磨する状態を示す拡大図であって、(A)は堆積した外添剤が研磨する状態を示す拡大図であり、(B)はすり抜ける外添剤が研磨する状態を示す拡大図である。
図4(A)に示すように、像保持体44aにクリーニングブレード84が接触する部分(ニップ部)の上流側に外添剤が堆積した場合、外添剤が堆積している部分が主な研磨領域となって像保持体44aが摩耗する。ニップ部の上流側に堆積した外添剤は、像保持体44aに対する圧力(垂直荷重)は小さいが、像保持体44aが回転する間は常に像保持体44aを研磨し、像保持体44aに細かい多数の傷を形成する。図4(A)に示した状態は、凹部88の周囲(凸となる部分又は平滑な面)などの外添剤のすり抜けが少ない場所において生じると推察される。
【0038】
図4(B)に示すように、像保持体44aとクリーニングブレード84との間を外添剤がニップ部をすり抜ける場合、外添剤は、ニップ部を主な研磨領域として像保持体44aを摩耗させる。ニップ部をすり抜ける外添剤は、ニップ部をすり抜ける間に像保持体44aに対して高い圧力を加えて移動し、像保持体44aに深い傷を形成する。図4(B)に示した状態は、クリーニングブレード84の像保持体44aに対する接触圧が低い場合、凹部88及び局所的にクリーニングブレード84の接触圧が低い場所などにおいて生じる。凹部88が周方向に配列されているので、クリーニングブレード84と像保持体44aとの間をすり抜ける外添剤は、像保持体44aの軸方向上の特定の位置に集中すると推察される。
【0039】
図5は、比較例としての像保持体の表面形状を示す模式図であって、(A)は初期状態を示す模式図であり、(B)は画像形成を繰り返された後(経時)の状態を示す模式図である。
図5(A)に示すように像保持体の表面にランダムに凹部が形成されている場合、画像形成装置が画像形成を繰り返すと、クリーニングブレードによって圧接された外添剤により感光層の表面が摩耗し、図5(B)に示すように像保持体の回転方向で近接した凹部はつながって長くなり、孤立した凹部は周辺の摩耗で縮小する。つまり、像保持体の軸方向の摩耗にばらつきが生じ、像保持体とクリーニングブレードとのすべりにムラが発生すると推察される。
このように、画像形成装置が画像形成を繰り返すことにより、像保持体の軸方向における摩耗にばらつきが生じると、像保持体が保持するトナー像の画質が低下し、画像の横スジなどが発生する原因となる。
【0040】
次に、帯電装置46aについて詳述する。
図6は、帯電装置46aの表面形状を示す模式図である。
図6に示すように、帯電装置46aの表面には、回転方向(周方向)に対して予め定められた角度αの傾きを持つように配列された凹部(ディンプル)90の列が複数列形成されている。凹部90は、帯電装置46aの軸方向の幅が例えば約20μmにされており、深さが、像保持体44aとのニップ部で外添剤と接触せず、かつ放電異常を生じない範囲として、例えば0.5〜4μmにされている。また、凹部90は、回転方向の間隔が例えば32μm間隔(800dpiのドット間隔に相当)となるように配列され、帯電装置46aの軸方向の相互間隔が例えば42μm間隔(600dpiのドット間隔に相当)にされている。
つまり、帯電装置46aは、周方向とは異なる予め定められた方向に凹部が配列されている。ここで、角度αは、モアレを防止する場合に設定されるスクリーン角度と同様に、例えば15度、30度、45度又は75度などに設定されている。
【0041】
なお、帯電装置46aは、複数の凹部90が周方向とは異なる予め定められた方向につなげられて配列され、複数列の溝部が周方向とは異なる方向に形成されてもよい。また、帯電装置46aは、複数列の直線的な溝部が周方向とは異なる方向に形成されていてもよい。
帯電装置46aの表面材料としては、例えばアルコール可溶性共重合ナイロンなどが挙げられる。
【0042】
次に、本発明の実施形態に係る像保持体44aの経時による摩耗について説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る像保持体44aの経時による摩耗を測定した結果と、比較例とを示すグラフである。
なお、像保持体摩耗レートとは、摩耗量測定時の摩耗量を1000サイクル(画像形成を1000回:1kcyc)継続した場合の摩耗量に換算した値(単位:nm/kcyc)である。したがって、測定された像保持体摩耗レートを実際のサイクル数で積分すると、実際の像保持体摩耗量となる。
【0043】
図7に示すように、本発明の実施形態に係る像保持体44aは、初期状態(サイクル数が略0)における像保持体摩耗レートも、1000サイクル後の像保持体摩耗レートも約5nm/kcycであり、像保持体摩耗レートが経時によって大きく変動することなく、感光層82の摩耗限界(像保持体44aの寿命)となるまで摩耗を続ける。
【0044】
一方、比較例の像保持体は、像保持体摩耗レートが経時によって大きく変動(増加)し、画像形成装置が1000サイクルの動作を行う前に感光層が摩耗限界に達する。
【0045】
次に、像保持体44aに凹部88を形成する凹部形成装置100について説明する。
図8は、像保持体44aに凹部88を形成する凹部形成装置100の概要を示す構成図であって、(A)は凹部88を形成される像保持体44aの周辺を上方から見た構成図であり、(B)は凹部形成装置100を側面からみた構成図である。
凹部形成装置100は、溶剤吐出装置102、乾燥装置104、鏡面仕上げ装置106及び駆動部108を有し、凹部88を未形成の像保持体44aが駆動部108によって回転するように略中央に装着可能にされている。
【0046】
溶剤吐出装置102は、例えばトルエン、アセトン又は塩化メチレンなどの溶剤(有機溶剤)を収容する溶剤タンク110と、この溶剤タンク110が収容する溶剤を吐出する例えばピエゾ型溶剤吐出ヘッド(インクジェット型ヘッド)112とを有し、図示しない制御部の制御に応じて駆動部108の駆動力により回転する像保持体44aに対して溶剤を吐出する。なお、ピエゾ型溶剤吐出ヘッド112は、図示しない制御部の制御によって像保持体44aに対して軸方向に平行に移動するようにされている。
【0047】
乾燥装置104は、ファン114を有し、溶剤吐出装置102が像保持体44aに対して吐出した溶剤を乾燥させる。
【0048】
鏡面仕上げ装置106は、例えば不織布116を有し、像保持体44aの表面を不織布116で磨くことによって鏡面仕上げする。
【0049】
駆動部108は、モータ118と、エンコーダ120とを有し、図示しない制御部の制御に応じて像保持体44aを周方向に予め定められた速度で回転させる。
【0050】
図9は、図8に示した凹部形成装置100が像保持体44aに凹部88を形成する過程における感光層82の表面状態を示す模式図である。
溶剤吐出装置102が像保持体44aに向けて溶剤を吐出すると、図9(A)に示すように、感光層82の表面に溶剤が付着する(溶剤着弾)。
【0051】
感光層82の表面に付着した溶剤は、乾燥装置104によって乾燥させられる間に、感光層82の表面を溶かして凹部88を形成する。ただし、溶剤により形成された凹部88には、図9(B)に示すように、ばり状の突出部が凹部88の周囲に形成されている。
【0052】
凹部形成装置100は、鏡面仕上げ装置106によって感光層82の表面を磨くことにより、図9(C)に示すように、ばり状の突出部が削り取られた凹部88を感光層82の表面に形成する。
【0053】
なお、凹部形成装置100は、帯電装置46aに対しても同様に凹部90を形成することができるようにされている。凹部形成装置100が帯電装置46aに凹部90を形成する場合、溶剤吐出装置102は、例えばアルコールを溶剤として収容し、吐出する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概要を示す側面図である。
【図2】画像形成ユニットの詳細を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る像保持体の表面形状を示す模式図であって、(A)は初期状態を示す模式図であり、(B)は画像形成を繰り返された後の状態を示す模式図である。
【図4】像保持体に残留するトナーをクリーニングブレードが掻き取る場合に、外添剤が像保持体を研磨する状態を示す拡大図であって、(A)は堆積した外添剤が研磨する状態を示す拡大図であり、(B)はすり抜ける外添剤が研磨する状態を示す拡大図である。
【図5】比較例としての像保持体の表面形状を示す模式図であって、(A)は初期状態を示す模式図であり、(B)は画像形成を繰り返された後(経時)の状態を示す模式図である。
【図6】帯電装置の表面形状を示す模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係る像保持体の経時による摩耗を測定した結果と、比較例とを示すグラフである。
【図8】像保持体に凹部を形成する凹部形成装置の概要を示す構成図であって、(A)は凹部を形成される像保持体の周辺を上方から見た構成図であり、(B)は凹部形成装置を側面からみた構成図である。
【図9】図8に示した凹部形成装置が像保持体に凹部を形成する過程における感光層の表面状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0055】
10 画像形成装置
42a〜42d 画像形成ユニット
44a〜44d 像保持体
46a〜46d 帯電装置
50a〜50d 現像器
53a〜53d クリーニング装置
80 導電性支持体
82 感光層
84 クリーニングブレード
86 トナー収容部
88,90 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の支持体と、
この支持体の外面を覆う感光層と、
を有し、
表面には複数列の凹部が周方向に配列されている
像保持体。
【請求項2】
円筒状の支持体と、
この支持体の外面を覆う感光層と、
を有し、
表面には複数列の溝部が周方向に形成されている
像保持体。
【請求項3】
像保持体と、
この像保持体に対し、外添剤を添加された現像剤を供給する現像剤供給手段と、
を具備し、
前記像保持体は、
円筒状の支持体と、
この支持体の外面を覆う感光層と、
を有し、
表面には複数列の凹部が周方向に配列されている
画像形成装置。
【請求項4】
前記凹部の深さは、
前記現像剤供給手段が供給する現像剤の平均粒径よりも浅く、外添剤の平均粒径よりも深い
請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
像保持体と、
この像保持体に対し、外添剤を添加された現像剤を供給する現像剤供給手段と、
を具備し、
前記像保持体は、
円筒状の支持体と、
この支持体の外面を覆う感光層と、
を有し、
表面には複数列の溝部が周方向に形成されている
画像形成装置。
【請求項6】
前記溝部の深さは、
前記現像剤供給手段が供給する現像剤の平均粒径よりも浅く、外添剤の平均粒径よりも深い
請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
周期的に配列された複数列の凹部を外面に具備し、接触して前記像保持体を帯電させる円筒状の帯電装置をさらに有する
請求項3乃至6いずれか記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記帯電装置は、
周方向とは異なる予め定められた方向に前記帯電装置の凹部が配列されている
請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記帯電装置の凹部は、
前記現像剤供給手段が供給する現像剤の平均粒径よりも高低差が小さく、且つ、外添剤の平均粒径よりも高低差が大きくされている
請求項7又は8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記像保持体に残留する現像剤を掻き取ることにより、前記像保持体を清掃する板状の清掃部材をさらに有する
請求項3乃至9いずれか記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−78798(P2010−78798A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245853(P2008−245853)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】