説明

光および時間弁別を使用してアークフラッシュ事象を検出するための方法、システム、および装置

【課題】ニュイサンスの検出を低減する際に使用するアークフラッシュ検出システムを提供する。
【解決手段】電力機器保護システムは、ブレーカ204、回路内を流れる電流を測定するように構成された電流センサ102、光事象を検出するように構成された光センサ104、および当該電流センサ102と当該光センサ104とに通信可能に結合されたコントローラ106を備え、当該コントローラ106は、光事象が当該ブレーカ204の動作によって生じたものかどうかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明されている実施形態は、一般に、アークフラッシュの検出および軽減に関するものであり、より具体的には、ニュイサンスの検出を低減する際に使用するアークフラッシュ検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の電力回路および開閉装置は、一般に、空気、または気体もしくは固体の誘電体などの絶縁材によって分離された導体を備える。しかし、導体の配置が密集しすぎる場合、または導体間の電圧が導体間の絶縁材の絶縁特性を超える場合に、アークが発生する可能性がある。導体間の絶縁材は電離する場合があり、これにより絶縁材が導電性を持ち、アーク形成が可能になる。
【0003】
アークフラッシュは、2つの相導体間、相導体と中性導体との間、または相導体とグランド点との間の障害により急速なエネルギー放出が生じることによって引き起こされる。アークフラッシュ温度は20,000℃以上に達し、この温度では導体および隣接する機器が蒸発する可能性がある。さらに、アークフラッシュは、多量のエネルギーを熱、強い光、圧力波、および/または音波の形で放出するため、導体および隣接する機器を損傷する可能性が十分にある。しかし、アークフラッシュを発生する故障の電流レベルは、一般的に、短絡の電流レベルより小さく、そのため、ブレーカは、故障状態に対処できるように特に設計されていない限り、一般的には、トリップしないか、または遅延トリップを示す。個人用の防護服および機器の使用を義務付けることによってアークフラッシュ問題を規制する機関や標準が存在するが、アークフラッシュを排除する規制によって確立されたデバイスはない。
【0004】
ヒューズおよびブレーカなどの標準的な回路保護デバイスは、一般的に、アークフラッシュを軽減するほどには十分に速く反応しない。十分に速い応答速度を持つ周知の回路保護デバイスの1つは、電気的な「クローバ」であり、これは、意図的に「短絡回路」を形成して電気エネルギーをアークフラッシュポイントから逸らすことによる機械的および/または電気機械的プロセスを利用するものである。この後、このような意図的な短絡故障は、ヒューズまたはブレーカをトリップすることによってクリアされる。しかし、クローバを使用して発生させた意図的な短絡故障では、かなり大きな電流を隣接する電気機器に流す可能性があり、これによりなお機器を損傷する可能性がある。
【0005】
光センサを使用して、アークフラッシュ発生時に放出される光の存在を検出することができる。しかし、そのようなセンサは、多くの場合、低レベルの光に対して敏感であり、そのため、アークフラッシュでない光も検出し、回路保護デバイスの「ニュイサンストリップ」をトリガする。例えば、典型的なアークフラッシュ事象では、アークフラッシュ事象の位置から3から4フィートの距離のところで100,000ルクス程度の光束の光を発生することができるが、周知の光センサは、一般的に、700ルクス以下で飽和する。トリップ時にブレーカによって、空間照明によって、または直射日光によって放出される光は、光センサによるアークフラッシュ事象の誤検出を引き起こす可能性がある。少なくともいくつかの周知のアークフラッシュ検出システムは、ブレーカ遮断時に放出される光が、例えば、光センサを十分に飽和させないように位置決めされた特定のベンティングパターンまたは光センサを使用する。しかし、ブレーカ遮断時に放出される光の量を減らすと、ブレーカの性能にマイナスの影響を及ぼす可能性がある。そこで、アークフラッシュ事象を確実に検出し、回路保護デバイスの望ましくないニュイサンストリップを軽減するアークフラッシュ検出システムが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,646,575号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、ブレーカを操作する方法は、光センサを使用して光事象を検出することと光事象がブレーカの動作によって生じたものかどうかを判定することとを含む。
【0008】
他の態様では、電力機器保護システムは、ブレーカ、回路内を流れる電流を測定するように構成された電流センサ、光事象を検出するように構成された光センサ、および電流センサと光センサとに通信可能に結合されたコントローラを備え、このコントローラは、光事象がブレーカの動作によって生じたものかどうかを判定するように構成される。
【0009】
他の態様では、コントローラは、電力機器保護システムとともに使用することを目的として備えられる。コントローラは、電流センサで測定した電流レベルを表す信号を受信し、光センサから光事象の検出結果を表す信号を受信し、光事象がブレーカの動作によって生じたものかどうかを判定するように構成されたプロセッサを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】例示的なアークフラッシュ検出デバイスの略ブロック図である。
【図2】図1に示されているアークフラッシュ検出デバイスを備える例示的な電力機器保護システムの略ブロック図である。
【図3】図2に示されている電力機器保護システムを収納する閉鎖型機器筐体の略図である。
【図4】図2に示されている電力機器保護システムを収納する閉鎖型機器筐体の略図である。
【図5】図1に示されているアークフラッシュ検出デバイスとともに使用することができるブレーカのトリップの電流とタイミングとの間の関係を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書ではアークフラッシュ事象の検出および軽減に使用する方法、システム、および装置の例示的な実施形態について説明する。本明細書で説明される実施形態を利用すれば、ブレーカによる周知のトリップ時間内に発生する光事象を弁別することによって電流および光を使用する配電機器筐体内のアークフラッシュ事象をより確実に検出することが円滑になされる。
【0012】
本明細書で説明されている方法、システム、および装置の例示的な技術的効果により、アークフラッシュ事象のより確実な検出を行って、そのような事象に関連するエネルギーが自給式アークフラッシュ封じ込めデバイスに回されるようにできる。アークフラッシュ事象では、回路を通る電流が急上昇し、光エネルギーは典型的にはほとんど即座に放出される。このような電流の急上昇を軽減するためにブレーカが使用される場合、回路内で電流レベルが所定の時間にわたって持続した後、ブレーカが回路遮断を開始し、光エネルギーを放出する。本明細書で説明されている実施形態は、電流上昇が最初に検出されたときに、また所定の期間が過ぎても光が検出されない場合、二次的アルゴリズムを使用して、ブレーカが回路遮断を開始しているかどうか、またはアークフラッシュ事象が発生しているかどうかを判定する。例えば、周知のトリップ応答時間が約0.25秒であるブレーカは、0.22秒などの一定の長さの時間内に回路遮断を開始する。本明細書で説明されている実施形態を利用すれば、検出デバイスは、一定の持続時間内に高い電流レベルを検出し、光検出がその持続時間以外の時間に発生するかどうかを判定することができる。その持続時間以外の時間において光事象を検出することは、アークフラッシュ事象に関連するものとしてよい。
【0013】
図1は、光と時間の弁別を使用してアークフラッシュ事象の検出に使用する例示的なアークフラッシュ検出デバイスの略ブロック図である。図1の例示的な実施形態では、システム100は、導体(図1には示されていない)を通る電流レベルを測定する電流センサ102を備える。さらに、電流センサ102は、電流レベルに比例する信号を発生する。電流センサ102は、AC電流を検出し、感知された電流の波形の複製であるアナログ出力信号または両極性出力信号を発生することができる。あるいは、電流センサ102は、AC電流を検出し、感知された電流の平均値または感知された電流のRMS値に比例する単極性出力信号を発生することができる。さらに、電流センサ102は、DC電流を検出し、感知された電流の波形の複製である単極性出力信号を発生することができるか、または感知された電流が特定の閾値を超えたときに切り替わるデジタル出力を発生することができる。例示的な電流センサとしては、限定することなく、変流器、ホール効果センサ、抵抗センサ、または電流レベルを検出し、電流レベルを表す出力信号を発生するように構成されている好適な任意のセンサが挙げられる。
【0014】
さらに、システム100は、光事象を検出する複数の光センサ104を備える。機器筐体は、少なくともいくつかの光センサ104からの光を効果的に遮る多数の障害物を含む。したがって、適切な対象範囲を維持するために、光センサ104を導体の付近で機器筐体全体に分散する。周辺光、ブレーカ(図1に示されていない)のトリップによって発生する光、および/またはアークフラッシュ事象によって発生する光を含む、光が光センサ104上に当たる。光センサ104を飽和させるのに十分な強さの光である場合、光センサ104は、検出を表す信号を発生する。例えば、光センサ104は、光事象の光レベルに比例する信号を発生することができる。あるいは、光センサ104は、指定されたレベルが検出されたときの信号の変化などの、検出が行われたことを示す信号を発生することができる。電流レベルと光の検出との間の時間に関する関係とその信号との関係に関して信号が分析され、これにより、アークフラッシュ事象が発生したかどうかを判定する。代替的実施形態では、光は光フィルタ(図示せず)によって指定された割合に減衰される。減衰された光が光センサ104を飽和させるのに十分な強さである場合、光センサ104は、検出を表す信号を発生する。光フィルタを使用することで、システム100はニュイサンス光とアークフラッシュ事象によって発生した光とを弁別することができる。
【0015】
図1の例示的な実施形態において、システム100は、電流センサ102および光センサ104に、通信可能に結合されるなどの形で、結合されたコントローラ106も備える。さらに、コントローラ106は、複数の電流レベルおよびブレーカがそれぞれの電流レベルで開くのに必要な期間などのブレーカのトリップに関するデータを格納するように構成されたメモリ領域108を備える。1つまたは複数の電流レベルとブレーカが開くために必要な各期間との間の関係は、例えば、メモリマップ、データベースに、表形式で、またはテキストファイルとして格納されうる。しかし、メモリ領域108は、電流レベルおよび期間を好適な任意の様式で格納することができることは理解されるであろう。さらに、メモリ108は、電流レベルを期間に関係付けるための好適な方法を格納できることは理解されるであろう。
【0016】
コントローラ106は、メモリ領域108に結合されたプロセッサ110も備える。プロセッサ110は、電流センサ102および光センサ104から信号を受信し、それらの信号を、メモリ領域108に格納されている時間に基づく相関関係を使用して分析し、アークフラッシュ事象が発生したかどうかを判定する。アークフラッシュ事象が発生しているとプロセッサ110が判定した場合、これは、アーク封じ込めデバイス(図1に示されていない)に信号を出力し、アークフラッシュ事象による配電機器への損傷を軽減する。いくつかの実施形態では、プロセッサ110は、光および電流の他に、音、圧力、熱、または好適なセンサによって検出される好適な他のパラメータなどの、別のパラメータに基づいてアークフラッシュ事象が発生したかどうかを判定することができる。
【0017】
「プロセッサ」という用語は、一般的に、システムおよびマイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジック回路、および本明細書で説明されている機能を実行することができる任意の他の回路またはプロセッサを含む任意のプログラム可能なシステムを指すことは理解されるであろう。上記のいくつかの例は、例示的なものにすぎず、したがって、いかなる点でも「プロセッサ」という用語の定義および/または意味を制限することを意図していない。
【0018】
さらに、メモリ領域108は、電流センサ102、光センサ104、またはコントローラ106に結合されている任意の他のデバイスを制御および/または監視するために、プロセッサ110によって実行可能なプログラムコードおよび命令を格納する。メモリ領域108は、1つまたは複数の形態のメモリを備えることもできる。例えば、メモリ領域108は、不揮発性RAM(NVRAM)、磁気RAM(MRAM)、強誘電体RAM(FeRAM)、および他の形態のメモリなどの、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことができる。また、メモリ領域108は、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、および/または電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)も含むものとしてよい。任意の他の好適な磁気メモリ、光メモリ、および/または半導体メモリは、単独で、もしくは他の形態のメモリと組み合わせて、メモリ領域108に入れることができる。メモリ領域108は、限定はしないが、好適なカートリッジ、ディスク、CD ROM、DVD、またはUSBメモリを含む、取り外し可能メモリ、すなわちリムーバブルメモリでもあるか、または含んでいてもよい。
【0019】
図2は、アークフラッシュ検出デバイス100を備える例示的な電力機器保護システム200の略ブロック図である。図2に示されているように、線路導体202は、ブレーカ204に結合される。電流センサ102は、線路導体202を通る電流レベルを測定するために線路導体202にも結合されている。さらに、負荷導体206が、プラズマ誘発アーク封じ込めデバイス208に結合されている。線路導体202は、給電線または主母線とすることができる。
【0020】
ブレーカ204によって、ラッチを外すトリップソレノイドなどのトリップ開放機構が動作する。トリップソレノイドは、一部の高圧ブレーカは自給式であるが典型的には、別の電池からエネルギーを供給され、変流器、保護リレー、および内部制御用電源を備える。故障が検出された後、ブレーカ204内の接点が開いて、線路導体202内を流れる電流を遮断する。例えば、ブレーカ204内に封じ込められている、バネまたは圧縮空気などの機械的蓄積エネルギーは、接点を離すために使用される。いくつかの実施形態では、必要なエネルギーの一部は、故障電流から得ることができる。
【0021】
アークフラッシュ事象がコントローラ106によって検出されると、信号が回路保護デバイスに送信される。例えば、アーク封じ込めデバイス208を使用して、アークフラッシュ事象に関連するエネルギーを絶縁することができる。検出されたアークフラッシュに関連するエネルギーは、線路導体202からアーク封じ込めデバイス208へ逸らされる。アーク封じ込めデバイス208内に配置されているプラズマガン(図示せず)を起動し、アークフラッシュを制御し封じ込めつつ誘発し、線路導体202および/または負荷導体206に結合されている電気コンポーネントの保護が円滑に行われるようにする。あるいは、コントローラ106が、ブレーカ204をトリップさせることもできる。
【0022】
図3は、閉鎖型機器筐体300の略図であり、図4は、機器筐体300の内側302の略図である。複数の線路導体202および主母線304が機器筐体300内に入り、複数の負荷導体206が機器筐体300から出る。図4に示されているように、電力機器保護システム200は、アークフラッシュ事象の防止をしやすくするために機器筐体300内に配置される。例えば、電流センサ102は、主母線304を通る電流のレベルを監視するために配置される。光センサ104は、導体の近くで光の量を監視するために配置される。例えば、光センサ104は、主母線304の近くで光の量を監視するために配置することができる。代替的実施形態では、機器筐体300は、主母線304に対する第1のアーク検出デバイスおよびそれぞれの線路導体202に対する別のアーク検出デバイスなどの複数のアーク検出デバイス100を収納することができる。このような一実施形態では、第1の電流センサが主母線304を通る電流のレベルを測定し、別の電流センサが各線路導体202を通る電流のレベルを測定する。同様に、このような一実施形態では、第1の光センサが主母線304の近くで光を検出し、別の光センサが各線路導体202の近くで光を検出する。とりわけ、複数の光センサ104を機器筐体300全体にわたって配置することができ、各コントローラ106に通信可能に結合することができる。
【0023】
ブレーカ204は、コントローラ106の制御の下で主母線304において回路遮断を引き起こせるように配置される。さらに、いくつかの実施形態では、追加のブレーカが、各コントローラ106の制御の下で各線路導体202において回路遮断を引き起こせるように配置される。さらに、アーク封じ込めデバイス208は、コントローラ106がアークフラッシュ事象を検出したときに電気エネルギーの経路変更を行えるように配置される。あるいは、アークフラッシュ事象の検出後に、コントローラ106がブレーカ204をトリップさせることもできる。
【0024】
動作中、コントローラ106は、電流センサ102を使用して電流レベルを測定する。例えば、電流センサ102は、例えば主母線304を通る電流のレベルの定期的測定などの測定を実行する。電流センサ102は、電流レベルを表す信号をコントローラ106にも伝送する。代替として、またはそれに加えて、複数の電流センサ102により、主母線304のそれぞれの導線および1つまたは複数の線路導体202を通る電流のレベルを測定し、電流レベルを表す信号を1つまたは複数のコントローラ106に伝送することができる。
【0025】
さらに、コントローラ106は、光センサ104を使用して光事象を検出する。例えば、十分な強さの光が光センサ104に当たると、これは、光事象を示す信号をコントローラ106に伝送する。代替として、またはそれに加えて、複数の光センサ104は、主母線304のそれぞれおよび1つまたは複数の線路導体202について光事象を検出し、光事象の検出を表す信号を1つまたは複数のコントローラ106に伝送することができる。
【0026】
電流レベルおよび光事象の検出結果に基づき、コントローラ106は、光事象がアークフラッシュ事象によって生じたかどうか、または光事象がブレーカ204の動作によって生じたかどうかをメモリ領域(図1に示されている)に格納されている電流レベルと光事象のタイミングとの間の関係を使用して判定する。図5は、電流とブレーカ204のトリップのタイミングとの間の関係を示すグラフ500である。x軸は、ブレーカ204の電流設定の倍数であり、y軸は、秒単位の時間測定値である。例えば、定格が2,000アンペアであるブレーカについては、x軸上で2の値は、4,000アンペアの電流に対応する。図5に示されているように、ブレーカ204は、最小帯域502、中間帯域504、または最大帯域506に基づいてトリップするように構成することができる。中間帯域504を基準として使用することで、ブレーカ204がトリップを引き起こすのに十分な電流レベルを感知した場合、ブレーカ204は、回路遮断を開始する。回路遮断は、電流レベルとともに変化する期間Tにわたって生じる。例えば、図5に示されているように、約4,000Aの電流レベルでは、電流遮断は、約0.22秒から約0.31秒までの間の期間Tにわたって生じる。光センサ104から、光事象が検出されたことを示す信号を受信した後、コントローラ106は、電流センサ102から受信された電流レベルに関連する期間Tを決定する。期間Tにおいて光事象が発生したとコントローラ106が判定した場合、コントローラ106は、ブレーカ204が回路遮断を完了することを可能にする。しかし、光事象が期間T以外のときに発生したとコントローラ106が判定した場合、コントローラ106は、アーク封じ込めデバイス208(図2に示されている)を起動し、および/またはブレーカ204をトリップさせる。いくつかの実施形態では、コントローラ106は、事前選択された長さの時間を期間Tに加えて、回路遮断を完了する十分な時間をブレーカ204に確実に与え、ニュイサンストリップが生じる機会を減らしやすくする。
【0027】
代替的実施形態では、ブレーカ204は、ブレーカ204が回路遮断を行っていることをコントローラ106に指示する信号をコントローラ106に伝送する。コントローラ106は、メモリ領域108に格納されている、図5に例示されている時間に基づく相関関係から、ブレーカ204による回路遮断を完了することに関連する期間Tを決定する。期間Tでは、コントローラ106はアーク封じ込めデバイス208を起動しない。むしろ、コントローラ106は、ブレーカ204が回路遮断を完了することを可能にする。
【0028】
他の代替的実施形態では、測定された電流レベルの急速な減少は、ブレーカ204が回路遮断を行っていることを示すものとしてよい。コントローラ106が電流レベルの減少を検出した場合、コントローラ106は、少なくとも期間Tにおいてアーク封じ込めデバイス208を起動しない。むしろ、コントローラ106は、ブレーカ204が回路遮断を完了することを可能にする。
【0029】
光および時間の弁別を使用してアークフラッシュ事象を検出する際に使用する方法、システム、および装置の例示的な実施形態について、これまでの説明で詳述した。これらの方法、システム、および装置は、本明細書で説明されている特定の実施形態に限定されず、むしろ、システムおよび/または装置の方法および/またはコンポーネントの動作は、本明細書で説明されている他の動作および/またはコンポーネントとは独立して、また別々に利用することができる。さらに、説明されている動作および/またはコンポーネントは、他のシステム、方法、および/または装置において定められるか、または他のシステム、方法、および/または装置と組み合わせて使用することもでき、また本明細書で説明されているようなシステム、方法、および記憶媒体のみでの実施に限定されない。
【0030】
本発明は、例示的な配電システム環境に関連して説明されているが、本発明の実施形態は、多数の他の汎用もしくは専用のシステム環境または構成を使用して運用可能である。本明細書で説明されているシステム環境は、本発明の任意の態様の用途または機能性の範囲に関する制限を示唆することを意図していない。さらに、本明細書で説明されているシステム環境は、例示的な動作環境に示されている1つのコンポーネントまたはコンポーネントの組み合わせに関係する何らかの依存関係または要求条件を有するものとして解釈すべきでない。
【0031】
本明細書に例示され、説明されている本発明の実施形態で動作を実行または遂行する順序は、特に断りのない限り、本質的ではない。すなわち、動作は、特に断りのない限り、任意の順序で実行することができ、本発明の実施形態は、追加の動作または本明細書で開示されているものよりも少ない動作を含むことができる。例えば、他の動作の前に、他の動作と同時に、または他の動作の後に特定の動作を実行もしくは遂行することは、本発明の態様の範囲内にあることが企図される。
【0032】
本発明の態様またはその実施形態の要素を導入するときに、数詞がないことや「前記」などの冠詞は、これらの要素の1つまたは複数があることを意味することが意図されている。「備える、含む(comprising)」、「含む、備える(including)」、および「有する、持つ(having)」という言い回しは、包含的であることが意図されており、リストされている要素以外に追加の要素がありうることを意味する。
【0033】
本書では、いくつかの例を使用して、最良の態様を含む発明を開示し、また当業者が、デバイスまたはシステムを製作し、使用すること、および組み込まれている方法を実行することも含めて本発明を実施することができるようにしている。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定められ、当業者であれば思い付く他の実施例を含むものとしてよい。このような他の例は、これらの例が請求項の文言と異ならない構造要素を有している場合、またはこれらの例が請求項の文言との違いがわずかである均等の構造要素を含む場合に、請求項の範囲内にあることが意図されている。
【符号の説明】
【0034】
100 アークフラッシュ検出デバイス
102 電流センサ
104 光センサ
106 コントローラ
108 メモリ領域
110 プロセッサ
200 電力機器保護システム
202 線路導体
204 ブレーカ
206 負荷導体
208 アーク封じ込めデバイス
300 機器筐体
302 内側
304 主母線
500 グラフ
502 最小帯域
504 中間帯域
506 最大帯域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーカ(204)と、
回路を通る電流を測定するように構成された電流センサ(102)と、
光事象を検出するように構成された光センサ(104)と、
前記電流センサ(102)および前記光センサ(104)に通信可能に結合されたコントローラであり、前記光事象が前記ブレーカ(204)の動作によって生じたかどうかを判定するように構成されたコントローラ(106)と
を備える電力機器保護システム(200)。
【請求項2】
前記コントローラ(106)が、前記ブレーカ(204)が前記電流レベルに応答して開くように構成されている期間内に前記光事象が検出されるかどうかを判定するようにさらに構成されている、請求項1記載の電力機器保護システム(200)。
【請求項3】
前記コントローラ(106)が、前記電流レベルに基づいて前記期間を決定するようにさらに構成されている、請求項2記載の電力機器保護システム(200)。
【請求項4】
前記コントローラ(106)が、前記期間外に前記光事象が検出されたときに回路保護デバイスを起動するようにさらに構成されている、請求項2記載の電力機器保護システム(200)。
【請求項5】
前記コントローラ(106)が、前記ブレーカ(204)が開いていることを示す信号を前記ブレーカ(204)から受信するようにさらに構成されている、請求項1記載の電力機器保護システム(200)。
【請求項6】
前記コントローラ(106)が、前記ブレーカ(204)が開いていることに関連する期間中に前記光事象を無視するようにさらに構成されている、請求項5記載の電力機器保護システム(200)。
【請求項7】
前記コントローラ(106)が、前記ブレーカ(204)が開いていることを示す前記電流レベルの減少を検出し、前記ブレーカ(204)が開いていることに関連する期間中に前記光事象を無視するようにさらに構成されている、請求項1記載の電力機器保護システム(200)。
【請求項8】
電力機器保護システム(200)とともに使用するためのコントローラ(106)であって、
プロセッサ(110)を備え、前記プロセッサ(110)が、
電流センサ(102)から測定された電流レベルを表す信号を受信し、
光センサ(104)から光事象の検出を表す信号を受信し、
前記光事象がブレーカ(204)の動作によって生じたかどうかを判定するように構成されている、コントローラ。
【請求項9】
複数の電流レベルおよびブレーカ(204)が前記複数の電流レベルのうちのそれぞれの電流レベルで開くのに必要な各期間を含む、ブレーカのトリップに関するデータを格納するように構成されたメモリ領域(108)をさらに備える、請求項8記載のコントローラ(106)。
【請求項10】
前記プロセッサ(110)が、前記ブレーカ(204)が前記電流レベルに応答して開くように構成されている期間内に前記光事象が検出されるかどうかを判定するようにさらに構成されている、請求項9記載のコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−60877(P2012−60877A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192472(P2011−192472)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】