充電制御装置及び充電制御方法
【課題】複数の2次電池への充電を、適切な順番により効率的に行なう。
【解決手段】電子機器と、電源と、電子機器に接続される複数の電池で構成されるシステムにおいて、電子機器が電源から給電された電流を用いて複数の電池へ充電する制御に用いられる。充電制御装置としての電子機器は、各々の電池を数秒ずつテスト充電して充電電流を確認し、テスト充電して得られた充電電流が大きな電池から順に充電を行なう。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流積算値が大きくなり、効率的である。
【解決手段】電子機器と、電源と、電子機器に接続される複数の電池で構成されるシステムにおいて、電子機器が電源から給電された電流を用いて複数の電池へ充電する制御に用いられる。充電制御装置としての電子機器は、各々の電池を数秒ずつテスト充電して充電電流を確認し、テスト充電して得られた充電電流が大きな電池から順に充電を行なう。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流積算値が大きくなり、効率的である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、携帯用の電子機器の主電源に用いられる2次電池のへ充電動作を制御する充電制御装置及び充電制御方法に係り、特に、複数の2次電池への充電動作を制御する充電制御装置及び充電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディジタルカメラやパーソナル・コンピューター(PC)、携帯電話、タブレットなど、携帯用の電子機器が広範に普及している。この種の電子機器は、基本的にはバッテリーを主電源とする。電子機器に利用されるバッテリーの多くは2次電池であり、容量が低下すると商用電源を用いて何度でも再利用することができる。例えば、リチウムイオン電池は、体積当たり、及び、重量当たりの容量が大きいため、携帯用の機器には適していると考えられる。
【0003】
例えばディジタルカメラのように、屋外のように商用電源がなく、すぐには充電できない場所で使用されることが想定される機器の場合、バッテリーを効率的に充電する方法が求められる。また、充電できない場所でも長時間駆動するために、バッテリーは機器に内蔵される他、機器外部に拡張用バッテリーが接続されることもある。例えば、ディジタル一眼レフカメラの縦位置撮影用にアクセサリーである「縦位置グリップ」は、複数の電池を内蔵することができる(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0004】
図9には、リチウムイオン電池の充電特性を示している。同図は、電池セル2個を直列接続した電池パックの特性例であり、横軸は時間軸、縦軸は充電電流並びに充電電圧(電池電圧)である。ここでは、電池パック2個分の電池電圧に相当する8.4Vの定電圧電源で充電するものとする。
【0005】
小容量である初期充電時には、電池電圧(出力電池電圧)が低い状態であり、大電流で充電を行なうと、電池が発熱したり劣化したりするおそれがある。このため、保護回路を設けて小電流で充電する必要がある。図9に示す例では、この初期充電時の充電電流100mAに保ち、定電流すなわち定電力で充電を行なう。
【0006】
充電により容量がある程度貯まると、電池電圧は徐々に上がっていく。そして、充電電圧が6Vに到達すると、大電流で充電を行なっても、発熱や劣化が発生することがないので、充電電流を増大して、効率化する。図9に示す例では、1500mAの充電電流で、定電流すなわち定電力充電を行なう。
【0007】
その後、さらに充電が進行すると、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなるため、充電電流は徐々に低下していく。図9に示す例では、充電電流が低下して、50mAに到達した時点で充電完了とする。図示の充電曲線を時間方向に積分して得られた面積は、電池の充電容量に相当する。
【0008】
以上をまとめると、リチウムイオン電池などの2次電池においては、充電電圧と充電電流には一定の関係があり、充電時には以下のような前提があるということができる。
【0009】
(前提1)電池電圧が低い場合、大電流で充電を行なうと、電池の発熱や劣化が発生するため、保護回路を設けて小電流で充電する必要がある。逆に電池電圧が高い場合、電源電圧と電池電圧の電位差が小さくなるため、充電電流が小さくなる。
【0010】
また、リチウムイオン電池などの2次電池の充電時における他の前提について以下に挙げておく。
【0011】
(前提2)低温の場合、常温に比べて内部インピーダンスが大きくなるので、充電電流が小さくなる。
【0012】
(前提3)充放電を繰り返すと、新品に比べて内部インピーダンスが大きくなるので、充電電流が小さくなる。充電電流を繰り返して内部インピーダンスが大きくなることは、電池が「劣化」したことに相当する。リチウムイオン電池などの2次電池は、満充電状態で放置した場合、容量の半分くらい充電されて放置された場合に比べ、劣化し易い。
【0013】
(前提4)電子機器用の電池は、複数の電池セルを接続した「組電池」として構成されることが多い。電池セルを並列に接続すると、1セルだけの電池に比べて、大電流で充電することができる。
【0014】
(前提5)リチウムイオン電池などの2次電池は、電気用品安全法などの安全規格を満たすため、保護回路を設けて、高温や低温で充電する場合に充電電圧を下げなければならない。このため、充電電流は小さくなる。また、電気用品安全法などの安全規格を満たすため、保護回路を設けて電流制限を行なうため、充電電流が小さくなることがある。
【0015】
(前提6)充電電源は、USB(Universal Serial Bus)やACアダプターなどさまざまである。充電電源毎に電源供給能力はさまざまであり、同じ電池電圧の同じ電池を充電する場合でも、充電電流が異なる。
【0016】
(前提7)1つの充電器を用いて複数の電池を順番に充電する場合、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は、充電順序に依らない。但し、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合、充電電流の大きな電池→充電電流の小さな電池の順番で充電した方が、充電電流の小さな電池→充電電流の大きな電池の順番で充電するよりも、充電電流積算値、すなわちすべての電池合計の充電量は大きくなり、効率的である。本明細書中では、特に断りがない限り、充電の「効率」という用語をこの意味で使用する。
【0017】
複数の電池を順番に充電する充電器については既に知られている。例えば、ソニー株式会社製の充電器AC−VQ900AMは、ディジタル一眼レフカメラ用の2個のバッテリーパックをリレー式に充電する(例えば、非特許文献1を参照のこと)。この充電器は、番号1、2の2個のソケットを持ち、各ソケットにバッテリーパックを同時に挿したときには、番号1のソケットに挿したバッテリーパックから充電を行なう。また、2個のバッテリーパックを指した状態で充電を開始したときには、番号1のソケットに挿したバッテリーパックから充電を行なう。
【0018】
また、充電許可/禁止情報を書き込める記憶装置を内部に持つ電池ユニットを充電する充放電方法について提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。この充放電方法によれば、充電器は、電池ユニットから充電許可/禁止情報を読み出して充電順序を決め、また、充電状況に応じて電池ユニットに充電許可/禁止情報を書き込むようになっている。
【0019】
また、複数の充電電池の各々の電圧(充電量)を測定し、電圧が大きい又は小さい充電電池から順に充電する充電器について提案がなされている(例えば、特許文献3を参照のこと)。
【0020】
また、複数の電池すべてを実用充電状態にしてから満充電にする充電方法若しくは装置について提案がなされている。ここで言う「実用充電状態」とは、充電を続けてもあまり容量が増えなくなる状態である。実用充電の判断は、充電電流値が閾値以下になることで判定する方法(例えば、特許文献4を参照のこと)や、電流積算値又は電力(=充電電流×電圧)積算値で判定する方法(例えば、特許文献5を参照のこと)が挙げられる。
【0021】
また、複数の電池について、根初期充電を完了した後に急速充電を行なう順番を決める充電器について提案がなされている(例えば、特許文献6を参照のこと)。この充電器は、定電流で初期充電を行なうようになっている。
【0022】
しかしながら、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、電圧が低くて保護回路が働く電池→通常状態の電池の順番で充電を行なうと、効率のよい充電ができない、という問題がある。
【0023】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、満充電に近い電池→通常状態の電池の順番で充電を行なうと、効率のよい充電を行なうことができない、という問題がある。但し、特許文献2に記載の技術では、充電履歴情報を電池の記憶領域に書き込んでおくことになり、この問題に陥るのをある程度防ぐことができる。
【0024】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、低温の電池→通常状態の電池の順番に充電を行なうと、効率のよい充電を行なうことができない、という問題がある。
【0025】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、劣化した電池→通常状態の電池の順番に充電を行なうと、効率のよい充電を行なうことができない、という問題がある。但し、特許文献2に記載の技術では、充電履歴情報を電池の記憶領域に書き込んでおくことになり、この問題に陥るのをある程度防ぐことができる。
【0026】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、並列接続した電池セル数の少ない組電池→並列接続した電池セル数の多い組電池の順番に充電を行なうと、効率のよい充電を行なうことができない、という問題がある。但し、特許文献2に記載の技術では、充電履歴情報を電池の記憶領域に書き込んでおくことになり、この問題に陥るのをある程度防ぐことができる。
【0027】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、安全規格で規制されるような温度状態の電池→通常状態の電池の順番に充電を行なうと、効率のよい充電を行なうことができない、という問題がある。
【0028】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、満充電に近い電池→通常状態の電池の順番で充電を行なうと、満充電に近い電池のみが繰り返し充電され、劣化が進むことが起こり易い。例えば特許文献3に記載の技術では、電圧(充電量)が大きな電池から充電を行なう場合に、この問題に陥る。
【0029】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、劣化した電池→通常状態の電池の順番で充電を行なうと、劣化した電池のみが繰り返し充電され、劣化が進むことが起こり易い。但し、特許文献2に記載の技術では、充電履歴情報を電池の記憶領域に書き込んでおくことになり、この問題に陥るのをある程度防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開2009−58921号公報
【特許文献2】特許第3890168号公報
【特許文献3】特開平4−244742号公報
【特許文献4】特許第4068275号公報
【特許文献5】特許第3571536号公報
【特許文献6】特許第3011840号公報
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】http://www.sony.jp/ichigan/products/AC−VQ900AM/index.html(平成23年10月11日現在)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本明細書で開示する技術の目的は、複数の2次電池への充電動作を好適に制御することができる、優れた充電制御装置及び充電制御方法を提供することにある。
【0033】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、複数の2次電池への充電を、適切な順番により効率的に行なうことができる、優れた充電制御装置及び充電制御方法を提供することにある。
【0034】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、充電量や温度状態、劣化の度合い、並列接続した電池セル数などがまちまちである複数の2次電池への充電を、適切な順番により効率的に行なうことができる、優れた充電制御装置及び充電制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
各電池の充電電流を取得する電流取得部と、
前記電流取得部で取得した充電電流の値に基づいて、各電池の本充電を行なう本充電部と、
を具備する充電制御装置である。
【0036】
本願の請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、本充電部が、充電電流の大きい順に各電池の本充電を行なうように構成されている。
【0037】
本明細書で開示する技術は、例えば図26に示すような、電子機器と、この電子機器を給電する電源と、電子機器に接続される複数の電池で構成されるシステムにおいて、電子機器が電源から給電された電流を用いて複数の電池へ充電する制御に用いられる。充電制御装置としての電子機器は、各々の電池を数秒ずつテスト充電して、充電電流を確認する。そして、テスト充電して得られた充電電流が大きな電池から順に充電を行なう。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流積算値、すなわちすべての電池合計の充電量は大きくなり、効率的である。
【0038】
本願の請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、本充電部が、充電電流の値に基づいて本充電を行なうと選択した電池が満充電になってから、残りの電池について、充電電流の値に基づいて本充電を行なうように構成されている。
【0039】
本願の請求項4に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、電流取得部が、電池毎に短時間だけテスト充電を行なって、各々の充電電流を取得するように構成されている。
【0040】
本願の請求項5に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、本充電部が、充電中の電池の充電電流が低下して、充電していない電池において取得した電流よりも一定値以上小さくなったときに、充電する電池を切り替えるように構成されている。
【0041】
本願の請求項6に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、本充電部が、充電中の電池の充電電流が低下して、充電していない電池において取得した電流よりも小さくなってから一定時間経過したときに、充電する電池を切り替えるように構成されている。
【0042】
本願の請求項7に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、
【0043】
本願の請求項8に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、各電池の電圧を取得する電圧取得部をさらに備えている。そして、本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記電圧取得部が取得した電圧が小さい電池から順に本充電を行なうように構成されている。
【0044】
本願の請求項9に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、各電池の温度を取得する温度取得部をさらに備えている。そして、本充電部は、前記温度取得部が取得した温度が基準値を超える電池を除いて、充電電流が大きい順に各電池の本充電を行なうように構成されている。
【0045】
本願の請求項10に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、各電池の満充電容量を取得する満充電容量取得部をさらに備えている。そして、本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記満充電容量取得部で取得した満充電容量が大きい電池の順番に本充電を行なうように構成されている。
【0046】
本願の請求項11に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、各電池の充放電回数を取得する充放電回数取得部をさらに備えている。そして、本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記充放電回数取得部で取得した充放電回数が少ない電池の順番に本充電を行なうように構成されている。
【0047】
また、本願の請求項12に記載の発明は、
各電池の充電電流を取得する電流取得ステップと、
前記電流取得ステップで取得した充電電流の値に基づいて、各電池の本充電を行なう本充電ステップと、
を有する充電制御方法である。
【発明の効果】
【0048】
本明細書で開示する技術によれば、複数の2次電池への充電を、適切な順番により効率的に行なうことができる、優れた充電制御装置及び充電制御方法を提供することができる。
【0049】
また、本明細書で開示する技術によれば、充電量や温度状態、劣化の度合い、並列接続した電池セル数などがまちまちである複数の2次電池への充電を、適切な順番により効率的に行なうことができる、優れた充電制御装置及び充電制御方法を提供することができる。
【0050】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、縦位置グリップ付きのディジタル一眼レフカメラの構成例を示した図である。
【図2】図2は、図1に示した縦位置グリップ103付きのディジタルカメラ101の使用形態を示した図である。
【図3A】図3Aは、USB充電器114と、ディジタルカメラ本体101と、縦位置グリップ103と、電池109、110からなる充電システムの電気回路のブロック図である。
【図3B】図3Bは、USB充電器114と、ディジタルカメラ本体101と、縦位置グリップ103と、電池109、110からなる充電システムの電気回路のブロック図である。
【図4】図4は、ディジタルカメラ101と電池「1」109、電池「2」110間の通信回路図である。
【図5】図5は、ディジタルカメラ本体101側の制御部128と、電池「1」109のマイコン155間で通信を行なうときのタイミング・チャートである。
【図6】図6は、ディジタルカメラ本体101の制御部128と電池「1」109のマイコン155の間で交換される通信データの内容を示した図である。
【図7A】図7Aは、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図7B】図7Bは、状態の異なる電池「1」と電池「2」について、図7Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したタイミング・チャートである。
【図8】図8は、電池を基本充電制御する処理手順を示したフローチャートである。
【図9】図9は、リチウムイオン電池の充電特性を示した図である。
【図10】図10は、リチウムイオン電池の温度特性を示した図である。
【図11】図11は、リチウムイオン電池の充電特性の、電池の劣化による影響を示した図である。
【図12】図12は、リチウムイオン電池の充電特性の、電池容量による影響を示した図である。
【図13】図13は、リチウムイオン電池の充電特性の、セルの並列数による影響を示した図である。
【図14A】図14Aは、温度制限下でのリチウムイオン電池の充電特性を示した図である。
【図14B】図14Bは、温度制限が働いている電池「1」と温度制限が働いていない電池「2」について、図14Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を示したタイミング・チャートである。
【図15A】図15Aは、ディジタルカメラ本体101の制御部128が任意の個数の電池に対して行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図15B】図15Bは、3個の電池「1」、電池「2」、電池「3」について、図15Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を示したタイミング・チャートである。
【図16A】図16Aは、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図16B】図16Bは、状態の異なる電池「1」と電池「2」について、図16Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したタイミング・チャートである。
【図17A】図17Aは、ディジタルカメラ本体101の制御部128が任意の個数の電池に対して行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図17B】図17Bは、3個の電池「1」、電池「2」、電池「3」について、図17Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したタイミング・チャートである。
【図18A】図18Aは、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図18B】図18Bは、状態の異なる電池「1」と電池「2」について、図18Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したタイミング・チャートである。
【図19A】図19Aは、ディジタルカメラ本体101の制御部128が任意の個数の電池に対して行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図19B】図19Bは、3個の電池「1」、電池「2」、電池「3」について、図19Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したタイミング・チャートである。
【図20】図20は、リチウムイオン電池の充電特性を示した図である。
【図21】図21は、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図22】図22は、リチウムイオン電池の充電特性を示した図である。
【図23】図23は、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図24】図24は、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図25】図25は、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図26】図26は、本明細書で開示する技術に係るシステム構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0053】
例えばディジタルカメラのように、屋外のように商用電源がなく、すぐには充電できない場所で使用されることが想定される機器の場合、バッテリーを効率的に充電する方法が求められる。また、充電できない場所でも長時間駆動するために、バッテリーは機器に内蔵される他、機器外部に拡張用バッテリーが接続されることもある。ディジタル一眼レフカメラにおいては、人物の撮影時などにカメラ本体をほぼ90度横倒しにして縦位置撮影を行なうことがあるが、慣れないとホールディングか難しく、シャッター操作する際に手振れし易い。「縦位置グリップ」は、一眼レフカメラの本体下部に取り付けられるアクセサリーであり、縦位置撮影用のシャッター・ボタンやコントロール・ダイヤルなどを装備し、カメラ本体を90度横倒しにしても、手首を無理に曲げることなく自然な体勢で縦位置撮影を行なうことができる。ほとんどの縦位置グリップは複数の電池を内蔵することができる。
【0054】
図1には、縦位置グリップ付きのディジタル一眼レフカメラの構成例を示している。
【0055】
ディジタルカメラ本体101には、電池フォルダー102が設けられている。通常は、電池フォルダー102に電池(図示しない)を挿入し、その電池の電力によってディジタルカメラ本体101を動作させる。これに対し、図示の例では、縦位置グリップ103の結合部104を電池フォルダー102に挿入して、ディジタルカメラ本体101に接続する。縦位置グリップ103をディジタルカメラ本体101に接続すると、ディジタルカメラ本体101のシャッター・ボタン105の他に、縦位置グリップ103のシャッター・ボタン106を押下しても撮影できるようになる。縦位置グリップ103のシャッター・ボタン106を使うと、ディジタルカメラ本体101を縦位置に構えて撮影するときに、カメラが安定して、撮影が容易になる。
【0056】
縦位置グリップ103には、2個の電池フォルダー107、108が設けられている。縦位置グリップ103をディジタルカメラ本体101に接続して使用する場合は、電池フォルダー107に挿入した電池と、電池フォルダー108に挿入した電池の2個の電池からの電力を、結合部104及びディジタルカメラ本体101側の電池フォルダー102を介して、ディジタルカメラ本体101に供給して、ディジタルカメラ本体101を動作させる。
【0057】
図2には、図1に示した縦位置グリップ103付きのディジタルカメラ101の使用形態を図解している。
【0058】
ディジタルカメラ本体101には、縦位置グリップ103が接続されている。縦位置グリップ103の電池フォルダー107、108には、電池「1」109、電池「2」110がそれぞれ挿入されている。後述するように、ディジタルカメラ本体101の充電制御により、これらの電池「1」109、電池「2」110に対して充電が行なわれる。
【0059】
一方、ディジタルカメラ本体101には、USBケーブル111のデバイス側端子112が接続されている。また、USBケーブル111のホスト側端子113は、USB充電器114に接続されている。USB充電器114には、ACプラグ115が付いており、商用電源ソケット116に接続されている。電池「1」109、電池「2」110の充電のための電力は、商用電源ソケット116からUSB充電器114とUSBケーブル111を介して、ディジタルカメラ本体101に供給される。
【0060】
図3A及び図3Bには、図2に示した、USB充電器114と、ディジタルカメラ本体101と、縦位置グリップ103と、電池「1」109、電池「2」110からなる充電システムの電気回路のブロック図を示している。
【0061】
USB充電器114内では、ACプラグ115から供給されたAC100Vの電流は、整流回路117によってDC5Vに変換される。
【0062】
USBケーブル111のVBUS端子118には、整流回路117で変換されたDC5Vが出力される。USBケーブル111のD+端子119とD−端子120は、USB充電器114内で短絡されている。USBケーブル111のGND端子121は、整流回路117のGNDレベルに接続されている。
【0063】
ディジタルカメラ本体101内では、VBUS端子122から供給されたDC5Vは、定電圧回路126でDC8.4Vに変換され、スイッチ127に出力される。また、供給されたDC5Vは、定電圧回路126でDC3Vに変換され、マイクロコンピューターなどからなる制御部128に供給される。
【0064】
制御部128は、VBUS端子122から十分に電流が供給できるかどうかを確認する。その際、USB規格でD+端子とD−端子間の抵抗値が220Ω以下であれば、十分な電流1.5Aを供給できると定められていることを利用する。制御部128の入出力ポートは、D+端子123とD−端子124に接続されている。D+端子123にHighを出力したときにD−端子124への入力がHigh、D+端子123にLowを出力したときにD−端子124への入力がLowであれば、制御部128は、VBUS端子122から十分に電流が供給できると判断して、充電制御を開始する。
【0065】
制御部128は、信号線129を使ってスイッチ127のオン/オフを制御する。スイッチ127により、定電圧回路126から出力されるDC8.4Vは、定電流回路130を介して+端子131に出力されるか、直接+端子131に出力されるかの切り替えを行なう。定電流回路130は、充電電流を100mA以上流さないように制限する回路である。
【0066】
制御部128は、ADポート132により、+端子131での電圧を測定することができる。
【0067】
制御部128は、電池「1」109又は電池「2」110のいずれを充電するかを切り替える切り替え信号133を出力する。この切り替え信号133は、1/2端子134から縦位置グリップ103へ出力される。
【0068】
制御部128は、信号線135により電池「1」109又は電池「2」110と通信を行なう。信号線135は、C端子136に接続されている。
【0069】
制御部128は、USB側のGND端子125を、GNDレベルにしている。また、GND端子125は、電池側の−端子37にも接続されている。
【0070】
縦位置グリップ103内には、スイッチ138とスイッチ139が配設されている。
【0071】
スイッチ138は、+端子140から供給された電流を、電池「1」109又は電池「2」110のいずれに供給するかを切り替える。電池「1」109に供給する場合、+端子140と+端子141を接続する。また、電池「2」110に供給する場合、+端子140と+端子142を接続する。
【0072】
スイッチ139は、制御部128が電池「1」109又は電池「2」110のいずれと通信を行なうかを切り替える。制御部128が電池「1」109と通信を行なう場合、C端子143とC端子144を接続する。また、制御部128が電池「2」110と通信を行なう場合、C端子143とC端子145を接続する。
【0073】
スイッチ138及びスイッチ139は、1/2端子146からの切り替え信号により、電池「1」109又は電池「2」110のいずれに接続するかの切り替えを行なう。
【0074】
−端子147は、電池「1」109側の−端子148及び電池「2」110側の−端子149に直結されている。
【0075】
電池「1」109内では、2個の電池セル150、151が直列に接続されている。電池セル150の正極は+端子152に接続され、電池セル151の負極は電流検出用の抵抗153を介して−端子154に接続されている。
【0076】
電池「1」109は、マイコン155を備えている。マイコン155は、電池セル150の正極から給電156を受け、電池セル151の負極からGND157をとっている。
【0077】
マイコン155は、ADポート158で電池セル150及び電池セル151の合計電圧を測定し、ADポート159で電池セル150と電池セル151間の中間電圧を測定する。
【0078】
また、マイコン155は、ADポート160とADポート161で電流検出抵抗153の両端の電圧(電位差)を測定すると、測定した電位差を電流検出抵抗153の抵抗値で割って、電池セル150及び電池セル151に流れ込む充電電流を計算する。
【0079】
また、マイコン155は、ADポート162でサーミスター163の一方の電池電圧を測定する。サーミスター163の他方の端子はGND157に接続されている。ADポート162は、マイコン155内部で固定抵抗(図示しない)により基準電圧にプルアップされている。したがって、ADポート162で測定される電圧は、電池109内部の温度により変化する。マイコン155は、ADポート162で測定される電圧と温度の関係を記述したテーブルをあらかじめ記憶しており、ADポート162で測定される電圧から温度を求める。
【0080】
そして、マイコン155は、上記により測定された電圧、電流、及び温度の情報を、C端子164からデータとして出力することができる。
【0081】
一方、電池「2」110内では、2個の電池セル165、166が直列に接続されている。電池セル165の正極は+端子167に接続され、電池セル166の負極は電流検出用の抵抗168を介して−端子169に接続されている。
【0082】
電池「2」110は、マイコン170を備えている。マイコン170は、電池セル165の正極から給電171を受け、電池セル166の負極からGND172をとっている。
【0083】
マイコン170は、ADポート173で電池セル165及び電池セル166の合計電圧を測定し、ADポート174で電池セル165と電池セル166間の中間電圧を測定する。
【0084】
また、マイコン170は、ADポート175とADポート176で電流検出抵抗168の両端の電圧(電位差)を測定すると、測定した電位差を電流検出抵抗168の抵抗値で割って、電池セル165及び電池セル166に流れ込む充電電流を計算する。
【0085】
また、マイコン170は、ADポート177でサーミスター178の一方の電池電圧を測定する。サーミスター178の他方の端子はGND172に接続されている。ADポート177は、マイコン170内部で固定抵抗(図示しない)により基準電圧にプルアップされている。したがって、ADポート177で測定される電圧は、電池110内部の温度により変化する。マイコン170は、ADポート177で測定される電圧と温度の関係を記述したテーブルをあらかじめ記憶しており、ADポート177で測定される電圧から温度を求める。
【0086】
そして、マイコン170は、上記により測定された電圧、電流、及び温度の情報を、C端子179からデータとして出力することができる。
【0087】
使用時には、ACプラグ115は商用電源ソケット116に接続されている。また、USB充電器117のVBUS端子118、D+端子119、D−端子120、GND端子121は、USBケーブル111によって、ディジタルカメラ本体101側のVBUS端子122、D+端子123、D−端子124、GND端子125にそれぞれ接続されている。また、ディジタルカメラ本体101には縦位置グリップ103が接続されており、ディジタルカメラ本体101側の+端子131、1/2端子134、C端子136、−端子137は縦位置グリップ103側の+端子140、1/2端子146、C端子143、−端子147にそれぞれ接続されている。また、縦位置グリップ103には、電池「1」109及び電池「2」110が装着されており、縦位置グリップ103の+端子141、C端子144、−端子148は電池「1」109の+端子152、C端子164、−端子154にそれぞれ接続され、縦位置グリップ103の+端子142、C端子145、−端子149は電池「2」110の+端子167、C端子179、−端子169にそれぞれ接続されている。
【0088】
なお、給電は、USBケーブル111を介してUSB充電器114から行なうことに限定されず、定電圧の直流を供給できるものであればよい。ディジタルカメラ本体101の定電圧回路126で十分に最適な電圧に変換することができるので、USB規格の5Vでなくても、本明細書で開示する技術を実施することができる。
【0089】
また、電源は商用電源116である必要はない。電源は、交流電源でも、直流電源でもよく、USB充電器114内の整流回路で定電圧に変換すれば、本明細書で開示する技術を実施することができる。勿論、手回し発電機や、内燃機関による発電機、1次電池、2次電池、太陽電池、他の電子機器など、電力を供給できるものであれば、商用電源116に代わる電源として利用することができる。
【0090】
また、電池「1」、電池「2」は、2セルを直列したものに限定されず、1セルだけのものでも、3セル以上を直列したものでもよい。
【0091】
また、図3に示した構成例では、電池「1」、電池「2」の温度を測定するために、サーミスター163、178をそれぞれ電池「1」、電池「2」内に配設しているが、電池の外に取り付けるように構成することもできる。例えば、縦位置グリップ103の電池「1」、電池「2」用の各電池フォルダー107、108にサーミスターをそれぞれ配設し、ディジタルカメラ本体101の制御部128のADポートで各サーミスターの電圧値を測定してサーミスターの温度を計算するようにしてもよい。この場合、材料の比熱と熱源の場所から求めた電池フォルダー107、108の温度とを電池「1」、電池「2」のルックアップテーブルから、を電池「1」、電池「2」の温度に換算することができ、その温度を用いて電流制限を行なうようにすればよい。なお、縦位置グリップ103を用いず、ディジタルカメラ本体101に電池「1」、電池「2」を直接挿入する構成を採用する場合には、ディジタルカメラ本体101に設けられた各電池フォルダー(図示しない)にサーミスターを取り付ければ、同様の電流制限処理を行なうことが可能である。
【0092】
また、図3に示した構成例では、電池「1」、電池「2」の充電電流を測定するための抵抗153、168をそれぞれ電池「1」、電池「2」内に配設しているが、電池の外に取り付けるように構成することもできる。例えば、縦位置グリップ103のGND線に抵抗153、168を直列に接続するようにしてもよい。この場合、ディジタルカメラ本体101の制御部128のADポートで、抵抗153、168の両端の電圧を測定し、測定した電位差を抵抗153、168の抵抗値で割り算することで充電電流を求め、後述する充電制御に使用することができる。
【0093】
あるいは、ディジタルカメラ本体101のGND線に抵抗153、168を直列に接続するようにしてもよい。この場合も、ディジタルカメラ本体101の制御部128のADポートで、抵抗153、168の両端の電圧を測定し、測定した電位差を抵抗153、168の抵抗値で割り算することで充電電流を求め、後述する充電制御に使用することができる。
【0094】
また、図3に示した構成例では、電池「1」、電池「2」の充電切り替えを行なうためのスイッチ138、139を、縦位置グリップ103内に配設しているが、ディジタルカメラ本体101にこれらのスイッチ138、139を配設するように構成することもできる。
【0095】
また、図3に示した構成例では、充電電流を制限する(上記の「前提1」を満たすための)定電流回路130をディジタルカメラ本体101内に配設しているが、電池「1」、電池「2」それぞれの内部に定電流回路を配設するようにしてもよい。この場合、電池「1」109内のマイコン155は、ADポート158、159で電池電圧を測定し、セル電圧が閾値よりも小さいときには、定電流回路を作動させて、セル150、151に対して定電力充電を行なう。同様に、電池「2」110内のマイコン170は、ADポート173、174で電池電圧を測定し、セル電圧が閾値よりも小さいときには、定電流回路を作動させて、セル165、166に対して定電力充電を行なう。
【0096】
図4には、ディジタルカメラ101と電池「1」109、電池「2」110間の通信回路図を示している。
【0097】
電池「1」109のマイコン155のGND157は、電池「1」109の−端子154、縦位置グリップの−端子148、ディジタルカメラ本体101の−端子137を介して、ディジタルカメラ本体101の制御部128のGND180に接続されている。
【0098】
電池「1」109のマイコン155の入出力ポート181は、電池「1」109のC端子164、縦位置グリップ103のC端子144、スイッチ139、C端子143、ディジタルカメラ本体101のC端子136を介して、ディジタルカメラ本体101の制御部128の入出力ポート135に接続されている。
【0099】
電池「2」110のマイコン170のGND172は、電池「2」110の−端子169、縦位置グリップ103の−端子149、ディジタルカメラ本体101の−端子137を介して、ディジタルカメラ本体101の制御部128のGND180に接続されている。
【0100】
電池「2」110のマイコン170の入出力ポート182は、電池「2」110のC端子179、縦位置グリップ103のC端子145、スイッチ139、C端子143、ディジタルカメラ本体101のC端子136を介して、ディジタルカメラ本体101の制御部128の入出力ポート135に接続されている。
【0101】
電池「1」109のマイコン155は、CPU(Central Processing Unit)183と、入力バッファー184と、出力バッファー185と、出力FET(Field Effect Transistor)186と、プルアップ抵抗187と、プルアップ・ダイオード188で構成されている。
【0102】
電池「1」109のマイコン155は、電池「1」109のC端子164にLowを出力したい場合、出力バッファー185でHighを出力する。すると、出力FET186がオンになり、入出力ポート181はLowになり、C端子164がLowになる。
【0103】
また、電池「1」109のマイコン155は、電池「1」109のC端子164にHighを出力したい場合、出力バッファー185でLowを出力する。すると、出力FET186がオフになり、入出力ポート181はHighになり、C端子164がHighになる。
【0104】
また、電池「1」109のマイコン155は、電池「1」109のC端子164がHighであるかLowであるかを知りたい場合は、入力バッファー184を介して知ることができる。
【0105】
電池「2」110のマイコン170は、CPU189と、入力バッファー190と、出力バッファー191と、出力FET192と、プルアップ抵抗193と、プルアップ・ダイオード194で構成されている。
【0106】
電池「2」110のマイコン170は、電池「2」110のC端子179にLowを出力したい場合、出力バッファー191でHighを出力する。すると、出力FET192がオンになり、入出力ポート182はLowになり、C端子179がLowになる。
【0107】
また、電池「2」110のマイコン170は、電池「2」110のC端子179にHighを出力したい場合、出力バッファー191でLowを出力する。すると、出力FET192がオフになり、入出力ポート182はHighになり、C端子179がHighなる。
【0108】
また、電池「2」110のマイコン170は、電池「2」110のC端子179がHighであるかLowであるかを知りたい場合は、入力バッファー190を介して知ることができる。
【0109】
ディジタルカメラ本体101の制御部128は、CPU195と、入力バッファー196と、出力バッファー197と、出力FET198と、プルアップ抵抗199と、プルアップ・ダイオード200で構成されている。
【0110】
制御部128は、ディジタルカメラ本体101のC端子136にLowを出力したい場合、出力バッファー197でHighを出力する。すると、出力FET198がオンになり、入出力ポート135はLowになり、C端子136がLowになる。
【0111】
また、制御部128は、ディジタルカメラ本体101のC端子136にHighを出力したい場合、出力バッファー197でLowを出力する。すると、出力FET198がオフになり、入出力ポート135はHighになり、C端子136がHighになる。
【0112】
また、制御部128は、ディジタルカメラ本体101のC端子136がHighであるかLowであるかを知りたい場合は、入力バッファー196を介して知ることができる。
【0113】
制御部128の出力ポート133は、ディジタルカメラ本体101の1/2端子134、縦位置グリップ103の1/2端子146を介して、スイッチ139に接続されている。
【0114】
ディジタルカメラ本体101側では、制御部128は、出力ポート133を制御して、スイッチ139を「C端子143とC端子144:接続、C端子143とC端子145:切断」とすることで、電池「1」109のマイコン155と通信が可能になる。また、制御部128は、出力ポート133を制御して、スイッチ139を「C端子143とC端子144:切断、C端子143とC端子145:接続」とすることで、電池「2」110のマイコン170と通信が可能になる。
【0115】
図5には、ディジタルカメラ本体101側の制御部128と、電池「1」109のマイコン155間で通信を行なうときのタイミング・チャートを示している。但し、スイッチ139を「C端子143とC端子144:接続、C端子143とC端子145:切断」として、ディジタルカメラ本体101の制御部128と電池「1」109のマイコン155が通信可能になっているものとする。また、信号はLow Activeで駆動するものとする。
【0116】
通信開始前は、電池「1」109の出力FET186、ディジタルカメラ本体101の出力FET198がともにオフである。このとき、通信ラインである信号線135は、参照番号501で示すように、Highになっている。
【0117】
通信開始時には、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、出力FET198を通信データ1ビット相当分の時間だけオンにして、参照番号502で示すように、通信ラインをLowにする。ディジタルカメラ本体101の制御部128及び電池「1」109のマイコン155はともに、この通信データ1ビット相当分のLow区間に基づいて、通信のタイミングの同期をとる。
【0118】
続いて、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、参照番号503で示すように、通信ラインに8ビット長のコマンドを送信する。このとき、制御部128は、High出力のビットでは出力FET198をオフにし、Low出力のビットでは出力FET198をオンにする。
【0119】
これに対し、電池「1」109のマイコン155は、入力バッファー184を介して、コマンドすなわち通信ラインのHigh/Lowを受信する。
【0120】
続いて、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、参照番号504で示すように、通信ラインに2ビット長のストップ・ビットを送信する。電池「1」109のマイコン155は、このストップ・ビット2ビットで、通信終了を確認する。
【0121】
続いて、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、出力FET198を通信データ1ビット相当分の時間だけオンにして、参照番号505で示すように、通信ラインをLowにする。
【0122】
続いて、電池「1」109のマイコン155は、参照番号506で示すように、通信ラインに8ビット長のレスポンスを送信する。このとき、電池「1」109のマイコン155は、High出力のビットでは出力FET186をオフにし、Low出力のビットでは出力FET186をオンにする。
【0123】
これに対し、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、入力バッファー196を介して、レスポンスすなわち通信ラインのHigh/Lowを受信する。
【0124】
続いて、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、参照番号507で示すように、通信ラインに2ビット長のストップ・ビットを送信する。電池「1」109のマイコン155は、このストップ・ビット2ビットで、通信終了を確認する。
【0125】
上記の一連の流れを以って、1回の通信が完了する。
【0126】
また、スイッチ139を「C端子143とC端子144:切断、C端子143とC端子145:接続」として、ディジタルカメラ本体101の制御部128と電池「2」110のマイコン170が通信可能になる。この場合の通信方法は、上記と同様である。
【0127】
図6には、図5に示した通信シーケンスにおいて、ディジタルカメラ本体101の制御部128と電池「1」109のマイコン155の間で交換される通信データの内容をまとめている。
【0128】
ディジタルカメラ本体101の制御部128が、電流を要求するコマンド「0x01」を送信すると、電池「1」109のマイコン155は、レスポンスとして電流値を返信する。
【0129】
また、ディジタルカメラ本体101の制御部128が、全体電圧を要求するコマンド「0x02」を送信すると、電池「1」109のマイコン155は、レスポンスとして全体電圧値を返信する。
【0130】
また、ディジタルカメラ本体101の制御部128が、中間電圧を要求するコマンド「0x03」を送信すると、電池「1」109のマイコン155は、レスポンスとして中間電圧値を返信する。
【0131】
また、ディジタルカメラ本体101の制御部128が、温度を要求するコマンド「0x04」を送信すると、電池「1」109のマイコン155は、レスポンスとして温度を返信する。
【0132】
また、ディジタルカメラ本体101側の制御部128は、上記の通信方法により、電池「1」109、電池「2」110から、電池の種別IDを取得したり、電池「1」109、電池「2」110と認証通信を行なったりすることもできる。制御部128は、後述するように電池「1」109、電池「2」110の充電制御を行なうが、種別IDが制御部128による充電制御に対応していないことを示す電池や、認証通信を正しく行なうことができない電池を、充電制御の対象から外す(充電しない)ようにしてもよい。
【実施例1】
【0133】
ディジタルカメラ本体101の制御部128は、縦位置グリップ103に挿入されている電池「1」109、電池「2」110への充電制御を行なう。基本的には、各々の電池を数秒ずつテスト充電して充電電流を確認し、テスト充電して得られた充電電流が大きな電池から順に充電を行なう。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流積算値が大きくなるので、効率的な充電制御である。
【0134】
図7Aには、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なう。
【0135】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS701)、電池「1」109の充電電流値「1」を取得し(ステップS702)、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS703)、電池「2」110の充電電流値「2」を取得する(ステップS704)。
【0136】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0137】
本充電では、まず、テスト充電で取得した電池「1」109の充電電流値「1」と電池「2」110の充電電流値「2」を大小比較する(ステップS705)。
【0138】
テスト充電して得られた電池「1」109の充電電流値「1」の方が大きいときには(ステップS705のYes)、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS706)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回るまで(ステップS707のNo)、継続して行なう。
【0139】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS707のYes)、電池「1」109の充電が完了したと判断し、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS708)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS709のNo)、継続して行なう。
【0140】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS709のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS710)、充電制御を終了する。
【0141】
一方、テスト充電して得られた電池「2」110の充電電流値「2」の方が大きいときには(ステップS705のNo)、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS711)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS712のNo)、継続して行なう。
【0142】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS712のYes)、電池「2」110の充電が終了したと判断し、続いて、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS713)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS714のNo)、継続して行なう。
【0143】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS714のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS715)、充電制御を終了する。
【0144】
図8には、電池を基本充電制御する処理手順をフローチャートの形式で示している。但し、同図中の引数nは、基本充電制御する対象となる電池のIDであり、電池「1」109のときはn=1、電池「2」110のときはn=2とする。
【0145】
基本充電制御を開始する際、まず、nの値が変化していないかどうかをチェックする(ステップS801)。nの値が変化したとき(ステップS801のYes)、すなわち、基本充電制御の対象となる電池が切り替わったときには、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:接続、直接結線側:切断」状態にするとともに(ステップS802)、信号線133によりスイッチ138及びスイッチ139を切り替え操作して、定電流回路130から出力される充電電流を供給する電池を切り替える(ステップS803)。
【0146】
このタイミングでは、基本充電制御の対象となる電池「n」に対して、一定の充電電流100mAで初期充電が行なわれる。
【0147】
制御部128は、ADポート132により、+端子131での電圧すなわち充電電圧を測定する(ステップS804)。充電電圧が制御部128に記憶されている所定の閾値よりも大きいときには(ステップS805のYes)、制御部128は、スイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:接続」状態に切り替えて(ステップS806)、定電圧回路126から出力される8.4Vで定電圧充電を行なうように変更する。そうでない場合は、制御部128は、スイッチ127を「定電流回路側:接続、直接結線側:切断」状態のまま変更せず、定電流回路130から出力される100mAで定電流充電を継続する。
【0148】
最後に、制御部128は、入出力ポート135を使用して、基本充電制御の対象となる電池「n」への充電電流を取得する(ステップS807)。
【0149】
電池セル2個を直列接続したリチウムイオン組電池の充電特性は、図9に示した通りである。
【0150】
電池の放電が進み、電池電圧が4V程度まで低下すると、内部インピーダンスが大きくなり、放電電流に対する電圧効果が大きくなり、事実上使用できなくなる(周知)。また、放電が進み、電池電圧が4V程度からさらに低下すると、セルの電極に金属リチウムが析出する(周知)。金属リチウムの析出のため、セル内のイオンの移動が制限されセルの劣化が進むので、電池内部には保護回路(図示しない)が設けられ、電池電圧が4V程度に低下すると、電池がこれ以上放電しないように構成されている。したがって、放電が完了したリチウムイオン電池を充電する場合、参照番号948で示すように、4Vの充電電圧からの充電となる。
【0151】
また、電池セル2個を直列接続したリチウムイオン組電池の満充電時の電池電圧は8.4Vであり、充電時には最終的に8.4Vをかけて充電を行なう必要がある。しかしながら、充電の最初から8.4Vの充電電圧をかけると、充電電圧と電池電圧の電位差が大きく、大電流が電池に流れ込んでセルの劣化が進む。このため、充電の最初は、参照番号949に示すように、100mA程度の小さい低電流で充電する必要がある。
【0152】
そして、充電が進み、参照番号950で示すように、電池電圧が6V程度になると、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなって、大電流が電池に流れ込むことはなくなるので、100mAの定電流充電から、8.4Vの定電圧充電に切り替える。
【0153】
USB充電の場合、USB充電器114の給電能力は1500mAである。したがって、8.4Vの定電圧充電利切り替わった後、参照番号951で示すように、しばらく1500mAでの充電が続く。
【0154】
さらに充電が進み、充電電圧と電池電圧の電位差がさらに小さくなると、参照番号952で示すように、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、50mA程度にまで低下すると、これ以上充電しても電池の容量はほとんど増えなくなるので、参照番号953で示すように充電を完了する。
【0155】
ここで、本実施形態において充電する電池が、上述した充電プロセスのそれぞれの状態A〜Dにある場合の充電動作について述べる。
【0156】
状態A:100mA定電流充電時(参照番号949)
状態B:USB充電の上限電流1500mA充電時(参照番号951)
状態C:充電電流が少しずつ低下し(参照番号952)、充電電流が200mAになったとき
状態D:充電電流が、充電終了(参照番号953)に近い、60mAになったとき
【0157】
本実施形態では、充電電流が大きな電池から順に充電を行なうという充電制御を行なう。したがって、図7Aに示した処理手順に従って充電制御を行なうと、充電電流順に、状態B→状態C→状態A→状態D、の優先順位で充電される。
【0158】
図7Bのタイミング・チャートは、状態の異なる電池「1」と電池「2」について、図7Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。
【0159】
電池「1」は、上記の状態Bにあり、基本充電制御(1)により、その充電電流「1」として、USB充電の上限電流である1500mAが取得される。一方、電池「2」は、上記の状態Cにあり、充電電流が少しずつ減少している。基本充電制御(2)により、その充電電流「2」として400mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が高い電池「1」が先に充電される。
【0160】
電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下する。電池「1」を充電する途中で、電池「2」の充電電流「2」の方が高くなるが、図7Aに示す処理手順では、一度電池「1」の充電を選択すると、満充電になるまでは継続して電池「1」の充電を行なう。その後、電池「1」の充電を完了し、電池「2」の充電を開始する。電池「2」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下すると、電池「2」の充電も完了する。したがって、図示の通り、矢印A→B→C→D→Eの順で、電池「1」並びに電池「2」の充電が実施される。
【0161】
充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【0162】
図10には、リチウムイオン電池の温度特性を示している。同図は、図9と同様に、横軸を時間、縦軸を充電電圧(電池電圧)並びに充電電流とし、電池セル2個を直列接続したリチウムイオン組電池の温度毎の充電特性を表している。
【0163】
リチウムイオン電池は、セルが低温になると、内部インピーダンスが増加する(周知)。このため、例えば上記の状態Bのときの充電電流は、常温(25℃)であれば1500mAであるが、低温(0℃)であれは1000mAと低くなる。
【0164】
したがって、上述したように充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、常温(25℃)の電池→低温(0℃)の電池の順に充電されることになる。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【0165】
また、図11には、リチウムイオン電池の充電特性の、電池の劣化による影響を示している。同図は、図9と同様に、横軸を時間、縦軸を充電電圧(電池電圧)並びに充電電流としている。
【0166】
リチウムイオン電池は、セルが充放電を繰り返して劣化すると、内部インピーダンスが増加する(周知)。このため、例えば上記の状態Bのときの充電電流は、新品の電池(製造後最初の充電時)であれば1500mAであるが、劣化した電池(100回充放電した後の充電時)であれは1000mAと低くなる。
【0167】
したがって、上述したように充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、新品の電池(製造後最初の充電時)→劣化した電池の順に充電されることになる。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【0168】
また、図12には、リチウムイオン電池の充電特性の、電池容量による影響を示している。同図は、図9と同様に、横軸を時間、縦軸を充電電圧(電池電圧)並びに充電電流としている。
【0169】
リチウムイオン電池は、容量が大きな電池ほど、内部インピーダンスが小さい(周知)。このため、例えば上記の状態Bのときの充電電流は、容量が大きな電池(2000mAh)であれば1500mAであるが、容量が小さな電池(1000mAh)であれは1000mAと低くなる。
【0170】
したがって、上述したように充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、容量が大きな電池(2000mAh)→容量が小さな電池(1000mAh)の順に充電されることになる。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【0171】
また、図13には、リチウムイオン電池の充電特性の、セルの並列数による影響を示している。同図は、図9と同様に、横軸を時間、縦軸を充電電圧(電池電圧)並びに充電電流としている。
【0172】
リチウムイオン電池は、セルを並列にして接続したものを1つのパッケージにした組電池として用いられることがある。セルを並列にして接続すると、セルが1個の電池に比べて、インピーダンスが小さくなる。このため、例えば上記の状態Bのときの充電電流は、セルが2個並列の組電池であれば1500mAであるが、セルが1個の電池であれは1000mAと低くなる。
【0173】
したがって、上述したように充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、セルが2個並列の組電池→セルが1個の電池の順に充電されることになる。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【0174】
リチウムイオン電池は、電気用品安全法などの安全規格により、定められた温度以上にならないように充電制御しなければならない。このため、電池「1」内では、マイコン155がサーミスター163を用いて温度を測定した温度し、電池「2」内では、マイコン170がサーミスター178を用いて温度を測定する。そして、ディジタルカメラ本体101側の制御部128は、C端子による通信コマンド「0x04」により、電池「1」又は電池「2」のうち現在充電中の電池から温度を取得する。ここで、定められた温度閾値以上である場合には、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を制御して、「定電流回路側:接続、直接結線側:切断」にすることで、定電流回路130を用いて充電電流を100mAに制限して、電池の温度上昇を防ぐ。
【0175】
温度が閾値より低く、上記の温度上昇を防ぐ処理が働いていない場合、充電電流は、状態Bでは1500mA、状態Cでは200mAになるので、状態Bの電池→状態Cの電池の順に充電される。これに対し、状態Bの電池の温度が閾値よりも高くなると、上記の温度上昇を防ぐ処理が働いて、充電電流が100mAに抑制されると、状態Cの電池の充電電流の方が大きくなる(図14Aを参照のこと)。したがって、状態Cの電池→状態Bの電池の順に充電される。
【0176】
したがって、上述したように充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、温度上昇を防ぐ処理が働いていない電池→温度上昇を防ぐ処理が働いている電池の順に充電されることになる。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【0177】
図14Bのタイミング・チャートは、温度制限が働いている電池「1」と温度制限が働いていない電池「2」について、図14Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。
【0178】
電池「1」は、温度上昇を防ぐ処理が働いて、充電電流が100mAに抑制される状態Bにあり、基本充電制御(1)により、その充電電流「1」として、USB充電の上限電流である100mAが取得される。一方、電池「2」は、上記の状態Cにあり、充電電流が少しずつ減少している。基本充電制御(2)により、その充電電流「2」として200mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が高い電池「2」が先に充電される。
【0179】
電池「2」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差がさらに小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下すると、電池「2」の充電を完了する。
【0180】
この時点で電池「1」の温度が閾値以下まで低下し、温度上昇を防ぐ処理が終了していたとする。基本充電制御(1)により、その充電電流「1」として、USB充電の上限電流である1500mAが取得され、電池「1」の充電を開始する。電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下すると、電池「1」の充電も完了する。したがって、図示の通り、矢印A→B→C→Dの順で、電池「1」並びに電池「2」の充電が実施される。
【実施例2】
【0181】
ここまでは、リチウムイオン電池の充電制御について説明してきた。しかしながら、使用する電池は、リチウムイオン電池でなく、ニッケル水素電池、ニッケル・カドミウム電池、鉛電池などその他の一般的な2次電池であっても、本明細書で開示する技術を同様に適用することができる。2次電池は、一般的に、「低電圧時の電流制限が必要」(前提1)、「低温による内部インピーダンスの増加」(前提2)、「劣化による内部インピーダンスの増加」(前提3)、「組電池にすると内部インピーダンスが小さくなる」(前提4)、「安全規格を満たすため電流制限が必要」(前提5)など、リチウムイオン電池と同様の特徴がある。したがって、充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、上記と同様に、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流積算値、すなわちすべての電池合計の充電量は大きくなり、効率的である。
【実施例3】
【0182】
ここまでは、2個の電池を同時に充電する場合の充電制御について説明してきたが、使用する電池が3個以上であっても、本明細書で開示する技術を同様に適用することができる。使用する電池が3個以上であっても、各電池についてテスト充電を順次行なってそれぞれの充電電流を取得し、電流値が大きな電池から順に充電を開始すればよい。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流積算値、すなわちすべての電池合計の充電量は大きくなり、効率的である。
【0183】
図15Aには、ディジタルカメラ本体101の制御部128が任意の個数の電池に対して行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なう。
【0184】
テスト充電では、まず、テスト充電した電池の個数をカウントするための変数kに初期値1を代入して(ステップS1501)、電池「k」について基本充電制御を行なって(ステップS1503)、電池「k」の充電電流値「k」を取得し(ステップS1504)、kを1ずつ増分する(ステップS1505)、という処理を、kが電池個数に到達するまで(ステップS1502のYes)、繰り返し実行する。ステップS1503で行なう基本充電制御の処理手順は、図8に示した通りである。
【0185】
そして、kが電池個数に到達すると(ステップS1502のNo)、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0186】
本充電では、まず、テスト充電で取得した充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数nに代入する(ステップS1506)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0187】
次いで、電池「n」について基本充電制御を行なう(ステップS1507)。電池「n」の基本充電制御は、電池「n」の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回るまで(ステップS1508のNo)、継続して行なう。そして、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回ると(ステップS1508のYes)、電池「n」の電流値「n」に0を代入して(ステップ1509)、充電が完了したことを示す。
【0188】
ステップS1506〜S1509の充電動作は、すべての電池の電流値が0となる、すなわち、すべての電池の充電が完了するまで(ステップS1510のNo)、繰り返し実行する。
【0189】
そして、すべての電池の充電が完了すると(ステップS1510のYes)、「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS1511)、充電制御を終了する。
【0190】
図15Bのタイミング・チャートは、3個の電池「1」、電池「2」、電池「3」について、図15Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。
【0191】
テスト充電により、電池「1」、電池「2」、電池「3」の初期状態での充電電流を取得する。その結果、電池「1」の充電電流「1」として、USB充電の上限電流である1500mAが取得される。また、電池「2」、電池「3」は充電電流が少しずつ減少している状態であり、初期状態ではそれぞれ充電電流400mA、300mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が高い電池「1」が先に充電される。
【0192】
電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下すると、電池「1」の充電を完了する。
【0193】
続いて、初期状態での充電電流が次に高い電池「2」の充電を開始する。電池「2」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下すると、電池「2」の充電も完了する。
【0194】
最後に、初期状態での充電電流が最も低い電池「3」の充電を開始する。電池「3」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下すると、電池「3」の充電も完了する。
【0195】
したがって、図示の通り、A→B→C→D→E→F→G→H→I→Jの順で、電池「1」、電池「2」、電池「3」の充電が実施される。
【0196】
充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【実施例4】
【0197】
図1〜図4では、縦位置グリップ103に挿入した電池「1」、電池「2」をディジタルカメラ本体101側で充電制御する実施例について説明してきたが、本明細書で開示する技術の要旨はこれに限定されるものではない、縦位置グリップ103を使用せず、ディジタルカメラ本体101に2個の電池を直接挿入して、上記の充電制御を行なうようにしても、同様の効果を得ることができる。
【実施例5】
【0198】
ここまでは、ディジタルカメラ本体101が複数の電池を充電制御する実施例について説明してきたが、ディジタルカメラ以外の一般的な電子機器が2個以上の電池を同時に充電する場合においても、同様に本明細書で開示する技術を適用することができる。例えば、専用充電器や、パーソナル・コンピューター、携帯電話、携帯音楽再生機、自動車、鉄道車両、船舶、航空機、人工衛星、ロボット、住宅、照明器具、医療機器、測定器、工作機械、テレビ、ラジオ、無線機、非常用電源など、複数の2次電池を電源として用いるさまざまな電子機器に対し、同様に本お明細書で開示する技術を適用することができる。
【実施例6】
【0199】
図7に示した充電制御の処理手順では、テスト充電に各電池の充電電流を取得すると、本充電では、充電電流が高い電池について充電が完了した後に、充電電流が低い(次に充電電流が高い)電池について充電を開始するようになっている。言い換えれば、本充電では、ある電池について充電を一旦開始すると、充電が完了するまでは他の電池への充電に切り換わることはない。
【0200】
充電制御の変形例として、本充電を開始した後、充電中の電池の充電電流が、充電していない電池において取得した電流よりも一定値以上小さくなったときに、充電する電池を切り替えるようにしてもよい。ここで、「一定値」というヒステリシスを与えるのは、充電する電池が頻繁に切り替わらないように安定化するためである。
【0201】
図16Aには、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なうが、本充電では、充電中の電池の充電電流が、充電していない電池において取得した電流よりも一定値以上小さくなったときに、充電する電池を切り替える。
【0202】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS1601)、電池「1」109の充電電流値「1」を取得し(ステップS1602)、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS1603)、電池「2」110の充電電流値「2」を取得する(ステップS1604)。基本充電制御の処理手順は、図8に示した通りである。
【0203】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0204】
本充電では、まず、現在の充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数nに代入する(ステップS1605)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0205】
次いで、電池「n」について基本充電制御を行なう(ステップS1606)。電池「n」の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が低下していく。電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回ると(ステップS1607のYes)、電池「n」の電流値「n」に0を代入して(ステップS1608)、充電が完了したことを示す。一方、電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値をまだ下回っていないときには(ステップS1607のNo)、電池「n」の電流値「n」にヒステリシスを加算する(ステップS1611)。ヒステリシスは、システムに合わせて任意に決めることができるものとする。
【0206】
上記のステップS1605〜S1608の充電動作は、すべての電池の電流値が0となる、すなわち、すべての電池の充電が完了するまで(ステップS1609のNo)、繰り返し実行する。
【0207】
そして、すべての電池の充電が完了すると(ステップS1609のYes)、「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS1610)、充電制御を終了する。
【0208】
図16Bのタイミング・チャートは、状態の異なる電池「1」と電池「2」について、図16Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。ここでは、充電電流のヒステリシスとして100mAが設定されているものとする。
【0209】
電池「1」は、初期状態では、USB充電の上限電流である1500mAが取得される。一方、電池「2」は、初期状態では充電電流が少しずつ減少しており、その充電電流「2」として400mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が高い電池「1」が先に充電される。
【0210】
電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、電池「1」の現実の充電電流にヒステリシス100mAを加算する。そして、ヒステリシス100mAを加算した電流値「1」が電池「2」の電流値「2」よりも大きければ、電池「1」の充電が継続して行なわれる。
【0211】
電池「1」の充電がさらに進むと、ヒステリシス100mAを加算した電流値「1」が電池「2」の電流値「2」である400mAを下回る。すると、電池「1」の充電を停止して、電池「2」の充電に切り替える。
【0212】
電池「2」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「2」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、電池「2」の現実の充電電流にヒステリシス100mAを加算する。そして、ヒステリシス100mAを加算した電流値「2」が電池「1」の電流値「1」300mAよりも大きければ、電池「2」の充電が継続して行なわれる。
【0213】
電池「2」の充電がさらに進むと、ヒステリシス100mAを加算した電流値「2」が電池「1」の電流値「1」300mAを下回る。すると、電池「2」の充電を停止して、再び電池「1」の充電に切り替える。
【0214】
電池「1」の充電が進むと、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、電池「1」の現実の充電電流にヒステリシス100mAを加算する。ヒステリシス100mAを加算した電流値「1」が電池「2」の電流値「2」400mAよりも大きければ、電池「1」の充電が継続して行なわれるが、400mAを下回ると、電池「1」の充電を停止して、再び電池「2」の充電に切り替える。
【0215】
電池「2」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「2」の充電を完了し、再び電池「1」の充電に切り替える。また、電池「1」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「1」の充電も完了する。
【0216】
したがって、図示の通り、矢印A→D→B→E→Cの順で、電池「1」並びに電池「2」の充電が実施される。電池「1」と電池「2」の充電を交互に行なうと、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は変わらないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、各電池の充電がほぼ均等に進行するので、さらに効率がよくなる。
【0217】
図17Aには、ディジタルカメラ本体101の制御部128が任意の個数の電池に対して行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なうが、本充電では、充電中の電池の充電電流が、充電していない電池において取得した電流よりも一定値以上小さくなったときに、充電する電池を切り替える。
【0218】
テスト充電では、まず、テスト充電した電池の個数をカウントするための変数kに初期値1を代入して(ステップS1701)、電池「k」について基本充電制御を行なって(ステップS1703)、電池「k」の充電電流値「k」を取得し(ステップS1704)、kを1ずつ増分する(ステップS1705)、という処理を、kが電池個数に到達するまで(ステップS1702のYes)、繰り返し実行する。ステップS1703で行なう基本充電制御の処理手順は、図8に示した通りである。
【0219】
そして、kが電池個数に到達すると(ステップS1702のNo)、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0220】
本充電では、まず、テスト充電で取得した充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数nに代入する(ステップS1706)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0221】
次いで、電池「n」について基本充電制御を行なう(ステップS1707)。電池「n」の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が低下していく。電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回ると(ステップS1708のYes)、電池「n」の電流値「n」に0を代入して(ステップS1709)、充電が完了したことを示す。一方、電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値をまだ下回っていないときには、電池「n」の電流値「n」にヒステリシスを加算する(ステップS1712)。ヒステリシスは、システムに合わせて任意に決めることができるものとする。
【0222】
上記のステップS1706〜S1709の充電動作は、すべての電池の電流値が0となる、すなわち、すべての電池の充電が完了するまで(ステップS1710のNo)、繰り返し実行する。
【0223】
そして、すべての電池の充電が完了すると(ステップS1710のYes)、「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS1711)、充電制御を終了する。
【0224】
図17Bのタイミング・チャートは、3個の電池「1」、電池「2」、電池「3」について、図17Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。ここでは、充電電流のヒステリシスとして100mAが設定されているものとする。
【0225】
テスト充電により、電池「1」、電池「2」、電池「3」の初期状態での充電電流を取得する。その結果、電池「1」の充電電流「1」として、USB充電の上限電流である1500mAが取得される。また、電池「2」、電池「3」は充電電流が少しずつ減少している状態であり、初期状態ではそれぞれ充電電流400mA、300mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が最も高い電池「1」が先に充電される。
【0226】
電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、電池「1」の現実の充電電流にヒステリシス100mAを加算する。そして、ヒステリシス100mAを加算した電流値「1」が電池「2」の電流値「2」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きければ、電池「1」の充電が継続して行なわれる。
【0227】
電池「1」の充電がさらに進むと、ヒステリシス100mAを加算した電流値「1」が電池「2」の電流値「2」である400mAを下回る。すると、電池「1」の充電を停止して、電池「2」の充電に切り替える。
【0228】
電池「2」の充電が進むと、充電電流すなわち電流値「2」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、電池「2」の現実の充電電流にヒステリシス100mAを加算する。そして、ヒステリシス100mAを加算した電流値「2」が電池「1」の電流値「1」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きければ、電池「2」の充電が継続して行なわれる。
【0229】
電池「2」の充電がさらに進むと、ヒステリシス100mAを加算した電流値「2」が電池「1」の電流値「1」並びに電池「3」の電流値「3」を下回る。すると、電池「2」の充電を停止して、再び電池「1」の充電に切り替える。電流値「1」と電流値「3」は同じ値であるが、このような場合、電池IDが小さい方に切り換わる。
【0230】
電池「1」の充電が進むと、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、電池「1」の現実の充電電流にヒステリシス100mAを加算する。ヒステリシス100mAを加算した電流値「1」が電池「2」の電流値「2」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きければ、電池「1」の充電が継続して行なわれるが、電池「2」の電流値「2」並びに電池「3」の電流値「3」を下回ると、電池「1」の充電を停止して、再び電池「2」の充電に切り替える。電流値「2」と電流値「3」は同じ値であるが、このような場合、電池IDが小さい方に切り換わる。
【0231】
電池「2」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「2」の充電を完了し、再び電池「1」の充電に切り替える。電流値「1」と電流値「3」は同じ値であるが、このような場合、電池IDが小さい方に切り換わる。
【0232】
電池「1」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「1」の充電も完了し、再び電池「3」の充電に切り替える。そして、電池「3」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「3」の充電も完了する。
【0233】
したがって、図示の通り、矢印A→E→B→C→F→I→D→G→Jの順で、電池「1」、電池「2」、電池「3」の充電が実施される。電池「1」、電池「2」、電池「3」の充電を交互に行なうと、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は変わらないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、各電池の充電がほぼ均等に進行するので、さらに効率がよくなる。
【実施例7】
【0234】
充電制御の他の変形例として、本充電を開始した後、充電中の電池の充電電流が、充電していない電池において取得した電流よりも小さくなったときに、一定時間経過してから充電する電池を切り替えるようにしてもよい。ここで、「一定時間」というヒステリシスを与えるのは、充電する電池が頻繁に切り替わらないように安定化するためである。
【0235】
図18Aには、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なうが、本充電では、充電中の電池の充電電流が、充電していない電池において取得した電流よりも小さくなってから一定時間経過したときに、充電する電池を切り替える。
【0236】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS1801)、電池「1」109の充電電流値「1」を取得し(ステップS1802)、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS1803)、電池「2」110の充電電流値「2」を取得する(ステップS1804)。基本充電制御の処理手順は、図8に示した通りである。
【0237】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0238】
本充電では、まず、現在の充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数nに代入する(ステップS1805)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0239】
次いで、電池「n」について基本充電制御を行なう(ステップS1806)。電池「n」の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が低下していく。電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回ると(ステップS1807のYes)、電池「n」の電流値「n」に0を代入して(ステップS1808)、充電が完了したことを示すとともに、一定時間を0にセットする(ステップS1809)。
【0240】
一方、電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値をまだ下回っていないときには(ステップS1807のNo)、電池「n」の電流値「n」にステップS1806の基本充電制御で取得した電流値を代入するとともに(ステップS1816)、一定時間に10分をセットする(ステップS1817)。一定時間は、充電する電池を切り替えるまでの待ち時間であるが、システムに合わせて任意に決めることができるものとする。
【0241】
すべての電池の電流値が0でない、すなわち、すべての電池の充電が完了していないときには(ステップS1810のNo)、現在の充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数mに代入する(ステップS1812)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0242】
mがnに等しいとき、すなわち、依然として電池「n」の充電電流が最も大きいときには(ステップS1813のYes)、ステップS1806に進み、電池「n」の充電動作を継続する。
【0243】
一方、mがnと一致しないとき、すなわち、電池「n」以外の電池「m」の充電電流が最も大きくなったときには(ステップS1813のNo)、続いて、ステップS1817で設定した一定時間が経過したかどうかをチェックする(ステップS1814)。
【0244】
まだ一定時間が経過していないときには(ステップS1814のNo)、ステップS1806に進み、電池「n」の充電動作を継続する。これに対し、電池「n」以外の電池「m」の充電電流が最も大きくなってから、一定時間が経過したときには(ステップS1814のYes)、nにmを代入して、ステップS1806に進み、電池「m」の充電動作に切り替える。
【0245】
そして、すべての電池の充電が完了すると(ステップS1810のYes)、「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS1811)、充電制御を終了する。
【0246】
図18Bのタイミング・チャートは、状態の異なる電池「1」と電池「2」について、図18Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。ここでは、充電する電池を切り替える一定時間すなわちヒステリシスとして10分が設定されているものとする。
【0247】
電池「1」は、初期状態では、USB充電の上限電流である1500mAが取得される。一方、電池「2」は、初期状態では充電電流が少しずつ減少しており、その充電電流「2」として400mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が高い電池「1」が先に充電される。
【0248】
電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定し、電池「1」の電流値「1」が電池「2」の電流値「2」よりも大きければ、電池「1」の充電が継続して行なわれる。
【0249】
電池「1」の充電がさらに進むと、その電流値「1」が電池「2」の電流値「2」である400mAを下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「1」の充電を停止して、電池「2」の充電に切り替える。このときの電池「1」の電流値「1」を220mAとする。
【0250】
電池「2」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「2」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定し、電池「2」の電流値「2」が電池「1」の電流値「1」よりも大きければ、電池「2」の充電が継続して行なわれる。
【0251】
電池「2」の充電がさらに進むと、その電流値「2」が電池「1」の電流値「1」である220mAを下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「2」の充電を停止して、電池「1」の充電に切り替える。このときの電池「2」の電流値「2」を110mAとする。
【0252】
電池「1」の充電が進むと、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定し、電池「1」の電流値「1」が電池「2」の電流値「2」よりも大きければ、電池「1」の充電が継続して行なわれる。
【0253】
電池「1」の充電がさらに進むと、その電流値「1」が電池「2」の電流値「2」である110mAを下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「1」の充電を停止して、電池「2」の充電に切り替える。このときの電池「1」の電流値「1」を70mAとする。
【0254】
電池「2」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「2」の充電を完了し、再び電池「1」の充電に切り替える。また、電池「1」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「1」の充電も完了する。
【0255】
したがって、図示の通り、矢印A→D→B→E→Cの順で、電池「1」並びに電池「2」の充電が実施される。電池「1」と電池「2」の充電を交互に行なうと、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は変わらないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、各電池の充電がほぼ均等に進行するので、さらに効率がよくなる。
【0256】
図19Aには、ディジタルカメラ本体101の制御部128が任意の個数の電池に対して行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なうが、本充電では、充電中の電池の充電電流が、充電していない電池において取得した電流よりも小さくなってから一定時間経過したときに、充電する電池を切り替える。
【0257】
テスト充電では、まず、テスト充電した電池の個数をカウントするための変数kに初期値1を代入して(ステップS1901)、電池「k」について基本充電制御を行なって(ステップS1903)、電池「k」の充電電流値「k」を取得し(ステップS1904)、kを1ずつ増分する(ステップS1905)、という処理を、kが電池個数に到達するまで(ステップS1902のYes)、繰り返し実行する。ステップS1903で行なう基本充電制御の処理手順は、図8に示した通りである。
【0258】
そして、kが電池個数に到達すると(ステップS1902のNo)、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0259】
本充電では、まず、テスト充電で取得した充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数nに代入する(ステップS1906)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0260】
次いで、電池「n」について基本充電制御を行なう(ステップS1907)。電池「n」の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が低下していく。電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回ると(ステップS1908のYes)、電池「n」の電流値「n」に0を代入して(ステップS19098)、充電が完了したことを示すとともに、一定時間を0にセットする(ステップS1910)。
【0261】
一方、電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値をまだ下回っていないときには(ステップS1908のNo)、電池「n」の電流値「n」にステップS1907の基本充電制御で取得した電流値を代入するとともに(ステップS1917)、一定時間に10分をセットする(ステップS1918)。一定時間は、充電する電池を切り替えるまでの待ち時間であるが、システムに合わせて任意に決めることができるものとする。
【0262】
すべての電池の電流値が0でない、すなわち、すべての電池の充電が完了していないときには(ステップS1911のNo)、現在の充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数mに代入する(ステップS1913)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0263】
mがnに等しいとき、すなわち、依然として電池「n」の充電電流が最も大きいときには(ステップS1914のYes)、ステップS1907に進み、電池「n」の充電動作を継続する。
【0264】
一方、mがnと一致しないとき、すなわち、電池「n」以外の電池「m」の充電電流が最も大きくなったときには(ステップS1914のNo)、続いて、ステップS1918で設定した一定時間が経過したかどうかをチェックする(ステップS1915)。
【0265】
まだ一定時間が経過していないときには(ステップS1915のNo)、ステップS1907に進み、電池「n」の充電動作を継続する。これに対し、電池「n」以外の電池「m」の充電電流が最も大きくなってから、一定時間が経過したときには(ステップS1915のYes)、nにmを代入して、ステップS1907に進み、電池「m」の充電動作に切り替える。
【0266】
上記の充電動作は、すべての電池の電流値が0となる、すなわち、すべての電池の充電が完了するまで(ステップS1911のNo)、繰り返し実行する。
【0267】
そして、すべての電池の充電が完了すると(ステップS1911のYes)、「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS1912)、充電制御を終了する。
【0268】
図19Bのタイミング・チャートは、3個の電池「1」、電池「2」、電池「3」について、図19Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。ここでは、ヒステリシスとしての一定時間に10分が設定されているものとする。
【0269】
テスト充電により、電池「1」、電池「2」、電池「3」の初期状態での充電電流を取得する。その結果、電池「1」の充電電流「1」として、USB充電の上限電流である1500mAが取得される。また、電池「2」、電池「3」は充電電流が少しずつ減少している状態であり、初期状態ではそれぞれ充電電流400mA、300mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が最も高い電池「1」が先に充電される。
【0270】
電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定する。そして、電流値「1」が電池「2」の電流値「2」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きいか、又は、一定時間が経過するまでは、電池「1」の充電が継続して行なわれる。
【0271】
電池「1」の充電がさらに進むと、電流値「1」が電池「2」の電流値「2」である400mAを下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「1」の充電を停止して、電池「2」の充電に切り替える。このときの電池「1」の電流値「1」を220mAとする。
【0272】
電池「2」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「2」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定する。そして、電流値「2」が電池「1」の電流値「1」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きいか、又は、一定時間が経過するまでは、電池「2」の充電が継続して行なわれる。
【0273】
電池「2」の充電がさらに進むと、電流値「2」が電池「3」の電流値「3」を下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「2」の充電を停止して、電池「3」の充電に切り替える。このときの電池「2」の電流値「2」を180mAとする。
【0274】
電池「3」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「3」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定する。そして、電流値「3」が電池「1」の電流値「1」及び電池「2」の電流値「2」よりも大きいか、又は、一定時間が経過するまでは、電池「3」の充電が継続して行なわれる。
【0275】
電池「3」の充電がさらに進むと、電流値「3」が電池「1」の電流値「1」を下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「3」の充電を停止して、電池「1」の充電に切り替える。このときの電池「3」の電流値「3」を100mAとする。
【0276】
電池「1」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定する。そして、電流値「1」が電池「2」の電流値「2」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きいか、又は、一定時間が経過するまでは、電池「1」の充電が継続して行なわれる。
【0277】
電池「1」の充電がさらに進むと、電流値「1」が電池「2」の電流値「2」を下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「1」の充電を停止して、電池「2」の充電に切り替える。このときの電池「1」の電流値「1」を100mAとする。
【0278】
電池「2」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「2」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定する。そして、電流値「2」が電池「1」の電流値「1」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きいか、又は、一定時間が経過するまでは、電池「2」の充電が継続して行なわれる。
【0279】
電池「2」の充電がさらに進むと、電流値「2」が電池「1」の電流値「1」及び電池「3」の電流値「3」を下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「2」の充電を停止して、電池「1」の充電に切り替える。電流値「1」と電流値「3」は同じ値であるが、このような場合、電池IDが小さい方に切り換わる。このときの電池「2」の電流値「2」を60mAとする。
【0280】
電池「1」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定する。そして、電流値「1」が電池「2」の電流値「2」を下回っても、一定時間10分は電池「1」の充電を継続して行ない、その間に充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「1」の充電を完了する。そして、この時点で最も電流値が高い電池「2」の充電に切り替える。
【0281】
電池「2」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「2」の充電も完了し、再び電池「3」の充電に切り替える。そして、電池「3」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「3」の充電も完了する。
【0282】
図示の通り、電池「1」、電池「2」、電池「3」の充電を交互に行なうと、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は変わらないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、各電池の充電がほぼ均等に進行するので、さらに効率がよくなる。
【実施例8】
【0283】
図7Aに示した充電制御の処理手順では、電池「1」109と電池「2」110の充電電流を単純に比較して、充電する順番を決定している。これは、充電電流が大きな電池から先に充電すると、充電電流積算値が大きくなり効率的である、という理由に依拠する。
【0284】
ところが、図20に示すリチウムイオン電池の充電特性を参照すると、充電初期に相当する定電流充電時と、充電電流が低下した充電終了に近い時期では、充電電流がほぼ同じになってしまう。図示の例では、充電初期の相当する状態Aでは充電電流が100mAであるのに対し、充電終了に近い状態Bでは充電電流が110mAとなり、ほぼ同じである。
【0285】
このような場合、充電電流がほぼ同じであっても、充電初期に相当する状態Aの電池の方を先に充電した方が、充電電流積算値が大きくなり効率的である。図20を再び参照すると、リチウムイオン電池は、充電時間(言い換えれば、充電容量)に応じて充電電圧が緩やかに上昇していく。したがって、充電電流に加え、充電電圧を比較することによって、充電の状態を把握することができる。
【0286】
そこで、電池「1」109と電池「2」110の充電電流がほぼ同じ場合には、各電池の電圧情報を使って充電の順番を決定するようにしてもよい。例えば、電池「1」109と電池「2」110の充電電流の差が50mA以下であれば、さらに各電池の電圧値を用いて充電の順番を判断する。この場合、各電池のテスト充電を行なうときに、充電電圧を併せて取得しておく。例えば、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、ADポート132で充電電圧を測定し、制御部128内部で記憶しておく。
【0287】
一方の電池が、充電電圧が低く定電流充電を行なっている状態Aで、充電電流が100mAであり、他方の電池が、満充電に近い状態Bで、充電電流が110mAの場合、充電電流の差は10mAで50mA以下であるから、充電電流の大小だけでは充電順序を決めない。充電電圧が小さい電池から順に充電する制御にすれば、状態Aの電池が先に充電され、より効率的である。
【0288】
電池「1」109と電池「2」110の充電電流がほぼ同じ場合に、充電電圧が小さい電池から順に充電することは、電流積算値が小さい(すなわち、電池容量が小さい)電池から順番に充電することに相当する。
【0289】
図21には、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なう。充電電流の差が一定値以下であれば、さらに各電池の電圧値を用いて充電の順番を判断する。
【0290】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS2101)、電池「1」109の充電電流値「1」と充電電圧値「1」を取得する(ステップS2102)。続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS2103)、電池「2」110の充電電流値「2」と充電電圧値「2」を取得する(ステップS2104)。
【0291】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0292】
本充電では、まず、テスト充電で取得した電池「1」109の充電電流値「1」と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値(例えば、50mA)を超えるかどうかをチェックする(ステップS2105)。
【0293】
電流値「1」109と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値以下であるときには(ステップS2105のNo)、テスト充電で取得した電池「1」109の充電電圧値「1」と電池「2」110の充電電圧値「2」を大小比較する(ステップS2106)。
【0294】
また、電池「1」109の充電電流値「1」109と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値を超えるときには(ステップS2105のYes)、充電電流値「1」109と充電電流値「2」を大小比較する(ステップS2107)。
【0295】
電圧値「1」の方が小さいとき(ステップS2106のYes)、又は、電流値「1」の方が大きいときには(ステップS2107のYes)、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2108)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回るまで(ステップS2109のNo)、継続して行なう。
【0296】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2109のYes)、電池「1」109の充電が完了したと判断し、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2110)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2111のNo)、継続して行なう。
【0297】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2111のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2112)、充電制御を終了する。
【0298】
一方、電圧値「2」の方が小さいとき(ステップS2106のNo)、又は、電流値「2」の方が大きいときには(ステップS2107のNo)、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2113)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2114のNo)、継続して行なう。
【0299】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2114のYes)、電池「2」110の充電が終了したと判断し、続いて、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2115)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2116のNo)、継続して行なう。
【0300】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2116のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2117)、充電制御を終了する。
【実施例9】
【0301】
リチウムイオン電池の充電を始めると、電池の内部インピーダンスによるジュール熱で、電池の温度が上昇することが知られている。また、電池の温度が高いと、電気用品安全法などの安全規格を満たすため、大きな充電電流を流すことができない。したがって、充電開始時に温度が高いと、最初は充電電流が大きくても、すぐに安全規格のための制御閾値(温度基準値)を超えてしまい、充電電流を抑えなければならなくなるため、充電の効率はかえって悪くなる。
【0302】
そこで、温度が基準値よりも大きい電池については、テスト充電時に取得した充電電流は無視して、温度の低い電池から先に充電するようにしてもよい。
【0303】
例えば、一方の電池が安全規格の電流閾値60℃に近い50℃である場合には、他方の電池から充電を行なうようにする。図22に示す例では、テスト充電で、一方の電池「1」は状態Aにあり、その充電電流が1500mA、温度が55℃であるのに対し、他方の電池「2」は状態Bにあり、その充電電流が200mA、温度が30℃であるとする。ここで、安全規格のための温度基準値50℃が設定されているとすると、電池「1」の温度は温度基準値を超えているので、充電電流では充電の順番を決定せず、温度基準値を超えていない電池「2」の方から充電を行なうようにする。
【0304】
図23には、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なう。電池の温度が基準値を超えていない場合のみ、充電電流を用いて充電の順番を判断する。
【0305】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS2301)、電池「1」109の充電電流値「1」と温度「1」を取得する(ステップS2302)。続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS2303)、電池「2」110の充電電流値「2」と温度「2」を取得する(ステップS2304)。
【0306】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0307】
本充電では、まず、電池「1」109の温度「1」及び電池「2」の温度「2」が温度基準値以下かどうかをチェックする(ステップS2305)。
【0308】
そして、電池「1」109の温度「1」及び電池「2」の温度「2」がともに温度基準値以下で(ステップS2305のYes)、且つ、電池「1」109の充電電流「1」の方が大きいとき(ステップS2307のYes)、又は、電池「1」109の温度「1」のみが温度基準値以下のときには(ステップS2306のYes)、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2308)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回るまで(ステップS2309のNo)、継続して行なう。
【0309】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2309のYes)、電池「1」109の充電が完了したと判断し、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2310)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2311のNo)、継続して行なう。
【0310】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2311のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2312)、充電制御を終了する。
【0311】
一方、電池「1」109の温度「1」及び電池「2」の温度「2」がともに温度基準値以下で(ステップS2305のYes)、且つ、電池「1」109の充電電流「2」の方が大きいとき(ステップS2307のNo)、又は、電池「2」109の温度「2」のみが温度基準値以下のときには(ステップS2306のNo)、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2313)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2314のNo)、継続して行なう。
【0312】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2314のYes)、電池「2」110の充電が終了したと判断し、続いて、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2315)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2316のNo)、継続して行なう。
【0313】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2316のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2317)、充電制御を終了する。
【実施例10】
【0314】
一方の電池が放電中で、ディジタルカメラ本体101に電源を供給している場合には、他方の放電していない電池から先に充電を行なうようにしてもよい。
【0315】
ディジタルカメラ本体101が、USBケーブル111が接続されていないで起動している場合には、写真撮影が可能な状態では、電池「1」109又は電池「2」110のいずれかから電力の供給を受けて動作している。この状態からディジタルカメラ本体101にUSBケーブル111を接続して充電を行なうと、正確に充電電流を測定することができず、図7Aに示したような処理手順で正常に充電制御できないおそれがある。このため、電力を供給していない電池から充電を行なうようにする。
【実施例11】
【0316】
図7Aに示した充電制御の処理手順では、電池「1」109と電池「2」110の充電電流を単純に比較して、充電する順番を決定している。これは、充電電流が大きな電池から先に充電すると、充電電流積算値が大きくなり効率的である、という理由に依拠する。
【0317】
ここで、電池「1」109と電池「2」110の充電電流がほぼ同じ場合には、満充電容量が大きい電池から順番に充電するようにしてもよい。例えば、電池「1」109と電池「2」110の充電電流の差が50mA以下であれば、さらに各電池の満充電容量を用いて充電の順番を判断する。電源の給電能力一杯で充電している場合、満充電容量が大きい電池から充電を行なうと、電源の給電能力一杯で充電できる時間が長い電池から先に充電されることになり、さらに効率よい充電を実現することができる。
【0318】
電池「1」109内のマイコン155と電池「2」110内のマイコン170には、出荷時にあらかじめ電池の満充電容量がそれぞれ記憶されているとする。このような場合、ディジタルカメラ本体110側の制御部120は、C端子による通信で、各電池の満充電容量を取得することができる。
【0319】
図24には、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なう。充電電流の差が一定値以下であれば、さらに各電池の満充電容量を用いて充電の順番を判断する。
【0320】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS2401)、電池「1」109の充電電流値「1」を取得するとともに(ステップS2402)、電池「1」109のマイコン155から満充電容量「1」を取得する(ステップS2403)。続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS2404)、電池「2」110の充電電流値「2」を取得するとともに(ステップS2405)、電池「2」110のマイコン170から満充電容量「2」を取得する(ステップS2406)。
【0321】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0322】
本充電では、まず、テスト充電で取得した電池「1」109の充電電流値「1」と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値(例えば、50mA)を超えるかどうかをチェックする(ステップS2407)。
【0323】
電流値「1」109と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値以下であるときには(ステップS2407のNo)、テスト充電で取得した電池「1」109の満充電容量「1」と電池「2」110の満充電容量「2」を大小比較する(ステップS2408)。
【0324】
また、電池「1」109の充電電流値「1」109と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値を超えるときには(ステップS2407のYes)、充電電流値「1」109と充電電流値「2」を大小比較する(ステップS2409)。
【0325】
満充電容量「1」の方が大きいとき(ステップS2408のYes)、又は、電流値「1」の方が大きいときには(ステップS2409のYes)、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2410)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回るまで(ステップS2411のNo)、継続して行なう。
【0326】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2411のYes)、電池「1」109の充電が完了したと判断し、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2412)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2413のNo)、継続して行なう。
【0327】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2413のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2414)、充電制御を終了する。
【0328】
一方、満充電容量「2」の方が大きいとき(ステップS2408のNo)、又は、電流値「2」の方が大きいときには(ステップS2408のNo)、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2415)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2416のNo)、継続して行なう。
【0329】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2416のYes)、電池「2」110の充電が終了したと判断し、続いて、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2417)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2418のNo)、継続して行なう。
【0330】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2418のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2419)、充電制御を終了する。
【実施例12】
【0331】
図7Aに示した充電制御の処理手順では、電池「1」109と電池「2」110の充電電流を単純に比較して、充電する順番を決定している。これは、充電電流が大きな電池から先に充電すると、充電電流積算値が大きくなり効率的である、という理由に依拠する。
【0332】
ここで、電池「1」109と電池「2」110の充電電流がほぼ同じ場合には、充放電回数が少ない電池から順番に充電するようにしてもよい。例えば、電池「1」109と電池「2」110の充電電流の差が50mA以下であれば、さらに各電池の充放電回数を用いて充電の順番を判断する。電源の給電能力一杯で充電している場合、充放電回数の少ない電池から充電を行なうと、電源の給電電力一杯で充電できる時間が長いから先に充電されることになり、さらに効率よい充電を実現することができる。また、より劣化していな電池が選ばれることになり、全体としての電池の劣化の進みを抑えることができる。
【0333】
電池「1」109内のマイコン155は、電流検出抵抗153により測定した充電電流を積算した値を保持し、満充電容量に達する度に充電回数をインクリメントさせて保持している。同様に、電池「2」110内のマイコン170は、電流検出抵抗168により測定した充電電流を積算した値を保持し、満充電容量に達する度に充電回数をインクリメントさせて保持している。そして、ディジタルカメラ本体110側の制御部120は、C端子による通信で、各電池から充放電回数を取得することができる。
【0334】
図25には、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なう。充電電流の差が一定値以下であれば、さらに各電池の充放電回数を用いて充電の順番を判断する。
【0335】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS2501)、電池「1」109の充電電流値「1」を取得するとともに(ステップS2502)、電池「1」109のマイコン155から充放電回数「1」を取得する(ステップS2503)。続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS2504)、電池「2」110の充電電流値「2」を取得するとともに(ステップS2505)、電池「2」110のマイコン170から充放電回数「2」を取得する(ステップS2506)。
【0336】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0337】
本充電では、まず、テスト充電で取得した電池「1」109の充電電流値「1」と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値(例えば、50mA)を超えるかどうかをチェックする(ステップS2507)。
【0338】
電流値「1」109と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値以下であるときには(ステップS2507のNo)、テスト充電で取得した電池「1」109の充放電回数「1」と電池「2」110の充放電回数「2」を大小比較する(ステップS2508)。
【0339】
また、電池「1」109の充電電流値「1」109と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値を超えるときには(ステップS2507のYes)、充電電流値「1」109と充電電流値「2」を大小比較する(ステップS2509)。
【0340】
充放電回数「1」の方が小さいとき(ステップS2508のYes)、又は、電流値「1」の方が大きいときには(ステップS2509のYes)、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2510)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回るまで(ステップS2511のNo)、継続して行なう。
【0341】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2511のYes)、電池「1」109の充電が完了したと判断し、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2512)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2513のNo)、継続して行なう。
【0342】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2513のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2514)、充電制御を終了する。
【0343】
一方、充放電回数「2」の方が大きいとき(ステップS2508のNo)、又は、電流値「2」の方が大きいときには(ステップS2508のNo)、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2515)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2516のNo)、継続して行なう。
【0344】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2516のYes)、電池「2」110の充電が終了したと判断し、続いて、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2517)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2518のNo)、継続して行なう。
【0345】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2518のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2519)、充電制御を終了する。
【0346】
本実施例の変形例として、電池「1」109と電池「2」110の充電電流がほぼ同じ場合には、製造年月日が新しい電池から順番に充電するようにしてもよい。電源の給電能力一杯で充電している場合、製造年月日が新しい電池から充電を行なうと、電源の給電電力一杯で充電できる時間が長いから先に充電されることになり、さらに効率よい充電を実現することができる。
【0347】
また、本実施例の他の変形例として、電池「1」109と電池「2」110の充電電流がほぼ同じ場合には、最後の使用年月日が古い電池から順番に充電するようにしてもよい。電源の給電能力一杯で充電している場合、最後の使用年月日が古い電池から充電を行なうと、電源の給電電力一杯で充電できる時間が長いから先に充電されることになり、さらに効率よい充電を実現することができる。
【0348】
このように、本明細書で開示する技術により2以上の電池について充電制御を行なうと、通常の状態の電池→電圧が低くて保護回路が働く電池、の順番で充電を行なうことになるので、効率のよい充電を実現することができる。
【0349】
また、本明細書で開示する技術により2以上の電池について充電制御を行なうと、通常の状態の電池→満充電に近い電池、の順番で充電を行なうことになるので、効率のよい充電を実現することができる。この場合、満充電に近い電池のみが繰り返し充電され劣化が進むことが起こり難くなるという効果もある。
【0350】
また、本明細書で開示する技術により2以上の電池について充電制御を行なうと、通常の状態の電池→低温電池、の順番で充電を行なうことになるので、効率のよい充電を実現することができる。
【0351】
また、本明細書で開示する技術により2以上の電池について充電制御を行なうと、通常の状態の電池→劣化電池、の順番で充電を行なうことになるので、効率のよい充電を実現することができる。この場合、劣化電池のみが繰り返し充電され劣化が進むことが起こり難くなるという効果もある。
【0352】
また、本明細書で開示する技術により2以上の電池について充電制御を行なうと、セルの並列数の多い組電池→セルの並列数の少ない組電池、の順番で充電を行なうことになるので、効率のよい充電を実現することができる。
【0353】
また、本明細書で開示する技術により2以上の電池について充電制御を行なうと、通常の状態の電池→安全規格で規制されるような温度状態の電池、の順番で充電を行なうことになるので、効率のよい充電を実現することができる。
【0354】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)各電池の充電電流を取得する電流取得部と、前記電流取得部で取得した充電電流の値に基づいて、各電池の本充電を行なう本充電部と、を具備する充電制御装置。
(2)前記本充電部は、充電電流が大きい順に各電池の本充電を行なう、上記(1)に記載の充電制御装置。
(3)前記本充電部は、充電電流の値に基づいて本充電を行なうと選択した電池が満充電になってから、残りの電池について、充電電流の値に基づいて本充電を行なう、上記(1)に記載の充電制御装置。
(4)前記電流取得部は、電池毎に短時間だけテスト充電を行なって、各々の充電電流を取得する、上記(1)に記載の充電制御装置。
(5)前記充電制御装置は、各電池からの放電電流を電源として使用する電子機器である、上記(1)に記載の充電制御装置。
(6)前記本充電部は、充電中の電池の充電電流が低下して、充電していない電池において取得した電流よりも一定値以上小さくなったときに、充電する電池を切り替える、上記(1)に記載の充電制御装置。
(7)前記本充電部は、充電中の電池の充電電流が低下して、充電していない電池において取得した電流よりも小さくなってから一定時間経過したときに、充電する電池を切り替える、上記(1)に記載の充電制御装置。
(8)各電池の電圧を取得する電圧取得部をさらに備え、前記本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記電圧取得部が取得した電圧が小さい電池から順に本充電を行なう、上記(1)に記載の充電制御装置。
(9)各電池の温度を取得する温度取得部をさらに備え、前記本充電部は、前記温度取得部が取得した温度が基準値を超える電池を除いて、充電電流が大きい順に各電池の本充電を行なう、上記(1)に記載の充電制御装置。
(10)各電池の満充電容量を取得する満充電容量取得部をさらに備え、前記本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記満充電容量取得部で取得した満充電容量が大きい電池の順番に本充電を行なう、上記(1)に記載の充電制御装置。
(11)各電池の充放電回数を取得する充放電回数取得部をさらに備え、前記本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記充放電回数取得部で取得した充放電回数が少ない電池の順番に本充電を行なう、上記(1)に記載の充電制御装置。
(12)各電池の充電電流を取得する電流取得ステップと、前記電流取得ステップで取得した充電電流の値に基づいて、各電池の本充電を行なう本充電ステップと、を有する充電制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0355】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0356】
本明細書で開示する技術は、ディジタルカメラや、その他の一般的な電子機器が2個以上の電池を同時に充電する場合に適用することができる。例えば、専用充電器や、パーソナル・コンピューター、携帯電話、携帯音楽再生機、自動車、鉄道車両、船舶、航空機、人工衛星、ロボット、住宅、照明器具、医療機器、測定器、工作機械、テレビ、ラジオ、無線機、非常用電源など、複数の2次電池を用いるさまざまな電子機器に対し、同様に本明細書で開示する技術を適用することができる。
【0357】
また、本明細書で開示する技術は、リチウムイオン電池でなく、ニッケル水素電池、ニッケル・カドミウム電池、鉛電池などその他の一般的な2次電池の充電にも適用することができる。
【0358】
また、本明細書で開示する技術は、商用電源の他、手回し発電機や、内燃機関による発電機、1次電池、2次電池、太陽電池、他の電子機器などを利用することができ、手回し発電機や、内燃機関による発電機、1次電池、2次電池、太陽電池、他の電子機器などからの電力を直流定電圧に変換すればよい。
【0359】
要するに、例示という形態により本明細書で開示する技術について説明してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本明細書で開示する技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0360】
101…ディジタルカメラ、102…電池フォルダー、
103…縦位置グリップ、104…結合部
105…シャッター・ボタン、106…シャッター・ボタン
107…電池フォルダー、108…電池フォルダー
109…電池「1」、110…電池「2」
111…USBケーブル、112…デバイス側端子、113…ホスト側端子
114…USB充電器、115…ACプラグ、116…商用電源ソケット
117…整流回路、118…VBUS端子、119…D+端子
120…D−端子、121…GND端子、122…VBUS端子
123…D+端子、124…D−端子、125…GND端子
126…定電圧回路、127…スイッチ、128…制御部、129…信号線
130…定電流回路、131…+端子、132…ADポート
134…1/2端子、135…信号線、136…C端子
138…スイッチ、139…スイッチ、140…+端子、141…+端子
142…+端子、146…1/2端子、147…−端子、148…−端子
149…−端子、150、151…電池セル、152…+端子
153…電流検出抵抗、154…−端子、155…マイコン、157…GND
158…ADポート、159…ADポート、160…ADポート
161…ADポート、162…ADポート、163…サーミスター
164…C端子、165、166…電池セル、167…+端子
168…電流検出抵抗、169…−端子、170…マイコン、172…GND
173…ADポート、174…ADポート、175…ADポート
176…ADポート、177…ADポート、178…サーミスター
179…C端子、181…入出力ポート、183…CPU
184…入力バッファー、185…出力バッファー、186…出力FET
187…プルアップ抵抗、188…プルアップ・ダイオード、189…CPU
190…入力バッファー、191…出力バッファー、193…プルアップ抵抗
194…プルアップ・ダイオード、195…CPU、196…入力バッファー
197…出力バッファー、198…出力FET、199…プルアップ抵抗
200…プルアップ・ダイオード
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、携帯用の電子機器の主電源に用いられる2次電池のへ充電動作を制御する充電制御装置及び充電制御方法に係り、特に、複数の2次電池への充電動作を制御する充電制御装置及び充電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディジタルカメラやパーソナル・コンピューター(PC)、携帯電話、タブレットなど、携帯用の電子機器が広範に普及している。この種の電子機器は、基本的にはバッテリーを主電源とする。電子機器に利用されるバッテリーの多くは2次電池であり、容量が低下すると商用電源を用いて何度でも再利用することができる。例えば、リチウムイオン電池は、体積当たり、及び、重量当たりの容量が大きいため、携帯用の機器には適していると考えられる。
【0003】
例えばディジタルカメラのように、屋外のように商用電源がなく、すぐには充電できない場所で使用されることが想定される機器の場合、バッテリーを効率的に充電する方法が求められる。また、充電できない場所でも長時間駆動するために、バッテリーは機器に内蔵される他、機器外部に拡張用バッテリーが接続されることもある。例えば、ディジタル一眼レフカメラの縦位置撮影用にアクセサリーである「縦位置グリップ」は、複数の電池を内蔵することができる(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0004】
図9には、リチウムイオン電池の充電特性を示している。同図は、電池セル2個を直列接続した電池パックの特性例であり、横軸は時間軸、縦軸は充電電流並びに充電電圧(電池電圧)である。ここでは、電池パック2個分の電池電圧に相当する8.4Vの定電圧電源で充電するものとする。
【0005】
小容量である初期充電時には、電池電圧(出力電池電圧)が低い状態であり、大電流で充電を行なうと、電池が発熱したり劣化したりするおそれがある。このため、保護回路を設けて小電流で充電する必要がある。図9に示す例では、この初期充電時の充電電流100mAに保ち、定電流すなわち定電力で充電を行なう。
【0006】
充電により容量がある程度貯まると、電池電圧は徐々に上がっていく。そして、充電電圧が6Vに到達すると、大電流で充電を行なっても、発熱や劣化が発生することがないので、充電電流を増大して、効率化する。図9に示す例では、1500mAの充電電流で、定電流すなわち定電力充電を行なう。
【0007】
その後、さらに充電が進行すると、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなるため、充電電流は徐々に低下していく。図9に示す例では、充電電流が低下して、50mAに到達した時点で充電完了とする。図示の充電曲線を時間方向に積分して得られた面積は、電池の充電容量に相当する。
【0008】
以上をまとめると、リチウムイオン電池などの2次電池においては、充電電圧と充電電流には一定の関係があり、充電時には以下のような前提があるということができる。
【0009】
(前提1)電池電圧が低い場合、大電流で充電を行なうと、電池の発熱や劣化が発生するため、保護回路を設けて小電流で充電する必要がある。逆に電池電圧が高い場合、電源電圧と電池電圧の電位差が小さくなるため、充電電流が小さくなる。
【0010】
また、リチウムイオン電池などの2次電池の充電時における他の前提について以下に挙げておく。
【0011】
(前提2)低温の場合、常温に比べて内部インピーダンスが大きくなるので、充電電流が小さくなる。
【0012】
(前提3)充放電を繰り返すと、新品に比べて内部インピーダンスが大きくなるので、充電電流が小さくなる。充電電流を繰り返して内部インピーダンスが大きくなることは、電池が「劣化」したことに相当する。リチウムイオン電池などの2次電池は、満充電状態で放置した場合、容量の半分くらい充電されて放置された場合に比べ、劣化し易い。
【0013】
(前提4)電子機器用の電池は、複数の電池セルを接続した「組電池」として構成されることが多い。電池セルを並列に接続すると、1セルだけの電池に比べて、大電流で充電することができる。
【0014】
(前提5)リチウムイオン電池などの2次電池は、電気用品安全法などの安全規格を満たすため、保護回路を設けて、高温や低温で充電する場合に充電電圧を下げなければならない。このため、充電電流は小さくなる。また、電気用品安全法などの安全規格を満たすため、保護回路を設けて電流制限を行なうため、充電電流が小さくなることがある。
【0015】
(前提6)充電電源は、USB(Universal Serial Bus)やACアダプターなどさまざまである。充電電源毎に電源供給能力はさまざまであり、同じ電池電圧の同じ電池を充電する場合でも、充電電流が異なる。
【0016】
(前提7)1つの充電器を用いて複数の電池を順番に充電する場合、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は、充電順序に依らない。但し、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合、充電電流の大きな電池→充電電流の小さな電池の順番で充電した方が、充電電流の小さな電池→充電電流の大きな電池の順番で充電するよりも、充電電流積算値、すなわちすべての電池合計の充電量は大きくなり、効率的である。本明細書中では、特に断りがない限り、充電の「効率」という用語をこの意味で使用する。
【0017】
複数の電池を順番に充電する充電器については既に知られている。例えば、ソニー株式会社製の充電器AC−VQ900AMは、ディジタル一眼レフカメラ用の2個のバッテリーパックをリレー式に充電する(例えば、非特許文献1を参照のこと)。この充電器は、番号1、2の2個のソケットを持ち、各ソケットにバッテリーパックを同時に挿したときには、番号1のソケットに挿したバッテリーパックから充電を行なう。また、2個のバッテリーパックを指した状態で充電を開始したときには、番号1のソケットに挿したバッテリーパックから充電を行なう。
【0018】
また、充電許可/禁止情報を書き込める記憶装置を内部に持つ電池ユニットを充電する充放電方法について提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。この充放電方法によれば、充電器は、電池ユニットから充電許可/禁止情報を読み出して充電順序を決め、また、充電状況に応じて電池ユニットに充電許可/禁止情報を書き込むようになっている。
【0019】
また、複数の充電電池の各々の電圧(充電量)を測定し、電圧が大きい又は小さい充電電池から順に充電する充電器について提案がなされている(例えば、特許文献3を参照のこと)。
【0020】
また、複数の電池すべてを実用充電状態にしてから満充電にする充電方法若しくは装置について提案がなされている。ここで言う「実用充電状態」とは、充電を続けてもあまり容量が増えなくなる状態である。実用充電の判断は、充電電流値が閾値以下になることで判定する方法(例えば、特許文献4を参照のこと)や、電流積算値又は電力(=充電電流×電圧)積算値で判定する方法(例えば、特許文献5を参照のこと)が挙げられる。
【0021】
また、複数の電池について、根初期充電を完了した後に急速充電を行なう順番を決める充電器について提案がなされている(例えば、特許文献6を参照のこと)。この充電器は、定電流で初期充電を行なうようになっている。
【0022】
しかしながら、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、電圧が低くて保護回路が働く電池→通常状態の電池の順番で充電を行なうと、効率のよい充電ができない、という問題がある。
【0023】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、満充電に近い電池→通常状態の電池の順番で充電を行なうと、効率のよい充電を行なうことができない、という問題がある。但し、特許文献2に記載の技術では、充電履歴情報を電池の記憶領域に書き込んでおくことになり、この問題に陥るのをある程度防ぐことができる。
【0024】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、低温の電池→通常状態の電池の順番に充電を行なうと、効率のよい充電を行なうことができない、という問題がある。
【0025】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、劣化した電池→通常状態の電池の順番に充電を行なうと、効率のよい充電を行なうことができない、という問題がある。但し、特許文献2に記載の技術では、充電履歴情報を電池の記憶領域に書き込んでおくことになり、この問題に陥るのをある程度防ぐことができる。
【0026】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、並列接続した電池セル数の少ない組電池→並列接続した電池セル数の多い組電池の順番に充電を行なうと、効率のよい充電を行なうことができない、という問題がある。但し、特許文献2に記載の技術では、充電履歴情報を電池の記憶領域に書き込んでおくことになり、この問題に陥るのをある程度防ぐことができる。
【0027】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、安全規格で規制されるような温度状態の電池→通常状態の電池の順番に充電を行なうと、効率のよい充電を行なうことができない、という問題がある。
【0028】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、満充電に近い電池→通常状態の電池の順番で充電を行なうと、満充電に近い電池のみが繰り返し充電され、劣化が進むことが起こり易い。例えば特許文献3に記載の技術では、電圧(充電量)が大きな電池から充電を行なう場合に、この問題に陥る。
【0029】
また、非特許文献1、特許文献2〜6に記載の技術では、劣化した電池→通常状態の電池の順番で充電を行なうと、劣化した電池のみが繰り返し充電され、劣化が進むことが起こり易い。但し、特許文献2に記載の技術では、充電履歴情報を電池の記憶領域に書き込んでおくことになり、この問題に陥るのをある程度防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開2009−58921号公報
【特許文献2】特許第3890168号公報
【特許文献3】特開平4−244742号公報
【特許文献4】特許第4068275号公報
【特許文献5】特許第3571536号公報
【特許文献6】特許第3011840号公報
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】http://www.sony.jp/ichigan/products/AC−VQ900AM/index.html(平成23年10月11日現在)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本明細書で開示する技術の目的は、複数の2次電池への充電動作を好適に制御することができる、優れた充電制御装置及び充電制御方法を提供することにある。
【0033】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、複数の2次電池への充電を、適切な順番により効率的に行なうことができる、優れた充電制御装置及び充電制御方法を提供することにある。
【0034】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、充電量や温度状態、劣化の度合い、並列接続した電池セル数などがまちまちである複数の2次電池への充電を、適切な順番により効率的に行なうことができる、優れた充電制御装置及び充電制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
各電池の充電電流を取得する電流取得部と、
前記電流取得部で取得した充電電流の値に基づいて、各電池の本充電を行なう本充電部と、
を具備する充電制御装置である。
【0036】
本願の請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、本充電部が、充電電流の大きい順に各電池の本充電を行なうように構成されている。
【0037】
本明細書で開示する技術は、例えば図26に示すような、電子機器と、この電子機器を給電する電源と、電子機器に接続される複数の電池で構成されるシステムにおいて、電子機器が電源から給電された電流を用いて複数の電池へ充電する制御に用いられる。充電制御装置としての電子機器は、各々の電池を数秒ずつテスト充電して、充電電流を確認する。そして、テスト充電して得られた充電電流が大きな電池から順に充電を行なう。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流積算値、すなわちすべての電池合計の充電量は大きくなり、効率的である。
【0038】
本願の請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、本充電部が、充電電流の値に基づいて本充電を行なうと選択した電池が満充電になってから、残りの電池について、充電電流の値に基づいて本充電を行なうように構成されている。
【0039】
本願の請求項4に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、電流取得部が、電池毎に短時間だけテスト充電を行なって、各々の充電電流を取得するように構成されている。
【0040】
本願の請求項5に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、本充電部が、充電中の電池の充電電流が低下して、充電していない電池において取得した電流よりも一定値以上小さくなったときに、充電する電池を切り替えるように構成されている。
【0041】
本願の請求項6に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、本充電部が、充電中の電池の充電電流が低下して、充電していない電池において取得した電流よりも小さくなってから一定時間経過したときに、充電する電池を切り替えるように構成されている。
【0042】
本願の請求項7に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、
【0043】
本願の請求項8に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、各電池の電圧を取得する電圧取得部をさらに備えている。そして、本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記電圧取得部が取得した電圧が小さい電池から順に本充電を行なうように構成されている。
【0044】
本願の請求項9に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、各電池の温度を取得する温度取得部をさらに備えている。そして、本充電部は、前記温度取得部が取得した温度が基準値を超える電池を除いて、充電電流が大きい順に各電池の本充電を行なうように構成されている。
【0045】
本願の請求項10に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、各電池の満充電容量を取得する満充電容量取得部をさらに備えている。そして、本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記満充電容量取得部で取得した満充電容量が大きい電池の順番に本充電を行なうように構成されている。
【0046】
本願の請求項11に記載の技術によれば、請求項1に記載の充電制御装置は、各電池の充放電回数を取得する充放電回数取得部をさらに備えている。そして、本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記充放電回数取得部で取得した充放電回数が少ない電池の順番に本充電を行なうように構成されている。
【0047】
また、本願の請求項12に記載の発明は、
各電池の充電電流を取得する電流取得ステップと、
前記電流取得ステップで取得した充電電流の値に基づいて、各電池の本充電を行なう本充電ステップと、
を有する充電制御方法である。
【発明の効果】
【0048】
本明細書で開示する技術によれば、複数の2次電池への充電を、適切な順番により効率的に行なうことができる、優れた充電制御装置及び充電制御方法を提供することができる。
【0049】
また、本明細書で開示する技術によれば、充電量や温度状態、劣化の度合い、並列接続した電池セル数などがまちまちである複数の2次電池への充電を、適切な順番により効率的に行なうことができる、優れた充電制御装置及び充電制御方法を提供することができる。
【0050】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、縦位置グリップ付きのディジタル一眼レフカメラの構成例を示した図である。
【図2】図2は、図1に示した縦位置グリップ103付きのディジタルカメラ101の使用形態を示した図である。
【図3A】図3Aは、USB充電器114と、ディジタルカメラ本体101と、縦位置グリップ103と、電池109、110からなる充電システムの電気回路のブロック図である。
【図3B】図3Bは、USB充電器114と、ディジタルカメラ本体101と、縦位置グリップ103と、電池109、110からなる充電システムの電気回路のブロック図である。
【図4】図4は、ディジタルカメラ101と電池「1」109、電池「2」110間の通信回路図である。
【図5】図5は、ディジタルカメラ本体101側の制御部128と、電池「1」109のマイコン155間で通信を行なうときのタイミング・チャートである。
【図6】図6は、ディジタルカメラ本体101の制御部128と電池「1」109のマイコン155の間で交換される通信データの内容を示した図である。
【図7A】図7Aは、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図7B】図7Bは、状態の異なる電池「1」と電池「2」について、図7Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したタイミング・チャートである。
【図8】図8は、電池を基本充電制御する処理手順を示したフローチャートである。
【図9】図9は、リチウムイオン電池の充電特性を示した図である。
【図10】図10は、リチウムイオン電池の温度特性を示した図である。
【図11】図11は、リチウムイオン電池の充電特性の、電池の劣化による影響を示した図である。
【図12】図12は、リチウムイオン電池の充電特性の、電池容量による影響を示した図である。
【図13】図13は、リチウムイオン電池の充電特性の、セルの並列数による影響を示した図である。
【図14A】図14Aは、温度制限下でのリチウムイオン電池の充電特性を示した図である。
【図14B】図14Bは、温度制限が働いている電池「1」と温度制限が働いていない電池「2」について、図14Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を示したタイミング・チャートである。
【図15A】図15Aは、ディジタルカメラ本体101の制御部128が任意の個数の電池に対して行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図15B】図15Bは、3個の電池「1」、電池「2」、電池「3」について、図15Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を示したタイミング・チャートである。
【図16A】図16Aは、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図16B】図16Bは、状態の異なる電池「1」と電池「2」について、図16Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したタイミング・チャートである。
【図17A】図17Aは、ディジタルカメラ本体101の制御部128が任意の個数の電池に対して行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図17B】図17Bは、3個の電池「1」、電池「2」、電池「3」について、図17Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したタイミング・チャートである。
【図18A】図18Aは、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図18B】図18Bは、状態の異なる電池「1」と電池「2」について、図18Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したタイミング・チャートである。
【図19A】図19Aは、ディジタルカメラ本体101の制御部128が任意の個数の電池に対して行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図19B】図19Bは、3個の電池「1」、電池「2」、電池「3」について、図19Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したタイミング・チャートである。
【図20】図20は、リチウムイオン電池の充電特性を示した図である。
【図21】図21は、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図22】図22は、リチウムイオン電池の充電特性を示した図である。
【図23】図23は、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図24】図24は、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図25】図25は、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図26】図26は、本明細書で開示する技術に係るシステム構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0053】
例えばディジタルカメラのように、屋外のように商用電源がなく、すぐには充電できない場所で使用されることが想定される機器の場合、バッテリーを効率的に充電する方法が求められる。また、充電できない場所でも長時間駆動するために、バッテリーは機器に内蔵される他、機器外部に拡張用バッテリーが接続されることもある。ディジタル一眼レフカメラにおいては、人物の撮影時などにカメラ本体をほぼ90度横倒しにして縦位置撮影を行なうことがあるが、慣れないとホールディングか難しく、シャッター操作する際に手振れし易い。「縦位置グリップ」は、一眼レフカメラの本体下部に取り付けられるアクセサリーであり、縦位置撮影用のシャッター・ボタンやコントロール・ダイヤルなどを装備し、カメラ本体を90度横倒しにしても、手首を無理に曲げることなく自然な体勢で縦位置撮影を行なうことができる。ほとんどの縦位置グリップは複数の電池を内蔵することができる。
【0054】
図1には、縦位置グリップ付きのディジタル一眼レフカメラの構成例を示している。
【0055】
ディジタルカメラ本体101には、電池フォルダー102が設けられている。通常は、電池フォルダー102に電池(図示しない)を挿入し、その電池の電力によってディジタルカメラ本体101を動作させる。これに対し、図示の例では、縦位置グリップ103の結合部104を電池フォルダー102に挿入して、ディジタルカメラ本体101に接続する。縦位置グリップ103をディジタルカメラ本体101に接続すると、ディジタルカメラ本体101のシャッター・ボタン105の他に、縦位置グリップ103のシャッター・ボタン106を押下しても撮影できるようになる。縦位置グリップ103のシャッター・ボタン106を使うと、ディジタルカメラ本体101を縦位置に構えて撮影するときに、カメラが安定して、撮影が容易になる。
【0056】
縦位置グリップ103には、2個の電池フォルダー107、108が設けられている。縦位置グリップ103をディジタルカメラ本体101に接続して使用する場合は、電池フォルダー107に挿入した電池と、電池フォルダー108に挿入した電池の2個の電池からの電力を、結合部104及びディジタルカメラ本体101側の電池フォルダー102を介して、ディジタルカメラ本体101に供給して、ディジタルカメラ本体101を動作させる。
【0057】
図2には、図1に示した縦位置グリップ103付きのディジタルカメラ101の使用形態を図解している。
【0058】
ディジタルカメラ本体101には、縦位置グリップ103が接続されている。縦位置グリップ103の電池フォルダー107、108には、電池「1」109、電池「2」110がそれぞれ挿入されている。後述するように、ディジタルカメラ本体101の充電制御により、これらの電池「1」109、電池「2」110に対して充電が行なわれる。
【0059】
一方、ディジタルカメラ本体101には、USBケーブル111のデバイス側端子112が接続されている。また、USBケーブル111のホスト側端子113は、USB充電器114に接続されている。USB充電器114には、ACプラグ115が付いており、商用電源ソケット116に接続されている。電池「1」109、電池「2」110の充電のための電力は、商用電源ソケット116からUSB充電器114とUSBケーブル111を介して、ディジタルカメラ本体101に供給される。
【0060】
図3A及び図3Bには、図2に示した、USB充電器114と、ディジタルカメラ本体101と、縦位置グリップ103と、電池「1」109、電池「2」110からなる充電システムの電気回路のブロック図を示している。
【0061】
USB充電器114内では、ACプラグ115から供給されたAC100Vの電流は、整流回路117によってDC5Vに変換される。
【0062】
USBケーブル111のVBUS端子118には、整流回路117で変換されたDC5Vが出力される。USBケーブル111のD+端子119とD−端子120は、USB充電器114内で短絡されている。USBケーブル111のGND端子121は、整流回路117のGNDレベルに接続されている。
【0063】
ディジタルカメラ本体101内では、VBUS端子122から供給されたDC5Vは、定電圧回路126でDC8.4Vに変換され、スイッチ127に出力される。また、供給されたDC5Vは、定電圧回路126でDC3Vに変換され、マイクロコンピューターなどからなる制御部128に供給される。
【0064】
制御部128は、VBUS端子122から十分に電流が供給できるかどうかを確認する。その際、USB規格でD+端子とD−端子間の抵抗値が220Ω以下であれば、十分な電流1.5Aを供給できると定められていることを利用する。制御部128の入出力ポートは、D+端子123とD−端子124に接続されている。D+端子123にHighを出力したときにD−端子124への入力がHigh、D+端子123にLowを出力したときにD−端子124への入力がLowであれば、制御部128は、VBUS端子122から十分に電流が供給できると判断して、充電制御を開始する。
【0065】
制御部128は、信号線129を使ってスイッチ127のオン/オフを制御する。スイッチ127により、定電圧回路126から出力されるDC8.4Vは、定電流回路130を介して+端子131に出力されるか、直接+端子131に出力されるかの切り替えを行なう。定電流回路130は、充電電流を100mA以上流さないように制限する回路である。
【0066】
制御部128は、ADポート132により、+端子131での電圧を測定することができる。
【0067】
制御部128は、電池「1」109又は電池「2」110のいずれを充電するかを切り替える切り替え信号133を出力する。この切り替え信号133は、1/2端子134から縦位置グリップ103へ出力される。
【0068】
制御部128は、信号線135により電池「1」109又は電池「2」110と通信を行なう。信号線135は、C端子136に接続されている。
【0069】
制御部128は、USB側のGND端子125を、GNDレベルにしている。また、GND端子125は、電池側の−端子37にも接続されている。
【0070】
縦位置グリップ103内には、スイッチ138とスイッチ139が配設されている。
【0071】
スイッチ138は、+端子140から供給された電流を、電池「1」109又は電池「2」110のいずれに供給するかを切り替える。電池「1」109に供給する場合、+端子140と+端子141を接続する。また、電池「2」110に供給する場合、+端子140と+端子142を接続する。
【0072】
スイッチ139は、制御部128が電池「1」109又は電池「2」110のいずれと通信を行なうかを切り替える。制御部128が電池「1」109と通信を行なう場合、C端子143とC端子144を接続する。また、制御部128が電池「2」110と通信を行なう場合、C端子143とC端子145を接続する。
【0073】
スイッチ138及びスイッチ139は、1/2端子146からの切り替え信号により、電池「1」109又は電池「2」110のいずれに接続するかの切り替えを行なう。
【0074】
−端子147は、電池「1」109側の−端子148及び電池「2」110側の−端子149に直結されている。
【0075】
電池「1」109内では、2個の電池セル150、151が直列に接続されている。電池セル150の正極は+端子152に接続され、電池セル151の負極は電流検出用の抵抗153を介して−端子154に接続されている。
【0076】
電池「1」109は、マイコン155を備えている。マイコン155は、電池セル150の正極から給電156を受け、電池セル151の負極からGND157をとっている。
【0077】
マイコン155は、ADポート158で電池セル150及び電池セル151の合計電圧を測定し、ADポート159で電池セル150と電池セル151間の中間電圧を測定する。
【0078】
また、マイコン155は、ADポート160とADポート161で電流検出抵抗153の両端の電圧(電位差)を測定すると、測定した電位差を電流検出抵抗153の抵抗値で割って、電池セル150及び電池セル151に流れ込む充電電流を計算する。
【0079】
また、マイコン155は、ADポート162でサーミスター163の一方の電池電圧を測定する。サーミスター163の他方の端子はGND157に接続されている。ADポート162は、マイコン155内部で固定抵抗(図示しない)により基準電圧にプルアップされている。したがって、ADポート162で測定される電圧は、電池109内部の温度により変化する。マイコン155は、ADポート162で測定される電圧と温度の関係を記述したテーブルをあらかじめ記憶しており、ADポート162で測定される電圧から温度を求める。
【0080】
そして、マイコン155は、上記により測定された電圧、電流、及び温度の情報を、C端子164からデータとして出力することができる。
【0081】
一方、電池「2」110内では、2個の電池セル165、166が直列に接続されている。電池セル165の正極は+端子167に接続され、電池セル166の負極は電流検出用の抵抗168を介して−端子169に接続されている。
【0082】
電池「2」110は、マイコン170を備えている。マイコン170は、電池セル165の正極から給電171を受け、電池セル166の負極からGND172をとっている。
【0083】
マイコン170は、ADポート173で電池セル165及び電池セル166の合計電圧を測定し、ADポート174で電池セル165と電池セル166間の中間電圧を測定する。
【0084】
また、マイコン170は、ADポート175とADポート176で電流検出抵抗168の両端の電圧(電位差)を測定すると、測定した電位差を電流検出抵抗168の抵抗値で割って、電池セル165及び電池セル166に流れ込む充電電流を計算する。
【0085】
また、マイコン170は、ADポート177でサーミスター178の一方の電池電圧を測定する。サーミスター178の他方の端子はGND172に接続されている。ADポート177は、マイコン170内部で固定抵抗(図示しない)により基準電圧にプルアップされている。したがって、ADポート177で測定される電圧は、電池110内部の温度により変化する。マイコン170は、ADポート177で測定される電圧と温度の関係を記述したテーブルをあらかじめ記憶しており、ADポート177で測定される電圧から温度を求める。
【0086】
そして、マイコン170は、上記により測定された電圧、電流、及び温度の情報を、C端子179からデータとして出力することができる。
【0087】
使用時には、ACプラグ115は商用電源ソケット116に接続されている。また、USB充電器117のVBUS端子118、D+端子119、D−端子120、GND端子121は、USBケーブル111によって、ディジタルカメラ本体101側のVBUS端子122、D+端子123、D−端子124、GND端子125にそれぞれ接続されている。また、ディジタルカメラ本体101には縦位置グリップ103が接続されており、ディジタルカメラ本体101側の+端子131、1/2端子134、C端子136、−端子137は縦位置グリップ103側の+端子140、1/2端子146、C端子143、−端子147にそれぞれ接続されている。また、縦位置グリップ103には、電池「1」109及び電池「2」110が装着されており、縦位置グリップ103の+端子141、C端子144、−端子148は電池「1」109の+端子152、C端子164、−端子154にそれぞれ接続され、縦位置グリップ103の+端子142、C端子145、−端子149は電池「2」110の+端子167、C端子179、−端子169にそれぞれ接続されている。
【0088】
なお、給電は、USBケーブル111を介してUSB充電器114から行なうことに限定されず、定電圧の直流を供給できるものであればよい。ディジタルカメラ本体101の定電圧回路126で十分に最適な電圧に変換することができるので、USB規格の5Vでなくても、本明細書で開示する技術を実施することができる。
【0089】
また、電源は商用電源116である必要はない。電源は、交流電源でも、直流電源でもよく、USB充電器114内の整流回路で定電圧に変換すれば、本明細書で開示する技術を実施することができる。勿論、手回し発電機や、内燃機関による発電機、1次電池、2次電池、太陽電池、他の電子機器など、電力を供給できるものであれば、商用電源116に代わる電源として利用することができる。
【0090】
また、電池「1」、電池「2」は、2セルを直列したものに限定されず、1セルだけのものでも、3セル以上を直列したものでもよい。
【0091】
また、図3に示した構成例では、電池「1」、電池「2」の温度を測定するために、サーミスター163、178をそれぞれ電池「1」、電池「2」内に配設しているが、電池の外に取り付けるように構成することもできる。例えば、縦位置グリップ103の電池「1」、電池「2」用の各電池フォルダー107、108にサーミスターをそれぞれ配設し、ディジタルカメラ本体101の制御部128のADポートで各サーミスターの電圧値を測定してサーミスターの温度を計算するようにしてもよい。この場合、材料の比熱と熱源の場所から求めた電池フォルダー107、108の温度とを電池「1」、電池「2」のルックアップテーブルから、を電池「1」、電池「2」の温度に換算することができ、その温度を用いて電流制限を行なうようにすればよい。なお、縦位置グリップ103を用いず、ディジタルカメラ本体101に電池「1」、電池「2」を直接挿入する構成を採用する場合には、ディジタルカメラ本体101に設けられた各電池フォルダー(図示しない)にサーミスターを取り付ければ、同様の電流制限処理を行なうことが可能である。
【0092】
また、図3に示した構成例では、電池「1」、電池「2」の充電電流を測定するための抵抗153、168をそれぞれ電池「1」、電池「2」内に配設しているが、電池の外に取り付けるように構成することもできる。例えば、縦位置グリップ103のGND線に抵抗153、168を直列に接続するようにしてもよい。この場合、ディジタルカメラ本体101の制御部128のADポートで、抵抗153、168の両端の電圧を測定し、測定した電位差を抵抗153、168の抵抗値で割り算することで充電電流を求め、後述する充電制御に使用することができる。
【0093】
あるいは、ディジタルカメラ本体101のGND線に抵抗153、168を直列に接続するようにしてもよい。この場合も、ディジタルカメラ本体101の制御部128のADポートで、抵抗153、168の両端の電圧を測定し、測定した電位差を抵抗153、168の抵抗値で割り算することで充電電流を求め、後述する充電制御に使用することができる。
【0094】
また、図3に示した構成例では、電池「1」、電池「2」の充電切り替えを行なうためのスイッチ138、139を、縦位置グリップ103内に配設しているが、ディジタルカメラ本体101にこれらのスイッチ138、139を配設するように構成することもできる。
【0095】
また、図3に示した構成例では、充電電流を制限する(上記の「前提1」を満たすための)定電流回路130をディジタルカメラ本体101内に配設しているが、電池「1」、電池「2」それぞれの内部に定電流回路を配設するようにしてもよい。この場合、電池「1」109内のマイコン155は、ADポート158、159で電池電圧を測定し、セル電圧が閾値よりも小さいときには、定電流回路を作動させて、セル150、151に対して定電力充電を行なう。同様に、電池「2」110内のマイコン170は、ADポート173、174で電池電圧を測定し、セル電圧が閾値よりも小さいときには、定電流回路を作動させて、セル165、166に対して定電力充電を行なう。
【0096】
図4には、ディジタルカメラ101と電池「1」109、電池「2」110間の通信回路図を示している。
【0097】
電池「1」109のマイコン155のGND157は、電池「1」109の−端子154、縦位置グリップの−端子148、ディジタルカメラ本体101の−端子137を介して、ディジタルカメラ本体101の制御部128のGND180に接続されている。
【0098】
電池「1」109のマイコン155の入出力ポート181は、電池「1」109のC端子164、縦位置グリップ103のC端子144、スイッチ139、C端子143、ディジタルカメラ本体101のC端子136を介して、ディジタルカメラ本体101の制御部128の入出力ポート135に接続されている。
【0099】
電池「2」110のマイコン170のGND172は、電池「2」110の−端子169、縦位置グリップ103の−端子149、ディジタルカメラ本体101の−端子137を介して、ディジタルカメラ本体101の制御部128のGND180に接続されている。
【0100】
電池「2」110のマイコン170の入出力ポート182は、電池「2」110のC端子179、縦位置グリップ103のC端子145、スイッチ139、C端子143、ディジタルカメラ本体101のC端子136を介して、ディジタルカメラ本体101の制御部128の入出力ポート135に接続されている。
【0101】
電池「1」109のマイコン155は、CPU(Central Processing Unit)183と、入力バッファー184と、出力バッファー185と、出力FET(Field Effect Transistor)186と、プルアップ抵抗187と、プルアップ・ダイオード188で構成されている。
【0102】
電池「1」109のマイコン155は、電池「1」109のC端子164にLowを出力したい場合、出力バッファー185でHighを出力する。すると、出力FET186がオンになり、入出力ポート181はLowになり、C端子164がLowになる。
【0103】
また、電池「1」109のマイコン155は、電池「1」109のC端子164にHighを出力したい場合、出力バッファー185でLowを出力する。すると、出力FET186がオフになり、入出力ポート181はHighになり、C端子164がHighになる。
【0104】
また、電池「1」109のマイコン155は、電池「1」109のC端子164がHighであるかLowであるかを知りたい場合は、入力バッファー184を介して知ることができる。
【0105】
電池「2」110のマイコン170は、CPU189と、入力バッファー190と、出力バッファー191と、出力FET192と、プルアップ抵抗193と、プルアップ・ダイオード194で構成されている。
【0106】
電池「2」110のマイコン170は、電池「2」110のC端子179にLowを出力したい場合、出力バッファー191でHighを出力する。すると、出力FET192がオンになり、入出力ポート182はLowになり、C端子179がLowになる。
【0107】
また、電池「2」110のマイコン170は、電池「2」110のC端子179にHighを出力したい場合、出力バッファー191でLowを出力する。すると、出力FET192がオフになり、入出力ポート182はHighになり、C端子179がHighなる。
【0108】
また、電池「2」110のマイコン170は、電池「2」110のC端子179がHighであるかLowであるかを知りたい場合は、入力バッファー190を介して知ることができる。
【0109】
ディジタルカメラ本体101の制御部128は、CPU195と、入力バッファー196と、出力バッファー197と、出力FET198と、プルアップ抵抗199と、プルアップ・ダイオード200で構成されている。
【0110】
制御部128は、ディジタルカメラ本体101のC端子136にLowを出力したい場合、出力バッファー197でHighを出力する。すると、出力FET198がオンになり、入出力ポート135はLowになり、C端子136がLowになる。
【0111】
また、制御部128は、ディジタルカメラ本体101のC端子136にHighを出力したい場合、出力バッファー197でLowを出力する。すると、出力FET198がオフになり、入出力ポート135はHighになり、C端子136がHighになる。
【0112】
また、制御部128は、ディジタルカメラ本体101のC端子136がHighであるかLowであるかを知りたい場合は、入力バッファー196を介して知ることができる。
【0113】
制御部128の出力ポート133は、ディジタルカメラ本体101の1/2端子134、縦位置グリップ103の1/2端子146を介して、スイッチ139に接続されている。
【0114】
ディジタルカメラ本体101側では、制御部128は、出力ポート133を制御して、スイッチ139を「C端子143とC端子144:接続、C端子143とC端子145:切断」とすることで、電池「1」109のマイコン155と通信が可能になる。また、制御部128は、出力ポート133を制御して、スイッチ139を「C端子143とC端子144:切断、C端子143とC端子145:接続」とすることで、電池「2」110のマイコン170と通信が可能になる。
【0115】
図5には、ディジタルカメラ本体101側の制御部128と、電池「1」109のマイコン155間で通信を行なうときのタイミング・チャートを示している。但し、スイッチ139を「C端子143とC端子144:接続、C端子143とC端子145:切断」として、ディジタルカメラ本体101の制御部128と電池「1」109のマイコン155が通信可能になっているものとする。また、信号はLow Activeで駆動するものとする。
【0116】
通信開始前は、電池「1」109の出力FET186、ディジタルカメラ本体101の出力FET198がともにオフである。このとき、通信ラインである信号線135は、参照番号501で示すように、Highになっている。
【0117】
通信開始時には、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、出力FET198を通信データ1ビット相当分の時間だけオンにして、参照番号502で示すように、通信ラインをLowにする。ディジタルカメラ本体101の制御部128及び電池「1」109のマイコン155はともに、この通信データ1ビット相当分のLow区間に基づいて、通信のタイミングの同期をとる。
【0118】
続いて、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、参照番号503で示すように、通信ラインに8ビット長のコマンドを送信する。このとき、制御部128は、High出力のビットでは出力FET198をオフにし、Low出力のビットでは出力FET198をオンにする。
【0119】
これに対し、電池「1」109のマイコン155は、入力バッファー184を介して、コマンドすなわち通信ラインのHigh/Lowを受信する。
【0120】
続いて、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、参照番号504で示すように、通信ラインに2ビット長のストップ・ビットを送信する。電池「1」109のマイコン155は、このストップ・ビット2ビットで、通信終了を確認する。
【0121】
続いて、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、出力FET198を通信データ1ビット相当分の時間だけオンにして、参照番号505で示すように、通信ラインをLowにする。
【0122】
続いて、電池「1」109のマイコン155は、参照番号506で示すように、通信ラインに8ビット長のレスポンスを送信する。このとき、電池「1」109のマイコン155は、High出力のビットでは出力FET186をオフにし、Low出力のビットでは出力FET186をオンにする。
【0123】
これに対し、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、入力バッファー196を介して、レスポンスすなわち通信ラインのHigh/Lowを受信する。
【0124】
続いて、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、参照番号507で示すように、通信ラインに2ビット長のストップ・ビットを送信する。電池「1」109のマイコン155は、このストップ・ビット2ビットで、通信終了を確認する。
【0125】
上記の一連の流れを以って、1回の通信が完了する。
【0126】
また、スイッチ139を「C端子143とC端子144:切断、C端子143とC端子145:接続」として、ディジタルカメラ本体101の制御部128と電池「2」110のマイコン170が通信可能になる。この場合の通信方法は、上記と同様である。
【0127】
図6には、図5に示した通信シーケンスにおいて、ディジタルカメラ本体101の制御部128と電池「1」109のマイコン155の間で交換される通信データの内容をまとめている。
【0128】
ディジタルカメラ本体101の制御部128が、電流を要求するコマンド「0x01」を送信すると、電池「1」109のマイコン155は、レスポンスとして電流値を返信する。
【0129】
また、ディジタルカメラ本体101の制御部128が、全体電圧を要求するコマンド「0x02」を送信すると、電池「1」109のマイコン155は、レスポンスとして全体電圧値を返信する。
【0130】
また、ディジタルカメラ本体101の制御部128が、中間電圧を要求するコマンド「0x03」を送信すると、電池「1」109のマイコン155は、レスポンスとして中間電圧値を返信する。
【0131】
また、ディジタルカメラ本体101の制御部128が、温度を要求するコマンド「0x04」を送信すると、電池「1」109のマイコン155は、レスポンスとして温度を返信する。
【0132】
また、ディジタルカメラ本体101側の制御部128は、上記の通信方法により、電池「1」109、電池「2」110から、電池の種別IDを取得したり、電池「1」109、電池「2」110と認証通信を行なったりすることもできる。制御部128は、後述するように電池「1」109、電池「2」110の充電制御を行なうが、種別IDが制御部128による充電制御に対応していないことを示す電池や、認証通信を正しく行なうことができない電池を、充電制御の対象から外す(充電しない)ようにしてもよい。
【実施例1】
【0133】
ディジタルカメラ本体101の制御部128は、縦位置グリップ103に挿入されている電池「1」109、電池「2」110への充電制御を行なう。基本的には、各々の電池を数秒ずつテスト充電して充電電流を確認し、テスト充電して得られた充電電流が大きな電池から順に充電を行なう。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流積算値が大きくなるので、効率的な充電制御である。
【0134】
図7Aには、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なう。
【0135】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS701)、電池「1」109の充電電流値「1」を取得し(ステップS702)、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS703)、電池「2」110の充電電流値「2」を取得する(ステップS704)。
【0136】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0137】
本充電では、まず、テスト充電で取得した電池「1」109の充電電流値「1」と電池「2」110の充電電流値「2」を大小比較する(ステップS705)。
【0138】
テスト充電して得られた電池「1」109の充電電流値「1」の方が大きいときには(ステップS705のYes)、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS706)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回るまで(ステップS707のNo)、継続して行なう。
【0139】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS707のYes)、電池「1」109の充電が完了したと判断し、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS708)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS709のNo)、継続して行なう。
【0140】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS709のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS710)、充電制御を終了する。
【0141】
一方、テスト充電して得られた電池「2」110の充電電流値「2」の方が大きいときには(ステップS705のNo)、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS711)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS712のNo)、継続して行なう。
【0142】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS712のYes)、電池「2」110の充電が終了したと判断し、続いて、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS713)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS714のNo)、継続して行なう。
【0143】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS714のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS715)、充電制御を終了する。
【0144】
図8には、電池を基本充電制御する処理手順をフローチャートの形式で示している。但し、同図中の引数nは、基本充電制御する対象となる電池のIDであり、電池「1」109のときはn=1、電池「2」110のときはn=2とする。
【0145】
基本充電制御を開始する際、まず、nの値が変化していないかどうかをチェックする(ステップS801)。nの値が変化したとき(ステップS801のYes)、すなわち、基本充電制御の対象となる電池が切り替わったときには、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:接続、直接結線側:切断」状態にするとともに(ステップS802)、信号線133によりスイッチ138及びスイッチ139を切り替え操作して、定電流回路130から出力される充電電流を供給する電池を切り替える(ステップS803)。
【0146】
このタイミングでは、基本充電制御の対象となる電池「n」に対して、一定の充電電流100mAで初期充電が行なわれる。
【0147】
制御部128は、ADポート132により、+端子131での電圧すなわち充電電圧を測定する(ステップS804)。充電電圧が制御部128に記憶されている所定の閾値よりも大きいときには(ステップS805のYes)、制御部128は、スイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:接続」状態に切り替えて(ステップS806)、定電圧回路126から出力される8.4Vで定電圧充電を行なうように変更する。そうでない場合は、制御部128は、スイッチ127を「定電流回路側:接続、直接結線側:切断」状態のまま変更せず、定電流回路130から出力される100mAで定電流充電を継続する。
【0148】
最後に、制御部128は、入出力ポート135を使用して、基本充電制御の対象となる電池「n」への充電電流を取得する(ステップS807)。
【0149】
電池セル2個を直列接続したリチウムイオン組電池の充電特性は、図9に示した通りである。
【0150】
電池の放電が進み、電池電圧が4V程度まで低下すると、内部インピーダンスが大きくなり、放電電流に対する電圧効果が大きくなり、事実上使用できなくなる(周知)。また、放電が進み、電池電圧が4V程度からさらに低下すると、セルの電極に金属リチウムが析出する(周知)。金属リチウムの析出のため、セル内のイオンの移動が制限されセルの劣化が進むので、電池内部には保護回路(図示しない)が設けられ、電池電圧が4V程度に低下すると、電池がこれ以上放電しないように構成されている。したがって、放電が完了したリチウムイオン電池を充電する場合、参照番号948で示すように、4Vの充電電圧からの充電となる。
【0151】
また、電池セル2個を直列接続したリチウムイオン組電池の満充電時の電池電圧は8.4Vであり、充電時には最終的に8.4Vをかけて充電を行なう必要がある。しかしながら、充電の最初から8.4Vの充電電圧をかけると、充電電圧と電池電圧の電位差が大きく、大電流が電池に流れ込んでセルの劣化が進む。このため、充電の最初は、参照番号949に示すように、100mA程度の小さい低電流で充電する必要がある。
【0152】
そして、充電が進み、参照番号950で示すように、電池電圧が6V程度になると、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなって、大電流が電池に流れ込むことはなくなるので、100mAの定電流充電から、8.4Vの定電圧充電に切り替える。
【0153】
USB充電の場合、USB充電器114の給電能力は1500mAである。したがって、8.4Vの定電圧充電利切り替わった後、参照番号951で示すように、しばらく1500mAでの充電が続く。
【0154】
さらに充電が進み、充電電圧と電池電圧の電位差がさらに小さくなると、参照番号952で示すように、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、50mA程度にまで低下すると、これ以上充電しても電池の容量はほとんど増えなくなるので、参照番号953で示すように充電を完了する。
【0155】
ここで、本実施形態において充電する電池が、上述した充電プロセスのそれぞれの状態A〜Dにある場合の充電動作について述べる。
【0156】
状態A:100mA定電流充電時(参照番号949)
状態B:USB充電の上限電流1500mA充電時(参照番号951)
状態C:充電電流が少しずつ低下し(参照番号952)、充電電流が200mAになったとき
状態D:充電電流が、充電終了(参照番号953)に近い、60mAになったとき
【0157】
本実施形態では、充電電流が大きな電池から順に充電を行なうという充電制御を行なう。したがって、図7Aに示した処理手順に従って充電制御を行なうと、充電電流順に、状態B→状態C→状態A→状態D、の優先順位で充電される。
【0158】
図7Bのタイミング・チャートは、状態の異なる電池「1」と電池「2」について、図7Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。
【0159】
電池「1」は、上記の状態Bにあり、基本充電制御(1)により、その充電電流「1」として、USB充電の上限電流である1500mAが取得される。一方、電池「2」は、上記の状態Cにあり、充電電流が少しずつ減少している。基本充電制御(2)により、その充電電流「2」として400mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が高い電池「1」が先に充電される。
【0160】
電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下する。電池「1」を充電する途中で、電池「2」の充電電流「2」の方が高くなるが、図7Aに示す処理手順では、一度電池「1」の充電を選択すると、満充電になるまでは継続して電池「1」の充電を行なう。その後、電池「1」の充電を完了し、電池「2」の充電を開始する。電池「2」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下すると、電池「2」の充電も完了する。したがって、図示の通り、矢印A→B→C→D→Eの順で、電池「1」並びに電池「2」の充電が実施される。
【0161】
充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【0162】
図10には、リチウムイオン電池の温度特性を示している。同図は、図9と同様に、横軸を時間、縦軸を充電電圧(電池電圧)並びに充電電流とし、電池セル2個を直列接続したリチウムイオン組電池の温度毎の充電特性を表している。
【0163】
リチウムイオン電池は、セルが低温になると、内部インピーダンスが増加する(周知)。このため、例えば上記の状態Bのときの充電電流は、常温(25℃)であれば1500mAであるが、低温(0℃)であれは1000mAと低くなる。
【0164】
したがって、上述したように充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、常温(25℃)の電池→低温(0℃)の電池の順に充電されることになる。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【0165】
また、図11には、リチウムイオン電池の充電特性の、電池の劣化による影響を示している。同図は、図9と同様に、横軸を時間、縦軸を充電電圧(電池電圧)並びに充電電流としている。
【0166】
リチウムイオン電池は、セルが充放電を繰り返して劣化すると、内部インピーダンスが増加する(周知)。このため、例えば上記の状態Bのときの充電電流は、新品の電池(製造後最初の充電時)であれば1500mAであるが、劣化した電池(100回充放電した後の充電時)であれは1000mAと低くなる。
【0167】
したがって、上述したように充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、新品の電池(製造後最初の充電時)→劣化した電池の順に充電されることになる。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【0168】
また、図12には、リチウムイオン電池の充電特性の、電池容量による影響を示している。同図は、図9と同様に、横軸を時間、縦軸を充電電圧(電池電圧)並びに充電電流としている。
【0169】
リチウムイオン電池は、容量が大きな電池ほど、内部インピーダンスが小さい(周知)。このため、例えば上記の状態Bのときの充電電流は、容量が大きな電池(2000mAh)であれば1500mAであるが、容量が小さな電池(1000mAh)であれは1000mAと低くなる。
【0170】
したがって、上述したように充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、容量が大きな電池(2000mAh)→容量が小さな電池(1000mAh)の順に充電されることになる。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【0171】
また、図13には、リチウムイオン電池の充電特性の、セルの並列数による影響を示している。同図は、図9と同様に、横軸を時間、縦軸を充電電圧(電池電圧)並びに充電電流としている。
【0172】
リチウムイオン電池は、セルを並列にして接続したものを1つのパッケージにした組電池として用いられることがある。セルを並列にして接続すると、セルが1個の電池に比べて、インピーダンスが小さくなる。このため、例えば上記の状態Bのときの充電電流は、セルが2個並列の組電池であれば1500mAであるが、セルが1個の電池であれは1000mAと低くなる。
【0173】
したがって、上述したように充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、セルが2個並列の組電池→セルが1個の電池の順に充電されることになる。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【0174】
リチウムイオン電池は、電気用品安全法などの安全規格により、定められた温度以上にならないように充電制御しなければならない。このため、電池「1」内では、マイコン155がサーミスター163を用いて温度を測定した温度し、電池「2」内では、マイコン170がサーミスター178を用いて温度を測定する。そして、ディジタルカメラ本体101側の制御部128は、C端子による通信コマンド「0x04」により、電池「1」又は電池「2」のうち現在充電中の電池から温度を取得する。ここで、定められた温度閾値以上である場合には、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を制御して、「定電流回路側:接続、直接結線側:切断」にすることで、定電流回路130を用いて充電電流を100mAに制限して、電池の温度上昇を防ぐ。
【0175】
温度が閾値より低く、上記の温度上昇を防ぐ処理が働いていない場合、充電電流は、状態Bでは1500mA、状態Cでは200mAになるので、状態Bの電池→状態Cの電池の順に充電される。これに対し、状態Bの電池の温度が閾値よりも高くなると、上記の温度上昇を防ぐ処理が働いて、充電電流が100mAに抑制されると、状態Cの電池の充電電流の方が大きくなる(図14Aを参照のこと)。したがって、状態Cの電池→状態Bの電池の順に充電される。
【0176】
したがって、上述したように充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、温度上昇を防ぐ処理が働いていない電池→温度上昇を防ぐ処理が働いている電池の順に充電されることになる。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【0177】
図14Bのタイミング・チャートは、温度制限が働いている電池「1」と温度制限が働いていない電池「2」について、図14Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。
【0178】
電池「1」は、温度上昇を防ぐ処理が働いて、充電電流が100mAに抑制される状態Bにあり、基本充電制御(1)により、その充電電流「1」として、USB充電の上限電流である100mAが取得される。一方、電池「2」は、上記の状態Cにあり、充電電流が少しずつ減少している。基本充電制御(2)により、その充電電流「2」として200mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が高い電池「2」が先に充電される。
【0179】
電池「2」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差がさらに小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下すると、電池「2」の充電を完了する。
【0180】
この時点で電池「1」の温度が閾値以下まで低下し、温度上昇を防ぐ処理が終了していたとする。基本充電制御(1)により、その充電電流「1」として、USB充電の上限電流である1500mAが取得され、電池「1」の充電を開始する。電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下すると、電池「1」の充電も完了する。したがって、図示の通り、矢印A→B→C→Dの順で、電池「1」並びに電池「2」の充電が実施される。
【実施例2】
【0181】
ここまでは、リチウムイオン電池の充電制御について説明してきた。しかしながら、使用する電池は、リチウムイオン電池でなく、ニッケル水素電池、ニッケル・カドミウム電池、鉛電池などその他の一般的な2次電池であっても、本明細書で開示する技術を同様に適用することができる。2次電池は、一般的に、「低電圧時の電流制限が必要」(前提1)、「低温による内部インピーダンスの増加」(前提2)、「劣化による内部インピーダンスの増加」(前提3)、「組電池にすると内部インピーダンスが小さくなる」(前提4)、「安全規格を満たすため電流制限が必要」(前提5)など、リチウムイオン電池と同様の特徴がある。したがって、充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、上記と同様に、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流積算値、すなわちすべての電池合計の充電量は大きくなり、効率的である。
【実施例3】
【0182】
ここまでは、2個の電池を同時に充電する場合の充電制御について説明してきたが、使用する電池が3個以上であっても、本明細書で開示する技術を同様に適用することができる。使用する電池が3個以上であっても、各電池についてテスト充電を順次行なってそれぞれの充電電流を取得し、電流値が大きな電池から順に充電を開始すればよい。すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流積算値、すなわちすべての電池合計の充電量は大きくなり、効率的である。
【0183】
図15Aには、ディジタルカメラ本体101の制御部128が任意の個数の電池に対して行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なう。
【0184】
テスト充電では、まず、テスト充電した電池の個数をカウントするための変数kに初期値1を代入して(ステップS1501)、電池「k」について基本充電制御を行なって(ステップS1503)、電池「k」の充電電流値「k」を取得し(ステップS1504)、kを1ずつ増分する(ステップS1505)、という処理を、kが電池個数に到達するまで(ステップS1502のYes)、繰り返し実行する。ステップS1503で行なう基本充電制御の処理手順は、図8に示した通りである。
【0185】
そして、kが電池個数に到達すると(ステップS1502のNo)、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0186】
本充電では、まず、テスト充電で取得した充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数nに代入する(ステップS1506)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0187】
次いで、電池「n」について基本充電制御を行なう(ステップS1507)。電池「n」の基本充電制御は、電池「n」の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回るまで(ステップS1508のNo)、継続して行なう。そして、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回ると(ステップS1508のYes)、電池「n」の電流値「n」に0を代入して(ステップ1509)、充電が完了したことを示す。
【0188】
ステップS1506〜S1509の充電動作は、すべての電池の電流値が0となる、すなわち、すべての電池の充電が完了するまで(ステップS1510のNo)、繰り返し実行する。
【0189】
そして、すべての電池の充電が完了すると(ステップS1510のYes)、「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS1511)、充電制御を終了する。
【0190】
図15Bのタイミング・チャートは、3個の電池「1」、電池「2」、電池「3」について、図15Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。
【0191】
テスト充電により、電池「1」、電池「2」、電池「3」の初期状態での充電電流を取得する。その結果、電池「1」の充電電流「1」として、USB充電の上限電流である1500mAが取得される。また、電池「2」、電池「3」は充電電流が少しずつ減少している状態であり、初期状態ではそれぞれ充電電流400mA、300mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が高い電池「1」が先に充電される。
【0192】
電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下すると、電池「1」の充電を完了する。
【0193】
続いて、初期状態での充電電流が次に高い電池「2」の充電を開始する。電池「2」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下すると、電池「2」の充電も完了する。
【0194】
最後に、初期状態での充電電流が最も低い電池「3」の充電を開始する。電池「3」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流が少しずつ減少していく。そして、充電電流が減少していき、所定の閾値50mA程度にまで低下すると、電池「3」の充電も完了する。
【0195】
したがって、図示の通り、A→B→C→D→E→F→G→H→I→Jの順で、電池「1」、電池「2」、電池「3」の充電が実施される。
【0196】
充電電流が大きな電池から順に充電を行なうと、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は充電順序に依らないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、充電電流が大きな電池から先に充電され、充電電流積算値が大きくなるので、効率的である。
【実施例4】
【0197】
図1〜図4では、縦位置グリップ103に挿入した電池「1」、電池「2」をディジタルカメラ本体101側で充電制御する実施例について説明してきたが、本明細書で開示する技術の要旨はこれに限定されるものではない、縦位置グリップ103を使用せず、ディジタルカメラ本体101に2個の電池を直接挿入して、上記の充電制御を行なうようにしても、同様の効果を得ることができる。
【実施例5】
【0198】
ここまでは、ディジタルカメラ本体101が複数の電池を充電制御する実施例について説明してきたが、ディジタルカメラ以外の一般的な電子機器が2個以上の電池を同時に充電する場合においても、同様に本明細書で開示する技術を適用することができる。例えば、専用充電器や、パーソナル・コンピューター、携帯電話、携帯音楽再生機、自動車、鉄道車両、船舶、航空機、人工衛星、ロボット、住宅、照明器具、医療機器、測定器、工作機械、テレビ、ラジオ、無線機、非常用電源など、複数の2次電池を電源として用いるさまざまな電子機器に対し、同様に本お明細書で開示する技術を適用することができる。
【実施例6】
【0199】
図7に示した充電制御の処理手順では、テスト充電に各電池の充電電流を取得すると、本充電では、充電電流が高い電池について充電が完了した後に、充電電流が低い(次に充電電流が高い)電池について充電を開始するようになっている。言い換えれば、本充電では、ある電池について充電を一旦開始すると、充電が完了するまでは他の電池への充電に切り換わることはない。
【0200】
充電制御の変形例として、本充電を開始した後、充電中の電池の充電電流が、充電していない電池において取得した電流よりも一定値以上小さくなったときに、充電する電池を切り替えるようにしてもよい。ここで、「一定値」というヒステリシスを与えるのは、充電する電池が頻繁に切り替わらないように安定化するためである。
【0201】
図16Aには、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なうが、本充電では、充電中の電池の充電電流が、充電していない電池において取得した電流よりも一定値以上小さくなったときに、充電する電池を切り替える。
【0202】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS1601)、電池「1」109の充電電流値「1」を取得し(ステップS1602)、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS1603)、電池「2」110の充電電流値「2」を取得する(ステップS1604)。基本充電制御の処理手順は、図8に示した通りである。
【0203】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0204】
本充電では、まず、現在の充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数nに代入する(ステップS1605)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0205】
次いで、電池「n」について基本充電制御を行なう(ステップS1606)。電池「n」の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が低下していく。電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回ると(ステップS1607のYes)、電池「n」の電流値「n」に0を代入して(ステップS1608)、充電が完了したことを示す。一方、電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値をまだ下回っていないときには(ステップS1607のNo)、電池「n」の電流値「n」にヒステリシスを加算する(ステップS1611)。ヒステリシスは、システムに合わせて任意に決めることができるものとする。
【0206】
上記のステップS1605〜S1608の充電動作は、すべての電池の電流値が0となる、すなわち、すべての電池の充電が完了するまで(ステップS1609のNo)、繰り返し実行する。
【0207】
そして、すべての電池の充電が完了すると(ステップS1609のYes)、「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS1610)、充電制御を終了する。
【0208】
図16Bのタイミング・チャートは、状態の異なる電池「1」と電池「2」について、図16Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。ここでは、充電電流のヒステリシスとして100mAが設定されているものとする。
【0209】
電池「1」は、初期状態では、USB充電の上限電流である1500mAが取得される。一方、電池「2」は、初期状態では充電電流が少しずつ減少しており、その充電電流「2」として400mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が高い電池「1」が先に充電される。
【0210】
電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、電池「1」の現実の充電電流にヒステリシス100mAを加算する。そして、ヒステリシス100mAを加算した電流値「1」が電池「2」の電流値「2」よりも大きければ、電池「1」の充電が継続して行なわれる。
【0211】
電池「1」の充電がさらに進むと、ヒステリシス100mAを加算した電流値「1」が電池「2」の電流値「2」である400mAを下回る。すると、電池「1」の充電を停止して、電池「2」の充電に切り替える。
【0212】
電池「2」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「2」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、電池「2」の現実の充電電流にヒステリシス100mAを加算する。そして、ヒステリシス100mAを加算した電流値「2」が電池「1」の電流値「1」300mAよりも大きければ、電池「2」の充電が継続して行なわれる。
【0213】
電池「2」の充電がさらに進むと、ヒステリシス100mAを加算した電流値「2」が電池「1」の電流値「1」300mAを下回る。すると、電池「2」の充電を停止して、再び電池「1」の充電に切り替える。
【0214】
電池「1」の充電が進むと、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、電池「1」の現実の充電電流にヒステリシス100mAを加算する。ヒステリシス100mAを加算した電流値「1」が電池「2」の電流値「2」400mAよりも大きければ、電池「1」の充電が継続して行なわれるが、400mAを下回ると、電池「1」の充電を停止して、再び電池「2」の充電に切り替える。
【0215】
電池「2」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「2」の充電を完了し、再び電池「1」の充電に切り替える。また、電池「1」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「1」の充電も完了する。
【0216】
したがって、図示の通り、矢印A→D→B→E→Cの順で、電池「1」並びに電池「2」の充電が実施される。電池「1」と電池「2」の充電を交互に行なうと、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は変わらないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、各電池の充電がほぼ均等に進行するので、さらに効率がよくなる。
【0217】
図17Aには、ディジタルカメラ本体101の制御部128が任意の個数の電池に対して行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なうが、本充電では、充電中の電池の充電電流が、充電していない電池において取得した電流よりも一定値以上小さくなったときに、充電する電池を切り替える。
【0218】
テスト充電では、まず、テスト充電した電池の個数をカウントするための変数kに初期値1を代入して(ステップS1701)、電池「k」について基本充電制御を行なって(ステップS1703)、電池「k」の充電電流値「k」を取得し(ステップS1704)、kを1ずつ増分する(ステップS1705)、という処理を、kが電池個数に到達するまで(ステップS1702のYes)、繰り返し実行する。ステップS1703で行なう基本充電制御の処理手順は、図8に示した通りである。
【0219】
そして、kが電池個数に到達すると(ステップS1702のNo)、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0220】
本充電では、まず、テスト充電で取得した充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数nに代入する(ステップS1706)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0221】
次いで、電池「n」について基本充電制御を行なう(ステップS1707)。電池「n」の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が低下していく。電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回ると(ステップS1708のYes)、電池「n」の電流値「n」に0を代入して(ステップS1709)、充電が完了したことを示す。一方、電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値をまだ下回っていないときには、電池「n」の電流値「n」にヒステリシスを加算する(ステップS1712)。ヒステリシスは、システムに合わせて任意に決めることができるものとする。
【0222】
上記のステップS1706〜S1709の充電動作は、すべての電池の電流値が0となる、すなわち、すべての電池の充電が完了するまで(ステップS1710のNo)、繰り返し実行する。
【0223】
そして、すべての電池の充電が完了すると(ステップS1710のYes)、「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS1711)、充電制御を終了する。
【0224】
図17Bのタイミング・チャートは、3個の電池「1」、電池「2」、電池「3」について、図17Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。ここでは、充電電流のヒステリシスとして100mAが設定されているものとする。
【0225】
テスト充電により、電池「1」、電池「2」、電池「3」の初期状態での充電電流を取得する。その結果、電池「1」の充電電流「1」として、USB充電の上限電流である1500mAが取得される。また、電池「2」、電池「3」は充電電流が少しずつ減少している状態であり、初期状態ではそれぞれ充電電流400mA、300mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が最も高い電池「1」が先に充電される。
【0226】
電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、電池「1」の現実の充電電流にヒステリシス100mAを加算する。そして、ヒステリシス100mAを加算した電流値「1」が電池「2」の電流値「2」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きければ、電池「1」の充電が継続して行なわれる。
【0227】
電池「1」の充電がさらに進むと、ヒステリシス100mAを加算した電流値「1」が電池「2」の電流値「2」である400mAを下回る。すると、電池「1」の充電を停止して、電池「2」の充電に切り替える。
【0228】
電池「2」の充電が進むと、充電電流すなわち電流値「2」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、電池「2」の現実の充電電流にヒステリシス100mAを加算する。そして、ヒステリシス100mAを加算した電流値「2」が電池「1」の電流値「1」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きければ、電池「2」の充電が継続して行なわれる。
【0229】
電池「2」の充電がさらに進むと、ヒステリシス100mAを加算した電流値「2」が電池「1」の電流値「1」並びに電池「3」の電流値「3」を下回る。すると、電池「2」の充電を停止して、再び電池「1」の充電に切り替える。電流値「1」と電流値「3」は同じ値であるが、このような場合、電池IDが小さい方に切り換わる。
【0230】
電池「1」の充電が進むと、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、電池「1」の現実の充電電流にヒステリシス100mAを加算する。ヒステリシス100mAを加算した電流値「1」が電池「2」の電流値「2」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きければ、電池「1」の充電が継続して行なわれるが、電池「2」の電流値「2」並びに電池「3」の電流値「3」を下回ると、電池「1」の充電を停止して、再び電池「2」の充電に切り替える。電流値「2」と電流値「3」は同じ値であるが、このような場合、電池IDが小さい方に切り換わる。
【0231】
電池「2」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「2」の充電を完了し、再び電池「1」の充電に切り替える。電流値「1」と電流値「3」は同じ値であるが、このような場合、電池IDが小さい方に切り換わる。
【0232】
電池「1」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「1」の充電も完了し、再び電池「3」の充電に切り替える。そして、電池「3」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「3」の充電も完了する。
【0233】
したがって、図示の通り、矢印A→E→B→C→F→I→D→G→Jの順で、電池「1」、電池「2」、電池「3」の充電が実施される。電池「1」、電池「2」、電池「3」の充電を交互に行なうと、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は変わらないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、各電池の充電がほぼ均等に進行するので、さらに効率がよくなる。
【実施例7】
【0234】
充電制御の他の変形例として、本充電を開始した後、充電中の電池の充電電流が、充電していない電池において取得した電流よりも小さくなったときに、一定時間経過してから充電する電池を切り替えるようにしてもよい。ここで、「一定時間」というヒステリシスを与えるのは、充電する電池が頻繁に切り替わらないように安定化するためである。
【0235】
図18Aには、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なうが、本充電では、充電中の電池の充電電流が、充電していない電池において取得した電流よりも小さくなってから一定時間経過したときに、充電する電池を切り替える。
【0236】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS1801)、電池「1」109の充電電流値「1」を取得し(ステップS1802)、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS1803)、電池「2」110の充電電流値「2」を取得する(ステップS1804)。基本充電制御の処理手順は、図8に示した通りである。
【0237】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0238】
本充電では、まず、現在の充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数nに代入する(ステップS1805)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0239】
次いで、電池「n」について基本充電制御を行なう(ステップS1806)。電池「n」の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が低下していく。電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回ると(ステップS1807のYes)、電池「n」の電流値「n」に0を代入して(ステップS1808)、充電が完了したことを示すとともに、一定時間を0にセットする(ステップS1809)。
【0240】
一方、電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値をまだ下回っていないときには(ステップS1807のNo)、電池「n」の電流値「n」にステップS1806の基本充電制御で取得した電流値を代入するとともに(ステップS1816)、一定時間に10分をセットする(ステップS1817)。一定時間は、充電する電池を切り替えるまでの待ち時間であるが、システムに合わせて任意に決めることができるものとする。
【0241】
すべての電池の電流値が0でない、すなわち、すべての電池の充電が完了していないときには(ステップS1810のNo)、現在の充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数mに代入する(ステップS1812)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0242】
mがnに等しいとき、すなわち、依然として電池「n」の充電電流が最も大きいときには(ステップS1813のYes)、ステップS1806に進み、電池「n」の充電動作を継続する。
【0243】
一方、mがnと一致しないとき、すなわち、電池「n」以外の電池「m」の充電電流が最も大きくなったときには(ステップS1813のNo)、続いて、ステップS1817で設定した一定時間が経過したかどうかをチェックする(ステップS1814)。
【0244】
まだ一定時間が経過していないときには(ステップS1814のNo)、ステップS1806に進み、電池「n」の充電動作を継続する。これに対し、電池「n」以外の電池「m」の充電電流が最も大きくなってから、一定時間が経過したときには(ステップS1814のYes)、nにmを代入して、ステップS1806に進み、電池「m」の充電動作に切り替える。
【0245】
そして、すべての電池の充電が完了すると(ステップS1810のYes)、「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS1811)、充電制御を終了する。
【0246】
図18Bのタイミング・チャートは、状態の異なる電池「1」と電池「2」について、図18Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。ここでは、充電する電池を切り替える一定時間すなわちヒステリシスとして10分が設定されているものとする。
【0247】
電池「1」は、初期状態では、USB充電の上限電流である1500mAが取得される。一方、電池「2」は、初期状態では充電電流が少しずつ減少しており、その充電電流「2」として400mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が高い電池「1」が先に充電される。
【0248】
電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定し、電池「1」の電流値「1」が電池「2」の電流値「2」よりも大きければ、電池「1」の充電が継続して行なわれる。
【0249】
電池「1」の充電がさらに進むと、その電流値「1」が電池「2」の電流値「2」である400mAを下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「1」の充電を停止して、電池「2」の充電に切り替える。このときの電池「1」の電流値「1」を220mAとする。
【0250】
電池「2」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「2」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定し、電池「2」の電流値「2」が電池「1」の電流値「1」よりも大きければ、電池「2」の充電が継続して行なわれる。
【0251】
電池「2」の充電がさらに進むと、その電流値「2」が電池「1」の電流値「1」である220mAを下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「2」の充電を停止して、電池「1」の充電に切り替える。このときの電池「2」の電流値「2」を110mAとする。
【0252】
電池「1」の充電が進むと、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定し、電池「1」の電流値「1」が電池「2」の電流値「2」よりも大きければ、電池「1」の充電が継続して行なわれる。
【0253】
電池「1」の充電がさらに進むと、その電流値「1」が電池「2」の電流値「2」である110mAを下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「1」の充電を停止して、電池「2」の充電に切り替える。このときの電池「1」の電流値「1」を70mAとする。
【0254】
電池「2」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「2」の充電を完了し、再び電池「1」の充電に切り替える。また、電池「1」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「1」の充電も完了する。
【0255】
したがって、図示の通り、矢印A→D→B→E→Cの順で、電池「1」並びに電池「2」の充電が実施される。電池「1」と電池「2」の充電を交互に行なうと、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は変わらないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、各電池の充電がほぼ均等に進行するので、さらに効率がよくなる。
【0256】
図19Aには、ディジタルカメラ本体101の制御部128が任意の個数の電池に対して行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なうが、本充電では、充電中の電池の充電電流が、充電していない電池において取得した電流よりも小さくなってから一定時間経過したときに、充電する電池を切り替える。
【0257】
テスト充電では、まず、テスト充電した電池の個数をカウントするための変数kに初期値1を代入して(ステップS1901)、電池「k」について基本充電制御を行なって(ステップS1903)、電池「k」の充電電流値「k」を取得し(ステップS1904)、kを1ずつ増分する(ステップS1905)、という処理を、kが電池個数に到達するまで(ステップS1902のYes)、繰り返し実行する。ステップS1903で行なう基本充電制御の処理手順は、図8に示した通りである。
【0258】
そして、kが電池個数に到達すると(ステップS1902のNo)、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0259】
本充電では、まず、テスト充電で取得した充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数nに代入する(ステップS1906)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0260】
次いで、電池「n」について基本充電制御を行なう(ステップS1907)。電池「n」の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が低下していく。電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回ると(ステップS1908のYes)、電池「n」の電流値「n」に0を代入して(ステップS19098)、充電が完了したことを示すとともに、一定時間を0にセットする(ステップS1910)。
【0261】
一方、電池「n」の充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値をまだ下回っていないときには(ステップS1908のNo)、電池「n」の電流値「n」にステップS1907の基本充電制御で取得した電流値を代入するとともに(ステップS1917)、一定時間に10分をセットする(ステップS1918)。一定時間は、充電する電池を切り替えるまでの待ち時間であるが、システムに合わせて任意に決めることができるものとする。
【0262】
すべての電池の電流値が0でない、すなわち、すべての電池の充電が完了していないときには(ステップS1911のNo)、現在の充電電流値が最大となる電池IDを取得すると、この電池IDを、本充電を行なう電池IDを示す変数mに代入する(ステップS1913)。ここで、電流値が同じ電池が2個以上あるときには、便宜的に、最小の電池IDを選択する。
【0263】
mがnに等しいとき、すなわち、依然として電池「n」の充電電流が最も大きいときには(ステップS1914のYes)、ステップS1907に進み、電池「n」の充電動作を継続する。
【0264】
一方、mがnと一致しないとき、すなわち、電池「n」以外の電池「m」の充電電流が最も大きくなったときには(ステップS1914のNo)、続いて、ステップS1918で設定した一定時間が経過したかどうかをチェックする(ステップS1915)。
【0265】
まだ一定時間が経過していないときには(ステップS1915のNo)、ステップS1907に進み、電池「n」の充電動作を継続する。これに対し、電池「n」以外の電池「m」の充電電流が最も大きくなってから、一定時間が経過したときには(ステップS1915のYes)、nにmを代入して、ステップS1907に進み、電池「m」の充電動作に切り替える。
【0266】
上記の充電動作は、すべての電池の電流値が0となる、すなわち、すべての電池の充電が完了するまで(ステップS1911のNo)、繰り返し実行する。
【0267】
そして、すべての電池の充電が完了すると(ステップS1911のYes)、「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS1912)、充電制御を終了する。
【0268】
図19Bのタイミング・チャートは、3個の電池「1」、電池「2」、電池「3」について、図19Aに示した処理手順に従って充電制御を行なう様子を例示したものである。ここでは、ヒステリシスとしての一定時間に10分が設定されているものとする。
【0269】
テスト充電により、電池「1」、電池「2」、電池「3」の初期状態での充電電流を取得する。その結果、電池「1」の充電電流「1」として、USB充電の上限電流である1500mAが取得される。また、電池「2」、電池「3」は充電電流が少しずつ減少している状態であり、初期状態ではそれぞれ充電電流400mA、300mAが取得される。したがって、本充電では、充電電流が最も高い電池「1」が先に充電される。
【0270】
電池「1」の充電が進むと、充電電圧と電池電圧の電位差が小さくなり、充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定する。そして、電流値「1」が電池「2」の電流値「2」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きいか、又は、一定時間が経過するまでは、電池「1」の充電が継続して行なわれる。
【0271】
電池「1」の充電がさらに進むと、電流値「1」が電池「2」の電流値「2」である400mAを下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「1」の充電を停止して、電池「2」の充電に切り替える。このときの電池「1」の電流値「1」を220mAとする。
【0272】
電池「2」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「2」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定する。そして、電流値「2」が電池「1」の電流値「1」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きいか、又は、一定時間が経過するまでは、電池「2」の充電が継続して行なわれる。
【0273】
電池「2」の充電がさらに進むと、電流値「2」が電池「3」の電流値「3」を下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「2」の充電を停止して、電池「3」の充電に切り替える。このときの電池「2」の電流値「2」を180mAとする。
【0274】
電池「3」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「3」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定する。そして、電流値「3」が電池「1」の電流値「1」及び電池「2」の電流値「2」よりも大きいか、又は、一定時間が経過するまでは、電池「3」の充電が継続して行なわれる。
【0275】
電池「3」の充電がさらに進むと、電流値「3」が電池「1」の電流値「1」を下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「3」の充電を停止して、電池「1」の充電に切り替える。このときの電池「3」の電流値「3」を100mAとする。
【0276】
電池「1」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定する。そして、電流値「1」が電池「2」の電流値「2」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きいか、又は、一定時間が経過するまでは、電池「1」の充電が継続して行なわれる。
【0277】
電池「1」の充電がさらに進むと、電流値「1」が電池「2」の電流値「2」を下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「1」の充電を停止して、電池「2」の充電に切り替える。このときの電池「1」の電流値「1」を100mAとする。
【0278】
電池「2」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「2」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定する。そして、電流値「2」が電池「1」の電流値「1」及び電池「3」の電流値「3」よりも大きいか、又は、一定時間が経過するまでは、電池「2」の充電が継続して行なわれる。
【0279】
電池「2」の充電がさらに進むと、電流値「2」が電池「1」の電流値「1」及び電池「3」の電流値「3」を下回る。そして、さらに一定時間10分が経過すると、電池「2」の充電を停止して、電池「1」の充電に切り替える。電流値「1」と電流値「3」は同じ値であるが、このような場合、電池IDが小さい方に切り換わる。このときの電池「2」の電流値「2」を60mAとする。
【0280】
電池「1」の充電が進むと、その充電電流すなわち電流値「1」が少しずつ減少していく。充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下しない間は、ヒステリシスの一定時間として10分を設定する。そして、電流値「1」が電池「2」の電流値「2」を下回っても、一定時間10分は電池「1」の充電を継続して行ない、その間に充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「1」の充電を完了する。そして、この時点で最も電流値が高い電池「2」の充電に切り替える。
【0281】
電池「2」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「2」の充電も完了し、再び電池「3」の充電に切り替える。そして、電池「3」の充電がさらに進み、充電電流が所定の閾値50mA程度まで低下すると、電池「3」の充電も完了する。
【0282】
図示の通り、電池「1」、電池「2」、電池「3」の充電を交互に行なうと、すべての電池を満充電にするまでの所要時間は変わらないが、すべての電池が満充電になる前に充電を停止する場合には、各電池の充電がほぼ均等に進行するので、さらに効率がよくなる。
【実施例8】
【0283】
図7Aに示した充電制御の処理手順では、電池「1」109と電池「2」110の充電電流を単純に比較して、充電する順番を決定している。これは、充電電流が大きな電池から先に充電すると、充電電流積算値が大きくなり効率的である、という理由に依拠する。
【0284】
ところが、図20に示すリチウムイオン電池の充電特性を参照すると、充電初期に相当する定電流充電時と、充電電流が低下した充電終了に近い時期では、充電電流がほぼ同じになってしまう。図示の例では、充電初期の相当する状態Aでは充電電流が100mAであるのに対し、充電終了に近い状態Bでは充電電流が110mAとなり、ほぼ同じである。
【0285】
このような場合、充電電流がほぼ同じであっても、充電初期に相当する状態Aの電池の方を先に充電した方が、充電電流積算値が大きくなり効率的である。図20を再び参照すると、リチウムイオン電池は、充電時間(言い換えれば、充電容量)に応じて充電電圧が緩やかに上昇していく。したがって、充電電流に加え、充電電圧を比較することによって、充電の状態を把握することができる。
【0286】
そこで、電池「1」109と電池「2」110の充電電流がほぼ同じ場合には、各電池の電圧情報を使って充電の順番を決定するようにしてもよい。例えば、電池「1」109と電池「2」110の充電電流の差が50mA以下であれば、さらに各電池の電圧値を用いて充電の順番を判断する。この場合、各電池のテスト充電を行なうときに、充電電圧を併せて取得しておく。例えば、ディジタルカメラ本体101の制御部128は、ADポート132で充電電圧を測定し、制御部128内部で記憶しておく。
【0287】
一方の電池が、充電電圧が低く定電流充電を行なっている状態Aで、充電電流が100mAであり、他方の電池が、満充電に近い状態Bで、充電電流が110mAの場合、充電電流の差は10mAで50mA以下であるから、充電電流の大小だけでは充電順序を決めない。充電電圧が小さい電池から順に充電する制御にすれば、状態Aの電池が先に充電され、より効率的である。
【0288】
電池「1」109と電池「2」110の充電電流がほぼ同じ場合に、充電電圧が小さい電池から順に充電することは、電流積算値が小さい(すなわち、電池容量が小さい)電池から順番に充電することに相当する。
【0289】
図21には、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なう。充電電流の差が一定値以下であれば、さらに各電池の電圧値を用いて充電の順番を判断する。
【0290】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS2101)、電池「1」109の充電電流値「1」と充電電圧値「1」を取得する(ステップS2102)。続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS2103)、電池「2」110の充電電流値「2」と充電電圧値「2」を取得する(ステップS2104)。
【0291】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0292】
本充電では、まず、テスト充電で取得した電池「1」109の充電電流値「1」と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値(例えば、50mA)を超えるかどうかをチェックする(ステップS2105)。
【0293】
電流値「1」109と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値以下であるときには(ステップS2105のNo)、テスト充電で取得した電池「1」109の充電電圧値「1」と電池「2」110の充電電圧値「2」を大小比較する(ステップS2106)。
【0294】
また、電池「1」109の充電電流値「1」109と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値を超えるときには(ステップS2105のYes)、充電電流値「1」109と充電電流値「2」を大小比較する(ステップS2107)。
【0295】
電圧値「1」の方が小さいとき(ステップS2106のYes)、又は、電流値「1」の方が大きいときには(ステップS2107のYes)、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2108)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回るまで(ステップS2109のNo)、継続して行なう。
【0296】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2109のYes)、電池「1」109の充電が完了したと判断し、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2110)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2111のNo)、継続して行なう。
【0297】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2111のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2112)、充電制御を終了する。
【0298】
一方、電圧値「2」の方が小さいとき(ステップS2106のNo)、又は、電流値「2」の方が大きいときには(ステップS2107のNo)、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2113)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2114のNo)、継続して行なう。
【0299】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2114のYes)、電池「2」110の充電が終了したと判断し、続いて、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2115)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2116のNo)、継続して行なう。
【0300】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2116のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2117)、充電制御を終了する。
【実施例9】
【0301】
リチウムイオン電池の充電を始めると、電池の内部インピーダンスによるジュール熱で、電池の温度が上昇することが知られている。また、電池の温度が高いと、電気用品安全法などの安全規格を満たすため、大きな充電電流を流すことができない。したがって、充電開始時に温度が高いと、最初は充電電流が大きくても、すぐに安全規格のための制御閾値(温度基準値)を超えてしまい、充電電流を抑えなければならなくなるため、充電の効率はかえって悪くなる。
【0302】
そこで、温度が基準値よりも大きい電池については、テスト充電時に取得した充電電流は無視して、温度の低い電池から先に充電するようにしてもよい。
【0303】
例えば、一方の電池が安全規格の電流閾値60℃に近い50℃である場合には、他方の電池から充電を行なうようにする。図22に示す例では、テスト充電で、一方の電池「1」は状態Aにあり、その充電電流が1500mA、温度が55℃であるのに対し、他方の電池「2」は状態Bにあり、その充電電流が200mA、温度が30℃であるとする。ここで、安全規格のための温度基準値50℃が設定されているとすると、電池「1」の温度は温度基準値を超えているので、充電電流では充電の順番を決定せず、温度基準値を超えていない電池「2」の方から充電を行なうようにする。
【0304】
図23には、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なう。電池の温度が基準値を超えていない場合のみ、充電電流を用いて充電の順番を判断する。
【0305】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS2301)、電池「1」109の充電電流値「1」と温度「1」を取得する(ステップS2302)。続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS2303)、電池「2」110の充電電流値「2」と温度「2」を取得する(ステップS2304)。
【0306】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0307】
本充電では、まず、電池「1」109の温度「1」及び電池「2」の温度「2」が温度基準値以下かどうかをチェックする(ステップS2305)。
【0308】
そして、電池「1」109の温度「1」及び電池「2」の温度「2」がともに温度基準値以下で(ステップS2305のYes)、且つ、電池「1」109の充電電流「1」の方が大きいとき(ステップS2307のYes)、又は、電池「1」109の温度「1」のみが温度基準値以下のときには(ステップS2306のYes)、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2308)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回るまで(ステップS2309のNo)、継続して行なう。
【0309】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2309のYes)、電池「1」109の充電が完了したと判断し、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2310)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2311のNo)、継続して行なう。
【0310】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2311のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2312)、充電制御を終了する。
【0311】
一方、電池「1」109の温度「1」及び電池「2」の温度「2」がともに温度基準値以下で(ステップS2305のYes)、且つ、電池「1」109の充電電流「2」の方が大きいとき(ステップS2307のNo)、又は、電池「2」109の温度「2」のみが温度基準値以下のときには(ステップS2306のNo)、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2313)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2314のNo)、継続して行なう。
【0312】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2314のYes)、電池「2」110の充電が終了したと判断し、続いて、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2315)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2316のNo)、継続して行なう。
【0313】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2316のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2317)、充電制御を終了する。
【実施例10】
【0314】
一方の電池が放電中で、ディジタルカメラ本体101に電源を供給している場合には、他方の放電していない電池から先に充電を行なうようにしてもよい。
【0315】
ディジタルカメラ本体101が、USBケーブル111が接続されていないで起動している場合には、写真撮影が可能な状態では、電池「1」109又は電池「2」110のいずれかから電力の供給を受けて動作している。この状態からディジタルカメラ本体101にUSBケーブル111を接続して充電を行なうと、正確に充電電流を測定することができず、図7Aに示したような処理手順で正常に充電制御できないおそれがある。このため、電力を供給していない電池から充電を行なうようにする。
【実施例11】
【0316】
図7Aに示した充電制御の処理手順では、電池「1」109と電池「2」110の充電電流を単純に比較して、充電する順番を決定している。これは、充電電流が大きな電池から先に充電すると、充電電流積算値が大きくなり効率的である、という理由に依拠する。
【0317】
ここで、電池「1」109と電池「2」110の充電電流がほぼ同じ場合には、満充電容量が大きい電池から順番に充電するようにしてもよい。例えば、電池「1」109と電池「2」110の充電電流の差が50mA以下であれば、さらに各電池の満充電容量を用いて充電の順番を判断する。電源の給電能力一杯で充電している場合、満充電容量が大きい電池から充電を行なうと、電源の給電能力一杯で充電できる時間が長い電池から先に充電されることになり、さらに効率よい充電を実現することができる。
【0318】
電池「1」109内のマイコン155と電池「2」110内のマイコン170には、出荷時にあらかじめ電池の満充電容量がそれぞれ記憶されているとする。このような場合、ディジタルカメラ本体110側の制御部120は、C端子による通信で、各電池の満充電容量を取得することができる。
【0319】
図24には、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なう。充電電流の差が一定値以下であれば、さらに各電池の満充電容量を用いて充電の順番を判断する。
【0320】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS2401)、電池「1」109の充電電流値「1」を取得するとともに(ステップS2402)、電池「1」109のマイコン155から満充電容量「1」を取得する(ステップS2403)。続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS2404)、電池「2」110の充電電流値「2」を取得するとともに(ステップS2405)、電池「2」110のマイコン170から満充電容量「2」を取得する(ステップS2406)。
【0321】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0322】
本充電では、まず、テスト充電で取得した電池「1」109の充電電流値「1」と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値(例えば、50mA)を超えるかどうかをチェックする(ステップS2407)。
【0323】
電流値「1」109と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値以下であるときには(ステップS2407のNo)、テスト充電で取得した電池「1」109の満充電容量「1」と電池「2」110の満充電容量「2」を大小比較する(ステップS2408)。
【0324】
また、電池「1」109の充電電流値「1」109と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値を超えるときには(ステップS2407のYes)、充電電流値「1」109と充電電流値「2」を大小比較する(ステップS2409)。
【0325】
満充電容量「1」の方が大きいとき(ステップS2408のYes)、又は、電流値「1」の方が大きいときには(ステップS2409のYes)、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2410)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回るまで(ステップS2411のNo)、継続して行なう。
【0326】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2411のYes)、電池「1」109の充電が完了したと判断し、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2412)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2413のNo)、継続して行なう。
【0327】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2413のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2414)、充電制御を終了する。
【0328】
一方、満充電容量「2」の方が大きいとき(ステップS2408のNo)、又は、電流値「2」の方が大きいときには(ステップS2408のNo)、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2415)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2416のNo)、継続して行なう。
【0329】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2416のYes)、電池「2」110の充電が終了したと判断し、続いて、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2417)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2418のNo)、継続して行なう。
【0330】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2418のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2419)、充電制御を終了する。
【実施例12】
【0331】
図7Aに示した充電制御の処理手順では、電池「1」109と電池「2」110の充電電流を単純に比較して、充電する順番を決定している。これは、充電電流が大きな電池から先に充電すると、充電電流積算値が大きくなり効率的である、という理由に依拠する。
【0332】
ここで、電池「1」109と電池「2」110の充電電流がほぼ同じ場合には、充放電回数が少ない電池から順番に充電するようにしてもよい。例えば、電池「1」109と電池「2」110の充電電流の差が50mA以下であれば、さらに各電池の充放電回数を用いて充電の順番を判断する。電源の給電能力一杯で充電している場合、充放電回数の少ない電池から充電を行なうと、電源の給電電力一杯で充電できる時間が長いから先に充電されることになり、さらに効率よい充電を実現することができる。また、より劣化していな電池が選ばれることになり、全体としての電池の劣化の進みを抑えることができる。
【0333】
電池「1」109内のマイコン155は、電流検出抵抗153により測定した充電電流を積算した値を保持し、満充電容量に達する度に充電回数をインクリメントさせて保持している。同様に、電池「2」110内のマイコン170は、電流検出抵抗168により測定した充電電流を積算した値を保持し、満充電容量に達する度に充電回数をインクリメントさせて保持している。そして、ディジタルカメラ本体110側の制御部120は、C端子による通信で、各電池から充放電回数を取得することができる。
【0334】
図25には、ディジタルカメラ本体101の制御部128が行なう充電制御の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示のように、充電制御は、テスト充電、本充電の順に行なう。充電電流の差が一定値以下であれば、さらに各電池の充放電回数を用いて充電の順番を判断する。
【0335】
充電を開始すると、まず電池「1」109について基本充電制御を行なって(ステップS2501)、電池「1」109の充電電流値「1」を取得するとともに(ステップS2502)、電池「1」109のマイコン155から充放電回数「1」を取得する(ステップS2503)。続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なって(ステップS2504)、電池「2」110の充電電流値「2」を取得するとともに(ステップS2505)、電池「2」110のマイコン170から充放電回数「2」を取得する(ステップS2506)。
【0336】
ここで、テスト充電は終了し、続いて本充電を開始する。
【0337】
本充電では、まず、テスト充電で取得した電池「1」109の充電電流値「1」と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値(例えば、50mA)を超えるかどうかをチェックする(ステップS2507)。
【0338】
電流値「1」109と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値以下であるときには(ステップS2507のNo)、テスト充電で取得した電池「1」109の充放電回数「1」と電池「2」110の充放電回数「2」を大小比較する(ステップS2508)。
【0339】
また、電池「1」109の充電電流値「1」109と電池「2」110の充電電流値「2」の差が所定値を超えるときには(ステップS2507のYes)、充電電流値「1」109と充電電流値「2」を大小比較する(ステップS2509)。
【0340】
充放電回数「1」の方が小さいとき(ステップS2508のYes)、又は、電流値「1」の方が大きいときには(ステップS2509のYes)、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2510)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が制御部128に記憶されている所定の閾値を下回るまで(ステップS2511のNo)、継続して行なう。
【0341】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2511のYes)、電池「1」109の充電が完了したと判断し、続いて、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2512)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2513のNo)、継続して行なう。
【0342】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2513のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2514)、充電制御を終了する。
【0343】
一方、充放電回数「2」の方が大きいとき(ステップS2508のNo)、又は、電流値「2」の方が大きいときには(ステップS2508のNo)、電池「2」110について基本充電制御を行なう(ステップS2515)。電池「2」110の基本充電制御は、電池「2」110の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2516のNo)、継続して行なう。
【0344】
そして、電池「2」110の充電電流値が所定の閾値を下回ると(ステップS2516のYes)、電池「2」110の充電が終了したと判断し、続いて、電池「1」109について基本充電制御を行なう(ステップS2517)。電池「1」109の基本充電制御は、電池「1」109の充電が進行し、充電用の電源電圧と電池電圧との電位差が小さくなることにより、充電電流値が所定の閾値を下回るまで(ステップS2518のNo)、継続して行なう。
【0345】
そして、電池「1」109の充電電流値が所定の閾値を下回り、(ステップS2518のYes)、双方の電池について充電が終了すると、制御部128は、信号線129によりスイッチ127を「定電流回路側:切断、直接結線側:切断」状態にして(ステップS2519)、充電制御を終了する。
【0346】
本実施例の変形例として、電池「1」109と電池「2」110の充電電流がほぼ同じ場合には、製造年月日が新しい電池から順番に充電するようにしてもよい。電源の給電能力一杯で充電している場合、製造年月日が新しい電池から充電を行なうと、電源の給電電力一杯で充電できる時間が長いから先に充電されることになり、さらに効率よい充電を実現することができる。
【0347】
また、本実施例の他の変形例として、電池「1」109と電池「2」110の充電電流がほぼ同じ場合には、最後の使用年月日が古い電池から順番に充電するようにしてもよい。電源の給電能力一杯で充電している場合、最後の使用年月日が古い電池から充電を行なうと、電源の給電電力一杯で充電できる時間が長いから先に充電されることになり、さらに効率よい充電を実現することができる。
【0348】
このように、本明細書で開示する技術により2以上の電池について充電制御を行なうと、通常の状態の電池→電圧が低くて保護回路が働く電池、の順番で充電を行なうことになるので、効率のよい充電を実現することができる。
【0349】
また、本明細書で開示する技術により2以上の電池について充電制御を行なうと、通常の状態の電池→満充電に近い電池、の順番で充電を行なうことになるので、効率のよい充電を実現することができる。この場合、満充電に近い電池のみが繰り返し充電され劣化が進むことが起こり難くなるという効果もある。
【0350】
また、本明細書で開示する技術により2以上の電池について充電制御を行なうと、通常の状態の電池→低温電池、の順番で充電を行なうことになるので、効率のよい充電を実現することができる。
【0351】
また、本明細書で開示する技術により2以上の電池について充電制御を行なうと、通常の状態の電池→劣化電池、の順番で充電を行なうことになるので、効率のよい充電を実現することができる。この場合、劣化電池のみが繰り返し充電され劣化が進むことが起こり難くなるという効果もある。
【0352】
また、本明細書で開示する技術により2以上の電池について充電制御を行なうと、セルの並列数の多い組電池→セルの並列数の少ない組電池、の順番で充電を行なうことになるので、効率のよい充電を実現することができる。
【0353】
また、本明細書で開示する技術により2以上の電池について充電制御を行なうと、通常の状態の電池→安全規格で規制されるような温度状態の電池、の順番で充電を行なうことになるので、効率のよい充電を実現することができる。
【0354】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)各電池の充電電流を取得する電流取得部と、前記電流取得部で取得した充電電流の値に基づいて、各電池の本充電を行なう本充電部と、を具備する充電制御装置。
(2)前記本充電部は、充電電流が大きい順に各電池の本充電を行なう、上記(1)に記載の充電制御装置。
(3)前記本充電部は、充電電流の値に基づいて本充電を行なうと選択した電池が満充電になってから、残りの電池について、充電電流の値に基づいて本充電を行なう、上記(1)に記載の充電制御装置。
(4)前記電流取得部は、電池毎に短時間だけテスト充電を行なって、各々の充電電流を取得する、上記(1)に記載の充電制御装置。
(5)前記充電制御装置は、各電池からの放電電流を電源として使用する電子機器である、上記(1)に記載の充電制御装置。
(6)前記本充電部は、充電中の電池の充電電流が低下して、充電していない電池において取得した電流よりも一定値以上小さくなったときに、充電する電池を切り替える、上記(1)に記載の充電制御装置。
(7)前記本充電部は、充電中の電池の充電電流が低下して、充電していない電池において取得した電流よりも小さくなってから一定時間経過したときに、充電する電池を切り替える、上記(1)に記載の充電制御装置。
(8)各電池の電圧を取得する電圧取得部をさらに備え、前記本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記電圧取得部が取得した電圧が小さい電池から順に本充電を行なう、上記(1)に記載の充電制御装置。
(9)各電池の温度を取得する温度取得部をさらに備え、前記本充電部は、前記温度取得部が取得した温度が基準値を超える電池を除いて、充電電流が大きい順に各電池の本充電を行なう、上記(1)に記載の充電制御装置。
(10)各電池の満充電容量を取得する満充電容量取得部をさらに備え、前記本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記満充電容量取得部で取得した満充電容量が大きい電池の順番に本充電を行なう、上記(1)に記載の充電制御装置。
(11)各電池の充放電回数を取得する充放電回数取得部をさらに備え、前記本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記充放電回数取得部で取得した充放電回数が少ない電池の順番に本充電を行なう、上記(1)に記載の充電制御装置。
(12)各電池の充電電流を取得する電流取得ステップと、前記電流取得ステップで取得した充電電流の値に基づいて、各電池の本充電を行なう本充電ステップと、を有する充電制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0355】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0356】
本明細書で開示する技術は、ディジタルカメラや、その他の一般的な電子機器が2個以上の電池を同時に充電する場合に適用することができる。例えば、専用充電器や、パーソナル・コンピューター、携帯電話、携帯音楽再生機、自動車、鉄道車両、船舶、航空機、人工衛星、ロボット、住宅、照明器具、医療機器、測定器、工作機械、テレビ、ラジオ、無線機、非常用電源など、複数の2次電池を用いるさまざまな電子機器に対し、同様に本明細書で開示する技術を適用することができる。
【0357】
また、本明細書で開示する技術は、リチウムイオン電池でなく、ニッケル水素電池、ニッケル・カドミウム電池、鉛電池などその他の一般的な2次電池の充電にも適用することができる。
【0358】
また、本明細書で開示する技術は、商用電源の他、手回し発電機や、内燃機関による発電機、1次電池、2次電池、太陽電池、他の電子機器などを利用することができ、手回し発電機や、内燃機関による発電機、1次電池、2次電池、太陽電池、他の電子機器などからの電力を直流定電圧に変換すればよい。
【0359】
要するに、例示という形態により本明細書で開示する技術について説明してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本明細書で開示する技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0360】
101…ディジタルカメラ、102…電池フォルダー、
103…縦位置グリップ、104…結合部
105…シャッター・ボタン、106…シャッター・ボタン
107…電池フォルダー、108…電池フォルダー
109…電池「1」、110…電池「2」
111…USBケーブル、112…デバイス側端子、113…ホスト側端子
114…USB充電器、115…ACプラグ、116…商用電源ソケット
117…整流回路、118…VBUS端子、119…D+端子
120…D−端子、121…GND端子、122…VBUS端子
123…D+端子、124…D−端子、125…GND端子
126…定電圧回路、127…スイッチ、128…制御部、129…信号線
130…定電流回路、131…+端子、132…ADポート
134…1/2端子、135…信号線、136…C端子
138…スイッチ、139…スイッチ、140…+端子、141…+端子
142…+端子、146…1/2端子、147…−端子、148…−端子
149…−端子、150、151…電池セル、152…+端子
153…電流検出抵抗、154…−端子、155…マイコン、157…GND
158…ADポート、159…ADポート、160…ADポート
161…ADポート、162…ADポート、163…サーミスター
164…C端子、165、166…電池セル、167…+端子
168…電流検出抵抗、169…−端子、170…マイコン、172…GND
173…ADポート、174…ADポート、175…ADポート
176…ADポート、177…ADポート、178…サーミスター
179…C端子、181…入出力ポート、183…CPU
184…入力バッファー、185…出力バッファー、186…出力FET
187…プルアップ抵抗、188…プルアップ・ダイオード、189…CPU
190…入力バッファー、191…出力バッファー、193…プルアップ抵抗
194…プルアップ・ダイオード、195…CPU、196…入力バッファー
197…出力バッファー、198…出力FET、199…プルアップ抵抗
200…プルアップ・ダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各電池の充電電流を取得する電流取得部と、
前記電流取得部で取得した充電電流の値に基づいて、各電池の本充電を行なう本充電部と、
を具備する充電制御装置。
【請求項2】
前記本充電部は、充電電流が大きい順に各電池の本充電を行なう、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記本充電部は、充電電流の値に基づいて本充電を行なうと選択した電池が満充電になってから、残りの電池について、充電電流の値に基づいて本充電を行なう、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記電流取得部は、電池毎に短時間だけテスト充電を行なって、各々の充電電流を取得する、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記充電制御装置は、各電池からの放電電流を電源として使用する電子機器である、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記本充電部は、充電中の電池の充電電流が低下して、充電していない電池において取得した電流よりも一定値以上小さくなったときに、充電する電池を切り替える、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項7】
前記本充電部は、充電中の電池の充電電流が低下して、充電していない電池において取得した電流よりも小さくなってから一定時間経過したときに、充電する電池を切り替える、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項8】
各電池の電圧を取得する電圧取得部をさらに備え、
前記本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記電圧取得部が取得した電圧が小さい電池から順に本充電を行なう、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項9】
各電池の温度を取得する温度取得部をさらに備え、
前記本充電部は、前記温度取得部が取得した温度が基準値を超える電池を除いて、充電電流が大きい順に各電池の本充電を行なう、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項10】
各電池の満充電容量を取得する満充電容量取得部をさらに備え、
前記本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記満充電容量取得部で取得した満充電容量が大きい電池の順番に本充電を行なう、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項11】
各電池の充放電回数を取得する充放電回数取得部をさらに備え、
前記本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記充放電回数取得部で取得した充放電回数が少ない電池の順番に本充電を行なう、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項12】
各電池の充電電流を取得する電流取得ステップと、
前記電流取得ステップで取得した充電電流の値に基づいて、各電池の本充電を行なう本充電ステップと、
を有する充電制御方法。
【請求項1】
各電池の充電電流を取得する電流取得部と、
前記電流取得部で取得した充電電流の値に基づいて、各電池の本充電を行なう本充電部と、
を具備する充電制御装置。
【請求項2】
前記本充電部は、充電電流が大きい順に各電池の本充電を行なう、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記本充電部は、充電電流の値に基づいて本充電を行なうと選択した電池が満充電になってから、残りの電池について、充電電流の値に基づいて本充電を行なう、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記電流取得部は、電池毎に短時間だけテスト充電を行なって、各々の充電電流を取得する、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記充電制御装置は、各電池からの放電電流を電源として使用する電子機器である、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記本充電部は、充電中の電池の充電電流が低下して、充電していない電池において取得した電流よりも一定値以上小さくなったときに、充電する電池を切り替える、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項7】
前記本充電部は、充電中の電池の充電電流が低下して、充電していない電池において取得した電流よりも小さくなってから一定時間経過したときに、充電する電池を切り替える、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項8】
各電池の電圧を取得する電圧取得部をさらに備え、
前記本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記電圧取得部が取得した電圧が小さい電池から順に本充電を行なう、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項9】
各電池の温度を取得する温度取得部をさらに備え、
前記本充電部は、前記温度取得部が取得した温度が基準値を超える電池を除いて、充電電流が大きい順に各電池の本充電を行なう、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項10】
各電池の満充電容量を取得する満充電容量取得部をさらに備え、
前記本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記満充電容量取得部で取得した満充電容量が大きい電池の順番に本充電を行なう、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項11】
各電池の充放電回数を取得する充放電回数取得部をさらに備え、
前記本充電部は、前記電流取得部が取得した各電池の充電電流の差が一定値以下のときには、前記充放電回数取得部で取得した充放電回数が少ない電池の順番に本充電を行なう、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項12】
各電池の充電電流を取得する電流取得ステップと、
前記電流取得ステップで取得した充電電流の値に基づいて、各電池の本充電を行なう本充電ステップと、
を有する充電制御方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2013−102625(P2013−102625A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245090(P2011−245090)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]