光コネクタプラグ誤脱防止具
【課題】ラッチ手段を有するLCタイプの光コネクタプラグの押圧操作レバーを完全にカバーすることができ且つ押圧操作レバーからの脱落を防止することができ、ラッチ解除の操作が誤って行なわれるのを確実に防止できるようにする。
【解決手段】ラッチ手段Lを有する光コネクタプラグにおいて、ラッチ片11を押圧操作するための押圧操作レバー12の誤操作によるプラグ本体Pの誤脱を防止する防止具本体1を備え、防止具本体1は、プラグ本体P上で押圧操作レバー12を上方から覆って保護するレバー保護部2と、レバー保護部2から後方に向けて延設したブーツ保持部3とを備える。レバー保護部2は、下部開口したコの字形の囲いによって形成し、その左右側壁の内面には、押圧操作レバー12を左右両側で抱え込む保持突起4を備える。
【解決手段】ラッチ手段Lを有する光コネクタプラグにおいて、ラッチ片11を押圧操作するための押圧操作レバー12の誤操作によるプラグ本体Pの誤脱を防止する防止具本体1を備え、防止具本体1は、プラグ本体P上で押圧操作レバー12を上方から覆って保護するレバー保護部2と、レバー保護部2から後方に向けて延設したブーツ保持部3とを備える。レバー保護部2は、下部開口したコの字形の囲いによって形成し、その左右側壁の内面には、押圧操作レバー12を左右両側で抱え込む保持突起4を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換局舎やデータセンタ等での光ファイバ通信網の重要回線に係る光コネクタプラグをアダプタから誤って抜いてしまうことにより発生する通信障害を未然に防止するための光コネクタプラグ誤脱防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報伝送容量の拡大にともないネットワーク機器用に開発されたMTコネクタの基本構造としたMT−RJ光コネクタは、着脱操作が容易な接続保持用のラッチ手段を備えている。
【0003】
従来から知られているMT−RJ光コネクタは、光ファイバテープ心線等に接続されるプラグコネクタと、パッチパネル等に取付固定されるコネクタアダプタとにより構成される。プラグコネクタは、プラグハウジング内にメカニカルスプライス付きのMTフェルールを収納し、後部にテープ心線の導入部を保護するブーツを配して構成されている。
【0004】
また、プラグハウジングは、その後部側に膨出部を有し、この膨出部の一つの面から片持ち梁状にラッチアームが一体に設けて形成され、該ラッチアームは、その自由端部分に前方が傾斜面となるラッチ突起を有し、且つ付け根部分に押圧によりラッチアームを弾性的に変位させる押圧部を有している。
【0005】
そして、プラグコネクタを、コネクタアダプタから取り外す場合は、押圧部を指で押し、ラッチアームを弾性変位させてラッチ突起をラッチ係合孔から外れるように引き下げ、係合を解除すると共に、プラグコネクタを手前に引き出すことにより、容易に取り外すことができるようになっている。
【0006】
しかし、光コネクタをパッチパネル等に高密度で配設した光コネクタ装置では、あるプラグコネクタを外そうとした時に小型であるために隣接する他のプラグコネクタにも手が触れやすく、誤って別のコネクタのラッチアームの押圧部を押してしまうことがある。この誤脱は、特に光伝送路が高密度に装備されたLAN関係等で使用されるコネクタにおいて生じやすい。
【0007】
そこで、従来のこのようなMT−RJ光コネクタにおいては、特許文献1に開示されているように、ラッチ手段の解除を誤って行なわないようにするための光コネクタ誤脱防止部材が既に提案されている。そして、この光コネクタ誤脱防止部材は、ラッチ保護部とコネクタ保持部を基本構成とし、その他に光コネクタ誤脱防止部材が押圧により倒れるのを防ぐ傾動防止片を一体に設けて構成されている。
【0008】
すなわち、ラッチ保護部は、光コネクタ誤脱防止部材を手で前方に押込んだ時に、プラグコネクタの押圧部に直接手が触れない構造で形成されている。また、コネクタ保持部は、側壁面がコネクタアダプタのハウジングの外面より突出しない横幅で、プラグコネクタのブーツの前部に嵌合されて、その摩擦力で保持されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−40287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ただ、従来においては、MT−RJ光コネクタ以外のラッチ手段を有する単心用または2心用のLCタイプ光コネクタプラグを対象とした誤脱防止具はその需要が少ないため、今までに開発されてはいなかった。近年、このようなLCタイプ光コネクタプラグの交換局舎やデータセンタ等での利用が進むにつれて、上記したような光コネクタプラグ誤脱防止具の需要が次第に高まってきている。
【0011】
ところで、従来のラッチ手段を有するLCタイプの光コネクタプラグは、フェルール、フェルールホルダー、コイルバネ等を内蔵したプラグ本体のブーツ手前から押圧操作レバーが斜めに突出され、これに対向すべくプラグ本体の先端から後方へ向けて斜めにラッチ片が設けられ、前記押圧操作レバーにラッチ片が先端同士で係合している。押圧操作レバーはプラグ本体側に向けて押圧させることによってラッチ片をプラグ本体に近づく方向に変位させる。これによって当該ラッチ片はアダプタのハウジングと係合するようになっている。
【0012】
一方、プラグ本体は、アダプタのハウジングの前部または後部から単に押し込むだけで挿入され、ラッチ片を弾性的に曲げてハウジング内壁に沿って挿通される。そして、ラッチ片はハウジングのラッチ係合孔に到達した位置で弾性復帰し当該ラッチ係合孔にスナップイン的に係合し、プラグ本体が係着される。こうしてアダプタのハウジングの前部と後部から挿入されたプラグ本体は、ハウジングの中央で、光ファイバ端面が互いに衝合し、光接続を形成するものとなっている。
【0013】
しかしながら、このようなLCタイプの光コネクタプラグのラッチ手段は、押圧操作レバーがブーツ手前から斜上前方に向けて突出してその先端がラッチ片先端に係架されていることから、MT−RJ光コネクタ用として使われている従来の誤脱防止具では、LCタイプの光コネクタプラグにおける押圧操作レバーを完全にカバーしきれず、しかも誤脱防止具が押圧操作レバーから簡単に脱落してしまう等、誤脱防止機能としては不十分なものである。
【0014】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、ラッチ手段を有する単心用または2心用のLCタイプの光コネクタプラグの押圧操作レバーを完全にカバーすることができ且つ押圧操作レバーからの脱落を防止することができ、また光コネクタプラグの構成を変えることなく簡単に取り付けられ、ラッチ解除の操作が誤って行なわれるのを完全に防止することができる簡易で安価な光コネクタプラグ誤脱防止部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、ラッチ手段を有する光コネクタプラグにおいて、ラッチ片を押圧操作するための押圧操作レバーの誤操作によるプラグ本体の誤脱を防止する防止具本体を備え、防止具本体は、プラグ本体上で押圧操作レバーを上方から覆って保護するレバー保護部と、レバー保護部から後方に向けて延設されたブーツ保持部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
レバー保護部は、下部開口したコの字形の囲いによって形成され、その左右側壁の内面には、押圧操作レバーを左右両側で抱え込む保持突起を備えている。
【0017】
レバー保護部は、その左右側壁にスリット部を設け、該スリット部は前記保持突起よりも後方側に位置している。
【0018】
レバー保護部は、その前方に向けてガイドアーム部が突設され、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時において前記左右一対のガイドアーム部がアダプタ内に挿入配置されるものとなっている。
【0019】
ブーツ保持部は、ブーツ上に沿って載置されるものとなっている。
【0020】
ブーツ保持部は、プラグ本体の後端から延長されているブーツの前部に嵌合される嵌合孔部を備え、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時においてブーツ後部に延長したコードを嵌合孔部内に導入させてブーツ側にスライドされるようブーツ保持部の下側に嵌合孔部に通じる切り込み部を備えている。
【0021】
切り込み部は、蛇行状に形成されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ラッチ手段を有するLCタイプの光コネクタプラグの押圧操作レバーを完全にカバーすることができ且つ押圧操作レバーからの脱落を防止することができ、また光コネクタプラグの構成を変えることなく簡単に取り付けられ、ラッチ解除の操作が誤って行なわれるのを完全に防止することができる。
【0023】
すなわち、本発明にあっては、ラッチ手段を有する光コネクタプラグにおいて、ラッチ片を押圧操作するための押圧操作レバーの誤操作によるプラグ本体の誤脱を防止する防止具本体を備え、防止具本体は、プラグ本体上で押圧操作レバーを上方から覆って保護するレバー保護部と、レバー保護部から後方に向けて延設されたブーツ保持部とを備えたので、ラッチ手段を有するLCタイプの光コネクタプラグの押圧操作レバーを完全にカバーすることができることから、ラッチ解除の操作が誤って行なわれるのを完全に防止することができる。しかも光コネクタプラグ誤脱防止部材を、光コネクタプラグの構成を変えることなく簡単に取り付けることができる。
【0024】
レバー保護部は、下部開口したコの字形の囲いによって形成され、その左右側壁の内面には、押圧操作レバーを左右両側で抱え込む保持突起を備えているので、押圧操作レバーからの脱落を未然に防止することができる。
【0025】
レバー保護部は、その左右側壁にスリット部を設け、該スリット部は前記保持突起よりも後側に位置しているので、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時において、スリット部を介して左右側壁が互いに外方に向けて撓曲しながら保持突起に押圧操作レバーの左右両側を係架させることができ、プラグ本体へのレバー保護部のスムーズな装着が可能となる。
【0026】
レバー保護部は、その前方に向けてガイドアーム部が突設され、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時において前記左右一対のガイドアーム部がアダプタ内に挿入配置されるものとしたので、アダプタに対するレバー保護部の保持安定性が確実なものとなる。
【0027】
ブーツ保持部は、ブーツ上に沿って載置されるものとしたので、プラグ本体への防止具本体の装着が簡単に行えると同時に、単心用または2心用のLCタイプ光コネクタの簡易で安価な光コネクタ誤脱防止部材を提供することができる。
【0028】
ブーツ保持部は、プラグ本体の後端から延長されているブーツの前部に嵌合される嵌合孔部を備え、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時においてブーツ後部に延長した光コードを嵌合孔部内に導入させてブーツ側にスライドされるようブーツ保持部の下側に嵌合孔部に通じる切り込み部を備えたので、単心用または2心用のLCタイプの光コネクタプラグよりも安定したガイドが得られるユニブーツタイプの光コネクタ誤脱防止部材を提供することができる。
【0029】
切り込み部は、蛇行状に形成されているので、ブーツ保持部に装着されているプラグ本体の光コートからの脱着を一層確実に防止する機能を有している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を実施するための一形態を示す単心用の防止具本体の斜視図である。
【図2】同じく単心用の防止具本体の構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【図3】アダプタに装着されているプラグ本体への単心用の防止具本体の装着例を説明するもので、(a)は装着前の状態の側面図、(b)は装着後の状態の側面図、(c)は装着後の状態の防止具本体を断面で示す側面図である。
【図4】防止具本体の他例を示す斜視図である。
【図5】同じく他例の防止具本体の構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【図6】同じく他例の防止具本体を2個並べたプラグ本体へ装着した状態を示す斜視図である。
【図7】ユニブーツタイプの防止具本体を斜上側から見た状態の斜視図である。
【図8】ユニブーツタイプの防止具本体を斜下側から見た状態の斜視図である。
【図9】ユニブーツタイプの防止具本体の構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【図10】アダプタに装着されているプラグ本体へのユニブーツタイプの防止具本体の装着例を説明するもので、(a)はコードに装着される途中の状態を示す側面図、(b)はコードへの装着後にブーツ側にスライドさせた状態を示す側面図、(c)はブーツ側にスライドしてレバー保護部で押圧操作レバーを上方から覆って保護した状態の側面図、(d)は(c)の状態の防止具本体を断面で示す側面図である。
【図11】ユニブーツタイプの防止具本体をプラグ本体へ装着した状態の斜視図である。
【図12】ユニブーツタイプの防止具本体をプラグ本体へ装着した状態の半切欠断面図である。
【図13】アダプタに装着されているプラグ本体へユニブーツタイプの防止具本体を装着した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の一形態を詳細に説明する。
本実施形態において、光コネクタプラグ誤脱防止具を構成する防止具本体1は、図3に示すように、単心用のLCタイプの光コネクタプラグのラッチ手段Lを有するプラグ本体P(図11乃至図13参照)に装着され、当該ラッチ手段Lのラッチ片11を押圧操作するための押圧操作レバー12の誤操作によるアダプタQからの前記プラグ本体Pの誤脱を防止するためのものである。
【0032】
ラッチ手段Lは、図13に示すように、フェルール13、フェルールホルダー14、コイルバネ15等を内蔵したプラグ本体Pの後端に装着されたブーツ16手前から斜めに突出された押圧操作レバー12と、これに対向すべくプラグ本体Pの先端から後方へ向けて斜めに設けられたラッチ片11とによって構成され、前記押圧操作レバー12にラッチ片11が先端同士で係合している。押圧操作レバー12はプラグ本体P側に向けて押圧させることによってラッチ片11をプラグ本体Pに近づく方向に変位させ、当該ラッチ片11をアダプタQのハウジングHと係合させるようになっている。
【0033】
すなわち、プラグ本体Pは、アダプタQのハウジングHの前部または後部から単に押し込むだけで挿入され、ラッチ片11を弾性的に曲げてハウジングH内壁に沿って挿通される。そして、ラッチ片11はハウジングHの不図示のラッチ係合孔に到達した位置で弾性復帰し当該ラッチ係合孔にスナップイン的に係合し、これによってハウジングH内にプラグ本体Pが係着される。本実施形態に係る防止具本体1は、このようにアダプタQに装着されているプラグ本体Pへ直接装着されることで、押圧操作レバー12を完全にカバーすることができるものとなっている。
【0034】
防止具本体1は、図1、図2(a)乃至図2(d)に示すように、プラグ本体P上で押圧操作レバー12を上方から覆って保護するための下部開口のコの字形となった囲いによって形成されたレバー保護部2と、レバー保護部2から後方に向けて延設されたブーツ保持部3とから概ね構成されている。
【0035】
そして、レバー保護部2の左右側壁の内面には、押圧操作レバー12を左右両側で抱え込むための斜行突起状の保持突起4を備え、さらに保持突起4に隣接して左右側壁の各内面には、押圧操作レバー12を斜め上側から保持するための斜行状の係止部5が形成されている。
【0036】
また、レバー保護部2の左右側壁において、保持突起4よりも後方側位置には下縁から斜前方に向けてスリット部6を設けている。このとき、スリット部6の位置に対応した係止部5はその一部が切除されている。
【0037】
このスリット部6はレバー保護部2の左右側壁それぞれに設けられていることから、プラグ本体P上への防止具本体1の装着に際し、押圧操作レバー12がレバー保護部2内に挿入されると同時に、押圧操作レバー12の左右両側がそれぞれの保持突起4を乗り越えて係止部5に係止保持させられるようレバー保護部2自体に撓曲弾性力(可撓性)が付与されるものとしてある。なお、レバー保護部2の上面には、左右一対の長方形の開口部9が形成されている。
【0038】
さらに、レバー保護部2の左右側壁の各前端下側から前方に向けてガイドアーム部7が突設されており、アダプタQに装着されているプラグ本体Pへの防止具本体1の装着時において、この左右一対のガイドアーム部7がアダプタQ内に挿入配置されることにより、アダプタQに対するレバー保護部2の保持安定性が担保されている。
【0039】
一方、ブーツ保持部3は、ブーツ16上に沿って載置状に保持されるもので、上面がテーパ状となっており、またその末端部には、防止具本体1のプラグ本体PまたはアダプタQに対する押し込み操作もしくは引き出し操作を容易とするためのフランジ状の操作部8が形成されている。
【0040】
次に、以上のように構成された形態についての使用の一例について図3に基づき説明する。なお、プラグ本体PはアダプタQのハウジングH内に予め挿入されている。
【0041】
先ず、図3(a)に示すように、操作部8を手指で持ち、防止具本体1をプラグ本体P上に載せる。そして、図3(b)に示すように、防止具本体1をブーツ16上に沿って前方のアダプタQ側に向けてスライドさせ、左右一対のガイドアーム部7をアダプタQ内に案内させる。このとき、図3(c)に示すように、押圧操作レバー12がレバー保護部2内に挿入されると同時に、押圧操作レバー12の左右両側がそれぞれの保持突起4を乗り越えた後、当該押圧操作レバー12自体は左右側壁の内面の斜行状の係止部5によって係止保持させられる。こうして押圧操作レバー12はレバー保護部2によって完全に覆われた状態となり保護される。
【0042】
こうしてレバー保護部2により押圧操作レバー12を完全にカバーすることができ且つ保持突起4によって押圧操作レバー12からの防止具本体1の脱落を防止することができ、ラッチ解除の操作が誤って行なわれるのを完全に防止することができる。
【0043】
図4、図5(a)乃至図5(e)および図6には、本実施形態における防止具本体1の変形例が示されている。すなわち、本変形例では、2個並べた1心用のLCタイプ光コネクタに防止具本体1が取り付けられるようレバー保護部2の横幅すなわち左右側壁同士の間隔を、2個のプラグ本体Pに対応可能となる長さにしてある。
【0044】
なお、レバー保護部2以外の防止具本体1の構成、および使用例に関しては上記した本実施形態と同様なので、その詳細な説明を省略する。
【0045】
而して、図7乃至図13には、本実施形態における防止具本体1の他の変形例(ユニブーツタイプ)が示されている。なお、本ユニブーツタイプでは、前記変形例とは異なり、1つのブーツ16から分岐連設された一対のプラグ本体Pが二連並列状態となってクリップ体Kに保持固定される光コネクタ連結構造体を基本構成としている。
【0046】
すなわち、本変形例では、図7、図8、図9(b)、図9(d)、図9(e)に示すように、ブーツ保持部3の下側には下方に延長された矩形状の筐体となっており、ブーツ保持部3にはブーツ16の前部に嵌合されるよう前後に貫通した嵌合孔部18を備えている。また、図9(a)乃至図9(c)に示すように、この基部の上下両面には滑り止め用の複数条の突部20が形成されている。
【0047】
さらに、図8、図9(d)乃至図9(e)に示すように、ブーツ保持部3の下面には嵌合孔部18に通じる蛇行状となった切り込み部19が形成され、アダプタQに装着されているプラグ本体Pへの防止具本体1の装着時においてブーツ16後部に延長した光コード17を嵌合孔部18内に導入できるようになっている。この切り込み部19の蛇行によって、光コード17が嵌合孔部18内にいったん導入された際には、ブーツ保持部3から光コード17が容易に抜脱されないようになっている。一方、嵌合孔部18はストレートな孔形状となっており、光コード17装着後には防止具本体1自体を当該光コード17に沿ってブーツ16側前部までスライドできるようになっている。
【0048】
また、上記した変形例と同様に、レバー保護部2の横幅すなわち左右側壁同士の間隔を、二連のプラグ本体Pに対応可能となる長さにしてある。この場合において、レバー保護部2の左右側壁の内面には、押圧操作レバー12を左右両側で抱え込むための斜行突起状の保持突起4を備え、さらに保持突起4よりも後方側位置には左右側壁の下縁から上方へスリット部6が形成され、レバー保護部2上面の前方に向けて形成された左右一対の長方形の開口部9に繋がっている。なお、ブーツ保持部3およびスリット部6以外の防止具本体1の構成に関しては上記した本実施形態および変形例と同様なので、その詳細な説明を省略する。
【0049】
本変形例における防止具本体1の使用に際し、先ず、図10(a)に示すように、光コード17を基部下面の切り込み部19から挿入し嵌合孔部18内に導入する。次に、図10(b)に示すように、防止具本体1を光コード17からブーツ16に沿って前方のアダプタQ側に向けてスライドさせる。このとき、図10(c)および図10(d)、図12および図13に示すように、押圧操作レバー12がレバー保護部2内に挿入されると同時に、押圧操作レバー12の左右両側がそれぞれの保持突起4を乗り越えた後、押圧操作レバー12自体は左右側壁の内面の斜行状の係止部5によって係止保持させられる。こうして押圧操作レバー12は図11に示すように、レバー保護部2によって完全に覆われた状態となり保護される。
【符号の説明】
【0050】
P プラグ本体
L ラッチ手段
1 防止具本体
2 レバー保護部
3 ブーツ保持部
4 保持突起
5 係止部
6 スリット部
11 ラッチ片
12 押圧操作レバー
16 ブーツ
17 光コード
18 嵌合孔部
19 蛇行状の切り込み部
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換局舎やデータセンタ等での光ファイバ通信網の重要回線に係る光コネクタプラグをアダプタから誤って抜いてしまうことにより発生する通信障害を未然に防止するための光コネクタプラグ誤脱防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報伝送容量の拡大にともないネットワーク機器用に開発されたMTコネクタの基本構造としたMT−RJ光コネクタは、着脱操作が容易な接続保持用のラッチ手段を備えている。
【0003】
従来から知られているMT−RJ光コネクタは、光ファイバテープ心線等に接続されるプラグコネクタと、パッチパネル等に取付固定されるコネクタアダプタとにより構成される。プラグコネクタは、プラグハウジング内にメカニカルスプライス付きのMTフェルールを収納し、後部にテープ心線の導入部を保護するブーツを配して構成されている。
【0004】
また、プラグハウジングは、その後部側に膨出部を有し、この膨出部の一つの面から片持ち梁状にラッチアームが一体に設けて形成され、該ラッチアームは、その自由端部分に前方が傾斜面となるラッチ突起を有し、且つ付け根部分に押圧によりラッチアームを弾性的に変位させる押圧部を有している。
【0005】
そして、プラグコネクタを、コネクタアダプタから取り外す場合は、押圧部を指で押し、ラッチアームを弾性変位させてラッチ突起をラッチ係合孔から外れるように引き下げ、係合を解除すると共に、プラグコネクタを手前に引き出すことにより、容易に取り外すことができるようになっている。
【0006】
しかし、光コネクタをパッチパネル等に高密度で配設した光コネクタ装置では、あるプラグコネクタを外そうとした時に小型であるために隣接する他のプラグコネクタにも手が触れやすく、誤って別のコネクタのラッチアームの押圧部を押してしまうことがある。この誤脱は、特に光伝送路が高密度に装備されたLAN関係等で使用されるコネクタにおいて生じやすい。
【0007】
そこで、従来のこのようなMT−RJ光コネクタにおいては、特許文献1に開示されているように、ラッチ手段の解除を誤って行なわないようにするための光コネクタ誤脱防止部材が既に提案されている。そして、この光コネクタ誤脱防止部材は、ラッチ保護部とコネクタ保持部を基本構成とし、その他に光コネクタ誤脱防止部材が押圧により倒れるのを防ぐ傾動防止片を一体に設けて構成されている。
【0008】
すなわち、ラッチ保護部は、光コネクタ誤脱防止部材を手で前方に押込んだ時に、プラグコネクタの押圧部に直接手が触れない構造で形成されている。また、コネクタ保持部は、側壁面がコネクタアダプタのハウジングの外面より突出しない横幅で、プラグコネクタのブーツの前部に嵌合されて、その摩擦力で保持されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−40287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ただ、従来においては、MT−RJ光コネクタ以外のラッチ手段を有する単心用または2心用のLCタイプ光コネクタプラグを対象とした誤脱防止具はその需要が少ないため、今までに開発されてはいなかった。近年、このようなLCタイプ光コネクタプラグの交換局舎やデータセンタ等での利用が進むにつれて、上記したような光コネクタプラグ誤脱防止具の需要が次第に高まってきている。
【0011】
ところで、従来のラッチ手段を有するLCタイプの光コネクタプラグは、フェルール、フェルールホルダー、コイルバネ等を内蔵したプラグ本体のブーツ手前から押圧操作レバーが斜めに突出され、これに対向すべくプラグ本体の先端から後方へ向けて斜めにラッチ片が設けられ、前記押圧操作レバーにラッチ片が先端同士で係合している。押圧操作レバーはプラグ本体側に向けて押圧させることによってラッチ片をプラグ本体に近づく方向に変位させる。これによって当該ラッチ片はアダプタのハウジングと係合するようになっている。
【0012】
一方、プラグ本体は、アダプタのハウジングの前部または後部から単に押し込むだけで挿入され、ラッチ片を弾性的に曲げてハウジング内壁に沿って挿通される。そして、ラッチ片はハウジングのラッチ係合孔に到達した位置で弾性復帰し当該ラッチ係合孔にスナップイン的に係合し、プラグ本体が係着される。こうしてアダプタのハウジングの前部と後部から挿入されたプラグ本体は、ハウジングの中央で、光ファイバ端面が互いに衝合し、光接続を形成するものとなっている。
【0013】
しかしながら、このようなLCタイプの光コネクタプラグのラッチ手段は、押圧操作レバーがブーツ手前から斜上前方に向けて突出してその先端がラッチ片先端に係架されていることから、MT−RJ光コネクタ用として使われている従来の誤脱防止具では、LCタイプの光コネクタプラグにおける押圧操作レバーを完全にカバーしきれず、しかも誤脱防止具が押圧操作レバーから簡単に脱落してしまう等、誤脱防止機能としては不十分なものである。
【0014】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、ラッチ手段を有する単心用または2心用のLCタイプの光コネクタプラグの押圧操作レバーを完全にカバーすることができ且つ押圧操作レバーからの脱落を防止することができ、また光コネクタプラグの構成を変えることなく簡単に取り付けられ、ラッチ解除の操作が誤って行なわれるのを完全に防止することができる簡易で安価な光コネクタプラグ誤脱防止部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、ラッチ手段を有する光コネクタプラグにおいて、ラッチ片を押圧操作するための押圧操作レバーの誤操作によるプラグ本体の誤脱を防止する防止具本体を備え、防止具本体は、プラグ本体上で押圧操作レバーを上方から覆って保護するレバー保護部と、レバー保護部から後方に向けて延設されたブーツ保持部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
レバー保護部は、下部開口したコの字形の囲いによって形成され、その左右側壁の内面には、押圧操作レバーを左右両側で抱え込む保持突起を備えている。
【0017】
レバー保護部は、その左右側壁にスリット部を設け、該スリット部は前記保持突起よりも後方側に位置している。
【0018】
レバー保護部は、その前方に向けてガイドアーム部が突設され、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時において前記左右一対のガイドアーム部がアダプタ内に挿入配置されるものとなっている。
【0019】
ブーツ保持部は、ブーツ上に沿って載置されるものとなっている。
【0020】
ブーツ保持部は、プラグ本体の後端から延長されているブーツの前部に嵌合される嵌合孔部を備え、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時においてブーツ後部に延長したコードを嵌合孔部内に導入させてブーツ側にスライドされるようブーツ保持部の下側に嵌合孔部に通じる切り込み部を備えている。
【0021】
切り込み部は、蛇行状に形成されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ラッチ手段を有するLCタイプの光コネクタプラグの押圧操作レバーを完全にカバーすることができ且つ押圧操作レバーからの脱落を防止することができ、また光コネクタプラグの構成を変えることなく簡単に取り付けられ、ラッチ解除の操作が誤って行なわれるのを完全に防止することができる。
【0023】
すなわち、本発明にあっては、ラッチ手段を有する光コネクタプラグにおいて、ラッチ片を押圧操作するための押圧操作レバーの誤操作によるプラグ本体の誤脱を防止する防止具本体を備え、防止具本体は、プラグ本体上で押圧操作レバーを上方から覆って保護するレバー保護部と、レバー保護部から後方に向けて延設されたブーツ保持部とを備えたので、ラッチ手段を有するLCタイプの光コネクタプラグの押圧操作レバーを完全にカバーすることができることから、ラッチ解除の操作が誤って行なわれるのを完全に防止することができる。しかも光コネクタプラグ誤脱防止部材を、光コネクタプラグの構成を変えることなく簡単に取り付けることができる。
【0024】
レバー保護部は、下部開口したコの字形の囲いによって形成され、その左右側壁の内面には、押圧操作レバーを左右両側で抱え込む保持突起を備えているので、押圧操作レバーからの脱落を未然に防止することができる。
【0025】
レバー保護部は、その左右側壁にスリット部を設け、該スリット部は前記保持突起よりも後側に位置しているので、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時において、スリット部を介して左右側壁が互いに外方に向けて撓曲しながら保持突起に押圧操作レバーの左右両側を係架させることができ、プラグ本体へのレバー保護部のスムーズな装着が可能となる。
【0026】
レバー保護部は、その前方に向けてガイドアーム部が突設され、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時において前記左右一対のガイドアーム部がアダプタ内に挿入配置されるものとしたので、アダプタに対するレバー保護部の保持安定性が確実なものとなる。
【0027】
ブーツ保持部は、ブーツ上に沿って載置されるものとしたので、プラグ本体への防止具本体の装着が簡単に行えると同時に、単心用または2心用のLCタイプ光コネクタの簡易で安価な光コネクタ誤脱防止部材を提供することができる。
【0028】
ブーツ保持部は、プラグ本体の後端から延長されているブーツの前部に嵌合される嵌合孔部を備え、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時においてブーツ後部に延長した光コードを嵌合孔部内に導入させてブーツ側にスライドされるようブーツ保持部の下側に嵌合孔部に通じる切り込み部を備えたので、単心用または2心用のLCタイプの光コネクタプラグよりも安定したガイドが得られるユニブーツタイプの光コネクタ誤脱防止部材を提供することができる。
【0029】
切り込み部は、蛇行状に形成されているので、ブーツ保持部に装着されているプラグ本体の光コートからの脱着を一層確実に防止する機能を有している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を実施するための一形態を示す単心用の防止具本体の斜視図である。
【図2】同じく単心用の防止具本体の構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【図3】アダプタに装着されているプラグ本体への単心用の防止具本体の装着例を説明するもので、(a)は装着前の状態の側面図、(b)は装着後の状態の側面図、(c)は装着後の状態の防止具本体を断面で示す側面図である。
【図4】防止具本体の他例を示す斜視図である。
【図5】同じく他例の防止具本体の構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【図6】同じく他例の防止具本体を2個並べたプラグ本体へ装着した状態を示す斜視図である。
【図7】ユニブーツタイプの防止具本体を斜上側から見た状態の斜視図である。
【図8】ユニブーツタイプの防止具本体を斜下側から見た状態の斜視図である。
【図9】ユニブーツタイプの防止具本体の構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【図10】アダプタに装着されているプラグ本体へのユニブーツタイプの防止具本体の装着例を説明するもので、(a)はコードに装着される途中の状態を示す側面図、(b)はコードへの装着後にブーツ側にスライドさせた状態を示す側面図、(c)はブーツ側にスライドしてレバー保護部で押圧操作レバーを上方から覆って保護した状態の側面図、(d)は(c)の状態の防止具本体を断面で示す側面図である。
【図11】ユニブーツタイプの防止具本体をプラグ本体へ装着した状態の斜視図である。
【図12】ユニブーツタイプの防止具本体をプラグ本体へ装着した状態の半切欠断面図である。
【図13】アダプタに装着されているプラグ本体へユニブーツタイプの防止具本体を装着した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の一形態を詳細に説明する。
本実施形態において、光コネクタプラグ誤脱防止具を構成する防止具本体1は、図3に示すように、単心用のLCタイプの光コネクタプラグのラッチ手段Lを有するプラグ本体P(図11乃至図13参照)に装着され、当該ラッチ手段Lのラッチ片11を押圧操作するための押圧操作レバー12の誤操作によるアダプタQからの前記プラグ本体Pの誤脱を防止するためのものである。
【0032】
ラッチ手段Lは、図13に示すように、フェルール13、フェルールホルダー14、コイルバネ15等を内蔵したプラグ本体Pの後端に装着されたブーツ16手前から斜めに突出された押圧操作レバー12と、これに対向すべくプラグ本体Pの先端から後方へ向けて斜めに設けられたラッチ片11とによって構成され、前記押圧操作レバー12にラッチ片11が先端同士で係合している。押圧操作レバー12はプラグ本体P側に向けて押圧させることによってラッチ片11をプラグ本体Pに近づく方向に変位させ、当該ラッチ片11をアダプタQのハウジングHと係合させるようになっている。
【0033】
すなわち、プラグ本体Pは、アダプタQのハウジングHの前部または後部から単に押し込むだけで挿入され、ラッチ片11を弾性的に曲げてハウジングH内壁に沿って挿通される。そして、ラッチ片11はハウジングHの不図示のラッチ係合孔に到達した位置で弾性復帰し当該ラッチ係合孔にスナップイン的に係合し、これによってハウジングH内にプラグ本体Pが係着される。本実施形態に係る防止具本体1は、このようにアダプタQに装着されているプラグ本体Pへ直接装着されることで、押圧操作レバー12を完全にカバーすることができるものとなっている。
【0034】
防止具本体1は、図1、図2(a)乃至図2(d)に示すように、プラグ本体P上で押圧操作レバー12を上方から覆って保護するための下部開口のコの字形となった囲いによって形成されたレバー保護部2と、レバー保護部2から後方に向けて延設されたブーツ保持部3とから概ね構成されている。
【0035】
そして、レバー保護部2の左右側壁の内面には、押圧操作レバー12を左右両側で抱え込むための斜行突起状の保持突起4を備え、さらに保持突起4に隣接して左右側壁の各内面には、押圧操作レバー12を斜め上側から保持するための斜行状の係止部5が形成されている。
【0036】
また、レバー保護部2の左右側壁において、保持突起4よりも後方側位置には下縁から斜前方に向けてスリット部6を設けている。このとき、スリット部6の位置に対応した係止部5はその一部が切除されている。
【0037】
このスリット部6はレバー保護部2の左右側壁それぞれに設けられていることから、プラグ本体P上への防止具本体1の装着に際し、押圧操作レバー12がレバー保護部2内に挿入されると同時に、押圧操作レバー12の左右両側がそれぞれの保持突起4を乗り越えて係止部5に係止保持させられるようレバー保護部2自体に撓曲弾性力(可撓性)が付与されるものとしてある。なお、レバー保護部2の上面には、左右一対の長方形の開口部9が形成されている。
【0038】
さらに、レバー保護部2の左右側壁の各前端下側から前方に向けてガイドアーム部7が突設されており、アダプタQに装着されているプラグ本体Pへの防止具本体1の装着時において、この左右一対のガイドアーム部7がアダプタQ内に挿入配置されることにより、アダプタQに対するレバー保護部2の保持安定性が担保されている。
【0039】
一方、ブーツ保持部3は、ブーツ16上に沿って載置状に保持されるもので、上面がテーパ状となっており、またその末端部には、防止具本体1のプラグ本体PまたはアダプタQに対する押し込み操作もしくは引き出し操作を容易とするためのフランジ状の操作部8が形成されている。
【0040】
次に、以上のように構成された形態についての使用の一例について図3に基づき説明する。なお、プラグ本体PはアダプタQのハウジングH内に予め挿入されている。
【0041】
先ず、図3(a)に示すように、操作部8を手指で持ち、防止具本体1をプラグ本体P上に載せる。そして、図3(b)に示すように、防止具本体1をブーツ16上に沿って前方のアダプタQ側に向けてスライドさせ、左右一対のガイドアーム部7をアダプタQ内に案内させる。このとき、図3(c)に示すように、押圧操作レバー12がレバー保護部2内に挿入されると同時に、押圧操作レバー12の左右両側がそれぞれの保持突起4を乗り越えた後、当該押圧操作レバー12自体は左右側壁の内面の斜行状の係止部5によって係止保持させられる。こうして押圧操作レバー12はレバー保護部2によって完全に覆われた状態となり保護される。
【0042】
こうしてレバー保護部2により押圧操作レバー12を完全にカバーすることができ且つ保持突起4によって押圧操作レバー12からの防止具本体1の脱落を防止することができ、ラッチ解除の操作が誤って行なわれるのを完全に防止することができる。
【0043】
図4、図5(a)乃至図5(e)および図6には、本実施形態における防止具本体1の変形例が示されている。すなわち、本変形例では、2個並べた1心用のLCタイプ光コネクタに防止具本体1が取り付けられるようレバー保護部2の横幅すなわち左右側壁同士の間隔を、2個のプラグ本体Pに対応可能となる長さにしてある。
【0044】
なお、レバー保護部2以外の防止具本体1の構成、および使用例に関しては上記した本実施形態と同様なので、その詳細な説明を省略する。
【0045】
而して、図7乃至図13には、本実施形態における防止具本体1の他の変形例(ユニブーツタイプ)が示されている。なお、本ユニブーツタイプでは、前記変形例とは異なり、1つのブーツ16から分岐連設された一対のプラグ本体Pが二連並列状態となってクリップ体Kに保持固定される光コネクタ連結構造体を基本構成としている。
【0046】
すなわち、本変形例では、図7、図8、図9(b)、図9(d)、図9(e)に示すように、ブーツ保持部3の下側には下方に延長された矩形状の筐体となっており、ブーツ保持部3にはブーツ16の前部に嵌合されるよう前後に貫通した嵌合孔部18を備えている。また、図9(a)乃至図9(c)に示すように、この基部の上下両面には滑り止め用の複数条の突部20が形成されている。
【0047】
さらに、図8、図9(d)乃至図9(e)に示すように、ブーツ保持部3の下面には嵌合孔部18に通じる蛇行状となった切り込み部19が形成され、アダプタQに装着されているプラグ本体Pへの防止具本体1の装着時においてブーツ16後部に延長した光コード17を嵌合孔部18内に導入できるようになっている。この切り込み部19の蛇行によって、光コード17が嵌合孔部18内にいったん導入された際には、ブーツ保持部3から光コード17が容易に抜脱されないようになっている。一方、嵌合孔部18はストレートな孔形状となっており、光コード17装着後には防止具本体1自体を当該光コード17に沿ってブーツ16側前部までスライドできるようになっている。
【0048】
また、上記した変形例と同様に、レバー保護部2の横幅すなわち左右側壁同士の間隔を、二連のプラグ本体Pに対応可能となる長さにしてある。この場合において、レバー保護部2の左右側壁の内面には、押圧操作レバー12を左右両側で抱え込むための斜行突起状の保持突起4を備え、さらに保持突起4よりも後方側位置には左右側壁の下縁から上方へスリット部6が形成され、レバー保護部2上面の前方に向けて形成された左右一対の長方形の開口部9に繋がっている。なお、ブーツ保持部3およびスリット部6以外の防止具本体1の構成に関しては上記した本実施形態および変形例と同様なので、その詳細な説明を省略する。
【0049】
本変形例における防止具本体1の使用に際し、先ず、図10(a)に示すように、光コード17を基部下面の切り込み部19から挿入し嵌合孔部18内に導入する。次に、図10(b)に示すように、防止具本体1を光コード17からブーツ16に沿って前方のアダプタQ側に向けてスライドさせる。このとき、図10(c)および図10(d)、図12および図13に示すように、押圧操作レバー12がレバー保護部2内に挿入されると同時に、押圧操作レバー12の左右両側がそれぞれの保持突起4を乗り越えた後、押圧操作レバー12自体は左右側壁の内面の斜行状の係止部5によって係止保持させられる。こうして押圧操作レバー12は図11に示すように、レバー保護部2によって完全に覆われた状態となり保護される。
【符号の説明】
【0050】
P プラグ本体
L ラッチ手段
1 防止具本体
2 レバー保護部
3 ブーツ保持部
4 保持突起
5 係止部
6 スリット部
11 ラッチ片
12 押圧操作レバー
16 ブーツ
17 光コード
18 嵌合孔部
19 蛇行状の切り込み部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッチ手段を有する光コネクタプラグにおいて、ラッチ片を押圧操作するための押圧操作レバーの誤操作によるプラグ本体の誤脱を防止する防止具本体を備え、防止具本体は、プラグ本体上で押圧操作レバーを上方から覆って保護するレバー保護部と、レバー保護部から後方に向けて延設されたブーツ保持部とを備えたことを特徴とする光コネクタプラグ誤脱防止具。
【請求項2】
レバー保護部は、下部開口したコの字形の囲いによって形成され、その左右側壁の内面には、押圧操作レバーを左右両側で抱え込む保持突起を備えている請求項1記載の光コネクタプラグ誤脱防止具。
【請求項3】
レバー保護部は、その左右側壁にスリット部を設け、該スリット部は前記保持突起よりも後方側に位置している請求項2記載の光コネクタプラグ誤脱防止具。
【請求項4】
レバー保護部は、その前方に向けてガイドアーム部が突設され、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時において前記左右一対のガイドアーム部がアダプタ内に挿入配置されるものとなっている請求項1乃至3のいずれか記載の光コネクタプラグ誤脱防止具。
【請求項5】
ブーツ保持部は、ブーツ上に沿って載置されるものとなっている請求項1乃至4のいずれか記載の光コネクタプラグ誤脱防止具。
【請求項6】
ブーツ保持部は、プラグ本体の後端から延長されているブーツの前部に嵌合される嵌合孔部を備え、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時においてブーツ後部に延長したコードを嵌合孔部内に導入させてブーツ側にスライドされるようブーツ保持部の下側に嵌合孔部に通じる切り込み部を備えている請求項1乃至4のいずれか記載の光コネクタプラグ誤脱防止具。
【請求項7】
切り込み部は、蛇行状に形成されている請求項6記載の光コネクタプラグ誤脱防止具。
【請求項1】
ラッチ手段を有する光コネクタプラグにおいて、ラッチ片を押圧操作するための押圧操作レバーの誤操作によるプラグ本体の誤脱を防止する防止具本体を備え、防止具本体は、プラグ本体上で押圧操作レバーを上方から覆って保護するレバー保護部と、レバー保護部から後方に向けて延設されたブーツ保持部とを備えたことを特徴とする光コネクタプラグ誤脱防止具。
【請求項2】
レバー保護部は、下部開口したコの字形の囲いによって形成され、その左右側壁の内面には、押圧操作レバーを左右両側で抱え込む保持突起を備えている請求項1記載の光コネクタプラグ誤脱防止具。
【請求項3】
レバー保護部は、その左右側壁にスリット部を設け、該スリット部は前記保持突起よりも後方側に位置している請求項2記載の光コネクタプラグ誤脱防止具。
【請求項4】
レバー保護部は、その前方に向けてガイドアーム部が突設され、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時において前記左右一対のガイドアーム部がアダプタ内に挿入配置されるものとなっている請求項1乃至3のいずれか記載の光コネクタプラグ誤脱防止具。
【請求項5】
ブーツ保持部は、ブーツ上に沿って載置されるものとなっている請求項1乃至4のいずれか記載の光コネクタプラグ誤脱防止具。
【請求項6】
ブーツ保持部は、プラグ本体の後端から延長されているブーツの前部に嵌合される嵌合孔部を備え、アダプタに装着されているプラグ本体への防止具本体の装着時においてブーツ後部に延長したコードを嵌合孔部内に導入させてブーツ側にスライドされるようブーツ保持部の下側に嵌合孔部に通じる切り込み部を備えている請求項1乃至4のいずれか記載の光コネクタプラグ誤脱防止具。
【請求項7】
切り込み部は、蛇行状に形成されている請求項6記載の光コネクタプラグ誤脱防止具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−29580(P2013−29580A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164156(P2011−164156)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(391005581)三和電気工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(391005581)三和電気工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】
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