説明

充電装置

【課題】無駄に放出される電磁波を有効に活用することができる充電装置を提供する。
【解決手段】電波を受信するアンテナ回路と、アンテナ回路において生成された交流電圧
を整流して直流電圧を生成する整流回路と、該直流電圧の大きさを調整し、該調整された
前記直流電圧を用いて蓄電池の充電を行う電源回路とを有する。さらに、蓄電池への過充
電を防ぐように電源回路を制御する充電制御回路を有していても良い。そして蓄電池の充
電は、一対の端子に調整された直流電圧を印加することで行っても良いし、発振回路及び
出力用のアンテナ回路を別途設けて、非接触で行っても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で電力の供給を受ける充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気をエネルギー源とする家庭用電気製品には様々なものがあり、我々の生活に必要不可
欠なものとして深く浸透している。これらの家庭用電気製品は、電気エネルギーによって
機械的な仕事をするモーター等の装置や、電気エネルギーを用いて高周波を発生させる高
周波発生装置などを有している。そのため家庭用電気製品を使用するにあたり、該電気製
品の周辺には電磁場が発生してしまう。
【0003】
特に、高周波発生装置を用いた電子レンジ等の高周波加熱装置は、電磁波による誘電加熱
で食品等の被処理物の加熱を行えるのが特徴であるが、電磁波の一部が被処理物に吸収さ
れずに高周波加熱装置の外部に漏洩しやすいという問題があった。下記特許文献1には、
電波遮蔽用シール材および電波吸収用シール材を設けることで、誘電加熱装置の加熱時に
おける電波の漏洩を防ぐ技術について記載されている。
【0004】
また高周波加熱装置以外にも、使用の際に周辺に電磁場を発生させてしまう家庭用電気製
品は数多く存在する。下記特許文献2には、電磁波遮蔽箱を用いて、電気洗濯機から漏れ
出る電磁波を遮蔽する技術について記載されている。また下記特許文献3には、コンピュ
ータから漏れる電磁波を遮蔽する電磁波シールドについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−022172号公報
【特許文献2】特開平10−127981号公報
【特許文献3】特開平10−178293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1乃至3のように電磁波を遮蔽する工夫がなされていたとしても、実際
には家庭用電気製品から漏洩する電磁波を皆無にすることは難しい。電磁波が漏洩すると
いうことは、電気製品に与えられたエネルギーが有効に利用出来ていないことを意味する
。よって従来では、電気製品によって消費電力が浪費されているという問題があった。ま
た、安定した電気の供給を行うための大規模な発電機や、送電のための設備の周囲にも電
磁波が発生しやすいが、これらの電磁波は放出されるだけであり、省エネルギーという観
点から好ましくないという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑み、無駄に放出される電磁波を有効に活用することができる充電装
置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、本来なら利用されることなく放置されるであろう余剰な電波を受信すること
で、電気エネルギーを生成し、該電気エネルギーを後段の電子機器(以下、充電対象物)
が有する蓄電池(二次電池)に供給する。具体的に本発明の充電装置は、電波を受信する
アンテナ回路と、アンテナ回路において生成された交流電圧を整流して直流電圧を生成す
る整流回路と、該直流電圧の大きさを調整し、該調整された前記直流電圧を用いて蓄電池
の充電を行う電源回路とを有する。さらに、蓄電池への過充電を防ぐように電源回路を制
御する充電制御回路を有していても良い。そして蓄電池の充電は、一対の端子に調整され
た直流電圧を印加することで行っても良いし、発振回路及び出力用のアンテナ回路を別途
設けて、非接触で行っても良い。
【0009】
さらに本発明の充電装置は、整流回路、電源回路及び充電制御回路と、充電対象物とを覆
う第1保護材を有する。またアンテナ回路を覆う第2保護材を有する。第1保護材は、電
波が整流回路、電源回路及び充電制御回路と、充電対象物とに進入するのを防ぐために設
ける。また第2保護材は、アンテナ回路を物理的に保護するために設ける。第2保護材は
アンテナ回路のみならず、整流回路、電源回路、充電制御回路及び充電対象物を覆うよう
に設けられていても良い。
【0010】
なお、発振回路及び出力用のアンテナ回路を充電装置に別途設けて、蓄電池の充電を非接
触で行う場合、上記回路に加えて発振回路も第1保護材で、または第1保護材及び第2保
護材の両方で覆う。また出力用のアンテナ回路は第1保護材及び第2保護材で覆う。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、本来なら利用されることなく放置されるであろう余剰な電波を、電気エネル
ギーに変換して再利用することができるので、省エネルギー化につながる。また第1保護
材を用いることで、充電装置内の整流回路、電源回路、充電制御回路及び発振回路と、充
電対象物とが、電波の進入による誘電加熱で劣化もしくは破壊されること、誤作動するこ
とを防ぎつつ、余剰な電波を電気エネルギーとして充電対象物の蓄電池に供給することが
できる。
【0012】
また、出力用のアンテナ回路を用いて非接触で充電を行う場合、余剰な電波の周波数を充
電装置において変換することができる。よって、余剰な電波の周波数が、充電対象物にお
いて受信可能な範囲から逸脱しているため、充電対象物が該余剰な電波を直接受信するこ
とが難しい場合であっても、充電対象物が最も効率よく受信できるように、充電装置にお
いて電波の周波数を変換することで、該余剰な電波を電気エネルギーとして再利用するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の充電装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の充電装置の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の充電装置の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の充電装置の構成を示すブロック図。
【図5】本発明の充電装置の外観を示す斜視図。
【図6】本発明の充電装置の内部の構造を示す上面図。
【図7】本発明の充電装置の内部の構造を示す上面図。
【図8】本発明の充電装置の構成を示すブロック図。
【図9】本発明の充電装置の構成を示すブロック図。
【図10】本発明の充電装置の構成を示すブロック図。
【図11】本発明の充電装置の構成を示すブロック図。
【図12】本発明の充電装置の内部の構造を示す上面図。
【図13】本発明の充電装置の外観を示す斜視図と、アンテナ回路の断面構造を示す図。
【図14】本発明の充電装置の設置箇所を示す図。
【図15】本発明の充電装置の設置箇所を示す図。
【図16】本発明の充電装置の作製方法を示す図。
【図17】本発明の充電装置の作製方法を示す図。
【図18】本発明の充電装置の作製方法を示す図。
【図19】本発明の充電装置の作製方法を示す図。
【図20】本発明の充電装置の作製方法を示す図。
【図21】本発明の充電装置の作製方法を示す図。
【図22】本発明の充電装置の作製方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの
異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することな
くその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って
、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
本発明の充電装置の構成について説明する。図1は、本発明の充電装置の構成を一例とし
て示すブロック図である。図1に示す充電装置はアンテナ回路101と、充電回路102
と、端子103と、第1保護材104と、第2保護材105とを有する。充電回路102
は整流回路106と、電源回路107と、充電制御回路108とを有する。
【0016】
また図1には、本発明の充電装置から電気エネルギーの供給を受ける充電対象物110を
図示している。充電対象物110は端子103に接続された状態で収納部に納められる。
端子103は収納部に設けられていても良いし、収納部の外に設けられていても良い。充
電対象物110は蓄電池111を有しており、充電装置からの電気エネルギーを用いて充
電を行うことができる。
【0017】
第1保護材104は、充電回路102と、端子103と、収納部に納められた充電対象物
110とを覆うように設けられている。第1保護材104は、外部の電波から充電装置が
有する充電回路102と、充電対象物110とを保護することが目的である。そのため、
外部の電波の周波数を考慮し、電波吸収材のような電波の通過を防ぐことができる材料を
第1保護材104として用いる。例えば電波吸収材として、基材に磁性損失材料を混入さ
せたものを用いることができる。基材として合成ゴム、ウレタン、磁性損失材料としてカ
ーボン材、フェライト材、カーボニル鉄材を用いればよい。外部の電波の周波数が2.4
5GHzでの使用であれば、フェライト材を合成ゴムやウレタンなどに混入させたものを
使用することができる。
【0018】
また第2保護材105は、アンテナ回路101を物理的に保護するものであり、ポリエチ
レン樹脂、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂やセラミック等を用いる。
【0019】
なお第1保護材104と第2保護材105に用いられる材料は、例に挙げた材料に限らず
、第1保護材104に挙げた材料を第2保護材105で使用しても良く、第2保護材10
5に挙げた材料を第1保護材104で使用しても良い。また、第1保護材104と第2保
護材105に同じ材料を用いることも可能である。ただし、第1保護材104は第2保護
材105よりも電波を通しにくくする必要があるため、電波の損失の高い材料を両方に使
用した場合は、各保護材の厚みや形状に変化を付ける必要がある。第1保護材104より
も第2保護材105の厚みを薄くすれば良い。例えば第1保護材104及び第2保護材1
05として、フェライト材と合成ゴムを用いる場合、第1保護材104の厚さを約6mm
、第2保護材105の厚さを1〜2mm程度とすれば良い。第1保護材104、第2保護
材105は用途に合わせて適当な材料で構成すれば良い。
【0020】
次に図1を用いて、本発明の充電装置の動作について説明する。
【0021】
アンテナ回路101において電波が受信されることで交流電圧が生成されると、該交流電
圧は整流回路106に出力される。アンテナ回路101は、アンテナと、該アンテナに並
列で接続されている共振容量とを有している。なおアンテナは、電波を受信して電気エネ
ルギーを生成できるものであれば良い。例えばアンテナとしてダイポールアンテナ、パッ
チアンテナ、ループアンテナ、八木アンテナなどを用いることができる。アンテナの種類
によっては、必ずしも共振容量をアンテナ回路101に設ける必要はない。また、アンテ
ナ回路101において無線で電波を受信する方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式、電波
方式のいずれであってもよい。そして充電装置が無線で受ける電力の供給は、125kH
z、13.56MHz、950MHz、2.45GHzなど様々な周波数の電波を用いて
行うことが出来る。
【0022】
整流回路106は、供給された交流電圧を整流し、直流電圧を生成して電源回路107に
出力する。電源回路107は整流回路106から入力された直流電圧の大きさを、蓄電池
111の充電に用いることができる程度に調整する。そして調整後の直流電圧を用いて電
流を生成し、端子103を介して蓄電池111に供給する。充電制御回路108は、蓄電
池111への過剰な充電を抑えるように電源回路107を制御することができる。
【0023】
電源回路107は、レギュレータとスイッチ回路とを用いて形成することができる。上記
スイッチ回路にダイオードを用いることで、充電制御回路108を用いずとも蓄電池11
1への過剰な充電を抑えることができる。また、電源回路107として定電圧回路及び定
電流回路を用いていても良い。
【0024】
なお図1では、アンテナ回路101のみならず、充電回路102及び充電対象物110を
も第2保護材105で覆っているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば図2に示
すように、アンテナ回路101を第2保護材105のみで覆い、充電回路102及び収納
部に納められた充電対象物110を第1保護材104のみで覆うようにしても良い。
【0025】
また図1では、充電対象物110を充電装置内に設置して充電を行う例を示しているが、
本発明はこの構成に限定されない。充電対象物110から蓄電池111を取り外し、蓄電
池111のみを充電装置内に設置して充電を行うようにすることも可能である。
【0026】
本発明の構成により、本来なら利用されることなく放置されるであろう余剰な電波をアン
テナ回路101で受信して電気エネルギーを生成し、該電気エネルギーを用いて蓄電池1
11の充電を行うことができる。よってエネルギーの再利用をすることができるので、省
エネルギー化につながる。また第1保護材104を用いることで、充電装置内の整流回路
106、電源回路107及び充電制御回路108と、充電対象物110または蓄電池11
1とが、電波の進入による誘電加熱で劣化もしくは破壊されること、誤作動することを防
ぎつつ、余剰な電波を電気エネルギーとして充電対象物110の蓄電池111に供給する
ことができる。
【0027】
(実施の形態2)
本発明の充電装置の構成について説明する。図3は、本発明の充電装置の構成を一例とし
て示すブロック図である。図3に示す充電装置は第1アンテナ回路201と、充電回路2
02と、第2アンテナ回路203と、第1保護材204と、第2保護材205とを有する
。充電回路202は整流回路206と、電源回路207と、発振回路208と、発振制御
回路209とを有する。
【0028】
また図3には、本発明の充電装置から電気エネルギーの供給を受ける電子機器である、充
電対象物210を図示している。充電対象物210は、第3アンテナ回路211と、充電
回路212と、蓄電池213とを有しており、充電装置からの電気エネルギーを用いて非
接触で充電を行うことができる。充電対象物210は第2アンテナ回路203から電波を
受信出来る位置に配置された状態で収納部に納められる。第2アンテナ回路203は収納
部に設けられていても良いし、収納部の外に設けられていても良い。
【0029】
第1保護材204は、実施の形態1と同様に、充電回路202と、第2アンテナ回路20
3と、収納部に納められた充電対象物210とを覆うように設けられている。第1保護材
204は、外部の電波から充電装置が有する充電回路202と、収納部に納められた充電
対象物210と、第2アンテナ回路203とを保護することが目的である。そのため、外
部の電波の周波数を考慮し、電波吸収材のような電波の通過を防ぐことができる材料を第
1保護材204として用いる。例えば電波吸収材として、基材に磁性損失材料を混入させ
たものを用いることができる。基材として合成ゴム、ウレタン、磁性損失材料としてカー
ボン材、フェライト材、カーボニル鉄材を用いればよい。外部の電波の周波数が2.45
GHzでの使用であれば、フェライト材を合成ゴムやウレタンなどに混入させたものを使
用することができる。
【0030】
また第2保護材205は、第1アンテナ回路201を物理的に保護するものであり、ポリ
エチレン樹脂、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂やセラミック等を用いる

【0031】
なお第1保護材204と第2保護材205に用いられる材料は、例に挙げた材料に限らず
、第1保護材204に挙げた材料を第2保護材205で使用しても良く、第2保護材20
5に挙げた材料を第1保護材204で使用しても良い。また、第1保護材204と第2保
護材205に同じ材料を用いることも可能である。ただし、第1保護材204は第2保護
材205よりも電波を通しにくくする必要があるため、電波の損失の高い材料を両方に使
用した場合は、各保護材の厚みや形状に変化を付ける必要がある。第1保護材204より
も第2保護材205の厚みを薄くすれば良い。例えば第1保護材204及び第2保護材2
05として、フェライト材と合成ゴムを用いる場合、第1保護材204の厚さを約6mm
、第2保護材205の厚さを1〜2mm程度とすれば良い。第1保護材204、第2保護
材205は用途に合わせて適当な材料で構成すれば良い。
【0032】
次に図3を用いて、本発明の充電装置の動作について説明する。
【0033】
第1アンテナ回路201において電波が受信されることで交流電圧が生成されると、該交
流電圧は整流回路206に出力される。整流回路206は、供給された交流電圧を整流し
、直流電圧を生成して電源回路207に出力する。電源回路207は整流回路206から
入力された直流電圧の大きさを、発振回路208の駆動に用いることができる程度に調整
する。そして発振回路208は、調整後の直流電圧を用いて駆動することで交流電圧を生
成し、第2アンテナ回路203に該交流電圧を出力する。発振制御回路209は、蓄電池
213への充電が不要な場合に、発振回路208の駆動を止めることができる回路である
が、発振回路208自身がその機能を有する場合、発振制御回路209を敢えて別途設け
る必要はない。
【0034】
第2アンテナ回路203は、交流電圧が入力されると電波の生成を行う。ここで生成され
る電波の周波数は、充電対象物210が有する第3アンテナ回路211が効率よく受信で
きる範囲内であることが望ましい。そして充電装置が有する充電回路202と、充電対象
物210が有する充電回路212及び蓄電池213とが、電波の進入による誘電加熱で劣
化もしくは破壊されること、誤作動することを避けることができる程度の高さ、すなわち
第1アンテナ回路201が受信する電波よりも低い周波数となるように、第2アンテナ回
路203において生成される電波の周波数を設定するのが望ましい。
【0035】
具体的に第2アンテナ回路203において生成される電波の周波数は、発振回路208に
入力される直流電圧の大きさを変更することで調整することが可能である。また発振回路
208に用いられる半導体素子の種類、数及びその接続を変更して発振回路208の構成
を変えることで、第2アンテナ回路203において生成される電波の周波数を変えること
ができる。
【0036】
充電対象物210が有する第3アンテナ回路211では、第2アンテナ回路203からの
電波を受信し、交流電圧を生成する。そして充電対象物210が有する充電回路212は
、該交流電圧を用いて蓄電池213の充電を行う。具体的には、充電回路212内におい
て交流電圧を整流して直流電圧を生成した後、該直流電圧の大きさを蓄電池213の充電
に用いることができる程度に調整する。そして調整後の直流電圧を用いて電流を生成し、
蓄電池213に供給する。
【0037】
なお第1アンテナ回路201、第2アンテナ回路203及び第3アンテナ回路211は、
それぞれアンテナと、該アンテナに並列で接続されている共振容量とを有している。なお
アンテナは、電波を受信して電気エネルギーを生成できるものであれば良い。例えばアン
テナとしてダイポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアンテナ、八木アンテナなどを
用いることができる。アンテナの種類によっては、必ずしも共振容量を第1アンテナ回路
201、第2アンテナ回路203または第3アンテナ回路211に設ける必要はない。ま
た、第1アンテナ回路201、第2アンテナ回路203または第3アンテナ回路211に
おいて無線で電波を送受信する方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式、電波方式のいずれ
であってもよい。そして充電装置が無線で受ける電力の供給は、125kHz、13.5
6MHz、950MHz、2.45GHzなど様々な周波数の電波を用いて行うことが出
来る。
【0038】
なお図3では、第1アンテナ回路201のみならず、充電回路202及び充電対象物21
0をも第2保護材205で覆っているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば図4
に示すように、第1アンテナ回路201を第2保護材205のみで覆い、充電回路202
、第2アンテナ回路203及び収納部に納められた充電対象物210を第1保護材204
のみで覆うようにしても良い。
【0039】
また図3では、充電対象物210を充電装置内に設置して充電を行う例を示しているが、
本発明はこの構成に限定されない。充電対象物210から第3アンテナ回路211、充電
回路212及び蓄電池213を取り外して充電装置内に設置し、充電を行うようにするこ
とも可能である。
【0040】
本発明の構成により、本来なら利用されることなく放置されるであろう余剰な電波を第1
アンテナ回路201で受信して電気エネルギーを生成し、該電気エネルギーを用いて蓄電
池213の充電を行うことができる。よってエネルギーの再利用をすることができるので
、省エネルギー化につながる。また第1保護材204を用いることで、充電装置内の整流
回路206、電源回路207、発振回路208及び発振制御回路209と、充電対象物2
10(もしくは第3アンテナ回路211、充電回路212及び蓄電池213)とが、電波
の進入による誘電加熱で劣化もしくは破壊されること、誤作動することを防ぎつつ、余剰
な電波を電気エネルギーとして充電対象物210の蓄電池213に供給することができる

【0041】
また、出力用の第2アンテナ回路203を用いて非接触で蓄電池213の充電を行う場合
、余剰な電波の周波数を充電装置において変換することができる。よって、余剰な電波の
周波数が、充電対象物210において受信可能な範囲から逸脱しているため、充電対象物
210の第3アンテナ回路211が該余剰な電波を直接受信することが難しい場合であっ
ても、充電対象物210の第3アンテナ回路211が最も効率よく受信できるように、充
電装置において電波の周波数を変換することで、該余剰な電波を電気エネルギーとして再
利用することができる。
【0042】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1または実施の形態2で示した本発明の充電装置の具体的
な構成について説明する。
【0043】
図5に本発明の充電装置の外観を一例として示す。図5(A)は本発明の充電装置の斜視
図である。筐体301は第1保護材として機能する。そして筐体301は、筐体301の
内部に充電対象物を出し入れする際に開閉が可能な蓋304を有している。筐体301上
にはアンテナ回路もしくは第1アンテナ回路(以下、本実施の形態ではこの2つをアンテ
ナ回路として表記する)302と、アンテナ回路302を覆うように第2保護材303と
が設けられている。
【0044】
図5(B)に、図5(A)で示した充電装置から第2保護材303を取り除いた様子を示
す。なお図5(B)では、アンテナ回路302としてダイポールアンテナを用いている例
を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。図5(B)に示すように、アンテナ
回路302は第1保護材として機能する筐体301の外部に設けられており、第1保護材
と第2保護材303のうち、第2保護材303にのみ覆われている。
【0045】
図5(C)に、筐体301が有する蓋304を開いた状態における、充電装置の様子を示
す。アンテナ回路302は筐体301の内部に設けられた充電回路と、配線305を介し
て電気的に接続されている。
【0046】
次に図6(A)に、筐体301の内部に充電回路306が配置されている様子を示す。な
お図6(A)では、充電回路306と充電対象物とが端子307を介して接続される場合
を例に挙げている。充電回路306は配線305を介して、アンテナ回路302から交流
電圧が入力される。また充電回路306と端子307とは電気的に接続されている。そし
て充電対象物は、端子307を介して充電回路306と電気的に接続されるように、筐体
301内の収納部311に設置される。
【0047】
図6(B)に、携帯電話308を充電対象物として、筐体301の内部に設置している様
子を示す。携帯電話308は筐体301の内部に納まる程度の大きさを有している。充電
回路306と携帯電話308は端子307を介して電気的に接続されており、充電回路3
06からの電流の供給により携帯電話308が有する蓄電池309の充電が行われる。
【0048】
なお図6(B)では、充電対象物である携帯電話308を本体ごと筐体301の内部に納
める例を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。携帯電話308から蓄電池3
09を取り外し、蓄電池309のみを筐体301の内部に納めて充電を行い、充電が終了
した後に再び蓄電池309を携帯電話308に取り付けるようにしても良い。この場合、
筐体301の大きさを抑えることができる。
【0049】
また図6(A)では、実施の形態1で示したように端子307を介して充電回路306か
ら充電対象物への電力の供給を行う場合を示しているが、本実施の形態はこの構成に限定
されない。実施の形態2で示したように、出力用のアンテナ回路を設けて、非接触で充電
対象物への電力の供給を行うようにしても良い。図7に、充電回路306の後段に第2ア
ンテナ回路310を設けた場合の、筐体301の内部の様子を示す。図7では第2アンテ
ナ回路310としてコイル状のアンテナを用いた例を示しているが、アンテナの形状はこ
れに限定されない。
【0050】
(実施の形態4)
本実施の形態では、複数の充電対象物への電力の供給を行うことができる、本発明の充電
装置の構成について説明する。
【0051】
図1で示した充電装置と同様に端子を介して充電対象物への電力の供給を行うことができ
、なおかつ複数の充電対象物に並行して電力を供給することができる充電装置の構成を、
図8に示す。なお図8では、図1において既に示したものに対して同じ符号を付す。
【0052】
図8に示す充電装置では、3つの充電対象物110a〜110cがそれぞれ有する蓄電池
111a〜111cへ、1つの電源回路107から電気エネルギーの供給が行われる。具
体的には、充電対象物110a〜110cにそれぞれ対応する端子103a〜103cを
介して蓄電池111a〜111cに電流が供給される。
【0053】
そして図8に示す充電装置では、充電回路102及び充電対象物110a〜110cが第
1保護材104で、若しくは第1保護材104及び第2保護材105で覆われており、ア
ンテナ回路101が第2保護材105で覆われている。
【0054】
なお図8では3つの充電対象物への電力の供給を行う充電装置の構成について例示してい
るが、充電対象物の数はこれに限らず、2つであっても、4つ以上であっても良い。
【0055】
また図8では、1つの電源回路107から複数の充電対象物へ電力を供給する充電装置の
構成について示しているが、本発明はこの構成に限定されない。電源回路107を複数設
け、各電源回路107から複数の充電対象物へ電力を供給する様にしても良い。
【0056】
図9に、複数の電源回路を用いて複数の充電対象物に端子を介して電力を供給することが
できる、充電装置の構成を示す。なお、図9では、図1及び図8において既に示したもの
に対して同じ符号を付す。
【0057】
図9に示す充電装置では、整流回路106の後段に複数の電源回路107a〜107cと
各電源回路107a〜107cに対応する充電制御回路108a〜108cを設ける。な
お実施の形態1で既に述べたとおり、充電制御回路108a〜108cは必ずしも設ける
必要はない。そして充電対象物110a〜110cにそれぞれ対応する端子103a〜1
03cを介して、電源回路107a〜107cから蓄電池111a〜111cに電流が供
給される。
【0058】
なお図9では3つの充電対象物への電力の供給を行う充電装置の構成について例示してい
るが、図8の場合と同様に、充電対象物の数はこれに限らず、2つであっても、4つ以上
であっても良い。
【0059】
図9に示す充電装置のように、複数の電源回路を用いる場合、複数の各充電対象物へ異な
る強さの電流を並行して供給することができる。
【0060】
なお、図8に示した充電装置の構成と、図9に示した充電装置の構成とを組み合わせるこ
ともできる。すなわち、複数の充電対象物へ電力の供給を行う電源回路と、1つまたは複
数の充電対象物へ電力の供給を行う電源回路とを併せ持つ充電装置であっても良い。
【0061】
次に、図3で示した充電装置と同様に、第2アンテナ回路を介して非接触で充電対象物へ
の電力の供給を行うことができ、なおかつ複数の充電対象物に並行して電力を供給するこ
とができる充電装置の構成を、図10に示す。なお図10では、図3において既に示した
ものに対して同じ符号を付す。
【0062】
図10に示す充電装置では、3つの充電対象物210a〜210cがそれぞれ有する蓄電
池213a〜213cへ、1つの電源回路207及び1つの発振回路208を用いて電力
が供給される。
【0063】
具体的には、充電対象物210a〜210cにそれぞれ対応する第2アンテナ回路203
a〜203cを介して、充電対象物210a〜210cが有する各第3アンテナ回路21
1a〜211cに非接触で電力が供給される。第3アンテナ回路211a〜211cが受
け取った電力は、交流電圧として後段の各充電回路212a〜212cに出力される。充
電回路212a〜212cは該交流電圧から直流電圧を生成し、該直流電圧の大きさを調
整する。そして調整後の直流電圧を用いて電流を各蓄電池213a〜213cに供給する
ことで充電を行う。
【0064】
図10に示す充電装置では、充電回路202及び充電対象物210a〜210cが第1保
護材204で、若しくは第1保護材204及び第2保護材205で覆われており、第1ア
ンテナ回路201が第2保護材205で覆われている。
【0065】
なお図10では3つの充電対象物への電力の供給を行う充電装置の構成について例示して
いるが、充電対象物の数はこれに限らず、2つであっても、4つ以上であっても良い。
【0066】
また図10では、1つの電源回路207及び発振回路208から複数の充電対象物へ電力
を供給する充電装置の構成について示しているが、本発明はこの構成に限定されない。電
源回路及び発振回路を複数設け、該複数の電源回路及び発振回路を用いて複数の充電対象
物に電力を供給する様にしても良い。
【0067】
図11に、複数の電源回路及び発振回路を用い、複数の充電対象物に非接触で電力を供給
することができる、充電装置の構成を示す。なお、図11では、図3及び図10において
既に示したものに対して同じ符号を付す。
【0068】
図11に示す充電装置では、整流回路206の後段に複数の電源回路207a〜207c
と、複数の発振回路208a〜208cと、各複数の発振回路208a〜208cに対応
する発振制御回路209a〜209cとを設ける。なお実施の形態2で既に述べたとおり
、発振制御回路209a〜209cは必ずしも設ける必要はない。そして充電対象物21
0a〜210cにそれぞれ対応する第2アンテナ回路203a〜203cを介して、第3
アンテナ回路211a〜211cに無線で電力が供給される。
【0069】
なお図11では3つの充電対象物への電力の供給を行う充電装置の構成について例示して
いるが、図10の場合と同様に、充電対象物の数はこれに限らず、2つであっても、4つ
以上であっても良い。
【0070】
図11に示す充電装置のように、複数の電源回路及び複数の発振回路を用いる場合、複数
の各充電対象物へ異なる大きさの電力を並行して供給することができる。
【0071】
なお、図10に示した充電装置の構成と、図11に示した充電装置の構成とを組み合わせ
ることもできる。すなわち、複数の充電対象物へ電力の供給を行う電源回路及び発振回路
の組み合わせと、1つまたは複数の充電対象物へ電力の供給を行う電源回路及び発振回路
の組み合わせとを併せ持つ充電装置であっても良い。
【0072】
また図8または図9に示した充電装置の構成と、図10または図11に示した充電装置の
構成とを組み合わせることもできる。すなわち、端子を介して充電対象物へ電力を供給す
る機能と、第2アンテナ回路を介して充電対象物へ電力を供給する機能とを併せ持つ充電
装置であっても良い。
【0073】
次に、図8または図9に示した充電装置の具体的な構成について説明する。
【0074】
図12(A)に、図8または図9に示した充電装置が有する筐体401の内部に、充電回
路102が配置されている様子を示す。筐体401は第1保護材104として機能する。
充電回路102には、配線120を介して、アンテナ回路101から交流電圧が入力され
る。また充電回路102と複数の端子103a〜103cとは電気的に接続されている。
そして充電対象物110a〜110c、若しくは充電対象物110a〜110cから取り
外した蓄電池111a〜111cは、端子103a〜103cを介して充電回路102と
電気的に接続されるように、筐体401の内部に設置される。
【0075】
また図12(B)に、図10または図11に示した充電装置が有する筐体402の内部に
、充電回路202が配置されている様子を示す。筐体401は第1保護材204として機
能する。充電回路202には、配線121を介して、第1アンテナ回路201から交流電
圧が入力される。また充電回路202と複数の第2アンテナ回路203a〜203cとは
電気的に接続されている。そして充電対象物210a〜210c、若しくは充電対象物2
10a〜210cから取り外した第3アンテナ回路211a〜211c、充電回路212
a〜212c及び蓄電池213a〜213cは、複数の第2アンテナ回路203a〜20
3cを介して充電回路202から電力の供給が受けられるように、筐体402の内部に設
置される。
【0076】
なお図12(B)では第2アンテナ回路203a〜203cとしてコイル状のアンテナを
用いた例を示しているが、アンテナの形状はこれに限定されない。
【実施例1】
【0077】
本実施例では、本発明の充電装置が有するアンテナ回路または第1アンテナ回路(以下、
本実施例では単にアンテナ回路と表記する)の外観の一例について説明する。
【0078】
図13(A)に、本実施例の充電装置の外観を斜視図で示す。第1保護材として機能する
筐体1301上に、第2保護材1302で覆われたアンテナ回路1303が設けられてい
る。
【0079】
図13(B)に、図13(A)で示した、第2保護材1302及びアンテナ回路1303
の構成をより詳しく示す。図13(B)では、アンテナ回路1303の構成を分かりやす
く示すために、第2保護材1302の一部を除去した構成を示している。図13(B)に
示すようにアンテナ回路1303は第2保護材1302に覆われており、第2保護材13
02によって物理的に保護されている。
【0080】
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例2】
【0081】
本実施例では、本発明の充電装置の具体的な設置箇所について説明する。
【0082】
図14(A)に、高周波加熱装置1401の庫内1404に本発明の充電装置1402を
設置する例を示す。高周波加熱装置1401では、内部に設置されている高周波発生装置
が生成した電磁波を、庫内1404に載置された食品等の被処理物1405に、照射部1
403から照射することができる。庫内1404に充電装置1402を設置することで、
被処理物1405のみならず充電装置1402にも電磁波が照射される。充電装置140
2は、照射された電磁波を用い、充電装置1402内に設置されている充電対象物に電力
の供給を行うことができる。
【0083】
次に図14(B)に、高周波加熱装置1401の外部に本発明の充電装置1402を設置
する例を示す。図14(B)において充電装置1402は、高周波加熱装置1401の外
部に漏洩した電磁波を用い、充電装置1402内に設置されている充電対象物に電力の供
給を行うことができる。図14(B)の様に漏洩した電磁波を用いて充電装置1402内
の充電対象物に電力の供給を行うことで、本来なら利用されることなく放置されるであろ
う余剰な電波を、電気エネルギーとして再利用することができる。
【0084】
なお図14(B)では高周波加熱装置1401の上部に充電装置1402を設置している
例を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。高周波加熱装置1401の側部、
下部に充電装置1402を設置しても良い。また設置に際し、高周波加熱装置1401と
接するように充電装置1402を設置することで、より効率よく高周波加熱装置1401
の外部に漏洩する電磁波を充電装置1402において受信することができる。しかし本発
明はこの構成に限定されず、高周波加熱装置1401と一定の距離を設けて充電装置14
02を設置することも可能である。
【0085】
また本発明の充電装置1402は、利用者が設置箇所を適宜変更することが可能である。
例えば、充電対象物への電力の供給を急いで行いたい場合は、図14(A)の様に、より
強力な電磁波の受信が可能な庫内1404に充電装置1402を設置すれば良い。逆に充
電対象物への電力の供給を急いで行う必要はなく、省エネルギーに重点を置く場合は、図
14(B)の様に高周波加熱装置1401の外部に充電装置1402を設置すれば良い。
【0086】
次に図15(A)に、テレビ、コンピュータのモニターなどの表示装置1501に、本発
明の充電装置1502を設置する例を示す。充電装置1502は、表示装置1501から
発生する電磁波を用いて充電装置1502内の充電対象物に電力の供給を行うことで、本
来なら利用されることなく放置されるであろう余剰な電波を、電気エネルギーとして再利
用することができる。
【0087】
なお図15(A)では表示装置1501の上部に充電装置1502を設置している例を示
しているが、本発明はこの構成に限定されない。表示装置1501の側部、下部に充電装
置1502を設置しても良い。また設置に際し、表示装置1501と接するように充電装
置1502を設置することで、より効率よく表示装置1501の外部に漏洩する電磁波を
充電装置1502において受信することができる。しかし本発明はこの構成に限定されず
、表示装置1501と一定の距離を設けて充電装置1502を設置することも可能である

【0088】
次に図15(B)に、洗濯機1511に、本発明の充電装置1512を設置する例を示す
。充電装置1512は、洗濯機1511のモーターから発生する電磁波を用いて充電装置
1512内の充電対象物に電力の供給を行うことで、本来なら利用されることなく放置さ
れるであろう余剰な電波を、電気エネルギーとして再利用することができる。
【0089】
なお図15(B)では洗濯機1511の側部に充電装置1512を設置している例を示し
ているが、本発明はこの構成に限定されない。洗濯機1511の上部、可能であるならば
下部に、充電装置1512を設置しても良い。また設置に際し、洗濯機1511と接する
ように充電装置1512を設置することで、より効率よく洗濯機1511の外部に漏洩す
る電磁波を充電装置1512において受信することができる。しかし本発明はこの構成に
限定されず、洗濯機1511と一定の距離を設けて充電装置1512を設置することも可
能である。
【0090】
また充電装置1512の設置に際し、充電装置が有するアンテナ回路または第1アンテナ
回路(以下、本実施例では単にアンテナ回路と表記する)1513が、洗濯機1511に
最も近くなるような向きで、充電装置1512を設置することが望ましい。
【0091】
本実施例は、上記実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である

【実施例3】
【0092】
次に、本発明の充電装置に用いられる各種回路の作製方法について詳しく述べる。なお本
実施例では薄膜トランジスタ(TFT)を半導体素子の一例として示すが、本発明におい
て用いられる半導体素子はこれに限定されない。例えばTFTの他に、記憶素子、ダイオ
ード、抵抗、容量、インダクタなどを用いることができる。
【0093】
まず図16(A)に示すように、耐熱性を有する基板700上に、絶縁膜701、剥離層
702、下地膜として機能する絶縁膜703と、半導体膜704とを順に形成する。絶縁
膜701、剥離層702、絶縁膜703及び半導体膜704は連続して形成することが可
能である。
【0094】
基板700として、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなど
のガラス基板、石英基板、セラミック基板等を用いることができる。また、ステンレス基
板を含む金属基板、またはシリコン基板等の半導体基板を用いても良い。プラスチック等
の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、一般的に上記基板と比較して耐熱温度は低い
傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である

【0095】
プラスチック基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエス
テル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカ
ーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホ
ン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレ
ンテレフタレート(PBT)、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、
ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0096】
なお本実施例では、剥離層702を基板700上の全面に設けているが本発明はこの構成
に限定されない。例えばフォトリソグラフィ法などを用いて、基板700上において剥離
層702を部分的に形成する様にしても良い。
【0097】
絶縁膜701、絶縁膜703は、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化珪素、窒
化珪素(SiNx、Si等)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y>0)、窒
化酸化珪素(SiNxOy)(x>y>0)等の絶縁性を有する材料を用いて形成する。
【0098】
絶縁膜701、絶縁膜703は、基板700中に含まれるNaなどのアルカリ金属やアル
カリ土類金属が半導体膜704中に拡散し、TFTなどの半導体素子の特性に悪影響を及
ぼすのを防ぐために設ける。また絶縁膜703は、剥離層702に含まれる不純物元素が
半導体膜704中に拡散するのを防ぎ、なおかつ後の半導体素子を剥離する工程において
、半導体素子を保護する役目も有している。
【0099】
絶縁膜701、絶縁膜703は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を
積層して用いたものであっても良い。本実施例では、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜、
膜厚50nmの窒化酸化珪素膜、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜を順に積層して絶縁膜
703を形成するが、各膜の材質、膜厚、積層数は、これに限定されるものではない。例
えば、下層の酸化窒化珪素膜に代えて、膜厚0.5〜3μmのシロキサン系樹脂をスピン
コート法、スリットコーター法、液滴吐出法、印刷法などによって形成しても良い。また
、中層の窒化酸化珪素膜に代えて、窒化珪素膜(SiNx、Si等)を用いてもよ
い。また、上層の酸化窒化珪素膜に代えて、酸化珪素膜を用いていても良い。また、それ
ぞれの膜厚は、0.05〜3μmとするのが望ましく、その範囲から自由に選択すること
ができる。
【0100】
或いは、剥離層702に最も近い、絶縁膜703の下層を酸化窒化珪素膜または酸化珪素
膜で形成し、中層をシロキサン系樹脂で形成し、上層を酸化珪素膜で形成しても良い。
【0101】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−S
i結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は、置換基に水素の他、フッ素、アルキ
ル基、または芳香族炭化水素のうち、少なくとも1種を有していても良い。
【0102】
酸化珪素膜は、シランと酸素、TEOS(テトラエトキシシラン)と酸素等の組み合わせ
の混合ガスを用い、熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD等の
方法によって形成することができる。また、窒化珪素膜は、代表的には、シランとアンモ
ニアの混合ガスを用い、プラズマCVDによって形成することができる。また、酸化窒化
珪素膜、窒化酸化珪素膜は、代表的には、シランと一酸化二窒素の混合ガスを用い、プラ
ズマCVDによって形成することができる。
【0103】
剥離層702は、金属膜、金属酸化膜、金属膜と金属酸化膜とを積層して形成される膜を
用いることができる。金属膜と金属酸化膜は、単層であっても良いし、複数の層が積層さ
れた積層構造を有していても良い。また、金属膜や金属酸化膜の他に、金属窒化物や金属
酸化窒化物を用いてもよい。剥離層702は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種C
VD法等を用いて形成することができる。
【0104】
剥離層702に用いられる金属としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チ
タン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co
)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パ
ラジウム(Pd)、オスミウム(Os)またはイリジウム(Ir)等が挙げられる。剥離
層702は、上記金属で形成された膜の他に、上記金属を主成分とする合金で形成された
膜、或いは上記金属を含む化合物を用いて形成された膜を用いても良い。
【0105】
また剥離層702は珪素(Si)単体で形成された膜を用いても良いし、珪素(Si)を
主成分とする化合物で形成された膜を用いても良い。或いは、珪素(Si)と上記金属と
を含む合金で形成された膜を用いても良い。珪素を含む膜は、非晶質、微結晶、多結晶の
いずれでもよい。
【0106】
剥離層702は、上述した膜を単層で用いても良いし、上述した複数の膜を積層して用い
ても良い。金属膜と金属酸化膜とが積層された剥離層702は、元となる金属膜を形成し
た後、該金属膜の表面を酸化または窒化させることで形成することができる。具体的には
、酸素雰囲気中または一酸化二窒素雰囲気中で元となる金属膜にプラズマ処理を行ったり
、酸素雰囲気中または一酸化二窒素雰囲気中で金属膜に加熱処理を行ったりすればよい。
また元となる金属膜に接するように、酸化珪素膜または酸化窒化珪素膜を形成することで
も、金属膜の酸化を行うことが出来る。また元となる金属膜に接するように、酸化窒化珪
素膜、窒化珪素膜を形成することで、窒化を行うことが出来る。
【0107】
金属膜の酸化または窒化を行うプラズマ処理として、プラズマ密度が1×1011cm
以上、好ましくは1×1011cm−3から9×1015cm−3以下であり、マイク
ロ波(例えば周波数2.45GHz)などの高周波を用いた高密度プラズマ処理を行って
も良い。
【0108】
なお元となる金属膜の表面を酸化することで、金属膜と金属酸化膜とが積層した剥離層7
02を形成するようにしても良いが、金属膜を形成した後に金属酸化膜を別途形成するよ
うにしても良い。
【0109】
例えば金属としてタングステンを用いる場合、スパッタ法やCVD法等により元となる金
属膜としてタングステン膜を形成した後、該タングステン膜にプラズマ処理を行う。これ
により、金属膜に相当するタングステン膜と、該金属膜に接し、なおかつタングステンの
酸化物で形成された金属酸化膜とを、形成することができる。
【0110】
なおタングステンの酸化物はWOで表される。xは2以上3以下の範囲内にあり、xが
2の場合(WO)、xが2.5の場合(W)、xが2.75の場合(W11
)、xが3の場合(WO)となる。タングステンの酸化物を形成するにあたりxの値に
特に制約はなく、エッチングレート等をもとにxの値を定めれば良い。
【0111】
半導体膜704は、絶縁膜703を形成した後、大気に曝さずに形成することが望ましい
。半導体膜704の膜厚は20〜200nm(望ましくは40〜170nm、好ましくは
50〜150nm)とする。なお半導体膜704は、非晶質半導体であっても良いし、多
結晶半導体であっても良い。また半導体は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムも用い
ることができる。シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜
4.5atomic%程度であることが好ましい。
【0112】
なお半導体膜704は、公知の技術により結晶化しても良い。公知の結晶化方法としては
、レーザ光を用いたレーザ結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法がある。或いは、触媒元
素を用いる結晶化法とレーザ結晶化法とを組み合わせて用いることもできる。また、基板
700として石英のような耐熱性に優れている基板を用いる場合、電熱炉を使用した熱結
晶化方法、赤外光を用いたランプアニール結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法、950
℃程度の高温アニールを組み合わせた結晶法を用いても良い。
【0113】
例えばレーザ結晶化を用いる場合、レーザ結晶化の前に、レーザに対する半導体膜704
の耐性を高めるために、550℃、4時間の加熱処理を該半導体膜704に対して行なう
。そして連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波のレーザ
光を照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、代表的には、Nd:Y
VOレーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355
nm)を用いるのが望ましい。具体的には、連続発振のYVOレーザから射出されたレ
ーザ光を非線形光学素子により高調波に変換し、出力10Wのレーザ光を得る。そして、
好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザ光に成形して、半導体
膜704に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm程度(
好ましくは0.1〜10MW/cm)が必要である。そして、走査速度を10〜200
0cm/sec程度とし、照射する。
【0114】
連続発振の気体レーザとして、Arレーザ、Krレーザなどを用いることが出来る。また
連続発振の固体レーザとして、YAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、YAlO
レーザ、フォルステライト(MgSiO)レーザ、GdVOレーザ、Y
ーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレー
ザなどを用いることが出来る。
【0115】
またパルス発振のレーザとして、例えばArレーザ、Krレーザ、エキシマレーザ、CO
レーザ、YAGレーザ、Yレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、YAlO
レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレ
ーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザを用いることができる。
【0116】
また、パルス発振のレーザ光の発振周波数を10MHz以上とし、通常用いられている数
十Hz〜数百Hzの周波数帯よりも著しく高い周波数帯を用いてレーザ結晶化を行なって
も良い。パルス発振でレーザ光を半導体膜704に照射してから半導体膜704が完全に
固化するまでの時間は数十nsec〜数百nsecと言われている。よって上記周波数を
用いることで、半導体膜704がレーザ光によって溶融してから固化するまでに、次のパ
ルスのレーザ光を照射できる。したがって、半導体膜704中において固液界面を連続的
に移動させることができるので、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を有する半
導体膜704が形成される。具体的には、含まれる結晶粒の走査方向における幅が10〜
30μm、走査方向に対して垂直な方向における幅が1〜5μm程度の結晶粒の集合を形
成することができる。該走査方向に沿って連続的に成長した単結晶の結晶粒を形成するこ
とで、少なくともTFTのチャネル方向には結晶粒界のほとんど存在しない半導体膜70
4の形成が可能となる。
【0117】
なおレーザ結晶化は、連続発振の基本波のレーザ光と連続発振の高調波のレーザ光とを並
行して照射するようにしても良いし、連続発振の基本波のレーザ光とパルス発振の高調波
のレーザ光とを並行して照射するようにしても良い。
【0118】
なお、希ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気中でレーザ光を照射するようにしても良い。
これにより、レーザ光照射による半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度の
ばらつきによって生じる閾値のばらつきを抑えることができる。
【0119】
上述したレーザ光の照射により、結晶性がより高められた半導体膜704が形成される。
なお、予め半導体膜704に、スパッタ法、プラズマCVD法、熱CVD法などで形成し
た多結晶半導体を用いるようにしても良い。
【0120】
また本実施例では半導体膜704を結晶化しているが、結晶化せずに非晶質珪素膜または
微結晶半導体膜のまま、後述のプロセスに進んでも良い。非晶質半導体、微結晶半導体を
用いたTFTは、多結晶半導体を用いたTFTよりも作製工程が少ない分、コストを抑え
、歩留まりを高くすることができるというメリットを有している。
【0121】
非晶質半導体は、珪素を含む気体をグロー放電分解することにより得ることができる。珪
素を含む気体としては、SiH、Siが挙げられる。この珪素を含む気体を、水
素、水素及びヘリウムで希釈して用いても良い。
【0122】
次に半導体膜704に対して、p型を付与する不純物元素又はn型を付与する不純物元素
を低濃度に添加するチャネルドープを行う。チャネルドープは半導体膜704全体に対し
て行っても良いし、半導体膜704の一部に対して選択的に行っても良い。p型を付与す
る不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用
いることができる。n型を付与する不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を
用いることができる。ここでは、不純物元素として、ボロン(B)を用い、当該ボロンが
1×1016〜5×1017/cmの濃度で含まれるよう添加する。
【0123】
次に図16(B)に示すように、半導体膜704を所定の形状に加工(パターニング)し
、島状の半導体膜705〜707を形成する。そして、島状の半導体膜705〜707を
覆うように、ゲート絶縁膜708を形成する。ゲート絶縁膜708は、プラズマCVD法
またはスパッタリング法などを用い、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素または酸化窒化
珪素を含む膜を、単層で、または積層させて形成することができる。積層する場合には、
例えば、基板700側から酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化珪素膜の3層構造とするのが好
ましい。
【0124】
ゲート絶縁膜708は、高密度プラズマ処理を行うことにより島状の半導体膜705〜7
07の表面を酸化または窒化することで形成しても良い。高密度プラズマ処理は、例えば
He、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、水素などの
混合ガスとを用いて行う。この場合プラズマの励起をマイクロ波の導入により行うことで
、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。このような高密度のプラズマ
で生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジ
カルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化または窒化することにより、1
〜20nm、代表的には5〜10nmの絶縁膜が半導体膜に接するように形成される。こ
の5〜10nmの絶縁膜をゲート絶縁膜708として用いる。
【0125】
上述した高密度プラズマ処理による半導体膜の酸化または窒化は固相反応で進むため、ゲ
ート絶縁膜と半導体膜の界面準位密度をきわめて低くすることができる。また高密度プラ
ズマ処理により半導体膜を直接酸化または窒化することで、形成される絶縁膜の厚さのば
らつきを抑えることが出来る。また半導体膜が結晶性を有する場合、高密度プラズマ処理
を用いて半導体膜の表面を固相反応で酸化させることにより、結晶粒界においてのみ酸化
が速く進んでしまうのを抑え、均一性が良く、界面準位密度の低いゲート絶縁膜を形成す
ることができる。高密度プラズマ処理により形成された絶縁膜を、ゲート絶縁膜の一部ま
たは全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを抑えることができる。
【0126】
次に図16(C)に示すように、ゲート絶縁膜708上に導電膜を形成した後、該導電膜
を所定の形状に加工(パターニング)することで、島状の半導体膜705〜707の上方
に電極709を形成する。本実施例では積層された2つの導電膜をパターニングして電極
709を形成する。導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)
、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(
Nb)等を用いることが出来る。また上記金属を主成分とする合金を用いても良いし、上
記金属を含む化合物を用いても良い。または、半導体膜に導電性を付与するリン等の不純
物元素をドーピングした、多結晶珪素などの半導体を用いて形成しても良い。
【0127】
本実施例では、1層目の導電膜として窒化タンタル膜またはタンタル膜を、2層目の導電
膜としてタングステン膜を用いる。2つの導電膜の組み合わせとして、本実施例で示した
例の他に、窒化タングステン膜とタングステン膜、窒化モリブデン膜とモリブデン膜、ア
ルミニウム膜とタンタル膜、アルミニウム膜とチタン膜等が挙げられる。タングステンや
窒化タンタルは、耐熱性が高いため、2層の導電膜を形成した後の行程において、熱活性
化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層目の導電膜の組み合わせとして
、例えば、n型を付与する不純物がドーピングされた珪素とニッケルシリサイド、n型を
付与する不純物がドーピングされたSiとWSix等も用いることが出来る。
【0128】
また、本実施例では電極709を積層された2つの導電膜で形成しているが、本実施例は
この構成に限定されない。電極709は単層の導電膜で形成されていても良いし、3つ以
上の導電膜を積層することで形成されていても良い。3つ以上の導電膜を積層する3層構
造の場合は、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用するとよい

【0129】
導電膜の形成にはCVD法、スパッタリング法等を用いることが出来る。本実施例では1
層目の導電膜を20〜100nmの厚さで形成し、2層目の導電膜を100〜400nm
の厚さで形成する。
【0130】
なお電極709を形成する際に用いるマスクとして、レジストの代わりに酸化珪素、酸化
窒化珪素等をマスクとして用いてもよい。この場合、パターニングして酸化珪素、酸化窒
化珪素等のマスクを形成する工程が加わるが、エッチング時におけるマスクの膜減りがレ
ジストよりも少ないため、所望の幅を有する電極709を形成することができる。またマ
スクを用いずに、液滴吐出法を用いて選択的に電極709を形成しても良い。
【0131】
なお液滴吐出法とは、所定の組成物を含む液滴を細孔から吐出または噴出することで所定
のパターンを形成する方法を意味し、インクジェット法などがその範疇に含まれる。
【0132】
次に、電極709をマスクとして、島状の半導体膜705〜707に、n型を付与する不
純物元素(代表的にはP(リン)またはAs(砒素))を低濃度にドープする(第1のド
ーピング工程)。第1のドーピング工程の条件は、ドーズ量:1×1015〜1×10
/cm、加速電圧:50〜70keVとしたが、これに限定されるものではない。こ
の第1のドーピング工程によって、ゲート絶縁膜708を介してドーピングがなされ、島
状の半導体膜705〜707に、低濃度不純物領域710がそれぞれ形成される。なお、
第1のドーピング工程は、pチャネル型TFTとなる島状の半導体膜707をマスクで覆
って行っても良い。
【0133】
次に図17(A)に示すように、nチャネル型TFTとなる島状の半導体膜705、70
6を覆うように、マスク711を形成する。そしてマスク711に加えて電極709をマ
スクとして用い、島状の半導体膜707に、p型を付与する不純物元素(代表的にはB(
ホウ素))を高濃度にドープする(第2のドーピング工程)。第2のドーピング工程の条
件は、ドーズ量:1×1019〜1×1020/cm、加速電圧:20〜40keVと
して行なう。この第2のドーピング工程によって、ゲート絶縁膜708を介してドーピン
グがなされ、島状の半導体膜707に、p型の高濃度不純物領域712が形成される。
【0134】
次に図17(B)に示すように、マスク711をアッシング等により除去した後、ゲート
絶縁膜708及び電極709を覆うように、絶縁膜を形成する。該絶縁膜は、プラズマC
VD法やスパッタリング法等により、珪素膜、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化珪素膜
、窒化酸化珪素膜や、有機樹脂などの有機材料を含む膜を、単層または積層して形成する
。本実施例では、膜厚100nmの酸化珪素膜をプラズマCVD法によって形成する。
【0135】
そして、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより、ゲート絶縁膜708及び該絶縁
膜を部分的にエッチングする。上記異方性エッチングによりゲート絶縁膜708が部分的
にエッチングされて、島状の半導体膜705〜707上に部分的に形成されたゲート絶縁
膜713が形成される。また上記異方性エッチングにより絶縁膜が部分的にエッチングさ
れて、電極709の側面に接するサイドウォール714が形成される。サイドウォール7
14は、LDD(Lightly Doped drain)領域を形成する際のドーピ
ング用のマスクとして用いる。本実施例ではエッチングガスとしては、CHFとHeの
混合ガスを用いる。なお、サイドウォール714を形成する工程は、これらに限定される
ものではない。
【0136】
次にpチャネル型TFTとなる島状の半導体膜707を覆うようにマスクを形成する。そ
して、形成したマスクに加えて電極709及びサイドウォール714をマスクとして用い
、n型を付与する不純物元素(代表的にはPまたはAs)を高濃度にドープする(第3の
ドーピング工程)。第3のドーピング工程の条件は、ドーズ量:1×1019〜1×10
20/cm、加速電圧:60〜100keVとして行なう。この第3のドーピング工程
によって、島状の半導体膜705、706に、n型の高濃度不純物領域715が形成され
る。
【0137】
なおサイドウォール714は、高濃度のn型を付与する不純物をドーピングし、サイドウ
ォール714の下部に低濃度不純物領域またはノンドープのオフセット領域を形成する際
のマスクとして機能するものである。よって、低濃度不純物領域またはオフセット領域の
幅を制御するには、サイドウォール714を形成する際の異方性エッチングの条件または
サイドウォール714を形成するための絶縁膜の膜厚を適宜変更し、サイドウォール71
4のサイズを調整すればよい。なお、pチャネル型TFT718において、サイドウォー
ル714の下部に低濃度不純物領域またはノンドープのオフセット領域を形成しても良い

【0138】
次に、マスクをアッシング等により除去した後、不純物領域の加熱処理による活性化を行
っても良い。例えば、50nmの酸化窒化珪素膜を形成した後、550℃、4時間、窒素
雰囲気中において、加熱処理を行なえばよい。
【0139】
また、水素を含む窒化珪素膜を、100nmの膜厚に形成した後、410℃、1時間、窒
素雰囲気中において加熱処理を行ない、島状の半導体膜705〜707を水素化する工程
を行なっても良い。或いは、水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の
加熱処理を行ない、島状の半導体膜705〜707を水素化する工程を行なっても良い。
加熱処理には、熱アニール、レーザーアニール法またはRTA法などを用いることが出来
る。加熱処理により、水素化のみならず、半導体膜に添加された不純物元素の活性化も行
うことが出来る。また、水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起
された水素を用いる)を行っても良い。この水素化の工程により、熱的に励起された水素
によりダングリングボンドを終端することができる。
【0140】
上述した一連の工程により、nチャネル型TFT716、717と、pチャネル型TFT
718とが形成される。
【0141】
次に図17(C)に示すように、TFT716〜718を保護するためのパッシベーショ
ン膜として機能する絶縁膜720を形成する。絶縁膜720は必ずしも設ける必要はない
が、絶縁膜720を形成することで、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物がT
FT716〜718へ侵入するのを防ぐことが出来る。具体的に絶縁膜720として、窒
化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化窒化珪素
などを用いるのが望ましい。本実施例では、膜厚600nm程度の酸化窒化珪素膜を、絶
縁膜720として用いる。この場合、上記水素化の工程は、該酸化窒化珪素膜形成後に行
っても良い。
【0142】
次に、TFT716〜718を覆うように、絶縁膜720上に絶縁膜721を形成する。
絶縁膜721は、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等
の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率
材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化
酸化珪素、PSG(リンシリケートガラス)、BPSG(リンボロンシリケートガラス)
、アルミナ等を用いることができる。シロキサン系樹脂は、置換基に水素の他、フッ素、
アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有していても良い。なお、こ
れらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁膜721を形成しても良い

【0143】
絶縁膜721の形成には、その材料に応じて、CVD法、スパッタ法、SOG法、スピン
コート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オ
フセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコータ
ー等を用いることができる。
【0144】
次に島状の半導体膜705〜707がそれぞれ一部露出するように絶縁膜720及び絶縁
膜721にコンタクトホールを形成する。そして、導電膜722と、該コンタクトホール
を介して島状の半導体膜705〜707に接する導電膜723〜728とを形成する。コ
ンタクトホール開口時のエッチングに用いられるガスは、CHFとHeの混合ガスを用
いたが、これに限定されるものではない。
【0145】
導電膜722〜728は、CVD法やスパッタリング法等により形成することができる。
具体的に導電膜722〜728として、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チ
タン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt
)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジム(Nd)、炭素
(C)、珪素(Si)等を用いることが出来る。また上記金属を主成分とする合金を用い
ても良いし、上記金属を含む化合物を用いても良い。導電膜722〜728は、上記金属
が用いられた膜を単層または複数積層させて形成することが出来る。
【0146】
アルミニウムを主成分とする合金の例として、アルミニウムを主成分としニッケルを含む
ものが挙げられる。また、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素または珪素の一
方または両方とを含むものも例として挙げることが出来る。アルミニウムやアルミニウム
シリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜722〜728を形成する材料として
最適である。特にアルミニウムシリコン膜は、導電膜722〜728をパターニングする
とき、レジストベークにおけるヒロックの発生をアルミニウム膜に比べて防止することが
できる。また、珪素(Si)の代わりに、アルミニウム膜に0.5%程度のCuを混入さ
せても良い。
【0147】
導電膜722〜728は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン膜とバリア膜の積層
構造、バリア膜とアルミニウムシリコン膜と窒化チタン膜とバリア膜の積層構造を採用す
るとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデンまたはモリブデン
の窒化物を用いて形成された膜である。アルミニウムシリコン膜を間に挟むようにバリア
膜を形成すると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生をより防止する
ことができる。また、還元性の高い元素であるチタンを用いてバリア膜を形成すると、島
状の半導体膜705〜707上に薄い酸化膜ができていたとしても、バリア膜に含まれる
チタンがこの酸化膜を還元し、導電膜723〜728と島状の半導体膜705〜707が
良好なコンタクトをとることができる。またバリア膜を複数積層するようにして用いても
良い。その場合、例えば、導電膜722〜728を下層からチタン、窒化チタン、アルミ
ニウムシリコン、チタン、窒化チタンの5層構造とすることが出来る。
【0148】
なお、導電膜723、724はnチャネル型TFT716の高濃度不純物領域715に接
続されている。導電膜725、726はnチャネル型TFT717の高濃度不純物領域7
15に接続されている。導電膜727、728はpチャネル型TFT718の高濃度不純
物領域712に接続されている。
【0149】
次に図18(A)に示すように、導電膜722〜728を覆うように絶縁膜730を形成
し、その後、導電膜722の一部が露出するように、該絶縁膜730にコンタクトホール
を形成する。そして該コンタクトホールおいて導電膜722と接するように、導電膜73
1を形成する。導電膜722〜728に用いることが出来る材料であるならば、導電膜7
31の材料として使用することが出来る。
【0150】
絶縁膜730は、有機樹脂膜、無機絶縁膜またはシロキサン系絶縁膜を用いて形成するこ
とができる。有機樹脂膜ならば、例えばアクリル、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、
ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテンなどを用いることが出来る。無機絶縁膜なら
ば酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)に代
表される炭素を含む膜などを用いることができる。なおフォトリソグラフィ法で開口部を
形成するのに用いるマスクを、液滴吐出法または印刷法で形成することができる。また絶
縁膜730はその材料に応じて、CVD法、スパッタ法、液滴吐出法または印刷法などで
形成することが出来る。
【0151】
次にアンテナとして機能する導電膜732を、その一部が導電膜731と接するように形
成する。導電膜732は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、
クロム(Cr)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta
)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、亜鉛
(Zn)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)などの金属を用いて形成することが出来る。導
電膜732は、上記金属で形成された膜の他に、上記金属を主成分とする合金で形成され
た膜、或いは上記金属を含む化合物を用いて形成された膜を用いても良い。導電膜732
は、上述した膜を単層で用いても良いし、上述した複数の膜を積層して用いても良い。
【0152】
導電膜732は、CVD法、スパッタリング法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷
法、液滴吐出法、ディスペンサ法、めっき法、フォトリソグラフィ法、蒸着法等を用いて
形成することが出来る。
【0153】
例えばスクリーン印刷法を用いる場合、粒径が数nmから数十μmの導電性を有する粒子
(導電体粒子)を有機樹脂に分散させた導電性のペーストを、絶縁膜730上に選択的に
印刷することで導電膜732を形成することができる。導電体粒子は、銀(Ag)、金(
Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル
(Ta)、モリブデン(Mo)、錫(Sn)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr
)またはチタン(Ti)等を用いて形成することが出来る。導電体粒子は上記金属で形成
されたものの他に、上記金属を主成分とする合金で形成されていても良いし、上記金属を
含む化合物を用いて形成されていても良い。またハロゲン化銀の微粒子または分散性ナノ
粒子も用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂として、ポリイミ
ド、シロキサン系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが出来る。
【0154】
上記金属の合金の一例として、銀(Ag)とパラジウム(Pd)、銀(Ag)と白金(P
t)、金(Au)と白金(Pt)、金(Au)とパラジウム(Pd)、銀(Ag)と銅(
Cu)の組み合わせが挙げられる。また例えば、銅(Cu)を銀(Ag)でコートした導
電体粒子なども用いることが可能である。
【0155】
なお導電膜732の形成にあたり、印刷法や液滴吐出法で導電性のペーストを押し出した
後に焼成することが好ましい。例えば、導電性のペーストに、銀を主成分とする導電体粒
子(例えば粒径1nm以上100nm以下)を用いる場合、150〜300℃の温度範囲
で焼成することにより、導電膜732を形成することができる。焼成は、赤外ランプ、キ
セノンランプ、ハロゲンランプなどを用いたランプアニールで行なっても良いし、電気炉
を用いたファーネスアニールで行なっても良い。またエキシマレーザや、Nd:YAGレ
ーザを用いたレーザーアニール法で行なっても良い。また、半田や鉛フリーの半田を主成
分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好
ましい。半田や鉛フリーの半田は、低コストであるといった利点を有している。
【0156】
印刷法、液滴吐出法を用いることで、露光用のマスクを用いずとも導電膜732を形成す
ることが可能になる。また、液滴吐出法、印刷法だと、フォトリソグラフィ法と異なり、
エッチングにより除去されてしまうような材料の無駄がない。また高価な露光用のマスク
を用いなくとも良いので、半導体装置の作製に費やされるコストを抑えることができる。
【0157】
次に図18(B)に示すように、導電膜731及び導電膜732を覆うように、絶縁膜7
30上に絶縁膜733を形成する。絶縁膜733は、有機樹脂膜、無機絶縁膜またはシロ
キサン系絶縁膜を用いて形成することができる。有機樹脂膜ならば、例えばアクリル、エ
ポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテンなどを用
いることが出来る。無機絶縁膜ならば酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、DLC(
ダイヤモンドライクカーボン)に代表される炭素を含む膜などを用いることができる。な
おフォトリソグラフィ法で開口部を形成するのに用いるマスクを、液滴吐出法または印刷
法で形成することができる。また絶縁膜733はその材料に応じて、CVD法、スパッタ
法、液滴吐出法または印刷法などで形成することが出来る。なお絶縁膜733は必ずしも
形成する必要はない。
【0158】
次に図19(A)に示すように、絶縁膜703から絶縁膜733までの、TFTに代表さ
れる半導体素子と各種導電膜を含む層(以下、「素子形成層734」と記す)を、基板7
00から剥離する。本実施例では、第1のシート材735を素子形成層734の絶縁膜7
33側の面に貼り合わせ、物理的な力を用いて基板700から素子形成層734を剥離す
る。剥離層702は、全て除去せず一部が残存した状態であっても良い。
【0159】
また上記剥離は、剥離層702のエッチングを用いた方法で行っても良い。この場合、剥
離層702が一部露出するように溝を形成する。溝は、ダイシング、スクライビング、U
V光を含むレーザ光を用いた加工、フォトリソグラフィ法などにより、溝を形成する。溝
は、剥離層702が露出する程度の深さを有していれば良い。そしてエッチングガスとし
てフッ化ハロゲンを用い、該ガスを溝から導入する。本実施例では、例えばClF(三
フッ化塩素)を用い、温度:350℃、流量:300sccm、気圧:6Torr、時間
:3hの条件で行なう。また、ClFガスに窒素を混ぜたガスを用いても良い。ClF
等のフッ化ハロゲンを用いることで、剥離層702が選択的にエッチングされ、基板7
00をTFT716〜718から剥離することができる。なおフッ化ハロゲンは、気体で
あっても液体であってもどちらでも良い。
【0160】
次に図19(B)に示すように、素子形成層734の上記剥離により露出した面に、第2
のシート材736を貼り合わせた後、素子形成層734を第1のシート材735から剥離
する。
【0161】
なお基板700上に複数の半導体装置に対応する半導体素子を形成している場合には、素
子形成層734を半導体装置ごとに分断する。分断は、レーザ照射装置、ダイシング装置
、スクライブ装置等を用いることができる。
【0162】
なお本実施例では、アンテナを半導体素子と同じ基板上に形成する例について説明したが
、本発明はこの構成に限定されない。半導体素子を形成した後、別途形成したアンテナを
、集積回路と電気的に接続するようにしても良い。この場合、アンテナと集積回路との電
気的な接続は、異方導電性フィルム(ACF(Anisotropic Conduct
ive Film))や異方導電性ペースト(ACP(Anisotropic Con
ductive Paste))等で圧着させることにより電気的に接続することが出来
る。また、他にも、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤や
半田接合等を用いて接続を行うことも可能である。
【0163】
なお、図19(B)に示す半導体装置が完成したら、絶縁膜733を覆うように第3のシ
ート材を貼り合わせ、加熱処理と加圧処理の一方または両方を行って第2のシート材73
6と第3のシート材を貼り合わせる様にしても良い。第2のシート材736、第3のシー
ト材として、ホットメルトフィルム等を用いることができる。また第3のシート材を用意
せずとも、第1のシート材735を剥離せずに、第1のシート材735と第2のシート材
736を貼り合わせる様にしても良い。
【0164】
また第2のシート材736、第3のシート材として、静電気等を防止する帯電防止対策を
施したフィルム(以下、帯電防止フィルムと記す)を用いることもできる。帯電防止フィ
ルムで封止を行うことによって、商品として取り扱う際に、外部からの静電気等によって
半導体素子に悪影響が及ぶことを抑制することができる。
【0165】
帯電防止フィルムは、帯電を防ぐことが出来る材料(帯電防止剤)がフィルムに練り込ま
れたタイプ、フィルムそのものが帯電を防ぐ効果を有するタイプ、及び帯電防止剤をフィ
ルムにコーティングしたタイプ等が挙げられる。帯電防止剤は、ノニオンポリマー系、ア
ニオンポリマー系、カチオンポリマー系、ノニオン界面活性剤系、アニオン界面活性剤系
、カチオン界面活性剤系、両性界面活性剤系を用いることが出来る。また金属、インジウ
ムと錫の酸化物(ITO)等も帯電防止剤として用いることが出来る。また帯電を防ぐ効
果を有するフィルムの材料として、オレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン系樹脂、P
MMA樹脂、ポリカーボネート系樹脂、PVCポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、変
性PPO樹脂などを用いることが出来る。
【0166】
なお本実施例では、導電膜732でコイル状のアンテナを形成する場合を例として挙げて
いるが、本実施例はこの構成に限定されない。本発明においてアンテナはコイル状に限定
されるものではなく、ダイポールアンテナまたはパッチアンテナでも良い。本実施例で用
いるアンテナは、電波を受信する機能を有し、フォトリソグラフィ法で作製が可能なアン
テナであれば良い。
【0167】
また本実施例では素子形成層734を基板700から剥離して利用する例を示しているが
、剥離層702を設けずに、基板700上に上述の素子形成層734を作製し、充電回路
の各種回路として利用しても良い。
【0168】
本実施例は、上記実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である

【実施例4】
【0169】
本実施例では、単結晶基板に形成されたトランジスタを用いて、本発明の充電装置を作製
する例について説明する。単結晶基板に形成されたトランジスタは特性のばらつきを抑え
ることが出来るので、充電装置に用いるトランジスタの数を抑えることが出来る。
【0170】
まず図20(A)に示すように、半導体基板2300に、半導体素子を電気的に分離する
ための素子分離用絶縁膜2301を絶縁膜で形成する。素子分離用絶縁膜2301の形成
により、トランジスタを形成するための領域(素子形成領域)2302と、素子形成領域
2303とを電気的に分離することが出来る。
【0171】
半導体基板2300は、例えば、n型またはp型の導電型を有する単結晶シリコン基板、
化合物半導体基板(GaAs基板、InP基板、GaN基板、SiC基板、サファイア基
板、ZnSe基板等)、貼り合わせ法またはSIMOX(Separation by
Implanted Oxygen)法を用いて作製されたSOI(Silicon o
n Insulator)基板等を用いることができる。
【0172】
素子分離用絶縁膜2301の形成には、選択酸化法(LOCOS(Local Oxid
ation of Silicon)法)またはトレンチ分離法等を用いることができる

【0173】
また本実施例ではn型の導電型を有する単結晶シリコン基板を半導体基板2300として
用い、素子形成領域2303にpウェル2304を形成した例を示している。半導体基板
2300の素子形成領域2303に形成されたpウェル2304は、p型の導電型を付与
する不純物元素を素子形成領域2303に選択的に導入することによって形成することが
できる。p型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガ
リウム(Ga)等を用いることができる。また半導体基板2300としてp型の導電型を
有する半導体基板を用いる場合、素子形成領域2302にn型を付与する不純物元素を選
択的に導入し、nウェルを形成すれば良い。
【0174】
なお本実施例では、半導体基板2300としてn型の導電型を有する半導体基板を用いて
いるため、素子形成領域2302には不純物元素の導入を行っていない。しかし、n型を
付与する不純物元素を導入することにより素子形成領域2302にnウェルを形成しても
よい。n型を付与する不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を用いることが
できる。
【0175】
次に図20(B)に示すように、素子形成領域2302、2303を覆うように絶縁膜2
305、2306をそれぞれ形成する。本実施例では、半導体基板2300を熱酸化する
ことで素子形成領域2302、2303に形成された酸化珪素膜を、絶縁膜2305、2
306として用いる。また、熱酸化により酸化珪素膜を形成した後、窒化処理を行うこと
によって酸化珪素膜の表面を窒化させて酸窒化珪素膜を形成し、酸化珪素膜と酸窒化珪素
膜とが積層された層を絶縁膜2305、2306として用いても良い。
【0176】
他にも、上述したように、プラズマ処理を用いて絶縁膜2305、2306を形成しても
よい。例えば、高密度プラズマ処理により半導体基板2300の表面を酸化または窒化す
ることで、素子形成領域2302、2303に、絶縁膜2305、2306として用いる
酸化珪素(SiOx)膜または窒化珪素(SiNx)膜を形成することができる。
【0177】
次に図20(C)に示すように、絶縁膜2305、2306を覆うように導電膜を形成す
る。本実施例では、導電膜として、順に積層された導電膜2307と導電膜2308とを
用いた例を示している。導電膜は、単層の導電膜を用いていても良いし、3層以上の導電
膜が積層された構造を用いていても良い。
【0178】
導電膜2307、2308として、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(T
i)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオ
ブ(Nb)等を用いることが出来る。また導電膜2307、2308は、上記金属で形成
された膜の他に、上記金属を主成分とする合金で形成された膜、或いは上記金属を含む化
合物を用いて形成された膜を用いても良い。または、半導体膜に導電性を付与するリン等
の不純物元素をドーピングした、多結晶珪素などの半導体を用いて形成しても良い。本実
施例では、窒化タンタルを用いて導電膜2307を形成し、タングステンを用いて導電膜
2308を形成する。
【0179】
次に図21(A)に示すように、積層して設けられた導電膜2307、2308を所定の
形状に加工(パターニング)することによって、絶縁膜2305、2306上にゲート電
極2309、2310を形成する。
【0180】
次に図21(B)に示すように、素子形成領域2302を覆うように、レジストでマスク
2311を選択的に形成する。そして、素子形成領域2303に不純物元素を導入する。
マスク2311に加えてゲート電極2310もマスクとして機能するので、上記不純物元
素の導入により、pウェル2304にソース領域またはドレイン領域として機能する不純
物領域2312と、チャネル形成領域2313が形成される。不純物元素は、n型を付与
する不純物元素またはp型を付与する不純物元素を用いる。n型を付与する不純物元素と
しては、リン(P)やヒ素(As)等を用いることができる。p型を付与する不純物元素
としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることがで
きる。本実施例では、不純物元素として、リン(P)を用いる。
【0181】
次にマスク2311を除去した後、図21(C)に示すように、素子形成領域2303を
覆うようにレジストでマスク2314を選択的に形成する。そして素子形成領域2302
に不純物元素を導入する。マスク2314に加えてゲート電極2309もマスクとして機
能するので、上記不純物元素の導入により、素子形成領域2302内の半導体基板230
0において、ソース領域またはドレイン領域として機能する不純物領域2315と、チャ
ネル形成領域2316が形成される。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素ま
たはp型を付与する不純物元素を用いる。n型を付与する不純物元素としては、リン(P
)やヒ素(As)等を用いることができる。p型を付与する不純物元素としては、ボロン
(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。本実施例で
は、図21(B)で素子形成領域2303に導入した不純物元素と異なる導電型を有する
不純物元素(例えば、ボロン(B))を導入する。
【0182】
次に図22(A)に示すように、絶縁膜2305、2306、ゲート電極2309、23
10を覆うように絶縁膜2317を形成する。そして絶縁膜2317にコンタクトホール
を形成し、不純物領域2312、2315を一部露出させる。次にコンタクトホールを介
して不純物領域2312、2315と接続する導電膜2318を形成する。導電膜231
8は、CVD法やスパッタリング法等により形成することができる。
【0183】
絶縁膜2317は、無機絶縁膜、有機樹脂膜またはシロキサン系絶縁膜を用いて形成する
ことができる。無機絶縁膜ならば酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、DLC(ダイ
ヤモンドライクカーボン)に代表される炭素を含む膜などを用いることができる。有機樹
脂膜ならば、例えばアクリル、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノー
ル、ベンゾシクロブテンなどを用いることが出来る。また絶縁膜2317はその材料に応
じて、CVD法、スパッタ法、液滴吐出法または印刷法などで形成することが出来る。
【0184】
なお本発明の半導体装置に用いるトランジスタは、本実施例において図示した構造に限定
されるものではない。例えば、逆スタガ構造であっても良い。
【0185】
次に図22(B)に示すように層間膜2324を形成する。そして層間膜2324をエッ
チングしコンタクトホールを形成し、導電膜2318の一部を露出させる。層間膜232
4は樹脂には限定せず、CVD酸化膜など他の膜であっても良いが、平坦性の観点から樹
脂であることが望ましい。また、感光性樹脂を用いて、エッチングを用いずにコンタクト
ホールを形成しても良い。次に層間膜2324上に、コンタクトホールを介して導電膜2
318と接する配線2325を形成する。
【0186】
次にアンテナとして機能する導電膜2326を、配線2325と接するように形成する。
導電膜2326は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、クロム
(Cr)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タ
ングステン(W)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn
)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)などの金属を用いて形成することが出来る。導電膜2
326は、上記金属で形成された膜の他に、上記金属を主成分とする合金で形成された膜
、或いは上記金属を含む化合物を用いて形成された膜を用いても良い。導電膜2326は
、上述した膜を単層で用いても良いし、上述した複数の膜を積層して用いても良い。
【0187】
導電膜2326は、CVD法、スパッタリング法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印
刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、めっき法、フォトリソグラフィ法、蒸着法等を用い
て形成することが出来る。
【0188】
なお本実施例では、アンテナを半導体素子と同じ基板上に形成する例について説明したが
、本発明はこの構成に限定されない。半導体素子を形成した後、別途形成したアンテナを
、各種回路と電気的に接続するようにしても良い。この場合、アンテナと各種回路との電
気的な接続は、異方導電性フィルム(ACF(Anisotropic Conduct
ive Film))や異方導電性ペースト(ACP(Anisotropic Con
ductive Paste))等で圧着させることにより電気的に接続することが出来
る。また、他にも、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤や
半田接合等を用いて接続を行うことも可能である。
【0189】
なお、本実施例は、上記実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが出来
る。
【符号の説明】
【0190】
101 アンテナ回路
102 充電回路
103 端子
104 保護材
105 保護材
106 整流回路
107 電源回路
108 充電制御回路
110 充電対象物
111 蓄電池
120 配線
121 配線
201 アンテナ回路
202 充電回路
203 アンテナ回路
204 保護材
205 保護材
206 整流回路
207 電源回路
208 発振回路
209 発振制御回路
210 充電対象物
211 アンテナ回路
212 充電回路
213 蓄電池
301 筐体
302 アンテナ回路
303 保護材
304 蓋
305 配線
306 充電回路
307 端子
308 携帯電話
309 蓄電池
310 アンテナ回路
401 筐体
402 筐体
700 基板
701 絶縁膜
702 剥離層
703 絶縁膜
704 半導体膜
705 半導体膜
707 半導体膜
708 ゲート絶縁膜
709 電極
710 低濃度不純物領域
711 マスク
712 高濃度不純物領域
713 ゲート絶縁膜
714 サイドウォール
715 高濃度不純物領域
716 TFT
717 TFT
718 TFT
720 絶縁膜
721 絶縁膜
722 導電膜
723 導電膜
725 導電膜
727 導電膜
730 絶縁膜
731 導電膜
732 導電膜
733 絶縁膜
734 素子形成層
735 シート材
736 シート材
103a 端子
107a 電源回路
108a 充電制御回路
110a 充電対象物
111a 蓄電池
1301 筐体
1302 保護材
1303 アンテナ回路
1401 高周波加熱装置
1402 充電装置
1403 照射部
1404 庫内
1405 被処理物
1501 表示装置
1502 充電装置
1511 洗濯機
1512 充電装置
203a アンテナ回路
207a 電源回路
208a 発振回路
209a 発振制御回路
210a 充電対象物
211a アンテナ回路
212a 充電回路
213a 蓄電池
2300 半導体基板
2301 素子分離用絶縁膜
2302 素子形成領域
2303 素子形成領域
2304 pウェル
2305 絶縁膜
2307 導電膜
2308 導電膜
2309 ゲート電極
2310 ゲート電極
2311 マスク
2312 不純物領域
2313 チャネル形成領域
2314 マスク
2315 不純物領域
2316 チャネル形成領域
2317 絶縁膜
2318 導電膜
2324 層間膜
2325 配線
2326 導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を受信するアンテナ回路と、
前記アンテナ回路において生成された交流電圧を整流して直流電圧を生成し、前記直流電圧の大きさを調整する充電回路と、
前記調整された前記直流電圧が印加される端子と、
前記充電回路及び前記端子を覆う第1保護材と、
前記アンテナ回路を覆う第2保護材と、を有する充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−66377(P2013−66377A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−270485(P2012−270485)
【出願日】平成24年12月11日(2012.12.11)
【分割の表示】特願2008−5098(P2008−5098)の分割
【原出願日】平成20年1月14日(2008.1.14)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】