説明

充填バルブ

【課題】充填バルブをガス詰め充填とノンガス充填に兼用可能にする。
【解決手段】バルブハウジング2の内部に、充填液供給配管6に連通する充填液通路4が形成されるとともに、下端に充填ノズル31が設けられている。充填液通路4は液バルブ8によって開閉される。さらに、容器Bの口部をシールするパッキン38と、パッキン38を昇降させるシリンダ42と、容器B内に充填される充填液量を検出するフローメータ33と、前記バルブハウジング2に形成された排気通路44とを備えている。排気通路44の容器側開口部を、前記充填ノズル31の開口部の外側に位置させるとともに、前記充填ノズル31の開口部を容器B内の充填液の入味高さよりも上方に位置させた状態で充填を行う。ガス詰め充填時には、容器B内を前記パッキン38で密封し、ノンガス充填時には、密封しないで充填を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填装置に設けられた充填バルブに係り、特に、炭酸ガス飲料等の充填を行うガス詰め充填とノンガス飲料の充填に兼用可能な充填バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
充填装置は一般に、バルブハウジングの内部に形成された充填液通路と、この充填液通路の下流端に設けられた充填ノズルと、これら充填液の流れる通路を開閉する液バルブとを有する充填バルブを備えており、前記液バルブを開放して充填液通路の下流端に設けた充填ノズルから容器内に充填液を注入するようになっている。
【0003】
このような充填装置によって、例えば、炭酸ガス入り飲料を容器内に充填する場合には、容器の上端開口部を密閉する必要があるため、前記充填バルブのバルブハウジングに円筒状の昇降部材を嵌合させ、さらに、この昇降部材に、容器の上端開口部を案内するセンタリングガイドと、その上端開口部を密封するびん口パッキンとを取付け、このびん口パッキンを容器の上端開口部全周に圧着させ容器内を密封した状態にして充填を行うようにしている。また、容器内を密封した状態で充填を行うには、容器内部に封入された気体を排出するための排気通路を設ける必要があり、この排気通路によって容器内の気体を排出しつつ液体の充填を行うようにしている。
【0004】
前記のように容器の口部を密封して充填を行う充填装置として、従来から二つのタイプの充填方式が知られている。その一方は、圧力平衡式と呼ばれるもので(例えば、特許文献1参照)、以下のように構成されている。すなわち、フィラーボウル内の底面上に直立してケースを固定し、このケース内にパイプ(バルブステムおよびその下端のベントチューブ)を昇降可能に支持させる。前記パイプの内部が排気通路を構成し、外面側が充填液通路を構成しており、この充填液通路は液バルブによって開閉される。充填時には、前記バルブステム下端のベントチューブを容器内部に挿入して液バルブを開放する。
【0005】
液バルブが開くと、充填液通路および充填ノズルを通って容器内に液体が流入し、容器内の気体が排気通路からフィラーボウルの液面上の空間に放出される。容器内に充填された液体の液面が上昇し、前記排気通路の開口をふさいで容器内の圧力とフィラーボウル内の圧力が平衡すると充填が終了する。また、前記ベントチューブにはスプレッダが取り付けられており、このスプレッダによって容器内に流入する液体を容器の内面に沿わせるようにして、充填時の泡立ちを防止している。
【0006】
他方の充填方式は、フローメーターやレベルセンサによって充填量を検出し、所定量になったときに充填を終了する充填量検出式であり(例えば特許文献2参照)。この特許文献2に記載された充填装置は、ハウジングとその内部の内部片との間に環状の液体供給路が有り、この液体供給路は液体弁によって、つまり、シリンダによって上下する環状密閉要素によって開閉される。環状の液体供給路の注入口は、下部が円錐状に大きくなっており、それによって液体噴流は容器の内壁に導かれて、底部に向かって流下する。
【0007】
前記内部片の上部には気体通路が設けられており、排気弁を介して排気室に接続され、また、吸気弁を介して環状槽の気体空間にも接続されている。さらに、前記内部片の中心部には液面レベルセンサが取り付けられており、このレベルセンサから液面までの距離が一定値に達した時点で前記流体弁を閉じるようになっている。
【特許文献1】特開平8−11989号公報(第4−5頁、図2)
【特許文献2】特開平6−144491号公報(第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記第1の特許文献に記載された構成では、充填終了時点で排気通路内に充填液が残っているので、次の充填前に排出する必要があり、特に、高速運転を行う場合には、排出するための特別な機構が必要となる。しかも、充填時に、ベントチューブが充填液に接触するので、サニタリー性に問題があった。また、容器のサイズや形状が変更になった場合には、排気通路を構成するベントチューブやスプレッダを交換しなければならないという問題があった。
【0009】
また、第2の特許文献に記載された構成では、排気通路の開口部が液体供給路の開口部よりも上方に位置しているので、排気通路が充填液に接触することはなく、充填終了時に排気通路内に充填液が残留することもない。しかしながら、この構成では、充填液を容器の内壁に沿わせて充填するようにしているため、缶や口部の内面が平坦で肩部が滑らかな容器の場合は、充填液が容器の内面に沿って充填されるので泡立ちを押さえることができるが、リシール缶やボトル缶のように口部の内面に外面のねじ形状に対応した凹凸が形成されている場合には、充填液が跳ね返って、かえって泡立ちを起こさせるという問題があった。
【0010】
本発明は、前記課題をのぞくためになされたもので、サニタリー性に優れるとともに、異なるサイズ、形状の容器に兼用するためにアタッチメントの交換をする必要がない充填バルブを提供することを目的とするものである。また、容器の中央部から充填するようにして、容器の形状に左右されず、安定した充填を行うことができる充填バルブを提供することを目的とするものである。さらに、ガス詰め充填とノンガス充填に兼用できるようにした、極めて兼用性の高い充填バルブを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載した発明に係る充填バルブは、内部に充填液供給配管に連通する充填液通路が形成されるとともに、下端に充填ノズルが設けられたバルブハウジングと、前記充填液通路を開閉する液バルブと、この液バルブを昇降させる液バルブ昇降手段と、前記バルブハウジングに設けられ、供給された容器の口部をシールするシール手段と、このシール手段と容器とを相対的に昇降させるシール用昇降手段と、容器内に充填される充填液量を検出する充填量検出手段と、前記バルブハウジングに形成され、容器内部の気体を排出する排気通路とを備えており、特に、前記排気通路の容器側開口部を、前記充填ノズルの開口部の外側に位置するように形成し、ガス詰め充填の場合には、前記シール手段により容器内を密封して、前記充填ノズルの開口部を容器内の充填液の入味高さよりも上方に位置させた状態で充填を行いつつ、容器内の気体を前記排気通路から排出するとともに、ノンガス充填の場合には、容器内を密封せずに充填を行うようにしたものである。
【0012】
この発明に係る充填バルブでは、炭酸ガス入りの飲料等を充填するガス詰め充填を行う場合には、シール手段用昇降手段によってシール手段と容器とを相対的に昇降させることにより、シール手段によって容器内を密封した状態で充填を行い、容器内の気体をハウジングに形成されている排気通路から排出し、ノンガス充填を行うときには、シール手段によって容器内を密封せずに、開放した状態で充填を行う。
【0013】
また、請求項2に記載した発明に係る充填バルブは、前記充填液通路の充填液供給配管と連通する個所に大径部を設け、この大径部の充填液通路面積を充填液供給配管の充填液通路面積よりも大きくするとともに、この大径部の下流側に絞り部を形成したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項2に記載の発明に係る充填バルブでは、充填液供給配管から充填液通路に流入する入口に大径部を設けて液体の流れを緩和し、さらに、その下流側の絞り部によって流れを抑制するので、容器内に充填される液体を容器の内壁に沿わせなくとも、緩やかに流入させ泡立ちを防止することができる。
【0015】
さらに、請求項3に記載した発明に係る充填バルブは、前記充填液通路の液バルブよりも上流側に、充填液を整流させる整流羽根が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3に記載の充填バルブでは、整流羽根によって充填液を整流して容器内に注入するので、滑らかに充填することができ泡立ちを防止することができる。
【0017】
また、請求項4に記載した発明に係る充填バルブは、前記充填ノズル内の液通路を下端に向かって次第に小径になるテーパ状にしたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項4に記載の充填バルブでは、充填ノズル内の液通路が、液出口側に向かって小径となるテーパ状になので、充填液の整流効果をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
シール手段によって容器内を密封した状態にしてガス入り飲料の充填を行うガス詰め充填と、容器内を密封せずにノンガス飲料の充填を行うノンガス充填とに兼用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
バルブハウジングの内部に、充填液供給配管に連通する充填液通路が形成され、その下端部に充填ノズルが設けられている。前記充填液通路は、液バルブ昇降手段によって昇降する液バルブによって開閉される。前記バルブハウジングには、供給された容器の口部をシールするシール手段と、このシール手段と容器とを相対的に昇降させるシール用昇降手段が設けられ、さらに、充填時に容器内部の気体を排出する排気通路が設けられており、この排気通路の容器側開口部が、前記充填ノズルの開口部の外側に位置するように形成されている。また、容器内に充填される充填液量を検出する充填量検出手段が設けられている。この充填バルブは、ガス詰め充填とノンガス充填に兼用できるようになっており、ガス詰め充填の場合には、前記シール手段によって容器内を密封し、前記充填ノズルの開口部を容器内の充填液の入味高さよりも上方に位置させた状態で充填を行いつつ、容器内の気体を前記排気通路から排出し、一方、ノンガス充填を行う場合には、容器内を密封せずに充填を行うことにより、充填バルブをガス詰め充填とノンガス充填に兼用するという目的を達成する。
【実施例1】
【0021】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係る充填バルブの縦断面図である。この充填バルブ(全体として符号1で示す)は、いわゆるリフタレスタイプの充填装置に設けられているもので、容器Bを水平搬送し、後に説明する容器口パッキンを下降させて、この容器Bの口部に密着させることにより容器B内部をシールした後、この充填バルブ1によって容器B内への充填を行うようになっている。
【0022】
充填バルブ1のバルブハウジング2は、下部寄りに大径部2aが形成され、さらに、この大径部2aの下方に小径部2bが設けられている。このバルブハウジング2の内部に充填液通路4が形成されており、図示しない充填液タンクから充填液供給配管6を介して送られた充填液が、この充填液通路4を通って容器B内に充填される。
【0023】
前記バルブハウジング2内に、前記充填液通路4を開閉する液バルブ8が設けられている。この液バルブ8は、充填液通路4内に昇降可能に挿通されたロッド10の下端に形成されている弁体12と、前記充填液通路4の下部内面に設けられた弁座14とによって構成されている。この弁体12の、弁座14に着座する部分の外周面には、シール部材12aが嵌着されて液密を保持するようになっている。前記弁体12を有するロッド10は、バルブハウジング2の上部に設けられたバルブ開閉用エアシリンダ(液バルブ昇降手段)16によって昇降する。
【0024】
このバルブ開閉用エアシリンダ16の構成について簡単に説明する。前記昇降ロッド10の上部にピストン18が設けられ、バルブハウジング2の上端に固定されたシリンダハウジング20内に摺動自在に嵌合して、シリンダハウジング20の内部の空間を上下の圧力室22、24に区画している。これら両圧力室22、24は、それぞれエア通路26、27を介してエア圧力源(図示せず)に接続されており、各圧力室22、24内に圧力エアを導入し、または、大気に開放できるようになっている。上方の圧力室22に圧力エアを導入したときには、ピストン18とともに昇降ロッド10が下降して弁体12が弁座14に着座することにより前記充填液通路4を閉じ、下方の圧力室24にエアを導入したときには、ピストン18とともに昇降ロッド10が上昇して弁体12が弁座14から離座し充填液通路4を開放する。
【0025】
なお、バルブハウジング2内の充填液通路4側と上方のエアシリンダ16との間にはダイヤフラム28が介装されており、飲料等の液体が流通する充填液通路4側とエアシリンダ16との間が完全に遮断されている。また、前記弁体12が設けられた昇降ロッド10の外面には、充填液通路4内を通過する充填液の流れを整流する整流羽根30が複数枚取り付けられている。
【0026】
前記充填液通路4の、液バルブ8よりも下方には、充填ノズル31が設けられている。この充填ノズル31の内部の液通路31aは、上方から下方に向けて次第に内径が小さくなるテーパ形状をしており、この充填ノズル31を通って容器B内に充填される充填液の整流効果を高めるようになっている。この充填ノズル31の内部通路31aの出口側には、容器B内に異物が混入することを防止するスクリーン31bが取り付けられている。なお、この実施の形態では、充填ノズル31の先端を容器Bの口部の上方に位置させて充填を行うようになっており(図1に示す状態)、充填ノズル31の液出口の内径は、容器Bの口部の内径よりも小さくなっている。
【0027】
バルブハウジング2の上端部に前記充填液供給配管6が接続されている。この充填液供給配管6とバルブハウジング2内の充填液通路4との接続部の構成について、この部分を拡大して示す図2により説明する。充填液供給配管6が接続されている充填液通路4の上端部には、内径が拡大された大径部4aが設けられている。この大径部4aの流路面積は、充填液供給配管6の流路面積よりも大きくなっている。
【0028】
そして、この大径部4aの下方には、前記ロッド10の外径を拡大することにより充填液通路4の流路を狭めた絞り部4bが形成されている。このようにバルブハウジング2内の充填液通路4の入口部に、大径部4aと絞り部4bとを形成しているので、充填液供給配管6から流入してくる充填液が、大径部4aで流勢が緩和され、さらに絞り部4bで絞られることにより、緩やかな流れとなって下流側に流れていく。例えば、充填液タンク(図示せず)から加圧された充填液が供給されてくる場合でも、充填液通路4内に形成されたこれら大径部4aと絞り部4bとにより、充填液が自重で落下していく場合のように流れを緩やかにすることができる。
【0029】
この充填装置では、前記充填液供給配管6にフローメータ33が設けられており、充填液供給配管6を介して供給され、充填液通路4を通って充填ノズル31から容器B内に充填される充填液の流量を検出している。なお、充填量を検出する充填量検出手段は、このようなフローメータ33に限定されるものではなく、例えば、容器Bの外から充填液のレベルを検出する非接触式のレベルセンサを用いるようにしてもよい。
【0030】
バルブハウジング2の下部外面に形成された大径部2aおよび小径部2bの外周に、円筒状の容器口パッキンユニット32が嵌合している。この容器口パッキンユニット32は、上部に形成された大径部32aとその下方の小径部32bとを有しており、この大径部32aの内面がバルブハウジング2の大径部2aの外面に常時嵌合し、小径部32bの内面はバルブハウジング2の小径部2bの外面に嵌合可能になっている。容器口パッキンユニット32の大径部32aの内面には第1シール部材34が嵌着され、前記バルブハウジング2の大径部2aの外面との間の気密を保持している。また、容器口パッキンユニット32の小径部32bの内面に第2のシール部材36が嵌着され、この小径部32bがバルブハウジング2の小径部2bに嵌合しているときには、これら両者2b、32bの間の気密を保持するようになっている。
【0031】
容器口パッキンユニット32の下端には、この充填バルブ1を備えた充填装置によって充填される容器Bの口径とほぼ一致する径を有する容器口パッキン(シール部材)38が取り付けられている。この容器口パッキンユニット32は、バルブハウジング2に取り付けられたパッキン昇降用エアシリンダ(シール用昇降手段)42によって昇降できるようになっており、容器B内に充填を行うときには、このパッキン昇降用エアシリンダ42によって容器口パッキンユニット32を下降させ、容器口パッキン38を容器Bの口部に密着させてこの容器B内を密封する。容器口パッキンユニット32のパッキン38よりも下方側の内面32cは、下方に向けて拡大するテーパ状になっており、容器口パッキン38に押し付けられる容器Bの口部をガイドするようになっている。なお、前記充填ノズル31の先端部の外径は、この容器口パッキン38の内径よりも大きく、両者間に隙間が形成されるようになっている。
【0032】
前記バルブハウジング2の内部には、小径部2bの下端面に開口する二本の気体通路44、46が設けられている。一方の気体通路44はカウンタ通路(排気通路)であり、第1の開閉弁48を介して、図示しない充填液タンクのヘッドスペース(貯留された充填液の上方の気相部)と大気とに切り換え可能に接続されている。また、他方の気体通路46はスニフト通路であり、第2の開閉弁50を介して、大気と連通している。なお、スニフト通路46の下端部は図示を省略してあるが、前記排気通路44と平行して形成されており、バルブハウジング2の小径部2bの下端面に、排気通路44の開口部44aと隣接して開口している。この実施の形態の充填バルブ1は、バルブハウジング2の壁面内を通る排気通路44を設けて、充填液タンクのヘッドスペースに接続させているので、従来の充填バルブが備えていたベントチューブをなくすことができ、型替の際にアタッチメントを交換する必要がなくなった。
【0033】
また、バルブハウジング2内には、前記小径部2bの下端面に開口する二本の気体通路44、46と別の第3の気体通路52が形成されている。この第3の気体通路52は充填液落下用のエア通路であり、一端は、前記排気通路44の開閉弁48よりも下流側に接続され、他端は、充填液通路4の前記液バルブ8よりも下流側の充填ノズル31内に開口している。この充填液落下用エア通路52は、第3の開閉弁54によって開閉できるようになっており、充填終了時に開閉弁54を開放して充填ノズル31内にエアを供給し、充填ノズル31の通路31a内に充填液が残留しないようにする。
【0034】
以上の構成に係る充填バルブ1の作動について説明する。先ず、炭酸飲料等の充填液を加圧充填するガス詰め充填を行う場合について説明する。ガス詰め充填の場合には、図示しない充填液タンク内に充填液を収容し、その上部の空間に加圧した炭酸ガスを封入する。
【0035】
この実施例に係る充填装置は、前述のようにリフタレスタイプの充填装置であり、水平搬送された容器Bが、前記充填バルブ1の下方に供給される時点では、容器口パッキンユニット32はパッキン昇降用エアシリンダ42によって上昇した位置にあり、容器Bが供給された後にこの容器口パッキンユニット32が下降される。容器口パッキンユニット32が下降されると、その下部に取り付けられている容器口パッキン38が容器Bの口部に圧着されてこの容器B内を密封する。
【0036】
充填開始時には、排気通路44は充填液タンク(図示せず)の気相部(充填液の上部の空間)に連通しており、前記のように容器口パッキン38によって容器B内を密封した後、排気通路44およびスニフト通路46の開閉弁48、50を開放する。充填液タンク内の加圧した炭酸ガスが、排気通路44から容器B内に導入されるとともに、容器B内のエアがスニフト通路46を介して排出される。所定時間経過後、スニフト通路46の開閉弁50を閉じ、炭酸ガスの排出を停止する。その後、液バルブ開閉用のエアシリンダ16を作動させて、昇降ロッド10およびこのロッド10と一体の弁体12を上昇させ、弁体12を弁座14から離座させて液バルブ8を開放し充填を開始する。
【0037】
充填液タンクから充填液供給配管6を通って供給された充填液が、バルブハウジング2内の充填液通路4および充填ノズル31を通って容器B内に充填されるとともに、容器B内の炭酸ガスは、排気通路44から排出されて充填液タンク内の気相部に戻される。容器B内に充填される充填液は、充填液供給配管6から充填液通路4内に流入すると、大径部4aで流路面積が拡大するので流れが緩やかになり、さらに、その大径部4aの下方の絞り部4bで流れが抑制されるので、加圧されて充填される場合でも、容器B内に緩やかに流入し、泡立つおそれがない。また、充填液通路4内には、整流羽根30が設けられ、しかも、充填ノズル31の液通路31aは下方に向けて小径となるテーパ状なので、充填液はさらに整流されて容器B内に緩やかに流入する。
【0038】
充填バルブ1に充填液を供給する充填液供給配管6にはフローメータ33が設けられており、所定量の充填液が充填されたことを検出すると、前記エアシリンダ16の作動によって液バルブ8が閉じられ充填が終了する。また、排気通路44の開閉弁48を閉鎖するとともに、充填液落下用エア通路52の開閉弁54を開放して充填ノズル31内にエアを供給し、充填ノズル31内に充填液が残留しないようにする。
【0039】
充填終了後、さらに、スニフト通路46の開閉弁50を開き、後に容器口パッキン38を容器Bから離したときに充填液が急激に発泡しないように、容器Bのヘッドスペース内から圧力ガスを徐々に放出して大気圧と同圧にする。その後、昇降用エアシリンダ42によって容器口パッキンユニット32を上昇させて第1パッキン38を容器Bから離し、この容器Bを充填装置から排出する。
【0040】
前記充填バルブ1は、ガス詰め充填を行う場合だけでなく、ノンガス充填にも適用することができる。この場合には、排気通路44を大気に開放した状態にしておき、スニフト通路46の開閉弁50を閉鎖するとともに、排気通路44の開閉弁48を開放する。この状態で容器Bが供給されると、容器口パッキンユニット32を昇降用エアシリンダ42によって下降させ、容器口パッキン38を容器Bの口部に密着させた後、液バルブ8を開放して充填を開始する。充填が終了すると、ガス飲料の充填時と同様に排気通路44の開閉弁48を閉鎖するとともに、充填液落下用エア通路52の開閉弁54を開放して充填ノズル31内にエアを供給して、充填ノズル31内に充填液が残らないようにする。なお、ノンガス充填の場合には、必ずしも容器口パッキン38によって容器Bの口部を密封する必要はない。
【0041】
前記構成の充填バルブ1では、容器Bの形状やサイズに影響を受けることなく充填を行うことができる。また、容器Bの口部のサイズが同一ならば、ベントチューブ等を交換する必要がない。従って、びん、ペット容器、リシール缶等の各種容器に兼用可能である。さらに、容器Bを昇降させる機構を必要としないリフタレス方式の充填装置にすることができるので、充填装置の構造が簡素になる。また、排気通路44の開口部44aが、充填ノズル31の外側に配置され、しかも、その先端の開口部(注液口)よりも上方に位置しているので、充填液に接触することがなくサニタリー性に優れている。また、排気通路44が常にドライであるから、加圧ガスを吹き込む際にミストを吹き込むことがないので、フォーミングしにくいという効果も得られる。
【0042】
なお、前記充填バルブ1は、リフタレス方式の充填装置に限らず、容器Bを昇降させるリフタ式の充填装置にも適用可能である。この場合には、びん口パッキンは昇降式にする必要はなく、固定式でよい。また、リフタ式の場合には、充填ノズルを容器内に挿入して充填することが可能であるが、充填ノズル下端が容器の入味高さ以上に位置させる、つまり、充填液面に接触しないようにする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】充填バルブの縦断面図である。(実施例1)
【図2】前記充填バルブの要部(充填液供給配管と充填液通路との接続部)を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
B 容器
2 バルブハウジング
4 充填液通路
6 充填液供給配管
8 液バルブ
16 液バルブ昇降手段(エアシリンダ)
31 充填ノズル
33 充填量検出手段
38 シール手段
42 シール用昇降手段(エアシリンダ)
44 排気通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に充填液供給配管に連通する充填液通路が形成されるとともに、下端に充填ノズルが設けられたバルブハウジングと、前記充填液通路を開閉する液バルブと、この液バルブを昇降させる液バルブ昇降手段と、前記バルブハウジングに設けられ、供給された容器の口部をシールするシール手段と、このシール手段と容器とを相対的に昇降させるシール用昇降手段と、容器内に充填される充填液量を検出する充填量検出手段と、前記バルブハウジングに形成され、容器内部の気体を排出する排気通路とを備え、
前記排気通路の容器側開口部を、前記充填ノズルの開口部の外側に位置するように形成し、ガス詰め充填の場合には、前記シール手段により容器内を密封して、前記充填ノズルの開口部を容器内の充填液の入味高さよりも上方に位置させた状態で充填を行いつつ、容器内の気体を前記排気通路から排出するとともに、ノンガス充填の場合には、容器内を密封せずに充填を行うことを特徴とする充填バルブ。
【請求項2】
前記充填液通路の充填液供給配管と連通する個所に大径部を設け、この大径部の充填液通路面積を充填液供給配管の充填液通路面積よりも大きくするとともに、この大径部の下流側に絞り部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の充填バルブ。
【請求項3】
前記充填液通路の液バルブよりも上流側に、充填液を整流させる整流羽根が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充填バルブ。
【請求項4】
前記充填ノズル内の液通路を下端に向かって次第に小径になるテーパ状にしたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の充填バルブ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−40511(P2009−40511A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304780(P2008−304780)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【分割の表示】特願2002−303481(P2002−303481)の分割
【原出願日】平成14年10月17日(2002.10.17)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】