説明

充填バルブ

【課題】 充填時には充填バルブと容器の液通路、空気通路は完全に外気と遮断し、充填後も液通路、空気通路を完全に遮断して、容器とバルブに残存する圧縮エアのスニフト時にも液をバルブ外に漏らすことない簡単な構成で低コストの充填バルブを提供することを目的とする。
【解決手段】 充填時に容器を上昇させるときは、容器口がシールパッキンに当接し、スニフト手段を介してバルブの筒状体を押し上げ、液バルブとベントチューブが同時に開いて液体を容器内に充填し、充填完了後、容器を下降するとき、ベントチューブと液バルブを同時に閉じた後の筒状体の残りの下降ストロークを使用してスニフト手段を作動させて容器内のエア圧を逃がすようにしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に炭酸ガスを含まない飲料類を充填する充填バルブに関し、特に容器内に液を充填後、容器上部の残留エア圧による容器外への液の吹きこぼれを防止するための自動スニフト機構を設けた充填バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の炭酸ガスを含まない飲料類を充填する充填バルブの先行例として、特許文献1の第1図に開示されているものを図6で示す。容器010が上昇することにより、容器口をセンタリング部材024の容器シール部材025に当接させ、容器010をさらに上昇させることにより、弁体030が押し上げられて液通路が開き、容器010内の空気をベントチューブ026から逃がし、容器010内の空気に置き換わって液の充填が開始され、容器010をさらに上昇させるとセンタリング部材024も上昇し、センタリング部材024に嵌めてあるパッキン051が弁本体023の底面に当接して容器010内部と外気を遮断する。この間は充填が続き、液貯溜タンク021の液面とベントチューブ026の液面高さが同一になった時点で充填を完了する。
【0003】
次に、容器010を下降させることにより、パッキン051の気密が解除され、スニフト通路040,041(センタリング部材024に明けられた小孔)を通して容器010内が大気圧に通じる。次いで、弁体030が下降し、パッキン050により液通路が遮断され、充填液の流入が止まる。容器010内と外気が通じたとき、ベントチューブ026に残存する液は容器010内に落下する。
【0004】
特許文献2において開示されたもう1つの従来例の充填バルブは、容器を上昇させて容器口をセンタリング部材に当接し、さらに容器を上昇させて液弁を開き、液を充填し、充填完了後、容器を下降させて液バルブを閉めるまでの工程は特許文献1の工程と同じである。特許文献2では、液バルブが閉じた後のスニフトの方式が異なる。即ち、このスニフト方式は、容器口のパッキンと接合するエアシリンダを設置し、このエアシリンダを作動することにより容器口のシールの1部を持ち上げてスニフトさせる構成となっている。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−21386号公報
【特許文献2】特開平9−301493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の特許文献1の充填バルブにおいては、充填完了時に弁体が液通路を遮断する前に、センタリング部材が弁本体から離れ、容器内と外気とのシールを解除する構造となっているので、液通路が完全に遮断されるまでに液が再度容器内に流入し、また、スニフト通路が容器内に再度流入する液によって塞がれ、容器内圧が抜け難くなり、そのため、後からの流入液がスニフト通路からセンタリング部材の外に流れ出す虞がある。
【0007】
また、特許文献2の従来例の充填バルブは、充填完了後に、エアシリンダを作動させ容器口のシールの1部を持ち上げてスニフトさせる構成で、各バルブ毎にエアシリンダ、支持部材、エアシリンダ作動弁、作動電気回路等が必要となり、装置のコストが高くなるという問題点がある。
本発明は、充填時には充填バルブと容器の液通路、空気通路は完全に外気と遮断し、充填後も液通路、空気通路を完全に遮断して、容器とバルブに残存する圧縮エアのスニフト時にも液をバルブ外に漏らすことない簡単な構成で低コストの充填バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題に対し、本発明は以下の各手段により課題の解決を図る。
(1) 第1の手段の充填バルブは、上部をフィラーボウルに突き出すとともに段部をフィラーボウルの底板に固設され、フィラーボウル内の液を内部に導入する流入孔を有する縦円筒チューブ形状のバルブ本体と、該バルブ本体の内筒に摺動自在に嵌合し、定位置以下に下がらぬように制止され液通路を形成し下端面に容器口シールパッキンが嵌め込まれた摺動体と、バルブ本体の段部と前記摺動体の段部との間に付与圧して装填された圧縮ばねと、摺動体の下部に嵌装して固定され下端が液バルブ及び空気バルブの外筒を形成する筒状体と、前記バルブ本体と上部で固定結合し、上端がフィラーボウル内の充填液面上の空間に開口し、空気通路を形成する導管がバルブ本体及び摺動体の中を通って下端で開口して前記筒状体の下端で開閉する空気バルブを形成し、同じ下端において前記筒状体の下端との間で液バルブを形成する液バルブ体と一体に結合しているベントチューブと、容器を昇降する容器昇降手段とを備えて構成された炭酸ガスを含まない液体の定圧(大気圧)充填バルブにおいて、
【0009】
前記筒状体に外嵌するとともに前記摺動体の下面に取付けられ、下方からの圧し力が作用したときに容器に通じるエア通路が閉じ、下方からの圧し力が作用しないとき前記エア通路が開いてスニフト(エア抜き)可能となる機能を有するスニフト手段を追加設置し、前記容器口シールパッキンをスニフト手段の下面に取付け、充填時には容器昇降手段により容器を上昇させ、容器口がシールパッキンに当接してスニフト手段を介して上記筒状体と摺動体を押し上げ、スニフト手段のエア通路を閉じ、液バルブとベントチューブが同時に開いて液体を容器内に充填し、充填完了後には容器を下降させて前記空気バルブと液バルブを同時に閉じ、摺動体の下降停止後には容器の残りの下降ストロークにおいてスニフト手段のエア通路を開き、容器内のエア圧を逃がすようにしたことを特徴とする。
【0010】
(2) 第2の手段の充填バルブは、上記第1の手段の充填バルブにおいて、スニフト手段は前記筒状体の外筒にシールされて外嵌し、前記摺動体の下面に固設されスニフト孔を備えたスニフト固定部材と、下面に容器口シールパッキンを取付け前記筒状体の筒面を上下摺動可能でその摺動面に隙間、又は細いエア通路が設けてあるスニフト摺動部材と、該スニフト固定部材に嵌め込まれ該スニフト摺動部材が上方に押されたときスニフト固定部材とスニフト摺動部材とを空密にシールするパッキンと、スニフト固定部材とスニフト摺動部材との間に装填されバルブ本体と摺動体との間の圧縮ばねの付与圧より弱い圧縮力を有する圧縮ばねと、スニフト固定部材に設けられた係止め突起と、前記スニフト固定部材の係止め突起に係合してスニフト摺動部材の摺動方向のストロークを制止するために、スニフト摺動部材に設けられた係止め突起とにより構成されたことを特徴とする。
【0011】
(3) 第3の手段の充填バルブは、上記第2の手段の充填バルブのスニフト手段において、スニフト摺動部材の摺動ストロークを規制するスニフト固定部材側の係止め突起の構成は、スニフト固定部材の円筒部に矩形断面のリング状外溝を形成し、その溝底に溝底巾より狭い巾の円周方向に等分割、等角度に複数の長孔を明け、同長孔と等しい角度弧長で内側方向に前記の長孔に嵌合する突起を有する複数の扇形フックと、スニフト固定部材のリング状溝底周長さより短い周長さを有するゴム製リングとを設け、複数の扇形フックの突起をスニフト固定部材のリング状溝の長孔に嵌め、リング状溝と扇形フックを外側から該ゴム製リングで巻締め、該ゴム製リングの引張力で扇形フックを固定するようにしたことを特徴とする。
【0012】
(4) 第4の手段の充填バルブは、上記第1〜第3の手段の充填バルブにおいて、前記摺動体と前記スニフト固定部材との間の筒状体の筒面に、取換え可能な間座を嵌め込み、該間座の長さ寸法の異なるものを取り換えることにより、容器内への液バルブの挿入距離を変えて容器内の液面高さを調整するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係わる発明は、上記第1の手段の充填バルブであり、充填時に容器を上昇させるときは、容器口がシールパッキンに当接し、スニフト手段を介してバルブの筒状体を押し上げ、液バルブとベントチューブが同時に開いて液体を容器内に充填し、充填完了後、容器を下降するとき、ベントチューブと液バルブを同時に閉じた後の筒状体の残りの下降ストロークを使用してスニフト手段を作動させて容器内のエア圧を逃がすようにした構成であり、充填液供給口が遮断されてから容器内を大気開放し、容器が下降するときには、充填が再び開始することがないので、容器内圧開放時にスニフト通路から充填液が充填バルブの外に流れ出す虞が無い。
【0014】
請求項2に係わる発明は、上記第1の手段の充填バルブのスニフト手段であり、このスニフト手段にあっては、スニフト通路は液が流下する通路上に無いので、スニフト通路の閉塞や液の外部への飛散は発生しない。また、充填バルブの筒状体に嵌め込むだけで取付けが可能であり、構造が簡単で低コストである。
請求項3に係わる発明は、上記第1及び第2の手段の充填バルブのスニフト手
段のスニフト固定部材側の係止め突起の構成に関するもので、この係止め突起の固定にはボルト等を使用せず、組立用工具を使わなくても簡単に素手で組付け固定が可能で、充填バルブを洗浄するときの分解も同様に簡単にできる。
【0015】
請求項4に係わる発明は、上記第3の手段の充填バルブの容器内の液面高さを調整するための手段であり、上記スニフト手段を取付けるときに用いる間隔座を、長さが異なったものと取り替えるだけで、その目的を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、炭酸ガスを含まない飲料類を、大気圧下で容器内に充填する充填装置に設置される充填バルブに関するものであり、以下に本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1(I)は充填バルブの側面断面図、図1(II)は図1(I)の充填バルブの液バルブを開いて液体の充填中を示す側面断面図、図2は図1(I)の充填バルブのA−A断面図、図3は図1(I)の充填バルブのB−B断面図、図4は図1の充填バルブのスニフト手段の拡大鳥瞰斜視図、図5(I)〜図5(IV)は図1の充填バルブの充填の各工程に対するスニフト手段の状態を示す断面図である。
【0017】
図において、充填バルブ1の主体は、飲料液が一定液面高さに溜められているフィラーボウル2内に、上部を突き出しシールリング19でフィラーボウル2と液密に固設され、フィラーボウル2内の飲料液を内部に導入する液流入孔11dを有している円筒状のバルブ本体11と、バルブ本体11の筒内をシールリング15により液密にシールされて摺動自在に貫通し、下端に液バルブ10の外筒23bを形成する筒状体23を嵌め込み一体に結合している摺動体12と、フィラーボウル2内の液面上にベントチューブ13の上端の開口部13eにおいて開口し、上部の小径部13dにおいてバルブ本体11に固定され、中間部はバルブ本体11及び摺動体12の中を通る空気通路13cとなっていて、下端において側面に開口する空気バルブ13bと共に、液バルブ10の片方を形成する液バルブ体13aが一体に結合されているベントチューブ13、その他で構成されている。24は摺動体12の嵌合径12dにおいて筒状体23の頭部23aを液密にシールするシールリングである。14は液バルブ10を構成するシールリングである。
【0018】
バルブ本体11のフランジと摺動体12のフランジ12cとの間に圧縮ばね16が付与圧して装填されている。摺動体12は、定位置以上に下方へ移動しないように、摺動体12のフランジ12cの孔を突き通し、上端がバルブ本体11にねじ止めされた複数のストッパーボルト28によって止められている。ストッパーボルト28の長さは、摺動体12の降下端において、摺動体12に固設された筒状体23の下端が、ベントチューブ13の液バルブ体13aが液バルブ10を閉じる位置となるようにしてある。
【0019】
ベントチューブ13は、図2に示すように、上部の小径部13dに係合する2つ割りの半割リング21、21がバルブ本体11の嵌合部11cに嵌合し、ナット22が半割リング21、21をバルブ本体11に締め付けることにより固定される。また、図3に示すように、ベントチューブ13の空気通路13cには複数のガイド板13fが備えられ、ベントチューブ13が変形や振動を生じないように支えている。
【0020】
スニフト手段17について説明する(図3及び図4参照)。スニフト手段17は、筒状体23にOリング38を介してシールされて外嵌し、摺動体12と間座18を挟んで複数のボルト29で締付けて固設されたスニフト固定部材31と、筒状体23の外筒面を図5(III)と図5(IV)に示すh4の距離を上下摺動可能で、下端位置でスニフト固定部材31に取付けられた扇形フック33に係止する突起32aを備えたスニフト摺動部材32と、スニフト固定部材31とスニフト摺動部材32との間に装填された圧縮ばね35とにより構成されている。容器3が飲料充填のため、スニフト手段17と充填バルブ1の筒状体23を押し上げているときはスニフト孔31aを閉じてスニフトできない状態で充填が行われ、充填を終了して筒状体23が下降して液バルブ10と空気バルブ13bを閉じた後、容器3がさらに降下して、スニフト摺動部材32がスニフト固定部材31から相対的に下がったとき、スニフト孔31aを開いて容器3の上部に溜まった空気をスニフトする機能を有している。
【0021】
スニフト固定部材31の中心の縦孔には筒状体23の外筒と気密にシールするためのOリング38を嵌め込むための溝が形成され、内側天井面にはスニフト摺動部材32の上端が当接したときに空気を封止するリング状パッキン37を嵌め込む水平リング状の溝が形成され、円筒部にはスニフトのためのスニフト孔31aが設けられている。また、スニフト固定部材31の円筒部に矩形断面のリング状外溝31cを形成し、その溝底の円周方向に等分割、等角度に、溝底巾より狭い巾の複数の長孔31bが明けてある。この長孔31bに、長孔31bと等しい角度弧長で内側方向に前記の長孔31bに嵌合して所要寸法だけ突き出す突起を有する複数の扇形フック33が嵌め込まれる。扇形フック33は、外周にゴム製リング34が掛けられる浅い溝を有している。スニフト固定部材31の長孔31bに複数の扇形フック33を嵌め込み、ゴム製リング34を扇形フック33とリング状外溝31cとに掛けることにより、ゴム製リング34の引張力で巻締めて扇形フック33をスニフト固定部材31に固定することができる。なお、本実施の形態では、2個の扇形フックの場合を示す。(図Iは、片方の扇形フック33を省略したものを示している。)
【0022】
スニフト摺動部材32の下面には、容器口シールパッキン36が取付けられ、筒状体23との摺動面に隙間39、又は細いエア通路が設けてある。スニフト摺動部材32の上部の突起32aの上端面がパッキン37に当接したときは容器3の内外を封止することができ、また、突起32aは扇形フック33に当接することにより、スニフト摺動部材32の下方への摺動距離を規制している。
【0023】
スニフト固定部材31とスニフト摺動部材32との間に装填してある圧縮ばね35は、液バルブ10及び空気バルブ13bの開閉作動に影響しないように、バルブ本体11と摺動体12との間の圧縮ばね16の付与圧より弱い圧縮力を有するようにしてある。
【0024】
容器3内への筒状体23の挿入距離を変えることにより、容器3内の液面高さを調整することができるので、摺動部材12とスニフト固定部材31との間の筒状体23の筒面に、間座18を嵌め込み、長さ寸法の異なる間座を取り換えることにより、容器3内の液面高さを調整することができるようにしてある。
【0025】
充填バルブ1の充填の各工程とスニフト手段の動作を、図5(I)〜図5(IV)により説明する。(なお、扇形フック33にスニフト固定部材31を一体化した形で図示してある。)
充填前・バルブ閉:図5(I)に示すように、容器3はフランジ3aを図示しないグリッパに支えられ、または、図示しない容器リフターの上に載せられて、充填バルブ1の下方に置かれる。充填バルブ1は液バルブ10、空気バルブ13b共に、閉の状態、スニフト手段17は自由に吊り下がってスニフト孔31aは開の状態にある。
【0026】
バルブ開・充填:図5(II)に示すように、容器3はグリッパに支えられ、または、容器リフターによって高さh3上昇し、容器口がスニフト摺動部材32に備えされた容器口シールパッキン36に当接し、スニフト摺動部材32を押し上げ、スニフト摺動部材32はスニフト固定部材31に嵌め込まれたリング状パッキン37に当接して容器3内と外気を遮断し、さらに、スニフト固定部材31に結合する摺動体12と筒状体23を押し上げて液バルブ10とベントチューブ13の空気通路13cの空気バルブ13bを開き、容器3内のエアは、矢印のように、ベントチューブ13からフィラーボウル2の大気圧の空間へ逃げ、容器3内のエアに置換して、矢印のように、液バルブ10から飲料が容器3内へ流れ込む。
【0027】
スニフト手段17内のスニフト摺動部材32の移動ストロークはh4、筒状体23の押し上げ移動ストロークはh2、スニフト摺動部材32の全移動ストロークはh1である。
【0028】
飲料が容器3に充填され、容器3内の飲料液面が筒状体23の下端に達すると、容器3の上部のエアが封じられて容器3内の液面はそれ以上上がらず、飲料液はベントチューブ13の空気通路13c内をフィラーボウル2の液レベル近くまで上昇し、液圧力がバランスして止まる。
【0029】
充填終了・バルブ閉:図5(III)に示すように、飲料の充填が終了した後、図示しないグリッパ、または、容器リフターによって容器3を下降させる。容器3の下降中は、スニフト摺動部材32を押し下げる圧縮ばね35の押し力は、摺動体12を押している圧縮ばね16の押し力より弱いので、摺動体12がストッパボルト28で止められる位置(筒状体23が下がり、液バルブ10と空気バルブ13bが閉じた位置)までは、スニフト手段17のスニフト孔31aは閉じた状態を続ける。
【0030】
スニフト:図5(IV)に示すように、容器3がさらに降下すると、摺動部材32はストロークh4だけ下がり、スニフト孔31aが開き、容器3内のエアは矢印のようにスニフトされて、容器3内のエアは外気とバランスする。スニフト孔31aは小径であり、スニフトは緩慢に行われ、容器3に、或いは、筒状体23に付着した飲料液がスニフトに混じらないようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係る充填バルブの側面断面図で、図I(I)は充填前・バルブ閉の状態を示し、図I(II)はバルブ開・充填の状態を示す。
【図2】図1(I)の充填バルブのA−A断面図である。
【図3】図1(I)の充填バルブのB−B断面図である。
【図4】図1の充填バルブのスニフト手段の拡大鳥瞰斜視図である。
【図5】(I)〜(IV)図1の充填バルブの充填の各工程に対するスニフト手段の状態を示す断面図である。
【図6】従来の充填バルブを示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 充填バルブ
2 フィラーボウル
3 容器
10 液バルブ
11 バルブ本体
12 摺動体
13 ベントチューブ
13a 液バルブ体
13b 空気バルブ
13c 空気通路
14 バルブシールリング
15 シールリング
16 圧縮ばね
17 スニフト手段
18 間座
21 半割りリング
23 筒状体
28 ストッパボルト
31 スニフト固定部材
31a スニフト孔
31b 長孔
32 スニフト摺動部材
32a 突起
33 扇形フック
34 ゴム製リング
36 容器口シールパッキン
h1:スニフト摺動部材の全ストローク
h2:バルブ開閉ストローク
h3:容器昇降ストローク
h4:スニフトストローク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部をフィラーボウルに突き出すとともに段部をフィラーボウルの底板に固設され、フィラーボウル内の液を内部に導入する流入孔を有する縦円筒チューブ形状のバルブ本体と、
該バルブ本体の内筒に摺動自在に嵌合し、定位置以下に下がらぬように制止され液通路を形成し下端面に容器口シールパッキンが嵌め込まれた摺動体と、バルブ本体の段部と前記摺動体の段部との間に付与圧して装填された圧縮ばねと、摺動体の下部に嵌装して固定され下端が液バルブ及び空気バルブの外筒を形成する筒状体と、前記バルブ本体と上部で固定結合し、上端がフィラーボウル内の充填液面上の空間に開口し、空気通路を形成する導管がバルブ本体及び摺動体の中を通って下端で開口して前記筒状体の下端で開閉する空気バルブを形成し、同じ下端において前記筒状体の下端との間で液バルブを形成する液バルブ体と一体に結合しているベントチューブと、容器を昇降する容器昇降手段とを備えて構成された炭酸ガスを含まない液体の定圧(大気圧)充填バルブにおいて、
前記筒状体に外嵌するとともに前記摺動体の下面に取付けられ、下方からの圧し力が作用したときに容器に通じるエア通路が閉じ、下方からの圧し力が作用しないとき前記エア通路が開いてスニフト(エア抜き)可能となる機能を有するスニフト手段を追加設置し、前記容器口シールパッキンをスニフト手段の下面に取付け、充填時には容器昇降手段により容器を上昇させ、容器口がシールパッキンに当接してスニフト手段を介して上記筒状体と摺動体を押し上げ、スニフト手段のエア通路を閉じ、液バルブとベントチューブが同時に開いて液体を容器内に充填し、充填完了後には容器を下降させて前記空気バルブと液バルブを同時に閉じ、摺動体の下降停止後には容器の残りの下降ストロークにおいてスニフト手段のエア通路を開き、容器内のエア圧を逃がすようにしたことを特徴とする充填バルブ。
【請求項2】
請求項1に記載する充填バルブにおいて、スニフト手段は前記筒状体の外筒にシールされて外嵌し、前記摺動体の下面に固設されスニフト孔を備えたスニフト固定部材と、下面に容器口シールパッキンを取付け前記筒状体の筒面を上下摺動可能でその摺動面に隙間、又は細いエア通路が設けてあるスニフト摺動部材と、該スニフト固定部材に嵌め込まれ該スニフト摺動部材が上方に押されたときスニフト固定部材とスニフト摺動部材とを空密にシールするパッキンと、スニフト固定部材とスニフト摺動部材との間に装填されバルブ本体と摺動体との間の圧縮ばねの付与圧より弱い圧縮力を有する圧縮ばねと、スニフト固定部材に設けられた係止め突起と、前記スニフト固定部材の係止め突起に係合してスニフト摺動部材の摺動方向のストロークを制止するために、スニフト摺動部材に設けられた係止め突起とにより構成されたことを特徴とする充填バルブ。
【請求項3】
請求項2に記載する充填バルブのスニフト手段において、スニフト摺動部材の摺動ストロークを規制するスニフト固定部材側の係止め突起の構成は、スニフト固定部材の円筒部に矩形断面のリング状外溝を形成し、その溝底に溝底巾より狭い巾の円周方向に等分割、等角度に複数の長孔を明け、同長孔と等しい角度弧長で内側方向に前記の長孔に嵌合する突起を有する複数の扇形フックと、スニフト固定部材のリング状溝底周長さより短い周長さを有するゴム製リングとを設け、複数の扇形フックの突起をスニフト固定部材のリング状溝の長孔に嵌め、リング状溝と扇形フックを外側から該ゴム製リングで巻締め、該ゴム製リングの引張力で扇形フックを固定するようにしたことを特徴とする充填バルブ。
【請求項4】
請求項1〜3に記載する充填バルブにおいて、前記摺動体と前記スニフト固定部材との間の筒状体の筒面に、取換え可能な間座を嵌め込み、該間座の長さ寸法の異なるものを取り換えることにより、容器内への液バルブの挿入距離を変えて容器内の液面高さを調整するようにしたことを特徴とする充填バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−76614(P2006−76614A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262771(P2004−262771)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】