説明

充填パーフルオロポリマー組成物を含む発泡物品

本発明は、パーフルオロポリマーと、チャー形成無機剤と、高分子分散剤とを含む組成物で被覆されたプレナムケーブルなど、NFPA−255燃焼試験に合格する発泡物品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパーフルオロポリマーの充填組成物の発泡物品に関する。
【背景技術】
【0002】
プレナムケーブルは、建物プレナム、すなわち、空調装置に空気を戻すために用いられる落天井の上の空間または揚床の下の空間に設置されるデータおよび音声の送信のために用いられるケーブルである。このケーブルは送信機能を果たすコアとコア上の外被とを含む。典型的なコア構造は絶縁ワイヤまたは同軸配置絶縁導体の複数の撚線対を含む。
【0003】
ポリ塩化ビニル(PVC)および難燃添加剤のケーブル外被はプレナムケーブルのために知られているが、得られる組成物は、不燃性および低煙放出−無煙放出を要求するNational Fire Protection Association(NFPA)−255燃焼試験(建物材料の表面燃焼)に合格しない。UL2424(添付書類A)は、NFPA−255に準拠して試験されたケーブルが50以下の煙発生指数(以後「煙指数」)および25以下の延焼指数(「延焼指数」)をもたなければならないと規定している。今まで、プレナムケーブル外被のこれらの特性は、UL−910(NFPA−262−Standard Method of Test for Flame Travel and Smoke of Wires and cables for Use in Air−Handling Spaces(空気取扱空間において用いるためのワイヤおよびケーブルの炎走行および煙に関する試験の標準方法))によって評価されてきたが、火災安全性に関する懸念が高まるにつれて、NFPA−262試験に合格するPVC組成物のケーブル外被がより厳格なNFPA−255試験に合格しないことが見出された。
【0004】
テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン(FEP)コポリマーのケーブル外被もNFPA−255燃焼試験に合格するプレナムケーブルのために知られている。こうしたFEPは、高い溶融粘度を有することを意味する2〜7g/10分のメルトフローインデックス(MFR)を有する。この高い溶融粘度のゆえに、このFEPは高生産コストケーブル外被の欠点を有する。このFEPを約120ft/分以下の速度(ライン速度)でしか押し出すことができないからである。より高いMFR(より低い溶融粘度)のFEPがケーブル外被として試みられてきたが、こうした外被は、NFPA−255試験に合格しない。MFRが7g/10分より高く増加するにつれて、結果としてのFEPのより低い溶融粘度は、FEPを滴下および発煙させ、よって50より大きい煙指数をもたらす。このFEPが可燃性ではない、すなわち、このFEPが単に溶融および滴下し、炭素質チャーを形成しないことは注目すべきである。他の高いMFRの溶融成形性パーフルオロポリマーに関して同じことが当てはまる。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,153,681号明細書
【特許文献2】米国特許第6,197,904号明細書
【特許文献3】米国特許第5,547,761号明細書
【特許文献4】米国特許第5,708,131号明細書
【特許文献5】米国特許第6,468,280号明細書
【特許文献6】米国特許第5,919,878号明細書
【特許文献7】米国特許第5,888,424号明細書
【特許文献8】米国特許第5,032,621号明細書
【特許文献9】米国特許第5,677,404号明細書
【非特許文献1】ウルマン(Ullman)の「工業化学エンサイクロペディア(Encyclopedia of Industrial Chemistry)」,Vol.A11,頁417−420,VCH Verlagsgesellschaft mbH,D6940,Weinheim,Germany,1988
【非特許文献2】J.シェアズ(J.Scheirs)編「近代のフルオロポリマー(Modern Fluoropolymers)」,頁72−73,ニューヨーク州のウィリー(Wiley,New York),1997
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、火炎にさらされている間に十分に不燃性で、非滴下性で非煙放出性である発泡物品に対する要求を満足させるものであり、組成物がNFPA−255燃焼試験に合格する、すなわち、組成物が50以下の煙指数および25以下の延焼指数を有する。この発泡物品は、パーフルオロポリマーと、約10〜60重量%のチャー形成無機剤と、約0.1〜5重量%の高分子分散剤とを含む。高分子分散剤は、炭化水素ポリマー添加剤または低融点フルオロポリマー添加剤(フルオロポリマー添加剤)であってもよい。発泡物品は、前記パーフルオロポリマー、前記剤および高分子分散剤の総重量を基準とする合計100重量%に対して、前記パーフルオロポリマーの溶融温度で熱的に安定である。溶融押出物品としてのこの発泡物品はNFPA−255燃焼試験に合格する。
【0007】
本発明において用いられるパーフルオロポリマーの発泡物品は、単独でNFPA−255燃焼試験に合格しない。単なるチャー形成無機剤とパーフルオロポリマーの組み合わせは燃焼試験において発泡物品の性能を改善する傾向があるが、高度充填剤入りポリマーによくあるように、発泡物品の物理的特性は電線用絶縁体などの所望の最終用途のために満足ではない。高分子分散剤がNFPA−255燃焼試験に合格するとともに良好な物理的特性を有する発泡物品を得るために必要である。当業者が認めるように、NFPA−255燃焼試験に合格する本発明の発泡物品の能力は電線用絶縁体の形態で溶融成形発泡物品を燃焼試験に提出することにより実証される。この点に関しては、本発明の発泡物品はプレナムケーブルのためのケーブル外被として特に有用である。ここで、外被はケーブルのコアの上で押出によって形成される。本発明の発泡物品の外被は、ケーブル全体が試験に供され試験に合格する時、NFPA−255燃焼試験に合格すると考えることが可能である。これは、同じケーブルコア上で発泡ポリ塩化ビニル組成物などの外被を代用することによって確認される。外被がこの試験に合格しないのでこうしたケーブルは燃焼試験に合格しない。従って、本発明の発泡物品の外被が、ケーブルが試験に合格する要因である時、外被自体が燃焼試験に合格すると考えられ得ることは明らかである。
【0008】
NFPA−255燃焼試験の厳格さのゆえに、発泡物品が燃焼を促進する原料を含有しないことが重要である。従って、組成物は溶融加工中に分解する原料を含有しないのがよい。高分子分散剤が炭化水素ポリマーである時、酸化防止剤は供給されたままの炭化水素ポリマー中に存在してもよく、この少量の酸化防止剤が存在する場合、この少量の酸化防止剤は無害と思われる。溶融加工中に組成物を保護するために、高分子分散剤を含有する組成物に別段に添加される酸化防止剤は、本発明の発泡物品に同じように添加されるべきではない。他の添加剤に関して同じことが当てはまる。例えば、可塑剤は本発明の発泡物品中に存在すべきではない。
【0009】
本発明の組成物中の可燃性原料の使用の例外は、炭化水素の性質のゆえに可燃性であり、従って、延焼性で煙発生性である炭化水素ポリマーを高分子分散剤として用いる時の炭化水素ポリマーである。プレナムケーブルに適用されるNFPA−255燃焼試験は、外被付きケーブルの多数の長さを燃焼にさらすことを含む。例えば、絶縁導体の4つの撚線対を含む共通ケーブルは、燃焼にさらすために並べて置かれたこうしたケーブルの典型的には100個を上回る長さを必要とする。各々の外被が本発明による発泡物品であるケーブルのこれらの100+個の長さは、高分子分散剤が炭化水素ポリマーである時、燃焼試験炉内に存在する燃料の実質的な量を提供する。驚くべきことに、本発明のケーブル外被としての発泡物品は、炭化水素ポリマー(それが高分子分散剤である時)の存在にもかかわらず、延焼性の欠如と煙の発生の両方に関してNFPA−255燃焼試験に合格する。高分子分散剤がフルオロポリマー添加剤である時、フルオロポリマー添加剤は燃料として組成物に殆どまたは全く寄与しない。
【0010】
更に、本発明の組成物中の実質的な量のチャー形成剤が局所的なガス発生と泡立ちおよび空隙と穴が入った不規則な発泡体につながることを予想するであろう。実質的な使用量のチャー形成剤が入ったこのタイプの充填剤入り組成物を均一でうまく形成された発泡体を与えるほどに容易に発泡させることが可能であることは驚くべきことである。
【0011】
有利なことに、本発明による発泡物品は、非発泡物品と比較した際、約10%を超える密度の減少を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明によると、パーフルオロポリマーと、約10〜60重量%のチャー形成無機剤と、溶融加工中に前記パーフルオロポリマー中に前記チャー形成剤を分散させる有効量の高分子分散剤とを含む組成物を含有する発泡溶融成形物品が提供される。以後炭化水素ポリマー実施形態とも呼ばれる1つの実施形態において、高分子分散剤は炭化水素ポリマーである。以後フルオロポリマー添加剤実施形態とも呼ばれるもう1つの実施形態において、高分子分散剤は低融点フルオロポリマー添加剤である。
【0013】
本発明の発泡物品において用いられるパーフルオロポリマーは溶融成形可能であるポリマーである。すなわち、パーフルオロポリマーは、有用であるのに十分な強度を有する製品を製造するために、押出などの溶融加工によって加工され得るほどに十分に溶融状態で流動性である。本発明において用いられるパーフルオロポリマーのメルトフローインデックス(MFR)は比較的高く、樹脂のための標準である温度(例えば、ASTM−D2116−91aおよびASTM D3307−93参照)でASTM D−1238に準拠して測定した時、好ましくは少なくとも約10g/10分、より好ましくは少なくとも約15g/10分、なおより好ましくは少なくとも約20g/10分、最も好ましくは少なくとも26g/10分である。パーフルオロポリマーの比較的高いMFRは、パーフルオロポリマーが単独でNFPA−255燃焼試験に合格することを妨げない。「パー」という接頭辞によって示されるように、ポリマーを構成する炭素原子に結合された一価原子はすべてフッ素原子である。他の原子はポリマー末端基、すなわち、ポリマー鎖を停止させる基の中に存在してもよい。本発明の組成物の中で使用できるパーフルオロポリマーの例には、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)などの3〜8個の炭素原子を有するパーフルオロオレフィンおよび/または線状アルキル基または分岐アルキル基が1〜5個の炭素原子を含むパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)などの1つまたは複数の過フッ素化重合性コモノマーとテトラフルオロエチレン(TFE)のコポリマーが挙げられる。好ましいPAVEモノマーは、アルキル基が1、2、3または4個の炭素原子を含むモノマーであり、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)およびパーフルオロ(ブチルビニルエーテル)(PBVE)としてそれぞれ知られている。このコポリマーは、製造業者によって時にはMFAと呼ばれるTFE/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)コポリマーなどの幾つかのPAVEモノマーを用いて製造することが可能である。好ましいパーフルオロポリマーは、HFP含有率が約9〜17重量%であるTFE/HFPコポリマー、より好ましくは、コポリマーに関する合計100重量%に対しHFP含有率が約9〜17重量%およびPAVE含有率、好ましくはPEVE含有率が約0.2〜3重量%である、TFE/HFP/PEVEまたはPPVEなどのPAVEである。これらのポリマーはFEPとして一般に知られている。PFAとして一般に知られているTFE/PAVEコポリマーは、PAVEがPPVEまたはPEVEである時を含め少なくとも約1重量%のPAVEを有し、典型的には約1〜15重量%のPAVEを含む。PAVEがPMVEを含む時、組成物は約0.5〜13重量%のパーフルオロ(メチルビニルエーテル)および約0.5〜3重量%のPPVEであり、合計100重量%に対し残りはTFEであり、上述したようにMFAと呼んでもよい。
【0014】
チャー形成無機剤は、NFPA−255燃焼試験においてチャーの形成を促進することを含むNFPA−255燃焼試験においてチャーを形成させる少なくとも1種の無機化合物よりなる。燃焼試験において、この剤はパーフルオロポリマーが燃焼することを妨げない。フルオロポリマーが可燃性ではないからである。可燃性ではないは、フルオロポリマーがNFPA−255燃焼試験において燃焼せず、よってフルオロポリマーが25以下の延焼指数を有することを意味する。その代わりに、チャー形成剤は、不快な煙発生および燃焼試験の不合格の原因になるであろう滴下から全体の組成物を防ぐチャー構造の形成をもたらす。不燃性パーフルオロポリマーと合わせて用いられた時にチャー形成剤があらゆる有用性を有することは意外である。パーフルオロポリマーは燃焼しないけれども、燃焼試験中にチャー形成剤がパーフルオロポリマーと相互作用して、高MFRパーフルオロポリマーが滴下することを防ぎ、よって煙の発生を抑制するものと思われる。パーフルオロポリマーとチャー形成剤の組み合わせは溶融流動性(押出性)であり、それは燃焼を被った時に組成物が滴下することを示唆するけれども、組成物は滴下しない。従って、チャー形成剤は、燃焼を被っている組成物の物品の中でチキソトロープ剤として作用すると思われる。以下の表1に示したように「アレス(ARES)」(登録商標)ダイナミックレオメータを用いるレオロジー(振動剪断)測定によって、このチキソトロープ効果を定量化することが可能である。
【0015】
【表1】

【0016】
表において、MFRはg/10分の単位である。組成物は実施例1の組成物である。表は、剪断速度が100ラド/秒から0.1ラド/秒まで減少するにつれて、剪断速度の減少につれての粘度(複素粘度)の増加が、MFR7のFEPに関して約3倍、MFR30のFEPに関して約1.6倍および組成物に関して約53倍であることを示している。0.1ラド/秒の剪断速度は、本発明の炭化水素ポリマー組成物から溶融成形された物品が火炎にさらされ得る用途においてさらされる剪断条件の近似である。0.1ラド/秒での組成物の極端に高い粘度は本発明の組成物の滴下の抑制を説明している。剪断が押出による溶融成形の特徴である剪断にまで増加するにつれて、組成物の溶融粘度は同じ剪断速度でMFR30のFEPの溶融粘度に似て減少する。
【0017】
滴下の抑制および従って煙の抑制が本発明において用いられるチャー形成剤の1つの効用である一方で、チャーの形成はNFPA−255燃焼試験の結果において目に見える効果である。不格好な凝固溶融物の外観を有する外被の代わりに、外被は無傷で影響を受けていない外被から、外被が割れを示す面まで、外被がフレークに断裂する面まで、そしてフレークがケーブルから落ちた面までに及ぶ外観を有する。外被の割れ部分および外被のフレークは、「燃焼」外被の残査である意味でチャーと考えることが可能である。しかし、チャーは、チャーが炭素質である場合の特徴であるような黒色ではない。パーフルオロポリマーのC−F化学結合は、分解して炭素残査を残すのでなく燃焼を受けた時にポリマーが揮発性フルオロカーボン化合物を形成することが周知されているほどに強い。たとえフレークがケーブルから落ちるとしても、ケーブルがNFPA−255燃焼試験に不合格であるようにフレークは煙を生じさせない。本発明の発泡物品で被覆されたプレナムケーブルはこの試験に合格する。
【0018】
チャー形成剤は、分解または反応の存在を示す組成物の変色または発泡をそれ自体が引き起こさないという意味で、発泡物品の溶融加工温度で熱的に安定且つ非反応性である。剤それ自体は、溶融加工された組成物の色を提供する色、典型的には白色を有する。しかし、燃焼試験において、チャーの形成は分解の存在を示している。
【0019】
本発明の発泡物品は高度に充填剤入りであり、チャー形成剤は組成物(パーフルオロポリマー、剤および高分子分散剤の合計重量)の少なくとも約10重量%を構成する。十分なチャーを形成させるために必要な剤の量は、剤、用いられる特定のパーフルオロポリマーおよびそのMFRに応じて異なる。幾つかの剤は他の剤より有効であり、よって比較的少量はNFPA−255燃焼試験に合格するために電線用絶縁体またはケーブル外被としての発泡物品のために十分である。一般に、発泡物品が約20〜50重量%のチャー形成無機剤を含有する時に十分なチャーを得ることが可能である。チャー形成剤の例は、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、ならびにZnO、Al、TiOおよびMgZnOなどの金属酸化物である。チャー形成剤の平均粒径は、発泡物品の最良の物理的特性を提供するために好ましくは約3μm以下、より好ましくは約1μm以下である。チャー形成無機剤のもう1つの例は、約3μmより大きい平均粒径、例えば、約5μmほどの平均粒径を有してもよく、約3μ以下の平均粒径などのより小さい粒径が好ましいアルカリアルミナシリケートであると理解されているスリーエム・カンパニー(3M Company)から入手できる「ゼオスフェア(Zeeospheres)(登録商標)セラミック微小球などのセラミック微小球である。好ましくは、平均最小粒径は少なくとも約0.05μmである。より小さい粒径は発泡物品を脆化させるか、または過度に硬化させる傾向がある。本発明の1つの実施形態において、チャー形成無機剤は複数種のチャー形成剤を含む。本発明のもう1つの実施形態において、この複数種のチャー形成剤の少なくとも1種はセラミック微小球である。好ましい発泡物品は、本発明の組成物のチャー形成剤成分約10〜60重量%を構成するために、約5〜20重量%のセラミック微小球と約20〜40重量%のもう1種のチャー形成剤、好ましくはZnOを含む。
【0020】
高分子分散剤は所望の物理的特性を提供するために有効である量で用いられる。高分子分散剤自体は改善された物理的特性を提供しない。その代わりに、高分子分散剤はチャー形成剤およびパーフルオロポリマーと相互反応して、この剤が用いられる場合、この剤が単独でパーフルオロポリマー組成物に関して有する引張特性の低下を制限する。高分子分散剤が存在しないと、パーフルオロポリマー/チャー形成剤の溶融ブレンドは外観においてチーズ質である傾向がある。すなわち、一体性を欠く傾向があり、例えば、割れを示し、ばらばらの均質混合していない剤を含む。高分子分散剤が存在すると、チャー形成剤全体が溶融ブレンドに導入されている均一外観溶融ブレンドが得られる。従って、炭化水素ポリマーおよびフルオロポリマー添加剤はチャー形成剤のための分散剤として機能する。それはパーフルオロポリマーと高分子分散剤の非相溶性を考えると意外である。炭化水素ポリマーはパーフルオロポリマーに接着しない。チャー形成剤も接着しない。異なるパーフルオロポリマーは通常相溶性ではない。フルオロポリマー添加剤の実施形態において、チャー形成剤はパーフルオロポリマーに接着しない。にもかかわらず、驚くべきことに、フルオロポリマー添加剤は、パーフルオロポリマー中でチャー形成剤のための分散剤として機能する。それにもかかわらず且つ驚くべきことに、高分子分散剤はチャー形成剤のための分散剤として機能する。高分子分散剤の分散効果の効力は、少なくとも約100%、好ましくは少なくとも約150%の伸びを示す、本発明の発泡物品を製造する際に用いられる組成物の引張試験片によって特性決定することが可能である。試験片は、好ましくは少なくとも約1500psi(10.3MPa)の引張強度も示す。好ましくは、これらの特性は、引張試験顎が2インチ(5.1cm)離れ、20インチ/分(51cm/分)の速度で離れるように移動する運転条件下でASTM D3032に準拠してケーブル外被試験片上で達成される。
【0021】
パーフルオロポリマーの溶融温度で熱的に安定である多様な高分子分散剤および炭化水素ポリマーの実施形態における炭化水素ポリマーは、この恩恵を発泡物品に提供する。炭化水素ポリマーの熱安定性は、外観が分解した炭化水素ポリマーによって変色されない発泡物品の溶融ブレンドの外観から思い描かれる。パーフルオロポリマーが少なくとも約250℃の温度で溶融するので、炭化水素ポリマーは、少なくともこの温度に至るまで、且つ用いられる特定のパーフルオロポリマーの溶融温度および溶融加工における滞留時間に応じて異なるより高い溶融加工温度に至るまで熱的に安定であるべきである。こうした熱的に安定なポリマーは、半結晶質または非晶質であることが可能であり、ポリマー鎖の中で、または側基として芳香族基を含むことが可能である。こうしたポリマーの例には、高密度ポリエチレンを含む線状ポリエチレンおよび分岐ポリエチレンならびに「エンゲージ(Engage)」(登録商標)ポリオレフィン熱可塑性エラストマーおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンが挙げられる。追加のポリマーには、シロキサン/ポリエーテルイミドブロックコポリマーが挙げられる。芳香族炭化水素ポリマーの例には、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンおよびポリフェニレンオキシドが挙げられる。ここで、芳香族部分はポリマー鎖の中にある。好ましいポリマーは、「クレイトン(Kraton)」(登録商標)熱可塑性エラストマーとして一般に入手できるオレフィン単位と芳香族基を含む単位のブロックコポリマーである熱可塑性エラストマーである。少なくとも25重量%のスチレン誘導単位を含むスチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロックコポリマーである「クレイトン(Kraton)」(登録商標)G1651およびG1652は最も好ましい。炭化水素ポリマーは、発泡物品に入れる他の原料と溶融ブレンド可能であるために溶融温度を有するか、または非晶質炭化水素ポリマーの場合に溶融流動性であるべきである。
【0022】
本発明による高分子分散剤が低融点フルオロポリマー添加剤(フルオロポリマー添加剤)である時、当該用語は、組成物の最大部分を構成するパーフルオロポリマーの融点より少なくとも約10℃低い融点を有するフルオロポリマーを意味するか、または融点をもたない場合、すなわち非晶質である場合、組成物の最大部分を構成するパーフルオロポリマーのガラス転移温度(Tg)より少なくとも約10℃低いガラス転移温度を有するフルオロポリマーを意味する。フルオロポリマー添加剤の融点または融点の存在しない場合のTgが、組成物の最大部分を構成するパーフルオロポリマーの融点またはガラス転移温度より少なくとも約25℃低い、より好ましくは少なくとも約50℃低い、なおより好ましくは少なくとも100℃低い、更により好ましくは少なくとも約150℃低い、最も好ましくは少なくとも約200℃低いことが好ましい。フルオロポリマー添加剤が非晶質であることが更に好ましく、フルオロポリマー添加剤はフルオロエラストマーであることがなおより好ましい。
【0023】
非晶質は、検出可能なあらゆる融解吸熱が示差走査熱分析によって測定した時に約5J/g以下、好ましくは約3J/g未満、より好ましくは約1J/g未満の融解熱を有し、最も好ましくは検出可能な融解熱がないことを意味する。測定は、溶融加工のために、または約125℃より高い温度に以前に加熱されなかったポリマー上で測定を行う「第一熱」である。融解熱の決定はASTM D−3418−03に準拠して行われる。
【0024】
本明細書で用いられるフルオロエラストマーは非晶質であり、およそ室温(20℃)か、または室温未満、好ましくは10℃未満のガラス転移温度を有する。幾つかの用途においてフルオロエラストマーが、通常は加工の最終工程として、あるいは成形後または別段に造形された後に架橋されることは言うまでもない。本発明によると、フルオロエラストマーが架橋されるか、または架橋剤または硬化剤を含めることは好ましくない。
【0025】
ここで定義されたようにフルオロポリマー添加剤は、例えば米国特許公報(特許文献1)に記載された熱可塑性フルオロエラストマーとしての熱可塑性フルオロエラストマーを含む。熱可塑性フルオロエラストマーは、ポリマー鎖の中にゴム弾性セグメントと熱可塑性セグメント(時にはソフトセグメントとハードセグメントと呼ばれる)を有する。ゴム弾性セグメントは、前のパラグラフに記載されたようにTgの特性と融解熱を有する。熱可塑性フルオロエラストマーは、ポリマー鎖を連結する架橋サイトとして機能する熱可塑性セグメントの会合および共結晶化(この場合、熱可塑性エラストマーは融点を有する)を通して冷えると自発的に架橋する。本発明によるフルオロポリマー添加剤の熱可塑性エラストマーのゴム弾性セグメントの融点またはTgは、チャー形成剤に加えて組成物の主たる部分を構成するパーフルオロポリマーの融点またはTgより低い。
【0026】
フルオロポリマー添加剤のフッ素含有率は、少なくとも約35重量%、好ましくは少なくとも約40重量%、より好ましくは少なくとも45重量%、なおより好ましくは少なくとも約50重量%、最も好ましくは少なくとも約60重量%であるのがよい。
【0027】
本発明による適するフルオロポリマー添加剤の例には、約200℃の融点を有する米国特許公報(特許文献2)に記載されたエチレン/テトラフルオロエチレン(ETFE)コポリマーが挙げられる。例は米国特許公報(特許文献3)、米国特許公報(特許文献4)および米国特許公報(特許文献5)に記載されたものなどのテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマーも含む。例は米国特許公報(特許文献6)に記載されたようなテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマーを更に含む。
【0028】
本発明によるフルオロポリマー添加剤として用いるために適するフルオロエラストマーは、(非特許文献1)に記載されている。
【0029】
本発明と合わせて用いるために適するフルオロエラストマーの1つのタイプは、フッ化ビニリデン(VDF)とヘキサフルオロプロペン(HFP)のジポリマーである。このエラストマーは、「バイトン(Viton)」(登録商標)A HVという商標でデュポン・パフォーマンス・エラストマーズ(DuPont Performance Elastomers)によって販売されている。本発明と合わせて用いるために適するフッ化ビニリデン系エラストマーのもう1つのタイプは、「バイトン(Viton)」(登録商標)Bという商標でデュポン・パフォーマンス・エラストマーズ(DuPont Performance Elastomers)によって販売されているTFE含有ターポリマーであるVDF/HFP/TFEコポリマー(THVエラストマーとしても知られている)である。このターポリマーは、「バイトン(Viton)」(登録商標)Aより遙かに熱的に安定であり、耐溶媒性である。すべてのTHVポリマーがゴム弾性であるとは限らないことに注意するべきである。ゴム弾性特性を有する組成物の範囲は(非特許文献2)において要約されている。
【0030】
過フッ素化エラストマーも本発明と合わせて用いるために適する。こうした過フッ素化エラストマーは、上述した(非特許文献1)にこれも記載されているテトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合によって製造される。こうした過フッ素化エラストマーは、「カルレス(Kalrez)」(登録商標)エラストマーという商標でデュポン・パフォーマンス・エラストマーズ(DuPont Performance Elastomers)によって販売されている。本発明と合わせて用いるために適するエラストマーのもう1つのタイプは、テトラフルオロエチレン−プロピレンエラストマーである。TFE/プロピレンエラストマーは、「バイトン(VITON)」(登録商標)VTXという商標でデュポン・パフォーマンス・エラストマーズ(DuPont Performance Elastomers)によって販売されている。
【0031】
発泡物品において有益な効果を提供するために必要な高分子分散剤の量は、組成物中に存在するチャー形成剤の量に応じて一般には約0.1〜5重量%である。好ましくは、存在するこうした高分子分散剤の量は、パーフルオロポリマー、チャー形成剤および高分子分散剤の全重量を基準にして約0.5〜3重量%である。
【0032】
本発明のもう1つの実施形態において、発泡物品は、励起放射線に曝された場合に前記発泡物品を着色するために有効な量で無機蛍燐光体を更に含む。蛍燐光体は、物品が製造される組成物の製造元が検出できるように、組成物から製造された物品も同様に着色する。米国特許公報(特許文献7)には、450ppm以下の極少量での着色剤フリーフルオロプラスチックへの無機蛍燐光体の導入が開示されている。蛍燐光体は、典型的には無機塩または無機酸化物+活性剤を含み、それらの組み合わせは、波長領域200〜400nmの放射線に曝されることに感受性であり、可視波長領域または赤外線波長領域において蛍光を引き起こす。発光放射線を構成するこの蛍光は、組成物または組成物から製造された物品に着色外観を与え、それは蛍燐光体の特徴である。米国特許公報(特許文献7)で開示された蛍燐光体は、より多い量が着色外観を見るために必要であることを除き本発明において有用である。従って、本発明のこの実施形態によると、蛍燐光体の量は、パーフルオロポリマー、チャー形成無機剤、高分子分散剤および蛍燐光体の総重量を基準にして約0.1〜5重量%、好ましくは約0.5〜2重量%である。例として、実施例2の組成物は押出前の蛍燐光体と他の外被原料の乾燥混合によって0.5〜1重量%のZnS/Cu:Al蛍燐光体を追加され、波長356nmの紫外線に曝された場合に得られた外被は可視波長領域において外被に緑色外観を与える。紫外線源を停止する時、外被は元の白色外観に戻る。米国特許公報(特許文献7)の表1の蛍燐光体/活性剤の組み合わせ番号30の蛍燐光体が前述した実施例2のチャー形成無機剤であるZnOを含むことは注目されるであろう。この特定のチャー形成剤を用いる時、米国特許公報(特許文献7)の実施例30のZnなどの活性剤は、似た蛍燐光体効果、すなわち、グリーンカラーをもたらすための蛍光を得るために本発明の組成物に添加する必要があるすべてである。従って、本発明のもう1つの実施形態において、チャー形成無機剤が適切に活性化された時に蛍燐光体になる能力を有する時、蛍燐光体効果をもたらすためにこうした活性剤の有効量が組成物に添加される。
【0033】
発泡物品は、データ送信ケーブルの外被などの本発明の溶融成形物品の形態を取ることが可能である。本発明の発泡物品は、典型的には2つの溶融加工処理の結果である。第一に、3種のすべての原料を各々が含む成形用ペレットを形成させるために二軸スクリュー押出機または「ブスコニーダ(Buss Kneader)」(登録商標)コンパウンディング機械を用いるなどにより成分を好ましくは溶融ブレンドする。成形用ペレットは、撚線対ケーブル(上の)のための外被などの発泡物品の所望の形態に原料を押し出すなどのための溶融加工装置にフィードするために便利な形態である。「ブスコニーダ(Buss Kneader)」(登録商標)は、発泡物品のポリマー成分を溶融させ、高分子分散剤の助けによるパーフルオロポリマーへのチャー形成剤の導入を得るために溶融組成物を剪断することにより機能する。このタイプの溶融加工装置内の組成物の滞留時間は、押出装置内の滞留時間より長くてもよい。分解を避けるために、「ブスコニーダ(Buss Kneader)」(登録商標)は、パーフルオロポリマーの溶融温度より僅かに高い、良好なブレンディングに見合った可能な最低温度で運転される一方で、押出温度は押出機のより短い滞留時間のゆえに相当により高いことが可能である。NFPA−255燃焼試験において燃焼性または煙の一因にならない顔料などの他の添加剤も本発明の発泡物品に配合することが可能である。
【0034】
本発明の発泡物品は、プレナムケーブルがNFPA−255燃焼試験に合格することを可能にするプレナムケーブルの外被の形態で特に有用である。最も一般的なこうしたケーブルは絶縁電線の4つの撚線対を含むが、外被も被着させて、絶縁電線のより多くの撚線対、例えば25の撚線対のケーブルおよび100を上回る撚線対を含むケーブルさえも形成させることが可能である。撚線対の電線用絶縁体もパーフルオロポリマーから製造することが好ましい。電線用絶縁体全体をポリオレフィンによって置き換える時、被覆されたケーブルがNFPA−255燃焼試験に合格しないことが見出された。
【0035】
本発明の発泡物品は、ケーブル以外の形態であって、これらの物品もNFPA−255燃焼試験に合格する形態を取ってもよい。こうした物品の例には、データおよび音声の送信ケーブルのためのチューブ、特に導管(レースウェイ)、撚線対ケーブルのための形材(スペーサ)および建物ケーブルのためのテープが挙げられる。
【0036】
本発明による発泡物品は、非発泡物品と比べた際、約10%を超える密度の減少を有する。すなわち、発泡物品の密度を非発泡物品の密度で除すと約0.9未満である。減少は、好ましくは約15%〜20%、より好ましくは約30%以下の密度の減少である。
【0037】
本発明による発泡物品は発泡剤の存在下で押し出される。物品の発泡はその結果として得られる。発泡剤は、押出温度で分解してガスを発生する組成物に導入される化学膨張剤であってもよい。発泡剤を粉末のように混合し、ドライブレンドしてもよい。その後、このドライブレンド組成物は押出機に導入され、そこで組成物は溶融する。その後、化学膨張剤は分解し、その分解はガス、典型的には二酸化炭素および窒素を発生させる。あるいは、発泡剤を押出機に注入してもよい。好ましくは、発泡剤はガス(物理発泡剤としても知られている)、好ましくは窒素、二酸化炭素またはフッ化炭化水素などの不活性ガス、好ましくは窒素または二酸化炭素である。あるいは、発泡剤は、発泡温度でガス状である水であってもよい。こうした剤は、発泡物品を製造するために用いられる組成物の溶融加工中に押出機に注入される。フルオロポリマー組成物を発泡させるための典型的な条件は米国特許公報(特許文献8)で見られる。しかし、本発明による発泡物品を製造するために泡核剤を必要としないことは注目されるべきである。組成物中の大量の充填剤が物品中の良好な泡の形成を妨害しないばかりでなく、泡核剤の使用を不要にもすることは驚くべき利点である。
【実施例】
【0038】
(実施例1−化学膨張剤による発泡組成物)
用いたFEPは28g/分のMFRを有し、米国特許公報(特許文献9)に記載されたPEVEコモノマーを含んでいる。FEP100部、FEP100部当たり1部(pph)の芳香族炭化水素エラストマー(「クレイトン(Kraton)」(登録商標)G1651、米国テキサス州ヒューストンのクレイトン・ポリマーズ(Kraton Polymers(Houston,Texas USA)))および66.66pphの「カドックス(Kadox)(登録商標)930ZnO(米国ペンシルバニア州モナカのジンク・コーポレーション・オブ・アメリカ(Zinc Corporation of America(Monaca,Pennsylvania USA)))(0.33μmの平均粒径)(組成物の全重量は176.66部である)の組成物を溶融混合により形成させ、その後、ペレット化する。これはペレット化組成物である。「フィセル(Ficel)」(登録商標)AFA粉末(ドイツ国レバークーゼンのバイエル(Bayer AG(Leverkusen,Germany)))(0.5%および1.0%)をペレットにドライブレンドする。これをブレンドとして識別する。50rpmまたは100rpmのいずれかで(表参照)350℃に加熱された1インチの「ハーケ(Haake)」一軸スクリュー押出機にブレンドをフィードする。サーキュラダイを通してストランドを押し出し、冷水で冷却し、乾燥させる。押出物の密度を測定し、発泡しなかった組成物の密度(2.8g/cc)と比較した。気孔率(%)=(1−(発泡押出物の密度/2.8g/cc))×100。結果を表1でまとめている。
【0039】
【表2】

【0040】
実施例1は化学膨張剤を用いて組成物から発泡物品を製造できることを示している。泡核剤は必要ではない。
【0041】
(実施例2〜11−ガス注入による発泡組成物)
2.5重量%の窒化硼素(グレードSFP−325、カーボランダム、米国ニューヨーク州アマーストのサンゴバン・アドバンスド・セラミックス(Saint−Gobin Advanced Ceramics(Amherst,New York USA)))および1100ppmの四硼酸カルシウム(発泡用パッケージ)を含む1部のFEPに実施例1の9部のペレット化組成物をブレンドする。この組み合わせを実施例1〜4で押し出す。ペレット化組成物対発泡用パッケージの比を実施例5〜7のために8:2に変える。ペレット化組成物単独(発泡用パッケージなし)を実施例8〜10のために用いる。
【0042】
1インチの「デービス(Davis)」標準一軸スクリュー押出機に窒素ガス注入を容認するために溝を彫らせた汎用スクリュー(圧縮比3:1)および0.375インチ(9.5mm)のチップを有する0.747インチ(19mm)のチューブ押出ダイを装備する。熱電対は押出機上の4ゾーンおよびダイ上の4ゾーンを測定し、最終熱電対は溶融温度を測定する。
【0043】
初期設定は(すべての温度は摂氏である)、
【0044】
【表3】

【0045】
2000psi(13.8MPa)で107cc/分の流量を有する弁を通して窒素ガスを押出機に計量供給する。
【0046】
実施例2、窒素2500psi(17.2MPa)で107cc/分、スクリュー速度5.6rpm、引取り1.35ft/分(41cm/分)
【0047】
実施例3、窒素圧力2200psi(15.2MPa)まで、スクリュー速度、この実施例および以下の実施例で10rpm、引取り1.35ft/分(41cm/分)
【0048】
実施例4、窒素圧力4000psi(27.6MPa)まで、引取り1.5ft/分(46cm/分)
【0049】
実施例5、窒素圧力2000psi(13.8MPa)まで、引取り1.35ft/分
【0050】
8重量部のブレンド1を2部のペレット化組成物に混合し、以下の実施例で用いる。
【0051】
実施例6、窒素圧力2000psi(13.8MPa)まで、引取り1.35ft/分(41cm/分)
【0052】
実施例7、窒素圧力4000psi(27.6MPa)まで、引取り1.35ft/分(41cm/分)
【0053】
2000psi(13.8MPa)の窒素圧力で625cc/分を送出する弁にガス弁を変える。
【0054】
実施例8、窒素圧力2000psi(13.8MPa)、引取り1.35ft/分(41cm/分)
【0055】
押出機温度およびダイ温度を変える。
【0056】
【表4】

【0057】
ペレット化組成物単独を用いる。
【0058】
実施例9、窒素圧力2000psi(13.8MPa)、引取り1.35ft/分(41cm/分)
【0059】
実施例10、窒素圧力1000psi(6.9MPa)まで、引取り1.35ft/分(41cm/分)
【0060】
実施例11、窒素停止、引取り1.35ft/分(41cm/分)
【0061】
上の実施例の押し出されたチューブのための気孔測定の結果を表2で要約している。
【0062】
【表5】

【0063】
実施例2〜11は、泡核剤の存在下または泡核剤なしで窒素による発泡を効果的に行うことが可能であることを示している。押出を十分に高い温度で行う時、効果的な発泡が窒素を使用せずに可能であることが更に分かる。
【0064】
(実施例3)
炭化水素ポリマー分散剤「クレイトン(Kraton)」(登録商標)の代わりに「バイトン(Viton)」(登録商標)VTXを用いることを除き、実施例1を繰り返す。この組成物は、実施例1で見られた気孔率に似た気孔率を有する均一に発泡したストランドを与えるためにうまく押し出される。
【0065】
(実施例4)
以下の押出条件を用いて被覆ケーブルを成形するためにFEP−絶縁電線の4つの撚線対のコア上に外被としてブレンド実施例1を押し出すことにより、溶融ブレンドされた組成物の外被を成形する。押出機は、30:1のL/Dの直径60mmのバレルを有し、スクリューの供給部と、スクリューによって占められていない押出機バレル内の体積である計量部、すなわち自由体積との間で約3:1のバレルに対する圧縮比を有する計量タイプのスクリューを装備し、供給部のスクリュー羽根内は、計量部のスクリュー羽根内において約3倍の体積である。一定ピッチのスクリューに関して、圧縮比は、供給部内の羽根深さ対(クロスヘッドに計量供給する)計量部内の羽根深さの比である。押出機のバレルに熱を加えると供給部内で530°F(277℃)で開始し、トランジション部内で560°F(293℃)、その後、計量部内で570°F(298℃)に上昇する。押出機にはB&H75クロスヘッドが装備されている。FRP−絶縁電線の4つの撚線対の組立体は、クロスヘッドを通してフィードされ、クロスヘッドのダイチップから出る。ダイチップを取り囲むダイでの溶融フルオロポリマーの温度は598°F(314℃)である。ダイチップの外径は0.483インチ(12.3mm)であり、ダイの内径は0.587インチ(14.7mm)であり、ダイチップとダイの内径との間の環状空間は、絶縁電線の撚線対の組立体を被覆するためにFEPの溶融チューブが押し出され、引き落とされる環状空間を形成する。押し出されたチューブを絶縁電線の撚線対のコア上に引き落とすために真空を用いない。引落比は10:1であり、外被の厚さは10ミルであり、延伸比バランスは0.99である。ライン速度は403ft/分(123m/分)である。
【0066】
得られた絶縁電線をNFPA−255燃焼試験に供し、当該試験に合格する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーフルオロポリマーと、約10〜60重量%のチャー形成無機剤と、溶融加工中に前記パーフルオロポリマー中に前記チャー形成無機剤を分散させる有効量の高分子分散剤とを含む組成物を含有する発泡溶融成形物品。
【請求項2】
前記高分子分散剤が、前記パーフルオロポリマーの溶融温度で熱的に安定である炭化水素ポリマーを、前記パーフルオロポリマー、剤および炭化水素ポリマーの総重量を基準とする合計100重量%に対し約0.1〜5重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記高分子分散剤が、前記総重量を基準とする合計100重量%に対し0.1〜5重量%のフルオロポリマー添加剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記フルオロポリマー添加剤がフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン(VF2/HFP)コポリマー、テトラフルオロエチレン/プロピレン(TFE/プロピレン)コポリマー、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロぺン(VF2/HFP/TFE)コポリマーおよびテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(TFE/PMVE)コポリマーからなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記物品が、非発泡物品と比較した際、10%を超える密度の減少を有することを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項6】
NFPA−255燃焼試験に合格することを特徴とする請求項2または3に記載の物品。
【請求項7】
前記物品がケーブル外被、チューブ、形材またはテープを含むことを特徴とする請求項1に記載の溶融成形物品。
【請求項8】
前記剤が、約3マイクロメートル以下の平均粒径を有する粒子の形態にあることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記剤が金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記金属酸化物がZnOであることを特徴とする請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記炭化水素ポリマーが熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
前記熱可塑性エラストマーが芳香族部分を含むことを特徴とする請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記組成物が、添加された酸化防止剤を含有しないことを特徴とする請求項2に記載の物品。
【請求項14】
励起放射線に曝された場合に、前記組成物を着色するのに有効な量の無機蛍燐光体を更に含むことを特徴とする請求項2または3に記載の物品。
【請求項15】
前記チャー形成剤がセラミック微小球であることを特徴とする請求項2または3に記載の物品。
【請求項16】
前記組成物が化学膨張剤を更に含むことを特徴とする請求項2または3に記載の物品。
【請求項17】
請求項1に記載の物品を発泡させる方法であって、発泡剤の存在下で前記物品を押し出し、その結果として前記物品の前記発泡を得ることを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記発泡剤が、押出温度で分解してガスを発生する前記組成物に導入された化学膨張剤であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記発泡剤が押出機に注入されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記物品を押し出すことが、核剤の不存在下で行われることを特徴とする請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2009−501840(P2009−501840A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522915(P2008−522915)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/027966
【国際公開番号】WO2007/011982
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【出願人】(506252886)アルファゲイリー コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】