説明

光アシスト型磁気ヘッドとその製造方法、および磁気記録装置

【課題】近接場光による光アシスト型磁気ヘッドにおいて、磁気記録媒体との相対的傾きによる接触を回避する。
【解決手段】対物レンズ2と、半球/超半球レンズ3とを有する2群集光レンズ系4と、薄膜磁気ヘッド素子5とを有し、半球/超半球レンズ3が、球面側レンズを構成するレンズ本体3Lと、磁気記録媒体11との対向面側に配置される光透過性基板3Sとの合体により構成され、光透過性基板3Sは、レンズ本体3Lより外側に延長して形成され、光透過性基板3Sに薄膜磁気ヘッド素子5が形成され、光透過性基板3Sの磁気記録媒体11との対向面が、薄膜磁気ヘッド素子5が形成された中央領域を残して、周辺に向って磁気記録媒体11から離れるように2段階の段差d1,d2を有して後退されて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光アシスト型磁気ヘッドとその製造方法、および磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報記録媒体に対する高密度記録化の要求が高まっている。磁気記録媒体、例えば磁気テープ、磁気ディスク等に対する情報記録においても、超高密度記録化が要求されている。この場合、記録ビットの微小化のために垂直記録が採られ、また高い解像度を得ることや、磁性層の保磁力が高められる。
このように、高い保磁力を有する磁気記録媒体に対して信号記録磁界を高めることなく、したがって微小磁界スポットによって情報記録を行うことができる磁気ヘッドとして、磁気記録媒体の、記録部位を局部的に光照射によって昇温させ、ここにおける保磁力を低下させる光アシスト型磁気ヘッドの提案がなされている。
【0003】
このような光アシストによる磁気記録においては、高記録密度化、すなわち微小記録ビットを形成する上で、その光スポットの微小化が必要となる。通常の集光レンズにおいては、そのスポット径は使用光の波長と、レンズの開口数(NA)によって決まる。通常のレンズにおいては、開口数に制約があり、スポット径の微細化に限界を来している。これに対して、使用する光の波長に対して高屈折率を有する半球レンズ(SIL:Solid Immersion Lens)もしくは超半球レンズ(超SIL:Super Solid Immersion Lens)を用いた近接場光によるスポットは、スポット径の微細化が図られることから、この半球レンズもしくは超半球レンズによる近接場光を用いた光アシスト型磁気ヘッドも提案されている(例えば特許文献1、2及び3参照)。
【0004】
特許文献3の光アシスト型磁気ヘッドは、対物レンズと半球レンズもしくは超半球レンズとからなる2群集光レンズ系を有し、半球レンズもしくは超半球レンズがレンズ本体と光透過性基板とを接合一体化して形成され、光透過性基板に薄膜磁気ヘッドが形成されて構成される。
【0005】
この光アシスト型磁気ヘッドの製造は、使用波長の光に対して透明で高屈折率を有する光学部材からなる第1ブロックの端面に薄膜磁気ヘッドを形成し、この薄膜磁気ヘッドを挟むように同じ光学部材からなる第2ブロックを光学接着剤を介して接合した後、平面研磨して所定の板厚の光透過性基板を形成する。次いで、平面研磨した半球レンズを光透過性基板に光学接着剤を介して接合して得ている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−134513号公報
【特許文献2】特開2006−139826号公報
【特許文献3】特開2006−286119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の光アシスト型磁気ヘッドは、光透過性基板の磁気記録媒体に対向する面に臨む薄膜磁気ヘッド素子を、磁気媒体の面上数10nm上の位置にあって数m/s以上の線速度で移動しながら記録再生を行っている。この記録再生時に、磁気記録媒体と光アシスト型磁気ヘッドとの相対的な傾きで光透過性基板が磁気媒体に接触してしまわないことが望まれている。
【0008】
本発明は、上述の点に鑑み、記録、または記録再生時に許容できる範囲で光透過性基板が磁気記録媒体に対して相対的に傾いても磁気記録媒体に接触しないようにした、信頼性の高い光アシスト型磁気ヘッドとその製造方法を提供するものである。
本発明は、上記光アシスト型磁気ヘッドを備えた信頼性の高い磁気記録装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光アシスト型磁気ヘッドは、対物レンズと、半球レンズもしくは超半球レンズとを有する2群集光レンズ系と、薄膜磁気ヘッド素子とを有し、前記半球レンズもしくは超半球レンズが、球面側レンズを構成するレンズ本体と、磁気記録媒体との対向面側に配置される光透過性基板との合体により構成され、前記光透過性基板は、前記レンズ本体より外側に延長して形成され、前記光透過性基板に薄膜磁気ヘッド素子が形成され、前記光透過性基板の前記磁気記録媒体との対向面が、前記薄膜磁気ヘッド素子が形成された中央領域を残して、周辺に向って前記磁気記録媒体から離れるように2段階の段差を有して後退されて成ることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る光アシスト型磁気ヘッドの製造方法は、対物レンズと、半球レンズもしくは超半球レンズを有する2群集光レンズ系と、薄膜磁気ヘッド素子とを有して成る光アシスト型磁気ヘッドの製造方法であって、前記半球レンズもしくは超半球レンズの球面側レンズ部を構成するレンズ本体の形成工程と、前記レンズ本体の磁気記録媒体との対向面側に、薄膜磁気ヘッド素子が配置され、前記レンズ本体より外部に延長された延長部を有する光透過性基板を接合する接合工程と、前記光透過性基板の磁気記録媒体と対向する面に、前記薄膜磁気ヘッド素子が形成された中央領域を残して第1の段差を形成する第1の段差形成工程と、前記光透過性基板の磁気記録媒体と対向する面に、前記薄膜磁気ヘッド素子が形成された中央領域と前記第1の段差の一部の領域を残して第2の段差を形成する第2の段差形成工程とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る磁気記録装置は、光源部と、磁気記録媒体配置部と、光アシスト型磁気ヘッドと、記録信号電源部と、前記光源部からの光を前記光アシスト型磁気ヘッドに導く光路を形成する光学系とを有し、前記光アシスト型磁気ヘッドは、対物レンズと、半球レンズもしくは超半球レンズとを有する2群集光レンズ系と、薄膜磁気ヘッド素子とを有し、前記半球レンズもしくは超半球レンズが、球面側レンズを構成するレンズ本体と、磁気記録媒体との対向面側に配置される光透過性基板との合体により構成され、前記光透過性基板は、前記レンズ本体より外側に延長して形成され、前記光透過性基板に、薄膜磁気ヘッド素子が形成され、前記光透過性基板の前記磁気記録媒体との対向面が、前記薄膜磁気ヘッド素子が形成された中央領域を残して、周辺に向って前記磁気記録媒体から離れるように2段階の段差を有して後退されて成ることを特徴とする。
【0012】
本発明に光アシスト型磁気ヘッドでは、半球レンズもしくは超半球レンズを構成する光透過性基板の磁気記録媒体との対向面に、薄膜磁気ヘッド素子が形成された中央領域を残して周辺に向って磁気記録媒体から離れるように2段階の段差が形成されるので、光アシスト型磁気ヘッドと磁気記録媒体との間の相対的傾きに起因する接触が生じ難い。
【発明の効果】
【0013】
本発明による光アシスト型磁気ヘッドによれば、光アシスト型磁気ヘッドと磁気記録媒体との間の相対的傾きに起因する接触を回避することができる。また、光透過性基板をレンズ本体よりも外側へ延長して形成した構成とすることにより、例えば電極パッドの形成が可能となるなど、実用に供する光アシスト型磁気ヘッドを提供することができる。したがって、信頼性の高い光アシスト型磁気ヘッド、これを備えた磁気記録装置を提供することができる。
また、本発明の光アシスト型磁気ヘッドの製造方法によれば、光アシスト型磁気ヘッドと磁気記録媒体との間の相対的傾きに起因する接触を回避できる光アシスト型磁気ヘッドを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。しかしながら、本発明は、この例示に限定されるものではない。
【0015】
図1(概略断面図)及び図2(一部破断した斜視図)に、本発明に係る光アシスト型磁気ヘッドの一実施の形態を示す。本実施の形態に係る光アシスト型磁気ヘッド1は、図1の概略断面構造に示すように、光学的には、対物レンズ2と、半球レンズ(SIL)もしくは超半球レンズ(超SIL)(以下、半球/超半球レンズと記す)3とを有する2群集光レンズ系4によって構成される。
【0016】
半球/超半球レンズ3は、球面側レンズ部を構成するレンズ本体(いわゆる疑似半球レンズ)3Lと、その磁気記録媒体11との対向面側に配置される光透過性基板3Sとの接合体によって構成される。レンズ本体3Lと光透過性基板3Sは、共に同じ光学部材、すなわち、使用光の波長に対して光透過性を有し、かつ高い屈折率、例えば1.8以上、好ましくは2以上の屈折率を有する光学部材によって構成される。光学部材としては、例えば光学ガラス、GaN、ダイヤモンド等の部材を用いることができる。2群集光レンズ系4は、実効的な開口率が1.0を超えるような近接場光を発生させる。そして、光透過性基板3Sには、薄膜磁気ヘッド素子5が、その膜面が光軸方向に沿うように配置される。
【0017】
薄膜磁気ヘッド素子5を有する光透過性基板3Sは、使用波長に光において透明で高屈折率を有する光学部材(例えば光学ガラス)からなる第1ブロック6aの端面に、薄膜磁気ヘッド素子5を形成した後、薄膜磁気ヘッド素子5を挟むように同じ光学部材(例えばガラス部材)からなる第2ブロック6bを光学接着剤(屈折率>1.5)を介して接着あるいは溶着して接合し、その後、接合した第1及び第2ブロック6a,6bを平面研磨により所定の板厚t1にして構成される。薄膜磁気ヘッド素子5は、記録ヘッド、あるいは記録再生ヘッドとして構成される。
【0018】
レンズ本体(いわゆる疑似半球レンズ)3Lは、ボールレンズを平面研磨し、光軸O−Oとほぼ直交するレンズ面を形成した後、薄膜磁気ヘッド素子5を有する光透過性基板3S上に位置決めされ、光学接着剤を介して接合一体化される。
【0019】
薄膜磁気ヘッド素子5は、第1及び第2ブロック6a,6bに挟まれるように形成された後、ヘッド形成面に対してデプス研磨(平面研磨)される。その後、第1及び第2ブロック6a,6bを底面研磨により板厚を所定の厚さt1にして薄膜磁気ヘッド素子5を有する光透過性基板3Sが構成される。一方、光透過性基板3S上に、底面研磨したレンズ本体3Lが位置決めされ、固定される。レンズ本体3Lと光透過性基板3Sとを接合した構造体は、その全体の高さTが、半球/超半球レンズの半径Rと同一であり、光学的には半球/超半球レンズと全く等価である。すなわち、上部の対物レンズ2で集光された光は、合成された半球/超半球レンズ3の底面(磁気記録媒体11との対向面)、すなわち光透過性基板3Sの底面で焦点を結び、半球/超半球レンズとしての機能を有する。
【0020】
単体の対物レンズ2では、光の回折限界により集光スポット径は、λ/NA 程度しか絞れない。λは使用する光の波長λ、NA は対物レンズの開口数である。ところで、半球/超半球レンズ系では、半球/超半球レンズの底面(すなわち焦点面)において、スポット径を1/n(半球レンズ)、1/n(超半球レンズ)に低減できる。nは半球/超半球レンズの屈折率である。レンズ面と磁気記録媒体との間隙g1をλ/10以下に狭めることで、近接光場による結像作用により、磁気記録媒体11の面上に1/n(半球レンズ)、1/n(超半球レンズ)のスポット径を形成することが可能になる。
【0021】
そして、本実施の形態においては、半球/超半球レンズ3の構成要素である光透過性基板3Sが、この上に一体化されたレンズ本体(疑似半球レンズ)3Lより外側にまで延長して形成される。さらに、この光透過性基板3Sは、その磁気記録媒体11と対向する側の底面、すなわち対向面を、薄膜磁気ヘッド素子5が形成された中央領域を残して、周辺に向って磁気記録媒体の面から離れるように2段階の段差d1,d2を有して後退する段差面形状として形成される。すなわち、光透過性基板3Sの磁気記録媒体11との対向面では、薄膜磁気ヘッド素子5が臨む中央領域が突出し、この突出部7から周辺に向って2段階の段差d1,d2を有するように後退した形状とされる。
【0022】
この場合、第1の段差d1は、浅い段差とし、第2の段差d2は第1の段差d1より深く設定される。この2段階の段差d1,d2の条件については、後述で詳しく説明する。
【0023】
対物レンズ2は、図2に示すように、光透過性基板3S上に円環状のスペーサ9を介して配置される。この例では、光透過性基板3Sは、一方の辺の長さLが円環状のスペーサ9の外径より外側に延長し、これと直交する他方の辺の長さWが円環状のスペーサ9の外径と略同じ長さになるように形成される。そして、光透過性基板3Sのレンズ本体(疑似半球レンズ)3Lの外側に延長した延長部、図2ではスペーサ9より外側に延長した延長部10に、薄膜磁気ヘッド素子5の磁気ヘッドコイルと同時形成の端子導出配線12が導出され、その端部に電極パッド(いわゆるボンディングパッド)13が形成される。
【0024】
この電極パッド13が形成される面は、光透過性基板3Sの薄膜磁気ヘッド素子5が形成される第1ブロック6aの端面に沿う面である。この場合、光透過性基板3Sは第1及び第2のブロック6a,6bを接合して構成されるが、第2ブロック6bは電極パッド13が外部に臨むように一部切除されている。
【0025】
磁気記録媒体11は、例えば磁気テープあるいは磁気ディスク等の各種構成による磁気記録媒体を用いることができる。この磁気記録媒体11は、例えばフィルム状、あるいはディスク状の非磁性基板15上に、順次軟磁性層16と所要の保磁力を有する磁性層による記録層17が形成されて成る。
【0026】
光透過性基板3Sの長辺側の長さLは、対物レンズ2の直径、及びワイヤボンディング時に必要なクリアランススペースで決まる。ボンディング用のクリアランスは、例えば片側1mm程度とすることができ、対物レンズ2の直径を3mm〜4mm程度とするときには、光透過性基板3Sの長辺側の長さLは、5mm〜6mm程度とすることができる。対物レンズ2は、ガラス成型プロセスで形成されるため、実用上直径1mm程度より小さいレンズ成型は困難である。したがって、光透過性基板3Sの長さLとしては、1mm〜2mm程度が下限となる。すなわち、光透過性基板3Sの長さLとしては、2mm〜6mm程度とすることができる。
【0027】
次に、図3を用いて、2段階の段差d1,d2、及び光軸から第1段差のテラス端までの長さr1の条件について説明する。図3において、θ1は第1の段差テラス面32と、その終端E2と磁気記録媒体11面の光軸O−O上の点とを結ぶ線とのなす角度、θ2は第2の段差テラス面33と、その終端(すなわち光透過性基板3Sの終端)E3と磁気記録媒体11面の光軸O−O上の点とを結ぶ線とのなす角度、r1は光透過性基板3Sの光軸O−O上の中心から第1の段差テラス面32の終端E2までの距離、r2は光透過性基板3Sの光軸O−O上の中心から第2の段差テラス面33の終端E3までの距離(すなわち、光透過性基板3Sの中心から終端までの距離)である。
【0028】
第1の段差の深さd1は、所要開口数の対物レンズ2から入射される光30が第1の段差部の立ち下がりの底エッジ部E1で一部が遮光されない、いわゆる蹴られない浅さで、かつ動作時に第1の段差テラス面32にごみ、埃が溜まらない浅さに設定される。このテラス面32に、ごみや埃が溜まると、このごみや埃の影響で薄膜磁気ヘッド素子5が臨む突出部7の面にダメージが与えられる。
【0029】
第2の段差の深さd2は、第1の段差の深さd1より深く設定され、さらに、光アシスト型磁気ヘッド1と磁気記録媒体11とが相対的に傾いたときに、光透過性基板3Sの終端E3よりも先に第1段差テラス終端E2が磁気記録媒体11に接触しないような深さに設定される。この第2の段差の深さd2は、中心から第1段差テラス終端E2までの距離r1にも関係する。
【0030】
r1は次の式で設定される。
θ1≧θ2
r1≦(d1×r2)/(d1+d2)
【0031】
d1,d2,r1は、許容される傾き角、光透過性基板3Sの長さr2、対物レンズ2の開口数NAなどにより、決定されるが、実施可能な光アシスト型磁気ヘッドにおいては、次のような範囲に設定することが好ましい。
【0032】
本実施の形態において、許容される光アシスト型磁気ヘッド1と磁気記録媒体11との相対的な傾き角度は、0.5度以下、好ましくは0.3度以下に設定することができる。光透過性基板の長さr2は、1.0mm〜3.0mm、第1の段差の深さd1は8μm以下、好ましくは4μm〜8μm、第2の段差の深さd2は第1の段差の深さd1より深く、第1の段差d1と第2の段差d2の合計d1+d2は15μm以上、好ましくは15μm〜25μmとすることができる。第1の段差の深さd1として、4μmより浅いとごみ等の影響を受けやすく、8μmより深いと入射光を遮る恐れがある。合計段差(d1+d2)の15μmは傾き角度0.3度に対応し、25μmは傾き角度0.5度に対応する。
【0033】
具体的一例としては、光透過性基板3Sの板厚t1が200μm、レンズ本体3Lの厚さr2が300μm、合計t1+tが500μm、光透過性基板3Sの中心〜終端までの長さr2(=L/2)が3.0mmとし、許容される相対的傾き角度が0.3度としたとき、第1の段差d1を6.0μm、第2の段差d2を9.0μm、段差の合計(d1+d2)15μmとすることができる。 この場合、中央領域の突出部7の直径は50μm±5μm、中心から第1の段差テラス終端E2での距離(直径)r1は1.2mmより小さい値(r1<1.2mm)、例えば700μm±50μmとすることができる。
【0034】
本実施の形態において、光アシスト型磁気ヘッド1と磁気記録媒体11との相対的な傾き角度の許容範囲(図6の角θ3の許容値に相当)を、0.5度以下、好ましくは0.3度以下とした根拠は以下の通りである。この傾き角度は、光源に対する光学系の相対的な傾きによる波面収差と、反り等の磁気記録媒体自体の表面の傾きとを考慮して決定される。図4は、半球/超半球レンズ3の半径R=0.5mmとしたときの、実効開口数NA=1.56の2群集光レンズ系4を示す。入射角がわずかに異なる場合が、実線aと破線bの光線により表している。図5は、この2群集光レンズ系4における光の入射角の傾きによる波面収差特性を示す。図5において、横軸は磁気記録媒体の傾きに対応した光の入射角[°]の傾き、縦軸はその入射角の傾きで生じる波面収差量[mλ]である。
【0035】
許容収差を30mλとしたとき、許容入射角は0.4°程度となる。つまり、30mλの収差に納まる光学系の傾きは0.4°である。一方、近接場光を利用した磁気記録の用いられる磁気記録媒体、例えば磁気ディスク自身の反りなどによるチルト(角度)は、直接は光学特性に悪影響を与えない。磁気ディスクとしてガラス基板を使うことを前提とすれば、ガラスディスクのチルト(角度)を0.1°以下にすることは可能である。このため、光アシスト型磁気ヘッドと磁気記録媒体との相対的な傾き角(チルト)として、許容される傾き角は、光学部品の傾き許容量とガラスディスクのチルト量を合わせて、0.5°以下とすることができる。
【0036】
ここで、収差を与える要因は他にもあるので、単独の原因に許容するには限界の半分程度とするのが一般的である。この場合、光学系の傾き角度の許容量は0.2°以下となる。このため、許容される上記の相対的な傾き角度(チルト)としては、この光学系のチルト量0.2°とガラスディスクのチルト量0.1を合わせて、0.3°以下とするのが好ましい。
したがって、0.5°以下、好ましくは0.3°以下の傾きに対しても、磁気記録媒体11に接触しない光アシスト型磁気ヘッドの形状とするために、本実施の形態でおいては、光透過性基板3Sの磁気ディスクとの対向面を2段階の段差面に形成した。
【0037】
本実施の形態に係る光アシスト型磁気ヘッド1によれば、光透過性基板3Sをレンズ本体(疑似半球レンズ)3Lより外側に延長した半球/超半球レンズ3を構成することにより、光透過性基板3Sの延長部10の面上に薄膜磁気ヘッド素子5の電極パッド13を形成でき、実用可能な光アシスト型磁気ヘッドを提供することができる。
【0038】
しかも、光透過性基板3Sの磁気記録媒体11との対向面が、薄膜磁気ヘッド素子5を有する中央領域(突出部)7を残して周辺に向って磁気記録媒体、例えばディスク媒体から離れる方向に2段階の段差d1,d2を有する形状とすることにより、光アシスト型磁気ヘッド1と磁気記録媒体11と間の相対的な傾きに起因する、光アシスト型磁気ヘッド1と磁気記録媒体11との接触を回避することができる。また、第1の段差d1が浅く形成されるので、入射光30が対物レンズ2及び半球/超半球レンズ3を通り、半球/超半球レンズ3底面の中心部に集光するときに、入射光30の一部を遮蔽することがない。
【0039】
さらに、2段階の段差d1,d2を形成し、第1の段差d1を浅くして、第2の段差を深くすることにより、第2の段差d2の部分でトータルの段差が磁気記録媒体と接触しない深さとすることができる。また、第1の段差d1を浅くすることができ、これにより、段差d1にごみや埃が溜まり難くなり、光アシスト型磁気ヘッド1が磁気記録媒体11に対して相対的に高速で移動するときのごみや埃による突出部7の面のダメージを緩和することができる。
【0040】
さらに、本実施の形態と参考例とを比較して、本実施の形態の優位性について説明する。図6に、参考例2の光アシスト型磁気ヘッド41の構成を示す。まず、光アシスト型磁気ヘッドとして、本実施の形態の構成において、光透過性基板の底面の段差を設けず、平坦面な底面とした光アシスト型磁気ヘッドの構成を考える。この参考例1の光アシスト型磁気ヘッドの場合、光アシスト型磁気ヘッドと磁気記録媒体とが相対的に傾いたとき、これらが互いに接触し、相互に損傷する虞れがある。
【0041】
一方、図7Aに示すように、レンズ本体52Lと光透過性基板52Sとによる半球/超半球レンズ52を形成し、その光透過性基板52Sの磁気記録媒体との対向面を中央領域を残して周辺に向って1段の段差を設け、この半球/超半球レンズ52と図示しない対物レンズとの2群集光系レンズ系を有する光アシスト型磁気ヘッドが提案されている。また、図7Bに示すように、レンズ本体52Lと光透過性基板52Sとによる半球/超半球レンズ52を形成し、その光透過性基板52Sの磁気記録媒体との対向面を中央部から周辺に向って円錐状に漸次後退するように形成し、この半球/超半球レンズ52と図示しない対物レンズとの2群集光系レンズ系を有する光アシスト型磁気ヘッドも提案されている。
【0042】
このような、例えば図7の光透過性基板の対向面形状を適用した、図6に示す参考例2の光アシスト型磁気ヘッド41を考えた場合(図6は模式的に示したもので、対物レンズを省略してある)、以下の理由により図7A,Bの半球/超半球レンズ52を有する光アシスト型磁気ヘッドに比べて不利となる。図6に示すように、例えば、光透過性基板3Sの中心から終端までの長さr2を3.0mm、1段の段差の深さ(突出部の高さ)d3を15μm、光アシスト型磁気ヘッド41の磁気記録媒体11からの浮上間隔を20nmとする。磁気記録媒体との相対的傾き(チルト)θ3に対して、図6の参考例2の光アシスト型磁気ヘッドの光透過性基板3Sに同じ深さの段差d3を設けた場合でも、光透過性基板3Sが長いために、図7Aの光アシスト型磁気ヘッドに比べて磁気記録媒体11と接触し易くなる。
【0043】
図6において、光アシスト型磁気ヘッド41が磁気記録媒体11に接触したときの傾き角(チルト)θ3を求めると、
θ3=d3/r2=15μm/3mm=5mrad=0.29deg
【0044】
図6に示す長さr2が6mmの光透過性基板3Sを有する参考例2の光アシスト型磁気ヘッド41と磁気記録媒体11との相対的傾きとして許容できる傾き角度θ3を0.3度とすると、0.3度までの傾きに対して接触しないための段差d3は、15.7μmである。したがって、参考例の光アシスト型磁気ヘッド41の場合には、深い段差d3を形成すればよいことになるが、対物レンズと半球/超半球レンズを組み合わせて近接場光学系としたときには、光透過性基板3Sの磁気記録媒体11との対向面の中心部に集光してくる入射光の一部が遮蔽される恐れがある。
【0045】
すなわち、図8において、開口数が0.75の対物レンズと、半球/超半球レンズ3とを組み合わせた近接場光学系としたときの、段差d3を求める。ここで、中央の薄膜磁気ヘッド素子が形成されている突出部の直径S1は50μmとする。開口数が0.75の対物レンズを通し集光される入射光の入射角度θ4は、
θ4=sin−1(0.75)=48.59deg
d3=S1/2×tan(90−θ4)
=25×tan(90−θ4)
=22.04deg
となる。
【0046】
このように、入射光30の接する1段構造の段差d3は約22μmとなり、22μmを超えると、中心部に集光してくる入射光の一部を遮蔽してしまうことになる。実際には光アシスト型磁気ヘッドの僅かな傾きなどの存在を考慮すると、0.3度の傾き角度(チルト)θ3に対応できる15μmの段差であっても、レンズ本体(疑似半球レンズ)3Lの中心と光透過性基板3Sとの中心のずれなどの製造誤差を考慮したとき、入射光の一部が遮光される危険性が大きく実用的でない。
【0047】
これに対して、本実施の形態においては、対物レンズ2の開口数NAを0.75とし、光透過性基板3S底面の突出部7の直径S1=50μmとしたときに、図3で示す第1の段差d1を浅くして8μm以下、例えば6μmとし、中心から第2の段差テラス終端E2までの距離(直径)r1=700μmを残して形成する第2の段差d2を深くして、合計段差を15μm以上確保するように構成する。このように、2段階の段差構造とすることにより、中心部に集光する入射光30を遮蔽することがない(図8参照)。
【0048】
次に、図9〜図12を用いて、本実施の形態の光アシスト型磁気ヘッドの製造方法の一実施の形態を説明する。
先ず、図10に示すように、光透過性基板3Sとなる互いに同一の光学材料の第1ブロック6aと第2ブロック6bを設ける。第1ブロック6aの接合端面6a1には、図9に示すように、予め、主磁極21と副磁極22と、下層薄膜磁気ヘッドコイル線素23A及び上層薄膜磁気ヘッドコイル線素23Bからなる薄膜磁気ヘッドコイル23とを有した薄膜磁気ヘッド素子(ここでは、記録用薄膜磁気ヘッド素子)5が形成される。薄膜磁気ヘッドコイル23はその端末から延長するように端子導出配線12が一体に形成され、その終端に図2に示す電極パッド(いわゆるボンディングパッド)13が形成される。
【0049】
次に、図11に示すように、薄膜磁気ヘッド素子5を挟むように第1ブロック6a及び第2ブロック6bの互いの接合端面6a1,6b1を光学接着剤を介して突合わせて接合する。その後、ブロック接合体を薄膜磁気ヘッド素子5の先端側が臨むように所定のギャップデプスDを残す位置まで平面研磨して、薄膜磁気ヘッド素子を有する光透過性基板3Sを得る。この光透過性基板3Sは、中央に薄膜磁気ヘッド素子5を有して、所要の大きさ例えば6mm×4mmの大きさに形成される。なお、電極パッド13が外部に臨むように、第1ブロック6aは6mm×2mm、第2ブロック6bは4mm×2mmの大きさに形成される。
【0050】
次に、図示しないが、この光透過性基板3S上にレンズ本体3Lである疑似半球レンズを光学接着剤を介して接合する。
【0051】
そして、図12Aに示すように、レンズ本体3Lを一体に接合した光透過性基板3Sの底面、すなわち磁気記録媒体と対向する対向面上に、第1のフォトレジスト膜24A、本例ではポジティブ型フォトレジスト膜を形成し、第1のフォトマスク25を介して所要の光26を照射して露光する。この露光処理は、薄膜磁気ヘッド素子5を有する所要面積の中央領域、本例では中心から直径50μm±5μmの円形領域に対応する部分以外が露光される。
【0052】
次に、図12Bに示すように、現像処理して、光透過性基板3Sの底面の中央領域に第1のレジストマスク27を形成する。次いで、第1のレジストマスク27を介して光透過性基板3Sの上記底面を選択的にエッチング除去して所要の深さの第1の段差d1を形成する。例えば深さ6μmの第1の段差d1を形成する。
【0053】
次に、図12Cに示すように、再度、光透過性基板3Sの上記底面上に第2のフォトレジスト膜24B、本例ではポジティブ型フォトレジスト膜を形成し、第2のフォトマスク28を介して所要の光26を照射して露光する。この露光処理は、第1の段差d1の一部を含む所要面積の中央領域、本例では中心から直径700μm±50μmの円形領域に対応する部分以外が露光される。
【0054】
次に、図12Dに示すように、現像処理して光透過性基板3Sの上記底面上に第2のレジストマスク29を形成する。次いで、第2のレジストマスク29を介して光透過性基板3Sの上記底面を選択エッチングして、第1の段差d1より深い第2の段差d2を形成する。例えば第1の段差d1から12μmの深さ、したがって合計の深さが18μmとなるような第2の段差d2を形成する。
【0055】
このようにして、図12Eに示すように、半球/超半球レンズ3を形成する。次に、図示しないが、この半球/超半球レンズ3上にスペーサ9を介して対物レンズ2を接合して、目的の光アシスト型磁気ヘッド1(図2参照)を得る。
【0056】
なお、薄膜磁気ヘッド素子5としては、記録再生用磁気ヘッド素子とするときは、記録用磁気ヘッドと、例えば磁気抵抗効果素子(MR素子)による再生用ヘッドを積層して形成することができる。
【0057】
図13は、本発明による光アシスト型磁気ヘッドを有する磁気記録装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
本実施の形態の磁気記録装置61は、光源部、例えば波長400nmの半導体レーザ素子を有する光源部62と、本発明に係る光アシスト型磁気ヘッド1と、磁気記録媒体11である磁気ディスクが配置されて回転駆動される磁気記録媒体11の配置部64と、光アシスト型磁気ヘッド1の薄膜磁気ヘッド素子5(図示せず)の磁気ヘッドコイルに記録信号を供給する記録信号電源部、すなわち記録信号回路65と、光源部62からのレーザ光を光アシスト型磁気ヘッド1に導入すると共に、磁気記録媒体11からの反射光(戻り光)を検出する例えばフォトダイオードを有する光検出手段66へと導入する光学系67とを有する。
【0058】
磁気記録媒体11は、ガラス基板15上に軟磁性層16、記録層17が順次積層されて構成される。
【0059】
光学系67は、例えばコトメータレンズ(図示せず)とビームスプリッタ68等を有して成る。また、光検出手段66によって検出された検出出力を演算し、光アシスト型磁気ヘッド1に対する所望のサーボ信号、例えばフォーカシング、トラッキング等の各サーボ信号を得て、これら制御を行う位置決め制御装置69を有する。また、光アシスト型磁気ヘッド1が、薄膜磁気記録ヘッド以外に、再生用薄膜磁気ヘッドを搭載する場合は、図示せざるも、ヘッド素子は再生信号回路に接続され、磁気信号再生動作を行う。
【0060】
磁気記録媒体配置部64は、例えば磁気ディスクである磁気記録媒体11が載置された状態で、スピンドルモータ70によって回転駆動するようになされている。位置決め制御装置は、例えば2軸アクチュエータによって構成することができる。2軸アクチュエータは2群集光レンズ系4を有する本発明に係る光アシスト型磁気ヘッド1が搭載され、トラッキングサーボ信号、フォーカスサーボ信号及びギャップサーボ信号に基づき駆動して、2群集光レンズ系4をトラッキング方向に移動調整し、また光軸方向すなわちフォーカス方向に移動調整する。
【0061】
本実施の形態の磁気記録装置61では、磁気記録媒体11が回転され、光源部62から所要の波長、この例では400nmのレーザ光が光学系67によって光アシスト型磁気ヘッド1の光軸に沿って導入され、この光アシスト型磁気ヘッド1による近接場光が、磁気記録媒体11上に照射される。光アシスト型磁気ヘッド1は、対物レンズ2と半球/超半球レンズ3による2群集光レンズ4により、その開口数NAが1.0以上とすることができ、近接場光による磁気記録媒体11上のスポットは微小となる。
【0062】
そして、このスポットが回転する磁気記録媒体11上に照射されると同時に、薄膜磁気ヘッド素子5の磁気ヘッドコイルに情報記録信号を供給することによって、薄膜磁気ヘッド素子5の主磁極の先端から記録信号磁界が磁気記録媒体11に印加されて信号の記録がなされる。
【0063】
本実施の形態の磁気記録装置61によれば、光アシスト型磁気ヘッド1の磁気記録媒体11と対向する面が、薄膜磁気ヘッド素子5が臨む中央領域を残して周辺に向って2段階の段差d1,d2で後退する形状とされるので、動作時の光アシスト型磁気ヘッド1と磁気記録媒体11と相対的傾きに起因する両者の接触を回避することができる。従って、光アシスト型磁気ヘッド1と磁気記録媒体11との間のギャップ制御として、安定したギャップ制御を行うことができ、実用に供する信頼性の高い磁気記録装置を提供できる。
【0064】
次に、上述した光透過性基板の底面に2段階の段差を設けた効果を確認した実験結果を説明する。合計段差が18μmの2段階の段差を施した本発明による光アシスト型磁気ヘッドを形成し、図13に示した磁気記録装置61で光アシスト型磁気ヘッド1の底面と磁気記録媒体(ここでは磁気ディスク)11表面との間の間隔を10nmに保つギャップサーボ特性を測定した。比較のために、段差が6μmの1段の段差のみ施しただけで他の構成は2段階の段差を施したものと同様にした比較例の光アシスト型磁気ヘッドについても、同様の測定を行った。
【0065】
なお、これらの実験においては、磁気記録を行わないため、記録ヘッドを内包しない構成を用いたが、実験の目的である光アシスト型磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触に関しては、記録ヘッドを内包する構成と同等であると考えた。また、実験において、磁気記録媒体(磁気ディスク)11は回転せず、静止させて行った。
【0066】
結果を図14に示す。図14は、縦軸に利得(dB)、位相(deg)をとり、横軸に周波数(Hz)をとって示す。グラフIaは2段階の段差を施した場合の利得曲線、グラフIbは2段階の段差を施した場合の位相曲線である。グラフIIaは1段階の段差のみの場合の利得曲線、IIbは1段階の段差のみの場合の位相曲線である。合計段差が6μmである1段階の段差の場合は、グラフIIa,IIbに示す通り、数kHzの周波数領域に利得及び位相の変化が見られ、接触が生じているためと考えられる。これに対して、合計段差が18μmの2段階の段差の場合は、グラフIa、Ibに示す通り、利得及び位相の周波数応答がスムーズであり、接触が生じていないことが確認される。
【0067】
このように、2段階の段差を施すことにより、光アシスト型磁気ヘッドと磁気ディスクとの間の接触を避けることができ、安定したギャップ制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る光アシスト型磁気ヘッドの一実施の形態を示す概略構成である。
【図2】本発明に係る光アシスト型磁気ヘッドの一実施の形態を示す一部破断した斜視図である。
【図3】本発明の2段階の段差の説明に供する概略断面図である。
【図4】本発明の説明に供する2群集光レンズ系の概略構成図である。
【図5】図4の2群集光レンズ系を用いた光入射角による波面収差特性を示す特性図である。
【図6】本実施の形態との比較に用いる参考例に係る光アシスト型磁気ヘッドの模式的構成図である。
【図7】A,B 本実施の形態と参考例との比較説明に供する従来の半球/超半球レンズの例を示す構成図である。
【図8】本実施の形態と参考例との比較説明に供する線図である。
【図9】本発明に係る光アシスト型磁気ヘッドの製造方法の一実施の形態を示す薄膜磁気ヘッド素子の構成図である。
【図10】本発明に係る光アシスト型磁気ヘッドの製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その1)である。
【図11】本発明に係る光アシスト型磁気ヘッドの製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その2)である。
【図12】A〜E 本発明に係る光アシスト型磁気ヘッドの製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その3)である。
【図13】本発明に係る磁気記録装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図14】本発明と参考例を比較した利得及び位相の周波数特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0069】
1・・光アシスト型磁気ヘッド、2・・対物レンズ、3・・半球/超半球レンズ、3L・・レンズ本体(疑似半球レンズ)、3S・・光透過性基板、d1,d2・・2段階の段差、5・・薄膜磁気ヘッド素子、6a,6b・・第1、第2ブロック、7・・突出部、g1・・間隙、11・・磁気記録媒体、12・・端子導出配線、13・・電極パッド、15・・基板、16・・軟磁性層、17・・記録層、24A,24B・・フォトレジスト膜、25,28・・フォトマスク、26・・露光用の光、30・・入射光、61・・磁気記録装置、62・・光源部、64・・磁気記録媒体配置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズと、半球レンズもしくは超半球レンズとを有する2群集光レンズ系と、薄膜磁気ヘッド素子とを有し、
前記半球レンズもしくは超半球レンズが、球面側レンズを構成するレンズ本体と、磁気記録媒体との対向面側に配置される光透過性基板との合体により構成され、
前記光透過性基板は、前記レンズ本体より外側に延長して形成され、
前記光透過性基板に、薄膜磁気ヘッド素子が形成され、
前記光透過性基板の前記磁気記録媒体との対向面が、前記薄膜磁気ヘッド素子が形成された中央領域を残して、周辺に向って前記磁気記録媒体から離れるように2段階の段差を有して後退されて成る
ことを特徴とする光アシスト型磁気ヘッド。
【請求項2】
前記2段階の段差のうち、第1の段差は、入射光を遮蔽しない浅い段差に設定され、
第2の段差は、前記第1の段差より深い段差に設定されて成る
ことを特徴とする請求項1記載の光アシスト型磁気ヘッド。
【請求項3】
前記第1の段差をd1、前記光透明性基板中心から第1の段差の終端までの半径をr1、前記第2の段差をd2,前記半球レンズもしくは超半球レンズの最大長さをr2としたとき、
r1≦(d1×r2)/(d1+d2)
の式を満足する
ことを特徴とする請求項2記載の光アシスト型磁気ヘッド。
【請求項4】
前記光透過性基板の前記レンズ本体より外側に延長する延長部に、前記薄膜磁気ヘッド素子の端子導出配線に接続する電極パッドが形成されて成る
ことを特徴とする請求項1記載の光アシスト型磁気ヘッド。
【請求項5】
対物レンズと、半球レンズもしくは超半球レンズを有する2群集光レンズ系と、薄膜磁気ヘッド素子とを有して成る光アシスト型磁気ヘッドの製造方法であって、
前記半球レンズもしくは超半球レンズの球面側レンズ部を構成するレンズ本体の形成工程と、
前記レンズ本体の磁気記録媒体との対向面側に、薄膜磁気ヘッド素子が配置され、前記レンズ本体より外部に延長された延長部を有する光透過性基板を接合する接合工程と、
前記光透過性基板の磁気記録媒体と対向する面に、前記薄膜磁気ヘッド素子が形成された中央領域を残して第1の段差を形成する第1の段差形成工程と、
前記光透過性基板の磁気記録媒体と対向する面に、前記薄膜磁気ヘッド素子が形成された中央領域と前記第1の段差の一部の領域を残して第2の段差を形成する第2の段差形成工程とを有する
ことを特徴とする光アシスト型磁気ヘッドの製造方法。
【請求項6】
光源部と、
磁気記録媒体配置部と、
光アシスト型磁気ヘッドと、
記録信号電源部と、
前記光源部からの光を前記光アシスト型磁気ヘッドに導く光路を形成する光学系とを有し、
前記光アシスト型磁気ヘッドは、対物レンズと、半球レンズもしくは超半球レンズとを有する2群集光レンズ系と、薄膜磁気ヘッド素子とを有し、
前記半球レンズもしくは超半球レンズが、球面側レンズを構成するレンズ本体と、磁気記録媒体との対向面側に配置される光透過性基板との合体により構成され、
前記光透過性基板は、前記レンズ本体より外側に延長して形成され、
前記光透過性基板に薄膜磁気ヘッド素子が形成され、
前記光透過性基板の前記磁気記録媒体との対向面が、前記薄膜磁気ヘッド素子が形成された中央領域を残して、周辺に向って前記磁気記録媒体から離れるように2段階の段差を有して後退されて成る
ことを特徴とする磁気記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−159150(P2008−159150A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346245(P2006−346245)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】