説明

充填密封装置

【課題】シール面の温度制御が容易であり且つスパウトの開口端面に対する仮シールを確実に行うことが可能な仮シールヘッド及びそれを使用した充填密封装置を提供する。
【解決手段】ヘッド部81を往復運動させるロッド部82を、シール面81aに対し平行に第1サブロッド82aおよび第2サブロッド82bによって締緩自在に構成する。そして、ヘッド部81のアライメントを調整する場合は、第1サブロッド82aおよび第2サブロッド82bが接合する接合面81sに調整シム85を挿入することにより行う。また、第1サブロッド82aの外径は、ヘッド部81の最大外径より小さく且つ筒状カッタ部83との間に温度センサ84が通ることが出来る隙間を確保するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填密封装置、特に、蓋材による容器開口部に対する仮止めを確実に行うことができる充填密封装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば清涼飲料等の包装袋として、スパウト付パウチが広く使用されている。勿論、そのスパウトの開口部は同材のキャップによって封止されるが、中身である内容物が空気によって酸化され易い場合は、スパウトの開口端面にアルミシート等の薄膜をヒートシールした上で、同材のキャップによって2重に封止している。また、アルミシート等の薄膜によるヒートシールは、始めに開口端面の数カ所でアルミシートを融着する仮止め工程と、その容器に仮止めされたアルミシートを打ち抜いて余分なアルミシートを除去するための打抜き工程と、スパウトの開口端面に仮止めされたアルミシートを開口端面の全面にわたり完全に融着する一次シール工程および二次シール工程とから構成されるのが一般的である(例えば、特許文献1を参照。)
具体的には、鉛直方向に往復運動するロッドの先端に円板状の熱板が備わり、更にその熱板の先端には2つの突起が備わり、そしてこれら2つの突起がスパウトの開口端面に合しながらアルミシートをスパウトの開口端面に2箇所で融着する。その後、ロッドに対し同芯となる、先端の形状がスパウトの外縁部に対し僅かに相似拡大した筒状カッタが降下して、スパウトの開口部の縁部に沿ってアルミシートを打ち抜く。
また、往復運動するロッドは、円盤状の熱板の温度が適温に維持されるようにヒータと温度センサを内蔵した構成となっている。
ところで、そのロッドは筒状カッタの内部を往復運動しているため、温度センサは、その筒状カッタと干渉しないように、筒状カッタの行程範囲外となるロッドの上部に取り付けられている。従って、アルミシートをスパウトの開口端面に融着する熱板の温度は、熱板から離隔した位置に取り付けられた温度センサの値を基にして温度制御が成されている。また、ヒータでの発熱量は、ヒータに流れる電流の2乗に比例し、その電流はヒータの内部抵抗に反比例し、更にその内部抵抗はヒータの温度に比例する。つまり、印加電圧が一定の場合、ヒータの温度が低いとヒータの発熱量は増大し、一方、ヒータの温度が高いとヒータの発熱量は減少する。例えば、ヒータの電源投入時はヒータの温度は低いために、ヒータを流れる電流値が増え、ヒータ近傍の温度センサ取り付け部に対して大きな熱流が流れることとなる。
また、ロッドは、往復運動をしているため、仮にスパウトの開口端面に対する熱板の平行度が要求精度内にない場合は、スパウトの開口端面における熱板の押圧が均一でなくなり、仮止め位置においてアルミシートの融着の程度が異なってくる。従って、次工程である一次シール工程および二次シール工程において、スパウトの開口端面におけるアルミシートに対する融着の程度が更に異なることとなる。特に、スパウトの開口端面に合する熱板が適切な温度に維持されることと、熱板のスパウト開口端面に対する平行度が要求精度内に維持されることは、仮止めの成否を決定する重要管理項目である。
【0003】
【特許文献1】特開2001−328601号公報([0004]から[0005]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した通り、従来の充填密封装置では、仮止めするためのロッドは、熱板を熱するためのヒータと熱板の温度を検知するための温度センサを内蔵した構成となっている。その温度センサは、例えばボス等を介してロッドの内部に差し込まれた形態で熱板から離隔した位置に取り付けられている。従って、電源投入時等の初期状態における温度センサ近傍および熱板の温度プロファイルを見てみると、温度センサ近傍は急激に上昇して緩やかに減少してある一定値に落ち着くのに対し、熱板は緩やかに上昇しながらある一定値に落ち着くという挙動を示す。
このように、温度センサが取り付けられた近傍での温度挙動と、熱板の温度挙動は大きく異なる上に、温度センサ近傍の平衡温度と熱板の平衡温度とは異なる。即ち、従来の充填密封装置では、温度センサの指示値が熱板の温度を正確に表していない上に、電源投入時の初期状態における温度制御が殆ど不可能であるという問題がある。結果として、仮止めの成否を決定する重要管理項目の一つである熱板が適切な温度に維持されることが達成されないおそれがある。
また、従来の充填密封装置は、製造の段階で、熱板の平面度は要求精度内にあるものと推測されるが、実際は、スパウトの取り付け精度等により熱板のスパウト開口端面に対する平行度が要求精度内に収まることは希で、その結果、蓋材であるアルミシートはスパウトの開口端面に不均一に仮止めされることが多いという問題がある。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み創案されたものであって、特に仮シールヘッドのシール面の温度制御が容易であり且つスパウトの開口端面に対する仮シールをしっかりと行うことが可能な充填密封装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の充填密封装置は、容器の開口端面に蓋材を押し当てて該蓋材を該開口端面に融着させるヘッド部と、ヒータを収容し該ヘッド部を上下方向に移動させるロッド部と、該ヘッド部に対し同芯状に移動し且つ該ヘッド部の外周面に沿って降下し前記開口端面からはみ出した余分な蓋材を切断するカッタ部とによって構成された仮止めシール手段を有する充填密封装置であって、前記仮止めシール手段は前記ヘッド部の前記容器の開口端面に対する平行度を調整する平行度調整手段を具備したことを特徴とする。
上記充填密封装置では、平行度調整手段によってヘッド部と容器の開口端面との平行度のズレが最小限に抑えられるため、容器の開口端面における蓋材の融着が全面にわたり適切に行われ、結果として蓋材が容器の開口端面に対してしっかりと仮止めされることとなる。
【0006】
請求項2に記載の充填密封装置では、前記ロッド部は少なくとも2つのサブロッド部から成り且つ、これらのサブロッド部は締結手段によって締緩自在に構成されていることとした。
上記充填密封装置では、上記構成とすることにより、締結部材を緩めてサブロッド部とサブロッド部との間に、ロッド部のアライメントを変える調整用部材を挿入することが可能となる。その調整用部材の物性値例えば厚さを変えることにより、シール面の容器開口端面に対する平行度を適正な範囲内に調整することが出来るようになる。
【0007】
請求項3に記載の充填密封装置では、前記サブロッド部の中で、少なくとも1対の隣接したサブロッド部は、前記開口端面に合する前記ヘッド部のシール面に平行または略平行な接合面を有していることとした。
上記充填密封装置では、上記構成とすることにより、サブロッド部とサブロッド部との間に挿入される調整用部材の厚さと、調整すべきシール面の容器開口端面に対する平行度との対応関係が把握容易となるため、結果として、シール面の容器開口端面に対する平行度の調整が容易となる。
【0008】
請求項4に記載の充填密封装置では、前記平行度調整手段は、前記接合面に薄厚の部材を挿入することから成ることとした。
上記充填密封装置では、上記構成とすることにより、シール面の容器開口端面に対する平行度の調整が容易となる。
【0009】
請求項5に記載の充填密封装置では、前記接合面上部のサブロッド部は、前記薄厚の部材が挿入された際に前記ヒータのアライメントの変動を吸収するための貫通穴を内部に有することから成ることとした。
上記充填密封装置では、上記構成とすることにより、接合面に調整用部材を挿入した際にヒータのアライメントは変動するが、貫通穴によってアライメントの変動が吸収されヒータは損傷しなくなる。
【0010】
請求項6に記載の充填密封装置では、前記サブロッド部の中で、前記カッタ部の行程範囲と重複するサブロッド部は、外径において前記ヘッド部の最大外径より小さく、且つ前記シール面近傍の温度を検知する温度センサが前記シール面近傍に配設されていることから成ることとした。
上記充填密封装置では、上記構成とすることにより、サブロッド部の内周面とカッタ部との間に温度センサのリード線および検知部が通ることができる隙間を形成することが可能となる。これにより、カッタ部の往復運動と干渉させることなく温度センサの検知部をシール面の近傍に配設することが可能となる。また、温度センサをシール面の近傍に配設したことにより、シール面の温度制御および温度管理を正確に行うことが出来るようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の充填密封装置によれば、容器の開口端面に合するヘッド部を往復運動させるロッド部が締結手段によって少なくとも2つのサブロッド部から締緩自在に構成されている。特に、ロッド部が、ヘッド部のシール面に対し平行または略平行に分割されて構成された隣接したサブロッド部を有する場合、サブロッド部とサブロッド部との間に薄厚の部材を挿入することにより、シール面の容器開口端面に対する平行度を適切な範囲内に設定する平行度の調整が容易となる。また、その隣接した1対のサブロッド部のうち、上方のサブロッド部は内部に、薄厚の部材が挿入された際にヒータのアライメントのズレを吸収する貫通穴を有している。これにより、ヒータを損傷させることなく、シール面の容器開口端面に対する平行度の調整を行うことが可能となる。また、サブロッド部の中で、カッタ部の行程範囲と重複するサブロッド部は、外径においてヘッド部の最大外径より小さく、且つシール面近傍の温度を検知する温度センサがシール面近傍に配設されている。これにより、温度センサがシール面の温度を正確に検知することができ、シール面の温度制御および温度管理が容易となる。その結果、ヘッド部は、シール面の温度が適温に保持された状態で蓋材を容器開口端面に均一に押し当てることができ、蓋材の容器開口端面に対する仮止めが確実に行われるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明に係るパウチ充填密封装置100を示す構成説明図である。
この充填密封装置100は、パウチPを供給する給袋部1と、パウチPを検知する袋検出部2と、パウチPの表面に製造年月日等の文字情報を印字する印字部3と、パウチPに内容物を充填する液充填部4と、スパウトの口部外周面を水洗浄するスパウト洗浄部5と、スパウトの口部外周面に空気を吹き付けて口部を乾燥させるためのスパウト乾燥部6と、新たな工程を追加するための第1予備部7と、スパウトの開口部を蓋材(フィルム)で仮シールすると共にシールに必要な蓋材を切り抜くための、本発明の仮シールヘッド80を有する仮シール部8と、仮止めされたフィルムをスパウトの開口端面の全面にわたり融着する第1シール部9と第2シール部10と、スパウトのシール面を冷却する冷却部11と、新たな工程を追加するための第2予備部12と、スパウトの口部をキャップCで封止するキャッピング部13と、キャッピングが終了した内容物詰めパウチNPを外部に搬送する製品排出部14と、不良品を排出する不良品排出部15とを具備して構成されている。なお、本発明の仮シールヘッド80の詳細については図2を参照しながら後述する。
【0014】
図2は、本発明の仮シールヘッド80を示す要部断面説明図である。
この仮シールヘッド80は、スパウトSの開口端面OEに蓋材Fを押し当てて同開口端面OEに蓋材Fを融着するヘッド部81と、アクチュエータ例えばエアシリンダ(図示せず)とヘッド部81を連結しヘッド部81を往復運動させるロッド部82と、ロッド部82が内部を挿通し且つロッド部82と同芯に移動しながら、スパウト開口部のシールに必要な蓋材Fを切り抜く(打ち抜く)筒状カッタ部83と、ヘッド部81のシール面81aの温度を検知する温度センサ84と、ヘッド部81のスパウト開口端面OEに対する押圧が均一でない場合に、ヘッド部81のシール面81aとスパウト開口端面OEとの平行度を調整する薄厚部材としての調整シム85と、シール面81aを介して蓋材Fを融着するための熱源となるヒータ86と、ロッド部82の各サブロッドを結合する締結手段としての結合部材87および結合ボルト88とを具備して構成されている。
【0015】
ヘッド部81は、断面形状が筒状カッタ部83の断面形状と相似または略相似の関係にあり、スパウトの開口端面OEに合するシール面81aを有している。また、その中央部には、ロッド部82を取り付けるための雌ネジ部81bおよびインロー部81cが軸方向に沿って各々形成されている。
【0016】
ヘッド部81の半径方向外側には、温度センサ84を差し込むためのセンサ取付穴81dが形成され、温度センサ84が差し込まれる。また、温度センサ84の固定は、例えば、スプリングピン81eによって行われる。従って、センサ取付穴81dの穴径は、温度センサ84の最大外径とスプリングピン81eの外径とを足した値より若干小さくなっている。このように、温度センサ84の温度検知部84aがヘッド部81のシール面81aの近傍に設置されているため、シール面81aの温度を正確に検知することができる。また、後述するように、第1サブロッド82aと筒状カッタ部83との間に隙間が形成されるように、第1サブロッド82aの外径は、ヘッド部81の最大外径より小さくなっている。また、その隙間の大きさは温度センサ84の温度検知部84aおよびリード線84bが通ることができる程度の大きさである。これにより、温度センサ84は筒状カッタ部83の往復運動の妨げにならずに、その温度検知部84aはシール面81aの近傍に配設され、リード線84bは第1サブロッド82aの外周面に沿ってルーティングされて構成される。結果として、シール面81aの温度を正確に検知することができ、シール面81aの温度制御および温度管理が適切に行われることとなる。
【0017】
ロッド部82は、複数のサブロッドから構成され、本実施形態では第1サブロッド82aおよび第2サブロッド82bの2つのサブロッドから成っている。詳細については図3を参照しながら後述するが、このような構成をとることにより、ロッド部82と連結するヘッド部81のシール面81aに対するアライメントの調整が容易となる。第1サブロッド82aの中心部には、ヒータ86を差し込むためのヒータ取付穴82cが形成されている。他方、第2サブロッド82bの中心部には、ヒータ86のアライメントの変動を吸収するための貫通穴82dが形成されている。また、この貫通穴82dにはヒータ86を支持するためのサポートスリーブ82eが配設されている。そして、ヒータ86はこのサポートスリーブ82eの内部を通りヒータ取付穴82cに差し込まれ、ヒータ固定ボルト82fによってロッド部82に固定される。そして、ヒータ86は外部電源(図示せず)から電力を供給されて発熱し、その熱がヘッド部81のシール面81aへ熱伝導してシール面81aの表面温度が上昇する。その熱せられたシール面81aが蓋材Fをスパウトの開口端面OEに押し当てることにより、蓋材Fがスパウト開口端面OEに融着されてスパウトSの開口部をシールする。
【0018】
第1サブロッド82aの先端は、例えば2段凸部に構成されており、一段目はヘッド部81の雌ねじ部81bと螺合する雄ねじ部が形成された凸部であり、二段目は同インロー部81cに嵌合する凸部である。
【0019】
第1サブロッド82aおよび第2サブロッド82bは、ヘッド部81のシール面81aに対して平行となる接合面82sを有し、結合部材87および結合ボルト88によって締緩自在に結合されている。詳細については図3を参照しながら後述するが、このような構成をとることにより、ロッド部82と連結するヘッド部81のシール面81aに対するアライメントの調整が容易となる。即ち、この接合面82sに、調整シム85を挿入することにより、第1サブロッド82aの軸方向に対するアライメントが変化し、シール面81aのアライメントも変わることになる。従って、何らかの原因でスパウトの開口端面OEのアライメントが要求精度の範囲内にない場合は、開口端面OEに対するシール面81aの平行度にズレが生じるため、ヘッド部81のシール面81aが容器の開口端面OEを押し当てても蓋材Fがスパウトの開口端面OEに均一に融着されなくなる。このような場合に、第1サブロッド82aと第2サブロッド82bとの接合面82sに調整シム85を挿入して、ヘッド部81のアライメントを調整することにより、スパウトの開口端面OEに対するシール面81aの平行度を適正な範囲内に調整することが出来るようになる。
【0020】
筒状カッタ部83は、ロッド部82、特に第1サブロッド82aと同芯であり、内周面の断面形状がヘッド部81のシール面81aの断面形状を相似拡大した形状となっている。また、筒状カッタ部83は、下方に蓋材Fを切断する刃部を有し、第1サブロッド82aの軸方向に沿って降下して蓋材Fを切断する。
【0021】
温度センサ84は、リード線84bが第1サブロッド82aの外周面に沿ってルーティングされ、温度検知部84aはヘッド部81のシール面81aの近傍に埋設されている。また、温度センサとしては、例えば、熱電対、サーミスタまたは白金センサ等の電子式温度センサである。
【0022】
図3は、シール面の容器の開口端面に対する平行度の調整を例示する説明図である。なお、図3(a)は、調整シム85を挿入する前の状態を示し、同(b)は、調整シム85を挿入した後の状態を示している。
今、スパウトSが傾いた状態で取付けられていると仮定する、図3(a)に示すように、シール面81aのスパウトの開口端面OEに対する平行度はズレを生じている。この状態で蓋材Fをスパウト開口端面OEに押し当てると、シール面81aの押圧がスパウトの開口端面OEにおいて均一とならず、蓋材Fは開口端面OEに一様に融着されない。従来の充填密封装置では、このように仮止めが不完全に行われた場合であっても、容器は、次工程の本シール工程に移行されて、同様に熱せられたシール面を押し当てられて開口端面を密封されていた。しかし、本パウチ充填密封装置100では、図3(a)に示すように、ロッド部82が、第1サブロッド82aおよび第2サブロッド82bによってシール面81aに対し平行に分割されて構成され、且つこれらのサブロッド82a,82bは、結合部材87および結合ボルト88によって締緩自在に結合されて構成されている。そのため、結合ボルト87を緩めると、接合面82sに薄厚の調整シム85を挿入することが可能になる。また、接合面82sがヘッド部81のシール面81aに平行の場合、その平行度のズレを補正するために必要な第1サブロッド82aのアライメントの調整量の把握が容易となる。例えば、スパウトSのヘッド部81に対するアライメントの差θに相当する平行度のズレが生じている場合は、第1サブロッド82aの第2サブロッド82bに対するアライメントの差がθとなるような厚さを持った調整シム85を挿入すれば良い。即ち、結合ボルト87の取付径(PCD)をdとし、調整シム85の厚さをtとすると、t=d×tanθ≒d×θという一定の対応関係が成立することがわかる。このように、調整シム85の厚さtとスパウトSのヘッド部81に対するアライメントの差θとの対応が把握容易となる。この場合、接合面82sの左側に調整シム85を挿入し、第1サブロッド82aのアライメントを反時計方向にずらすことにより、第1サブロッド82aとスパウトSとのアライメントの差がなくなり、その結果、シール面81aのスパウト開口端面OEに対する平行度が適正な範囲内に収まるようになる。
【0023】
図4は、本発明の仮シールヘッド80に係るシール面における温度プロファイルを示すグラフである。
このグラフは、シール面81aの設定温度Trefを165℃に設定した時の、温度センサ84の温度プロファイルを示している。温度センサ84が、シール面81aの近傍に配設されているため、温度センサ84はシール面81aの温度を正確に検知しているため、その温度センサ84の検知情報に基づいてシール面81aの温度制御および温度管理が好適に行われることとなる。その結果、シール面81aの温度が、オーバシュートすることなく、目標とする設定温度Trefに応答性良く整定していることがわかる。一方、図5は、従来のシール面から離れた位置に温度センサが取り付けられた仮シールヘッドにおけるシール面の温度プロファイルを示すグラフである。因みに、設定温度Trefは120℃である。シール面の温度は、目標とする設定温度を大きくオーバシュートし、ピーク温度に達した後減少するようになってもなお、設定温度Trefになかなか整定していないことがわかる。このように、従来の仮シールヘッドでは、温度センサがシール面から離れた位置に取り付けられているため、シール面の温度を正確に検知することはできず、従って、その温度センサの検知情報に基づいてシール面の温度制御を行おうとすると、目標とする設定温度に近づけることは非常に難しかった。
【0024】
上記パウチ充填密封装置100および仮シールヘッド80によれば、スパウトの開口端面OEに合するヘッド部81を往復運動させるロッド部82が第1サブロッド82aおよび第2サブロッド82bから構成され、且つこれらのサブロッドが結合部材87および結合ボルト88によって締緩自在に構成されている。特に、第1サブロッド82aおよび第2サブロッド82bが、ヘッド部81のシール面81aに対し平行に分割されて構成されているため、同シール面81aに平行な接合面82sを有する。従って、この接合面81sに薄厚の調整シム85を挿入することにより、シール面81aの開口端面OEに対する平行度を適切な範囲内に設定することが可能となる。また、接合面81sの上方の第2サブロッド82bは、調整シム85が挿入された際のヒータ86のアライメントの変動を吸収する貫通穴82dを有している。これにより、ヒータ86を損傷させることなく、シール面81aの開口端面OEに対する平行度の調整を行うことが可能となる。また、筒状カッタ部83の行程範囲と重複する第1サブロッド82aは、外径においてヘッド部81の最大外径より小さく、且つ温度センサ84がシール面81aの近傍に配設されている。これにより、温度センサ84がシール面81aの温度を正確に検知することができ、シール面81aの温度制御および温度管理が容易となる。その結果、ヘッド部81は、シール面81aの温度が適温に保持された状態で蓋材Fをスパウトの開口端面OEに均一に押し当てることができ、蓋材Fの容器開口端面に対する仮止めが確実に行われるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の充填密封装置および仮シールヘッドは、スパウト付きパウチ詰め飲料を始め、蓋材によって開口部をシールされる容器詰め飲料および食品等の無菌充填装置または通常の充填装置に対して好適に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るパウチ充填密封装置を示す構成説明図である。
【図2】本発明の仮シールヘッドを示す要部断面説明図である。
【図3】シール面の容器の開口端面に対する平行度の調整を例示する説明図である。
【図4】本発明の仮シールヘッドに係るシール面における温度プロファイルを示すグラフである。
【図5】従来の仮シールヘッドに係るシール面における温度プロファイルを示すグラフである。
【符号の説明】
【0027】
80 仮シールヘッド
81 ヘッド部
82 ロッド部
83 筒状カッタ部
84 温度センサ
85 調整シム
86 ヒータ
87 結合部材
88 結合ボルト
100 パウチ充填密封装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口端面に蓋材を押し当てて該蓋材を該開口端面に融着させるヘッド部と、ヒータを収容し該ヘッド部を上下方向に移動させるロッド部と、該ヘッド部に対し同芯状に移動し且つ該ヘッド部の外周面に沿って降下し前記開口端面からはみ出した余分な蓋材を切断するカッタ部とによって構成された仮止めシール手段を有する充填密封装置であって、前記仮止めシール手段は前記ヘッド部の前記容器の開口端面に対する平行度を調整する平行度調整手段を具備したことを特徴とする充填密封装置。
【請求項2】
前記ロッド部は少なくとも2つのサブロッド部から成り且つ、これらのサブロッド部は締結手段によって締緩自在に構成されている請求項1に記載の充填密封装置。
【請求項3】
前記サブロッド部の中で、少なくとも1対の隣接したサブロッド部は、前記開口端面に合する前記ヘッド部のシール面に平行または略平行な接合面を有している請求項2に記載の充填密封装置。
【請求項4】
前記平行度調整手段は、前記接合面に薄厚の部材を挿入することから成る請求項1から3の何れかに記載の充填密封装置。
【請求項5】
前記接合面上部のサブロッド部は、前記薄厚の部材が挿入された際に前記ヒータのアライメントの変動を吸収するための貫通穴を内部に有することから成る請求項4に記載の充填密封装置。
【請求項6】
前記サブロッド部の中で、前記カッタ部の行程範囲と重複するサブロッド部は、外径において前記ヘッド部の最大外径より小さく、且つ前記シール面近傍の温度を検知する温度センサが前記シール面近傍に配設されていることから成る請求項1から5の何れかに記載の充填密封装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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