像保持体装置、画像形成装置
【課題】像保持体の回転軸方向に沿って生じる像保持体の帯電電位のむらを抑制することができる像保持体装置及び画像形成装置を得る。
【解決手段】本体部52の長手方向の中央側の断面を、両端側の断面に比べて徐々に小さくすることで、中央側での像保持体12の回転方向の下流側の放電位置(点K)が、断面が一定の比較形態(点L)と比して像保持体12の回転方向の上流側となる。これにより、本体部52の両端側と中央側とで現像位置に至るまでの帯電電位の減衰量の差が小さくなる。このため、像保持体12の回転軸方向に沿って生じる像保持体12の帯電電位のむらを抑制することができる。
【解決手段】本体部52の長手方向の中央側の断面を、両端側の断面に比べて徐々に小さくすることで、中央側での像保持体12の回転方向の下流側の放電位置(点K)が、断面が一定の比較形態(点L)と比して像保持体12の回転方向の上流側となる。これにより、本体部52の両端側と中央側とで現像位置に至るまでの帯電電位の減衰量の差が小さくなる。このため、像保持体12の回転軸方向に沿って生じる像保持体12の帯電電位のむらを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像保持体装置、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転支軸(保持部)を有しない中空の弾性材からなる帯電ローラ(本体部)を備える帯電装置が記載されている。この帯電ローラは感光体ドラム(像保持体)の表面に接触して回転する感光体ドラムと従動回転するようになっている。また、帯電ローラの従動回転位置を決める共に帯電ローラに給電するための規制部材が設けられている。この規制部材は、帯電ローラの自由形状より大きな空間を有し、従動回転時に帯電ローラを規制する規制面を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−300767
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、像保持体の回転軸方向に沿って生じる像保持体の帯電電位のむらを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る像保持体装置は、回転しながら帯電された表面に静電潜像が形成される像保持体と、前記像保持体の回転軸方向に沿って延びて長手方向の中央側の断面が両端側の断面に比べて徐々に小さくされると共に弾性部材で成形される本体部と、前記本体部の両端側を保持する一対の保持部と、を備え、前記本体部が前記像保持体の表面に接して前記像保持体に対して従動回転しながら前記像保持体の表面を帯電する帯電部材と、前記保持部を回転可能に支持する支持部材と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る像保持体装置は、請求項1に記載において、前記回転軸方向に沿って延びるように前記帯電部材を挟んで前記像保持体の反対側に設けられ、前記本体部の表面を前記像保持体の表面に押し付ける方向に押圧すると共に、回転する前記帯電部材と接して従動回転することで前記本体部の表面を清掃し、長手方向の中央側の断面が両端側の断面に比べて徐々に大きくされる清掃部材が備えられたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る像保持体装置は、請求項2に記載において、前記清掃部材の形状は、前記像保持体の回転方向における前記本体部と前記像保持体との接触幅について、前記本体部の長手方向の中央側が、前記本体部の長手方向の両端側より小さくなるように、決められることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る像保持体装置は、請求項2に記載において、前記清掃部材の形状は、前記本体部と前記像保持体との間で生じる摩擦力について、前記本体部の長手方向の中央側の摩擦力が、前記本体部の長手方向の両端側の摩擦力より小さくなるように、決められることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る像保持体装置は、請求項1〜4の何れか1項に記載において、前記本体部の表面状態は、前記本体部と前記像保持体との間で生じる摩擦力について、前記本体部の長手方向の中央側の摩擦力が、前記本体部の長手方向の両端側の摩擦力より小さくなるように、決められることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る像保持体装置は、請求項1〜5の何れか1項に記載において、前記帯電部材が前記像保持体と接する接触位置と、前記帯電部材が前記像保持体から離間する離間位置との間で前記帯電部材を移動させる移動装置が設けられることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項1〜6の何れか1項に記載された像保持体装置と、前記像保持体装置に備えられる表面が帯電した像保持体を露光して前記像保持体の表面に静電潜像を形成する露光装置と、前記露光装置によって前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナー画像として可視化する現像装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1の像保持体装置によれば、帯電部材に備えられた本体部が長手方向に沿って一定断面である場合と比して、像保持体の回転軸方向に沿って生じる像保持体の帯電電位のむらを抑制することができる。
【0013】
本発明の請求項2の像保持体装置によれば、帯電部材と接して従動回転して帯電部材に備えられた本体部を清掃する清掃部材が長手方向に沿って一定断面である場合と比して、像保持体の回転軸方向に沿って生じる像保持体の帯電電位のむらを抑制することができる。
【0014】
本発明の請求項3の像保持体装置によれば、像保持体の回転方向における本体部と像保持体との接触幅が、本体部の長手方向において一定である場合と比して、像保持体の回転軸方向に沿って生じる像保持体の帯電電位のむらを抑制することができる。
【0015】
本発明の請求項4の像保持体装置によれば、本体部と像保持体との間で生じる摩擦力が、本体部の長手方向において一定である場合と比して、像保持体の回転軸方向に沿って生じる像保持体の帯電電位のむらを抑制することができる。
【0016】
本発明の請求項5の像保持体装置によれば、本体部と像保持体との間で生じる摩擦力が、本体部の長手方向において一定である場合と比して、像保持体の回転軸方向に沿って生じる像保持体の帯電電位のむらを抑制することができる。
【0017】
本発明の請求項6の像保持体装置によれば、帯電部材を、像保持体と接する接触位置と、像保持体から離間する離間位置との間で移動させる移動装置が設けられていない場合と比して、本体部に捩じれ(ツイスト)が生じるのを抑制することができる。
【0018】
本発明の請求項7の画像形成装置によれば、請求項1〜6の何れか1項に記載された像保持体装置を備えていない場合と比して、トナー画像の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の本第1実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体及び帯電部材を示した拡大側面図である。
【図2】(A)(B)本発明の本第1実施形態に係る像保持体ユニットを示した側面図である。
【図3】本発明の本第1実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた帯電部材を示した斜視図である。
【図4】本発明の本第1実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体及び帯電部材を示した平面図である。
【図5】本発明の本第1実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体及び帯電部材を示した平面図である。
【図6】本発明の本第1実施形態に係る像保持体ユニットと比較形態に係る像保持体ユニットとの評価結果をグラフで示した図面である。
【図7】本発明の本第1実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図8】本発明の本第2実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体、帯電部材及び清掃部材を示した正面図である。
【図9】本発明の本第2実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体、帯電部材及び清掃部材を示した側面図である。
【図10】(A)(B)本発明の本第2実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体、帯電部材及び清掃部材を示した断面図である。
【図11】本発明の本第5実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体、帯電部材及び清掃部材を示した正面図である。
【図12】本発明の本第5実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体、帯電部材及び清掃部材を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1実施形態に係る像保持体装置及び画像形成装置の一例について図1〜図7に従って説明する。なお、図中に示す矢印UPは、鉛直方向上方を示す。
【0021】
(全体構成)
図7に示されるように、画像形成装置10は、像保持体12と、像保持体12の表面を帯電させる帯電部材14と、画像データに基づいて帯電した像保持体12の表面にレーザー光を照射して静電潜像を形成する露光装置16と、この静電潜像にトナーを選択的に転移してトナー画像として可視化する現像装置18と、搬送経路20に沿って供給される記録媒体としてのシート部材Pに像保持体12の表面のトナー画像を転写する転写ロール22と、シート部材P上のトナー画像を加熱・加圧してシート部材Pに定着させる定着装置24と、トナー画像が転写された後の像保持体12に残留するトナーを清掃するクリーニング装置26と、を備えている。
【0022】
また、画像形成装置10は、本体側面カバー10B及び天板10Aで覆われている。そして、本体側面カバー10Bの上端角部分には、天板10Aを回転可能に本体側面カバー10Bに連結する軸10Cが設けられている。これにより、天板10Aを、軸10Cを中心として矢印A方向に回転させることで、画像形成装置10の内部が開放されるようになっている。
【0023】
ここで、帯電部材14、クリーニング装置26及び像保持体12は像保持体装置の一例としての像保持体ユニット28として構成されている。そして、画像形成装置10の天板10Aを開放することで、この像保持体ユニット28は、画像形成装置10内部の本体フレーム(図示せず)に対して着脱可能となっている。なお、像保持体ユニット28については詳細を後述する。
【0024】
また、この画像形成装置10の側方には、像保持体12と転写ロール22とで形成される画像形成部31に、シート部材Pを手差しで供給することができる手差給紙台32が備えている。この手差給紙台32には、半月形状の送出ロール34が設けられている。さらに、送出ロール34に対してシート部材Pを挟んで反対側には、送出されるシート部材Pを一枚ずつ分離する分離ロール36が設けられている。
【0025】
この分離ロール36は、両端部に設けられた図示せぬ支持部材に軸支され、支持部材の内部に設けられたコイルスプリングの付勢力で、送出ロール34に向って付勢されている。この構成により、送出ロール34が回転すると手差給紙台32に載せられたシート部材Pが送出ロール34と分離ロール36によって一枚ずつ、画像形成部31に送られるようになっている。
【0026】
また、この画像形成装置10内の下側には、シート部材Pを一枚ずつ画像形成部31に向けて給紙する給紙装置40が設けられている。給紙装置40は、シート部材Pが複数枚載せられた給紙部材41を備えており、給紙部材41に積載されたシート部材Pは、取出ロール42によって順次取り出される。さらに、回転駆動する給紙ロール44と給紙部材41に設けられた分離ロール46によって、シート部材Pが一枚ずつ搬送される構成となっている。
【0027】
さらに、シート部材Pの搬送経路20に沿ってシート部材Pを搬送する複数個の搬送ロール48が設けられており、搬送経路20に沿ってシート部材Pの搬送方向の下流側(以下単に「搬送方向下流側」と言う)へシート部材Pが搬送されるようになっている。
【0028】
また、画像形成部31の搬送方向下流側には、前述した定着装置24が設けられており、この定着装置24は、加熱ロール24Hと加圧ロール24Nとを備えている。そして、加熱ロール24Hと加圧ロール24Nとの間をシート部材Pが通過することで、シート部材P上のトナー画像がシート部材Pに定着されるようになっている。
【0029】
さらに、定着装置24の搬送方向下流側には、トナー画像が定着されたシート部材Pを天板10Aの上面に排出する排出ロール56が設けられている。
【0030】
上記構成による画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0031】
まず、電圧が印加された帯電部材14は、像保持体12の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。続いて、図示しないスキャナによって読み取られた画像データ又は外部から入力されたデータに基づいて露光装置16が帯電された像保持体12の表面を露光し、像保持体12の表面に静電潜像を形成する。
【0032】
つまり、図示しない制御装置から供給されるビデオデータに基づき、露光装置16のレーザーをオン・オフすることによって画像データに対応した静電潜像が像保持体12上に形成される。さらに、この静電潜像は、現像装置18に備えられた現像ロール18Aから供給されるトナーによってトナー画像として可視化される。
【0033】
そこで、給紙部材41から取出ロール42によって取り出されたシート部材P又は手差給紙台32から手差しで供給されたシート部材Pが、給紙ロール44と分離ロール46とによって一枚ずつ搬送ロール48に渡されて搬送経路20に送り出される。搬送経路20に送り出されたシート部材Pは、像保持体12と転写ロール22との間に形成された画像形成部31を通り、トナー画像がシート部材Pに転写される。この転写されたトナー画像は、定着装置24に備えられた加熱ロール24Hと加圧ロール24Nとの間を通過することでシート部材Pに定着され,シート部材Pは、排出ロール56によって天板10Aの上面に排出される。
【0034】
(要部構成)
次に、像保持体ユニット28の構成について説明する。
【0035】
図4には、像保持体ユニット28の平面視(像保持体ユニット28を鉛直方向上方から見た図)が記載されている。図4に示されるように、像保持体ユニット28は、回転可能に支持された像保持体12と、回転する像保持体12の表面に接して像保持体12と従動回転し、像保持体12の表面を帯電させる帯電部材14と、この帯電部材14を回転可能に支持する一対の支持部材50とを備えている。
【0036】
詳細には、帯電部材14は、像保持体12に対して鉛直方向の上方に配置されている(図2(A)参照)。また、帯電部材14は、像保持体12の表面に接すると共に、像保持体12の回転軸方向に沿って延びる弾性部材(例えばゴム発泡部材)で成形された本体部52を備えている。
【0037】
さらに、帯電部材14は、先端側が本体部52の両端面から本体部52の内部に挿入されて本体部52の両端側を夫々保持する一対の円柱状の保持部54を備えている。また、帯電部材14の両端側に設けられた一対の支持部材50は、保持部54の基端側を像保持体12の軸線に沿った軸周りに回転可能に支持するベアリング(図示省略)を備えている。さらに、保持部54を介して本体部52に電圧を印加する図示せぬ給電手段が設けられている。
【0038】
ここで、図3に示されるように、本体部52の断面(長手方向に対して直交する断面)は、円形とされ、本体部52の長手方向の中央側の断面(長手方向に対して直交する断面)は、両端側の断面に比べて徐々に小さくされている。本実施形態では、一例として、本体部52の両端部における断面の直径は10〔mm〕とされ、中央部の断面の直径は5〔mm〕とされている。
【0039】
(作用)
次に、像保持体ユニット28の作用について説明する。
【0040】
図2(A)、図4に示されるように、像保持体12が回転していない場合には、本体部52は、像保持体12の回転軸方向に沿った方向に配置される。
【0041】
一方、図2(B)、図5に示されるように、表面を帯電するために像保持体12が、図示せぬ駆動源から回転力を受けて矢印D方向(本実施形態では時計方向)に回転すると、本体部52が変形する。
【0042】
具体的には、本体部52が、保持部54によって両端側しか保持されていないため、本体部52は、像保持体12との間で生じる摩擦力により、像保持体12の回転方向下流側へ凸となるように湾曲する。これにより、像保持体12の表面において帯電部材14と対向する帯電位置から、像保持体12の表面において現像装置18と対向する現像位置までの周方向距離(以下帯電現像間距離と言う)が、本体部52の長手方向の両端側と中央側とで変化する。 図2(B)に示されるように、本体部52の両端側の帯電現像間距離は寸法Eとなり、本体部52の中央側の帯電現像間距離は前述した寸法Eより短い寸法Fとなる。
【0043】
なお、本体部52の湾曲度合いについて、理解を容易にするため、各図面に誇張して記載する。
【0044】
このように、帯電現像間距離が、本体部52の両端側と中央側とで異なるため、本体部52の両端側と中央側とで現像位置に到達するまでの帯電電位の減衰量が異なる。これによりも、現像位置における帯電電位が、像保持体12の両端側で、中央側に比して低くなる。
【0045】
換言すれば、本体部52の長手方向の中央側の帯電位置が、本体部52の長手方向の両端側の帯電位置より、像保持体12の回転方向の下流側となるため、現像位置における帯電電位が、像保持体12の両端側で、中央側に比して低くなる。
【0046】
しかし、本実施形態では、本体部52の長手方向の中央側の断面は、両端側の断面に比べて小さくされている。このため、図1に示されるように、本体部52の中央側では、像保持体12の回転方向の下流側の放電位置(点K:放電範囲の下流位置)が、断面が一定の比較形態(点L:図中の二点鎖線参照)に比して、像保持体12の回転方向の上流側となる。断面一定の比較形態と比して、断面が小さくされているため、放電範囲が狭くなり、像保持体12の回転方向の下流側の放電位置が変わるためである。
【0047】
詳細には、図1(A)に示す範囲Hが、本実施形態に係る本体部52の中央側の放電範囲であり、範囲Jが、断面一定の比較形態(図中の二点鎖線参照)の放電範囲である。本実施形態に係る本体部52の中央側の放電範囲である範囲Hが、断面一定の比較形態の放電範囲である範囲Jより狭くなっている。このため、像保持体12の回転方向の下流側の放電位置(図中点K)が、断面が一定の比較形態の下流側の放電位置(図中点L)より、像保持体12の回転方向の上流側となる。このため、側面視(像保持体12の回転軸方向から見た図)で、本体部52の両端側での像保持体12の回転方向の下流側の放電位置(図中点R)と、本体部52の中央側での像保持体12の回転方向の下流側の放電位置(図中点K)との距離が、断面が一定の比較形態(点R〜点L)と比して小さくなる。つまり、本実施形態では、断面が一定の比較形態と比して、本体部52の両端側と中央側とで帯電電位の減衰量の差が小さくなる。
【0048】
<評価>
そこで、本実形態に係る帯電部材14と、比較形態に係る帯電部材とを用いて像保持体12の現像位置での帯電電位について評価を行なった。比較形態として用いた帯電部材の本体部材の断面は、直径10〔mm〕で一定とされている。
【0049】
評価には、直径30〔mm〕の像保持体12を用い、像保持体12の周速度(プロセススピード)を126〔mm/s〕とした。また、側面視で、像保持体12の回転中心と保持部54の回転中心を結んだ線と、像保持体12の回転中心と現像ロール18Aの回転中心を結んだ線との成す角度を、86.2°とした(図1参照)。
【0050】
図6には、帯電電位の評価結果がグラフで示されている。図6に示すグラフの縦軸は、現像位置における像保持体12の回転軸方向に沿った帯電電位の差(電位差)が示されている。
【0051】
比較形態では、帯電電位の差が15.8〔V〕に対し、本実施形態では、帯電電位の差が0.2〔V〕となっている。
【0052】
以上の結果からも分かるように、本体部52の長手方向の中央側の断面を、両端側の断面に比べて徐々に小さくすることで、断面が一定の比較形態と比して、本体部52の両端側と中央側とで現像位置へ至るまでの帯電電位の減衰量の差が小さくなる。これにより、現像位置において、像保持体12の回転軸方向に沿って生じる像保持体12の帯電電位のむらが抑制される。
【0053】
また、像保持体12の回転軸方向に沿って生じる像保持体12の帯電電位のむらが抑制されることで、像保持体12の表面へのトナーの転移が像保持体12の回転軸方向で一定となり、トナー画像及び出力画像の品質が向上する。
【0054】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る像保持体装置及び画像形成装置の一例について図8〜図10に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図8には、本第2実施形態に係る像保持体ユニット28の正面図が記載されている。図9には、本第2実施形態に係る像保持体ユニット28の側面図が記載されている。図8、図9に示されるように、本第2実施形態では、帯電部材14を挟んで像保持体12の反対側には、帯電部材14の本体部52と接して従動回転することで本体部52の表面を清掃する清掃部材60が設けられている。
【0056】
具体的には、清掃部材60は、像保持体12の回転軸方向に沿って延び、帯電部材14の本体部52と接する接触部62と、接触部62の回転軸を構成する円柱状の軸部64とを備えている。
【0057】
また、像保持体ユニット28には、接触部62の両端部から露出した軸部64の両端側を回転可能に支持する一対の支持部材66が設けられている。さらに、像保持体ユニット28には、清掃部材60の接触部62が、本体部52の表面を像保持体12の表面に押し付ける方向に押圧するように、この支持部材66を付勢する付勢ばね68が設けられている。
【0058】
ここで、接触部62の長手方向の中央側の断面(長手方向に対して直交する断面)は、円形状とされ、接触部62の長手方向の中央側の断面)は、両端側の断面に比べて徐々に大きくされている。より具体的には、図10(A)(B)に示されるように、本体部52の長手方向の中央側の本体部52と像保持体12との接触幅(図10(B)に示す寸法M〔mm〕)が、本体部52の長手方向の両端側の接触幅(図10(A)に示す寸法N〔mm〕)より小さくなるように、接触部62の長手方向の中央側及び両端側の断面が決められている。
【0059】
なお、接触幅とは、像保持体12の回転方向における本体部52と像保持体12との接触幅であって、清掃部材60が帯電部材14の本体部52と接して従動回転している状態のものである。
【0060】
また、本体部52と像保持体12とが接触しない状態は、接触幅が0〔mm〕となる。
【0061】
このように、接触部62の長手方向の中央側の断面を、両端側の断面に比べて徐々に大きくすることで、清掃部材60が本体部52と接して従動回転している状態で、本体部52の中央側と像保持体12との位置関係が、安定する。
【0062】
また、帯電部材14の本体部52の中央側と像保持体12との位置関係が、安定することで、帯電部材14の配置の自由度が向上する。例えば、帯電部材14を像保持体12の下方に配置することが可能となる。
【0063】
また、帯電部材14の本体部52の中央側と像保持体12との位置関係が、安定することで、像保持体12の帯電不良が抑制される。
【0064】
また、本体部52の長手方向の中央側の接触幅が、両端側の接触幅より小さいため、中央部側の接触幅が両端側の接触幅と同じ場合と比して、像保持体12の回転方向の下流側の放電位置が、像保持体12の回転方向の上流側となる。
【0065】
このため、側面視で、本体部52の両端側での像保持体12の回転方向の下流側の放電位置と、本体部52の中央側での像保持体12の回転方向の下流側の放電位置との距離が、接触幅一定の場合と比して小さくなる。つまり、本実施形態では、接触幅一定の場合の場合と比して、本体部52の両端側と中央側とで帯電電位の減衰量の差が小さくなる。
【0066】
また、本体部52の両端側と中央側とで現像位置に到達するまでの帯電電位の減衰量の差が小さくなるため、現像位置において、像保持体12の回転軸方向に沿って生じる像保持体12の帯電電位のむらが抑制される。
【0067】
また、本体部52の中央側の接触幅を両端側の接触幅と比して小さくすることで、像保持体12との間で生じる摩擦力が両端側に比して中央側が小さくなる。このため、像保持体12との間で生じる摩擦力により、像保持体12の回転方向下流側へ凸となるように本体部52が湾曲する湾曲度合いが抑制される。
【0068】
また、本体部52の湾曲度合いが抑制されることで、本体部52の両端側と中央側とで現像位置に到達するまでの帯電電位の減衰量の差が小さくなる。これにより、さらに、現像位置において、像保持体12の回転軸方向に沿って生じる像保持体12の帯電電位のむらが抑制される。
【0069】
また、本体部52の中央側の接触幅を両端側の接触幅と比して小さくすることで、像保持体12との間で生じる摩擦力が両端側に比して中央側が小さくなる。これにより、本体部52の端部側が1回転する間に、中央側が複数回回転することによる捩じれ(ツイスト)が抑制される。
【0070】
なお、他の作用については、第1実施形態と同様とする。
【0071】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る像保持体装置及び画像形成装置の一例について説明する。なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0072】
本第3実施形態では、本体部52と像保持体12との間で生じる摩擦力については、本体部52の長手方向の中央側の摩擦力が、本体部52の長手方向の両端側の摩擦力より小さくなるように、清掃部材60の接触部62の形状が決められている。
【0073】
例えば、本体部52の像保持体12に対する圧力(接地圧力)について、本体部52の中央側が両端側より小さくなるように、本体部52を押圧する清掃部材60の接触部62の形状が決められている。
【0074】
このように、像保持体12との間で生じる摩擦力を両端側に比して中央側を小さくすることで、像保持体12との間で生じる摩擦力により、像保持体12の回転方向の下流側へ凸となるように湾曲する本体部52の湾曲度合いが抑制される。
【0075】
また、本体部52の湾曲度合いが抑制されることで、本体部52の両端側と中央側とで現像位置に到達するまでの帯電電位の減衰量の差が小さくなる。これにより、さらに、現像位置において、像保持体12の回転軸方向に沿って生じる像保持体12の帯電電位のむらが抑制される。
【0076】
なお、他の作用については、第1、第2実施形態と同様とする。
【0077】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る像保持体装置及び画像形成装置の一例について説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0078】
本第4実施形態では、本体部52と像保持体12との間で生じる摩擦力については、本体部52の長手方向の中央側の摩擦力が、本体部52の長手方向の両端側の摩擦力より小さくなるように、本体部52の表面状態が決められている。
【0079】
例えば、一例として、本体部52の中央側の表面は、本体部52の両端側の表面に比して、滑らかに形成されている。
【0080】
なお、他の作用については、第1実施形態と同様とする。
【0081】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る像保持体装置及び画像形成装置の一例について図11〜図12に従って説明する。なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0082】
図11、図12に示されるように、本第5実施形態では、帯電部材14が像保持体12と接する接触位置(図11参照)と、帯電部材14が像保持体12から離間する離間位置(図12参照)との間で帯電部材14を移動させる移動装置70が備えられている。
【0083】
さらに、清掃部材60を、清掃部材60が帯電部材14を像保持体12の表面に押し付ける方向に押圧する押圧位置(図11参照)と、清掃部材60を、清掃部材60が帯電部材14を押圧しない非押圧位置(図12参照)との間を移動させる移動装置80が備えられている。
【0084】
具体的には、帯電部材14を移動させる移動装置70には、像保持体12の径方向に延びると共に、夫々の支持部材50に形成されたねじ孔(図示省略)にねじ込まれる一対のボールネジ72が設けられている。さらに、このボールネジ72をボールネジ72の周方向において正逆方向に回転させるステッピングモータ(図示省略)が設けられている。
【0085】
また、清掃部材60を移動させる移動装置80には、像保持体12の径方向に延びると共に、夫々の支持部材66に形成されたねじ孔(図示省略)にねじ込まれる一対のボールネジ82が設けられている。さらに、このボールネジ82をボールネジ82の周方向において正逆方向に回転させるステッピングモータ(図示省略)が設けられている。
【0086】
以上の構成により、図11に示されるように、清掃部材60が押圧位置に配置され、帯電部材14が接触位置に配置された状態で、像保持体12の表面への画像形成が行なわれる。像保持体12の表面への画像形成が終了すると、各ステッピングモータの駆動力によりボールネジ72及びボールネジ82を正方向に回転させる。
【0087】
これにより、図12に示されるように、清掃部材60が非押圧位置に移動し、帯電部材14が離間位置に移動する。
【0088】
一方、像保持体12の表面への画像形成を開始する際には、各ステッピングモータの駆動力によりボールネジ72及びボールネジ82を逆方向に回転させる。
【0089】
これにより、図11に示されるように、帯電部材14が接触位置に移動し、清掃部材60が押圧位置に移動する。
【0090】
このように、清掃部材60を非押圧位置に移動させ、帯電部材14を離間位置に移動させることで、像保持体12及び清掃部材60との間で本体部52に生じている摩擦力が無くなる。これにより、本体部52に生じる捩じれ(ツイスト)が抑制される(捩れが解消する)。
【0091】
なお、他の作用については、第1、第2実施形態と同様とする。
【0092】
また、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記第2実施形態では、本体部52の中央側において、本体部52と像保持体12の表面とが接触する場合を例にとって説明したが、特に接触しなくてもよく、本体部52と像保持体12の表面との間で放電が生じる距離であれば離間していてもよい。この場合には、前述したように、接触幅は0〔mm〕となる。
【0093】
また、上記第2実施形態では、特に言及しなかったが、清掃部材60の接触部62について、長手方向の中央側で本体部52との間で生じる摩擦力を、長手方向の両端側で生じる摩擦力より大きくなるように、接触部62の表面状態を決めてもよい。例えば、接触部62をスポンジ部材で成形させる場合に、中央側のスポンジセルを端部側のスポンジセルに比して密にすることで、摩擦力が調整される。これにより、接触部62に生じる捩じれ(ツイスト)が抑制される。
【0094】
また、上記第5実施形態では、帯電部材14を像保持体12の径方向に移動させて、帯電部材14を像保持体12から離間させたが、帯電部材14の保持部54を帯電部材14の長手方向に、夫々引っ張ってもよい。この場合には、本体部52が弾性変形することでポアソン効果により本体部52の断面が小さくなり、帯電部材14が像保持体12から離間する。
【0095】
また、上記実施形態では、特に言及しなかったが、帯電部材14の本体部52について、両端側から中央側にかけて徐々にカーボンブラックの配合量を増やしてもよい。これにより、本体部52の中央側での像保持体12の帯電不良が抑制される。
【符号の説明】
【0096】
10 画像形成装置
12 像保持体
14 帯電部材
16 露光装置
18 現像装置
28 像保持体ユニット(像保持体装置の一例)
50 支持部材
52 本体部
54 保持部
60 清掃部材
70 移動装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、像保持体装置、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転支軸(保持部)を有しない中空の弾性材からなる帯電ローラ(本体部)を備える帯電装置が記載されている。この帯電ローラは感光体ドラム(像保持体)の表面に接触して回転する感光体ドラムと従動回転するようになっている。また、帯電ローラの従動回転位置を決める共に帯電ローラに給電するための規制部材が設けられている。この規制部材は、帯電ローラの自由形状より大きな空間を有し、従動回転時に帯電ローラを規制する規制面を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−300767
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、像保持体の回転軸方向に沿って生じる像保持体の帯電電位のむらを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る像保持体装置は、回転しながら帯電された表面に静電潜像が形成される像保持体と、前記像保持体の回転軸方向に沿って延びて長手方向の中央側の断面が両端側の断面に比べて徐々に小さくされると共に弾性部材で成形される本体部と、前記本体部の両端側を保持する一対の保持部と、を備え、前記本体部が前記像保持体の表面に接して前記像保持体に対して従動回転しながら前記像保持体の表面を帯電する帯電部材と、前記保持部を回転可能に支持する支持部材と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る像保持体装置は、請求項1に記載において、前記回転軸方向に沿って延びるように前記帯電部材を挟んで前記像保持体の反対側に設けられ、前記本体部の表面を前記像保持体の表面に押し付ける方向に押圧すると共に、回転する前記帯電部材と接して従動回転することで前記本体部の表面を清掃し、長手方向の中央側の断面が両端側の断面に比べて徐々に大きくされる清掃部材が備えられたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る像保持体装置は、請求項2に記載において、前記清掃部材の形状は、前記像保持体の回転方向における前記本体部と前記像保持体との接触幅について、前記本体部の長手方向の中央側が、前記本体部の長手方向の両端側より小さくなるように、決められることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る像保持体装置は、請求項2に記載において、前記清掃部材の形状は、前記本体部と前記像保持体との間で生じる摩擦力について、前記本体部の長手方向の中央側の摩擦力が、前記本体部の長手方向の両端側の摩擦力より小さくなるように、決められることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る像保持体装置は、請求項1〜4の何れか1項に記載において、前記本体部の表面状態は、前記本体部と前記像保持体との間で生じる摩擦力について、前記本体部の長手方向の中央側の摩擦力が、前記本体部の長手方向の両端側の摩擦力より小さくなるように、決められることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る像保持体装置は、請求項1〜5の何れか1項に記載において、前記帯電部材が前記像保持体と接する接触位置と、前記帯電部材が前記像保持体から離間する離間位置との間で前記帯電部材を移動させる移動装置が設けられることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項1〜6の何れか1項に記載された像保持体装置と、前記像保持体装置に備えられる表面が帯電した像保持体を露光して前記像保持体の表面に静電潜像を形成する露光装置と、前記露光装置によって前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナー画像として可視化する現像装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1の像保持体装置によれば、帯電部材に備えられた本体部が長手方向に沿って一定断面である場合と比して、像保持体の回転軸方向に沿って生じる像保持体の帯電電位のむらを抑制することができる。
【0013】
本発明の請求項2の像保持体装置によれば、帯電部材と接して従動回転して帯電部材に備えられた本体部を清掃する清掃部材が長手方向に沿って一定断面である場合と比して、像保持体の回転軸方向に沿って生じる像保持体の帯電電位のむらを抑制することができる。
【0014】
本発明の請求項3の像保持体装置によれば、像保持体の回転方向における本体部と像保持体との接触幅が、本体部の長手方向において一定である場合と比して、像保持体の回転軸方向に沿って生じる像保持体の帯電電位のむらを抑制することができる。
【0015】
本発明の請求項4の像保持体装置によれば、本体部と像保持体との間で生じる摩擦力が、本体部の長手方向において一定である場合と比して、像保持体の回転軸方向に沿って生じる像保持体の帯電電位のむらを抑制することができる。
【0016】
本発明の請求項5の像保持体装置によれば、本体部と像保持体との間で生じる摩擦力が、本体部の長手方向において一定である場合と比して、像保持体の回転軸方向に沿って生じる像保持体の帯電電位のむらを抑制することができる。
【0017】
本発明の請求項6の像保持体装置によれば、帯電部材を、像保持体と接する接触位置と、像保持体から離間する離間位置との間で移動させる移動装置が設けられていない場合と比して、本体部に捩じれ(ツイスト)が生じるのを抑制することができる。
【0018】
本発明の請求項7の画像形成装置によれば、請求項1〜6の何れか1項に記載された像保持体装置を備えていない場合と比して、トナー画像の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の本第1実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体及び帯電部材を示した拡大側面図である。
【図2】(A)(B)本発明の本第1実施形態に係る像保持体ユニットを示した側面図である。
【図3】本発明の本第1実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた帯電部材を示した斜視図である。
【図4】本発明の本第1実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体及び帯電部材を示した平面図である。
【図5】本発明の本第1実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体及び帯電部材を示した平面図である。
【図6】本発明の本第1実施形態に係る像保持体ユニットと比較形態に係る像保持体ユニットとの評価結果をグラフで示した図面である。
【図7】本発明の本第1実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図8】本発明の本第2実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体、帯電部材及び清掃部材を示した正面図である。
【図9】本発明の本第2実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体、帯電部材及び清掃部材を示した側面図である。
【図10】(A)(B)本発明の本第2実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体、帯電部材及び清掃部材を示した断面図である。
【図11】本発明の本第5実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体、帯電部材及び清掃部材を示した正面図である。
【図12】本発明の本第5実施形態に係る像保持体ユニットに備えられた像保持体、帯電部材及び清掃部材を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1実施形態に係る像保持体装置及び画像形成装置の一例について図1〜図7に従って説明する。なお、図中に示す矢印UPは、鉛直方向上方を示す。
【0021】
(全体構成)
図7に示されるように、画像形成装置10は、像保持体12と、像保持体12の表面を帯電させる帯電部材14と、画像データに基づいて帯電した像保持体12の表面にレーザー光を照射して静電潜像を形成する露光装置16と、この静電潜像にトナーを選択的に転移してトナー画像として可視化する現像装置18と、搬送経路20に沿って供給される記録媒体としてのシート部材Pに像保持体12の表面のトナー画像を転写する転写ロール22と、シート部材P上のトナー画像を加熱・加圧してシート部材Pに定着させる定着装置24と、トナー画像が転写された後の像保持体12に残留するトナーを清掃するクリーニング装置26と、を備えている。
【0022】
また、画像形成装置10は、本体側面カバー10B及び天板10Aで覆われている。そして、本体側面カバー10Bの上端角部分には、天板10Aを回転可能に本体側面カバー10Bに連結する軸10Cが設けられている。これにより、天板10Aを、軸10Cを中心として矢印A方向に回転させることで、画像形成装置10の内部が開放されるようになっている。
【0023】
ここで、帯電部材14、クリーニング装置26及び像保持体12は像保持体装置の一例としての像保持体ユニット28として構成されている。そして、画像形成装置10の天板10Aを開放することで、この像保持体ユニット28は、画像形成装置10内部の本体フレーム(図示せず)に対して着脱可能となっている。なお、像保持体ユニット28については詳細を後述する。
【0024】
また、この画像形成装置10の側方には、像保持体12と転写ロール22とで形成される画像形成部31に、シート部材Pを手差しで供給することができる手差給紙台32が備えている。この手差給紙台32には、半月形状の送出ロール34が設けられている。さらに、送出ロール34に対してシート部材Pを挟んで反対側には、送出されるシート部材Pを一枚ずつ分離する分離ロール36が設けられている。
【0025】
この分離ロール36は、両端部に設けられた図示せぬ支持部材に軸支され、支持部材の内部に設けられたコイルスプリングの付勢力で、送出ロール34に向って付勢されている。この構成により、送出ロール34が回転すると手差給紙台32に載せられたシート部材Pが送出ロール34と分離ロール36によって一枚ずつ、画像形成部31に送られるようになっている。
【0026】
また、この画像形成装置10内の下側には、シート部材Pを一枚ずつ画像形成部31に向けて給紙する給紙装置40が設けられている。給紙装置40は、シート部材Pが複数枚載せられた給紙部材41を備えており、給紙部材41に積載されたシート部材Pは、取出ロール42によって順次取り出される。さらに、回転駆動する給紙ロール44と給紙部材41に設けられた分離ロール46によって、シート部材Pが一枚ずつ搬送される構成となっている。
【0027】
さらに、シート部材Pの搬送経路20に沿ってシート部材Pを搬送する複数個の搬送ロール48が設けられており、搬送経路20に沿ってシート部材Pの搬送方向の下流側(以下単に「搬送方向下流側」と言う)へシート部材Pが搬送されるようになっている。
【0028】
また、画像形成部31の搬送方向下流側には、前述した定着装置24が設けられており、この定着装置24は、加熱ロール24Hと加圧ロール24Nとを備えている。そして、加熱ロール24Hと加圧ロール24Nとの間をシート部材Pが通過することで、シート部材P上のトナー画像がシート部材Pに定着されるようになっている。
【0029】
さらに、定着装置24の搬送方向下流側には、トナー画像が定着されたシート部材Pを天板10Aの上面に排出する排出ロール56が設けられている。
【0030】
上記構成による画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0031】
まず、電圧が印加された帯電部材14は、像保持体12の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。続いて、図示しないスキャナによって読み取られた画像データ又は外部から入力されたデータに基づいて露光装置16が帯電された像保持体12の表面を露光し、像保持体12の表面に静電潜像を形成する。
【0032】
つまり、図示しない制御装置から供給されるビデオデータに基づき、露光装置16のレーザーをオン・オフすることによって画像データに対応した静電潜像が像保持体12上に形成される。さらに、この静電潜像は、現像装置18に備えられた現像ロール18Aから供給されるトナーによってトナー画像として可視化される。
【0033】
そこで、給紙部材41から取出ロール42によって取り出されたシート部材P又は手差給紙台32から手差しで供給されたシート部材Pが、給紙ロール44と分離ロール46とによって一枚ずつ搬送ロール48に渡されて搬送経路20に送り出される。搬送経路20に送り出されたシート部材Pは、像保持体12と転写ロール22との間に形成された画像形成部31を通り、トナー画像がシート部材Pに転写される。この転写されたトナー画像は、定着装置24に備えられた加熱ロール24Hと加圧ロール24Nとの間を通過することでシート部材Pに定着され,シート部材Pは、排出ロール56によって天板10Aの上面に排出される。
【0034】
(要部構成)
次に、像保持体ユニット28の構成について説明する。
【0035】
図4には、像保持体ユニット28の平面視(像保持体ユニット28を鉛直方向上方から見た図)が記載されている。図4に示されるように、像保持体ユニット28は、回転可能に支持された像保持体12と、回転する像保持体12の表面に接して像保持体12と従動回転し、像保持体12の表面を帯電させる帯電部材14と、この帯電部材14を回転可能に支持する一対の支持部材50とを備えている。
【0036】
詳細には、帯電部材14は、像保持体12に対して鉛直方向の上方に配置されている(図2(A)参照)。また、帯電部材14は、像保持体12の表面に接すると共に、像保持体12の回転軸方向に沿って延びる弾性部材(例えばゴム発泡部材)で成形された本体部52を備えている。
【0037】
さらに、帯電部材14は、先端側が本体部52の両端面から本体部52の内部に挿入されて本体部52の両端側を夫々保持する一対の円柱状の保持部54を備えている。また、帯電部材14の両端側に設けられた一対の支持部材50は、保持部54の基端側を像保持体12の軸線に沿った軸周りに回転可能に支持するベアリング(図示省略)を備えている。さらに、保持部54を介して本体部52に電圧を印加する図示せぬ給電手段が設けられている。
【0038】
ここで、図3に示されるように、本体部52の断面(長手方向に対して直交する断面)は、円形とされ、本体部52の長手方向の中央側の断面(長手方向に対して直交する断面)は、両端側の断面に比べて徐々に小さくされている。本実施形態では、一例として、本体部52の両端部における断面の直径は10〔mm〕とされ、中央部の断面の直径は5〔mm〕とされている。
【0039】
(作用)
次に、像保持体ユニット28の作用について説明する。
【0040】
図2(A)、図4に示されるように、像保持体12が回転していない場合には、本体部52は、像保持体12の回転軸方向に沿った方向に配置される。
【0041】
一方、図2(B)、図5に示されるように、表面を帯電するために像保持体12が、図示せぬ駆動源から回転力を受けて矢印D方向(本実施形態では時計方向)に回転すると、本体部52が変形する。
【0042】
具体的には、本体部52が、保持部54によって両端側しか保持されていないため、本体部52は、像保持体12との間で生じる摩擦力により、像保持体12の回転方向下流側へ凸となるように湾曲する。これにより、像保持体12の表面において帯電部材14と対向する帯電位置から、像保持体12の表面において現像装置18と対向する現像位置までの周方向距離(以下帯電現像間距離と言う)が、本体部52の長手方向の両端側と中央側とで変化する。 図2(B)に示されるように、本体部52の両端側の帯電現像間距離は寸法Eとなり、本体部52の中央側の帯電現像間距離は前述した寸法Eより短い寸法Fとなる。
【0043】
なお、本体部52の湾曲度合いについて、理解を容易にするため、各図面に誇張して記載する。
【0044】
このように、帯電現像間距離が、本体部52の両端側と中央側とで異なるため、本体部52の両端側と中央側とで現像位置に到達するまでの帯電電位の減衰量が異なる。これによりも、現像位置における帯電電位が、像保持体12の両端側で、中央側に比して低くなる。
【0045】
換言すれば、本体部52の長手方向の中央側の帯電位置が、本体部52の長手方向の両端側の帯電位置より、像保持体12の回転方向の下流側となるため、現像位置における帯電電位が、像保持体12の両端側で、中央側に比して低くなる。
【0046】
しかし、本実施形態では、本体部52の長手方向の中央側の断面は、両端側の断面に比べて小さくされている。このため、図1に示されるように、本体部52の中央側では、像保持体12の回転方向の下流側の放電位置(点K:放電範囲の下流位置)が、断面が一定の比較形態(点L:図中の二点鎖線参照)に比して、像保持体12の回転方向の上流側となる。断面一定の比較形態と比して、断面が小さくされているため、放電範囲が狭くなり、像保持体12の回転方向の下流側の放電位置が変わるためである。
【0047】
詳細には、図1(A)に示す範囲Hが、本実施形態に係る本体部52の中央側の放電範囲であり、範囲Jが、断面一定の比較形態(図中の二点鎖線参照)の放電範囲である。本実施形態に係る本体部52の中央側の放電範囲である範囲Hが、断面一定の比較形態の放電範囲である範囲Jより狭くなっている。このため、像保持体12の回転方向の下流側の放電位置(図中点K)が、断面が一定の比較形態の下流側の放電位置(図中点L)より、像保持体12の回転方向の上流側となる。このため、側面視(像保持体12の回転軸方向から見た図)で、本体部52の両端側での像保持体12の回転方向の下流側の放電位置(図中点R)と、本体部52の中央側での像保持体12の回転方向の下流側の放電位置(図中点K)との距離が、断面が一定の比較形態(点R〜点L)と比して小さくなる。つまり、本実施形態では、断面が一定の比較形態と比して、本体部52の両端側と中央側とで帯電電位の減衰量の差が小さくなる。
【0048】
<評価>
そこで、本実形態に係る帯電部材14と、比較形態に係る帯電部材とを用いて像保持体12の現像位置での帯電電位について評価を行なった。比較形態として用いた帯電部材の本体部材の断面は、直径10〔mm〕で一定とされている。
【0049】
評価には、直径30〔mm〕の像保持体12を用い、像保持体12の周速度(プロセススピード)を126〔mm/s〕とした。また、側面視で、像保持体12の回転中心と保持部54の回転中心を結んだ線と、像保持体12の回転中心と現像ロール18Aの回転中心を結んだ線との成す角度を、86.2°とした(図1参照)。
【0050】
図6には、帯電電位の評価結果がグラフで示されている。図6に示すグラフの縦軸は、現像位置における像保持体12の回転軸方向に沿った帯電電位の差(電位差)が示されている。
【0051】
比較形態では、帯電電位の差が15.8〔V〕に対し、本実施形態では、帯電電位の差が0.2〔V〕となっている。
【0052】
以上の結果からも分かるように、本体部52の長手方向の中央側の断面を、両端側の断面に比べて徐々に小さくすることで、断面が一定の比較形態と比して、本体部52の両端側と中央側とで現像位置へ至るまでの帯電電位の減衰量の差が小さくなる。これにより、現像位置において、像保持体12の回転軸方向に沿って生じる像保持体12の帯電電位のむらが抑制される。
【0053】
また、像保持体12の回転軸方向に沿って生じる像保持体12の帯電電位のむらが抑制されることで、像保持体12の表面へのトナーの転移が像保持体12の回転軸方向で一定となり、トナー画像及び出力画像の品質が向上する。
【0054】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る像保持体装置及び画像形成装置の一例について図8〜図10に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図8には、本第2実施形態に係る像保持体ユニット28の正面図が記載されている。図9には、本第2実施形態に係る像保持体ユニット28の側面図が記載されている。図8、図9に示されるように、本第2実施形態では、帯電部材14を挟んで像保持体12の反対側には、帯電部材14の本体部52と接して従動回転することで本体部52の表面を清掃する清掃部材60が設けられている。
【0056】
具体的には、清掃部材60は、像保持体12の回転軸方向に沿って延び、帯電部材14の本体部52と接する接触部62と、接触部62の回転軸を構成する円柱状の軸部64とを備えている。
【0057】
また、像保持体ユニット28には、接触部62の両端部から露出した軸部64の両端側を回転可能に支持する一対の支持部材66が設けられている。さらに、像保持体ユニット28には、清掃部材60の接触部62が、本体部52の表面を像保持体12の表面に押し付ける方向に押圧するように、この支持部材66を付勢する付勢ばね68が設けられている。
【0058】
ここで、接触部62の長手方向の中央側の断面(長手方向に対して直交する断面)は、円形状とされ、接触部62の長手方向の中央側の断面)は、両端側の断面に比べて徐々に大きくされている。より具体的には、図10(A)(B)に示されるように、本体部52の長手方向の中央側の本体部52と像保持体12との接触幅(図10(B)に示す寸法M〔mm〕)が、本体部52の長手方向の両端側の接触幅(図10(A)に示す寸法N〔mm〕)より小さくなるように、接触部62の長手方向の中央側及び両端側の断面が決められている。
【0059】
なお、接触幅とは、像保持体12の回転方向における本体部52と像保持体12との接触幅であって、清掃部材60が帯電部材14の本体部52と接して従動回転している状態のものである。
【0060】
また、本体部52と像保持体12とが接触しない状態は、接触幅が0〔mm〕となる。
【0061】
このように、接触部62の長手方向の中央側の断面を、両端側の断面に比べて徐々に大きくすることで、清掃部材60が本体部52と接して従動回転している状態で、本体部52の中央側と像保持体12との位置関係が、安定する。
【0062】
また、帯電部材14の本体部52の中央側と像保持体12との位置関係が、安定することで、帯電部材14の配置の自由度が向上する。例えば、帯電部材14を像保持体12の下方に配置することが可能となる。
【0063】
また、帯電部材14の本体部52の中央側と像保持体12との位置関係が、安定することで、像保持体12の帯電不良が抑制される。
【0064】
また、本体部52の長手方向の中央側の接触幅が、両端側の接触幅より小さいため、中央部側の接触幅が両端側の接触幅と同じ場合と比して、像保持体12の回転方向の下流側の放電位置が、像保持体12の回転方向の上流側となる。
【0065】
このため、側面視で、本体部52の両端側での像保持体12の回転方向の下流側の放電位置と、本体部52の中央側での像保持体12の回転方向の下流側の放電位置との距離が、接触幅一定の場合と比して小さくなる。つまり、本実施形態では、接触幅一定の場合の場合と比して、本体部52の両端側と中央側とで帯電電位の減衰量の差が小さくなる。
【0066】
また、本体部52の両端側と中央側とで現像位置に到達するまでの帯電電位の減衰量の差が小さくなるため、現像位置において、像保持体12の回転軸方向に沿って生じる像保持体12の帯電電位のむらが抑制される。
【0067】
また、本体部52の中央側の接触幅を両端側の接触幅と比して小さくすることで、像保持体12との間で生じる摩擦力が両端側に比して中央側が小さくなる。このため、像保持体12との間で生じる摩擦力により、像保持体12の回転方向下流側へ凸となるように本体部52が湾曲する湾曲度合いが抑制される。
【0068】
また、本体部52の湾曲度合いが抑制されることで、本体部52の両端側と中央側とで現像位置に到達するまでの帯電電位の減衰量の差が小さくなる。これにより、さらに、現像位置において、像保持体12の回転軸方向に沿って生じる像保持体12の帯電電位のむらが抑制される。
【0069】
また、本体部52の中央側の接触幅を両端側の接触幅と比して小さくすることで、像保持体12との間で生じる摩擦力が両端側に比して中央側が小さくなる。これにより、本体部52の端部側が1回転する間に、中央側が複数回回転することによる捩じれ(ツイスト)が抑制される。
【0070】
なお、他の作用については、第1実施形態と同様とする。
【0071】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る像保持体装置及び画像形成装置の一例について説明する。なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0072】
本第3実施形態では、本体部52と像保持体12との間で生じる摩擦力については、本体部52の長手方向の中央側の摩擦力が、本体部52の長手方向の両端側の摩擦力より小さくなるように、清掃部材60の接触部62の形状が決められている。
【0073】
例えば、本体部52の像保持体12に対する圧力(接地圧力)について、本体部52の中央側が両端側より小さくなるように、本体部52を押圧する清掃部材60の接触部62の形状が決められている。
【0074】
このように、像保持体12との間で生じる摩擦力を両端側に比して中央側を小さくすることで、像保持体12との間で生じる摩擦力により、像保持体12の回転方向の下流側へ凸となるように湾曲する本体部52の湾曲度合いが抑制される。
【0075】
また、本体部52の湾曲度合いが抑制されることで、本体部52の両端側と中央側とで現像位置に到達するまでの帯電電位の減衰量の差が小さくなる。これにより、さらに、現像位置において、像保持体12の回転軸方向に沿って生じる像保持体12の帯電電位のむらが抑制される。
【0076】
なお、他の作用については、第1、第2実施形態と同様とする。
【0077】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る像保持体装置及び画像形成装置の一例について説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0078】
本第4実施形態では、本体部52と像保持体12との間で生じる摩擦力については、本体部52の長手方向の中央側の摩擦力が、本体部52の長手方向の両端側の摩擦力より小さくなるように、本体部52の表面状態が決められている。
【0079】
例えば、一例として、本体部52の中央側の表面は、本体部52の両端側の表面に比して、滑らかに形成されている。
【0080】
なお、他の作用については、第1実施形態と同様とする。
【0081】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る像保持体装置及び画像形成装置の一例について図11〜図12に従って説明する。なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0082】
図11、図12に示されるように、本第5実施形態では、帯電部材14が像保持体12と接する接触位置(図11参照)と、帯電部材14が像保持体12から離間する離間位置(図12参照)との間で帯電部材14を移動させる移動装置70が備えられている。
【0083】
さらに、清掃部材60を、清掃部材60が帯電部材14を像保持体12の表面に押し付ける方向に押圧する押圧位置(図11参照)と、清掃部材60を、清掃部材60が帯電部材14を押圧しない非押圧位置(図12参照)との間を移動させる移動装置80が備えられている。
【0084】
具体的には、帯電部材14を移動させる移動装置70には、像保持体12の径方向に延びると共に、夫々の支持部材50に形成されたねじ孔(図示省略)にねじ込まれる一対のボールネジ72が設けられている。さらに、このボールネジ72をボールネジ72の周方向において正逆方向に回転させるステッピングモータ(図示省略)が設けられている。
【0085】
また、清掃部材60を移動させる移動装置80には、像保持体12の径方向に延びると共に、夫々の支持部材66に形成されたねじ孔(図示省略)にねじ込まれる一対のボールネジ82が設けられている。さらに、このボールネジ82をボールネジ82の周方向において正逆方向に回転させるステッピングモータ(図示省略)が設けられている。
【0086】
以上の構成により、図11に示されるように、清掃部材60が押圧位置に配置され、帯電部材14が接触位置に配置された状態で、像保持体12の表面への画像形成が行なわれる。像保持体12の表面への画像形成が終了すると、各ステッピングモータの駆動力によりボールネジ72及びボールネジ82を正方向に回転させる。
【0087】
これにより、図12に示されるように、清掃部材60が非押圧位置に移動し、帯電部材14が離間位置に移動する。
【0088】
一方、像保持体12の表面への画像形成を開始する際には、各ステッピングモータの駆動力によりボールネジ72及びボールネジ82を逆方向に回転させる。
【0089】
これにより、図11に示されるように、帯電部材14が接触位置に移動し、清掃部材60が押圧位置に移動する。
【0090】
このように、清掃部材60を非押圧位置に移動させ、帯電部材14を離間位置に移動させることで、像保持体12及び清掃部材60との間で本体部52に生じている摩擦力が無くなる。これにより、本体部52に生じる捩じれ(ツイスト)が抑制される(捩れが解消する)。
【0091】
なお、他の作用については、第1、第2実施形態と同様とする。
【0092】
また、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記第2実施形態では、本体部52の中央側において、本体部52と像保持体12の表面とが接触する場合を例にとって説明したが、特に接触しなくてもよく、本体部52と像保持体12の表面との間で放電が生じる距離であれば離間していてもよい。この場合には、前述したように、接触幅は0〔mm〕となる。
【0093】
また、上記第2実施形態では、特に言及しなかったが、清掃部材60の接触部62について、長手方向の中央側で本体部52との間で生じる摩擦力を、長手方向の両端側で生じる摩擦力より大きくなるように、接触部62の表面状態を決めてもよい。例えば、接触部62をスポンジ部材で成形させる場合に、中央側のスポンジセルを端部側のスポンジセルに比して密にすることで、摩擦力が調整される。これにより、接触部62に生じる捩じれ(ツイスト)が抑制される。
【0094】
また、上記第5実施形態では、帯電部材14を像保持体12の径方向に移動させて、帯電部材14を像保持体12から離間させたが、帯電部材14の保持部54を帯電部材14の長手方向に、夫々引っ張ってもよい。この場合には、本体部52が弾性変形することでポアソン効果により本体部52の断面が小さくなり、帯電部材14が像保持体12から離間する。
【0095】
また、上記実施形態では、特に言及しなかったが、帯電部材14の本体部52について、両端側から中央側にかけて徐々にカーボンブラックの配合量を増やしてもよい。これにより、本体部52の中央側での像保持体12の帯電不良が抑制される。
【符号の説明】
【0096】
10 画像形成装置
12 像保持体
14 帯電部材
16 露光装置
18 現像装置
28 像保持体ユニット(像保持体装置の一例)
50 支持部材
52 本体部
54 保持部
60 清掃部材
70 移動装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら帯電された表面に静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体の回転軸方向に沿って延びて長手方向の中央側の断面が両端側の断面に比べて徐々に小さくされると共に弾性部材で成形される本体部と、前記本体部の両端側を保持する一対の保持部と、を備え、前記本体部が前記像保持体の表面に接して前記像保持体に対して従動回転しながら前記像保持体の表面を帯電する帯電部材と、
前記保持部を回転可能に支持する支持部材と、
を備える像保持体装置。
【請求項2】
前記回転軸方向に沿って延びるように前記帯電部材を挟んで前記像保持体の反対側に設けられ、前記本体部の表面を前記像保持体の表面に押し付ける方向に押圧すると共に、回転する前記帯電部材と接して従動回転することで前記本体部の表面を清掃し、長手方向の中央側の断面が両端側の断面に比べて徐々に大きくされる清掃部材が備えられた請求項1に記載の像保持体装置。
【請求項3】
前記清掃部材の形状は、前記像保持体の回転方向における前記本体部と前記像保持体との接触幅について、前記本体部の長手方向の中央側が、前記本体部の長手方向の両端側より小さくなるように、決められる請求項2に記載の像保持体装置。
【請求項4】
前記清掃部材の形状は、前記本体部と前記像保持体との間で生じる摩擦力について、前記本体部の長手方向の中央側の摩擦力が、前記本体部の長手方向の両端側の摩擦力より小さくなるように、決められる請求項2に記載の像保持体装置。
【請求項5】
前記本体部の表面状態は、前記本体部と前記像保持体との間で生じる摩擦力について、前記本体部の長手方向の中央側の摩擦力が、前記本体部の長手方向の両端側の摩擦力より小さくなるように、決められる請求項1〜4の何れか1項に記載の像保持体装置。
【請求項6】
前記帯電部材が前記像保持体と接する接触位置と、前記帯電部材が前記像保持体から離間する離間位置との間で前記帯電部材を移動させる移動装置が設けられる請求項1〜5の何れか1項に記載の像保持体装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載された像保持体装置と、
前記像保持体装置に備えられる表面が帯電した像保持体を露光して前記像保持体の表面に静電潜像を形成する露光装置と、
前記露光装置によって前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナー画像として可視化する現像装置と、
を備える画像形成装置。
【請求項1】
回転しながら帯電された表面に静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体の回転軸方向に沿って延びて長手方向の中央側の断面が両端側の断面に比べて徐々に小さくされると共に弾性部材で成形される本体部と、前記本体部の両端側を保持する一対の保持部と、を備え、前記本体部が前記像保持体の表面に接して前記像保持体に対して従動回転しながら前記像保持体の表面を帯電する帯電部材と、
前記保持部を回転可能に支持する支持部材と、
を備える像保持体装置。
【請求項2】
前記回転軸方向に沿って延びるように前記帯電部材を挟んで前記像保持体の反対側に設けられ、前記本体部の表面を前記像保持体の表面に押し付ける方向に押圧すると共に、回転する前記帯電部材と接して従動回転することで前記本体部の表面を清掃し、長手方向の中央側の断面が両端側の断面に比べて徐々に大きくされる清掃部材が備えられた請求項1に記載の像保持体装置。
【請求項3】
前記清掃部材の形状は、前記像保持体の回転方向における前記本体部と前記像保持体との接触幅について、前記本体部の長手方向の中央側が、前記本体部の長手方向の両端側より小さくなるように、決められる請求項2に記載の像保持体装置。
【請求項4】
前記清掃部材の形状は、前記本体部と前記像保持体との間で生じる摩擦力について、前記本体部の長手方向の中央側の摩擦力が、前記本体部の長手方向の両端側の摩擦力より小さくなるように、決められる請求項2に記載の像保持体装置。
【請求項5】
前記本体部の表面状態は、前記本体部と前記像保持体との間で生じる摩擦力について、前記本体部の長手方向の中央側の摩擦力が、前記本体部の長手方向の両端側の摩擦力より小さくなるように、決められる請求項1〜4の何れか1項に記載の像保持体装置。
【請求項6】
前記帯電部材が前記像保持体と接する接触位置と、前記帯電部材が前記像保持体から離間する離間位置との間で前記帯電部材を移動させる移動装置が設けられる請求項1〜5の何れか1項に記載の像保持体装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載された像保持体装置と、
前記像保持体装置に備えられる表面が帯電した像保持体を露光して前記像保持体の表面に静電潜像を形成する露光装置と、
前記露光装置によって前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナー画像として可視化する現像装置と、
を備える画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−54181(P2013−54181A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191712(P2011−191712)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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