説明

充電装置

【課題】交流電源で直流のバッテリを充電するための充電装置を低コストで実現する。
【解決手段】車両1は、直流のバッテリ10と、車両外部の交流電源200から供給される交流でバッテリ10を充電するための充電装置を備える。この充電装置は、整流機構20、インレット30から交流が供給される交流端子31,32、バッテリ10の正極および負極にそれぞれ接続される正極端子11および負極端子12を含む。交流端子31,32、正極端子11、負極端子12はブラシ構造を有する。整流機構20は、交流端子31,32および正極端子11、負極端子12の間に、これらの端子と接触するように配置される。整流機構20は、交流電圧波形に同期して回転することによって、交流電源200から供給される交流を直流に整流してバッテリ10に供給することで、バッテリ10を充電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源を用いて直流のバッテリを充電するための充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005−65433号公報(特許文献1)には、車両外部の交流電源を用いて直流の車載バッテリを充電するために、交流電源と車載バッテリとの間にスイッチング素子などの半導体素子を有する電力変換装置を設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−65433号公報
【特許文献2】特開2009−106054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すように、従来においては、交流電源を用いて直流のバッテリを充電するためには、スイッチング素子などの半導体素子を有する電力変換装置が必要であったため、コストの増加に繋がっていた。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、交流電源を用いて直流のバッテリを充電するための充電装置を低コストで実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る充電装置は、交流電源を用いて直流のバッテリを充電するための充電装置であって、交流電源からの交流をバッテリに供給するための交流端子と、バッテリに接続された直流端子と、交流端子および直流端子の間に交流端子および直流端子と接触するように配置され、回転することによって交流端子から供給される交流を直流に整流して直流端子に供給する整流機構と、整流機構を回転させる回転装置とを備える。
【0007】
好ましくは、交流端子は、複数存在する。直流端子は、バッテリの正極に接続される正極端子を含む。整流機構は、交流の電圧波形と同期して回転することによって、正極端子の接続先を複数の交流端子のうち電位がバッテリの負極の電池よりも高い交流端子に切り替える。
【0008】
好ましくは、交流電源は、単相の交流を出力する。交流端子は、単相の交流電圧が供給される第1端子および第2端子を含む。直流端子は、バッテリの正極に接続される正極端子と、バッテリの負極に接続される負極端子とを含む。整流機構の状態は、回転装置に回転させられることによって、正極端子および負極端子の接続先がそれぞれ第1端子および第2端子となる第1状態と、正極端子および負極端子の接続先がそれぞれ第2端子および第1端子となる第2状態との間で、交互に切り替えられる。
【0009】
好ましくは、回転装置は、交流の電圧波形の1周期のうち、第2端子の電位よりも第1端子の電位が高い期間は整流機構が第1状態となるように整流機構を回転させ、第1端子の電位よりも第2端子の電位が高い期間は整流機構が第2状態となるように整流機構を回転させる。
【0010】
好ましくは、交流電源は、多相の交流を出力する。交流端子は、多相の各交流電圧がそれぞれ供給される複数の相端子を含む。直流端子は、バッテリの正極に接続される正極端子を含む。整流機構は、回転することによって、正極端子の接続先を複数の相端子のいずれかに周期的に切り替える。
【0011】
好ましくは、回転装置は、複数の相端子のうち電位がバッテリの負極の電位よりも高い相端子に正極端子の接続先を切り替えるように整流機構を回転させる。
【0012】
好ましくは、充電装置は、交流電源の中性点とバッテリの負極とを結ぶ接続線をさらに備える。接続線は、整流機構の外部に配置される。
【0013】
好ましくは、回転装置は、交流で作動するモータで構成される。充電装置は、交流電源からの交流を受ける受電部と、受電部とモータとの通電および非通電を切り替える第1リレーと、受電部と交流端子との通電および非通電を切り替える第2リレーと、第1、第2リレーおよびモータを制御する制御装置とをさらに備える。制御装置は、交流電源を用いてバッテリを充電する場合、第1リレーを閉じてモータを作動させ、モータの回転速度が交流の電圧波形と同期した状態で第2リレーを閉じる。
【0014】
好ましくは、バッテリおよび整流機構は、車両に備えられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、交流電源を用いて直流のバッテリを充電するための充電装置を低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】充電装置を備えた車両の概略図(その1)である。
【図2】整流機構からバッテリに印加される電圧の波形を模式的に示す図(その1)である。
【図3】ECUの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】充電装置を備えた車両の概略図(その2)である。
【図5】接点板23U,23V,23Wの配置の一例を示す図である。
【図6】整流機構からバッテリに印加される電圧の波形を模式的に示す図(その2)である。
【図7】整流機構にLCフィルタを設ける場合の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0018】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態1に従う充電装置を備えた車両1の概略図である。
【0019】
車両1は、直流のバッテリ10を備える。バッテリ10は、代表的には、ニッケル水素またはリチウムイオン等の直流の二次電池から成る。車両1は、バッテリ10に蓄えられた電力で図示しない走行用モータを駆動することによって走行する電動車両である。車両1は、駆動源としてモータのみを備える電気自動車であってもよいし、モータとエンジンとを備えるハイブリッド車両であってもよい。
【0020】
車両1は、車両外部の交流電源200からの交流を受電可能に構成される。なお、本実施の形態においては、交流電源200が単相交流を出力する場合について説明する。
【0021】
車両1は、交流電源200から供給される交流でバッテリ10を充電するための充電装置を備える。この充電装置は、整流機構20、インレット30、電力線L1,L2,N1,N2、交流端子31,32、モータ40、ギヤ50、正極端子11、負極端子12、ECU(Electronic Control Unit)100を含む。
【0022】
インレット30は、交流電源200から延びる充電ケーブルのコネクタ210に接続可能に構成され、交流電源200からの交流電力を受ける。
【0023】
コネクタ210がインレット30に接続されると、交流電源200からの交流電力が電力線L1,N1間に供給される。
【0024】
交流端子31は、電力線L1の端部に設けられる。交流端子31は、ブラシ構造を有しており、整流機構20の回転位置に応じて整流機構20の接点板21Aおよび接点板21Bのいずれかと接触する。
【0025】
交流端子32は、電力線N1の端部に設けられる。交流端子32は、ブラシ構造を有しており、整流機構20の回転位置に応じて整流機構20の接点板22Aおよび接点板22Bのいずれかと接触する。
【0026】
電力線L2,N2は、それぞれ電力線L1,N1から分岐し、モータ40に接続される。電力線L2上には、インレット30とモータ40との通電および非通電を切り替えるリレーRAが設けられる。電力線L1上には、インレット30と交流端子31との通電および非通電を切り替えるリレーRBが設けられる。
【0027】
モータ40は、電力線L2,N2を経由してインレット30から供給される交流電力で作動される。モータ40の出力トルクは、ギヤ50を介して整流機構20に伝達される。これにより、整流機構20は、回転軸25を中心として回転する。モータ40の回転速度は、レゾルバ41によって検出される。レゾルバ41の検出結果はECU100に出力される。
【0028】
ECU100は、電力線L2,N2を経由してインレット30から交流電力がモータ40に供給されると、モータ40の回転速度を、整流機構20をインレット30からの交流電力の電圧波形と同期回転させる値(以下「基準速度」という)に制御する。なお、この制御は、ECU100ではなくモータ40に組み込まれたドライブ回路が行なってもよい。モータ40の回転速度が上述した基準速度に制御されることによって、整流機構20は、交流電力の電圧波形と同期して回転される。たとえば、60Hzの交流電力である場合、モータ40の回転速度が上述した基準速度に制御されることによって、整流機構20も60Hzで回転される。
【0029】
正極端子11は、一方の端部がバッテリ10の正極に固定接続される。正極端子11の他方の端部は、ブラシ構造を有しており、整流機構20の回転位置に応じて整流機構20の接点板23Aおよび接点板23Bのいずれかと接触する。
【0030】
負極端子12は、一方の端部がバッテリ10の負極に固定接続される。負極端子12の他方の端部は、ブラシ構造を有しており、整流機構20の回転位置に応じて整流機構20の接点板24Aおよび接点板24Bのいずれかと接触する。
【0031】
整流機構20は、円筒形状を有し、回転軸25を中心として回転可能に構成される。整流機構20は、交流電圧波形に同期して回転することによって、交流電源200から供給される交流を直流に整流してバッテリ10に供給することで、バッテリ10を充電する。以下、この点について詳細に説明する。
【0032】
整流機構20は、ブラシ構造を有する交流端子31,32および正極端子11、負極端子12の間に、これらの端子と接触するように配置される。整流機構20は、回転することによって、正極端子11および負極端子12の接続先を、交流端子31および交流端子32の間で周期的に切り替える構成を有する。
【0033】
整流機構20は、交流端子31,32と対向する面(以下「交流対向面」ともいう)上に設けられた接点板21A,21B,22A,22Bと、正極端子11および負極端子12と対向する面(以下「直流対向面」ともいう)上に設けられた接点板23A,23B,24A,24Bとを備える。
【0034】
接点板21Aと接点板21Bとは、交流対向面上における、回転軸25を中心とする第1同心円上に配置される。接点板22Aと接点板22Bとは、交流対向面上における、第1同心円よりも外側の第2同心円上に配置される。
【0035】
接点板23Aと接点板23Bとは、直流対向面上における、回転軸25を中心とする第3同心円上に配置される。接点板24Aと接点板24Bとは、直流対向面上における、第3同心円よりも外側の第4同心円上に配置される。
【0036】
接点板21A,22Aはそれぞれ接点板23A,24Aと電気的に接続される。一方、接点板21B,22Bはそれぞれ接点板24B,23Bと電気的に接続される。
【0037】
整流機構20は、半回転ごとに、第1状態と第2状態との間で交互に切り替えられる。第1状態は、交流端子31,32がそれぞれ接点板21A,22Aと接触するとともに、正極端子11および負極端子12がそれぞれ接点板23A,24Aと接触する状態である。したがって、第1状態では、正極端子11および負極端子12の接続先がそれぞれ交流端子31,32となる(図1に示す状態)。一方、第2状態は、交流端子31,32がそれぞれ接点板21B,22Bと接触するとともに、正極端子11および負極端子12がそれぞれ接点板23B,24Bと接触する状態である。したがって、第2状態では、正極端子11および負極端子12の接続先が第1状態とは逆にそれぞれ交流端子32,31となる。
【0038】
モータ40は、交流の電圧波形と同期して回転することによって、交流の電圧波形の1周期のうち、交流端子32の電位よりも交流端子31の電位が高い期間は整流機構20が上述の第1状態となるように整流機構20を回転させ、交流端子31の電位よりも交流端子32の電位が高い期間は整流機構20が上述の第2状態となるように整流機構20を回転させる。これにより、交流電圧波形の位相に関わらず、正極端子11の接続先が常に交流端子31,32のうちの電位が高い方となり、負極端子12の接続先が常に電位の低い方となる。言い換えれば、正極端子11(バッテリ10の正極)の接続先が、交流端子31,32のうち電位がバッテリ10の負極電位よりも高い方に切り替えられる。
【0039】
図2は、整流機構20を交流電圧波形と同期回転させた場合に整流機構20からバッテリ10に印加される電圧の波形を模式的に示す図である。整流機構20が交流電圧波形と同期回転し整流機構20の状態が半回転ごとに第1状態と第2状態との間で交互に切り替えられることによって、整流機構20からバッテリ10への印加される電圧の波形は、図2に示すように、交流電圧のうち負側の波形を正側に反転させた波形となる。その結果、整流機構20からバッテリ10に印加される電圧が直流電圧となり、バッテリ10が充電される。
【0040】
図3は、バッテリ10を充電する場合のECU100の処理手順を示すフローチャートである。
【0041】
S10にて、ECU100は、コネクタ210がインレット30に接続されたか否かを判定する。
【0042】
コネクタ210がインレット30に接続されると(S10にてYES)、ECU100は、S11にて、充電モードであるか否かを判定する。この判定は、たとえば、車両1が交流電源200からの交流を受入可能な状態であるか否かに基づいて行なわれる。
【0043】
充電モードであると(S11にてYES)、ECU100は、S12にてリレーRAを閉じる(オンする)。これにより、モータ40にインレット30から交流電力が供給され、モータ40の作動が開始される。
【0044】
その後、ECU100は、S13にて、モータ40の回転速度が上述した基準速度であるか否かを判定する。
【0045】
モータ40の回転速度が基準速度である場合(S13にてYES)、ECU100は、S14にてリレーRBを閉じる(オンする)。すなわち、ECU100は、リレーRAを閉じた後、モータ40の回転速度が交流電圧波形と同期した状態でリレーRBを閉じる。これにより、整流機構20が交流電圧波形と同期して回転している状態で、インレット30からの交流を整流機構20に供給することができる。そのため、整流機構20からバッテリ10に図2に示した直流電圧が印加され、バッテリ10が充電される。
【0046】
以上のように、実施の形態1に従う車両1は、交流電源200からの単相交流を受けるインレット30と直流のバッテリ10とを結ぶ電力線上に、交流電圧波形に同期して回転する整流機構20を備える。そして、その整流機構20をモータ40で交流電圧波形に同期して回転させることによって、単相交流を直流に整流してバッテリ10を充電する。そのため、単相交流で直流のバッテリ10を充電する大容量の充電装置をスイッチング素子などの半導体素子を用いることなく低コストで実現することができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、交流端子31,32、正極端子11、負極端子12をブラシ構造として整流機構20の各接点板に接触させる構成としたが、その逆に、整流機構20の各接点板をブラシ構造として交流端子31,32、正極端子11、負極端子12に接触させるようにしてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、充電装置を車両1に搭載する場合について説明したが、充電装置は必ずしも車両1に搭載されることに限定されない。たとえば、整流機構20およびモータ40を車両1の外部に設け、コネクタ210とインレット30との間に接続するようにしてもよい。
【0049】
[実施の形態2]
上述の実施の形態1では、単相の交流電源200を用いてバッテリ10を充電する充電装置について説明した。
【0050】
これに対し、本実施の形態2では、多相(ここでは三相)の交流電源200Aを用いてバッテリ10を充電する充電装置について説明する。
【0051】
図4は、本実施の形態2に従う充電装置を備えた車両1Aの概略図である。なお、車両1Aの基本的な構造は、実施の形態1で説明した車両1と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰り返さない。
【0052】
車両1Aは、三相の交流電源200Aを用いてバッテリ10を充電するための充電装置として、整流機構20A、インレット30A、電力線LU1,LV1,LW1,LU2,LV2,LW2、中性線N3、交流相端子31U,31V,31W、中性端子32N、モータ40A、ギヤ50、正極端子11、負極端子12、ECU100Aを含む。
【0053】
インレット30Aは、交流電源200Aから延びる充電ケーブルのコネクタ210Aに接続可能に構成される。
【0054】
コネクタ210Aがインレット30Aに接続されると、交流電源200Aからの三相(U相、V相、W相)の交流電力がそれぞれ電力線LU1,LV1,LW1に供給される。
【0055】
交流相端子31U,31V,31Wは、それぞれ電力線LU1,LV1,LW1の端部に設けられる。交流相端子31U,31V,31Wは、いずれもブラシ構造を有しており、それぞれ整流機構20の接点板21U,21V,21Wのいずれかと常に接触する。
【0056】
中性端子32Nは、中性線N3の端部に設けられる。中性線N3および中性端子32Nは、整流機構20Aの外部に配置される。中性端子32Nは、負極端子12に固定接続される。すなわち、本実施の形態では、負極端子12の接続先(バッテリ10の負極の接続先)を交流電源200Aの中性点に固定しておけばよいため、交流電源200Aの中性点とバッテリ10の負極とを結ぶ接続線が整流機構20Aの外部に配置される。
【0057】
電力線LU2,LV2,LW2は、それぞれ電力線LU1,LV1,LW1から分岐し、モータ40Aに接続される。電力線LU2,LW2上には、インレット30Aとモータ40Aとの通電および非通電を切り替えるリレーRA1,RA2がそれぞれ設けられる。中性線N3上には、インレット30Aとバッテリ10の負極との通電および非通電を切り替えるリレーRBNが設けられる。
【0058】
モータ40Aは、電力線LU2,LV2,LW2を経由してインレット30Aから供給される三相の交流電力で作動される。ECU100Aは、モータ40の回転速度を上述した基準速度に制御する。これにより、整流機構20Aは、交流電力の電圧波形と同期して回転される。
【0059】
正極端子11は、整流機構20Aの回転位置に応じて整流機構20Aの接点板23U,23V,23Wのいずれかと接触する。
【0060】
整流機構20Aは、円筒形状を有し、回転軸25を中心として回転可能に構成される。整流機構20Aは、交流電圧波形に同期して回転することによって、交流電源200Aから供給される三相交流を直流に整流してバッテリ10に供給することで、バッテリ10を充電する。以下、この点について詳細に説明する。
【0061】
整流機構20Aは、交流対向面上に設けられた接点板21U,21V,21Wと、直流対向面上に設けられた接点板23U,23V,23Wとを備える。
【0062】
交流相端子31U,31V,31Wは、ブラシ構造を有しており、整流機構20Aの回転位置に関わらずそれぞれ接点板21U,21V,21Wと常に接触するように配置される。
【0063】
接点板21U,21V,21Wは、それぞれ接点板23U,23V,23Wに電気的に接続される。
【0064】
接点板23U,23V,23Wは、整流機構20Aの回転位置に応じていずれか1つが正極端子11に接触するように配置される。
【0065】
図5は、接点板23U,23V,23Wの配置の一例を示す図である。図5に示すように、接点板23U,23V,23Wは、直流対向面上における、回転軸25を中心とする同心円上に、略均等(略120度毎)に配置される。そして、整流機構20Aが回転することによって、正極端子11の接続先は、接点板23U,23V,23Wの順で順次切り替えられる。
【0066】
図6は、整流機構20Aを交流電圧波形と同期回転させた場合に整流機構20Aからバッテリ10に印加される電圧の波形を模式的に示す図である。整流機構20Aが交流電圧波形と同期回転し正極端子11の接続先が接点板23U,23V,23Wの順で順次切り替えられることによって、整流機構20Aからバッテリ10への印加される電圧の波形は、図6に示すように、U,V,Wの各相電圧(中性端子32Nの電位を基準としたときの各交流相端子31U,31V,31Wの相対電位)のうち正となる相電圧が選択されたような波形となる。その結果、整流機構20Aからバッテリ10に印加される電圧が直流電圧となり、バッテリ10が充電される。
【0067】
なお、リレーRA1,RA2,RBNの接続は、上述の実施の形態1と同様に行なえばよい。すなわち、コネクタ210Aがインレット30Aに接続されると、まずリレーRA1,RA2を閉じた後、モータ40Aの回転速度が交流電圧波形と同期した状態でリレーRBNを閉じる。これにより、整流機構20Aが交流電圧波形と同期して回転している状態で、インレット30Aからの交流を整流機構20Aに供給することができる。
【0068】
以上のように、本実施の形態2に従う車両1Aは、交流電源200Aからの三相交流を受けるインレット30Aと直流のバッテリ10とを結ぶ電力線上に、交流電圧波形に同期して回転する整流機構20Aを備える。そして、その整流機構20Aをモータ40Aで交流電圧波形に同期して回転させることによって、三相交流を直流に整流してバッテリ10を充電する。そのため、三相交流で直流のバッテリ10を充電する大容量の充電装置を低コストで実現することができる。
【0069】
<変形例>
実施の形態1に従う整流機構20あるいは実施の形態2に従う整流機構20AにLCフィルタを設けるようにしてもよい。
【0070】
図7は、実施の形態1に従う整流機構20にLCフィルタ26を設ける場合の構成を模式的に示す図である。このように、整流機構20にLCフィルタ26を設けることによって、バッテリ10の充電時にバッテリ10への突入電力を防止することができる。
【0071】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
1,1A 車両、10 バッテリ、11 正極端子、12 負極端子、20,20A 整流機構、21A,21B,22A,22B,21U,21V,21W,22A,22B,23A,23B,24A,24B,23U,23V,23W,24A,24B,23B,24B 接点板、25 回転軸、26 フィルタ、30,30A インレット、31,32 交流端子、31U,31V,31W 交流相端子、32N 中性端子、40,40A モータ、50 ギヤ、100 ECU、200,200A 交流電源、210,210A コネクタ、L1,L2,N1,N2,LU1,LV1,LW1,LU2,LV2,LW2 電力線、N3 中性線、RA,RA1,RA2,RB,RBN リレー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源を用いて直流のバッテリを充電するための充電装置であって、
前記交流電源からの交流を前記バッテリに供給するための交流端子と、
前記バッテリに接続された直流端子と、
前記交流端子および前記直流端子の間に前記交流端子および前記直流端子と接触するように配置され、回転することによって前記交流端子から供給される前記交流を直流に整流して前記直流端子に供給する整流機構と、
前記整流機構を回転させる回転装置とを備える、充電装置。
【請求項2】
前記交流端子は、複数存在し、
前記直流端子は、前記バッテリの正極に接続される正極端子を含み、
前記整流機構は、前記交流の電圧波形と同期して回転することによって、前記正極端子の接続先を複数の前記交流端子のうち電位が前記バッテリの負極の電池よりも高い交流端子に切り替える、請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記交流電源は、単相の交流を出力し、
前記交流端子は、前記単相の交流電圧が供給される第1端子および第2端子を含み、
前記直流端子は、前記バッテリの正極に接続される正極端子と、前記バッテリの負極に接続される負極端子とを含み、
前記整流機構の状態は、前記回転装置に回転させられることによって、前記正極端子および前記負極端子の接続先がそれぞれ前記第1端子および前記第2端子となる第1状態と、前記正極端子および前記負極端子の接続先がそれぞれ前記第2端子および前記第1端子となる第2状態との間で、交互に切り替えられる、請求項1に記載の充電装置。
【請求項4】
前記回転装置は、前記交流の電圧波形の1周期のうち、前記第2端子の電位よりも前記第1端子の電位が高い期間は前記整流機構が前記第1状態となるように前記整流機構を回転させ、前記第1端子の電位よりも前記第2端子の電位が高い期間は前記整流機構が前記第2状態となるように前記整流機構を回転させる、請求項3に記載の充電装置。
【請求項5】
前記交流電源は、多相の交流を出力し、
前記交流端子は、前記多相の各交流電圧がそれぞれ供給される複数の相端子を含み、
前記直流端子は、前記バッテリの正極に接続される正極端子を含み、
前記整流機構は、回転することによって、前記正極端子の接続先を前記複数の相端子のいずれかに周期的に切り替える、請求項1に記載の充電装置。
【請求項6】
前記回転装置は、前記複数の相端子のうち電位が前記バッテリの負極の電位よりも高い相端子に前記正極端子の接続先を切り替えるように前記整流機構を回転させる、請求項5に記載の充電装置。
【請求項7】
前記充電装置は、前記交流電源の中性点と前記バッテリの負極とを結ぶ接続線をさらに備え、
前記接続線は、前記整流機構の外部に配置される、請求項5に記載の充電装置。
【請求項8】
前記回転装置は、交流で作動するモータで構成され、
前記充電装置は、
前記交流電源からの前記交流を受ける受電部と、
前記受電部と前記モータとの通電および非通電を切り替える第1リレーと、
前記受電部と前記交流端子との通電および非通電を切り替える第2リレーと、
前記第1、第2リレーおよび前記モータを制御する制御装置とをさらに備え、
前記制御装置は、前記交流電源を用いて前記バッテリを充電する場合、前記第1リレーを閉じて前記モータを作動させ、前記モータの回転速度が前記交流の電圧波形と同期した状態で前記第2リレーを閉じる、請求項1に記載の充電装置。
【請求項9】
前記バッテリおよび前記整流機構は、車両に備えられる、請求項1に記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−38905(P2013−38905A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172725(P2011−172725)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】