光アドレス型表示媒体の書き込み方法およびそれに用いる外光遮断部材、並びに光アドレス型表示媒体の書き込み装置
【課題】外光の存在下であってもそれに影響されること無く、形成される表示画像において良好なコントラストを得ることができる光アドレス型表示媒体の書き込み方法およびそれに用いるに適した部材、並びに書き込み装置を提供すること。
【解決手段】光アドレス型表示媒体1に光源18からアドレス光を照射することにより、画像を書き込む光アドレス型表示媒体の書き込み方法であって、前記アドレス光の進行方向に対して、その短辺の傾斜が略平行になるように配された細長の板状体が複数配列してなるルーバー状の外光遮断部材2を、光アドレス型表示媒体1の書き込み側の面に配した状態で、光源18からアドレス光を照射することを特徴とする光アドレス型表示媒体の書き込み方法である。
【解決手段】光アドレス型表示媒体1に光源18からアドレス光を照射することにより、画像を書き込む光アドレス型表示媒体の書き込み方法であって、前記アドレス光の進行方向に対して、その短辺の傾斜が略平行になるように配された細長の板状体が複数配列してなるルーバー状の外光遮断部材2を、光アドレス型表示媒体1の書き込み側の面に配した状態で、光源18からアドレス光を照射することを特徴とする光アドレス型表示媒体の書き込み方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光アドレス型表示媒体に光源からアドレス光を照射することにより画像を書き込む、光アドレス型表示媒体の書き込み方法並びに書き込み装置に関する。
詳しくは、外光の存在下においてアドレス光を照射して画像を書き込む際に適した光アドレス型表示媒体の書き込み方法並びに書き込み装置に関する。また、かかる光アドレス型表示媒体の書き込み方法に用いる外光遮断部材に関する。
【背景技術】
【0002】
森林資源保護などの地球環境保全や、スペースセーブといった事務環境改善などの理由から、紙に替わるハードコピー技術として、リライタブルマーキング技術への期待が大きい。
より一層利便性の高い各種リライタブルマーキング技術の研究が為されているが、その1つの方向性として、表示層(特に液晶層)と光導電層とを積層した光アドレス型表示媒体による技術は、繰り返し記録/消去を行うことを可能とし、その他優れた特性を実現し得ることから注目されている。
【0003】
かかる光アドレス型表示媒体に画像の書き込みをするには、一般に、表示側の面の裏面を書き込み側の面として、当該面を暗室状態の空間に位置させた上で、プロジェクタ等の露光装置により露光している(特許文献1参照)。図12に、このようにして光アドレス型表示媒体に、露光装置で画像の書き込みを行っている様子を表す模式図を示す。
【0004】
図12に示される例では、当該光書き込み装置は、プロジェクタ501と調光層504と電圧印加部502とからなるものである。調光層504は、特性切換電圧信号に応じて可逆的に光散乱性と光透過性とに切り換わり、投影画像を目視で閲覧可能とするものである。
【0005】
図12に示されるように、表示媒体503は、電圧印加部502により所定の電圧が印加されるとともに、プロジェクタ501からの光が調光層504にてアドレス光に変換されて、これが表示媒体503に照射されることにより画像が書き込まれる。この際、アドレス光が照射される書き込み側の面は、表示媒体503の表示側の裏面側である。
このように、表示媒体503における表示側の裏面側から投影することで、外光の影響を受けること無く、アドレス光のコントラストを確保していた。
【0006】
近年、持ち運びや携帯が可能な小型サイズのプロジェクタの開発が為されている。これは主に、卓上ないし壁表面に投影像を照射することを企図したものであるが、かかるプロジェクタにより光アドレス型表示媒体に画像の書き込みをすることができれば便利であるのは言うまでも無い。
【0007】
しかし、このような小型サイズのプロジェクタによる投影像の照射は、光アドレス型表示媒体の表示側から行うのが通常と考えられ、外光の存在を排して行うことは困難である。勿論、簡易的な投影像を露光することが目的の当該プロジェクタによって光アドレス型表示媒体に画像の書き込むに当たり、当該プロジェクタと光アドレス型表示媒体との間を暗室状態とするのは大掛かりに過ぎ、外光の存在下で投影像を照射して画像書き込みできなければ、実用性に疑問が生じる。
外光の存在下で画像書き込みを行えば、その外光の影響で、アドレス光の明暗コントラストが取り難くなり、書き込み後に形成される表示画像のコントラストも取れなくなる懸念がある。
【0008】
【特許文献1】特開2003−75865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、外光の存在下であってもそれに影響されること無く、形成される表示画像において良好なコントラストを得ることができる光アドレス型表示媒体の書き込み方法並びに書き込み装置を提供することにある。また、本発明は、上記目的を達し得る光アドレス型表示媒体の書き込み方法に用いるに適した部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明の光アドレス型表示媒体の書き込み方法(以下、単に「本発明の書き込み方法」という場合がある。)は、光アドレス型表示媒体に光源からアドレス光を照射することにより、画像を書き込む光アドレス型表示媒体の書き込み方法であって、
前記アドレス光の進行方向に対して、その短辺の傾斜が略平行になるように配された細長の板状体が複数配列してなるルーバー状の外光遮断部材を、前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面に配した状態で、前記光源からアドレス光を照射することを特徴とする。
【0011】
プロジェクタ等の露光手段によるアドレス光(書き込み光)は直進性が高く、それに対して外光は散乱光であり直進性が低い。それゆえ、前記アドレス光の進行方向に対して、その短辺の傾斜が略平行になるように配された細長の板状体が複数配列してなるルーバー状の外光遮断部材が、前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面に配されているため、前記アドレス光は、その進行方向に平行な前記外光遮断部材の間隙を通過し、進行方向が一定でない散乱光である外光は前記外光遮断部材の間隙をほとんど通過できず、遮蔽される。その結果、外光の影響を受けずに、明暗コントラストの取れた画像を光アドレス型表示媒体に形成することができる。
【0012】
本発明の書き込み方法は、前記光アドレス型表示媒体における書き込み側の面が、表示側の面を兼ねる場合に特に有効である。小型サイズのプロジェクタによる投影像の照射等、光アドレス型表示媒体の表示側から行う場合に、外光の存在を排して行うことが困難であるが、本発明によれば、その外光の影響を受けずに、明暗コントラストの取れた画像を光アドレス型表示媒体に形成することができる。
前記外光遮断部材を構成する板状体としては、その表面が黒色であることが好ましい。黒色とすることで、散乱光である外光が前記板状体表面で反射すること無く吸収され、外光が前記外光遮断部材によって効率的に遮蔽される。
【0013】
本発明の書き込み方法において、書き込み対象となる前記光アドレス型表示媒体としては、好適な物として、少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、含まれる液晶の相状態に応じて光を反射する表示層と、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて抵抗値を変化させる光導電層とが積層挟持されてなるものが挙げられ、この場合、前記アドレス光を照射する際に、併せて前記一対の電極層間に所定の電圧を印加する。また、前記表示層に含まれる液晶としては、コレステリック液晶であることが好ましく、前記表示層が、高分子中に前記コレステリック液晶が分散されてなるものであることが好ましい。また、前記光導電層としては、有機光導電体からなることが好ましい。
本発明の書き込み方法において、前記光源としては、プロジェクタのような点光源であっても、面光源であても構わない。
【0014】
また、本発明の外光遮断部材は、上記の如き本発明の光アドレス型表示媒体の書き込み方法に用いる外光遮断部材であって、細長の板状体が略同一角度で傾斜し、その面同士が略平行になるように複数配列されてルーバー状に構成されてなることを特徴とする。当該外光遮断部材は、前記光源が点光源である場合、当該点光源から発せられるアドレス光の進行方向は放射状になるため、それに対して短辺が略平行に複数配列される前記板状体は、必然的に、その長手方向に湾曲した形状となる。このように、本発明において「板状体」とは、平板状のものに限らず、全体として湾曲しているものを含む概念とする。
本発明の外光遮断部材としては、既述の理由から、その表面が黒色であることが好ましい。
【0015】
一方、本発明の光アドレス型表示媒体の書き込み装置(以下、単に「本発明の書き込み装置」という場合がある。)は、光アドレス型表示媒体に画像を書き込むための光アドレス型表示媒体の書き込み装置であって、
前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面にアドレス光を照射する露光手段と、
前記アドレス光の進行方向に対して、その短辺の傾斜が略平行になるように配された細長の板状体が複数配列してなるルーバー状で、前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面に着脱自在な外光遮断部材と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の書き込み装置によれば、前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面に前記外光遮断部を装着した状態で、そこに露光手段でアドレス光を照射すると、アドレス光は、その進行方向に平行な前記外光遮断部材の間隙を通過し、進行方向が一定でない散乱光である外光は前記外光遮断部材の間隙をほとんど通過できず、遮蔽される。その結果、外光の影響を受けずに、明暗コントラストの取れた画像を光アドレス型表示媒体に形成することができる。
【0017】
本発明の書き込み装置は、画像を書き込む対象となる前記光アドレス型表示媒体における書き込み側の面が、表示側の面を兼ねる場合に特に有効である。小型サイズのプロジェクタによる投影像の照射等、光アドレス型表示媒体の表示側から行う場合に、外光の存在を排して行うことが困難であるが、本発明によれば、その外光の影響を受けずに、明暗コントラストの取れた画像を光アドレス型表示媒体に形成することができる。
前記外光遮断部材を構成する板状体としては、その表面が黒色であることが好ましい。黒色とすることで、散乱光である外光が前記板状体表面で反射すること無く吸収され、外光が前記外光遮断部材によって効率的に遮蔽される。
【0018】
本発明の書き込み装置において、書き込み対象となる前記光アドレス型表示媒体としては、好適な物として、少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、含まれる液晶の相状態に応じて光を反射する表示層と、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて抵抗値を変化させる光導電層とが積層挟持されてなるものが挙げられ、この場合、本発明の書き込み装置にはさらに、前記一対の電極層間に電圧を印加する電圧印加手段を備えることが望ましい。また、前記表示層に含まれる液晶としては、コレステリック液晶であることが好ましく、前記表示層が、高分子中に前記コレステリック液晶が分散されてなるものであることが好ましい。また、前記光導電層としては、有機光導電体からなることが好ましい。
本発明の書き込み装置において、前記光源としては、プロジェクタのような点光源であっても、面光源であても構わない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、散乱光を遮蔽し得る本発明に特徴的な外光遮断部材を用いることで、外光の存在下であってもそれに影響されること無く、形成される表示画像において良好なコントラストを得ることができる光アドレス型表示媒体の書き込み方法並びに書き込み装置を提供することができる。
また、本発明は、良好なコントラストの表示画像を形成することができる光アドレス型表示媒体の書き込み方法に用いるに適した外光遮断部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、好ましい実施形態を挙げて本発明を具体的に説明する。
図1は、本発明の光アドレス型表示媒体の書き込み方法を適用したシステムの例示的一態様である実施形態の概略構成図である。本実施形態のシステムは、大きく分けて、表示媒体(光アドレス型表示媒体)1、および、電源装置(電圧印加手段)17とプロジェクタ(露光手段)18と外光遮断シート(外光遮断部材)2とから構成される書き込み装置(光アドレス型表示媒体の書き込み装置)の2つの構成要素からなる。この両構成要素について、詳細に説明してから、その動作について説明する。
【0021】
<表示媒体>
本実施形態において、表示媒体(光アドレス型表示媒体)1としては、表示側と書き込み側とが同一面の物を例示している。かかる表示媒体1は、表示面側から順に、透明基板3、電極層5、表示層7、ラミネート層8、OPC層(光導電層)10、電極層6および基板4が積層されてなる物である。
【0022】
(基板)
透明基板3および基板4は、各機能層を内面に保持し、表示媒体の構造を維持する目的の部材である。透明基板3および基板4は、外力に耐える強度を有するシート形状の物体であり、表示面側の透明基板3は少なくとも入射光およびアドレス光を透過する機能を有する。使用目的によっては、フレキシブル性を有することが好ましい。具体的な材料としては、無機シート(たとえばガラス・シリコン)、高分子フィルム(たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート)等を挙げることができる。外表面に、防汚膜、耐磨耗膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
【0023】
(電極層)
電極層5,6は、電源装置17から印加されたバイアス電圧を、表示媒体内の各機能層へ面均一に印加する目的の部材である。電極層5,6は、面均一な導電性を有し、表示側の電極層5は少なくとも入射光およびアドレス光を透過する機能を有する。具体的には、金属(たとえば金、アルミニウム)、金属酸化物(たとえば酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO))、導電性有機高分子(たとえばポリチオフェン系・ポリアニリン系)などで形成された導電性薄膜を挙げることができる。表面に、密着力改善膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。なお、本発明において表示側からアドレス光を入射することができ、この場合非表示側の電極(本実施形態で言えば電極層6)は、透明でなくても構わない。
【0024】
(表示層)
本発明において表示層とは、電場によって入射光のうち特定の色光の反射・透過状態を変調する機能を有し、選択した状態が無電場で保持できる性質のものである。曲げや圧力などの外力に対して変形しない構造であることが好ましい。
【0025】
本発明において表示層としては、光を反射する機能を有する層であれば特に制限は無く、例えば液晶の相変化を利用するのであれば、垂直配向ネマチック液晶、平行配向ネマチック液晶、ツイストネマチック液晶、スーパーツイストネマチック液晶、表面安定化強誘電性液晶等、偏光状態の変化を利用する方式のもの、高分子分散型液晶などの光散乱状態の変化を利用する方式のもの、ゲストホスト液晶などの光吸収状態の変化を利用する方式のもの、コレステリック(カイラルネマチック)液晶などの光干渉状態の変化を利用する方式のものなど、光学効果の異なる種々の液晶素子を用いることができる。本実施形態では、最後者の方式のものを例示している。
【0026】
本実施形態において表示層としては、コレステリック液晶および透明樹脂からなる自己保持型液晶複合体の液晶層が形成されてなるものである。すなわち、複合体として自己保持性を有するためスペーサ等を必要としない液晶層である。本実施形態では、不図示ではあるが、高分子マトリックス(透明樹脂)中にコレステリック液晶が分散した状態となっている。
なお、本発明においては、表示層が、自己保持型液晶複合体の液晶層であることは必須ではなく、単に液晶のみで表示層を構成することとしても勿論構わないし、液晶以外の表示方式であっても構わない。
【0027】
コレステリック液晶は、入射光のうち特定の色光の反射・透過状態を変調する機能を有し、液晶分子がらせん状に捩れて配向しており、らせん軸方向から入射した光のうち、らせんピッチに依存した特定の光を干渉反射する。電場によって配向が変化し、反射状態を変化させることができる。表示層を自己保持型液晶複合体とする場合には、ドロップサイズが均一で、単層稠密に配置されていることが好ましい。
【0028】
コレステリック液晶として使用可能な具体的な液晶としては、ネマチック液晶やスメクチック液晶(たとえばシッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ビフェニル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキサン系、トラン系、アルケニル系、スチルベン系、縮合多環系)、またはこれらの混合物に、光学活性材料(たとえばステロイド系コレステロール誘導体、シッフ塩基系、アゾ系、エステル系、ビフェニル系)を添加したもの等を挙げることができる。
【0029】
コレステリック液晶の螺旋ピッチは、ネマチック液晶に対するカイラル剤の添加量で調整する。例えば、表示色を青、緑、あるいは赤とする場合には、それぞれ選択反射の中心波長が、順に400nm〜500nm、500nm〜600nm、あるいは600nm〜700nmの範囲になるようにする。また、コレステリック液晶の螺旋ピッチの温度依存性を補償するために、捩じれ方向が異なる、または逆の温度依存性を示す複数のカイラル剤を添加する公知の手法を用いてもよい。
【0030】
表示層7がコレステリック液晶と高分子マトリックス(透明樹脂)からなる自己保持型液晶複合体を形成する形態としては、コレステリック液晶の連続相中に網目状の樹脂を含むPNLC(Polymer Network Liquid Crystal)構造や、高分子の骨格中にコレステリック液晶がドロップレット状に分散されたPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)構造を用いることができ、PNLC構造やPDLC構造とすることによって、コレステリック液晶と高分子の界面にアンカリング効果を生じ、無電界でのプレーナ相またはフォーカルコニック相の保持状態を、より安定にすることができる。
【0031】
PNLC構造やPDLC構造は、高分子と液晶とを相分離させる公知の方法、例えば、アクリル系、チオール系、エポキシ系などの、熱や光、電子線などによって重合する高分子前駆体と液晶を混合し、均一相の状態から重合させて相分離させるPIPS(Polymerization Induced PhaseSeparation)法、ポリビニルアルコールなどの、液晶の溶解度が低い高分子と液晶とを混合し、攪拌懸濁させて、液晶を高分子中にドロップレット分散させるエマルジョン法、熱可塑性高分子と液晶とを混合し、均一相に加熱した状態から冷却して相分離させるTIPS(Thermally Induced Phase Separation)法、高分子と液晶とをクロロホルムなどの溶媒に溶かし、溶媒を蒸発させて高分子と液晶とを相分離させるSIPS(Solvent Induced Phase Separation)法などによって形成することができるが、特に限定されるものではない。
【0032】
高分子マトリックスは、コレステリック液晶を保持し、表示媒体の変形による液晶の流動(画像の変化)を抑制する機能を有するものであり、液晶材料に溶解せず、また液晶と相溶しない液体を溶剤とする高分子材料が好適に用いられる。また、高分子マトリックスとしては、外力に耐える強度をもち、少なくとも反射光およびアドレス光に対して高い透過性を示す材料であることが望まれる。
【0033】
高分子マトリックスとして採用可能な材料としては、水溶性高分子材料(たとえばゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリル酸系ポリマー、エチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸ポリマー)、あるいは水性エマルジョン化できる材料(たとえばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂)等を挙げることができる。
【0034】
(OPC層)
OPC層(光導電層)10は、内部光電効果をもち、アドレス光の照射強度に応じてインピーダンス特性が変化する特性を有する層である。交流(AC)動作が可能であり、アドレス光に対して対称駆動であることが望ましい。電荷発生層(CGL)が電荷輸送層(CTL)の上下に積層された3層構造に形成されてなる。本実施形態では、OPC層10として、図1における上層から順に上側の電荷発生層13、電荷輸送層14および下側の電荷発生層15が積層されてなる。
【0035】
電荷発生層13,15は、アドレス光を吸収して光キャリアを発生させる機能を有する層である。主に、電荷発生層13が表示面側の電極層5から書き込み面側の電極層6の方向に流れる光キャリア量を、電荷発生層15が書き込み面側の電極層6から表示面側の電極層5の方向に流れる光キャリア量を、それぞれ左右している。電荷発生層13,15としては、アドレス光を吸収して励起子を発生させ、CGL内部、またはCGL/CTL界面で自由キャリアに効率良く分離させられるものが好ましい。
【0036】
電荷発生層13,15は、電荷発生材料(たとえば金属又は無金属フタロシアニン、スクアリウム化合物、アズレニウム化合物、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスやトリス等アゾ顔料、キナクリドン顔料、ピロロピロール色素、多環キノン顔料、ジブロモアントアントロンなど縮環芳香族系顔料、シアニン色素、キサンテン顔料、ポリビニルカルバゾールとニトロフルオレン等電荷移動錯体、ピリリウム塩染料とポリカーボネート樹脂からなる共昌錯体)を直接成膜する乾式法か、またはこれら電荷発生材料を、高分子バインダー(たとえばポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルカルバゾール樹脂、ビニルホルマール樹脂、部分変性ビニルアセタール樹脂、カーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ビニルアセテート樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂等)とともに適当な溶剤に分散ないし溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて成膜する湿式塗布法等により形成することができる。
【0037】
電荷輸送層14は、電荷発生層13,15で発生した光キャリアが注入されて、バイアス信号で印加された電場方向にドリフトする機能を有する層である。一般にCTLは、CGLの数10倍の厚みを有するため、電荷輸送層14の容量、電荷輸送層14の暗電流、および電荷輸送層14内部の光キャリア電流が、OPC層10全体の明暗インピーダンスを決定付けている。
【0038】
電荷輸送層14は、電荷発生層13,15からの自由キャリアの注入が効率良く発生し(電荷発生層13,15とイオン化ポテンシャルが近いことが好ましい)、注入された自由キャリアができるだけ高速にホッピング移動するものが好適である。暗時のインピーダンスを高くするため、熱キャリアによる暗電流は低い方が好ましい。
【0039】
電荷輸送層14は、低分子の正孔輸送材料(たとえばトリニトロフルオレン系化合物、ポリビニルカルバゾール系化合物、オキサジアゾール系化合物、ベンジルアミノ系ヒドラゾンあるいはキノリン系ヒドラゾン等のヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ベンジジン系化合物)、または低分子の電子輸送材料(たとえばキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、フルフレオン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物)を、高分子バインダー(たとえばポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、含珪素架橋型樹脂等)とともに適当な溶剤に分散ないし溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて形成すればよい。
【0040】
(ラミネート層)
ラミネート層8は、ガラス転移点の低い高分子材料からなるものであり、熱や圧力によって表示層7とOPC層10(電荷発生層13)とを密着・接着させることができる材料が選択される。また、少なくとも入射光、アドレス光に対して透過性を有することが条件となる。
ラミネート層8に好適な材料としては、粘着性の高分子材料(たとえばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂)を挙げることができる。
なお、ラミネート層8は、本発明において必須の構成要素ではない。
【0041】
<書き込み装置>
本実施形態において書き込み装置(光アドレス型表示媒体の駆動装置)とは、表示媒体1に画像を書き込む装置であり、表示媒体1に対してアドレス光の照射を行うプロジェクタ(露光手段)18、表示媒体1に電圧を印加する電源装置(電圧印加手段)17および外光遮断シート(外光遮断部材)2を主要構成要素とし、さらにこの動作を制御する制御回路(不図示)が配されてなる。
【0042】
(プロジェクタ)
プロジェクタ(露光手段)18は、像様となる所定のアドレス光パターンを表示媒体1に照射する機能を有し、制御回路からの入力信号に基づき、表示媒体1上(詳しくは、OPC層上)に所望の光画像パターン(スペクトル・強度・空間周波数)を照射できるものであれば特に制限されるものではない。
【0043】
プロジェクタ18により照射されるアドレス光としては、以下の条件のものが好ましく選択される。
・スペクトル:OPC層10の吸収波長域のエネルギーができるだけ多いことが好ましい。
・照射強度:明時に表示層7への印加電圧がOPC層10との分圧により上下閾値の電圧以上となって、表示層7中の液晶を相変化させ、暗時にはそれ以下となるような強度。
プロジェクタ18により照射されるアドレス光としては、OPC層10の吸収波長域内にピーク強度を持ち、できるだけバンド幅の狭い光であることが望ましい。
【0044】
本実施形態におけるプロジェクタ18は、レーザーダイオード(LD)を光源に持ち、持ち運びや携帯が可能な小型サイズのものであり、一様な光を像様に変換する調光素子(調光層)を内蔵しており、直接画像を投影できるように構成されている。
【0045】
なお、本発明の書き込み装置においては、露光手段はプロジェクタ方式のものに限定されるものではない。プロジェクタ方式のものを含め、具体的には以下のものが挙げられる。
(1−1)光源(たとえば、冷陰極管、キセノンランプ、ハロゲンランプ、LED、EL等)をアレイ状に配置したものや、光源と導光板とを組み合せたもの、などの均一な光源
(1−2)光パターンを作る調光素子(たとえば、LCD、フォトマスクなど)の組み合わせ
(2)面発光型ディスプレイ(たとえばCRT、PDP、EL、LED、FED、SED)
(3)上記(1−1)、(1−2)あるいは(2)と光学素子(たとえばマイクロレンズアレイ、セルホックレンズアレイ、プリズムアレイ、視野角調整シート)との組み合わせ
【0046】
調光部材を内蔵しない露光手段を用いる場合には、従来技術の図12を用いて説明したような、プロジェクタ501からの光を調光層504にてアドレス光に変換する構成のものを問題なく用いることができる。この場合、使用可能な調光層としては、具体的には、日本板硝子ウムプロダクツ社製「ウムフィルム」等を挙げることができる。
【0047】
(電源装置)
電源装置(電圧印加手段)17は、所定のバイアス電圧を表示媒体1に印加する機能を有し、制御回路(不図示)からの入力信号に基づき、表示媒体(各電極間)に所望の電圧波形を印加できるものであればよい。ただし、AC出力ができ、高いスルーレートが要求される。電源装置17には、例えばバイポーラ高電圧アンプなどを用いることができる。
【0048】
電源装置17による表示媒体1への電圧の印加は、接触端子19,20を介して、電極層5−電極層6間に為される。
ここで接触端子19,20とは、電源装置17および表示媒体1(電極層5,6)に接触して、両者の導通を行う部材であり、高い導電性を有し、電極層5,6および電源装置17との接触抵抗が小さいものが選択される。表示媒体1と電源装置17とを切り離すことができるように、電極層5,6と電源装置17とのどちらか、あるいは両者から分離できる構造であることが好ましい。
【0049】
接触端子19,20としては、金属(たとえば金・銀・銅・アルミ・鉄)、炭素、これらを高分子中に分散させた複合体、導電性高分子(たとえばポリチオフェン系・ポリアニリン系)などでできた端子で、電極を挟持するクリップ・コネクタ形状のものが挙げられる。
【0050】
(制御回路)
不図示の制御回路は、外部(画像取り込み装置、画像受信装置、画像処理装置、画像再生装置、あるいはこれらの複数の機能を併せ持つ装置等)からの画像データに応じて、電源装置17およびプロジェクタ18の動作を適宜制御する機能を有する部材である。制御回路による具体的な制御内容は、表示層7におけるコレステリック液晶が、最終的にプレーナ相による反射と、フォーカルコニック相による透過とが画像様に選択されるような制御である。具体的な制御内容の例は、以下の駆動方法の項で述べる。
【0051】
(外光遮断シート)
表示媒体1における表示側の面に配される、本発明に特徴的な外光遮断シート(外光遮断部材)2は、細長の板状体が複数配列してなるルーバー状の物である。図2に、本実施形態に用いた外光遮断シート2の模式的な斜視図を示す。図2に示されるように、外光遮断シート2においては、板状体12aが複数配列している。
【0052】
なお、板状体12aの大きさや密度、板状体12a間の距離等は、説明の容易のため、実際の物に比して大幅に変えている。すなわち、板状体12aは、より細長であり長編は短辺に比して圧倒的に長いが、説明の容易のために、短辺の長さを長めに描き、密度も圧倒的に小さくし、かつ、板状体12a間の距離を広めに取っている。以下、外光遮断シート(外光遮断部材)の説明のための図面について、何れも同様である。
【0053】
この板状体12aのみを抜き出して表したのが、図3である。また、図3におけるA−A矢視断面図を図4に示す。図3および図4からわかるように、外光遮断シート2は、斜めに傾いた細長の板状体12aが複数平行にルーバー状(ブラインド状)に配列してなるものである。この板状体12aの傾きは、図4に示されように、アドレス光(図1におけるプロジェクタ18により照射される光)の進行方向に対して、板状体12aの短辺が平行になるような角度となっている。
【0054】
なお、本実施形態では、図1に示されるようにアドレス光を表示媒体1の直上ではなく、ややずれた位置から斜めに照射しているため、板状体12aが斜めに傾いた状態のものを例示しているが、本発明において、外光遮断部材としては、板状体が常に斜めに傾いていなければならないわけではない。
【0055】
図5に、他の外光遮断シート(外光遮断部材)の例示であって、板状体12bのみ抜き出し、図4と同様の方向から見た断面図を示す。このように、アドレス光が外光遮断シートに対して垂直方向から照射される場合には、板状体12bの短辺もこれに平行となるため、外光遮断シート表面に対して垂直に配列された状態となる。
【0056】
ところで、露光手段の光源が面光源である等アドレス光が平行光である場合や、露光手段の光源が外光遮断シートから十分に離れていて、アドレス光が実質的に平行光であると看做せる場合には、図4および図5に示されるように板状体12a,12b同士が、平行に配列された状態で問題無いが、露光手段の光源が点光源であり、かつ、外光遮断シート(さらには、光アドレス型表示媒体)からの距離が近い場合には、アドレス光は放射状に拡散し、平行光では無いため、アドレス光の進行方向に沿って配置される板状体の傾きが一定ではなくなり、板状体同士が平行に配列しない。
【0057】
図6に、露光手段の光源が点光源であり、かつ、外光遮断シートからの距離が近い場合の外光遮断シート(外光遮断部材)を例示して示す。当該図6は、板状体12cのみ抜き出し、図4と同様の方向から見た断面図であり、光源との位置関係を説明するために、光源を図面に含めている。
【0058】
図6に示されるように、光源9が点光源であり、かつ、外光遮断シートからの距離が近いと、アドレス光は放射状に進行しており、照射される位置が光源9から遠くなるほどアドレス光の傾斜が大きくなる。したがって、そのようなアドレス光の進行方向にその短辺が略平行に倣う板状体12cも、光源9から離れているほどその傾斜が大きくなっている。
【0059】
この場合、外光遮断シートは平面的にも板状体が特徴的な配列状態を呈する。図7に、図6に板状体12cのみ抜き出して例示された外光遮断シート(外光遮断部材)2’の斜視図を示す。図7に示されるように、板状体12cは、その長手方向で(長辺が)湾曲して、全体として年輪状になっている。これは、外光遮断シート2’表面における光源9との距離に応じてアドレス光の傾きが決まるので、その距離が等しい部位に同一の傾きで板状体12cを形成した場合、必然的に板状体12cの形状が湾曲するからである。
【0060】
ただし、外光遮断シート(外光遮断部材)において、板状体を湾曲させる必要性があるのは、あくまでも露光手段の光源が点光源であり、かつ、外光遮断シートからの距離が近い場合のみであり、また、板状体の密度、短辺の長さ、求める外光の遮蔽性能等によっては、そこまで要求されない。したがって、本発明において、アドレス光の進行方向に対して板状体の短辺は、完全に平行であることが要求されるわけではなく、ある程度の幅を許容するものである。本発明において、アドレス光の進行方向と板状体の短辺との関係を、「平行」と表現せずに「略平行」と表現したのは、このことに由来する。
【0061】
アドレス光の進行方向と板状体の短辺との関係において、平行状態からどの程度の幅を許容するかは、板状体の密度、短辺の長さ、求める外光の遮蔽性能、アドレス光の強度等によって大きく異なってくるため一概に言えない。より詳しくは、少なくともアドレス光の進行を阻害しない程度であることが望まれ、光アドレス型表示媒体の書き込みに支障が出なければ構わない。
【0062】
板状体12の材質としては、特に限定されず、あらゆる物を使用することができるが、成形性の観点から、各種プラスチックや紙等が好ましい。また、外光の反射による散乱・透過を防止するために、板状体12の表面は、黒色であることが望ましい。板状体12の表面を黒色にする方法としては、板状体12を構成する材質自体黒色の物を用いるか、その表面を黒色の層で被覆すればよい。黒色の層は、黒色の塗料や染料を塗布することにより形成することができる。
【0063】
外光遮断シート(外光遮断部材)2は、板状体12相互間の間隙を透明の充填剤で充填して成形しても構わない。充填剤で充填することで形状保持性を付与することができ、シートとして扱うことができるようになる。
また、板状体12相互間の間隙を透明の充填剤で充填するかしないかに関わらず、外光遮断シート2の表面および/または裏面を透明のカバー材で覆うこともできる。透明のカバー材で覆うことによって、形状保持性を付与することができるのは勿論、外部からの衝撃による破損、傷等を防止することができる。
上記のような充填剤やカバー材として使用可能な材料としては、透明性を有する物であれば特に制限されず、各種プラスチック材料やガラスが問題なく使用できるが、成形性や透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレートが最も好適な物として挙げられる。
【0064】
本実施形態では、外光遮断シート2は、1枚のみ用いているが、板状体12の傾斜方向を揃えることを条件として、2枚以上重ねて用いても構わない。外光遮断シート2を2枚以上重ねて用いた場合、外光の遮蔽性は向上するが、アドレス光の透過性はどうしても低下傾向を示す。そのため、所望とする外光の遮蔽性とアドレス光の透過性の程度により、適宜選択すればよい。
【0065】
なお、図5に示されるような板状体12bの傾きの場合、すなわち、外光遮断シート(さらには光アドレス型表示媒体)に照射されるアドレス光が、これらに対して垂直に進行する場合の外光遮断シートとしては、市販されている視野角調整フィルム(例えば、住友スリーエム(株)製「(商品名)ライトコントロールフィルム」等)をそのまま用いることができる。
【0066】
<動作>
本実施形態においては、既述の通り、コレステリック液晶および透明樹脂からなる自己保持型液晶複合体の液晶層が表示層7として形成されてなるものである。
コレステリック液晶(カイラルネマチック液晶)が示すプレーナ相は、螺旋軸に平行に入射した光を右旋光と左旋光に分け、螺旋の捩じれ方向に一致する円偏光成分をブラッグ反射し、残りの光を透過させる選択反射現象を起こす。反射光の中心波長λおよび反射波長幅Δλは、螺旋ピッチをp、螺旋軸に直交する平面内の平均屈折率をn、複屈折率をΔnとすると、それぞれ、λ=n・p、Δλ=Δn・pで表され、プレーナ相のコレステリック液晶層による反射光は、螺旋ピッチに依存した鮮やかな色を呈する。
【0067】
正の誘電率異方性を有するコレステリック液晶は、図8(A)に示すように、螺旋軸がセル表面に垂直になり、入射光に対して上記の選択反射現象を起こすプレーナ相、図8(B)に示すように、螺旋軸がほぼセル表面に平行になり、入射光を少し前方散乱させながら透過させるフォーカルコニック相、および図8(C)に示すように、螺旋構造がほどけて液晶ダイレクタが電界方向を向き、入射光をほぼ完全に透過させるホメオトロピック相、の3つの状態を示す。
【0068】
上記の3つの状態のうち、プレーナ相とフォーカルコニック相は、無電界で双安定に存在することができる。したがって、コレステリック液晶の相状態は、液晶層に印加される電界強度に対して一義的に決まらず、プレーナ相が初期状態の場合には、電界強度の増加に伴って、プレーナ相、フォーカルコニック相、ホメオトロピック相の順に変化し、フォーカルコニック相が初期状態の場合には、電界強度の増加に伴って、フォーカルコニック相、ホメオトロピック相の順に変化する。
【0069】
一方、液晶層に印加した電界強度を急激にゼロにした場合には、プレーナ相とフォーカルコニック相はそのままの状態を維持し、ホメオトロピック相はプレーナ相に変化する。
したがって、パルス信号を印加した直後のコレステリック液晶層は、図9に示すようなスイッチング挙動を示し、印加されたパルス信号の電圧が、Vfh以上のときには、ホメオトロピック相からプレーナ相に変化した選択反射状態となり、VpfとVfhの間のときには、フォーカルコニック相による透過状態となり、Vpf以下のときには、パルス信号印加前の状態を継続した状態、すなわちプレーナ相による選択反射状態またはフォーカルコニック相による透過状態となる。
【0070】
なお、図中、縦軸は正規化反射率であり、最大反射率を100、最小反射率を0として、反射率を正規化している。また、プレーナ相、フォーカルコニック相およびホメオトロピック相の各状態間には、遷移領域が存在するため、正規化反射率が50以上の場合を選択反射状態、正規化反射率が50未満の場合を透過状態と定義し、プレーナ相とフォーカルコニック相の相変化のしきい値電圧をVpfとし、フォーカルコニック相とホメオトロピック相の相変化のしきい値電圧をVfhとする。
【0071】
特に、コレステリック液晶の連続相中に網目状の樹脂を含むPNLC(Polymer Network Liquid Crystal)構造や、高分子の骨格中にコレステリック液晶がドロップレット状に分散されたPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)構造(マイクロカプセル化されたものを含む)の液晶層においては、コレステリック液晶と高分子の界面における干渉により(アンカリング効果)、プレーナ相とフォーカルコニック相の無電界における双安定性が向上し、長期間に渡ってパルス信号印加直後の状態を保持することができる。
【0072】
本実施形態における表示媒体1では、このコレステリック液晶の双安定現象を利用して、(A)プレーナ相による選択反射状態と、(B)フォーカルコニック相による透過状態とを、電源装置17により所定の電圧を印加しつつプロジェクタ18によりスイッチングすることによって、無電界でのメモリ性を有する画像が書き込まれ、表示される。
【0073】
電源装置17により印加する電圧は、例えば、表示層7にVpf〜Vfh間の分圧がかかり、プロジェクタ18により所定の波長並びに強度のアドレス光が照射された時に、表示層7にかかる分圧がVfh以上となる電圧としておく。かかる電圧が印加された状態では、プレーナ(P)状態の部位はフォーカルコニック(F)状態に相変化し、フォーカルコニック(F)状態の部位はそのまま相変化せず、全ての部位がフォーカルコニック(F)状態となる。
【0074】
なお、プロジェクタ18の位置は、図1に示されるように、表示媒体1の中心の真上ではなく、横にずれた位置とした。そのため、アドレス光はやや斜めに、外光遮断シート2並びに表示媒体1に照射される。
ただし、図1が概略構成図であるため表現されていないが、プロジェクタ18の位置は、外光遮断シート2並びに表示媒体1から十分に離れているため、本実施形態において、アドレス光の進行方向が平行(アドレス光が平行光)であると看做して問題無い。
【0075】
この状態で、プロジェクタ18により選択的にアドレス光が照射されると、当該照射された部位のみがVfh以上の分圧がかかり、フォーカルコニック(F)状態からホメオトロピック(H)状態に相変化する。その後印加電圧を解除すると、アドレス光が照射されホメオトロピック(H)状態に相変化した部位は、選択反射状態のプレーナ(P)相となる。一方、書き込み光が照射されなかった部位は、透過状態のフォーカルコニック(F)相のままである。このようにして相変化が選択的に為され、画像が書き込まれる。
【0076】
なお、本発明においては、どの相状態の変化を利用するかは特に制限は無く、所定の波長並びに強度の書き込み光を選択的に照射することで相変化が生じ、反射/透過が選択されて画像が書き込みできれば問題無い。本実施形態においても、例えば、Vfh以上の電圧を印加してこれを解除する等により、予め全面をプレーナ(P)状態としておき、その後Vpf以下で所定の波長並びに強度の書き込み光が照射された時にVpf以上となる電圧を表示層7に印加しつつ、書き込み光を選択的に照射して、当該照射された部位をフォーカルコニック(F)状態に相変化させる相変化を利用しても構わない。この場合、書き込み光が照射された部位は、透過状態のフォーカルコニック(F)相となり、書き込み光が照射されなかった部位は、選択反射状態のプレーナ(P)相となる。このようにして相変化が選択的に為され、画像が書き込まれる。
【0077】
上記書き込み動作を、蛍光灯が灯った室内等外光が存在する中で行った場合にも、外光遮断シート2が表示媒体1の書き込み側(=表示側)の面を覆っているため、散乱光である外光はこれにより遮蔽される。一方、プロジェクタ18からのアドレス光は、外光遮断シート2内の板状体12の短辺が当該アドレス光と平行なので、板状体12の間隙を難なく透過することができる。
【0078】
このように本実施形態では、アドレス光のON/OFFのコントラストを阻害する外光を外光遮断シート2によって効果的に遮蔽し、アドレス光は基本的にそのまま外光遮断シート2を透過するので、外光の存在下であってもそれに影響されること無く、形成される表示画像において良好なコントラストを得ることができる。
【0079】
<外光遮断シートの機能評価試験>
以下、本発明で使用する外光遮断部材が、本発明の効果を発現する作用を生じ得ることを、外光遮断部材の具体例である2つの外光遮断シートの機能を評価することで確認した。また、光アドレス型表示媒体のアドレス光の強度に対する特性を測定して、外光遮断シートの機能から、本発明の書き込み方法の条件を検討した。
【0080】
(評価試験1)
図10は、評価試験1に供したセットの概要を示す説明図である。
実験室内の作業台の上方40cmの位置に、アドレス光を照射するプロジェクタの光源をセットした。当該光源は、最も近い室内蛍光灯と平面的に見て80cm離れた位置にセットした。室内蛍光灯が埋め込まれた天井高は、作業台から180cmである。なお、室内蛍光灯は、200cmピッチで平行に並んでおり、図10におけるプロジェクタの上方右側にも存在するが、図10では図示が省略されている。
【0081】
室内蛍光灯直下の作業台上を測定点A、プロジェクタの光源直下の作業台上を測定点Bとした。プロジェクタの光源からのアドレス光は、測定点Aで測定する際には測定点Aに向けて、測定点Bで測定する際には直下(測定点B)に向けて、それぞれ照射した。すなわち、測定点Aでは作業台からの垂線に対して60゜の角度でアドレス光が測定点を照射し、測定点Bでは全くの垂直方向からアドレス光が測定点を照射することになる。
なお、何れの測定点においても、室内蛍光灯からの照明光(散乱光)が常に照射されている。
【0082】
測定点AおよびBに、光量計のセンサー部を平置きし、その上に外光遮断シート(外光遮断部材)を密着させて載置した場合(2)と、何も載せずにそのままの場合(1)とで、プロジェクタの光源をON/OFF(明時/暗時)して、それぞれの条件における光量(測定周波数:550nm)を測定した。
【0083】
なお、外光遮断シートには、住友スリーエム(株)製視野角調整フィルム(商品名:ライトコントロールフィルム、可視角度60゜)を用いた。この視野角調整フィルムは、図5に示されるように板状体12bがフィルム面に対して垂直に配列しており、短辺の長さおよび各板状体12bの間隙から、視野角60゜以上の方向から視認することができないように調整された物である。
これは換言すれば、用いた外光遮断シートが、その表面からの垂線に対して30゜以上の角度となる進行方向のアドレス光やその他の光を遮断する機能を有することを意味する。
【0084】
また、外光遮断シートを載置させた場合(2)については、この視野角調整フィルムが1枚の場合(2−1)と2枚重ねた場合(2−2)の2つの条件で試験を行った。
下記表1に、本評価試験の結果を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示される測定点Bの結果から、外光遮断シート無しでは暗時でも外光の影響を大きく受けてかなりの大きさの光量となり、明暗コントラストが十分でなかったのが、外光遮断シートを介することにより暗時の外光の影響を抑えることができ、明暗コントラストが高くなっていることがわかる。このとき、外光遮断シート1枚に比して2枚用いた方が、より明暗コントラストが高くなるが、その分アドレス光にもロスが生じ、明時における光量が低くなっているのがわかる。
【0087】
一方、表1に示される測定点Aの結果から、真上にある室内蛍光灯でも外光遮断シートを介することにより、かなりその透過を阻止することができ、外光遮断シートが1枚よりも2枚の方が高い効果が得られることがわかる。また、作業台(さらには外光遮断シート)の垂線に対して60゜斜めの角度から照射されるアドレス光は、外光遮断シートを介した場合ほとんど全てカットされ、そのON/OFFが光量に影響を与えないのがわかる。
【0088】
以上のように、評価試験1の結果から、板状体がシート表面に対して垂直に配列した外光遮光シートが、外光の遮蔽に効果があり、かつ、アドレス光は有効に透過するため、アドレス光の高い明暗コントラストが実現できることが確認された。
また、外光遮光シートを2枚重ねることで、外光の遮蔽効果が高まりアドレス光の高い明暗コントラストを確保できるものの、アドレス光の光量低下に繋がることが確認された。このことは、本発明において、外光遮断部材の仕様を検討する際、書き込み対象となる光アドレス型表示媒体の特性やアドレス光の強度、書き込み環境等を考慮して最適の条件の物を選択することが表示画像の高コントラスト化に資することの示唆と言える。
【0089】
(評価試験2)
評価試験1で用いたセットにおいて、アドレス光を照射するプロジェクタの光源を、測定点Aへのアドレス光の照射角度はそのままに(すなわち、作業台からの垂線に対して60゜の角度でアドレス光が測定点Aを照射するように)、測定点Aからの空間距離が30cmとなる位置に移動させ、本評価試験用としてセットした。また、光量計のセンサー部は、測定点Aにのみ平置きした。
【0090】
外光遮断シート(外光遮断部材)には、評価試験1で用いた視野角調整フィルムと同様の構成で、内部の板状体のみ60゜斜めに傾けた物(角度やカバー材の有無等が異なるが、おおよそ図2、図3および図4に示される物と類似の物)を試作して用いた。外光遮断シート有りの場合(2)には、外光遮断シート内部の板状体の傾斜方向と、プロジェクタの光源からのアドレス光の照射方向とが一致するように、光量計のセンサー部上に外光遮断シートを密着させて載置した。なお、外光遮断シートは1枚のみ用いた。
【0091】
評価試験1と同様に、光量計のセンサー部の上に外光遮断シートを密着させて載置した場合(2)と、何も載せずにそのままの場合(1)とで、プロジェクタの光源をON/OFF(明時/暗時)して、それぞれの条件における光量(測定周波数:550nm)を測定した。
下記表2に、本評価試験の結果を示す。
【0092】
【表2】
【0093】
表2に示される結果から、外光遮断シート無しでは暗時でも外光の影響を大きく受けてかなりの大きさの光量となり、明暗コントラストが十分でなかったのが、外光遮断シートを介することにより暗時の外光の影響を抑えることができ、明暗コントラストが約200/10と、極めて高くなっていることがわかる。
【0094】
(評価試験3)
本評価試験に供するモノクロ表示の光アドレス型表示媒体を用意した。当該表示媒体は図1に示す表示媒体1と同様の構成のもの(以下、図1における各構成部材の符号を用いて説明する。)であり、詳しくは、透明電極5をスパッタした125μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを透明基板3、同様に基板4として、ペーパーライクな白黒表示媒体を試作した。多価イソシアネートモノマーを界面重合させたポリウレタン・ウレアをシェルとする薄緑とピンクのコレステリック液晶マイクロカプセル(平均粒径8μm)を作成し、等量混合し水溶性高分子のバインダとともに約35μm厚に塗布することで、白黒表示層7を作製した。一方、有機光導電層として、約0.2μm厚のフタロシアニン系顔料の電荷発生層(上CGL13,下CGL15)と、ポリカーボネートバインダにベンジジン系の正孔輸送材料を分散した8μm厚の電荷輸送層(CTL14)を積層した。その上にラミネート層8を塗工し、表示層と貼り合わせることで、表示媒体1を得た。
【0095】
この表示媒体1について、表示層7中のコレステリック液晶がフォーカルコニック相に揃う程度の電圧(図9で言うところのVpf以上Vfp以下の電圧)を印加しつつ露光強度(光量)を変化させて、最終的に得られる表示画像の正規化反射率を、積分球形分光計(コニカミノルタ社製、CM2002型)を用いて測定した。ここで正規化反射率とは、JIS Z 8772の拡散照明垂直受光方式に従ってSCE(正反射光除去)条件で測定した反射強度を、完全拡散面を100%として規格化したものである。
【0096】
なお、表示層7に分圧印加される電圧が閾値電圧(図9で言うところのVfp)を超えると、表示層7中のコレステリック液晶がホメオトロピック相に相変化し、電圧印加を解除するとプレーナ相に相変化するため、反射率が向上する。
測定結果を図11にグラフにて示す。
【0097】
露光強度が10μW/cm2以下であれば、表示媒体1の表示側の面は黒色のままであったが、これを超えると徐々に反射率が向上し、100μW/cm2を超えたあたりでほぼ飽和した。このことから、本評価試験に供した表示媒体1は、アドレス光が照射された時(明時)に露光強度が100μW/cm2を超え、アドレス光が照射されていない時(暗時)に露光強度が10μW/cm2以下となる程度の明暗コントラスト状態にすれば、良好なコントラストの表示画像を得ることができることがわかった。通常のオフィス環境下では、100〜300μW/cm2の明るさであるため、この表示媒体1は、オフィス環境下で外光を遮蔽すること無くそのまま書き込むと、表示画像に黒の浮きが発生するものと推測される。
【0098】
(表示媒体への書き込み)
評価試験3の結果を踏まえて、上記評価試験1および2の結果(表1および表2)を見ると、評価試験1における測定点Bでの外光遮断シート2枚重ねの場合と、評価試験2における外光遮断シート有りの場合において、外光を遮蔽すること無くそのまま書き込むことができる条件であることがわかる。
【0099】
そして、両条件においてそれぞれ外光遮断シートを表示媒体1の表示側の面に密着させて配置し、所定の電圧を印加しつつプロジェクタの光源をON/OFFさせることでアドレス光の照射/非照射を選択して表示画像を得たところ、いずれの条件においても良好なコントラストの画像が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の光アドレス型表示媒体の書き込み方法を適用したシステムの例示的一態様である実施形態の概略構成図である。
【図2】図1における外光遮断シート(外光遮断部材)の模式的な斜視図である。
【図3】図2において模式的に示した外光遮断シートから、板状体のみを抜き出して表した斜視図である。
【図4】図3におけるA−A矢視断面図である。
【図5】他の外光遮断シート(外光遮断部材)の例示であって、板状体のみ抜き出し、図4と同様の方向から見た断面図である。
【図6】さらに他の外光遮断シート(外光遮断部材)の例示であって、板状体のみ抜き出し、図4と同様の方向から見た断面図である。
【図7】図6にて例示された外光遮断シート(外光遮断部材)の斜視図である。
【図8】コレステリック液晶の分子配向と光学特性の関係を示す模式説明図であり、(A)はプレーナ相、(B)はフォーカルコニック相、(C)ホメオトロピック相の各相におけるものである。
【図9】コレステリック液晶のスイッチング挙動を説明するためのグラフである。
【図10】評価試験1に供したセットの概要を示す説明図である。
【図11】評価試験3の結果を示すグラフである。
【図12】表示側の裏面から書き込む従来技術により、光アドレス型表示媒体に、露光装置で画像の書き込みを行っている様子を表す模式図である。
【符号の説明】
【0101】
1:表示媒体(光アドレス型表示媒体)、 2:外光遮断シート(外光遮断部材)、 3:透明基板、 4:基板、 5,6:電極層、 7:表示層、 8:ラミネート層、 9:光源(露光手段)、 10:OPC層(光導電層)、 12:板状体、 13,15:電荷発生層、 14:電荷輸送層、 17:電源装置(電圧印加手段)、 18:プロジェクタ(光源・露光手段)、 19,20:接触端子、 501:プロジェクタ、 502:電圧印加部、 503:表示媒体、 504:調光層
【技術分野】
【0001】
本発明は、光アドレス型表示媒体に光源からアドレス光を照射することにより画像を書き込む、光アドレス型表示媒体の書き込み方法並びに書き込み装置に関する。
詳しくは、外光の存在下においてアドレス光を照射して画像を書き込む際に適した光アドレス型表示媒体の書き込み方法並びに書き込み装置に関する。また、かかる光アドレス型表示媒体の書き込み方法に用いる外光遮断部材に関する。
【背景技術】
【0002】
森林資源保護などの地球環境保全や、スペースセーブといった事務環境改善などの理由から、紙に替わるハードコピー技術として、リライタブルマーキング技術への期待が大きい。
より一層利便性の高い各種リライタブルマーキング技術の研究が為されているが、その1つの方向性として、表示層(特に液晶層)と光導電層とを積層した光アドレス型表示媒体による技術は、繰り返し記録/消去を行うことを可能とし、その他優れた特性を実現し得ることから注目されている。
【0003】
かかる光アドレス型表示媒体に画像の書き込みをするには、一般に、表示側の面の裏面を書き込み側の面として、当該面を暗室状態の空間に位置させた上で、プロジェクタ等の露光装置により露光している(特許文献1参照)。図12に、このようにして光アドレス型表示媒体に、露光装置で画像の書き込みを行っている様子を表す模式図を示す。
【0004】
図12に示される例では、当該光書き込み装置は、プロジェクタ501と調光層504と電圧印加部502とからなるものである。調光層504は、特性切換電圧信号に応じて可逆的に光散乱性と光透過性とに切り換わり、投影画像を目視で閲覧可能とするものである。
【0005】
図12に示されるように、表示媒体503は、電圧印加部502により所定の電圧が印加されるとともに、プロジェクタ501からの光が調光層504にてアドレス光に変換されて、これが表示媒体503に照射されることにより画像が書き込まれる。この際、アドレス光が照射される書き込み側の面は、表示媒体503の表示側の裏面側である。
このように、表示媒体503における表示側の裏面側から投影することで、外光の影響を受けること無く、アドレス光のコントラストを確保していた。
【0006】
近年、持ち運びや携帯が可能な小型サイズのプロジェクタの開発が為されている。これは主に、卓上ないし壁表面に投影像を照射することを企図したものであるが、かかるプロジェクタにより光アドレス型表示媒体に画像の書き込みをすることができれば便利であるのは言うまでも無い。
【0007】
しかし、このような小型サイズのプロジェクタによる投影像の照射は、光アドレス型表示媒体の表示側から行うのが通常と考えられ、外光の存在を排して行うことは困難である。勿論、簡易的な投影像を露光することが目的の当該プロジェクタによって光アドレス型表示媒体に画像の書き込むに当たり、当該プロジェクタと光アドレス型表示媒体との間を暗室状態とするのは大掛かりに過ぎ、外光の存在下で投影像を照射して画像書き込みできなければ、実用性に疑問が生じる。
外光の存在下で画像書き込みを行えば、その外光の影響で、アドレス光の明暗コントラストが取り難くなり、書き込み後に形成される表示画像のコントラストも取れなくなる懸念がある。
【0008】
【特許文献1】特開2003−75865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、外光の存在下であってもそれに影響されること無く、形成される表示画像において良好なコントラストを得ることができる光アドレス型表示媒体の書き込み方法並びに書き込み装置を提供することにある。また、本発明は、上記目的を達し得る光アドレス型表示媒体の書き込み方法に用いるに適した部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明の光アドレス型表示媒体の書き込み方法(以下、単に「本発明の書き込み方法」という場合がある。)は、光アドレス型表示媒体に光源からアドレス光を照射することにより、画像を書き込む光アドレス型表示媒体の書き込み方法であって、
前記アドレス光の進行方向に対して、その短辺の傾斜が略平行になるように配された細長の板状体が複数配列してなるルーバー状の外光遮断部材を、前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面に配した状態で、前記光源からアドレス光を照射することを特徴とする。
【0011】
プロジェクタ等の露光手段によるアドレス光(書き込み光)は直進性が高く、それに対して外光は散乱光であり直進性が低い。それゆえ、前記アドレス光の進行方向に対して、その短辺の傾斜が略平行になるように配された細長の板状体が複数配列してなるルーバー状の外光遮断部材が、前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面に配されているため、前記アドレス光は、その進行方向に平行な前記外光遮断部材の間隙を通過し、進行方向が一定でない散乱光である外光は前記外光遮断部材の間隙をほとんど通過できず、遮蔽される。その結果、外光の影響を受けずに、明暗コントラストの取れた画像を光アドレス型表示媒体に形成することができる。
【0012】
本発明の書き込み方法は、前記光アドレス型表示媒体における書き込み側の面が、表示側の面を兼ねる場合に特に有効である。小型サイズのプロジェクタによる投影像の照射等、光アドレス型表示媒体の表示側から行う場合に、外光の存在を排して行うことが困難であるが、本発明によれば、その外光の影響を受けずに、明暗コントラストの取れた画像を光アドレス型表示媒体に形成することができる。
前記外光遮断部材を構成する板状体としては、その表面が黒色であることが好ましい。黒色とすることで、散乱光である外光が前記板状体表面で反射すること無く吸収され、外光が前記外光遮断部材によって効率的に遮蔽される。
【0013】
本発明の書き込み方法において、書き込み対象となる前記光アドレス型表示媒体としては、好適な物として、少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、含まれる液晶の相状態に応じて光を反射する表示層と、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて抵抗値を変化させる光導電層とが積層挟持されてなるものが挙げられ、この場合、前記アドレス光を照射する際に、併せて前記一対の電極層間に所定の電圧を印加する。また、前記表示層に含まれる液晶としては、コレステリック液晶であることが好ましく、前記表示層が、高分子中に前記コレステリック液晶が分散されてなるものであることが好ましい。また、前記光導電層としては、有機光導電体からなることが好ましい。
本発明の書き込み方法において、前記光源としては、プロジェクタのような点光源であっても、面光源であても構わない。
【0014】
また、本発明の外光遮断部材は、上記の如き本発明の光アドレス型表示媒体の書き込み方法に用いる外光遮断部材であって、細長の板状体が略同一角度で傾斜し、その面同士が略平行になるように複数配列されてルーバー状に構成されてなることを特徴とする。当該外光遮断部材は、前記光源が点光源である場合、当該点光源から発せられるアドレス光の進行方向は放射状になるため、それに対して短辺が略平行に複数配列される前記板状体は、必然的に、その長手方向に湾曲した形状となる。このように、本発明において「板状体」とは、平板状のものに限らず、全体として湾曲しているものを含む概念とする。
本発明の外光遮断部材としては、既述の理由から、その表面が黒色であることが好ましい。
【0015】
一方、本発明の光アドレス型表示媒体の書き込み装置(以下、単に「本発明の書き込み装置」という場合がある。)は、光アドレス型表示媒体に画像を書き込むための光アドレス型表示媒体の書き込み装置であって、
前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面にアドレス光を照射する露光手段と、
前記アドレス光の進行方向に対して、その短辺の傾斜が略平行になるように配された細長の板状体が複数配列してなるルーバー状で、前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面に着脱自在な外光遮断部材と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の書き込み装置によれば、前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面に前記外光遮断部を装着した状態で、そこに露光手段でアドレス光を照射すると、アドレス光は、その進行方向に平行な前記外光遮断部材の間隙を通過し、進行方向が一定でない散乱光である外光は前記外光遮断部材の間隙をほとんど通過できず、遮蔽される。その結果、外光の影響を受けずに、明暗コントラストの取れた画像を光アドレス型表示媒体に形成することができる。
【0017】
本発明の書き込み装置は、画像を書き込む対象となる前記光アドレス型表示媒体における書き込み側の面が、表示側の面を兼ねる場合に特に有効である。小型サイズのプロジェクタによる投影像の照射等、光アドレス型表示媒体の表示側から行う場合に、外光の存在を排して行うことが困難であるが、本発明によれば、その外光の影響を受けずに、明暗コントラストの取れた画像を光アドレス型表示媒体に形成することができる。
前記外光遮断部材を構成する板状体としては、その表面が黒色であることが好ましい。黒色とすることで、散乱光である外光が前記板状体表面で反射すること無く吸収され、外光が前記外光遮断部材によって効率的に遮蔽される。
【0018】
本発明の書き込み装置において、書き込み対象となる前記光アドレス型表示媒体としては、好適な物として、少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、含まれる液晶の相状態に応じて光を反射する表示層と、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて抵抗値を変化させる光導電層とが積層挟持されてなるものが挙げられ、この場合、本発明の書き込み装置にはさらに、前記一対の電極層間に電圧を印加する電圧印加手段を備えることが望ましい。また、前記表示層に含まれる液晶としては、コレステリック液晶であることが好ましく、前記表示層が、高分子中に前記コレステリック液晶が分散されてなるものであることが好ましい。また、前記光導電層としては、有機光導電体からなることが好ましい。
本発明の書き込み装置において、前記光源としては、プロジェクタのような点光源であっても、面光源であても構わない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、散乱光を遮蔽し得る本発明に特徴的な外光遮断部材を用いることで、外光の存在下であってもそれに影響されること無く、形成される表示画像において良好なコントラストを得ることができる光アドレス型表示媒体の書き込み方法並びに書き込み装置を提供することができる。
また、本発明は、良好なコントラストの表示画像を形成することができる光アドレス型表示媒体の書き込み方法に用いるに適した外光遮断部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、好ましい実施形態を挙げて本発明を具体的に説明する。
図1は、本発明の光アドレス型表示媒体の書き込み方法を適用したシステムの例示的一態様である実施形態の概略構成図である。本実施形態のシステムは、大きく分けて、表示媒体(光アドレス型表示媒体)1、および、電源装置(電圧印加手段)17とプロジェクタ(露光手段)18と外光遮断シート(外光遮断部材)2とから構成される書き込み装置(光アドレス型表示媒体の書き込み装置)の2つの構成要素からなる。この両構成要素について、詳細に説明してから、その動作について説明する。
【0021】
<表示媒体>
本実施形態において、表示媒体(光アドレス型表示媒体)1としては、表示側と書き込み側とが同一面の物を例示している。かかる表示媒体1は、表示面側から順に、透明基板3、電極層5、表示層7、ラミネート層8、OPC層(光導電層)10、電極層6および基板4が積層されてなる物である。
【0022】
(基板)
透明基板3および基板4は、各機能層を内面に保持し、表示媒体の構造を維持する目的の部材である。透明基板3および基板4は、外力に耐える強度を有するシート形状の物体であり、表示面側の透明基板3は少なくとも入射光およびアドレス光を透過する機能を有する。使用目的によっては、フレキシブル性を有することが好ましい。具体的な材料としては、無機シート(たとえばガラス・シリコン)、高分子フィルム(たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート)等を挙げることができる。外表面に、防汚膜、耐磨耗膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
【0023】
(電極層)
電極層5,6は、電源装置17から印加されたバイアス電圧を、表示媒体内の各機能層へ面均一に印加する目的の部材である。電極層5,6は、面均一な導電性を有し、表示側の電極層5は少なくとも入射光およびアドレス光を透過する機能を有する。具体的には、金属(たとえば金、アルミニウム)、金属酸化物(たとえば酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO))、導電性有機高分子(たとえばポリチオフェン系・ポリアニリン系)などで形成された導電性薄膜を挙げることができる。表面に、密着力改善膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。なお、本発明において表示側からアドレス光を入射することができ、この場合非表示側の電極(本実施形態で言えば電極層6)は、透明でなくても構わない。
【0024】
(表示層)
本発明において表示層とは、電場によって入射光のうち特定の色光の反射・透過状態を変調する機能を有し、選択した状態が無電場で保持できる性質のものである。曲げや圧力などの外力に対して変形しない構造であることが好ましい。
【0025】
本発明において表示層としては、光を反射する機能を有する層であれば特に制限は無く、例えば液晶の相変化を利用するのであれば、垂直配向ネマチック液晶、平行配向ネマチック液晶、ツイストネマチック液晶、スーパーツイストネマチック液晶、表面安定化強誘電性液晶等、偏光状態の変化を利用する方式のもの、高分子分散型液晶などの光散乱状態の変化を利用する方式のもの、ゲストホスト液晶などの光吸収状態の変化を利用する方式のもの、コレステリック(カイラルネマチック)液晶などの光干渉状態の変化を利用する方式のものなど、光学効果の異なる種々の液晶素子を用いることができる。本実施形態では、最後者の方式のものを例示している。
【0026】
本実施形態において表示層としては、コレステリック液晶および透明樹脂からなる自己保持型液晶複合体の液晶層が形成されてなるものである。すなわち、複合体として自己保持性を有するためスペーサ等を必要としない液晶層である。本実施形態では、不図示ではあるが、高分子マトリックス(透明樹脂)中にコレステリック液晶が分散した状態となっている。
なお、本発明においては、表示層が、自己保持型液晶複合体の液晶層であることは必須ではなく、単に液晶のみで表示層を構成することとしても勿論構わないし、液晶以外の表示方式であっても構わない。
【0027】
コレステリック液晶は、入射光のうち特定の色光の反射・透過状態を変調する機能を有し、液晶分子がらせん状に捩れて配向しており、らせん軸方向から入射した光のうち、らせんピッチに依存した特定の光を干渉反射する。電場によって配向が変化し、反射状態を変化させることができる。表示層を自己保持型液晶複合体とする場合には、ドロップサイズが均一で、単層稠密に配置されていることが好ましい。
【0028】
コレステリック液晶として使用可能な具体的な液晶としては、ネマチック液晶やスメクチック液晶(たとえばシッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ビフェニル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキサン系、トラン系、アルケニル系、スチルベン系、縮合多環系)、またはこれらの混合物に、光学活性材料(たとえばステロイド系コレステロール誘導体、シッフ塩基系、アゾ系、エステル系、ビフェニル系)を添加したもの等を挙げることができる。
【0029】
コレステリック液晶の螺旋ピッチは、ネマチック液晶に対するカイラル剤の添加量で調整する。例えば、表示色を青、緑、あるいは赤とする場合には、それぞれ選択反射の中心波長が、順に400nm〜500nm、500nm〜600nm、あるいは600nm〜700nmの範囲になるようにする。また、コレステリック液晶の螺旋ピッチの温度依存性を補償するために、捩じれ方向が異なる、または逆の温度依存性を示す複数のカイラル剤を添加する公知の手法を用いてもよい。
【0030】
表示層7がコレステリック液晶と高分子マトリックス(透明樹脂)からなる自己保持型液晶複合体を形成する形態としては、コレステリック液晶の連続相中に網目状の樹脂を含むPNLC(Polymer Network Liquid Crystal)構造や、高分子の骨格中にコレステリック液晶がドロップレット状に分散されたPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)構造を用いることができ、PNLC構造やPDLC構造とすることによって、コレステリック液晶と高分子の界面にアンカリング効果を生じ、無電界でのプレーナ相またはフォーカルコニック相の保持状態を、より安定にすることができる。
【0031】
PNLC構造やPDLC構造は、高分子と液晶とを相分離させる公知の方法、例えば、アクリル系、チオール系、エポキシ系などの、熱や光、電子線などによって重合する高分子前駆体と液晶を混合し、均一相の状態から重合させて相分離させるPIPS(Polymerization Induced PhaseSeparation)法、ポリビニルアルコールなどの、液晶の溶解度が低い高分子と液晶とを混合し、攪拌懸濁させて、液晶を高分子中にドロップレット分散させるエマルジョン法、熱可塑性高分子と液晶とを混合し、均一相に加熱した状態から冷却して相分離させるTIPS(Thermally Induced Phase Separation)法、高分子と液晶とをクロロホルムなどの溶媒に溶かし、溶媒を蒸発させて高分子と液晶とを相分離させるSIPS(Solvent Induced Phase Separation)法などによって形成することができるが、特に限定されるものではない。
【0032】
高分子マトリックスは、コレステリック液晶を保持し、表示媒体の変形による液晶の流動(画像の変化)を抑制する機能を有するものであり、液晶材料に溶解せず、また液晶と相溶しない液体を溶剤とする高分子材料が好適に用いられる。また、高分子マトリックスとしては、外力に耐える強度をもち、少なくとも反射光およびアドレス光に対して高い透過性を示す材料であることが望まれる。
【0033】
高分子マトリックスとして採用可能な材料としては、水溶性高分子材料(たとえばゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリル酸系ポリマー、エチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸ポリマー)、あるいは水性エマルジョン化できる材料(たとえばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂)等を挙げることができる。
【0034】
(OPC層)
OPC層(光導電層)10は、内部光電効果をもち、アドレス光の照射強度に応じてインピーダンス特性が変化する特性を有する層である。交流(AC)動作が可能であり、アドレス光に対して対称駆動であることが望ましい。電荷発生層(CGL)が電荷輸送層(CTL)の上下に積層された3層構造に形成されてなる。本実施形態では、OPC層10として、図1における上層から順に上側の電荷発生層13、電荷輸送層14および下側の電荷発生層15が積層されてなる。
【0035】
電荷発生層13,15は、アドレス光を吸収して光キャリアを発生させる機能を有する層である。主に、電荷発生層13が表示面側の電極層5から書き込み面側の電極層6の方向に流れる光キャリア量を、電荷発生層15が書き込み面側の電極層6から表示面側の電極層5の方向に流れる光キャリア量を、それぞれ左右している。電荷発生層13,15としては、アドレス光を吸収して励起子を発生させ、CGL内部、またはCGL/CTL界面で自由キャリアに効率良く分離させられるものが好ましい。
【0036】
電荷発生層13,15は、電荷発生材料(たとえば金属又は無金属フタロシアニン、スクアリウム化合物、アズレニウム化合物、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスやトリス等アゾ顔料、キナクリドン顔料、ピロロピロール色素、多環キノン顔料、ジブロモアントアントロンなど縮環芳香族系顔料、シアニン色素、キサンテン顔料、ポリビニルカルバゾールとニトロフルオレン等電荷移動錯体、ピリリウム塩染料とポリカーボネート樹脂からなる共昌錯体)を直接成膜する乾式法か、またはこれら電荷発生材料を、高分子バインダー(たとえばポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルカルバゾール樹脂、ビニルホルマール樹脂、部分変性ビニルアセタール樹脂、カーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ビニルアセテート樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂等)とともに適当な溶剤に分散ないし溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて成膜する湿式塗布法等により形成することができる。
【0037】
電荷輸送層14は、電荷発生層13,15で発生した光キャリアが注入されて、バイアス信号で印加された電場方向にドリフトする機能を有する層である。一般にCTLは、CGLの数10倍の厚みを有するため、電荷輸送層14の容量、電荷輸送層14の暗電流、および電荷輸送層14内部の光キャリア電流が、OPC層10全体の明暗インピーダンスを決定付けている。
【0038】
電荷輸送層14は、電荷発生層13,15からの自由キャリアの注入が効率良く発生し(電荷発生層13,15とイオン化ポテンシャルが近いことが好ましい)、注入された自由キャリアができるだけ高速にホッピング移動するものが好適である。暗時のインピーダンスを高くするため、熱キャリアによる暗電流は低い方が好ましい。
【0039】
電荷輸送層14は、低分子の正孔輸送材料(たとえばトリニトロフルオレン系化合物、ポリビニルカルバゾール系化合物、オキサジアゾール系化合物、ベンジルアミノ系ヒドラゾンあるいはキノリン系ヒドラゾン等のヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ベンジジン系化合物)、または低分子の電子輸送材料(たとえばキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、フルフレオン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物)を、高分子バインダー(たとえばポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、含珪素架橋型樹脂等)とともに適当な溶剤に分散ないし溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて形成すればよい。
【0040】
(ラミネート層)
ラミネート層8は、ガラス転移点の低い高分子材料からなるものであり、熱や圧力によって表示層7とOPC層10(電荷発生層13)とを密着・接着させることができる材料が選択される。また、少なくとも入射光、アドレス光に対して透過性を有することが条件となる。
ラミネート層8に好適な材料としては、粘着性の高分子材料(たとえばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂)を挙げることができる。
なお、ラミネート層8は、本発明において必須の構成要素ではない。
【0041】
<書き込み装置>
本実施形態において書き込み装置(光アドレス型表示媒体の駆動装置)とは、表示媒体1に画像を書き込む装置であり、表示媒体1に対してアドレス光の照射を行うプロジェクタ(露光手段)18、表示媒体1に電圧を印加する電源装置(電圧印加手段)17および外光遮断シート(外光遮断部材)2を主要構成要素とし、さらにこの動作を制御する制御回路(不図示)が配されてなる。
【0042】
(プロジェクタ)
プロジェクタ(露光手段)18は、像様となる所定のアドレス光パターンを表示媒体1に照射する機能を有し、制御回路からの入力信号に基づき、表示媒体1上(詳しくは、OPC層上)に所望の光画像パターン(スペクトル・強度・空間周波数)を照射できるものであれば特に制限されるものではない。
【0043】
プロジェクタ18により照射されるアドレス光としては、以下の条件のものが好ましく選択される。
・スペクトル:OPC層10の吸収波長域のエネルギーができるだけ多いことが好ましい。
・照射強度:明時に表示層7への印加電圧がOPC層10との分圧により上下閾値の電圧以上となって、表示層7中の液晶を相変化させ、暗時にはそれ以下となるような強度。
プロジェクタ18により照射されるアドレス光としては、OPC層10の吸収波長域内にピーク強度を持ち、できるだけバンド幅の狭い光であることが望ましい。
【0044】
本実施形態におけるプロジェクタ18は、レーザーダイオード(LD)を光源に持ち、持ち運びや携帯が可能な小型サイズのものであり、一様な光を像様に変換する調光素子(調光層)を内蔵しており、直接画像を投影できるように構成されている。
【0045】
なお、本発明の書き込み装置においては、露光手段はプロジェクタ方式のものに限定されるものではない。プロジェクタ方式のものを含め、具体的には以下のものが挙げられる。
(1−1)光源(たとえば、冷陰極管、キセノンランプ、ハロゲンランプ、LED、EL等)をアレイ状に配置したものや、光源と導光板とを組み合せたもの、などの均一な光源
(1−2)光パターンを作る調光素子(たとえば、LCD、フォトマスクなど)の組み合わせ
(2)面発光型ディスプレイ(たとえばCRT、PDP、EL、LED、FED、SED)
(3)上記(1−1)、(1−2)あるいは(2)と光学素子(たとえばマイクロレンズアレイ、セルホックレンズアレイ、プリズムアレイ、視野角調整シート)との組み合わせ
【0046】
調光部材を内蔵しない露光手段を用いる場合には、従来技術の図12を用いて説明したような、プロジェクタ501からの光を調光層504にてアドレス光に変換する構成のものを問題なく用いることができる。この場合、使用可能な調光層としては、具体的には、日本板硝子ウムプロダクツ社製「ウムフィルム」等を挙げることができる。
【0047】
(電源装置)
電源装置(電圧印加手段)17は、所定のバイアス電圧を表示媒体1に印加する機能を有し、制御回路(不図示)からの入力信号に基づき、表示媒体(各電極間)に所望の電圧波形を印加できるものであればよい。ただし、AC出力ができ、高いスルーレートが要求される。電源装置17には、例えばバイポーラ高電圧アンプなどを用いることができる。
【0048】
電源装置17による表示媒体1への電圧の印加は、接触端子19,20を介して、電極層5−電極層6間に為される。
ここで接触端子19,20とは、電源装置17および表示媒体1(電極層5,6)に接触して、両者の導通を行う部材であり、高い導電性を有し、電極層5,6および電源装置17との接触抵抗が小さいものが選択される。表示媒体1と電源装置17とを切り離すことができるように、電極層5,6と電源装置17とのどちらか、あるいは両者から分離できる構造であることが好ましい。
【0049】
接触端子19,20としては、金属(たとえば金・銀・銅・アルミ・鉄)、炭素、これらを高分子中に分散させた複合体、導電性高分子(たとえばポリチオフェン系・ポリアニリン系)などでできた端子で、電極を挟持するクリップ・コネクタ形状のものが挙げられる。
【0050】
(制御回路)
不図示の制御回路は、外部(画像取り込み装置、画像受信装置、画像処理装置、画像再生装置、あるいはこれらの複数の機能を併せ持つ装置等)からの画像データに応じて、電源装置17およびプロジェクタ18の動作を適宜制御する機能を有する部材である。制御回路による具体的な制御内容は、表示層7におけるコレステリック液晶が、最終的にプレーナ相による反射と、フォーカルコニック相による透過とが画像様に選択されるような制御である。具体的な制御内容の例は、以下の駆動方法の項で述べる。
【0051】
(外光遮断シート)
表示媒体1における表示側の面に配される、本発明に特徴的な外光遮断シート(外光遮断部材)2は、細長の板状体が複数配列してなるルーバー状の物である。図2に、本実施形態に用いた外光遮断シート2の模式的な斜視図を示す。図2に示されるように、外光遮断シート2においては、板状体12aが複数配列している。
【0052】
なお、板状体12aの大きさや密度、板状体12a間の距離等は、説明の容易のため、実際の物に比して大幅に変えている。すなわち、板状体12aは、より細長であり長編は短辺に比して圧倒的に長いが、説明の容易のために、短辺の長さを長めに描き、密度も圧倒的に小さくし、かつ、板状体12a間の距離を広めに取っている。以下、外光遮断シート(外光遮断部材)の説明のための図面について、何れも同様である。
【0053】
この板状体12aのみを抜き出して表したのが、図3である。また、図3におけるA−A矢視断面図を図4に示す。図3および図4からわかるように、外光遮断シート2は、斜めに傾いた細長の板状体12aが複数平行にルーバー状(ブラインド状)に配列してなるものである。この板状体12aの傾きは、図4に示されように、アドレス光(図1におけるプロジェクタ18により照射される光)の進行方向に対して、板状体12aの短辺が平行になるような角度となっている。
【0054】
なお、本実施形態では、図1に示されるようにアドレス光を表示媒体1の直上ではなく、ややずれた位置から斜めに照射しているため、板状体12aが斜めに傾いた状態のものを例示しているが、本発明において、外光遮断部材としては、板状体が常に斜めに傾いていなければならないわけではない。
【0055】
図5に、他の外光遮断シート(外光遮断部材)の例示であって、板状体12bのみ抜き出し、図4と同様の方向から見た断面図を示す。このように、アドレス光が外光遮断シートに対して垂直方向から照射される場合には、板状体12bの短辺もこれに平行となるため、外光遮断シート表面に対して垂直に配列された状態となる。
【0056】
ところで、露光手段の光源が面光源である等アドレス光が平行光である場合や、露光手段の光源が外光遮断シートから十分に離れていて、アドレス光が実質的に平行光であると看做せる場合には、図4および図5に示されるように板状体12a,12b同士が、平行に配列された状態で問題無いが、露光手段の光源が点光源であり、かつ、外光遮断シート(さらには、光アドレス型表示媒体)からの距離が近い場合には、アドレス光は放射状に拡散し、平行光では無いため、アドレス光の進行方向に沿って配置される板状体の傾きが一定ではなくなり、板状体同士が平行に配列しない。
【0057】
図6に、露光手段の光源が点光源であり、かつ、外光遮断シートからの距離が近い場合の外光遮断シート(外光遮断部材)を例示して示す。当該図6は、板状体12cのみ抜き出し、図4と同様の方向から見た断面図であり、光源との位置関係を説明するために、光源を図面に含めている。
【0058】
図6に示されるように、光源9が点光源であり、かつ、外光遮断シートからの距離が近いと、アドレス光は放射状に進行しており、照射される位置が光源9から遠くなるほどアドレス光の傾斜が大きくなる。したがって、そのようなアドレス光の進行方向にその短辺が略平行に倣う板状体12cも、光源9から離れているほどその傾斜が大きくなっている。
【0059】
この場合、外光遮断シートは平面的にも板状体が特徴的な配列状態を呈する。図7に、図6に板状体12cのみ抜き出して例示された外光遮断シート(外光遮断部材)2’の斜視図を示す。図7に示されるように、板状体12cは、その長手方向で(長辺が)湾曲して、全体として年輪状になっている。これは、外光遮断シート2’表面における光源9との距離に応じてアドレス光の傾きが決まるので、その距離が等しい部位に同一の傾きで板状体12cを形成した場合、必然的に板状体12cの形状が湾曲するからである。
【0060】
ただし、外光遮断シート(外光遮断部材)において、板状体を湾曲させる必要性があるのは、あくまでも露光手段の光源が点光源であり、かつ、外光遮断シートからの距離が近い場合のみであり、また、板状体の密度、短辺の長さ、求める外光の遮蔽性能等によっては、そこまで要求されない。したがって、本発明において、アドレス光の進行方向に対して板状体の短辺は、完全に平行であることが要求されるわけではなく、ある程度の幅を許容するものである。本発明において、アドレス光の進行方向と板状体の短辺との関係を、「平行」と表現せずに「略平行」と表現したのは、このことに由来する。
【0061】
アドレス光の進行方向と板状体の短辺との関係において、平行状態からどの程度の幅を許容するかは、板状体の密度、短辺の長さ、求める外光の遮蔽性能、アドレス光の強度等によって大きく異なってくるため一概に言えない。より詳しくは、少なくともアドレス光の進行を阻害しない程度であることが望まれ、光アドレス型表示媒体の書き込みに支障が出なければ構わない。
【0062】
板状体12の材質としては、特に限定されず、あらゆる物を使用することができるが、成形性の観点から、各種プラスチックや紙等が好ましい。また、外光の反射による散乱・透過を防止するために、板状体12の表面は、黒色であることが望ましい。板状体12の表面を黒色にする方法としては、板状体12を構成する材質自体黒色の物を用いるか、その表面を黒色の層で被覆すればよい。黒色の層は、黒色の塗料や染料を塗布することにより形成することができる。
【0063】
外光遮断シート(外光遮断部材)2は、板状体12相互間の間隙を透明の充填剤で充填して成形しても構わない。充填剤で充填することで形状保持性を付与することができ、シートとして扱うことができるようになる。
また、板状体12相互間の間隙を透明の充填剤で充填するかしないかに関わらず、外光遮断シート2の表面および/または裏面を透明のカバー材で覆うこともできる。透明のカバー材で覆うことによって、形状保持性を付与することができるのは勿論、外部からの衝撃による破損、傷等を防止することができる。
上記のような充填剤やカバー材として使用可能な材料としては、透明性を有する物であれば特に制限されず、各種プラスチック材料やガラスが問題なく使用できるが、成形性や透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレートが最も好適な物として挙げられる。
【0064】
本実施形態では、外光遮断シート2は、1枚のみ用いているが、板状体12の傾斜方向を揃えることを条件として、2枚以上重ねて用いても構わない。外光遮断シート2を2枚以上重ねて用いた場合、外光の遮蔽性は向上するが、アドレス光の透過性はどうしても低下傾向を示す。そのため、所望とする外光の遮蔽性とアドレス光の透過性の程度により、適宜選択すればよい。
【0065】
なお、図5に示されるような板状体12bの傾きの場合、すなわち、外光遮断シート(さらには光アドレス型表示媒体)に照射されるアドレス光が、これらに対して垂直に進行する場合の外光遮断シートとしては、市販されている視野角調整フィルム(例えば、住友スリーエム(株)製「(商品名)ライトコントロールフィルム」等)をそのまま用いることができる。
【0066】
<動作>
本実施形態においては、既述の通り、コレステリック液晶および透明樹脂からなる自己保持型液晶複合体の液晶層が表示層7として形成されてなるものである。
コレステリック液晶(カイラルネマチック液晶)が示すプレーナ相は、螺旋軸に平行に入射した光を右旋光と左旋光に分け、螺旋の捩じれ方向に一致する円偏光成分をブラッグ反射し、残りの光を透過させる選択反射現象を起こす。反射光の中心波長λおよび反射波長幅Δλは、螺旋ピッチをp、螺旋軸に直交する平面内の平均屈折率をn、複屈折率をΔnとすると、それぞれ、λ=n・p、Δλ=Δn・pで表され、プレーナ相のコレステリック液晶層による反射光は、螺旋ピッチに依存した鮮やかな色を呈する。
【0067】
正の誘電率異方性を有するコレステリック液晶は、図8(A)に示すように、螺旋軸がセル表面に垂直になり、入射光に対して上記の選択反射現象を起こすプレーナ相、図8(B)に示すように、螺旋軸がほぼセル表面に平行になり、入射光を少し前方散乱させながら透過させるフォーカルコニック相、および図8(C)に示すように、螺旋構造がほどけて液晶ダイレクタが電界方向を向き、入射光をほぼ完全に透過させるホメオトロピック相、の3つの状態を示す。
【0068】
上記の3つの状態のうち、プレーナ相とフォーカルコニック相は、無電界で双安定に存在することができる。したがって、コレステリック液晶の相状態は、液晶層に印加される電界強度に対して一義的に決まらず、プレーナ相が初期状態の場合には、電界強度の増加に伴って、プレーナ相、フォーカルコニック相、ホメオトロピック相の順に変化し、フォーカルコニック相が初期状態の場合には、電界強度の増加に伴って、フォーカルコニック相、ホメオトロピック相の順に変化する。
【0069】
一方、液晶層に印加した電界強度を急激にゼロにした場合には、プレーナ相とフォーカルコニック相はそのままの状態を維持し、ホメオトロピック相はプレーナ相に変化する。
したがって、パルス信号を印加した直後のコレステリック液晶層は、図9に示すようなスイッチング挙動を示し、印加されたパルス信号の電圧が、Vfh以上のときには、ホメオトロピック相からプレーナ相に変化した選択反射状態となり、VpfとVfhの間のときには、フォーカルコニック相による透過状態となり、Vpf以下のときには、パルス信号印加前の状態を継続した状態、すなわちプレーナ相による選択反射状態またはフォーカルコニック相による透過状態となる。
【0070】
なお、図中、縦軸は正規化反射率であり、最大反射率を100、最小反射率を0として、反射率を正規化している。また、プレーナ相、フォーカルコニック相およびホメオトロピック相の各状態間には、遷移領域が存在するため、正規化反射率が50以上の場合を選択反射状態、正規化反射率が50未満の場合を透過状態と定義し、プレーナ相とフォーカルコニック相の相変化のしきい値電圧をVpfとし、フォーカルコニック相とホメオトロピック相の相変化のしきい値電圧をVfhとする。
【0071】
特に、コレステリック液晶の連続相中に網目状の樹脂を含むPNLC(Polymer Network Liquid Crystal)構造や、高分子の骨格中にコレステリック液晶がドロップレット状に分散されたPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)構造(マイクロカプセル化されたものを含む)の液晶層においては、コレステリック液晶と高分子の界面における干渉により(アンカリング効果)、プレーナ相とフォーカルコニック相の無電界における双安定性が向上し、長期間に渡ってパルス信号印加直後の状態を保持することができる。
【0072】
本実施形態における表示媒体1では、このコレステリック液晶の双安定現象を利用して、(A)プレーナ相による選択反射状態と、(B)フォーカルコニック相による透過状態とを、電源装置17により所定の電圧を印加しつつプロジェクタ18によりスイッチングすることによって、無電界でのメモリ性を有する画像が書き込まれ、表示される。
【0073】
電源装置17により印加する電圧は、例えば、表示層7にVpf〜Vfh間の分圧がかかり、プロジェクタ18により所定の波長並びに強度のアドレス光が照射された時に、表示層7にかかる分圧がVfh以上となる電圧としておく。かかる電圧が印加された状態では、プレーナ(P)状態の部位はフォーカルコニック(F)状態に相変化し、フォーカルコニック(F)状態の部位はそのまま相変化せず、全ての部位がフォーカルコニック(F)状態となる。
【0074】
なお、プロジェクタ18の位置は、図1に示されるように、表示媒体1の中心の真上ではなく、横にずれた位置とした。そのため、アドレス光はやや斜めに、外光遮断シート2並びに表示媒体1に照射される。
ただし、図1が概略構成図であるため表現されていないが、プロジェクタ18の位置は、外光遮断シート2並びに表示媒体1から十分に離れているため、本実施形態において、アドレス光の進行方向が平行(アドレス光が平行光)であると看做して問題無い。
【0075】
この状態で、プロジェクタ18により選択的にアドレス光が照射されると、当該照射された部位のみがVfh以上の分圧がかかり、フォーカルコニック(F)状態からホメオトロピック(H)状態に相変化する。その後印加電圧を解除すると、アドレス光が照射されホメオトロピック(H)状態に相変化した部位は、選択反射状態のプレーナ(P)相となる。一方、書き込み光が照射されなかった部位は、透過状態のフォーカルコニック(F)相のままである。このようにして相変化が選択的に為され、画像が書き込まれる。
【0076】
なお、本発明においては、どの相状態の変化を利用するかは特に制限は無く、所定の波長並びに強度の書き込み光を選択的に照射することで相変化が生じ、反射/透過が選択されて画像が書き込みできれば問題無い。本実施形態においても、例えば、Vfh以上の電圧を印加してこれを解除する等により、予め全面をプレーナ(P)状態としておき、その後Vpf以下で所定の波長並びに強度の書き込み光が照射された時にVpf以上となる電圧を表示層7に印加しつつ、書き込み光を選択的に照射して、当該照射された部位をフォーカルコニック(F)状態に相変化させる相変化を利用しても構わない。この場合、書き込み光が照射された部位は、透過状態のフォーカルコニック(F)相となり、書き込み光が照射されなかった部位は、選択反射状態のプレーナ(P)相となる。このようにして相変化が選択的に為され、画像が書き込まれる。
【0077】
上記書き込み動作を、蛍光灯が灯った室内等外光が存在する中で行った場合にも、外光遮断シート2が表示媒体1の書き込み側(=表示側)の面を覆っているため、散乱光である外光はこれにより遮蔽される。一方、プロジェクタ18からのアドレス光は、外光遮断シート2内の板状体12の短辺が当該アドレス光と平行なので、板状体12の間隙を難なく透過することができる。
【0078】
このように本実施形態では、アドレス光のON/OFFのコントラストを阻害する外光を外光遮断シート2によって効果的に遮蔽し、アドレス光は基本的にそのまま外光遮断シート2を透過するので、外光の存在下であってもそれに影響されること無く、形成される表示画像において良好なコントラストを得ることができる。
【0079】
<外光遮断シートの機能評価試験>
以下、本発明で使用する外光遮断部材が、本発明の効果を発現する作用を生じ得ることを、外光遮断部材の具体例である2つの外光遮断シートの機能を評価することで確認した。また、光アドレス型表示媒体のアドレス光の強度に対する特性を測定して、外光遮断シートの機能から、本発明の書き込み方法の条件を検討した。
【0080】
(評価試験1)
図10は、評価試験1に供したセットの概要を示す説明図である。
実験室内の作業台の上方40cmの位置に、アドレス光を照射するプロジェクタの光源をセットした。当該光源は、最も近い室内蛍光灯と平面的に見て80cm離れた位置にセットした。室内蛍光灯が埋め込まれた天井高は、作業台から180cmである。なお、室内蛍光灯は、200cmピッチで平行に並んでおり、図10におけるプロジェクタの上方右側にも存在するが、図10では図示が省略されている。
【0081】
室内蛍光灯直下の作業台上を測定点A、プロジェクタの光源直下の作業台上を測定点Bとした。プロジェクタの光源からのアドレス光は、測定点Aで測定する際には測定点Aに向けて、測定点Bで測定する際には直下(測定点B)に向けて、それぞれ照射した。すなわち、測定点Aでは作業台からの垂線に対して60゜の角度でアドレス光が測定点を照射し、測定点Bでは全くの垂直方向からアドレス光が測定点を照射することになる。
なお、何れの測定点においても、室内蛍光灯からの照明光(散乱光)が常に照射されている。
【0082】
測定点AおよびBに、光量計のセンサー部を平置きし、その上に外光遮断シート(外光遮断部材)を密着させて載置した場合(2)と、何も載せずにそのままの場合(1)とで、プロジェクタの光源をON/OFF(明時/暗時)して、それぞれの条件における光量(測定周波数:550nm)を測定した。
【0083】
なお、外光遮断シートには、住友スリーエム(株)製視野角調整フィルム(商品名:ライトコントロールフィルム、可視角度60゜)を用いた。この視野角調整フィルムは、図5に示されるように板状体12bがフィルム面に対して垂直に配列しており、短辺の長さおよび各板状体12bの間隙から、視野角60゜以上の方向から視認することができないように調整された物である。
これは換言すれば、用いた外光遮断シートが、その表面からの垂線に対して30゜以上の角度となる進行方向のアドレス光やその他の光を遮断する機能を有することを意味する。
【0084】
また、外光遮断シートを載置させた場合(2)については、この視野角調整フィルムが1枚の場合(2−1)と2枚重ねた場合(2−2)の2つの条件で試験を行った。
下記表1に、本評価試験の結果を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示される測定点Bの結果から、外光遮断シート無しでは暗時でも外光の影響を大きく受けてかなりの大きさの光量となり、明暗コントラストが十分でなかったのが、外光遮断シートを介することにより暗時の外光の影響を抑えることができ、明暗コントラストが高くなっていることがわかる。このとき、外光遮断シート1枚に比して2枚用いた方が、より明暗コントラストが高くなるが、その分アドレス光にもロスが生じ、明時における光量が低くなっているのがわかる。
【0087】
一方、表1に示される測定点Aの結果から、真上にある室内蛍光灯でも外光遮断シートを介することにより、かなりその透過を阻止することができ、外光遮断シートが1枚よりも2枚の方が高い効果が得られることがわかる。また、作業台(さらには外光遮断シート)の垂線に対して60゜斜めの角度から照射されるアドレス光は、外光遮断シートを介した場合ほとんど全てカットされ、そのON/OFFが光量に影響を与えないのがわかる。
【0088】
以上のように、評価試験1の結果から、板状体がシート表面に対して垂直に配列した外光遮光シートが、外光の遮蔽に効果があり、かつ、アドレス光は有効に透過するため、アドレス光の高い明暗コントラストが実現できることが確認された。
また、外光遮光シートを2枚重ねることで、外光の遮蔽効果が高まりアドレス光の高い明暗コントラストを確保できるものの、アドレス光の光量低下に繋がることが確認された。このことは、本発明において、外光遮断部材の仕様を検討する際、書き込み対象となる光アドレス型表示媒体の特性やアドレス光の強度、書き込み環境等を考慮して最適の条件の物を選択することが表示画像の高コントラスト化に資することの示唆と言える。
【0089】
(評価試験2)
評価試験1で用いたセットにおいて、アドレス光を照射するプロジェクタの光源を、測定点Aへのアドレス光の照射角度はそのままに(すなわち、作業台からの垂線に対して60゜の角度でアドレス光が測定点Aを照射するように)、測定点Aからの空間距離が30cmとなる位置に移動させ、本評価試験用としてセットした。また、光量計のセンサー部は、測定点Aにのみ平置きした。
【0090】
外光遮断シート(外光遮断部材)には、評価試験1で用いた視野角調整フィルムと同様の構成で、内部の板状体のみ60゜斜めに傾けた物(角度やカバー材の有無等が異なるが、おおよそ図2、図3および図4に示される物と類似の物)を試作して用いた。外光遮断シート有りの場合(2)には、外光遮断シート内部の板状体の傾斜方向と、プロジェクタの光源からのアドレス光の照射方向とが一致するように、光量計のセンサー部上に外光遮断シートを密着させて載置した。なお、外光遮断シートは1枚のみ用いた。
【0091】
評価試験1と同様に、光量計のセンサー部の上に外光遮断シートを密着させて載置した場合(2)と、何も載せずにそのままの場合(1)とで、プロジェクタの光源をON/OFF(明時/暗時)して、それぞれの条件における光量(測定周波数:550nm)を測定した。
下記表2に、本評価試験の結果を示す。
【0092】
【表2】
【0093】
表2に示される結果から、外光遮断シート無しでは暗時でも外光の影響を大きく受けてかなりの大きさの光量となり、明暗コントラストが十分でなかったのが、外光遮断シートを介することにより暗時の外光の影響を抑えることができ、明暗コントラストが約200/10と、極めて高くなっていることがわかる。
【0094】
(評価試験3)
本評価試験に供するモノクロ表示の光アドレス型表示媒体を用意した。当該表示媒体は図1に示す表示媒体1と同様の構成のもの(以下、図1における各構成部材の符号を用いて説明する。)であり、詳しくは、透明電極5をスパッタした125μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを透明基板3、同様に基板4として、ペーパーライクな白黒表示媒体を試作した。多価イソシアネートモノマーを界面重合させたポリウレタン・ウレアをシェルとする薄緑とピンクのコレステリック液晶マイクロカプセル(平均粒径8μm)を作成し、等量混合し水溶性高分子のバインダとともに約35μm厚に塗布することで、白黒表示層7を作製した。一方、有機光導電層として、約0.2μm厚のフタロシアニン系顔料の電荷発生層(上CGL13,下CGL15)と、ポリカーボネートバインダにベンジジン系の正孔輸送材料を分散した8μm厚の電荷輸送層(CTL14)を積層した。その上にラミネート層8を塗工し、表示層と貼り合わせることで、表示媒体1を得た。
【0095】
この表示媒体1について、表示層7中のコレステリック液晶がフォーカルコニック相に揃う程度の電圧(図9で言うところのVpf以上Vfp以下の電圧)を印加しつつ露光強度(光量)を変化させて、最終的に得られる表示画像の正規化反射率を、積分球形分光計(コニカミノルタ社製、CM2002型)を用いて測定した。ここで正規化反射率とは、JIS Z 8772の拡散照明垂直受光方式に従ってSCE(正反射光除去)条件で測定した反射強度を、完全拡散面を100%として規格化したものである。
【0096】
なお、表示層7に分圧印加される電圧が閾値電圧(図9で言うところのVfp)を超えると、表示層7中のコレステリック液晶がホメオトロピック相に相変化し、電圧印加を解除するとプレーナ相に相変化するため、反射率が向上する。
測定結果を図11にグラフにて示す。
【0097】
露光強度が10μW/cm2以下であれば、表示媒体1の表示側の面は黒色のままであったが、これを超えると徐々に反射率が向上し、100μW/cm2を超えたあたりでほぼ飽和した。このことから、本評価試験に供した表示媒体1は、アドレス光が照射された時(明時)に露光強度が100μW/cm2を超え、アドレス光が照射されていない時(暗時)に露光強度が10μW/cm2以下となる程度の明暗コントラスト状態にすれば、良好なコントラストの表示画像を得ることができることがわかった。通常のオフィス環境下では、100〜300μW/cm2の明るさであるため、この表示媒体1は、オフィス環境下で外光を遮蔽すること無くそのまま書き込むと、表示画像に黒の浮きが発生するものと推測される。
【0098】
(表示媒体への書き込み)
評価試験3の結果を踏まえて、上記評価試験1および2の結果(表1および表2)を見ると、評価試験1における測定点Bでの外光遮断シート2枚重ねの場合と、評価試験2における外光遮断シート有りの場合において、外光を遮蔽すること無くそのまま書き込むことができる条件であることがわかる。
【0099】
そして、両条件においてそれぞれ外光遮断シートを表示媒体1の表示側の面に密着させて配置し、所定の電圧を印加しつつプロジェクタの光源をON/OFFさせることでアドレス光の照射/非照射を選択して表示画像を得たところ、いずれの条件においても良好なコントラストの画像が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の光アドレス型表示媒体の書き込み方法を適用したシステムの例示的一態様である実施形態の概略構成図である。
【図2】図1における外光遮断シート(外光遮断部材)の模式的な斜視図である。
【図3】図2において模式的に示した外光遮断シートから、板状体のみを抜き出して表した斜視図である。
【図4】図3におけるA−A矢視断面図である。
【図5】他の外光遮断シート(外光遮断部材)の例示であって、板状体のみ抜き出し、図4と同様の方向から見た断面図である。
【図6】さらに他の外光遮断シート(外光遮断部材)の例示であって、板状体のみ抜き出し、図4と同様の方向から見た断面図である。
【図7】図6にて例示された外光遮断シート(外光遮断部材)の斜視図である。
【図8】コレステリック液晶の分子配向と光学特性の関係を示す模式説明図であり、(A)はプレーナ相、(B)はフォーカルコニック相、(C)ホメオトロピック相の各相におけるものである。
【図9】コレステリック液晶のスイッチング挙動を説明するためのグラフである。
【図10】評価試験1に供したセットの概要を示す説明図である。
【図11】評価試験3の結果を示すグラフである。
【図12】表示側の裏面から書き込む従来技術により、光アドレス型表示媒体に、露光装置で画像の書き込みを行っている様子を表す模式図である。
【符号の説明】
【0101】
1:表示媒体(光アドレス型表示媒体)、 2:外光遮断シート(外光遮断部材)、 3:透明基板、 4:基板、 5,6:電極層、 7:表示層、 8:ラミネート層、 9:光源(露光手段)、 10:OPC層(光導電層)、 12:板状体、 13,15:電荷発生層、 14:電荷輸送層、 17:電源装置(電圧印加手段)、 18:プロジェクタ(光源・露光手段)、 19,20:接触端子、 501:プロジェクタ、 502:電圧印加部、 503:表示媒体、 504:調光層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光アドレス型表示媒体に光源からアドレス光を照射することにより、画像を書き込む光アドレス型表示媒体の書き込み方法であって、
前記アドレス光の進行方向に対して、その短辺の傾斜が略平行になるように配された細長の板状体が複数配列してなるルーバー状の外光遮断部材を、前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面に配した状態で、前記光源からアドレス光を照射することを特徴とする光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項2】
前記光アドレス型表示媒体における書き込み側の面が、表示側の面を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項3】
前記外光遮断部材を構成する板状体の表面が、黒色であることを特徴とする請求項1または2に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項4】
前記光アドレス型表示媒体が、少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、含まれる液晶の相状態に応じて光を反射する表示層と、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて抵抗値を変化させる光導電層とが積層挟持されてなるものであり、
前記アドレス光を照射する際に、併せて前記一対の電極層間に所定の電圧を印加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項5】
前記表示層に含まれる液晶が、コレステリック液晶であることを特徴とする請求項4に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項6】
前記表示層が、高分子中に前記コレステリック液晶が分散されてなることを特徴とする請求項5に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項7】
前記光導電層が、有機光導電体からなることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項8】
前記光源が、点光源であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項9】
前記光源が、面光源であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法に用いる外光遮断部材であって、細長の板状体が略同一角度で傾斜し、その面同士が略平行になるように複数配列されてルーバー状に構成されてなることを特徴とする外光遮断部材。
【請求項11】
前記光源が点光源であり、かつ、前記板状体がその長手方向に湾曲した形状であることを特徴とする請求項10に記載の外光遮断部材。
【請求項12】
その表面が黒色であることを特徴とする請求項10または11に記載の外光遮断部材。
【請求項13】
光アドレス型表示媒体に画像を書き込むための光アドレス型表示媒体の書き込み装置であって、
前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面にアドレス光を照射する露光手段と、
前記アドレス光の進行方向に対して、その短辺の傾斜が略平行になるように配された細長の板状体が複数配列してなるルーバー状で、前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面に着脱自在な外光遮断部材と、
を備えることを特徴とする光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項14】
画像を書き込む対象となる前記光アドレス型表示媒体における書き込み側の面が、表示側の面を兼ねることを特徴とする請求項13に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項15】
前記外光遮断部材を構成する板状体の表面が、黒色であることを特徴とする請求項13または14に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項16】
画像を書き込む対象となる前記光アドレス型表示媒体が、少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、含まれる液晶の相状態に応じて光を反射する表示層と、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて抵抗値を変化させる光導電層とが積層挟持されてなるものであり、
さらに、前記一対の電極層間に電圧を印加する電圧印加手段を備えることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項17】
前記表示層に含まれる液晶が、コレステリック液晶であることを特徴とする請求項16に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項18】
前記表示層が、高分子中に前記コレステリック液晶が分散されてなることを特徴とする請求項17に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項19】
前記光導電層が、有機光導電体からなることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項20】
前記露光手段が、点光源であることを特徴とする請求項13〜19のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項21】
前記露光手段が、面光源であることを特徴とする請求項13〜19のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項1】
光アドレス型表示媒体に光源からアドレス光を照射することにより、画像を書き込む光アドレス型表示媒体の書き込み方法であって、
前記アドレス光の進行方向に対して、その短辺の傾斜が略平行になるように配された細長の板状体が複数配列してなるルーバー状の外光遮断部材を、前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面に配した状態で、前記光源からアドレス光を照射することを特徴とする光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項2】
前記光アドレス型表示媒体における書き込み側の面が、表示側の面を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項3】
前記外光遮断部材を構成する板状体の表面が、黒色であることを特徴とする請求項1または2に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項4】
前記光アドレス型表示媒体が、少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、含まれる液晶の相状態に応じて光を反射する表示層と、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて抵抗値を変化させる光導電層とが積層挟持されてなるものであり、
前記アドレス光を照射する際に、併せて前記一対の電極層間に所定の電圧を印加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項5】
前記表示層に含まれる液晶が、コレステリック液晶であることを特徴とする請求項4に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項6】
前記表示層が、高分子中に前記コレステリック液晶が分散されてなることを特徴とする請求項5に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項7】
前記光導電層が、有機光導電体からなることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項8】
前記光源が、点光源であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項9】
前記光源が、面光源であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み方法に用いる外光遮断部材であって、細長の板状体が略同一角度で傾斜し、その面同士が略平行になるように複数配列されてルーバー状に構成されてなることを特徴とする外光遮断部材。
【請求項11】
前記光源が点光源であり、かつ、前記板状体がその長手方向に湾曲した形状であることを特徴とする請求項10に記載の外光遮断部材。
【請求項12】
その表面が黒色であることを特徴とする請求項10または11に記載の外光遮断部材。
【請求項13】
光アドレス型表示媒体に画像を書き込むための光アドレス型表示媒体の書き込み装置であって、
前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面にアドレス光を照射する露光手段と、
前記アドレス光の進行方向に対して、その短辺の傾斜が略平行になるように配された細長の板状体が複数配列してなるルーバー状で、前記光アドレス型表示媒体の書き込み側の面に着脱自在な外光遮断部材と、
を備えることを特徴とする光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項14】
画像を書き込む対象となる前記光アドレス型表示媒体における書き込み側の面が、表示側の面を兼ねることを特徴とする請求項13に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項15】
前記外光遮断部材を構成する板状体の表面が、黒色であることを特徴とする請求項13または14に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項16】
画像を書き込む対象となる前記光アドレス型表示媒体が、少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、含まれる液晶の相状態に応じて光を反射する表示層と、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて抵抗値を変化させる光導電層とが積層挟持されてなるものであり、
さらに、前記一対の電極層間に電圧を印加する電圧印加手段を備えることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項17】
前記表示層に含まれる液晶が、コレステリック液晶であることを特徴とする請求項16に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項18】
前記表示層が、高分子中に前記コレステリック液晶が分散されてなることを特徴とする請求項17に記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項19】
前記光導電層が、有機光導電体からなることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項20】
前記露光手段が、点光源であることを特徴とする請求項13〜19のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【請求項21】
前記露光手段が、面光源であることを特徴とする請求項13〜19のいずれかに記載の光アドレス型表示媒体の書き込み装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−304187(P2007−304187A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−130335(P2006−130335)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成16年度独立行政法人科学技術振興機構革新技術開発研究事業、産業活力再生特別措置法第30条の規定を受けるもの)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成16年度独立行政法人科学技術振興機構革新技術開発研究事業、産業活力再生特別措置法第30条の規定を受けるもの)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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