説明

充電器

【課題】ACプラグ収納時にACプラグホルダーとケースの嵌合ガタによるACプラグのガタを新規部品の追加無く防ぐ構造を持った充電器を提供することを目的とする。
【解決手段】前記充電器において、前記ACプラグホルダーは前記ACプラグが前記ACプラグ収納部に収納された状態で前記ACプラグの回転軸と凸凹構造によって嵌合させることで前記ACプラグ回転時にクリック感を与える構造を備えており、なおかつ前記充電器収納状態にて、前記ACプラグの回転軸が前記ACプラグホルダーと嵌合された状態で前記ケース内側に設けられたリブに前記ACプラグの樹脂部を意図的に接触させることにより、前記ACプラグに回転軸を中心とした前記ACプラグ収納部方向への回転モーメントによるプリテンションを掛けた充電器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交流電源に接続するためのACプラグを有し、前記交流電源を直流電源に変換してバッテリーに充電を行う充電器の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の充電器にはACプラグをケース内で軸支することにより、このACプラグから突出する一対の栓刃がケース内に収納された状態とケースから突出した状態との間で回転可能となるようにしたものがある。この従来の充電器を図5に示す。
【0003】
図5においてACプラグ2が下ケース1と上ケース5により軸支され、またACプラグ2が回転する際にクリック感を与えるACプラグホルダー3によって保持されている。このACプラグホルダー3の周囲部品の仕上がり及び組立等のバラツキによりACプラグ2にガタつきが発生するのを抑えるために、ACプラグホルダー3にテンションを掛け続ける新たな部品としてコイルばね10を用いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−37780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の充電器では、ACプラグホルダー3にテンションを掛け続ける新たな部品としてコイルばね10を用いているため、部品追加によるコストアップを余儀なくされる課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の充電器は交流電源に接続するための回転式のACプラグと、前記ACプラグを保持するACプラグホルダーと、充電基板と、前記ACプラグおよび前記充電基板を保持し電池装着機能を兼ね備えたケースとから成り立っており、前記ACプラグホルダーは前記ACプラグが前記ACプラグ収納部に収納された状態で前記ACプラグの回転軸と凸凹構造によって嵌合させることで前記ACプラグ回転時にクリック感を与える構造を備えており、なおかつ前記充電器収納状態にて、前記ACプラグの回転軸が前記ACプラグホルダーと嵌合された状態で前記ケース内側に設けられたリブに前記ACプラグの樹脂部を意図的に接触させることにより、前記ACプラグに回転軸を中心とした前記ACプラグ収納部方向への回転モーメントによるプリテンションを掛けることで、前記ACプラグのガタをなくすというものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、上ケース内側形状に解決手段を盛り込むことでACプラグのガタつきを抑えることができるため、部品点数を増やすことなく現状のコストのままで、また外形の形状を変更することもなくガタつき防止の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に示す充電器の分解斜視図
【図2】本発明の実施の形態1に示す充電器の背面図
【図3】本発明の実施の形態1に示す充電器の断面図
【図4】本発明の実施の形態1に示す充電器の断面図の詳細図
【図5】従来の充電器の構成を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態における充電器の構成を示す分解斜視図である。この充電器は樹脂製の上ケース5と下ケース1を上下から重ね合わせた方形箱型のケース内に充電基板4と回転式のACプラグ2、及びACプラグ2を保持しさらにACプラグ2を回転させた際に、一時的に回転負荷を受けるような感覚のクリック感を与える機構を持つACプラグホルダー3から成り立っている。なお充電基板4のプリント配線と実装部品は図示を省略している。
【0011】
図2は本発明の実施の形態における充電器の底面図である。ACプラグ2は下ケース1の収納部分に格納されている。
【0012】
2箇所の切り口Aを結ぶ線で断面を見たものが図3である。従って、図3は図2のA−A断面図である。
【0013】
充電基板4とACプラグ2及びACプラグホルダー3がそれぞれ上ケース5と下ケース1に嵌合された状態で固定されている。
【0014】
図4は図3の拡大図である。同図を用いて本実施の形態におけるACプラグ2のガタツキ防止機能を詳細に説明する。
【0015】
ACプラグ回転軸7はACプラグホルダー3の軸受部8aおよび軸受部8bに支持された状態で上ケース5及び下ケース1に嵌合されて収納されているが、組立のばらつきによって、ACプラグホルダ−3にストレスを加えないように、若干のクリアランスが設けられている。
【0016】
ACプラグ回転軸7とACプラグホルダー3の軸受部8aおよび軸受部8bは凸凹のカム形状になっており、ACプラグ2を収納状態から起こすとき、および起こした状態から収納する際に、一時的に回転負荷を受けるような感覚のクリック感を与える構造を備えている。
【0017】
また上ケース5において外面からは見えない内側にリブ6が備わっており、これは上ケース5の成形部の一部となっている。ACプラグ2が収納された際にACプラグ2の樹脂部9とリブ6が接触することにより、ACプラグ2を支持しているACプラグホルダー3にACプラグ回転軸7を中心とした回転モーメントaが発生する。
【0018】
ただしACプラグホルダ−3は下ケース1と上ケース5によって嵌合されているためクリアランス以上の範囲では回転することができない。よってACプラグホルダー3が下ケース1および上ケース5に固定された状態でACプラグ2には収納方向に回転モーメントbが加わることとなる。
【0019】
これによりACプラグ2には常に収納方向に回転モーメントbとしてプリテンションが加わり続けることによりACプラグ2を固定し、ガタツキを防止するという特有の効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明にかかる充電器は、ACプラグ収納時にACプラグホルダーとケースとの嵌合ガタによるACプラグのガタツキをなくすことができるので、ACプラグを備える充電器の構造として有用である。
【符号の説明】
【0021】
1 下ケース
2 ACプラグ
3 ACプラグホルダー
4 充電基板
5 上ケース
6 リブ
7 ACプラグ回転軸
8a 軸受部
8b 軸受部
9 樹脂部
10 コイルばね
A 切り口
a 回転モーメント
b 収納方向に回転モーメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源に接続するための回転式のACプラグと、前記ACプラグを保持するACプラグホルダーと、充電基板と、前記ACプラグおよび前記充電基板を保持し電池装着機能を兼ね備えたケースとから成り立っており、前記ACプラグホルダーは前記ACプラグが前記ACプラグ収納部に収納された状態で前記ACプラグの回転軸と凸凹構造によって嵌合させることで前記ACプラグ回転時にクリック感を与える構造を備えており、なおかつ前記充電器収納状態にて、前記ACプラグの回転軸が前記ACプラグホルダーと嵌合された状態で前記ケース内側に設けられたリブに前記ACプラグの樹脂部を意図的に接触させることにより、前記ACプラグに回転軸を中心とした前記ACプラグ収納部方向への回転モーメントによるプリテンションを掛けることで、前記ACプラグのガタをなくすことを特徴とする充電器。
【請求項2】
前記充電器使用時には、前記ACプラグが垂直な状態にて起こされた際に前記ACプラグホルダーとの凹凸構造により位置固定することを特徴とする請求項1記載の充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−209180(P2012−209180A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75061(P2011−75061)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】