説明

充電コネクタの電線保護構造

【課題】給電用の電線の浮き上がりを防止し、ないし電線の浮き上がりを検知して、電線の干渉や傷みを防止する。
【解決手段】端子収容部2に続く電線ガイド溝3を有する絶縁性のハウジング4と、電線ガイド溝に続く電線ガイド樋5と、電線ガイド溝に進入する電線押さえ部33と電線ガイド樋を覆う板部35,36とで成る電線カバー8と、電線カバーの上からハウジングに設けられ、端子収容部の開口17をスライド式に覆うハウジングカバー9と、端子収容部に収容される給電用の端子6と、端子に接続され、電線ガイド溝から電線ガイド樋に挿通される電線7とを備える充電コネクタ1の電線保護構造である。電線押さえ部33の先端に突壁34を立設し、突壁の先端をハウジングカバー9の内面に接触させた。板部36に電線保護チューブを係止するための突起38を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドカーを含む電気自動車のバッテリの充電をディーラ等でバッテリ側のワイヤハーネスを充電コネクタに接続して行う際に、充電コネクタ側の給電用の電線の露出を防止した充電コネクタの電線保護構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッドカーを含む電気自動車のバッテリが上がった(電気がなくなった)場合に、ディーラ等で充電を行うには、バッテリに続くワイヤハーネスのコネクタに充電コネクタを嵌合接続して、充電を行っていた。
【0003】
しかしながら、新たに、コネクタ嵌合によらずに、図6に示す如く、バッテリ(図示せず)に続くワイヤハーネス53の端末のインバータ接続用コネクタ48をインバータ(機器)59から外して、ボルト締めで端子同士を接続した状態で充電を行う充電コネクタが必要となった。図6で、符号49はインバータ接続用の左右一対の端子、51は、インバータ59への固定兼アース用の左右一対のブラケット、60はバッテリへの接続用端子、54は同じくアース用端子をそれぞれ示している。インバータとは交流変換装置のことである。
【0004】
参考までに、従来、ボルト締めで端子同士を接続するものとして、例えば特許文献1には、機器側のコネクタのバスバー端子にワイヤハーネス側のコネクタの雄端子をボルト締めで接続して、ワイヤハーネスから機器に給電を行うことが記載されている(図示せず)。
【0005】
また、ボルト締めではなく、挿入嵌合式のコネクタとして、引用文献2には、コネクタハウジングの端子挿入室に電線付きの端子を挿入し、コネクタハウジングの後部に蛇腹状のガイド片を一体に設け、ガイド片に電線挿通用の合成樹脂製のコルゲートチューブを係止させたことが記載されている(図示せず)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−32500号公報(図1)
【特許文献2】特開2002−93518号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記図6に示すワイヤハーネス53のコネクタ48の端子49をハウジング内の給電(充電)用の端子にボルト締めで結合する充電コネクタにあっては、例えば給電用の端子に接続された電線がハウジング内で浮き上がって、ハウジング内部や外部と干渉して絶縁被覆の傷みを生じ、充電作業者に感電等の危険を及ぼし兼ねないといった懸念があった。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑み、給電用の電線の浮き上がりを防止することができ、また、電線が浮き上がった場合でも浮き上がりを検知することができて、電線の浮き上がりによる干渉や傷みを確実に防止することのできる充電コネクタの電線保護構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る充電コネクタの電線保護構造は、端子収容部と該端子収容部に続く電線ガイド溝とを有する絶縁性のハウジングと、該電線ガイド溝に続く電線ガイド樋と、該電線ガイド溝に進入する電線押さえ部と該電線ガイド樋を覆う板部とで成る電線カバーと、該電線カバーの上から該ハウジングに設けられ、該端子収容部の開口をスライド式に覆うハウジングカバーと、該端子収容部に収容される給電用の端子と、該端子に接続され、該電線ガイド溝から該電線ガイド樋に挿通される電線とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成により、端子収容部に給電用の端子が配設され、電線ガイド溝から電線ガイド樋にかけて給電用の端子に続く給電用の電線が配索され、電線ガイド溝内に電線カバーの電線押さえ部が進入して電線を押さえて電線の浮き上がりを阻止する。その状態でハウジングカバーがスライド自在にハウジングに装着される。端子収容部の開口内において給電用の端子に相手コネクタの端子が好ましくはボルト締めで接続される。ハウジングカバーを閉めることで、端子接続部が覆われて安全に絶縁保護され、その状態で充電器から給電用の電線を経て相手コネクタ側のバッテリに充電が行われる。電線押さえ部は電線ガイド溝に沿う細板状のもので板厚方向の弾性を有することが好ましい。
【0011】
請求項2に係る充電コネクタの電線保護構造は、請求項1記載の充電コネクタの電線保護構造において、前記電線押さえ部の先端に突壁が立設され、該突壁の先端が前記ハウジングカバーの内面に接することを特徴とする。
【0012】
上記構成により、ハウジングの電線ガイド溝内に給電用の電線が収容されて電線カバーの電線押さえ部で覆われた状態で、電線押さえ部の先端の突壁がハウジングカバーの内面に接して電線に向けて押さえられることで、電線押さえ部による電線の押圧が確実に行われる。また、電線の浮き上がりがある場合は、電線の浮き上がり力に負けた電線押さえ部の先端の突壁が外部に突出することで、ハウジングカバーをスライド式に閉める際に突壁にハウジングカバーの先端が当接してハウジングカバーを閉止することができず、電線の浮き上がりが検知される。作業者は電線を再度、電線ガイド溝内に押し込んで、ハウジングカバーを閉止する。
【0013】
請求項3に係る充電コネクタの電線保護構造は、請求項1又は2記載の充電コネクタの電線保護構造において、前記板部に電線保護チューブを係止するための突起が設けられたことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、板部と電線ガイド樋との外周側に合成樹脂製のコルゲートチューブ等の電線保護チューブが装着(外挿)され、板部の突起で保護チューブが係止されて抜け止めされると同時に、保護チューブの径方向内向きの緊迫力で板部と電線ガイド樋とが閉じ方向に接合されて、電線カバーの不意な開きが防止され、電線カバーからの不意な電線の飛び出しが阻止される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、ハウジングの電線ガイド溝内で給電用の電線が電線カバーの電線押さえ部で押さえられて浮き上がりを防止され、さらにその状態でハウジングカバーによって給電用の端子と電線とが覆われて保護されるから、電線の浮き上がりに起因するハウジング内外での電線の干渉と傷みが防止されて、充電作業が感電の心配なく安全に行われる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、電線を電線ガイド溝内に挿通して電線カバーの電線押さえ部で押さえた状態で、電線押さえ部の先端の突壁をハウジングカバーの閉じ時にハウジングカバーの内面で押さえることで、電線の押さえ付けを確実に行って、請求項1記載の発明の効果を確実に発揮させることができる。また、電線押さえ部の押さえ力に抗して電線が浮き上がった場合には、電線押さえ部の先端の突壁が端子収容部の開口から突出してハウジングカバーのスライド閉止を行うことができないから、作業者が電線の浮き上がりを検知することができ、再度の電線押さえ作業によって、電線の浮き上がりを防止(修正)して、請求項1記載の発明の効果を発揮させることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、電線保護チューブを突起で係止することで、板部と電線ガイド樋との接合固定用のテープ巻きの回数を削減することができる。また、電線保護チューブで板部を電線ガイド樋に閉じ方向に押さえることで、電線カバーの不意な開きを防止して電線の飛び出しやそれに伴う外部との電線の干渉と傷みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明における充電コネクタとその電線保護構造の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】組立状態の充電コネクタに相手コネクタを結合した状態を示す分解斜視図である。
【図3】充電コネクタに電線保護チューブを装着した状態を示す要部斜視図である。
【図4】充電コネクタの電線保護チューブ組付部を示す要部斜視図である。
【図5】電線保護チューブ組付部に電線保護チューブを装着した状態を示す縦断面図である。
【図6】相手コネクタを有する機器接続用のワイヤハーネスの一形態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明における充電コネクタとその電線保護構造の一実施形態を示すものである。
【0020】
この充電コネクタ1は、端子収容部2とそれに続く電線ガイド溝3とを有する絶縁樹脂製のハウジング4と、ハウジング4の後端部に設けられた電線ガイド樋5と、端子収容部2内に収容される給電(充電)用の一対の端子6と、各端子6に接続されて電線ガイド溝3から電線ガイド樋5に挿通される給電用の各電線7と、電線ガイド溝3と電線ガイド樋5とを同時に覆う絶縁樹脂製の電線カバー8と、電線カバー8の上からハウジング4にスライド式に設けられる絶縁樹脂製のハウジングカバー9とを備えるものである。
【0021】
端子収容部2はハウジング4の前後方向中間部に設けられ、電線ガイド溝3は端子収容部2の後半部分とハウジング4のフラット板状の後部の上壁10とに左右一対平行に設けられている(端子収容部2の電線ガイド溝を符号3a、ハウジング後部の電線ガイド溝を符号3で示す)。
【0022】
電線ガイド樋5は、ハウジング4の後端部に例えば係止爪と係合凹部といった係止手段(図示せず)で連結固定され、あるいはハウジング4と一体に樹脂成形され、一対の電線ガイド溝3に連通した左右一対の電線収容空間を有する二股部11と、二股部11の交差部に続く電線収容空間を有する一本の真直部12とで構成されている。
【0023】
端子収容部2は、左右の側壁13と中間の隔壁14と後側の壁部15と水平な底壁16とで囲まれて、上部開口17と前部開口(図示せず)とを有し、垂直な後壁15に、電線ガイド溝3に続くスリット状の切欠開口18を有している。端子収容部2の底壁16に電線ガイド溝3aの両側縁の一対のリブ19が立設され、リブ19の前端が、給電用の端子6のボルト挿通孔6bを有する円板状の電気接触部6aの後部に当接して端子6の後抜けを阻止し、リブ19に続く水平な枠状のリブ(図示せず)の内側に電気接触部6aが係合して位置決めされる。
【0024】
端子収容部2の前部開口(図示せず)はハウジング前部の筒状部20内の空間に連通している。端子6の電気接触部6aの上には、ボルト挿通孔21aと係止孔とを有する導電金属製の端子カバー21が重ねて配置され、端子収容部2の底壁16に突設された一対のガイド壁(図示せず)と係止ランス(図示せず)とで端子カバー21が端子6の電線接触部6aを押さえた状態で固定される。端子収容部2の底壁16には端子6の電気接触部6aの下側に対向してナット(図示せず)が埋設されている。
【0025】
ハウジング前部の筒状部20の上半には横長のブロック部22が一体に設けられ、ブロック部22の左右にナット23が埋設され、ブロック部22の右側に安全回路用の端子24を保持する一対のリブ25と、端子24に続く電線26の余長部を巻く巻き部28と、電線26と他方の安全回路用の電線27とに続く小端子(図示せず)を収容したインタロックハウジング29に対する装着部(水平な貫通孔)30とが設けられ、ブロック部22の上壁面に、安全回路用の端子24の上から導電金属製の横長の端子カバー31が装着されて係止手段32で係止される。
【0026】
安全回路用の端子24と給電用の端子6とはボルト挿通孔を有する電気接触部6a,24aと、一対の電線圧着片を含む電線接続部6c,24cとを有する丸型板端子である。安全回路用の電線26,27と給電用の電線7とは絶縁被覆電線である。
【0027】
電線カバー8は、ハウジング後部の各電線ガイド溝3を塞ぐ左右一対の前側の電線押さえ部33と、電線押さえ部33の先端(前端)に立設され、端子収容部2の後壁15の切欠開口18に係合して切欠開口18を塞ぎ、後壁15の一部を成す垂直な突壁34と、電線押さえ部33の後端に一体に続き、電線ガイド樋5の前半の二股部11を覆う略三角形状の中間の板部35と、板部35の後端に続き、電線ガイド樋5の後半の真直部12を覆う細長の後側の板部36とで構成されている。
【0028】
電線押さえ部33は、細長の水平な板部33aと、水平な板部33aの中央に立設された補強用のリブ33bとで断面逆T字状に形成され、板部33aの板厚方向(電線押さえ方向)の弾性を有している。中間の板部35は前端側部に、二股部11の係止突起に係合する可撓性の係止枠片37を有している。後側の板部36は後述のコルゲートチューブ係止用の上向きの三角形状の突起38を有している。
【0029】
ハウジング4の中間部と後部との下端には、ハウジングカバー9をスライド自在に係合させる水平なガイド溝39が設けられている。ハウジングカバー9は、左右の側壁40の下端に設けられてガイド溝39に係合する内向きの鍔部41と、右側の側壁40よりも延長された水平な上壁42と、スライド操作用の前後端及び中間の垂直な各壁部43と、後端に水平に突設されて、ハウジング後部のナット44に螺挿されるボルト45を装着した板部46と、上壁42の右側に一体に設けられ、安全回路用のインタロックハウジング29の一対の小端子に対するショート端子(図示せず)を有する小ハウジング47とを備えている。
【0030】
ハウジング4内に給電用の端子6と端子カバー21とが組み付けられ、給電用の端子6に続く電線7がハウジング4の電線ガイド溝3内に挿通され、電線7の上からハウジング後部に電線カバー8が組み付けられ、電線カバー8の電線押さえ部33が電線ガイド溝3内の電線7を上から押さえて電線ガイド溝3の底面に押し付けて浮き上がりなく安定に固定する。電線7は電線押さえ部33の先端の突壁34の下側を通って前方の端子6に続く。
【0031】
電線カバー8の上からハウジング4にハウジングカバー9が装着される。ハウジングカバー9の装着は例えば両側壁40を外向きに撓ませて鍔部41をガイド溝39に係合させるか、あるいは筒状部20とブロック部22とで成るハウジング前部をフラット状のハウジング中部と後部とで成るハウジング本体から分離した状態で、鍔部41をガイド溝39の前端から水平に挿入し、ハウジング本体にハウジング前部を係止手段で組み付け固定する。ハウジング前部には安全回路用の端子24と端子カバー31とインタロックハウジング29とが組み付けられる。
【0032】
ハウジングカバー9はハウジング後部に後退して位置して端子収容部2の上部開口17を外部に開放し、その状態で図2(図6)の相手コネクタ48の板状の左右一対の端子49(図6)がハウジング前部の筒状部20を通って端子収容部2の給電用の端子6及び端子カバー21の上に重なって位置し、下側のナット(図示せず)へのボルト締めで相互に締付接続される。
【0033】
図2の如く、相手コネクタ48に給電用の端子6(図1)を接続すると共に、相手コネクタ48のアース用の導電金属製のカバー50の左右何れか(本例で左側)のブラケット51を安全回路用の端子カバー31にボルト締め52で接続し、ハウジングカバー9を前方にスライドして閉めることで、ハウジングカバー9の小ハウジング47(図1)がハウジング前部のインタロックハウジング29に嵌合して、安全回路用の電線26,27が接続される。
【0034】
電線26,27が端子24と端子カバー31を経て相手コネクタ48のアース用ブラケット51に接続され、ブラケット51が機器接続用のワイヤハーネス53の導電性の編組(図示せず)を経て図6のバッテリ側のアース用の端子54に接続され、充電器(図示せず)とバッテリ間の安全回路がオンして(充電器側のリレーやトランジスタといったスイッチ機構がオンして)、充電器から給電用の電線7(図1)と端子6を経て相手コネクタ48とそのワイヤハーネス53の電線55に充電電流が供給される。図2で右側のブラケット51はハウジング前部の逃がし孔56内に挿通される。ブラケット51は複数種設定される。
【0035】
図1において、給電用の電線7は電線カバー8の電線押さえ部33で押さえられて浮き上がりを阻止されるから、ハウジング内部や外部での電線7の引っ掛かり等の干渉が防止され、給電用の電線7の傷付きや摩耗といった傷みが防止されて、充電電流のリークなく作業者が感電の心配なく安全に充電作業を行うことができる。
【0036】
また、ハウジング4に電線カバー8の組付後にハウジングカバー9を組み付けるので、給電用の電線7が浮き上がっている場合には、電線カバー8の電線押さえ部33(特に先端の突壁34)が浮き上がって、ハウジングカバー9を組み付けることができない。たとえハウジング後部にハウジングカバー9を組み付けたとしても、ハウジングカバー9を前方へスライドさせる際に、電線カバー8の突壁34が電線7の浮き上がりで上向きに突出して、ハウジングカバー9の上壁前端42aに当接してハウジングカバー9を閉めることができないので、作業者により電線7の浮き上がりが検知される。
【0037】
電線7の浮き上がりがなく、ハウジングカバー9を正規に組み付けた後は、電線カバー8の先端の突壁34の上端がハウジングカバー9の上壁42の下面(内面)に接して(摺接して)下向きに押さえられるので、電線7の浮き上がりが確実に防止され、ハウジング4内での電線7の干渉やそれに伴う電線7の傷みが確実に防止される。電線7はハウジング上部に露出しないので外部との干渉が起こらないことは勿論である。
【0038】
図2の如く、電線カバー8の電線押さえ部33(図1)はハウジング4のガイド溝3内に下向きに進入して電線7(図1)を押さえ、電線カバー8の中間の幅広の板部35と後側の幅狭の板部36とはハウジング後方の電線ガイド樋5の上端に接合し、後側の板部36と真直な樋部12とで成る縦断面矩形状の電線導出部57の外周に、後方から断面円形の合成樹脂製のコルゲートチューブ(電線保護チューブ)58が図3の如く装着される。コルゲートチューブ58の装着は相手コネクタ48の嵌合前に充電コネクタ1の状態で行われる。
【0039】
コルゲートチューブ58内には給電用の二本の電線7(図19の他に安全回路用の一本の電線(安全回路用の端子24ではなくインタロックハウジング29内の他方の小端子に接続された電線)27が同時に挿通される。安全回路用の電線27はハウジング4の裏面に沿ってフック片(図示せず)で固定され、電線導出部57の下面に沿ってコルゲートチューブ58内に挿通される。
【0040】
図4に図2のA部拡大図を示す如く、電線カバー8の後側の幅狭の板部36の左右両側の上面に前後各一対の三角形状(山型)の突起38が立設され、各突起38は前後の傾斜面38a,38bを有しており、図5の如く、突起38の後側の傾斜面38bに沿ってコルゲートチューブ58の前端部が電線導出部57にスムーズに外挿され、コルゲートチューブ58の内周の凹溝部が突起38に係合して、コルゲートチューブ58が抜け止めされ、同時に、コルゲートチューブ58の径方向内向きの締付力によって電線カバー8がハウジング4の電線ガイド溝3や電線ガイド樋5にしっかりと押し付けられて固定され、電線カバー8の不意な外れやそれに伴う電線7の浮き上がりや露出が防止される。
【0041】
突起38がない場合は、電線導出部57の表面が平滑でコルゲートチューブが滑りやすく、粘着テープ(図示せず)を何重にも巻かないと、コルゲートチューブ58の固定ができないが、突起38によってテープ巻きの回数が低減され、テープ巻き作業工数の低減とコネクタ廃棄時の分解容易性の向上が図られる。
【0042】
図5で符号58aはコルゲートチューブの内径側部分、58bは外径側部分を簡略化して示すものである。コルゲートチューブ58は周方向の凹溝と凸条と(図示せず)をチューブ長手方向に交互に配列した蛇腹状の既存の保護チューブである。コルゲートチューブ58に代えて網状チューブやゴムチューブ等を用いる場合でも、突起38は上記同様の効果を奏する。電線導出部57の上面のみならず下面にも、あるいは下面のみに同様の突起38を設けることも可能である。
【0043】
なお、上記実施形態において、給電用の端子(6)をボルト締めではなく相手端子(49)との挿入嵌合で接続させることも可能である。この場合も給電用の電線7はガイド溝3内で電線カバー8に覆われて保護される。また、安全回路(安全回路用の電線26,27や端子24や端子カバー31やインタロックハウジング29,47等)を用いずに、ハウジングカバー9のスライド閉止のみで給電用の端子6と外部(作業者等)との接触を防ぐことも可能である。また、各端子カバー21,31を用いずに、給電用や安全回路用の各端子6,24を直接、相手側の端子49やブラケット51にボルト締めで接続することも可能である。また、ハウジングカバー9にガイド溝39、ハウジング4に外向きの鍔部(レール)41を設けることも可能である。
【0044】
また、本発明は、充電コネクタの電線保護構造として以外に、充電コネクタ自体あるいは、充電コネクタの電線カバー構造等としても有効なものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る充電コネクタの電線保護構造は、ハイブリッドカーを含む電気自動車のバッテリにディーラ等でバッテリ側の機器接続用のワイヤハーネスを流用して充電を行う際に、電線の浮き上がりやそれに伴う電線の傷みを防止して充電作業の安全性を高めるために利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 充電コネクタ
2 端子収容部
3 電線ガイド溝
4 ハウジング
5 電線ガイド樋
6 給電用の端子
7 電線
8 電線カバー
9 ハウジングカバー
17 上部開口(開口)
33 電線押さえ部
34 突壁
35,36 板部
38 突起
58 コルゲートチューブ(電線保護チューブ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子収容部と該端子収容部に続く電線ガイド溝とを有する絶縁性のハウジングと、該電線ガイド溝に続く電線ガイド樋と、該電線ガイド溝に進入する電線押さえ部と該電線ガイド樋を覆う板部とで成る電線カバーと、該電線カバーの上から該ハウジングに設けられ、該端子収容部の開口をスライド式に覆うハウジングカバーと、該端子収容部に収容される給電用の端子と、該端子に接続され、該電線ガイド溝から該電線ガイド樋に挿通される電線とを備えることを特徴とする充電コネクタの電線保護構造。
【請求項2】
前記電線押さえ部の先端に突壁が立設され、該突壁の先端が前記ハウジングカバーの内面に接することを特徴とする請求項1記載の充電コネクタの電線保護構造。
【請求項3】
前記板部に電線保護チューブを係止するための突起が設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の充電コネクタの電線保護構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−181422(P2011−181422A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46050(P2010−46050)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】