説明

充填装置の保守方法

【課題】充填装置のダウンタイムを低減するために有利な保守方法を提供する。
【解決手段】充填装置の保守方法は、不良充填バルブアセンブリからバルブVを取り外す取り外し工程と、前記不良充填バルブアセンブリに取り付けるべき試験対象のバルブを試験装置100により試験する試験工程と、前記試験装置による試験に合格したバルブを前記不良充填バルブアセンブリに取り付ける取り付け工程とを含む、前記試験装置は、試験用容器を昇降させる試験用昇降機構と、センタリングカップCC’を有する試験用充填バルブアセンブリ101を含む試験用フィラーボウル104とを有し、前記試験工程では、前記試験対象のバルブを前記試験用充填バルブアセンブリに組み込み、前記試験用充填バルブアセンブリにより前記試験用容器109に液体を充填する試験を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填装置の保守方法に関する。
【背景技術】
【0002】
瓶や缶などの容器にビールなどの液体を充填する充填装置がある。このような充填装置は、一般的には、それぞれ容器を支持し昇降させる複数の昇降機構が円周状に配置された回転輪と、複数の充填バルブアセンブリが円周状に配置されていて回転輪と同期して回転するフィラーボウルとを有し、複数の昇降機構によって支持された複数の容器を公転させながら複数の充填バルブアセンブリによって該複数の容器に並行して液体を充填する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−091876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような充填装置において複数の充填バルブアセンブリの1つにでも不具合があると、当該不具合を有する充填バルブアセンブリによって液体が充填された容器に充填不良が発生する。充填バルブアセンブリの不具合の原因は、主に、それに組み込まれているバルブの動作不良である。従来は、充填バルブアセンブリに不具合が生じると、当該充填バルブアセンブリのバルブを取り外し、それを修理したもの又は別のバルブを当該充填バルブアセンブリに取り付けて、充填装置の動作確認がなされていた。
【0005】
しかしながら、充填バルブアセンブリに取り付けられたバルブが正常に動作するという保証はなく、再び充填不良を発生することもあった。この場合、バルブを更に交換して再び動作確認を行う必要があり、これが充填装置のダウンタイムの増加要因となっていた。
【0006】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、充填装置のダウンタイムを低減するために有利な保守方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの側面は、それぞれ容器を支持し昇降させる複数の昇降機構が円周状に配置された回転輪と、それぞれセンタリングカップおよびバルブを有する複数の充填バルブアセンブリが円周状に配置されていて前記回転輪と同期して回転するフィラーボウルとを有し、各昇降機構により容器を上昇させて前記複数の充填バルブアセンブリのうち当該昇降機構に対応する充填バルブアセンブリの前記センタリングカップに押し込んで当該充填バルブアセンブリにより当該容器に液体を充填する充填装置を保守する保守方法に係り、前記保守方法は、前記複数の充填バルブアセンブリのうち充填不良を起こす充填バルブアセンブリである不良充填バルブアセンブリからバルブを取り外す取り外し工程と、前記不良充填バルブアセンブリに取り付けるべき試験対象のバルブを試験装置により試験する試験工程と、前記試験装置による試験に合格したバルブを前記不良充填バルブアセンブリに取り付ける取り付け工程と、を含み、前記試験装置は、試験用容器を昇降させる試験用昇降機構と、センタリングカップを有する試験用充填バルブアセンブリを含む試験用フィラーボウルとを有し、前記試験工程では、前記試験対象のバルブを前記試験用充填バルブアセンブリに組み込み、前記試験用昇降機構により前記試験用容器を上昇させて前記試験用充填バルブアセンブリのセンタリングカップに押し込んで前記試験用充填バルブアセンブリにより前記試験用容器に液体を充填する試験を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、充填装置のダウンタイムを低減するために有利な保守方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】充填装置を含む充填システムを模式的に示す平面図。
【図2】図1に示す充填装置を模式的に示す側面図。
【図3】試験装置を模式的に示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。図1は、充填装置(フィラー)30を含む充填システムを模式的に示す平面図である。充填装置30は、瓶または缶などの容器にビール、発泡酒または炭酸飲料等の液体を充填するように構成されている。充填システム1は、充填装置30によって液体製品が充填された容器に蓋をする封止装置50を備えていてもよい。封止装置50は、例えば、容器が瓶である場合には打栓機であり、容器が缶である場合にはシーマーでありうる。
【0011】
図2は、図1に示す充填装置30を模式的に示す側面図である。充填装置30は、それぞれ容器5を支持し昇降させる複数の昇降機構32が円周状に配置された回転輪34と、複数の充填バルブアセンブリ31が円周状に配置されたフィラーボウル33とを備えている。フィラーボウル33は、回転輪34と同期して回転する。
【0012】
充填装置30の周囲には、スターホイール20が配置されていて、搬送路(コンベア)10を通して送られてくる容器5は、スターホイール20によって充填装置30の昇降機構32のテーブルの上に載せ置かれる。各昇降機構32の上方には、充填バルブアセンブリ31が対向して配置されている。充填バルブアセンブリ31は、容器5の口部をセンタリングするセンタリングカップ(又はチューリップ)CC、および、バルブVを含む。
【0013】
充填すべき液体がビール等の炭酸ガス含有飲料である場合は、充填バルブアセンブリ31は、充填に先立って容器5内に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給系、充填時にフィラーボウル33内のビール等の液体を容器5に供給する液体供給系、充填時に容器5内の炭酸ガスを排出するベントチューブ等を備えうる。バルブVは、炭酸ガス供給系および液体供給系にそれぞれ設けられうる。昇降機構32は、スターホイール20から容器5を受け取ると、公転しながら徐々に容器5を上昇させ、容器5の口部を公転している充填バルブアセンブリ31のセンタリングカップCC内に押し込む。そして、炭酸ガス供給系によって容器5へ炭酸ガスが充填され、その後、炭酸ガスを置換するように液体供給機構によって容器5内にビール等の液体が充填される。
【0014】
充填装置30の下流側(出口側)には、搬送路(コンベア)40を介して封止装置50が配置されていて、液体が充填された容器5は、封止装置50によって蓋が付され、更に、搬送路(コンベア)60を通して次工程の装置、例えば、加温機(ウォーマー)、更にはラベル貼付装置(ラベラー)に送られうる。加温機は、液体製品の充填によって瓶容器の表面に生じうる結露を除去するために使用されうる。
【0015】
本発明の好適な実施形態において、充填装置30の保守方法は、複数の充填バルブアセンブリ31のうち充填不良を起こす充填バルブアセンブリ31である不良充填バルブアセンブリからバルブVを取り外す取り外し工程と、不良充填バルブアセンブリに取り付けるべき試験対象のバルブVを以下で説明する試験装置100により試験する試験工程と、試験装置100による試験に合格したバルブVを不良充填バルブアセンブリに取り付ける取り付け工程とを含む。
【0016】
図3は、試験工程で使用されうる試験装置100を例示的に示す図である。試験装置100は、充填装置30における充填動作と同様の充填動作をすることができるように構成されていて、充填装置30と同様の条件でバルブVを試験することができる。試験装置100は、例えば、試験用容器109を昇降させる試験用昇降機構102と、試験用フィラーボウル104とを有する。試験用フィラーボウル104は、センタリングカップCC’を有する試験用充填バルブアセンブリ101を備えている。試験用フィラーボウル104には、バルブVの動作を目視によって確認するためのサイトグラス105が設けられうる。試験工程では、試験対象のバルブVを試験用充填バルブアセンブリ101に組み込んだ後、試験用昇降機構102により試験用容器109を上昇させて試験用充填バルブアセンブリ101のセンタリングカップCC’に押し込んで試験用充填バルブアセンブリCC’により試験用容器109に液体を充填する試験が行われる。ここで、試験対象のバルブVは、充填装置30の充填バルブアセンブリ31から取り外された後に修理されたバルブであったり、未使用のバルブであったり、他の充填装置から取り外されたバルブであったりしうる。
【0017】
試験装置100は、作業者による操作にしたがって充填動作を行って試験対象のバルブVを試験するように構成されてもよいし、自動で充填動作を行って試験対象のバルブVを試験するように構成されてもよい。以下、試験装置100が自動で充填動作を行う1つの実施形態を説明する。以下では、充填バルブアセンブリ31の液体供給機構に組み込まれているバルブVはレバー37が操作されることによって動作するものとする。
【0018】
試験装置100が自動で充填動作を行う1つの実施形態では、試験装置100は、充填装置30が充填動作を実行している状態で、充填装置30から提供される信号Sに従って、充填装置30の動作と同期して試験を実施する。これにより、試験装置100は、充填装置30における実際の充填動作と同様のタイミングでバルブVを試験することができる。この際、典型的には、充填装置30に不良充填バルブアセンブリが存在しない状態で、即ち、不良充填バルブアセンブリが存在していた場合には、当該不良充填バルブアセンブリのバルブに代えて不良を有しないバルブが取り付けられた状態で、充填装置30を動作させる。
【0019】
フィラーボウル33の各充填バルブアセンブリ31の液体供給系に組み込まれたバルブVを操作するためのレバー37は、例えば、フィラーボウル33の外側を取り囲むようにガイドレール38に係合していて、回転輪34と同期してフィラーボウル33が回転することにより、ガイドレール38によってレバー37が操作される。モニター35aは、特定の充填バルブアセンブリ31に関して、ガイドレール38によって操作されるレバー37の動きを監視するようにフィラーボウル33に取り付けられうる。また、モニター35bは、特定の充填バルブアセンブリ31に対応する昇降機構32の昇降を監視するように回転輪34に取り付けられうる。
【0020】
モニター35a、35bは、それぞれレバー37、昇降機構32を撮像するためのカメラと、カメラによって撮像された像を解析してレバー37、昇降機構32の状態を示す信号Sを生成するプロセッサとを含みうる。モニター35a、35bによる監視結果を示す信号Sは、送信装置36によって試験装置100に送信されうる。
【0021】
試験装置100は、送信装置36から信号Sを受信する受信装置110を有し、受信装置110によって受信した信号Sに従って充填動作、即ち、試験用昇降機構102により試験用容器109を上昇させて試験用充填バルブアセンブリ101のセンタリングカップCC’に押し込んで試験用充填バルブアセンブリ101により試験用容器109に液体を充填する動作を実施する。これにより、試験装置100は、充填装置30における充填動作に同期して試験対象のバルブVの試験(充填動作)を実施することができる。ここで、試験装置100は、充填装置30のレバー37と同様のレバー106と、それを駆動するアクチュエー102を備えていて、受信装置110によって受信された信号Sに従ってアクチュエータ107によってレバー106を操作し、これにより試験対象のバルブVを動作させる。
【0022】
一般に充填装置30は、高速に充填動作を実施するので、これと同様の速度で試験対象のバルブVが正しく動作することを確認することは、当該バルブVを充填装置30に組み込んだ際にそれが正しく動作することを保証するために有利である。上記のように充填装置30からの信号Sに従って試験装置100を動作させて試験を行うことは、このような観点において効果的である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ容器を支持し昇降させる複数の昇降機構が円周状に配置された回転輪と、それぞれセンタリングカップおよびバルブを有する複数の充填バルブアセンブリが円周状に配置されていて前記回転輪と同期して回転するフィラーボウルとを有し、各昇降機構により容器を上昇させて前記複数の充填バルブアセンブリのうち当該昇降機構に対応する充填バルブアセンブリの前記センタリングカップに押し込んで当該充填バルブアセンブリにより当該容器に液体を充填する充填装置を保守する保守方法であって、
前記複数の充填バルブアセンブリのうち充填不良を起こす充填バルブアセンブリである不良充填バルブアセンブリからバルブを取り外す取り外し工程と、
前記不良充填バルブアセンブリに取り付けるべき試験対象のバルブを試験装置により試験する試験工程と、
前記試験装置による試験に合格したバルブを前記不良充填バルブアセンブリに取り付ける取り付け工程と、を含み、
前記試験装置は、試験用容器を昇降させる試験用昇降機構と、センタリングカップを有する試験用充填バルブアセンブリを含む試験用フィラーボウルとを有し、前記試験工程では、前記試験対象のバルブを前記試験用充填バルブアセンブリに組み込み、前記試験用昇降機構により前記試験用容器を上昇させて前記試験用充填バルブアセンブリのセンタリングカップに押し込んで前記試験用充填バルブアセンブリにより前記試験用容器に液体を充填する試験を行う、
ことを特徴とする保守方法。
【請求項2】
前記試験工程において前記試験用昇降機構により前記試験用容器を上昇させて前記試験用充填バルブアセンブリのセンタリングカップに押し込んで前記試験用充填バルブアセンブリにより前記試験用容器に液体を充填する動作は、前記充填装置から提供される信号に従って、前記充填装置の動作に同期して実施される、
ことを特徴とする請求項1に記載の保守方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate