説明

光センサを動作させる方法及び装置

【課題】光センサを動作させる方法及び装置の提供
【解決手段】複数の光センサを動作させる方法であって、各光センサを順番にレシーバの共通入力に接続することからなる方法。光センサのうちの1つが共通入力接続されている場合、光センサのうちの少なくとももう1つをグラウンドに短絡させる。前記方法の実施に使用される装置であって、複数の光センサと、共通入力を有するレシーバとを含む装置。第1の複数のスイッチは、光スイッチのうちの1つをレシーバの共通入力に接続する。第2の複数のスイッチはそれぞれ、光センサのうちの1つをグラウンドに短絡させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光センサを動作させる方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光タッチパッドは、携帯情報機器(PDA)、医療器具のパネル、及び、種々の携帯装置、及び/又は、対話型装置に一般的に使用されている。一般にタッチパッドは、タッチパッド上で交差する多数の光路を形成する、光源と光センサのペアを有する。タッチパッドの対する接触の検出は、遮断された光路と遮断されていない光路を検出することによって行われる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施形態は、複数の光センサを動作させる方法であって、(1)各光センサをレシーバの共通入力に接続するステップと、(2)前記光センサのうちの或る1つが前記共通入力に電気的に接続されたときに、前記光センサのうちの少なくとももう1つをグラウンドに短絡するステップとからなる方法である。
【0004】
本発明の他の実施形態は、複数の光センサと、共通入力を有するレシーバとからなる装置である。第1の複数のスイッチはそれぞれ、前記光センサのうちの1つを前記レシーバの共通入力に接続する。第2の複数のスイッチはそれぞれ、前記光スイッチのうちの1つをグラウンドに短絡させる。
【0005】
他の実施形態も開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、複数の光センサを動作させる方法100の一例を示している。方法100では、各光センサを順番にレシーバの共通入力に接続する102。光センサのうちの或る1つを前記共通入力に電気的に接続するときに、前記光センサのうちの少なくとももう1つをグラウンドに短絡させる104。
【0007】
方法100の一実施形態では、或る光センサを共通入力に接続するときに、残りの他の光センサを全てグラウンドに短絡させる。他の実施形態では、或る光センサの直ぐ隣りにある光センサを少なくともグラウンドに短絡させる。
【0008】
前記光センサがそれぞれ、光検出パス(例えば光タッチパッドの光検出パス)に対応する場合、方法100は、レシーバの出力を制御システムに渡し、光検出パスに対する作用を評価するステップを更に含む。
【0009】
図2は、方法100を実施することが可能な装置200の一例を示している。装置200は、複数の光センサ202、204、206(例えば、(図示のような)PNダイオード等のフォトダイオード)、及び、共通入力210を有するレシーバ208を含む。例えば、図中、レシーバ208は、基準電圧(Vref)を印加するためのもう1つの入力212と、フィードバックパス214とを有する。他の例において、フィードバックパス214は、レシーバの出力216と共通入力210の間に接続され、コンデンサ220に対して並列に接続された抵抗器218を有する場合がある。
【0010】
第1の複数のスイッチ222、224、226はそれぞれ、光センサ202、204、206のうちの1つをレシーバ208の共通入力210に電気的に接続する。第2の複数のスイッチ228、230、232のそれぞれは、光センサ202、204、206のうちの1つをグラウンドに短絡させる。スイッチ222〜232は、様々な形で実施することが可能であるが、一実施形態では、金属酸化膜半導体FET(MOSFET)スイッチのような、電界効果トランジスタ(FET)スイッチの形で実施される。
【0011】
一実施形態において、前記複数の第1のスイッチ及び前記複数の第2のスイッチは、走査制御システム234によって作動(例えば、開閉)される。例えば、走査制御システム234は、第1の複数のスイッチ222〜226(すなわち、「直列スイッチ」)のそれぞれを順番に閉じると同時に、残りのスイッチを開くようにプログラムされ、それによって、光センサを一度に1つだけ共通入力210に接続することができる。このようにすると、各光センサ202〜206の状態をレシーバ208によって順番に読み出し、論理回路236に出力することができる。一実施形態において、論理回路236は、レシーバ208から出力されたセンサ状態を記憶するためのラッチ又はレジスタを含む。
【0012】
理論上は、光センサ202〜206を共通入力210に順番に接続すれば、レシーバ208は、一度に1つの光センサの状態しか読み出さないはずである。しかしながら、(1)光センサ202〜206相互間の距離や、(2)光センサ202〜206のうちの幾つかに同時に光が当たるか否かに応じて、光センサ202〜206間、及び、それに関連する信号パス間には、漏話が発生する可能性がある。つまり、光センサをレシーバ208に接続しなくても、光センサに光を当てると、その光センサによって、1以上の他の光センサに電流が誘導されることがある。従って、例えばスイッチ222が閉じていて、光センサ202がレシーバ208に接続され、他には閉じているスイッチ224〜232が何もない場合でも、光が逸れて光センサ204に当たったり、光センサ204に意図的に光を当てたりすると、その変化は、実際には光が当たっていなくても、光センサ202に光が当たっているものとして解釈されることがある。
【0013】
光センサ202〜206間に生じる漏話の可能性を低減するために、走査制御システム234は、(A)レシーバ208に接続された或る光センサに接続されている短絡スイッチを開き、(B)少なくとももう1つの短絡スイッチを閉じることによって、第2の複数のスイッチ228〜232(すなわち、「短絡スイッチ」)を作動させるようにプログラムされる。例えば、図3に示す装置200の状態を見て欲しい。この装置では、直列スイッチ222を閉じると同時にスイッチ224及び226を開き、短絡スイッチ228を開くと同時にスイッチ230及び232を閉じている。
【0014】
一実施形態において、走査制御システム234は、「アクティブ」な光センサ(すなわち、レシーバ208によって読み出し中の光センサ)に接続された短絡スイッチを除き、他の全ての短絡スイッチを閉じる。他の実施形態では、短絡スイッチのうち、「アクティブ」な光センサの直ぐ隣りの光センサに接続された短絡スイッチだけを閉じる(なぜなら、直ぐ隣りにない光センサが光センサ間の漏話の原因となる可能性は低いからである)。
【0015】
図3に示す装置200の状態の後、制御システム234は、スイッチ222〜232を図4に示す状態に再構成するであろう。以下同様である。
【0016】
図5に示すように、装置200一つの応用形態は、光入力の検出である。このような実施形態では、装置200の光センサ202〜206は、光検出領域500(例えば、タッチパッド)の片側に配置され、複数の光源502、504、506(例えば、発光ダイオード(LED))が、光検出領域500の、光センサ202〜206とは反対側の面に配置される。このようにすると、光検出領域500全体にわたって、各光源502〜506により、対応する光センサ202〜206を照らすことができる。
【0017】
一実施形態において、光源502〜506は、実質的に平行な光ビームを発する。他の実施形態では、光源502〜506は、走査制御システム234によって順番に駆動され、各光源502〜506は、その光源に対応する光センサ202〜206がレシーバ208に接続されるのと同時に駆動される。
【0018】
光検出領域500の残りの縁部に光センサ508〜512及び光源514〜518を更に配置し、それらの光センサ508〜512をレシーバ208又は他のレシーバ520接続してもよい(図示のように)。レシーバ208及び520の出力はいずれも、論理回路236に接続され、論理回路236は光検出領域500に対する作用を評価することができる(例えば、スタイラスや指が接触した座標を検出することにより)。
【0019】
本発明の種々の例示的実施形態を以下に列挙する。
1.複数の光センサを作動させる方法であって、
前記光センサのそれぞれを順番にレシーバの共通入力に接続し、
前記光センサのうちの或る1つを前記共通入力に電気的に接続するときに、前記光センサのうちの少なくとももう1つをグラウンドに短絡させることからなる方法。
2.前記光センサのうちの或る1つを前記共通入力に電気的に接続するときに、少なくともその光センサの直ぐ隣りの光センサをグラウンドに短絡させることを含む、1に記載の方法。
3.前記光センサのうちの或る1つを前記共通入力に接続するときに、他の残りの光センサを全てグラウンドに短絡させることを含む、1に記載の方法。
4.前記光センサのそれぞれが光検出パスに対応し、前記方法は、前記レシーバの出力を制御システムに渡し、前記光検出パスに対する作用を評価することを含む、1に記載の方法。
5.複数の光センサと、
共通入力を有するレシーバと、
各スイッチが、前記光センサのうちの1つを前記レシーバの共通入力に電気的に接続するように構成された、第1の複数のスイッチと、
各スイッチが、前記光センサのうちの1つをグラウンドに短絡させるように構成された、第2の複数のスイッチと
からなる装置。
6.(1)前記第1の複数のスイッチのそれぞれを順番に閉じると同時に前記第1の複数のスイッチの残りのスイッチを開き、(2)或る光センサに接続された前記第1の複数のスイッチのうちの1つを閉じるときに、(A)その光センサに接続された前記第2のスイッチのうちの1つを開くとともに、(B)前記第2のスイッチのうちの少なくとももう1つのスイッチを閉じるようにプログラムされた、走査制御システムを更に含む、5に記載の装置。
7.前記走査制御システムは、或る光センサに接続された前記第2の複数のスイッチのうちの1つを開くときに、前記第2の複数のスイッチのうちの残りのスイッチを全て閉じるように構成される、6に記載の装置。
8.前記走査制御システムは、或る光センサに接続された前記第2の複数のスイッチのうちの1つを開くときに、前記第2の複数のスイッチのうちのその光センサの直ぐ隣りの光センサに接続されたものを少なくとも閉じるように構成される、6に記載の装置。
9.タッチパッドと、
複数の発光ダイオード(LED)と
を更に含み、前記複数の光センサはフォトダイオードであり、
前記タッチパッド全体にわたって、各LEDが、対応する光センサを照らすように構成される、6に記載の装置。
10.光検出領域と、
複数の光源と
を更に含み、前記光検出領域全体にわたって、各光源が、対応する光センサを照らすように構成される、5に記載の装置。
11.前記光検出領域はタッチパッドからなる、10に記載の装置。
12.前記レシーバに接続され、前記光検出領域に対する作用を評価するように構成された論理回路を更に含む、10に記載の装置。
13.前記第1の複数のスイッチ及び前記第2の複数のスイッチは、電界効果トランジスタスイッチからなる、5に記載の装置。
14.前記第1の複数のスイッチ及び前記第2の複数のスイッチは、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)スイッチからなる、5に記載の装置。
15.前記複数の光センサはフォトダイオードである、5に記載の装置。
16.前記複数の光源は発光ダイオード(LED)である、5に記載の装置。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】光センサを動作させるための方法の一例を示す図である。
【図2】光センサを動作させる装置の一連の状態のうちの1つを示す図である。
【図3】光センサを動作させる装置の一連の状態のうちの1つを示す図である。
【図4】光センサを動作させる装置の一連の状態のうちの1つを示す図である。
【図5】図2に示した装置を利用した光タッチパッドを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光センサ(202,204,206)を動作させる方法(100)であって、
前記光センサ(202,204,206)のそれぞれを順番にレシーバ(208)の共通入力(210)に接続する(102)し、
前記光センサ(202,204,206)のうちの或る1つを前記共通入力(210)に電気的に接続するときに、前記光センサ(202,204,206)のうちの少なくとも1つをグラウンドに短絡させることからなる方法(100)。
【請求項2】
前記光センサ(202,204,206)のうちの或る1つを前記共通入力(210)に電気的に接続するときに、少なくともその光センサの直ぐ隣りの光センサをグラウンドに短絡させることを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記光センサ(202,204,206)のうちの或る1つを前記共通入力(210)に電気的に接続するときに、他の残りの光センサを全てグラウンドに短絡させることを含む、1に記載の方法(100)。
【請求項4】
複数の光センサ(202,204,206)と、
共通入力(210)を有するレシーバ(208)と、
各スイッチが、前記光センサ(202,204,206)のうちの1つを前記レシーバ(208)の共通入力(210)に電気的に接続するように構成された、第1の複数のスイッチ(222,224,226)と、
各スイッチが、前記光センサ(202,204,206)のうちの1つをグラウンドに短絡させるように構成された、第2の複数のスイッチ(228,230,232)と
からなる装置(200)。
【請求項5】
(1)前記第1の複数のスイッチ(222,224,226)のそれぞれを順番に閉じると同時に前記第1の複数のスイッチの残りのスイッチ(222,224,226)を開き、(2)或る光センサに接続された前記第1の複数のスイッチ(222,224,226)のうちの1つを閉じるときに、(A)その光センサに接続された前記第2のスイッチ(228,230,232)のうちの1つを開き、(B)前記第2のスイッチ(228,230,232)のうちの少なくとももう1つのスイッチを閉じるようにプログラムされた、走査制御システム(234)を更に含む、請求項4に記載の装置(200)。
【請求項6】
前記走査制御システム(234)は、或る光センサに接続された前記第2の複数のスイッチ(228,230,232)のうちの1つを開くときに、前記第2の複数のスイッチ(228,230,232)のうちの他の残りのスイッチを全て閉じるように構成される、請求項5に記載の装置(200)。
【請求項7】
前記走査制御システム(234)は、或る光センサに接続された前記第2の複数のスイッチ(228,230,232)のうちの1つを開くときに、前記第2の複数のスイッチ(228,230,232)のうちのその光センサの直ぐ隣りの光センサに接続されたものを少なくとも閉じるように構成される、5に記載の装置(200)。
【請求項8】
タッチパッド(500)と、
複数の発光ダイオード(LED502,504,506)と
を更に含み、前記複数の光センサ(202,204,206)はフォトダイオードであり、
前記タッチパッド(500)全体にわたって、各LED(502,504,506)が、対応する光センサ(202,204,206)を照らすように構成される、請求項5に記載の装置(200)。
【請求項9】
光検出領域(500)と、
複数の光源(502,504,506)と
を更に含み、前記光検出領域(500)全体にわたって、各光源(502,504,506)が、対応する光センサ(202,204,206)を照らすように構成される、請求項4に記載の装置(200)。
【請求項10】
前記第1の複数のスイッチ及び前記第2の複数のスイッチ(222,224,226,228,230,232)は、電界効果トランジスタスイッチからなる、請求項4に記載の装置(200)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−337366(P2006−337366A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151152(P2006−151152)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(506076606)アバゴ・テクノロジーズ・ジェネラル・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (129)
【Fターム(参考)】