説明

充填装置および充填方法

【解決手段】 充填ノズル11は、液体供給手段4に接続された内側ノズル11bと、ガス供給手段12に接続された外側ノズル11aとから構成される2重管構造を有している。
また充填装置2は、容器1の開口部1cを外側ノズルとの間で挟持して容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖する仮閉鎖手段6と、上記外側ノズルおよび仮閉鎖手段の下方に設けられて、上記仮閉鎖手段の下方が閉鎖した部分よりも下方で開口部を封止する封止手段7とを備えている。
上記液体供給手段およびガス供給手段は、上記仮閉鎖手段が容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖した状態で、上記液体およびガスの充填を行い、
上記封止手段は、上記液体供給手段およびガス供給手段が液体およびガスを充填した状態で、容器の開口部を封止するようになっている。
【効果】 容器内部を密閉した状態で液体の充填およびガスの置換を行うことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充填装置および充填方法に関し、詳しくは可撓性を有する容器に液体を充填するとともに該容器内に所要のガスを供給してから、容器を封止する充填装置および充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用の輸液バッグとして可撓性を有する容器を用いたものが知られ、この容器には薬剤等の液体が充填されるとともに、上記薬剤の劣化を防止するために窒素ガスなどの不活性ガスが封入されている。
このような容器に液体を充填する充填装置として、上記容器の開口部に充填ノズルを挿入して容器に液体を供給する液体供給手段と、該容器の開口部に充填ノズルを挿入して容器内に所要のガスを供給するガス供給手段と、上記容器を封止する封止手段とを備えたものが知られている(特許文献1)。
そしてこの充填装置によれば、上記液体供給手段が袋状の容器に液体を充填し、また上記ガス供給手段が容器に所要のガスを供給したら、上記封止手段が容器の開口部を封止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−24707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1の充填装置の場合、容器を液体の充填位置からガスの置換位置まで移動させる必要があり、充填した容器内の液体に外気が触れてしまうことから、酸素を極端に嫌う液体に対しては用いることができないという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は容器内部を密閉した状態で液体の充填およびガスの置換を行うことが可能な充填装置および充填方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、請求項1にかかる充填装置は、可撓性を有する容器の開口部に充填ノズルを挿入して液体を充填する液体供給手段と、容器の開口部に充填ノズルを挿入して所要のガスを充填するガス供給手段と、上記容器を封止する封止手段とを備えた充填装置において、
上記充填ノズルを、上記液体供給手段またはガス供給手段のいずれかに接続されるとともに上記容器の開口部に上方から挿入される外側ノズルと、液体供給手段またはガス供給手段のいずれか他方に接続されて上記外側ノズルの内部に設けた内側ノズルとから構成し、
容器の開口部を外側ノズルとの間で挟持して容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖する仮閉鎖手段を設け、
上記封止手段は、上記外側ノズルおよび仮閉鎖手段の下方に設けられるとともに、上記仮閉鎖手段が閉鎖した部分よりも下方で開口部を封止し、
上記液体供給手段およびガス供給手段は、上記仮閉鎖手段が容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖した状態で、上記液体およびガスの充填を行い、
上記封止手段は、上記液体供給手段およびガス供給手段が液体およびガスを充填した状態で、容器の開口部を封止することを特徴としている。
【0006】
請求項2にかかる充填装置は、上記請求項1にかかる充填装置において、上記液体供給手段を内側ノズルに接続するとともに、上記ガス供給手段を外側ノズルに接続し、また上記内側ノズルと外側ノズルとを相対的に上下動させる移動手段を設け、
上記移動手段が上記内側ノズルの先端を外側ノズルの先端よりも容器の内部に下降させた状態で、上記液体供給手段が内側ノズルより液体を供給し、
上記移動手段が上記内側ノズルの先端を上昇させた状態で、上記封止手段が上記外側ノズルの下端部近傍で容器の開口部を封止することを特徴としている。
【0007】
請求項3にかかる充填装置は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の充填装置において、 上記ガス供給手段とともに上記外側ノズルまたは内側ノズルに接続され、上記容器内部の気体を排出するガス排出手段と、上記液体供給手段による液体の流量を計測する液体流量測定手段と、上記ガス供給手段およびガス排出手段によるガスの流量を計測するガス流量測定手段と、上記液体供給手段、ガス供給手段、ガス排出手段を制御する制御手段とを設け、
上記仮閉鎖手段が容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖した状態で、上記制御手段は、ガス供給手段によりガスを容器に充満させ、さらにこの状態で上記液体供給手段により液体を供給するとともに、上記排出手段により容器内のガスを排出し、
上記液体流量測定手段は上記液体流量測定手段が供給する液体の流量から液体の充填量を測定し、上記ガス流量測定手段はガス供給手段が容器に充満させたガスの供給量と、上記ガス排出手段が排出するガスの排出量とから、容器内におけるガスの充填量を測定することを特徴としている。
【0008】
請求項4にかかる充填方法は、可撓性を有する袋状の容器の開口部に充填ノズルを挿入して液体を充填するとともに、該容器の開口部に充填ノズルを挿入して容器内に所要のガスを充填し、しかる後に上記容器の開口部を封止する充填方法において、
上記充填ノズルを、液体またはガスのいずれかを供給するとともに上記容器の開口部に上方から挿入される外側ノズルと、液体またはガスのいずれか他方を供給するとともに上記外側ノズルの内部に設けた内側ノズルとから構成し、
上記外側ノズルを上方から開口部に挿入して、容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖した後、上記外側ノズルおよび内側ノズルによって容器に液体およびガスを充填し、しかる後、容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖したまま、外側ノズルの下方で開口部を封止することを特徴としている。
【0009】
請求項5にかかる充填方法は、請求項4にかかる充填方法において、上記内側ノズルから液体を供給するとともに、上記外側ノズルからガスを供給し、さらに上記内側ノズルと外側ノズルとを相対的に上下動可能に設けて、
上記内側ノズルの先端を外側ノズルの先端に対して容器の内部に下降させた状態で、該内側ノズルより液体を供給し、
しかる後、上記内側ノズルの先端を上昇させた状態で、外側ノズルの下端部近傍で容器の開口部を封止することを特徴としている。
【0010】
請求項6にかかる充填方法は、上記ガスを供給する上記外側ノズルまたは内側ノズルにより、上記容器内部の気体を排出可能とし、
容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖した状態で、容器にガスを供給して該ガスを充満させるとともに、該容器に供給されるガスの供給量を測定し、
その後さらに容器に液体を供給することで、該液体の供給により容器から押し出されるガスを排出し、その際、上記容器に供給される液体の流量から該液体の充填量を測定するとともに、該液体によって押し出されるガスの排出量を測定し、
上記ガスの供給量およびガスの排出量から、容器内のガスの充填量を測定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
上記請求項1の発明によれば、容器の開口部を上記外側ノズルと仮閉鎖手段によって閉鎖した状態で、液体およびガスの充填を行い、さらに封止手段が外側ノズルの下方で開口部を封止することから、容器内部を密閉した状態で液体の充填およびガスの置換を行うことができる。
【0012】
上記請求項2の発明によれば、液体供給手段に設けられた内側ノズルは、外側ノズルに対して容器の内部に下降した状態で液体の充填を行うため、充填の際に跳ねた液体が容器の開口部に付着するのを防止し、上記封止手段による封止不良を防止することができる。
【0013】
上記請求項3の発明によれば、上記ガス排出手段は、予め容器の内部にガスを充満させることで可撓性を有する容器を膨らませるようになっており、その状態で上記液体供給手段が液体を供給することから、充填ノズルから供給される液体が容器の内壁で液跳ねして開口部に付着するのを防止し、上記封止手段による封止不良を防止するようになっている。
また、上記仮封止手段によって容器は閉鎖されており、上記液体を容器に供給するとこの液体によって充填されていたガスが押し出されるが、このガスは上記ガス排出手段によって排出するようになっている。
そして、上記液体流量測定手段およびガス流量測定手段によって液体およびガスの充填量を測定することで、容器内の液体およびガスの充填量を一定とすることができるため、可撓性を有する容器であっても充填した液体およびガスによってその形状を一定とすることができ、例えば容器に付した目盛りの信頼性を得ることができる。
【0014】
上記請求項4の発明によれば、容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖した状態で、液体の充填およびガスの置換を行い、しかる後に開口部を封止することから、容器内部を密閉した状態で液体の充填およびガスの置換を行うことができる。
【0015】
上記請求項5の発明によれば、内側ノズルが外側ノズルに対して容器の内部に突出した状態で液体の充填を行うことで、充填の際に跳ねた液体が容器の開口部に付着するのを防止し、封止不良を防止することができる。
【0016】
上記請求項7の発明によれば、予め容器の内部にガスを充満させることで可撓性を有する容器を膨らませ、その状態で液体を供給することから、充填ノズルから供給される液体が容器の内壁で液跳ねして開口部に付着するのを防止し、開口部の封止不良を防止するようになっている。
また、容器の開口部と外側ノズルとの隙間が閉鎖されているため、上記液体を容器に供給するとこの液体によって充填されていたガスが押し出されるが、このガスはガスを供給する外側ノズルまたは内側ノズルを介して排出されるようになっている。
そして、液体およびガスの充填量を測定することにより、容器内の液体およびガスの充填量を一定とすることができるため、可撓性を有する容器であっても充填した液体およびガスによってその形状を一定とすることができ、例えば容器に付した目盛りの信頼性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施例にかかる充填装置の該略図。
【図2】封止手段の動作を説明する図。
【図3】充填装置の動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図示実施例について説明すると、図1は医療用バッグなどの可撓性を有する容器1に、薬剤などの液体を充填する充填装置2を示したものである。
上記容器1は可撓性を有する二枚の樹脂シートの外周部分を熱封止することで袋状を形成したものであり、図示左右端には点滴回路に接続可能な接続ポート1aが液密に装着され、側面には液体の残量を確認するための目盛り1bが印刷されている。
また、容器1の図示上部には熱封止されていない開口部1cが形成されており、上記充填装置2はこの開口部1cを介して液体の充填を行うようになっている。
さらに、この容器1には、充填した薬剤の劣化を防止するため、上記液体が充填されていない空間に窒素ガスや二酸化炭素ガス等の不活性ガスを充填するようになっている。
ここで、上記容器1に液体および不活性ガスをそれぞれ所定量ずつ充填すれば、可撓性を有する容器1を一定の形状に保つことができ、これにより上記目盛り1bの信頼性を確保することが可能となっている。
【0019】
上記充填装置2は、上記容器1を把持するグリッパ3と、容器1に液体を供給する液体供給手段4と、容器1内の空気を不活性ガスに置換するガス置換手段5と、上記容器1の開口部1cを仮閉鎖する仮閉鎖手段6と、上記容器1の開口部1cをヒートシールにより熱封止する封止手段7とを備えている。
この充填装置2の上流には、図示しない容器1の製造装置や洗浄・殺菌装置が設けられ、また充填装置2の下流には、上記封止手段7が封止した容器1の開口部1cをさらに封止する再封止装置やケーサが設けられている。
上記グリッパ3は図示しないコンベヤによって水平方向に移動し、上記容器1の両端に設けた接続ポート1aを把持することで、上記開口部1cが上方を向くように保持するようになっている。
なお、上記グリッパ3に代えて、例えばハカマ状の保持部材を使用することや、また搬送方向に沿ってガイドを設け、上記開口部1cが上方を向いた状態を維持しながら搬送してもよい。また、上記コンベヤに代えて、例えば回転テーブルにより搬送してもよい。
【0020】
上記液体供給手段4は、図示しない液体流量測定手段により液体を所定量ずつ送液するように構成され、供給した液体は配管4aを介して上記グリッパ3の上方に設けた充填ノズル11により容器1に充填されるようになっている。
上記ガス置換手段5は、不活性ガスを供給するガス供給手段12と、容器1内の気体を排出するガス排出手段13と、これらガス供給手段12およびガス排出手段13からの流路を切り替える三方弁14と、該三方弁14の下流側に設けたガス流量測定手段15とから構成され、上記不活性ガスや気体は配管5aを介して上記充填ノズル11により容器1に給排されるようになっている。
上記充填ノズル11は上記容器1の上部に開口した開口部1cに上方から挿入される外側ノズル11aと、該外側ノズル11aの内部に設けた内側ノズル11bとからなる2重管構造を有している。
そして、上記内側ノズル11bは配管4aを介して上記液体供給手段4に接続され、上記外側ノズル11aは配管5aを介して上記ガス置換手段5に接続されている。
【0021】
上記充填ノズル11は図示しない移動手段によって上下に昇降するとともに、上記グリッパ3に追従して水平方向に移動可能に設けられ、また移動手段は上記内側ノズル11bを外側ノズル11aに対して上下に昇降させるようになっている。
上記移動手段が上記充填ノズル11を下降させて上記外側ノズル11aを上記容器1の開口部1cに挿入する際、該外側ノズル11aの先端は上記容器1の開口部1cに隣接する熱封止部分の上下方向の幅に対して約半分の高さで停止するようになっている。
また移動手段は、液体の充填時には内側ノズル11bの先端を外側ノズル11aの先端より下方に突出させ、充填後には内側ノズル11bを上昇させて外側ノズル11aの内部に収納させるようになっている。
【0022】
図2は上記仮閉鎖手段6および封止手段7の概略斜視図を示しており、これらは上記移動手段によって上記充填ノズル11と一体的に昇降および水平移動するように設けられている。
上記仮閉鎖手段6は上記容器1を挟むように設けられた2つの仮閉鎖部材6aaと、該仮閉鎖部材6aを相互に接離させる図示しない駆動手段とから構成されている。
各仮閉鎖部材6aはそれぞれ上記容器1の開口部1cより若干長めに形成され、その中央部には上記外側ノズル11aの外径と略同径に半円状の凹部6bが形成されている。
また、仮閉鎖部材6aの下面は、図1に示すように外側ノズル11aの先端部が若干下方に突出する程度の高さに位置しており、上記容器1の開口部1cに隣接する熱封止部分の上側半分を閉鎖するようになっている。
【0023】
上記封止手段7は、上記容器1を挟むように設けられた2つの封止部材7aと、封止部材7aを相互に接離させる図示しない駆動手段とによって構成され、各封止部材7aはそれぞれ上記容器1の開口部1cより若干長めに形成されている。
また、封止手段7は上記仮閉鎖手段6の下方に設けられて上記外側ノズル11aに干渉しない位置に設けられ、容器1の開口部1cに隣接した熱封止部分の下側半分を封止するようになっている。
そして、図示しない加熱手段によって加熱された封止部材7aが相互に接近して容器1の開口部1cを挟持することで、容器1の開口部1cがヒートシールされるようになっている。
【0024】
以下、上記構成を有する充填装置2の動作を図2および図3を用いて説明する。
最初に、図示しない容器1の製造装置および洗浄・殺菌装置によって製造ならびに殺菌された容器1がグリッパ3によって充填装置2に供給される。このとき、容器1はグリッパ3によって上記開口部1cが上方を向いた状態となっており、また容器1の内部には若干の空気が入っている。
上記グリッパ3が上記充填ノズル11の下方に到達すると、上記移動手段が充填ノズル11を下降させ、外側ノズル11aを容器1の開口部1cに上方から挿入する。
このとき、上記仮閉鎖手段6の仮閉鎖部材6aおよび封止手段7の封止部材7aは相互に離隔しており、外側ノズル11aが開口部1cに挿入されることで、該容器1の開口部1cは仮閉鎖部材6aの凹部6bと上記外側ノズル11aとの間に位置することとなる(図2(a))。
外側ノズル11aが容器1の開口部1cに挿入されると、上記封止手段7の仮閉鎖手段6が作動して、上記仮閉鎖部材6aを相互に接近させて上記外側ノズル11aとの間で容器1の開口部1cを挟持し、これにより容器1は仮閉鎖手段6によって密閉されることとなる(図2(b))。
またこのとき、上記内側ノズル11bは移動手段によって外側ノズル11aに対して下方に突出した状態となっている。
【0025】
このようにして仮閉鎖手段6が容器1を密閉すると、上記ガス置換手段5のガス供給手段12が不活性ガスを容器1に充填する。このとき、容器1内には空気が入っているため、容器1内では不活性ガスと空気とが混合された状態となる。
次に、上記ガス置換手段5は三方弁14を作動させて、上記ガス排出手段13により容器1内の気体を排出する。これにより容器1は樹脂フィルム同士が密着して、内部空間が消滅した状態となる。
このようにして容器1内の気体を排出したら、ガス置換手段5は上記三方弁14を再び作動させて、上記ガス供給手段12により容器1に不活性ガスを供給し、容器1内を不活性ガスで充満させる(図3(a))。
このとき、上記ガス流量測定手段15は不活性ガスの流量を測定して、容器1に充填された不活性ガスの充填量を測定する。ここでは一例として容器1に500mlの不活性ガスを充填するものとする。
【0026】
このようにして容器1に不活性ガスを充填したら、仮閉鎖手段6が容器1を密閉した状態を維持したまま、上記液体供給手段4が液体を容器1に供給し、同時に上記ガス置換手段5が容器1内の不活性ガスを排出する(図3(b))。
具体的には、上記液体供給手段11が液体流量測定手段により測定された所定量の液体を内側ノズル11bを介して容器に供給する。
このとき、内側ノズル11bは外側ノズル11aの先端より容器1の内部に突出しており、また容器1は上記不活性ガスによって予め膨らんでことから、内側ノズル11bより排出された液体が液はねによって容器1の開口部1c近傍に付着しないようになっており、上記封止手段7による熱封止の不良が防止されるようになっている。
また、上記仮閉鎖手段6が容器1を密閉していることから、供給される液体により容器1内の不活性ガスが押し出されるため、上記ガス排出手段13は充填される液体と同量の不活性ガスを排出するようになっている。
具体的には、例えば上記液体供給手段4が予め500mlの不活性ガスが充満された容器1に400mlの液体を充填する場合、上記ガス流量測定手段15は上記ガス排出手段13によって排出される不活性ガスを測定する。
そして、ガス流量測定手段15が容器1から排出された不活性ガスの排出量が液体の充填量と同じ400mlに達したことを検出すると、上記制御手段は液体供給手段4による液体の充填量が400mlに達しているか否かにかかわらず、上記三方弁14を閉鎖して不活性ガスの排出を停止させる。
つまり、上記ガス供給手段12が容器1に充填した500mlの不活性ガスから、上記ガス排出手段13が400mlの不活性ガスを排出するため、容器1には100mlの不活性ガスが充填されることとなり、該不活性ガスの充填量は上記ガス流量測定手段15によって正確に認識することが可能となっている。
【0027】
このようにして液体の充填および不活性ガスの充填が終了すると、上記移動手段が上記内側ノズル11bを上方に移動させて外側ノズル11aの内部に退避させ、その後、上記封止手段7が容器1の開口部1cを熱封止する(図2(c)、図3(c))。
その後、上記仮閉鎖手段6および封止手段7は容器1より離脱し、上記移動手段が充填ノズル11を上方に移動させることで、外側ノズル11aを容器1の開口部1cより離脱させる。
ここで、上記容器1の開口部1cにおいて、上記封止手段7が熱封止した部分よりも上方の部分は、未だ熱封止されていない。そのためこの容器1は充填装置2の下流側に設けた本封止装置に搬送され、該本封止装置によって残余の部分が熱封止されるようになっている。
なお、上記移動手段により上記封止手段7を上昇させ、上記封止手段7によって上記熱封止の完了していない残余の部分を熱封止するようにしてもよい。
【0028】
上記充填装置2によれば、仮閉鎖手段6が容器1の開口部1cを密閉した状態で、容器1への液体の充填ならびに不活性ガスへの置換を行うため、封止した容器1内に空気が混入するのを可及的に阻止することが可能である。
また、仮閉鎖手段6が容器1の開口部1cを密閉した状態で、容器1への液体の充填ならびに不活性ガスの給排を行っているため、液体および不活性ガスを計測してこれを正確に充填することが可能であり、本実施例のような可撓性を有する容器1において、上記目盛り1bの信頼性を高くすることができる。
さらに、上記実施例では予め不活性ガスを空気の入った容器1に充填してから、これを一度排出し、その後改めて不活性ガスを充満させて、液体の充填ならびに不活性ガスの排出を行うようになっている。
これにより、容器1内の空気に触れさせることなく液体を充填することが可能であり、酸素を嫌う薬剤なども充填することが可能となっている。
【0029】
なお、上記ガス置換手段5については、上記実施例ではガス供給手段12およびガス排出手段13の切換えを三方弁14によって行っているが、上記ガス供給手段12およびガス排出手段13をそれぞれ直接外側ノズル11aに接続してもよい。
この場合、上記ガス供給手段12およびガス排出手段13と外側ノズル11aとを接続する配管のそれぞれにガス流量測定手段を設けることで、上記実施例と同様、容器1内の不活性ガスの充填量を正確に認識することができる。
このように、上記ガス置換手段5として容器1への不活性ガスの給排を行うことができれば、他の構成としてもよく、例えば上記ガス排出手段13を単に容器1から排出される気体の通過を許容する電磁弁としたり、上記ガス供給手段およびガス排出手段を兼ねるチューブポンプとしてもよい。
上記ガス置換手段をチューブポンプとした場合、モータの回転方向を切換えてガスの供給および気体の排出を行うことができ、また不活性ガスの排出量と排出速度とを制御することができるため、上記液体供給手段4による液体の充填量および充填速度にあわせて、容器1から不活性ガスを排出させることができる。
さらに、上記実施例では上記流量供給手段4が内側ノズル11bに接続され、ガス置換手段5が外側ノズル11aに接続されているが、これを逆の構成としてもよい。
この場合、外側ノズル11aから液体が排出されることとなり、その際内側ノズル11bの開口部が排出される液体によって囲繞されることから、内側ノズル11bによって容器1内部の不活性ガスを排出できなくなる恐れがある。
そこで、外側ノズル11aの開口部に、該開口部の一部から液体が排出されるのを阻止する蓋を設け、外側ノズル11aより排出される液体に内側ノズルとの連通孔を形成することが望ましい。
またこのような構成とした場合、上記内側ノズル11bを外側ノズル11aに対して下方に突出させる必要がなく、上記移動手段によって外側ノズル11aと内側ノズル11bとを相対移動させる構成を省略することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 容器 1c 開口部
2 充填装置 4 液体供給手段
5 ガス置換手段 6 仮閉鎖手段
7 封止手段 11 充填ノズル
11a 外側ノズル 11b 内側ノズル
12 ガス供給手段 13 ガス排出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する容器の開口部に充填ノズルを挿入して液体を充填する液体供給手段と、容器の開口部に充填ノズルを挿入して所要のガスを充填するガス供給手段と、上記容器を封止する封止手段とを備えた充填装置において、
上記充填ノズルを、上記液体供給手段またはガス供給手段のいずれかに接続されるとともに上記容器の開口部に上方から挿入される外側ノズルと、液体供給手段またはガス供給手段のいずれか他方に接続されて上記外側ノズルの内部に設けた内側ノズルとから構成し、
容器の開口部を外側ノズルとの間で挟持して容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖する仮閉鎖手段を設け、
上記封止手段は、上記外側ノズルおよび仮閉鎖手段の下方に設けられるとともに、上記仮閉鎖手段が閉鎖した部分よりも下方で開口部を封止し、
上記液体供給手段およびガス供給手段は、上記仮閉鎖手段が容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖した状態で、上記液体およびガスの充填を行い、
上記封止手段は、上記液体供給手段およびガス供給手段が液体およびガスを充填した状態で、容器の開口部を封止することを特徴とする充填装置。
【請求項2】
上記液体供給手段を内側ノズルに接続するとともに、上記ガス供給手段を外側ノズルに接続し、また上記内側ノズルと外側ノズルとを相対的に上下動させる移動手段を設け、
上記移動手段が上記内側ノズルの先端を外側ノズルの先端よりも容器の内部に下降させた状態で、上記液体供給手段が内側ノズルより液体を供給し、
上記移動手段が上記内側ノズルの先端を上昇させた状態で、上記封止手段が上記外側ノズルの下端部近傍で容器の開口部を封止することを特徴とする請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
上記ガス供給手段とともに上記外側ノズルまたは内側ノズルに接続され、上記容器内部の気体を排出するガス排出手段と、上記液体供給手段による液体の流量を計測する液体流量測定手段と、上記ガス供給手段およびガス排出手段によるガスの流量を計測するガス流量測定手段と、上記液体供給手段、ガス供給手段、ガス排出手段を制御する制御手段とを設け、
上記仮閉鎖手段が容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖した状態で、上記制御手段は、ガス供給手段によりガスを容器に充満させ、さらにこの状態で上記液体供給手段により液体を供給するとともに、上記排出手段により容器内のガスを排出し、
上記液体流量測定手段は上記液体流量測定手段が供給する液体の流量から液体の充填量を測定し、上記ガス流量測定手段はガス供給手段が容器に充満させたガスの供給量と、上記ガス排出手段が排出するガスの排出量とから、容器内におけるガスの充填量を測定することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の充填装置。
【請求項4】
可撓性を有する袋状の容器の開口部に充填ノズルを挿入して液体を充填するとともに、該容器の開口部に充填ノズルを挿入して容器内に所要のガスを充填し、しかる後に上記容器の開口部を封止する充填方法において、
上記充填ノズルを、液体またはガスのいずれかを供給するとともに上記容器の開口部に上方から挿入される外側ノズルと、液体またはガスのいずれか他方を供給するとともに上記外側ノズルの内部に設けた内側ノズルとから構成し、
上記外側ノズルを上方から開口部に挿入して、容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖した後、上記外側ノズルおよび内側ノズルによって容器に液体およびガスを充填し、しかる後、容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖したまま、外側ノズルの下方で開口部を封止することを特徴とする充填方法。
【請求項5】
上記内側ノズルから液体を供給するとともに、上記外側ノズルからガスを供給し、さらに上記内側ノズルと外側ノズルとを相対的に上下動可能に設けて、
上記内側ノズルの先端を外側ノズルの先端に対して容器の内部に下降させた状態で、該内側ノズルより液体を供給し、
しかる後、上記内側ノズルの先端を上昇させた状態で、外側ノズルの下端部近傍で容器の開口部を封止することを特徴とする請求項4に記載の充填方法。
【請求項6】
上記ガスを供給する上記外側ノズルまたは内側ノズルにより、上記容器内部の気体を排出可能とし、
容器の開口部と外側ノズルとの隙間を閉鎖した状態で、容器にガスを供給して該ガスを充満させるとともに、該容器に供給されるガスの供給量を測定し、
その後さらに容器に液体を供給することで、該液体の供給により容器から押し出されるガスを排出し、その際、上記容器に供給される液体の流量から該液体の充填量を測定するとともに、該液体によって押し出されるガスの排出量を測定し、
上記ガスの供給量およびガスの排出量から、容器内のガスの充填量を測定することを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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