説明

先天的免疫応答の増強のための組成物の使用

【課題】感染症および疾患を処置するための先天的免疫系応答を増強する、組成物、方法および使用を提供すること。
【解決手段】(a)少なくとも1種のカルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤または非免疫抑制性誘導体、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩;および(b)所望により、少なくとも1種のカルシフェロールまたはLMW阻害剤、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む組成物、ならびにそれを用いた疾患の処置方法、およびそれらの使用により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
抗原が原因の疾患に対する宿主保護は、宿主から原因因子を遠ざけるか、またはそれらの増殖を制御するかのいずれかに相乗的に機能する分子および細胞機構および過程の集合である免疫系により提供される。免疫系の先天的防御機構は、感染後初期に関与し、それらの機能は因子非特異的方法で感染の程度を制御することである。獲得または適応免疫の発生は、その抗原特異性および高い有効性と共に、発達するのに時間がかかる。個体の先天的免疫防御の程度は、大きく異なり得る。これらの差異は、明らかな疾患の発症前に消散する感染症と、獲得免疫防御機構の起動前に完全な疾患に進行する感染症の差異を導き得る。
【背景技術】
【0002】
免疫系の最も重要な機構は、自己と非自己を区別する、および宿主を抗原による侵襲から保護する能力の提供である。これらの任務を果たすため、エフェクター機構の大きく、そして多様な配備が展開しており、その大多数は抗原特異性を示す。各個体のエフェクター機構は、進行の速度に影響する、解毒する、または微生物病原体の排除を促進するその能力について、一定の特異性を有する。利用可能な機構におけるこのような多様性は、単独のエフェクター応答が、全ての形の病原侵襲を有効に処理できないため、絶対的に必須である。
【0003】
宿主を抗原に対して保護するのに用いられる異なる機構は、物理的バリア、血液および組織中の食細胞、ナチュラルキラー細胞および種々の血液運搬分子を含む。これらの機構は、多くの抗原を撃退、破壊または抑制できる。これらの防御機構のいくつかは、(a)抗原暴露前に存在する、(b)ほとんどの抗原を区別しない、そして(c)しばしばこのような暴露により有効に増強できない。これらの防御機構は先天的免疫の要素である。他の防御機構は抗原への暴露により誘発または刺激され、別個の抗原に特異的であり、特定の抗原への各々の連続的暴露により強度および防御能を増加させる。これらの機構は適合(獲得)免疫を構成する。
【0004】
皮膚先天的免疫は、二つの大きな要素:1)トール様受容体(TLR)のようなパターン認識受容体および2)抗微生物ペプチド(AMP)のようなエフェクター分子に依存する。適合免疫系と対照的に、先天的免疫は、特異的前感作を必要としない。免疫系の先天的防御機構は感染後初期に関与し、それらの機能は因子非特異的方法で感染の程度を制御することである。個体の先天的免疫防御の程度は、大きく異なり得る。加えて、病原細菌の多剤耐性種の頻度およびスペクトルが、過去10年で劇的に増加している。結果として、細菌の多剤耐性の発生が原因である来たる攻撃に対処する、そして、最適に機能しない先天的免疫応答を有する個体を助けるために、新しい戦略を追求する必要がある。
【0005】
表面上皮および寄生微生物が、病原侵襲に対する最初のバリアを形成する。先天的免疫系は、粘膜上皮表面で種々の病原体の連続的攻撃に有効に対処することができる構造的または即時誘導可能防御系を、宿主に提供する。抗原が表皮と接触したとき、先天的免疫系の細胞が関与する細胞性/生化学的カスケードが誘発される。種々のエフェクター細胞およびリソザイム、ラクトフェリン、およびデフェンシンを含む一組のシグナル分子を含んで、先天的免疫系は抗原の不活性化および排除をもたらす急速応答を起動し、その後、適合免疫機構がインビボで起動する。従って、抗原の存在が知られているか疑われる場合に先天的免疫系を上方制御する分子は、種々の細菌およびウイルスが関連する皮膚感染症および疾患の一次処置モダリティーとして、抗生物質に変わる理想的治療代替物である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
抗生物質耐性の発生は、いくつかの微生物が既知の全ての現存抗生物質に対して耐性となる点まで急速に増加する。どの抗生物質が具体的微生物の処置に有効であるかを同定する試験が必要であり得るため、これは、処置の注意深い選択ならびに処置の減速が要求される。加えて、広い抗生物質使用が、さらに耐性の問題に関与する。故に、新規抗生物質を同定する必要性は、これらの物質の価格を場合によっては抑制的であるくらい高いようにしています。従って、数十年の抗生物質使用および濫用に関連した問題の観点から、感染症の非抗生物質処置の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要約
本発明は、感染症および疾患を処置するための先天的免疫系応答を増強する、組成物、方法および使用の提供により、これらのまだ対処されていない要求に対処する。この処置は、多くの利益を提供する。既存の抗生物質と異なり、これらの分子は抗生物質耐性を誘発する可能性がない。さらなる利益は、これらの分子が、それらが宿主により産生されるため、アレルギー性応答を誘発しないことである。本発明の方法はまた、抗生物質処置よりも、費用効率が高い。
【0008】
本発明は、患者に治療的有効量の:
(a)少なくとも1種のカルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤または非免疫抑制性誘導体、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩;および
(b)所望により、少なくとも1種のカルシフェロールまたはLMW阻害剤、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩
を含む組成物を投与することを含む、
患者における疾患(ここで、先天的免疫応答の増強が該疾患を処置できる)の処置のための方法ならびにそのための医薬組成物およびその使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明の詳細な記載
ここで使用する用語“活性化合物”は、先天的免疫系増強効果を有する化合物を意味する。特に、このような化合物は、カルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤、非免疫抑制性誘導体、カルシフェロールおよびLMW阻害剤を含む。
【0010】
ここで使用する用語“誘導体”は、化学的にまたは生化学的に修飾された活性化合物を意味し、このような化合物への化学部分の付加または置換をもたらす。
【0011】
ここで使用する用語“異性体”は、同一分子式を有するが、それらの原子の結合の性質または配列、または空間でのそれらの原子配置が異なる活性化合物を意味する。空間でのそれらの原子配置が異なる異性体は、“立体異性体”と呼ばれる。互いの鏡像ではない立体異性体は、“ジアステレオマー”と呼ばれ、重ね合わせることができない鏡像である立体異性体は“エナンチオマー”または時々“光学異性体”と呼ばれる。4つの異なる置換基に結合した炭素原子は、“キラル中心”と呼ばれる。1個のキラル中心を有する化合物は、互いに逆のキラリティーの2個のエナンチオマー形態を有し、“ラセミ混合物”と呼ばれる。1個以上のキラル中心を有する化合物は2n−1個のエナンチオマー対を有し、ここで、nはキラル中心の数である。1個異常のキラル中心を有する化合物は、個々のジアステレオマーまたはジアステレオマーの混合物(“ジアステレオマー混合物”と呼ぶ)のいずれかとして存在し得る。1個のキラル中心が存在する場合、立体異性体はそのキラル中心の絶対配置により特徴付けられ得る。絶対配置は、キラル中心に結合した置換基の空間における配置を意味する。エナンチオマーは、それらのキラル中心の絶対配置により特徴付けられ、Cahn, Ingold and PrelogのRおよびSシークエンシングルールにより記載される。立体化学命名法、立体化学の決定方法および立体異性体の分割法の慣例は、当分野で既知である(例えば、“Advanced Organic Chemistry”, 4th edition, March, Jerry, John Wiley & Sons, New York, 1992参照)。活性化合物を記載するために本明細書で使用する名前および図説は、全ての可能性のある立体異性体を含むこと意味することは、理解すべきである。
【0012】
ここで使用する用語“所望”または“所望により”は、続いて記載されている事象または状況が起こっても起こらなくてもよく、そして本記載は、事象または状況が起こる場合およびそれが起こらない場合を含む。
ここで使用する用語“患者”は、ヒトを含む動物を意味する。
【0013】
ここで使用する用語”薬学的に許容される”は、一般に安全で、非毒性でおよび生物学的にも他のことでも望ましくないものではない医薬組成物の製造に有用であることを意味し、そして、獣医学でのしようならびにヒト医薬使用に許容されるものを含む。
【0014】
ここで使用する用語“薬学的に許容される塩”は、上記で定義の通り薬学的に許容され、そして所望の薬理学的活性を有する活性化合物の塩を意味する。このような塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸と;または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、o−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4'−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などのような有機酸と形成される酸付加塩を含む。
【0015】
薬学的に許容される塩はまた存在する酸性プロトンが無機または有機塩基と反応できるときに形成され得る、塩基付加塩も含む。許容される無機塩基は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムを含む。許容される有機塩基は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどを含む。
【0016】
ここで使用する用語“治療的有効量”は、疾患処置のために患者に投与したとき、患者における先天的免疫系応答を増強させるのに十分な量を意味する。
【0017】
ここで使用する用語“処置”または“処置する”は、本発明の活性化合物の何らかの投与を意味し、そして以下を含む:
(1) 疾患の素因があるかもしれないが、まだ疾患の病状または症状を経験または発現していない患者において、疾患が起こることを予防する、
(2) 疾患の病状または症状を経験または発現している患者において、疾患を阻害する(すなわち、病状および/または症状のさらなる進展を阻止する)、または
(3) 疾患の病状または症状を経験または発現している患者において、疾患を軽減する(すなわち、病状および/または症状を逆転させる)。
【0018】
本発明は、患者における疾患(ここで、先天的免疫応答の増強が該疾患を処置できる)の処置方法であって、該患者に治療的有効量の:
(a)少なくとも1種のカルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤または非免疫抑制性誘導体、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩;および
(b)所望により、少なくとも1種のカルシフェロールまたはLMW阻害剤、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩
を含む組成物を投与することを含む、方法を含む。
【0019】
本発明はまた患者における先天的免疫応答を増強するための医薬組成物であって、治療的有効量の:
(a)少なくとも1種のカルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤または非免疫抑制性誘導体、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩;および
(b)所望により、少なくとも1種のカルシフェロールまたはLMW阻害剤、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩
を含む、医薬組成物を含む。
【0020】
本発明はさらに患者における先天的免疫応答を増強する方法であって、該患者に治療的有効量の
(a)少なくとも1種のカルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤または非免疫抑制性誘導体、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩;および
(b)所望により、少なくとも1種のカルシフェロールまたはLMW阻害剤、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩
を含む組成物を投与することを含む、方法を含む。
【0021】
またここで記載されるのは、患者の先天的免疫応答の刺激用薬剤の製造のための治療的有効量の:
(a)少なくとも1種のカルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤または非免疫抑制性誘導体、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩;および
(b)所望により、少なくとも1種のカルシフェロールまたはLMW阻害剤、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩;
の使用である。
【0022】
本発明の他の局面において、カルシニューリン阻害剤はタクロリムス、ピメクロリムス、アスコマイシン、シクロスポリンA、タクロリムス、シペルメトリン、デルタメトリン、フェンバレレート、ボシクロスポリン(vocyclosporin)および/またはそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩を含み得る。本発明のある局面において、カルシニューリン阻害剤はタクロリムス、ピメクロリムス、アスコマイシン、および/またはシクロスポリンAを含み得る。
【0023】
本発明の他の局面において、mTOR阻害剤はラパマイシン、ラパマイシン誘導体、エベロリムス、7−tert−ブチル−6−(4−クロロ−フェニル)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン(SAB953)、SAR943、40−O−アルキル−ラパマイシン誘導体、32−デオキソ−ラパマイシン誘導体、32−ヒドロキシ−ラパマイシン誘導体、32−デオキソラパマイシン、16−O−置換ラパマイシン誘導体、16−ペント−2−イニルオキシ−32−デオキソラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−ラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、40位の酸素基がアシル化されたラパマイシン誘導体、40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシ−メチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシン、40位がヘテロシクリルで置換されたラパマイシン誘導体、40−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン、ラパログ(rapalog)、40−O−ジメチルホスフィニル−ラパマイシン、AP23573、バイオリムス、40−O−(2−エトキシ)エチル−ラパマイシン(RAD001)、TAFA−93、AP23464、AP23675、AP23841、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩を含み得る。本発明のある局面において、mTOR阻害剤はSAB953、SAR943、ラパマイシンおよびRAD001を含み得る。
【0024】
本発明の他の局面において、非免疫抑制性誘導体は、
【化1】

【0025】
〔式中、記号-- -- --は単結合、またはR2aが存在しないとき二重結合を意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシ基を意味し、そしてR1aは水素を意味するか;
またはRおよびR1aは一緒となってオキソを意味し;
およびR1aは一緒となってオキソを意味し;
は、所望により保護されてよいヒドロキシ基を意味するか、またはRと一緒となって、−OC(=O)O−基を形成し、そしてR2aは水素を意味するか、または存在せず;
ここで、記号-- -- --が単結合であるとき、
はR2aと一緒となってまたオキソを意味し;
はメチル、エチル、n−プロピルまたはアリルを意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシを意味するか、またはRと一緒なって−OC(=O)O−基を形成し、そしてR4aは水素を意味するか;
またはRはR4aと一緒となってオキソを意味し;
はアルコキシカルボニルオキシ、ハロゲン、所望により保護されてよいヒドロキシ、低級アルコキシ、アシルオキシまたは基−OC(=X)N(R10)R11を意味するか;
またはR窒素原子と共にR6aを担持する炭素原子に結合している基−OC(=X)N(R'10)−を形成し、ここでXは酸素または硫黄を意味し、R10およびR11は、独立して水素または低級アルキルを意味するか、または窒素原子と一緒になって、所望により窒素または酸素のような第二のヘテロ原子を含んでもよい5または6員環を形成し、そしてR'10は水素または低級アルキルであるか;
またはRはR8aと一緒となってオキシを意味し、ここでRはヒドロキシを意味し;
はヒドロキシを意味し、そしてR6aは水素を意味するか、またはRと一緒になって、上記で定義の基−OC(=X)N(R'10)−を形成するか;
またはRおよびR6aは一緒となってオキソを意味し;
R'は所望により保護されてよいヒドロキシ、低級アルコキシまたはアシルオキシを意味し、そして
R'はヒドロキシを意味するか;
またはR'およびR'は一体となって−OC(=O)O−基を形成し
R”はヒドロキシまたは低級アルコキシを意味し、そしてR”はヒドロキシを意味するか;
またはR”およびR”は一体となって−OC(=O)O−基を形成し
はメトキシまたはヒドロキシを意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシ基、アシルオキシ、イミダゾリルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを意味し、そしてR8aは水素を意味するか;
またはRはヒドロキシを意味し、そしてR8aはRと一緒になってオキシを意味するか;
またはRはR8aと一緒になってオキソを意味し;そして
nは1または2を意味する。〕
の化合物、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩を含み得る。
【0026】
本発明の他の局面において、カルシフェロールはカルシフェロール、カルシポトリオール、カルシトリオール、コレカルシフェロール、22,23−ジヒドロエルゴカルシフェロール、25−ヒドロキシコレカルシフェロール、25−ヒドロキシエルゴカルシフェロール、マキサカルシトール、ファレカルシトール、ファレカルシトリオール、タカルシトール、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩を含み得る。
【0027】
本発明の他の局面において、LMW阻害剤は、式
【化2】

〔式中、Rはフェニル、ナフチル、チエニルまたはピリジル、またはハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、ジ−C−Cアルキルアミノもしくはシアノでモノ置換されたフェニル、ナフチル、チエニルまたはピリジルであり、そして
は水素であるか;または
は水素であり、そして
はピリジルまたは2−(5−クロロ)ピリジルであり;
は水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルキルカルボニル、アミノまたはジ−C−Cアルキルアミノであり;そして
XはCHである。〕
の化合物、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩である。
【0028】
本発明の方法、使用および組成物を使用して処置し得る疾患は、癌、アクネ、アトピー性皮膚炎、創傷感染症、MRSA、ウイルス皮膚感染症、HSV、HPV、ポックスウイルス、爪真菌症、口腔咽頭および呼吸器のウイルスおよび細菌感染症、RSV、マイコプラズマ、尿管の感染症、クラミジア、GI管のウイルスおよび細菌感染症、乾癬、接触性皮膚炎、湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、紅斑性狼瘡、円形脱毛症、角化上皮(cornefied epithelia)、歯肉炎、口腔咽頭炎、炎症性腸疾患、クローン病、再発性膣炎(大腸菌)、尿道炎、および結膜を含む。
【0029】
驚くべきことに、カルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤(または“イムノフィリンリガンド”)および非免疫抑制性誘導体が先天的免疫系の増強に、故に、皮膚感染症および疾患の処置に使用でき、そしてさらに、カルシニューリン阻害剤およびmTOR阻害剤の組み合わせが相乗的増強効果を有することが判明した。驚くべきことに、また少なくとも1種のカルシニューリン阻害剤およびmTOR阻害剤と併用投与した、LMW阻害剤、カルシフェロールまたはまたはそれらの組み合わせが、先天的免疫系の相乗的増強効果を有することも判明した。これらの化合物の投与は、先天的免疫系の抗病原活性を、予想外に増強させる。この効果は、アトピー性皮膚炎の対象のような障害された先天的免疫応答を有する患者に、特に臨床的利益であると期待される。
【0030】
低用量の本発明の組成物が先天的免疫系の増強をもたらすことも、驚くべきことに判明した。患者のこれらの低濃度の活性化合物での処置は、予期されないそして珍しいベル型用量応答曲線を作成する。例えば、患者の10および20ナノモル濃度のピメクロリムスクリームでの処置は、そのような曲線を予期しないことに作成する。アトピー性皮膚炎のようなある種の疾患を処置するために、低用量のあるカルシニューリン阻害剤ピメクロリムスのようなマクロラクタムを使用する可能性は、そのような化合物が、低濃度を局所製剤で投与したとき、抗炎症効果に関して無効であることが知られているため、また驚きである。標準処置レジメンと比較して、これは、より低用量またはより少ない頻度での投与を可能にし、それは処置の可能性のある毒性を低下し、故に処置安全性を増加させる。
【0031】
カルシニューリンはT細胞受容体(TCR)仲介シグナル伝達経路において中心的役割を有し、免疫応答に必要なある種のサイトカイン、例えば、IL−2の転写活性化を導く。カルシニューリンは、カルシウムおよびカルモジュリン依存性タンパク質セリン/スレオニンホスファターゼである。カルシニューリンは、NF−AT、NF−κBおよびAP−1を含むIL−2プロモーターに結合するいくつかの転写因子の活性を調節することが示されている。カルシニューリンがNF−ATの細胞質サブユニットを脱リン酸化し、それが活性化転写のために核に移動することを可能にする。
【0032】
カルシニューリン阻害剤は既知であり、例えば、米国特許番号6,686,450;6,492,325;6,046,005;5,807,693;5,774,354;5,723,436;および5,629,163;および米国特許出願番号20050008640;20040224876;20040091477;20040033941;20030045679;および20020019344に記載されている。具体例は、シクロスポリンA、タクロリムス、アスコマイシン、ピメクロリムス、シペルメトリン(シクロプロパンカルボン酸、3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチル−,シアノ(3−フェノキシフェニル)メチルエステル)、デルタメトリン(シクロプロパンカルボン酸、3−(2,2−ジブロモエテニル)−2,2−ジメチル−(S)−シアノ(3−フェノキシフェニル)メチルエステル、(1R,3R))、フェンバレレート(ベンゼン酢酸、4−クロロ−α−(1−メチルエチル)−シアノ(3−フェノキシフェニル)メチルエステル)およびボシクロスポリンを含むが、これらに限定されない。
【0033】
カルシニューリン阻害剤は、単独で、少なくとも1種の付加的カルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤または非免疫抑制性誘導体と組み合わせて、および/またはカルシフェロールおよび/またはLMW阻害剤と組み合わせて投与し得る。少なくとも1種のカルシニューリン阻害剤および/またはLMW阻害剤および少なくとも1種のカルシフェロールまたはLMW阻害剤の組み合わせが、先天的免疫系の誘導に対して相乗的効果を有することが驚くべきことに判明した。従って、好ましくは患者にカルシニューリン阻害剤および/またはmTOR阻害剤およびカルシフェロールおよび/またはLMW阻害剤を、好ましくは患者に相乗効果量で(例えば、一緒になった2種の活性化合物の組み合わさった処置効果が、個々に投与したときの2種の活性化合物の効果の合計より大きい)またはカルシフェロールおよび/またはLMW阻害剤を、カルシニューリン阻害剤および/またはLMW阻害剤の活性増増強する量で、これらの活性化合物が投与される疾患または状態の処置において、投与する。
【0034】
mTOR阻害剤は単独で、他のmTOR阻害剤、カルシニューリン阻害剤、または非免疫抑制性誘導体との組み合わせでおよび/または少なくとも1種のカルシフェロールまたはLMW阻害剤との組み合わせで投与できる。m−TOR阻害剤は、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、エベロリムス、7−tert−ブチル−6−(4−クロロ−フェニル)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、SAR943、40−O−アルキル−ラパマイシン誘導体、32−デオキソ−ラパマイシン誘導体および32−ヒドロキシ−ラパマイシン誘導体、例えば32−デオキソラパマイシン、16−O−置換ラパマイシン誘導体、例えば16−ペント−2−イニルオキシ−32−デオキソラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−ラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、40位の酸素基がアシル化されたラパマイシン誘導体、例えば40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシ−メチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシン(CCI779)、40位がヘテロシクリルで置換されたラパマイシン誘導体、例えば40−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT578)、例えばWO9802441またはWO0114387に記載の通りの、いわゆるラパログ、例えばAP23573を含む40−O−ジメチルホスフィニル−ラパマイシン、および、40−O−(2−エトキシ)エチル−ラパマイシンを含む名称バイオリムス(バイオリムスA9)の下に記載の化合物、ならびに名称TAFA−93、AP23464、AP23675またはAP23841の下に記載の化合物を含むが、これらに限定されない。
【0035】
非免疫抑制性誘導体は、米国特許5,514,685に記載の、式IからIII
【化3】

【化4】

および
【化5】

【0036】
〔式中、記号-- -- --は単結合、またはR2aが存在しないとき二重結合を意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシ基を意味し、そしてR1aは水素を意味するか;
またはRおよびR1aは一緒となってオキソを意味し;
およびR1aは一緒となってオキソを意味し;
は、所望により保護されてよいヒドロキシ基を意味するか、またはRと一緒となって、−OC(=O)O−基を形成し、そしてR2aは水素を意味するか、または存在せず;
ここで、記号-- -- --が単結合であるとき、
はR2aと一緒となってまたオキソを意味し;
はメチル、エチル、n−プロピルまたはアリルを意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシを意味するか、またはRと一緒なって−OC(=O)O−基を形成し、そしてR4aは水素を意味するか;
またはRはR4aと一緒となってオキソを意味し;
はアルコキシカルボニルオキシ、ハロゲン、所望により保護されてよいヒドロキシ、低級アルコキシ、アシルオキシまたは基−OC(=X)N(R10)R11を意味するか;
またはR窒素原子と共にR6aを担持する炭素原子に結合している基−OC(=X)N(R'10)−を形成し、ここでXは酸素または硫黄を意味し、R10およびR11は、独立して水素または低級アルキルを意味するか、または窒素原子と一緒になって、所望により窒素または酸素のような第二のヘテロ原子を含んでもよい5または6員環を形成し、そしてR'10は水素または低級アルキルであるか;
またはRはR8aと一緒となってオキシを意味し、ここでRはヒドロキシを意味し;
はヒドロキシを意味し、そしてR6aは水素を意味するか、またはRと一緒になって、上記で定義の基−OC(=X)N(R'10)−を形成するか;
またはRおよびR6aは一緒となってオキソを意味し;
R'は所望により保護されてよいヒドロキシ、低級アルコキシまたはアシルオキシを意味し、そして
R'はヒドロキシを意味するか;
またはR'およびR'は一体となって−OC(=O)O−基を形成し
R”はヒドロキシまたは低級アルコキシを意味し、そしてR”はヒドロキシを意味するか;
またはR”およびR”は一体となって−OC(=O)O−基を形成し
はメトキシまたはヒドロキシを意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシ基、アシルオキシ、イミダゾリルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを意味し、そしてR8aは水素を意味するか;
またはRはヒドロキシを意味し、そしてR8aはRと一緒になってオキシを意味するか;
またはRはR8aと一緒になってオキソを意味し;そして
nは1または2を意味する。〕
の化合物、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩を含むが、これらに限定されない。
【0037】
非免疫抑制性誘導体は1E−(1R,3R,4R)]1R,4S,5R,6S,9R,10E,13S,15S,16R、17S、9S,20S−9−エチル−6,16,20−トリヒドロキシ−4−[2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル)−1−メチルビニル]−15,17−ジメトキシ−5,11,13,19−テトラメチル−3−オキサ−22−アザトリシクロ[18.6.1.0(1,22)]ヘプタコス−10−エン−2,8,21,27−テトラオン(ASD732)を含む。
【0038】
カルシフェロールは、カルシウムホメオスタシス、免疫応答の調節、膵臓B細胞によるインスリン分泌過程の調節、筋肉細胞機能、ならびに上皮および造血組織の分化および増殖の正の調節因子として必須である脂溶性ビタミンであり、そして先天的免疫応答を誘発することが示されている。
【0039】
カルシフェロールは、カルシフェロール、ビタミンDの合成系(ビタミンD2;エルゴカルシフェロール;Deltalin(登録商標))、カルシポトリオール(Daivonex(登録商標);カルシポトリエン)、カルシトリオール(1α,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール;1α,25−ジヒドロキシビタミンD3;Rocaltrol(登録商標))、コレカルシフェロール(ビタミンD3;Trivitan(登録商標))、22,23−ジヒドロエルゴカルシフェロール(ビタミンD4;22,23−ジヒドロビタミンD2)、25−ヒドロキシコレカルシフェロール、25−ヒドロキシエルゴカルシフェロール、マキサカルシトール、ファレカルシトールまたはファレカルシトリオール(ST−630;F6VD3;フロカルシトリオール;Penedrem(登録商標))およびタカルシトール(1α,24R−ジヒドロキシコレカルシフェロール;1α,24R−ジヒドロキシビタミンD3;Bonalfa(登録商標))を含むが、これらに限定されない。
【0040】
本発明の範囲内のLMW阻害剤は、カルシフェロールの代謝を阻害するために機能にs、それにより皮膚におけるカルシフェロールの濃度を増加させ、そして先天的免疫応答を誘発するLMW阻害剤である。
【0041】
LMW阻害剤は、米国特許5,622,982に記載の、式
【化6】

〔式中、Rはフェニル、ナフチル、チエニルまたはピリジル、またはハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、ジ−C−Cアルキルアミノもしくはシアノでモノ置換されたフェニル、ナフチル、チエニルまたはピリジルであり、そして
は水素であるか;または
は水素であり、そして
はピリジルまたは2−(5−クロロ)ピリジルであり;
は水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルキルカルボニル、アミノまたはジ−C−Cアルキルアミノであり;そして
XはCHである。〕
の化合物、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩を含むが、これに限定されない。
【0042】
LMW阻害剤は、具体的にN−[4−(4−クロロフェニル)ベンゾイル]−2−(1H−イミダゾル−1−イル)−2−フェニル−1−アミノエタンならびにその2(S)−および2(R)−エナンチオマーを含む。
【0043】
本発明の他の局面において、タクロリムス、ピメクロリムス、アスコマイシン、ASD732、および/またはシクロスポリンAの少なくとも1種を、少なくとも1種のカルシトロール(calcitrol)、とりわけビタミンDおよび/またはビタミンD3と組み合わせる。
【0044】
本発明の他の局面において、SAB953、SAR943、ラパマイシンおよび/またはRAD001の少なくとも1種を、少なくとも1種のカルシトロール、とりわけビタミンDおよび/またはビタミンD3と組み合わせる。
【0045】
上記の活性化合物は、先天的免疫系応答の増強に、そして微生物に対する先天的免疫応答の刺激が疾患の臨床的顕在化または悪化を予防することが期待される疾患を含む、種々の状態の処置に有用である。このような疾患の非限定的例は:アクネ(プロピオニバクテリウム・アクネス(propione bacterim acnes))、アトピー性皮膚炎(S. aureus)、創傷感染症(例えばMRSA)、ウイルス皮膚感染症(HSV、HPVおよびポックスウイルス)、爪真菌症(T. rubrum、T. mentagrophytes)、口腔咽頭および呼吸器のウイルスおよび細菌感染症(例えばRSVおよびマイコプラズマ)、尿管感染症(例えばクラミジア)および病原細菌またはウイルスを介したGI管の感染症(例えばRotavirus)を含むがmこれらに限定されない。
【0046】
本活性化合物はまた、とりわけアトピー患者における、真菌、ウイルス、細菌、または癌シグナル細胞のような微生物抗原に対する上皮の先天的免疫系の欠損/障害に関連する上皮の疾患の処置にも有用である。このような疾患の非限定的例は、癌、とりわけ皮膚癌、角化上皮(cornefied epithelia)様皮膚および付属器(adnexes)(例えばアトピー性皮膚炎、乾癬、爪床およびプレート(plate))、粘膜上皮表面様口腔、食道胃(gastrum)および腸(例えば歯肉炎、口腔咽頭炎、炎症性腸疾患、クローン病)、呼吸器(鼻、気管、および気管支上皮)、尿生殖器管(再発性膣炎(大腸菌)、尿道炎)、および眼(結膜)を含むが、これらに限定されない。
【0047】
上記活性化合物は、既知の技術に従い、医薬担体中で投与するために製剤できる。例えば、Remington, The Science and Practice of Pharmacy(9th Ed. 1995)参照。本発明の医薬製剤の製造において、活性化合物(生理学的に許容されるその塩を含む)を、典型的に、例えば、薬学的に許容される担体と混合する。本医薬製剤は、例えば、製剤重量の約0.0001%から100%、好ましくは約0.01%から約80%の活性化合物を含み得る。1種以上の活性化合物を本発明の製剤中に包含でき、それは、所望により1種以上の付属成分を含む、成分の混合物含む薬学の既知の技術のいずれかにより製造できる。
【0048】
本発明の製剤は経口、直腸、局所、バッカル(例えば、舌下)、膣、非経腸(例えば、皮下、筋肉内、皮内、または静脈内)、局所(すなわち、気道表面を含み、皮膚および粘膜両方の表面)および経皮投与に適するものを含むが、ある例おける最も適切な経路は処置する状態の性質および重症度ならびに使用する特定の活性化合物の性質に依存する。
【0049】
経口投与に適する製剤は、各々予定された量の活性化合物を含む、カプセル、カシェ、ロゼンジ、または錠剤のような別々の単位で;粉末または顆粒として;水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として;または水中油型または油中水型エマルジョンとして提供できる。これらはそれ自体既知の方法で、例えば慣用の混合、造粒、コーティング、溶解または凍結乾燥工程を使用して製造する。一般に、本発明の製剤は、活性化合物と液体または微粉砕固体担体、または両方と均一にそして完全に混合し、次いで、必要であれば、得られる混合物を、形を整えることにより製造する。例えば、錠剤は、活性化合物を含む粉末または顆粒を、所望により1種以上の補助成分と共に圧縮または鋳造することにより製造でいる。圧縮錠剤は、所望により結合剤、滑剤、不活性希釈剤、および/または界面活性/分散剤と混合した、粉末または顆粒のような自由に流動する形の化合物を、適当な機械中で圧縮することにより製造できる。鋳造錠剤は、不活性液体結合剤で湿らせた粉砕した化合物を、適当な機械中で鋳造することにより製造できる。
【0050】
バッカル(舌下)投与に適する製剤は、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントのような香味付けされた基剤中に活性化合物を含むロゼンジ;およびゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアのような不活性基剤中に化合物を含む香錠を含む。
【0051】
非経腸投与に適する本発明の製剤は、活性化合物の滅菌水性および非水性注射溶液を含み、その製剤は好ましくは意図されるレシピエントの血液と等張である。これらの製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含み得る。水性および非水性滅菌懸濁液は懸濁化剤および濃化剤を含み得る。本製剤は単位投与量でまたは多回用量容器で、例えば密封アンプルおよびバイアルで提供され、使用直前に滅菌液体担体、例えば、食塩水または注射用水の添加のみを必要とするフリーズ・ドライ(凍結乾燥)条件で貯蔵できる。即時の注射溶液および懸濁液を先に記載の種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から製造できる。例えば、本発明の一つの局面において、密封容器中の上記の活性化合物を含む注射可能な、安定な、滅菌組成物組成物が提供される。化合物または塩は、適当な薬学的に許容される担体で再構成されて、患者への注射に適当な液体組成物を形成する凍結乾燥物の形で提供される。化合物または塩が実質的に水不溶性であるとき、生理学的に許容される十分量の乳化剤を、水性担体中に化合物または塩を乳化させるのに十分な量で用い得る。一つのこのような有用な乳化剤はホスファチジルコリンである。
【0052】
直腸投与に適当な製剤は、好ましくは単位投与量坐薬として提供される。これらは、活性化合物と1種以上の慣用の固体担体、例えば、カカオ脂を混合し、次いで得られる混合物の形を整えることにより、製造できる。
【0053】
皮膚への局所投与に適当な製剤は、好ましくは軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ジェル、スプレー、エアロゾル、または油状物の形を取る。使用できる担体の例は、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮促進剤、およびそれらの2種以上の組み合わせを含む。
【0054】
経皮投与に適当な製剤は、長時間レシピエントの皮膚上に密接に接触したままでであるのに適する、不連続のパッチとして提供し得る。経皮投与に適当な製剤はまたイオン泳動(例えば、Pharmaceutical Research 3(6):318(1986)参照)により送達でき、典型的に、活性化合物の所望により干渉化された水性溶液の形を取る。
【0055】
さらに、本発明は、ここに記載の化合物およびその塩のリポソーム製剤を提供する。リポソーム懸濁液を形成する技術は、当分野で既知である。化合物またはその塩が水溶性であるとき、慣用のリポソーム技術を使用して、それを脂質小胞中に取り込み得る。このような場合、化合物または塩の水溶性のために、本組成物または塩は本リポソームの親水性中心またはコア内に実質的に入る。用いる脂質層は任意の慣用の組成であり得て、そしてコレステロールを含んでも、無コレステロールでもよい。目的の化合物または塩が水不溶性であるとき、同様に慣用のリポソーム形成技術を使用して、これをリポソームの構造を形成する疎水性脂質バリア内に実質的に挿入できる。いずれの場合も、製造されたリポソームは、標準超音波およびホモジネーション技術の使用を介して、サイズを縮小できる。
【0056】
もちろん、ここに記載の化合物またはその塩を含むリポソーム製剤を凍結乾燥して凍結乾燥物を製造でき、それは、水のような薬学的に許容される担体で再構成して、リポソーム懸濁液を再生できる。
【0057】
水性ベースのエマルジョンのような他の医薬組成物を、ここに記載の水不溶性化合物またはその塩から製造できる。このような場合、本組成物は、化合物またはその塩の所望量を乳化するために十分量の薬学的に許容される乳化剤を含む。特に有用な乳化剤はホスファチジルコリン、およびレシチンを含む。
【0058】
ここに記載の活性化合物に加えて、本医薬組成物は、pH調節添加剤のような他の添加剤を含み得る。特に、有用なpH調節剤は、塩酸のような酸、塩基、または乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、またはグルコン酸ナトリウムのような緩衝剤を含む。さらに、本組成物は微生物用防腐剤を含み得る。有用な微生物用防腐剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびベンジルアルコールを含む。本微生物用防腐剤は、製剤を多回用量用に設計したバイアルに入れるときに、典型的に用いる。もちろん、示す通り、本発明の医薬組成物を当分野で既知の技術を使用して凍結乾燥できる。
【0059】
上記の通り、本発明は、経口、直腸、局所、バッカル、非経腸、筋肉内、皮内、または静脈内、および経皮投与のための薬学的に許容される担体中に活性化合物(その薬学的に許容される塩を含む)を含む、医薬製剤を提供する。
【0060】
何らかの具体的化合物(その使用は本発明の範囲内である)の治療的有効量は、化合物毎に、および患者毎に幾分異なり、そして患者の状態および送達経路に依存する。一般的案として、約0.0001または1から約50または100mg/kgの各活性化合物を使用でき、全重量は、塩を用いる場合も含み、活性化合物の重量に基づき計算している。約1.0ug/kgから約50または100mg/kgの各活性化合物の投与量を経口投与のために使用できる。典型的に、約0.5ug/kgから5または10mg/kgの各活性化合物の投与量を筋肉内注射のために使用できる。
【0061】
これらの適応症についで、適当な投与量は、もちろん、例えば、宿主、投与形態ならびに処置する状態の性質および重症度に依存して変化する。
【0062】
本発明を、以下の非限定的実施例によりさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0063】
細菌に対する表皮の先天的免疫応答へのピメクロリムスの影響を評価するために、正常ヒトケラチン生成細胞(NHEK)の培養を、10nM濃度のピメクロリムス、1nM 1.25D3(活性1.25 D−ヒドロキシカルシフェロール)またはそれらの組み合わせで刺激する。細胞を氷浴中20分の超音波処理により溶解し、その後細胞溶解物をStaphylococcus aureus ΔmprF培養と混合し、37℃でインキュベートした。細菌の経時的増殖をOD600によりモニターする(表1)ピメクロリムスがStaphylococcus aureus ΔmprFを殺すことができるかどうかを決定するために、10nM濃度のピメクロリムスをStaphylococcus aureus ΔmprF培養と共インキュベートし、37℃でインキュベートする(表2)。細菌の増殖をOD600によりモニターする(:p<0.05;**:p<0.01;ステューデントのt検定)。結果を以下の表に詳述する。
【0064】
【表1】

【表2】

【表3】

【0065】
これは、ピメクロリムスが、ケラチン生成細胞がStaphylococcus aureus ΔmprFを殺す能力を高めることを証明する。さらに、ピメクロリムスと1.25 D3の組み合わせは、ピメクロリムス単独よりも高い抗微生物効果を有する。
【0066】
【表4】

これは、ピメクロリムスがそれ自体では抗微生物効果を有しないことを証明する。
【実施例2】
【0067】
表皮の先天的免疫応答に対するピメクロリムスの効果を評価するために、正常ヒトケラチン生成細胞(NHEK)の培養を10nM濃度のピメクロリムス、1mg/ml TLR 2/CD14リガンド−ペプチドグリカン(PGN)、10mg/mlリポタイコ酸(LTA)、2 0.1mg/ml TLR 2/6リガンド−Malp−、および/または0.1mg/ml TLR 4/CD14リガンド−リポポリサッカライド(LPS)の組み合わせで刺激する。正常ヒトケラチン生成細胞におけるカセリシジンmRNA(表3)の発現およびタンパク質ならびにヒト・ベータ・デフェンシン(HBD)2(表4)およびHBD3(表5)発現を測定する。結果を以下の表に詳述する。
【0068】
【表5】

【表6】

【表7】

【0069】
これは、ピメクロリムスが、正常ヒトケラチン生成細胞においてToll 2/6リガンドMalp−2の存在下抗微生物遺伝子の転写物およびタンパク質存在量を増加させることを証明する。
【実施例3】
【0070】
表皮の先天的免疫応答に対するピメクロリムスの効果を評価するために、正常ヒトケラチン生成細胞(NHEK)の培養を10nM濃度のピメクロリムスおよび1nM濃度の1.25D3の組み合わせで刺激する。TLR1、TLR2、TLR4、TLR6およびCD14の遺伝子発現をqPCRにより評価する。CD14タンパク質発現について、ウェスタン・ブロットを行い、バンドをImageJを使用して濃度計により定量する。媒体処置ケラチン生成細胞は対照として働く。カセリシジンタンパク質発現を免疫蛍光染色により評価する。mRNA発現の結果を以下の表に示す。
【0071】
【表8】

【表9】

n.d.=検出不可能
【実施例4】
【0072】
表皮の先天的免疫応答に対するピメクロリムスの効果を評価するために、正常ヒトケラチン生成細胞(NHEK)の培養を10nM濃度のピメクロリムス、1nM 1.25 D3、0.1mg/ml TLR2/6リガンドMalp−2またはそれらの組み合わせで刺激する。上記2に詳述した方法に従い、実施例2カセリシジン、CD14およびTLR2 mRNA正常ヒトケラチン生成細胞発現を測定し、評価する。結果を以下の表に詳述する。
【0073】
【表10】

【表11】

【表12】

【0074】
組み合わせて、これは、ピメクロリムスが、低用量1,25D3およびMalp−2存在下で同時にCD14およびTLR2を増加させながら、カセリシジン転写物存在量を増加させることを証明する。
【実施例5】
【0075】
表皮の先天的免疫応答に対するピメクロリムスの効果を評価するために、正常ヒトケラチン生成細胞(NHEK)の培養を10nM濃度のピメクロリムス、1uM タクロリムス、1ug/ml CsA、25ng/ml ラパマイシン、またはピメクロリムスとラパマイシンの組み合わせで、各々0.1mg/ml TLR2/6リガンドMalp−2有りまたは無しで刺激する。カセリシジンmRNA発現を評価する。結果を以下の表に示す。
【0076】
【表13】

【表14】

【実施例6】
【0077】
表皮の先天的免疫応答に対するピメクロリムスの時間依存的効果を評価するために、正常ヒトケラチン生成細胞(NHEK)の培養を10nM ピメクロリムスおよび低用量カルシフェロール(1,25D3)1nMで異なる時間刺激する。カセリシジン、CD14およびTLR2のmRNA発現をqPCRにより分析する。結果を以下の表に示す。
【0078】
【表15】

【表16】

【表17】

【0079】
これは、NHEKのピメクロリムスおよび低用量カルシフェロール(1,25D3 1nM)に対する応答が、予測されない時間依存的応答を示すことを証明する。特に、カセリシジンmRNA発現は、ピメクロリムスでおよび1,25D3で処置24時間後にピークになるが、8時間または48時間後はほとんど影響を受けない。予測されないことに、1,25D3誘発CD14 mRNA発現は、処置8時間後にピメクロリムスにより抑制されるが、24時間後にピメクロリムスにより増強される。CD14で見られたのと同様の結果が、またTLR2発現でも見られる。これらの結果は、ピメクロリムスが、時間に依存して先天的免疫遺伝子に2相性の効果を有することを示す。
【実施例7】
【0080】
表皮の先天的免疫応答に対する種々の濃度のピメクロリムスの効果を評価するために、正常ヒトケラチン生成細胞(NHEK)の培養を0nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、40nMおよび60nM濃度のピメクロリムスで刺激する。上記実施例2に詳述の通り、カセリシジンmRNAの発現を測定し、評価する。結果を以下の表に詳述する。
【表18】

これは、NHEKのピメクロリムスに対する応答が、予期しないベル型曲線の用量応答を示すことを証明する。特に、カセリシジンmRNA発現は20nM濃度でピークであり、その濃度より少ないおよび多い両方で、低い発現レベルである。
【実施例8】
【0081】
表皮の先天的免疫応答に対する種々の濃度のピメクロリムスにおける、カルシフェロールの効果を評価するために、正常ヒトケラチン生成細胞(NHEK)の培養を0.01nM、0.1nM、1nMおよび10nM濃度のピメクロリムスで、1nM濃度のカルシフェロール有りまたは無しで24時間刺激する。上記実施例2に詳述の通り、カセリシジンmRNAの発現およびTLR2の遺伝子発現を測定し、評価する。結果を以下の表に詳述する。
【0082】
【表19】

【表20】

【0083】
これは、1nMおよび10nM濃度のピメクロリムスで、NHEKカセリシジンmRNA発現の応答が、カルシフェロールと組み合わせてピメクロリムスに暴露したとき、ピメクロリムス単独よりも2倍以上増加することを証明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における疾患(ここで、先天的免疫応答の増強が該疾患を処置できる)の処置方法であって、該患者に治療的有効量の:
(a)少なくとも1種のカルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤または非免疫抑制性誘導体、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩;および
(b)所望により、少なくとも1種のカルシフェロールまたはLMW阻害剤、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩
を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項2】
カルシニューリン阻害剤がタクロリムス、ピメクロリムス、アスコマイシン、シクロスポリンA、タクロリムス、シペルメトリン、デルタメトリン、フェンバレレート、ボシクロスポリン(vocyclosporin)ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
mTOR阻害剤がラパマイシン、ラパマイシン誘導体、エベロリムス、7−tert−ブチル−6−(4−クロロ−フェニル)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、SAR943、40−O−アルキル−ラパマイシン誘導体、32−デオキソ−ラパマイシン誘導体、32−ヒドロキシ−ラパマイシン誘導体、32−デオキソラパマイシン、16−O−置換ラパマイシン誘導体、16−ペント−2−イニルオキシ−32−デオキソラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−ラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、40位の酸素基がアシル化されたラパマイシン誘導体、40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシ−メチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシン、40位がヘテロシクリルで置換されたラパマイシン誘導体、40−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン、ラパログ(rapalog)、40−O−ジメチルホスフィニル−ラパマイシン、AP23573、バイオリムス、40−O−(2−エトキシ)エチル−ラパマイシン、TAFA−93、AP23464、AP23675、AP23841、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
免疫抑制性誘導体が、式IからIII
【化1】

〔式中、記号-- -- --は単結合、またはR2aが存在しないとき二重結合を意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシ基を意味し、そしてR1aは水素を意味するか;
またはRおよびR1aは一緒となってオキソを意味し;
は、所望により保護されてよいヒドロキシ基を意味するか、またはRと一緒となって、−OC(=O)O−基を形成し、そしてR2aは水素を意味するか、または存在せず;
ここで、記号-- -- --が単結合であるとき、
はR2aと一緒となってまたオキソを意味し;
はメチル、エチル、n−プロピルまたはアリルを意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシを意味するか、またはRと一緒なって−OC(=O)O−基を形成し、そしてR4aは水素を意味するか;
またはRはR4aと一緒となってオキソを意味し;
はアルコキシカルボニルオキシ、ハロゲン、所望により保護されてよいヒドロキシ、低級アルコキシ、アシルオキシまたは基−OC(=X)N(R10)R11を意味するか;
またはRはR6aとなって、窒素原子と共にR6aを担持する炭素原子に結合している基−OC(=X)N(R'10)−を形成し、ここで、Xは酸素または硫黄を意味し、R10およびR11は、独立して水素または低級アルキルを意味するか、または窒素原子と一緒になって、所望により窒素または酸素のような第二のヘテロ原子を含んでもよい5または6員環を形成し、そしてR'10は水素または低級アルキルであるか;
またはRはR8aと一緒となってオキシを意味し、ここでRはヒドロキシを意味し;
はヒドロキシを意味し、そしてR6aは水素を意味するか、またはRと一緒になって、上記で定義の基−OC(=X)N(R'10)−を形成するか;
またはRおよびR6aは一緒となってオキソを意味し;
R'は所望により保護されてよいヒドロキシ、低級アルコキシまたはアシルオキシを意味し、そして
R'はヒドロキシを意味するか;
またはR'およびR'は一体となって−OC(=O)O−基を形成し;
R”はヒドロキシまたは低級アルコキシを意味し、そしてR”はヒドロキシを意味するか;
またはR”およびR”は一体となって−OC(=O)O−基を形成し、
はメトキシまたはヒドロキシを意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシ基、アシルオキシ、イミダゾリルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを意味し、そしてR8aは水素を意味するか;
またはRはヒドロキシを意味し、そしてR8aはRと一緒になってオキシを意味するか;
またはRはR8aと一緒になってオキソを意味し;そして
nは1または2を意味する。〕
の化合物、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
カルシフェロールがカルシフェロール、カルシポトリオール、カルシトリオール、コレカルシフェロール、22,23−ジヒドロエルゴカルシフェロール、25−ヒドロキシコレカルシフェロール、25−ヒドロキシエルゴカルシフェロール、マキサカルシトール、ファレカルシトール、ファレカルシトリオールおよびタカルシトール、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
LMW阻害剤が式
【化2】

〔式中、Rはフェニル、ナフチル、チエニルまたはピリジル、またはハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、ジ−C−Cアルキルアミノもしくはシアノでモノ置換されたフェニル、ナフチル、チエニルまたはピリジルであり、そして
は水素であるか;または
は水素であり、そして
はピリジルまたは2−(5−クロロ)ピリジルであり;
は水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルキルカルボニル、アミノまたはジ−C−Cアルキルアミノであり;そして
XはCHである。〕
の化合物、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
疾患がアクネ、アトピー性皮膚炎、創傷感染症、MRSA、ウイルス皮膚感染症、HSV、HPV、ポックスウイルス、爪真菌症、口腔咽頭および呼吸器のウイルスおよび細菌感染症、RSV、マイコプラズマ、尿管の感染症、クラミジア、GI管のウイルスおよび細菌感染症、乾癬、接触性皮膚炎、湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、紅斑性狼瘡、円形脱毛症、角化上皮(cornefied epithelia)、歯肉炎、口腔咽頭炎(oro-pharyngitis)、炎症性腸疾患、クローン病、再発性膣炎(大腸菌)、尿道炎、および結膜から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
患者における先天的免疫応答を増強するための医薬組成物であって、治療的有効量の:
(a)少なくとも1種のカルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤または非免疫抑制性誘導体、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩;および
(b)所望により、少なくとも1種のカルシフェロールまたはLMW阻害剤、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩
を含む、医薬組成物。
【請求項9】
カルシニューリン阻害剤がタクロリムス、ピメクロリムス、アスコマイシン、シクロスポリンA、タクロリムス、シペルメトリン、デルタメトリン、フェンバレレート、ボシクロスポリン、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
mTOR阻害剤がラパマイシン、ラパマイシン誘導体、エベロリムス、7−tert−ブチル−6−(4−クロロ−フェニル)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、SAR943、40−O−アルキル−ラパマイシン誘導体、32−デオキソ−ラパマイシン誘導体、32−ヒドロキシ−ラパマイシン誘導体、32−デオキソラパマイシン、16−O−置換ラパマイシン誘導体、16−ペント−2−イニルオキシ−32−デオキソラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−ラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、40位の酸素基がアシル化されたラパマイシン誘導体、40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシ−メチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシン、40位がヘテロシクリルで置換されたラパマイシン誘導体、40−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン、ラパログ、40−O−ジメチルホスフィニル−ラパマイシン、AP23573、バイオリムス、40−O−(2−エトキシ)エチル−ラパマイシン、TAFA−93、AP23464、AP23675、AP23841、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項11】
免疫抑制性誘導体が式IからIII
【化3】

〔式中、記号-- -- --は単結合、またはR2aが存在しないとき二重結合を意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシ基を意味し、そしてR1aは水素を意味するか;
またはRおよびR1aは一緒となってオキソを意味し;
およびR1aは一緒となってオキソを意味し;
は、所望により保護されてよいヒドロキシ基を意味するか、またはRと一緒となって、−OC(=O)O−基を形成し、そしてR2aは水素を意味するか、または存在せず;
ここで、記号-- -- --が単結合であるとき、
はR2aと一緒となってまたオキソを意味し;
はメチル、エチル、n−プロピルまたはアリルを意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシを意味するか、またはRと一緒なって−OC(=O)O−基を形成し、そしてR4aは水素を意味するか;
またはRはR4aと一緒となってオキソを意味し;
はアルコキシカルボニルオキシ、ハロゲン、所望により保護されてよいヒドロキシ、低級アルコキシ、アシルオキシまたは基−OC(=X)N(R10)R11を意味するか;
またはR窒素原子と共にR6aを担持する炭素原子に結合している基−OC(=X)N(R'10)−を形成し、ここでXは酸素または硫黄を意味し、R10およびR11は、独立して水素または低級アルキルを意味するか、または窒素原子と一緒になって、所望により窒素または酸素のような第二のヘテロ原子を含んでもよい5または6員環を形成し、そしてR'10は水素または低級アルキルであるか;
またはRはR8aと一緒となってオキシを意味し、ここでRはヒドロキシを意味し;
はヒドロキシを意味し、そしてR6aは水素を意味するか、またはRと一緒になって、上記で定義の基−OC(=X)N(R'10)−を形成するか;
またはRおよびR6aは一緒となってオキソを意味し;
R'は所望により保護されてよいヒドロキシ、低級アルコキシまたはアシルオキシを意味し、そして
R'はヒドロキシを意味するか;
またはR'およびR'は一体となって−OC(=O)O−基を形成し
R”はヒドロキシまたは低級アルコキシを意味し、そしてR”はヒドロキシを意味するか;
またはR”およびR”は一体となって−OC(=O)O−基を形成し
はメトキシまたはヒドロキシを意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシ基、アシルオキシ、イミダゾリルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを意味し、そしてR8aは水素を意味するか;
またはRはヒドロキシを意味し、そしてR8aはRと一緒になってオキシを意味するか;
またはRはR8aと一緒になってオキソを意味し;そして
nは1または2を意味する。〕
の化合物、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩である、請求項8記載の組成物。
【請求項12】
カルシフェリン(calciferin)がカルシフェロール、カルシポトリオール、カルシトリオール、コレカルシフェロール、22,23−ジヒドロエルゴカルシフェロール、25−ヒドロキシコレカルシフェロール、25−ヒドロキシエルゴカルシフェロール、マキサカルシトール、ファレカルシトール、ファレカルシトリオールおよびタカルシトール、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項13】
LMW阻害剤が式
【化4】

〔式中、Rはフェニル、ナフチル、チエニルまたはピリジル、またはハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、ジ−C−Cアルキルアミノもしくはシアノでモノ置換されたフェニル、ナフチル、チエニルまたはピリジルであり、そして
は水素であるか;または
は水素であり、そして
はピリジルまたは2−(5−クロロ)ピリジルであり;
は水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルキルカルボニル、アミノまたはジ−C−Cアルキルアミノであり;そして
XはCHである。〕
の化合物、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩である、請求項8記載の組成物。
【請求項14】
患者における先天的免疫応答を増強する方法であって、該患者に治療的有効量の
(a)少なくとも1種のカルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤または非免疫抑制性誘導体、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩;および
(b)所望により、少なくとも1種のカルシフェロールまたはLMW阻害剤、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩
を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項15】
カルシニューリン阻害剤がタクロリムス、ピメクロリムス、アスコマイシン、シクロスポリンA、タクロリムス、シペルメトリン、デルタメトリン、フェンバレレート、ボシクロスポリン、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
mTOR阻害剤がラパマイシン、ラパマイシン誘導体、エベロリムス、7−tert−ブチル−6−(4−クロロ−フェニル)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、SAR943、40−O−アルキル−ラパマイシン誘導体、32−デオキソ−ラパマイシン誘導体、32−ヒドロキシ−ラパマイシン誘導体、32−デオキソラパマイシン、16−O−置換ラパマイシン誘導体、16−ペント−2−イニルオキシ−32−デオキソラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−ラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、40位の酸素基がアシル化されたラパマイシン誘導体、40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシ−メチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシン、40位がヘテロシクリルで置換されたラパマイシン誘導体、40−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン、ラパログ(rapalog)、40−O−ジメチルホスフィニル−ラパマイシン、AP23573、バイオリムス、40−O−(2−エトキシ)エチル−ラパマイシン、TAFA−93、AP23464、AP23675、AP23841、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
免疫抑制性誘導体が式IからIII
【化5】

〔式中、記号-- -- --は単結合、またはR2aが存在しないとき二重結合を意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシ基を意味し、そしてR1aは水素を意味するか;
またはRおよびR1aは一緒となってオキソを意味し;
およびR1aは一緒となってオキソを意味し;
は、所望により保護されてよいヒドロキシ基を意味するか、またはRと一緒となって、−OC(=O)O−基を形成し、そしてR2aは水素を意味するか、または存在せず;
ここで、記号-- -- --が単結合であるとき、
はR2aと一緒となってまたオキソを意味し;
はメチル、エチル、n−プロピルまたはアリルを意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシを意味するか、またはRと一緒なって−OC(=O)O−基を形成し、そしてR4aは水素を意味するか;
またはRはR4aと一緒となってオキソを意味し;
はアルコキシカルボニルオキシ、ハロゲン、所望により保護されてよいヒドロキシ、低級アルコキシ、アシルオキシまたは基−OC(=X)N(R10)R11を意味するか;
またはR窒素原子と共にR6aを担持する炭素原子に結合している基−OC(=X)N(R'10)−を形成し、ここでXは酸素または硫黄を意味し、R10およびR11は、独立して水素または低級アルキルを意味するか、または窒素原子と一緒になって、所望により窒素または酸素のような第二のヘテロ原子を含んでもよい5または6員環を形成し、そしてR'10は水素または低級アルキルであるか;
またはRはR8aと一緒となってオキシを意味し、ここでRはヒドロキシを意味し;
はヒドロキシを意味し、そしてR6aは水素を意味するか、またはRと一緒になって、上記で定義の基−OC(=X)N(R'10)−を形成するか;
またはRおよびR6aは一緒となってオキソを意味し;
R'は所望により保護されてよいヒドロキシ、低級アルコキシまたはアシルオキシを意味し、そして
R'はヒドロキシを意味するか;
またはR'およびR'は一体となって−OC(=O)O−基を形成し
R”はヒドロキシまたは低級アルコキシを意味し、そしてR”はヒドロキシを意味するか;
またはR”およびR”は一体となって−OC(=O)O−基を形成し
はメトキシまたはヒドロキシを意味し;
は所望により保護されてよいヒドロキシ基、アシルオキシ、イミダゾリルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを意味し、そしてR8aは水素を意味するか;
またはRはヒドロキシを意味し、そしてR8aはRと一緒になってオキシを意味するか;
またはRはR8aと一緒になってオキソを意味し;そして
nは1または2を意味する。〕
の化合物、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩である、請求項14記載の方法。
【請求項18】
カルシフェロールがカルシフェロール、カルシポトリオール、カルシトリオール、コレカルシフェロール、22,23−ジヒドロエルゴカルシフェロール、25−ヒドロキシコレカルシフェロール、25−ヒドロキシエルゴカルシフェロール、マキサカルシトール、ファレカルシトール、ファレカルシトリオールおよびタカルシトール、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項14記載の方法。
【請求項19】
LMW阻害剤が式
【化6】

〔式中、Rはフェニル、ナフチル、チエニルまたはピリジル、またはハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、ジ−C−Cアルキルアミノもしくはシアノでモノ置換されたフェニル、ナフチル、チエニルまたはピリジルであり、そして
は水素であるか;または
は水素であり、そして
はピリジルまたは2−(5−クロロ)ピリジルであり;
は水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルキルカルボニル、アミノまたはジ−C−Cアルキルアミノであり;そして
XはCHである。〕
の化合物、ならびにそれらの誘導体、異性体および薬学的に許容される塩である、請求項14記載の方法。
【請求項20】
疾患がアクネ、アトピー性皮膚炎、創傷感染症、MRSA、ウイルス皮膚感染症、HSV、HPV、ポックスウイルス、爪真菌症、口腔咽頭および呼吸器のウイルスおよび細菌感染症、RSV、マイコプラズマ、尿管の感染症、クラミジア、GI管のウイルスおよび細菌感染症、乾癬、接触性皮膚炎、湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、紅斑性狼瘡、円形脱毛症、角化上皮(cornefied epithelia)、歯肉炎、口腔咽頭炎、炎症性腸疾患、クローン病、再発性膣炎(大腸菌)、尿道炎、および結膜から成る群から選択される、請求項14記載の方法。
【請求項21】
患者の先天的免疫応答の刺激用薬剤の製造のための、治療的有効量の:
(a)少なくとも1種のカルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤または非免疫抑制性誘導体、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩;および
(b)所望により、少なくとも1種のカルシフェロールまたはLMW阻害剤、またはそれらの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩;
の使用。

【公開番号】特開2009−84231(P2009−84231A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−257673(P2007−257673)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年4月発行の「Journal of Investigative Dermatology第127巻S1号」に発表
【出願人】(507326272)
【氏名又は名称原語表記】Anton STUETZ
【出願人】(507326283)
【氏名又は名称原語表記】Richard GALLO
【出願人】(507326331)
【氏名又は名称原語表記】Thomas HULTSCH
【Fターム(参考)】