説明

充填機の容器支持装置

【課題】 充填機の搬入側、搬出側での容器の受渡しの円滑を図りながら、充填機における容器の座屈を確実に防止すること。
【解決手段】容器1を載置する容器台22と、容器台22上の容器1のネックリング1A下面を支持するネックサポート23とを有してなる充填機10の容器支持装置21であって、容器台22に載置された容器1のネックリング1A下面のレベルを、ネックサポート23のネック導入レベルより上方に付勢する付勢手段25を有してなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充填機の容器支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充填機の容器支持装置として、特許文献1に記載の如く、容器1を載置する容器台2と、容器台2上の容器1のネックリング1A下面を支持するネックサポート3とを有するものがある(図8〜図10)。充填機の充填ノズルが容器1に及ぼす押さえ力をネックサポート3によって支持し、容器1の座屈を防止するものである。尚、図8〜図10において、4は容器搬入テーブル、5は容器搬出テーブルであり、容器搬入テーブル4と容器台2、容器搬出テーブル5と容器台2は同一レベルに設定されている。
【特許文献1】特開平8-169493
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の充填機の容器支持装置にあっては、容器1のネックリング下面高さに誤差があるとともに、ネックサポート3の支持面高さにも誤差がある。一般に、容器1のネックリング下面高さよりネックサポート3の支持面高さを高めに設定するため、容器搬入テーブル4から充填機への搬入側では、容器1のネックリング1Aがネックサポート3に引っかかり、容器1のキズつき、倒れを生ずるおそれがある(図8)。また、充填機から容器搬出テーブル5への搬出側では、充填後の容器1がネックサポート3から落下して液はねを生ずるおそれがある(図9)。
【0004】
尚、容器1のネックリング1Aがネックサポート3に引っかからないように、ネックサポート3の支持面高さを下げたときには、充填ノズル6が容器1に及ぼす押さえ力をネックサポート3によって支持できず、容器1に座屈を生ずるおそれがある(図10)。
【0005】
本発明の課題は、充填機の搬入側、搬出側での容器の受渡しの円滑を図りながら、充填機における容器の座屈を確実に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、容器を載置する容器台と、容器台上の容器のネックリング下面を支持するネックサポートとを有してなる充填機の容器支持装置であって、容器台に載置された容器のネックリング下面のレベルを、ネックサポートのネック導入レベルより上方に付勢する付勢手段を有してなるようにしたものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記容器のネックリング下面高さをH、その誤差をH’、その座屈変位をLとし、前記ネックサポートの支持面高さをh、その誤差をh’とするとき、前記容器台の最低限必要な設備上のストローク量Sを
H+H’−(h−h’)−L≦S
とし、前記ネックサポートのネックリング導入部の勾配高さtを
h+h’−(H−H’)≦t
とするようにしたものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2の発明において更に、前記容器に及ぼす充填ノズルの押さえ力をF、容器の座屈強度をP、充填後の容器の全体重量をW、前記付勢手段のばね定数をkとするとき、
S×k<F
S×k<P
W<S×k
とするようにしたものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の容器支持装置を用いた充填機である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる容器1に液体(例えば、液温84〜88℃)を充填する充填ライン100は、図1、図2に示す如く、充填機10とキャッピング機30を連続的に配置している。
【0011】
充填機10は、充填旋回テーブル11の搬入側位置と搬出側位置のそれぞれに容器搬入旋回テーブル12と容器搬出旋回テーブル13を配置し、充填旋回テーブル11の旋回方向複数位置に昇降装置20を設け、各昇降装置20に容器支持装置21を設けている。充填旋回テーブル11の搬入側位置において、充填旋回テーブル11の容器支持装置21と容器搬入旋回テーブル12は同一レベルに設定され、容器1は容器搬入旋回テーブル12のスターホイール12Aにより容器旋回充填テーブル11の容器支持装置21に送り込まれて支持される。充填旋回テーブル11の旋回過程で昇降装置20が上昇すると、容器支持装置21に支持されている容器1が上昇し、容器1の口部が充填ノズル11Aに挿入される。充填ノズル11Aが容器1の口部に押さえ力を及ぼす状態で、充填ノズル11Aから吐出される液体が容器1に充填される。容器1への液体の充填後、昇降装置20が下降すると、容器支持装置21に支持されている容器1も下降し、容器1の口部が充填ノズル11Aから離れる。充填旋回テーブル11の搬出側位置において、充填旋回テーブル11の容器支持装置21と容器搬出旋回テーブル13は同一レベルに設定され、容器1は充填旋回テーブル11の容器支持装置21から容器搬出旋回テーブル13のスターホイール13Aに取り込まれて搬出される。
【0012】
キャッピング機30は、キャッピング旋回テーブル31の搬入側位置と搬出側位置のそれぞれに容器搬入旋回テーブル32と容器搬出旋回テーブル33を配置する。キャッピング旋回テーブル31の搬入側位置において、キャッピング旋回テーブル31と容器搬入旋回テーブル32は同一レベルに設定され、容器1は容器搬入旋回テーブル32のスターホイールによりキャッピング旋回テーブル31に送り込まれて載置される。キャッピング旋回テーブル31の旋回過程で、キャッピング旋回テーブル31上の容器1に対応するキャッピングヘッド31Aが下降し、キャッピングヘッド31Aが把持するキャップ1Bが容器1の口部に巻締めされる。容器1へのキャップ1Bの巻締め後、キャッピングヘッド31Aがキャップ1Bを離して上昇する。キャッピング旋回テーブル31の搬出側位置において、キャッピング旋回テーブル31と容器搬出旋回テーブル33は同一レベルに設定され、容器1はキャッピング旋回テーブル31から容器搬出旋回テーブル33のスターホイールに取り込まれて搬出される。
【0013】
以下、充填機10の充填旋回テーブル11の複数位置に設けた容器支持装置21について詳述する。
【0014】
容器支持装置21は、充填旋回テーブル11の複数位置に設けた昇降装置20の昇降台20Aに支持される容器台22を有し、この容器台22の座面22Aに容器1を載置可能にする。
【0015】
容器支持装置21は、容器台22の側傍において、昇降台20Aから立設されるネックサポート23を有する。ネックサポート23は、昇降台20Aに対する立設高さを調節可能にする止ねじ24により昇降台20Aに取付けられ、容器台22の座面22A上の容器1のネックリング1A下面を支持する。ネックサポート23は、ネックリング1Aの下面を支持する支持面23Aを備えるとともに、その前方に勾配状の導入部23Bを備えることができる。
【0016】
容器支持装置21は、容器台22の座面22Aの裏側に支軸22Bを突設し、この支軸22Bを昇降台20Aに設けたガイド孔20Bに対し上下ストローク可能に挿通し、座面22Aと昇降台20Aの間の支軸22Bまわりにコイルばねからなる付勢手段25を介装し、支軸22Bに位置調整可能に螺着したカラー22Cをガイド孔20B下のストッパ20Cに衝接可能にしている。
【0017】
付勢手段25は、容器台22の座面22Aに載置した容器1のネックリング1A下面のレベルを、ネックサポート23のネック導入レベル(支持面23A又は導入部23B)より上方に付勢し、容器台22のカラー22Cを昇降台20Aのストッパ20Cに衝接せしめる状態で、容器台22の座面22Aを充填旋回テーブル11の上面(旋回テーブル12、13の上面)と同一レベルに設定する。通常、容器1のネックリング1A下面をネックサポート23の支持面23Aより上方に浮かせる(図3)。付勢手段25として、ばねの他、マグネット、空気圧手段を利用できる。
【0018】
尚、容器支持装置21は、昇降台20Aのばね格納凹部26、支軸格納凹部27に、水抜き孔26A、27Aを設け、容器台22の安定ストロークを確保する。
【0019】
従って、容器支持装置21は以下の如く動作する。
(A)充填機10の搬入側(図4)。
(1)充填機10の搬入側では、充填旋回テーブル11の上面(容器台22の座面22A)と容器搬入旋回テーブル12の上面が同一レベルに設定され、容器1のネックリング下面高さ(ネックリング下面レベル)を、ネックサポート23の支持面高さ(ネック導入レベル)より高く設定してある。
【0020】
(2)容器搬入テーブル12から容器台22に搬入される容器1のネックリング1Aがネックサポート23のネック導入レベル(支持面23A又は導入部23B)より上方に導入され、容器1のネックリング1Aがネックサポート23に引っかかることなく、安定的に搬入される。
【0021】
(3)充填機10で充填ノズル11Aが容器1に押さえ力を及ぼすときには、押さえ力が容器台22の付勢手段25を圧縮変形させて容器台22を沈み込ませ、容器1のネックリング1A下面をネックサポート23の支持面23Aに当てる。これにより、充填ノズル11Aの押さえ力をネックサポート23によって支持し、容器1の座屈を防止する。
【0022】
(B)充填機10の搬出側(図5)
(1)充填機10の搬出側では、充填旋回テーブル11の上面(容器台22の座面22A)と容器搬出旋回テーブル13の上面が同一レベルに設定されるとともに、上述(A)と同様に、容器1のネックリング下面高さ(ネックリング下面レベル)を、ネックサポート23の支持面高さ(ネック導入レベル)より高く設定してある。
【0023】
(2)容器1への充填終了後、充填ノズル11Aが容器1から離れると、容器台22の付勢手段25が充填ノズル11Aの押さえ力による圧縮変形を解除されて容器台22を元位置(充填旋回テーブル11の上面レベル)へ戻し、容器1のネックリング1A下面をネックサポート23の支持面23Aから浮かせる。
【0024】
(3)容器台22から容器搬出テーブル13に搬出される容器1のネックリング1Aがネックサポート23より上方を排出され、充填後の容器1がネックサポート23から落下することがなく、安定的に搬出される。
【0025】
上述(A)、(B)により、充填機10の搬入側、搬出側での容器1の受渡しの円滑を図りながら、充填機10における容器1の座屈を確実に防止できる。容器1の高さ寸法誤差の影響を受けないし、容器1の内容液の充填温度や充填圧力による容器1の膨張の影響を受けない。
【0026】
以下、容器1とネックサポート23の寸法関係について説明する。
図6(A)〜(C)に示す如く、容器1のネックリング1A下面高さをH、その誤差をH’、その座屈を変位をLとし、ネックサポート23の支持面23A高さをh、その誤差をh’とするとき、容器台22の最低限必要な設備上のストローク量SをH+H’−(h−h’)−L≦Sとし、ネックサポート23のネックリング導入部23Bの勾配高さtをh+h’−(H−H’)≦tとする。
【0027】
即ち、容器台22の最低限必要な設備上のストローク量SをH+H’−(h−h’)−L≦Sとすることにより、一番高い容器1のネックリング下面高さと、一番低いネックサポート23の支持面高さとの組合せでも、容器1の座屈を防止できる。
【0028】
また、ネックサポート23のネックリング導入部23Bの勾配高さtをh+h’−(H−H’)≦tとすることにより、一番低い容器1のネックリング下面高さと、一番高いネックサポート23の支持面高さの組合せでも、容器1のネックリング1Aをネックサポート23に導入できる。
【0029】
次に、付勢手段25の設計条件について説明する。
図7(A)、(B)に示す如く、容器1に及ぼす充填ノズル11Aの押さえ力をF、容器1の座屈強度をP、充填後の容器1の全体重量をW、付勢手段25のばね定数をkとするとき、
S×k<F
S×k<P
W<S×k
とする。充填ノズル11Aの押さえ力Fは、充填ノズル11Aと容器1の口部のシールに必要な力であり、通常5〜20kgfである。充填後の容器1の全体重量は、容器重量と内容液体重量との和である。
【0030】
即ち、容器台22のストロークS、付勢手段25のばね定数kの設定に際し、S×k<Fにより、充填ノズル23の押さえ力Fが容器1に作用したときに、容器台22を必ず沈み込ませることができ、S×k<Pにより、容器台22の沈み込みにより圧縮される付勢手段25のばね力で容器1を座屈させることがなく、W<S×kにより、容器1への充填終了後に、容器台22を必ず元位置に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は充填ラインを展開して示す模式側面図である。
【図2】図2は充填ラインを示す模式平面図である。
【図3】図3は容器支持装置を示す断面図である。
【図4】図4は容器搬入側における容器支持装置の動作を示す模式図である。
【図5】図5は容器搬出側における容器支持装置の動作を示す模式図である。
【図6】図6は容器とネックサポートの寸法関係を示す模式図である。
【図7】図7は付勢手段の設計条件を示す模式図である。
【図8】図8は従来の容器支持装置の容器搬入側における動作を示す模式図である。
【図9】図9は従来の容器支持装置の容器搬出側における動作を示す模式図である。
【図10】図10は従来の容器支持装置の他の動作を示す模式図である。
【符号の説明】
【0032】
1 容器
1A ネックリング
10 充填機
11A 充填ノズル
21 容器支持装置
22 容器台
23 ネックサポート
23A 支持面
23B 導入部
25 付勢手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を載置する容器台と、
容器台上の容器のネックリング下面を支持するネックサポートとを有してなる充填機の容器支持装置であって、
容器台に載置された容器のネックリング下面のレベルを、ネックサポートのネック導入レベルより上方に付勢する付勢手段を有してなる充填機の容器支持装置。
【請求項2】
前記容器のネックリング下面高さをH、その誤差をH’、その座屈変位をLとし、
前記ネックサポートの支持面高さをh、その誤差をh’とするとき、
前記容器台の最低限必要な設備上のストローク量Sを
H+H’−(h−h’)−L≦S
とし、
前記ネックサポートのネックリング導入部の勾配高さtを
h+h’−(H−H’)≦t
とする請求項1に記載の充填機の容器支持装置。
【請求項3】
前記容器に及ぼす充填ノズルの押さえ力をF、容器の座屈強度をP、充填後の容器の全体重量をW、前記付勢手段のばね定数をkとするとき、
S×k<F
S×k<P
W<S×k
とする請求項2に記載の充填機の容器支持装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の容器支持装置を用いた充填機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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