説明

充填包装装置

【課題】 充填操業を一時的にも停止することなく充填ラインを洗浄できる充填包装装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 包装材としての帯状のフィルムFを走行させながら該フィルムに縦シールを施して筒状体とする縦シール手段13と、縦方向で所定間隔をもって上記筒状体に横シールして該筒状体を袋体とする横シール手段14,15と、充填時に上部開口が未横シールの空袋体の該上部開口に臨む充填位置で内容物を充填するノズル25,26及び該ノズルに接続された内容物移送用配管とから成る充填ライン21,22と、ノズルが充填位置から洗浄位置へ移動した際、充填ライン洗浄液を流通させる洗浄装置30とを備える充填包装装置において、充填ライン21,22は複数設けられ、各充填ラインが独立して充填位置と洗浄位置のいずれかに選択的にもたらされることが可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填包装装置に関し、特に、縦型充填包装機と称され、フィルムを下方に走行させながら縦シールして筒状体を形成した後に、横シールによる上部開口のシール前の空袋体に、ノズルから内容物を充填する充填包装装置であって、非充填時にノズルそしてノズルに接続された充填物供給管が接続された充填ラインを洗浄できる洗浄装置を備えた充填包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空袋体は筒状体の最上位に位置する部分で形成され、これは一つしか存在しないので、一般に、充填包装装置は一つの充填ラインを備え、そのノズルから内容物の充填を行う。
【0003】
充填ラインは、定期的に、あるいは装置の不使用時に洗浄される。洗浄時には、ノズルの外面のみならず、充填ラインの管内まで洗浄するために、ノズルを充填位置から他の位置である洗浄位置へもたらせ、上流から上記洗浄ラインに洗浄液を流通させ、ノズルから排出することにより、充填ラインを管内まで洗浄することが行われている。
【特許文献1】発見できず。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置にあっては、充填ラインは一つであるため、該充填ラインの洗浄時は内容物の充填が行えずに、装置の稼動率が低下せざるを得なかった。充填される内容物の種類の変更が頻繁に行われるときには、この問題は特に顕著である。
【0005】
本発明は、かかる問題を解決し、任意時期に充填ラインの洗浄ができ、かつ、この洗浄作業中にも拘らず、常時充填が行える充填包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る充填包装装置は、包装材としての帯状のフィルムを走行させながら該フィルムに縦シールを施して筒状体とする縦シール手段と、縦方向で所定間隔をもって上記筒状体に横シールして該筒状体を袋体とする横シール手段と、充填時に上部開口が未横シールの空袋体の該上部開口に臨む充填位置で内容物を充填するノズル及び該ノズルに接続された内容物移送用配管とから成る充填ラインと、ノズルが充填位置から洗浄位置へ移動した際、充填ライン洗浄液を流通させる洗浄装置とを備えている。
【0007】
かかる充填包装装置において、本発明では、充填ラインは複数設けられ、各充填ラインが独立して充填位置と洗浄位置のいずれかに選択的にもたらされることが可能となって
いることを特徴としている。
【0008】
このような構成の本発明装置によれば、少なくとも一つの充填ラインによって、他の充填ラインが洗浄中であっても、充填操業を行えるので、充填包装装置を停止せず稼動率の低下を防止できる。又、洗浄不要のときは、すべての充填ラインで充填を行え、その能力の向上が図れる。
【0009】
本発明にあっては、複数の充填ラインは、少なくとも一つの充填ラインが充填位置にそして他の充填ラインが洗浄位置にあるようにすることもできる。
【0010】
本発明において、洗浄装置は、洗浄位置にて充填ラインと接続可能な洗浄管を有する洗浄ラインを有し、該洗浄管とノズルもしくはその近傍部分はシール手段によって両者の間がシールされ、充填ラインは上流側から洗浄液を該充填ラインに供給する洗浄液供給手段に接続されており、洗浄液がノズルを通り洗浄管を経て該洗浄管の排出口から排出されるようになっているようにすることができる。その際、充填ラインは、ノズルが上方から洗浄管の少なくとも途中位置まで挿入されることにより洗浄ラインと接続される。
【0011】
本発明において、排出口は洗浄管の下端開口とすることができる。
【0012】
本発明において、洗浄ラインは充填ラインの数に相当する数だけ設けられていることが好ましく、例えば、充填ライン及び洗浄ラインの数はそれぞれ二つであるとするならば、一つの充填ラインが洗浄中でも、少なくとも他の一つの充填ラインが充填操業を行えるので、操業を停止する必要がない。
【0013】
本発明において、洗浄管は、排出口として、上下方向でシール手段とノズル出口との間に設けられた中間排出口と、下端開口で形成される下端排出口とを有し、弁の切換えにより上記中間排出口と下端排出口のいずれか一方から洗浄後の洗浄液を排出可能となっているようにすることができる。こうすることにより、弁の切換えを行って、洗浄管内でノズルの内面と外面とを交互に洗浄できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上のように、充填ラインを複数設け、これらのうちから選択的に任意のもので充填を行い、その間に、他のラインを洗浄できるようにしたので、充填ラインがいつでも洗浄でき、しかも中断することなく常時充填が可能となり、充填包装装置の稼動率を大いに改善させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面の図1ないし図3にもとづき、本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1には、本発明の第一実施形態の概要構成が示されている。
【0017】
本実施形態の充填包装装置は、無菌チャンバー1を有し、該無菌チャンバー1内に包装充填のための主要部が設けられている。この図1に示されている装置は、主として、包装装置10、充填装置20、洗浄装置30を有している。
【0018】
包装装置10は、包装材としての帯状のフィルムFを連続走行中に変向する変向ローラ11と、該フィルムを二つ折りにして両側縁を合せた状態で下方へ走行案内する板状のガイド部材12と、二つ折りされたフィルムFの両側縁を連続して縦シールする手段としての縦シール部材13と、縦方向の設定二位置で上記フィルムFを間欠的に横シールする手段としての二つの横シール部材14,15と、この横シール部材14,15より下方位置で横シール部分でフィルムを切断する切断部材16とを有している。該切断装置16は、連続包装体を横シール部で切断して個々の包装体にするためのものであるが、連続包装体はすでに密封されているので、切断が無菌状態で行われる必要がなく、無菌チャンバー外に在る。又、上記二つの横シール部材14,15は、シール時にフィルムと同速で下方へ移動し、シール後にフィルム面から離れて上方の原位置へ早戻りする往復機構に設けられている。このような形式の包装装置10自体は公知なので、これ以上の詳説は省略する。
【0019】
充填装置20は、二つの充填ライン21,22を有している。この二つの充填ライン21,22はそれぞれ内容物の充填用のポンプ23,24を有し、下端側にはノズル25,26を備えている。これらのノズル25,26は、本実施形態ではクランク状に屈曲されていて、それらの下端開口が縦シール前の二つ折りのフィルムFの開放側縁からフィルム間に入り込み縦シール後のフィルム筒状体をなす部位にまで進入している。
【0020】
上記二つの充填ライン21,22は、例えばポンプ23,24とノズル25,26の間がホース等の可撓管で形成されていて、上記二つのノズル25,26は、上記可撓管の可撓性によって、それぞれ独立して上記フィルム筒状体内の充填位置と、フィルム筒状体外の洗浄位置との間を移動でき、位置の選択が可能となっている。例えば、図1では、実線で示されているノズル25は充填位置にあり、実線で示されているもう一つのノズル26は洗浄位置にある。
【0021】
洗浄装置30は、略L字状の二本の洗浄管31,32を有している。該洗浄管31,32はそれぞれ、上流端と下流端が開口されていて、ノズル挿入のための上部開口31A,32Aと洗浄液の排出口としての下部開口31B,32Bとを有している。上部開口31A,32Aは上記無菌チャンバー1内にあって上方に開口し、下部開口31B,32Bは上記無菌チャンバー1より外部へ突出し横方向に開口している。これらの下部開口31B,32Bは、開放されたままでもよいが、帰還路33,34により後述の洗浄液供給装置(図示せず)へ接続されていることが好ましい。
【0022】
上記洗浄管31,32へは、上述したノズル25,26が選択的にそれぞれ独立してそれらの位置を移動し、充填位置から該ノズル25,26が上部開口31A,32A内に挿入されることが可能となっている。ノズル25,26はその下端が洗浄管31,32の途中まで進入するように挿入される。ノズルが上部開口に挿入された状態で、ノズルは洗浄位置にある、ということになる。このとき、上記洗浄管と充填ラインが洗浄ラインを形成するようになる。
【0023】
本実施形態装置は、無菌チャンバー1外に、図示しない内容物供給源と、洗浄液供給源とが設けられており、選択的にいずれかの供給源が充填ライン21,22と接続が可能となっている。
【0024】
いずれの充填ライン21,22も、対応ノズル25,26が充填位置にあるときには内容物供給源と接続され、洗浄位置にあるときには洗浄液供給源に接続されている状態となっている。
【0025】
その場合、内容物供給源は二つの充填ライン21,22の少なくとも一方のラインと接続されているようにすることにより、充填操業は停止することなく連続して行われる。
【0026】
以下、本実施形態装置での運転そして充填ライン洗浄手順を説明する。
【0027】
(1)一例として、充填ラインが二つ設けられているとき、二つの充填ライン21,22のうち、図1にて実線で示されているごとく、一方の充填ライン21が充填位置にあり、他方の充填ライン22が洗浄位置にある。
【0028】
(2)包装装置10では、帯状のフィルムFが走行中に縦シール部材13により縦シールされてフィルム筒状体を形成し、上方から該フィルム筒状体へ進入配置されている一方の充填ライン21のノズル25から内容物が該フィルム筒状体へ充填される。
【0029】
(3)内容物が充填されたフィルム筒状体は、間欠的に横シール部材14,15によりシールされて複数の包装体が連続した形態となり、次に無菌チャンバー1外で、切断部材16によって横シール部の域内で切断されて個々の包装体に分離され、その結果、一つ一つの包装体を製品として得る。
【0030】
(4)上記一方の充填ライン21が充填位置にあるのに対し、他方の充填ライン22は洗浄位置にある。すなわち、充填ライン22は上流端で洗浄液供給源に接続され、洗浄管32の上部開口32Aに上記他方の充填ライン22のノズル26が挿入されている。この洗浄位置にある充填ライン22には、洗浄液供給源から洗浄液が注入される。洗浄液は、ポンプ24、ノズル26をも含む上記充填ライン22を洗浄した後、洗浄管32から排出される。この洗浄管32に帰還路34が接続されている場合には、この洗浄液はフィルタ(図示せず)を経て、清浄化された後に再び洗浄液供給源へ戻され再利用される。
【0031】
図1に示されている状態では、一方の充填ライン21が充填位置にあり、他方の充填ライン22が洗浄位置にあったが、本実施形態において、この他方の充填ライン22は、洗浄不要時あるいは洗浄後、上記一方の充填ライン21と共に充填に用いられることもできるし、あるいはこの一方の充填ライン21と交代して該一方の充填ライン21を洗浄することもできる。いずれにせよ、フィルム筒状体では、充填を停止せずに連続して行うことができる。
【0032】
次に、図2にもとづき、洗浄管に関しての本発明の第二実施形態を説明する。図2には、一つの充填ラインが洗浄管内に配された洗浄位置にある状態を示している。充填包装装置には二つの充填ラインが同様に形成されるが、図では一方の充填ライン21のみを示し、他方の充填ライン及びそのための洗浄管の図示を省略している。
【0033】
図2において、洗浄管31は排出口として、下部開口たる下端排出口31Bと、挿入されたノズル25の上部に対応する位置に中間排出口31Cを有している。該下端排出口31Bと中間排出口31Cは、それぞれ弁35,36を介して共通の帰還路33に接続されている。
【0034】
充填ライン21のノズル25には、上記中間排出口31Cよりも上方の位置に、洗浄管31の内径とほぼ同じで洗浄管31に遊嵌される筒状周面をもつ大径部25Aを有している。一方、洗浄管31には上記大径部25Aに対応する位置での内径面に環状溝を有し、該環状溝にOリング等のシールリング37が収められている。このシールリング37は上記大径部25Aの上下方向の摺動を許容しつつシールを可能としている。
【0035】
かかる本実施形態にあっては、弁35を開き弁36と閉じた状態で洗浄液供給源から洗浄液を流すと、洗浄液はノズル25内面を洗浄した後、下端排出口31Bを経て帰還路33へ排出される。また、弁35を閉じて弁36を開いた状態で洗浄液を流すと、洗浄液は、下方の弁35が閉じているのでノズル25から出た後、上記洗浄管31内を上昇してノズル25の外面を洗浄し、しかる後、中間排出口31Cを経て上記帰還路33へ排出される。このように、弁35,36の開閉切換えを行うことにより、ノズル25の内面そして外面を洗浄できる。
【0036】
本実施形態では、図2のごとくノズル25とのシールのためのシールリング37を洗浄管31の内面に設けていたため、シールリング用の溝の加工そしてシールリングの取付が面倒でもあるので、図3のような形態とすることもできる。
【0037】
図3において、ノズル25の外面には段付フランジ25Bが取りつけられ、その下面外周にシールリング37が取りつけられている。このシールリング37は洗浄管31の上部開口31Aの端面と接する径となっている。
【0038】
かかる形態にあっては、ノズル25を洗浄管31内へ挿入するだけで、上記シールリング37が洗浄管31の上部開口31Aの端面と当接してシールがなされる。しかも、シールリングのための段部の加工や該段部のシールリングの取付けは、上記フランジ25Bの外周面で行われるため、きわめて簡単化される。
【0039】
本発明は、図示の実施形態に限定されず、変形が可能である。例えば、充填ラインは二つだけでなく、三つ以上でも良い。その場合、少なくとも一つ充填ラインは充填位置にあって、内容物の充填操業に供している。また、洗浄管は充填ラインの数と同数だけなくとも、少なくとも一つあればよい。洗浄管が一つのときには、充填ラインが一つづつ洗浄されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第一実施形態装置の概要構成図である。
【図2】第二実施形態としての洗浄管を示す断面図である。
【図3】図2装置の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
13 縦シール手段(縦シール部材)
14,15 横シール手段(横シール部材)
21,22 充填ライン
25,26 ノズル
31,21 洗浄管
31B,32B 下端開口(下端排出口)
31C 中間排出口
35,36 弁
F フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材としての帯状のフィルムを走行させながら該フィルムに縦シールを施して筒状体とする縦シール手段と、縦方向で所定間隔をもって上記筒状体に横シールして該筒状体を袋体とする横シール手段と、充填時に上部開口が未横シールの空袋体の該上部開口に臨む充填位置で内容物を充填するノズル及び該ノズルに接続された内容物移送用配管とから成る充填ラインと、ノズルが充填位置から洗浄位置へ移動した際、充填ライン洗浄液を流通させる洗浄装置とを備える充填包装装置において、充填ラインは複数設けられ、各充填ラインが独立して充填位置と洗浄位置のいずれかに選択的にもたらされることが可能となっていることを特徴とする充填包装装置。
【請求項2】
複数の充填ラインは、少なくとも一つの充填ラインが充填位置にそして他の充填ラインが洗浄位置にあることとする請求項1に記載の充填包装装置。
【請求項3】
洗浄装置は、洗浄位置にて充填ラインと接続可能な洗浄管を有する洗浄ラインを有し、該洗浄管とノズルもしくはその近傍部分はシール手段によって両者の間がシールされ、充填ラインは上流側から洗浄液を該充填ラインに供給する洗浄液供給手段に接続されており、洗浄液がノズルを通り洗浄管を経て該洗浄管の排出口から排出されるようになっていることとする請求項1に記載の充填包装装置。
【請求項4】
充填ラインは、ノズルが上方から洗浄管の少なくとも途中位置まで挿入されることにより洗浄ラインと接続されることとする請求項3に記載の充填包装装置。
【請求項5】
排出口は洗浄管の下端開口であることとする請求項3に記載の充填包装装置。
【請求項6】
洗浄ラインは充填ラインの数に相当する数だけ設けられていることとする請求項3又は請求項4に記載の充填包装装置。
【請求項7】
充填ライン及び洗浄ラインの数はそれぞれ二つであることとする請求項6に記載の充填包装装置。
【請求項8】
洗浄管は、排出口として、上下方向でシール手段とノズル出口との間に設けられた中間排出口と、下端開口で形成される下端排出口とを有し、弁の切換えにより上記中間排出口と下端排出口のいずれか一方から洗浄後の洗浄液を排出可能となっていることとする請求項3又は請求項5に記載の充填包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−188264(P2006−188264A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−2067(P2005−2067)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(393027121)株式会社ファブリカトヤマ (27)
【Fターム(参考)】