説明

光コネクタ洗浄システム

【課題】 光学素子同士が頻繁に接続及び切り離されても、光コネクタが所望の結合効率を有するように、光コネクタを洗浄する光コネクタ洗浄システムを提供すること。
【解決手段】 光コネクタ洗浄システム200は、気体94を噴出する気体噴出口203と、気体噴出口203が気体94を噴出するために気体94に運動エネルギを付与する運動エネルギ付与機構205と、気体噴出口203と運動エネルギ付与機構205とを連通する第1の流路部207とを有している。気体噴出口203は、第1の保持部材21と第1の光ファイバ11と第2の保持部材41と第2の光ファイバ31との少なくとも1つに配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタを洗浄する光コネクタ洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、光ファイバを接続するときに、光ファイバに付着している塵埃(ゴミ)を清掃する光ファイバ接続用コネクタが開示されている。
【0003】
光ファイバ接続用コネクタにおいて、光プラグと光プラグ保持部とは、着脱可能な構成となっている。
このような光プラグが光プラグ保持部に挿入されると、光プラグの先端部はストッパー兼クリーナーを圧縮バネに対抗して押圧する。この状態から、光プラグ保持部は、レーザ送出部の光軸に向かって回転することとなる。
【0004】
光プラグと接触するストッパー兼クリーナーの接触面は、光プラグを清掃する材質によって製作されている。そのため、前述したように光プラグ保持部が回転する際に、光プラグに付着しているゴミは、光プラグを払拭するストッパー兼クリーナーの接触面によって除去(清掃)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−221565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光プラグと光プラグ保持部とが何度も接続/切り離されると、その都度、ゴミが光プラグに付着する虞があり、接触面が何度も光プラグに付着しているゴミを除去する必要がある。この除去の回数が多くなると、ゴミが接触面に溜まり、接触面の清掃能力が低下する。これよりゴミが接触面に蓄積し、コネクタの結合効率がゴミによって低下する。
【0007】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、光学素子同士が頻繁に接続及び切り離されても、光コネクタが所望の結合効率を有するように、光コネクタを洗浄する光コネクタ洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は目的を達成するために、光を出射する出射端面を有する第1の光ファイバを保持する第1の保持部材と、前記出射端面から出射された前記光が入射する入射端面を有する第2の光ファイバを保持し、前記出射端面と前記入射端面とが光結合するように、前記第1の保持部材と接続する第2の保持部材と、を有する光コネクタと、気体を噴出する気体噴出口と、前記気体に運動エネルギを付与させる運動エネルギ付与機構と、前記気体噴出口と前記運動エネルギ付与機構とを連通する第1の流路部とを具備し、前記気体噴出口は、前記第1の保持部材と前記第1の光ファイバと前記第2の保持部材と前記第2の光ファイバとの少なくとも1つに配設されることを特徴とする光コネクタ洗浄システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光学素子同士が頻繁に接続及び切り離されても、光コネクタが所望の結合効率を有するように、光コネクタを洗浄する光コネクタ洗浄システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る光コネクタ洗浄システムの概略図である。
【図2A】図2Aは、図1に示す2A−2A線における断面図である。
【図2B】図2Bは、図1に示す2B−2B線における断面図である。
【図3】図3は、気体が出射端面と入射端面とに向けて噴出される際の概略図である。
【図4A】図4Aは、第1の実施形態の第1の変形例における光コネクタ洗浄システムの概略図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに示す4B−4B線における第1の光ファイバの断面図である。
【図5】図5は、第1の実施形態の第2の変形例における光コネクタ洗浄システムの概略図である。
【図6A】図6Aは、第2の実施形態における光コネクタ洗浄システムの概略図である。
【図6B】図6Bは、第2の実施形態の第1の変形例における光コネクタ洗浄システムの概略図である。
【図7】図7は、第3の実施形態における光コネクタ洗浄システムの概略図である。
【図8】図8は、第4の実施形態における光コネクタ洗浄システムの概略図である。
【図9】図9は、第5の実施形態における光コネクタ洗浄システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2Aと図2Bと図3とを参照して第1の実施形態について説明する。なお図示の明瞭化のために、一部の図面では部材の一部の図示を省略している。
図1と図3とに示すように、光コネクタ洗浄システム200は、光コネクタ10と、光コネクタ10を洗浄するために、光コネクタ10に気体94を噴出する気体噴出機構201とを有している。つまり光コネクタ洗浄システム200は、気体噴出機構201が噴出する気体94によって光コネクタ10を洗浄する。
【0012】
図1に示すように、光コネクタ10は、光を出射する出射端面11aを有する第1の光ファイバ11を保持する第1の保持部材21と、出射端面11aから出射された光が入射する入射端面31aを有する第2の光ファイバ31を保持し、出射端面11aと入射端面31aとが光結合するように、第1の保持部材21と接続する第2の保持部材41とを有している。
【0013】
第1の光ファイバ11と第2の光ファイバ31との数は例えば同数であり、例えば1本の第1の光ファイバ11と1本の第2の光ファイバ31とが光結合する。第1の光ファイバ11と第2の光ファイバ31とは、例えば、同じ材質であり、同じ屈折率を有している。
【0014】
なお図1に示すように、光コネクタ洗浄システム200は、第1の光ファイバ11に光を出射する光源150をさらに有している。光源150は、例えば半導体レーザなどである。光源150は、第1の光ファイバ11と接続している。本実施形態では、光源150は、後述する運動エネルギ付与機構205とは、別体である。
【0015】
図1に示すように、第1の保持部材21は、例えばセラミックとアルミと真鍮との少なくとも1つによって形成されているフェルールである。第1の保持部材21は、例えば円柱形状を有している。第1の保持部材21は、光ファイバを保持するための孔21cを有している。孔21cは、第1の保持部材21の長手方向に沿って配設されており、第1の保持部材21を貫通している。孔21cは、例えば第1の保持部材21の中心軸上に配設されている。孔21cの直径は、第1の光ファイバ11の直径と略同一である。この第1の光ファイバ11が孔21cに対して接着することで、第1の光ファイバ11は第1の保持部材21に固定される。なお接着の代わりに嵌合でもよい。1つの孔21cには、1本の第1の光ファイバ11が挿入される。また第1の保持部材21は、例えば第1の光ファイバ11の出射端面11aが第1の保持部材21の一端面21aと同一平面上に配設されるように、第1の光ファイバ11を保持している。一端面21aは、例えば平面となっている。
【0016】
図1に示すように、第1の保持部材21は、第1の保持部材21の他端面に固定され、他端面側を閉じる例えば金属製の蓋部23aを有している。蓋部23aは、例えば継ぎ手として形成されている。蓋部23aは、蓋部23aが後述する流路部材209と接続するために、蓋部23aの中心軸方向に沿って蓋部23aから突出している突出部29aを有している。また蓋部23aは、突出部29aの内孔を介して流路部材209と連通している溝部27aを有している。溝部27aは、孔21cと後述する光コネクタ側流路部211とにも連通している。また図1と図2Aに示すように、溝部27aには、第1の光ファイバ11が挿通する。この溝部27aは、ざぐり加工によって形成される。溝部27aは、流路部材209から光コネクタ側流路部211に気体94を流す流路部でもある。なお、気体94は、光コネクタ10の周囲の雰囲気により決まる。例えば、光コネクタ10が大気中で使われる場合、気体94は大気中の空気となる。また蓋部23aは、溝部27aと連通し、第1の光ファイバ11が挿通する蓋孔25aを有している。蓋孔25aの直径は、第1の光ファイバ11の直径と略同一である。なお蓋部23aから外部に向かって延出している第1の光ファイバ11は、被覆層11bによって被覆されている。第1の光ファイバ11は、被覆層11bを介して図示しない例えば接着剤によって蓋部23aに接着されている。蓋部23aと第1の保持部材21の他端面とには、気密性を確保するために、例えば図示しないOリングが配設されていてもよい。蓋部23aは、第1の保持部材21に対応するように円形形状を有している。
【0017】
第2の保持部材41は、第1の保持部材21と同様の構成を有しているため、詳細な説明は省略する。このため第2の保持部材41は、一端面21aに対応する一端面41aと、孔21cに対応する孔41cとを有している。また第2の保持部材41から外部に向かって延出している第2の光ファイバ31は、被覆層11bと同様の被覆層31bによって被覆されている。
【0018】
図1と図3とに示すように、気体噴出口203は、光コネクタ洗浄システム200が出射端面11aと入射端面31aと第1の保持部材21の一端面21aと第2の保持部材41の一端面41aとの少なくとも1つを洗浄するために、出射端面11aと入射端面31aと第1の保持部材21の一端面21aと第2の保持部材41の一端面41aとの少なくとも1つに気体94を噴出する。気体噴出機構201は、気体94を噴出する気体噴出口203と、気体噴出口203が気体94を噴出するために気体94に運動エネルギを付与する運動エネルギ付与機構205と、気体噴出口203と運動エネルギ付与機構205とを連通する第1の流路部207とを有している。
【0019】
図1に示すように、気体噴出口203は、例えば第1の保持部材21に配設されている。詳細には、気体噴出口203は、出射端面11aが配設される第1の保持部材21の一端面21aに配設されている。気体噴出口203は、出射端面11aを中心に、例えば同心円上に2つ配設されており、それぞれ第1の保持部材21の周方向に例えば180度離れて配設されている。気体噴出口203は、第2の保持部材41の一端面41aに対向しており、この一端面41aに向かって気体94を噴出する。
【0020】
図1に示すように、運動エネルギ付与機構205は、光コネクタ10の外部に配設されている。本実施形態では運動エネルギ付与機構205は、前述したように光源150とは別体である。運動エネルギ付与機構205は、例えばコンプレッサである。
【0021】
また運動エネルギ付与機構205は、気体94を、運動エネルギ付与機構205の外部、言い換えると、光コネクタ10の外部から吸引する。例えば電気エネルギが運動エネルギ付与機構205であるコンプレッサに供給され、運動エネルギ付与機構205によって気体94に運動エネルギが付与される。この結果、運動エネルギ付与機構205は運動エネルギを付与した気体94を噴出する。運動エネルギ付与機構205は、この気体94を噴出する噴出口205aを有している。噴出口205aは、第1の流路部207と接続しており、運動エネルギが付与された気体94を第1の流路部207に向けて噴出する。そしてこの気体94は、第1の流路部207に流れる。
【0022】
図1に示すように、第1の流路部207は、光コネクタ10の外部に配設され、運動エネルギ付与機構205(噴出口205a)と蓋部23a(溝部27a)とを連通する流路部材209と、光コネクタ10(第1の保持部材21)の内部且つ第1の光ファイバ11の外部に配設され、蓋部23a(溝部27a)と気体噴出口203とを連通する光コネクタ側流路部211とを有している。このように第1の流路部207は、第1の光ファイバ11の外部に配設されており、第1の光ファイバ11とは別体である。
【0023】
流路部材209は、例えば高分子材料によって形成されたチューブである。よって第1の流路部207の少なくとも一部である流路部材209は、変形可能となっている。また第1の流路部207の少なくとも一部である流路部材209の剛性は、第1の光ファイバ11の剛性と略同一、または第1の光ファイバ11の剛性よりも小さいことが好ましい。流路部材209の一端部は運動エネルギ付与機構205(噴出口205a)と接続しており、流路部材209の他端部は蓋部23aの突出部29aと接続している。
【0024】
図1に示すように、光コネクタ側流路部211は、溝部27aと連通しており、溝部27aを含む。光コネクタ側流路部211は、蓋部23aと接続している流路部材209と連通している。また光コネクタ側流路部211は、第1の保持部材21の長手方向に沿って配設されており、第1の保持部材21を貫通している貫通孔である。よって、一端面21aに配設されている光コネクタ側流路部211の開口端部は、気体噴出口203として機能する。このように光コネクタ側流路部211は、気体噴出口203と連通している。図1に示すように、光コネクタ側流路部211は、例えば第1の光ファイバ11と略並行に配設されている。また図2Bに示すように、光コネクタ側流路部211は、第1の光ファイバ11を中心に、例えば同心円上に2つ配設されており、それぞれ第1の保持部材21の周方向に例えば180度離れて配設されている。
【0025】
また図1に示すように、光コネクタ洗浄システム200は、蓋部23aを含む第1の保持部材21と、第2の保持部材41とを内部にて位置決めして保持する位置決め部材81をさらに有している。位置決め部材81は、蓋部23aを含む第1の保持部材21と、第2の保持部材41とを収容して位置決めする円筒部材であり、例えば金属のスリーブである。位置決め部材81の上部は、第1の保持部材21と第2の保持部材41とを収容するために、開口している。また位置決め部材81は、底面81aを有している。底面81aは、位置決め部材81に挿入された第1の保持部材21が位置決め部材81から抜けることを防止し、第1の保持部材21を位置決めする。また底面81aは、第1の光ファイバ11と、蓋部23aの突出部29aとが挿通可能な開口部81bを中央に有している。このように位置決め部材81は、底面81aを有する円筒形状の中空部材であり、凹型の断面形状を有していることとなる。
【0026】
また、位置決め部材81は、洗浄時において気体94を位置決め部材81の外部に放出する放出孔81cを有している。放出される気体94は、例えば、気体噴出口203から第2の保持部材41の一端面41aに向かって放出され、第1の保持部材21の一端面21aと第2の保持部材41の一端面41aとに当たって向きをかえた気体である。また、放出孔81cは、例えば複数配設されている。放出孔81cは、周方向に沿ってリング状に配設されているスリットなどである。放出孔81cは、位置決め部材81の長手方向に沿って、互いに離れて配設されている。
【0027】
また位置決め部材81の上部の外周面には、固定部材85が固定するためのねじ81dが切られている。
【0028】
固定部材85は、位置決め部材81に収容されている第1の保持部材21と第2の保持部材41とを位置決め部材81に固定する。固定部材85は、底面85aを有する円筒形状であり、凹型の断面形状を有しており、位置決め部材81の底面81aのないほうの開口部を覆うスリーブ補助部材として機能する。
【0029】
固定部材85は、底面85aに開口部85bを有している。この開口部85bには、第2の光ファイバ31が挿通している。開口部85bは、位置決め部材81の長手方向において第2の光ファイバ31と同一直線上に配設されている。
【0030】
固定部材85は、ねじ81dと噛み合うことで第1の保持部材21と第2の保持部材41とを位置決め部材81に固定するねじ85cを側面側の内周面に有している。
【0031】
次に本実施形態の作用について図1と図3とを参照して説明する。
例えば、第1の保持部材21は、位置決め部材81に挿入され、底面81aに当接する。このとき、突出部29aは、開口部81bを挿通する。また出射端面11aを含む第1の保持部材21の一端面21aが位置決め部材81の径方向において例えば放出孔81cと少なくとも同一平面上に位置するように、第1の保持部材21は位置決め部材81によって位置決めされる。つまり放出孔81cが出射端面11aを含む第1の保持部材21の一端面21aの側方に位置するように、第1の保持部材21は位置決め部材81によって位置決めされる。
【0032】
次に流路部材209の一端部は運動エネルギ付与機構205(噴出口205a)と接続し、流路部材209の他端部は蓋部23a(突出部29a)と接続する。
【0033】
次に第1の光ファイバ11と1本の第2の光ファイバ31とが光結合するために、第2の保持部材41は位置決め部材81に挿入される。このとき、気体噴出口203は、第2の保持部材41の一端面41aに対向する。
【0034】
例えば第1の光ファイバ11と1本の第2の光ファイバ31とが光結合するために、第2の保持部材41が位置決め部材81に挿入される際、運動エネルギ付与機構205は、運動エネルギ付与機構205の外部から気体94を吸引し、この気体94に例えば電気エネルギを付与する。そして噴出口205aは、電気エネルギが付与された気体94を噴出する。この気体94は、噴出口205aから流路部材209と光コネクタ側流路部211とを通じて気体噴出口203に送気される。そして気体噴出口203は、この気体94を第2の保持部材41の一端面41aに向かって噴出する。
【0035】
図3に示すように、気体94は、入射端面31aを直接ブローする。また気体94は、第2の保持部材41の一端面41aに向かって流れ、一端面41aに当たり向きを変えて入射端面31aをブローし、さらに一端面41aによって跳ね返り、出射端面11aをブローする。
【0036】
図3に示すように、気体94は、入射端面31aと出射端面11aとに付着する図示しないゴミ等をブローし、入射端面31aと出射端面11aとからごみを除去する。そしてゴミを含む気体94は、放出孔81cから外部に向けて放出される。
【0037】
このようにゴミの除去は、光結合と同時に実行される。またゴミの除去は、出射端面11aと入射端面31aとに部材を接触させてゴミを払拭するのではなく、気体94を噴出して実施するのみである。つまりゴミの除去は、出射端面11aと入射端面31aとに対して部材を接触させず、非接触で実行される。
【0038】
次に図1に示すように、固定部材85は位置決め部材81の上部を覆い、ねじ81dとねじ85cとが噛み合う。これにより、第1の保持部材21と第2の保持部材41とは位置決め部材81に固定され、第1の光ファイバ11と1本の第2の光ファイバ31とが光結合し、光コネクタ10は組み立てられる。
【0039】
なお本実施形態では、図1に示すように、例えば一端面21aと一端面41aとが所望な間隔離れた状態で、第1の光ファイバ11と第2の光ファイバ31とは光結合する。またこのとき放出孔81cが配設されている。よって光結合後、言い換えると光コネクタ10が組み立てられた後においても、ゴミの除去は可能となる。
【0040】
また固定部材85が位置決め部材81からはずれ、一端面21aと一端面41aとが切り離されると、第1の光ファイバ11と第2の光ファイバ31との光結合が解除される。このときであっても、ゴミの除去は可能となる。
【0041】
このように本実施形態では、気体噴出機構201における気体噴出口203と運動エネルギ付与機構205と第1の流路部207とによって、気体94を出射端面11aと入射端面31aとに噴出する。このため本実施形態では、第1の保持部材21(第1の光ファイバ11)と第2の保持部材41(第2の光ファイバ31)とが頻繁に接続及び切り離されても、気体94を出射端面11aと入射端面31aとに噴出できるために、ゴミを除去でき、常に所望の結合効率を維持できる。
【0042】
また本実施形態では、運動エネルギ付与機構205は、運動エネルギとして例えば電気エネルギを、気体94に付与する。これにより本実施形態では、ゴミが出射端面11aと入射端面31aとに付着していても、確実にゴミを除去できる。また本実施形態では、運動エネルギ付与機構205を光コネクタ10の外部に配設し、運動エネルギ付与機構205と光コネクタ10とを別体としているために、光コネクタ10を容易に小型にできる。
【0043】
また本実施形態では、光結合時、光コネクタ10の組立(光結合)後、光結合解除中、光結合解除後、いずれの場合であっても、運動エネルギ付与機構205は運動エネルギを常に気体94に付与し、気体噴出口203は常に気体94を噴出する。よって本実施形態では、このようないずれの場合であっても、常に出射端面11aと入射端面31aとからゴミを除去でき、常に出射端面11aと入射端面31aとをクリーンにすることができる。
またこれにより本実施形態では、ゴミを除去するためだけの作業を省くことができる。また本実施形態では、光結合時において、ゴミの除去作業を忘れることを防止でき、確実にゴミの除去作業を実行できる。
【0044】
また本実施形態では、出射端面11aと入射端面31aとに部材を接触させてゴミを払拭するのではなく、気体94を噴出するのみであり、出射端面11aと入射端面31aとに対して非接触でゴミを除去できる。これにより本実施形態では、払拭回数の増加に伴う部材の洗浄能力が低下することを懸念する必要がなく、部材の交換・メンテナンス・廃棄などを不要にできる。
【0045】
また本実施形態では、位置決め部材81によって、第1の保持部材21と第2の保持部材41とを光結合時に位置決めできる。また本実施形態では、放出孔81cによって、ゴミを含む気体94を位置決め部材81(光コネクタ10)の外部に放出できる。
【0046】
また本実施形態では、気体94が、出射端面11aと入射端面31aとに向かって気体噴出口203から噴出され、放出孔81cから位置決め部材81の外部に放出される際、図3に示すように気体94によって一端面21aと一端面41aとをブローすることもできる。これにより本実施形態では、一端面21aと一端面41aとに付着するゴミを共にブローでき、一端面21aと一端面41aとの間隔をゴミによって妨げられることなく所望な距離に維持できる。よって本実施形態では、結合効率をより確実に確保できる。
【0047】
また本実施形態では、流路部材209が変形可能となっているため、作業者は流路部材209を容易に扱えることができ、洗浄のための作業性を向上させることができる。
【0048】
また、流路部材209の剛性を第1の光ファイバ11の剛性と略同一またはこれよりも小さくしている場合、作業者は流路部材209を第1の光ファイバ11と同様に容易に扱うことができる。
【0049】
また本実施形態では、第1の流路部207を第1の光ファイバ11の外部に配設するために、光コネクタ側流路部211を光コネクタ10(第1の保持部材21)の内部且つ第1の光ファイバ11の外部に配設している。これにより、本実施形態では、光コネクタ10を洗浄するための第1の保持部材21の構成を簡素にできる。
また本実施形態では、第1の流路部207を第1の光ファイバ11の外部に配設するために、流路部材209を光コネクタ10の外部に配設している。これにより本実施形態では、光コネクタ10を容易に小型にできる。またこれにより本実施形態では、流路部材209の設計の自由度を向上させることができる。またこれにより本実施形態では、流路部材209において、気体94を噴出するためのコンダクタンスを容易に確保できる。またこれにより本実施形態では、運動エネルギ付与機構205を光コネクタ10に対して離して配設することができる。
【0050】
なお本実施形態では、気体噴出口203からブローされた気体94は、入射端面31aと出射端面11aとをブローしているが、これに限定する必要はなく、入射端面31aと出射端面11aとの少なくとも一方をブローできるだけでも良い。
【0051】
また本実施形態では、図3に示すように、気体94は、入射端面31aに向かって直接ブローし、第2の保持部材41の一端面41aに向かって流れ、一端面41aに当たり向きを変えて入射端面31aをブローし、さらに一端面41aによって跳ね返り、出射端面11aをブローしている。しかしこれに限定する必要はなく、これらの少なくとも1つが行われているだけでも良い。
【0052】
また本実施形態では、気体噴出機構201を第1の保持部材21側に配設しているが、これに限定する必要は無い。気体噴出機構201は、例えば第1の保持部材21側と第2の保持部材41側との少なくとも一方に配設されていても良い。
そして、気体噴出口203と第1の流路部207とが第1の保持部材21と第2の保持部材41とに配設されている場合、第2の保持部材41側の第1の流路部207は第1の保持部材21側の運動エネルギ付与機構205と接続していてもよい。つまり、運動エネルギ付与機構205は、第1の保持部材21側と第2の保持部材41側とで共通の部材として兼用されていてもよい。
また気体噴出口203が第1の保持部材21と第2の保持部材41とに配設されている場合、気体噴出口203同士は、対向せず、ずれて配設されていることが好適である。これにより本実施形態では、気体94を様々な方向から噴出できる。
また気体噴出機構201が第2の保持部材41に配設されている場合、溝部27aが蓋部23aに配設されている必要がある。
【0053】
また本実施形態では、運動エネルギ付与機構205は、運動エネルギとして例えば電気エネルギを、気体94に付与しているが、これに限定される必要は無い。
運動エネルギ付与機構205は、高圧力気体を有する密閉された容器が開放されることによって得られるエネルギを、運動エネルギとして気体94に付与してもよい。高圧力気体は、例えば大気圧よりも高い圧力を有している。このような運動エネルギ付与機構205は、例えば、高圧ボンベに充填されている気体94を減圧弁によって所望の圧力にして噴出する。
または、運動エネルギ付与機構205は、液体を気化することによって得られるエネルギを運動エネルギとして気体94に付与してもよい。このような運動エネルギ付与機構205は、例えば、液体窒素が室温にて放置されることによって発生する気体94の窒素を減圧弁によって所望の圧力にして噴出する。
または、運動エネルギ付与機構205は、固体を気化することによって得られるエネルギを運動エネルギとして気体94に付与してもよい。このような運動エネルギ付与機構205は、例えば、ドライアイスが室温に放置することによって発生する二酸化炭素を減圧弁によって所望の圧力にして噴出する。
または、運動エネルギ付与機構205は、化学反応によって得られるエネルギを運動エネルギとして気体94に付与してもよい。このような運動エネルギ付与機構205は、例えば、例えば燃焼気体(例えばプロパンガス)が燃焼することで発生する熱によって気体94(例えば空気)を熱膨張させ、熱膨張した気体94を減圧弁によって所望の圧力にして放出する。
【0054】
このように運動エネルギ付与機構205は、電気エネルギと、大気圧よりも高い圧力を有する高圧力気体を含む密閉された容器を開放することによって得られるエネルギと、液体を気化することによって得られるエネルギと、固体を気化することによって得られるエネルギと、化学反応によって得られるエネルギと、の少なくとも1つを運動エネルギとして、気体94に付与すればよい。
【0055】
また本実施形態では、第1の保持部材21と第2の保持部材41とは、円柱形状に限定されない。一端面21aと一端面41aとは、略円形形状に限定されない。
【0056】
また本実施形態では、1つの孔21cと1本の第1の光ファイバ11とを図示しているが、数はこれに限定されない。この場合、孔21cは、例えば、第1の保持部材21の中心軸を中心に、同心円上に複数配設される。各孔21cには、1本の第1の光ファイバ11が挿入される。つまり複数の第1の光ファイバ11が第1の保持部材21に保持されている場合、これら第1の光ファイバ11からなる光ファイバ群の重心は、一端面21aの平面方向において第1の保持部材21の中心軸上に配設される。このように第1の保持部材21は、多芯型であってもよい。この点は、第2の保持部材41についても同様である。
【0057】
また本実施形態では、孔21c,41cを例えばドリルで形成する場合、光コネクタ側流路部211もドリルで形成すればよいために、加工の手間を省くことができる。
【0058】
また本実施形態では、蓋部23aを配設する必要はなく、第1の保持部材21は蓋部23aに該当する底面を有していても良い。この場合、流路部材209は、底面の近傍で流路部と連通していれば良い。
【0059】
また本実施形態では、蓋部23aは、第1の保持部材21と一体であってもよい。
【0060】
また本実施形態の蓋部23aの直径は、蓋部23aが第1の保持部材21に嵌合するように、第1の保持部材21の直径よりも微小に小さくてもよい。
【0061】
また本実施形態では、光コネクタ側流路部211は、第1の保持部材21に配設されていれば良い。このため本実施形態では、光コネクタ側流路部211の位置と形状と数とは、特に限定されない。また本実施形態では、気体噴出口203の形状と数とは特に限定されない。
【0062】
また本実施形態では、放出孔81cはゴミを含む気体94を外部に放出できれば、数や形状や大きさなどは特に限定されない。
【0063】
また本実施形態では、洗浄と光結合とが完了した後に、第1の保持部材21と第2の保持部材41とを位置決め部材81に挿入しても良い。この場合、位置決め部材81は、放出孔81cを有していなくても良い。
【0064】
また本実施形態では、位置決め部材81は本実施形態に示す構造(スリーブ)に限定される必要は無い。例えば、位置決め部材81は、第1の保持部材21の一端面21aに配設されている例えばピン等の凸部と、第2の保持部材41の一端面41aに配設され、ピンが嵌合する凹部とを有していている構造でもよい。この場合、ピンは、第1の保持部材21の一端面21aに配設されている凹部に挿し込まれ位置決めされる。なお凹部と嵌合できれば、ピンに限定する必要は無く、例えば第1の保持部材21の一端面21aと一体の凸部であってもよい。
【0065】
また本実施形態では、固定部材85と位置決め部材81とは、ねじ81d,85cによって固定されているが、これに限定されない。また固定部材85は、第1の保持部材21側と第2の保持部材41側との少なくとも一方に配設されていればよい。
【0066】
次に本実施形態の第1の変形例について図4Aと図4Bとを参照して説明する。
図4Aと図4Bとに示すように、第1の光ファイバ11は、第1の光ファイバ11の中心軸上に配設されているコア13と、コア13を覆うクラッド15とによって形成されている。クラッド15は、第1の流路部207として機能する貫通孔15aを有している。図4Aに示すように、貫通孔15aは、第1の光ファイバ11の中心軸方向に沿って、クラッド15を貫通している。貫通孔15aは、コア13に対して略平行に沿って配設されている。出射端面11aに配設されている貫通孔15aの開口端部は、気体噴出口203として機能する。
【0067】
このように、第1の流路部207は第1の光ファイバ11の内部に配設され、気体噴出口203は第1の光ファイバ11に配設されている。
【0068】
第1の光ファイバ11、詳細には貫通孔15aは、運動エネルギ付与機構205の噴出口205aと連通している。これにより気体94は、噴出口205aから噴出されて貫通孔15aに流れる。
【0069】
また図4Aに示すように、運動エネルギ付与機構205は、光源150を有し、光源150と一体となっている。光源150は、噴出口205aに配設されており、所望の光結合効率が確保されるように第1の光ファイバ11のコア13と光学的に接続する。光源150は、噴出口205aにおいて、図示しない保持部材によって保持されている。この保持部材は、噴出口205aから貫通孔15aへの気体94の送気を阻害しないように配設されている。光源150は、図示しない電線によって図示しない電源と接続している。
【0070】
また図4Aに示すように、第1の光ファイバ11(コア13)と光源150、及び第1の光ファイバ11(貫通孔15a)と噴出口205aとは、気密を保持する気密保持部材213によって気密を保持された状態で、接続している。気密保持部材213は、例えば、構造物と有機性接着剤とを組み合わせて形成されている。構造物は、例えば、気密性を有する高分子材料と金属との少なくとも1つによって形成されている。有機性接着剤は、例えば硬化すると気密性を有するものが用いられる。なお有機性接着剤の代わりに、はんだまたは低融点ガラスが用いられても良い。
【0071】
気密保持部材213は、第1の光ファイバ11と光源150との接続と、第1の光ファイバ11(貫通孔15a)と噴出口との接続とを補強している。
【0072】
このように本変形例では、運動エネルギ付与機構205が光源150を有し、第1の流路部207が第1の光ファイバ11の内部に配設されているため、流路部材209を不要にでき、第1の流路部207のみのために第1の保持部材21を加工する必要がなく、光コネクタ洗浄システム200の構成をコンパクトにできる。また本変形例では、第1の流路部207が第1の光ファイバ11の内部に配設されているため、光コネクタ10を細径にできる。
【0073】
また本変形例では、貫通孔15aである第1の流路部207によって、第1の光ファイバ11の曲げ特性を向上させることができる。
【0074】
なお本変形例において、運動エネルギ付与機構205が第1の流路部207と連通していれば、第1の流路部207は第2の光ファイバ31の内部に配設され、気体噴出口203は第2の光ファイバ31に配設されていてもよい。
また本変形例は、第1の実施形態に組み込むこともできる。よって、気体噴出口203は、第1の保持部材21と第1の光ファイバ11と第2の保持部材41と第2の光ファイバ31との少なくとも1つに配設されていればよい。このとき第1の流路部207は、気体噴出口203と連通するように、気体噴出口203が配設されている第1の保持部材21と第1の光ファイバ11と第2の保持部材41と第2の光ファイバ31との少なくとも1つに配設されていればよい。
【0075】
次に本実施形態の第2の変形例について図5を参照して説明する。
本変形例では、一端面21aと一端面41aとは当接し、出射端面11aと入射端面31aとは当接した状態で、第1の光ファイバ11と第2の光ファイバ31とは光結合する。
【0076】
このように本変形例では、出射端面11aと入射端面31aとを当接でき、所望の結合効率を確保できる。なお本変形例では、第1の実施形態で述べたように、一端面21aと一端面41aとに付着するゴミもブローできるため、一端面21aと一端面41aとをゴミによって妨げられることなく当接でき、出射端面11aと入射端面31aとを確実に当接できる。
【0077】
次に、本発明に係る第2の実施形態について図6Aを参照して説明する。
光コネクタ洗浄システム200は、光コネクタ10以外の構造体231をさらに有している。構造体231は、気体94を噴出する機能を有している。このような構造体231は、例えば、圧縮された空気によって駆動するアクチュエータや、体腔内や容器に気体94を供給するためのノズルを有する機器などである。構造体231は、少なくとも1つ配設されていれば良い。構造体231が複数配設されている場合、各構造体231は、同一の機能を有していても良いし、異なる機能を有していても良い。
【0078】
気体噴出機構201は、この構造体231と連通する第2の流路部215をさらに有している。第2の流路部215は、少なくとも1つ配設されている。例えば、図示はしないが、構造体231が複数配設されている場合、第2の流路部215は構造体231と同数配設されている。例えば1つの第2の流路部215は1つの構造体231と接続している。
【0079】
第2の流路部215は、例えば光コネクタ10の外部に配設され、運動エネルギ付与機構205と構造体231とを連通する流路部材217とを有している。流路部材217は、流路部材209と同様の構成を有している。流路部材217は、噴出口205aと接続している。
【0080】
このように運動エネルギ付与機構205は、気体噴出機構201と、気体94を噴出する構造体231とに兼用されている。
【0081】
よって本実施形態では、第2の流路部215によって、構造体231にも気体94を送気することができる。また本実施形態では、気体噴出機構201と、気体94を噴出する構造体231とに、運動エネルギ付与機構205を兼用できるため、光コネクタ洗浄システム200のコストを削減でき、光コネクタ洗浄システム200を小型にできる。また本実施形態では、運動エネルギ付与機構205を、光コネクタ10の洗浄のためだけでなく、構造体231のように洗浄以外の機能のためにも利用することができる。
【0082】
次に本実施形態の第1の変形例について図6Bを参照して説明する。
光コネクタ洗浄システム200は、例えば、第1の流路部207(流路部材209)と第2の流路部215(流路部材217)とに配設されている開閉弁部219を有している。開閉弁部219は、例えば電磁弁である。
【0083】
これにより本変形例では、光コネクタ10側と構造体231側とで、独立したタイミングで、気体94を送気できる。言い換えると、本変形例では、構造体231の操作と光コネクタ10の洗浄とを独立したタイミングで実施できる。
【0084】
なお開閉弁部219の配設位置は、特に限定されない。開閉弁部219は、例えば、第1の流路部207(流路部材209)と、第2の流路部215(流路部材217)と、運動エネルギ付与機構205と、流路部材209と運動エネルギ付与機構205との間を示す接続部と、第2の流路部215と運動エネルギ付与機構205との間を示す接続部との少なくとも1つに配設されていればよい。流路部材209と運動エネルギ付与機構205との間を示す接続部とは、例えば噴出口205aを示す。第2の流路部215と運動エネルギ付与機構205との間を示す接続部とは、例えば噴出口205aを示す。
【0085】
また開閉弁部219は、例えばコンダクタンスを連続的に変化できれば、言い換えれば気体94の流れを調整できれば、電磁弁に限定される必要がない。
【0086】
次に、本発明に係る第3の実施形態について図7を参照して説明する。
光コネクタ洗浄システム200は、第1の保持部材21に配設されている第1の電気的接点部221と、第2の保持部材41に配設されている第2の電気的接点部223とをさらに有している。
第1の電気的接点部221は、例えば一端面21aに配設されている。第1の電気的接点部221は、例えば第1の電極221aと第2の電極221bとによって構成されている。
第2の電気的接点部223は、例えば一端面41aに配設されている。第2の電気的接点部223は、例えば第3の電極223aによって構成されている。
第1の電気的接点部221と第2の電気的接点部223とは、出射端面11aと入射端面31aとが光結合する際に、互いに接触する。このとき、第1の電極221aと第2の電極221bとは、第3の電極223aに接触する。
【0087】
第1の電極221aは第1の配線部225aと接続し、第2の電極221bは第2の配線部225bと接続している。第1の配線部225aの剛性は、第1の光ファイバ11の剛性と略同一、または第1の光ファイバ11の剛性よりも小さいことが好ましい。第1の配線部225aは、第1の光ファイバ11と同等以上に変形する。この点は、第2の配線部225bについても同様である。
【0088】
第1の配線部225aと第2の配線部225bとは、例えば流路部材209を挿通している。第1の配線部225aと第2の配線部225bとは、運動エネルギ付与機構205に配設されている検出部227と接続している。検出部227は、第3の電極223aに対する第1の電極221aと第2の電極221bとの接触状態を検出する。つまり検出部227は、第1の電極221aと第2の電極221bとが第3の電極223aと接触しているか否かを、検出する。
【0089】
運動エネルギ付与機構205は、検出部227の検出結果に基づいて、つまり第1の電気的接点部221と第2の電気的接点部223との接触状態に応じて起動または停止する。
【0090】
このように本実施形態では、出射端面11aと入射端面31aとが光結合する際に、第1の電気的接点部221と第2の電気的接点部223とは互いに接触する。この点を検出部227は検出し、例えば運動エネルギ付与機構205は停止し、気体94の噴出が停止する。また、光結合が解除されると、第1の電気的接点部221と第2の電気的接点部223とは離れ、この点を検出部227は検出し、運動エネルギ付与機構205は起動し、次の光結合に備える。
【0091】
よって本実施形態では、光結合中は、運動エネルギ付与機構205を停止できる。これにより本実施形形態では、運動エネルギ付与機構205の消費電力を節約できる。
【0092】
なお本実施形態では、検出部227は、第1の配線部225aによって第1の電極221aと接続し、第2の配線部225bによって第2の電極221bと接続している。しかし、これに限定する必要は無く、検出部227は、例えば無線によって第1の電極221aと第2の電極221bとに接続していても良い。
これにより本実施形態では、第1の配線部225aと第2の配線部225bとを不要にできる分、光コネクタ洗浄システム200の構成を簡素にできる。
【0093】
また本実施形態の光コネクタ洗浄システム200は、前述した第2の実施形態の第1の変形例における開閉弁部219を有していても良い。
この場合、開閉弁部219は、例えば検出部227と図示しない配線部によって接続している。そして開閉弁部219は、検出部227の検出結果に基づいて、つまり第1の電気的接点部221と第2の電気的接点部223との接触状態に応じて開閉する。これにより運動エネルギ付与機構205は、開閉弁部219の開閉に応じて、起動または停止する。
【0094】
このように本実施形態では、開閉弁部219の開閉によって、運動エネルギ付与機構205の起動または停止でき、運動エネルギ付与機構205の電力を節約できる。
【0095】
次に、本発明に係る第4の実施形態について図8を参照して説明する。
本実施形態の第1の流路部207の例えば光コネクタ側流路部211は、気体噴出口203から離れるに従って太くなっている。
これにより本実施形態では、気体噴出口203から噴出される気体94の速度を向上でき、ゴミをより強力な力で除去できる。
【0096】
なお本実施形態では、気体噴出口203から噴出される気体94の速度を向上できれば、第1の流路部207の少なくとも一部が気体噴出口203から離れるに従って太くなっていればよい。
【0097】
また第1の流路部207が第2の保持部材41にも配設されている場合、前記構造は、第1の保持部材21における第1の流路部207と、第2の保持部材41における第1の流路部207との少なくとも一方にて実施されていればよい。
【0098】
次に、本発明に係る第5の実施形態について図9を参照して説明する。
第1の保持部材21における気体噴出口203を含む例えば光コネクタ側流路部211の中心線の延長線は、第2の保持部材41によって保持されている第2の光ファイバ31の中心線と交差している。
これにより本実施形態では、出射端面11aと入射端面31aとに効率よく気体94を噴出することができる。
【0099】
また例えば光コネクタ側流路部211の中心線は、延長すると入射端面31aに向かって伸びていてもよい。
これにより本実施形態では、入射端面31aに気体94を直接噴出することができる。
【0100】
なお第1の流路部207が第2の保持部材41にも配設されている場合、前記構造は、第1の保持部材21における第1の流路部207と、第2の保持部材41における第2の流路部215との少なくとも一方にて実施されていればよい。
【0101】
なお前述した各実施形態は、前述した他の実施形態の内容と各実施形態の変形例の内容との少なくともいずれか1つを組み合わせても良い。
【0102】
また全ての実施形態と全ての変形例とにおいて、第1の光ファイバ11を出射側とし、第2の光ファイバ31を入射側としたが、これに限定されない。アプリケーションによっては、例えば相互に入射・出射を切り換えるような場合でも良い。
【0103】
本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0104】
10…光コネクタ、11…第1の光ファイバ、11a…出射端面、21…第1の保持部材、31…第2の光ファイバ、31a…入射端面、41…第2の保持部材、81…位置決め部材、94…気体、150…光源、200…光コネクタ洗浄システム、201…気体噴出機構、203…気体噴出口、205…運動エネルギ付与機構、205a…噴出口、207…第1の流路部、209…流路部材、211…光コネクタ側流路部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する出射端面を有する第1の光ファイバを保持する第1の保持部材と、
前記出射端面から出射された前記光が入射する入射端面を有する第2の光ファイバを保持し、前記出射端面と前記入射端面とが光結合するように、前記第1の保持部材と接続する第2の保持部材と、
を有する光コネクタと、
気体を噴出する気体噴出口と、
前記気体に運動エネルギを付与させる運動エネルギ付与機構と、
前記気体噴出口と前記運動エネルギ付与機構とを連通する第1の流路部と、
を具備し、
前記気体噴出口は、前記第1の保持部材と前記第1の光ファイバと前記第2の保持部材と前記第2の光ファイバとの少なくとも1つに配設されることを特徴とする光コネクタ洗浄システム。
【請求項2】
前記気体噴出口は、前記第1の保持部材と前記第1の光ファイバとの少なくとも一方に配設されることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ洗浄システム。
【請求項3】
前記第1の流路部の少なくとも一部は、変形可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光コネクタ洗浄システム。
【請求項4】
前記第1の流路部の剛性は、前記第1の光ファイバの剛性と略同等、または前記第1の光ファイバの剛性よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の光コネクタ洗浄システム。
【請求項5】
前記運動エネルギ付与機構は、
電気エネルギと、
大気圧よりも高い圧力を有する高圧力気体を含む密閉された容器を開放することによって得られるエネルギと、
液体を気化することによって得られるエネルギと、
固体を気化することによって得られるエネルギと、
化学反応によって得られるエネルギと、
の少なくとも1つを前記運動エネルギとして、前記気体に付与させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光コネクタ洗浄システム。
【請求項6】
前記第1の流路部は、前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとの少なくとも一方の内部に配設されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光コネクタ洗浄システム。
【請求項7】
前記第1の流路部は、前記第1の光ファイバの外部と前記第2の光ファイバの外部との少なくとも一方に配設されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光コネクタ洗浄システム。
【請求項8】
前記光コネクタ以外の構造体と連通する少なくとも1つの第2の流路部をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の光コネクタ洗浄システム。
【請求項9】
前記第1の流路部と、前記第2の流路部と、前記運動エネルギ付与機構と、前記第1の流路部と前記運動エネルギ付与機構との間と、前記第2の流路部と前記運動エネルギ付与機構との間との少なくとも1つに配設されている弁部をさらに具備することを特徴とする請求項8に記載の光コネクタ洗浄システム。
【請求項10】
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とに配設され、前記出射端面と前記入射端面とが光結合する際に互いに接触する電気的接点部をさらに具備し、
前記弁部は、前記電気的接点部同士の接触状態に応じて開閉することを特徴とする請求項9に記載の光コネクタ洗浄システム。
【請求項11】
前記運動エネルギ付与機構は、前記電気的接点部同士の接触状態に応じて起動及び停止することを特徴とする請求項10に記載の光コネクタ洗浄システム。
【請求項12】
前記第1の流路部は、前記気体噴出口から離れるに従って太くなることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の光コネクタ洗浄システム。
【請求項13】
前記気体噴出口を含む前記第1の流路部の中心線の延長線は、前記気体噴出口と対向する側の前記保持部材によって保持されている前記光ファイバの中心線と交差することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の光コネクタ洗浄システム。
【請求項14】
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とを内部にて位置決めして保持する位置決め部材をさらに具備し、
前記位置決め部材は、前記気体を前記位置決め部材の外部に放出する放出孔を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の光コネクタ洗浄システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−68673(P2013−68673A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205241(P2011−205241)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】